説明

再帰反射性舗装マーキング

第一主表面及び第二主表面を有する基材と、基材の第一主表面に沿って配置された複数の再帰反射素子(100)と、を有する舗装マーキングであって、この再帰反射素子はそれぞれ、固体球形コア(110)と、このコアに重なる少なくとも第一の完全同心光学干渉層(120)と、を有する。いくつかの実施形態において、この舗装マーキングの再帰反射素子は、第一の完全同心光学干渉層に重なる第二の完全同心光学干渉層を更に含む。更に他の実施形態において、この舗装マーキングの再帰反射素子は、第二の完全同心光学干渉層に重なる第三の完全同心光学干渉層を更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体球形コア上に配置された少なくとも1つの完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子からなる舗装マーキングに関連する。
【背景技術】
【0002】
「再帰反射性」とは、光のビームが入ると、その光を実質的にその光源の方向に反射する、物品の能力を指す。再帰反射性の舗装マーキングは既知であり、センターライン、エッジライン、横断歩道、工事中区域などを示すために、道路及びその他の表面に印をつけるのに使用されている。ビーズ型舗装マーキングを含むビーズ型再帰反射性物品は、一般に、基材の少なくとも1つの主表面に付着させた、複数の透明な球形ビーズ又は再帰反射性素子を含む。ビーズ型舗装マーキングは、塗料又は液体として適用される物品に加え、シート又はテープとして適用される物品も含まれる。ビーズ型再帰反射構造においては、実質的に平行な光(例えば自動車のヘッドライトからの光ビーム)がビーズの前面から入り、屈折し、ビーズの裏面又はその近くの反射体に当たる。かなりの量の光が、入射光に対して逆平行方向又はほぼ逆平行方向に戻るように、ビーズ及び反射体の光学的性質を調整することができる。
【0003】
舗装マーキングは通常、顔料から得られる反射体を含む。顔料は、結合剤中に分散させ、この顔料入り結合剤を、複数の再帰反射性素子を含む層の裏面にコーティングすることによって、又は顔料入り結合剤中に直接、再帰反射性素子の層を部分的に埋め込むことによって、反射体として使用することができる。反射性顔料には、例えばチタニア粒子、雲母フレーク、その他の粉末などが挙げられる。等角反射性コーティングも再帰反射性物品に使用することができ、通常、平面構成体の再帰反射性素子の裏側に適用される(例えば、再帰反射性素子と基材との間)。等角反射性コーティングには、アルミニウム及び銀などの金属薄膜、並びに金属フッ化物及び硫化亜鉛などの絶縁性コーティングが挙げられる。等角反射性コーティングはしばしば、高コスト、金属的な着色、及びその他の要因により、舗装マーキングには比較的好ましくないと見なされている。舗装マーキングは一般に、均一に白色、又は黄色などの単一の均一色に見えるよう設計される。
【0004】
固体球形コア上にコーティングされた単一の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子は、隠し(covert)干渉色及びレトロクロミック(retrochromic)パターンを生成することが知られている。用語「レトロクロミック」は、再帰反射モードで見たときに、物体又は領域を拡散光で見たときに呈する色とは異なる反射色を呈する、その物品又は領域の能力を指す。この技術はまた、レトロクロミック色の飽和及び強度に対する、単一完全同心光学干渉層の屈折率の影響も指摘する。光学干渉層の背面側の媒体(例えば、再帰反射素子と基材又は裏材との間)は、コーティングと媒体との間に高い屈折率のコントラスト界面を提供できることが示唆されている。この技術は、完全同心光学干渉層を既に含む再帰反射素子に適用した厚いコーティングが、界面の屈折率差を固定することによって干渉効果を調節するのに使用できることを示唆している。この技術はまた、結果として得られるレトロクロミックパターンが、セキュリティ物品、装飾物品などに有用であることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再帰反射性の舗装マーキングは、既に市販されてからしばらくたっており、最新技術を全般に推進しているが、このような物品の再帰反射特性の改良は、長期にわたって感じられていた必要性を提示している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、強化された再帰反射特性及びレトロクロミック色を備えた舗装マーキングを提供することによって、当該技術分野において長期にわたって感じられていたこの必要性に取り組むものである。
【0007】
1つの態様において、本発明は、
第一主表面及び第二主表面を有する基材と、
基材の第一主表面に沿って配置された複数の再帰反射素子と、を含む舗装マーキングを提供するものであって、この再帰反射素子はそれぞれ、
第一界面を提供する外側コア表面を含む固体球形コアと、
外側コア表面に重なる内側表面及び外側表面を有する少なくとも第一の完全同心光学干渉層と、を含み、ここで第一の完全同心光学干渉層の外側表面は第二の界面を提供する。
【0008】
別の態様において、再帰反射素子は、
第一の完全同心光学干渉層の外側表面に重なる内側表面及び外側表面を有する、第二の完全同心光学干渉層を更に含み、ここで第二の完全同心光学干渉層の外側表面は第三の界面を提供する。
【0009】
本発明の更に別の態様において、再帰反射素子は、
第二の完全同心光学干渉層の外側表面に重なる内側表面及び外側表面を有する、第三の完全同心光学干渉層を更に含み、ここで第三の完全同心光学干渉層の外側表面は第四の界面を提供する。
【0010】
別途記載のない限り、本発明の実施形態を記述するために使用されている用語は、当業者の理解に一致するように解釈されるものとする。明確化のため、以下の用語は、ここに述べられる意味を有するものとして理解されるものとする。
【0011】
「光」は、電磁スペクトルの可視光(すなわち約380nm〜約780nm)、紫外線(すなわち約200nm〜約380nm)、及び/又は赤外線(すなわち約780nm〜約100マイクロメートル)の領域で1つ以上の波長を有する電磁放射線を指す。
【0012】
「屈折率」は、別途記載のない限り、温度20℃、ナトリウムの黄色d線に相当する波長589.3nmでの屈折率を示す。用語「屈折率」及びその略語「RI」は、本明細書において互換性のある語として使用される。
【0013】
「再帰反射モード」は、物品に光ビームが入り、実質的に同じ方向(例えば照射方向から5度以内、4度以内、3度以内、2度以内、又は1度以内)からその照射された物品を観測することを含む、照射及び観測の特定の形状を指す。再帰反射モードは、人がある物品を見るときの形状、又は装置がある物品の反射率を測定するときの形状を記述し得る。
【0014】
「再帰反射輝度」は、物体又は物体の集合(例えば再帰反射素子若しくは素子の集合、又は例えば1つ以上の再帰反射素子を含む物品)が、入射光が入ってきた方向(又はほぼ同じ方向)に入射光を返す効率を指す。再帰反射輝度は、物体に入射した光の強度に対する、物体から再帰反射される光の強度に関係する。
【0015】
「再帰反射係数」(Ra)は、物体の再帰反射輝度の標準測定値であり、1ルクス当たり1平方メートル当たりのカンデラ単位、すなわちCd/lux/m又はCplで表わすことができる。この単位で再帰反射係数を報告するこれらの単位及び測定装置は、明度関数でこの再帰反射輝度に重みづけを行う。明度関数は、光の波長に対する人間の目の感度の依存性を説明するものであり、波長約380ナノメートル〜780ナノメートルでは非ゼロであり、このように電磁スペクトルの可視領域を画定する。
【0016】
「完全同心光学干渉層」又は「光学干渉層」は、本質的にビーズコアの全表面(すなわち、表面の選択された部分、例えば裏面のみではなく)を取り囲みかつ直接隣接する、又は別の内側の完全同心光学干渉層の外側表面を取り囲みかつ直接隣接する、半透明又は透明なコーティングを指し、この完全同心光学干渉層が本質的に均一な厚さを有する。
【0017】
「反射体」は、再帰反射性物品内の再帰反射素子の背面側にある焦点位置又はその近くの、再帰反射性物品内に配置される、鏡面性又は拡散性の反射性物質を指す。反射性物質は、拡散光散乱性又は金属材質であり得、又は1つ以上の反射性界面を形成する透明な材料構成要素の1つ以上の層であり得る。
【0018】
明確化のため、再帰反射性物品内の球形ビーズコアの背面側の焦点位置又はその近くに1つを超える反射体が存在する実施形態においては、ビーズの外側表面に接している又は最も近い材料が、「主反射体」と呼ばれる。ビーズの裏面から更に離れた追加の反射体は、「補助反射体」と呼ばれる。直接隣接した絶縁層の積層物は、主反射体及び補助反射体を指定する目的のため、単一の「反射体」と見なされる。例えば、裏面が顔料入り結合剤中に埋め込まれた2つ以上の完全同心光学干渉層を有するビーズを含む物品は、完全同心光学干渉層を主反射体として有し、顔料入り結合剤を補助反射体として有する。
【0019】
「領域」は、物品の連続する部分を指す。領域は典型的に、観察者に認識可能な境界又は全体的な広さを有する。
【0020】
当業者には、「発明を実施するための形態」、図面及び添付されている請求項を含む開示の残りの部分を考慮に入れることにより、本発明の範囲がより完全に評価されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書のさまざまな図は、縮尺を正確に示すものではなく、実施形態の説明の一助として提供されるものである。本発明の実施形態を記述する際、図への参照が行われるが、図には実施形態の特徴が参照番号で示されており、同様の参照番号は同様の特徴を示す。
【図1】本発明の物品において使用するための再帰反射素子の1つの実施形態の断面図。
【図2】本発明の物品において使用するための再帰反射素子の別の実施形態の断面図。
【図3】本発明の物品において使用するための再帰反射素子の更に別の実施形態の断面図。
【図4】本発明の物品に有用な再帰反射素子を製造するための代表的なプロセスのフローチャート。
【図5】本発明の1つの実施形態による、突出部を有し、かつ複数の再帰反射素子が表面に付着した、ベースシートを有する舗装マーキングの断面図。
【図6】図5の舗装マーキングの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の物品には、固体球形コアの上にコーティングされた1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子を含む舗装マーキングが含まれる。1つ以上の完全同心干渉層を含む再帰反射素子は、既存の舗装マーキングに比べ、再帰反射輝度の向上、日光下での外観の向上、添加剤を加えず顔料も含まない再帰反射素子による望ましい黄色着色、及び輝度維持の向上など、いくつかの利点を提供する。1つ以上の完全同心光学干渉層を備えた再帰反射素子を使用することにより、顕著に強化された再帰反射輝度を示す反射性舗装マーキングを提供するための、便利で、低コスト、かつ有効な手段が得られることが見出されている。
【0023】
本発明の物品は、再帰反射(retroflective)素子を含む舗装マーキングを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記述される再帰反射素子は、再帰反射モードで見たときに特定の色(例えば「隠し(covert)色」を呈する再帰反射色をもたらし得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記述される再帰反射素子は、色の変化を生じることなく、強化された再帰反射輝度を呈する。
【0024】
再帰反射輝度は入射光と反射光(観測角)との間のさまざまな角度について測定できるが、特定の範囲の角度に制限されない。いくつかの用途について、有効な再帰反射性は、戻り角がゼロ度であるのが望ましい(入射光に対して逆平行)。他の用途について、有効な再帰反射性は、戻り角が例えば0.1〜1.5度の範囲であるのが望ましい。物体を照らすのに可視光が使用される場合、再帰反射輝度は通常、再帰反射係数(Ra)を使用して記述される。
【0025】
本発明の物品に有用な再帰反射素子はそれぞれ、1つ以上のコーティング層が適用された固体球形コアを含み、この1つ以上のコーティング層はそれぞれ完全同心光学干渉層をコアの周囲に形成する。第一又は最も内側の光学干渉層は、球形コアの外側表面を覆う。いくつかの実施形態において、第二の完全同心光学干渉層は、この第一又は最も内側の完全同心光学干渉層の外側表面を覆い、かつこれに隣接している。他の実施形態において、第三の完全同心光学干渉層は、この第二の完全同心光学干渉層の外側表面を覆い、かつこれに隣接している。完全同心光学干渉層は典型的に球形コアの表面全体を覆うが、光学干渉層は、再帰反射素子の光学的特性を損なうことなく層を貫通する小さなピンホール又は小さな傷欠損を含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、再帰反射素子は、それぞれ連続的に前の蒸着層を覆う光学層として、追加の完全同心光学干渉層を含んでもよい(例えば、第四の同心光学干渉層は、第三の同心光学干渉層を覆い、第五の層は第四の層を覆う、など)。「同心」という語は、所与の球形コアの上にコーティングされるそのような光学干渉層それぞれが、コアの中心と同じ中心を共有する球形に形成されたシェルであることを意味する。
【0027】
さまざまな再帰反射素子を再帰反射性物品の構成要素として含めることは、本発明の範囲内である。このような物品に組み込まれた再帰反射素子のいくつかは、本明細書に記述されるように、1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子を含む。他の再帰反射素子は、光学干渉層を有さない再帰反射素子などの物品に含まれ得る。いくつかの実施形態において、物品は、1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子の混合物を含み、その構造、厚さ及び/又は材料は、再帰反射素子の間で異なるか、又は再帰反射素子群の間で異なる。例えば、第一又は最も内側の光学干渉層は、再帰反射素子によって、25%を超えて厚さが変動することがある。いくつかの実施形態において、再帰反射素子は、1つの同心光学干渉層を含んでよく、いくつかの実施形態においては2つの光学干渉層、いくつかの実施形態においては3つの光学干渉層、いくつかの実施形態においては3層を超える光学干渉層、いくつかの実施形態においては1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の光学干渉層を有する再帰反射素子の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、前述の再帰反射素子は、光学干渉層及び/又は補助反射体などを有さない再帰反射素子と物品内で組み合わせることができる。
【0028】
完全同心光学干渉層は、球形コアに適用されて、強化された再帰反射輝度をもたらすことが可能な再帰反射素子を提供する。物品内に配置されると、この再帰反射素子は、他の再帰反射素子形態などを含んだ同一の物品の再帰反射輝度よりも高い、再帰反射輝度を提供する。いくつかの実施形態において、再帰反射された光の色は、入射光の色と同じか又は似ている。例えば、再帰反射された光は、白色入射光からの色変化がほとんど又は全くない。更に別の実施形態では、物品に配置されたときにその再帰反射素子が再帰反射色をもたらすように、光学干渉層がコアに適用される。いくつかの実施形態において、再帰反射素子は、物品又は基材の表面に視認可能なパターンをもたらすよう物品内に配置され、このとき、このパターンは拡散光の下では見えないが、再帰反射モードで見たときには見えるようになる。いくつかの実施形態において、再帰反射素子は物品の色を強化するように使用することもでき、例えば、再帰反射素子は、拡散光で通常見える物品の色に合わせ、またおそらくは色を強化するような再帰反射色を提供する。
【0029】
