説明

冷却装置、並びに冷却装置を含む車両

本発明は車両(90)の冷却装置に関し、該装置は、冷却器部品(120)と、該冷却器部品(120)への周囲空気の取入れ口を画定する車両(90)のケーシング壁(12a)とを含む。前記冷却器部品(120)のフロント表面(130a)は、前記ケーシング壁(12a)と実質的に同一平面に配置されるように前記取入れ口に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の冷却装置に関し、該装置は、車両の冷却器部品と、冷却器部品に対する周囲空気の取入れ口を画定するケーシング壁とを含む。本発明はさらに、冷却装置を含む車両、特に、トラックのような商用車に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックの場合、エンジンは、前輪と、通常、運転室下方との間のトラックの前部に設置される。トラックの先端地点とエンジンとの間のスペースには、冷却器などの部品が密にパッケージされている。一般に、車両グリルとエンジンとの間には、コンデンサ、給気冷却器及びラジエータなどの冷却器部品が配置されている。別の部品、例えば、ファン、ファンカバー、前部密閉クロスメンバー及びキャブトーションバーもまた、通常、トラックの先端地点とエンジンとの間のスペース内に配置されている。この区画内のスペースは使い尽くされているにも関わらず、冷却性能の向上を達成するという要求があり、そのためには、より広い(深い)エンジン冷却器部品が必要である。フロントエンド冷却パッケージングを圧縮する以外の解決策は、エンジンを後方に移すというものである。当分野では、車両の限られた空間に対処するための複数の解決策が知られている。しかし、エンジンを後方に移すと、車体長さに悪影響を及ぼし、車両の大がかりな設計のやり直しが必要となる。
【0003】
特許文献1は、複数の熱交換器を含む冷却器構成を開示している。ラジエータ、給気冷却器及びコンデンサは、冷却空気の流れの方向に直列で配置される。勾配を用いて、ラジエータ及び吸気冷却器の高さの一部が、他の冷却器部品とは異なる同様の奥行寸法を有するようにすることによって、スペース利用を改善する。
【0004】
これに対して、顧客は、トラックの有料荷重に利用可能なスペースを最適化することを望んでいる。多くの国々では、法的な要求事項によって、トラックの長さを限定している。従って、有料荷重スペースの最適化とは、キャブが含むスペースを最小限にすることによって有料荷重を保存するために車体長さを出来る限り多く利用する、すなわちキャブを可能な限り短くすることを意味する。こうした最適化の目標は、キャブ内の冷却パッケージに必要なスペースの増加と相反するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0231234号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、車両の冷却装置を提供することであり、冷却装置は、特に車両エンジンを冷却する目的で、改善された冷却性能の条件を形成する。本発明の別の態様は、上記の冷却装置を車両に付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、請求項1に記載の特徴によって達成される。その他の請求項及び説明は、本発明の有利な実施形態を開示する。
【0008】
従って、上記の目的は、車両の冷却装置を用いて達成され、該装置は、冷却器部品と、冷却器部品への周囲空気の取入れ口を画定する車両のケーシング壁とを含み、冷却器部品のフロント表面が、ケーシング壁と実質的に同一平面に配置されるように、冷却器部品が取入れ口に配置されることを特徴とする。冷却器部品のフロント表面は、好ましくはケーシング壁の外表面と実質的に同一平面に配置される。さらに、冷却器部品のフロント表面は、好ましくはケーシング壁と平行して、すなわち空気取入れ口を取り囲むケーシング壁の部分によって画定される平面と平行に配置される。
【0009】
「〜と実質的に同一平面」という用語は、冷却器部品のフロント表面とケーシング壁の外表面が、互いに完全に直線上に並ぶことだけではなく、これらの表面が互いに対して幾分ずれている(従来の車両グリル構成の形態のように)構成も含む、広範な意味で解釈されたい。
【0010】
