説明

凝血因子VIIaモジュレーターの製造、組成物及び使用

化学式Iの化合物を用いた、因子VIIaの阻害剤で癌及び血栓塞栓性疾患を治療について、本明細書に記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年10月16日出願の米国仮特許出願第60/980,386号の優先権を主張する出願であり、前記米国仮特許出願は本願に参照として組み込まれている。
【0002】
凝血因子VIIa及び/又はTF:因子VIIa複合体の阻害による、癌を含む増殖性疾患及び血栓塞栓性疾患の治療に関わる組成物及び方法について、本願は記述している。
【背景技術】
【0003】
因子VII(FVII)の主な役割は、組織因子(TF)と共に機能して凝血過程を開始することである。一旦TFに結合すると、FVIIはFVIIa へと活性化される。
【0004】
癌において、TF-FVIIa 複合体は膵臓、胃、胸、肺、前立腺、卵巣及び結腸腫瘍で豊富に存在し、血管形成、腫瘍成長、及び浸潤を促進する生理的過程の引き金となる。動物モデルで示されているように、因子VIIaの阻害剤は腫瘍の成長及び転移を阻止する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
約8.0から9.5の間のpHをもつ、水(他の薬学的に許容できる有機溶媒も選択できる)に溶けた分子式Iの化合物からなる組成物が、本願に記載されている。塩基及び/又は緩衝液の添加により、pHは任意に得られる。組成物中の更なる任意の化合物は、抗結晶化剤である。周囲温度(室温)15℃以内、室温10℃以内、及び室温5℃以内において、そのような組成物は非粘性の水性溶液の形態である。従って、室温又は室温付近では、そのような組成物は速やかに、例えば細い針を用いて、ヒト患者へ皮下投与できる。このように、組成物の粘度及びpHは、炎症又は他の望ましくない副作用を引き起こさないように、ヒト患者に皮下注射できるような形態になっている。ある実施例では、室温より温度が下がるにつれて、組成物の粘度は増加する。更に、冷蔵することにより(組成物を冷却するあらゆる方法を含むよう広く記述されている)、そのような組成物は、ゲル組成物を含む粘度の高い組成物となる(すなわち、少なくとも1000 cpsの粘度;ある実施例では、少なくとも2500 cps;ある実施例では、少なくとも5000 cps;ある実施例では、少なくとも10000 cps)。そのような粘度の高い形態では、粘度の低い形態に比べて組成物は分解に対してより安定であり、分子式Iの化合物は溶けたままである(すなわち、溶液より沈殿又は結晶化しない)。更に、組成物の冷却を解除すると、組成物は再び粘度の低い溶液となり、分子式Iの化合物は溶けたままである(すなわち、細い針を通して皮下投与するのに適している)。ある実施例では、この相転移を加速するために、振とう又は他の形態の撹拌が用いられる。更に、組成物の温度を調節することによって、そのような組成物は場合により、必要に応じて可逆的に粘度の高い処方物及び粘度の低い溶液を形成する。このように、分子式Iの化合物を含む組成物は、室温又は室温付近では皮下投与剤形として用いることができる形態を保つ一方、冷却に伴い長期保存及び安定性をもつ形態(沈殿を生じない粘性溶液/ゲルの形態)を保持する。
【0006】
ある実施例では、水に溶解した分子式Iの化合物又はその塩を含む、約8.0から約9.5の間のpHを有する組成物が開示されている。
【0007】
【化1】

【0008】
ある実施例では、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、組成物は更に塩基、その塩、又はそれらを組み合わせたものを含む。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある実施例では、組成物は更に緩衝液を含む。ある実施例では、緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、緩衝液はトロメタミンである。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間である。ある実施例では、pHは約8.2から9.3の間である。ある実施例では、pHは約8.4から9.1の間である。ある実施例では、pHは約8.5から9.0の間である。ある実施例では、pHは約8.6から8.9の間である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、組成物は溶液の形態である。ある実施例では、その溶液は水溶液である。ある実施例では、組成物は形成する。ある実施例では、約2℃から約8℃で、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、約3℃から8℃温度が上昇するよう温めたとき、組成物は粘度の低い溶液へと戻る。ある実施例では、粘度の低い溶液に比べ、粘度の高い溶液は分解に対してより耐性がある。
【0009】
ある実施例では、水に溶けた塩基又はその塩、及び分子式Iの化合物又はその塩を含む組成物が開示されている。
【0010】
【化2】

【0011】
ここで、組成物は約8.0から約9.5の間のpHをもち、溶液状である。ある実施例では、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある実施例では、組成物は更に緩衝液を含む。ある実施例では、薬学的に許容できる緩衝液は、アルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、薬学的に許容できる緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、緩衝液はトロメタミンである。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間である。ある実施例では、pHは約8.2から9.3の間である。ある実施例では、pHは約8.4から9.1の間である。ある実施例では、pHは約8.5から9.0の間である。ある実施例では、pHは約8.6から8.9の間である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、組成物は溶液の形態である。ある実施例では、その溶液は水溶液である。含むある実施例では、組成物は形成する。ある実施例では、約2℃から約8℃で、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、約3℃から8℃温度が上昇するよう温めたとき、組成物は粘度の低い溶液へと戻る。ある実施例では、粘度の低い溶液に比べ、粘度の高い溶液は分解に対してより耐性がある。
【0012】
ある実施例では、水に溶けた分子式Iの化合物及び薬学的に許容できる緩衝液から構成される組成物が開示されている。
【0013】
【化3】

【0014】
ここで、組成物は約8.0から約9.5の間のpHをもち、溶液状である。ある実施例では、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、薬学的に許容できる緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、緩衝液はトロメタミンである。ある実施例では、組成物は更に塩基及びその塩、又はそれらを組み合わせたものを含む。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間である。ある実施例では、pHは約8.2から9.3の間である。ある実施例では、pHは約8.4から9.1の間である。ある実施例では、pHは約8.5から9.0の間である。ある実施例では、pHは約8.6から8.9の間である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、組成物は溶液の形態である。ある実施例では、その溶液は水溶液である。含むある実施例では、組成物は形成する。ある実施例では、約2℃から約8℃で、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、約3℃から8℃温度が上昇するよう温めたとき、組成物は粘度の低い溶液へと戻る。ある実施例では、粘度の低い溶液に比べ、粘度の高い溶液は分解に対してより耐性がある。
【0015】
ある実施例では、必要とする哺乳類に水に溶けた分子式Iの化合物を含み、約8.0から約9.5の間のpHをもつ組成物を投与する段階を含む、凝血カスケードを調節する方法が開示されている。
【0016】
【化4】

【0017】
ある実施例では、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、組成物は更に塩基及びその塩、又はそれらを組み合わせたものを含む。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある実施例では、組成物は更に緩衝液を含む。ある実施例では、緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間である。ある実施例では、pHは約8.2から9.3の間である。ある実施例では、pHは約8.4から9.1の間である。ある実施例では、pHは約8.5から9.0の間である。ある実施例では、pHは約8.6から8.9の間である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、組成物は溶液の形態である。ある実施例では、その溶液は水溶液である。含むある実施例では、組成物は形成する。ある実施例では、約2℃から約8℃で、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、約3℃から8℃温度が上昇するよう温めたとき、組成物は粘度の低い溶液へと戻る。ある実施例では、粘度の低い溶液に比べ、粘度の高い溶液は分解に対してより耐性がある。ある実施例では、分子式Iの化合物は皮下的に投与される。ある実施例では、皮下投与は注射器を用いて行われる。ある実施例では、注射器の針のゲージは約20から約30の間である。ある実施例では、療法は更に哺乳類への放射線治療を含む。ある実施例では、療法は更に哺乳類への付加的な化学療法剤の投与を含む。ある実施例では、哺乳類はヒトである。ある実施例では、哺乳類はヒトではない。
【0018】
ある実施例では、必要とする哺乳類に水に溶けた分子式Iの化合物を含み、約8.0から約9.5の間のpHをもつ組成物を投与する段階を含む、癌及び/又は血栓塞栓性疾患を治療する方法が開示されている。
【0019】
【化5】

【0020】
ある実施例では、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、組成物は更に塩基及びその塩、又はそれらを組み合わせたものを含む。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある実施例では、組成物は更に緩衝液を含む。ある実施例では、緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間である。ある実施例では、pHは約8.2から9.3の間である。ある実施例では、pHは約8.4から9.1の間である。ある実施例では、pHは約8.5から9.0の間である。ある実施例では、pHは約8.6から8.9の間である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、組成物は溶液の形態である。ある実施例では、その溶液は水溶液である。含むある実施例では、組成物は形成する。ある実施例では、約2℃から約8℃で、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、約3℃から8℃温度が上昇するよう温めたとき、組成物は粘度の低い溶液へと戻る。ある実施例では、粘度の低い溶液に比べ、粘度の高い溶液は分解に対してより耐性がある。ある実施例では、分子式Iの化合物は皮下的に投与される。ある実施例では、皮下投与は注射器を用いて行われる。ある実施例では、注射器の針のゲージは約20から約30の間である。ある実施例では、療法は更に哺乳類への放射線治療を含む。ある実施例では、療法は更に哺乳類への付加的な化学療法剤の投与を含む。ある実施例では、哺乳類はヒトである。ある実施例では、哺乳類はヒトではない。
【0021】
ある実施例では、必要とする哺乳類に水に溶けた分子式Iの化合物を含み、約8.0から約9.5の間のpHをもつ組成物を投与する段階を含む、腫瘍の血管新生を調節する方法が開示されている。
【0022】
【化6】

【0023】
ある実施例では、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、組成物は腫瘍部位に投与される。ある実施例では、組成物は更に塩基及びその塩、又はそれらを組み合わせたものを含む。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある実施例では、組成物は更に緩衝液を含む。ある実施例では、緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間である。ある実施例では、pHは約8.2から9.3の間である。ある実施例では、pHは約8.4から9.1の間である。ある実施例では、pHは約8.5から9.0の間である。ある実施例では、pHは約8.6から8.9の間である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、組成物は溶液の形態である。ある実施例では、その溶液は水溶液である。含むある実施例では、組成物は形成する。ある実施例では、約2℃から約8℃で、溶液は100 cps未満の粘度をもち、ゲル、100 cps以上の粘度をもつ溶液である。ある実施例では、約3℃から8℃温度が上昇するよう温めたとき、組成物は粘度の低い溶液へと戻る。ある実施例では、粘度の低い溶液に比べ、粘度の高い溶液は分解に対してより耐性がある。ある実施例では、分子式Iの化合物は皮下的に投与される。ある実施例では、皮下投与は注射器を用いて行われる。ある実施例では、注射器の針のゲージは約20から約30の間である。ある実施例では、療法は更に哺乳類への放射線治療を含む。ある実施例では、療法は更に哺乳類への付加的な化学療法剤の投与を含む。ある実施例では、哺乳類はヒトである。ある実施例では、哺乳類はヒトではない。
【0024】
ある実施例では、哺乳類に因子VIIaのモジュレーターを投与する段階を含む、凝血カスケードを調節する方法が開示されている。ここで、因子VIIaモジュレーターのμg/mlで表されるCmax、とμg/mlで表されるAUC(0−∞)の比は約1:15未満である。ある実施例では、因子VIIaモジュレーターは、液体の形態で投与される。ある実施例では、その溶液は水溶液である。ある実施例では、因子VIIaモジュレーターは皮下に投与される。ある実施例では、因子VIIaモジュレーターは1000 amu以下の分子量をもつ。ある実施例では、因子VIIaモジュレーターは分子式Iの構造をもつ。
【0025】
【化7】

【0026】
ある実施例では、分子式Iの化合物の水溶液を、緩衝液及び一つ又はそれ以上のpH調整剤と混合する段階、及び組成物のpHが約8.0から9.5の間になるように組成物のpHを調節する段階を含む、分子式Iの化合物を含む組成物を処方する方法が開示されている。
【0027】
【化8】

【0028】
ある実施例では、緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、緩衝液はトロメタミンである。ある実施例では、pH調整剤は塩基、酸、又はそれらを組み合わせたものである。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムの溶液である。ある実施例では、水酸化ナトリウムの規定度は約2 Nである。ある実施例では、酸は塩酸溶液である。ある実施例では、塩酸の規定度は約1 Nである。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、pHは約8.2から9.3の間である。ある実施例では、pHは約8.4から9.1の間である。ある実施例では、pHは約8.5から9.0の間である。ある実施例では、pHは約8.6から8.9の間である。
【0029】
ある実施例では、水に溶けた分子式Iの化合物を含み、約8.0から約9.5の間のpHをもつ組成物を投与する機器が開示されている。ここで、機器は注射器を含む。
【0030】
【化9】