物品内に配置されたとき、固体球形コア上に1つの完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子は、再帰反射素子の裏側に2つの光反射界面を生成する。コーティングの厚さは、可視光(約380ナノメートル〜約780ナノメートル)に対応する波長範囲内にある1つ以上の波長に対する建設的干渉状態又は相殺的干渉状態をもたらす光学的厚さを提供する。「光学的厚さ」は、コーティングの物理的な厚さにその屈折率を掛けたものを指す。このような建設的干渉状態又は相殺的干渉状態は、照射のコヒーレンス長を上限として、光学干渉コーティングの光学的厚さ増加と共に周期的である。コーティング厚さが増加すると、所与の波長に対する建設的干渉は、コーティングを通り抜けまた戻って通過する光学経路が、界面の一方又は両方での屈折率変化の兆候によって生じた位相反転と組み合わされて、2つの界面から反射する光の2つの要素について2πラジアンの位相差をもたらすと起こる。更に厚さが増加すると、位相差が4πラジアンに等しくなったときに、同じ建設的干渉状態が再び達成される。更に厚さを増加させると、同じ現象が起こる。
【0030】
建設的干渉状態の連続的発生を分離する厚さ周期(すなわち、コーティングの2つの表面から反射される光の所与の波長(減圧下)について、名目上同じ干渉状態の繰り返しをもたらすコーティングの厚さ増分)は、減圧下の波長の半分をコーティングの屈折率で割ることによって求められる。コーティング厚さをゼロナノメートルから増加させるときの所与の干渉状態の発生それぞれに、周期番号(例えばn=1、2、3...)を割り当てることができる。光学干渉層を含む再帰反射素子が広帯域光(多くの波長を含む光、例えば白色光)で照射される場合、干渉効果の範囲は、さまざまな波長に関する再帰反射現象を特性づける。このような光学的現象は、1つを超える光学干渉層が球形コアに適用される場合、より複雑になる。
【0031】
1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子を含む再帰反射性物品の再帰反射色及び輝度は、コーティング層厚さが増加するに従い、周期的な現象及び相互依存性を呈することがわかっている。1つ以上の完全同心光学干渉層を伴って製造された再帰反射素子、又はそのような再帰反射素子を含む物品は、干渉層のうち1つ以上の厚さが増加するにつれて、再帰反射係数(Ra)における強度振幅(例えば上下)を呈する。いくつかの実施形態では、再帰反射光に色が発生することなく、白色光照射に対して高い再帰反射係数が達成される。他の実施形態では、白色光照射に対して、カラーの再帰反射光の発生を伴った高い再帰反射係数が生成される。いくつかの実施形態において、物品は、拡散光下で目立つ外観及び/又は色を有する、並びに、再帰反射観測モードで見たときに白色光照射下で高い再帰反射係数を伴う再帰反射色、又は再帰反射色の欠如を有する、さまざまな表示又はデザインの任意のものを提供する再帰反射素子の領域を含むことができる。
【0032】
非レーザー光(例えば白熱電球、ガス放電灯、又は発光ダイオードによって発生した光)のコヒーレンス長は、強い干渉効果が観察されるnの値(及びこれによる合計コーティング厚さ)を制限する。非レーザー光について、干渉効果はn=10以上に対応する厚さで消失する傾向があり、その約半分の厚さで大幅に減少する。屈折率が約1.55の、接着剤に部分的に埋め込まれた再帰反射素子について、空気曝露側を照射し、屈折率が約2.4の単一の完全同心光学干渉コーティングを含む場合は、ゼロナノメートルから最高約600ナノメートルまでの範囲の干渉コーティング厚さによって、フォトピカルに(photopically)重み付けられた5つのピークが確立される。これらの物理的厚さの値は、約1500nmまでの光学的厚さに対応する。約1.4の屈折率を有する単一の完全同心光学干渉コーティングを備えた再帰反射素子を含む物品については、フォトピカルに重み付けられた再帰反射輝度における5つのピークが、ゼロナノメートルから約1200ナノメートルまでの範囲の干渉コーティング厚さによって確立され、これは1700nm未満の光学的厚さに対応する。いくつかの実施形態において、ある可視光干渉層は、約1500nm未満の光学的厚さのコーティングを含む。
【0033】
再帰反射素子は、本明細書に記載される再帰反射性舗装マーキングなど、任意の物品の構成体に含めることができる。そのような物品の構成体内で、1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子は、例えば、高屈折率を有する無コーティングの再帰反射性ガラスビーズを含む、他の反射性及び/又は再帰反射性材料と組み合わせることができる。本発明による再帰反射性物品は、所望により、1つ以上の補助反射体を含むことができ、このとき再帰反射素子及び補助反射体は全体として、入射光の一部分を光源の方向に戻す作用をする。いくつかの実施形態において、好適な補助反射体は、再帰反射素子が部分的に埋め込まれる、拡散光散乱性顔料入り結合剤である。顔料入り結合剤は、拡散−散乱性材料(例えば拡散反射が75%を超える)を生成するよう顔料タイプ及び添加量を選択した場合に、補助反射体となり、これは、ビーズ結合剤を着色するためだけに顔料及び添加量を選択するのとは対照的である。拡散散乱性をもたらす顔料の例には、二酸化チタン粒子及び炭酸カルシウム粒子が挙げられる。
【0034】
他の実施形態において、好適な補助反射体は、再帰反射素子が部分的に埋め込まれる鏡面反射顔料入り結合剤を含む。鏡面反射顔料の例には、雲母フレーク、雲母チタンフレーク、パールエッセンス顔料、及び真珠光沢顔料が挙げられる。
【0035】
更に他の実施形態において、好適な補助反射体は、再帰反射性物品の再帰反射素子の背面側に選択的に配置された金属薄膜である。
【0036】
更に別の実施形態において、好適な補助反射体は、再帰反射性物品の再帰反射素子の背面側に選択的に配置された薄膜絶縁体積層物である。
【0037】
再帰反射素子の屈折率が1.5〜2.1の間であり、再帰反射素子の前面が空気に曝露しているような再帰反射性物品(例えば舗装マーキング)の場合、補助反射体は、再帰反射素子の裏面に隣接して配置することができる。再帰反射素子の前面が透明材料で封入され、この透明材料が再帰反射素子の前面に接しているような再帰反射性物品、又は使用時に前面が水で覆われているような再帰反射性物品の場合には、補助反射体は、再帰反射素子の裏面の背面側に間隔をおいて配置され得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明は、補助反射体の必要性が任意であるような再帰反射性物品を提供する。したがって、1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子の使用は、再帰反射輝度の強化をもたらすことができ、補助反射体又は代替の主反射体を必要とする類似物品を製造するためのコストに比較して、製造コストを削減することができる。更に、代替又は補助反射体の排除により、1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子で製造された再帰反射性物品の、環境照明での外観及び耐久性を向上させることができる。
【0039】
補助反射体のない再帰反射性物品は典型的に、透明な(着色又は非着色)、非光散乱性、非反射性の結合剤(例えば透明無色のポリマー結合剤)に部分的に埋め込まれた複数の再帰反射素子を含み、ここにおいて再帰反射素子に対する入射光の焦点位置は、結合剤の中、又は再帰反射素子と結合剤との間の界面にある。いくつかの構成体において、再帰反射素子には、約1.9の屈折率を有する微小球形状の球体コアが含まれる。この再帰反射素子は、透明無色の結合剤に部分的に埋め込まれ、その前面は空気に曝露しており、再帰反射素子の裏側と結合剤との間の界面近くに焦点位置を提供する。1つ以上の完全同心光学干渉層が、再帰反射係数(Ra)を高めることができることがわかっている。
【0040】
屈折率が約1.9であるが、同心光学干渉層がなく、透明なアクリレート接着剤に埋め込まれた固体微小球を含む物品は、典型的に、入射角−4度及び観測角0.2度で、約8Cd/lux/mのRaを呈する。低屈折率(例えば1.4)又は高屈折率(例えば2.2)の単一の完全同心光学干渉層をこの微小球に適用すると、Raはそれぞれ、最高18Cd/lux/m及び最高30Cd/lux/mにまで上昇する。この微小球コア上に2つの完全同心光学干渉層を使用すると、上述のように物品内に配置した場合、Raは約50Cd/lux/mを超え、最高約59Cd/lux/mにまで上昇する。物品が、3つの完全同心光学干渉層を有する微小球を含んで製造されている場合は、Raは100Cd/lux/mを超え、最高113Cd/lux/mにまで上昇する。よって、本発明の再帰反射素子及びこのような再帰反射素子で製造された物品は、補助反射体なしで、有用な再帰反射レベルを呈する。
【0041】
図を参照すると、図1は本発明で有用な再帰反射素子100の第一の実施形態を断面図で示す。再帰反射素子100には、透明で実質的に球形の固体コア110が含まれ、これは第一の界面を提供する外側表面115を有する。第一の同心光学干渉層120は、コア110の表面115に重なる内側表面を含む。同心光学干渉層120は、球形コア110の表面115全体を覆う、実質的に均一かつ完全な層を形成し、層120の外側表面125は第二の界面を提供する。層120の小さな欠陥(例えばピンホール及び/又は小さな厚さの変動)は、そのような欠陥が十分な大きさでなく、又はその素子を再帰反射性でなくしてしまう量でない限り、許容され得る。
【0042】
光は、異なる屈折率を有する(例えば屈折率の差が少なくとも0.1である)材料の間の界面で反射する。コア110と、実質的に透明な第一の光学干渉層120との屈折率の差が、第一の界面115で第一の反射を起こす。第一の光学干渉層120と、第一の光学干渉層120に接触している任意の背景媒体(例えば真空、気体、液体、固体)の屈折率の差は、第二の界面125で第二の反射を起こす。第一の光学干渉層120の厚さ及び屈折率の選択により、これら2つの反射を互いに光学的に干渉させることができ、これにより、そのような干渉がないときに観察されるであろう色とは異なる再帰反射色(例えば隠し(covert)色)を提供することができる。第一の光学干渉層120の厚さ及び屈折率の調整により、2つの反射の相殺的干渉を避けることができ、これにより再帰反射光が異なる色にならないよう建設的干渉をもたらすことができる。更に、この光学干渉層の厚さ及びその屈折率を調整することにより、第一の光学干渉層120の外側表面125からの反射と、固体コア110の表面115からの反射との、建設的干渉をもたらすことができ、これにより再帰反射素子を備えた物品の反射強度をより明るくし、視認性を高めることができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、再帰反射色は、素子100のような複数の再帰反射素子を含む物品の設計及び/又は全体的な視認性を強化する色における再帰反射光を提供するのに好ましい場合がある。
【0044】
図1において線130で表わされる入射光ビームは、再帰反射素子100に導かれている。光は大半が第一の光学干渉層120を透過し、コア110に入る。入射光130の一部分が、第二の界面125又は第一の界面115で反射し得る。再帰反射は、コア110に入射した光130の一部から生じ得、コア110の背面上への屈折によって少なくとも部分的に集中する。屈折光135がコア110の背面で第一の界面115にぶつかり、屈折光135の一部が反射光140として反射され、これは最終的に再帰反射素子100から再帰反射光150として出て、入射光130に対して実質的に逆平行である方向で観測可能となる。同様に、焦中した光の別の部分が第一の光学干渉層120を通り抜け、反射光142として第二の界面125で反射される。再帰反射素子100の外側表面125は、再帰反射素子100が配置されている媒体(例えば気体、液体、固体、又は真空)に直接さらされている第二の界面を形成する。反射光142は再帰反射光152として素子から出て、入射光130に対して実質的に逆平行である方向で観測可能となる。反射されなかった残りの光は、再帰反射素子100を完全に通過する。反射光140と反射光142との間の相殺的干渉、及び次いで再帰反射光150と再帰反射光152との間の相殺的干渉によって、再帰反射モードで見たときの再帰反射素子の観測色における変化が生じることがある。例えば、相殺的干渉、又は白色入射光のスペクトルの中央からの波長の差し引きにより、再帰反射光に赤紫の色相が生じる(すなわちレトロクロミズム)。これよりわずかに厚い光学干渉層は、より長い波長を差し引き、例えば緑又は青緑色相がもたらされる。いくつかの実施形態において、光学干渉層の厚さは、より長い波長を差し引き、基材の色を強化するか又は望ましい色(例えば黄色)を発する再帰反射光をもたらすよう、最適化される。
【0045】
材料間の界面での光反射は、その2つの材料の屈折率の差に依存する。コア及び光学干渉層の材料は、本明細書に記載されるように、さまざまな任意の材料から選択され得る。選択された材料は、コア110と第一の光学干渉層120との間、並びに第一の光学干渉層120とこのレトロクロミック素子が使用される媒体との間に、十分な屈折率の差が維持できる限り、高屈折率又は低屈折率の材料のいずれかを含んでよい。これらの差はそれぞれ、少なくとも約0.1であるべきである。いくつかの実施形態において、この差は少なくとも約0.2である。他の実施形態では、この差は少なくとも約0.3であり、更に他の実施形態では、この差は少なくとも約0.5である。第一の光学干渉層120の屈折率は、コア110の屈折率より大きくても小さくてもよい。一般に、屈折率の選択、及びこれに対応して使用される材料の選択は、反射が起こるはずの領域における外側表面125に接する媒体の選択によって影響を受ける。
【0046】
コア110、第一の同心光学干渉層120、及び再帰反射素子100が使用される媒体の屈折率は、再帰反射素子の集光力、並びに界面115及び125からの反射強度を制御するよう選択される。
【0047】
高レベルの再帰反射性を得るために、コア110は、入射媒体(再帰反射素子の前面に隣接する媒体)が空気である場合の使用に好適な屈折率を有するよう選択されることができる。いくつかの実施形態において、入射媒体が空気であるとき、コア110の屈折率は約1.5〜2.1である。いくつかの実施形態において、コア110の屈折率は約1.8〜1.95である。更に別の実施形態において、コア110の屈折率は約1.9〜1.94である。いくつかの実施形態において、再帰反射素子100は、湿潤条件下でレンズが露出した構造において高い再帰反射性を有する物品に使用される。このような実施形態において、コア110は、典型的に約2.0〜約2.6の屈折率を有するよう選択され得る。別の実施形態において、コアの屈折率は2.3〜2.6である。更に別の実施形態において、コアの屈折率は2.4〜2.55である。本発明の物品(例えば舗装マーキング)に使用される再帰反射素子は、湿潤条件に好適なものと共に、乾燥条件に好適なものを含み得る。いくつかの実施形態において、結合剤には、物品の再帰反射性を強化する、例えば拡散散乱性又は鏡面反射性の顔料などの1つ以上の顔料の形態で、補助反射体を含み得る。
【0048】
好適なコア110を選択した後、コアは、第一の完全同心光学干渉層120を形成するための材料でまずコーティングされ得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているように、第一層120が最初にコア110を同心状にコーティングするように形成され、それが次いで異なる屈折率の他の材料で更にコーティングされることによって、第二、第三、又はより多くの完全同心光学干渉層を提供することができ、これについては更に詳しく本明細書で記述される。例えば、別の物品又は舗装に付着させることができるビーズ処理した基材を提供するために再帰反射素子をポリマー結合剤又は接着剤内に部分的に埋め込むことにより、再帰反射素子100は、再帰反射素子を基材又は裏材に付着させることによって、反射性物品内の構成要素として使用することができる。いくつかの実施形態では、補助反射体を、物品の構造内に含めることができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、固体球形コアは、約25マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態において、コアは約500マイクロメートルを超える直径を有し得る。更に別の実施形態において、コア直径は1ミリメートルを超えることがある。
【0050】
界面で反射する光は、位相反転を伴い、又は伴わずに、反射し得る。高屈折率の媒体を通過する光が、より低い屈折率を有する媒体との界面にぶつかると、位相反転なしに反射される。一方、低屈折率の媒体を通過する光が、より高い屈折率を有する媒体との界面にぶつかると、位相反転を伴って反射される。したがって、光学干渉層120の厚さは、コア110の屈折率、第一の同心光学干渉層120の屈折率、及びビーズ100が配置される媒体の屈折率を十分考慮して選択される。
