説明

再生樹脂製造方法

【課題】廃樹脂から再生樹脂を製造する時、異物の混入を防止し、異物の混入に伴う再生樹脂の物性値の低下を防止した再生樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】廃樹脂成形品を分別し、破砕し、破砕フレークとした後、前記破砕フレークを少なくとも洗浄工程と、分離工程と、乾燥工程と、分級工程と、ペレット化工程とを有する再生樹脂工程で処理し再生樹脂を製造する再生樹脂製造方法において、前記分級工程は、風力と他の物理場とを組み合わせた物理場付与装置を分級場の内部に設けた分級装置を使用し、前記再生樹脂のオリゴマーの含有率が1質量%以下であることを特徴とする再生樹脂製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃熱可塑性樹脂成型品から製造した再生樹脂製造方法に関する。更に詳しくはオリゴマーの含有率が低い再生樹脂製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源有効利用促進法(2006年4月27日)の施行に伴い循環型社会を形成していくために、環境問題への関心が高まり廃樹脂の回収・リサイクルが盛んに行われるようになった。
【0003】
廃樹脂のリサイクルは、マテリアルリサイクル(素材としての再利用)とサーマルリサイクル(熱としての再利用)に区分される。軽量で機械的強度に優れる樹脂は、家電製品、OA機器、通信機器等の内部部品や外装材料、包装材料、容器等に多用されている。また、従来の大量生産・大量廃棄の経済から循環型経済への変換が求められる中で樹脂製品のマテリアルリサイクルが盛んに行われるようになった。
【0004】
しかしながら、マテリアルリサイクルでは製品として使用された樹脂は、回収した段階では異種の樹脂製品の混入、表面に様々な汚れや異物が付着しているため、そのままバージン樹脂と同一の用途に再利用することはできないため、同一種類に分別し、汚れや異物を取り除くことが必要となる。
【0005】
廃樹脂のマテリアルリサイクルの一般的な処理方法では、(a)廃棄樹脂を単一材料に分別した後、(b)樹脂専用破砕機にて適切な大きさに破砕し、(c)汚れを取るために洗浄し、(d)混入した異物を分離除去し、(e)異物を分離除去した破砕物を乾燥し、(f)一定の大きさに分級した後、(g)押出機にてルーダ加工してペレット化した後、(h)成形機にて任意の形状に成形加工する。廃樹脂の破砕処理において、破砕物にフィルム状、発泡状、又は粉状の異物が混入することが多い。異物が混入したまま樹脂破砕物をペレット化すると、再生樹脂の物性が大きく低下することはよく知られている。
【0006】
フィルム状、発泡状又は粉状の異物は、廃棄樹脂の破砕物に比べて軽く、これら軽量物を選別除去するために風力、静電気、イオン風等を利用した方法が知られており、これまでにフィルム状、発泡状又は粉状の異物の除去を行い物性の劣化が少ない再生樹脂の製造方法の検討がなされてきた。
【0007】
例えば、廃棄機器より回収した樹脂成形品から、再使用可能な樹脂材料をリサイクルする樹脂成形品毎に粉砕する粉砕手段と、粉砕樹脂に光を照射してその反射光に基づいて粉砕樹脂の種類を判別して樹脂種別に分別する分別手段と、分別された粉砕樹脂を各樹脂種毎に各々洗浄して粉砕樹脂表面の異物を除去する洗浄手段と、洗浄後の粉砕樹脂を回収する回収手段とを有する樹脂リサイクルシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
選別されたプラスチック部材を破砕・減容化し、破砕プラスチックを乾式洗浄処理により表面部の異物を除去し、再利用可能までに異物が減少した樹脂粒状物を回収するプラスチック部材のマテリアルリサイクルシステムが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
廃プラスチック材を、所定の液体中で微粉砕し、廃プラスチック材に付着、又は含まれているほこり、汚れ、土砂、水垢、油分、食品残渣、不要添加剤、表面塗膜、経年樹脂劣化成分等を液体内に溶解することによって、リサイクル使用時に物性劣化を引き起こす原因になるほこり、汚れ、土砂、水垢、油分、食品残渣、不要添加剤、表面塗膜、経年樹脂劣化成分等を分離する方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0010】
樹脂破砕物に含まれる重量物、軽量物及び粉塵を、第1段階で重量物を、第2段階で軽量物を、第3段階で粉塵を風力で選別する樹脂リサイクル方法が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0011】
しかしながら、特許文献1から4に記載の樹脂リサイクル方法で再生樹脂を製造した場合、いずれも物性値が安定しなく、且つ回収した廃樹脂製品よりも性能が劣ることが判った。特にこれらの現象はポリエステル系樹脂の場合に顕著に顕れることが判った。
【0012】
これらのことから、廃樹脂から再生樹脂を製造する時、異物の混入を防止し、異物の混入に伴う再生樹脂の物性値の低下を防止し、廃樹脂の物性値に近似した物性値を有する再生樹脂の製造方法及び再生樹脂の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−144338号公報
【特許文献2】特開2003−011124号公報
【特許文献3】特開2004−042461号公報
【特許文献4】特開2006−326463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、廃樹脂から再生樹脂を製造する時、異物の混入を防止し、異物の混入に伴う再生樹脂の物性値の低下を防止した再生樹脂の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
【0016】
1.廃樹脂成形品を分別し、破砕し、破砕フレークとした後、前記破砕フレークを少なくとも洗浄工程と、分離工程と、乾燥工程と、分級工程と、ペレット化工程とを有する再生樹脂工程で処理し再生樹脂を製造する再生樹脂製造方法において、
前記分級工程は、風力と他の物理場とを組み合わせた物理場付与装置を分級場の内部に設けた分級装置を使用し、
前記再生樹脂のオリゴマーの含有率が1質量%以下であることを特徴とする再生樹脂製造方法。
【0017】
2.前記物理場付与装置は前記分級場の内部に該分級場の高さに対して10%から50%の空間の該分級場の下部を持って該分級場の上部に配設されていることを特徴とする第1項に記載の再生樹脂製造方法。
【0018】
3.前記他の物理場が磁場であり、該磁場を付与する磁場付与手段を前記物理場付与装置の内部に有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の再生樹脂製造方法。
【0019】
4.前記他の物理場が電場であり、該電場を付与する電場付与手段を前記物理場付与装置の内部に有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の再生樹脂製造方法。
【0020】
5.前記他の物理場が力場であり、該力場を付与する力場付与手段を前記物理場付与装置の内部に有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の再生樹脂製造方法。
【0021】
6.前記力場付与手段が第1邪魔板と、第2邪魔板とから構成されており、該第1邪魔板の枚数をn枚とした時、第2邪魔板の枚数は(n+k)枚(n及びkは、各々独立に1以上の整数)であることを特徴とする第5項に記載の再生樹脂製造方法。