「ケーシング壁」という用語は、外側に向いた、すなわち外部環境にさらされた外表面と、内側に向いた、すなわち車両のエンジンに向かう内表面を備える壁を画定する。トラックの場合には、ケーシング壁は、エンジンルームを限定する壁を形成して、この壁はトラックの縦方向に対して直角の平面上に延在し、キャブの前面ガラスの下方に配置される。
【0011】
冷却器部品、例えば、コンデンサは、部品が、走行中に空気の取込み口に到達する恐れのある物体、例えば、石などの衝撃に耐えられるような設計であることが知られている。具体的には、コンデンサのチューブの壁厚は、チューブがより大きな内圧に応じられるように(従って、冷却性能を改善するために)次第に大きくなっている。こうしたより大きな壁圧のコンデンサ冷却チューブを配置することにより、コンデンサはより堅固となるため、物体による衝撃時に故障しにくくなる。
【0012】
さらに、冷却器部品の少なくともフロント表面を車両、例えば、車両キャブのフロントケーシング壁と同一平面に配置することにより、トラックの先端地点とエンジンとの間に貴重な構成スペースが確保される。その結果、このスペース内のその他の冷却部品、例えば、ラジエータ、給気冷却器及び/又はEGR冷却器はより大きな寸法のものとなり得るため、冷却性能を改善する条件が形成される。さらに、今日の冷却装置では、再循環シールドを用いて、空気を冷却パッケージに向けて、熱空気の再循環を防止する。有利には、こうした再循環シールドを回避できる。加えて、キャブをより短くすることができ、これによって車両中の骨材及び/又は有料荷重のためのより多くのスペースの確保が可能になる。言い換えれば、より多くの部品を搭載し、且つ/又は冷却器部品のサイズを大きくし、且つ/又はキャブの長さを短縮するのに利用可能な自由なスペースが生じる。好ましくは、冷却器部品は、現在、車両グリルである構造の少なくとも一部を形成する。
【0013】
一実施形態によれば、冷却器部品のフロント表面は、ケーシング壁を画定する面に対して直角をなす方向で、ケーシング壁の外表面から距離60mm、好ましくは40mm以内に配置される。外表面は、冷却器部品とは反対に向かうケーシング壁の表面を形成し、ケーシング壁の内表面は、冷却器部品に向いた表面を形成する。フロント表面がケーシング壁の外表面の上記距離内にあるように冷却器部品を配置することによって、貴重な構成スペースがこの領域に確保され、これにより、冷却性能を改善する条件が形成される。
【0014】
好ましくは、取入れ口に配置される冷却器部品は、車両の空気調和系統の一部を形成するように構成されている。
【0015】
別の実施形態では、冷却空気取入れ口内に車両グリルを配置して、冷却器部品のフロント表面を車両グリルに組み込む。従って、本発明は、冷却器部品が車両グリルを代用するものに限定されるわけではなく、車両グリル構造は、空気取入れ口に今まで通り存在してもよい。例えば、冷却器部品の冷却チューブは、車両グリルの縦長リブと平行に配置して、リブに取り付けてもよい。
【0016】
車両グリルは、トラックのフロントケーシング壁に大きな空気取入れ口を設けており、これは、グリルに当たる相対風と熱を交換することにより、媒質を効率的に冷却する上で有利である。利用可能なグリル面積は、冷却パッケージ内の部品の典型的な単一熱交換表面より大きい。従って、同じ構成及び設計を様々なサイズのキャブで用いることができる。2つ以上の冷却器部品の間のグリル面積を共有することも可能である。さらに、表面部分をグリルに組み込むことにより、熱交換グリルの様々な設計を実施できる。
【0017】
別の実施形態によれば、一平面上の冷却器部品のフロント表面の寸法は、ケーシング壁と平行の平面上にある冷却空気取入れ口の寸法と実質的に同じである。好ましくは、一平面上の冷却器部品のフロント表面の寸法は、形状及びサイズに関して、冷却空気取入れ口の寸法と適合するように設計される。好ましくは、冷却器部品の境界の突起は、空気取入れ口の境界内に位置する。好ましくは、冷却器部品のフロント表面は、実質的に長方形の形状を画定する。
【0018】
別の実施形態によれば、冷却器部品は、冷却液を運搬するように構成された複数の冷却液チューブを備える管状系統を含み、複数のチューブは、冷却器部品のフロント表面を画定する。好ましくは、複数の冷却液チューブは、車両グリルを画定する構造と熱接触して配置される。冷却液チューブは、好ましくは一平面上で互いに平行に配置される。好ましくは、冷却器部品は、冷却液チューブと交互に重なる構成で熱交換表面の積重ねを含み、その際、冷却液チューブは、熱交換表面と熱接触している。
