説明

冷蔵および冷凍制御システム

【課題】被保存物の品質を低下させずに長期間の保存が可能であり、電界の周波数範囲の制御によって過冷制御または鮮度維持が成される冷蔵および冷凍制御システムを提供する。
【解決手段】冷凍および冷蔵制御システムにおいて、対面する陽極と陰極を含む電極モジュール100a、100bと、前記陽極と前記陰極に電圧を印加して前記陽極と前記陰極の間に2つ以上の周波数範囲を有する電界を形成し、前記印加される電圧の周波数範囲を制御する電界印加モジュール200とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵および冷凍制御システムに関し、より詳細には、被保存物の品質を低下させずに長期間の保存が可能であり、電界の周波数範囲(frequency range)の制御によって過冷制御または鮮度維持が成される冷蔵および冷凍制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品や肉類などの食材である被保存物を保管する従来の方法として冷蔵方法がある。冷蔵方法は、被保存物を約4℃以下の温度で保管することで、食品を約3〜4日間保管することができる。しかし、水分が多い被保存物は微生物が繁殖し易いことから、水分が多い果物や野菜類よりは肉類に主に用いられる保管方法である。このような従来の冷蔵保管は、長期間の保管が不可能であるうえに、果物や野菜類などの水分含量が多い食材には不適切であるという問題点があった。
【0003】
また、被保存物を保管する他の方法として冷凍方法がある。食材、食品または生体などの被保存物には、被保存物を構成するタンパク質などの分子に拘束される拘束水分子と、前記分子に拘束されずに被保存物内を自由に移動できる自由水分子とで構成される大量の水分が含まれている。従来の冷凍保管方法によると、前記被保存物内を自由に移動できる水分子は凍結し、氷結晶として成長するようになる。前記氷結晶が成長して大きくなれば、被保存物の細胞を破壊し、食材や食品を解凍する際にはドリップ(解凍時の液汁の流出)が発生し、被保存物を新鮮な状態のままで維持し難くなるという問題点があった。
【0004】
また、従来の冷凍保管方法では、被保存物の色調の変化、味覚の劣化、ドリップの発生などにより、被保存物の品質が低下したり鮮度が低下するという問題点があった。
【0005】
また、被保存物の冷凍および解凍過程において発生する恐れのある物理的、化学的、生物学的な変化により、被保存物が動物組職である場合は解凍による損傷が少ない反面、果物や野菜組職は多くの損傷を受けるようになるという問題点があった。
【0006】
上述した従来の保管方法に比べて被保存物の変形が少なく、効率的に保管できる方法として、微生物を抑制する保管方法がある。食品から伝染して疾病が引き起こされる主な原因としては、微生物、ウイルス、寄生虫、化学成分などが挙げられる。このうち微生物(病源菌)は、食品によって人体に疾病を引き起こす最も重要な原因として、最近では微生物(病源菌)と関連した食品の安全性に対する関心が世界的に高まっており、その重要性が強調されている。
【0007】
従来から、熱処理、放射線処理(irradiation)、低温保存、発酵、塩漬け、乾燥、変形ガスの利用、化学保存剤の利用などが食品から微生物を制御するための保管方法として用いられてきた。しかし、食品中の微生物の抑制は、食品の種類に応じて流通過程を延長するために多様な方法が用いられているものの、前記方法には限界と問題点が存在している。
【0008】
したがって、本発明では、上述した従来の被保存物保管方法に比べ、より効率的に品質を低下させずに長期間の保存が可能であり、食品中の微生物を制御できる保管システムを提案する。また、従来の冷蔵または冷凍システムにおいて、システム内部の急激な温度変化(temperature fluctuation)に柔軟に対処できる新しい冷蔵および冷凍システムを提案する。

【特許文献1】特開2003−088456号公報
【特許文献2】特開2004−047359号公報
【特許文献3】大韓民国公開特許第1993−023681号公報
【特許文献4】大韓民国公開特許第1995−003771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような従来技術を改善するために案出されたものであって、被保存物の長期間の保存が可能であり、電界の周波数範囲の制御によって鮮度維持および過冷制御を行う冷蔵および冷凍制御システムを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、被保存物別に鮮度維持または過冷制御が独立して必要な場合に、システムの保管温度が適応的に(adaptively)決定される冷蔵および冷凍制御システムを提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、被保存物の種類に応じて印加される電界が2つ以上の周波数範囲を有し、前記電界を形成するための多様な形態の電極構造を有する冷蔵および冷凍制御システムを提供することをさらに他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、冷蔵装置と冷凍装置が分離していない1つのシステムで冷蔵効果(鮮度維持効果)と冷凍効果(過冷制御効果)を同時に提供することをさらに他の目的とする。