【0022】
7.前記廃樹脂成形品はポリエステル系樹脂から構成されていることを特徴とする第1項又は第2項に記載の再生樹脂製造方法。
【0023】
8.前記分級工程で分級処理が終了した後の前記破砕フレークの水分量が1質量%以下であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の再生樹脂製造方法。
【0024】
9.前記オリゴマーは数平均分子量が100から1500の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の再生樹脂製造方法。
【0025】
10.前記破砕フレークの大きさが、5mmから30mmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の再生樹脂製造方法。
【0026】
11.前記破砕フレークのアスペクト比が1から10の範囲内であることを特徴とする第10項に記載の再生樹脂製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、廃樹脂から再生樹脂を製造する時、異物の混入を防止し、異物の混入に伴う再生樹脂の物性値の低下を防止した再生樹脂の製造方法及び再生樹脂を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】廃熱可塑性樹脂成形品から再生樹脂を製造する1例の概略フロー図である。
【図2】図1に示す分級工程で使用する分級装置の概略図である。
【図3】図2のTで示される部分の物理場付与装置の拡大概略図である。
【図4】図2のTで示される部分の他の物理場付与装置の拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、廃樹脂成形品を分別し、破砕し、破砕フレークとした後、前記破砕フレークを、少なくとも、洗浄工程と、分離工程と、乾燥工程と、分級工程と、ペレット化工程とを有する再生樹脂工程で処理し再生樹脂を製造する再生樹脂製造方法に関する。そして、本発明は、前記分級工程が、風力と他の物理場とを組み合わせた物理場付与装置を分級場の内部に設けた分級装置を使用し、前記再生樹脂のオリゴマーの含有率が1質量%以下であることを特徴とするものである。
【0030】
本発明者は、従来技術により作製される再生樹脂の物性がなぜ安定しなく、且つ物性が低下するのか検討した結果、次のことが判った。
【0031】
1.廃樹脂を破砕処理し洗浄、乾燥しペレット化する直前のフレークの表面に、ゲル状の異物が付着している。
【0032】
2.再生樹脂を分析した結果オリゴマーの混在が廃樹脂よりも多くなっている。
【0033】
3.この傾向は特にポリエステル系樹脂の場合に顕著に見受けられる。
【0034】
更に、フレークの表面に付着しているゲル状の異物を解析した結果、廃樹脂を破砕処理した時に発生した微粉が吸湿し膨潤したものであり、更にオリゴマーが存在していることが判った。
【0035】
何故、ゲル状の異物が付着し、オリゴマーが存在するのかを更に検討した結果、次の現象によるものであると推定した。
【0036】
1)廃樹脂を破砕する時に廃樹脂の微粉が発生する。破砕処理した後に洗浄することで多くの微粉は除去されるのであるが、フレークが重なった状態の場所に付着した微粉は除去されずに残る。フレーク上に残った微粉は、水を吸い、膨潤し、ゲル状となりフレークに物理吸着した状態となる。
【0037】
2)フレークを乾燥する時、フレークに付着している水分は除去されるが、フレーク上に付着したゲル状物の水分は完全に除去されずに残った状態となる。乾燥する時に加熱するとゲル状物は加水分解し低分子量化したオリゴマーを含む状態となる。乾燥後の風力方式の分級は、風により被分級物を攪拌することで軽い物と重い物とを重力を利用して分けるため、フレークには風の方向と、重力方向の2方向の力しか掛らないため、フレーク同士の衝突回数が少なくなる。このため、フレーク上に付着したゲル状物は除去されずに分級され、再成樹脂用フレークに混入した状態となる。
【0038】
3)付着したゲル状物を含むフレークをペレット化するため、一軸押出機、二軸押出機等で溶融しペレット化する際、ゲル状物に含まれる水分により溶融した樹脂の一部が熱で加水分解しオリゴマーが形成される。
【0039】
4)更にオリゴマーの含有量と物性値とは関連しており、オリゴマーの含有量が多いと物性値は低下することが判った。すなわちオリゴマーの含有量の変動により再生樹脂の物性値が変動することが判った。
【0040】
再生樹脂中のオリゴマーの含有量を減少し、物性値を安定にするにはペレット化する前の廃樹脂のフレークに付着しているゲル状物を可能な限り少なくすることが必須であり、分級工程でフレークに付着しているゲル状の異物を除去するにはフレークに与える力を、風の方向の風力と、重力との2次元方向に加え、3次元方向の力として物理場を付与することでフレーク同士の衝突回数を上げることが可能となりゲル状の異物をフレークの表面から除去することに効果的であることが判り本発明に至った次第である。
【0041】
以下、本発明の実施の形態を図1から図4を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
図1は廃樹脂から再生樹脂を製造する1例の概略フロー図である。
【0043】
廃樹脂から再生樹脂の製造は、通常、分別工程、粉砕工程、洗浄工程、分離工程、乾燥工程、分級工程、ペレット化工程で処理することにより行われている。
【0044】
分別工程では、回収された多種の廃樹脂から同じ種類の樹脂を分別する。
【0045】
破砕工程では、分別された廃樹脂を一定の大きさのフレーク状樹脂(以下、単に、フレークともいう)に破砕する。この時、廃樹脂の微粉が発生し、フレークに付着したり、混在した状態となる。フレークの大きさは、洗浄性、分離性、乾燥性、分級性、ペレタイズ性等を考慮し、5mm(標準偏差0.5)から30mm(標準偏差0.5)が好ましい。なお、フレークの大きさは下記に定義されるフレークの最も大きい幅の平均値を意味し、下記の方法で測定される。
【0046】
フレークの大きさの測定方法
中央に半径5cmの円を書いたA4の用紙を用意する。得られたフレーク2gをその円の中心におき、A4の用紙の両端を手で保持して振動させる。円の中のフレークが目視で重なりの無いことを確認後、ニコン一眼レフD3にAF−S VR Micro−Nikkor 105mm f/2.8G IF−EDを取付け、D3のファイダーをのぞきながら、画面いっぱいに円が入ることを確認して画像を撮影する。得られた画像をA3用紙いっぱいにプリント出力し、1cm間隔で平行な直線を20本その画像に記入する。フレーク画像とこの直線の交点を活用してフレークの粒度分布を次のようにして求める。20本引いた直線が横断している任意のフレークを50個選ぶ。ただし重なりのあるフレークを選ばないこと。選ばれたフレークの最も大きい幅及び最も小さい幅を測定する。得られた測定値より、それぞれ、平均値と標準偏差を求める。本発明においては、最も大きい幅の平均値を、フレークの大きさと定義し、最も大きい幅の平均値の最も小さい幅の平均値に対する比をフレークのアスペクト比と定義する。本発明において、フレークのアスペクト比は、好ましくは、1から10、さらに好ましくは、1から5である。
【0047】
