説明

冷媒貯蔵タンクこれを用いたおよび冷却装置

【課題】気体を含む冷媒がポンプに流入することを回避し、冷媒の循環に優れた冷媒貯蔵タンクを提供すること。
【解決手段】本発明の冷媒貯蔵タンク100は、タンク本体110と、流入口121と、流出口131と、抑止板140(抑止部)とを備えている。タンク本体110は、内部に冷媒WFを貯留する。流入口121は、タンク本体110の内部に冷媒WFを流入させる。流出口131は、前記タンク本体の内部から冷媒WFを流出させる。抑止板140は、タンク本体110の内部であって流出口131の近傍に流出口131に対向して設けられている。また、抑止板140は、冷媒WFが流入口121から流出口130bへ直接的に流れることを抑止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒貯蔵タンクおよびこれを用いた冷却装置に関し、特に、内部に冷媒を貯留するタンク等の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器やパソコンなどの電子装置は、一度に大量の演算を高速に行うなど、高性能化や高機能化が急速に進んできている。これに伴い、電子機器に搭載されている部品のうち、特に中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)や集積回路(Multi-chip Module:MCM)などの発熱素子は、非常に高く発熱する傾向にある。
【0003】
このような電子装置において、発熱素子を冷媒によって冷却する技術が知られている。この冷却技術では、電子装置内にポンプを設け、このポンプの駆動力により冷媒を電子装置内に循環させている。これにより、循環する冷媒と発熱素子との間で熱交換が行われ、発熱素子が冷却される。このとき、発熱素子の発熱量によって、必要な冷媒の量が異なってくる。
【0004】
このため、近年の冷却技術では、ポンプに加え、冷媒を貯留するタンクを電子装置内に設けて、ポンプの駆動力によって冷媒をタンクから電子機器内に循環させる技術が採用されている(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
具体的には、特許文献1には、受熱部と一体のポンプ(受熱一体ポンプ21)によって、タンク(リザーブタンク11)内に貯留された冷媒を、ポンプ(21)、2つの放熱器(22、23)およびタンク(11)の間で循環させて、受熱部(受熱一体ポンプ21)により受熱された発熱素子の発熱を放熱する技術が開示されている。このとき、タンク(11)に冷媒が流入する流入口(配管17bおよびリザーブタンク11の結合部)と、タンク(11)から冷媒が流出する流出口(配管17cおよびリザーブタンク11の結合部)は、互いにほぼ直交するように設けられている。これにより、流入口から流入する冷媒が直接的に流出口に流れ込むことを抑止している。
【0006】
また、特許文献2には、ポンプ(6)によって、放熱部と一体のタンク(4、5)内に貯留された冷媒を、ポンプ(6)、受熱部(2)および前記タンク(4、5)の間で循環させて、受熱部(2)により受熱された発熱素子(1)の発熱を放熱する技術が開示されている。このとき、タンクに冷媒が流入する流入口(気液混合流入口)と、タンクから冷媒が流出する流出口(液冷媒流出口)との間は、貫通穴43aを有した仕切り板43によって分離されている。これにより、流入口から流入する冷媒が直接的に流出口に流れ込むことを抑止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−207881号公報(特に、段落[0027]、段落[0032]−[0037]、図3−5)
【特許文献2】特許4682858号公報(特に、段落[0017]、段落[0026]、図1、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の通り、特許文献1に記載の技術では、タンクの流入口および流出口の配置を工夫することにより、流入口から流入する冷媒が直接的に流出口に流れ込むことを抑止することはできる。しかしながら、流入口から流入する冷媒に気泡が含まれていた場合、気泡が流出口に回り込んでポンプに流出されてしまうことがあった。この結果、ポンプの性能の低下してしまい、当該ポンプが破損してしまうという問題があった。特に、気泡を含む冷媒がポンプ内に流入してしまうと、ポンプの負荷が著しく小さくなり空転してしまい、ポンプが破損してしまう。
【0009】
特許文献2に記載の技術では、タンクの流入口と流出口の間に仕切り板を設けることにより、流入口から流入する冷媒が直接的に流出口に流れ込むことを抑止することはできる。しかし、流入口から流入する冷媒に気泡が含まれていた場合、気泡が流出口に回り込んでポンプに流出されてしまうことがあった。この結果、ポンプの性能が低下してしまし、ポンプが破損してしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、気体を含む冷媒がポンプに流入することを回避し、冷媒の循環に優れた冷媒貯蔵タンクこれを用いたおよび冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の冷媒貯蔵タンクは、内部に冷媒を貯留するためのタンク本体と、前記タンク本体の内部に前記冷媒を流入させる流入口と、前記タンク本体の内部から前記冷媒を流出させる流出口と、前記タンク本体の内部であって前記流出口の近傍に前記流出口に対向して設けられ、前記冷媒が前記流入口から前記流出口へ直接的に流れることを抑止する抑止部とを備える。
【0012】
本発明の冷却装置は、冷媒を貯留するタンクと、発熱素子に熱的に接続され、前記発熱素子の発熱を受熱する受熱部と、前記受熱部により受熱された前記発熱素子の発熱を、前記冷媒を介して受け取り、これを放熱する放熱部と、前記タンク、前記受熱部および前記放熱部に前記冷媒を循環させるポンプとを備え、前記タンクは、冷媒の循環方向に対して前記ポンプの上流側に配置され、内部に前記冷媒を貯留するためのタンク本体と、前記タンク本体の内部に前記冷媒を流入させる流入口と、前記タンク本体の内部から前記冷媒を流出させる流出口と、前記流出口の近傍に前記流出口に対向して設けられ、前記冷媒が前記流入口から前記流出口へ直接的に流れることを抑止する抑止部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、冷媒の循環が良好で、冷却性能に優れた冷媒貯蔵ポンプおよびこれを用いた冷却装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における冷却装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における冷却装置の構成を模式的に示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの変形例の構成を示す図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの構成の変形例を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの構成を示す図である。
【図12】本発明の第7の実施の形態における冷媒貯蔵タンクの構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100および冷却装置1000について、図に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100の構成を示す。図1(a)は冷媒貯蔵タンク100の上面図であり、図1(b)は冷媒貯蔵タンク100の側面図であり、図1(c)は図1(b)の矢視A1を示す図である。また、図1(d)は冷媒貯蔵タンク100を図1(a)のB1−B1切断面で切断したときの断面図である。図1(e)は冷媒貯蔵タンク100を図1(b)のC1−C1切断面で切断したときの断面図である。図1(f)は冷媒貯蔵タンク100を図1(b)のD1−D1切断面で切断したときの断面図である。なお、説明の便宜上、図1(d)〜(f)では、冷媒がタンク100内に貯留された状態を示す。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施の形態における冷却装置1000の構成を模式的に示す平面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態における冷却装置1000の構成を模式的に示す側面図である。