【0013】
また、本発明は、被保存物の無凍結状態で微生物制御と酸化抑制が同時に成される冷蔵および冷凍制御システムを提供することをさらに他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、多様な被保存物の形態による電極モジュールの構成を形成することで、より効率的な過冷制御および鮮度維持が可能な冷蔵および冷凍制御システムを提供することをさらに他の目的とする。
【0015】
また、本発明は、冷蔵および冷凍システム内に温度変化が発生する場合にも、被保存物に対する鮮度維持および過冷制御を適応的に行って被保存物の保存効率を極大化させることをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の目的を達成し、従来技術の問題点を解決するために、本発明は、冷凍および冷蔵制御システムにおいて、対面する陽極と陰極を含む電極モジュールと、前記陽極と前記陰極に電圧を印加して前記陽極と前記陰極の間に2つ以上の周波数範囲を有する電界を形成し、前記印加される電圧の周波数範囲を制御する電界印加モジュールとを含むことを特徴とする冷蔵および冷凍制御システムを提供する。
【0017】
外部電界が微生物に及ぼす影響の構造についての理論は、様々な論文などで取り扱われている。電界を用いた微生物制御の原理は、多様な理論で説明されている。本発明は、このような電界を用いた微生物制御の原理を借用するだけであり、本発明の要旨は上述した原理を用いた新しい冷蔵および冷凍システムにあるため、これについての詳細な説明は省略する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被保存物を長期間保存でき、電界の周波数範囲の制御によって鮮度維持および過冷制御を行う冷蔵および冷凍制御システムが提供される。
【0019】
また、本発明によれば、被保存物別に鮮度維持または過冷制御が独立して必要な場合にも、システムの保管温度を適応的に決定できる冷蔵および冷凍制御システムが提供される。
【0020】
また、本発明によれば、被保存物の種類に応じて印加される電界が2つ以上の周波数範囲を有し、前記電界を形成するための多様な形態の電極構造を有する冷蔵および冷凍制御システムが提供される。
【0021】
また、本発明によれば、冷蔵装置と冷凍装置が分離していない1つのシステムで冷蔵効果(鮮度維持効果)と冷凍効果(過冷制御効果)が同時に提供される。
【0022】
また、本発明によれば、被保存物の無凍結状態で微生物制御と酸化抑制が同時に成される冷蔵および冷凍制御システムが提供される。
【0023】
また、本発明によれば、多様な被保存物の形態による電極モジュールの構成を形成することで、より効率的な過冷制御および鮮度維持が可能な冷蔵および冷凍制御システムが提供される。
【0024】
また、本発明によれば、冷蔵および冷凍システム内の温度変化が発生する場合にも、被保存物に対する鮮度維持および過冷制御を適応的に行うことで、被保存物の保存効率を極大化させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る電界の周波数範囲の制御によって過冷制御および鮮度維持が成される冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【0027】
図1を参照すると、本発明の電界の周波数範囲の制御によって過冷制御および鮮度維持が成される冷蔵および冷凍制御システムは、電極モジュール100a、100bと、電界印加モジュール200とを含む。
【0028】
電極モジュール100a、100bは、陽極100aと陰極100bが互いに対面しており、電界印加モジュール200と電気的に連結している。
【0029】
電界印加モジュール200は、陽極100aと陰極100bに電圧を印加して陽極100aと陰極100bの間に2つ以上の周波数範囲を有する電界を形成し、前記印加される電圧の周波数範囲を制御する。前記電圧の周波数範囲の制御については、図2で詳細に説明する。前記陽極と陰極は、印加される電圧が交流電圧のように振動(oscillation)したり変動(alternating)する波形を有する場合には、その役割が変動することがある(前記陽極が陰極に、前記陰極が陽極になることがある)。また、前記陽極と陰極は、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ITO(indium tin oxide)のうちのいずれか1つの材料のような導電性材料であり得る。
【実施例1】
【0030】
[電界印加方式]
以下、図2〜4を参照して、電界の周波数範囲の制御による過冷制御および鮮度維持効果について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る第1周波数範囲の電圧と第2周波数範囲の電圧を形成および変換することで電界の周波数範囲を制御する冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【0031】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る電界印加モジュールは、第1発振部210と、第2発振部220と、波形変換部230とを含むことができる。