【0019】
好適には、フロント表面を形成する冷却器部品は、ハニカム模様として形成することができる。チューブ及び熱交換器ひれは、例えば、アルミニウム、アルミニウム含有合金、又は別の軽金属若しくは軽金属合金から作製できる。上記模様、例えばハニカム模様若しくは別の所望する模様の密度は、表面部分の冷却要件を満たすように選択できる。
【0020】
別の実施形態によれば、冷却液チューブは、少なくとも3MPa、好ましくは少なくとも5MPaの破壊圧力に対応するように設計されている。この圧力は、冷却液チューブ壁が、相当な厚さであることを必要とし、これによって、冷却器部品は、空気取入れ口での用途に好適なものとなる。
【0021】
別の実施形態によれば、冷却器部品は、コンデンサによって形成される。コンデンサは、その堅固な設計のために空気取入れ口での用途に特に適した冷却器部品として認められている。
【0022】
別の実施形態によれば、冷却器部品は、ケーシング壁にしっかりと取り付けられる。例えば、冷却器部品は、ボルト連結により、空気取入れ口付近のケーシング壁に固定できる。この設計は、非常にコンパクトで、しかも空間効率的な構成のための条件を形成する。好適には、冷却器部品への冷却液管路のルーティングを車両のキャブに限定できるため、キャブの通常の旋回可能なドア(フロントハッチ)の開放が可能になる。
【0023】
別の実施形態によれば、冷却装置は旋回可能なドアを含み、ドアは空気取入れ口を含み、冷却器部品は旋回可能なドアにしっかりと取り付けられている。従って、冷却器部品は、旋回可能なドアを取り囲むケーシング壁部分に対して旋回可能に設置される。
【0024】
好ましくは、冷却器部品のフロント表面は、フロントケーシング壁を画定する平面に対して直角の方向で車両の先端地点からの距離100mm以内に配置する。車両の先端地点は、EU指令97/27/ECに従って決定される車体長さを測定するためのフロントポイントを表す。1997年7月22日の欧州議会及び評議会のEU指令97/27/ECは、自動車及びそのトレーラのいくつかのカテゴリの集合及び寸法に関するものであり、指令70/156/EECを修正したものである。ISO規格ISO612−1978は、車両の縦中心面に対する鉛直面で、車両の前端及び後端に接触する2つの鉛直面の間の距離として車体の長さを定義している。EU指令97/27/EC、パラグラフ2.4.1によれば、「車体の長さ」は、ISO規格612−1978、第6.1項に従って測定される寸法である。上記規格の条項以外に、車体の長さを測定する際、以下の装置を計算に入れてはならない。
‐ワイパー及びワッシャ装置
‐前部及び後部マーキングプレート
‐特注密封装置及びその保護物
‐ターポリンを固定するための装置及びその保護物
‐照明設備
‐バックミラー
‐後方空間監視補助装置
‐空気取入れパイプ
‐取外し可能な車体のレングスストップ
‐アクセスステップ
‐ラムラバー
‐引き上げプラットフォーム、アクセス傾斜板及び順調に作動する類似の装置で、200mmを超えないもの、ただし、車両の荷重が増加しないものに限る
‐自動車の連結装置
【0025】
従って、車両の先端地点は、上に挙げた突出物体のない車体長さの先端地点である。
【0026】
本発明の好適な実施形態によれば、冷却器部品からの冷却液の引出し口は、冷却器部品の最下部に配置できる。これにより、コンデンサ中の冷却液の有利な流路が提供される。好適には、引入れ口はコンデンサの上部に配置する。
【0027】
さらに別の好ましい実施形態及びその利点は、以下の説明、図面及び特許請求の範囲から明らかになろう。
【0028】
本発明は、前述及びその他の目的並びに利点と共に、実施形態についての以下の詳細な説明から明瞭に理解されよう。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1a】本発明の車両の第1実施形態の側面図である。
【図1b】従来の冷却パッケージの断面図である。
【図1c】図1aの車両の冷却パッケージの一実施例の断面図である。
【図2】本発明の車両グリルに組み込まれるコンデンサの実施例を示す図である。
【図3】図1aの車両の実施例の正面図である。
【図4】本発明の一実施例の側面図である。
【図5】本発明の一実施例の側面図である。
【図6】本発明の一実施例の側面図である。
【図7】図6に示す実施形態のコンデンサ設置の概略的斜視図である。
