説明

冷却装置、電子機器及び送風装置

【課題】ヒートシンクに付着した塵埃を自動的に除去することができる送風装置、この送風装置とヒートシンクとを含む冷却装置などの技術を提供すること
【解決手段】
冷却装置は、送風口4を有する送風機構10と、送風口4に対向するように設けられたヒートシンク20と、送風口4及びヒートシンク20の間を移動可能な開口部材30とを備えている。開口部材30は、送風口4よりも小さな面積の開口31(調整口31)を有しており、開口部材30が送風口4に沿って移動されることで、調整口31も送風口に沿って移動される。この場合、調整口31は、強風をヒートシンク20に吹きつけながら移動するため、ヒートシンク20全域に渡って、ゴミや埃などの塵埃を除去することができる。これにより、冷却装置の冷却性能の低下を防止することができるとともに、ヒートシンクをPCなどの電子機器本体から取り外して洗浄する煩わしさを解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクに向けて空気流を発生する送風装置、ヒートシンクと送風装置とを含む冷却装置、及び冷却装置が搭載された電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、PC(Personal Computer)の高性能化に伴い、CPU等の発熱源からの発熱量の増大が問題となっており、様々な放熱の技術が提案され、あるいは製品化されている。その放熱方法として、アルミなどの金属でなる放熱フィンを有するヒートシンクに、CPUからの熱を伝導させて、放熱フィンから熱を放出させ、ファン装置により放熱フィンの周囲の暖まった空気を強制的に排除する方法が知られている。
【0003】
しかし、ファン装置は、ファン装置の周りの空気を吸気口から取り入れ、ヒートシンクの放熱フィンに空気流を吹き付けるため、空気中に含まれるゴミや埃などの塵埃を同時に放熱フィンに吹き付けてしまう。その結果、放熱フィンの間に塵埃が付着し、堆積してしまい、ヒートシンクの冷却性能が低下してしまうという問題がある。
【0004】
このような問題に関連する技術として、下記特許文献1には、羽根部の回転により発生された空気流が吹き付けられる側の端面に傾斜部を有し、台形状に形成されたヒートシンクを備えた冷却装置が開示されている。羽根部により発生された空気流を一方向に規制するダクトには、吸気口及び排気口に加え、塵埃排気口が設けられる。空気流に含まれる塵埃は、ヒートシンクの傾斜部に沿って移動し、ダクトに形成された塵埃排気口から外部へと排出される。
【0005】
また、上記問題に関連する技術として、例えば、下記特許文献2には、第1のヒートシンクと第2のヒートシンクとに分離して形成されたヒートシンクを備えた冷却装置が開示されている。冷却ファンの送風口に近接し、埃が付着し易い第2のヒートシンクは、PCなどの電子機器から挿脱自在とされる。ユーザは、第2のヒートシンクをPCから取り外して洗浄し、堆積された塵埃を第2のヒートシンクから取り除く。
【特許文献1】特開2005−321287号公報(段落[0035]、[0050]、[0062]、[0063]図1)
【特許文献2】特開2008−159925号公報(段落[0036]、[0042]〜[0045]図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却装置では、ヒートシンクに付着する塵埃の量を軽減することができるが、塵埃対策として十分とはいえない。すなわち、長期間PCを使用すれば、結局、放熱フィンの間に塵埃が堆積してしまう。
【0007】
一方、特許文献2に記載の冷却装置では、第2のヒートシンクをPCから取り外して洗浄することが可能である。しかしながら、この冷却装置では、ユーザは、PCから第2のヒートシンクを取り外さなければならず、面倒である。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ヒートシンクに付着した塵埃を自動的に除去することができる送風装置、この送風装置とヒートシンクとを含む冷却装置、冷却装置を搭載した電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る冷却装置は、ヒートシンクと、送風機構と、開口部材と、移動機構とを具備する。
前記送風機構は、前記ヒートシンクに対向する、所定の面積の送風口を有する。
前記開口部材は、前記送風口の面積よりも小さい面積の第1の開口を有する。
前記移動機構は、前記第1の開口が前記送風口及び前記ヒートシンクの間に位置する第1の状態と、前記第1の開口が前記送風口及び前記ヒートシンクの間に位置しない第2の状態とを切り替えるために、前記開口部材を移動させる。
本発明において、第1の状態では、開口部材に設けられた第1の開口が送風口と、ヒートシンクとの間に位置する。第1の開口は、送風口の面積よりも小さい面積であるため、この開口により、送風口の面積を一時的に狭めることができる。これにより、送風口から流出される気流の流速を局部的に上昇させることができるため、ヒートシンクに付着、堆積した塵埃を除去することができる(埃除去モード)。
一方で、第2の状態では、開口部材に設けられた第1の開口が、送風口とヒートシンクとの間に位置しない。従って、第2の状態では、送風口全体から気流がヒートシンクに吹き付けられ、ヒートシンクが冷却される(冷却モード)。
また、本発明では、第1の状態(埃除去モード)と、第2の状態(冷却モード)とを移動機構により自動的に切り替えることができるため、ヒートシンクをPCなどの電子機器本体から取り外して洗浄する煩わしさを解消することができる。
【0010】
上記冷却装置において、前記開口部材は、前記送風口の面積と略同等の面積の第2の開口をさらに有していてもよい。
この場合、前記第2の状態は、前記第2の開口が前記送風口に対向する状態であってもよい。
本発明では、第2の状態において、送風口と略同等の面積の第2の開口が送風口に対向される。この第2の開口を介して、送風口全体からヒートシンクに気流が吹き付けられて、ヒートシンクが冷却される。
【0011】
上記冷却装置において、前記開口部材は、長手方向を有する帯状部材であってもよい。
この場合、前記第1の開口及び前記第2の開口は、それぞれ前記帯状部材の前記長手方向に並べられるように前記帯状部材に設けられてもよい。
また、この場合、前記移動機構は、前記帯状部材を前記送風口に沿って、前記長手方向に移動させてもよい。
本発明では、第1の開口と第2の開口を有する帯状部材が帯状部材の長手方向に移動されることで、第1の状態と、第2の状態とが切り替えられる。この場合、帯状部材は、送風口に沿って移動されるため、第1の開口、第2の開口も送風口に沿って移動されることになる。第1の開口が送風口に沿って移動されると、強風が発生する位置が送風口に沿って移動することになる。これにより、送風口に対向するヒートシンクに対し、全体に渡って、強風を吹き付けることができるため、ヒートシンク全体から、ゴミや埃などの塵埃を除去することができる。
【0012】
上記冷却装置において、前記移動機構は、第1の軸と、第2の軸と、駆動源とを有していてもよい。
前記第1の軸は、前記帯状部材の端部に連結され、前記帯状部材を巻き取り可能であり、かつ、送り出し可能である。
前記第2の軸は、前記第1の軸との間で、前記送風口を挟み込むように設けられ、前記帯状部材の他端部に連結され、前記帯状部材を巻き取り可能であり、かつ、送り出し可能である。
前記駆動源は、前記第1の軸及び前記第2の軸を回転駆動する。
本発明では、第1の軸及び第2の軸が帯状部材を巻き取り可能であり、かつ、送り出し可能であるため、帯状部材を配置するためのスペースを小さくすることができる。これにより、冷却装置の小型化が実現される。
【0013】
上記冷却装置において、前記帯状部材は、環状であってもよい。
この場合、前記移動機構は、複数の軸と、駆動源とを有していてもよい。
前記複数の軸は、前記送風機構の周囲に設けられ、前記帯状部材を前記送風機構の周囲で回転させるように前記帯状部材を支持する。
前記駆動源は、前記複数の軸のうち、少なくとも1つを回転駆動する。
本発明では、帯状部材が送風口の周囲で回転するため、帯状部材を配置するスペースを小さくすることができる。これにより、冷却装置の小型化が実現される。
【0014】
上記冷却装置において、前記開口部材は、長手方向を有する板状部材であってもよい。
この場合、前記移動機構は、前記板状部材を前記送風口に沿って前記長手方向に移動させてもよい。
本発明では、第1の開口を有する板状部材が、送風口に沿って移動されるため、板状部材に設けられた第1の開口も送風口に沿って移動される。第1の開口が送風口に沿って移動されると、強風が発生する位置が送風口に沿って移動することになる。これにより、送風口に対向するヒートシンクに対し、全体に渡って、強風を吹き付けることができるため、ヒートシンク全体から、ゴミや埃などの塵埃を除去することができる。
【0015】
上記冷却装置において、上記板状部材は、前記長手方向に、ラックギアを有していてもよい。
この場合、前記移動機構は、ピニオンと、駆動源とを有していてもよい。
前記ピニオンは、前記ラックギアに噛み合わされる。
前記駆動源は、前記ピニオンを回転駆動する。