【0032】
第1発振部210は、第1周波数範囲の電圧を形成するものであって、前記第1周波数範囲は1kHz〜10MHz範囲であることが好ましい。第1周波数範囲の電圧は、高周波(1kHz〜10MHz)電界を電極モジュール100a、100bに形成させることで、前記高周波電界によって被保存物に含まれた上述した水分子の双極子を回転させ、水分子の凍結を抑制させる。
【0033】
第2発振部220は、第2周波数範囲の電圧を形成するものであって、前記第2周波数範囲は1kHz以下であることが好ましい。第2周波数範囲の電圧は、高周波(1kHz以下)電界を電極モジュール100a、100bに形成させることで、細胞膜の二重脂肪層やタンパク質を不安定にさせ、食品の微生物制御と酸化抑制効果が得られるようにする。
【0034】
波形変換部230は、第1発振部210と第2発振部220で生成された第1周波数範囲の電圧と第2周波数範囲の電圧を混合したり変換して、本発明による食品の微生物制御と酸化抑制効果を有する電界を生成する。
【0035】
第1発振部210から生成された第1周波数範囲の電圧と第2発振部220で生成された第2周波数範囲の電圧が波形変換部230を経て、第1周波数範囲の電圧と第2周波数範囲の電圧が交互に印加される電圧波形の具現が可能となる。これにより、第1周波数範囲と第2周波数範囲が交互に印加される電界の形成が可能となる。
【0036】
また、波形変換部230を介して前記第1周波数範囲の電圧と前記第2周波数範囲の電圧が重畳(superposition)した波形を有する電圧の形成が可能となる。これにより、第1周波数範囲と第2周波数範囲が重畳した波形を有する電界の形成が可能となる。
【0037】
また、波形変換部230は、上述した第1周波数範囲と第2周波数範囲が交互に印加されたり重畳させる機能を具現することのみに限られず、第1発振部210における第1周波数範囲の電界と第2発振部220における第2周波数範囲の電界を2つの入力電界として、1つの出力電界を生成する装置であれば十分であり、周波数の観点においては、周波数が混合して多数の大きさを有する周波数であれば好ましい。前記第1周波数範囲は1kHz〜10MHzであることが好ましく、前記第2周波数範囲は1kHz以下であることが好ましい。図3および図4では、前記出力電界の波形について詳しく説明する。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態に係る波形変換部を介して第1周波数範囲と第2周波数範囲の電界が交互に印加される出力電界の波形を示した図である。
【0039】
図3を参照すると、波形変換部を介して前記第1周波数範囲と前記第2周波数範囲の電界が交互に印加される出力電界の波形は、第1周波数範囲の高周波領域aと第2周波数範囲の低周波領域bとを含む。
【0040】
第2周波数範囲の低周波領域bの電界は、被保存物の微生物細胞膜の内と外で電位差が生じるようにし、細胞膜の破損を引き起こし、電界で電気衝撃を受けるようにして、微生物細胞が回復できない程度の細胞膜の破壊を与えるようにする。すなわち、細胞膜の二重脂肪層やタンパク質を不安定にして微生物細胞の破壊をもたらし、食品の微生物制御と酸化抑制効果を発揮する。しかし、第2周波数範囲の電界印加が長くなる場合には、被保存物は凍結してしまうため、適正な水準における凍結しない状態で微生物の制御が可能な第1周波数範囲の高周波領域bが交互に続く。第1周波数範囲の高周波領域aが印加される間は高周波(1kHz〜10MHz)電界が形成され、前記高周波電界によって被保存物に含まれた水分子の双極子を回転させ、水分子の凍結を抑制させる。
【0041】
すなわち、本発明では、前記被保存物の無凍結状態で微生物制御と酸化抑制が同時に成される冷蔵および冷凍制御システムが提供される。前記微生物制御と酸化抑制が成される、鮮度維持効果がある第2周波数範囲の低周波領域bの電界が印加される時間は、最小化することができる。また、極めて低い温度で過冷制御を有する第1周波数範囲の高周波領域aの電界が断絶すれば、被保存物が即時に凍結してしまうため、鮮度維持を有する第2周波数範囲の低周波領域bが印加される適切な温度は、氷結晶以下〜約−5℃の温度範囲が適切である。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態に係る波形変換部を介して第1周波数範囲と第2周波数範囲の電界が重畳して出力電界の波形を説明するための図である。
【0043】
図4を参照すると、波形変換部を介して前記第1周波数範囲と前記第2周波数範囲の電界が重畳して印加される出力電界の波形(図4c)は、前記第1周波数範囲の高周波波形の電界(図4a)と前記第2周波数範囲の低周波波形の電界(図4b)が重畳している。第1周波数範囲の高周波波形の電界(図4a)は、高周波(1kHz〜10MHz)範囲の電界であり、前記高周波電界によって被保存物に含まれた水分子の双極子を回転させて水分子の凍結を抑制させることは、上述した通りである。また、第2周波数範囲の低周波波形の電界(図4b)は、被保存物の微生物細胞膜の内と外で電位差が生じるようにし、細胞膜の破損を引き起こし、電界で電気衝撃を受けるようにして、微生物細胞が回復できない程度の細胞膜の破壊を与えることで、被保存物の微生物制御と酸化抑制効果を発揮する。すなわち、凍結していない状態で微生物制御と酸化抑制が同時に成されることで、被保存物の品質を最上に維持することができる。
