説明

冷媒蒸発器

【課題】複数のチューブ列からなるコア部内の液冷媒の停滞を解消することが容易な冷媒蒸発器を提供すること。
【解決手段】コア部2の幅Wが220mm以上あって圧力損失の上昇が軽微であり熱交換性能の低下が抑制し易く、コア部2の空気流れ方向の厚さDが50mm以下であって熱容量の小さい冷媒蒸発器1において、空気流れ下流側の第1チューブ列21の最遠部である第3パス213のコア部幅方向の寸法L1を95mm以下としているため、冷媒供給再開時に第3パス213の下方域に停滞している液冷媒を速やかに押し上げ、冷媒停滞を容易に解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置の冷媒を蒸発させる冷媒蒸発器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば下記特許文献1に開示された冷媒蒸発器がある。この冷媒蒸発器は、上下方向に延びる多数のチューブが横方向に積層されてなるチューブ列を、空気流れ方向に2列有するコア部(熱交換部)を備えている。各チューブ列の上下には上タンク部および下タンク部がそれぞれ設けられ、上タンク内には仕切り板が設けられている。
【0003】
この冷媒蒸発器では、上タンク一端側の冷媒入口から空気流れ下流側のチューブ列に流入した冷媒が、空気流れ下流側のチューブ列内および下タンク内をUターンして流れた後、空気流れ上流側のチューブ列に流れ込み、空気流れ下流側のチューブ列内および下タンク内をUターンして流れ、冷媒入口に並設された冷媒出口から流出するようになっている。そして、冷媒はチューブ内を流れるときにチューブの外側を流れる空気と熱交換して蒸発するようになっている。
【特許文献1】特開2001−324290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、冷媒蒸発器の設置スペースの抑制や軽量化を目的として、冷媒蒸発器のコア部の厚さ方向の小型化が求められている。
【0005】
これに対し、本発明者は鋭意検討を行い、コア部の厚さ方向の小型化を進め、上記従来技術の冷媒蒸発器のようにコア部が複数列のチューブ列からなる場合には、コア部の厚さを50mm以下とすると、冷凍サイクル装置の冷媒圧縮機がオン状態からオフ状態となった際に、コア部の熱容量不足から内部に液冷媒が停滞し(所謂、寝込みが発生し)、冷媒圧縮機が再度オン状態となっても、液冷媒の停滞が解消し難いという問題が顕在化することを見出した。
【0006】
また、上記従来技術の冷媒蒸発器のように、冷媒の出入口がコア部の幅方向に対し片側に集約されている場合には、冷媒の入口及び出口から最遠部であり、より冷えた空気と接する風下側のチューブ列に冷媒の停滞が顕著であることも見出した。
【0007】
このような液冷媒の停滞は、冷媒圧縮機のオンオフにおける過渡期の温度上昇という不具合を引き起こす。
【0008】
通常車両用冷房サイクルシステムではサーミスタという温度検知器を用いて、蒸発器の過度の温度低下によるフロストを抑制している。具体的には、サーミスタが検出する蒸発器の温度が過度に低くなると冷媒の供給がオフされ、またある程度温度が上がると冷媒供給を再開するといった制御が行われている。サーミスタにはフィン間に差し込まれ、直接フィンないしはチューブに接触することで温度を検知するフィンサーミスタと熱交換された空気温度を検出する空気サーミスタとがある。
【0009】
しかしながら、上述したようにコア部の厚さが50mm以下となった場合には、オンオフを繰り返すことで液冷媒が停滞してしまい、冷媒供給をなくしてもなかなか液冷媒の停滞が解消されず、コア部の表面温度を検出するフィンサーミスタの検知温度が高くならない一方、冷媒の寝込んでいない領域は流通する空気により温度が高くなり、結果として、コア部全体として温度が非常に高くなるというものである。
【0010】
これに対し、サーミスタが冷媒蒸発器の吹き出し空気温度を検出する空気サーミスタである場合には、停滞した液冷媒の蒸発によりフロストが進行すると、コア部に空気が通過し難い領域が拡大してコア部の温度が検出し難くなり、フロストの検出自体が困難になるという不具合を発生する。
【0011】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、複数のチューブ列からなるコア部内の液冷媒の停滞を解消することが容易な冷媒蒸発器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
上下方向に延びる複数のチューブ(20A)を横方向に並設した第1チューブ列(21)と、上下方向に延びる複数のチューブ(20B)を横方向に並設した第2チューブ列(22)とを有し、第1チューブ列(21)が空気流れ最下流側となり、第2チューブ列(22)が空気流れ最上流側となるように、第1チューブ列(21)と第2チューブ列(22)とを空気流れ方向において前後に重ねて配置したコア部(2)と、
第1チューブ列(21)の上端に接続した第1上タンク(31)と、第1チューブ列(21)の下端に接続した第1下タンク(41)とからなり、第1チューブ列(21)に対し冷媒を分配および収集するための第1ヘッダタンク(11)と、
第2チューブ列(22)の上端に接続した第2上タンク(32)と、第2チューブ列(22)の下端に接続した第2下タンク(42)とからなり、第2チューブ列(22)に対し冷媒を分配および収集するための第2ヘッダタンク(12)と、
第1ヘッダタンク(11)内に設けられ、第1チューブ列(21)において内部の冷媒流れが上昇流となる冷媒上昇部(211、213)と下降流となる冷媒下降部(212)とが隣接するように冷媒流れを反転させるための第1仕切部材(33、43)と、
第2ヘッダタンク(12)内に設けられ、第2チューブ列(22)において内部の冷媒流れが上昇流となる冷媒上昇部(221、223)と下降流となる冷媒下降部(222)とが隣接するように冷媒流れを反転させるための第2仕切部材(34、44)とを備え、
内部へ冷媒を導入するための冷媒入口部(51)が第1ヘッダタンク(11)に設けられるとともに、内部から冷媒を導出するための冷媒出口部(52)が第2ヘッダタンク(12)に設けられ、冷媒入口部(51)および冷媒出口部(52)は、コア部(2)の幅方向において各ヘッダタンク(11、12)の同一側端部に設けられており、
コア部(2)の空気流れ方向の厚さ(D)が50mm以下であり、
コア部(2)の幅(W)が220mm以上であり、
第1チューブ列(21)において冷媒が同一方向に流れるチューブ(20A)からなり冷媒入口部(51)から最も遠い部分である最遠部(213)が冷媒上昇部であるとともに、この最遠部(213)のコア部幅方向の寸法(L1)が95mm以下であることを特徴としている。
【0013】
冷媒の入口部(51)出口部(52)がコア部(2)幅方向において片側に集約されている冷媒蒸発器では、空気流れ最上流側の第2チューブ列(22)の冷媒出口部(52)に近い領域が冷媒過熱領域(スーパーヒート域)となる。そのため、液冷媒の停滞が発生し易い部位は、冷媒入口部(51)、出口部(52)から最も遠い部位であり、より冷えた空気と接する空気流れ下流側の第1チューブ列(21)の最遠部(213)となる。
【0014】
コア部(2)の幅(W)が220mm以上あって圧力損失の上昇が軽微であり熱交換性能の低下が抑制し易く、コア部(2)の空気流れ方向の厚さ(D)が50mm以下であって熱容量の小さい冷媒蒸発器では、空気流れ下流側の第1チューブ列(21)の最遠部(213)のコア部幅方向の寸法(L1)を95mm以下とすることにより、冷媒供給再開時に最遠部(213)の下方域に停滞している液冷媒を速やかに押し上げ、冷媒停滞(冷媒寝込み)を容易に解消することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明では、
