冷却装置のシュラウド構造
【課題】ラジエータに空気を導入する吸気口の大きさを十分に確保できない車両にあっても、ラジエータを良好に冷却可能な冷却装置のシュラウド構造を提供する。
【解決手段】ボンネット22の前端が側面視でラジエータ25の上部より前方まで延出し、前面視でラジエータ25の冷却フィン35と一部重なり合うように形成された車両において、ファンシュラウド27でボンネット22と冷却フィン35とが重なり合う領域の冷却フィン35を後方から覆うようにし、その他の冷却フィン35はファンシュラウド27で覆わないようにする。
【解決手段】ボンネット22の前端が側面視でラジエータ25の上部より前方まで延出し、前面視でラジエータ25の冷却フィン35と一部重なり合うように形成された車両において、ファンシュラウド27でボンネット22と冷却フィン35とが重なり合う領域の冷却フィン35を後方から覆うようにし、その他の冷却フィン35はファンシュラウド27で覆わないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両においてラジエータ等を含んで構成される冷却装置のシュラウド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラジエータの後方に配置される冷却ファンにファンシュラウドを設け、このファンシュラウドでラジエータ全体、より詳しくはラジエータの冷却フィンの全体を後方から覆う構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−162032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両において走行風を導入する吸気口(グリル)は、ラジエータの前方に配置されるのが一般的であり、冷却性を考慮すれば、吸気口が大きいほど好ましいと考えられる。しかし、比較的小型の車両(例えばMUV(Multipurpose Utility Vehicle)と呼ばれる不正地走行を主目的としたオフロードタイプの小型車両等)にあっては、ラジエータの必要容量に対して吸気口の大きさに制約がある上、吸気口のレイアウト自由度が低いといった実情がある。このため、他部品のレイアウトによっては、もともと大きさに制約のある吸気口が実質的に、より一層小さくなってしまい、十分な冷却効果を得られる吸気口の大きさを確保できない場合がある。具体例を挙げれば、ラジエータの上部に配置されるボンネットがラジエータの前方を覆ってしまい、吸気口を下方にずらして配置せざるを得ず、吸気口の面積が下方にずれた分だけ実質的に小さくなってしまう場合等である。
【0005】
ここで、上記で示した特許文献1に係る構造には、ファンシュラウドがラジエータ全体を覆うため、走行中等のファン停止時に走行風のスムーズな通過が阻害されてしてしまうという課題があり、かかる構造を、上記のような十分な冷却効果を得られる吸気口の大きさを確保できない車両に用いると、冷却効果の低下という課題が生じてしまう。つまり、吸気口から十分な走行風も導入できない上、ファンシュラウドによって走行風のスムーズな通過が阻害されるため、冷却効果の低下という課題が生じてしまうのである。
【0006】
そこで、本発明は係る実情に鑑み、ラジエータに空気を導入する吸気口の大きさを十分に確保できない車両にあっても、ラジエータ、より詳しくはラジエータの冷却フィンを良好に冷却可能な冷却装置のシュラウド構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、第1の発明は、車両(例えば実施形態における車両1)前部の上方を覆うボンネット(例えば実施形態におけるボンネット22)と、前記ボンネットの下方に配置されるラジエータ(例えば実施形態におけるラジエータ25)と、前記ボンネットの前部下方に配置され前記ラジエータの冷却フィン(例えば実施形態における冷却フィン35)に冷却のための風を導入する吸気口(例えば実施形態におけるグリル23)と、前記ラジエータの後方に配置され前記ラジエータの前記冷却フィンの冷却のための風を引き込む冷却ファン(例えば実施形態における冷却ファン26)と、前記冷却フィンの後方から前記冷却ファンまで延び、前記冷却ファンが引き込む風の吸気通路を形成するファンシュラウド(例えば実施形態におけるファンシュラウド本体56)と、を備える車両における冷却装置のシュラウド構造において、前記ボンネットの前端は、側面視で前記ラジエータの上部より前方まで延出し、前面視で前記ラジエータの前記冷却フィンと一部重なり合うように形成され、前記ファンシュラウドは、前記ボンネットと前記冷却フィンとが重なり合う領域の前記冷却フィンの少なくとも一部を後方から覆い、かつ、前記冷却フィンを一部露出させた状態で取付けられていることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、前記ファンシュラウドは、その略中央に前記冷却ファンを取付けられ、四角形状に形成された前記冷却フィンの上部側を覆うとともに、下部側を露出させるように取付けられていることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、前記ファンシュラウドは、前面視で略長方形状であって、車両前方に向かって次第に拡がる略弧状の内壁面(例えば実施形態における内壁面59A,60A,61A,62A)を有し、車両前方で開口するように形成され、前記ファンシュラウドの略長方形状の角部(例えば実施形態における63・・・)は、湾曲状に形成され、前記冷却フィンの一部は、前記ファンシュラウドの角部から一部露出していることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、前記ラジエータの両側部及び下部から前方に延びるラジエータシュラウド(例えば実施形態における下部ラジエータシュラウド41及び側部ラジエータシュラウド44,45)と、前記ファンシュラウドと一体に形成され、前記ラジエータの上部と前記ボンネットとの間の隙間を塞ぐ遮風板(例えば実施形態における遮風板72)と、をさらに設けたことを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、前記ファンシュラウドに、前記ラジエータのラジエータタンク(例えば実施形態における上部タンク32)を跨ぐように上方に延出し、かつ、前記ラジエータとの取付部(例えば実施形態における上部固定部71,71)が設定されるファンシュラウド取付部(例えば実施形態における上部ファンシュラウド取付部69,69)を設け、前記遮風板を、前記ファンシュラウド取付部に一体に設けたことを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、前記遮風板の幅方向の長さが、前記冷却ファンの外径以上に設定されていることを特徴する。
【0013】
第7の発明は、前記ファンシュラウドは、前面視で前記ボンネットと前記冷却フィンとが重なり合う領域の前記冷却フィンを覆い、前記吸気口と重なる領域の前記冷却フィンに前記ファンシュラウドに覆われない露出部(例えば実施形態における露出領域R)を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1,2の発明によれば、走行時には、吸気口から導入される走行風がファンシュラウドによって覆われない冷却フィンをスムーズに通過するため、効果的な冷却フィンの冷却が可能となり、低速または停止時には、冷却ファンを駆動させて、ボンネットと重なる領域の冷却フィンの方へ空気を吸い上げて、かかる領域の冷却フィンを集中して冷却できる。この結果、吸気口の大きさを十分に確保できない車両にあっても、停止時及び走行時にわたり冷却フィンの良好な冷却が可能となる。
【0015】
第3の発明によれば、吸気通路となるファンシュラウドにおいて空気滞留の生じやすい角形状をなくすことで、ファンシュラウドにおける空気滞留を低減できる。
【0016】
第4の発明によれば、ラジエータシュラウドを設けることでラジエータに導入する走行風の集気効果を高めることができるとともに、遮風板によりラジエータを通過した空気のラジエータ前方への還流による冷却効率の低下を防ぐことができる。
【0017】
第5の発明によれば、ファンシュラウド取付部をボンネットの支持部材とすることができ、ボンネットのたわみがラジエータ、より具体的にはラジエータタンク(ラジエータキャップ等)に及ばないようにすることができる。
【0018】
第6の発明によれば、ラジエータを通過した空気のラジエータ前方への還流をより確実に防ぐことができる。
【0019】