【0044】
本発明では、被保存物別に鮮度維持または過冷制御が独立して必要な場合にも、システムの保管温度の変更が必要なく、冷蔵装置と冷凍装置が分離していない1つのシステムで冷蔵効果(鮮度維持効果)と冷凍効果(過冷効果)を同時に発揮することができる。
【実施例2】
【0045】
[温度センサモジュールを含んだスイッチング構成]
図5を参照して、温度センサモジュールを含んだ冷蔵および冷凍制御システムについて説明する。
【0046】
図5は、本発明の一実施形態に係る温度センサモジュールを含んだ冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。本発明の冷蔵および冷凍制御システムは、電極モジュール100a、100bと、電界印加モジュール200と、温度センサモジュール400とを含む。
【0047】
電極モジュール100a、100bは、図1で上述した通りである。温度センサモジュール400は、被保存物に対する所定の(predetermined)臨界温度を感知する。ここで、臨界温度とは、被保存物(野菜、果物、魚介類などの食品を始めとして、動物または植物材料から成る食品、各種加工食品、食品原料、生体原料、生体組職など)が氷結(freezing)する温度を意味するものであり、被保存物を前記氷結する温度、すなわち臨界温度によって、過冷制御を行うのか鮮度維持を行うのかが決められる。温度センサモジュール400は、冷蔵および冷凍制御システムの内部に位置することができるが、被保存物の温度測定が可能な場所に位置できるだけでなく、その具現に応じ、本発明に係る冷蔵および冷凍制御システムの外部に位置することもできる。このような多様な設計変更は、本明細書および特許請求の範囲に記載された本発明の範疇に属する。また、本発明の一実施形態に係る電界印加モジュール200は、第1発振部210と、第2発振部220と、スイッチングモジュール240とを含む。
【0048】
第1発振部210は、第1周波数範囲の電圧を形成するものであって、前記第1周波数範囲は1kHz〜10MHzであることが好ましい。第1周波数範囲の電圧は、高周波(1kHz〜10MHz)電界を電極モジュール100a、100bに形成させることで、前記高周波電界によって被保存物に含まれた上述した水分子の双極子を回転させ、水分子の凍結を抑制させる。
【0049】
第2発振部220は、第2周波数範囲の電圧を形成するものであって、前記第2周波数範囲は1kHz以下であることが好ましい。第2周波数範囲の電圧は、電界を電極モジュール100a、100bに形成させることで、細胞膜の二重脂肪層やタンパク質を不安定にさせ、食品の微生物制御と酸化抑制効果を発揮する。
【0050】
スイッチングモジュール240は、温度センサモジュール400と連動し、温度センサモジュール400で感知された温度と前記被保存物の臨界温度を比較し、前記電極モジュール100a、100bを第1発振部210または第2発振部220に連結する。すなわち、温度センサモジュール400で感知された温度と前記被保存物の臨界温度を比較した結果に基づき、第1発振部の第1周波数範囲の高周波数電界を形成するのか、第2発振部の第2周波数範囲の低周波数電界を形成するのかが決められる。これは、温度センサモジュール400で感知された温度に基づき、過冷制御を行うのか鮮度維持を行うのかが決められるものであり、本発明では、被保存物別に鮮度維持または過冷制御が独立して必要な場合にも、システムの保管温度の変更が必要ないという効果がある。
【0051】
スイッチングモジュール240は、電界印加モジュールに含まれず、独立した装置として冷蔵および冷凍制御システムに含まれることもできる。また、図示してはいないが、本発明の電界印加モジュール200は、図2の波形変換部230をさらに含むこともできる。波形変換部230によって、図2で上述したような変換した波形を有する電界の印加が可能となる。より具体的に説明すると、温度センサモジュール400によって測定された温度が前記臨界温度より低い場合、スイッチングモジュール240を介して、電界印加モジュール200は、前記第1周波数範囲の電圧を優勢的に(dominant)重畳して印加するし(過冷効果を発揮)、前記測定された温度が前記臨界温度より高い場合、前記場印加モジュール200は、前記第2周波数範囲の電圧を優勢的に重畳して印加することができる。
【0052】
また、前記被保存物が肉類である場合には、前記臨界温度は摂氏−7℃〜摂氏0℃中のうちのいずれか1つの値で決められ、前記被保存物が魚介類である場合には、前記臨界温度は摂氏−3℃〜摂氏0℃のうちのいずれか1つの値で決められ、前記被保存物が野菜類または果物類である場合には、前記臨界温度は摂氏−3℃〜摂氏0℃のうちのいずれか1つの値で決められる。
【実施例3】
【0053】
[電極モジュールの構造]