【0018】
ここで、説明の便宜上、まず、図2および図3を参照して、冷却装置1000の構成について説明し、その後に冷媒貯蔵タンク100の構成について図1を用いて具体的に説明する。なお、図3は、主として、図2で示された冷却装置1000の構成要素間の接続関係を説明するのに用いる。このため、図3では、冷却装置1000の各構成要素の配置関係において、図2と整合性をとらず、冷媒貯蔵タンク100、ポンプ200、受熱部300a、300cおよび放熱部400を示している。また、紙面の都合上、図3では、受熱部300bを省略している。
【0019】
図2および図3に示されるように、冷却装置1000は、冷媒貯蔵タンク100と、ポンプ200と、受熱部300a〜300cと、放熱部400と、ファン部500a、500bと、基材600と、配管700a〜700fと、発熱素子800a〜800cと、筐体900を含んで構成される。そして、図3に示されるように、冷媒貯蔵タンク100と、ポンプ200と、受熱部300a〜300cと、放熱部400と、ファン部500a、500bと、基材600と、配管700a〜700fと、発熱素子800a〜800cとが、筐体900の内部に収容されている。なお、便宜上、図2では、筐体900を省略している。
【0020】
ここで、冷却装置1000は、例えば、コンピュータシステムのサーバ装置やディスク装置やネットワーク機器等の電子装置に搭載されるラック(不図示)に取り付けられるものとする。これらの電子装置には、EIA(Electronic Industries Alliance:米国電子工業会)規格の19インチラックが多く使用されているので、ここでも、冷却装置1000はEIA標準19インチラックに適合するものとする。このとき、EIA標準19インチラックは、ラック本体に設置される装置の幅が19インチ(約482.6mm)、その高さが1.75インチ(約44.45mm:「1U」と呼ぶ)の倍数(1U、2U、・・・、nU:nは正の整数)となるように設定されている。なお、以下、冷却装置1000の筐体900の高さを1Uとして説明する。
【0021】
また、冷媒貯蔵タンク100、ポンプ200、受熱部300a〜300cおよび放熱部400は、配管700a〜700fによって接続されている。そして、受熱部300a〜300cおび放熱部400は、後で説明するように、内部は中空状に形成されており、空洞となっている。また、冷媒貯蔵タンク100と、ポンプ200と、受熱部300a〜300cの内部空洞と、放熱部400の内部空洞と、配管700a〜700とにより形成される空間内に、冷媒(Working Fluid:以下WFと称する。)が密閉された状態で閉じこめられている。特に、後述するように、冷媒貯蔵タンク100の内部には冷媒WFが貯留され、この貯留された冷媒WFが、ポンプ200の駆動によって、ポンプ200、受熱部300a〜300c、放熱部400および冷媒貯蔵タンク100の間を密閉された状態で所定の循環方向(図2の矢印X1〜X4、図3の矢印Y1〜Y4)に相変化(液相←→気相)しながら循環する。なお、以下の説明では、特に冷媒WFの液相状態と気相状態を区別するときは、液相状態の冷媒WFを液相冷媒LWF、気相状態の冷媒WFを気相冷媒GWFと呼ぶ。

【0022】
次に、冷却装置1000の各構成要素について、図2および図3に基づいて、具体的に説明する。
【0023】
冷媒貯蔵タンク100は、内部に冷媒WFを貯留する。なお、この冷媒貯蔵タンク100の詳細な構成については、後で図1を用いて、具体的に説明する。
【0024】
ポンプ200は、冷媒貯蔵タンク100に貯留されている冷媒WFを冷却装置1000内で循環させる動力源である。具体的には、ポンプ200は、タンク200、受熱部300a〜300cおよび放熱部400に冷媒WFを循環させる。すなわち、冷媒WFの循環経路が、ポンプ200、受熱部300a〜300c、放熱部400および冷媒貯蔵タンク100との間をループ状に配管700a〜700fで接続されることにより、構成される。ポンプ200は、この循環経路に冷媒WFを循環させる。
【0025】
受熱部300a〜300cは、基材600に取り付けられた発熱素子800a〜800cの発熱を受熱する。図3に示されるように、受熱部300a〜300cの各々は、発熱素子800a〜800cの上に取り付けられている。受熱部300bの構成については、前述の通り、紙面の便宜上、図3に示していないが、受熱部300bも、他の受熱部300a、300cと同様に、発熱素子800bの上に取り付けられている。受熱部300a〜300cの内部は中空状であり、空洞となっている。受熱部300a〜300cの空洞内部には、ポンプ200の駆動により冷媒貯蔵タンク100から供給される冷媒WFが流れ込む。受熱部300a〜300cの材料には、熱伝導性材料(例えばアルミニウム合金など)が用いられる。
【0026】
放熱部400は、受熱部300cに配管700eを介して接続されている。放熱部400の内部は中空状であり、空洞となっている。放熱部400の空洞内部には、ポンプ200の駆動により冷媒貯蔵タンク100から供給される冷媒WFが流れ込む。放熱部400は、受熱部300a〜300cにより受熱された発熱素子800a〜800cの発熱を、冷媒WFを介して受け取り、これを放熱する。放熱部400の材料には、熱伝導性材料(例えばアルミニウム合金など)が用いられる。
【0027】
ファン部500a、500bは、図3に示されるように、筐体900の端部側に設けられている。また、ファン部500a、500bは、図2および図3の紙面左側から筐体900内部に空気を吸い入れて、図2および図3の紙面右側に向けて、矢印Z1、Z2の方向に排出する。
【0028】
基材600は、板状に形成されたプリント配線基板である。この基材600は、前述の通り、発熱素子800a〜800cを実装できるように構成されている。基材600の材料には、例えばガラスエポキシなどの難燃性材料が用いられる。
【0029】
配管700a〜700fは、図2および図3に示されるように、冷媒貯蔵タンク100、ポンプ200、受熱部300a〜300cおよび放熱部400を接続する。具体的には、配管700aは冷媒貯蔵タンク100およびポンプ200の間を接続する。また、配管700bはポンプ200および受熱部300aの間を接続する。配管700cは受熱部300aおよび受熱部300bの間を接続する。配管700dは受熱部300bおよび受熱部300cの間を接続する。配管700eは受熱部700cおよび放熱部400の間を接続する。配管700fは放熱部400および冷媒貯蔵タンク100の間を接続する。このように、冷媒貯蔵タンク100、ポンプ200、受熱部300a〜300cおよび放熱部400が配管700a〜700fにより接続されることにより、ループ状の循環経路が形成される。そして、冷媒WFがポンプ200の駆動力によって当該循環経路内を密閉された状態で相変化(液相←→気相)しながら循環する。なお、配管700a〜700fの材料には、熱伝導性材料(例えばアルミニウム合金など)が用いられる。
【0030】
発熱素子800a〜800cは、例えばCPUやMCMなど、動作すると高い熱を発する素子である。また、発熱素子800a〜800cは、例えば発熱素子用のソケット(不図示)を介して、基材600に着脱可能に取り付けられる。
【0031】
筐体900は、冷媒貯蔵タンク100と、ポンプ200と、受熱部300a〜300cと、放熱部400と、ファン部500a、500bと、基材600と、配管700a〜700fと、発熱素子800a〜800cとを収容する。筐体900の材料には、アルミニウム合金材など、熱伝導性の高い金属が用いられる。また、筐体900は、前述の通り、EIA標準19インチラックに適合しており、当該筐体900の高さを1Uである。
【0032】