【図8】コンデンサの例示的な設置の3つの異なる図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面では、同じ、若しくは類似の要素は、同じ参照番号によって示す。これらの図面は、単に概略的な表示に過ぎず、本発明の具体的パラメーターを示すことを意図していない。さらに、これら図面は、本発明の典型的実施形態のみを示すことを意図するものであり、従って、本発明の範囲を制限するものとして考えるべきではない。
【0031】
図1aは、トラック、具体的にはセミトレーラトラクタの形態をした車両90の側面図を示す。セミトレーラは、いわゆる第5車輪を介してセミトレーラトラクタに連結されている。トラックは、いわゆる前方制御キャブの形態のキャブ20を含み、これはトラックの電源(通常、ディーゼルエンジン)上方に配置される。整備及びメンテナンスに関して、エンジンに接近するために、キャブ全体を前方に傾斜させることができる。図4b、図5b、図6bも同様に参照されたい。
【0032】
図1bは、従来技術の冷却パッケージの断面を示し、図1cは、図1aのキャブ20内の冷却パッケージ100の一実施例の断面を示す。ケーシング12は、少なくとも1つの冷却器部品102、104、108、110、112、120への冷却空気の取入れ口を画定するが、図1a及び図1cに示すように、冷却器部品120の1つは、取入れ口において、冷却器部品120のフロント表面130aがフロントケーシング壁12aと実質的に同一平面に配置されるように、設置する。
【0033】
ケーシング壁12は、多数の冷却器部品102、104、108、110、112、120を収納する冷却パッケージ100を含むエンジンルームを取り囲む。キャブ20のケーシング12の下方に、前車輪16が配置される。さらに、キャブ20の外側ケーシング12は、エンジンルームの上で、客室を取り囲む。
【0034】
この実施例においては、キャブ20のフロントケーシング壁12aは、鉛直面と実質的に平行であり、車両90のいわゆる先端地点10(外表面)を呈示し、該地点から車両90の長さが測定される。
【0035】
キャブ20のフロント部分内に、車両グリル30が設置されるが、グリルは、キャブ20の旋回可能な上部22に位置する上方部分32と、キャブ20の下方の固定部24に位置する下方部分34とを有する。上方部分32は、例えば、エンジン114及び冷却パッケージ100に接近できるように、前部に向けて旋回させることができる。車両グリル30は、縦車体軸Lに対して先端地点10からわずかな距離50以内に配置される。
【0036】
従来技術(図1b)の冷却パッケージ100の冷却器部品102、104、108、110、112、120は、ケーシング12とエンジン114との間に密にパックされている。例えば、冷却器ユニット110はファンであり、冷却ユニット120は空気調和系統のコンデンサであり、冷却器ユニット112は給気冷却器であり、冷却器ユニット108はラジエータであり、また他の冷却器ユニット102、104は、他の熱交換器であってよい。
【0037】
トラックに関する従来技術では、コンデンサ120を給気冷却器112前方の冷却パッケージ100に取り付ける。これは、例として、典型的なフロント面の面積28dm2(FH)、奥行19mm、周囲ひれの総伝熱面積6.7m2を有する。
【0038】
コンデンサ120は、バンパー26及びケーシング12のすぐ後ろで冷却パッケージ100の一番前に位置する部品として配置される。コンデンサ120は、熱交換装置132を通じて移動する相対風と熱を交換するために設けられる表面を含む熱交換装置132(冷却器部品)を構成する。本発明の冷却装置で用いるコンデンサの実施例は、図2でさらに詳細に説明する。
【0039】
図1cに示す本発明の実施例からわかるように、熱交換装置132の1つ、例えば、コンデンサ120は、ケーシング12に近接させて、ケーシングの先端地点からわずかな距離50以内でフロントケーシング壁12aとほぼ同一平面に配置して、冷却パッケージ100内に自由空間を残すが、該空間を用いて、冷却パッケージ100の他の部品の容量を増大させ、且つ/又は冷却パッケージ100の長さ、従って、キャブ20の長さを短縮できる。
【0040】
好ましくは、冷却パッケージ100の少なくとも1つの冷却器部品102、104、108、110、112、120の熱を交換するために設けられた表面部分130は、先端地点10からの距離100mm、特に80mm、好ましくは60mm及び有利には40mm以内に配置される。例えば、コンデンサ120は、グリル30に組み込むことができ、特に、キャブ20のグリル30を構成し、好ましくはグリル30の実質的部分を覆うことができる。