第7の発明によれば、吸気口からの走行風がダイレクトに当たる部分の冷却フィンは露出させて通気を良くし、走行風がダイレクトに当たらないボンネットとオーバーラップする部分の冷却フィンは、ファンシュラウドで集気して冷却することにより、冷却効率を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る車両の側面図である。
【図2】本実施形態に係る車両の正面図である。
【図3】車両前部の側面図である。
【図4】車両前部の縦断面図である。
【図5】車両が備える冷却装置の斜視図である。
【図6】冷却装置のファンシュラウドの正面図である。
【図7】冷却装置のファンシュラウドの背面図である。
【図8】ファンシュラウドの断面を示す図であって、(a)は図6のA−A線に沿う断面図、(b)は図6のB−B線に沿う断面図、(c)は図6のC−C線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を基に説明する。
図1,図2に、本発明構造を備える車両1の側面図及び正面図を示す。車両1は不正地走行を主目的とする比較的小型の車両(MUV)として構成されている。なお、以下の説明で用いる図面には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPを適所に示している。以下の説明では、これらの方向を適宜用いるものとする。
【0022】
車両1は、車両の基本骨格を構成する車体フレーム2を有し、かかる車体フレーム2は、前輪WFを懸架するフロントフレーム部3と、フロントフレーム部3の後方に設けられ乗員Dが着座するシートS等が配設される空間を形成するセンターフレーム部4と、センターフレーム部4の後方に設けられ後輪WRを懸架するとともにエンジンEを搭載するリヤフレーム部5とで構成されている。
【0023】
フロントフレーム部3は、車両下部前方において前後方向に延在する左右一対のフロントロアフレーム6L,6R(図1では、紙面手前側の6Lのみ示す)と、フロントロアフレーム6L,6Rの前端部から上方に立ち上がり、その後湾曲して後上方に延びる左右一対のフロントアッパフレーム7L,7R(図1では、紙面手前側の7Lのみ示す)とを有している。
【0024】
フロントアッパフレーム7L,7Rは、下から上へ立ち上がる上方立ち上がり部7AL,7AR(図1では、紙面手前側の7ALのみ示す)と、この上方立ち上がり部7AL,7ARから傾斜を変え車両後方へ延びる傾斜部7BL,7BR(図1では、紙面手前側の7BLのみ示す)とで構成されている。上方立ち上がり部7AL,7AR間には、下方において第一サブクロスフレーム8が架設され、上方において第二サブクロスフレーム9が架設されている。
【0025】
センターフレーム部4は、フロントロアフレーム6L,6Rの後端と接続し、車両下部で車幅方向に延びる第一ロアクロスフレーム10と、フロントアッパフレーム7L,7Rの後端と接続し、車幅方向に延びるアッパークロスフレーム11とを有している。
【0026】
図1を参照し、センターフレーム部4はさらに、第一ロアクロスフレーム10の略中央領域から後方へ延出する左右一対の中央ロアフレーム12L,12R(図1で、紙面手前側の12Lのみ示す)と、第一ロアクロスフレーム10の両端部に接続し、後上方に緩やかに延出する左右一対のサイドフレーム13L,13R(図1では、紙面手前側の13Lのみ示す)と、中央ロアフレーム12L,12Rの後端に接続されるとともに車幅方向に延びるように形成され、その両端部でサイドフレーム13L,13Rに接続する第二ロアクロスフレーム14と、サイドフレーム13L,13Rの前部及び後部から立ち上がる左右一対のロールバー15L,15R(図1では、紙面手前側の15Lのみ示す)とを有している。
【0027】
アッパークロスフレーム11は、ロールバー15L,15Rの前方側略中央領域に架設され、ロールバー15L,15RはシートS等が配設される空間を形成する部材であって、それぞれ車両側面視で略コ字状に形成されている。また、図2に示すように、サイドフレーム13L,13Rの前部は車幅方向内側に湾曲しており、その前端はフロントロアフレーム6L,6Rの側部に接続されている。
【0028】
また、ここでサイドフレーム13L,13Rの前方湾曲部位には、上方に立ち上がるフロント起立フレーム16L,16R(図1では、紙面手前側の16Lのみ示す)の一端が接続され、これらフロント起立フレーム16L,16Rの他端は、フロントアッパフレーム7L,7Rに接続されている。また、図2に示すようにフロント起立フレーム16L,16R間には、フロントクロスパイプ28が架設され、フロントクロスパイプ28とフロントアッパフレーム7L,7Rとの間には、フロントサブパイプ30L,30R(図1で、紙面手前側の30Lのみ示す)が架設されている。さらには、図1に示すように、フロントクロスパイプ28と、センターフレーム部4の第二ロアクロスフレーム14との間には、前後方向に延びるセンターフレーム29が架設されている。
【0029】
リヤフレーム部5は、第二ロアクロスフレーム14の略中央領域から後方へ延出する左右一対のリヤロアフレーム17L、17R(紙面手前側の17Lにみ示す)と、このリヤロアフレーム17L、17Rの上方で該リヤロアフレーム17L,17Rと略平行に延びるリヤトップフレーム18L,18R(紙面手前側の18Lのみ示す)とを有している。
【0030】
リヤフレーム部5はさらに、リヤロアフレーム17L,17Rとリヤトップフレーム18L,18Rとの間には、第一起立フレーム19L,19R(紙面手前側の19Lのみ示す)と、第二起立フレーム20L,20R(紙面手前側の20Lのみ示す)と、第三起立フレーム21L,21R(紙面手前側の21Lのみ示す)とを有している。
【0031】
リヤロアフレーム17L,17Rは、その前端で第二ロアクロスフレーム14に接続する一方で、その略中央領域側部でサイドフレーム13L,13Rの後端と接続している。また、図示しないが、第一起立フレーム19L,19R、第二起立フレーム20L,20R、及び第三起立フレーム21L,21R間にはそれぞれ、クロスフレームが適所に架設されている。
【0032】
エンジンEは水冷式のエンジンとして構成され、リヤフレーム部5においてリヤロアフレーム17L,17Rの上方に搭載されている。エンジンEは、クランクケースの前部及び後部側壁からそれぞれドライブシャフトを突出させ、かかるドライブシャフトを介して、エンジンEの回転動力が前輪WF及び後輪WRに伝達されるようになっている。
【0033】
また、車両前部では、フロントアッパフレーム7L,7Rの上方にボンネット22が配置され、フロントアッパフレーム7L,7Rの前方に吸気口となるグリル23が配置されている。ボンネット22はフロントアッパフレーム7L,7R及びロールバー15L,15Rの適所に支持され、フロントアッパフレーム7L,7Rの傾斜部7BL,7BRに沿って側面視で前下がりに形成されるとともに、図2に示すようにフロントアッパフレーム7L,7R間全域を覆うように幅寸法を設定されている。また、グリル23は、ボンネット22の前端部の下方で、かつ、車幅方向略中央に配置されている。
【0034】
図3を参照し、ボンネット22の下方、かつ、グリル23の後方には、冷却装置24が配置されている。冷却装置24は、ラジエータ25と、ラジエータ25の後方に配置される冷却ファン26と、冷却ファン26とラジエータ25との間に介装されるファンシュラウド27とで構成されるものである。
【0035】
ここで、図2,4に示すように、ボンネット22の幅方向略中央領域の前端は、側面視でラジエータ25の上部より前方下方まで延出し、冷却装置24の上部、より詳しくは冷却装置24において前方側に位置するラジエータ25の上部と一部重なり合うように形成されている。すなわち、ラジエータ25の上部はボンネット22によって覆われた状態とされている。以下、図5〜図8も参照して、冷却装置24の配置及び構成について詳しく説明する。
【0036】
図4,図5を参照し、冷却装置24を構成するラジエータ25は、所謂ダウンフロータイプのラジエータとして構成され、正面視矩形(四角形)の板状を呈するラジエータコア31と、ラジエータコア31の上部及び下部に一体に取り付けられる上部タンク32及び下部タンク33とを有している。
【0037】
ラジエータコア31は、上部タンク32及び下部タンク33の双方に連通するウォータチューブ34・・・を連設し、かかるウォータチューブ34・・・間に波形状の冷却フィン35・・・を複数配設することで構成されている。ラジエータコア31の側方上部にはブラケット36,37が設けられており、図2に参照されるように、かかるブラケット36,37をフロントアッパフレーム7L,7Rに形成されたブラケット38,39にボルト締めすることでラジエータ25は固定されている。