第1チューブ列(21)における最遠部(213)を第1最遠部(213)としたときに、第2チューブ列(22)において冷媒が同一方向に流れるチューブ(20B)からなり冷媒出口部(52)から最も遠い部分である第2最遠部(221)も冷媒上昇部であり、
第1上タンク(31)の第1最遠部(213)が接続した部位(313)内と第2上タンク(32)の第2最遠部(221)が接続した部位(321)内とを連通する第1連通手段(36)が設けられるとともに、第1下タンク(41)の第1最遠部(213)が接続した部位(413)内と第2下タンク(42)の第2最遠部(221)が接続した部位(421)内とを連通する第2連通手段(46)が設けられていることを特徴としている。
【0016】
これによると、コア部幅方向の寸法(L1)が95mm以下である第1チューブ列(21)の第1最遠部(213)と、第2チューブ列(22)の第2最遠部とに、冷媒を並流させることができる。したがって、コア部(2)の空気流れ方向の厚さ(D)が50mm以下の比較的冷媒圧力損失が大きくなり易い冷媒蒸発器において、冷媒圧力損失を低減することが可能である。
【0017】
また、請求項3に記載の発明では、コア部(2)は、内部を冷媒が流通するチューブ列が、第1チューブ列(21)および前記第2チューブ列(22)のみからなり、コア部の幅をWとし、第1最遠部(213)の幅をL1とした場合に、
220mm≦W≦350mmであり、50mm≦L1≦95mmであることを特徴としている。
【0018】
これによると、コア部(2)の幅Wが220〜350mmの冷媒蒸発器において、冷媒の停滞解消性と、良好な熱交換性能とを両立することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明のように、第1連通手段(362)を、内部に第1連通路(361)を形成する第1連通路形成部材(362)とし、第2連通手段(462)を、内部に第2連通路(461)を形成する第2連通路形成部材(462)とすることができる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明のように、第1上タンク(31)と第2上タンク(32)とが隣接配置されるとともに、第1下タンク(41)と第2下タンク(42)とが隣接配置されており、第1連通手段(36)を、第1上タンク(31)と第2上タンク(32)とが接した部位に設けられた第1連通孔(36)とし、第2連通手段(46)を、第1下タンク(41)と第2下タンク(42)とが接した部位に設けられた第2連通孔(46)とすることができる。
【0021】
また、請求項6に記載の発明では、第1連通孔(36)および第2連通孔(46)は、各孔の相当直径をdとした場合に、0.55mm≦d≦3mmであることを特徴としている。
【0022】
これによると、第1、第2連通孔(36、46)の各孔の相当直径dが0.55mm以上であれば孔詰まりの影響が少なく、3mm以下であれば良好な耐圧性を得ることができる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明では、第1連通手段(36)の通路断面積の総和が、第2連通手段(46)の通路断面積の総和よりも大きいことを特徴としている。
【0024】
これによると、第2最遠部(221)よりも第1最遠部(213)に冷媒が多く供給され易く、良好な温度分布を得ることが可能である。
【0025】
また、請求項8に記載の発明では、第1連通手段(36)の通路断面積の総和が、第2連通手段(46)の通路断面積の総和よりも小さいことを特徴としている。
【0026】
これによると、第1最遠部(213)よりも第2最遠部(221)に冷媒が多く供給され易く、良好な熱交換性能を得ることが可能である。
【0027】
また、請求項9に記載の発明では、第2最遠部(221)の幅をL2とした場合に、
L1≦L2であることを特徴としている。
【0028】
これによると、より熱交換量の多い第2最遠部(221)側に冷媒を供給し易く、良好な熱交換性能を得ることが可能である。
【0029】
また、請求項10に記載の発明では、第2最遠部(221)の幅をL2とした場合に、
L1≧L2であることを特徴としている。
【0030】
冷媒上昇部においては液冷媒は慣性力により奥に偏在し易く、冷媒下降部においては液冷媒は重力により手前に落ち易い。したがって、温度分布悪化領域を補完することができる。
【0031】
また、請求項11に記載の発明では、第2チューブ列(22)は、第2最遠部(221)、第2最遠部(221)に隣接する冷媒下降部(222)、およびこの冷媒下降部(222)の冷媒出口部(52)側に隣接する冷媒上昇部(223)からなる3つの冷媒通過部のみからなることを特徴としている。
【0032】
冷媒蒸発器の冷媒圧力損失の影響は蒸発器出口側に近ければ近いほど大きくなる。したがって、熱交換を終えた冷媒が出口に近いほうが性能面で好ましい。冷媒出口は第2上タンクに配置するのが一般的であるため、第2チューブ列(22)内の最終冷媒流れは上昇流であることが好ましい。そのため、請求項11に記載の発明のように、第2チューブ列(22)を、冷媒上昇部である第2最遠部(221)、第2最遠部(221)に隣接する冷媒下降部(222)、およびこの冷媒下降部(222)の冷媒出口部(52)側に隣接する冷媒上昇部(223)からなる3つの冷媒通過部で構成することが好ましい。
【0033】
また、請求項12に記載の発明では、第1最遠部(213)の幅L1と第2最遠部(221)の幅L2との和がコア部(2)の幅Wに対し、
0.24×W≦L1+L2≦0.36×Wであることを特徴としている。
【0034】
夏場の代表的な条件では、冷媒が並流する第1最遠部(213)および第2最遠部(221)からなる冷媒通過部に流入する冷媒の乾き度は約0.6であり比容積では約0.043となる。また、第1最遠部(213)および第2最遠部(221)からなる冷媒通過部から流出する冷媒の乾き度は約0.75であり比容積では約0.055となる。これに対して、冷媒出口部(52)における比容積は約0.080である。
【0035】
したがって、第1最遠部(213)および第2最遠部(221)での比容積の平均値は0.049であり、第1最遠部(213)および第2最遠部(221)より冷媒流れ下流側での比容積の平均値は0.0675である。
【0036】
第1最遠部(213)および第2最遠部(221)より冷媒流れ下流側は2つの冷媒流通部で構成されているので、コア部幅方向の比としては、
0.049:0.0675×2=1:2.76の関係より、第1最遠部(213)の幅L1および第2最遠部(221)の幅L2の和と、コア部(2)の幅Wとの関係は、
L1+L2=(1/2.76)×W≒0.36×Wとなる。
【0037】
同様に、冬場の代表的な条件では、第1最遠部(213)および第2最遠部(221)での比容積の平均値は0.03であり、第1最遠部(213)および第2最遠部(221)より冷媒流れ下流側での比容積の平均値は0.0625である。したがって、第1最遠部(213)の幅L1および第2最遠部(221)の幅L2の和と、コア部(2)の幅Wとの関係は、
L1+L2=(1/4.17)×W≒0.24×Wとなる。
【0038】
よって、第1最遠部(213)の幅L1と第2最遠部(221)の幅L2との和は、コア部(2)の幅Wに対し、
0.24×W≦L1+L2≦0.36×Wと設定することが好ましい。
【0039】
また、請求項13に記載の発明では、
コア部(2)は、第1チューブ列(21)および第2チューブ列(22)のそれぞれのチューブ(20)間に熱交換用フィン(26)を介在させており、