【0041】
図2は、図1a及び図1cの車両グリル30に組み込むことができるコンデンサ120の一実施例を示す。
【0042】
コンデンサ120は、ひれ124と交互に重なるチューブ126の複数の列128の積重ねを呈示する。ひれ124は、ひれ124の周囲を移動する空気にチューブ126からの熱を伝達する熱交換表面130をなす。上記の列128は、冷却液を含み得るタンク122の間に延びている。
【0043】
ひれ124は、例えばハニカム模様で、成形又は押出しアルミニウムから作製でき、典型的なグリルの外見を形成する。この模様は他の設計であってもよく、グリル30を設計する上でのさらなる自由度をもたらす。例えば、寸法25x20mmのハニカム模様で、コンデンサ奥行が30mmであれば、同等の性能にするために、寸法が1,500x665mm(1m2)を必要とする。さらに密度の高い模様であれば、必要なコンデンサ面積はより小さくなる。有効なコンデンサ面積は、ひれ124の模様の密度によって調節できる。
【0044】
図3は、グリル30に組み込まれたコンデンサ120と一緒に、図1aに側面図として示した車両90の車両キャブ20の実施形態の正面図を示す。コンデンサは、グリル30の上部32及び/又は下部34に組み込むことができる。
【0045】
グリル30の上部32を用いる場合には、コンデンサ120をキャブ20に取り付けることができる。これは、コンデンサ120と、空気調和系統(AC系統)の蒸発器(図示なし)の両方をキャブ20に配置して、両者同士の接続が、軟質管ではなく、非軟質(硬質)パイプから構成され得るという利点を有する。軟質チューブは、コンデンサ120と蒸発器との間に運動がある場合に用いる。この運動は、空気中への冷却液の漏れを引き起こし得る。この漏れはパイプによって防止される。
【0046】
上記の完全なAC系統をキャブ20に取り付けることができ、これは、ACルーティングがキャブ20のみに存在することを意味する。好適には、上記ルーティングによって、ケーシング12に配置されたフロントハッチの開放が可能になる。
【0047】
好適には、エンジンを後方に移動させることなく、より効率的な冷却を提供でき、しかもキャブ20の長さを短縮することが可能になる。
【0048】
図4aは、前方制御キャブ20の概略的側面図を示すが、冷却器部品120は車両のシャーシ(フレーム)410に取り付けられる。前方制御キャブは、シャーシに対して旋回可能に設置され、図4aでは第1位置に示されているが、該位置は、トラックの走行中の動作位置を表す。ケーシング壁12aは、エンジンルームを画定するように配置される。ケーシング壁12aは、車両の前面に配置されて、ケーシング壁12aは、車両の縦方向に対してほぼ直角に延在する。図4bは、第2の傾斜位置における前方制御キャブを示すものであり、エンジンルーム内のエンジン又は他の部品の点検/整備のための位置を表す。冷却器部品120の位置は、部品がフレーム410にしっかりと接続されているため、キャブの傾斜によって影響されない。
【0049】
図5aは、前方制御キャブ20の概略的側面図を示すが、冷却器部品120は、車両のフロントケーシング壁12aに取り付けられる。前方制御キャブは、シャーシに対して旋回可能に設置され、図5aでは第1位置に示されているが、該位置は、トラック走行中の動作位置を表す。図5bは、第2の傾斜位置における前方制御キャブを示すものであり、エンジンルーム内のエンジン又は他の部品の点検/整備のための位置を表す。冷却器部品120は、部品がキャブのフロント壁に取り付けられているため、フレーム410に対して第2傾斜位置に位置する。
【0050】
図6aは、前方制御キャブ20の概略的側面図を示すが、冷却器部品120は、車両のフロントケーシング壁12aに設置された旋回可能なドア610に取り付けられる。前方制御キャブは、シャーシに対して旋回可能に設置され、図6aでは第1位置に示されているが、該位置は、トラック走行中の動作位置を表す。図6bは、第2の傾斜した位置における前方制御キャブを示すものであり、エンジンルーム内のエンジン又は他の部品の点検/整備のための位置を表す。冷却器部品120は、部品が旋回可能なドアに取り付けられているため、キャブのフロントケーシング壁12aに対して第2の傾斜位置に位置する。
【0051】