【0038】
先では、ラジエータ25の上部がボンネット22に覆われること説明したが、正確には、ラジエータ25がフロントアッパフレーム7L,7Rに固定された状態で、図2〜図4に参照されるように、ラジエータコア31の上部領域、より具体的に言うと、ウォータチューブ34・・・及び冷却フィン35・・・の上部領域がボンネット22の前端に側面視及び前面視で重なるようになっている。なお、図4では、ウォータチューブ34・・・及び冷却フィン35・・・の一部のみを示しているが、これらは矩形のラジエータコア31の全域に配設されるものであって、まとめて見た場合には矩形(四角形)状を呈するものである。また、ここでラジエータコア31は、図4に示すようにグリル23の配置位置を考慮して、グリル23側に傾いた状態とされている。
【0039】
上部タンク32の左側部にはラジエータキャップ40が突設されている。ラジエータキャップ40は、図示しないリザーバタンクとホースを介して接続され、冷却水を供給可能とされている。
【0040】
また、図5を参照し、下部タンク33には前方、かつ、下方に延びる下部ラジエータシュラウド41が設けられ、下部ラジエータシュラウド41の両側部には左右に突出する係合爪42,43(紙面手前側の43のみ示す)が形成されている。かかる係合爪42,43にはそれぞれ、ラジエータコア31の側部から前方に略真直ぐに延びる側部ラジエータシュラウド44,45が係合されている。側部ラジエータシュラウド44,45は略三角形状を呈しており、その前部下方に係合爪42,43と係合する係合孔46,47(紙面手前側の47のみ示す)を有しており、上部はラジエータコア31の側部にネジ48,49(紙面手前側49のみ示す)により固定されている。
【0041】
また、図3に示すように、上部タンク32の左側後面には上流側インレットホース50が、下部タンク33の右側後面には下流側アウトレットホース51が接続されている。各ホース50,51は、車両後方側に引き出され、車両後部でエンジンEに接続されるようになっている。
【0042】
図4,図5を併せて参照し、冷却ファン26は、ラジエータコア31の略中央の背面側に配置されるものであって、車両前後方向に回転軸を備える扁平状のファンモータ52と、ファンモータ52の回転軸に固定されたファン本体53とを有するものである。ファンモータ52の後面にはファンシュラウド27との固定部(図示せず)が形成されており、かかる固定部を介して冷却ファン26がファンシュラウド27に固定されるようになっている。
【0043】
ファン本体53は、前記回転軸から放射状に延びる複数の羽根54・・・と、羽根54・・・を囲繞するとともに、羽根54・・・の外側と結合する筒部55とが一体に形成されてなるものである。ファンシュラウド27に固定された冷却ファン26がファンモータ52を駆動させた場合には、羽根54・・・及び筒部55が一体となって回転し、車両後方に向けて風が引き込まれる。ここで、ファンシュラウド27は、ラジエータコア31の冷却フィン35の後方から冷却ファン26まで延びており、冷却ファン26が引き込む風の吸気通路を形成している。これにより、風がファンシュラウド27を通り、その後、ラジエータコア31の冷却フィン35を通過するようになっている。
【0044】
図6,図7に示すようにファンシュラウド27は、例えば樹脂材料から成形されるもので、前面視及び後面視で略長方形状のファンシュラウド本体56を有し、図4にも参照されるようにファンシュラウド本体56の略中央部には、筒状を呈し、後方に延びる冷却ファン取付部57が形成されている。
【0045】
ファンシュラウド本体56はトレイ状に形成され前方で開口しており、その幅寸法はラジエータコア31の幅寸法よりもやや小さめであって、その高さ寸法はラジエータコア31の高さ寸法の約半分程度に設定されている。
【0046】
図5,図6を参照し、ファンシュラウド本体56の底部58から前方に延びる上壁部59、下壁部60、左側壁部61、右側壁部62は、図8(a),(b)に示すように、それぞれの内壁面59A,60A,61A,62Aが車両前方に向かって次第に拡がる略弧状に形成されている。なお、図8(b)には右側壁部62の断面を示したが、左側壁部61も同様の形状に形成されている。
また、図8(c)に示すように、上壁部59と左側壁部61との結合部の内壁面も車両前方に向かって次第に拡がる略弧状に形成されている。その上、ファンシュラウド本体56の四隅に位置する角部63・・・は、図6,図7に示すように湾曲状に形成されている。
【0047】
冷却ファン取付部57は、ファン本体53の筒部55よりも一回り大きな内径寸法を設定されており、ファン本体53を嵌め入れるようにしてファン本体53を固定するものである。冷却ファン取付部57の下方周面は、ファンシュラウド本体56の下部から張り出しており、冷却ファン取付部57の下部周面は、ファンシュラウド本体56の下壁部60と一体に連なっている。
【0048】
冷却ファン取付部57の後部内壁面には、当該冷却ファン取付部57の中心に向けて延びる板状のリブ65・・・が略120度間隔で三つ形成され、これらリブ65の端部は、円板状に形成された取り付け板66の外周面と一体に結合されている。
【0049】
取り付け板66は冷却ファン取付部57の中心にその中心を沿わせており、その前方側の面に冷却ファン26のファンモータ52を固定するためのネジ孔67・・・を形成されている。図4に示すように、これらネジ孔67・・・を介して、取り付け板66にファンモータ52が固定されるようになっており、冷却ファン26が引き込んだ風は、リブ65間を通過し、後方に流れるようになっている。また、ここで冷却ファン取付部57に取付けられた冷却ファン26は、グリル23の配置を考慮して、その回転軸が前方斜め下に向いた状態に設定されている。
【0050】
そして、ファンシュラウド27において冷却ファン取付部57の下部には、下方に延出する下部ファンシュラウド取付部68が一体に形成され、冷却ファン取付部57の上部には、上方に延出する一対の上部ファンシュラウド取付部69,69が一体に形成されている。
【0051】
下部ファンシュラウド取付部68は、図7に示すように後方に開口する箱形状に形成されており、図4に示すように、下部タンク33に向けて前方にも延びている(図4では、図示都合上、下部ファンシュラウド取付部68を二点鎖線で示している)。
【0052】
下部ファンシュラウド取付部68の下部前端には、下部タンク33との固定のための下部固定部70が形成され、下部固定部70は孔を有し、かかる孔にクリップ等を挿入することで下部固定部79が下部タンク33に固定される。これにより、ファンシュラウド27の下部がラジエータ25に固定されるようになっている。
【0053】
また、上部ファンシュラウド取付部69,69も、図7に示すように後方に開口する箱形状に形成されており、冷却ファン取付部57の中心から車幅方向にオフセットされた位置から、上方に延びている。また、図4に示すように、上部ファンシュラウド取付部69,69も上部タンク32に向けて前方にも延びている。ここで上部ファンシュラウド取付部69,69は、上部タンク32を跨ぐようにして上方にさらに延出しており、その上端はボンネット22の裏面近傍に至る高さ寸法を設定されている。
【0054】
上部ファンシュラウド取付部69,69において、上部タンク32のちょうど後に位置する上下方向略中央領域には、上部タンク32との固定のための上部固定部71,71が形成されている。上部固定部71,71は孔を有し、かかる孔にクリップ等を挿入することで上部タンク32に固定される。これにより、ファンシュラウド27の上部がラジエータ25に固定されるようになっている。
【0055】
そして、ファンシュラウド27が下部固定部70及び上部固定部71,71によりラジエータ25に固定された状態では、図4〜図7に参照されるように、ファンシュラウド本体56がラジエータコア31の上部側に位置する。これにより、ファンシュラウド本体56は、ボンネット22とラジエータ25の冷却フィン35とが重なり合う領域の冷却フィン35の一部を後方から覆い、かつ、その他の冷却フィン35は覆わない状態、換言すれば、他の冷却フィン35を露出させている。
【0056】