【0051】
別の実施形態では、1つを超える完全同心光学干渉層を含む再帰反射素子が提供される。図2を参照すると、再帰反射素子200の別の実施形態が示されており、これについて以下に述べる。再帰反射素子200には、外側に第一の光学干渉層212を有する、透明で実質的に球形の固体コア210が含まれる。コア210は第一の界面216で第一の光学干渉層212と接触し、第一の界面216はコア210の外側表面に一致する。第二の同心光学干渉層222は、第二界面226で第一の同心光学干渉層212を覆う。層222は、外側表面224を有し、これが再帰反射素子200の最も外側の表面を提供する。第一及び第二の光学干渉層212及び222は、厚さが実質的に均一であり、球形コア210と同心である。
【0052】
異なる材料の屈折率の差が十分である場合(例えば、屈折率の差が少なくとも約0.1である場合)、光は、再帰反射素子200に使用されている材料の間の界面で反射される。コア210及び第一の光学干渉層212の屈折率の十分な差が、第一の界面216で第一の反射を起こす。同様に、第一の光学干渉層212及び第二の光学干渉層222の屈折率の十分な差が、第二界面226で第二の反射を起こす。第二の光学干渉層222、及び層222に接触する任意の背景媒体(例えば真空、気体、液体、固体)の屈折率の十分な差が、再帰反射素子200の第三の界面224で第三の反射を起こす。光学干渉層212及び222の厚さ及び屈折率の選択が、強化された再帰反射光をもたらす。
【0053】
複数の再帰反射素子200が物品内に組み込まれると、その物品は強化された再帰反射輝度を呈する。いくつかの実施形態では、白色光照射下で、再帰反射光は特定の波長について互いに相殺的に干渉し、そのような干渉がない場合に観測される色とは異なる色である再帰反射色をもたらし得る。
【0054】
図2を再び参照すると、入射光ビームは線230で表わされ、これは再帰反射素子200に導かれていることが示されている。光230は大半が第二の光学干渉層222及び第一の光学干渉層212を透過してからコア210に入る。しかしながら、入射光230の一部は第三の界面224、第二の界面226又は第一の界面216で反射され得る。コア210に入る光230の一部は、屈折によって、コア210の反対側に集中する。屈折光235がコア210の背面で第一の界面216にぶつかり、屈折光235の一部が反射光240として再帰反射素子200の前側方向に反射され、これは再帰反射素子から再帰反射光250として、入射光230に対して実質的に逆平行である方向に出る。集中した光の別の部分が光学干渉層212を通り抜け、反射光242として第二の界面226で反射される。反射光242は再帰反射光252として再帰反射素子から出て、入射光230に対して実質的に逆平行である方向に進む。集中した光の更に別の部分が第一及び第二の光学干渉層212及び222を通り抜け、反射光244として第三の界面224で反射され、再帰反射光254として再帰反射素子200から出る。光学干渉層224の外側表面は、再帰反射素子200が配置される媒体(例えば気体、液体、固体、又は真空)との第三の界面を形成する。入射光の一部は反射されず、再帰反射素子200を完全に通過する。
【0055】
反射光240、242、244間、及び再帰反射光250、252、254の間の干渉は、入射光(例えば白色入射光)に比べて、再帰反射光の色における変化を起こすことがある。例えば、白色入射光のスペクトルの中央からの波長の差し引きにより、再帰反射光に赤紫の色相が生じる(すなわちレトロクロミズム)。これよりわずかに厚い光学干渉層は、より長い波長を差し引き、例えば緑又は青緑色相がもたらされる。複数の再帰反射素子200は、物品に組み込まれたときに、望ましい色又はデザインを提供することによって、物品の外観を強化する再帰反射色を提供することができる。再帰反射色の効果は、異なる材料の光学干渉層212及び222を有する再帰反射素子200を製造し、前述の再帰反射光250、252、254が互いに相殺的に干渉するようにこれら材料の厚さ及び屈折率を選択することによって、得ることができる。その結果、再帰反射素子200は、再帰反射モードで観測したときに、相殺的干渉がない場合に観測されるであろう色とは異なる色の再帰反射光をもたらす。
【0056】
他の実施形態では、光学干渉層212、222の材料、厚さ及び屈折率を適切に選択することにより、再帰反射素子200は、例えばコーティングされていない再帰反射素子からの再帰反射光よりも明るい(例えば、再帰反射係数(Ra)がより高い)再帰反射光250、252、254をもたらすことができる。複数の再帰反射素子200は、物品に組み込まれたときに、その物品の視認性を強化する再帰反射特性をもたらす。反射光240、242、244間及び再帰反射光250、252、254間の建設的干渉は、再帰反射光の輝度又は強度に予想外の増加をもたらす。いくつかの実施形態において、2つの光学干渉層がシリカ/チタニアの交互の層であり、コアが約30μm〜約90μmの直径、及び屈折率約1.93を有するガラスビーズを含む場合、2つの光学干渉層のコーティング厚さを最適化することにより、最大の再帰反射性をもたらすことができる。そのような実施形態において、再帰反射素子をアクリレート接着剤中に単層として部分的に埋め込んだ場合、厚さ約95nm〜120nm(典型的には約110nm)を有するシリカの第一の光学干渉層212、及び厚さ約45nm〜80nm(典型的には約60nm)を有するチタニアの第二の光学干渉層222は、有意に強化された再帰反射係数(Ra)をもたらしている。
【0057】
材料間の界面での反射は、その2つの材料の屈折率の差に依存する。コア及び光学干渉層の材料は、本明細書に記載されるように、さまざまな任意の材料から選択され得る。選択された材料は、隣接する材料の間で(例えばコア/層212、層212/層222)十分な屈折率差が維持できる限り、及びコアが望ましい屈折率を提供する限り、高屈折率材料又は低屈折率材料のいずれを含んでもよい。コア210及び第一の光学干渉層212の屈折率差、並びに第一の光学干渉層212及び第二の光学干渉層222の屈折率差、並びに第二の光学干渉層222及び再帰反射素子200の背面側が配置される媒体の屈折率差は、それぞれ少なくとも約0.1であるべきである。いくつかの実施形態において、隣接する層の間の差はそれぞれ、少なくとも約0.2である。他の実施形態では、この差は少なくとも約0.3であり、更に他の実施形態では、この差は少なくとも約0.5である。光学干渉層212の屈折率は、コア210の屈折率より大きくても小さくてもよい。いくつかの実施形態において、屈折率の選択、及び対応して使用される材料の選択は、再帰反射素子200の外側表面に接触して、反射が起こる場所である第三の界面224を形成する媒体の選択によって決定される。
【0058】
上述のように、完全に同心的にコーティングされた再帰反射素子で、前側表面が空気に囲まれており、後側表面が屈折率約1.55(例えばポリマー結合剤)を有する媒体に囲まれて例えば埋め込まれて)おり、白色光で照射される場合、フォトピカルに重み付けられた反射光の正味強度は、再帰反射素子に出入りする際の再帰反射光の完全逆平行の光線について、透過及び反射の事象の配列によって決定される限りにおいて、所与の望ましいコーティング材料及び屈折率値の組み合わせに関して、コーティングの厚さ(単数又は複数)によって劇的に変化し得る。2つのコーティング層(例えば、屈折率1.93のビーズコア上の、アモルファスシリカ、次いでアモルファスチタニア)によって確立されている3つの界面によって生成され、フォトピカルに重み付けられた反射光の正味強度は、少なくとも4倍変化し得る。コーティング及び厚さのいくつかの選択について、フォトピカルに重み付けられた反射光の正味強度は、コーティングされていないビーズ形状における再帰反射素子に比べ、顕著に低減し得る。
【0059】
所与の材料の薄い単一干渉層が選択され、2つの反射界面それぞれに特定の屈折率差がもたらされる場合(例えば、屈折率1.93のビーズコア上のシリカ)、フォトピカルに重み付けられた反射光の正味強度は、コーティングの厚さに応じて、少なくとも約6倍変化し得る。2つのコーティング層(例えば、屈折率1.93のビーズコア上のアモルファスシリカ及びチタニア)によって確立される3つの界面によって生じる、フォトピカルに重み付けられた反射光の正味強度は、2つの同心コーティングの正確な厚さに応じて、少なくとも12倍変化し得る。
【0060】
他の実施形態では、2つを超える光学干渉層を含む再帰反射素子が提供され得る。図3を参照すると、再帰反射素子300の形態で、再帰反射素子の別の実施形態が示されており、これについて以下に述べる。再帰反射素子300には、外側に第一の光学干渉層312を有する、透明で実質的に球形の固体コア310が含まれる。コア310は第一界面316で第一の光学干渉層312に接する。第二の同心光学干渉層322は、第一の同心光学干渉層312を覆う。層322は、第一層312の外面又は最も外側の表面326に接触する内側表面を有して、第二の界面を形成する。再帰反射素子300は、第三の光学干渉層327を含み、これは第二の光学干渉層322の最も外側の表面324に接触して、第三の界面をもたらす。第三の光学干渉層327は外側表面328を含み、これは再帰反射素子300の最も外側の表面を形成し、第四の界面をもたらす。第一、第二及び第三の光学干渉層312、322及び327は、厚さが実質的に均一であり、球形コア310と同心である。
【0061】
異なる材料の屈折率の差が十分である場合(例えば、屈折率の差が少なくとも約0.1である場合)、光は、再帰反射素子300に使用されている材料の間の界面で反射される。コア310及び第一の光学干渉層312の屈折率の十分な差が、第一の界面316で第一の反射を起こす。同様に、第一の光学干渉層312及び第二の光学干渉層322の屈折率の十分な差が、第二の界面326で第二の反射を起こす。第二の光学干渉層322及び第三の光学干渉層327の屈折率の十分な差が、第三の界面324で第三の反射を起こす。第三の光学干渉層327、及び第三の光学干渉層327に接触する任意の背景媒体(例えば真空、気体、液体、固体)の屈折率の十分な差が、再帰反射素子300の第四の界面328で第四の反射を起こす。光学干渉層312、322及び327の厚さ及び屈折率の選択により、4つの反射が、この再帰反射素子300を一部として含む物品の視認性を強化する再帰反射光をもたらす。いくつかの実施形態では、白色光照射下で、4つの反射は、特定の波長について互いに相殺的に干渉し、再帰反射色がそのような干渉がない場合に観測されるであろう色とは異なる色であるレトロクロミズムをもたらし得る。
【0062】
図3を再び参照すると、入射光ビーム300が、再帰反射素子300に導かれているのが示されている。光330は、大半が第三の光学干渉層327、第二の光学干渉層322、及び第一の光学干渉層312を透過してから、コア310に入るのが示されている。しかしながら、入射光330の一部は第四の界面328、第三の界面324、第二の界面326又は第一の界面316で反射され得る。コア310に入る光330の一部は、屈折によって、コア310の反対側に集中する。屈折光335がコア310の裏面で第一の界面316にぶつかり、屈折光335の一部が反射光340として再帰反射素子300の前側方向に反射され、これは再帰反射素子から再帰反射光350として、入射光330に対して実質的に逆平行である方向に出る。集中した光の別の部分が光学干渉層312を通り抜け、反射光342として第二の界面326で反射される。反射光342は再帰反射光352として再帰反射素子から出て、入射光330に対して実質的に逆平行である方向に進む。集中した光の更に別の部分が第一及び第二の光学干渉層312及び322を通り抜け、反射光344として第三の界面324で反射され、再帰反射光354として再帰反射素子300から出る。集中した光の更に別の部分が第一、第二及び第三の光学干渉層312、322及び327を通り抜け、反射光346として第四の界面328で反射され、再帰反射光356として再帰反射素子300から出る。光学干渉層327の外側表面は、再帰反射素子300が配置される媒体(例えば気体、液体、固体、又は真空)との第四の界面328を形成する。入射光の一部は反射されず、再帰反射素子300を完全に通過する。
【0063】
反射光340、342、344、346間、及び再帰反射光350、352、354、356の間の干渉は、入射光(例えば入射白色光)に比べて、再帰反射光の色における変化を起こすことがある。例えば、白色入射光のスペクトルの中央からの波長の差し引きにより、再帰反射光に赤紫の色相が生じる(すなわちレトロクロミズム)。これよりわずかに厚い光学干渉層は、より長い波長を差し引き、例えば緑又は青緑色相がもたらされる。複数の再帰反射素子300は、物品に組み込まれたときに、隠し色、デザイン、メッセージなどを提供することによって、物品の外観を強化するレトロクロミック特性を提供することができる。レトロクロミック効果は、異なる材料の光学干渉層312、322及び327を有する再帰反射素子300を製造し、前述の再帰反射光350、352、354、356が互いに相殺的に干渉するようにこれら材料の厚さ及び屈折率を選択することによって、得ることができる。その結果、再帰反射素子300は、再帰反射モードで観測したときに、相殺的干渉がない場合に観測されるであろう色とは異なる色の再帰反射光をもたらす。
【0064】
他の実施形態では、光学干渉層312、322、327の材料、厚さ及び屈折率を適切に選択することにより、再帰反射素子300は、例えばコーティングされていない再帰反射素子からの再帰反射光よりも明るい(例えば、再帰反射係数(Ra)がより高い)再帰反射光350、352、354、356をもたらすことができる。複数の再帰反射素子300は、物品に組み込まれたときに、その物品の視認性を強化する再帰反射特性をもたらす。反射光340、342、344、346間、及び再帰反射光350、352、354、356間の建設的干渉は、再帰反射光の輝度又は強度に予想外の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、3つの光学干渉層がシリカ/チタニア/シリカの交互の層であり、コアが約30μm〜約90μmの直径、及び屈折率約1.93を有する固体ガラスビーズを含む場合、3つの光学干渉層のコーティング厚さを最適化することにより、最大の再帰反射性をもたらすことができる。そのような実施形態において、再帰反射素子をアクリレート接着剤中に単層として部分的に埋め込んだ場合、厚さ約95nm〜120nm(典型的には約110nm)を有するシリカの第一の光学干渉層312、厚さ約45nm〜80nm(典型的には約60nm)を有するチタニアの第二の光学干渉層322、及び厚さ約70nm〜115nm(典型的には約100nm)を有するシリカの第三の光学干渉層327が、有意に強化された再帰反射係数(Ra)をもたらしている。
【0065】
材料間の界面での反射は、その2つの材料の屈折率の差に依存する。コア及び光学干渉層の材料は、本明細書に記載されるように、さまざまな任意の材料から選択され得る。選択された材料は、隣接する材料の間で(例えばコア310/層312、層312/層322、層322/層327)十分な屈折率差が維持できる限り、及びコアが望ましい屈折率を提供する限り、高屈折率材料又は低屈折率材料のいずれを含んでもよい。コア310及び第一の光学干渉層312の屈折率差、並びに第一の光学干渉層312及び第二の光学干渉層322の屈折率差、並びに第二の光学干渉層322及び第三の光学干渉層327の屈折率差、並びに第三の光学干渉層327及び再帰反射素子300の背面側が配置される媒体の屈折率差は、少なくとも約0.1であるべきである。いくつかの実施形態において、隣接する層の間の差はそれぞれ、少なくとも約0.2である。他の実施形態では、この差は少なくとも約0.3であり、更に他の実施形態では、この差は少なくとも約0.5である。光学干渉層312の屈折率は、コア310の屈折率より大きくても小さくてもよい。いくつかの実施形態において、屈折率の選択、及び対応して使用される材料の選択は、再帰反射素子300の外側表面が接触して、反射が起こる場所である第三の界面324を形成する媒体の選択によって決定される。
【0066】