【0031】
ある実施例では、注射器の針のゲージ数は約20から約30の間である。ある実施例では、組成物が約8.0から約9.5の間のpHをもつことを開示している。ある実施例では、組成物が約8.2から約9.3の間のpHをもつことを開示している。ある実施例では、組成物が約8.4から約9.1の間のpHをもつことを開示している。ある実施例では、組成物が約8.5から約9.0の間のpHをもつことを開示している。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度が約30 mg/mL以上であることを開示している。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度が約60 mg/mL以上であることを開示している。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度が約90 mg/mL以上であることを開示している。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度が約120 mg/mLであることを開示している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本願で開示されたことの特徴は、添付の請求項の項でその特性と共に説明される。本願開示の特徴及び利点のより良い理解は、本願記述の原理を利用した発明の実施例及び添付の図に関して説明している、以下の詳細な記述を参照することで得られるであろう。
【0033】
【図1】マウスにおけるB16F10メラノーマ細胞による肺コロニー形成への、分子式Iの化合物の使用例を示している。
【0034】
【図2】C57BLマウスにおけるLewis肺癌腫瘍成長のモジュレーターとしての、分子式Iの化合物の使用例を示している。
【0035】
【図3】C57BLマウスにおけるLewis肺癌腫瘍成長のモジュレーターとしての、分子式Iの化合物の使用例を示している。
【0036】
【図4】分子式Iの化合物の使用例、及びMDA-MB-231ヒト乳癌細胞におけるそのFVIIa 誘導IL-8応答を示す。
【0037】
【図5】カニクイザルにおける、分子式Iの化合物の皮下バイオアベイラビリティを示している。
【0038】
【図6】ウサギにおける、持続性組成物及びゲル組成物の平均血漿濃度を示すグラフである。
【0039】
【図7】C57BL/6マウスにおける、分子式Iの化合物の血漿濃度、及びプロトロンビン時間変化を示している。
【0040】
【図8】腫瘍における組織因子の過剰発現を示すIHCデータである。
【0041】
【図9】原発性膵臓癌において検出された、発現TFと複合体を形成している因子VIIaを示している。
【0042】
【図10】組織因子-FVIIa が介する細胞シグナリングのモデルを示している。
【0043】
【図11】ヒトにおける、薬力学的用量反応性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(定義)
ある例では、因子VII(以下、「因子VII」)はチモーゲン(すなわち、不活性な酵素前駆体)である。ある例では、FVIIは活性型酵素(例えば、因子VIIa)に変換される。
【0045】
ある例では、血漿凝血因子VIIa(以下、「FVIIa 」)は、生体内での止血の制御に関わる50キロダルトン(kDa)の血漿セリンプロテアーゼである。ある例では、1カ所又はそれ以上のペプチド結合が分解されることにより、FVIIa はFVIIから生ずる。
【0046】
ある例では、組織因子(トロンボプラスチン、因子III又はCD142とも呼ばれる;以下、「TF」)は凝血カスケードに関わるタンパク質である。ある例では、TFは受容体である。ある例では、TFは3つのドメインからなる。ある例では、TFは(a)因子VIIaと結合するドメイン(すなわち、細胞外ドメイン);(b)疎水的な膜を貫通するドメイン(すなわち、トランスメンブレインドメイン);及び(c)TFのシグナリング機能に関わる、細胞内の21アミノ酸長のドメイン(すなわち、細胞内ドメイン)を含む。ある例では、TFはFVIIa と複合体を形成する。
【0047】
本願で使用される、組成物又は成分に関する「許容できる」という語彙は、治療を受けている個体の一般的な健康に、持続性の有害な影響を与えないことを意味している。本願で使用される、「薬学的に許容できる」は、化合物の生物学的活性又は性質を妨害せず、比較的無害なキャリア又は希釈剤のような物質を指す。すなわち、望ましくない生物学的効果を引き起こさず、又組成物中のいずれの成分とも有害な様式で相互作用しない物質が、個体に投与される。
【0048】
本願で使用される、特定の化合物又は薬学的組成物の投与による、特定の病気、障害、又は症状の兆候の緩和とは、永久的又は一時的、長く続く又は一過的であろうとなかろうと、化合物又は組成物の投与に起因又は関連することができる、あらゆる重症度の緩和、発症の遅延、進行の遅延、又は期間の短縮のことを指す。
【0049】
例えば、「抗酸化物質」とは、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム及びトコフェロールを含む。ある実施例では、抗酸化物質は必要とされる場合に化学安定性を増強する。
【0050】
「バイオアベイラビリティ」とは、実験対象である動物又はヒトの一般血液循環系で利用可能となる本願開示組成物の、投与用量に対するパーセンテージのことを指す。静脈内投与された場合、薬剤の総暴露(AUC(0−∞))は通常100%バイオアベイラブル(F%)として定義される。「経口バイオアベイラビリティ」とは、静脈内注射と比較して、薬学的組成物を経口的に摂取したときに、本願開示の化合物が一般循環系に吸収される割合のことを示している。
【0051】
「血漿濃度」とは、個体の血漿成分中における、本願で与えられる化合物の濃度のことである。本願で与えられる化合物の血漿濃度は、代謝及び/又は他の治療剤との可能な相互作用に関して差があるため、個体間で有意に変化し得ると理解される。これは本願開示の一つの実施例と合致して、本願で与えられる化合物の血漿濃度は、個体により異なる。同様に、最大血漿中濃度(Cmax)又は最大血漿中濃度に達するまでに時間(Tmax)、血漿濃度-時間曲線の下の総面積(AUC(0−∞))といった値は、個体によって変化し得る。この可変性により、ある実施例では、本願で与えられる化合物の「治療的有効量」を構成するのに必要な量は、個体によって変動する。
【0052】
「キャリア物質」とは、薬剤学において共通に用いられるあらゆる賦形剤を含み、本願開示の化合物との適合性、及び望ましい用量を放出するプロフィール特性を元に選択されるべきである。キャリア物質は、例えば、結合物質、懸濁化剤、分散剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤及びこれらの類似物質を含む。「薬学的に適合性のあるキャリア物質」とは、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスファチヂルコリン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、セルロース及びセルロース複合体、ステアロイル乳酸ナトリウム糖、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、前ゼラチン化でんぷん及びこれらの類似物質を含むが、これらに限定される訳ではない。
【0053】
「希釈剤」という語彙は、注入の前に、興味のある化合物を希釈するに用いられる化合物のことを指す。
【0054】
「分散剤」及び/又は「粘度調整剤」は、液状媒質中における薬剤の拡散及び均一性を制御する物質を含む。拡散促進剤/分散剤は、例えば、親水性高分子、電解質、Tween(登録商標)60又は80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;市場ではPlasdone(登録商標)として知られている)、及び例えばヒドロキシプロピルセルロース、例えば、HPC、HPC-SL、及びHPC-L;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、HPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、及びHPMC K100M;カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸ステアリン酸塩(HPMCAS)、非結晶状セルロースのような炭水化物をベースとした分散剤を含む。拡散促進剤/分散剤は、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/ビニル酢酸コポリマー(S630)、エチレンオキシド及びホルムアルデヒド含有4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール高分子(チロキサポールとしても知られている)、ポロキサマー(例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである、プルロニックF68(登録商標)、F88(登録商標),及びF108(登録商標));及びポロキサミンン(例えば、エチレンジアミンへのプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの連続的付加に由来する四官能性ブロックコポリマーであり、ポロキサミン908(登録商標)としても知られるテトロニック908(登録商標)(BASFコーポレーション、パーシッパニー、ニュージャージー))、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/ビニル酢酸コポリマー(S-630)、ポリエチレングリコール、例えば、約300から約6,000、又は約3,350から約4,000、又は約7,000から約5,400の分子量をもつもの;カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム;例えば、トラガカントゴム、アカシアゴム、グアーゴム、キサンタンゴムを含むキサンタンのようなゴム類;糖;例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース類;ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシ化ソルビタンラウリン酸モノエステル、ポリエトキシ化ソルビタンラウリン酸モノエステル、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸塩、キトサン及びこれらの組み合わせを含む。セルロース又はトリエチルセルロースのような可塑剤もまた、分散剤としても用いる。リポソーム分散及び自己乳化分散に有用な分散剤は、二ミリスチル化ホスファチヂルコリン、卵から得られる自然ホスファチヂルコリン、卵から得られる自然ホスファチヂルグリセロール、コレステロール及びミリスチン酸イソプロピルである。
【0055】
「薬物吸収」又は「吸収」とは、通常、障壁を乗り越えて血管又は作用部位に至る、薬剤投与部位からの薬剤移動過程、例えば、消化管から門脈又はリンパ系への薬物移動、のことを指す。本願で用いられる、「共投与」又はその同義語は、単一の患者に対して選択された治療剤を投与することを意味し、及び同一又は異なる投与経路、同一又は異なる時間に薬剤が投与される治療計画を含むことを意図する。
【0056】
本願で用いられる、「有効量」又は「治療的有効量」とは、治療されている病気、又は症状の一つ、又はそれ以上の兆候をある程度緩和するのに十分な、投与薬剤又は化合物の量を指す。例えば、その結果は病気の兆し、兆候、又は原因の低減及び/又は緩和、又は生体系のあらゆる望ましい変化である。例えば、治療的使用の「有効量」とは、過度の有害な副作用なしに、病気兆候の臨床的に有意な軽減を与えるのに必要な、本願開示の化合物を含む組成物の量を示す。もう一つの例では、「治療的有効量」とは、プロトロンビン時間のような標準的な凝血テストで決定される因子VIIaの阻害効果に関して、統計的に有意な増加を与えるのに十分な分子式Iの化合物の量を指す。一つの実施例において、あらゆる個体における適切な「有効量」は、用量漸増実験のような技術を用いて決定される。「治療的有効量」という語彙は、例えば、予防的有効量を含む。本願開示化合物の「有効量」とは、過度の有害な副作用なしに、望ましい薬学的効果又は治療的改善を達成するのに効果的な量である。ある実施例においては、投与された化合物の代謝、年齢、体重、個体の一般的な健康状態、治療される症状、治療される症状の重症度、及び主治医の判断により、「有効量」又は「治療的有効量」は、個体により変わると理解される。
【0057】
「増強する」又は「増強している」という語彙は、効能又は持続時間において、望ましい効果を増加又は延長することを意味する。従って、治療剤の効果を増強するという文に関しては、「増強している」という語彙は、効能又は持続時間において、系における他の治療剤の効果を増加又は延長する能力を指す。本願で用いられる「増強有効量」は、対象とする系において別の治療剤の効果を増強するのに十分な量を指す。患者に対して用いる場合、薬剤の有効量は病気、障害、又は症状の重症度、及び経過、以前の治療、患者の健康状態、及び薬剤への応答性、及び主治医の判断に依存する。
【0058】
「阻害する」という語彙は、癌をもつ患者において、腫瘍の成長、悪性度、又は拡散を妨害、遅延、又は逆進させることを含む。
【0059】
「キット」及び「製品」という語彙は、同義語として用いられる。
【0060】
「測定血清濃度」又は「測定血漿濃度」とは、通常、血清単位ミリリットル、デシリットル、又はリットル中に存在する治療薬剤のミリグラム、マイクログラム、又はナノグラム量で測定される、投与後血流中に存在する薬剤の血清又は血漿濃度を指す。本願で用いられているように、測定血漿濃度は通常ng/ml又はμg/mlで測定される。
【0061】
本願で用いられる「調節する」という語彙は、例えば、標的の活性を増強、標的の活性を阻害、標的の活性を制限、又は標的の活性を拡張することを含む、標的の活性を変化させるよう、直接又は間接的に標的と相互作用することを意味している。
【0062】
本願で用いられる「モジュレーター」という語彙は、分子の活性を変化させる化合物のことを言う。例えば、モジュレーターが存在しないときの活性強度に比べ、モジュレーターは分子の特定の活性強度の増加又は減少を引き起こす。ある実施例では、モジュレーターは分子の一つ又はそれ以上の活性強度を減少させる。ある実施例では、モジュレーターは分子の一つ又はそれ以上の活性を完全に妨害する。ある実施例では、モジュレーターは活性化剤であり、分子の少なくとも一つの活性強度を増加する。ある実施例では、モジュレーターの存在が、モジュレーターが存在しないときには生じない活性を引き起こす。
【0063】
「薬力学」は、作用部位における薬剤濃度に対して観察される、生物学的応答を決定する因子に言及する。
【0064】
「薬物動態」は、作用部位における適切な薬剤濃度の獲得及び維持を決定する因子に言及する。
【0065】
予防的応用として、特定の病気、障害、又は症状に罹りやすい又は罹るリスクがある患者へ、本願記載の化合物を含む組成物を投与する。そのような量は、「予防的有効量又は用量」と定義される。この場合、正確な量は、健康、体重などといった患者の状態に依存する。
【0066】
「前薬剤」とは、in vivoにおいて親薬剤へと変換される薬剤を言う。ある例では、前薬剤は親薬剤よりも投与するのが容易であるため、しばしば有用である。ある実施例においては、前薬剤は経口投与によってバイオアベイラブルである一方、親薬剤はそうではない。ある実施例においては、前薬剤は親薬剤よりも優れた薬学的組成物への溶解度を示す。これに限定される訳ではないが、前薬剤の例は本願記載の化合物であり、水溶性が移動に不利となる細胞膜通過を容易にするためエステル(「前薬剤」)として投与され、その後水溶性が有利となる細胞内に一旦入ると、活性体であるカルボン酸へと代謝的に加水分解される。前薬剤の更なる例は、酸性基に結合した短いペプチド(ポリアミノ酸)であり、代謝されると活性部分が露呈する。ある実施例においては、in vivo投与に伴い、前薬剤は生物学的、薬学的、又は治療的により活性な形態へと化学的に変換される。ある実施例では、前薬剤は生物学的、薬学的、又は治療的により活性な形態へと、一つ又はそれ以上の段階又は過程を経て、酵素学的に代謝される。前薬剤を調製するためには、in vivo投与に伴い活性型化合物が再生されるよう、薬学的活性化合物が修飾される。一つの実施例では、薬剤の代謝的安定性又は輸送特性を変化させるため、副作用又は毒性をマスクするため、薬剤の特色を改良するため、又は薬剤の他の特性又は性質を変えるために、前薬剤は設計される。本願で与えられる化合物は、ある実施例では、適切な前薬剤へと誘導化されている。In vivo投与により、例えば分子式(I)の化合物の前薬剤のようなアルキルカルバミン酸エステルからなる前薬剤は、アルキルカルバミン酸の親エステルを与える様に代謝され、すなわち本願で与えられる前薬剤のin vivo代謝に伴い分子式(I)の化合物が形成される。
【0067】
「可溶化剤」は、トリアセチン、トリエチルクエン酸、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n-ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁塩、ポリエチレングリコール200-600、グリコフロール、トランスキュトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビド及びその類似物質のような化合物を含む。
【0068】
「安定化剤」は、あらゆる抗酸化剤、緩衝液、酸、保存剤、及びその類似体のような化合物を含む。ある実施例においては、FVIIa モジュレーター組成物は安定化剤を含む。安定化剤は、(1)シリンジ又はガラスボトルを含む、容器又は導入システムと賦形剤との適合性を高める、(2)分子式Iの化合物の安定性を高める(例えば、分解を防ぐ)、又は(3)組成物安定性を高めるあらゆる物質を含むが、これらの条件に限定される訳ではない。
【0069】
本願で用いられる「定常状態」とは、一投与間隔中に投与した薬剤の量と排除される薬剤の量が等しくなり、プラトー又は定常血漿薬物暴露に達することである。
【0070】
本願で用いられている「個体」という語彙は、ヒト及び非ヒト哺乳類を含む哺乳類を意味するのに用いられる。患者、対象及び個体という語彙は、ほとんど同じ意味で使われている。
【0071】
「界面活性剤」は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、Tween 60又は80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸モノエステル、ポリソルベート、ポロキサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン;例えば、プルロニック(登録商標)(BASF)のようなエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、及びその類似体のような化合物を含む。いくつかの他の界面活性剤は、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油のようなポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び植物油、オクトキシノ−ル10やオクトキシノ−ル40のようなポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルフェニルエーテルを含む。ある実施例では、物理的安定を向上させるため又はその他の目的で界面活性剤は含まれている。
【0072】
本願で用いられる「標的活性」という語彙は、選択的モジュレーターによって調節され得る生物学的活性のことを指す。ある典型的な標的活性は、結合親和力、シグナル伝達、酵素活性、腫瘍成長、及び病気又は症状に付随した一つ又はそれ以上の兆候の緩和を含むが、これらに限定される訳ではない。
【0073】
本願で用いられる「治療する」、「治療している」、又は「治療」という語彙は、予防的及び/又は治療的に病気、症状、兆候の軽減、低減、又は緩和、更なる兆候の防止、兆候の原因となる代謝的原因の緩和又は防止、例えば、病気又は症状の進展の停止といった病気又は症状の阻害、病気又は症状の軽減、病気又は症状の退縮を引き起こすこと、病気又は症状によって引き起こされる状態の緩和、又は病気又は症状の兆候の停止を含む。
【0074】
本願に記述されている方法及び組成物の、その他の目的、特性、及び利点は、以下の詳細な記述より明らかとなる。しかし、詳細な記述及び特定の実施例は、特定の実施例を示してはいるが、例証として与えられているだけであることを理解すべきである。
【0075】
(凝血カスケード)
凝血は血栓が形成される過程の一つである。ある例では、凝血は血管への傷害によって開始される。ある例では、傷害部位を封印及び/又は補強するために、血小板が集合する(すなわち、一時止血)。ある例では、血小板の集合体を増強するため、凝血因子がフィブリン鎖を形成する(すなわち、二次止血)。
【0076】
ある例では、血管への損傷は組織因子(TF)遺伝子の発現を誘導する。ある例では、TFはFVIIと複合体を形成する。ある例では、TFとFVIIの結合はFVIIの活性化を引き起こす。活性化されたFVIIはFVIIa と呼ばれる。ある例では、TF/FVIIa 複合体は、不活性なチモーゲンである因子Xの、活性型プロテアーゼである因子Xaへの変換を触媒する。ある例では、TF/FVIIa 複合体は、不活性なチモーゲンである因子IXの、活性型プロテアーゼである因子IXaへの変換を触媒する。ある例では、因子Xaは因子Vaに結合する。ある例では、因子IXa/因子Va複合体は、プロトロンビンをその活性化形態であるトロンビンへと変換する。ある例では、トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンへと変換する。
【0077】
血栓形成とは、血管内における血餅(又は血栓)の形成のことである。ある例では、血栓形成は循環系における血流を妨害する。ある例では、血栓形成の臨床的症状(すなわち、血管中での血餅形成)は、急性心筋梗塞(AMI又は心臓発作);不安定性狭心症(UA);及び深部静脈血栓症(すなわち、下肢における血栓形成、以下「DVT」)を含む。ある例では、DVTの形成は肺塞栓(PE)の発生を引き起こす。ある例では、PEの発生は致死的である。
【0078】
ある例では、血栓形成は全身的に起こる(すなわち、微血栓が血管系全体で形成される)。全身性血栓形成は、播種性血管内凝固症候群(DIC)として知られている。ある例では、DICはウイルス感染(例えば、エボラウイルス感染)、敗血症、及び/又は関節リウマチより起こる。ある例では、DICは循環凝血因子の減少を引き起こす。ある例では、循環凝血因子数の減少は、多臓器不全、大出血、及び/又は死を引き起こす。
【0079】
ある例では、脳血管内における血餅の形成及び塞栓は、虚血性脳卒中を引き起こす。ある例では、脳卒中を引き起こす誘発因子は、心房細動、又は心房不整脈、心臓から脳へと伸びる大動脈(頸動脈)中での血栓形成を引き起こすアテローム性動脈硬化である。
【0080】
ある例では、凝血カスケードは癌をもつ個体で異常に活性化されている。ある例では、静脈での血栓形成は、一見健康に見える個体の中で起こる、悪性化の最初の兆しである。ある例では、前立腺、胃、大腸、胸、卵巣、肺、胆嚢の癌腫をもつ患者、及びメラノーマをもつ患者で、DICは発生する。ある例では、腫瘍細胞はTFを繋ぎ止めている膜断片を脱落させる。ある例では、腫瘍細胞は、ホスト細胞(例えば、内皮細胞及び単球)上でTF発現を誘導する可溶性物質を産生する。
【0081】
ある例では、腫瘍細胞(例えば、肺癌細胞、大腸癌細胞、乳癌細胞、悪性メラノーマ細胞、グリオーマ細胞、前立腺癌細胞、胃癌細胞、及び/又は卵巣癌細胞)上に、TFは異常に発現している。ある例では、TFの異常な発現は、(部分的にもしくは完全に)血管新生シグナルの開始を引き起こす。ある例では、腫瘍細胞の悪性度は(例えば、大腸癌及び乳癌細胞で)、細胞に発現しているTFレベルに比例している。
【0082】
ある例では、TFの異常な発現は癌の転移を容易にする。ある例では、転移は原発腫瘍からの腫瘍細胞の脈管内への進入、血液循環中の生存、微小循環中の停止、脈管外への溢出、及び第二の場所における腫瘍成長を伴う。ある例では、TF/FVIIa は腫瘍の成長、血管新生、及び腫瘍転移に必要な多様な発癌過程に関わる。
【0083】
ある例では、マウス線維肉腫細胞におけるTF強制発現は、血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子の上方調節、及びトロンボスポンジン遺伝子の下方調節を引き起こす。ある例では、VEGF遺伝子の上方調節、及びトロンボスポンジン遺伝子の下方調節は、腫瘍の増加した血管新生を引き起こす。ある例では、内皮細胞及び/又は内皮細胞下マトリックスにおける細胞-細胞接着分子1の上方調節により、トロンビンは腫瘍細胞と血管壁との相互作用を増強する。ある例では、内皮細胞の透過性の変えること、及び/又はマトリックス分解を上方調節することにより、トロンビン産生は転移を容易にする。
【0084】
ある例では、in vitroにおける腫瘍細胞の増殖及びスフェロイド形成に対し、siRNAによるTFのノックダウンは、ほとんど又は全く影響を与えない。
【0085】
(I. 分子式Iの化合物)
増殖性疾患(例えば、癌)及び/又は血栓塞栓性疾患の治療に関わる、因子VIIaの低分子選択的モジュレーターが、本願に記述されている。因子VIIaの低分子モジュレーターの構造を以下に記す(本願では、分子式Iとも言及される)。
【0086】
【化10】

【0087】
例えば、図1に示されるように、分子式Iの化合物は、マウスにおけるB16F10メラノーマ細胞による肺コロニー形成を妨害する。この実験では、腫瘍細胞接種の1.5時間前、及び腫瘍細胞接種の4.5時間後及び24時間後に、分子式Iの化合物が皮下投与された。分子式Iの化合物が存在しない場合(すなわち、賦形剤のみの場合)、接種されたマウスのほとんどで相当数のコロニーが形成された。しかし、分子式Iの化合物を50 mg/kgの用量で3回投与した場合は、マウスに非常に少ないコロニーしか形成されなかった。より高い濃度である100 mg/kgの用量で3回投与した場合は、コロニーの数は更に減少した。結果として、ある実施例において、分子式Iの化合物は腫瘍細胞の転移を阻害する。
【0088】
更にもう一つの例として、図2に示されているように、分子式Iの化合物はC57BLマウスにおけるLewis肺癌腫瘍の成長を阻害する。この例では、マウスへの腫瘍細胞移植の4日後から、分子式Iの化合物がマウスに皮下投与された(図2には、二つの異なる投薬スケジュールが記載されている)。図2から見てとれるように、用いた投薬スケジュールに依存して、少なくとも50%の腫瘍体積の減少が観察された(p<0.01)。結果として、分子式Iの化合物は、腫瘍細胞の成長を阻害する。
【0089】
継続腫瘍抑制実験においては、22.5、45、及び90 mg/kgの用量で1日に2回皮下投与すると、分子式Iの化合物はC57BLマウスにおけるLewis肺癌腫瘍の成長を約50%まで抑制した(図3)。
【0090】
もう一つの例では、図4に示されているように、in vitroにおいてMDA-MB-231ヒト乳癌細胞をFVIIa の存在下で培養した。ケモカインIL-8の分泌は、ベースラインの3倍以上に増加した。培地中への1 μMでの分子式Iの化合物の添加は、完全にFVIIa が誘導するIL-8応答を阻害した。
【0091】
更にもう一つの例では、図5に示されているように、実験を分子式Iの化合物を用いてカニクイザルで行った。静脈内及び皮下投与が、皮下バイオアベイラビリティを決定するために行われた。単回10.7 mg/kg投与の後の、試験物質の皮下バイオアベイラビリティは、138±33%と見積もられた。皮下投与後の、全身暴露(AUC)に対する相対標準偏差は20.9%(n=3)であった。
【0092】
本願に記載されている態様の一つは、癌治療に因子FVIIa の低分子モジュレーター、特に分子式Iの化合物、を使用していることである。そのような態様から、癌をもつヒト患者に、分子式Iの化合物を含む薬学的に許容できる組成物を投与する。関連する原発癌は、副腎皮質癌、肛門癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、成人CNS脳腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、グリア芽腫、乏突起膠腫、及び髄膜腫を含む)、脳転移、乳癌、子宮頚癌、小児非ホジキンリンパ腫、結腸及び直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、血液悪性腫瘍、ホジキン病、カポジ肉腫、腎癌、喉頭及び下咽頭癌、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、小児性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、肝癌、肺癌、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、男性乳癌、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔及び口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺癌、陰茎癌、下垂体癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(骨肉腫及び横紋筋肉腫)、メラノーマ皮膚癌、非メラノーマ皮膚癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、及びヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む。関連する転移性腫瘍は、骨転移、脳転移、肝転移、肺転移、及び軟組織転移を含む。一つの実施例では、肺癌、結腸直腸癌、乳癌、悪性メラノーマ、卵巣癌、及び膵臓癌より癌が選ばれる。
【0093】
癌治療は、腫瘍サイズの成長阻害、腫瘍に付随する血管新生の阻害、及び/又は腫瘍転移の阻害を含む。
【0094】
更にある実施例では、分子式Iの化合物は、因子VIIaの活性が病気又は症状の兆候又は重症度に寄与している患者を治療するのに用いられる。又、他の実施例では、TF-FVIIa 複合体の形成が、病気又は症状の兆候又は重症度に寄与している患者を治療するのに用いられる。治療方法は、因子VIIa活性のモジュレーターとして働く分子式Iの化合物を、患者に投与する段階を含む。
【0095】
本願記載の化合物を含む組成物を、予防的及び/又は治療的処置のために投与する。治療的応用では、すでに病気、症状、又は障害に苦しんでいる患者に対して、病気、障害、又は症状の兆候を治癒又は少なくとも停止させるのに十分な量の組成物を投与する。このような使用に効果的な量は、病気、障害、又は症状の重症度及び経過、以前の治療、患者の健康状態及び薬剤に対する応答性、及び主治医の判断に依存する。
【0096】
ある実施例では、患者の症状が改善しない場合、医者の判断によって、患者の病気又は症状の兆候を緩和又は調節又は制限するために、化合物の投与を慢性的、つまり患者の存命中ずっと行うことも含み期間を延長して行う。
【0097】
他の実施例では、患者の状態が改善した場合、医者の判断によって、化合物の投与は継続的に行う。更なる実施例においては、投与している薬剤の用量を、一時的に減らす又は一時的に特定の期間中断する(すなわち、「薬剤休息日」)。薬剤休息日の長さは、2日から1年の間で変わり、例えば2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、及び365日である。他の実施例では、薬剤休息日中の用量減少は約10%から約100%であり、ほんの一例として、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、及び約100%を含む。
【0098】
一旦患者の症状の改善が起こった場合、必要に応じてその状態を維持する用量の薬剤が投与される。次に、兆候に応じて、改善された病気、障害、又は症状を維持するレベルに、投与の用量、又は頻度、又はそれら両方を減らすことができる。しかし、兆候の再発に備え、患者は長期にわたる断続的な治療を必要とする。
【0099】
(II. 化合物Iを含む薬学的組成物)
本願記載の化合物及び薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤、又はキャリアを含む薬学的組成物が、本願で与えられる。ある実施例では、併用療法として、本願記載の化合物が他の活性成分と混合された薬学的組成物として投与される。ある実施例では、薬学的組成物は他の医学又は薬学物質、キャリア、保存剤・安定化剤・保湿剤又は乳化剤などのアジュバント、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩、及び/又は緩衝液を含む。他の実施例では、薬学的組成物は、他の治療に役立つ物質も含む。
【0100】
分子式Iの化合物又はその塩を含む組成物が、本願で提示されている。
【0101】
【化11】