熱交換用フィン(26)のコア部幅方向の高さをFHとし、チューブ(20)のコア部幅方向の高さをTHとした場合に、
3mm≦FH≦7mm、かつ、1.1mm≦TH≦2.3mmであることを特徴としている。
【0040】
これによると、コア部(2)を薄型化する以前の冷媒蒸発器とほぼ同等の熱交換性能を確保することが可能である。
【0041】
また、請求項14に記載の発明では、
コア部(2)の外表面温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
12mm≦D≦50mmであることを特徴としている。
【0042】
これによると、コア部(2)の外表面温度に基づいて冷媒蒸発器への冷媒供給オンオフ制御をする冷凍サイクル装置を車両用空調装置に適用した場合に、搭載車両における過渡期温度変動の要求値を達成することができる。
【0043】
また、請求項15に記載の発明では、
コア部(2)の外表面温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
20mm≦D≦50mmであることを特徴としている。
【0044】
これによると、コア部(2)の外表面温度に基づいて冷媒蒸発器への冷媒供給オンオフ制御をする冷凍サイクル装置を空調装置に適用した場合に、吹出空調空気の温度変動をほとんど感じられない程度に抑制することができる。
【0045】
また、請求項16に記載の発明では、
コア部(2)の外表面温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
37mm≦D≦50mmであることを特徴としている。
【0046】
これによると、コア部(2)の外表面温度に基づいて冷媒蒸発器への冷媒供給オンオフ制御をする冷凍サイクル装置を空調装置に適用した場合に、吹出空調空気の温度変動を全く感じられない程度に抑制することができる。
【0047】
また、請求項17に記載の発明では、
コア部(2)よりも空気流れ下流側の空気温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
22mm≦D≦50mmであることを特徴としている。
【0048】
これによると、コア部(2)よりも空気流れ下流側の空気温度に基づいて冷媒蒸発器への冷媒供給オンオフ制御をする冷凍サイクル装置を車両用空調装置に適用した場合に、搭載車両における過渡期温度変動の要求値を達成することができる。
【0049】
また、請求項18に記載の発明では、
コア部(2)よりも空気流れ下流側の空気温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
31mm≦D≦50mmであることを特徴としている。
【0050】
これによると、コア部(2)よりも空気流れ下流側の空気温度に基づいて冷媒蒸発器への冷媒供給オンオフ制御をする冷凍サイクル装置を空調装置に適用した場合に、吹出空調空気の温度変動をほとんど感じられない程度に抑制することができる。
【0051】
また、請求項19に記載の発明では、第1チューブ列(21)において冷媒が同一方向に流れるチューブ(20A)からなり冷媒入口部(51)から最も遠い部分である最遠部(213)の冷媒通路断面積の総和が、第1下タンク(41)の通路断面積よりも小さいことを特徴としている。
【0052】
これによると、より液冷媒の停滞を容易に解消することができる。
【0053】
また、請求項20に記載の発明では、第1チューブ列(21)において冷媒が同一方向に流れるチューブ(20A)からなり冷媒入口部(51)から最も遠い部分である最遠部(213)の冷媒通路断面積の総和が、第1下タンク(41)の通路断面積よりも大きいことを特徴としている。
【0054】
これによると、より良好な熱交換性能を得ることができる。
【0055】
また、請求項21に記載の発明では、コア部は、チューブ間にフィンを備えないフィンレスタイプであることを特徴としている。
【0056】
また、請求項22に記載の発明では、コア部は、隣り合う前記チューブ間において片側のチューブのみに接合したフィンを備えることを特徴としている。
【0057】
これらのいずれかによると、コア部の外表面で凝縮した凝縮水の排水性能が極めて良好であるため、コア部の正確な温度検出が容易であり、良好な応答性を得ることが可能である。
【0058】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0060】
図1は、本発明を適用した一実施形態における冷媒蒸発器1の全体構成を示す外観斜視図であり、図2は、冷媒蒸発器1のコア部(熱交換部)2の一部を拡大図示した斜視図である。また、図3は、冷媒蒸発器1内の構成および冷媒流れを説明するための模式図である。
【0061】
本実施形態の冷媒蒸発器1は、車両用空調装置に用いられる冷凍サイクル装置中に配設されるものであって、冷媒圧縮機で高温高圧に圧縮され、放熱器で放熱冷却され、減圧装置で低温低圧に減圧された後の冷媒を蒸発させる熱交換器である。本実施形態では冷媒にR134aを用い、放熱器は冷媒圧縮機が吐出した冷媒を凝縮する凝縮器としている。
【0062】
蒸発器1は、図1に示すように、主にコア部2、上ヘッダタンク3、下ヘッダタンク4等より成る。コア部2は、複数のチューブ20と複数のアウタフィン26とを交互に積層して(図2参照)、その積層方向の両最外方のアウタフィン26の更に外方にサイドプレート28を配設したものである。アウタフィン26は、本実施形態における熱交換用フィンに相当する。
【0063】
図2に示すように、冷媒蒸発器1のコア部(熱交換部)2は、上下方向に延びるチューブ20が横方向に並ぶ列を、外部流体である送風空気流れの上流側と下流側に2列に並ぶものとしている。
【0064】
チューブ20は、薄肉のアルミニウム製帯状板材を折り曲げ加工すること等によって、長手方向(内部流体通路方向)に直交する横断面が扁平状に形成された管部材である。チューブ20内には図示しないインナフィンが接合されている。
【0065】
コア部2は、上下方向に延びる複数のチューブ20Aを横方向に並設した第1チューブ列21と、上下方向に延びる複数のチューブ20Bを横方向に並設した第2チューブ列22とを有し、第1チューブ列21が空気流れ下流側となり、第2チューブ列22が空気流れ上流側となるように、第1チューブ列21と第2チューブ列22とを空気流れ方向において前後に重ねて配置している。
【0066】
図2に示すアウタフィン26は、薄肉のアルミニウム製帯板材を波状に加工したコルゲートフィンであり、表面に熱交換効率を高めるためのルーバ(図示せず)が形成されている。アウタフィン26は、チューブ20の外側面にろう付けされている。
【0067】
サイドプレート28は、コア部2における補強部材を成すものであり、アルミニウム製平板材をプレス加工することにより成形されている。サイドプレート28の長手方向端部側は、平板状に形成され、他の大半の部分はチューブ20、アウタフィン26の積層方向外方に開口するコの字状断面となるように形成されており、アウタフィン26にろう付けされている。
【0068】
上ヘッダタンク3は、チューブ20の長手方向(延設方向、内部流体通路方向)に2分割された反チューブ側のタンクヘッダとチューブ側のプレートヘッダとから成り、キャップが設けられている。
【0069】
タンクヘッダおよびプレートヘッダは、それぞれ2つの半円形状あるいは2つの半矩形形状が接続される断面形状を有し、アルミニウム製平板材をプレス加工して成形されている。そして、両ヘッダが互いに嵌合、ろう付けされ、送風空気の流れ方向に2つの内部空間が並ぶ筒状体を形成している。
【0070】
そして、上ヘッダタンク3の長手方向端部の開口部には、アルミニウム製平板材をプレス加工により成形したキャップがろう付けされ、この開口部を閉塞している。