洗浄工程では、廃樹脂のフレークを洗浄し、付着している微粉、異物(例えば、油脂、土、ホコリ等)、混在している微粉等の除去が行われる。洗浄することで付着している微粉、異物、混在している微粉は除去されるが、微粉が付着したフレークが重なりあつた部分、洗浄の死角(例えばフレークに凹部がある場合、奥部に入り込んだ微粉)等には微粉が残った状態のフレークが発生する。この微粉は洗浄で水分を吸収し膨潤しゲル化した状態でフレークに物理吸着した状態となる。この様な状態となる樹脂としては極性基を有するナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂やポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0048】
分離工程では、フレーク状の廃樹脂に貼られていたラベル、混入した異種の樹脂の分離が例えば比重差を利用して行われる。
【0049】
乾燥工程では、分離工程で異種の廃樹脂が分離され、単一品種となった廃樹脂の乾燥が行われる。この時、フレークに物理吸着したゲル化した状態の微粉(ゲル状物)は熱により加水分解が生じ低分子量化しオリゴマーが形成される。また、ゲル状物から水分の除去は時間が掛かるため、ゲル状物に水分を含んだ状態で乾燥が終了する。
【0050】
乾燥工程が終了した後のフレーク(ゲル状物を含まないフレーク)の水分量は、ペレット化あるいは他の加熱溶融繊維化などの加工における水分による熱分解等を考慮し、1質量%以下であることが好ましい。ゲル状物の水分量はフレークの水分量の10倍以上である。
【0051】
なお、水分量は、日立ハイテク(株)製平沼微量水分測定装置を使用し、カールフィッシャー法で測定した値から計算で求めた値を示す。
【0052】
分級工程では、風力と物理場とを併用した物理場付与装置を有する分級装置により混在している廃樹脂の微粉末及び、フレークに付着しているゲル状物の除去が行われる。分級工程が終了した後のフレークの水分量は、ペレット化あるいは他の加熱溶融繊維化などの加工における水分による熱分解等を考慮し、1質量%以下であることが好ましい。
【0053】
なお、本発明で物理場とは、物質に運動エネルギーを与えることができる磁場や電場をいう。例えば磁場や電場が相当し、本発明では風力以外の力場までも含める。風力以外の力場として例えば障害物のある回転体の中へ粉体を投入すると障害物と粉体との衝突が生じ、その時運動エネルギーが与えられる。あるいは、搬送と分級に使用している風力を活用して乱流を生成し、その結果粉体同士が衝突した際に発生する運動エネルギーを活用しても良い。風力分級と磁場や電場とを併用した分級装置に関しては図2、図4で説明する。
【0054】
ペレット化工程では、分級工程で分級処理が終了したフレークをペレタイザーによりペレット化し、再生樹脂が製造される。
【0055】
再生樹脂に含まれるオリゴマーの含有率は、1.0質量%以下である。1質量%を超える場合は、衝撃強度、引張強度等が低下し、再生樹脂を単独に使用することができなくなるため好ましくない。
【0056】
オリゴマーの含有率(質量%)は、以下に示す定量方法により求めた値を示す。
【0057】
試料0.1gをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=1/1(2ml)に全て溶解させた。この時不溶成分がある場合は、再度サンプリングしなおし、均一な溶液状態になるまでサンプリングと溶解を繰り返す。完全溶解した溶液に、クロロホルム50mlで希釈後、アセトニトリル100mlを加える。アセトニトリルを加えた後、不溶成分は濾過・除去し、溶解成分を質量(A)が分かっているナス型フラスコに入れ、ロータリーエバボレーターで溶媒を除去後、ナス型フラスコを計量し質量(B)をもとめ、溶解成分の量((B)−(A))を求める。この量を試料0.1gに含まれていたオリゴマーの量とし、含有率(質量%)を求める。
【0058】
本発明では、オリゴマーとは、数平均分子量が100から1500の範囲の低分子重合体をいう。
【0059】
本発明において、オリゴマーの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される。GPCによる分子量測定は、以下のように行った。すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)、及び、カラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M 3連」(東ソー社製)を用いる。カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/分で流し、測定試料を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlとなるようにテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μlを上記キャリア溶媒とともに装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出する。測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作製した検量線より算出する。
【0060】
なお、本図に示す各工程は連続した工程であっても良いし、各々が独立したバッチ式であっても構わない。
【0061】
本発明は分級工程に風力と物理場とを併用した物理場付与装置を有する分級装置により廃樹脂から再生樹脂の製造方法及びこの製造方法により再生した再生樹脂に関するものである。
【0062】
図2(a)及び図2(b)は図1に示す分級工程で使用する分級装置の概略図である。図2(a)は図1に示す分級工程で使用する分級装置の概略斜視図である。図2(b)は図2(a)のA−A′に沿った概略断面図である。
【0063】
図中、1は分級装置を示す。分級装置1は円錐台の上部容器1aと、円錐台の下部容器1bとを有している。1cは内部容器1a1の下部面1a11と、下部容器1bの上部面1b1とで形成された円形状の分級場を示し、周りには空気取り入れ口1dを有している。
【0064】
上部容器1aは、内部容器1a1と、上部容器1aの上部に設けられた試料(フレーク状樹脂)投入口1a2と、上部容器1aの内面と内部容器1a1の外面とで形成される試料(フレーク状樹脂)供給路1a3とを有している。
【0065】
下部容器1bは、上部面1b1の中央部に第1排出口1b2と、第1排出口1b2の周囲に第2排出口1b3と、下部に回収口1b4とを有している。第1排出口1b2は吸引ポンプ(不図示)に繋がった吸引管1b5を有している。
【0066】
また、回収口1b4には回収箱(不図示)と、吸引ポンプ(不図示)に繋がった吸引管(不図示)とが繋げられている。分級装置1でフレーク状の廃樹脂を分級する場合、フレーク状の廃樹脂量、フレークの大きさに応じて、吸引管1b5からの空気吸引量と、回収口1b4からの空気吸引量とのバランスを調整する必要がある。ただし、回収口1b4からの吸引の強さは、分離したフレーク状樹脂の回収率、異物とフレーク状樹脂の分離等を考慮し、吸引管1b5からの吸引の強さよりも小さくすることが必要である。
【0067】
分級場1cの内部には、空気取り入れ口1dの近傍にドーナツ状に物理場付与装置1eが配設されている。物理場付与装置1eで試料(フレーク状樹脂)に風力の他に物理場を付与することでフレーク状樹脂に付着している異物がフレーク状樹脂から剥がされ異物とフレーク状樹脂に分離される。分離された異物は、第1排出口1b2から空気とともに吸引管1b5を介して排出される。異物が分離されたフレーク状樹脂は第2排出口1b3から回収口1b4を介して回収される。物理場付与装置1eとしては、試料(フレーク状樹脂)に風力以外の力場、電場、磁場を付与する物理場付与装置が挙げられる。物理場付与装置1eに関しては、図3、図4(a)、図4(b)で説明する。