上述のように、完全に同心的にコーティングされた再帰反射素子で、前側表面が空気に囲まれており、後側表面が屈折率約1.55(例えばポリマー結合剤)を有する媒体に囲まれて例えば埋め込まれて)おり、白色光で照射される場合、フォトピカルに重み付けられた反射光の正味強度は、再帰反射素子に出入りする際の再帰反射光の完全逆平行の光線について、透過及び反射の事象の配列によって決定される限りにおいて、所与の望ましいコーティング材料及び屈折率値の組み合わせに関して、コーティングの厚さ(単数又は複数)によって劇的に変化し得る。3つのコーティング層(例えば、屈折率1.93のビーズコア上の、アモルファスシリカ、次いでアモルファスチタニア、次いでアモルファスシリカ)によって確立されている4つの界面によって生成され、フォトピカルに重み付けられた反射光の正味強度は、少なくとも4倍変化し得る。コーティング及び厚さのいくつかの選択について、フォトピカルに重み付けられた反射光の正味強度は、コーティングされていないビーズ形状における再帰反射素子に比べ、顕著に低減し得る。
【0067】
上述の光学干渉層のコーティングとして使用するのに好適な材料には、透明なコーティングを提供する無機材料が挙げられる。このようなコーティングは、明るく、再帰反射性の高い物品をもたらす傾向がある。上述の無機材料に含まれるのは、TiO(屈折率2.2〜2.7)及びSiO(屈折率1.4〜1.5)などの無機酸化物、並びにZnS(屈折率2.2)などの無機硫化物が挙げられる。上述の材料は、任意のさまざまな技法を使用して適用することができる。比較的高屈折率を有する他の好適な材料には、CdS、CeO、ZrO、Bi、ZnSe、WO、PbO、ZnO、Ta、及び当業者に既知の他のものが挙げられる。本発明の使用に好適な他の低屈折率材料には、Al、B、AlF、MgO、CaF、CeF、LiF、MgF及びNaAlFが挙げられる。
【0068】
本発明のコーティングされた再帰反射素子が、非水溶性が必要ではない環境で使用される場合は、例えば塩化ナトリウム(NaCl)などの他の材料も使用することができる。更に、ビーズコアを同心的に複数の層(層のうち少なくとも1つが有機コーティング)でコーティングすることも、本発明の範囲内である。いくつかの実施形態において、1つ以上の有機コーティングの使用は、コーティングされた再帰反射素子の前面から有機コーティング及びその上に支持されるその他のコーティングが優先的に除去される場合、好ましい。前面コーティングの選択的除去は、無傷であり背景ポリマー結合剤に隣接するときは、界面全体として高反射性を備え、しかしながら前面コーティングを除去したときに前面の反射性を下げるような、コーティング設計を提供するのに望ましい場合がある。
【0069】
いくつかの実施形態の使用において、1つ以上の光学干渉層の一部を除去して、下にある光学干渉層又は少なくともコアの一部分を露出させることができる。1つ以上の光学干渉層の一部の除去は、再帰反射素子の最初の製造中、製品を現場用に販売する前、又はそれより後の、再帰反射素子を含む製品が既に販売され最終用途に適用された後(例えば磨耗による除去)に起こり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、再帰反射素子300は、乾燥条件下でレンズが露出した構造において高い再帰反射性を有する物品に使用される。このような実施形態において、再帰反射素子300の固体球形コア310は、典型的に約1.5〜約2.1の屈折率を有する。典型的には、入射媒体が空気であるとき、コア310の屈折率は約1.5〜2.1である。他の実施形態において、コア310の屈折率は約1.7〜約2.0である。他の実施形態において、コア310の屈折率は1.8〜1.95である。他の実施形態において、コア310の屈折率は1.9〜1.94である。
【0071】
望ましいレベルの再帰反射性を得るために、固体球形コア310は、比較的高い屈折率を有するよう選択され得る。いくつかの実施形態において、コアの屈折率は約1.5を超える。他の実施形態において、コアの屈折率は約1.55〜約2.0である。いくつかの実施形態において、コア310は、最初に低屈折率材料(例えば1.4〜1.7)でコーティングして第一の光学干渉層312を形成し、次に高屈折率材料(例えば2.0〜2.6)でコーティングして第二の光学干渉層322を形成することができる。これ以降、第三の光学干渉層327は、低屈折率材料(例えば1.4〜1.7)を用いて第二の光学干渉層上にコーティングすることができる。再帰反射素子300は、基材又は裏材に再帰反射素子を付着させることによって、反射性物品中の構成要素として使用することができる。そのような構成体においては、第三の光学干渉層327は、例えばポリマー接着剤又は結合剤によって基材に付着される。上記の物品のいくつかの実施形態では、例えば拡散散乱性又は鏡面反射性顔料を含む顔料入り結合剤の使用によって、補助反射体を供給することができ、これにより物品の反射特性及び再帰反射性を強化することができる。
【0072】
他の実施形態において、固体球形コア310は、比較的高い屈折率を有するよう選択される(例えば約1.5を超える)。そのような実施形態において、固体コア310は最初に高屈折率材料(例えば2.0〜2.6)でコーティングして第一の光学干渉層312を形成し、次に低屈折率材料(例えば1.4〜1.7)でコーティングして第二の光学干渉層322を提供することができる。これ以降、第三の光学干渉層327は、高屈折率材料(例えば2.0〜2.6)を用いて第二の光学干渉層上にコーティングすることができる。結果として得られる再帰反射素子300は、基材又は裏材に付着された再帰反射素子300を有する反射性物品の構成要素として使用することができる。そのような構成体においては、再帰反射素子は、例えばポリマー結合剤に埋め込まれた第三の光学干渉層327で、基材に付着される。いくつかの実施形態では、この結合剤自体が、物品の再帰反射性を強化する拡散散乱性又は鏡面反射性顔料を伴い得る。
【0073】
再帰反射素子の製造
再帰反射素子は、透明ビーズの流動床及び蒸着技法を使用して、便利かつ経済的に調製することができる。一般に、本明細書において使用されるとき、複数のビーズの流動(すなわち攪拌)床に蒸気相材料を沈着させるプロセスは、総じて「蒸着プロセス」と呼ばれることができ、ここにおいて同心層は、それぞれの透明ビーズの表面上に蒸気形態から蒸着する。いくつかの実施形態では、蒸気相前駆体材料が、透明ビーズの近くで混合され、その場で化学的に反応して、透明ビーズのそれぞれの表面に材料の層が蒸着される。他の実施形態では、材料は蒸気の形態でもたらされ、本質的に化学反応なしに、透明ビーズのそれぞれの表面上に層として蒸着する。
【0074】
使用される蒸着プロセスに応じて、典型的に蒸気相である前駆体材料(反応性蒸着プロセスの場合)又は層材料(非反応性蒸着プロセスの場合)は、透明ビーズと共に反応槽内に入れられる。本発明は、同心光学干渉層(例えば金属酸化物の層)をそれぞれのコアの表面に蒸着させるために、蒸気相加水分解反応を利用するのが望ましい。そのようなプロセスは時に、化学蒸着(「CVD」)反応と呼ばれる。
【0075】
望ましくは、低温、大気圧化学蒸着(「APCVD」)プロセスが用いられる。そのようなプロセスでは、真空システムを必要とせず、高いコーティング率が得られる。加水分解性APCVD(すなわち、反応性前駆体と水を反応させるAPCVD)は、低温(例えば典型的には300℃よりずっと低い温度)で極めて均一の層を得ることができるため、最も望ましい。
【0076】
以下の式は、具体的な蒸気相加水分解反応である。
【0077】
TiCl+2HO→TiO+4HCl
この具体的な反応において、水蒸気と四塩化チタンを合わせて、金属酸化物前駆体材料と見なされる。
【0078】
有用な流動床蒸着技法は、例えば米国特許第5,673,148号(Morrisら)に記述されており、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
十分な流動の流動床により、任意の粒子、及び粒子集合全体の両方について、均一な層が確実に形成され得る。透明ビーズの本質的に全ての表面を覆う、実質的に連続する層を形成するために、透明ビーズは流動床反応槽中に懸濁される。流動化は典型的に、透明ビーズの凝集を効果的に防ぎ、透明ビーズと反応前駆体材料との均一な混合を達成し、より均一な反応条件を提供することにより、極めて均一な同心光学干渉層をもたらす傾向がある。透明ビーズを攪拌することにより、各アセンブリの本質的に全ての表面が蒸着中に露出し、アセンブリと反応前駆体又は層材料とが相互によく混ざり合い、これにより各ビーズの実質的に均一かつ完全なコーティングが達成される。
【0080】
凝集しやすい透明ビーズを使用する場合は、例えば少量のヒュームドシリカ、沈殿シリカ、商品名VOLAN(オハイオ州クリーブランドのZaclon,Inc.から入手可能)を有するメタクリル酸塩化クロムなどの、流動化助剤と共に透明ビーズをコーティングするのが望ましい。このような助剤及びその有効量の選択は、当業者によって容易に決定され得る。
【0081】
前駆体材料を蒸気相にし、それを反応槽に加えるための技法の1つは、気体(好ましくは非反応性気体で、本明細書ではキャリアガスと称する)のストリームを前駆体材料の溶液又は未希釈液を介して泡にして、反応槽に入れる方法である。代表的なキャリアガスには、アルゴン、窒素、酸素、及び/又は乾燥空気が挙げられる。
【0082】
特定の用途におけるキャリアガスの最適な流速は、典型的に、少なくとも部分的に、反応槽内の温度、前駆体ストリームの温度、反応槽内のアセンブリ攪拌の程度、及び使用される具体的な前駆体に依存するが、有用な流速は、日常の最適化技法によって容易に決定できる。好ましくは、前駆体材料を反応槽に搬送するのに用いられるキャリアガスの流速は、透明ビーズの攪拌と、最適な量の前駆体材料の反応槽への搬送との両方に十分な流速となる。
【0083】
図4を参照すると、再帰反射素子を製造するための代表的なプロセスが概略的に示されている。キャリアガスはライン402aを通って供給され、ガスが水バブラー404を経て気泡になり、水蒸気を含む前駆体ストリームを生成し、これがストリームライン408を通って導かれる。キャリアガスの第二のストリームはライン402bを通って供給され、四塩化チタンバブラー406を経て気泡になり、四塩化チタンを含む前駆体ストリームを生成し、ライン430を通って導かれる。ライン408及び430内の前駆体ストリームは、反応槽420に搬送される。コアは、流入口410から反応槽420に入れられ、反応槽420から再帰反射素子400を取り出すために流出口400が設けられている。
【0084】
前駆体流速は、コーティングされていないビーズへの適切な蒸着速度がもたらされ、望ましい品質及び性質の金属酸化物層が得られるよう、調節される。望ましくは、流速は、前駆体材料が反応槽チャンバ内に存在する比率が、透明ビーズの表面での金属酸化物蒸着を促進し、チャンバ内の他の箇所において、分離した(すなわち浮動性の)金属酸化物粒子の形成を最小限に抑えるよう、調節される。例えば、四塩化チタン及び水からチタニアの層を蒸着する場合、四塩化チタン1分子当たり水約8分子から、四塩化チタン2分子当たり水1分子までの間の比率が一般に好適であり、四塩化チタン1分子当たり水約2分子が好ましい。これらの条件下で、四塩化チタンの大半と反応するのに十分な水が存在し、水の大半が再帰反射素子の表面に吸着される。比率を高くすると、かなりの量の未吸着の水が生じ、これは望ましい酸化物層ではなく、酸化物粒子の形成を引き起こし得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、加水分解反応及び層蒸着プロセスの両方を便利な速度で進めるために、十分な量の前駆体材料が反応槽に搬送されるよう、前駆体材料は十分に高い蒸気圧を有する。例えば、比較的高い蒸気圧を有する前駆体材料は通常、比較的低い蒸気圧を有する前駆体材料よりも速い蒸着速度をもたらすため、短い蒸着時間の利用が可能となる。前駆体源を冷却することによって材料の蒸気圧を減少させることができ、又は加熱することによって蒸気圧を増加させることができる。後者では、前駆体源と反応槽との間で凝結が起こるのを防ぐため、前駆体材料を反応槽に搬送するのに使用するチューブ又は他の手段を加熱することが必要になる場合がある。多くの場合、前駆体材料は、室温で未希釈液の形態である。いくつかの場合において、前駆体材料は昇華可能な固体として入手可能であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、ガラスビーズのコーティングには、約300℃未満の温度、典型的には約200℃未満の温度で、加水分解反応を介して密な金属酸化物コーティングを形成できる前駆体材料が利用される。いくつかの実施形態では、四塩化チタン及び/又は四塩化ケイ素並びに水が、前駆体材料として使用される。水及び揮発性金属塩化物に加え、本発明のいくつかの実施形態では、他の前駆体材料、例えば、金属アルコキシド(例えばチタンイソプロポキシド、シリコンエトキシド、ジルコニウムn−プロポキシド)、金属アルキル(例えばトリメチルアルミニウム、ジエチル亜鉛)のうちの少なくとも1つが利用される。コーティングプロセスにおいて、いくつかの前駆体を同時に利用するのが好ましいことがある。
【0087】
望ましくは、例えばTiClとHOといった相互に反応する前駆体材料は、搬送システム内で早期に反応するのを防ぐために、反応槽に加える前には混合されない。したがって、反応槽チャンバ内への複数のガスストリームが提供され得る。
【0088】
蒸着プロセスは、加水分解性CVD及び/又は他のプロセスを含む。そのようなプロセスにおいては、ビーズは典型的に、望ましい特性を備えた同心光学干渉層をビーズ上に効果的に蒸着及び形成するのを促進するのに好適な温度で維持される。蒸着プロセスが行われる温度を高くすると、通常、得られる同心層が濃密になり、一過性の未反応前駆体の保持量が少なくなる。スパッタ化学蒸着プロセス又はプラズマ化学蒸着プロセスが利用される場合は、しばしば、コーティングされる物品の最小限の加熱が必要となるが、通常は真空システムが必要であり、小さなガラスビーズのような微粒子材料をコーティングする場合には利用が困難となり得る。
【0089】
典型的に、透明ビーズを望ましくなく劣化させることのないよう、十分に低い温度で操作する蒸着プロセスが選択されるべきである。よって、光学干渉層の蒸着は、約300℃未満、より典型的には約200℃未満の温度で加水分解性APCVDプロセスを用いて達成されるのが望ましい。
【0090】
四塩化物から蒸着したチタニア及びチタニア−シリカ層が特に望ましく、例えば約120℃〜約160℃の低い温度で、APCVDによって容易に蒸着される。
【0091】
本発明に使用される同心的にコーティングされた再帰反射素子のためのコアとしては、寸法安定性で実質的に球形の任意の透明ビーズを使用することができる。コアは、可視光の1つ以上の波長に対して、典型的にはすべての波長に対して、実質的に透明であるような、無機材料、ポリマー材料、又はその他であり得る。いくつかの実施形態では、コアは約20〜約500マイクロメートルの直径を有する。他の実施形態では、コアは約50〜約100マイクロメートルの直径を有する。他の直径も使用することができる。
【0092】
本発明の使用に好適なコアは、好ましくはシリカを含む無機ガラス材料を含み、約1.5〜約2.5又はそれ以上の屈折率を有する。いくつかの実施形態では、コアは約1.7〜約1.9の屈折率を有する。コアは、具体的に意図する用途、及び同心光学干渉層の組成物によっては、より低い屈折値を有してもよい。例えば、屈折率が約1.50と低いシリカガラス再帰反射素子は、低価格かつ入手が容易なソーダライムシリカ(すなわち窓用ガラス)であるため、コアとして好ましく使用され得る。所望により、コアは更に着色剤を含んでもよい。
【0093】
コアとして利用可能な代表的な材料には、さまざまな種類の任意のガラス(例えばSiO、B、TiO、ZrO、Al、BaO、SrO、CaO、MgO、KO、NaOなどの金属酸化物の混合物)が挙げられる。他の実施形態では、コアには固体で透明、非ガラス質のセラミック粒子が含まれてよく、これらは例えば米国特許第4,564,556号(Lange)及び同第4,758,469号(Lange)に記述されており、これらの開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書でコアとして使用するのに好適な、市販されているガラス再帰反射素子には、ミズーリ州チェスターフィールドのFlex−O−Lite,Inc.から入手可能なものが挙げられる。
【0094】
代表的な有用な着色剤には、遷移金属、染料、及び/又は顔料が挙げられ、これらは通常、コアの化学組成物との適合性、及び使用されるプロセス条件によって選択される。
【0095】