本発明では、ラックアンドピニオン機構を用いて、板状部材を直線移動させて、第1の開口を前記ヒートシンク及び前記送風口との間で移動させる。これにより、単純な構造で、ヒートシンクに付着、堆積した塵埃を除去することができる。
【0016】
上記冷却装置は、制御手段をさらに具備していてもよい。
前記制御手段は、定期的に、前記第2の状態を前記第1の状態へ切り替えるように、前記移動機構による前記開口部材の移動を制御する。
本発明では、定期的に第2の状態(冷却モード)から第1の状態(埃除去モード)へ切り替えられるため、ヒートシンクに付着した塵埃が堆積し、放熱フィンの間に目詰まりしてしまう前に、塵埃をヒートシンクから取り除くことができる。
【0017】
上記冷却装置において、前記送風機構は、回転により前記送風口から流出される気流を発生する羽根部材をさらに有していてもよい。
この場合、前記制御手段は、前記羽根部材の回転開始時、または回転停止時に、前記第2の状態を前記第1の状態へ切り替えるように、前記開口部材の移動を制御してもよい。
これにより、ヒートシンクに付着した塵埃が堆積し、放熱フィンの間に目詰まりしてしまう前に、塵埃をヒートシンクから取り除くことができる。
【0018】
上記冷却装置が羽根部材を有する場合、前記冷却装置は、回転数カウント手段と、回転数判定手段とをさらに具備していてもよい。
前記回転数カウント手段は、前記羽根部材の回転数をカウントする。
前記回転数判定手段は、前記カウントされた回転数が規定数に達したか否かを判定する。
この場合、前記制御手段は、前記回転数が前記規定数に達した場合に、前記第2の状態を前記第1の状態へ切り替えるように、前記開口部材の移動を制御してもよい。
これにより、ヒートシンクに付着した塵埃が堆積し、放熱フィンの間に目詰まりしてしまう前に、塵埃をヒートシンクから取り除くことができる。
【0019】
上記冷却装置は、時間カウント手段と、時間判定手段とをさらに具備していてもよい。
上記時間カウント手段は、前記第1の状態が前記第2の状態に切り替えられてからの時間をカウントする。
前記時間判定手段は、前記カウントされた時間が規定時間に達したか否かを判定する。
この場合、前記制御手段は、前記時間が規定時間に達した場合に、前記第2の状態を前記第1の状態へ切り替えるように、前記開口部材の移動を制御してもよい。
これにより、ヒートシンクに付着した塵埃が堆積し、放熱フィンの間に目詰まりしてしまう前に、塵埃をヒートシンクから取り除くことができる。
【0020】
本発明の他の形態に係る冷却装置は、ヒートシンクと、送風機構と、回動部材と、回動機構とを具備する。
前記送風機構は、前記ヒートシンクに対向する、所定の面積の送風口を有する。
前記回動部材は、遮蔽部を有し、回動可能であり、前記ヒートシンク及び前記送風口の間に配置される。
前記遮蔽部は、前記送風口の面積を制限する。
前記回動機構は、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限する第1の状態と、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限しない第2の状態とを切り替えるために、前記回動部材を回動させる。
本発明において、第1の状態では、回動部材の遮蔽部により送風口の面積が制限される。これにより、送風口の面積を一時的に狭めることができる。これにより、送風口から流出される気流の流速を上昇させることができるため、ヒートシンクに付着、堆積した塵埃を除去することができる(埃除去モード)。
一方で、第2の状態では、回動部材の遮蔽部により送風口の面積が制限されない。従って、第2の状態では、送風口全体から気流がヒートシンクに吹き付けられ、ヒートシンクが冷却される(冷却モード)。
また、本発明では、第1の状態(埃除去モード)と、第2の状態(冷却モード)とを回動機構により自動的に切り替えることができるため、ヒートシンクをPCなどの電子機器本体から取り外して洗浄する煩わしさを解消することができる。
【0021】
上記冷却装置において、前記送風口は、長手方向を有していてもよい。
この場合、前記回動部材は、前記長手方向に沿う方向の軸を中心として回動可能であってもよい。
本発明では、回動部材が、送風口の長手方向に沿う方向の軸を中心に回動されるため、送風口の短手方向に沿う方向の軸を中心に回動される場合に比べ、送風口とヒートシンクとの距離を狭めることができる。これにより、冷却装置の小型化が実現される。
【0022】
上記冷却装置において、前記回動部材は、前記送風口を挟み込むように配置された第1の回動部材及び第2の回動部材を有していてもよい。
これにより、送風口とヒートシンクとの距離を狭めることができるため、冷却装置の小型化が実現される。
【0023】
本発明の一形態に係る電子機器は、発熱源と、冷却装置を具備する。
前記冷却装置は、ヒートシンクと、送風機構と、開口部材と、移動機構とを有する。
前記ヒートシンクは、前記発熱源からの熱を放出する。
前記送風機構は、前記ヒートシンクに対向する、所定の面積の送風口を有する。
前記開口部材は、前記送風口の面積よりも小さい面積の第1の開口を有する。
前記移動機構は、前記第1の開口が前記送風口及び前記ヒートシンクの間に位置する第1の状態と、前記第1の開口が前記送風口及び前記ヒートシンクの間に位置しない第2の状態とを切替えるために、前記開口部材を移動させる。
【0024】
本発明の他の形態に係る電子機器は、発熱源と、冷却装置とを具備する。
前記冷却装置は、ヒートシンクと、送風機構と、回動部材と、回動機構とを有する。
前記ヒートシンクは、前記発熱源からの熱を放出する。
前記送風機構は、前記ヒートシンクに対向する、所定の面積の送風口を有する。
前記回動部材は、遮蔽部を有し、回動可能であり、前記ヒートシンク及び前記送風口の間に配置される。
前記遮蔽部は、前記送風口の面積を制限する。
前記回動機構は、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限する第1の状態と、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限しない第2の状態とを切り替えるために、前記回動部材を回動させる。
【0025】
本発明の一形態に係る送風装置は、送風機構と、開口部材と、移動機構とを具備する。
前記送風機構は、所定の面積の送風口を有する。
前記開口部材は、前記送風口の面積よりも小さい面積の第1の開口を有する。
前記移動機構は、前記第1の開口が前記送風口の前方に位置する第1の状態と、前記第1の開口が前記送風口の前方に位置しない第2の状態とを切り替えるために、前記開口部材を移動させる。
【0026】
本発明の他の形態に係る送風装置は、送風機構と、回動部材と、回動機構とを具備する。
前記送風機構は、所定の面積の送風口を有する。
前記回動部材は、遮蔽部を有し、回動可能であり、前記送風口の前方に配置される。
前記遮蔽部は、前記送風口の面積を制限する。
前記回動機構は、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限する第1の状態と、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限しない第2の状態とを切り替えるために、前記回動部材を回動させる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、ヒートシンクに付着した塵埃を自動的に除去することができる送風装置、この送風装置とヒートシンクとを含む冷却装置、冷却装置を搭載した電気機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る冷却装置が搭載された電子機器を示す斜視図である。なお、本実施形態の説明では、冷却装置が搭載される電子機器の一例として、ノート型PCを挙げて説明する。
【0030】
図1に示すように、ノート型PC101は、上部筐体91と、下部筐体92と、上部筐体91及び下部筐体92とを回動可能に連結するヒンジ部93とを備えている。上部筐体91は、例えば液晶ディスプレイ、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示部94を有する。
【0031】
下部筐体92は、上面92aに、複数の入力キー95及びタッチパッド96を有しており、側面92bに排気口97を有している。また、下部筐体92は、例えば、底面93cに吸気口(図示せず)を有している。
【0032】
冷却装置100は、下部筐体92の内部で、排気口97に近接するように配置される。
【0033】
図2は、本実施形態に係る冷却装置を示す斜視図であり、図3は、冷却装置の上面図である。
【0034】
これらの図に示すように、本発明の一実施形態に係る冷却装置100は、遠心型の送風機構10と、ヒートシンク20と、送風口4及びヒートシンク20の間を移動可能な開口部材30とを備えている。また、冷却装置100は、開口部材30を駆動する駆動機構40を備えている。なお、図1では、冷却装置100の構成を分かり易く説明するために、送風機構10、開口部材30、及びヒートシンク20の相互間の間隔を実際の間隔よりも広げて表示している。