【0068】
図3は図2(b)のTで示される部分の物理場付与装置の拡大概略図である。
【0069】
図中、1e1は物理場付与装置を示す。物理場付与装置1e1は、筐体2と、筐体2の内部に配設された第1邪魔板3aと、第2邪魔板3bとを有している。第1邪魔板3aと、第2邪魔板3bの角度は空気取り入れ口1dからの空気が乱流となる角度であれば特に限定はない。第1邪魔板3aと、第2邪魔板3bの角度は同じ角度でも良いし、異なっていても構わない。
【0070】
第1邪魔板3aと、第2邪魔板3bの配設する枚数は物理場付与装置1e1の大きさにより変動するため特定することはできないが、第2邪魔板3bの枚数は第1邪魔板3aの枚数をn枚とした時、(n+k)枚が好ましい。ただし、n及びkは、各々独立に1以上の整数である。
【0071】
なお、第1邪魔板3a及び第2邪魔板3bの形状はドーナツ状の円板となっている。円板の幅は、分級効率、分級精度等を考慮し、10mmから80mmが好ましい。
【0072】
筐体2は、空気取り入れ口1d側が開口部となり、底板2aと、側板2bと、天板2cとを有する箱体構造を有し、内部容器1a1の下部面1a11に底番2aと下部容器1bの上部面1b1との間に空間4を有するように円形状の分級場1cの周囲の空気取り入れ口1dの近傍にドーナツ状に配設されている。筐体2の天板2cには試料(フレーク状樹脂)供給路1a3に対向した位置に開口部2dと、底板2aの第2排出口1b3と対向する位置に開口部2eを有している。
【0073】
空間4の高さh(下部容器1bの上部面1b1から底板2a迄の高さ)は、内部容器1a1の下部面1a11から下部容器1bの上部面1b1迄の高さH(分級場1cの高さ)に対して、分級効率、分級精度等を考慮し、10%から50%が好ましい。
【0074】
次に、本図に示す物理場付与装置1e1を有する分級装置を使用してフレーク状樹脂に付着した異物とフレーク状樹脂とを分級するフローに付き説明する。
【0075】
1)吸引ポンプ(不図示)を駆動することで、空気取り入れ口1dからの空気の一部は、物理場付与装置1e1の筐体2の内部方向(矢印B2方向)と、空間4方向(矢印B1方向)に流れる。筐体2の内部方向(矢印B2向)に流れた空気は、第1邪魔板3aにより乱流となり、更に第2邪魔板3bに衝突し乱流となる。
【0076】
2)試料(フレーク状樹脂)供給路1a3から供給される異物付着フレーク状樹脂5は筐体2の開口部2dから筐体2の内部に落下する。
【0077】
3)落下した異物付着フレーク状樹脂5は、第1邪魔板3aに衝突することで塊状状態が崩され枚葉状態となる。
【0078】
4)枚葉状態となった異物付着フレーク状樹脂5は乱流の空気により、第2邪魔板3bに衝突する。第2邪魔板3bに衝突する迄の間、及び第2邪魔板3bに衝突することにより枚葉状態となった異物付着フレーク状樹脂5は異物付着フレーク状樹脂5同士で衝突を繰り返す状態となる。衝突を繰り返すことで筐体2の内部は異物付着フレーク状樹脂5から異物5bが剥がれフレーク状樹脂5aと、異物5bが混在した状態となる。即ち、異物付着フレーク状樹脂5には重力と空気の流れから受ける力以外に、衝突により発生した力場が掛かり、異物付着フレーク状樹脂5から異物5bが剥がれる。
【0079】
5)筐体2の内部に流れ込んだ空気は、第2邪魔板3bに衝突した後、開口部2eから分級場1c方向(矢印E方向)に流れる。この時、フレーク状樹脂5aと、異物5bとが同時に分級場1cに送り出される。
【0080】
6)分級場1cに送り出されたフレーク状樹脂5aと、異物5bとは、空間4を流れている空気(開口部2eからの空気の流れよりも風速が早い)により、軽い異物5bは第1排出口1b2方向(矢印F方向)に運ばれ、吸引管1b5(図2(b)参照)を介して排出される。一方、フレーク状樹脂5aは、重力により第2排出口1b3から下部容器1bに落下し回収口1b4(図2(b)参照)より回収される。
【0081】
この後、回収されたフレーク状樹脂5aはペレット化工程でペレット化し再生樹脂として使用される。
【0082】
本図に示す物理場付与装置の分級条件
異物付着フレーク樹脂供給量(以下、単にフレーク供給量という)は、目視で確認できるゲル状の異物が見つからないことを基準として、分級効率を考慮し、1kg/時から500kg/時とすることが好ましい。
【0083】
吸引管1b5(図2(b)参照)及び回収口1b4(図2(b)参照)からの吸引空気量は、フレーク状樹脂の大きさ、フレーク供給量、分級効率、分級精度により適宜調整するため規定することはできないが、例えばフレーク供給量が100kg/時の場合、吸引管1b5(図2(b)参照)からの吸引空気量は、分級効率、分級精度等を考慮し、10m/minから20m/min、回収口1b4(図2(b)参照)からの吸引空気量は、分級効率、分級精度等を考慮し、10m/minから20m/minが好ましい。空気取り入れ口1dから筐体2の内部方向(矢印B2方向)に流れる空気量(開口部2eから排出される空気量は)、10m/minから20m/min、空間4方向(矢印B1方向)に流れる空気量は、1m/minから10m/minが好ましい。
【0084】
吸引空気量は風速に断面積を掛けて求めた値を示す。風速は、日本カノマックス(株)製アネモマスター風速計6141を使用した。
【0085】
温度は、フレークの衝突時の衝撃力、ゲル状の異物の剥離等を考慮し、0℃から60℃が好ましい。温度は、キーエンス(株)製棒温度センサーを使用して測定した値を示す。
【0086】
発生する力場は、風速や風量のみで決まらずフレークの大きさにも依存するので規定することはできないが、例えばフレークの大きさが、1mm(標準偏差0.3)の場合、分級効率、分級精度等を考慮し、0.1Nから10Nであることが好ましい。
【0087】
付与する力場は、小野測器(株)製リニアゲージの先に5mm×5mmの四角板をとりつけ、その四角板にフレーク衝突し発生する力を2分間測定した平均値を示す。
【0088】
図4(a)又は(b)は図2(b)のTで示される部分の他の物理場付与装置の拡大概略図である。図4(a)は試料(フレーク状樹脂)に電場を付与する物理場付与装置の図2(b)のTで示される部分の拡大概略図である。図4(b)は試料(フレーク状樹脂)に磁場を付与する物理場付与装置の図2(b)のTで示される部分の拡大概略図である。
【0089】
図4(a)に示す物理場付与装置に付き説明する。
【0090】
図中、1e2は物理場付与装置を示す。物理場付与装置1e2は、筐体2′と、筐体2′の内部に配設された陽極3′aと、陰極3′bと、帯電板3′cとを有している。帯電板3′cとしては、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等が挙げられる。
【0091】
陰極3′bは、陽極3′aと対向する位置に配設されており、陽極3′aと、陰極3′bの位置が反対であっても構わない。
【0092】
筐体2′は、空気取り入れ口1d側が開口部となり、底板2′aと、側板2′bと、天板2′cとを有する箱体構造を有し、内部容器1a1の下部面1a11に底板2′aと下部容器1bの上部面1b1との間に空間4′を有するように円形状の分級場1cの周囲の空気取り入れ口1dの近傍にドーナツ状に配設されている。筐体2′の天板2′cには試料(フレーク状樹脂)供給路1a3に対向した位置に開口部2′dと、底板2′aの第2排出口1b3と対向する位置に開口部2′eを有している。