本発明による実施において採用される同心光学干渉層は、層を支持するコアとは異なる屈折率を有する任意の透明な材料のものであってよい。いくつかの実施形態において、同心光学干渉層は、光学的に透明になるよう十分に平滑であり、同時に、光学干渉層が容易に欠けたり剥がれたりすることのないよう丈夫であるべきである。
【0096】
諸実施形態において、同心光学干渉層は、金属酸化物を含む。同心光学干渉層に有用な代表的な金属酸化物には、チタニア、アルミナ、シリカ、酸化スズ、ジルコニア、酸化アンチモン、及びこれらの混合酸化物が挙げられる。望ましくは、光学干渉層は、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はこれらの組み合わせのうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、容易に蒸着されて丈夫な層を形成することから、チタニア及びチタニア/シリカ層が使用される。
【0097】
さまざまな光学干渉層の厚さ及び再帰反射色を有する再帰反射素子の一部を、反応槽から順次取り出すことができる。反応槽に大量のビーズを入れ、連続的なコーティング操作中に再帰反射素子の一部を順次取り出すことにより、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の再帰反射素子で、それぞれが異なる再帰反射色を有し、総じてレトロクロミックなカラーパレットを含むものが、容易に得られる。
【0098】
1つの実施形態において、層蒸着の進行は、例えばレトロビューワーを使用して(例えば米国特許第3,767,291号(Johnson)及び同第3,832,038号(Johnson)に記述されているものであり、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)、ガラス壁の反応槽を使用してその場で、又は反応槽から取り出して、ビーズを再帰反射モードで観測することによって監視することができる。本質的にレトロクロミックなビーズ及びそれを含む物品を観測するのに有用なレトロビューワーはまた、例えば3M Company(ミネソタ州セントポール)から商品名「3M VIEWER」として市販されており、容易に入手できる。
【0099】
舗装マーキング
上述の再帰反射素子は、特に夜間又はその他視認性に影響を与える条件下において、舗装マーキングの視認性を強化するために、再帰反射性舗装マーキングの構成体に含まれる。そのような物品において、再帰反射素子は露出したレンズ素子であり、典型的に球形であり、かつ部分的に接着材料又は結合剤に埋め込まれている。舗装マーキングにおいて、再帰反射素子はその直径の約10%〜約90%の深さまで結合剤内に埋め込むことができ、これにより素子の一部は「露出」したままであり、各再帰反射素子の直径の約10%〜約90%が結合剤の外側表面の上に突き出ている。保護コーティング(例えば撥水性又は防水性コーティング)を、所望により、この埋め込まれた再帰反射素子の露出表面上に適用することができ、そのようなコーティングは米国特許第7,247,386号に記述されており、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
再帰反射素子を維持するための好適な結合剤には、所望による充填剤粒子を含む又は含まない、高分子マトリックスを含み得る。有用な充填剤粒子には、前述のように、例えば二酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、及び前記の組み合わせなどの無機充填剤粒子などの、反射性材料が挙げられる。他の有用な充填剤粒子には、例えば雲母チタン粒子などの、真珠光沢、パールエッセンス、及び鏡面反射性顔料が挙げられる。充填剤粒子は、例えば、再帰反射素子によって収束される自動車ヘッドライトから結合剤に入る光など、入射光を散乱させるための舗装マーキング用結合剤に望ましいことがある。再帰反射では、散乱光が、再帰反射素子を出る際に、屈折によって部分的に平行にされて、入射光の方向とほぼ又は正確に逆平行の方向に返される。1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子は、再帰反射素子により返される入射光の割合を増加させることが観察されている。
【0101】
本発明による舗装マーキングは、上述の再帰反射素子が埋め込まれているコーティング可能な液体結合剤前駆体から製造することができる。コーティング可能な液体結合剤前駆体は、道路の表面に適用した後に固化又は硬化して、結合剤材料に埋め込まれた1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子を備えた、硬化した材料のコーティングを提供することができる。コーティング可能な液体結合剤前駆体は、米国特許第3,645,933号、又は同第6,132,132号、又は同第6,376,574号に記述されているものに類似の、塗料様組成物であり得る。例えば米国特許第3,036,928号、同第3,523,029号、及び同第3,499,857号に記述されているもののような熱可塑性樹脂、米国特許第3,046,851号、及び同第4,721,743号に記述されているもののようなエポキシを含む二成分反応性結合剤、並びに米国特許第6,166,106号に記載されているもののようなポリ尿素など、他の結合剤材料が本発明による舗装マーキングの構成体における使用に適している場合がある。上述の実施形態において、1つ以上の同心光学干渉層を有する複数の再帰反射素子を結合剤材料に加えてから、道路などの交通表面に適用することができ、あるいは結合剤を道路に適用した後、その固化、乾燥又は硬化の前に、再帰反射素子を結合剤材料に適用してもよい。上述の処方に追加の構成成分を含めることができ、これには上述の充填剤、顔料(例えば鏡面反射性顔料)及び反射性金属フレーク、並びに染料、着色料、繊維状材料、不織布材、織布材などが挙げられる。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明による舗装マーキングは、裏材又は基材の主表面に配置されている再帰反射素子を含む予備成形された物品、シート、又はテープの形態をとることができ、これによりその物品、シート又はテープを道路などの交通表面に接着させることができる。いくつかの実施形態では、接着剤は、再帰反射素子が配置されている側とは反対側の基材主表面に配置される。いくつかの実施形態では、接着剤を最初に交通表面に適用し、物品、シート又はテープをその接着剤の上に適用して、再帰反射性物品を提供することができる。上述のように、再帰反射性物品には、再帰反射素子上にコーティングした保護層が含まれ得る。再帰反射素子が有用である代表的なシート又はテープ構成体は、例えば米国特許第4,248,932号(Tungら)、同第4,988,555号(Hedblom)、同第5,227,221号(Hedblom)、同第5,777,791号(Hedblom)、及び同第6,365,262号(Hedblom)に記述されている。舗装マーキングは、比較的平坦又は特徴のない外形を含んでもよく、又は独自の、特徴的な、機能的外形を提供するための1つ以上の特徴を有する外形を含んでもよい。
【0103】
図5を参照すると、本発明による舗装マーキング500の1つの実施形態が示されており、これについて以下に述べる。舗装マーキング500の断面部分が図示されており、これには、基部504及び複数の突出部506を含む弾力性ポリマーシート502が含まれている。突出部506は、図示のようにシート502と一体型の部分であり得、上面508及び側面510を含んでいる。いくつかの実施形態において、突出部506は約1.0mm〜1.5mmの高さを有することができ、いくつかの実施形態では約1.1mmである。基部504は前面512を有し、ここから突出部506が延在し、底面514はいくつかの実施形態では厚さ約0.64mmであると測定される。側面510は、丸くなった上面部分516で上面508と会合する。側面510は、下部518で前面512と会合する。側面510は、基部504に対して約70°〜72°の角度(側面510の下部518と前面512との交点で測定)を形成し得る。
【0104】
複数の再帰反射素子519が、舗装マーキング500の表面508、510及び512に沿って配置され、再帰反射素子319の少なくとも一部分が、本明細書に記述されるような1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子を含む。再帰反射素子519は、舗装マーキング500の不可欠な部分を形成し、突出部506の前面512、上面508及び側面510に沿って、再帰反射性表面を提供する。裏面514は、道路などの表面に付着させることができる。接着剤を底面514に供給することができ、希望によりスクリム層(織布又は不織布)を含めることができる。
【0105】
再帰反射素子519は、結合剤520で舗装マーキング500の表面に付着されており、これにより各再帰反射素子519の一部は結合剤520に埋め込まれ、同時に各再帰反射素子519の一部は結合剤の最も外側の表面の上に延在する。有用な結合剤は、本明細書の他の部分で述べられているように、熱硬化性結合剤、熱可塑性結合剤、感圧性接着剤など、様々な任意の結合剤から選択できる。いくつかの代表的な結合剤には、脂肪族又は芳香族ポリウレタン、ポリエステル、酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニル、アクリレートポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な結合剤の選択は、当業者の技術範囲内である。いくつかの実施形態において、再帰反射素子519は、突出部506の表面に直接埋め込むことができ、結合剤520の層がなくてもよい。滑り抵抗を高めるため、マーカー500の表面に滑り止め粒子を配置することもできる。
【0106】
1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子を含む、舗装マーキング500のような舗装マーキングは、他の再帰反射素子を含む同様の物品よりも大きな再帰反射性を呈する。例えば、黄色の舗装マーキングストライプの場合、1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子は、再帰反射光の黄色を強化し、同心光学干渉層を含まないビーズ又はコアを備える舗装マーキングに比べて再帰反射性が増大されるように、設計することができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、図5の舗装マーキング500の再帰反射素子519はすべて、本明細書に記述されるように、1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子を含む。他の実施形態では、再帰反射素子519の一部のみが、1つ以上の完全同心光学干渉層を有する。いくつかの実施形態では、再帰反射素子519の一部が、1つ以上の完全同心光学干渉層を有する再帰反射素子を含み、再帰反射素子519の別の部分が、光学干渉層を有さない球状コアを含んでもよい。更に他の実施形態では、再帰反射素子519の一部がそれぞれ、1つの完全同心光学干渉層を有し、同時に他の部分が、2つの完全同心光学干渉層及び/又は3つの光学干渉層を含む。他の実施形態では、2つの完全同心光学干渉層だけを有する再帰反射素子519を含み得る。舗装マーキング500の更に他の実施形態では、3つの完全同心光学干渉層だけを有する再帰反射素子を含み得る。当業者には理解されるように、本発明の舗装マーキングは、素子の少なくとも一部が1つ以上の完全同心光学干渉層を含むような再帰反射素子を含む限り、再帰反射素子の舗装マーキングに限定されない。いくつかの実施形態において、例えば物品500のような、本発明の再帰反射性物品は、乾燥条件下の再帰反射に最適のもの(屈折率が1.5〜2.1)を含む再帰反射素子と、湿潤条件下(例えば物品が雨や雪にさらされているとき)で再帰反射を呈するもの(屈折率が2.0〜2.6)を含む再帰反射素子との組み合わせを含み得る。
【0108】
図6を参照すると、舗装マーキング500の平面図が示されており、これには、基部504に配置された複数の突出部506があり、この突出部は、舗装マーキング500の縁部524に対して約45°の角度で縦横に配置されている。物品500には、参照番号525Aで示した「ウェブ上流(upweb)」方向と、参照番号525Bで示した「ウェブ下流(downweb)」方向とが示されている。「ウェブ上流」は、ビーズ結合がまだ適用されていないウェブ部分の全般的な方向を指し、「ウェブ下流」はビーズ結合が既に適用されているウェブ部分の方向を指す。突出部506は概して正方形の外形であり、この突出部506のそれぞれは4つの側面(例えば図5の表面510)を有し、各側面は傾斜した上部分516を有している。各突出部506の2つの上部分516Aは、ウェブ上流方向525Aを向くように配向され、2つの上部分516Bはウェブ下流方向525Bを向くように配向されている。いくつかの実施形態において、部分516の長さは典型的に約2mm〜約10mmであり、いくつかの実施形態では約4mm〜約8mmであり、いくつかの実施形態では約5mm〜約7mmである。
【0109】
前面及び後面における高反射性を提供する、1つ以上の完全同心干渉層を有する再帰反射素子の使用により、向上した輝度保持性能が得られる。そのような再帰反射素子を含有する舗装マーキングが、例えばタイヤ接触により磨耗にさらされる場合、再帰反射素子の露出表面にある1つ以上の同心光学干渉層の損失により、再帰反射輝度が向上し得る。このような再帰反射素子の向上した再帰反射性は、ビーズ喪失、汚れなどによる輝度の損失を、少なくとも部分的に補償することができる。
【0110】
1つ以上の完全同心光学干渉層を含むビーズは、レトロクロミック又は非レトロクロミックであり得、依然として、顕著に強化された再帰反射輝度を有する舗装マーキングを提供することができる。ゆえに、本質的に白色の再帰反射を有する明るいマーキング、又は例えば黄色の再帰反射を有する明るいマーキングは、黄色の再帰反射光を生成するのに従来使用されているような、再帰反射素子のドーピング又は着色なしで、製造することができる。
【0111】
1つ以上の完全同心光学干渉層を含む再帰反射素子は、日光下での外観の向上を伴う、舗装マーキングの製造に使用することができる。例えば、雲母顔料は、白色チタニア顔料の再帰反射輝度よりも大きい再帰反射輝度を生成することができる。しかしながら、雲母顔料を含む舗装マーキングは、より高価であり、日光下で鈍い又は退色した外観を呈し得る。本発明の舗装マーキングは、コーティングされたビーズ及びチタニア顔料を含む実施形態を含み、これにより、雲母顔料を有する類似構成体に少なくとも等しい再帰反射輝度がもたらされ、チタン化物品に特徴的な日光下でのクリーンな白色外観を呈し、雲母顔料の物品よりも優れている。
【0112】
次に挙げる非限定的な実施例は、本発明の具体的な実施形態を説明するものである。
【実施例】
【0113】
以下の標準手順が使用された。
【0114】
手順A:再帰反射素子の調製
米国特許第5,673,148号(Morrisら)(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記述されているものに類似の大気圧化学蒸着プロセス(APCVD)を用いて、金属酸化物(チタニア又はシリカ)コーティングを透明なビーズコア上に蒸着することによって、完全同心光学干渉層を備えた再帰反射素子が形成された。反応槽は、内径30mmであった。透明ビーズコアの初期搭載量は60gの重さであった。シリカコーティングについては、反応温度は40℃に設定され、チタニアコーティングは、反応温度140℃を使用して蒸着された。望ましい反応温度は、一定の温度に維持された加熱油浴中に反応槽を浸すことによって制御した。ガラスフリット反応槽のベースを通って反応槽に導入された窒素ガス流で、ビーズの床を流動化した。十分な流動化が達成されたら、水バブラーを通った窒素キャリアガス流を使用して、ベースガラスフリットを通して、反応槽に水蒸気が導入された。金属酸化物前駆体化合物(SiCl又はTiClのいずれか)が、窒素キャリアガスを未希釈液前駆体を含むバブラーに通して気化され、この気化した化合物を、下に延在して流動化したビーズ床に入り込むガラス管を通して反応槽に導入した。
【0115】
複数のコーティングを有する再帰反射素子については、追加の完全同心光学干渉層それぞれについて手順を繰り返すことによって、追加層が蒸着された。
【0116】
反応物質を搭載したキャリアガスの流速、並びにシリカ及びチタニアコーティングの反応温度が、表1に報告されている。
【0117】
【表1】