冷媒WFは、例えば高分子材料などにより構成されており、高温になると気化し、低温になると液化する特性を有している。冷媒WFには、例えば、住友スリーエム株式会社のNovec(登録商標)7000シリーズのフッ素系冷媒を用いることができる。この冷媒WFを本発明の冷却装置1000に搭載するには、まず、冷媒貯蔵タンク100と、ポンプ200と、受熱部300a〜300cの内部空洞と、放熱部400の内部空洞と、配管700a〜700とにより形成される空間(ここでは、冷媒密閉空間と呼ぶ)内に、冷媒WFを注入する。次に、真空ポンプ(不図示)などを用いて、前記冷媒密閉空間内から空気を排除する。これにより、冷媒が前記冷却構造の空間内に充満された状態で密閉される。このように、タンク本体110の内部を減圧することによって、タンク本体110の内部の冷媒WFを飽和状態にすることができる。また、Novec7000シリーズのフッ素系冷媒を用いた場合、前記冷却構造の空間内の圧力が0.065(MPa)となり、当該空間内に密閉された冷媒の沸点が25(℃)となる。冷却装置1000が25(℃)の環境下に置かれたとき、受熱部300a〜300cが発熱素子800a〜800cに接していると、発熱素子800a〜800cの発熱開始とほぼ同時に冷媒が沸騰し、蒸気が発生する。この結果、前記冷却構造が冷却モジュールとして機能し、発熱素子800a〜800cの発熱を冷却し始める。
【0033】
以上のように構成された冷却装置1000の冷却機能について、図2および図3に基づいて説明する。冷却装置1000は、冷却機能として、空気を用いて発熱素子800a〜800cの発熱を冷却する空冷冷却機能と、冷媒WFを循環経路内に循環させて発熱素子800a〜800cを冷却する沸騰冷却機能(相変化冷却機能ともいう)とを有する。
【0034】
前者の空冷冷却機能では、まず、ファン部500a、500bを駆動させることにより、筐体900の外気を図2および図3の紙面左側から筐体900の内部に取り込み、筐体900内に取り込まれた外気を図2および図3の紙面右側の筐体900の外に排出する。このとき、筐体900内に取り込まれた外気は、筐体900内に搭載された冷媒貯蔵タンク100、ポンプ200、受熱部300a〜300c、放熱部400などの各部材と筐体900の内面との間を通過する。この間に、筐体900内に取り込まれた外気が、発熱素子800a〜800cの発熱を受熱した各部材の熱を冷却する。
【0035】
このように、空冷冷却機能では、ファン部500a、500bを用いて、筐体900の外の空気を筐体900の内部に取り込んで排出することにより、発熱素子800a〜800cの発熱を冷却している。
【0036】
後者の沸騰冷却機能では、前述した循環経路が用いられる。すなわち、この循環経路は、冷媒貯蔵タンク100、ポンプ200、受熱部300a〜300cおよび放熱部400が配管700a〜700fにより接続されることにより、ループ状に形成される。
【0037】
まず、ポンプ200を駆動すると、冷媒貯蔵タンク100に貯留されている冷媒WFのうち液相冷媒LWFが、配管700a〜700cを介して受熱部300a〜300cに供給される。この間、各受熱部300a〜300cは、各発熱素子800a〜800cの発熱を受熱している。これにより、受熱部300a〜300cにより受熱された発熱素子800a〜800cの発熱が、冷媒WFに吸熱される。このとき、液相冷媒LWFの一部が発熱素子800a〜800cの発熱を吸収することにより気化して、気相冷媒GWFに相変化する。
【0038】
次に、気相冷媒GWFを含む状態で冷媒WFが、ポンプ200の駆動力によって、受熱部300a〜300cから流出し、配管700eを介して放熱部400に流入する。放熱部400は、受熱部300a〜300cから流入する冷媒WFを介して、発熱素子800a〜800cの発熱を受け取り、これを放熱する。これにより、発熱素子800a〜800cの発熱が放熱される。また、このとき、冷媒WF中の気相冷媒GWFの一部または全部が液相冷媒LWFに相変化する。
【0039】
次に、液相冷媒GWFを含む冷媒WFが、ポンプ200の駆動力によって、放熱部400から流出し、配管700fを介して再び冷媒貯蔵タンク100に流入する。これにより、循環経路を循環した冷媒WFが冷媒貯蔵タンク100の内部に再び貯留される。
【0040】
このように、沸騰冷却機能では、ポンプ200の駆動力によって冷媒WFを前述の循環経路内に循環させることにより、発熱素子800a〜800cの発熱を放熱している。なお、本実施の形態では、受熱部300a〜300cや配管700a〜700fも熱伝導性部材で構成することにより、これらの部材自体にも放熱機能を発揮させることができる。これにより、さらに効率よく発熱素子800a〜800cの発熱を放熱することができる。
【0041】
次に、冷媒貯蔵タンク100の構成について、具体的に説明する。
【0042】
図1に示されるように、冷媒貯蔵タンク100は、タンク本体110と、流入管120と、流入口121と、流出管130と、流出口131と、抑止板140とを含んで構成されている。
【0043】
タンク本体110は、図1(d)〜(f)に示されるように、円筒状に形成された密閉容器である。タンク本体110の内部には、冷媒WFが貯留される。具体的には、図1(d)に示されるように、冷媒WFが飽和状態となって、液相冷媒LWFおよび気相冷媒GWFが混在した状態でタンク本体110の内部に貯留される。なお、説明の便宜上、図1(d)には、気相冷媒GWFの気泡(Vapor Bubbles:以下、単にVBと称する)を示す。
【0044】
流入管120は、図1(d)に示されるように、タンク本体110の底面110a側に設けられている。また、流入口121が、タンク本体110および流入管120の結合部に設けられている。この流入口121は、タンク本体110の内部に冷媒WFを流入させるために設けられている。なお、流入管120は、タンク本体110と一体に形成されてもよいし、タンク本体110と別体で形成されてもよい。
【0045】
流出口130は、図1(d)に示されるように、タンク本体110の底面110a側に設けられている。また、流出口131が、タンク本体110および流出管130の結合部に設けられている。この流出口131は、タンク本体110の内部から冷媒WFを流出させるために設けられている。なお、流出管130は、タンク本体110と一体に形成されてもよいし、タンク本体110と別体で形成されてもよい。
【0046】
流入口121および流出口131は、図1(d)および図1(e)に示されるように、互いに対向する位置に配置されている。
【0047】
抑止板140は、冷媒WFが流入口121から流出口131へ直接的に流れることを抑止するように設けられている。また、抑止板140は、図1(d)および図1(e)に示されるように、タンク110の内部であって流出口131の近傍に、流出口131に対向するように設けられている。図1(d)〜図1(f)に示されるように、抑止板140は、タンク本体110の底面110aから天面110bへ向けてほぼ鉛直に延出するように形成されている。また、図1(d)および図1(f)に示されるように、抑止板140の少なくとも一部は、常時、液相冷媒LWFの液面から露出している。なお、抑止板140は、本発明の抑止部に相当する。
【0048】
次に、冷媒WFが、流入口121からタンク本体110の内部に流入した場合について、説明する。
【0049】
冷媒WFが、流入口121からタンク本体110の内部に流入すると、図1(e)に示されるように、冷媒WFが矢印V1の方向に流れる。これに併せて、冷媒WF中に含まれる気相冷媒GWFは、気泡VBとなってタンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液面に向けて上昇し(図1(d)の矢印V2を参照)、タンク本体110の内部の気相冷媒GWFに吸収される。
【0050】
また、抑止板140は、冷媒WFが流入口121から流出口131へ直接的に流れることを抑止する。すなわち、図1(e)に示されるように、冷媒WFが矢印V1の方向に流れてきても、抑止板140が矢印V1の方向の冷媒WFの流れを抑止する。このとき、冷媒WF中に含まれる気相冷媒GWFは、矢印V1の方向の流出口131に向かって、上昇しながら気泡VBとなって流れてくるが、抑止部140により、この流れが抑止される。これにより、気相冷媒GWFからなる気泡VBは、抑止板140を乗り越えて、抑止板140と流出口131の間に流出することはない。一方、タンク本体110の底面側では、液体冷媒LWF(気相冷媒GWFを含まない冷媒WF)が抑止板140とタンク本体110の内面の間を矢印V3、V4の方向に回り込みながら、流出口131からタンク本体110の外側に流出する。また、抑止板140の少なくとも一部は、常時、液相冷媒LWFの液面から露出しているので、気相冷媒GWFの気泡VBが、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液面上に残ったとしても、当該液面と抑止板140との境界部で気泡VBが堰き止められる。