【0035】
送風機構10は、遠心型の送風機構であり、ファンケース1と、このファンケース1内で回転可能な遠心型の羽根部材2と、羽根部材2を回転駆動するファン駆動用モータ5とを含む。
【0036】
羽根部材2は、z軸方向の軸を中心軸として回転可能とされており、ファン駆動用モータ5の回転により、反時計回りに回転駆動される。この羽根部材2の回転により、ヒートシンク20へ向けて気流が発生される。
【0037】
ファンケース1は、ファンケース1の上面1aに上部吸入口3を有しており、ファンケース1の底面1cに下部吸入口(図示せず)を有している。上部吸入口3及び下部吸入口は、それぞれファンケース1の上面1a及び底面1cの中央近傍に設けられる。この上部吸入口3及び下部吸入口を介して、送風機構10の周囲の空気がファンケース1内部に取り込まれる。
【0038】
また、ファンケース1は、側周面1bに送風口(排出口)4を有している。送風口4は、矩形であり、一方向(x軸方向)に長い形状を有している。この送風口4を介して、ヒートシンク20に向けて気流が流出される。以降では、送風口4の長さ(x軸方向)をL1、高さをH1(z軸方向)として説明する。
【0039】
ヒートシンク20は、一方向(x軸方向)に長い直方体形状であり、複数の放熱フィン21と、放熱フィン21の下方で放熱フィン21を支持する支持板22とを有している。放熱フィン21は、ヒートシンクの長手方向(x軸方向)に沿って、所定の間隔を開けて並ぶように配置される。この放熱フィン21の間を送風機構により発生された気流が通過する。ヒートシンク20は、例えば、アルミニウムや銅などの金属により形成されるが、材料は特に限定されない。
【0040】
ヒートシンク20は、例えば、ノート型PC101の下部筐体92内に設けられたCPU等の発熱源と熱的に接続されている。
【0041】
ヒートシンク20は、送風口4に対向する位置に、送風口4と近接するように配置される(図3参照)。ヒートシンク20の長さL2、高さH2は、送風口の長さL1、高さH1とそれぞれ略同等とされる。
【0042】
開口部材30は、一方向(x軸方向)に長い矩形の薄板形状を有している。開口部材30は、例えば、金属や、樹脂などにより形成されるが、これらに限られない。開口部材30の高さH3は、送風口4の高さH1と略同等か、あるいは、若干大きい程度とされ、開口部材30の長さL3は、送風口4の長さL1の約2倍の長さとされる。
【0043】
開口部材30の中央近傍には、送風口の面積よりも小さい面積の、開口31(以下、調整口31)が形成される。また、開口部材30には、開口部材30の長手方向(x軸方向)に沿って複数のラックギア32が形成される。
【0044】
調整口31の形状は、例えば、矩形とされる。しかしこれに限られず、調整口31は、円形、楕円形、多角形などの形状であっても構わない。
【0045】
駆動機構40は、開口部材30のラックギアと噛み合うピニオン41と、ピニオン41を回転駆動させるモータ42とを含む。モータ42は、通常のモータであってもよいが、ステッピングモータを用いることで、開口部材30の移動を確実に制御することができる。後述の各実施形態に用いられるモータについても同様である。
【0046】
開口部材30は、駆動機構40の駆動により、送風口4とヒートシンク20との間をx軸方向に移動可能とされる。なお、開口部材30は、図示しないガイドによってx軸方向に移動されるように、動きが規制されていてもよい。
【0047】
[動作説明]
次に冷却装置100の動作について説明する。図4は、開口部材30が駆動されていない場合の、開口部材30の位置を示す図である。一方、図5は、開口部材30が駆動された場合の、送風口4と、開口部材30(調整口31)の相対位置を示す図である。なお、図5は、送風口4の前方から送風口4及び開口部材(調整口31)を見た状態を示している。
【0048】
図4に示すように、通常、開口部材30は、駆動機構40により駆動されておらず、送風口4及びヒートシンク20との間に介在されない状態で、停止されている。
【0049】
まず、開口部材30が送風口4及びヒートシンク20との間に介在されない状態で、停止されている場合の冷却装置100の動作について説明する。
【0050】
羽根部材2の回転により、ノート型PC101の下部筐体92内部の空気が、上部吸入口3及び下部吸入口を介してファンケース1内に吸入される。
【0051】
ファンケース1内に吸入された空気は、羽根部材の回転により遠心方向に加速されて、送風口4から流出され、ヒートシンク20に吹き付けられる。この場合、送風口4は、全開の状態であり、送風口4からの気流は、ヒートシンク20の、送風口4に対向する面20a(以下、対向面20a)に対して、全体的に吹き付けられる。
【0052】
ヒートシンク20は、ノート型PC101に搭載されたCPUなどの発熱源からの熱を放熱フィン21から放出している。放熱フィン21の間の暖まった空気は、送風口4からの気流により、下部筐体92に設けられた排気口97を介して強制的に下部筐体92の外部に排気される。これにより、CPU等の発熱源が冷却される。
【0053】
なお、本明細書中において、送風口4が全開の状態で、ヒートシンク20が冷却されている状態を冷却モードと呼ぶ。
【0054】
ここで、送風機構10の上部吸入口3及び下部吸気口から吸入される、下部筐体92内部の空気には、ゴミや埃などの塵埃が含まれているため、送風口4から流出される気流にも塵埃が含まれてしまう。これにより、ヒートシンク20に気流が吹き付けられた際に、ゴミや埃などの塵埃もヒートシンク20に吹き付けられてしまい、ヒートシンク20に付着してしまう。特に、送風口4に対向する対向面20aにおいて、ヒートシンク20に塵埃が付着、堆積し易い。
【0055】
仮に、冷却モードを長期間継続すると、放熱フィン21の間に塵埃が目詰まりしてしまう。その結果、放熱フィン21の通風性が阻害され、冷却装置100の冷却性能が低下してしまう。
【0056】
次に、開口部材30が駆動された場合の動作について、図5を参照して説明する。
【0057】
図5(A)に示すように、モータ42の回転が開始され、ピニオン41の回転駆動が開始されると、開口部材30の左方向への移動が開始される。この場合、開口部材30に設けられたラックギア32により、ピニオン41の回転運動が開口部材30の直線運動に変換され、開口部材30の左方向への移動が開始される。
【0058】
なお、開口部材30が駆動されるタイミングについての詳細は、後述する。
【0059】
図5(B)に示すように、開口部材30は、開口部材30の左側の端部から、送風口4及びヒートシンクの間に侵入する。
【0060】
図5(C)に示すように、調整口31が送風口4の右側の端部に対向する位置まで移動され、調整口31が送風口4及びヒートシンク20の間に介在されると、調整口31を介して、ヒートシンク20に気流が吹き付けられる。このとき、送風口4の見かけ上の面積が調整口31により狭められるため、ヒートシンクに吹き付けられる気流の流速が局部的に上昇する。これにより、ヒートシンク20の放熱フィン21の間に付着、堆積した塵埃が吹き飛ばすことができる。吹き飛ばされた塵埃は、ノート型PC101の下部筐体92に設けられた排気口97を介して、ノート型PC101外部へ放出される。
【0061】
なお、本明細書中において、調整口31が送風口4及びヒートシンクの間に介在され、調整口を介してヒートシンク20に強風が吹きつけられている状態を埃除去モードと呼ぶ。
【0062】
図5(D)及び(E)に示すように、調整口31が送風口4の右側の端部まで移動された後も、開口部材30の左方向への移動は継続され、調整口31が送風口の左側の端部に対向する位置に移動するまで、開口部材30の移動は継続される。
【0063】
このとき調整口31は、送風口4及びヒートシンク20の間で、送風口4の右側の端部から送風口4の左側の端部に向けて移動される。この場合、調整口31は、強風をヒートシンク20に吹きつけながら送風口4に沿って移動されるため、ヒートシンク20の対向面20a全域に強風を吹き付けることができる。これにより、ヒートシンク20に付着した塵埃を、ヒートシンク20の全域に渡って取り除くことができる。
【0064】
調整口31が送風口4の左側の端部まで移動した場合(図5(E)参照)、モータ42の逆回転が開始され、モータ42の逆回転によりピニオンが逆回転され、開口部材30は、右方向への移動が開始される。
【0065】
図5(F)及び(G)に示すように、調整口31は、送風口4及びヒートシンクの間で、送風口4の左端から右端に向けて移動される。つまり、調整口31は、先ほどとは逆に、送風口4の左側の端部から右側の端部へ向けて移動され、ヒートシンク20の全域に渡って強風を吹きつけ、ヒートシンク20全域からヒートシンク20に付着した塵埃を除去する。
【0066】
図5(H)に示すように、開口部材30は、調整口31が送風口4の右側の端部に移動された後も、x軸正の方向への移動が継続される。
【0067】
図5(I)に示すように、開口部材30が送風口の前方に位置しないところまで移動されると、モータ42によるピニオン41の回転駆動が停止され、開口部材30の移動が停止される。図5(I)に示す位置まで開口部材30が移動されると、送風口4全体からヒートシンク20に向けて気流が吹き付けられ、再びヒートシンク20が冷却される(冷却モード)。