【0093】
空間4′の高さ(下部容器1bの上部面1b1から筐体2′の底板2′a迄の高さ)は、内部容器1a1の下部面1a11から下部容器1bの上部面1b1迄の高さ(分級場1cの高さ)に対して、分級効率、分級精度等を考慮し、10%から50%が好ましい。
【0094】
次に、本図に示す物理場付与装置1e2を有する分級装置を使用してフレーク状樹脂に付着した異物とフレーク状樹脂とを分級するフローに付き説明する。
【0095】
1)吸引ポンプ(不図示)を駆動することで、空気取り入れ口1dからの空気の一部は、物理場付与装置1e2の筐体2′の内部方向(矢印B2方向)と、空間4′方向(矢印B1方向)に流れる。
【0096】
2)試料(フレーク状樹脂)供給路1a3から供給される異物付着フレーク状樹脂5は筐体2′の開口部2′dから筐体2′の内部に落下する。
【0097】
3)落下した異物付着フレーク状樹脂5は、帯電板3′cに衝突することで帯電した状態となる。
【0098】
4)帯電した状態の異物付着フレーク状樹脂5は空気取り入れ口1dからの空気で陽極3′aと、陰極3′bとの間に運ばれる。この時、陰極3′bと、陽極3′aとに電圧が印加されていることで、陰極3′bと、陽極3′aとの間に電界が発生している。この電界の中を帯電した異物付着フレーク状樹脂5が通ることで電界により電場が掛かる。異物付着フレーク状樹脂5の大きさにより電場の掛かり方が異なるため、陽極3′aと、陰極3′bとの間で異物付着フレーク状樹脂5は乱流状態となり異物付着フレーク状樹脂5同士で衝突を繰り返す状態となる。衝突を繰り返すことで筐体2′の内部は異物付着フレーク状樹脂5から異物5bが剥がれフレーク状樹脂5aと、異物5bが混在した状態となる。即ち、異物付着フレーク状樹脂5には重力と空気の流れから受ける力以外に、電場が掛かることで帯電したフレークに発生する力でフレークの流れが乱流となり、フレーク同士の衝突回数が増加し、異物付着フレーク状樹脂5から異物5bが剥がれる。
【0099】
5)筐体2′の内部に流れ込んだ空気は、陽極3′aと、陰極3′bとの間を通過した後、開口部2′eから分級場1c方向(矢印E方向)に流れる。この時、フレーク状樹脂5aと、異物5bとが同時に分級場1cに送り出される。
【0100】
6)分級場1cに送り出されたフレーク状樹脂5aと、異物5bとは、空間4′を流れている空気(開口部2′eからの空気の流れよりも風速が早い)により、軽い異物5bは第1排出口1b2方向(矢印F方向)に運ばれ、吸引管1b5(図2(b)参照)を介して排出される。一方、フレーク状樹脂5aは、重力により第2排出口1b3から下部容器1bに落下し回収口1b4(図(b)2参照)より回収される。
【0101】
この後、回収されたフレーク状樹脂5aはペレット化工程でペレット化し再生樹脂として使用される。
【0102】
(本図に示す物理場付与装置の分級条件)
フレーク供給量は、目視で確認できるゲル状の異物が見つからないことを基準として、分級効率、分級精度等を考慮し、1kg/時から500kg/時とすることが好ましい。
【0103】
吸引管1b5(図2(b)参照)及び回収口1b4(図2(b)参照)からの吸引空気量は、フレーク供給量により適宜調整するため規定することはできないが、例えばフレーク供給量が100kg/時の場合、吸引管1b5(図2(b)参照)からの吸引空気量は、分級効率、分級精度を考慮し、10m/minから20m/min、回収口1b4(図2(b)参照)からの吸引空気量は、分級効率、分級精度慮し、10m/minから20m/minが好ましい。空気取り入れ口1dから筐体2′の内部方向(矢印B2方向)に流れる空気量(開口部2′eから排出される空気量は)、10m/minから20m/min、空間4′方向(矢印B1方向)に流れる空気量は、1m/minから10m/minが好ましい。
【0104】
吸引空気量は風速に断面積を掛けて求めた値を示す。風速は、日本カノマックス(株)製アネモマスター風速計6141を使用した。
【0105】
温度は、フレークの衝突時の衝撃力、ゲル状の異物の剥離等を考慮し、0℃から60℃が好ましい。温度は、キーエンス(株)製棒温度センサーを使用して測定した値を示す。
【0106】
分級装置に付与する電場は、安全性、分級効率等を考慮し1V/mmから1kV/mmであることが好ましい。また交流でも直流でも良い。好ましくは100Hz以下の交流であると少ない電流で効果的にフレーク同士の衝突を発生させることができる。
【0107】
付与する電場は、汎用テスターで測定可能で、例えば三和電気計器(株)製YX−361TRを使用して測定した値を示す。
【0108】
図4(b)に示す物理場付与装置に付き説明する。
【0109】
図中、1e3は物理場付与装置を示す。物理場付与装置1e3は、筐体2″と、筐体2″の内部に配設された磁石3″aと、磁石3″bと、帯電板3″cとを有している。帯電板3″cとしては、図4(a)に示す物理場付与装置1e2に使用している帯電板3′cと同じである。
【0110】
磁石3″aと、磁石3″bとは対向する位置に配設されており、どちらかがN極、S極となっていることが必要である。使用する磁石としては電磁石、永久磁石等が挙げられる。
【0111】
筐体2″は、空気取り入れ口1d側が開口部となり、底板2″aと、側板2″bと、天板2″cとを有する箱体構造を有し、内部容器1a1の下部面1a11に底板2′aと下部容器1bの上部面1b1との間に空間4″を有するように円形状の分級場1cの周囲の空気取り入れ口1dの近傍にドーナツ状に配設されている。筐体2″の天板2″cには試料(フレーク状樹脂)供給路1a3に対向した位置に開口部2″dと、底板2″aの第2排出口1b3と対向する位置に開口部2″eを有している。空間4″の高さ(下部容器1bの上部面1b1から筐体2″の底板2″a迄の高さ)は、図4(a)に示す物理場付与装置1e2の空間4′の高さと同じである。
【0112】
次に、本図に示す物理場付与装置1e3を有する分級装置を使用してフレーク状樹脂に付着した異物とフレーク状樹脂とを分級するフローに付き説明する。
【0113】
1)吸引ポンプ(不図示)を駆動することで、空気取り入れ口1dからの空気の一部は、物理場付与装置1e3の筐体2″の内部方向(矢印B2方向)と、空間4″方向(矢印B1方向)に流れる。
【0114】
2)試料(フレーク状樹脂)供給路1a3から供給される異物付着フレーク状樹脂5は筐体2″の開口部2″dから筐体2″の内部に落下する。
【0115】
3)落下した異物付着フレーク状樹脂5は、帯電板3″cに衝突することで帯電した状態となる。
【0116】
4)帯電した状態の異物付着フレーク状樹脂5は空気取り入れ口1dからの空気で磁界が発生している磁石3″aと、磁石3″bとの間に運ばれる。この磁界の中を帯電した異物付着フレーク状樹脂5が通ることで磁界により磁場が掛かる。異物付着フレーク状樹脂5の大きさにより磁場の掛かり方が異なるため、磁石3″aと、磁石3″bとの間で異物付着フレーク状樹脂5は乱流状態となり異物付着フレーク状樹脂5同士で衝突を繰り返す状態となる。衝突を繰り返すことで筐体2″の内部は異物付着フレーク状樹脂5から異物5bが剥がれフレーク状樹脂5aと、異物5bが混在した状態となる。即ち、異物付着フレーク状樹脂5には重力と空気の流れから受ける力以外に、磁場が掛かることで帯電したフレークに発生する力でフレークの流れが乱流となり、フレーク同士の衝突回数が増加し、衝突により異物付着フレーク状樹脂5から異物5bが剥がれる。
【0117】