【0051】
以上の通り、本発明の第1の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100は、タンク本体110と、流入口121と、流出口131と、抑止部140とを含んで構成される。タンク本体110は、内部に冷媒WFを貯留するためのものである。流入口121は、タンク本体110の内部に冷媒WFを流入させ、流出口131は、タンク本体110の内部から冷媒WFを流出させる。抑止板140は、タンク本体110の内部であって流出口131の近傍に流出口131に対向して設けられ、冷媒WFが流入口121から流出口131へ直接的に流れることを抑止する。
【0052】
このように、本発明の第1の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100では、抑止板140を流出口131の近傍に流出口131に対向して設けることで、冷媒WFが流入口121から流出口131へ直接的に流れることを抑止している。これにより、気相冷媒GWFを含む冷媒WFが、流入口121からタンク本体110の内部に流入してきても、当該気相冷媒GWFが流出口131に直接的に流れ込むことを抑止できる。このとき、冷媒WF中の気相冷媒GWFは、気泡VBとなってタンク本体110の内部の液相冷媒LWF中を上昇するが、抑止板140によって、気泡VBが当該抑止板140および流出口131の間に流れ込むことが抑止される。一方、タンク本体110の底面側では、液体冷媒LWF(気相冷媒GWFを含まない冷媒WF)が抑止板140とタンク本体110の内面の間を回り込みながら、流出口131に流れてゆき、流出口131からタンク本体110の外側に流出する。このように、冷媒貯蔵タンク100によれば、気相冷媒GWFなど、気体を含む冷媒が冷媒貯蔵タンク100の内部から流出することを抑止できる。この結果、例えば、冷媒貯蔵タンク100に貯留されている冷媒WFを、ポンプを用いて所定の循環経路に循環させる場合であっても、気体を含む冷媒WFがポンプに入ることはないので、ポンプの負荷が著しく小さくなり空転してしまい、ポンプが破損してしまうことを防止できる。したがって、本発明によれば、冷媒WFの循環が良好で、冷却性能に優れた冷媒貯蔵ポンプ100を提供できる。
【0053】
本発明の第1の実施の形態における冷媒貯蔵ポンプ100は、例えば筐体900の高さは1Uと非常に薄い冷却装置1000にも用いた際に特に有効である。前述したように、冷却装置1000の沸騰冷却機能(相変化冷却機能)では、ポンプ200の駆動力によって、冷媒貯蔵タンク100、ポンプ200、受熱部300a〜300c、放熱部400の間を配管700a〜700fにより接続した循環経路に、冷媒WFを循環させている。このとき、当該循環経路内には、液相冷媒LWFと気相冷媒GWFとが混在しており、発熱素子800a〜800cの発熱量によって気相冷媒GWFの蒸気発生量や蒸気流速が大きく変動する。本発明の冷媒貯蔵タンク100では、抑止板140を流出口131の近傍に流出口131に対向して設けることで、冷媒WFが流入口121から流出口131へ直接的に流れることを抑止している。したがって、冷媒貯蔵タンク100内で、冷媒WFの気液分離が効率よく行われる。このため、冷媒貯蔵タンク100内の液相冷媒LWFの液面の上下変動も少なくなり安定する。このように、本発明の冷媒貯蔵タンク100を冷却装置1000に用いたとき、冷却装置1000の筐体900の高さがIUと非常に薄くても、冷媒WFの気液分離が冷媒貯蔵タンク100内で効率よく行われる。以上の通り、本発明の第1の実施の形態における冷媒貯蔵ポンプ100は、例えば筐体900の高さは1Uと非常に薄い冷却装置1000にも用いた際に特に有効である。
【0054】
また、本発明に実施の形態1における冷媒貯蔵タンク100において、抑止板140の一部が、タンク本体110内に貯留された冷媒WFの液面(より具体的には液相冷媒LWFの液面(図1(d)を参照))上に露出するように設けられている。これにより、気相冷媒GWFの気泡VBが、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液面上に残ったとしても、当該液面と抑止板140との境界部で気泡VBが堰き止められる。この結果、気泡VBが当該抑止板140および流出口131の間に流れ込むことが抑止される。
【0055】
また、流出口131は、タンク本体110の底面110a側であって、タンク本体110の内部に貯留された液相冷媒LWFの液面とタンク本体110の底面110aとの間に設けられている。これにより、気相冷媒GWFなど、気体を含む冷媒が冷媒貯蔵タンク100の内部から流出することを効率よく抑止できる。
【0056】
また、流入口121は、タンク本体110の底面110a側であって、タンク本体110の内部に貯留された液相冷媒LWFの液面とタンク本体110の底面110aとの間に設けられている。これにより、流入口121から流入する冷媒WFに気相冷媒GWFが含まれている場合、当該気相冷媒GWFは、流入口121からタンク本体110の内部に流入した時点で、気泡VBとなって液相冷媒LWFの液面に向けて上昇し、タンク本体110の内部の気相冷媒GWFに吸収される。この結果、流入する冷媒WFを気相冷媒GWFと液相冷媒LWFとに円滑に分離することができる。
【0057】
本発明の実施の形態1における冷却装置1000は、前述したタンク冷媒貯蔵100に加えて、受熱部300a〜300cと、放熱部400と、ポンプ200とをさらに備えている。受熱部300a〜300cは、発熱素子800a〜800cに熱的に接続され、発熱素子800a〜800cの発熱を受熱する。放熱部400は、受熱部300a〜300cにより受熱された発熱素子800a〜800cの発熱を、冷媒WFを介して受け取り、これを放熱する。ポンプ200は、冷媒貯蔵タンク100、受熱部300a〜300cおよび放熱部400に冷媒WFを循環させる。
【0058】
このように、冷媒貯蔵タンク100と、受熱部300a〜300cと、放熱部400と、ポンプ200とで、循環経路を形成し、この循環経路にポンプ200の駆動力によって冷媒WFを循環させることにより、発熱素子800a〜800cの発熱を効率よく放熱することができる。また、前述した冷媒貯蔵タンク100の効果と同様の効果も奏する。
【0059】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Aについて、図に基づいて説明する。
【0060】
図4は、本発明の第2の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Aの構成を示す。図4(a)は冷媒貯蔵タンク100Aの断面図であり、図1(d)に相当する。図4(b)は冷媒貯蔵タンク100Aの断面図であり、図1(e)に相当する。なお、図4では、図1〜図3で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図3に示した符号と同等の符号を付している。
【0061】
図4(a)および図4(b)に示されるように、冷媒貯蔵タンク100Aは、タンク本体110と、流入管120と、流入口121と、流出管130と、流出口131と、抑止板140Aとを含んで構成されている。
【0062】
ここで、図1(d)、(e)と、図4(a)、(b)とを対比する。図1(d)、(e)では、抑止板140の一部が、液相冷媒LWFの液面から露出するが、タンク本体110の天面110bにつながっていない。これに対して、図4(a)、(b)では、抑止板140Aにより、タンク本体110の底面110aおよび天面110bが結合されている。このように、図1(d)、(e)と、図4(a)、(b)とでは、抑止板140、140Aの構成が異なる。
【0063】
このように、タンク本体110の天面110bおよび底面110aを抑止板140Aにより結合することにより、タンク本体110の剛性を高めることができる。
【0064】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Bについて、図に基づいて説明する。
【0065】