【0071】
さらに、上ヘッダタンク3には2つの内部空間を図1図示左右方向に分割する2つのセパレータ33、34(図3参照)がろう付けされている。また、上ヘッダタンク3の図3図示セパレータ33、34よりも右側の領域においては、上ヘッダタンク3の2つの内部空間同士が複数の連通孔36により互いに連通している。
【0072】
下ヘッダタンク4は、上記の上ヘッダタンク3に準ずるものであり、タンクヘッダとプレートヘッダとにより構成された筒状体の長手方向両端部の開口部にキャップが設けられている。
【0073】
また、下ヘッダタンク4には2つの内部空間を図1図示左右方向に分割する2つのセパレータ43、44(図3参照)がろう付けされている。また、下ヘッダタンク4の図3図示セパレータ43、44よりも右側の領域においては、下ヘッダタンク4の2つの内部空間同士が複数の連通孔46により互いに連通している。
【0074】
そして、上下ヘッダタンク3、4のコア部2側の壁面には、チューブ挿設口、サイドプレート用挿入口が長手方向に同一ピッチで設けられており、各チューブ20の長手方向端部側およびサイドプレート28の長手方向端部側がそれぞれ挿入され、ろう付けされている。これによってチューブ20は上下ヘッダタンク3、4の内部空間に連通し、また、サイドプレート28の長手方向端部側は上下ヘッダタンク3、4に支持されている。
【0075】
前述したように、コア部2は、上下方向に延びるチューブ20が横方向に並ぶ列を、外部流体である送風空気流れの上流側と下流側に2列に並ぶものとしている。空気流れ下流側のチューブ列が第1チューブ列21、空気流れ上流側のチューブ列が第2チューブ列22である。
【0076】
上ヘッダタンク3は、送風空気の流れ方向に2つの内部空間が並ぶように形成されており、上ヘッダタンク3のうち空気流れ下流側の第1上タンク31と、空気流れ下流側の第2上タンク32とからなる。
【0077】
一方、下ヘッダタンク4も、送風空気の流れ方向に2つの内部空間が並ぶように形成されており、上ヘッダタンク3のうち空気流れ下流側の第1下タンク41と、空気流れ下流側の第2下タンク42とからなる。
【0078】
すなわち、第1チューブ列21の上端に第1上タンク31が接続し、第1チューブ列21の下端に第1下タンク41が接続している。そして、第1上タンク31と第1下タンク41とで、第1チューブ列21のチューブ20Aに対し冷媒を分配および収集するための第1ヘッダタンク11を構成している。
【0079】
また、第2チューブ列22の上端に第2上タンク32が接続し、第2チューブ列22の下端に第2下タンク42が接続している。そして、第2上タンク32と第2下タンク42とで、第2チューブ列22のチューブ20Bに対し冷媒を分配および収集するための第2ヘッダタンク12を構成している。
【0080】
なお、上ヘッダタンク3の図1図示左側近傍には、冷媒が流入する冷媒入口部である流入口51および冷媒が流出する冷媒出口部である流出口52が設けられたブロック状のコネクタ5がろう付けされている。流入口51はサイド流路210(図3参照)を介して第1下タンク41内の図示左端に連通しており、流出口52は第2上タンク32内の図示左端に連通している。
【0081】
すなわち、内部へ冷媒を導入するための流入口51が第1ヘッダタンク11に設けられるとともに、内部から冷媒を導出するための流出口52が第2ヘッダタンク12に設けられ、流入口51および流出口52は、コア部2の幅方向において各ヘッダタンク11、12の同一側端部に設けられている。
【0082】
上述した構成の冷媒蒸発器1においては、冷媒が流入口51からサイド流路210を介して第1下タンクのセパレータ43より左方部内に流入した後、送風空気流れ下流側の第1チューブ列21(チューブ20A群)を上下方向に反転しながらS字状に流れ、上ヘッダタンク3の図1中、右側において送風空気流れ上流側の第2チューブ列22(チューブ10群)に移り同様に上下方向に反転しながらS字状に流れて、流出口52から流出する。この間に蒸発器1は、冷媒を蒸発させその蒸発潜熱によって送風空気を冷却する。
【0083】
ここで、図3を用いて冷媒流れを説明する。第1チューブ列21は、セパレータ33、43により、3つの冷媒通過部(パス)に区画されている。また、第2チューブ列22は、セパレータ34、44により、3つの冷媒通過部(パス)に区画されている。
【0084】
図3に示すように、サイド流路210を介して第1下タンク41に流入した冷媒は、第1チューブ列21の第1パス211を上昇した後、第1上タンク31内で流れを反転して、第2パス212を下降する。第2パス212を下降した冷媒の一部は第1下タンク41内で反転して第3パス213を上昇する。第2パス212を下降した冷媒の残部は第1下タンク41内から連通孔46を介して第2下タンク42内に移り、第2チューブ列22の第1パス221を上昇する。
【0085】
一方、第1チューブ列21の第3パス213を上昇した冷媒は、第1上タンク31内から連通孔36を介して第2上タンク32内に移り、第2チューブ列22の第1パス221を上昇した冷媒と合流する。すなわち、第1チューブ列21の第3パス213と第2チューブ列22の第1パス221とでは、冷媒が並列に流れるようになっている。
【0086】
第2上タンク32内で合流した冷媒は、第2チューブ列22の第2パス222を下降した後、第2下タンク42内で流れを反転して、第3パス223を上昇した後、第2上タンク32内から流出する。
【0087】
このように、第1上タンク31内にセパレータ33を設け、第1下タンク41内にセパレータ43を設けることにより、第1チューブ列21の第1パス211が冷媒上昇部、第1パス211に隣接する第2パス212が冷媒下降部、第2パス212に隣接する第3パス213が冷媒上昇部となっており、セパレータ33、43は、本実施形態における第1仕切部材に相当する。
【0088】
一方、第2上タンク32内にセパレータ34を設け、第2下タンク42内にセパレータ44を設けることにより、第2チューブ列22の第1パス221が冷媒上昇部、第1パス221に隣接する第2パス222が冷媒下降部、第2パス222に隣接する第3パス223が冷媒上昇部となっており、セパレータ34、44は、本実施形態における第2仕切部材に相当する。
【0089】
また、第1上タンク31の第3パス213が接続した部位内と第2上タンク32の第1パス221が接続した部位内とを連通する連通孔36は、本実施形態における第1連通孔であるとともに第1連通手段であり、第1下タンク41の第3パス213が接続した部位内と第2下タンク42の第1パス221が接続した部位内とを連通する連通孔46は、本実施形態における第2連通孔であるとともに第2連通手段である。
【0090】
本実施形態の冷媒蒸発器1は、コア部2の空気流れ方向の厚さDが50mm以下(例えば38mm)であり、コア部2の幅Wが220mm以上である。第1チューブ列21において冷媒が同一方向に流れるチューブ20Aからなり流入口51から最も遠い部分(最遠部)である第3パス213(第1最遠部に相当)が冷媒上昇部であるとともに、この第3パス213のコア部幅方向の寸法L1が95mm以下である。
【0091】
また、第2チューブ列22において冷媒が同一方向に流れるチューブ20Bからなり流出口52から最も遠い部分(最遠部)である第1パス221(第2最遠部に相当)が冷媒上昇部であるとともに、この第1パス221のコア部幅方向の寸法L2がL1と同一寸法となっている。
【0092】
このような冷媒蒸発器1の構成によれば、第1チューブ列21の第3パス213を冷媒上昇部としているとともに、この第3パス213のコア部幅方向の寸法L1を95mm以下としているため、冷媒停滞(冷媒寝込み)を解消することが容易である。