【0118】
いくつかの場合において、コーティング時間を変えることによって、異なるコーティング厚さのサンプルが作製された。これは、少量の再帰反射素子を、異なる時点にて反応槽から取り出すことによって達成された。コーティング速度は、既知のコーティング蒸着時間で反応槽からサンプル採取した、特定の同心的にコーティングされたガラス再帰反射素子を破砕し、その破砕断片を走査型電子顕微鏡で調べて、コーティング厚さを直接測定することによって、決定された。その後、同心コーティングの厚さが、既知のコーティング時間及びコーティング速度から計算された。シリカコーティングについては典型的にコーティング速度約2nm/分、チタニアコーティングについては典型的にコーティング速度約5nm/分であった。
【0119】
手順B:パッチ輝度
再帰反射輝度の測定には、再帰反射素子の層の再帰反射係数(Ra)の「パッチ輝度」測定が含まれる。透明パッチ輝度並びに白色パッチ輝度の測定が行われた。透明パッチ輝度の結果は、本明細書において「Ra(CP)」、白色パッチ輝度の結果は「Ra(WP)」と記される。いずれの場合でも、再帰反射素子を接着テープ上に撒くことによって再帰反射素子の層が作製され、その構成体をレトロルミノメーター(retroluminometer)下に置いた。透明パッチ輝度については、サンプル構成体は、透明テープ(3M Scotch 375 Clear Tape)の接着剤に再帰反射素子を部分的に埋め込み、このテープを暗色(黒色)背景を有する紙の上に置くことによって調製された。白色パッチ輝度については、サンプル構成体は、白色をもたらす二酸化チタンで接着剤を着色したテープの接着剤に再帰反射素子を部分的に埋め込むことによって調製された。再帰反射素子は、典型的に、再帰反射素子直径の<50%が接着剤中に沈むように埋め込まれた。各パッチ輝度構成体について、ASTM Standard E 809−94aの手順Bで定められている手順に従って、入射角−4.0°、観測角0.2度で、Cd/m/lux単位のRaが測定された。これらの測定に使用した光度計は、米国防衛出願第T987,003号に記述されている。
【0120】
手順C:色測定
再帰反射色又はレトロクロミック効果が、光学分光計(MCS UV−NIRスペクトロメーター並びに50ワットのハロゲン光源及び二股光ファイバープローブを備えたMultiSpecシリーズシステム、Tec5 AG(ドイツ、オーバーウルゼル)から市販)を使用して色座標を測定することによって定量化された。同心的にコーティングされた再帰反射素子が、市販のテープ(3M Scotch 375 Clear Tape)の接着剤に部分的に埋め込まれた。埋め込まれた再帰反射素子を、約5mmの距離で光ファイバープローブの下に設置し、黒色背景を使用して波長範囲300nm〜1050nmでスペクトル測定を行った。前面鏡面を参照として使用し、すべての測定値を正規化した。MultiSpec(登録商標)Proソフトウェア(カラーモジュール付き)(Tec5 AG(ドイツ、オーバーウルゼル)から市販)を使用して、反射スペクトルから色度座標が計算された。本明細書に記載の通り、特定の比較例及び特定の実施例に従って作製された再帰反射素子について、色座標が測定された。CIE色度ダイアグラム(1931年版)並びに標準黒体曲線を参照した。黒体曲線は、約4800K〜7500Kの白色を通過する。これら温度にて対応する色座標は(0.353,0.363)及び(0.299,0.317)である。再帰反射素子で測定が行われ、4800K〜7500Kの黒体放射曲線の0.01範囲にある再帰反射において、視認できる色はほとんど又は全くなかった。この(x,y)座標は、元の1931座標に対する10度の視界修正(1964)に対応することに注意されたい。CIEチャート及び黒体放射曲線については、Zukauskas et al.,Introduction to Solid State Lighting,John Wiley and Sons(2002);Chapter 2(Vision,Photometry,and Colorimetry),pp.7〜15に記述されている。
【0121】
比較例1及び実施例2〜44
比較例1及び実施例2〜44の調製において使用されたビーズコアは、本明細書においてタイプIビーズコアと呼ばれ、これは、屈折率約1.93、平均直径約60μmを有する透明ガラスビーズであり、およその組成は42.5重量%のTiO、29.4重量%のBaO、14.9重量%のSiO、8.5重量%のNaO、3.3重量%のB、及び1.4重量%のKOであった。比較例1は、コーティングされていないタイプIビーズコアであった。実施例2〜44は、上述の手順Aに従って、単一の完全同心干渉層を有するように調製された。実施例2〜25については、この単一の完全同心干渉層はシリカであり、実施例26〜44については、チタニアの単一完全同心干渉層を有していた。このビーズコアについて、コーティング時間、計算されたコーティング厚さ、及び透明パッチ構成体の再帰反射輝度(Ra)が表2に報告されている。
【0122】
【表2】