図5は、本発明の第3の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Bの構成を示す。図5(a)は冷媒貯蔵タンク100Bの断面図であり、図1(d)に相当する。図5(b)は冷媒貯蔵タンク100Bの断面図であり、図1(f)に相当する。なお、図5では、図1〜図4で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図4に示した符号と同等の符号を付している。
【0066】
図5(a)および図5(b)に示されるように、冷媒貯蔵タンク100Bは、タンク本体110と、流入管120と、流入口121と、流出管130と、流出口131と、抑止板140Bとを含んで構成されている。
【0067】
ここで、図1(d)、(f)と、図5(a)、(b)とを対比する。図1(d)、(f)では、抑止板140が、タンク本体110の底面110aから天面110bに向けて延出して形成されている。また、抑止板140の一部が、液相冷媒LWFの液面から露出している。これに対して、図5(a)、(b)では、抑止板140Bは、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液中に設けられている。このように、図1(d)、(f)と、図5(a)、(b)とでは、抑止板140、140Bの構成が異なる。
【0068】
冷媒貯蔵タンク100Bでは、抑止板140Bを、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液中に設けているので、抑止板140Bを小さくすることができる。
【0069】
また、図5(a)および図5(b)に示されるように、抑止板140Bは、タンク本体110の側面110cに設けられた保持板150によって、保持されている。この保持板150は、流出口131の近傍であって、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液面と流出口131との間に、タンク本体110の側面110cから延出するように設けられている。このような保持板150を設けることにより、抑止板140Bをタンク本体110に保持することができる。また、保持板150を設けることにより、気泡VBを含む冷媒WFが抑止板140Bと流出口131の間に流れ込むことを効果的に抑止でき、この結果、気泡VBを含む冷媒WFが流出口131に流れ込むことを抑止できる。
【0070】
さらに図5(b)に示されるように、保持板150には、タンク本体110の底面110aと対向する面150aが、タンク本体110の底面110aから徐々に離れる斜面となるように、設けられている。これにより、万一、流出口131と抑止板140Bの間に、気泡VBを含む冷媒WFが流入したとしても、当該気泡VBを含む冷媒WFを保持板150の面150aに沿うように液相冷媒LWFの液面上に導くことができる。この結果、気泡VBを含む冷媒WFが流出口131に流れ込むことをさらに効率よく抑止できる。
【0071】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Cについて、図に基づいて説明する。
【0072】
図6は、本発明の第4の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Cの構成を示す。図6は冷媒貯蔵タンク100Cの断面図であり、図1(e)に相当する。なお、図6では、図1〜図5で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図5に示した符号と同等の符号を付している。
【0073】
図6に示されるように、冷媒貯蔵タンク100Cは、タンク本体110と、流入管120と、流入口121と、流出管130と、流出口131と、抑止板140Cとを含んで構成されている。
【0074】
ここで、図1(e)と、図6とを対比する。図1(e)では、抑止板140が、平板であった。これに対して、図6では、抑止板140Cは、凹湾曲部141を有している。このように、図1(e)と、図6とでは、抑止板140、140Cの構成が異なる。
【0075】
図6に示されるように、凹湾曲部141は、抑止板140Cのうち、流出口131と対向する面に対して反対側の面が凹となるように、抑止板140Cに形成されている。
【0076】
気相冷媒GWFを含む冷媒WFが流入口121から流入した場合、当該冷媒WFが抑止板140Cにぶつかると、冷媒WFに含まれる気相冷媒GWFが気泡BMとなって湾曲部141の曲面の内側に渦巻く。そして、この気泡BMは、抑止板140Cの湾曲部141の曲面に沿って液相冷媒LWFの液面まで上昇する。一方、液体冷媒LWF(気相冷媒GWFを含まない冷媒WF)が抑止板140とタンク本体110の内面の間を回り込みながら、矢印V5、6に沿って流出口131に流れてゆき、流出口131からタンク本体110の外側に流出する。このように、抑止板140Cに湾曲部141を設けたことにより、冷媒WFに含まれる気泡BMを円滑に液相冷媒LWFの液面まで導くことができる。これにより、気泡VBを含む冷媒WFが流出口131に流れ込むことをさらに効率よく抑止できる。
【0077】
次に、第4の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Cの変形例について説明する。図7は、第4の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Cの変形例100Dの構成を示す。図7は冷媒貯蔵タンク100Dの断面図であり、図1(e)および図6に相当する。なお、図7では、図1〜図6で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図6に示した符号と同等の符号を付している。
【0078】
図7に示されるように、冷媒貯蔵タンク100Dは、タンク本体110と、流入管120と、流入口121と、流出管130と、流出口131と、抑止板140Dとを含んで構成されている。
【0079】
ここで、図6と、図7とを対比する。図6では、抑止板140Cは、凹湾曲部141のみを有している。これに対して、図7では、抑止板140Dは、2つの湾曲部141、142を有している。このように、図6と、図7とでは、抑止板140C、140Dの構成が異なる。
【0080】
図7に示されるように、抑止板140Dには、凹湾曲部141に加えて、凸湾曲部142が設けられている。すなわち、凸湾曲部142は、抑止板140Dのうち、流出口131と対向する面が凸となるように、抑止板140Dに形成さられている。
【0081】
これにより、液体冷媒LWF(気相冷媒GWFを含まない冷媒WF)が抑止板140とタンク本体110の内面の間を回り込みながら、矢印V5、6に沿ってより円滑に流出口131に流れるので、より円滑に液体冷媒LWF(気相冷媒GWFを含まない冷媒WF)を流出口131からタンク本体110の外側に流出させることができる。
【0082】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Eについて、図に基づいて説明する。
【0083】
図8は、本発明の第5の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Eの構成を示す。図8は冷媒貯蔵タンク100Eの断面図であり、図1(d)に相当する。なお、図8では、図1〜図7で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図7に示した符号と同等の符号を付している。
【0084】
図8に示されるように、冷媒貯蔵タンク100Eは、タンク本体110と、流入管120Aと、流入口121Aと、流出管130と、流出口131と、抑止板140とを含んで構成されている。
【0085】
ここで、図1(d)と図8とを対比する。図1(d)では、流入口121は、タンク本体110の底面110a側に設けられている。これに対して、図8では、流入口121Aは、タンク本体の底面110a側に設けられていない。このように、図1(d)と、図8とでは、流入口121、121Aの配置場所が異なる。
【0086】