【0068】
図5の説明では、開口部材30が送風口4及びヒートシンク20の間を1往復する場合について説明した。しかし、これに限られず、開口部材30は、2往復、あるいは3往復以上、往復されてもよい。これにより、確実にヒートシンク20からゴミや埃などの塵埃を除去することができる。
【0069】
上記説明したように、本実施形態に係る冷却装置100は、開口部材30の移動により、ヒートシンク20から塵埃を除去することができるため、放熱フィン21の間に塵埃が目詰まりし、冷却装置100の冷却性能が低下してしまうことを防止することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る冷却装置では、自動的に、ヒートシンク20に付着した塵埃を除去することができるため、ヒートシンク20をノート型PC101から取り外して洗浄する煩わしさを解消することができる。
【0071】
さらに、本実施形態では、送風機構10の羽根部材2の回転数を上げずに、ヒートシンクに強風を吹き付け、ゴミや埃などの塵埃を除去することができる。これにより、冷却装置100の消費電力の過度な上昇を抑制することができる。また、羽根部材2を回転させるファン駆動用モータ5のパワーが小さく、強風を発生させることが困難な場合でも、ヒートシンク20に強風を吹き付け、ヒートシンク20から塵埃を除去することができる。
【0072】
次に、本実施形態に係る冷却装置100の、埃除去性能についてさらに詳しく説明する。
【0073】
本発明者等は、埃除去性能を評価するために、送風口4が全開の状態(冷却モード時)で、送風口4から流出される気流の流速を測定し、また、調整口31を介して気流が流出される場合の(埃除去モード)気流の流速を測定した。
【0074】
埃除去性能の評価は、送風口4全開時(冷却モード時)の気流の流速と、送風口4の面積が調整口31により見かけ上狭められたとき(埃除去モード)の気流の流速とを比較することで行われる。
【0075】
この埃除去性能の評価に用いられた送風口4の長さL1、高さH1は、70mm×10mmとされ、調整口31の幅、高さは、10mm×10mmとされた。また、ヒートシンク20の長さL2、高さH2、奥行きは、それぞれ70mm×10mm×18mmとされ、各放熱フィン21の間隔は、1mmとされた。
【0076】
気流の流速の測定には、日本カノマックス社製の、クリモマスターModel6542(登録商標)(以下、単に風速計)が用いられた。
【0077】
冷却モード時における気流の流速の測定は、送風口4が全開の状態で、送風口4の左端から10mmの位置、15mm、20mm、25mm・・・60mmの位置での流速が測定された。具体的には、送風口4の各測定位置(10、15、・・60)における、送風口4の中央に、風速計に設けられたブローブの先端部を位置させて、各測定位置(10、15、・・60)での流速が測定された。
【0078】
一方、埃除去モード時には、送風口4の各測定位置(10、15、・・60)に、調整口31を対向させ、調整口31の中央に、風速計のブローブ先端部を位置させて、各測定位置(10、15、・・60)での流速が測定された。
【0079】
図6(A)は、冷却モード時、埃除去モード時における、送風口4の位置座標と、送風口から流出される気流の流速との関係をまとめた表である。
【0080】
図6(B)は、図6(A)に示した関係をグラフ状にまとめた図である。図6中、横軸は、送風口4のx軸方向の位置座標(mm)を示しており、縦軸は、送風口4から流出される気流の流速(m/s)を示している。
【0081】
また、図6(B)中、点線及び四角形の点で示されたグラフは、冷却モード時における、送風口4の位置と流速との関係を示している。一方、図6(B)中、実線及び菱形の点で示されたグラフは、埃除去モード時における、送風口4の位置と流速との関係を示している。
【0082】
図6から分かるように、送風口4が全開の場合に比べ、調整口31を通過する気流の流速は、格段に上昇している。
【0083】
本発明者らが観察した結果、気流の流速が10m/s程度になると、放熱フィン21の間に目詰まりした塵埃が放熱フィンの間から排出され易くなることが分かった。図6に示すように、埃除去モード時には、各位置座標(10、15、・・60)において、流速が10m/sを超えており、放熱フィンに付着した塵埃が良く除去されることが実証されている。
【0084】
図6において、特に特徴的なのは、送風口4が全開の場合に流速が低い位置ほど、調整口31を通過する気流の流速が速くなっている点である。これは、送風口の全開時に、流速が低く、塵埃がたまり易い位置ほど、塵埃を強力に除去することができることを示している。
【0085】
このように、送風口4全開時の流速が低い位置ほど、調整口31を通過する気流の流速が速くなるのは、送風口4全開時の流速が低い位置ほど圧力が高められるため、圧力が高い気流が調整口31を通過することで、流速が早くなるためであると考えられる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態以降の説明では、上述の第1実施形態と同様の構成及び機能を有する部材については同一符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0087】
図7は、第2実施形態に係る冷却装置を示す斜視図である。なお、図7では、冷却装置200の構成を分かり易く説明するために、送風機構10の送風口4からヒートシンク20までの間隔を実際の間隔よりも広げて表示している。
【0088】
図7に示すように、第2実施形態に係る冷却装置200は、送風口4を有する送風機構10と、送風口4に対向する位置に配置されるヒートシンク20とを備えている。また、冷却装置200は、柔軟性を有する開口部材50と、開口部材50を巻き取って収納することが可能であり、かつ、開口部材50を送り出し可能な第1の収納部60及び第2の収納部70とを備えている。送風口4と、ヒートシンク20とは、開口部材50を挟み込んで近接するように配置される。
【0089】
第1の収納部60は、送風口4の左側の縁部4cに近接する位置に配置され、第2の収納部70は、送風口の右側の端部4dに近接する位置に配置される。すなわち、第1の収納部及び第2の収納部70は、送風口4の長手方向(x軸方向)で送風口4を挟み込むように配置される。
【0090】
送風口4の左側に位置する第1の収納部60は、開口部材50を駆動させる第1の駆動機構64と、巻き取られた開口部材50を収納する第1のケース61とを有する。第1の駆動機構64は、z軸方向の軸を中心軸として回転可能な第1の支軸62と、この第1の支軸62を回転駆動させる第1のモータ63とを含む。第1の支軸62は、開口部材50の左側の端部と連結されている。第1のケース61は、例えば、円筒形状であるが、これに限られない。
【0091】
同様に、送風口4の右側に位置する第2の収納部70も、第2の支軸72及び第2のモータ73を含む第2の駆動機構74と、巻き取られた開口部材50を収納する第2のケース71とを有する。第2の支軸72は、開口部材50の右側の端部と連結される。
【0092】
図8は、開口部材50を示す展開図である。
【0093】
図8に示すように、開口部材50は、一方向(x軸方向)に長い形状を有している。開口部材50は、帯状の部材であり、例えば、フィルムなどの柔軟性を有する樹脂、あるいは、紙、布等により形成される。しかし、これに限られず、巻き取り可能であるフレキシブルな材料であれば何が用いられてもよい。
【0094】
開口部材50は、送風口4よりも小さな面積を有する調整口51に加え、送風口4と略同等の面積を有する2つの開口52、53(以下、全開口)を有している。すなわち、開口部材50は、3つの開口を有しており、開口部材50は、開口部材50の中央に形成された調整口51と、調整口の左側に形成された第1の全開口52と、調整口51の右側に形成された第2の全開口53とを有する。
【0095】
調整口51の左側に位置する第1の全開口52の高さh1、幅w1は、それぞれ送風口4の高さH1、長さL1と略同等とされる。また、調整口の右側に位置する第2の全開口53の高さh2、幅w2も同様に、それぞれ送風口4の高さH1、長さL1と略同等とされる。
【0096】
第1の全開口52の右側の端部から、調整口51の左側の端部までの距離d1は、あらかじめ設定されており、この距離d1は、送風口4の長さL1と略同等とされる。同様に、第2の全開口53の左側の端部から調整口51の右側の端部までの距離d2も、送風口4の長さL1と略同等とされる。
【0097】
開口部材50は、第1の駆動機構64及び第2の駆動機構74により駆動されることで、送風口4に沿って移動可能とされる。
【0098】
[動作説明]
次に、第2実施形態に係る冷却装置200の動作について説明する。図9は、この動作を説明するための図であり、送風口4の前方から送風口4及び開口部材50を見た図である。
【0099】
図9(A)に示すように、開口部材50は、第1の全開口52が送風口4に対向した位置で停止されている。この場合、送風口4は、全開の状態であり、送風口4から流出された気流は、第1の全開口52を介して、ヒートシンク20の対向面20aの全域に吹き付けられ、ヒートシンクが冷却されている(冷却モード)。