5)筐体2″の内部に流れ込んだ空気は、磁石3″aと、磁石3″bとの間を通過した後、開口部2″eから分級場1c方向(矢印E方向)に流れる。この時、フレーク状樹脂5aと、異物5bとが同時に分級場1cに送り出される。
【0118】
6)分級場1cに送り出されたフレーク状樹脂5aと、異物5bとは、空間4″を流れている空気(開口部2″eからの空気の流れよりも風速が早い)により、軽い異物5bは第1排出口1b2方向(矢印F方向)に運ばれ、吸引管1b5(図2参照)を介して排出される。一方、フレーク状樹脂5aは、重力により第2排出口1b3から下部容器1bに落下し回収口1b4(図2参照)より回収される。
【0119】
この後、回収されたフレーク状樹脂5aはペレット化工程でペレット化し再生樹脂として使用される。
【0120】
本図に示す物理場付与装置の分級条件であるフレーク供給量、吸引管1b5(図2(b)参照)からの吸引空気量、回収口1b4(図2(b)参照)からの吸引空気量、空気取り入れ口1dから筐体2″の内部方向(矢印B2方向)に流れる空気量(開口部2″eから排出される空気量は)、空間4″方向(矢印B1方向)に流れる空気量及び温度は、図4(a)に示す物理場付与装置と同じである。
【0121】
吸引空気量は図4(a)に示す物理場付与装置の場合と同じ方法で求めた値を示す。風速、温度は、図4(a)に示す物理場付与装置の場合と同じ方法で測定した値を示す。
【0122】
分級装置に付与する磁場(磁束密度)は、分級効率等を考慮し、0.05T(テスラ)から10T(テスラ)が好ましく、さらに好ましくは0.5T(テスラ)から10T(テスラ)であることが好ましい。
【0123】
付与する磁場(磁束密度)は、(株)佐藤商事製テスラメーターTM701を使用して測定した値を示す。
【0124】
本発明の再生樹脂の製造方法に係わる廃樹脂としては特に限定なく、通常の熱可塑性樹脂が対象となるが、特に好ましい樹脂としてはポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0125】
(ポリエステル系樹脂)
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0126】
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。
【0127】
これらを主要な構成成分とするポリエステル樹脂の中でも、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステル樹脂が好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステル樹脂や、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル樹脂、及びこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステル樹脂が好ましい。
【0128】
廃樹脂成形品を分別し、粉砕しフレークとした後、前記フレークを少なくとも洗浄工程と、分離工程と、乾燥工程と、分級工程と、ペレット化工程とを有する再生樹脂工程で処理し再生樹脂を製造する時、分級工程に、風力と他の物理場とを組み合わせた分級装置を使用することで、オリゴマーの含有率が1質量%以下である再生樹脂を製造することで次の効果が挙げられる。
【0129】
1.吸水性が高く、水を放出し難いオリゴマーの含有率が減少することで樹脂の加水分解が抑制される。
【0130】
2.樹脂の加水分解が抑制されることで、オリゴマー含め低分子量体の含有率が下がり、再生樹脂の物性値の低下を防止することが可能となった。
【0131】
3.バージン樹脂と同一の用途に再利用することが可能となった。
【実施例】
【0132】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0133】
(実施例1)
図1に示すフロー図に従って廃樹脂から再生樹脂の製造を行った。
【0134】
(廃樹脂の準備)
廃樹脂として市販のペットボトルを1000kg準備した。
【0135】
(分級装置の準備)
分級装置として表1に示すような物理場として風力以外の力場を風力と併用した図3に示す物理場付与装置を使用した図2(a)、(b)に示す分級装置を準備しNo.1A、物理場として電場を風力と併用した図4(a)に示す物理場付与装置を使用した図2(a)、(b)に示す分級装置を準備しNo.1B、物理場として磁場を風力と併用した図4(b)に示す物理場付与装置を使用した図2に示す分級装置を準備しNo.1Cとした。なお、準備した各分級装置No.1Aから1Cの分級場の高さは50mmとした。また、準備した各分級装置No.1Aから1Cの物理場付与装置の底面と、分級装置の下部容器の上面との空間の高さは10mm(分級場の高さの20%)とした。
【0136】
【表1】

(再生樹脂の製造)
分別工程で準備したペットボトル1000kgからキャツプを分別した後、破砕工程で平均値20mm、標準偏差0.2の大きさのフレーク状に破砕した。この後、洗浄工程で汚れ、付着物等を除去するために、温度60℃の温水で攪拌しながら10分間洗浄した後、分離工程で比重差を利用して沈降法により、混在している異種の樹脂を分離した。この後、温度90℃で1分間風により乾燥した。この後、分級工程で、準備した各分級装置No.1Aから1Cを使用し、下記に示す条件で分級を行った。分級工程が終了した段階でフレークの含水率は0.8質量%であった。
【0137】
フレークの含水率は、日立ハイテク(株)製平沼微量水分測定装置を使用しカールフィッシャー法で測定した値を示す。
【0138】
分級工程が終了した後、ペレット化工程でペレタイザーによりペレット化し、ペレット状樹脂を得、表2に示すようにオリゴマーの含有率が異なる再生樹脂を製造し、試料No.101から115とした。廃樹脂のペットボトルのオリゴマーの含有率は0.01質量%であった。
【0139】
なお、オリゴマーの含有率の変化は各分級装置No.1AからCで付与する力場を変化することで行い、オリゴマーの含有率は、明細書本文中の前記記載方法で測定される。オリゴマーは数平均分子量が、100から1500の低分子重合体を言い、明細書本文中の前記記載の方法で測定される。
【0140】
ペレット化は、神戸製鋼(株)製、二軸押出機KTX30(真空ベント2基付き)を使用した。
【0141】
分級装置No.1A
分級処理量:100kg
フレーク供給量:10kg/時
時間:600分
吸引管1b5(図2(b)参照)からの吸引空気量:15m/min
回収口1b4(図2(b)参照)からの吸引空気量:5m/min
試料(フレーク状樹脂)投入口1a2(図2(b)参照)からの空気量:10m/min
空気取り入れ口1d(図3参照)から筐体2(図3参照)の内部方向(矢印B2方向)に流れる空気量:18m/min
空間4(図3参照)方向(矢印B1方向)に流れる空気量:2m/min
吸引空気量は風速に断面積を掛けて求めた値を示す。風速は、日本カノマックス(株)製アネモマスター風速計6141を使用した。
【0142】
温度:25℃
温度は、キーエンス(株)製棒温度センサーを使用して測定した値を示す。
【0143】
風力以外の力場:邪魔板の枚数を変えることにより行った。
【0144】
邪魔板の取り付け角度:筐体の天板に対して45度(分級場の中心に向けて配設)
分級装置No.1B
分級処理量:100kg
フレーク供給量:10kg/時
時間:600分
吸引管1b5(図2(b)参照)からの吸引空気量:15m/min