【0123】
手順Cに従って、比較例1並びに実施例6、9、11及び13について、再帰反射色が評価された。表2Aは色座標、観測色、4800K〜7500Kの黒体放射曲線からの距離、及び4800K〜7500Kの黒体放射曲線上で最も近い点の座標を示す。記載「L/N」は、色がほとんど又は全く観察されなかったことを示す。
【0124】
【表3】

【0125】
実施例45〜69
実施例45〜69は、タイプIのビーズコアを使用する。コーティングされた再帰反射素子は、手順Aに従って調製され、これによりコーティングされた再帰反射素子には2つの同心光学干渉層が含まれた。実施例45〜60は、シリカの内側又は第一の光学干渉層、及びチタニアの外側又は第二の光学干渉層でコーティングされたタイプIのビーズコアを用いて作製された。実施例61〜69は、タイプIのビーズコアで作製され、チタニアの内側又は第一の光学干渉層、及びシリカの外側又は第二の光学干渉層でコーティングされた。コーティング材料、厚さ、及び透明パッチ構成体の再帰反射輝度(Ra)が表3に報告されている。
【0126】
【表4】

【0127】
実施例45、47、49、50、52、54及び55について、手順Cに従って再帰反射色が評価された。表3Aは色座標、観測色、4800K〜7500Kの黒体放射曲線からの距離、及び4800K〜7500Kの黒体放射曲線上で最も近い点の座標を示す。記載「L/N」は、色がほとんど又は全く観察されなかったことを示す。
【0128】
【表5】

【0129】
実施例70〜80
実施例70〜80は、タイプIのビーズコア、並びに実施例1〜44の調製に使用したものと同じコーティング材料が使用された。実施例70〜80では、手順Aに従ってコーティングされた再帰反射素子が調製され、3つの完全同心干渉層を有するよう作製された。コーティング材料、厚さ、及び透明パッチ構成体の再帰反射輝度(Ra)が表4に報告されている。
【0130】
【表6】

【0131】
実施例70及び72〜75について、手順Cに従って再帰反射色が評価された。表4Aは色座標、観測色、4800K〜7500Kの黒体放射曲線からの距離、及び4800K〜7500Kの黒体放射曲線上で最も近い点の座標を示す。記載「L/N」は、色がほとんど又は全く観察されなかったことを示す。
【0132】
【表7】

【0133】
比較例81及び実施例82〜104
比較例81及び実施例82〜104は、それぞれ、比較例1並びに実施例2〜15及び45〜53と同様に調製された。これらのコーティングされた再帰反射素子サンプルからの再帰反射色が観測及び記録された。観測された再帰反射色は、再帰反射ビューワー(3M Company(ミネソタ州セントポール)から商品名「3M VIEWER」として入手可能)を用いた観測によって測定された。再帰反射素子の層をポリマー接着剤(3M Scotch 375 Clear Tape)に部分的に埋め込んで、透明パッチ輝度が測定された。表5は、サンプルの構成、観測された再帰反射色、及び透明パッチ輝度をまとめている。
【0134】
【表8】