【0093】
冷媒の流入口51および流出口52がコア部2の幅方向において片側に集約されている冷媒蒸発器1では、空気流れ上流側の第2チューブ列22の流出口52に近い第3パス223領域が冷媒過熱領域(スーパーヒート域)となり易い。そのため、液冷媒の停滞が発生し易い部位は、流入口51および流出口52から最も遠い部位であり、より冷えた空気と接する空気流れ下流側の第1チューブ列21の第3パス213の下方部となる。
【0094】
図4および図5に、本発明者が従来構造の冷媒蒸発器を採用した冷凍サイクル装置で行った、冷媒圧縮機をオンオフした際の、冷媒蒸発器の風下側チューブ列表面の温度変化の調査結果を示す。
【0095】
図4に示すように、圧縮機がオフされた後には、冷媒蒸発器の風下側チューブ列の表面温度が徐々に上昇していくものの、最遠部である第2パスの下方部に低温域が残り、この部分に液冷媒の停滞(所謂、冷媒寝込み)が発生していることが確認できる。
【0096】
図5に示すように、圧縮機がオンされ冷媒供給を開始し始めると、その寝込み部をタンク奥側に押しやるようにしつつ手前側に冷媒が供給される。これは冷媒供給初期の冷媒はガス冷媒が主であり、比重が小さいために、タンク内の液冷媒を全部さらってチューブ内に流れ込めないからである。図5に示す結果から明らかなように、冷媒供給開始直後のガス冷媒が、最遠部パスの95mm幅の領域であれば、液冷媒を押し上げつつ速やかに流れるということを、今回新たに見出した。
【0097】
すなわち、本実施形態のように、コア部2の幅Wが220mm以上あって圧力損失の上昇が軽微であり熱交換性能の低下が抑制し易く、コア部2の空気流れ方向の厚さDが50mm以下であって熱容量の小さい冷媒蒸発器1であっても、空気流れ下流側の第1チューブ列21の最遠部である第3パス213のコア部幅方向の寸法L1を95mm以下としているため、冷媒供給再開時に第3パス213の下方域に停滞している液冷媒を速やかに押し上げ、冷媒停滞(冷媒寝込み)を容易に解消することができる。
【0098】
これにより、冷媒圧縮機オンオフ時の過渡期温度分布(過渡期温度差)を解消することができ、冷媒蒸発器1を車両用空調装置に適用した場合には、乗員の快適性を向上することができる。また、耐フロスト性を向上でき、冷房性能の向上が可能である。
【0099】
また、図3に示すように、第1上タンク31の第3パス213が接続した部位内と第2上タンク32の第1パス221が接続した部位内とを連通する連通孔36が設けられるとともに、第1下タンク41の第3パス213が接続した部位内と第2下タンク42の第1パス221が接続した部位内とを連通する連通孔46が設けられ、第1チューブ列21の第3パス213と第2チューブ列22の第1パス221とに冷媒が並流して上昇するようになっている。
【0100】
したがって、コア部2の空気流れ方向の厚さDが50mm以下の比較的冷媒圧力損失が大きくなり易い冷媒蒸発器1において、冷媒圧力損失を低減することができる。
【0101】
また、上記実施形態の冷媒蒸発器1では、コア部2の幅Wが220mm以上であり、第1チューブ列21の最遠部である第3パス213のコア部幅方向の寸法L1が95mm以下であると説明していたが、冷媒蒸発器1のように、コア部2のチューブ列が第1チューブ列21および第2チューブ列22の2列のみの場合には、220mm≦W≦350mmであり、50mm≦L1≦95mmであることが好ましい。
【0102】
図6に熱交換性能の特性図を示すように、熱交換性能が最高時の95%以上を確保できるL1寸法範囲は、50〜110mmである。したがって、コア部2の幅Wが220〜350mmの冷媒蒸発器において、L1寸法を50〜95mmの範囲に設定すれば、冷媒の停滞解消性と良好な熱交換性能とを両立することができる。
【0103】
また、それぞれ複数の孔からなる連通孔36、46のサイズについては説明していなかったが、各孔の相当直径をdとした場合に、0.55mm≦d≦3mmであることが好ましい。各孔の相当直径dが0.55mm以上であれば孔詰まりの影響が少なく、3mm以下であれば良好な耐圧性を得ることができる。
【0104】
また、連通孔36の通路断面積の総和が、連通孔46の通路断面積の総和よりも大きくなるように設定すれば、第2チューブ列22の第1パス221よりも第1チューブ列21の第3パス213に冷媒が多く供給され易く、良好な温度分布を得ることが容易である。
【0105】
また、連通孔36の通路断面積の総和が、連通孔46の通路断面積の総和よりも小さくなるように設定すれば、第1チューブ列21の第3パス213よりも第2チューブ列22の第1パス221に冷媒が多く供給され易く、良好な熱交換性能を得ることが容易である。
【0106】
また、上記実施形態の冷媒蒸発器1では、L1寸法とL2寸法とを同一としていたが、L1≦L2とすれば、より熱交換量の多い第2チューブ列22の第1パス221側に冷媒を供給し易く、良好な熱交換性能を得ることができる。
【0107】
また、L1≧L2とすれば、温度分布悪化領域を補完することができる。これは、液冷媒は、冷媒上昇部においては慣性力により奥に偏在し易く、冷媒下降部においては重力により手前に落ち易い。したがって、L1寸法に対しL2寸法を小さく設定すれば、第2チューブ列22の第2パス222の手前側で落下する液冷媒により、第1チューブ列21第3パス213において液冷媒を供給し難い手前側の領域を補完することができる。
【0108】
また、本実施形態の冷媒蒸発器1では、第2チューブ列22には、第1パス221、第2パス222、第3パス223の3つの冷媒通過部が形成されており、第1、第3パス221、223が冷媒上昇部、第2パス222が冷媒下降部となっている。
【0109】
冷媒蒸発器の冷媒圧力損失の影響は蒸発器出口側に近ければ近いほど大きくなる。したがって、熱交換を終えた冷媒は流出口52近傍にあることが性能面で好ましい。流出口52は第2上タンク32の端部に設けているため、第2チューブ列22内の最終冷媒流れとなる第3パス223は冷媒上昇部であることが好ましい。流出口52からの最遠部である第1パス221も冷媒上昇部であるため、第2チューブ列22は、3パス構成として、第2パス222を冷媒下降部とすることが好ましい。
【0110】
また、第1チューブ列21の第3パス213の幅L1と第2チューブ列22の第1パス221の幅L2との和が、コア部2の幅Wに対し、
0.24×W≦L1+L2≦0.36×Wの関係にあることが好ましい。
【0111】
夏場の代表的な条件では、冷媒が並流する第1チューブ列21の第3パス213および第2チューブ列22の第1パス221からなる冷媒通過部に流入する冷媒の乾き度は約0.6であり比容積では約0.043となる。また、第1チューブ列21の第3パス213および第2チューブ列22の第1パス221からなる冷媒通過部から流出する冷媒の乾き度は約0.75であり比容積では約0.055となる。これに対して、流出口52における比容積は約0.080である。
【0112】
したがって、第1チューブ列21の第3パス213および第2チューブ列22の第1パス221での比容積の平均値は0.049であり、第2チューブ列22の第2、第3パス222、223での比容積の平均値は0.0675である。第2、第3パス222、223は2つの冷媒流通部であるので、コア部幅方向の比としては、
0.049:0.0675×2=1:2.76の関係より、第1チューブ列21の第3パス213の幅L1および第2チューブ列22の第1パス221の幅L2の和と、コア部2の幅Wとの関係は、
L1+L2=(1/2.76)×W≒0.36×Wとなる。
【0113】