回収口1b4(図2(b)参照)からの吸引空気量:5m/min
試料(フレーク状樹脂)投入口1a2(図2(b)参照)からの空気量:10m/min
空気取り入れ口1d(図4(a)参照)から筐体2′(図4(a)参照)の内部方向(矢印B2方向)に流れる空気量:18m/min
空間4′(図4(a)参照)方向(矢印B1方向)に流れる空気量:2m/min
吸引空気量は風速に断面積を掛けて求めた値を示す。風速は、日本カノマックス(株)製アネモマスター風速計6141を使用した。
【0145】
温度:25℃
温度は、キーエンス(株)製棒温度センサーを使用して測定した値を示す。
【0146】
付与する電場は、三和電気計器(株)製YX−361TRを使用して測定した値を示す。
【0147】
分級装置No.1C
分級処理量:100kg
フレーク供給量:10kg/時
時間:600分
吸引管1b5(図2(b)参照)からの吸引空気量:15m/min
回収口1b4(図2(b)参照)からの吸引空気量:5m/min
試料(フレーク状樹脂)投入口1a2(図2(b)参照)からの空気量:10m/min
空気取り入れ口1d(図4(b)参照)から筐体2″(図4(b)参照)の内部方向(矢印B2方向)に流れる空気量:18m/min
空間4″(図4(b)参照)方向(矢印B1方向)に流れる空気量:2m/min
吸引空気量は風速に断面積を掛けて求めた値を示す。風速は、日本カノマックス(株)製アネモマスター風速計6141を使用した。
【0148】
温度:25℃
温度は、キーエンス(株)製棒温度センサーを使用して測定した値を示す。
【0149】
付与する磁場は、(株)佐藤商事製テスラメーターTM701を使用して測定した値を示す。
【0150】
【表2】

(評価)
製造した各試料No.101から115に付き、アイゾット衝撃強度を、下記に示す測定方法により測定し、下記の評価ランクに従って評価した結果を表3に示す。
【0151】
アイゾット衝撃強度の測定方法
ペレット状樹脂を100℃で4時間乾燥させた後、射出成形機((株)日本製鋼所製、J55ELII)を用いて、シリンダ設定温度280℃、金型温度40℃で、100mm×10mm×4mmの短冊型試験片を成形した。試験片について、JIS−K7111に準拠してアイゾット衝撃試験(Uノッチ、R=1mm)を行った。なお、バージンPETの衝撃強度は70J/mである。
【0152】
アイゾット衝撃強度の評価ランク
◎:60J/m以上、80J/m未満
○:40J/m以上、60J/m未満
△:30J/m以上、40J/m未満(実用上問題なし)
×:30J/m未満(実用上問題あり)
【表3】

図2(a)、図2(b)、図3、図4(a)又は図4(b)に示す風力と他の物理場とを組み合わせた物理場付与装置を有する分級装置を使用し、オリゴマーの含有率が1質量%以下とした再生樹脂(試料No.102から105、107から110、112から115)はいずれもバージンPETのアイゾット衝撃強度に近いアイゾット衝撃強度を示し優れていることが確認された。オリゴマーの含有率が1質量%を超えた再生樹脂(試料No.101、106、111)はいずれもアイゾット衝撃強度が劣ることが確認された。本発明の有効性を確認した。
【0153】
(実施例2)
分級工程が終了したフレークの含水率を表4に示すように変えた他は全て実施例1で製造した試料No.102と同じ条件で再生樹脂を製造し試料No.201から205とした。なお、フレークの含水率は、乾燥温度を調節して、変化した。含水率は、実施例1と同じ方法で測定した値を示す。
【0154】
(評価)
製造した各試料No.201から205に付き、実施例1と同じアイゾット衝撃強度に付き、実施例1と同じ測定方法により測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表4に示す。
【0155】
【表4】

分級工程で分級処理が終了した後のフレークの水分量が1質量%以下で作製した試料No.202から205はいずれもアイゾット衝撃強度はバージンPETのアイゾット衝撃強度に近い優れた結果を示した。フレークの水分量が水分量が1.3質量%で作製した試料No.201は、実用的に問題ないが多少アイゾット衝撃強度が劣る結果を示した。本発明の有効性を確認した。
【0156】
(実施例3)
図1に示すフロー図に従って廃樹脂から再生樹脂の製造を行った。
【0157】
(廃樹脂の準備)
廃樹脂として実施例1と同じ市販のペットボトルを1000kg準備した。
【0158】
(分級装置の準備)
物理場付与装置の底面と、分級装置の下部容器の上面との空間の高さを表5のように変えた実施例1で準備した分級装置No.1Bと同じ型の分級装置を準備し、分級装置No.3Aから3Eとした。分級場の高さは50mmとした。また、物理場付与装置の底面と、分級装置の下部容器の上面との空間の高さhの分級場の高さHに対する割合(%)を表5に示す。
【0159】
なお、物理場付与装置を使用しない他は分級装置No.1Bと同じ型の分級装置を準備し、比較分級装置No.3Fとした。
【0160】
【表5】

(再生樹脂の製造)
分別工程で準備したペットボトル1000kgからキャツプを分別した後、破砕工程で表6に示すような大きさのフレーク状に破砕し破砕樹脂No.3−1から3−5とした。この後、洗浄工程で汚れ、付着物等を除去するために、温度60℃の温水で攪拌しながら10分間洗浄した後、分離工程で比重差を利用して沈降法により、混在している異種の樹脂を分離した。この後、温度90℃で1分間風により乾燥した。この後、分級工程で、準備した各分級装置No.3Aから3Fを使用し、分級処理量を100kg、フレーク供給量を50kg/時供給量とした他は表7に示す条件で分級を行った。分級工程が終了した段階でフレークの含水率は0.8質量%であった。フレークの含水率は、実施例1と同じ方法で測定した値を示す。
【0161】
吸引空気量は風速に断面積を掛けて求めた値を示す。風速は、日本カノマックス(株)製アネモマスター風速計6141を使用した。
【0162】
分級工程が終了した後、ペレット化工程でペレタイザーによりペレット化し再生樹脂を製造し、試料No.301から336とした。廃樹脂のペットボトルのオリゴマーの含有率は0.01質量%であった。
【0163】
ペレット化は、神戸製鋼(株)製、二軸押出機KTX30(真空ベント2基付き)を使用した。
【0164】
【表6】

【表7】

空気量1:気取り入れ口1d(図4(a)参照)から筐体2′(図4(a)参照)の内部方向(矢印B2方向)に流れる空気量
空気量2:空間4′(図4(a)参照)方向(矢印B1方向)に流れる空気量
(評価)
製造した各試料No.301から336に付き、オリゴマー含有量を、実施例1と同じ測定方法により測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表8に示す。
【0165】
【表8】

風力と風力以外の他の物理場(力場)とを組み合わせた物理場付与装置を有する分級装置を使用し、フレーク状の廃樹脂の大きさに合わせ分級条件を変えて再生した熱可塑性樹脂の試料No.301から331のオリゴマーの含有率はいずれも1質量%以下であることが確認された。風力を使用し、風力以外に他の物理場(力場)を使用しない物理場付与装置を有する分級装置の場合はいずれも再生した試料No.332から336はいずれもオリゴマーの含有率は1質量%を超える結果となってしまった。本発明の有効性を確認した。
【0166】
(実施例4)
図1に示すフロー図に従って廃樹脂から再生樹脂の製造を行った。
【0167】
(廃樹脂の準備)