すなわち、ファンシュラウド27は、ファンシュラウド本体56により、四角形状に形成された冷却フィン35の主として上部側の一部を後方から覆うとともに、冷却フィン35の下部側を露出させるようにラジエータ25に取付けられている。より詳しく説明すると、図3と図6とに示すボンネット22とグリル23との上下方向の境界線L3から分かるように、ファンシュラウド27は、ファンシュラウド本体56が、前面視でボンネット22とラジエータコア31(冷却フィン35)とが重なり合う領域の冷却フィン35を覆い、グリル23と重なる領域の冷却フィン35にファンシュラウド本体56に覆われない露出領域Rが形成されるように取付けられている。なお、より正確には、図6に示すようにファンシュラウド本体56の左側側部は、ラジエータコア31の左側側部から右側にオフセットされており、運転者の配置位置に対応して排風を考慮すべく、一部冷却フィン35を覆わない状態としている。また、ここで図7に参照されるように、ファンシュラウド本体56の角部63・・・からも、ラジエータコア31の冷却フィン35の一部がファンシュラウド本体56に覆われることなく露出された状態とされている。
【0057】
また、図6,図7を参照し、上部ファンシュラウド取付部69,69の上部間には、長方形状の車幅方向に延びる遮風板72が形成され、遮風板72は、図4に示すように、ボンネット22の裏面と上部タンク32の上面との間に形成されるスペースを覆うように位置している。ここで遮風板72の幅寸法は、冷却ファン26が引き込んだ風の前方への還流を防ぐべく、冷却ファン26におけるファン本体53の羽根54の外形寸法よりもやや大きく設定されている。
【0058】
すなわち、図7を参照し、L1は冷却ファン26におけるファン本体53の羽根54の外形寸法を示し、L2は遮風板72の幅寸法を示しており、これらの間には「L2>L1」の関係が設定されている。なお、この寸法設定は、冷却ファン26が引き込んだ風の前方への還流を防ぐべくものであるため、遮風板72の幅寸法が少なくとも羽根54の外形寸法以上に設定されることが好ましく、すなわち、「L2≧L1」の関係が成り立つことが好ましい。
【0059】
以上に記載した本実施形態に係る冷却装置24では、ファンシュラウド本体56が、ボンネット22と冷却フィン35とが重なり合う領域の冷却フィン35の少なくとも一部を後方から覆い、かつ、冷却フィン35の一部を露出させた状態で取付けられているため、図4,図5に参照されるように、走行時には、グリル23から導入される走行風α,β,γがファンシュラウド本体56によって覆われない冷却フィン35をスムーズに通過する。また、低速または停止時には、冷却ファン26をファンモータ52を駆動させて、ボンネット22と重なる領域の冷却フィン35の方へ空気を吸い上げて、かかる領域の冷却フィン35を集中してラジエータ25を冷却できる。この結果、ボンネット22によりグリル23の大きさを十分に確保できない車両1にあっても、停止時及び走行時にわたり冷却フィン35の良好な冷却が可能となる。換言すれば、グリル23からの走行風がダイレクトに当たる部分の冷却フィン35は露出させて通気を良くし、走行風がダイレクトに当たらないボンネット22とオーバーラップする部分の冷却フィン35は、ファンシュラウド27で集気して冷却することにより、冷却効率を高められる。
【0060】
また、ファンシュラウド本体56は、前面視で略長方形状であって、車両前方に向かって次第に拡がる略弧状の内壁面59A,60A,61A,62Aを有し、車両前方で開口するように形成されており、ファンシュラウド本体56の角部63・・・は、湾曲状に形成され、冷却フィン35の一部がファンシュラウド本体の角部63から一部露出しているため、吸気通路となるファンシュラウドにおいて空気滞留の生じやすい角形状がなく、ファンシュラウド本体56における空気滞留を低減できる構造とされている。
【0061】
さらに、ラジエータ25のラジエータコア31両側部及び下部から前方に延びる下部ラジエータシュラウド41及び側部ラジエータシュラウド44,45と、ファンシュラウド本体56と一体に形成され、ラジエータ25の上部とボンネット22との間の隙間を塞ぐ遮風板72とが備えられているため、各ラジエータシュラウド41,44,45によりラジエータ25に導入する走行風の集気効果を高めることができるとともに、遮風板72によりラジエータ25を通過した空気(風)のラジエータ25前方への還流による冷却効率の低下を防ぐことができる。
ここで、遮風板72は、冷却ファン26の羽根54・・・の外径以上の長さに設定されているため、ラジエータ25を通過した空気(風)のラジエータ25前方への還流による冷却効率の低下をより確実防ぐことができる。
【0062】
また、ファンシュラウド本体56に、ラジエータ25の上部タンク32を跨ぐように上方に延出し、かつ、ラジエータ25との取付部である上部固定部71,71が設定される上部ファンシュラウド取付部68,69が設けられ、遮風板72を上部ファンシュラウド取付部68,69に一体に設けているため、上部ファンシュラウド取付部68,69をボンネット22の支持部材とすることができ、ボンネット22のたわみがラジエータ25、より具体的には上部タンク32(ラジエータキャップ40等)に及ばないようにすることができる。
【0063】
なお、上記実施形態における構成はこの発明の一例であり、部品構成や構造、形状、大きさ、数及び配置等を含め、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1 車両
22 ボンネット
23 グリル(吸気口)
25 ラジエータ
26 冷却ファン
27 ファンシュラウド
35 冷却フィン
41 下部ラジエータシュラウド(ラジエータシュラウド)
44,45 側部ラジエータシュラウド(ラジエータシュラウド)
56 ファンシュラウド本体(ファンシュラウド)
59A,60A,61A,62A 内壁面
69 上部ファンシュラウド取付部(ファンシュラウド取付部)
71 上部固定部(取付部)
72 遮風板
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両においてラジエータ等を含んで構成される冷却装置のシュラウド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラジエータの後方に配置される冷却ファンにファンシュラウドを設け、このファンシュラウドでラジエータ全体、より詳しくはラジエータの冷却フィンの全体を後方から覆う構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−162032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両において走行風を導入する吸気口(グリル)は、ラジエータの前方に配置されるのが一般的であり、冷却性を考慮すれば、吸気口が大きいほど好ましいと考えられる。しかし、比較的小型の車両(例えばMUV(Multipurpose Utility Vehicle)と呼ばれる不正地走行を主目的としたオフロードタイプの小型車両等)にあっては、ラジエータの必要容量に対して吸気口の大きさに制約がある上、吸気口のレイアウト自由度が低いといった実情がある。このため、他部品のレイアウトによっては、もともと大きさに制約のある吸気口が実質的に、より一層小さくなってしまい、十分な冷却効果を得られる吸気口の大きさを確保できない場合がある。具体例を挙げれば、ラジエータの上部に配置されるボンネットがラジエータの前方を覆ってしまい、吸気口を下方にずらして配置せざるを得ず、吸気口の面積が下方にずれた分だけ実質的に小さくなってしまう場合等である。
【0005】
ここで、上記で示した特許文献1に係る構造には、ファンシュラウドがラジエータ全体を覆うため、走行中等のファン停止時に走行風のスムーズな通過が阻害されてしてしまうという課題があり、かかる構造を、上記のような十分な冷却効果を得られる吸気口の大きさを確保できない車両に用いると、冷却効果の低下という課題が生じてしまう。つまり、吸気口から十分な走行風も導入できない上、ファンシュラウドによって走行風のスムーズな通過が阻害されるため、冷却効果の低下という課題が生じてしまうのである。
【0006】