【0102】
ある実施例では、組成物は約1から約100 mMの濃度で分子式Iの化合物を含む。ある実施例では、組成物は約10から約90 mMの濃度で分子式Iの化合物を含む。ある実施例では、組成物は約20から約80 mMの濃度で分子式Iの化合物を含む。ある実施例では、組成物は約30から約70 mMの分子式Iの濃度で化合物を含む。ある実施例では、組成物は約40から約60 mMの分子式Iの濃度で化合物を含む。ある実施例では、組成物は約50から約80 mMの濃度で分子式Iの化合物を含む。ある実施例では、組成物は約1から約5 mMの濃度で分子式Iの化合物を含む。
【0103】
ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。
【0104】
ある実施例では、組成物は更に塩基、その塩、又はそれらを組み合わせたものを含む。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムである。
【0105】
ある実施例では、組成物は更に緩衝液を含む。ある実施例では、緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸、又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン(TEAとしても知られる)、トロメタミン(TRISとしても知られる)、及びグルタミン酸塩である。
【0106】
ある実施例では、緩衝液はトロメタミンである。トロメタミンは2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールの化学式をもつ。トロメタミンはややアルカリ性の化学物質であり、組成物のpHを約7から約9に緩衝するのに用いることができる。
【0107】
ある実施例では、一つ又はそれ以上の緩衝液が本願開示の組成物に用いられるとき、それらは例えば薬学的に許容できる賦形剤と組み合わされ、最終組成物中に例えば約0.1%から約20%、約0.5%から約10%の範囲量で含まれる。ある実施例では、組成物のpHが生体の自然緩衝系の妨害をしないような、緩衝液の量が用いられる。ある実施例では、組成物中に含まれる緩衝液の濃度は、約5 mMから約200 mMである。ある実施例では、組成物中に含まれる緩衝液の濃度は、約20 mMから約100 mMである。
【0108】
ある実施例では、炎症又は他の望ましくない副作用を引き起こすことなく、ヒト患者へ皮下投与するのに適した組成物のpHが用いられる。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間であった。ある実施例では、pHは約8.2から約9.3の間であった。pHは約8.4から約9.1の間であった。ある実施例では、pHは約8.5から約9.0の間であった。pHは約8.6から約8.9の間であった。
【0109】
ある実施例では、一つ又はそれ以上のpHに関して、又は少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月の期間に渡る組成物分解に関して、本願記載の薬学的組成物は安定である。他の実施例では、一つ又はそれ以上のpHに関して、又は少なくとも約1週間の期間に渡って組成物分解に関して、本願記載の組成物は安定である。又、一つ又はそれ以上のpHに関して、又は少なくとも約1カ月の期間に渡って組成物分解に関して、安定である組成物が本願に記述されている。
【0110】
ある実施例では、組成物は水溶液の形態である。ある実施例では、組成物の粘度は、ヒト患者に皮下注射するのに適するようになっている。ある実施例では、周囲温度(すなわち、室温)15℃以内において、組成物は非粘性水溶液の形態をとる。ある実施例では、室温10℃以内において、組成物は非粘性水溶液の形態をとる。ある実施例では、室温5℃以内において、組成物は非粘性水溶液の形態をとる。
【0111】
ある実施例では、組成物は透明な溶液である(例えば、溶液中に目で見える沈殿は存在しない)。ある実施例では、組成物の色は琥珀色である。
【0112】
ある実施例では、温度が室温より下がるにつれ、組成物の粘度は増加する。ある実施例では、組成物の温度が約2℃から約8度のとき(例えば、冷蔵庫の温度)、組成物の粘度は増加する。ある実施例では、組成物は粘度の高い溶液の形態をとる(例えば、ゲル、半固体、ペースト、又はゼリー)。ある実施例では、非粘性水溶液と比較すると、粘度の高い溶液状態のときには、組成物は分解に対してより抵抗性がある(すなわち、安定である)。ある実施例では、非粘性水溶液と比較して、粘度の高い溶液状態では、分子式Iの化合物の大部分は溶けたままである(すなわち、溶液から沈殿又は結晶化しない)。ある実施例では、粘度の高い溶液は、長期間の保存を可能とする。ある実施例では、非粘性水溶液と比較して、粘度の高い溶液は高い安定性をもっている。
【0113】
ある実施例では、組成物はゲルの形態をとる。ある実施例では、組成物の粘度は少なくとも1000 cpsである。ある実施例では、組成物の粘度は少なくとも2500 cpsである。ある実施例では、組成物の粘度は少なくとも5000 cpsである。ある実施例では、組成物の粘度は少なくとも10000 cpsである。ある実施例では、本願提示組成物の粘度は、あらゆる適切な方式により測定される。例えば、ある実施例では、LVDV-II+CP Cone Plate Viscometer及びCone Spindle CPE-40が、本願記載組成物の粘度を計算するのに用いられる。
【0114】
ある実施例では、粘度の高い溶液は不透明な半固体物質である。ある実施例では、粘度の高い溶液の色は明るい黄色である。
【0115】
ある実施例では、約2℃から約8度以上の温度上昇は、組成物を非粘性水溶液へと戻す(すなわち、細い内径の針で皮下投与するのに適している)。ある実施例では、非粘性水溶液に戻った後も、分子式Iの化合物は溶液に溶解したままである。ある実施例では、あらゆる適切な方式により(例えば、摩擦、混和、撹拌、及び熱をかける)温度は上昇する。
【0116】
ある実施例では、本願記載の組成物は、ヒト患者に速やかに皮下投与できる。ある実施例では、本願記載の組成物は、約20ゲージ(すなわち、名目上の外径が0.902 mm)から約33ゲージ(すなわち、名目上の外径が0.203 mm)の針を用いて、ヒト患者に速やかに皮下投与できる。ある実施例では、本願記載の組成物は、約22ゲージ(すなわち、名目上の外径が0.711 mm)から約31ゲージ(すなわち、名目上の外径が0.254 mm)の針を用いて、ヒト患者に速やかに皮下投与できる。ある実施例では、本願記載の組成物は、約24ゲージ(すなわち、名目上の外径が0.559 mm)から約29ゲージ(すなわち、名目上の外径が0.330 mm)の針を用いて、ヒト患者に速やかに皮下投与できる。ある実施例では、本願記載の組成物は、約25ゲージ(すなわち、名目上の外径が0.508 mm)から約27ゲージ(すなわち、名目上の外径が0.406 mm)の針を用いて、ヒト患者に速やかに皮下投与できる。
【0117】
(他の賦形剤)
ある実施例では、本願記載の組成物は、賦形剤、その他の医学又は薬学物質、キャリア、保存剤・安定化剤・保湿剤又は乳化剤などのアジュバント、溶解促進剤及び浸透圧を調節するための塩を含む。他の実施例では、賦形剤、キャリア、アジュバントは、薬学的に許容できる粘度の高い組成物を形成するのに有用である。更なる実施例では、薬学的に許容できる粘度の高い組成物は、ゲル組成物の形態である。
【0118】
ある実施例では、組成物は安定化剤を含む。ある実施例では、安定化剤は例えば脂肪酸、脂肪アルコール、アルコール、長鎖脂肪酸エステル、長鎖エステル、脂肪酸の親水性誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、炭化水素、疎水性高分子、吸湿性高分子、及びこれらを組み合わせたものより選択される。ある実施例では、安定化剤のアミド類似体も又用いられる。更なる実施例では、選択された安定化剤は、組成物の疎水性を変化させ(例えば、オレイン酸やワックス)、組成物中の様々な成分の混合を促進し(例えば、エタノール)、配合物中の水分レベルを調節し(例えば、PVP又はポリビニルピロリドン)、層の移動を調節し(長鎖脂肪酸、アルコール、エステル、エーテル、アミドなど又はそれらの混合物やワックスのような、室温よりも高い融点をもつ物質)、及び/又はカプセル化する物質と配合物の適合性を高める(例えば、オレイン酸又はワックス)。もう一つの実施例では、これらの安定化剤のいくつかは、溶媒/共溶媒として用いられる(例えば、エタノール)。更なる実施例では、分子式Iの化合物の分解を阻害するのに十分な量、安定化剤は存在する。そのような安定化剤の例は、(a)約0.5%から約2% w/vグリセロール、(b)約0.1%から約1% w/vメチオニン、(c)約0.1%から約2% w/vモノチオグリセロール、(d)約1 mMから約10 mM EDTA、(e)約0.01%から約2% w/vアスコルビン酸、(f)0.003%から約0.02% w/vポリソルベート80、(g) 0.001%から約0.05% w/vポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)へパリン、(j)デキストラン硫酸、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサン多硫酸及びその他のヘパリノイド、(m)マグネシウム及び亜鉛のような2価カチオン、又は(n)これらを組み合わせたもの含むが、これらに限定される訳ではない。
【0119】
その他の有用な組成物は、必要な際に化学安定性を増強するために、一つ又はそれ以上の抗酸化物質を含む。適切な抗酸化物質は、ほんの一例として、アスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。一つの実施例において、金属キレート剤、チオール含有化合物、及びその他の一般安定化剤より、抗酸化物質は選択される。
【0120】
更にその他の有用な組成物は、物理的安定性を増強するため又は他の目的のために、一つ又はそれ以上の界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油のような植物油、オクトキシノール10やオクトキシノ−ル40のようなポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルフェニルエーテルを含む。
【0121】
ある実施例では、組成物はゲル化剤を含む。FVIIa モジュレーターゲル組成物の調製に用いる適切なゲル化剤は、セルロース、セルロース誘導体、セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース)、グアーゴム、キサンタンゴム、ローカストビーンゴム、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸)、ケイ酸塩、でんぷん、トラガカント、カルボキシビニル高分子、カラギーナン、パラフィン、ワセリン、及びこれらを組み合わせたもの、又はこれらの混合物を含むが、これらに限定される訳ではない。他の現在市場で入手できるグリセリンを元にしたゲル、グリセリン誘導化合物、共役又は架橋ゲル、基質、ヒドロゲル、及び高分子、ゼラチン及びその誘導体、アルギン酸塩及びアルギン酸塩を元にしたゲル、様々な天然及び合成ヒドロゲル及びヒドロゲル由来化合物はすべて、FVIIa モジュレーター組成物の内容物として有用であると予想される。ある実施例では、ゲルはアルギン酸塩ヒドロゲルSAF-ゲル(コンバテック、プリンストン、ニュージャージー)、デュオダームヒドロアクティブゲル(コンバテック)、Nu-ゲル(ジョンソン&ジョンソンメディカル、アーリントン、テキサス)、カラシン(V)エースマンナンヒドロゲル(キャリントン研究所INC.、アービンング、テキサス)、グリセリンゲルエルタヒドロゲル(スイス-アメリカプロダクトINC.、ダラス、テキサス)及びK-Yステライル(ジョンソン&ジョンソン)を含むが、これらに限定される訳ではない。更なる実施例では、生分解性・生体適合性ゲルも又、本願開示及び記述のFVIIa モジュレーター組成物中に存在する化合物となる。
【0122】
ある実施例では、組成物は懸濁化剤を含む。有用な懸濁化剤は、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25又はポリビニルピロリドンK30のようなポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニル酢酸コポリマー(S630);例えば、約300から約6,000、又は約3,350から約4,000、又は約7,000から約5,400の分子量をもつポリエチレングリコール;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロゲルプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース酢酸塩・ステアリン酸塩、ポリソルベート-80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム;例えば、トラガカントゴム、アカシアゴム、グアーゴム、キサンタンゴムを含むキサンタンのようなゴム;糖類;例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシ化ソルビタンラウリン酸モノエステル、ポリエトキシ化ソルビタンラウリン酸モノエステル、ポビドン及びこれらの類似体のような化合物を含む。ある実施例では、有用な水性懸濁液も又、懸濁化剤として一つ又はそれ以上の高分子を含む。有用な高分子は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースといったセルロース高分子のような水溶解性高分子、及び架橋されたカルボキシル基含有高分子のような水不溶性高分子を含む。
【0123】
ある実施例では、組成物は更なる界面活性剤(共界面活性剤)及び/又は緩衝剤を含む。ある実施例では、界面活性剤及び/又は緩衝剤は、a) 例えば、リン脂質、コレステロール、コレステロール脂肪酸エステル及びそれらの誘導体のような自然及び合成脂溶性試薬、b) 例えば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル(スパンズ);ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレイン酸(Tween 80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアリン酸(Tween 60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウリン酸(Tween 20)及びその他のTweenなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ソルビタンエステル、Myrj及びグリセロールトリアセテート(トリアセチン)などのグリセロールエステル;ポリエチレングリコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ポリソルベート80、ポロキサマー、ポロキサミン、例えば、クレモホア(登録商標)RH40、クレモホアA25、クレモホアA20、クレモホア(登録商標)ELなどのポリオキシエチレンヒマシ油誘導体及び他のクレモホア;スルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩(SLS);PEG-8グリセリルカプリル酸/カプリン酸(ラブラゾール)、PEG-4グリセリルカプリル酸/カプリン酸(ラブラファックヒドロWL 1219)、PEG-32グリセリルラウリン酸(ゲルシレ444/14)、PEG-6グリセリルモノオレイン酸(ラブラフィルM 1944 CS)、PEG-6グリセリルリノール酸(ラブラフィル M 2125 CS)のようなPEGグリセリル脂肪酸エステル;プロピレングリコールラウリン酸やプロピレングリコールカプリル酸/カプリン酸のようなプロピレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル;Brij(登録商標)700、アスコルビル-6-パルミチン酸塩、ステアリルアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレングリセロールトリリシンオレイン酸、及びこれらを組み合わせたもの、又はこれらの混合物を含む、非イオン性界面活性剤、c) カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スルホコハク酸塩ナトリウム、ジオクチル、アルギン酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、トリエタノールアミンステアリン酸塩、ラウリル酸カリウム、胆汁塩、及びこれらを組み合わせたもの、又はこれらの混合物を含むが、これらに限定される訳ではない陰イオン性界面活性剤、及びd) 第四アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、及び塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウムのような陽イオン性界面活性剤である。
【0124】
ある実施例では、一つ又はそれ以上の共界面活性剤が、本願開示の組成物に使用されるとき、それらは例えば薬学的に許容できる賦形剤と組み合わされ、例えば約0.1%から約20%、約0.5%から約10%の量で最終組成物中に存在する。
【0125】
ある実施例では、本願記載の組成物は希釈剤を含む。ある実施例では、希釈剤は、緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、ラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、アビセル(登録商標)のような微結晶性セルロース、二塩基リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム・二水和物、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース、前ゼラチン化デンプン、ダイ-パック(登録商標)(アムスター)のような圧縮糖、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート・ステアリン酸塩、スクロースを元にした希釈剤、粉砂糖、第一硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、デキストラート、水和シリアルソリッド、アミロース、粉末セルロース、炭酸カルシウム、グリシン、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、イノシトール、ベントナイト、又はこれらを組み合わせたものに溶解した塩である。
【0126】
ある実施例では、本願開示の組成物は等張である。等張な組成物は、等張化剤を添加することにより与えられる。適切な等張化剤は、デキストロースや塩化ナトリウムのような、あらゆる薬剤的に許容できる糖、塩、又はこれらを組み合わせたもの、又はこれらの混合物を含むが、これらに限定される訳ではない。更なる実施例では、等張化剤は約100 mOsm/kgから約500 mOsm/kgの量含まれている。ある実施例では、等張化剤は約200 mOsm/kgから約400 mOsm/kg、約280 mOsm/kgから約320 mOsm/kgの量含まれている。
【0127】
有用な組成物は又、組成物のオスモル濃度を許容できる範囲に調節するのに必要な量の、一つ又はそれ以上の塩を含む。そのような塩は、ナトリウム、カリウム、又はアンモニウム陽イオン、及び塩化物、クエン酸陰、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、重炭酸、硫酸、チオ硫酸又は亜硫酸水素陰イオンを含む塩を含み、適切な塩は塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及び硫酸アンモニウムを含む。
【0128】
ある実施例では、本願開示の組成物は保存剤を含む。本願記載の組成物への使用に適切な保存剤は、安息香酸、ホウ酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェノール、塩素化フェノール化合物、アルコール、第四級化合物、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム又は塩化セチルピリジニウム)、安定化二酸化塩素、水銀剤(例えば、メルフェン又はチオマーサル)、又はこれらの混合物を含むが、これらに限定される訳ではない。ある実施例では、保存剤はメチルパラベンである。ある実施例では、メチルパラベンは約0.05%から約1.0%、約0.1%から約0.2%の濃度である。
【0129】
ある実施例では、本願開示の組成物は粘度増強剤を含む。これらに限定される訳ではないが、ベントナイト、カーボマー、セラトニア、セトステアリルアルコール、キトサン、コロイド状二酸化ケイ素、シクロメチコン、ヒプロメロース、ケイ酸マグネシウム・アルミニウム、マルチトール、マルトデキストリン、中鎖トリグリセリド、ポリデキストロース、ポリビニルアルコール、プロピレングリセルアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、及びこれらを組み合わたもの、又はこれらの混合物のような粘度調節剤が、本願記載の組成物への使用に適している。更に、イオジキサノール(ビジパーク、アマーシャムヘルス)のような粘性のある造影剤、及び酢酸・イソ酪酸スクロース(SAIB)(イーストマンケミカルカンパニー、キングスポート、テネシー)のようなスクロースを基本とした媒体も又、ある実施例には有効であると考えられる。
【0130】
ある実施例では、約100 μgから約500 μgの分子式Iの化合物、又は治療的にこれに等価な用量の分子式Iの化合物、ポリソルベート塩基、薬学的に許容できる粘性剤、注入のための水を含む組成物は、粘度の高い組成物として処方される。ここで、粘性剤の濃度は、最終粘度約100から約50,000 cPのゲル組成物を与えるのに十分な量である。特定の実施例では、ゲルの粘度は約100から約10,000 cP、約200から約1,000 cP、約250から約350 cP、約300から約320 cPの幅である。他の実施例では、より粘性の高い媒体が望まれるとき、生体適合性ゲルは、重量比で分子式Iの化合物の少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、又は少なくとも約80%を占める。高度に濃縮された試料では、生体適合性且つ粘度の高い組成物は、重量比でFVIIa モジュレーターの少なくとも約85%、少なくとも約90%又は少なくとも約95%、又はそれ以上を占める。
【0131】
分子式Iの化合物を含む、粘度の高い組成物の使用に適した基材は、あらゆる薬学的に許容できる溶媒を含むが、これらに限定される訳ではない。例えば、適当な溶媒は、これに限定される訳ではないがポリエチレングリコール(PEG)のようなポリアルキレングリコール類、及びそれらを組み合わせたもの、又はそれらの混合物を含む。他の実施例では、基材は薬学的に許容できる界面活性剤及び溶媒の組み合わせである。
【0132】
ある実施例では、他の基材は、フマル酸ステアリルナトリウム、硫酸セチルジエタノールアミン、イソステアリン酸塩、ポリエトキシ化されたヒマシ油、塩化ベンザルコニウム、ノノキシル10、オクトキシノール9、硫酸ラウリルナトリウム、ソルビタンエステル(一ラウリル酸ソルビタン、一オレイン酸ソルビタン、一パルミチン酸ソルビタン、一ステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、三オレイン酸ソルビタン、三ステアリン酸ソルビタン、ラウリル酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、二オレイン酸ソルビタン、セスキ-イソステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリ-イソステアリン酸ソルビタン)、レシチン、薬学的に許容できるこれらの塩、及びこれらを組み合わせたもの、又はこれらの混合物を含む。
【0133】
更なる実施例では、基材はポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールは、様々な分子量をもつ多くの異なったグレードが利用可能である。例えば、ポリエチレングリコールは、PEG200、PEG300、PEG400、PEG540(ブレンド)、PEG600、PEG900、PEG1000、PEG1450、PEG1540、PEG2000、PEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG4600及びPEG8000として入手できる。本願開示の目的には、すべてのグレードのポリエチレングリコールが、分子式Iの化合物のストックを調製するのに使用できると考えられる。ある実施例では、分子式Iの化合物のストックを調製するのに用いたポリエチレングリコールはPEG300である。
【0134】
他の実施例では、基材はポリソルベートである。ポリソルベートはソルビタンエステルの非イオン性界面活性剤である。本願の開示に有用なポリソルベートは、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80(Tween 80)、及びこれらを組み合わせたもの、又はこれらの混合物であるが、これらに限定される訳ではない。更なる実施例では、ポリソルベート80が薬学的に許容できる基剤として用いられる。
【0135】
ある実施例では、少なくとも一つの分子式Iの化合物を含み、薬学的導入賦形剤の調製に利用される、水溶性のグリセリンを元にした粘度の高い組成物は、少なくとも約0.1%又はそれ以上の水溶性グリセリン化合物を含む。ある実施例では、分子式Iの化合物の割合は、全薬学的FVIIa モジュレーター組成物の重量又は体積の約1%から約95%、約5%から約80%、約10%から約60%又はそれ以上の間で変化し得る。ある実施例では、あらゆる化合物の単位用量において、適切な投薬量が得られるように、それぞれの治療的に有効な組成物における、ゲル化合物の量が調製される。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品の有効期限のような要因、及び他の薬理学的考察が本願で考慮されており、そのような薬学的組成物の調製が本願に提示されている。
【0136】
ある実施例では、FVIIa モジュレーターの薬物動態を増強又は促進する、一つ又はそれ以上の液体複合体、リポソーム、ナノカプセル、ミクロスフェア、又は他の物質を組成物は含む。他の実施例では、本願開示の組成物は、治療使用のために処方及び意図されており、特に、例えば、癌性腫瘍を含む一つ又はそれ以上の病気、障害、又は機能不全をもつ、もつと疑われる、又は発症する危険がある、ヒト、家畜、獣医又は他の訓練された動物医学実行者のケアを受けている動物を含む、哺乳類の治療を対象としている。
【0137】
ある実施例では、少なくとも一つのFVIIa モジュレーターを含む、単一ゲル組成物が用いられる。一方、他の実施例では、少なくとも一つのFVIIa モジュレーターを含み、二つ又はそれ以上の異なったゲル組成物を含む薬学的組成物が用いられる。ある実施例では、ゾル、ゲル、及び/又は生体適合性マトリックスを組み合わせたものも又、FVIIa モジュレーター組成物の望ましい特性を与えるために活用される。ある実施例では、FVIIa モジュレーターの特性を変化又は改善するために、一つ又はそれ以上の物質によってゲル組成物は架橋される。
【0138】
ある実施例では、一つ又はそれ以上の侵食促進剤と一つ又はそれ以上の拡散促進剤を組み合わせたものも又、本願組成物に用いられる。
【0139】
(調製法)
ある実施例では、分子式Iの化合物の水溶液を、緩衝液及び一つ又はそれ以上のpH調整剤と混合する段階、及び組成物のpHが約8.0から9.5の間になるように組成物のpHを調節する段階を含む、分子式Iの化合物を含む組成物を処方する方法が開示されている。
【0140】
【化12】