廃樹脂として実施例1と同じ市販のペットボトルを1000kg準備した。
【0168】
(分級装置の準備)
物理場付与装置の底面と、分級装置の下部容器の上面との空間の高さhを表9のように変えた実施例1で準備した分級装置No.1Aと同じ型の分級装置で、実施例1で作製した試料No.103と同じ邪魔板を有する分級装置を準備しNo.4Aから4Eとした。分級場の高さHは50mmとした。また、物理場付与装置の底面と、分級装置の下部容器の上面との空間の高さhは分級場の高さHに対する割合(%)で示す。なお、物理場付与装置を使用しない他は分級装置No.1Aと同じ型の分級装置を準備し、比較分級装置No.4Fとした。また、物理場付与装置を使用せずに分級装置の下部容器の上面に、物理場付与装置に配設した邪魔板の位置と同じ位置に同じ第1邪魔板、第2邪魔板を配設した分級装置を準備し、比較分級装置No.4Gとした。
【0169】
【表9】

(再生樹脂の製造)
分別工程で準備したペットボトル1000kgからキャツプを分別した後、破砕工程で表10に示すような大きさのフレーク状に破砕し破砕樹脂No.4−1から4−5とした。この後、洗浄工程で汚れ、付着物等を除去するために、温度60℃の温水で攪拌しながら10分間洗浄した後、分離工程で比重差を利用して沈降法により、混在している異種の樹脂を分離した。この後、温度90℃で1分間風により乾燥した。この後、分級工程で、準備した各分級装置No.4Aから4Gを使用し、分級処理量を100kg、フレーク供給量を50kg/時供給量とした他は表11に示す条件で分級を行った。なお、分級時間は180分とした。分級工程が終了した段階でフレークの含水率は0.8質量%であった。フレークの含水率は、実施例1と同じ方法で測定した値を示す。
【0170】
吸引空気量は風速に断面積を掛けて求めた値を示す。風速は、日本カノマックス(株)製アネモマスター風速計6141を使用した。
【0171】
分級工程が終了した後、ペレット化工程でペレタイザーによりペレット化し再生樹脂を製造し、試料No.401から441とした。廃樹脂のペットボトルのオリゴマーの含有率は0.01質量%であった。オリゴマーの含有率は実施例1と同じ方法で測定した値を示す。
【0172】
ペレット化は、神戸製鋼(株)製、二軸押出機KTX30(真空ベント2基付き)を使用した。
【0173】
【表10】

【表11】

空気量1:気取り入れ口1d(図3参照)から筐体2(図3参照)の内部方向(矢印B2方向)に流れる空気量
空気量2:空間4(図3参照)方向(矢印B1方向)に流れる空気量
(評価)
製造した各試料No.401から441に付き、オリゴマー含有量を、実施例1と同じ測定方法により測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表12に示す。
【0174】
【表12】

風力と他の物理場(力場)とを組み合わせた物理場付与装置を有する分級装置を使用し、フレーク状の廃樹脂の大きさに合わせ分級条件を変えて再生した熱可塑性樹脂の試料No.401から431のオリゴマーの含有率はいずれも1質量%以下であることが確認された。物理場付与装置を使用しない分級装置の場合はいずれも再生した熱可塑性樹脂の比較試料No.432から436はオリゴマーの含有率は1質量%以上となってしまった。また、物理場付与装置を使用せずに、風力と他の物理場(力場)とを組み合わせた分級装置を使用し、フレーク状の廃樹脂の大きさに合わせ分級条件を変えて再生した熱可塑性樹脂の比較試料No.437から441はいずれもオリゴマーの含有率は1質量%を超える結果となってしまった。本発明の有効性を確認した。
【符号の説明】
【0175】
1 分級装置
1a 上部容器
1a1 内部容器
1a11 下部面
1a2 試料(フレーク状樹脂)投入口
1a3 試料(フレーク状樹脂)供給路
1b 下部容器
1b1 上部面
1b2 第1排出口
1b3 第2排出口
1b4 回収口
1b5 吸引管
1c 分級場
1d 空気取り入れ口
1e1、1e2、1e3 物理場付与装置
2、2′ 筐体
2d、2e、2′d、2′e、2″d、2″e 開口部
3a 第1邪魔板
3b 第2邪魔板
3′a 陽極
3′b 陰極
3′c、3″c 帯電板
3″a、3″b 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃樹脂成形品を分別し、破砕し、破砕フレークとした後、前記破砕フレークを少なくとも洗浄工程と、分離工程と、乾燥工程と、分級工程と、ペレット化工程とを有する再生樹脂工程で処理し再生樹脂を製造する再生樹脂製造方法において、
前記分級工程は、風力と他の物理場とを組み合わせた物理場付与装置を分級場の内部に設けた分級装置を使用し、
前記再生樹脂のオリゴマーの含有率が1質量%以下であることを特徴とする再生樹脂製造方法。
【請求項2】
前記物理場付与装置は前記分級場の内部に該分級場の高さに対して10%から50%の空間の該分級場の下部を持って該分級場の上部に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の再生樹脂製造方法。
【請求項3】
前記他の物理場が磁場であり、該磁場を付与する磁場付与手段を前記物理場付与装置の内部に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の再生樹脂製造方法。
【請求項4】
前記他の物理場が電場であり、該電場を付与する電場付与手段を前記物理場付与装置の内部に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の再生樹脂製造方法。
【請求項5】
前記他の物理場が力場であり、該力場を付与する力場付与手段を前記物理場付与装置の内部に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の再生樹脂製造方法。
【請求項6】
前記力場付与手段が第1邪魔板と、第2邪魔板とから構成されており、該第1邪魔板の枚数をn枚とした時、第2邪魔板の枚数は(n+k)枚(n及びkは、各々独立に1以上の整数)であることを特徴とする請求項5に記載の再生樹脂製造方法。
【請求項7】
前記廃樹脂成形品はポリエステル系樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生樹脂製造方法。
【請求項8】
前記分級工程で分級処理が終了した後の前記破砕フレークの水分量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生樹脂製造方法。
【請求項9】
前記オリゴマーは数平均分子量が100から1500の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生樹脂製造方法。
【請求項10】
前記破砕フレークの大きさが、5mmから30mmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生樹脂製造方法。
【請求項11】
前記破砕フレークのアスペクト比が1から10の範囲内であることを特徴とする請求項10に記載の再生樹脂製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−206511(P2012−206511A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−55198(P2012−55198)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】