そこで、本発明は係る実情に鑑み、ラジエータに空気を導入する吸気口の大きさを十分に確保できない車両にあっても、ラジエータ、より詳しくはラジエータの冷却フィンを良好に冷却可能な冷却装置のシュラウド構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、第1の発明は、車両(例えば実施形態における車両1)前部の上方を覆うボンネット(例えば実施形態におけるボンネット22)と、前記ボンネットの下方に配置されるラジエータ(例えば実施形態におけるラジエータ25)と、前記ボンネットの前部下方に配置され前記ラジエータの冷却フィン(例えば実施形態における冷却フィン35)に冷却のための風を導入する吸気口(例えば実施形態におけるグリル23)と、前記ラジエータの後方に配置され前記ラジエータの前記冷却フィンの冷却のための風を引き込む冷却ファン(例えば実施形態における冷却ファン26)と、前記冷却フィンの後方から前記冷却ファンまで延び、前記冷却ファンが引き込む風の吸気通路を形成するファンシュラウド(例えば実施形態におけるファンシュラウド本体56)と、を備える車両における冷却装置のシュラウド構造において、前記ボンネットの前端は、側面視で前記ラジエータの上部より前方まで延出し、前面視で前記ラジエータの前記冷却フィンと一部重なり合うように形成され、前記ファンシュラウドは、前記ボンネットと前記冷却フィンとが重なり合う領域の前記冷却フィンの少なくとも一部を後方から覆い、かつ、前記冷却フィンを一部露出させた状態で取付けられていることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、前記ファンシュラウドは、その略中央に前記冷却ファンを取付けられ、四角形状に形成された前記冷却フィンの上部側を覆うとともに、下部側を露出させるように取付けられていることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、前記ファンシュラウドは、前面視で略長方形状であって、車両前方に向かって次第に拡がる略弧状の内壁面(例えば実施形態における内壁面59A,60A,61A,62A)を有し、車両前方で開口するように形成され、前記ファンシュラウドの略長方形状の角部(例えば実施形態における63・・・)は、湾曲状に形成され、前記冷却フィンの一部は、前記ファンシュラウドの角部から一部露出していることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、前記ラジエータの両側部及び下部から前方に延びるラジエータシュラウド(例えば実施形態における下部ラジエータシュラウド41及び側部ラジエータシュラウド44,45)と、前記ファンシュラウドと一体に形成され、前記ラジエータの上部と前記ボンネットとの間の隙間を塞ぐ遮風板(例えば実施形態における遮風板72)と、をさらに設けたことを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、前記ファンシュラウドに、前記ラジエータのラジエータタンク(例えば実施形態における上部タンク32)を跨ぐように上方に延出し、かつ、前記ラジエータとの取付部(例えば実施形態における上部固定部71,71)が設定されるファンシュラウド取付部(例えば実施形態における上部ファンシュラウド取付部69,69)を設け、前記遮風板を、前記ファンシュラウド取付部に一体に設けたことを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、前記遮風板の幅方向の長さが、前記冷却ファンの外径以上に設定されていることを特徴する。
【0013】
第7の発明は、前記ファンシュラウドは、前面視で前記ボンネットと前記冷却フィンとが重なり合う領域の前記冷却フィンを覆い、前記吸気口と重なる領域の前記冷却フィンに前記ファンシュラウドに覆われない露出部(例えば実施形態における露出領域R)を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1,2の発明によれば、走行時には、吸気口から導入される走行風がファンシュラウドによって覆われない冷却フィンをスムーズに通過するため、効果的な冷却フィンの冷却が可能となり、低速または停止時には、冷却ファンを駆動させて、ボンネットと重なる領域の冷却フィンの方へ空気を吸い上げて、かかる領域の冷却フィンを集中して冷却できる。この結果、吸気口の大きさを十分に確保できない車両にあっても、停止時及び走行時にわたり冷却フィンの良好な冷却が可能となる。
【0015】
第3の発明によれば、吸気通路となるファンシュラウドにおいて空気滞留の生じやすい角形状をなくすことで、ファンシュラウドにおける空気滞留を低減できる。
【0016】
第4の発明によれば、ラジエータシュラウドを設けることでラジエータに導入する走行風の集気効果を高めることができるとともに、遮風板によりラジエータを通過した空気のラジエータ前方への還流による冷却効率の低下を防ぐことができる。
【0017】
第5の発明によれば、ファンシュラウド取付部をボンネットの支持部材とすることができ、ボンネットのたわみがラジエータ、より具体的にはラジエータタンク(ラジエータキャップ等)に及ばないようにすることができる。
【0018】
第6の発明によれば、ラジエータを通過した空気のラジエータ前方への還流をより確実に防ぐことができる。
【0019】
第7の発明によれば、吸気口からの走行風がダイレクトに当たる部分の冷却フィンは露出させて通気を良くし、走行風がダイレクトに当たらないボンネットとオーバーラップする部分の冷却フィンは、ファンシュラウドで集気して冷却することにより、冷却効率を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る車両の側面図である。
【図2】本実施形態に係る車両の正面図である。
【図3】車両前部の側面図である。
【図4】車両前部の縦断面図である。
【図5】車両が備える冷却装置の斜視図である。
【図6】冷却装置のファンシュラウドの正面図である。
【図7】冷却装置のファンシュラウドの背面図である。
【図8】ファンシュラウドの断面を示す図であって、(a)は図6のA−A線に沿う断面図、(b)は図6のB−B線に沿う断面図、(c)は図6のC−C線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を基に説明する。
図1,図2に、本発明構造を備える車両1の側面図及び正面図を示す。車両1は不正地走行を主目的とする比較的小型の車両(MUV)として構成されている。なお、以下の説明で用いる図面には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPを適所に示している。以下の説明では、これらの方向を適宜用いるものとする。
【0022】
車両1は、車両の基本骨格を構成する車体フレーム2を有し、かかる車体フレーム2は、前輪WFを懸架するフロントフレーム部3と、フロントフレーム部3の後方に設けられ乗員Dが着座するシートS等が配設される空間を形成するセンターフレーム部4と、センターフレーム部4の後方に設けられ後輪WRを懸架するとともにエンジンEを搭載するリヤフレーム部5とで構成されている。
【0023】
フロントフレーム部3は、車両下部前方において前後方向に延在する左右一対のフロントロアフレーム6L,6R(図1では、紙面手前側の6Lのみ示す)と、フロントロアフレーム6L,6Rの前端部から上方に立ち上がり、その後湾曲して後上方に延びる左右一対のフロントアッパフレーム7L,7R(図1では、紙面手前側の7Lのみ示す)とを有している。
【0024】
フロントアッパフレーム7L,7Rは、下から上へ立ち上がる上方立ち上がり部7AL,7AR(図1では、紙面手前側の7ALのみ示す)と、この上方立ち上がり部7AL,7ARから傾斜を変え車両後方へ延びる傾斜部7BL,7BR(図1では、紙面手前側の7BLのみ示す)とで構成されている。上方立ち上がり部7AL,7AR間には、下方において第一サブクロスフレーム8が架設され、上方において第二サブクロスフレーム9が架設されている。
【0025】
センターフレーム部4は、フロントロアフレーム6L,6Rの後端と接続し、車両下部で車幅方向に延びる第一ロアクロスフレーム10と、フロントアッパフレーム7L,7Rの後端と接続し、車幅方向に延びるアッパークロスフレーム11とを有している。
【0026】
図1を参照し、センターフレーム部4はさらに、第一ロアクロスフレーム10の略中央領域から後方へ延出する左右一対の中央ロアフレーム12L,12R(図1で、紙面手前側の12Lのみ示す)と、第一ロアクロスフレーム10の両端部に接続し、後上方に緩やかに延出する左右一対のサイドフレーム13L,13R(図1では、紙面手前側の13Lのみ示す)と、中央ロアフレーム12L,12Rの後端に接続されるとともに車幅方向に延びるように形成され、その両端部でサイドフレーム13L,13Rに接続する第二ロアクロスフレーム14と、サイドフレーム13L,13Rの前部及び後部から立ち上がる左右一対のロールバー15L,15R(図1では、紙面手前側の15Lのみ示す)とを有している。