【0141】
ある実施例では、緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸、又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、緩衝液はトロメタミンである。
【0142】
ある実施例では、pH調整剤は塩基、酸、又はそれらを組み合わせたものである。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウム溶液である。pH調整のための水酸化ナトリウム溶液は、2 N溶液になるように、適切な量の水酸化ナトリウムNFをSterile Water for Injection, USPに溶解して調製した。ある実施例では、酸は塩酸溶液である。pH調整のための塩酸溶液は、1 N溶液になるように、塩酸NFとSterile Water for Injection, USPを混合して調製した。
【0143】
ある実施例では、水酸化ナトリウムNF及びトロメタミンUSPを、Sterile Water for Injection, USPに溶解することで調製する。ある実施例では、凝集を避けるため、分子式Iの化合物は何回かに分けて水酸化ナトリウム及びトロメタミン溶液に加えられる。ある実施例では、薬剤物質が加えられる度に、2 N水酸化ナトリウム水溶液を一滴ずつ加えることによりpHを調整する。
【0144】
ある実施例では、最終組成物のpHを測定し、pHが約8.2から約9.3の間になるように水酸化ナトリウム又は塩酸溶液を用いて調整する。ある実施例では、pHは約8.4から9.1の間に調整される。ある実施例では、pHは約8.5から9.0の間に調整される。ある実施例では、pHは約8.6から8.9の間に調整される。ある実施例では、Sterile Water for Injection, USPを用いて、組成物は最終重量へと調整される。
【0145】
ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである.
【0146】
(投与経路)
本願記載の組成物は、皮下、その他の非経口(例えば、静脈又は筋肉内)、又は経皮的投与経路を含むが、これらに限定される訳ではない、あらゆる一般的な手段を介して、個体へ投与されるよう処方されている。
【0147】
ある実施例では、本願記載の組成物は皮下投与するように処方されている。
【0148】
ある実施例では、本願記載の組成物は、滅菌した注入可能な溶液又は分散液へ再構成するために、生理学的に許容できる滅菌水性又は非水性溶液、分散液、懸濁液又は乳化液、及び滅菌粉末を含む。ある実施例では、本願記載の組成物は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモホア、及びこれらの類似体)、これらの適切な混合物、植物油(オリーブオイルのような)、及びオレイン酸エチルのような注入可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティング剤を用いることにより、分散液の場合は必要な粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により維持され得る。
【0149】
ある実施例では、本願記載の組成物は、保存剤、保湿剤、乳化剤及び分散剤のような添加物を含む。微生物の成長阻害は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びこれらの類似物質のような、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤により保証される。更なる実施例では、糖類、塩化ナトリウム、及びそれらの類似体のような等張剤を含むことも望ましい。
【0150】
注入可能な薬学的形態物の持続的な吸収は、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンのような吸収を遅らせる試薬を用いることで達成できる。皮下又は筋肉内注射を介して、ゆっくり放出されるよう設計されたFVIIa モジュレーター懸濁組成物は、初回通過代謝を避け、より少ない用量の本願記載の分子式Iの化合物で、約50 ng/mlの血漿レベルを維持することができるであろう。そのような組成物において、分子式Iの化合物の粒子の粒子サイズ及び粒子サイズ幅は、脂肪又は筋肉中における分解速度を調節することにより、分子式Iの化合物の放出を制御するのに用いられる。
【0151】
一つの実施例では、皮下注入のために、水性溶液、又はHank's溶液、Ringer's溶液、又は生理学的等張緩衝液のような生理学的に適合性のある緩衝液中で、本願記載の化合物は処方されている。ある実施例では、皮下注入のために適切な組成物は、生理学的に適合性のある緩衝液又は賦形剤と共に、水性又は非水性溶液を含む。
【0152】
他の実施例では、組成物は、製造及び保存状態において安定であり、細菌や菌類といった微生物による汚染作用より保護されている。更なる実施例では、キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの類似体)、これらの適切な混合物、及び/又は植物油を含む、溶媒及び分散媒体である。他の実施例では、例えばレシチンのようなコーティング剤の使用により、分散液の場合は必要粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により、適切な流動性は維持される。ある他の実施例では、微生物作用の阻害は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、及びこれらの類似物質といった、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤によって成される。他の実施例では、組成物は、例えば、糖類又は塩化ナトリウムのような等張剤を含む。更なる実施例では、注入可能な組成物の持続的な吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンのような、吸収を遅らせる物質を組成物中に用いることで達成される。
【0153】
ある実施例では、滅菌した水性溶媒が用いられる。ほんの一例として、一つの実施例では、分子式Iの化合物を1 mlの等張NaCl溶液に溶かし、1000 mlの皮下注入液に加える、又は点滴部位に注入する(例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」15th Edition, ページ1035-1038及び1570-1580を参照)。ある実施例では、薬剤用量の変化は、治療を受けている個体の状態に依存する。他の実施例では、あらゆる局面において、投与に責任のある人間がその個体への適切用量を決定する。更に、他の実施例では、ヒトに投与する組成物は、食品医薬品局生物系審査部基準によって要求されている滅菌性、発熱性、一般安全性及び純度基準を満たしている。
【0154】
他の実施例では、例えば、注入、浸透、点滴、移植、潅注、又はこれらを組み合わせたものにより、本願記載の組成物は目的の場所に投与される。これらの方法のいずれかによる投与は、例えば、これらに限定される訳ではないが注射器、チューブ、及び/又は滅菌パッド(例えば、ガーゼ)のような導入系の使用を含む。
【0155】
ある実施例では、非経口投与はボーラス注入又は持続点滴を含む。もう一つの実施例では、注入するための組成物は、保存剤を付加された状態で単位用量ごと、例えば、アンプル又は多量投与用容器に提示される。一つの実施例では、本願記載の薬学的組成物は、油性又は水性賦形剤中の滅菌懸濁液、溶液、又は乳化液のように、非経口投与に適した形態であり、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤のような構成物質を含む。一つの実施例では、分子式Iの化合物は注入可能な組成物中に含まれる。
【0156】
非経口投与のための薬学的組成物は、水溶性形体にある活性化合物の水性溶液を含む。更に、他の実施例では、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注入懸濁液として調製される。適切な親油性溶媒又は賦形剤は、ごま油のような脂肪油、オレイン酸エチル又はトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、又はリポソームを含む。更なる実施例では、水性注入懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランのような、懸濁液の粘度を増大させる物質を含む。更に別の実施例では、懸濁液は適切な安定化剤、又は高度に濃縮された溶液を調製するために、化合物の溶解度を高める試薬を含む。もう一つの実施例では、例えば、滅菌パイロジェンフリー水のような、適切な賦形剤と構成できるように、使用前には活性成分は粉末状になっている。
【0157】
一つの実施例では、しばしば時効性薬剤又は持続放出組成物において、例えば、特定の筋組織又は臓器への直接的な化合物の注入により、化合物の投与は全身的に行われるよりもむしろ局所的に成される。ある実施例では、そのように長く作用する組成物は、移植(例えば、皮下又は筋肉への)又は筋肉注射により投与される。更に、他の実施例では、例えば、組織特異的抗体で覆ったリポソームを用いて、標的を定めたドラッグデリバリーシステムにより、分子式Iの化合物の投与は成される。ある他の実施例では、そのようなリポソームは、その組織へターゲットされ、その組織に選択的に取り込まれる。更なる実施例では、薬剤は急速放出組成物の形態、長期放出組成物の形態、又は中間放出組成物の形態で供給される。
【0158】
ある実施例では、本願記載の経皮的組成物は、様々な経皮的導入装置を用いて投与される。ある実施例では、本願記載のFVIIa モジュレーター組成物と共に用いられる経皮的導入装置は、電源、高周波、又はFVIIa モジュレーター組成物の導入を容易にするため、皮膚の角質層に「チャネル」又は「穴」を形成する微小電極への短い電流を含む。他の実施例では、経皮的導入装置は、FVIIa モジュレーター組成物の導入を容易にするため、角質層に穴をあける手段、例えば、微小槍、超音波エネルギーの適用、又は水圧穿孔を含む。この方法によって形成される穴は、通常約20-50マイクロンの深さで、神経又は脈管系領域には到達しない。
【0159】
本願記述の経皮的投与薬は、特定の薬学的に許容できる賦形剤を含む。一般に、本願記載の経皮的組成物は、少なくとも3つの成分(1)FVIIa モジュレーター組成物、(2)浸透促進剤、及び(3)水性アジュバントを含む。更にある実施例では、経皮的組成物は、ゲル化剤、クリーム、軟膏基材、及びそれらの類似物質のような付加組成物を含むが、これらに限定される訳ではない。ある実施例では、経皮的組成物は更に、吸収を促進及び肌からの経皮的組成物の除去を防ぐために、織布又は不織布物質を含む。他の実施例では、本願記載の経皮的組成物は、肌への拡散を促進するために、飽和又は過飽和状態を維持する。
【0160】
分子式Iの構造をもつ化合物の投与において、もう一つの有用な組成物は、経皮的導入装置(「パッチ」)を用いるものである。ある実施例では、そのような経皮的パッチは、制御された量だけ分子式Iの化合物を連続的又は不連続点滴を行うのに用いられる。薬剤導入のための経皮的パッチの製造及び使用は、本願に記載されている。更なる実施例では、薬剤の連続的、パルス的、又は必要に応じた導入のため、そのようなパッチはつくられる。更に、分子式Iの化合物の経皮的導入は、イオン導入パッチ及びその類似体を用いた方法で成される。更に別の実施例では、経皮的パッチは化合物の制御された導入を行う。速度制御膜の使用、又は高分子マトリックス又はゲル中に化合物を捕捉することで、吸収速度は遅くなる。逆に、他の実施例では、吸収促進剤が吸収を高めるために用いられる。ある実施例では、経皮的投与に適した組成物は、個別のパッチとして提示され、脂溶性の乳化液又は緩衝化された水性溶液とすることもでき、高分子又は接着剤に溶解及び/又は分散させることもできる。他の実施例では、経皮的パッチは、患者の身体の異なった部位に貼ることもできる。
【0161】
ある実施例では、分子式Iの構造をもつ化合物の経皮的投与に適した組成物は、経皮的導入装置及び経皮的導入パッチを活用し、脂溶性の乳化液又は緩衝化された水性溶液とすることもでき、高分子又は接着剤に溶解及び/又は分散させることもできる。他の実施例では、薬剤の連続的、パルス的、又は必要に応じた導入のため、そのようなパッチはつくられる。更にある実施例では、分子式Iの化合物の経皮的導入は、イオン導入パッチ及びその類似体を用いた方法で成される。更に、ある他の実施例では、経皮的パッチは分子式Iの化合物の制御された導入を担う。更なる実施例では、速度制御膜の使用、又は高分子マトリックス又はゲル中に化合物を捕捉することで、吸収速度は遅くなる。逆に、他の実施例では、吸収促進剤が吸収を高めるために用いられる。ある実施例では、吸収促進剤又はキャリアは、皮膚の通過を助長するため、吸収性で薬学的に許容できる溶媒を含む。例えば、包帯タイプの経皮的装置は、支持体、場合によってはキャリアを含有する化合物を含むリザーバー、場合によっては長期に渡って調節された及び予め決められた速度で宿主の皮膚に化合物を導入するための速度調節バリア、及び皮膚に対して装置を固定する手段を含む。
【0162】
ある実施例では、外部本体層の通過を達成するため、分子式Iの化合物を吸収可能な薬学的に許容できる溶媒に溶かす。適切な溶媒は、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、1,2-ブタンジオール、グリセロール及びアミルアルコールのような2個から10個の炭素原子を含むアルコール、n-ヘキサン、シクロヘキサン及びエチルベンゼンのような5個から12個の炭素原子を含む炭化水素、ヘプチルアルデヒド、シクロヘキサノン及びベンズアルデヒドのような4個から10個の炭素原子を含むアルデヒド及びケトン、酢酸アミル及びプロピオン酸ベンジルのような4個から10個の炭素原子を含むエステル、ユーカリ油、ヘンルーダ油、クミン油、リモネン、チモール及び1-ピネンのようなエーテル油、塩化n-ヘキシル、臭化n-ヘキシル及び塩化シクロヘキシルのような2個から8個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素、又は前述の溶媒の混合物が挙げられる。又、ある実施例では、分子式Iの化合物に関して、望ましい吸収特性をもつ前薬剤、エーテル、エステル、アミド、アセトールなどのような、分子式Iの化合物の単純な薬学的に許容できる誘導体を調製し、本願開示を実践化するのに用いられる。もちろん誘導体は、生体酵素の助けを借りた変換又はpHなどの作用により、生体内において分子式Iの化合物の活性形態へと変換されるべきである。
【0163】
ある実施例では、例えば、リポソーム及び乳液のような、薬学的組成物の導入系が活用される。ある実施例では、本願で与えられる組成物は、例えばカルボキシメチルセルロース、カーボマー(アクリル酸高分子)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリカーボフィル、アクリル酸/ブチルアクリル酸コポリマー、アルギン酸ナトリウム及びデキストランより選択される、粘膜接着性高分子を含み得る。
【0164】
ある実施例では、本願記載の組成物は局所的に投与され、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、香油、クリーム又は軟膏のような、様々な局所的に投与可能な組成物へと処方することができる。更なる実施例では、そのような薬学的化合物は、可溶化剤、安定化剤、弾力性増強剤、緩衝液、及び保存剤を含む。
【0165】
ある実施例では、本願記載の化合物は又、かんちょう剤、直腸ゲル、直腸泡、直腸噴霧器、座薬、ゼリー状座薬、又は保持かんちょう剤のような、ココアバター、又は他のグリセリド、及びポリビニルピロリドン、PEG、及びそれらの類似体のような合成高分子といった、標準的な座薬基剤を含む直腸組成物へと処方される。座薬状形態の組成物では、場合によってココアバターと組み合わされ、限定される訳ではないが脂肪酸グリセリドの混合物のような低融点ワックスが最初に融解する。
【0166】
ゲルは又、薬剤を局所的又は体腔(例えば、鼻腔)に投与するのに用いられる。他のタイプの局所的ゲル組成物に加え、本願で提示されるFVIIa モジュレーター組成物は、手術部位へ手術中に投与され、そこでは手術部位である皮膚の切断表面又は露出した組織、筋肉、又は腫瘍部位へ組成物は直接用いられる。従って、ある実施例では、感染の危険を減らすために、開いた切開部位へ使用する際には、本願記載の組成物は適切に処理(例えば、滅菌)されていなければならない。
【0167】
ある実施例では、本願開示の組成物及び方法は、組成物中に含まれる有効量の分子式Iの化合物による、腫瘍部位の治療に用いられる。一つの実施例では、方法は、腫瘍部位で腫瘍の治療を受けているヒト又は動物の手術部位に、有効量の局所的FVIIa モジュレーター組成物を手術中に投与することを含む。
【0168】
ある実施例では、本願記載の方法に従った、単回用量の局所的FVIIa モジュレーターゲルの投与は、a)特定の部位(すなわち、癌産生細胞)から生じる癌を減少又は除去する目的で、腫瘍部位における腫瘍形成に関わる特定の限定された領域で、選択的且つ高度に限定されたTF-FVIIa 複合体の阻害を行う、及びb)TF-FVIIa 複合体形成の起こりうる有害な結果を最小化する目的で、FVIIa モジュレーターの全身導入を最小化及び/又は阻む。阻害効果は、少なくとも約48時間から約120時間、約10日から約21日、約4週間から約5週間、少なくとも約6週間から約8週間、少なくとも約16週間から約32週間、少なくとも約52週間以上、腫瘍成長に関する病気、症状及び障害からの緩和を与える。
【0169】
(III. 治療の方法)
ある実施例では、必要とする哺乳類に分子式Iの化合物からなる組成物を投与する段階を含む、凝血カスケードを調節する方法が、本願で開示されている。
ある実施例では、組成物は更に塩基、その塩、又はそれらの組み合わせを含む。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある実施例では、組成物は更に緩衝液を含む。ある実施例では、緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間である。ある実施例では、pHは約8.2から約9.3の間である。ある実施例では、pHは約8.4から約9.1の間である。ある実施例では、pHは約8.5から約9.0の間である。ある実施例では、pHは約8.6から約8.9の間である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、組成物は液体の形態をとる。ある実施例では、その溶液は水溶液である。ある実施例では、組成物は約2℃から約8℃でゲルを形成する。ある実施例では、分子式Iの組成物は皮下投与される。ある実施例では、皮下投与は注射器を用いて行われる。ある実施例では、注射器の針ゲージは20ゲージ針よりも細い。ある実施例では、注射器の針ゲージは28ゲージ針である。ある実施例では、方法は更に哺乳類への放射線治療投与を含む。ある実施例では、方法は更に哺乳類への補足的な化学療法薬剤の投与を含む。ある実施例では、哺乳類はヒトである。ある実施例では、哺乳類はヒトではない。
【0170】
ある実施例では、哺乳類に因子VIIaのモジュレーターを投与する段階を含む、凝血カスケードを調節する方法が、本願で開示されている。ここで、因子VIIaモジュレーターのμg/mlで表されるCmaxのμg/mlで表されるAUC(0−∞)に対する比は、約1:15未満である。ある実施例では、因子VIIaモジュレーターは、液体の形態で投与される。ある実施例では、その溶液は水溶液である。ある実施例では、因子VIIaモジュレーターは皮下に投与される。ある実施例では、因子VIIaモジュレーターは1000 amu以下の分子量をもつ。ある実施例では、因子VIIaモジュレーターは分子式Iの構造をもつ。
【0171】
ある実施例では、必要とする哺乳類に分子式Iの化合物からなる組成物を投与する段階を含む、癌及び/又は血栓塞栓性疾患の治療方法が、本願で開示されている。
ある実施例では、組成物は更に塩基、その塩、又はそれらの組み合わせを含む。ある実施例では、組成物は更に緩衝液を含む。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、組成物は液体の形態をとる。ある実施例では、その溶液は水溶液である。ある実施例では、組成物は約2℃から約8℃でゲルを形成する。ある実施例では、分子式Iの組成物は皮下に投与される。ある実施例では、皮下投与は注射器を用いて行われる。ある実施例では、注射器の針ゲージは20ゲージ針よりも細い。ある実施例では、注射器の針ゲージは28ゲージ針である。ある実施例では、方法は更に哺乳類への放射線治療投与を含む。ある実施例では、方法は更に哺乳類への補足的な化学療法薬剤の投与を含む。ある実施例では、哺乳類はヒトである。ある実施例では、哺乳類はヒトではない。
【0172】
ある実施例では、副腎皮質癌、肛門癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、成人CNS脳腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、グリア芽腫、乏突起膠腫、及び髄膜腫を含む)、脳転移、乳癌、子宮頚癌、小児非ホジキンリンパ腫、結腸及び直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、血液悪性腫瘍、ホジキン病、カポジ肉腫、腎癌、喉頭及び下咽頭癌、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、小児性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、肝癌、肺癌、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、男性乳癌、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔及び口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺癌、陰茎癌、下垂体癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(骨肉腫及び横紋筋肉腫)、メラノーマ皮膚癌、非メラノーマ皮膚癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、及びヴァルデンストレームマクログロブリン血症より癌が選ばれる。関連する転移性腫瘍は、骨転移、脳転移、肝転移、肺転移、及び軟組織転移を含む。もう一つの実施例では、肺癌、結腸直腸癌、乳癌、胃癌、悪性メラノーマ、卵巣癌、及び膵臓癌より癌が選ばれる。
【0173】
ある実施例では、血栓塞栓性障害とは、静脈血栓症(例えば、DVT)及び肺塞栓、動脈血栓症(例えば、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓性脳卒中及び末梢動脈血栓症)、及び心房細動中の心房又は貫壁性心筋梗塞後の左心室より通常発生する、又は鬱血性心不全によって引き起こされる全身性塞栓症;血栓溶解、経皮経管的血管形成(PTA)及び冠状動脈バイパス手術後の再閉塞(すなわち、血栓症)の予防;一般的に顕微鏡手術及び血管手術後の再血栓形成の防止、前立腺癌、胃癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、又は悪性黒色腫などの特定のタイプの癌に伴って起こる静脈血栓塞栓の防止又は治療である。
【0174】
ある実施例では、分子式Iの化合物を含む組成物を、必要とする哺乳類に投与する段階を含む、腫瘍の血管新生を調節する方法が、本願で開示されている。
ある実施例では、組成物は腫瘍部位に投与される。ある実施例では、組成物は更に塩基、その塩、又はそれらの組み合わせを含む。ある実施例では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある実施例では、組成物は更に緩衝液を含む。ある実施例では、緩衝液はアルカリ性リン酸塩、又は有機酸、無機酸又はアミノ酸の塩である。ある実施例では、緩衝液はクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩である。ある実施例では、pHは約8.0から約9.5の間である。ある実施例では、pHは約8.2から約9.3の間である。ある実施例では、pHは約8.4から約9.1の間である。ある実施例では、pHは約8.5から約9.0の間である。ある実施例では、pHは約8.6から約8.9の間である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約30 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約60 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約90 mg/mL以上である。ある実施例では、分子式Iの化合物の濃度は約120 mg/mLである。ある実施例では、組成物は液体の形態をとる。ある実施例では、その溶液は水溶液である。ある実施例では、組成物は約2℃から約8℃でゲルを形成する。ある実施例では、分子式Iの組成物は皮下に投与される。ある実施例では、皮下投与は注射器を用いて行われる。ある実施例では、注射器の針ゲージは20ゲージ針よりも細い。ある実施例では、注射器の針ゲージは28ゲージ針である。ある実施例では、方法は更に哺乳類への放射線治療投与を含む。ある実施例では、方法は更に哺乳類への補足的な化学療法薬剤の投与を含む。ある実施例では、哺乳類はヒトである。ある実施例では、哺乳類はヒトではない。
【0175】
更なる指示は、微生物、多発性外傷、中毒又はあらゆる他の機構によって引き起こされた、播種性血管内凝血症候群の治療的及び/又は予防的治療、体内で血管移植片、血管ステント、血管カテーテル、機械的及び生物学的人工弁又はあらゆる他の医療用具などのような異物表面に血液が接触したときの抗凝血治療、人工心肺を用いた心臓血管手術の間又は血液透析の際など体外で医療用具に血液が接触したときの抗凝血治療、特発性及び成人呼吸窮迫症候群、放射線又は化学療法により治療した後の肺線維症、敗血性ショック、敗血症、浮腫、冠動脈疾患及びアテローム斑形成のような急性又は慢性アテローム性動脈硬化、大脳動脈疾患、脳梗塞、脳血栓症、脳卒中、末梢動脈疾患、虚血、狭心症(不安定狭心症を含む)、再かん流障害、経皮経管的血管形成(PTA)及び冠状動脈バイパス手術後の再狭窄を含むが、これらに限定される訳ではない、炎症反応の治療的及び/又は予防的治療を含む。
【0176】
更なる実施例では、本願で挙げられた障害、病気及び/又は症状のあらゆる組み合わせが、本願で与えられた組成物を用いて治療される。
【0177】
(VI. 併用療法)
ある実施例では、本願で開示された組成物が、付加的な治療薬剤と組み合わせて投与される。ある実施例では、病気、障害、又は状態の性質、患者の容態、及び用いられる組成物及び/又は薬剤の実際の選択に依存して、併用治療の組成物及び/又は薬剤は共に(例えば、同時に、本質的に同時に、又は同一の治療手順内で)又は連続的に投与される。
【0178】
ある実施例では、付加的な治療薬剤は、局所薬、かゆみ止め薬、マスタード塗布、骨髄移植、幹細胞移植、手術、光線療法、化学療法、光線化学療法、放射線治療、免疫治療、放射線免疫治療、又は全身療法のような付加的な抗癌剤である。
【0179】
併用療法に用いられるそのような抗癌剤の例は、例えば、局所ステロイド、BCNU(カルムスチン)、ナイトロジェンマスタード、光線療法、局所イミキモド、EBD、MTX、ドキソルビシン(ドキシル)、ゲムシチビン、エトポシド、ペントスタチン、サイトカイン、インターフェロン、5-アザ-2’-デオキシシチジン、オールトランスレチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(グリーベック(登録商標))、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY 11-7082、PKC412、又はPD184352のあらゆる組み合わせを含む。
【0180】
併用療法における抗癌剤の他の例は、微小管形成を促進及び安定化させて作用する抗癌剤である「パクリタキセル」とも言われるタキソール(登録商標)、及びタキソテール(登録商標)のようなタキソール(登録商標)の類似体を含む。共通構造特性として、基本タキサン骨格をもつ化合物は、微小管を安定化することにより細胞をG2-M期に停止させる能力があることが示されており、ある実施例では、本願記載の化合物と組み合わせて癌を治療するのに有用である。
【0181】