同様に、冬場の代表的な条件では、第1チューブ列21の第3パス213および第2チューブ列22の第1パス221での比容積の平均値は0.03であり、第2チューブ列22の第2、第3パス222、223での比容積の平均値は0.0625である。したがって、第1チューブ列21の第3パス213の幅L1および第2チューブ列22の第1パス221の幅L2の和と、コア部2の幅Wとの関係は、
L1+L2=(1/4.17)×W≒0.24×Wとなる。
【0114】
よって、第1チューブ列21の第3パス213の幅L1および第2チューブ列22の第1パス221の幅L2の和は、コア部2の幅Wに対し、
0.24×W≦L1+L2≦0.36×Wと設定することが好ましい。
【0115】
また、アウタフィン26のコア部幅方向の高さFHは、3mm≦FH≦7mm、かつ、チューブ20のコア部幅方向の高さTHは、1.1mm≦TH≦2.3mmであることが好ましい。
【0116】
図7に示すように、フィン高さFH、チューブ高さTHを変化させた場合に、コア部厚さ58mmにおける現状のスペックのまま、コア部厚さを38mmに薄型化したときの性能を超えることが可能であるものは、3mm≦FH≦7mm、かつ、1.1mm≦TH≦2.3mmを満足するものである。図7においてFPはアウタフィンのピッチを示す。
【0117】
次に、図8および図9に、本発明者が行った、コア部厚さと過渡期昇温(冷媒圧縮機のオンオフにおける過渡期の温度上昇)との関係の評価結果を示す。
【0118】
図8は、冷媒蒸発器のアウタフィンに装着したフィンサーミスタが検出する温度(コア部外表面温度)に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御を行う冷凍サイクル装置において、コア部厚さと過渡期昇温との関係の評価した結果である。
【0119】
図9は、冷媒蒸発器の空気流れ下流側に設けた空気サーミスタ(所謂、エバ後サーミスタ)が検出する空気温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御を行う冷凍サイクル装置において、コア部厚さと過渡期昇温との関係の評価した結果である。
【0120】
図8に示すように、本発明を適用した冷媒蒸発器によれば、フィンサーミスタを用いる仕様の冷凍サイクル装置による車両用空調装置において、コア部厚さが12mm以上であれば、車両要求値を達成することが可能であり、コア部厚さが20mm以上であれば、官能評価においてほとんど温度変動が感じられないレベルを達成することが可能であり、コア部厚さが37mm以上であれば、官能評価において全く温度変動が感じられないレベルを達成することが可能であることが解る。
【0121】
図10に示すように、官能評価においてほとんど温度変動が感じられないレベルとは、車室内への空調風吹出口における温度変動が5℃以下の場合であり、これを達成するための蒸発器吹出温度変動は7℃以下である。また、官能評価において全く温度変動が感じられないレベルとは、車室内への空調風吹出口における温度変動が3℃以下の場合であり、これを達成するための蒸発器吹出温度変動は5℃以下である。
【0122】
すなわち、コア部2の空気流れ方向の厚さDが、12mm≦D≦50mmであれば、コア部2の外表面温度に基づいて冷媒蒸発器への冷媒供給オンオフ制御をする冷凍サイクル装置を車両用空調装置に適用した場合に、搭載車両における過渡期温度変動の要求値を達成することができる。また、コア部2の厚さDが、20mm≦D≦50mmであれば、吹出空調空気の温度変動をほとんど感じられない程度に抑制することができる。さらに、コア部2の厚さDが、37mm≦D≦50mmであれば、吹出空調空気の温度変動を全く感じられない程度に抑制することができる。
【0123】
図9に示すように、本発明を適用した冷媒蒸発器によれば、空気サーミスタを用いる仕様の冷凍サイクル装置による車両用空調装置において、コア部厚さが22mm以上であれば、車両要求値を達成することが可能であり、コア部厚さが31mm以上であれば、官能評価においてほとんど温度変動が感じられないレベルを達成することが可能であり、コア部厚さが48mm以上であれば、官能評価において全く温度変動が感じられないレベルを達成することが可能であることが解る。
【0124】
すなわち、コア部2の空気流れ方向の厚さDが、22mm≦D≦50mmであれば、コア部2よりも空気流れ下流側の空気温度に基づいて冷媒蒸発器への冷媒供給オンオフ制御をする冷凍サイクル装置を車両用空調装置に適用した場合に、搭載車両における過渡期温度変動の要求値を達成することができる。また、コア部2の厚さDが、31mm≦D≦50mmであれば、吹出空調空気の温度変動をほとんど感じられない程度に抑制することができる。さらに、コア部2の厚さDが、48mm≦D≦50mmであれば、吹出空調空気の温度変動を全く感じられない程度に抑制することができる。
【0125】
また、上記実施形態の冷媒蒸発器1では第1チューブ列21第3パス213の冷媒通路断面積と第1下タンク41の通路断面積との関係について説明していなかったが、第1チューブ列21の第3パス213の冷媒通路断面積の総和が、第1下タンク41の通路断面積よりも小さくなるように設定すれば、より液冷媒の停滞を容易に解消することができる。
【0126】
また、第1チューブ列21の第3パス213の冷媒通路断面積の総和が、第1下タンク41の通路断面積よりも大きくなるように設定すれば、より良好な熱交換性能を得ることができる。
【0127】
(他の実施形態)
上記一実施形態では、冷媒蒸発器1への冷媒入口部である流入口51はサイド流路210を介して第1下タンク41内の一端側に連通しており、冷媒出口部である流出口52は第2上タンク32内の同一端側に連通するように設けられていたが、これに限定されるものではない。
【0128】
冷媒蒸発器の内部へ冷媒を導入するための冷媒入口部が空気流れ下流側の第1ヘッダタンク内と連通するように設けられるとともに、冷媒蒸発器の内部から冷媒を導出するための冷媒出口部が空気流れ上流側の第2ヘッダタンク内と連通するように設けられ、冷媒入口部および冷媒出口部は、コア部の幅方向において各ヘッダタンクの同一端側に設けられるものであればよい。
【0129】
例えば、図11に示すように、流入口51が空気流れ下流側の第1ヘッダタンク11の第1下タンク41内と直接連通するように設けられるとともに、流出口52が空気流れ上流側の第2ヘッダタンク12の第2上タンク32内と直接連通するように設けられ、流入口51および流出口52がコア部2の幅方向において同一端側に設けられているものであってもよい。
【0130】
また、上記一実施形態では、第1チューブ列21の第3パス213と第2チューブ列22の第1パス221とに冷媒が並流して上昇するようになっていたが、これに限定されるものではない。第1チューブ列21の最遠部である第3パス213が冷媒上昇部であればよい。また、第1、第2チューブ列ともに3パス構成に限定されるものではない。
【0131】
また、上記一実施形態では、コア部2を、上下方向に延びるチューブ20が横方向に並ぶ列が外部流体である送風空気流れの上流側と下流側に2列に並ぶ構成としていたが、これに限定されるものではなく、チューブ列は3列以上であってもかまわない。
【0132】
第1チューブ列が空気流れ最下流側となり、第2チューブ列が空気流れ最上流側となるように、第1チューブ列と第2チューブ列とを空気流れ方向において前後に重ねて配置したコア部を有する冷媒蒸発器に、本発明を適用すれば有効である。
【0133】
また、上記一実施形態では、第1上タンク31の第3パス213が接続した部位内と第2上タンク32の第1パス221が接続した部位内とを連通する第1連通手段である連通孔36が設けられるとともに、第1下タンク41の第3パス213が接続した部位内と第2下タンク42の第1パス221が接続した部位内とを連通する第2連通手段である連通孔46が設けられていたが、第1、第2連通手段は連通孔に限定されるものではない。第1、第2連通手段に、内部に連通路を形成する第1、第2連通路形成を採用するものであってもよい。