【0027】
アッパークロスフレーム11は、ロールバー15L,15Rの前方側略中央領域に架設され、ロールバー15L,15RはシートS等が配設される空間を形成する部材であって、それぞれ車両側面視で略コ字状に形成されている。また、図2に示すように、サイドフレーム13L,13Rの前部は車幅方向内側に湾曲しており、その前端はフロントロアフレーム6L,6Rの側部に接続されている。
【0028】
また、ここでサイドフレーム13L,13Rの前方湾曲部位には、上方に立ち上がるフロント起立フレーム16L,16R(図1では、紙面手前側の16Lのみ示す)の一端が接続され、これらフロント起立フレーム16L,16Rの他端は、フロントアッパフレーム7L,7Rに接続されている。また、図2に示すようにフロント起立フレーム16L,16R間には、フロントクロスパイプ28が架設され、フロントクロスパイプ28とフロントアッパフレーム7L,7Rとの間には、フロントサブパイプ30L,30R(図1で、紙面手前側の30Lのみ示す)が架設されている。さらには、図1に示すように、フロントクロスパイプ28と、センターフレーム部4の第二ロアクロスフレーム14との間には、前後方向に延びるセンターフレーム29が架設されている。
【0029】
リヤフレーム部5は、第二ロアクロスフレーム14の略中央領域から後方へ延出する左右一対のリヤロアフレーム17L、17R(紙面手前側の17Lにみ示す)と、このリヤロアフレーム17L、17Rの上方で該リヤロアフレーム17L,17Rと略平行に延びるリヤトップフレーム18L,18R(紙面手前側の18Lのみ示す)とを有している。
【0030】
リヤフレーム部5はさらに、リヤロアフレーム17L,17Rとリヤトップフレーム18L,18Rとの間には、第一起立フレーム19L,19R(紙面手前側の19Lのみ示す)と、第二起立フレーム20L,20R(紙面手前側の20Lのみ示す)と、第三起立フレーム21L,21R(紙面手前側の21Lのみ示す)とを有している。
【0031】
リヤロアフレーム17L,17Rは、その前端で第二ロアクロスフレーム14に接続する一方で、その略中央領域側部でサイドフレーム13L,13Rの後端と接続している。また、図示しないが、第一起立フレーム19L,19R、第二起立フレーム20L,20R、及び第三起立フレーム21L,21R間にはそれぞれ、クロスフレームが適所に架設されている。
【0032】
エンジンEは水冷式のエンジンとして構成され、リヤフレーム部5においてリヤロアフレーム17L,17Rの上方に搭載されている。エンジンEは、クランクケースの前部及び後部側壁からそれぞれドライブシャフトを突出させ、かかるドライブシャフトを介して、エンジンEの回転動力が前輪WF及び後輪WRに伝達されるようになっている。
【0033】
また、車両前部では、フロントアッパフレーム7L,7Rの上方にボンネット22が配置され、フロントアッパフレーム7L,7Rの前方に吸気口となるグリル23が配置されている。ボンネット22はフロントアッパフレーム7L,7R及びロールバー15L,15Rの適所に支持され、フロントアッパフレーム7L,7Rの傾斜部7BL,7BRに沿って側面視で前下がりに形成されるとともに、図2に示すようにフロントアッパフレーム7L,7R間全域を覆うように幅寸法を設定されている。また、グリル23は、ボンネット22の前端部の下方で、かつ、車幅方向略中央に配置されている。
【0034】
図3を参照し、ボンネット22の下方、かつ、グリル23の後方には、冷却装置24が配置されている。冷却装置24は、ラジエータ25と、ラジエータ25の後方に配置される冷却ファン26と、冷却ファン26とラジエータ25との間に介装されるファンシュラウド27とで構成されるものである。
【0035】
ここで、図2,4に示すように、ボンネット22の幅方向略中央領域の前端は、側面視でラジエータ25の上部より前方下方まで延出し、冷却装置24の上部、より詳しくは冷却装置24において前方側に位置するラジエータ25の上部と一部重なり合うように形成されている。すなわち、ラジエータ25の上部はボンネット22によって覆われた状態とされている。以下、図5〜図8も参照して、冷却装置24の配置及び構成について詳しく説明する。
【0036】
図4,図5を参照し、冷却装置24を構成するラジエータ25は、所謂ダウンフロータイプのラジエータとして構成され、正面視矩形(四角形)の板状を呈するラジエータコア31と、ラジエータコア31の上部及び下部に一体に取り付けられる上部タンク32及び下部タンク33とを有している。
【0037】
ラジエータコア31は、上部タンク32及び下部タンク33の双方に連通するウォータチューブ34・・・を連設し、かかるウォータチューブ34・・・間に波形状の冷却フィン35・・・を複数配設することで構成されている。ラジエータコア31の側方上部にはブラケット36,37が設けられており、図2に参照されるように、かかるブラケット36,37をフロントアッパフレーム7L,7Rに形成されたブラケット38,39にボルト締めすることでラジエータ25は固定されている。
【0038】
先では、ラジエータ25の上部がボンネット22に覆われること説明したが、正確には、ラジエータ25がフロントアッパフレーム7L,7Rに固定された状態で、図2〜図4に参照されるように、ラジエータコア31の上部領域、より具体的に言うと、ウォータチューブ34・・・及び冷却フィン35・・・の上部領域がボンネット22の前端に側面視及び前面視で重なるようになっている。なお、図4では、ウォータチューブ34・・・及び冷却フィン35・・・の一部のみを示しているが、これらは矩形のラジエータコア31の全域に配設されるものであって、まとめて見た場合には矩形(四角形)状を呈するものである。また、ここでラジエータコア31は、図4に示すようにグリル23の配置位置を考慮して、グリル23側に傾いた状態とされている。
【0039】
上部タンク32の左側部にはラジエータキャップ40が突設されている。ラジエータキャップ40は、図示しないリザーバタンクとホースを介して接続され、冷却水を供給可能とされている。
【0040】
また、図5を参照し、下部タンク33には前方、かつ、下方に延びる下部ラジエータシュラウド41が設けられ、下部ラジエータシュラウド41の両側部には左右に突出する係合爪42,43(紙面手前側の43のみ示す)が形成されている。かかる係合爪42,43にはそれぞれ、ラジエータコア31の側部から前方に略真直ぐに延びる側部ラジエータシュラウド44,45が係合されている。側部ラジエータシュラウド44,45は略三角形状を呈しており、その前部下方に係合爪42,43と係合する係合孔46,47(紙面手前側の47のみ示す)を有しており、上部はラジエータコア31の側部にネジ48,49(紙面手前側49のみ示す)により固定されている。
【0041】
また、図3に示すように、上部タンク32の左側後面には上流側インレットホース50が、下部タンク33の右側後面には下流側アウトレットホース51が接続されている。各ホース50,51は、車両後方側に引き出され、車両後部でエンジンEに接続されるようになっている。
【0042】
図4,図5を併せて参照し、冷却ファン26は、ラジエータコア31の略中央の背面側に配置されるものであって、車両前後方向に回転軸を備える扁平状のファンモータ52と、ファンモータ52の回転軸に固定されたファン本体53とを有するものである。ファンモータ52の後面にはファンシュラウド27との固定部(図示せず)が形成されており、かかる固定部を介して冷却ファン26がファンシュラウド27に固定されるようになっている。
【0043】
ファン本体53は、前記回転軸から放射状に延びる複数の羽根54・・・と、羽根54・・・を囲繞するとともに、羽根54・・・の外側と結合する筒部55とが一体に形成されてなるものである。ファンシュラウド27に固定された冷却ファン26がファンモータ52を駆動させた場合には、羽根54・・・及び筒部55が一体となって回転し、車両後方に向けて風が引き込まれる。ここで、ファンシュラウド27は、ラジエータコア31の冷却フィン35の後方から冷却ファン26まで延びており、冷却ファン26が引き込む風の吸気通路を形成している。これにより、風がファンシュラウド27を通り、その後、ラジエータコア31の冷却フィン35を通過するようになっている。
【0044】
図6,図7に示すようにファンシュラウド27は、例えば樹脂材料から成形されるもので、前面視及び後面視で略長方形状のファンシュラウド本体56を有し、図4にも参照されるようにファンシュラウド本体56の略中央部には、筒状を呈し、後方に延びる冷却ファン取付部57が形成されている。