併用療法における抗癌剤の他の例は、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アンスラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタト、ベンゾデパ、ビカルタミド、塩酸ビサントレン、ビスナフィドジメシレート、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブサルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロラムブシル、シロレマイシン、クラドリビン、クリスナトールメシラート、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、デザグアニンメシラート、ジアジクオン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキサート、塩酸エフロニチン、エルサミトラシン、エンロプラチン、エンプロメート、エピプロピジン、塩酸エピルビシン、エルブロゾール、塩酸エソルビシン、エストラムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エトプリン、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、ホストリエシンナトリウム、塩酸ゲムシタビン、ヒドキシウレア、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモホシン、インターロイキンII(組み替えインターロイキンII、又はrIL2)、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-n1、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンガンマ-1b、イプロプラチン、塩酸イリノテカン、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール、ロメテレキソールナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン、マソプロコール、マイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メジストロール、酢酸メレンジストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、マイトカルシン、マイトクロミン、マイトジリン、マイトマルシン、マイトマイシン、マイトスパー、マイトタン、塩酸マイトキサントロン、マイコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、ペグアスパラガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポサルファン、塩酸ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、セムスチン、シムトラゼン、スパルホサートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、テガフール、塩酸テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン、塩酸ツブロゾール、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシナート、硫酸ビンロイロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、塩酸ゾルビシンを含む。
【0182】
併用療法における抗癌剤の他の例は、20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD3、5-エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アンタレリクス、抗背側化形態形成タンパク質-1、アンチアンドロゲン、前立腺癌、アンチエストロゲン、アンチネオプラストン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、グリシンアフィジコリン、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシスレギュレーター、アプリン酸、ara-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン、ベータラクタム誘導体、ベータ-アレチン、ベータクラマインB、ベツリン酸、bFGFモジュレーター、ビカルタミド、ビサントレン、ビサジリジニルスペルミン、ビスナフィド、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフレート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンサルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体、カナリアポックスIL-2、カペシタビン、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN 700、軟骨由来モジュレーター、カルゼレシン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリックス、クロルリン、クロロキノクサリンスルホンアミド、シカプロスト、シス-ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クランベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロペンタンスラキノン、シクロプラタム、シペマイシン、シタラビンオクホスフェート、細胞溶解因子、シトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスファミド、デクスラゾキサン、デクスベラパミル、ジアジクオン、ジデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ-5-アザシチジン、9-ジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン、エミテフール、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エクセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルニシン、ホルフェニメクス、ホルメスタン、ホストリエシン、ホテムスチン、ガドリニウムテクサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリクス、ゲラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプサルファム、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ハイパリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモホシン、イルマスタト、イミダゾアクリドネス、イミクイモド、免疫刺激ペプチド、インスリン様成長因子-1受容体モジュレーター、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン、インターロイキン、イオベングアン、ヨードドキソルビシン、イポメアノール, 4-、イロプラクト、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、三酢酸ラメラリン-N、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトルスタチン、レトロゾール、白血病阻害因子、白血球アルファインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、ロイプロレリン、レバミソール、リアロゾール、リニアポリアミン類似体、脂溶性ジサッカリドペプチド、脂溶性プラチナ化合物、リソクリナミド7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメトレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロバスタチン、ロクソリビン、ルートテカン、ルテチウムテクサフィリン、リソフィリン、溶解ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタト、マソプロコール、マスピン、マトリリシン阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、メノグラリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIFモジュレーター、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、マイトグアゾン、マイトラクトール、マイトマイシン類似体、マイトナルフィド、マイトトキシン繊維芽細胞成長因子-サポリン、マイトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、モノホスホリルリピッドA+マイオバクテリア細胞壁sk、モピダモル、多重薬剤耐性遺伝子モジュレーター、多重癌抑制1-ベース治療、マスタード抗癌剤、マイカペロキシドB、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン、N-アセチルジナリン、N-置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチップ、ナロクソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン、一酸化窒素モジュレーター、窒素酸化物アンチオキシダント、ニトルリン、O6-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンステロン、オンダンセトロン、オラシン、経口サイトカイン誘導物、オルマプラチン、オサテロン、オクサリプラチン、オクサウノマイシン、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン、パルミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペグアスパラガーゼ、ペルデシン、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルホスファミド、ペリリルアルコール、フェナンジノマイシン、フェニル酢酸、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニル、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノーゲン活性化因子モジュレーター、プラチナ複合体、プラチナ化合物、プラチナ-トリアミン複合体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニソン、プロピルビスアクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、プロテインAベース免疫モジュレーター、プロテインキナーゼCモジュレーター、プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻類、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオチドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras-GAPモジュレーター、ジメチル化レテリプチン、エチドロン酸レニウムRe 186、リゾキシン、リボザイム、RIIレチナミド、ログレチミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロクイニメクス、ルビジノンB1、ルボキシル、サフィンゴール、サイントピン、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi 1模倣剤、セムスチン、老化由来モジュレーター1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シグナル伝達モジュレーター、一本鎖抗原結合タンパク質、シゾフィラン、ソブゾキサン、ボロカプテートナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルフォス酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、幹細胞モジュレーター、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド、ストロメルシン阻害剤、スルフィノシン、超活性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト、スラジスタ、スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフル、テルラピリリウム、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、タリブラスチン、チオコラリン、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣剤、サイマルファシン、サイモポエチン受容体アゴニスト、サイモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、チタノセン二塩化物、トプセンチン、トレミフェン、多能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルルリジン、トリシリビン、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、チルホスチン、UBC阻害剤、ウベニメクス、ウロゲニトール膿瘻由来成長阻害因子、ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト、バプレオチド、バリオリンB、ベクターシステム、赤血球遺伝子治療、ベラレソール、ベルアミン、ベルジン、ベルテポーフィン、ビノレルビン、ビンクサルチン、ビタキシン、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、及びジノスタチン刺激因子を含む。
【0183】
併用療法における抗癌剤の更に他の例は、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシルなど)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチンなど)、又はトリアゼン(デカルバジンなど)のような、アルキル化剤、代謝拮抗物質、天然産物、又はホルモンを含む。代謝拮抗物質の例は、葉酸類似体(例えば、メトトレキセート)、又はピリミジン類似体(例えば、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)を含むが、これらに限定される訳ではない。
【0184】
併用療法における抗癌剤として有用な天然産物の例は、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、又は生体反応調節物質(例えば、インターフェロンα)を含むが、これらに限定される訳ではない。
【0185】
併用療法におけるアルキル化剤の例は、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メイファランなど)、エチレンイミド及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンなど)、又はトリアゼン(デカルバジンなど)を含むが、これらに限定される訳ではない。代謝拮抗物質の例は、葉酸類似体(例えば、メトトレキセート)、又はピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクソウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)を含むが、これらに限定される訳ではない。
【0186】
併用療法における抗癌剤として有用なホルモン及びアンタゴニストの例は、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニソン)、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール)、アンチエストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン)、アンチアンドロゲン(例えば、フルタミド)、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えば、ロイプロリド)を含むが、これらに限定される訳ではない。選択的HDAC8阻害剤を含む組成物と組み合わせて用いることができる抗癌剤の例は、プラチナ配位複合体(例えば、シスプラチン、カルボブラチン)、アンスラセンジオン(例えば、マイトキサントロン)、置換ウレア(例えば、ヒドロキシウレア)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制剤(例えば、マイトタン、アミノグルテチミド)を含む。
【0187】
併用療法において、微小管を安定化することでG2-M期に細胞を停止させることにより作用する抗癌剤の例は、以下の市販薬剤及び開発中薬剤を含むが、これらに限定されない。:エルブロゾール(R-55104としても知られる)、ドラスタチン10(DLS-10及びNSC-376128としても知られる)、ミボブリンイセチオナート(CI-980としても知られる)、ビンクリスチン、NSC-639829、ディスコデルモリド(NVP-XX-A-296としても知られる)、ABT-751(アボット、E-7010としても知られる)、アルトリルチン(アルトリルチンA及びアルトリルチンCのような)、スポンジスタチン(スポンジスタチン1、スポンジスタチン2、スポンジスタチン3、スポンジスタチン4、スポンジスタチン5、スポンジスタチン6、スポンジスタチン7、スポンジスタチン8、及びスポンジスタチン9のような)、塩酸セマドチン(LU-103793及びNSC-D-669356としても知られる)、エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(デスオキシエポチロンA又はdEpoAとしても知られる)、エポチロンD(KOS-862、dEpoB、及びデスオキシエポチロンBとも言われる)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N-オキシド、エポチロンA N-オキシド、16-アザ-エポチロンB、21-アミノエポチロンB(BMS-310705としても知られる)、21-ヒドロキシエポチロンD(デスオキシエポチロンF及びdEpoFとしても知られる)、26-フルオロエポチロン、オーリスタチンPE(NSC-654663としても知られる)、ソブリドチン(TZT-1027としても知られる)、LS-4559-P(ファルマシア、LS-4577としても知られる)、LS-4578(ファルマシア、LS-477-Pとしても知られる)、LS-4477(ファルマシア)、LS-4559(ファルマシア)、RPR-112378(アベンティス)、硫酸ビンクリスチン、DZ-3358(第一)、FR-182877(藤沢、WS-9885Bとしても知られる)、GS-164(武田)、GS-198(武田)、KAR-2(ハンガリー科学アカデミー)、BSF-223651(BASF、ILX-651及びLU-223651としても知られる)、SAH-49960(リリー/ノバルティス)、SDZ-268970(リリー/ノバルティス)、AM-97(Armad/協和発酵)、AM-132(Armad)、AM-138(Armad/協和発酵)、IDN-5005(インデナ)、クリプトフィシン52(LY-355703としても知られる)、AC-7739(味の素、AVE-8063A及びCS-39.HCIとしても知られる)、AC-7700(味の素、AVE-8062、AVE-8062A、CS-39-L-Ser.HCI、及びRPR-258062Aとしても知られる)、ビチレブアミド、ツブリシンA、カナデンソール、セントウレイヂン(NSC-106969としても知られる)、T-138067(T-67、TL-138067及びTI-138067としても知られる)、COBRA-1(パーカーヒューズ研究所、DDE-261及びWHI-261としても知られる)、H10(カンザス州立大学)、H16(カンザス州立大学)、オンコシヂンA1(BTO-956及びDIMEとしても知られる)、DDE-313(パーカーヒューズ研究所)、フィジアノリドB、ラウリマリド、SPA-2(パーカーヒューズ研究所)、SPA-1(パーカーヒューズ研究所、SPIKET-Pとしても知られる)、3-IAABU(サイトスケルトン/マウントサイナイ医学部、MF-569としても知られる)、ナルコシン(NSC-5366としても知られる)、ナスカピン、D-24851(アスタメディカ)、A-105972(アボット)、ヘミアステルリン、3-BAABU(サイトスケルトン/マウントサイナイ医学部、MF-191としても知られる)、TMPN(アリゾナ州立大学)、アセチルアセトンバナドセン、T-138026(テュラリック)、モンサトロール、イナノシン(NSC-698666としても知られる)、3-IAABE(サイトスケルトン/マウントサイナイ医学部)、A-204197(アボット)、T-607(テュラリック、T-900607としても知られる)、RPR-115781(アベンティス)、エリゥテロビン(デスメチルエロイテロビン、デスアセチルエロイテロビン、イソエロイテロビンA、及びZ-エロイテロビン)、カリベオシデ、カリベオリン、ハリコンドリンB、D-64131(アスタメディカ)、D-68144(アスタメディカ)、ディアゾンアミドA、A-293620(アボット)、NPI-2350(ネレウス)、タッカロノリドA、TUB-245(アベンティス)、A-259754(アボット)、ディオゾスタシン、(-)-フェニルアヒスチン(NSCL-96F037としても知られる)、D-68838(アスタメディカ)、D-68836(アスタメディカ)、マイオセベリンB、D-43411(ツェンタリス、D-81862としても知られる)、A-289099(アボット)、A-318315(アボット)、HTI-286(SPA-110、トリフルオロ酢酸塩としても知られる)(ワイス)、D-82317(ツェンタリス)、D-82318(ツェンタリス)、SC-12983(NCI)、リン酸レスベラスタチンナトリウム、BPR-OY-007(国家衛生研究院)、及びSSR-250411(サノフィ)
【0188】
ある実施例では、付随的な治療剤は、付随的な抗凝血剤である。ある実施例では、抗凝血剤はトロンビンモジュレーター、因子IXaモジュレーター、因子Xaモジュレーター、又はそれらを組み合わせたものである。ある実施例では、トロンビンモジュレーターはイノガトラン(登録商標)、メラガトラン(登録商標)又はそれらの前薬剤である。ある実施例では、因子XaモジュレーターはCurrent Opinion in Therapeutic Patents, 1993, 1173-1179(そのような開示に対する参照として、本願に組み込まれている)に記載されている;4-{4-[4-(5-クロロインドール-2-イルスルフォニル)ピペラジン-1-カルボニル]フェニル}-ピリジン-1-オキシド;アンチスタチン、マダニ抗凝血ペプチド(TAP);SQ-311;SQ-315;SN-292;SN-429;SN 116;RPR-208707;XU-817;SF-324;SF-303;YM 60828;FACTOREX;SF-324;DX9065A;1-(4-カルバミミドイルベンジル)-4-(6-クロロナフタレン-2-イルスルフォニル)-ピペラジン-2-オン;M55555;DPC423 (1-(3-カルバミミドイルフェニル)-2-(2'-アミノルスルホニル[1,1'-ビフェニル]-4-イルアミノカルボニル)-4-ブロモピロール, 3-(3,5-ジフルオロ-6-[3-(4,5ジヒドロ-1-メチルイミダゾール-2-イル)-フェノキシ]-4-[2,3-ジヒドロキシ-プロポキシ]-ピリジン-2-イルオキシ)-4-ヒドロキシベンズアミジン;ZK-807834;1,4-ジアザ-4-(6-クロロナフタレン-2-イルスルホニル)-6-(メトキシメチル)-7-オクサ-1'-(ピリジン-4-イル)スピロ[ビシクロ-[4-3.0]-ノナン-8,4'-ピペリジン]-2-オン;(S)-1-(4-アミノキナゾリン-7-イルメチル)-4-[2-(5-クロロチエン-2-イルオキシ)アセチル]-3-メトキシ-メチルピペラジン-2-オン;3-(2-[4-(2-アミノスルホニル-フェニル)ベンゾイル]フェノキシ)-ベンズアミジン;及び4-(2-[4-(5-クロロインドール-2-イル-スルホニル)-2-(ピロリジン-1-イルカルボニルメチル)ピペラジン-1-イル-カルボニル]-チアゾール-5-イル)ピリジンN-オキシド
【0189】
ある実施例では、組成物が併用療法に用いられるとき、治療有効用量は変化する。併用療法計画で使用する、組成物及び/又は薬剤の治療有効用量を実験的に決定する方法は、文献に記載されている。例えば、メトロノーム投薬、すなわち、毒性のある副作用を最小化するため、より頻繁により少ない量を与える方法の使用は、文献に広く記載されている。更に併用療法は、患者の臨床管理を助けるために、様々な時間で開始及び停止する周期的治療を含む。
【0190】
本願記載の併用療法では、共投与する組成物及び/又は薬剤の用量は、当然用いる共薬剤のタイプ、用いられる特定の薬剤、治療される病気及び状態などによって変化する。更に、ある実施例では、一つ又はそれ以上の生物学的に活性のある薬剤を共投与するとき、本願で供与される組成物は、生物学的に活性のある薬剤と同時に、又は連続的に投与される。連続的に投与される場合には、生物学的に活性のある薬剤と組み合わせるタンパク質の適切な投与順を、主治医は決定する。
【0191】
他の実施例では、あらゆる場合において、多重組成物及び/又は薬剤(それらのうち一つは分子式Iの化合物である)は、任意の順番又は同時に投与される。もし同時の場合は、多重治療薬剤は単一の統合された形態又は複数の形態で供与される。更なる実施例では、治療薬剤の一つは様々な用量、又は治療薬剤の両方が様々な用量で与えられる。他の実施例では、もし同時でない場合には、多重投与間のタイミングは0週間以上4週間未満で変化する。更に、併用法では2つの薬剤だけを使用するとは限らず、多重治療の組み合わせ使用も又想定される。
【0192】
ある実施例では、本願で開示された併用療法を構成する薬剤は、実質的に同時投与を意図して、結合された形態又はそれぞれ別個の形態にある。更なる実施例では、併用療法を構成する薬剤は又、2段階投与と呼ばれる投薬計画に従って、どちらかの薬剤が投与された状態で、連続的に投与される。他の更なる実施例では、2段階投与計画は、活性薬剤の連続的投与、又は別個の活性化薬剤の間をあけた投与を指示する。一つの実施例では、薬剤の効能、溶解度、バイオアベイラビリティ、血漿半減期、及び速度プロフィールといったそれぞれの薬剤の特性に依存して、多重投与間の時間間隔は数分から数時間の幅がある。更なる実施例では、標的分子濃度のサーカディアン変化も又、最適間隔を決定する。
【0193】
ある実施例では、病気又は症状の前、最中、もしくは後に併用療法の組成物が投与され、分子式Iの化合物を含む組成物の投与タイミングは変化する。従って、例えばある実施例では、組成物は予防として用いられ、病気又は症状の発生を抑制するために、病気又は症状を発症しそうな個体へ持続的に投与される。もう一つの実施例では、症状の出ている間、又は症状が現われて間もなく、組成物は投与される。更なる実施例では、症状の発症後48時間以内に、症状の発症後48時間以内に、症状の発症後6時間以内に、そして症状の発症後3時間以内に、組成物の投与が開始される。他の更なる実施例では、最初の投与は、例えば静脈注射、ボーラス注入法、5分から5時間に渡る点滴、錠剤、カプセル、経皮パッチ、口腔投与、及びそれらに類似したもの、又はこれらを組み合わせたあらゆる実用的な手段で行われる。更なる他の実施例では、病気又は症状の発症が検出又は疑われるとすぐに、且つ例えば、約1カ月から約3ヶ月といった病気の治療に必要な時間、組成物は投与される。別の実施例では、治療期間は各個体により変化し、その期間は既知の基準を用いて決定される。例えば、少なくとも2週間、約1カ月から約5年、及び約1カ月から約3年間、化合物Iを含む組成物は投与される。
【0194】
(V. 製品キット/品目)
本願開示は又、哺乳類における病気又は障害の兆候を診断、防止、治療、又は緩和するキットを提供する。そのようなキットは一般に、一つ又はそれ以上の本願で開示された薬学的に許容できるFVIIa モジュレーター組成物、及びキットを使用するための指示書を含む。本願開示は又、癌性腫瘍又は血栓塞栓障害をもつ、もつと疑われる、又は発症するリスクがあるヒトのような哺乳類で、病気、機能不全、又は障害の兆候を治療、低減、減少、又は緩和する薬剤の製造において、一つ又はそれ以上の組成物の使用を意図している。
【0195】
ある実施例では、分子式Iの化合物を含む組成物を投与するための、注射器を含む道具が、本願で開示されている。
【0196】
【化13】