図8に示されるように、流入口121Aは、液相冷媒LWFの液面上に露出するように設けられている。これにより、流入口121Aから流入する冷媒WFに気相冷媒GWFが含まれている場合、流入する冷媒WFのうちで気相冷媒GWFは、タンク本体110の内部の気相冷媒GWFにそのまま吸収される。一方、流入する冷媒WFのうちで液相冷媒LWFは、気相冷媒GWFよりも比重が重いため、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFに流れ込む。この結果、流入する冷媒WFを気相冷媒GWFと液相冷媒LWFとに円滑に分離することができる。また、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液面と流入口120Aaとの間の距離を調整することで、流入する冷媒WFのうちの液相冷媒LWFがタンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液面に向けて落下した際に生じる気泡VBを低減することができる。また、流入口121Aは液相冷媒LWFの液面上に露出しているので、流入する液相冷媒LWFが流入管120Aを逆流しない。
【0087】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Fについて、図に基づいて説明する。
【0088】
図9は、本発明の第6の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Fの構成を示す。
【0089】
図9(a)は冷媒貯蔵タンク100Fの上面図であり、図9(b)は冷媒貯蔵タンク100Fの側面図であり、図9(c)は図9(b)の矢視A2を示す図である。また、図9(d)は冷媒貯蔵タンク100Fを図9(a)のB2−B2切断面で切断したときの断面図である。図9(e)は冷媒貯蔵タンク100Fを図9(b)のC2−C2切断面で切断したときの断面図である。図9(f)は冷媒貯蔵タンク100Fを図9(b)のD2−D2切断面で切断したときの断面図である。なお、説明の便宜上、図9(d)、(e)では、冷媒が冷媒貯蔵タンク100F内に貯留された状態を示す。
【0090】
図9に示されるように、冷媒貯蔵タンク100Fは、タンク本体110と、流入管120と、流入口121と、流出管130と、流出口131と、循環路形成部170とを含んで構成されている。
【0091】
ここで、図1と図9とを比較する。図1では、抑止板140がタンク本体110の内部に設けられていた。これに対して、図9では、循環路形成部170が設けられている点で、図1とは相違する。
【0092】
図9(a)〜(e)に示されるように、循環路形成部170は、タンク本体110の中央部に設けられている。図9(d)および図9(e)に示されるように、循環路形成部170は、タンク本体110の内径よりも小さい円筒状の側面170aと天面170bとにより構成されている。循環路形成部170を設けることにより、図9(e)に矢印で示すように、冷媒WFの循環路が形成される。この循環路は、流入口121から流入する冷媒WFを、タンク本体110の内部で、図9(e)内の矢印の方向に循環させて、流出口131に導く。循環路形成部170は、タンク本体110の一部である。ただし、循環路形成部170を、タンク本体110とは別の部材により形成してもよい。なお、循環路形成部170は、本発明の抑止部に相当する。
【0093】
なお、図9では、循環路形成部170は、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液中に設けられているが、これに限定されない。すなわち、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液量に応じて、循環路形成部170が、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFから露出してもよい。
【0094】
本発明の第6の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Fでは、循環路形成部170を設けることにより、冷媒WFの循環路が形成される。この循環路は、流入口121から流入する冷媒WFを、タンク本体110の内部で、図9(e)内の矢印の方向に循環させて、流出口131に導く。
【0095】
このように、循環路形成部170を設けたことにより、冷媒WFをタンク本体110の内部で循環させることができる。これにより、冷媒WFが流入口121に流入してから流出口131より流出するまでの時間を、長くすることができる。また、流入口121から流入する冷媒WFがタンク本体110の内部で流動する距離も、大きくすることができる。気相冷媒GWFを含む冷媒WFが流入口121から流入した場合、当該冷媒WFに含まれる気相冷媒GWFは、循環路を循環しながら、気泡BMとなって、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液面上に上昇して、タンク本体110の内部の気相冷媒GWFに吸収される。
【0096】
以上の通り、本発明では、冷媒WFの循環路を形成したことにより、流入する冷媒WFがタンク本体110の内部で流動する時間と距離を大きくしている。これにより、気相冷媒GWFを含む冷媒WFが流入口121から流入した場合であっても、気相冷媒GWFを含む冷媒WFがタンク本体110の内部に形成された循環路を循環する過程で、当該冷媒WFに含まれる気相冷媒GWF(気泡VB)を、より大量に効率よく、タンク本体110の内部の気相冷媒GWFに吸収させることができる。この結果、冷媒貯蔵タンク100Fによれば、気相冷媒GWFなど、気体を含む冷媒が冷媒貯蔵タンク100の内部から流出することを効率よく抑止できる。
【0097】
また、循環路形成部170は、タンク本体110の一部である。このように、循環路形成部170をタンク本体110と一体に形成することにより、部品点数を削減でき、軽量化することができる。
【0098】
次に、本発明の第6の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Fの変形例100Gについて、図に基づいて説明する。図10は、冷媒貯蔵タンク100Gの構成を示す。
【0099】
図10(a)は冷媒貯蔵タンク100Gの上面図であり、図10(b)は冷媒貯蔵タンク100Gの側面図であり、図10(c)は図10(b)の矢視A3を示す図である。また、図10(d)は冷媒貯蔵タンク100Gを図10(a)のB3−B3切断面で切断したときの断面図である。図10(e)は冷媒貯蔵タンク100Gを図10(b)のC3−C3切断面で切断したときの断面図である。図10(f)は冷媒貯蔵タンク100Gを図10(b)のD3−D3切断面で切断したときの断面図である。なお、説明の便宜上、図10(d)、(e)では、冷媒が冷媒貯蔵タンク100G内に貯留された状態を示す。
【0100】
図10に示されるように、冷媒貯蔵タンク100Gは、タンク本体110と、流入管120と、流入口121と、流出管130と、流出口131と、循環路形成部170Aとを含んで構成されている。
【0101】
ここで、図9と図10とを比較する。図9では、循環路形成部170は、円筒状の側面170aと天面170bとにより構成されている。これに対して、図10では、循環路形成部170Aは、円錐台状の側面170Aaと天面170Abとにより構成されている。
【0102】
図10(a)〜(e)に示されるように、循環路形成部170Aは、タンク本体110の中央部に設けられている。図10(d)および図10(e)に示されるように、循環路形成部170Aは、タンク本体110の内径よりも小さい円錐台状の側面170Aaと天面170Abとにより構成されている。循環路形成部170Aを設けることにより、図10(e)の矢印で示すように、冷媒WFの循環路が形成される。この循環路は、流入口121から流入する冷媒WFを、タンク本体110の内部で、図10(e)内の矢印の方向に循環させて、流出口131に導く。なお、循環路形成部170Aは、本発明の抑止部に相当する。
【0103】
このとき、冷媒貯蔵タンク100Gでは、循環路形成部170Aを円錐台状の側面170Aaと天面170Abとにより構成したので、図10(d)に示されるように、循環路形成部170Aの側面170Aaによって斜面が形成される。すなわち、循環路形成部170Aは、循環路の幅がタンク本体110の底面110aから天面110bに向かうにつれて広がるように形成されている。
【0104】