【0100】
第1のモータ61の駆動が開始されると、第1の支軸62の回転駆動が開始され、第1の支軸62による開口部材50の巻取りが開始される。第1の支軸62が回転駆動されると、これに連動して第2の支軸72が回転され、第2の支軸72は、巻き取られている開口部材50を送り出す。この場合、第2のモータ73は、典型的には、駆動されないが、第2のモータを駆動させ、強制的に開口部材50を送り出しても構わない。
【0101】
図9(B)に示すように、第1の支軸62による巻取りが開始されると、開口部材50の左方向への移動が開始され、これに伴い、第1の全開口52の左方向への移動が開始される。
【0102】
図9(C)に示すように、第1の全開口52が送風口4の前方から外れる位置まで移動されると、第2の支軸72から送り出された調整口51が送風口4の右側の端部に対向する位置まで移動される。調整口51が送風口4の前方まで送り出され、調整口51が送風口4及びヒートシンク20の間に介在されると、強風がヒートシンク20に吹き付けられる(埃除去モード)。これにより、放熱フィン21の間に付着、堆積した塵埃を吹き飛ばすことができる。
【0103】
図9(D)に示すように、調整口51は、ヒートシンク20に強風を吹きつけながら、送風口4に沿って、移動する。これにより、ヒートシンク20に付着した塵埃を、ヒートシンク20の全域に渡って取り除くことができる。
【0104】
図9(E)に示すように、調整口51が送風口4の前方から外れる位置まで移動されると、第2の全開口53が、送風口4の右側から送風口4の前方に侵入する。
【0105】
図9(F)に示すように、第2の全開口53は、送風口に沿って、左方向に移動される。
【0106】
図9(G)に示すように、第2の全開口53が送風口4に対向する位置まで移動されると、第1のモータの駆動が停止され、開口部材50の移動が停止される。開口部材50の移動が停止されると、送風口4から流出された気流は、第2の全開口53を介して、ヒートシンクの対向面20aの全域に吹き付けられ、ヒートシンクが冷却される(冷却モード)。
【0107】
第2の全開口53が送風口4に対向している状態から、開口部材50を移動させ、埃除去モードに移行する場合、第2の支軸72が回転駆動され、開口部材50が右方向に移動される。なお、この場合の動作は、左方向に開口部材50が移動される場合と同様であるため、詳細については省略する。
【0108】
図9の説明では、開口部材50を片側に移動させる場合について説明した。しかし、これに限られず、開口部材50を往復させてもよい。開口部材を2往復、あるいはそれ以上往復させてももちろん構わない。
【0109】
また、第2実施形態の説明では、調整口51が1つであるとして説明した。しかしこれに限られず、開口部材50は、2つ、あるいはそれ以上の調整口51を有していてもよい。また、開口部材50は、2つ以上の全開口を有していてもよい。すなわち、開口部材50における、調整口と全開口の数、及び、調整口と全開口の距離は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更可能である。
【0110】
第2実施形態では、上記第1の収納部60及び第2の収納部70により、開口部材50を巻き取って収納することができるため、開口部材50を配置するスペースを小さくすることができる。これにより、冷却装置200の小型化が実現される。なお、その他の効果については、上述の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0111】
(第3実施形態)
次に本発明に係る冷却装置の第3実施形態について説明する。
【0112】
図10は、第3実施形態に係る冷却装置を示す斜視図である。
【0113】
図10に示すように、第3実施形態に係る冷却装置300は、送風口4を有する送風機構10と、送風口4に対向する位置に配置されるヒートシンク20と、送風機構10の周囲を囲むように設けられた、環状の開口部材80とを備えている。また、冷却装置300は、送風機構10の周囲に設けられた第1乃至第5の支軸85〜89を備えている。
【0114】
第1乃至第5の支軸85〜89は、開口部材80を送風機構10の周囲で回転させるように開口部材80を支持している。第1の支軸85は、第2乃至第5の軸86〜89よりも半径の大きい円柱形状であり、この第1の支軸84は、モータ84と電気的に接続されている。第1の支軸85及びモータ84により開口部材80を駆動させる駆動機構90が構成される。
【0115】
図11は、開口部材80を示す展開図である。
【0116】
図11に示すように、開口部材80は、3つの開口81、82、83を有する。すなわち、開口部材80は、送風口4よりも小さい面積の調整口81及び調整口82と、送風口4と略同等の面積の全開口83とを有している。開口部材80は、帯状の環状部材であり、例えば、フィルムなどの柔軟性を有する樹脂、あるいは、紙、布等が用いられるが、環状に回転可能であるフレキシブルな材料であれば何が用いられてもよい。
【0117】
開口部材80の長さL4は、送風機構10の側周面1bの長さと略同等とされる。全開口83の高さh1、幅w1は、それぞれ送風口4の高さH1、長さL1と略同等とされている。全開口83の右側の端部から、第1の調整口81の左側の端部までの距離d1、及び第1の調整口81の右側の端部から、第2の調整口82の左側の端部までの距離d2は、それぞれ送風口4の長さL1と略同等とされる。また、第2の調整口82の右側の端部から全開口83の左側の端部までの距離d2も、送風口4の長さL1と略同等とされる。
【0118】
[動作説明]
次に、第3実施形態に係る冷却装置300の動作について説明する。図12は、この動作を説明するための図であり、送風口4の前方から送風口4及び開口部材80を見た図である。
【0119】
図12(A)に示すように、冷却モード時には、全開口83が送風口4に対向した位置で停止されており、送風口4から流出された気流は、全開口83を介して、ヒートシンク20の対向面20aの全域に吹き付けられている。
【0120】
モータ84の駆動が開始されると、第1の支軸85の回転駆動が開始され、開口部材80が送風機構10の周囲で時計回りに回転される。図12(B)に示すように、時計回りの回転が開始されると、開口部材80の左方向への移動が開始され、これに伴い、全開口83の左方向への移動が開始される。
【0121】
図12(C)に示すように、全開口83が送風口4の前方から外れる位置まで移動されると、第1の調整口81が送風口4の右側の端部に対向する位置まで移動される。第1の調整口81が送風口4の前方まで移動され、第1の調整口81が送風口4及びヒートシンク20の間に介在されると、強風がヒートシンク20に吹き付けられる(埃除去モード)。
【0122】
図12(D)に示すように、第1の調整口81は、ヒートシンク20に強風を吹きつけながら、送風口4に沿って、移動する。図12(E)に示すように、第1の調整口81が送風口4の前方から外れる位置まで移動されると、第2の調整口82が送風口4の右側の端部に対向する位置まで移動される。図12(F)に示すように、第2の調整口82は、ヒートシンク20に強風を吹き付けながら、送風口4に沿って移動する。
【0123】
図12(G)に示すように、第2の調整口82が送風口4の前方から外れる位置まで移動されると、送風機構10の周囲を回ってきた全開口83が、送風口4の右側から送風口4の前方に侵入する。
【0124】
図12(H)に示すように、全開口83は、送風口4に沿って、左方向に移動され、図12(I)に示すように、全開口83が送風口4に対向する位置まで移動されると、モータ84の駆動が停止され、開口部材80の移動が停止される。開口部材80の移動が停止されると、送風口4から流出された気流は、全開口83を介して、ヒートシンク20の対向面20aの全域に吹き付けられ、ヒートシンクが冷却される(冷却モード)。
【0125】
上述の説明では、開口部材80が送風機構10の周囲を時計回りに回転される場合について説明したが、開口部材80は、反時計周りに回転されてもよい。また、1周に限らず、開口部材80は、送風機構10の周囲を複数回、回転されてもよい。
【0126】
第3実施形態の説明では、開口部材80は、調整口が2つであるとして説明したが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、開口部材80は、全開口が1つであるとして説明したが、2つ以上であってもよい。すなわち、開口部材80における、調整口と全開口の数、及び調整口と全開口の距離は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、送風機構10の大きさに応じて適宜変更可能である。
【0127】
第3実施形態では、開口部材80が送風口4の周囲で回転可能であるため、開口部材80を配置するスペースを小さくすることができる。これにより、冷却装置300の小型化が実現される。なお、その他の効果については、上述の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0128】