以下、図6〜8を参照して、本発明の実施形態に係る冷蔵および冷凍制御システムの電極構造について説明する。
【0054】
図6および図7は、本発明の一実施形態に係る第1周波数範囲の高周波数電界を形成する電極と第2周波数範囲の低周波数電界を形成する電極を含む電極モジュールを有する冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【0055】
図6を参照すると、本発明の一実施形態に係る冷蔵および冷凍制御システムは、陽極と陰極が対面しており、電極モジュールおよび電界印加モジュール200を含み、電極モジュールの陽極100a、110aおよび陰極100b、110bは2つ以上であり、第1陽極100aおよび第1陰極100bでは第1周波数範囲を有する電界が形成され、第2陽極110aおよび第2陰極110bでは第2周波数範囲を有する電界が形成され、陽極100a、110aおよび陰極100b、110bは多面体構造を形成する。前記第1周波数範囲は1kHz〜10MHzであることが好ましく、前記第2周波数範囲は1kHz以下であることが好ましい。
【0056】
図7を参照すると、図7の冷蔵および冷凍制御システムは、図6と比べて被保存物が位置する空間が球(sphere)構造を有している。これにより、電極モジュールの陽極120a、130aおよび陰極120b、130bが前記球表面に沿って位置するようになる。本発明によれば、多様な被保存物の形態に応じる電極モジュールの構成を形成することで、より効率的な過冷制御および鮮度維持が可能となる。
【0057】
図8は、本発明の一実施形態に係る多面電極構造を有する冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【0058】
図8を参照すると、電極モジュールの陽極および陰極は2つ以上であり、2つ以上の陽極100a、140a、150a、160aおよび陰極100b、140b、150b、160bは多面体構造を成している。前記場印加モジュール200が交流電圧のように変動する電圧を印加する場合には、前記陽極と陰極の役割は互いに変動することがある。前記陽極と陰極の役割が互いに変動する場合、電界180の方向はその逆方向となる。図8には、電界180の方向が逆になる場合も示されている。すなわち、矢印内部の着色状態によって区別することができる。
【0059】
また、電界印加モジュール200は、第1発振部210と、第2発振部220と、波形変換部230とを含むこともできるし、スイッチングモジュール240をさらに含むこともできる。第1発振部210、第2発振部220、波形変換部230、およびスイッチングモジュール240については、上述した通りである。上述した多面電極を有する電極モジュールを用いることで、微生物内のイオンの流れを多角面で制御することができ、被保存物の種類に応じて印加される電界の周波数を変更する必要がない多様な波形を有する電界が印加し、より効率的に微生物の電気化学的な均衡を破壊することができる。図8の多面電極構造を有する特徴は、上述したすべての実施形態に適用可能である。
【0060】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る電界の周波数範囲の制御によって過冷制御および鮮度維持が成される冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る第1周波数範囲の電圧と第2周波数範囲の電圧を形成および変換することで電界周波数範囲を制御する冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る波形変換部を介して第1周波数範囲と第2周波数範囲の電界が交互に印加される出力電界の波形を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る波形変換部を介して第1周波数範囲と第2周波数範囲の電界が重畳して出力電界の波形を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る温度センサモジュールを含んだ冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る第1周波数範囲の高周波数電界を形成する電極と第2周波数範囲の低周波数電界を形成する電極を含む電極モジュールを有する冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る第1周波数範囲の高周波数電界を形成する電極と第2周波数範囲の低周波数電界を形成する電極を含む電極モジュールを有する冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る多面電極構造を有する冷蔵および冷凍制御システムを示した図である。
【符号の説明】
【0062】
200:電界印加モジュール
210:第1発振部
220:第2発振部
230:波形変換部
240:スイッチングモジュール
400:温度センサモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍および冷蔵制御システムにおいて、
対面する陽極と陰極を含む電極モジュールと、