【0134】
例えば、図12に示すように、第1上タンク31の第3パス213が接続した部位内と第2上タンク32の第1パス221が接続した部位内とを連通する第1連通手段を連通孔36とし、第1下タンク41の第3パス213が接続した部位内と第2下タンク42の第1パス221が接続した部位内とを連通する第2連通手段に、内部に第2連通路362を形成する配管等からなる第2連通路形成部材462を採用するものであってもよい。
【0135】
また、例えば、図13に示すように、第1上タンク31の第3パス213が接続した部位内と第2上タンク32の第1パス221が接続した部位内とを連通する第1連通手段に、内部に第1連通路361を形成する配管等からなる第1連通路形成部材461を採用し、第1下タンク41の第3パス213が接続した部位内と第2下タンク42の第1パス221が接続した部位内とを連通する第2連通手段に、内部に第2連通路362を形成する配管等からなる第2連通路形成部材462を採用するものであってもよい。
【0136】
また、上記一実施形態では、コア部2のチューブ20間にアウタフィン26を設けており、アウタフィン26は隣り合うチューブ20間において両側のチューブ20に接合していたが、これに限定されるものではない。
【0137】
例えば、チューブ間にアウタフィンを設けないコア部や、チューブ間にチューブを形成する部材から切り起こした突起部等を備えるコア部であってもよい。これらのように、コア部が、チューブ間にフィンを備えないフィンレスタイプであったり、コア部が、隣り合うチューブ間において片側のチューブのみに接合したフィンを備えるタイプであったりする場合には、コア部の外表面で凝縮した凝縮水の排水性能が極めて良好であるため、コア部の正確な温度検出が容易であり、良好な応答性を得ることができ有利である。
【0138】
また、上記一実施形態では、冷媒にR134aを採用していたが、冷媒はこれに限定されるものではない。本発明を適用した冷媒蒸発器1は、他の冷媒を採用した場合であっても同様な効果は得られるが、R134a冷媒を用いた場合に効果が特に顕著である。
【0139】
また、上記一実施形態では、冷媒蒸発器1を車両用空調装置の冷凍サイクルに用いた場合の説明をしたが、本発明は、車両用空調装置以外の冷凍サイクルに用いられる蒸発器であっても適用することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明を適用した一実施形態における冷媒蒸発器1の全体構成を示す外観斜視図である。
【図2】冷媒蒸発器1のコア部(熱交換部)2の一部を拡大図示した斜視図である。
【図3】冷媒蒸発器1内の構成および冷媒流れを説明するための模式図である。
【図4】冷媒圧縮機をオフした際の冷媒蒸発器の風下側チューブ列表面の温度変化を示す図。
【図5】冷媒圧縮機をオンした際の冷媒蒸発器の風下側チューブ列表面の温度変化を示す図。
【図6】冷媒蒸発器の第1チューブ列第3パス幅による熱交換性能の特性図である。
【図7】冷媒蒸発器のフィン高さチューブ高さによる熱交換性能の特性図である。
【図8】フィンサーミスタ仕様における冷媒蒸発器コア部厚さと過渡期昇温差との関係を示すグラフである。
【図9】空気サーミスタ仕様における冷媒蒸発器コア部厚さと過渡期昇温差との関係を示すグラフである。
【図10】吹出口温度変動と蒸発器吹出温度変動と官能評価結果の関係を示す表である。
【図11】他の実施形態における冷媒蒸発器内の構成および冷媒流れを説明するための模式図である。
【図12】他の実施形態における冷媒蒸発器内の構成および冷媒流れを説明するための模式図である。
【図13】他の実施形態における冷媒蒸発器内の構成および冷媒流れを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0141】
1 冷媒蒸発器
2 コア部
11 第1ヘッダタンク
12 第2ヘッダタンク
20、20A、20B チューブ
21 第1チューブ列
22 第2チューブ列
31 第1上タンク(第1ヘッダタンク11の一部)
32 第2上タンク(第2ヘッダタンク12の一部)
36 連通孔(第1連通手段、第1連通孔)
41 第1下タンク(第1ヘッダタンク11の一部)
42 第2下タンク(第2ヘッダタンク12の一部)
46 連通孔(第2連通手段、第2連通孔)
51 流入口(冷媒入口部)
52 流出口(冷媒出口部)
213 第3パス(第1チューブ列21の最遠部、第1最遠部)
221 第1パス(第2チューブ列22の最遠部、第2最遠部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる複数のチューブ(20A)を横方向に並設した第1チューブ列(21)と、上下方向に延びる複数のチューブ(20B)を横方向に並設した第2チューブ列(22)とを有し、前記第1チューブ列(21)が空気流れ最下流側となり、前記第2チューブ列(22)が空気流れ最上流側となるように、前記第1チューブ列(21)と前記第2チューブ列(22)とを空気流れ方向において前後に重ねて配置したコア部(2)と、
前記第1チューブ列(21)の上端に接続した第1上タンク(31)と、前記第1チューブ列(21)の下端に接続した第1下タンク(41)とからなり、前記第1チューブ列(21)に対し冷媒を分配および収集するための第1ヘッダタンク(11)と、
前記第2チューブ列(22)の上端に接続した第2上タンク(32)と、前記第2チューブ列(22)の下端に接続した第2下タンク(42)とからなり、前記第2チューブ列(22)に対し冷媒を分配および収集するための第2ヘッダタンク(12)と、
前記第1ヘッダタンク(11)内に設けられ、前記第1チューブ列(21)において内部の冷媒流れが上昇流となる冷媒上昇部(211、213)と下降流となる冷媒下降部(212)とが隣接するように冷媒流れを反転させるための第1仕切部材(33、43)と、
前記第2ヘッダタンク(12)内に設けられ、前記第2チューブ列(22)において内部の冷媒流れが上昇流となる冷媒上昇部(221、223)と下降流となる冷媒下降部(222)とが隣接するように冷媒流れを反転させるための第2仕切部材(34、44)とを備え、
内部へ冷媒を導入するための冷媒入口部(51)が前記第1ヘッダタンク(11)に設けられるとともに、内部から冷媒を導出するための冷媒出口部(52)が前記第2ヘッダタンク(12)に設けられ、前記冷媒入口部(51)および前記冷媒出口部(52)は、前記コア部(2)の幅方向において各ヘッダタンク(11、12)の同一側端部に設けられており、
前記コア部(2)の空気流れ方向の厚さ(D)が50mm以下であり、
前記コア部(2)の幅(W)が220mm以上であり、
前記第1チューブ列(21)において冷媒が同一方向に流れるチューブ(20A)からなり前記冷媒入口部(51)から最も遠い部分である最遠部(213)が前記冷媒上昇部であるとともに、前記最遠部(213)の前記コア部幅方向の寸法(L1)が95mm以下であることを特徴とする冷媒蒸発器。
【請求項2】
前記第1チューブ列(21)における前記最遠部(213)を第1最遠部(213)としたときに、前記第2チューブ列(22)において冷媒が同一方向に流れるチューブ(20B)からなり前記冷媒出口部(52)から最も遠い部分である第2最遠部(221)が前記冷媒上昇部であり、