(第4実施形態)
次に本発明の第4実施形態について説明する。
【0129】
図13は、第4実施形態に係る冷却装置の分解斜視図であり、図14は、第4実施形態に係る冷却装置の完成図である。なお、図14では、図面を見やすく表示するため、蓋部154を省略している。
【0130】
これらの図に示すように、第4実施形態に係る冷却装置400は、送風口4を有する送風機構10と、送風口4に対向するように設けられたヒートシンク20とを備えている。また、冷却装置400は、送風口4及びヒートシンクの間で回動可能な回動部材130と、この回動部材130を駆動する駆動機構140と、送風機構10、ヒートシンク20、及び回動部材130を支持する支持台150とを備えている。
【0131】
回動部材130は、送風口4及びヒートシンク20の間に設けられる。回動部材130は、一方向(x軸方向に)長い、矩形の薄板形状を有しており、回動部材の長さL5は、送風口4の長さL1と略同等とされる。回動部材130は、短手方向の一端部が支軸141に連結されており、この支軸141を軸として回動可能とされている。回動部材130の回動により、送風口4の見かけ上の面積を狭めることができる。回動部材130は、例えば、樹脂や金属により形成されるが、材料は、特に限定されない。
【0132】
駆動機構40は、x軸方向の軸を中心軸として回動可能な支軸141と、この支軸141を回動駆動するモータ142とを含む。
【0133】
支軸141は、送風口4の下方の縁部4a(以下、下縁部4a)に対向する位置で回動可能とされており、これにより、回動部材130は、下縁部4aに対向する位置の軸を中心に回動される。
【0134】
支持台150は、回動部材130、及びヒートシンク20を下方から支持する底部151と、底部151の右側で側壁を形成する第1の側壁部152と、底部151の左側で側壁を形成する第2の側壁部153と、蓋部154とを有する。
【0135】
第1の側壁部152には、第1の側壁部152を貫通する貫通孔155が設けられ、この貫通孔155に支軸141が差し込まれる。
【0136】
ヒートシンク20は、支持台150の底部151、第1の側壁部152、第2の側壁部153及び蓋部154に挟み込まれて、支持台150に固定される。また、送風機構10は、送風口4の近傍において、支持台150に固定されている。支持台150は、送風機構10、回動部材130及びヒートシンク20を支持するとともに、送風口4を介して流出された気流の方向を、ヒートシンク20へ向かう方向(y軸方向)に規制する。
【0137】
[動作説明]
次に、第4実施形態に係る冷却装置400の動作について説明する。図15は、その動作を説明するための図であり、冷却装置を側方から見た図である。
【0138】
図15(A)に示すように、冷却モード時には、回動部材130は、水平面に平行な状態で停止されており、送風口4から流出された気流は、ヒートシンク20の対向面20aの全域に吹き付けられている。
【0139】
図15(B)に示すように、埃除去モード時には、モータ142による支軸141の回動駆動により、回動部材130が回動される。この場合、回動部材130は、下縁部4aに対向する位置の軸であって、送風口4の長手方向に沿う方向の軸を中心に回動される。回動部材130は、水平面から、例えば、40°傾いた状態で、数秒間停止される。これにより、送風口4の面積が一時的に狭められるため、ヒートシンク20に強風を吹き付けることができ、ヒートシンク20から塵埃を除去することができる。その結果、放熱フィン21の間に塵埃が目詰まりし、冷却装置400の冷却性能が低下してしまうことを防止することができる。ここで、上述のように、回動部材130は、送風口4と略同等の長さとされているため、ヒートシンク20の全域に渡って塵埃を除去することができる。
【0140】
また、冷却装置400は、自動的にヒートシンク20に付着した塵埃を除去することができるため、ヒートシンク20をノート型PC101から取り外して洗浄する煩わしさを解消することができる。
【0141】
さらに、冷却装置400は、送風機構10の羽根部材2の回転数を上げずに、ヒートシンク20に強風を吹き付け、ゴミや埃などの塵埃を除去することができる。これにより、冷却装置400の消費電力の過度な上昇を抑制することができる。また、羽根部材2を回転させるファン駆動用モータ5のパワーが小さく、強風を発生させることが困難な場合でも、ヒートシンク20に強風を吹きつけ、ヒートシンク20から塵埃を除去することができる。
【0142】
図15の説明では、回動部材130は、水平面から40°傾いた状態で停止されるとして説明したが、水平面からの角度は、40°未満であってもよいし、40°以上であってもよい。また、回動部材が傾いた状態で停止される時間が数秒間であるとして説明したが、数分間であってもよい。
【0143】
次に、第4実施形態に係る冷却装置400の、埃除去性能についてさらに詳しく説明する。
【0144】
この埃徐却性能の評価は、上述の第1実施形態に係る冷却装置100の埃除去性能の評価と同様の評価により行われた。すなわち、埃除去性能の評価は、送風口4全開時(冷却モード時)の気流の流速と、送風口4の面積が回動部材130により見かけ上狭められたとき(埃除去モード)の気流の流速とを比較することで行われた。
【0145】
埃除去モードの気流の測定条件として、回動部材130は、水平面から40°傾いた状態で停止され、送風口の高さH1(10mm)は、見かけ上2mmに狭められた。気流の測定位置は、送風口4の各位置座標(10、15、・・60)における、回動部材130の上方とされた。なお、その他の気流の測定条件などについては、上述の図6で説明した場合と同様であるため、説明を省略する。
【0146】
図16(A)は、冷却モード時、埃除去モード時における、送風口4の位置座標と、送風口4から流出される気流の流速との関係をまとめた表である。
【0147】
図16(B)は、図16(A)に示した関係をグラフ状にまとめた図である。図16(B)では、点線及び四角の点で示されたグラフが、冷却モード時における、送風口4の位置と流速との関係を示しており、実線及び三角の点で示されたグラフが、埃除去モード時における、送風口4の位置と流速との関係を示している。
【0148】
図16から、送風口4が全開の場合に比べ、回動部材130により送風口4の面積が狭められた場合の気流の流速が上昇していることが分かる。また、回動部材130が用いられた場合も、開口部材30(開口部材50、80)が用いられた場合と同様に、送風口4が全開の場合に流速が低い位置ほど、冷却モード時の気流の流速が速くなっていることが分かる。これは、送風口4の全開時に、流速が低く、塵埃がたまり易い位置ほど、塵埃を強力に除去することができることを示している。
[変形例]
次に第4の実施形態に係る冷却装置400の変形例について説明する。図17は、変形例を説明するための図であり、冷却装置を側方から見た図である。
【0149】
図17(A)は、第1の変形例を示す図である。図17(A)に示すように、第1の変形例に係る冷却装置500の回動部材130は、送風口4の中央に対向する位置の軸であって、送風口4の長手方向(x軸方向)に沿う方向の軸を中心に回動可能とされる。回動部材130は、送風口4の中央に対向する位置の軸を中心軸として、上方、あるいは、下方に回動される。これにより、送風口4の見かけ上の面積を狭め、ヒートシンク20に強風を吹き付けて、ゴミや埃などの塵埃を吹き飛ばすことができる。
【0150】
図17(A)では、回動部材130が送風口4の中央に対応する位置の軸を中心に回動可能であるとして説明したが、これに限られず、送風口4の上縁部4bに対向する位置の軸を中心に回動可能とされてもよい。
【0151】
図17(B)は、第2の変形例を示す図である。図17(B)に示すように、第2の変形例に係る冷却装置600では、送風口4を挟み込むように、2つの回動部材131、132が設けられる。第1の回動部材131は、送風口4の下縁部4aに対向する位置の軸を中心に回動可能とされ、第2の回動部材132は、送風口4の上縁部4bに対向する位置の軸を中心に回動可能とされる。このように、2つの回動部材131、132が設けられることで、送風口4とヒートシンク20との距離dを狭めることができる。これにより、冷却装置400の小型化が実現される。
【0152】
以上、第4の実施形態では、回動部材130は、送風口4の長手方向(x軸方向)に沿う方向の軸を中心に回動可能であるとして説明したが、回動部材130は、送風口の短手方向(y軸方向)に沿う方向の軸を中心に回動可能とされてもよい。
【0153】
(冷却モード及び埃除去モードの切り替えタイミングについての第1実施形態)
次に、冷却モード及び埃除去モードの切り替えタイミングについての第1実施形態について説明する。なお、この第1実施形態以降で説明する、モードの切り替えタイミングについての各実施形態は、上述の冷却装置100〜400のいずれにおいても適用することができるが、便宜上、冷却装置100を例に挙げて説明する。
【0154】
図18は、モードの切り替えタイミングについての第1実施形態の動作を示すフローチャートである。なお、冷却装置100の制御系は、CPUであるとして説明する。