そして、気相冷媒GWFを含む冷媒WFが流入口121からタンク本体110内に流入した場合、当該冷媒WFに含まれる気相冷媒GWFが、循環路を循環する過程で、気泡VBとなって、タンク本体110の底面110a側からタンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液面上に上昇していく。このとき、循環路の幅がタンク本体110の底面110aから天面110bに向かうにつれて広がるように形成されているので、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液面に向けて気泡VBを効率よく導くことができる。この結果、冷媒WFに含まれる気相冷媒GWF(気泡VB)を、より大量に効率よく、タンク本体110の内部の気相冷媒GWFに吸収させることができる。
【0105】
<第7の実施の形態>
本発明の第7の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Hについて、図に基づいて説明する。
【0106】
図11は、本発明の第7の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Hの構成を示す。
【0107】
図11(a)は冷媒貯蔵タンク100Hの上面図であり、図11(b)は冷媒貯蔵タンク100Hの側面図であり、図11(c)は図11(b)の矢視A4を示す図である。また、図11(d)は冷媒貯蔵タンク100Hを図11(a)のB4−B4切断面で切断したときの断面図である。図11(e)は冷媒貯蔵タンク100Fを図11(b)のC4−C4切断面で切断したときの断面図である。図11(f)は冷媒貯蔵タンク100Hを図11(b)のD4−D4切断面で切断したときの断面図である。なお、説明の便宜上、図11(d)、(e)では、冷媒が冷媒貯蔵タンク100H内に貯留された状態を示す。
【0108】
図11に示されるように、冷媒貯蔵タンク100Hは、タンク本体110と、流入管120と、流出管130と、迂回路形成部180とを含んで構成されている。
【0109】
ここで、図9と図11とを比較する。図9では、循環路形成部170が冷媒貯蔵タンク100Fに設けられている。これに対して、図11では、迂回路形成部180が冷媒貯蔵タンク100Hに形成されている点で、図9とは相違する。また、タンク本体の形状が異なる。すなわち、図9では、タンク本体110は、円筒形状であった。これに対して、図11では、タンク本体110Aは、四角柱筒形状である。
【0110】
図11(a)〜(e)に示されるように、迂回路形成部180は、タンク本体110Aの中央部に設けられている。図11(d)および図11(e)に示されるように、迂回路形成部180は、3枚の側面180aと天面180bとにより構成されている。迂回路形成部180の各側面180aは、タンク本体110の底面110aに対してほぼ垂直な方向に延出するように、設けられている。迂回路形成部180を設けることにより、図11(e)に矢印で示すように、冷媒WFの迂回路が形成される。この迂回路は、流入口121から流入する冷媒WFを、タンク本体110Aの内部で、図11(e)内の矢印の方向に迂回させて、流出口131に導く。なお、迂回路形成部180は、タンク本体110の一部である。ただし、迂回路形成部180を、タンク本体110とは別の部材により形成してもよい。なお、迂回路形成部180は、本発明の抑止部に相当する。
【0111】
なお、図11では、迂回路形成部180は、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液中に設けられているが、これに限定されない。すなわち、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFの液量に応じて、迂回路形成部180が、タンク本体110の内部の液相冷媒LWFから露出してもよい。
【0112】
このように、迂回路形成部180を設けたことにより、冷媒WFをタンク本体110の内部で迂回させることができる。これにより、冷媒WFが流入口121に流入してから流出口131より流出するまでの時間を、長くすることができる。また、流入口121から流入する冷媒WFがタンク本体110の内部で流動する距離も、大きくすることができる。気相冷媒GWFを含む冷媒WFが流入口121からタンク本体110A内に流入した場合、当該冷媒WFに含まれる気相冷媒GWFは、迂回路を流動しながら、気泡BMとなって、タンク本体110Aの内部の液相冷媒LWFの液面上に上昇して、タンク本体110Aの内部の気相冷媒GWFに吸収される。
【0113】
以上の通り、本発明では、迂回路形成部180を設けて冷媒WFの迂回路を形成したことにより、流入する冷媒WFがタンク本体110Aの内部で流動する時間と距離を大きくしている。これにより、気相冷媒GWFを含む冷媒WFが流入口121から流入した場合であっても、気相冷媒GWFを含む冷媒WFがタンク本体110Aの内部に形成された迂回路を流動する過程で、当該冷媒WFに含まれる気相冷媒GWF(気泡VB)を、より大量に効率よく、タンク本体110Aの内部の気相冷媒GWFに吸収させることができる。この結果、冷媒貯蔵タンク100Hによれば、気相冷媒GWFなど、気体を含む冷媒が冷媒貯蔵タンク100Hの内部から流出することを効率よく抑止できる。
【0114】
また、迂回路形成部180は、タンク本体110Aの一部である。このように、迂回路形成部180をタンク本体110Aと一体に形成することにより、部品点数を削減でき、軽量化することができる。
【0115】
次に、本発明の第7の実施の形態における冷媒貯蔵タンク100Hの変形例100Iについて、図に基づいて説明する。図12は、冷媒貯蔵タンク100Iの構成を示す。
【0116】
図12(a)は冷媒貯蔵タンク100Iの上面図であり、図12(b)は冷媒貯蔵タンク100Iの側面図であり、図12(c)は図12(b)の矢視A5を示す図である。また、図12(d)は冷媒貯蔵タンク100Iを図12(a)のB5−B5切断面で切断したときの断面図である。図12(e)は冷媒貯蔵タンク100Iを図12(b)のC5−C5切断面で切断したときの断面図であり。図12(f)は冷媒貯蔵タンク100Iを図12(b)のD5−D5切断面で切断したときの断面図である。なお、説明の便宜上、図12(d)、(e)では、冷媒が冷媒貯蔵タンク100I内に貯留された状態を示す。
【0117】
図12に示されるように、冷媒貯蔵タンク100Iは、タンク本体110Aと、流入管120と、流入口121と、流出管130と、流出口131と、迂回路形成部180Aとを含んで構成されている。
【0118】
ここで、図11と図12とを比較する。図11では、迂回路形成部180の3枚の側面180aは、タンク本体110の底面110aに対してほぼ垂直な方向に延出するように、設けられている。これに対して、図12では、迂回路形成部180Aの3枚の側面は、タンク本体110の底面110Aaに対して、ほぼ垂直に設けられていない。すなわち、図11と図12とでは、迂回路形成部180、180Aの構成が異なる。
【0119】
図12(a)〜(e)に示されるように、迂回路形成部180Aは、タンク本体110Aの中央部周辺に設けられている。図12(d)および図12(e)に示されるように、迂回路形成部180Aは、3枚の側面180Aaと天面180Abとにより構成されている。また、3枚の側面180Aaの一端部がタンク本体110Aの底面110Aaに結合され、3枚の側面180Aaの他端部が天面180Abに結合されている。これら3枚の側面180Aaは、図12(d)に示されるように、斜面となる。これにより、迂回路形成部180Aを設けることにより、図12(e)の矢印で示すように、冷媒WFの迂回路が形成される。この迂回路は、流入口121から流入する冷媒WFを、タンク本体110Aの内部で、図12(e)内の矢印の方向に迂回させて、流出口131に導く。なお、迂回路形成部180Aは、本発明の抑止部に相当する。
【0120】
このとき、冷媒貯蔵タンク100Iでは、迂回路形成部180Aを前述したように3枚の側面180Aaと天面180Abとにより構成したので、図12(d)に示されるように、迂回路形成部180Aの側面180Aaによって斜面が形成される。すなわち、迂回路形成部180Aは、迂回路の幅がタンク本体110Aの底面110Aaから天面110Abに向かうにつれて広がるように形成されている。