前記第1上タンク(31)の前記第1最遠部(213)が接続した部位(313)内と前記第2上タンク(32)の前記第2最遠部(221)が接続した部位(321)内とを連通する第1連通手段(36)が設けられるとともに、前記第1下タンク(41)の前記第1最遠部(213)が接続した部位(413)内と前記第2下タンク(42)の前記第2最遠部(221)が接続した部位(421)内とを連通する第2連通手段(46)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷媒蒸発器。
【請求項3】
前記コア部(2)は、内部を冷媒が流通するチューブ列が、前記第1チューブ列(21)および前記第2チューブ列(22)のみからなり、
前記コア部の幅をWとし、前記第1最遠部(213)の幅をL1とした場合に、
220mm≦W≦350mmであり、50mm≦L1≦95mmであることを特徴とする請求項2に記載の冷媒蒸発器。
【請求項4】
前記第1連通手段(362)は、内部に第1連通路(361)を形成する第1連通路形成部材(362)であり、前記第2連通手段(462)は、内部に第2連通路(461)を形成する第2連通路形成部材(462)であることを特徴とする請求項3に記載の冷媒蒸発器。
【請求項5】
前記第1上タンク(31)と前記第2上タンク(32)とが隣接配置されるとともに、前記第1下タンク(41)と前記第2下タンク(42)とが隣接配置されており、
前記第1連通手段(36)は、前記第1上タンク(31)と前記第2上タンク(32)とが接した部位に設けられた第1連通孔(36)であり、前記第2連通手段(46)は、前記第1下タンク(41)と前記第2下タンク(42)とが接した部位に設けられた第2連通孔(46)であることを特徴とする請求項3に記載の冷媒蒸発器。
【請求項6】
前記第1連通孔(36)および前記第2連通孔(46)は、各孔の相当直径をdとした場合に、
0.55mm≦d≦3mmであることを特徴とする請求項5に記載の冷媒蒸発器。
【請求項7】
前記第1連通手段(36)の通路断面積の総和が、前記第2連通手段(46)の通路断面積の総和よりも大きいことを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項8】
前記第1連通手段(36)の通路断面積の総和が、前記第2連通手段(46)の通路断面積の総和よりも小さいことを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項9】
前記第2最遠部(221)の幅をL2とした場合に、L1≦L2であることを特徴とする請求項3ないし請求項8のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項10】
前記第2最遠部(221)の幅をL2とした場合に、L1≧L2であることを特徴とする請求項3ないし請求項8のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項11】
前記第2チューブ列(22)は、前記第2最遠部(221)、前記第2最遠部(221)に隣接する冷媒下降部(222)、およびこの冷媒下降部(222)の前記冷媒出口部(52)側に隣接する冷媒上昇部(223)からなる3つの冷媒通過部のみからなることを特徴とする請求項3ないし請求項10のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項12】
前記第1最遠部(213)の幅L1と前記第2最遠部(221)の幅L2との和が前記コア部(2)の幅Wに対し、
0.24×W≦L1+L2≦0.36×Wであることを特徴とする請求項11に記載の冷媒蒸発器。
【請求項13】
前記コア部(2)は、前記第1チューブ列(21)および前記第2チューブ列(22)のそれぞれのチューブ(20)間に熱交換用フィン(26)を介在させており、
前記熱交換用フィン(26)の前記コア部幅方向の高さをFHとし、前記チューブ(20)の前記コア部幅方向の高さをTHとした場合に、
3mm≦FH≦7mm、かつ、1.1mm≦TH≦2.3mmであることを特徴とする請求項11または請求項12のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項14】
前記コア部(2)の外表面温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
前記コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
12mm≦D≦50mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項15】
前記コア部(2)の外表面温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
前記コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
20mm≦D≦50mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項16】
前記コア部(2)の外表面温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
前記コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
37mm≦D≦50mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項17】
前記コア部(2)よりも空気流れ下流側の空気温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
前記コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
22mm≦D≦50mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項18】
前記コア部(2)よりも空気流れ下流側の空気温度に基づいて冷媒圧縮機のオンオフ切換制御が行われる冷凍サイクル装置に用いられるものであって、
前記コア部(2)の空気流れ方向の厚さをDとした場合に、
31mm≦D≦50mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項19】
前記第1チューブ列(21)において冷媒が同一方向に流れるチューブ(20A)からなり前記冷媒入口部(51)から最も遠い部分である前記最遠部(213)の冷媒通路断面積の総和が、前記第1下タンク(41)の通路断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項20】
前記第1チューブ列(21)において冷媒が同一方向に流れるチューブ(20A)からなり前記冷媒入口部(51)から最も遠い部分である前記最遠部(213)の冷媒通路断面積の総和が、前記第1下タンク(41)の通路断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項21】
前記コア部は、前記チューブ間にフィンを備えないフィンレスタイプであることを特徴とする請求項1ないし請求項20のいずれかに記載の冷媒蒸発器。
【請求項22】
前記コア部は、隣り合う前記チューブ間において片側のチューブのみに接合したフィンを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項20のいずれかに記載の冷媒蒸発器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−267686(P2008−267686A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110889(P2007−110889)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】