【0155】
図18に示すように、冷却装置100のCPUは、ファン駆動用モータ5の駆動開始信号が入力されたか否かを判定する(ステップ101)。駆動開始信号が入力されていない場合(ステップ101のNO)、CPUは、再びファン駆動用モータ5の駆動開始信号が入力されたか否かを判定する。なお、この場合、送風口4は、全開の状態であり、ヒートシンク20は、冷却されている(冷却モード)。
【0156】
例えば、ノート型PC101などの電子機器からファン駆動用モータ5の駆動開始信号が出力されると、駆動開始信号が冷却装置100のCPUに入力される。
【0157】
ファン駆動用モータ5の駆動開始信号が入力されると(ステップ101のYES)、CPUは、ファン駆動用モータ5の駆動を開始する(ステップ102)。ファン駆動用モータの駆動が開始されると、羽根部材2の回転が開始され、送風口4を介して気流が流出される。
【0158】
次に、CPUは、モータ42の駆動を開始し、開口部材30の移動を制御する(ステップ103)。開口部材30が移動されると、調整口31は、強風をヒートシンク20に吹きつけながら送風口4に沿って移動し、ヒートシンク20の全域に渡って、塵埃を吹き飛ばす(図5参照)(埃除去モード)。
【0159】
CPUは、送風口4及びヒートシンクの間で、開口部材30を1往復(あるいはそれ以上)させた後、モータ42の駆動を停止し、開口部材30の駆動を停止させる(ステップ104)。開口部材30が停止された場合、送風口4は、全開の状態であり、ヒートシンク20は、冷却される(冷却モード)。
【0160】
CPUは、モータの駆動を停止させると、再びステップ101に戻り、ステップ101以降の処理を繰り返す。
【0161】
このような処理により、定期的に冷却モードから埃除去モードへ切り替えることができるため、ヒートシンクに付着した塵埃が堆積し、放熱フィンの間に目詰まりしてしまう前に、塵埃をヒートシンクから取り除くことができる。
【0162】
(冷却モード及び埃除去モードの切り替えタイミングについての第2実施形態)
次に、冷却モード及び埃除去モードの切り替えタイミングについての第2実施形態について説明する。図19は、その動作を示すフローチャートである。
【0163】
図19に示すように、CPUは、ファン駆動用モータ5の停止予告信号が入力されたか否かを判定する(ステップ201)。停止予告信号が入力されていない場合(ステップ201のNO)、再び停止予告信号が入力されたか否かを判定する。なお、この場合、送風口4は、全開の状態であり、ヒートシンク20は、冷却されている(冷却モード)。
【0164】
停止予告信号が入力された場合(ステップ201のYES)、CPUは、すぐにはファン駆動用モータ5を停止せず、モータ42の駆動を開始し、開口部材30の移動を制御する(ステップ202)。開口部材30の移動が開始されると、調整口31が送風口4及びヒートシンク20の間に介在され、ヒートシンク20から塵埃が吹き飛ばされる(埃除去モード)。
【0165】
次に、CPUは、モータ42の駆動を停止させ(ステップ203)、ファン駆動用モータ5の駆動を停止する(ステップ204)。
【0166】
このような処理によっても、定期的に塵埃をヒートシンク20から吹き飛ばすことができるため、上述の第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0167】
(冷却モード及び埃除去モードの切り替えタイミングについての第3実施形態)
次に、冷却モード及び埃除去モードの切り替えタイミングについての第3実施形態について説明する。図20は、その動作を示すフローチャートである。
【0168】
CPUは、回転されたモータ42の駆動が停止されたか否かを判定する(ステップ301)。すなわち、埃除去モードが冷却モードに切り替えられ、冷却モードが開始された否かを判定する。回転されたモータ42の駆動が停止された場合(ステップ301のYES)、CPUは、カウンタのタイマーをONとし、一定間隔で発生するカウント値のカウントを開始する。カウンタは、冷却装置100専用のカウンタが用いられてもよいし、ノート型PC101などの電子機器に搭載されているカウンタが用いられてもよい。
【0169】
次にCPUは、カウント値が規定値に達したか否かを判定する(ステップ303)。この規定値は、一定期間に相当する規定値であり、例えば、1週間に相当する規定値とされるが、これに限られない。
【0170】
カウント値が規定値に達した場合(ステップ303のYES)、つまり、冷却モードが開始されてから一定期間(例えば1週間)が経過した場合、そのときに、ファン駆動用モータ5が駆動されているか否かを判定する(ステップ304)。
【0171】
ファン駆動用モータ5が駆動されている場合(ステップ304のYES)、モータ42を駆動させ開口部材30の移動を制御し(ステップ305)、その後、モータ42を停止させる(ステップ306)(埃除去モード)。
【0172】
一方、カウント値が規定値に達したときに、ファン駆動用モータ5が駆動されていない場合(ステップ304のNO)、CPUは、例えば、ノート型PC101等の電子機器からの、ファン駆動用モータ5の駆動信号が入力されたか否かを判定する(ステップ307)。
【0173】
ファン駆動用モータ5の駆動信号が入力された場合(ステップ307のYES)、CPUは、ファン駆動用モータ5を駆動させた後(ステップ308)、モータ42の駆動を開始する(ステップ305)。すなわち、カウント値が規定値に達したときに、ファン駆動用モータ5が駆動されていない場合、CPUは、ファン駆動用モータ5の駆動信号が入力されるまで待ってからモータ42を駆動させる。
【0174】
モータ42が停止されると(ステップ306)、つまり、冷却モードが開始されると、CPUは、タイマーをリセットし(ステップ302)、再びカウンタによるカウントを開始する。
【0175】
このような処理によっても、定期的に冷却モードから埃除去モードへ切り替えることができる。
【0176】
(冷却モード及び埃除去モードの切り替えタイミングについての第4実施形態)
次に、冷却モード及び埃除去モードの切り替えタイミングについての第4実施形態について説明する。図21は、その動作を示すフローチャートである。
【0177】
図21に示すように、CPUは、回転されたモータ42の駆動が停止されたか否かを判定し(ステップ401)、冷却モードが開始された否かを判定する。
【0178】
回転されたモータ42の駆動が停止され、冷却モードが開始された場合(ステップ401のYES)、CPUは、ファン駆動用モータ5からの回転信号を入力し、カウンタによりファン駆動用モータ5の回転数のカウントを開始する(ステップ402)。
【0179】
次にCPUは、回転数のカウント値が規定値に達したか否かを判定する(ステップ403)。この規定値に対応する値は、例えば、100万回とされるが、これに限られない。
【0180】
カウント値が規定値に達した場合(ステップ403のYES)、つまり、羽根部材2の回転数が規定回数(例えば、100万回)に達した場合、モータ42の駆動を開始させ(ステップ404)、開口部材30の移動を制御する。その後、CPUは、モータの駆動を停止させ(ステップ405)、回転数をリセットし、再び、ファン駆動用モータ5の回転数のカウントを開始する(ステップ402)。
【0181】
このような処理によっても、定期的に冷却モードから埃除去モードへ切り替えることができる。
【0182】
上述の各実施形態は、種々の変形が可能である。
【0183】
例えば、開口部材30、50、80の移動、あるいは、回動部材130の回動の制御を確実にするために、光センサや磁気センサが用いられてもよい。
【0184】
また、図1の説明では、冷却装置100〜400が搭載される電子機器の一例としてノート型PC101を挙げたが、これに限られない。電子機器としては、デスクトップ型のPC、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、ゲーム機器、ロボット機器、その他の電化製品等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】本発明の一形態に係る冷却装置が搭載された電子機器を示す斜視図である。
【図2】本発明の一形態に係る冷却装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の一形態に係る冷却装置の上面図である。
【図4】図4は、回動部材が駆動されていない場合の、開口部材の位置を示す図である。
【図5】開口部材が駆動された場合の、送風口と、開口部材(調整口)の相対位置を示す図である。
【図6】冷却モード時、埃除去モード時における、送風口の位置座標と、送風口から流出される気流の流速との関係を示す図である。
【図7】他の実施形態に係る冷却装置を示す斜視図である。
【図8】開口部材を示す展開図である。
【図9】他の実施形態に係る冷却装置の動作を説明するための図であり、送風口の前方から送風口及び開口部材を見た図である。
【図10】さらに別の実施の形態に係る冷却装置を示す斜視図である。
【図11】開口部材を示す展開図である。