【0045】
ファンシュラウド本体56はトレイ状に形成され前方で開口しており、その幅寸法はラジエータコア31の幅寸法よりもやや小さめであって、その高さ寸法はラジエータコア31の高さ寸法の約半分程度に設定されている。
【0046】
図5,図6を参照し、ファンシュラウド本体56の底部58から前方に延びる上壁部59、下壁部60、左側壁部61、右側壁部62は、図8(a),(b)に示すように、それぞれの内壁面59A,60A,61A,62Aが車両前方に向かって次第に拡がる略弧状に形成されている。なお、図8(b)には右側壁部62の断面を示したが、左側壁部61も同様の形状に形成されている。
また、図8(c)に示すように、上壁部59と左側壁部61との結合部の内壁面も車両前方に向かって次第に拡がる略弧状に形成されている。その上、ファンシュラウド本体56の四隅に位置する角部63・・・は、図6,図7に示すように湾曲状に形成されている。
【0047】
冷却ファン取付部57は、ファン本体53の筒部55よりも一回り大きな内径寸法を設定されており、ファン本体53を嵌め入れるようにしてファン本体53を固定するものである。冷却ファン取付部57の下方周面は、ファンシュラウド本体56の下部から張り出しており、冷却ファン取付部57の下部周面は、ファンシュラウド本体56の下壁部60と一体に連なっている。
【0048】
冷却ファン取付部57の後部内壁面には、当該冷却ファン取付部57の中心に向けて延びる板状のリブ65・・・が略120度間隔で三つ形成され、これらリブ65の端部は、円板状に形成された取り付け板66の外周面と一体に結合されている。
【0049】
取り付け板66は冷却ファン取付部57の中心にその中心を沿わせており、その前方側の面に冷却ファン26のファンモータ52を固定するためのネジ孔67・・・を形成されている。図4に示すように、これらネジ孔67・・・を介して、取り付け板66にファンモータ52が固定されるようになっており、冷却ファン26が引き込んだ風は、リブ65間を通過し、後方に流れるようになっている。また、ここで冷却ファン取付部57に取付けられた冷却ファン26は、グリル23の配置を考慮して、その回転軸が前方斜め下に向いた状態に設定されている。
【0050】
そして、ファンシュラウド27において冷却ファン取付部57の下部には、下方に延出する下部ファンシュラウド取付部68が一体に形成され、冷却ファン取付部57の上部には、上方に延出する一対の上部ファンシュラウド取付部69,69が一体に形成されている。
【0051】
下部ファンシュラウド取付部68は、図7に示すように後方に開口する箱形状に形成されており、図4に示すように、下部タンク33に向けて前方にも延びている(図4では、図示都合上、下部ファンシュラウド取付部68を二点鎖線で示している)。
【0052】
下部ファンシュラウド取付部68の下部前端には、下部タンク33との固定のための下部固定部70が形成され、下部固定部70は孔を有し、かかる孔にクリップ等を挿入することで下部固定部79が下部タンク33に固定される。これにより、ファンシュラウド27の下部がラジエータ25に固定されるようになっている。
【0053】
また、上部ファンシュラウド取付部69,69も、図7に示すように後方に開口する箱形状に形成されており、冷却ファン取付部57の中心から車幅方向にオフセットされた位置から、上方に延びている。また、図4に示すように、上部ファンシュラウド取付部69,69も上部タンク32に向けて前方にも延びている。ここで上部ファンシュラウド取付部69,69は、上部タンク32を跨ぐようにして上方にさらに延出しており、その上端はボンネット22の裏面近傍に至る高さ寸法を設定されている。
【0054】
上部ファンシュラウド取付部69,69において、上部タンク32のちょうど後に位置する上下方向略中央領域には、上部タンク32との固定のための上部固定部71,71が形成されている。上部固定部71,71は孔を有し、かかる孔にクリップ等を挿入することで上部タンク32に固定される。これにより、ファンシュラウド27の上部がラジエータ25に固定されるようになっている。
【0055】
そして、ファンシュラウド27が下部固定部70及び上部固定部71,71によりラジエータ25に固定された状態では、図4〜図7に参照されるように、ファンシュラウド本体56がラジエータコア31の上部側に位置する。これにより、ファンシュラウド本体56は、ボンネット22とラジエータ25の冷却フィン35とが重なり合う領域の冷却フィン35の一部を後方から覆い、かつ、その他の冷却フィン35は覆わない状態、換言すれば、他の冷却フィン35を露出させている。
【0056】
すなわち、ファンシュラウド27は、ファンシュラウド本体56により、四角形状に形成された冷却フィン35の主として上部側の一部を後方から覆うとともに、冷却フィン35の下部側を露出させるようにラジエータ25に取付けられている。より詳しく説明すると、図3と図6とに示すボンネット22とグリル23との上下方向の境界線L3から分かるように、ファンシュラウド27は、ファンシュラウド本体56が、前面視でボンネット22とラジエータコア31(冷却フィン35)とが重なり合う領域の冷却フィン35を覆い、グリル23と重なる領域の冷却フィン35にファンシュラウド本体56に覆われない露出領域Rが形成されるように取付けられている。なお、より正確には、図6に示すようにファンシュラウド本体56の左側側部は、ラジエータコア31の左側側部から右側にオフセットされており、運転者の配置位置に対応して排風を考慮すべく、一部冷却フィン35を覆わない状態としている。また、ここで図7に参照されるように、ファンシュラウド本体56の角部63・・・からも、ラジエータコア31の冷却フィン35の一部がファンシュラウド本体56に覆われることなく露出された状態とされている。
【0057】
また、図6,図7を参照し、上部ファンシュラウド取付部69,69の上部間には、長方形状の車幅方向に延びる遮風板72が形成され、遮風板72は、図4に示すように、ボンネット22の裏面と上部タンク32の上面との間に形成されるスペースを覆うように位置している。ここで遮風板72の幅寸法は、冷却ファン26が引き込んだ風の前方への還流を防ぐべく、冷却ファン26におけるファン本体53の羽根54の外形寸法よりもやや大きく設定されている。
【0058】
すなわち、図7を参照し、L1は冷却ファン26におけるファン本体53の羽根54の外形寸法を示し、L2は遮風板72の幅寸法を示しており、これらの間には「L2>L1」の関係が設定されている。なお、この寸法設定は、冷却ファン26が引き込んだ風の前方への還流を防ぐべくものであるため、遮風板72の幅寸法が少なくとも羽根54の外形寸法以上に設定されることが好ましく、すなわち、「L2≧L1」の関係が成り立つことが好ましい。
【0059】
以上に記載した本実施形態に係る冷却装置24では、ファンシュラウド本体56が、ボンネット22と冷却フィン35とが重なり合う領域の冷却フィン35の少なくとも一部を後方から覆い、かつ、冷却フィン35の一部を露出させた状態で取付けられているため、図4,図5に参照されるように、走行時には、グリル23から導入される走行風α,β,γがファンシュラウド本体56によって覆われない冷却フィン35をスムーズに通過する。また、低速または停止時には、冷却ファン26をファンモータ52を駆動させて、ボンネット22と重なる領域の冷却フィン35の方へ空気を吸い上げて、かかる領域の冷却フィン35を集中してラジエータ25を冷却できる。この結果、ボンネット22によりグリル23の大きさを十分に確保できない車両1にあっても、停止時及び走行時にわたり冷却フィン35の良好な冷却が可能となる。換言すれば、グリル23からの走行風がダイレクトに当たる部分の冷却フィン35は露出させて通気を良くし、走行風がダイレクトに当たらないボンネット22とオーバーラップする部分の冷却フィン35は、ファンシュラウド27で集気して冷却することにより、冷却効率を高められる。
【0060】
また、ファンシュラウド本体56は、前面視で略長方形状であって、車両前方に向かって次第に拡がる略弧状の内壁面59A,60A,61A,62Aを有し、車両前方で開口するように形成されており、ファンシュラウド本体56の角部63・・・は、湾曲状に形成され、冷却フィン35の一部がファンシュラウド本体の角部63から一部露出しているため、吸気通路となるファンシュラウドにおいて空気滞留の生じやすい角形状がなく、ファンシュラウド本体56における空気滞留を低減できる構造とされている。
【0061】