【0135】
比較例105及び実施例106〜110
前述のコーティングされた再帰反射素子サンプルのうちいくつかについて、白色パッチ輝度測定が実施された。表6は、コーティングされた再帰反射素子の構成、並びにこれらサンプルの白色パッチ輝度をまとめている。
【0136】
【表9】

【0137】
比較例111及び実施例112〜123
米国特許第6,245,700号に記述されている方法に従って、ガラス−セラミックビーズコアが調製された。このタイプIIビーズコアは、ZrO 12.0%、Al 29.5%、SiO 16.2%、TiO 28.0%、MgO 4.8%、CaO 9.5%(重量%)の組成を有し、屈折率は約1.89、平均直径は約60μmであった。ビーズコアは、手順Aに従って単層のSiO又はTiOでコーティングされた。コーティングされた再帰反射素子の構成、並びに透明パッチ輝度及び白色パッチ輝度両方の測定が、表7に報告されている。
【0138】
【表10】

【0139】
実施例124〜137
手順Aに従って、タイプIIのビーズコアが、2つ及び3つの完全同心光学干渉層でコーティングされた。表8は、2つのコーティングされた層を有する再帰反射素子について、コーティング材料、コーティング厚さ、並びに透明パッチ輝度及び白色パッチ輝度の測定値をまとめている。表9は、3つのコーティングされた層を有する再帰反射素子について、コーティング材料、コーティング厚さ、並びに透明パッチ輝度及び白色パッチ輝度の測定値をまとめている。
【0140】
【表11】

【0141】
【表12】

【0142】
実施例138
手順Aを用いて、ZrO 23.8%、Al 30.2%、La 25.0%、TiO 10.4%、CaO 10.6%(重量%)の組成を有する透明ビーズ上に、3つの完全同心光学干渉コーティングを蒸着した。表10は、コーティング材料、コーティング厚さ、並びに再帰反射性の透明パッチ輝度及び白色パッチ輝度の測定値をまとめている。
【0143】
【表13】

【0144】
比較例139及び実施例140〜160
米国特許第6,245,700号に記述されている方法に従って、タイプIIIと呼ばれるビーズコアが調製された。このタイプIIIビーズコアは、TiO 61.3%、ZrO 7.6%、La 29.1%、ZnO 2%(重量%)の組成で、屈折率約2.4、平均直径約60μmを有するガラス−セラミック材料で作製された。ビーズコアは、手順Aに従ってSiO又はTiOの単層コーティングでコーティングされた。パッチ表面を水で覆うことにより、透明パッチ輝度及び白色パッチ輝度の測定値が記録された。コーティング材料、コーティング厚さ、並びに湿潤時白色パッチ及び湿潤時透明パッチの輝度測定値を、表11にまとめる。
【0145】
【表14】

【0146】
実施例161
手順Aに従って、タイプIIIコア上に3つの完全同心光学干渉層が蒸着された。表12は、コーティング材料、コーティング厚さ、並びに白色パッチ輝度及び透明パッチ輝度の測定値をまとめている。白色パッチ輝度及び透明パッチ輝度の測定は、実施例139〜160の湿潤条件下で実施された。
【0147】
【表15】

【0148】
比較例162、164、166、及び168並びに実施例163、165、167、及び169
サンプルにはコーティングされたビーズコア及びコーティングされていないビーズコアが含まれ、これにはコーティングされていないタイプIIビーズコアと共に3層完全同心コーティングされたタイプII(比較例111及び実施例136と同様)及びタイプIII再帰反射素子コア(比較例139及び実施例161)が含まれた。ポリエステルフィルム上のチタニア又は真珠顔料入り(27重量%、DuPont Ti−Pureチタニア又はMerck Industries IRIODIN 9119真珠顔料)ポリウレタンの254マイクロメートルスプレッドを最初に引っ張り、そのポリウレタンスプレッドを3M Stamark 380 Wet反射テープ上に設置して表面外形を立証した。次いで、ゴム製ハンドローラーを使用してこの顔料入りポリウレタンを外形の縁部に押しやり、次にポリエステルフィルムを除去した。600ppmのA1100及び125ppmのKrytox表面試薬の溶液にさらすことによって、再帰反射素子が表面処理された。これらの試薬はそれぞれ、ポリウレタンが再帰反射素子から逃げるのを防ぐための結合剤及び浮遊助剤として作用する。この再帰反射素子を、浮き上がったテープの一方の端に注ぎ、テープ上に2回、カスケードコーティングした。このサンプルを室温に一晩おき、次に149℃に2分間おいて、硬化させた。表13は、作製されたテープサンプル及びそれに対応して使用された結合剤を示す。テープサンプルの再帰反射性が、LTL−X Retrometer(Delta、デンマーク、ヒョースホルム)を使用して測定された。ウェブ上流及びウェブ下流の測定が実施された。ウェブ上流及びウェブ下流は、サンプルの製造時のコーティング方向を指す。ウェブ上流は、コーティングされていない部分の方向である。ウェブ下流は、コーティング済み部分の方向である。ASTM試験2176及び2177に従って、それぞれ水に連続的に曝露中、及び曝露から45秒後について、湿潤サンプルのレトロメーター(Retrometer)測定が実施された。表14はこのレトロメーターを使用して行った再帰反射輝度測定値を示す。データは、パールエッセンス顔料入り及びTiO顔料入りの両方について、同心的にコーティングされたタイプII再帰反射素子コアが、テープ構造体の再帰反射輝度において有意な増加(約1.5〜2.5倍)を生じさせることを示している。
【0149】
【表16】

【0150】
【表17】

【0151】
【表18】

【0152】
本発明の実施形態が、ある程度詳しく説明された。本発明は、この説明された実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、この実施形態にさまざまな変更及び修正を加えることが可能であることが、当業者には理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一主表面及び第二主表面を有する基材と、
前記基材の前記第一主表面に沿って配置された複数の再帰反射素子と、
を含む舗装マーキングであって、
前記再帰反射素子がそれぞれ、
第一界面を提供する外側コア表面を含む固体球形コアと、
外側コア表面に重なる内側表面及び外側表面を有する少なくとも第一の完全同心光学干渉層と、
を含み、
ここで前記第一の完全同心光学干渉層の前記外側表面が第二の界面を提供し、前記舗装マーキングが再帰反射性である、舗装マーキング。
【請求項2】
4800K〜7500Kの黒体放射を示す線から0.01の範囲内にあり、CIE色度ダイアグラム(1931年版)のある点を画定する色度座標の再帰反射色を有する、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項3】
前記再帰反射素子がそれぞれ、
前記第一の完全同心光学干渉層の外側表面に重なる内側表面及び外側表面を有する、第二の完全同心光学干渉層を更に含み、ここで前記第二の完全同心光学干渉層の前記外側表面が第三の界面を提供する、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項4】
前記第一の完全同心光学干渉層及び前記第二の完全同心光学干渉層が、異なる材料を含み、前記材料のそれぞれが、TiO、SiO、ZnS、CdS、CeO、ZrO、Bi、ZnSe、WO、PbO、ZnO、Ta、Al、B、MgO、AlF、CaF、CeF、LiF、MgF、NaAlF、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の舗装マーキング。
【請求項5】
前記再帰反射素子がそれぞれ、
前記第二の完全同心光学干渉層の前記外側表面に重なる内側表面及び外側表面を有する、第三の完全同心光学干渉層を更に含み、ここで前記第三の完全同心光学干渉層の前記外側表面が第四の界面を提供する、請求項4に記載の舗装マーキング。
【請求項6】
前記第二の完全同心光学干渉層及び前記第三の完全同心光学干渉層が、異なる材料を含み、前記材料のそれぞれが、TiO、SiO、ZnS、CdS、CeO、ZrO、Bi、ZnSe、WO、PbO、ZnO、Ta、Al、B、MgO、AlF、CaF、CeF、LiF、MgF、NaAlF及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の舗装マーキング。
【請求項7】
前記再帰反射素子の直径の約10%〜約90%の間に対応する深さまで、前記再帰反射素子が前記基材の前記第一主表面内に埋め込まれる、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項8】
前記基材の前記第一主表面上に配置される結合剤を更に含み、前記再帰反射素子の直径の約10%〜約90%の間に対応する深さまで、前記再帰反射素子が前記結合剤内に埋め込まれる、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項9】
前記結合剤が充填剤粒子を更に含む、請求項8に記載の舗装マーキング。
【請求項10】
前記充填剤粒子が反射性であり、真珠顔料、パールエッセンス顔料、鏡面反射性顔料、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の舗装マーキング。
【請求項11】
前記固体球形コアが、約1.5〜約2.1の範囲内の屈折率を有する、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項12】
前記固体球形コアが、約2.0〜約2.6の範囲内の屈折率を有する、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項13】
前記基材の前記第一主表面に沿って配置された前記再帰反射素子上に適用される保護コーティングを更に含む、請求項12に記載の舗装マーキング。
【請求項14】
前記基材が、基部及び該基部から延在する複数の突出部を含むポリマーシートを含み、前記突出部が前記基部から延在する側面と丸みを帯びた上面とを含み、前記再帰反射素子が前記基部並びに前記突出部の前記側面及び上面に付着される、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項15】
前記基材が、その第一主表面にわたって平坦なポリマーシートを含む、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項16】
強化された再帰反射輝度を呈する、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項17】
前記マーキングが、干渉により強化された再帰反射輝度を呈し、ここで前記物品が、上に完全同心光学干渉層を有さない前記固体球形コアからなる再帰反射素子を含むこと以外は同一の物品に比べ、少なくとも1.3倍大きい再帰反射係数を呈する、請求項16に記載の舗装マーキング。
【請求項18】
前記再帰反射素子が、前記第一の完全同心光学干渉層の前記外側表面に重なる内側表面及び外側表面を有する、第二の完全同心光学干渉層からなる部分を更に含み、ここで前記第二の完全同心光学干渉層の前記外側表面が第三の界面を提供する、請求項1に記載の舗装マーキング。
【請求項19】
前記第一の完全同心光学干渉層、及び前記第二の完全同心光学干渉層が、シリカ及びチタニアからなる群から選択される異なる材料を含む、請求項18に記載の舗装マーキング。
【請求項20】
強化された再帰反射輝度を呈する、請求項19に記載の舗装マーキング。
【請求項21】
再帰反射色を呈する、請求項19に記載の舗装マーキング。
【請求項22】
強化された再帰反射輝度を呈する、請求項18に記載の舗装マーキング。
【請求項23】
前記マーキングが、干渉により強化された再帰反射輝度を呈し、ここで前記物品が、上に完全同心光学干渉層を有さない前記固体球形コアからなる再帰反射素子を含むこと以外は同一の物品に比べ、少なくとも1.3倍大きい再帰反射係数を呈する、請求項22に記載の舗装マーキング。
【請求項24】
前記再帰反射素子が、前記第一の完全同心光学干渉層及び前記第二の完全同心光学干渉層を有し、かつ前記第二の完全同心光学干渉層の前記外側表面に重なる内側表面及び外側表面を有する、第三の完全同心光学干渉層を更に含む、別の部分を含み、ここで前記第三の完全同心光学干渉層の前記外側表面が第四の界面を提供する、請求項18に記載の舗装マーキング。
【請求項25】
前記第一の完全同心光学干渉層、前記第二の完全同心光学干渉層、及び前記第三の完全同心光学干渉層が、シリカ及びチタニアの層を交互に含む、請求項24に記載の舗装マーキング。
【請求項26】
強化された再帰反射輝度を呈する、請求項25に記載の舗装マーカー。
【請求項27】
再帰反射色を呈する、請求項25に記載の舗装マーカー。
【請求項28】
前記基材の前記第二主表面が、前記舗装マーキングを舗装に付着させるのに好適な接着剤を更に含む、請求項1に記載の舗装マーカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−508117(P2011−508117A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539603(P2010−539603)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/085462
【国際公開番号】WO2009/085550
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】