【0197】
一つの実施例では、導入システムは注射器である。もう一つの実施例では、注射器に取り付けた針は、20ゲージよりも狭いものである。もう一つの実施例では、針ゲージは20-33である。更なる実施例では、針ゲージは28である。
【0198】
更にもう一つの実施例では、本願開示の化合物及び組成物の即時導入に用いられる針は、皮下注射針である。更なる実施例では、皮下注射針は一回使いきり針である。
【0199】
更にもう一つの実施例では、針は使い捨て針である。
【0200】
ある実施例では、本願開示の化合物及び組成物の導入には注射器が用いられ、ここで注射器はプレスフィット(ルアー)又はツイストオン(ルアーロック)調整をもつ。
【0201】
一つの実施例では、注射器は皮下注射器である。更にもう一つの実施例では、皮下注射器は一回使いきり注射器である。
【0202】
更なる実施例では、注射器は一回使いきり注射器である。
【0203】
もう一つの実施例では、注射器はプラスチック又はガラスでできている。
【0204】
更なる実施例では、ガラス注射器は滅菌可能である。更に他の実施例では、滅菌はオートクレーブで成される。
【0205】
もう一つの実施例では、注射器はシリンダー状の注射器本体を備え、そこに本願開示の化合物及び/又は組成物が使用前に保存されている。他の実施例では、注射器はシリンダー状の注射器本体を備え、そこに適切な薬学的に許容できる緩衝液と混合が可能なように、本願開示の化合物及び/又は組成物が使用前に保存されている。更なる実施例では、本願開示の化合物及び/又は組成物を安定化するため、注射器は安定化剤を含む。ある実施例では、注射器はシリンダー状の注射器本体を備え、ここで本体は区画化されており、それぞれの区画は本願開示組成物の成分を少なくとも一つ保存することができる。更なる実施例では、区画化された本体をもつ注射器は、腫瘍部位への注入前に成分の混合を可能とする。
【0206】
一つの実施例では、導入システムは多重注射器を備える。もう一つの実施例では、多重注射器のそれぞれの注射器は、少なくとも一つの本願開示組成物の成分を含み、それぞれの成分は注入前にあらかじめ混合、又は腫瘍部位へ注入されてから混合され得る。更なる実施例では、本願開示の注射器は少なくとも一つのリザーバーを備え、少なくとも一つのリザーバーは分子式Iの化合物、又は薬学的に許容できる緩衝液、又はそれらを組み合わせたものを備える。
【0207】
市場で入手できる導入装置が、注射器バレル、針を装着した針アセンブリー、プランジャーロッドをもつプランジャー、及びホールディングフランジを装着した、即時使用可能なプラスチック注射器という最も単純な形態で用いられる。概して、この装置の使用には、特に皮下注射が行われるとき、すなわち、まず可能な限り正確に定義される皮膚下の位置に針が挿入され、それがうまくいった場合のみ後に組成物が注入されるとき、熟練した操作が必要とされる。更なる実施例では、導入装置は自己投与に適している。
【0208】
皮膚を貫通又は穿刺する針又は他の道具なしに、ヒトの皮膚に直接薬剤を注入するため、数多くの装置が開発されてきた。これらの針無し注入システムは、皮膚を通して直接液体薬剤を導入するため、高圧源をもつ。様々な他の装置が、個人所有できる針無し注入を供給することを意図している。一つの実施例では、針の必要なしに本願開示の化合物及び/又は組成物を導入する。
【0209】
本願開示は又、通常一つ又はそれ以上の本願開示の化合物及び/又は組成物、及び特定の投薬計画又は様式にキットを用いるための指導書を含む、治療および診断キットを提供する。同様に、必要とする哺乳類の腫瘍部位に、生物学的有効量の治療薬剤を供給する方法において、本願開示は組成物の使用を与える。この方法は一般的に、治療される動物の特定の癌細胞、組織、又は器官へ生物学的有効量の治療薬剤を供給するため、本願開示の化合物及び/又は組成物を、必要とする哺乳類へ量的にも時間的にも十分量供給する段階を少なくとも含む。組成物の投与様式は、例えば、全身投与、又は本願記述の方法論を用いて哺乳類の細胞、組織、又は臓器への直接、関節、又は局所的注入を含む。
【0210】
ある実施例では、キットはキャリア、パッケージ、又は一つ又はそれ以上のバイアル、チューブ、及びそれらの類似体のような入れ物を収容できるよう区画化された容器を含み、それぞれの入れ物は本願記載の方法で用いられる別個の要素の一つを含む。例えば、適切な入れ物は、瓶、バイアル、注射器、及び試験管を含む。他の実施例では、入れ物はガラス又はプラスチックのような様々な物質より形成される。
【0211】
本願で与えられる製品は、包装材料を含む。薬学的産物を包装するのに用いられる包装材料は、ここに提示される。例えば、アメリカ特許第5,323,907号、第5,052,558号、及び第5,033,252号を参照せよ。薬学的包装材料の例は、選択された組成物、及び投与及び治療の意図する形式に適した、ブリスター包装、瓶、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、及びあらゆる包装材料を含むが、これらに限定される訳ではない。豊富な本願開示の化合物及び組成物は、凝血カスケード、FVIIa 、及び/又はTF-FVIIa 複合体の調節により改善されるであろう、あらゆる病気、障害、又は症状の様々な治療に用いられる予定である。
【0212】
例えば、場合によっては本願開示の組成物中、又はもう一つの薬剤と組み合わせて、容器は一つ又はそれ以上の本願記載化合物を含む。一つの実施例では、容器は場合によって滅菌されたアクセスポート(例えば、入れ物が静脈注射溶液バッグ、又は皮下注入針によって貫通できるストッパーをもつバイアルである)をもつ。そのようなキットは、場合によって識別記述、又はラベル、又は本願記載の方法による使用についての指示書を付された化合物を含む。
【0213】
ある実施例では、本願記述の化合物の使用に当たって、キットは、市場及びユーザー観点より求められる、一つ又はそれ以上の付加的容器を通常含み、それぞれの容器は一つ又はそれ以上の様々な物質を含む(試薬、場合によっては濃縮された形態の試薬、及び/又は装置のようなもの)。そのような物質の限定されない例は、緩衝液、希釈剤、濾紙、針、注射器、キャリア、パッケージ、容器、使用するに当たり内容物及び/又は指示書をリスト書きしたバイアル及び/又はチューブラベル、及び使用の為の指示書を含む添付文書を含むが、これらに限定される訳ではない。通常、指示書のセットも又含まれる。
【0214】
更なる実施例では、ラベルは容器上に記載、又は容器に添付される。更に他の実施例では、ラベルを形成する文字、数字、又は他の文字が容器自身に添えられる、貼り付けられる、又は刻み込まれるとき、ラベルは容器上に記載される。容器が、容器を支える貯蔵庫又はキャリア中にあるときは、ラベルは例えば、添付文書として容器に添付される。他の実施例では、内容物が特定の治療応用に用いられることを示すのにラベルは用いられる。更にもう一つの実施例では、本願記載の方法に書かれているよう、ラベルは又内容物を使用するに当たる指針を示す。
【0215】
もう一つの実施例では、単回用量分の再密閉できない入れ物に、水性懸濁組成物が入れられる。更なる実施例では、複数回用量分の再密閉可能な入れ物が用いられ、この場合は大抵組成物中に保存剤が含まれる。
【0216】
特定の実施例では、本願で与えられる化合物を含む、一回又はそれ以上の単位投薬量形態を含有する、パック又はディスペンサー装置で、薬学的組成物は提示される。もう一つの実施例では、例えばブリスター包装のように、パックは金属又はプラスチック薄片を含む。更なる実施例では、パック又はディスペンサー装置に、投与の指示書が添えられている。更に他の実施例では、パック又はディスペンサーは又、薬剤の製造、使用、又は販売を統制している政府機関によって規定された形の、容器に付随した公示が添えられており、その注意書きはヒト又は家畜へ投与する薬剤の形態に対して政府機関より承認を得ていることを示している。もう一つの実施例では、例えば、そのような注意書きは、処方薬に対するアメリカ食品医薬品局のラベル又は承認製品挿入物である。更にもう一つの実施例では、互換性のある薬剤キャリア中で処方された、本願で与えられる化合物を含む組成物もまた調製され、適切な容器に設置され、指示された症状の治療のためラベルされる。
【0217】
(実例)
本願開示の様々な態様及び利点が、以下の限定されない例によって示される。
【0218】
例1:マウスにおけるB16F10メラノーマ細胞による肺コロニー形成
分子式Iの化合物(3 x 50 mg/kg; 3 x 100 mg/kg)及びコントロールの賦形剤を、腫瘍接種の1.5時間前、及び腫瘍接種の4.5時間後及び24時間後に皮下投与した。その結果、コントロール賦形剤の場合、接種マウスの多くで相当数のB16F10コロニーが肺に形成された。3 x 50 mg/kgの投与後の結果、コントロール賦形剤と比較して大幅に少ない数のB16F10コロニーが肺に形成された。更に、3 x 100 mg/kgの投与後の結果も又、コントロール賦形剤と比較して大幅に少ない数のB16F10コロニーが肺に形成された。
【0219】
例2:C57BLマウスにおけるLewis肺癌腫瘍成長の阻害
分子式Iの化合物を、腫瘍細胞移植後4日目から皮下にゲル処方として投与した。コントロール実験における腫瘍体積は、投薬開始後6日目に約100 mm3だったものが、13日目には400 mm3以上、15日目に500 mm3以上と増加し続けた。100 mg/kgで1日2回(bid)4日間、その後の60 mg/kgで1日2回(bid)により、コントロールの投薬開始後6、9、13、及び15日目と比較して、C57BLマウスにおいてLewis肺癌腫瘍の腫瘍体積が減少した(P≦0.01)。更に、150 mg/kgで1日2回(bid)4日間、その後の90 mg/kgで1日2回(bid)によっても、コントロールの投薬開始後6、9、13、及び15日目と比較して、C57BLマウスにおいてLewis肺癌腫瘍の腫瘍体積が減少した(P≦0.01)。
【0220】
例3:ウサギへの持続性及びゲル組成物のSC導入後の、分子式Iの化合物のPK
表1に示されているのは、ウサギに持続性及びゲル組成物としてFVIIa モジュレーターを皮下導入した後の、分子式Iの化合物に対するウサギ中での薬物動態データである。異なった濃度及びpHにおける、持続性及びゲル組成物に対する平均血漿濃度曲線が、図6に示されている。
【0221】
【表1】