さらに、ラジエータ25のラジエータコア31両側部及び下部から前方に延びる下部ラジエータシュラウド41及び側部ラジエータシュラウド44,45と、ファンシュラウド本体56と一体に形成され、ラジエータ25の上部とボンネット22との間の隙間を塞ぐ遮風板72とが備えられているため、各ラジエータシュラウド41,44,45によりラジエータ25に導入する走行風の集気効果を高めることができるとともに、遮風板72によりラジエータ25を通過した空気(風)のラジエータ25前方への還流による冷却効率の低下を防ぐことができる。
ここで、遮風板72は、冷却ファン26の羽根54・・・の外径以上の長さに設定されているため、ラジエータ25を通過した空気(風)のラジエータ25前方への還流による冷却効率の低下をより確実防ぐことができる。
【0062】
また、ファンシュラウド本体56に、ラジエータ25の上部タンク32を跨ぐように上方に延出し、かつ、ラジエータ25との取付部である上部固定部71,71が設定される上部ファンシュラウド取付部68,69が設けられ、遮風板72を上部ファンシュラウド取付部68,69に一体に設けているため、上部ファンシュラウド取付部68,69をボンネット22の支持部材とすることができ、ボンネット22のたわみがラジエータ25、より具体的には上部タンク32(ラジエータキャップ40等)に及ばないようにすることができる。
【0063】
なお、上記実施形態における構成はこの発明の一例であり、部品構成や構造、形状、大きさ、数及び配置等を含め、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1 車両
22 ボンネット
23 グリル(吸気口)
25 ラジエータ
26 冷却ファン
27 ファンシュラウド
35 冷却フィン
41 下部ラジエータシュラウド(ラジエータシュラウド)
44,45 側部ラジエータシュラウド(ラジエータシュラウド)
56 ファンシュラウド本体(ファンシュラウド)
59A,60A,61A,62A 内壁面
69 上部ファンシュラウド取付部(ファンシュラウド取付部)
71 上部固定部(取付部)
72 遮風板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部の上方を覆うボンネットと、前記ボンネットの下方に配置されるラジエータと、前記ボンネットの前部下方に配置され前記ラジエータの冷却フィンに冷却のための風を導入する吸気口と、前記ラジエータの後方に配置され前記ラジエータの前記冷却フィンの冷却のための風を引き込む冷却ファンと、前記冷却フィンの後方から前記冷却ファンまで延び、前記冷却ファンが引き込む風の吸気通路を形成するファンシュラウドと、を備える車両における冷却装置のシュラウド構造において、
前記ボンネットの前端は、側面視で前記ラジエータの上部より前方まで延出し、前面視で前記ラジエータの前記冷却フィンと一部重なり合うように形成され、
前記ファンシュラウドは、前記ボンネットと前記冷却フィンとが重なり合う領域の前記冷却フィンの少なくとも一部を後方から覆い、かつ、前記冷却フィンを一部露出させた状態で取付けられていること特徴とする冷却装置のシュラウド構造。
【請求項2】
前記ファンシュラウドは、その略中央に前記冷却ファンを取付けられ、四角形状に形成された前記冷却フィンの上部側を覆うとともに、下部側を露出させるように取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項3】
前記ファンシュラウドは、前面視で略長方形状であって、車両前方に向かって次第に拡がる略弧状の内壁面を有し、車両前方で開口するように形成され、
前記ファンシュラウドの略長方形状の角部は、湾曲状に形成され、前記冷却フィンの一部は、前記ファンシュラウドの角部から一部露出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項4】
前記ラジエータの両側部及び下部から前方に延びるラジエータシュラウドと、
前記ファンシュラウドと一体に形成され、前記ラジエータの上部と前記ボンネットとの間の隙間を塞ぐ遮風板と、をさらに設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項5】
前記ファンシュラウドに、前記ラジエータのラジエータタンクを跨ぐように上方に延出し、かつ、前記ラジエータとの取付部が設定されるファンシュラウド取付部を設け、
前記遮風板を、前記ファンシュラウド取付部に一体に設けたことを特徴とする請求項4に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項6】
前記遮風板の幅方向の長さが、前記冷却ファンの外径以上に設定されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項7】
前記ファンシュラウドは、前面視で前記ボンネットと前記冷却フィンとが重なり合う領域の前記冷却フィンを覆い、前記吸気口と重なる領域の前記冷却フィンに前記ファンシュラウドに覆われない露出部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項1】
車両前部の上方を覆うボンネットと、前記ボンネットの下方に配置されるラジエータと、前記ボンネットの前部下方に配置され前記ラジエータの冷却フィンに冷却のための風を導入する吸気口と、前記ラジエータの後方に配置され前記ラジエータの前記冷却フィンの冷却のための風を引き込む冷却ファンと、前記冷却フィンの後方から前記冷却ファンまで延び、前記冷却ファンが引き込む風の吸気通路を形成するファンシュラウドと、を備える車両における冷却装置のシュラウド構造において、
前記ボンネットの前端は、側面視で前記ラジエータの上部より前方まで延出し、前面視で前記ラジエータの前記冷却フィンと一部重なり合うように形成され、
前記ファンシュラウドは、前記ボンネットと前記冷却フィンとが重なり合う領域の前記冷却フィンの少なくとも一部を後方から覆い、かつ、前記冷却フィンを一部露出させた状態で取付けられていること特徴とする冷却装置のシュラウド構造。
【請求項2】
前記ファンシュラウドは、その略中央に前記冷却ファンを取付けられ、四角形状に形成された前記冷却フィンの上部側を覆うとともに、下部側を露出させるように取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項3】
前記ファンシュラウドは、前面視で略長方形状であって、車両前方に向かって次第に拡がる略弧状の内壁面を有し、車両前方で開口するように形成され、
前記ファンシュラウドの略長方形状の角部は、湾曲状に形成され、前記冷却フィンの一部は、前記ファンシュラウドの角部から一部露出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項4】
前記ラジエータの両側部及び下部から前方に延びるラジエータシュラウドと、
前記ファンシュラウドと一体に形成され、前記ラジエータの上部と前記ボンネットとの間の隙間を塞ぐ遮風板と、をさらに設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項5】
前記ファンシュラウドに、前記ラジエータのラジエータタンクを跨ぐように上方に延出し、かつ、前記ラジエータとの取付部が設定されるファンシュラウド取付部を設け、
前記遮風板を、前記ファンシュラウド取付部に一体に設けたことを特徴とする請求項4に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項6】
前記遮風板の幅方向の長さが、前記冷却ファンの外径以上に設定されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【請求項7】
前記ファンシュラウドは、前面視で前記ボンネットと前記冷却フィンとが重なり合う領域の前記冷却フィンを覆い、前記吸気口と重なる領域の前記冷却フィンに前記ファンシュラウドに覆われない露出部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置のシュラウド構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−73537(P2011−73537A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226046(P2009−226046)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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