図7は、図6に示す実施形態のコンデンサ設置の概略的斜視図を示す。コンデンサ120は、冷却液を含むタンク722、724の間に延びる管状構造720を含む。引入れ冷却液管路726は第1タンク722に接続され、引出し冷却液管路728は、第2タンク724に接続される。
【0052】
図8aは、別の実施形態のコンデンサ120を備える旋回可能なドア810の外側から見た図を示す。旋回可能なドア810は、空気取入れ口を含み、コンデンサ120は、空気取入れ口を完全に覆うように、ドアの内側に配置される。図8bは、コンデンサ120を備える旋回可能なドア810の内側から見た図を示す。図8cは、図8bの線A−Aに沿った横断面を示す。矢印820は、入ってくる気流を示す。コンデンサ120は、トラックに適用する場合、水平方向に延びる、間隔をあけた複数の平行な冷却液チューブ830を含む。さらに、熱交換表面を有する冷却構造840は、冷却液チューブと熱接触して配置される。冷却構造は、例えば、図2に示す実施形態と同様のハニカム模様で、成形又は押出しアルミニウムから作製できるひれを含む。保護構造842は、物体の衝撃から冷却液チューブ830を保護するために、チューブの前方に配置される。保護構造842は、各チューブ830の外側に配置される保護手段を含む。さらに具体的には、保護手段は、チューブ830の外側形状に適合する形状をした保護壁を形成する。この実施形態では、保護手段は、断面が丸い形状をしている。保護構造842は、好ましくはコンデンサ120、並びに、特に冷却構造及び/又は冷却液チューブに取り付けられる。
【0053】
別の実施例によれば、コンデンサの冷却液チューブの壁厚は少なくとも1mmである。さらに、冷却液チューブは、好ましくは押出しによって製造される。例えば、冷却液チューブは、長方形の長い方の辺の間に少なくとも1つの内側中壁を有する長方形の断面形状をしており、複数の冷却液通路が各冷却液チューブ内に形成される。1つの具体的実施例では、冷却液チューブは、4つの内側中壁を含み、そこで5つの冷却液通路が形成される。各冷却液通路は、辺が1mm及び2mmの長方形をしていてよい。
【0054】
本発明は、前述した実施形態に限定されるわけではなく、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、複数の代替物及び変更が可能である。
【0055】
本発明は、前方制御キャブを有するトラックについて以上説明してきたが、本発明は、いわゆる通常の制御キャブについても適用可能であり、キャブは、トラックの縦方向においてエンジンの後ろに位置している。さらに、本発明は、トラックに限定されるわけではなく、バス、建設機械及び恐らくは乗用車にも適用可能である。さらに、本発明は、冷却器部品が、車両の前部の空気取入れ口に位置しているものに限定されるわけではない。例えば、バスの場合には、エンジン(及び冷却装置)は車両の後部に位置し、空気取入れ口は車両のサイドケーシング壁内に位置する。このような用途では、冷却器部品はサイドケーシング壁に配置される。
【0056】
本発明は、冷却器部品が、ケーシング壁の外表面に対してやや引っ込んでいるものだけではなく、冷却器部品が、ケーシング壁の外表面から突出しているものも含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(90)の冷却装置であって、該装置は、冷却器部品(120)と、該冷却器部品(120)への周囲空気の取入れ口を画定する車両(90)のケーシング壁(12a)とを含み、前記冷却器部品(120)のフロント表面(130a)が、前記ケーシング壁(12a)と実質的に同一平面に配置されるように、前記冷却器部品(120)が前記取入れ口に配置される、
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記冷却器部品(120)のフロント表面(130a)が、前記ケーシング壁(12a)を画定する平面と直角を成す方向で、ケーシング壁(12a)の外表面(10)からの距離60mm以内に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
車両グリル(30)が、前記冷却空気取入れ口に配置され、前記冷却器部品(120)のフロント表面(130a)が車両グリル(30)に組み込まれている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項4】