【0222】
例4:更なる生物学的分析
分子式Iの化合物の、静脈及び皮下投与後の薬物動態に関する情報を得るため、及びその皮下バイオアベイラビリティを決定するため、カニクイザルを用いて実験が行われた。試験物質は、溶液組成物(1.76 mg/mL)として静脈に、及びゲル組成物(107 mg/mL)として皮下に投与された。ゲル組成物(107 mg/mL)として皮下投与した後、分子式Iの化合物は中程度の吸収速度を示し、平均して投薬の3.33時間後に最大血漿濃度に達した(下の表1に示される)。10.7 mg/kgの皮下投与後の最大観察血漿濃度は11.6 μg/mLであり、この値は1.76 mg/kgの静脈注射を行った後に観察されたCmaxの74%であった。皮下投与後の最終半減期は7.43時間であり、この値は静脈投薬後のガンマ相半減期と同等であった。10.7 mg/kgで一回投与した後の、試験物質の皮下バイオアベイラビリティは、138±33%と見積もられた。皮下投与後の全身暴露(AUC)に対する相対標準偏差は、20.9%(n=3)であった。
【0223】
【表2】

【0224】
例5:C57BL/6マウスにおける分子式Iの化合物の血漿濃度及びプロトロンビン時間の変化
C57BL/6マウスに、皮下注射により1日2回2日間、分子式Iの化合物をゲル組成物として投薬した。3回目及び4回目の投薬後の選ばれた時点において、LC-MS/MSを用いて分子式Iの化合物の血漿濃度を測定した。薬剤投与後、血漿濃度は用量依存的に上昇し、45 mg/kg/doseで行った3回目の投与の3時間後に15 μg/mLに達した。すべての用量レベルにおいて、薬剤血漿濃度は3回目の投与後6時間までにかなり減少し、4回目の投与に伴い用量依存的に再び上昇した。最大薬剤血漿レベルは、45 mg/kg/doseで行った4回目の投与の2時間後に30 μg/mL以上に達し、投与後4時間までに13 μg/mLへと落ちた。22.5 mg/kg/doseで4回目の投薬を行った場合は、2時間の時点で11 μg/mLまで上昇し、4時間の時点でも高いままであった。すべての用量レベルにおいて、4回目の投薬後18時間における薬剤血漿濃度は、ベースライン又はほぼベースラインであった。プロトロンビン(PT)時間は、4回目の投薬後0(投薬前)、2、4及び18時間後に測定した。図7に示されているように、PT時間の変化は薬剤血漿濃度の変化によく相関しており、45 mg/kg/doseでの投与後2時間の時点で、ベースラインの1.8倍となるPT時間の最大変化が起こった。
【0225】
例6:分子式Iの化合物の毒性研究
分子式Iの化合物のゲル処方を、皮下注射により1日2回28又は29日連続、1日総用量0(賦形剤)、3、12、又は36 mg/kg/day(それぞれ、HED=0.96、3.84、及び11.5 mg/kg/dayに対応)で、カニクイザルに投与した。
【0226】
36 mg/kg/dayグループの雄及び雌カイクイザルで記録された臨床的兆候は、低摂餌量、身体又は顔面部の蒼白さ、投薬部位の腫れ、発赤及び痂皮形成であった。
【0227】
36 mg/kg/dayグループに属する1匹の雌カニクイザルが、投薬以前から異常に高い活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)値を示し、投薬3日後に激しい外出血を起こしたため、安楽死させられた。
【0228】
赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、及び平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)の低下、及び/又は高い網状赤血球数、及び/又は高い平均赤血球体積(MCV)が、実験14及び26日目に12及び36 mg/kg/dayグループの雄及び雌カニクイザルで観察された。
【0229】
36 mg/kg/day用量レベルにおける赤血球細胞パラメーターへの影響は、実験14日目と比較して実験26日目の方がより深刻であった。コントロールグループの値と比較すると、36 mg/kg/day用量レベルでの平均赤血球数は、実験14日目に雄で39%、雌で31%減少し、実験26日目には雄で58%、雌で42%減少した。コントロールグループの値と比較すると、12 mg/kg/day用量レベルでの平均赤血球数は、実験26日目に雄で8%、雌で17%減少していた。
【0230】
組織学的には、皮下出血及び浮腫を有する注射部位は、用量依存的に重症度及び頻度の点で増加した。
【0231】
胸骨骨髄及び脾臓は、増加した赤血球形成の指標であるシフトを示す。溶血の臨床的証拠の欠如、及び骨髄及び血中での活発な赤血球形成は、観察されたRBC異常が出血によるものであることを示している。
【0232】
36 mg/kg/dayを投与した雄において、腎臓髄質内の抹消直尿細管の間で、延髄放射状組織に沿って最小から中程度の間質の広がりが記された。
【0233】
28又は29日連続の、サルへの分子式Iの化合物の皮下投与に対する無毒性量(NOAEL)は、3 mg/kg/day(HED=0.96 mg/kg/day)であった。
【0234】
例7:分子式Iの化合物を含む溶液の製造
段階1.製造標準的手順により、組成物又は薬剤製品の成分と接触することとなる、すべての装置及び素材を清潔にし、滅菌し、及び脱パイロジェン化する。
【0235】
段階2.滴定緩衝液の調製
a. 400 mLの注入用滅菌水(SWFI)を、滅菌した脱パイロジェン化した1 Lのガラスビーカーに加える。40グラムのNaOH NFを加える。SWFIを総体積500 mLになるように加える。撹拌棒を加え、NaOHが溶けるまで混合する。ラベルする。
b. 400 mLのSWFIを、滅菌した脱パイロジェン化した1 Lのガラスビーカーに加える。18.23グラムのHCl NFを加える。SWFIを総体積500 mLになるように加える。撹拌棒を加え、均一になるまで混合する。ラベルする。
【0236】
段階3.組成物の調製
a. 2000 gのSWFIを、滅菌・脱パイロジェン化した磁性撹拌棒の入った、新しい滅菌・脱パイロジェン化した4 Lのガラスビーカーに加える。
b. 撹拌を開始する。撹拌速度を、わずかな渦巻きができるぐらいにセットする。必要に応じて、過程中に調節する。溶液温度は20-25℃の間に調節する。
c. 38.4グラムのNaOH NFを加え、溶けるまで混合する。
d. 2.91グラムのトロメタミンUSPを加え、溶けるまで混合する。
e. 最終濃度120 mg/mLになるよう、加えるべき分子式Iの化合物総量を計算する。製造元の分析証明書に従って、水含有量及び純度を補正する。
f. 分子式Iの化合物の計算量の50%を加える。すべての溶けていないAPIがよく懸濁されるような速度で撹拌する。琥珀色の溶液が得られる。
g. 新しい、専用の、補正されたpHプローブを溶液に入れる。
h. 分子式Iの化合物の計算量の20%を加える。すべての溶けていない薬剤物質がよく懸濁されるような速度で撹拌する。
i. 30分の撹拌後、もし溶液が得られておらず、pHがpH10.0以下である場合は、2 N NaOHを加えてpH11.0まで混合物のpHを上げる。
j. 分子式Iの化合物の計算量の10%を加える。すべての溶けていない薬剤物質がよく懸濁されるような速度で撹拌する。
k. 30分の撹拌後、もし溶液が得られておらず、pHがpH9.0以下である場合は、2 N NaOHを加えてpH10.0まで混合物のpHを上げる。
l. 分子式Iの化合物の計算量の5%を加える。すべての溶けていない薬剤物質がよく懸濁されるような速度で撹拌する。
m. 30分の撹拌後、もし溶液が得られておらず、pHがpH8.9以下である場合は、2 N NaOHを加えてpH8.9に近い値まで、しかしpH8.9を超えないように、混合物のpHを上げる。
n. 分子式Iの化合物の計算量の5%を加える。すべての溶けていない薬剤物質がよく懸濁されるような速度で撹拌する。
o. 30分の撹拌後、もし溶液が得られておらず、pHがpH8.9以下である場合は、2 N NaOHを加えてpH8.9に近い値まで、しかしpH8.9を超えないように、混合物のpHを上げる。
p. 分子式Iの化合物の計算量の5%を加える。すべての溶けていない薬剤物質がよく懸濁されるような速度で撹拌する。
q. 30分の撹拌後、もし溶液が得られておらず、pHがpH8.9以下である場合は、2 N NaOHを加えてpH8.9に近い値まで、しかしpH8.9を超えないように、混合物のpHを上げる。
r. 分子式Iの化合物からなる組成物の計算量の5%を加える。すべての溶けていない薬剤物質がよく懸濁されるような速度で撹拌する。
s. 30分の撹拌後、もし溶液が得られておらず、pHがpH8.9以下である場合は、2 N NaOHを加えてpH8.9に近い値まで、しかしpH8.9を超えないように、混合物のpHを上げる。
【0237】
段階4:組成物の最終調製
a. 2 N NaOH又は1 M HClを加えて、pHを8.6-8.9に調整する。
b. SWFLを加えて、溶液の最終重量を2568グラム(2400 mL)にする。
c. 滅菌及び脱パイロジェン化したバイアルに、1.2 mLの薬剤製品を分注する。それぞれのバイアルに栓をする。それぞれのバイアルをシールする。ガラスにひびが入っていないか、不均一にシールされていないかといった大きな欠陥がないか、それぞれの密閉されたバイアルを検証する。粒子状物質が存在しないか、それぞれのバイアルを検証する。適当なラベルをそれぞれのバイアルに添付する。冷蔵庫(5±3℃)でバイアルを保存する。
【0238】
例8:分子式Iの化合物に対する中枢神経系(CNS)応答に関する動物実験
分子式Iの化合物に対する潜在的な中枢神経系(CNS)薬学的応答を評価するため、6匹の雄から成る4グループのラットに、例7に記述された組成物を単回用量注入した。薬剤は0(賦形剤)、30、90、及び240 mg/kgの用量で、皮下注射により投与された。
【0239】
薬剤投与前の6日間、すべての動物に対して、改変された機能観察バッテリー及び定性的運動活動データが記録された。改変された機能観察バッテリー及び定性的運動活動データは又、薬剤投与後約30、90、150、300、及び1440分後から開始して記録された。
【0240】
すべての用量レベルで、治療に関連した毒性は見られなかった。
【0241】
例9:分子式Iの化合物に対する呼吸器系応答に関する動物実験
分子式Iの化合物の呼吸器系への潜在的影響を評価するため、8匹の雄から成る4グループのラットに、例7に記述された組成物を単回用量注入した。薬剤は0(賦形剤)、30、90、及び240 mg/kgの用量で、皮下注射により投与された。
【0242】
240 mg/kgの用量レベルでは、投与直後から投与後60分の間(16%まで低下)及び投与後226-300分の間(15%まで低下)に、一回換気量の低下が観察された。
【0243】
例10:分子式Iの化合物に対する心臓血管系応答に関する動物実験
分子式Iの化合物の心臓血管系への潜在的影響を評価するため、例7に記述された組成物の漸増単回皮下用量をカニクイザルに投与した。用量は0(賦形剤)、3、12、及び36 mg/kgであった。
【0244】
例7で記述された36 mg/kgの組成物を投与した後、高い心拍数(27%まで上昇)及び体温上昇(0.4℃まで上昇)が観察された。
【0245】
例11:動物PK試験
ラット、犬、サル、及びヒヒにおいて、溶液状態で皮下投与された分子式Iの化合物のバイオアベイラビリティは、95%から124%の間であった。
【0246】
犬においては、分子式Iの化合物を皮下注入後、最大血漿濃度に達するまでの時間(Tmax)は0.5時間であった。
【0247】
ヒヒにおいては、分子式Iの化合物を皮下注入後、最大血漿濃度に達するまでの時間(Tmax)は2.75時間であった。
【0248】
皮下投与後、分子式Iの化合物の最終半減期(t1/2)は、ラットで2.67時間、犬で5.68時間、サルで5.40から8.14時間、及びヒヒで7.21時間であった。
【0249】
例12:第I相臨床試験
治験目的
プロトロンビン時間を2倍に増加するような(プロトロンビン時間の国際標準化比率(INR)=2)、例7に記載された組成物の用量の決定
【0250】
調査薬剤、用量、経路、投与計画
例7に記載された組成物を、0.20 mg/kgの単回投与計画で皮下投与した。
【0251】
図11に結果が記されている。
【0252】
例13:臨床試験
指示:病気の進行が、因子VIIaのタンパク質分解活性に依存している癌における、腫瘍成長、転移、及び血管新生の抑制
【0253】
治験目的
第1目的:コーホート平均ピークINR(プロトロンビン時間[PT]の国際標準化比率)≧2.0又はあらゆる検体に対してピークINR≧3.0における、例7記述の組成物の薬学的有効、単回、皮下用量の決定
【0254】
第2目的:例7記述の組成物の単回、皮下用量の安全性及び許容性の評価、及び健常成人における薬力学及び薬物動態的プロフィールの決定
【0255】
治験計画
健常成人へ単回投与計画で皮下投与される、例7に記載された組成物の5用量レベルコーホートまでの第1相、単一施設、非盲検、用量増加治験
【0256】
コーホート間で少なくとも3日の追跡の後、それぞれの連続的なコーホートにおいて、1人から4人の健常成人に投薬される。
【0257】
用量制限毒性(DLT)がないときには、薬学的有効用量が決定されるまで(コーホート平均ピークINR≧2.0、又はあらゆる検体に対してピークINR≧3.0)、又は最大予定用量である3.0 mg/kgが達成されるまで、次の用量レベルまで用量増加を行う。DLTなしにコーホート平均ピークがINR≧1.7であり<2.0(又は、個別ピークINRが≧2.4であり<3.0)が達成された場合は、当初計画の半分の量だけ次の用量レベルへの増加を行う可能性がある。DLTは、あらゆる最小以上の有害反応の発生として定義される(すなわち、第3版 国立癌研究所・有害事象に対する専門用語基準[CTCAE]に定義される、あらゆるグレード2又はそれよりも高い有害反応)。
【0258】
例7に記載された組成物の血漿濃度に対応する抗凝血作用を評価するため、それぞれの検体のPTより算出されるINRを、ベースラインで、1日目は8回、及び最低2日連続で結果が標準幅に入るまで毎日モニターする。仮にDLTが4検体のうち1検体で起こった場合、その出来事を調査した後、医療モニター及び治験責任医師間での互いの同意の元、更なる検体への投薬が進められる。更なる1から4検体には、同一の用量レベルで投与され得る。医療モニター及び治験責任医師による安全性データの調査の後、8検体のうち1検体もDLTを起こさない場合には、次の用量レベルへと用量増加が行われる。仮に単回用量レベルコーホートにおいて、2もしくはそれ以上の検体がDLTを起こす場合は、その前の用量レベルが最大許容用量(MTD)として設定される。仮にあらゆる用量においてDLTが起こらない場合は、最も高い試験用量が、コーホート平均ピークINR≧2.0又はあらゆる検体に対してピークINR≧3.0となる、例7に記載された組成物の最初の用量レベルとなる。
【0259】
この薬剤に対するヒト毒性はまだ定義されていないので、薬剤への帰属には問題があり、明らかに関係がない場合を除き(例えば、環境によるもの)、すべての毒性は薬剤に関係するものとして考慮すべきである。CTCAEによって定義される臨床的に意味のある毒性、及び有害事象(AEs)の調査薬剤関連性は、治験の臨床モニターとの相談により筆頭治験責任医師によって決定される。治験中に臨床的に重大な出血を呈したあらゆる検体は、適切な調査薬剤排除期間の後、関連する凝血因子及び血小板機能の詳細な調査を受ける。
【0260】
調査期間
コーホートごとに15±2日
【0261】
調査個体
18から65歳の、約20から40人の健常な成人男子又は女子(用量レベルコーホートにつき4から8検体)
【0262】
調査評価項目
第1調査項目
a. 薬学的活性用量(コーホート平均ピークINR≧2.0又はあらゆる検体に対してピークINR≧3.0となるような、最初の用量レベルとして定義される)、又はMTD及び関連DLT(原因に関わらず、CTCAEグレード≧2毒性)
【0263】
第2調査項目
a. 有害事象プロフィール
b. 例7に記載された組成物の、血漿Cmax、Tmax、半減期、及びAUC
c. 例7記述の組成物の尿中排出
【0264】
調査薬剤、用量、経路、投与計画
0.05 mg/kg、0.20 mg/kg、0.80 mg/kg、2.0 mg/kg、及び3.0 mg/kgの5つの用量レベルコーホートで、単回用量計画によって皮下投与される、例7に記載された組成物としての因子VIIaモジュレーター。
【0265】
訪問日程
1、2、3及び15±2日のスクリーニング訪問及び治験。実験室値を元に、更なる日数が必要とされることもある。
【0266】
評価
安全評価は有害事象、生命兆候、心電図、実験室調査(血液生化学パネル、血液学パネル、凝血パネル、尿検査を含む)、及び注入部位評価から成る。
【0267】
血液及び尿は、薬物動態調査のため回収される。
【0268】
参加基準
この治験に参加する資格を得るためには、検体は以下の基準をすべて満たさなければならない:
a. 18から65歳の健康な女性又は男性であり、
b. 18.5から30.0 kg/m2の肥満度指数をもち、
c. 通常のベースライン凝血をもつ、又は治験責任医師によって臨床的に重篤な疾患がないと判断されたものであり、
d. PTが11.5-14.5秒、aPTTが22-37秒であり、
e. 治験を理解する能力があり、治験に喜んで参加し、参加するために書面のインフォームドコンセントを与える能力のあるもの、
f. 健康状態が良く(すなわち、医学的状態に臨床的に重篤な問題がないもの)、薬で治療中でなくとも、安定した、よく統制された高血圧をもつもの、
g. 少なくとも12ヶ月は無月経、又は子宮全摘出手術を受けた女性であり、
h. 15±2日の追跡調査に参加できるもの、
i. 15±2日間の治験期間中に、接触スポーツ又は激しい活動に参加しないと同意できるもの。
【0269】
排除基準
以下の基準を一つでも満たす検体は、この治験から排除される。
a. 筆頭治験責任医師の意見で、「良い健康状態ではない」と判断された臨床的に重篤な病状の既往歴があるもの、
b. 試験期間中に、待機手術、歯科治療、又は局所麻酔を計画しているもの、
c. 外科手術又は出産後(輸血が必要となるほどの)、又は抜歯後(縫合が必要となるほどの)に、臨床的に重大な出血の既往歴があるもの、
d. 臨床的に重大な再発出血症状の既往歴があるもの、
e. 先天性凝血因子欠損の既往歴があるもの、
f. 後天的又は遺伝性血小板疾患があるもの、
g. 免疫不全の既往歴があるもの、
h. 血管系異常のあるもの、
i. 6ヶ月以内に大きな外傷又は外科手術、又は治験期間内に生体検査を計画しているもの、
j. 抗凝血剤(例えば、クマディン)及び抗血小板剤(例えば、アスピリン)を含む経口抗血栓剤による治療を現在受けているもの、又は必要とするもの、
k. 治験の全期間において、十分な避妊具の使用、又は精子提供を控えるのに不賛成な性的に活動的な男性、
l. 治験開始前3日以内に、頭痛、鼻炎、咳、咽頭痛、発熱、吐き気、及び/又は嘔吐の急性症状があったもの、
m. 治験開始前14日以内に、アスピリン又は他の非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)を使用したもの、又は治験期間中に使用する予定のあるもの、
n. 治験開始前3日以内に、アルコール、たばこ、又は他の薬剤(処方されたもの又は小売店で購入したもの)を服用したもの、又は治験期間中に服用する予定のあるもの、
o. 制御できない高血圧のあるもの(収縮時>160又は拡張時>100)、
p. 便潜血検査陽性のもの、
q. スクリーニング時の研究室試験によって、慢性活性B又はC型肝炎であると確認されたもの、
r. スクリーニング時の研究室試験によって、HIV感染が確認されたもの、
s. 腎不全をもつもの(BUN又はクレアチニン値>標準値の上限[ULN])、
t. 肝疾患をもつもの(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、又はGGT>ULN)、
u. 全身性抗凝血療法に対して禁忌があるもの、
v. 貧血のもの(Hgb<12 gm/dL)、
w. 血小板減少症(血小板数<150,000 /μL)、
x. 血尿があるもの(微視的に)、
y. 今回の治験に参加する前30日以内に、治験用医療機器、薬物治療、生物工学製品、又は他の薬剤が関わる治験へ参加したもの、又は治験期間中に参加する予定があるもの、
z. この治験の前回コーホートに参加したもの
【0270】
本願記載の例及び実施例は、例証目的のものであり、様々な修正又は変更が本願精神及び視野、及び請求の範囲に含まれるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に溶解した分子式Iの化合物又は水に溶解した該化合物の塩を含み、約8.0から約9.5の間のpHであることを特徴とする組成物。
【化1】