前記陽極と前記陰極に電圧を印加して前記陽極と前記陰極の間に2つ以上の周波数範囲を有する電界を形成し、前記印加される電圧の周波数範囲を制御する電界印加モジュールと、
を含むことを特徴とする冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項2】
前記電極モジュールの前記陽極および前記陰極は2つ以上であり、
第1陽極および第1陰極では第1周波数範囲を有する電界が形成され、第2陽極および第2陰極では第2周波数範囲を有する電界が形成され、
前記2つ以上の陽極および陰極は多面体構造を成すことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項3】
前記第1周波数範囲は1kHz〜10MHzであり、
前記第2周波数範囲は1kHz以下であることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項4】
前記電界印加モジュールは、前記電極モジュールに第1周波数範囲の電圧と第2周波数範囲の電圧を交互に印加することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項5】
前記第1周波数範囲は1kHz〜10MHzであり、
前記第2周波数範囲は1kHz以下であることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項6】
前記電極モジュールの前記陽極および前記陰極は2つ以上であり、
前記2つ以上の陽極および陰極は多面体構造を成すことを特徴とする請求項4に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項7】
前記電界印加モジュールは、前記電極モジュールに第1周波数範囲の電圧と第2周波数範囲の電圧を重畳して印加することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項8】
前記被保存物に対する所定の臨界温度を感知する温度センサモジュールをさらに含み、
前記温度センサモジュールによって測定された温度が前記臨界温度より低い場合、前記電界印加モジュールは、前記第1周波数範囲の電圧を優勢的に重畳して印加し、
前記測定された温度が前記臨界温度より高い場合、前記電界印加モジュールは、前記第2周波数範囲の電圧を優勢的に重畳して印加することを特徴とする請求項7に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項9】
前記第1周波数範囲は1kHz〜10MHzであり、
前記第2周波数範囲は1kHz以下であることを特徴とする請求項7に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項10】
前記電極モジュールの前記陽極および前記陰極は2つ以上であり、
前記2つ以上の陽極および陰極は多面体構造を成すことを特徴とする請求項7に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項11】
前記被保存物に対する所定の臨界温度を感知する温度センサモジュールをさらに含み、
前記温度センサモジュールによって測定された温度が前記臨界温度より低い場合、前記電界印加モジュールは、第1周波数範囲の電圧を印加し、
前記測定された温度が前記氷点温度より高い場合、前記電界印加モジュールは、第2周波数範囲の電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項12】
前記第1周波数範囲は1kHz〜10MHzであり、
前記第2周波数範囲は1kHz以下であることを特徴とする請求項11に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項13】
前記電極モジュールの前記陽極および前記陰極は2つ以上であり、
前記2つ以上の陽極および陰極は多面体構造を成すことを特徴とする請求項11に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項14】
前記被保存物が肉類である場合、前記臨界温度は、摂氏−7℃〜摂氏0℃のうちのいずれか1つの値で決められることを特徴とする請求項11に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項15】
前記被保存物が魚介類である場合、前記臨界温度は、摂氏−3℃〜摂氏0℃のうちのいずれか1つの値で決められることを特徴とする請求項11に記載の冷蔵および冷凍制御システム。
【請求項16】
前記被保存物が野菜類または果物類である場合、前記臨界温度は、摂氏−3℃〜摂氏0℃のうちのいずれか1つの値で決められることを特徴とする請求項11に記載の冷蔵および冷凍制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−61643(P2008−61643A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183633(P2007−183633)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】