【図12】さらに別の実施の形態に係る冷却装置の動作を説明するための図であり、送風口の前方から送風口及び開口部材を見た図である。
【図13】さらに別の実施の形態に係る冷却装置の分解斜視図である。
【図14】さらに別の実施の形態に係る冷却装置の完成図である。
【図15】さらに別の実施の形態に係る冷却装置の動作を説明するための図であり、冷却装置を側方から見た図である。
【図16】冷却モード時、埃除去モード時における、送風口の位置座標と、送風口から流出される気流の流速との関係を示す図である。
【図17】さらに別の実施の形態に係る冷却装置の変形例を説明するための図であり、冷却装置を側方から見た図である。
【図18】モードの切り替えタイミングについての、一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図19】モードの切り替えタイミングについての、他の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図20】モードの切り替えタイミングについての、さらに別の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図21】モードの切り替えタイミングについての、さらに別の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0186】
2…羽根部材
4…送風口
10…送風機構
20…ヒートシンク
30、50、80…開口部材
31、51、81…調整口
32…ラックギア
40、64、74、89、140…駆動機構
41…ピニオン
42、63、73、83、142…モータ
52、53、82…全開口
100、200、300、400…冷却装置
101…ノート型PC
130、131、132…回動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンクと、
前記ヒートシンクに対向する、所定の面積の送風口を有する送風機構と、
前記送風口の面積よりも小さい面積の第1の開口を有する開口部材と、
前記第1の開口が前記送風口及び前記ヒートシンクの間に位置する第1の状態と、前記第1の開口が前記送風口及び前記ヒートシンクの間に位置しない第2の状態とを切り替えるために、前記開口部材を移動させる移動機構と
を具備する冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記開口部材は、前記送風口の面積と同等の面積の第2の開口をさらに有し、
前記第2の状態は、前記第2の開口が前記送風口に対向する状態である
冷却装置。
【請求項3】
請求項2に記載の冷却装置であって、
前記開口部材は、長手方向を有する帯状部材であり、
前記第1の開口及び前記第2の開口は、それぞれ前記帯状部材の前記長手方向に並べられるように前記帯状部材に設けられ、
前記移動機構は、前記帯状部材を前記送風口に沿って、前記長手方向に移動させる
冷却装置。
【請求項4】
請求項3に記載の冷却装置であって、
前記移動機構は、
前記帯状部材の端部に連結され、前記帯状部材を巻き取り可能であり、かつ、送り出し可能な第1の軸と、
前記第1の軸との間で、前記送風口を挟み込むように設けられ、前記帯状部材の他端部に連結され、前記帯状部材を巻き取り可能であり、かつ、送り出し可能な第2の軸と、
前記第1の軸及び前記第2の軸を回転駆動する駆動源とを有する
冷却装置。
【請求項5】
請求項3に記載の冷却装置であって、
前記帯状部材は、環状であり、
前記移動機構は、
前記送風機構の周囲に設けられ、前記帯状部材を前記送風機構の周囲で回転させるように前記帯状部材を支持する複数の軸と、
前記複数の軸のうち、少なくとも1つを回転駆動する駆動源とを有する
冷却装置。
【請求項6】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記開口部材は、長手方向を有する板状部材であり、
前記移動機構は、前記板状部材を前記送風口に沿って前記長手方向に移動させる
冷却装置。
【請求項7】
請求項6に記載の冷却装置であって、
前記板状部材は、前記長手方向に、ラックギアを有し、
前記移動機構は、
前記ラックギアに噛み合わされるピニオンと、
前記ピニオンを回転駆動する駆動源とを有する
冷却装置。
【請求項8】
請求項1に記載の冷却装置であって、
定期的に、前記第2の状態を前記第1の状態へ切り替えるように、前記移動機構による前記開口部材の移動を制御する制御手段をさらに具備する
冷却装置。
【請求項9】
請求項8に記載の冷却装置であって、
前記送風機構は、回転により前記送風口から流出される気流を発生する羽根部材をさらに有し、
前記制御手段は、前記羽根部材の回転開始時、または回転停止時に、前記第2の状態を前記第1の状態へ切り替えるように、前記開口部材の移動を制御する
冷却装置。
【請求項10】
請求項8に記載の冷却装置であって、
前記送風機構は、回転により前記送風口から流出される気流を発生する羽根部材をさらに有し、
前記冷却装置は、
前記羽根部材の回転数をカウントする回転数カウント手段と、
前記カウントされた回転数が規定数に達したか否かを判定する回転数判定手段とをさらに具備し、
前記制御手段は、前記回転数が前記規定数に達した場合に、前記第2の状態を前記第1の状態へ切り替えるように、前記開口部材の移動を制御する
冷却装置。
【請求項11】
請求項8に記載の冷却装置であって、
前記第1の状態が前記第2の状態に切り替えられてからの時間をカウントする時間カウント手段と、
前記カウントされた時間が規定時間に達したか否かを判定する時間判定手段とをさらに具備し、
前記制御手段は、前記時間が規定時間に達した場合に、前記第2の状態を前記第1の状態へ切り替えるように、前記開口部材の移動を制御する
冷却装置。
【請求項12】
ヒートシンクと、
前記ヒートシンクに対向する、所定の面積の送風口を有する送風機構と、
前記送風口の面積を制限する遮蔽部を有し、回動可能であり、前記ヒートシンク及び前記送風口の間に配置された回動部材と、
前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限する第1の状態と、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限しない第2の状態とを切り替えるために、前記回動部材を回動させる回動機構と
を具備する冷却装置。
【請求項13】
請求項12に記載の冷却装置であって、
前記送風口は、長手方向を有し、
前記回動部材は、前記長手方向に沿う方向の軸を中心として回動可能である
冷却装置。
【請求項14】
請求項13に記載の冷却装置であって、
前記回動部材は、前記送風口を挟み込むように配置された第1の回動部材及び第2の回動部材を有する
冷却装置。
【請求項15】
発熱源と、
前記発熱源からの熱を放出するヒートシンクと、前記ヒートシンクに対向する、所定の面積の送風口を有する送風機構と、前記送風口の面積よりも小さい面積の第1の開口を有する開口部材と、前記第1の開口が前記送風口及び前記ヒートシンクの間に位置する第1の状態と、前記第1の開口が前記送風口及び前記ヒートシンクの間に位置しない第2の状態とを切り替えるために、前記開口部材を移動させる移動機構とを有する冷却装置と
を具備する電子機器。
【請求項16】
発熱源と、
前記発熱源からの熱を放出するヒートシンクと、前記ヒートシンクに対向する、所定の面積の送風口を有する送風機構と、前記送風口の面積を制限する遮蔽部を有し、回動可能であり、前記ヒートシンク及び前記送風口の間に配置された回動部材と、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限する第1の状態と、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限しない第2の状態とを切り替えるために、前記回動部材を回動させる回動機構とを有する冷却装置と
を具備する電子機器。
【請求項17】
所定の面積の送風口を有する送風機構と、
前記送風口の面積よりも小さい面積の第1の開口を有する開口部材と、
前記第1の開口が前記送風口の前方に位置する第1の状態と、前記第1の開口が前記送風口の前方に位置しない第2の状態とを切り替えるために、前記開口部材を移動させる移動機構と
を具備する送風装置。
【請求項18】
所定の面積の送風口を有する送風機構と、
前記送風口の面積を制限する遮蔽部を有し、回動可能であり、前記送風口の前方に配置された回動部材と、
前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限する第1の状態と、前記遮蔽部が前記送風口の面積を制限しない第2の状態とを切り替えるために、前記回動部材を回動させる回動機構と
を具備する送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−80643(P2010−80643A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246645(P2008−246645)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】