【請求項2】
100cps未満の粘度である溶液、ゲル、又は100cps以上の粘度である溶液の形態であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が溶液状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
塩基、その塩、又はそれらを組み合わせたものをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記塩基が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項4記載の組成物。
【請求項6】
緩衝液をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記緩衝液がアルカリ性リン酸塩、有機酸塩、無機酸塩、アミノ酸塩、又はそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記緩衝液がクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、グルタミン酸塩又はそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項9】
前記緩衝液がトロメタミンであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項10】
pHが約8.1から9.4の間であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記pHが約8.2から9.3の間であることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記pHが約8.4から9.1の間であることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項13】
前記pHが約8.5から9.0の間であることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項14】
前記pHが約8.6から8.9の間であることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項15】
前記分子式Iの化合物の濃度が約30mg/mL以上であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記分子式Iの化合物の濃度が約60mg/mL以上であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
前記分子式Iの化合物の濃度が約90mg/mL以上であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記分子式Iの化合物の濃度が約120mg/mLであることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が約2℃から約8℃において粘度の高い溶液を形成することを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、約3℃から8℃温度が上昇するように温められたときに粘度の低い溶液に戻ることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
前記粘度の高い溶液は、前記粘度の低い溶液に比べ、分解に対してより耐性があることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
水に溶解した塩基又はその塩及び分子式Iの化合物又は該化合物の塩を含み、約8.0から約9.5の間のpHであることを特徴とする組成物。
【化2】

【請求項23】
前記塩基が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項22記載の組成物。
【請求項24】
100cps未満の粘度である溶液、ゲル、または100cps以上の粘度である溶液の形態であることを特徴とする請求項22又は23に記載の組成物。
【請求項25】
さらに緩衝液を含むことを特徴とする請求項22乃至24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
前記緩衝液がアルカリ性リン酸塩、あるいは有機酸、無機酸、又はアミノ酸の塩のいずれかであることを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項27】
前記緩衝液がクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミンとグルタミン酸塩であることを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項28】
前記緩衝液がトロメタミンであることを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項29】
前記pHが約8.2から9.3の間であることを特徴とする請求項22乃至28のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
前記pHが約8.4から9.1の間であることを特徴とする請求項29記載の組成物。
【請求項31】
前記pHが約8.5から9.0の間であることを特徴とする請求項29記載の組成物。
【請求項32】
前記pHが約8.6から8.9の間であることを特徴とする請求項29記載の組成物。
【請求項33】
前記分子式Iの化合物の濃度が約30mg/mL以上であることを特徴とする請求項22乃至32のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
前記分子式Iの化合物の濃度が約60mg/mL以上であることを特徴とする請求項22乃至32のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
前記分子式Iの化合物の濃度が約90mg/mL以上であることを特徴とする請求項22乃至32のいずれかに記載の組成物。
【請求項36】
前記分子式Iの化合物の濃度が約120mg/mLであることを特徴とする請求項22乃至32のいずれかに記載の組成物。
【請求項37】
前記溶液が水溶液であることを特徴とする請求項22乃至36のいずれかに記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物が約2℃から8℃において粘度の高い溶液を形成することを特徴とする請求項22乃至37のいずれかに記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物が、約3℃から8℃温度が上昇するように温められたときに、粘度の低い溶液に戻ることを特徴とする請求項22乃至38のいずれかに記載の組成物。
【請求項40】
前記粘度の高い溶液は、前記粘度の低い溶液に比べ、分解に対してより耐性があることを特徴とする請求項22乃至39のいずれかに記載の組成物。
【請求項41】
緩衝液および水に溶解した分子式Iの化合物を含み、約8.0から約9.5の間のpHであることを特徴とする組成物。
【化3】

【請求項42】
前記緩衝液がアルカリ性リン酸塩、あるいは有機酸、無機酸、又はアミノ酸の塩のいずれかであることを特徴とする請求項40記載の組成物。
【請求項43】
前記緩衝液がクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン及びグルタミン酸塩であることを特徴とする請求項40記載の組成物。
【請求項44】
前記緩衝液がトロメタミンであることを特徴とする請求項40記載の組成物。
【請求項45】
100cps未満の粘度である溶液、ゲル、または100cps以上の粘度である溶液の形態であることを特徴とする請求項40乃至44のいずれかに記載の組成物。
【請求項46】
さらに塩基、その塩、又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項40乃至45のいずれかに記載の組成物。
【請求項47】
前記塩基が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項46記載の組成物。
【請求項48】
前記pHが約8.2から9.3の間であることを特徴とする請求項40乃至47のいずれかに記載の組成物。
【請求項49】
前記pHが約8.4から9.1の間であることを特徴とする請求項40乃至47のいずれかに記載の組成物。
【請求項50】
前記pHが約8.5から9.0の間であることを特徴とする請求項40乃至47のいずれかに記載の組成物。
【請求項51】
前記pHが約8.6から8.9の間であることを特徴とする請求項40乃至47のいずれかに記載の組成物。
【請求項52】
さらに塩基、その塩、又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項40乃至51のいずれかに記載の組成物。
【請求項53】
前記塩基が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項52記載の組成物。
【請求項54】
前記分子式Iの化合物の濃度が約30mg/mL以上であることを特徴とする請求項40乃至53のいずれかに記載の組成物。
【請求項55】
前記分子式Iの化合物の濃度が約60mg/mL以上であることを特徴とする請求項40乃至53のいずれかに記載の組成物。
【請求項56】
前記分子式Iの化合物の濃度が約90mg/mL以上であることを特徴とする請求項40乃至53のいずれかに記載の組成物。
【請求項57】
前記分子式Iの化合物の濃度が120mg/mLであることを特徴とする請求項40乃至53のいずれかに記載の組成物。
【請求項58】
前記溶液が水溶液であることを特徴とする請求項40乃至57のいずれかに記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物が約2℃から約8℃において粘度の高い溶液を形成することを特徴とする請求項40乃至58のいずれかに記載の組成物。
【請求項60】
前記組成物が約3℃から8℃温度が上昇するように温められたときに、粘度の低い溶液に戻ることを特徴とする請求項40乃至59のいずれかに記載の組成物。
【請求項61】
前記粘度の高い溶液は、前記粘度の低い溶液に比べ、分解に対してより耐性があることを特徴とする請求項40乃至60のいずれかに記載の組成物。
【請求項62】
凝血カスケードを調節する方法であって、水に溶解した分子式Iの化合物を含み、約8.0から約9.5のpHを備える組成物を、必要とする哺乳類に投与する段階を備えることを特徴とする方法。
【化4】

【請求項63】
前記組成物が100cps未満の粘度である溶液、ゲル、又は100cps以上の粘度である溶液の形態であることを特徴とする請求項62記載の方法。
【請求項64】
前記組成物がさらに塩基、その塩、又はそれらの組みわせを含むことを特徴とする請求項62または63に記載の方法。
【請求項65】
前記塩基が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記組成物がさらに緩衝液を含むことを特徴とする請求項62乃至65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記緩衝液がアルカリ性リン酸塩あるいは、有機酸、無機酸、又はアミノ酸の塩であることを特徴とする請求項66記載の方法。
【請求項68】
前記緩衝液がクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩であることを特徴とする請求項66記載の方法。
【請求項69】
前記緩衝液がトロメタミンであることを特徴とする請求項66記載の方法。
【請求項70】
前記pHが約8.2から9.3の間であることを特徴とする請求項62乃至69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記pHが約8.4から9.1の間であることを特徴とする請求項62乃至69のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記pHが約8.5から9.0の間であることを特徴とする請求項62乃至69記載のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記pHが約8.6から8.9の間であることを特徴とする請求項62乃至69のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記分子式Iの化合物の濃度が約30mg/mL以上であることを特徴とする請求項62乃至73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記分子式Iの化合物の濃度が約60mg/mL以上であることを特徴とする請求項62乃至74のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記分子式Iの化合物の濃度が約90mg/mL以上であることを特徴とする請求項62乃至74のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記分子式Iの化合物の濃度が約120mg/mLであることを特徴とする請求項62乃至74のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記溶液が水溶液であることを特徴とする請求項62乃至77のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
前記組成物が約2℃から約8℃において粘度の高い溶液を形成することを特徴とする請求項62乃至78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記組成物が約3℃から8℃温度が上昇するように温められるときに、粘度の低い溶液に戻ることを特徴とする請求項62乃至79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記粘度の高い溶液は、前記粘度の低い溶液に比べ、分解に対してより耐性があることを特徴とする請求項62乃至80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記分子式Iの化合物が皮下に投与されることを特徴とする請求項62乃至81のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
皮下への前記投与が注射器を用いて行われることを特徴とする請求項82記載の方法。
【請求項84】
前記注射器の針のゲージが約20から約30であることを特徴とする請求項83記載の方法。
【請求項85】
哺乳類への放射線治療を含むことを特徴とする請求項62乃至84のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
哺乳類への付加的な化学療法剤の投与を含むことを特徴とする請求項62乃至85のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項62乃至86のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記哺乳類がヒトでないことを特徴とする請求項62乃至87のいずれかに記載の方法。
【請求項89】
癌及び/あるいは血栓塞栓性疾患を治療する方法であって、水に溶解した分子式Iの化合物を含み、約8.0から約9.5であるpHを備える組成物を、必要とする哺乳類に投与する段階を備えることを特徴とする方法。
【化5】

【請求項90】
前記組成物が100cps未満の粘度の溶液、ゲル、又は100cps以上の粘度の溶液の形態であることを特徴とする請求項89記載の方法。
【請求項91】
前記組成物がさらに塩基、その塩、又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項89又は90のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
前記塩基が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項91記載の方法。
【請求項93】
前記組成物がさらに緩衝液を含むことを特徴とする請求項89乃至92のいずれかに記載の方法。
【請求項94】
前記緩衝液がアルカリ性リン酸塩あるいは、有機酸、無機酸、またはアミノ酸の塩であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項95】
前記緩衝液がクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項96】
前記緩衝液がトロメタミンであることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項97】
前記pHが約8.2から9.3の間であることを特徴とする請求項89乃至96のいずれかに記載の方法。
【請求項98】
前記pHが約8.4から9.1の間であることを特徴とする請求項89乃至96のいずれかに記載の方法。
【請求項99】
前記pHが約8.5から9.0の間であることを特徴とする請求項89乃至96のいずれかに記載の方法。
【請求項100】
前記pHが約8.6から8.9の間であることを特徴とする請求項89乃至96のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記分子式Iの化合物の濃度が約30mg/mL以上であることを特徴とする請求項89乃至100のいずれかに記載の方法。
【請求項102】
前記分子式Iの化合物の濃度が約60mg/mL以上であることを特徴とする請求項89乃至100のいずれかに記載の方法。
【請求項103】
前記分子式Iの化合物の濃度が約90mg/mL以上であることを特徴とする請求項89乃至100のいずれかに記載の方法。
【請求項104】
前記分子式Iの化合物の濃度が約120mg/mLであることを特徴とする請求項89乃至100のいずれかに記載の方法。
【請求項105】
前記溶液が水溶液であることを特徴とする請求項89乃至104のいずれかに記載の方法。
【請求項106】
前記組成物が約2℃から約8℃において粘度の高い溶液を形成することを特徴とする請求項89乃至105のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
前記組成物が約3℃から8℃温度が上昇するように温められるときに、粘度の低い溶液に戻ることを特徴とする請求項89乃至106のいずれかに記載の組成物。
【請求項108】
前記粘度の高い溶液は、前記粘度の低い溶液に比べ、分解に対してより耐性があることを特徴とする請求項89乃至107のいずれかに記載の組成物。
【請求項109】
前記癌が、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、及びメラノーマから選択されることを特徴とする請求項89乃至108のいずれかに記載の方法。
【請求項110】
前記分子式Iの化合物が、皮下に投与されることを特徴とする請求項89乃至109のいずれかに記載の方法。
【請求項111】
皮下への前記投与が注射器を用いて行われることを特徴とする請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記注射器の針のゲージが約20から約30であることを特徴とする請求項111記載の方法。
【請求項113】
哺乳類への放射線治療をさらに含むことを特徴とする請求項89乃至112のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
哺乳類への化学療法剤の投与をさらに含むことを特徴とする請求項89乃至113のいずれかに記載の方法。
【請求項115】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項89乃至114のいずれかに記載の方法。
【請求項116】
前記哺乳類がヒトでないことを特徴とする請求項89乃至115のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
腫瘍の血管新生を調節する方法であって、水に溶解した分子式Iの化合物を含み、約8.0から約9.5の間のpHを備える組成物を、必要とする哺乳類に投与する段階を備えることを特徴とする方法。
【化6】

【請求項118】
前記組成物が100cps未満の粘度の溶液、ゲル、又は100cps以上の粘度の溶液の形態であることを特徴とする請求項117記載の方法。
【請求項119】
前記組成物が腫瘍部位に投与されることを特徴とする請求項117又は118に記載の方法。
【請求項120】
前記組成物がさらに塩基、その塩、又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項117乃至119のいずれかに記載の方法。
【請求項121】
前記塩基が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項120記載の方法。
【請求項122】
前記組成物がさらに緩衝液を含むことを特徴とする請求項117乃至121のいずれかに記載の方法。
【請求項123】
前記緩衝液がアルカリ性リン酸塩あるいは、有機酸、無機酸、又はアミノ酸の塩であることを特徴とする請求項122記載の方法。
【請求項124】
前記緩衝液がクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩であることを特徴とする請求項122記載の方法。
【請求項125】
前記緩衝液がトロメタミンであることを特徴とする請求項122記載の方法。
【請求項126】
前記pHが約8.2から9.3の間であることを特徴とする請求項117乃至125のいずれかに記載の方法。
【請求項127】
前記pHが約8.4から9.1の間であることを特徴とする請求項117乃至125のいずれかに記載の方法。
【請求項128】
前記pHが約8.5から9.0の間であることを特徴とする請求項117乃至125のいずれかに記載の方法。
【請求項129】
前記pHが約8.6から8.9の間であることを特徴とする請求項117乃至125のいずれかに記載の方法。
【請求項130】
前記分子式Iの化合物の濃度が約30mg/mL以上であることを特徴とする請求項117乃至129のいずれかに記載の方法。
【請求項131】
前記分子式Iの化合物の濃度が約60mg/mL以上であることを特徴とする請求項117乃至129のいずれかに記載の方法。
【請求項132】
前記分子式Iの化合物の濃度が約90mg/mL以上であることを特徴とする請求項117乃至129のいずれかに記載の方法。
【請求項133】
前記分子式Iの化合物の濃度が約120mg/mLであることを特徴とする請求項117乃至129のいずれかに記載の方法。
【請求項134】
前記溶液が水溶液であることを特徴とする請求項117乃至133のいずれかに記載の方法。
【請求項135】
前記組成物が約2℃から約8℃において粘度の高い溶液を形成することを特徴とする請求項117乃至134のいずれかに記載の方法。
【請求項136】
前記組成物が、約3℃から8℃温度が上昇するように温められるときに、粘度の低い溶液に戻ることを特徴とする請求項117乃至135のいずれかに記載の組成物。
【請求項137】
前記粘度の高い溶液は、前記粘度の低い溶液に比べ、分解に対してより耐性があることを特徴とする請求項117乃至136のいずれかに記載の組成物。
【請求項138】
前記組成物が、皮下に投与されることを特徴とする請求項117乃至137のいずれかに記載の方法。
【請求項139】
前記皮下投与が注射器を用いて行われることを特徴とする請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記注射器の針のゲージが約20から約30であることを特徴とする請求項139記載の方法。
【請求項141】
哺乳類への放射線治療をさらに含むことを特徴とする請求項117乃至140のいずれかに記載の方法。
【請求項142】
哺乳類への化学療法剤の投与をさらに含むことを特徴とする請求項117乃至141のいずれかに記載の方法。
【請求項143】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項117乃至142のいずれかに記載の方法。
【請求項144】
前記哺乳類がヒトでないことを特徴とする請求項117乃至143のいずれかに記載の方法。
【請求項145】
凝血カスケードを調節する方法であって、因子VIIaモジュレーターを哺乳類に投与する段階を含み、前記因子VIIaモジュレーターに関するμg/mlで表されるCmaxとμg/mlで表されるAUC(0−∞)の比が約1:15未満であることを特徴とする方法。
【請求項146】
前記因子VIIaモジュレーターが、液体の形態で投与されることを特徴とする請求項145記載の方法。
【請求項147】
前記溶液が水溶液であることを特徴とする請求項146記載の方法。
【請求項148】
前記因子VIIaモジュレーターが、皮下的に投与されることを特徴とする請求項145乃至147のいずれかに記載の方法。
【請求項149】
前記因子VIIaモジュレーターが1000 amu未満の分子量をもつことを特徴とする請求項145乃至148のいずれかに記載の方法。
【請求項150】
前記因子VIIaモジュレーターが分子式Iの構造を備えることを特徴とする請求項145乃至149のいずれかに記載の方法。
【請求項151】
分子式Iの化合物を含む組成物を処方する方法であって、分子式Iの化合物の水溶液に緩衝液および1又はそれ以上のpH調整剤を混合する段階と、前記組成物のpHが約8.0から9.5の間となるまで前記組成物のpHを調整する段階とを備えることを特徴とする方法。
【化7】

【請求項152】
前記緩衝液がアルカリ性リン酸塩あるいは、有機酸、無機酸、又はアミノ酸の塩であることを特徴とする請求項151記載の方法。
【請求項153】
前記緩衝液がクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、トロメタミン、及びグルタミン酸塩であることを特徴とする請求項151記載の方法。
【請求項154】
前記緩衝液がトロメタミンであることを特徴とする請求項151記載の方法。
【請求項155】
前記pH調整剤が塩基、酸、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項151乃至154のいずれかに記載の方法。
【請求項156】
前記塩基が水酸化ナトリウムの溶液であることを特徴とする請求項155記載の方法。
【請求項157】
前記水酸化ナトリウムの規定度が約2 Nであることを特徴とする請求項156記載の方法。
【請求項158】
前記酸が塩酸溶液であることを特徴とする請求項155記載の方法。
【請求項159】
前記塩酸の規定度が約1Nであることを特徴とする請求項158記載の方法。
【請求項160】
前記分子式Iの化合物の濃度が約30mg/mL以上であることを特徴とする請求項151乃至159のいずれかに記載の方法。
【請求項161】
前記分子式Iの化合物の濃度が約60mg/mL以上であることを特徴とする請求項151乃至159のいずれかに記載の方法。
【請求項162】
前記分子式Iの化合物の濃度が約90mg/mL以上であることを特徴とする請求項151乃至159のいずれかに記載の方法。
【請求項163】
前記分子式Iの化合物の濃度が約120mg/mLであることを特徴とする請求項151乃至159のいずれかに記載の方法。
【請求項164】
前記pHが約8.2から9.3の間であることを特徴とする請求項151乃至163のいずれかに記載の方法。
【請求項165】
前記pHが約8.4から9.1の間であることを特徴とする請求項151乃至163のいずれかに記載の方法。
【請求項166】
前記pHが約8.5から9.0の間であることを特徴とする請求項151乃至163のいずれかに記載の方法。
【請求項167】
前記pHが約8.6から8.9の間であることを特徴とする請求項151乃至163のいずれかに記載の方法。
【請求項168】
水に溶解された分子式Iの化合物を含み、約8.0から約9.5の間のpHを備える組成物を投与する機器であって、前記機器が注射器を備えることを特徴とする機器。
【化8】

【請求項169】
前記注射器の針のゲージ数が約20から約30であることを特徴とする請求項168記載の方法。
【請求項170】
前記pHが約8.2から9.3の間であることを特徴とする請求項168記載の機器。
【請求項171】
前記pHが約8.4から9.1の間であることを特徴とする請求項168記載の機器。
【請求項172】
前記pHが約8.5から9.0の間であることを特徴とする請求項168記載の機器。
【請求項173】
前記分子式Iの化合物の濃度が約30mg/mL以上であることを特徴とする請求項168乃至172のいずれかに記載の機器。
【請求項174】
前記分子式Iの化合物の濃度が約60mg/mL以上であることを特徴とする請求項168乃至172のいずれかに記載の機器。
【請求項175】
前記分子式Iの化合物の濃度が約90mg/mL以上であることを特徴とする請求項168乃至172のいずれかに記載の機器。
【請求項176】
前記分子式Iの化合物の濃度が約120mg/mLであることを特徴とする請求項168乃至172のいずれかに記載の機器。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−500717(P2011−500717A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530121(P2010−530121)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/080221
【国際公開番号】WO2009/052323
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(509181220)ファーマサイクリックス,インク. (7)
【Fターム(参考)】