【0121】
そして、気相冷媒GWFを含む冷媒WFが流入口121から流入した場合、当該冷媒WFに含まれる気相冷媒GWFが、迂回路を流動する過程で、気泡VBとなって、タンク本体110Aの底面110Aa側からタンク本体110Aの内部の液相冷媒LWFの液面上に上昇していく。このとき、迂回路の幅がタンク本体110Aの底面110Aaから天面110Abに向かうにつれて広がるように形成されているので、タンク本体110Aの内部の液相冷媒LWFの液面に向けて気泡VBを効率よく導くことができる。この結果、冷媒WFに含まれる気相冷媒GWF(気泡VB)を、より大量に効率よく、タンク本体110Aの内部の気相冷媒GWFに吸収させることができる。
【0122】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0123】
冷却装置1000は、EIA標準19インチラックに適合するものとして説明した。しかしながら、冷却装置1000は、EIA標準19インチラックに適合することが限定されるものではなくて、その他の規格や独自の大きさで構成されてもよい。
【0124】
第1〜第5の実施の形態では、タンク本体110の形状を円筒形状として説明した。また、第6の実施の形態では、タンク本体110Aの形状を角柱筒形状として説明した。しかしながら、第1〜第5の実施の形態におけるタンク本体を、角柱筒形状で構成してもよい。また、第6の実施の形態におけるタンク本体を、円筒形状で構成してもよい。
【0125】
また、流入口および流出口の配置関係は、第1〜第6の実施の形態で示した形態に限定されない。例えば、流入口と流出口を並べて配置してもよい。
【符号の説明】
【0126】
100、100A〜100I 冷媒貯蔵タンク
110 タンク本体
120、120A 流入管
121、121A 流入口
130 流出管
131 流出口
140、140A、140B、140C 抑止板
150 保持板
170、170A 循環路形成部
180、180A 迂回路形成部
200 ポンプ
300a〜300c 受熱部
400 放熱部
500a、500b ファン部
600 基材
700a〜700f 配管
800a〜800c 発熱素子
1000 冷却装置
WF 冷媒
GWF 気相冷媒
LWF 液相冷媒
VB 気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒を貯留するためのタンク本体と、
前記タンク本体の内部に前記冷媒を流入させる流入口と、
前記タンク本体の内部から前記冷媒を流出させる流出口と、
前記タンク本体の内部であって前記流出口の近傍に前記流出口に対向して設けられ、前記冷媒が前記流入口から前記流出口へ直接的に流れることを抑止する抑止部とを備えた冷媒貯蔵タンク。
【請求項2】
前記抑止部は、板状に形成された抑止板である請求項1に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項3】
前記抑止部は、循環路形成部であり、
前記循環路形成部は、前記流入口から流入する前記冷媒を前記タンク本体の内部で循環させて前記流出口に導く循環路を形成する請求項1に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項4】
前記抑止部は、迂回路形成部であり、
前記迂回路形成部は、前記流入口から流入する前記冷媒を前記タンク本体の内部で迂回させて前記流出口に導く迂回路を形成する請求項1に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項5】
前記抑止板の一部が、前記タンク本体内に貯留された前記冷媒の液面上に露出するように設けられた請求項2に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項6】
前記抑止板は、前記タンク本体の天面および底面を結合する請求項2に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項7】
前記抑止板は、前記タンク本体の内部に貯留された前記冷媒の液中に設けられ、
前記流出口の近傍であって、前記タンク本体から前記抑止板に向けて延出するように設けられ、前記抑止板を保持する保持板をさらに備えた請求項2に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項8】
前記保持板のうち、前記タンク本体の底面と対向する面が、前記タンク本体の底面から徐々に離れる斜面である請求項7に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項9】
前記抑止板は、前記流出口と対向する面に対して反対側の面が凹となるような湾曲部を有する請求項2、5、6、7または8のいずれか1項に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項10】
前記抑止板は、前記流出口と対向する面が凸となるような湾曲部を有する請求項9に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項11】
前記循環路形成部は、前記循環路の幅が前記タンク本体の底面から天面に向かうにつれて広がるように形成されている請求項3に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項12】
前記迂回路形成部は、前記迂回路の幅が前記タンク本体の底面から天面に向かうにつれて広がるように形成されている請求項4に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項13】
前記循環路形成部は、前記タンク本体の一部である請求項3または11に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項14】
前記迂回路形成部は、前記タンク本体の一部である請求項4または12に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項15】
前記流出口は、前記タンク本体の底面側であって、前記タンク本体の内部に貯留された前記冷媒の液面と前記タンク本体の底面との間に設けられた請求項1〜15のいずれか1項に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項16】
前記流入口は、前記タンク本体の底面側であって、前記タンク本体の内部に貯留された前記冷媒の液面と前記タンク本体の底面との間に設けられた請求項15に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項17】
前記流入口は、前記冷媒の液面上に露出するように設けられた請求項15に記載の冷媒貯蔵タンク。
【請求項18】
冷媒を貯留するタンクと、
発熱素子に熱的に接続され、前記発熱素子の発熱を受熱する受熱部と、
前記受熱部により受熱された前記発熱素子の発熱を、前記冷媒を介して受け取り、これを放熱する放熱部と、
前記タンク、前記受熱部および前記放熱部に前記冷媒を循環させるポンプとを備え、
前記タンクは、前記冷媒の循環方向に対して、前記ポンプの上流側に配置され、
内部に前記冷媒を貯留するためのタンク本体と、
前記タンク本体の内部に前記冷媒を流入させる流入口と、
前記タンク本体の内部から前記冷媒を流出させる流出口と、
前記流出口の近傍に前記流出口に対向して設けられ、前記冷媒が前記流入口から前記流出口へ直接的に流れることを抑止する抑止部とを備えた冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−45942(P2013−45942A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183608(P2011−183608)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーンネットワーク・システム技術研究開発プロジェクト(グリーンITプロジェクト)/エネルギー利用最適化データセンタ基盤技術の研究開発/最適抜熱方式の検討とシステム構成の開発/集熱沸騰冷却システムの開発」共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】