一平面上の前記冷却器部品(120)のフロント表面(130a)の寸法が、前記ケーシング壁(12a)と平行の平面上の前記空気取入れ口の寸法と実質的に同じである、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却器部品(120)が管状系統を含み、該管状系統は、冷却液を運搬するように構成された複数の冷却液チューブ(124)を備え、また、複数の前記チューブ(124)が、前記冷却器部品(120)のフロント表面(130a)を画定する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項6】
前記冷却器部品(120)が、冷却液チューブ(124)と交互に重なる構成の熱交換表面(126)の積重ねを含み、冷却液チューブ(124)が、熱交換表面(126)と熱接触している、
ことを特徴とする請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却液チューブ(124)が、少なくとも3MPaの破壊圧力に対応するように設計されている、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の冷却装置。
【請求項8】
複数の前記冷却液チューブが、前記車両グリルを画定する構造と熱接触して配置される、
ことを特徴とする請求項3又は請求項5〜7のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記冷却器部品が、コンデンサ(120)によって形成される、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項10】
前記冷却器部品(120)が、ケーシング壁(12a)にしっかりと取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項11】
前記冷却装置が、旋回可能なドア(610、810)を含み、該ドアは前記冷却空気取入れ口を含み、前記冷却器部品(120)が、前記旋回可能なドアにしっかりと取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記冷却器部品(120)からの冷却液の引出し口が、前記冷却器部品(120)の最下部に位置している、
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の冷却装置を含む、
ことを特徴とする車両(90)。
【請求項14】
前記冷却器部品(120)が、前記車両のシャーシ(410)に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項13に記載の車両。
【請求項15】
前記ケーシング壁(12a)が、エンジンルームを画定するように配置されている、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の車両。
【請求項16】
前記ケーシング壁(12a)が、前記車両の前面に配置され、前記ケーシング壁(12a)が、前記車両の縦方向に対してほぼ直角に延びる、
ことを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の車両。
【請求項17】
前記冷却器部品(120)のフロント表面(130a)が、前記フロントケーシング壁を画定する平面に対して直角の方向で、前記車両の先端地点から距離100mm以内に配置される、
ことを特徴とする請求項16に記載の車両。
【請求項18】
前記車両がトラックによって形成される、
ことを特徴とする請求項13〜17のいずれか一項に記載の車両。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−530019(P2012−530019A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516027(P2012−516027)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000303
【国際公開番号】WO2010/147514
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(500277711)ボルボ ラストバグナー アーベー (163)
【Fターム(参考)】