説明

処理システム

【課題】
システム内に形成された気流を乱すようなことがない処理システムを提供すること。
【解決手段】
第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54と第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64の両方が同時に下方向に移動するとき、制御部139の制御によって排気ファン135〜138の排気量が多くなり、これにより清浄エアーのダウンフローが強まるようになっている。第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54と第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64の両方が同時に下方向に移動した場合に生じる気流の乱れは、このように強められたダウンフローによって吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体デバイス製造に用いられる処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造におけるフォトレジスト処理工程においては、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板に対してレジスト液を供給してレジスト膜を形成し、所定のパターンを露光した後に、このウェハに対して現像液を供給して現像処理している。このような一連の処理を行うにあたっては、従来から塗布現像処理システムが使用されている。
【0003】
かかる塗布現像処理システムの一形態として、ウェハを垂直方向に搬送する垂直搬送型の搬送装置の周囲に、ウェハ上にレジストを塗布するためのレジスト塗布ユニット、現像液を供給するための現像処理ユニット、加熱処理ユニット等の各種の処理ユニットを多段に配置した構成は既に公知である。また、このような塗布現像処理システムにおいては、一般にシステム内に清浄エアーのダウンフローを形成してパーティクルの拡散を防止している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成の塗布現像処理システムでは、処理能力を向上させるため、システム内に搬送装置を複数配置し、各搬送装置の周囲にそれぞれ処理ユニットを配置することが考えられるが、システム内に搬送装置が複数配置されると、特にこれらの搬送装置が同時に下方向に移動するような場合にシステム内に形成された清浄エアーのダウンフローが乱れ、パーティクルがシステム内で拡散する虞がある。また、これらの搬送装置から移動時に吹き出されたパーティクルを多く含む気体がその周囲に配置された処理ユニット内に進入し、処理不良の原因になる、という問題もある。
【0005】
本発明の目的は、搬送装置から処理室(ユニット)内にパーティクルを多く含んだ気体が進入するようなことがない処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明の処理システムは、垂直方向に基板を搬送する搬送装置を複数有し、これらの搬送装置の周囲に基板を処理する処理室を配置した処理システムにおいて、前記搬送装置の移動に応じて前記処理室内の圧力を制御することを特徴とする。その一態様として、少なくとも1つの前記搬送装置が移動するとき前記処理室内の圧力を高めることを特徴とする。
【0007】
本発明では、例えば1つの搬送装置が移動するとき処理室内の圧力を高めているので、搬送装置の移動時に搬送装置から吹き出されたパーティクルを多く含む気体が処理室内に進入することはなくなる。
【0008】
本発明の処理システムは、垂直方向に基板を搬送する搬送装置を複数有し、これらの搬送装置の周囲に基板を処理する処理室を配置した処理システムにおいて、少なくとも1つの前記搬送装置が移動するときに前記処理室内の気体を前記搬送装置に向けて吹き出すように制御することを特徴とする。
【0009】
本発明では、少なくとも1つの搬送装置が移動するときに処理室内の気体を搬送装置に向けて吹き出すように制御しているので、搬送装置の移動時に搬送装置から吹き出されたパーティクルを多く含む気体が処理室内に進入することはなくなる。
【0010】
本発明の処理システムは、垂直方向に基板を搬送する搬送装置を複数有し、これらの搬送装置の周囲に基板を処理する処理室を配置した処理システムにおいて、前記処理室の、前記搬送装置との間で基板を受け渡すための開口部にシャッター部材を設け、前記搬送装置の移動に応じて前記シャッター部材による前記開口部の開閉を制御することを特徴とする。その一態様として、前記複数の搬送装置が同時に移動するときに前記シャッター部材により前記開口部を閉じることを特徴とする。
【0011】
本発明では、複数の搬送装置が同時に移動するときにシャッター部材により処理室に設けられた開口部を閉じているので、搬送装置の移動時に搬送装置から吹き出されたパーティクルを多く含む気体が処理室内に進入することはなくなる。なお、搬送装置が移動するときには搬送装置と処理室との間で基板の受け渡しは行われないので、開口部を閉じることは処理上何の問題もない。
【0012】
本発明の処理システムは、上記構成の処理システムにおいて、前記処理室内を排気する排気手段を更に設け、前記シャッター部材により前記開口部を閉じているときには前記処理室内の排気を強くし、前記開口部を開いているときには前記処理室内の排気を弱くすることを特徴とする。
【0013】
本発明では、開口部を開いているときには処理室内の排気を弱くしているので、処理室が周囲と比べ陽圧となり、開口部から処理室内にパーティクル等を含んだ気体が進入することはなくなる。
【0014】
本発明の処理システムは、垂直方向に基板を搬送する搬送装置を複数有し、これらの搬送装置の周囲に基板を処理する処理室を配置した処理システムにおいて、上記搬送装置近傍に、上方移動する該搬送装置で生じた圧力上昇に伴うエアーを流入口から流入させて排気口から排気するバイパス手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、搬送装置が上昇移動するとき、搬送装置の上部空間の圧力が増大しても、エアーの一部はバイパス手段を介して排気口から排気される。このため、搬送装置は圧力上昇を伴うことがなく、清浄アエーは乱れることなく搬送装置ないを下向きに流れて外部へ放出される。
【0016】
また、本発明の処理システムは、垂直方向に基板を搬送する搬送装置を複数有し、これらの搬送装置の周囲に基板を処理する処理室を配置した処理システムにおいて、前記搬送装置の上方から該搬送装置に向けて供給される清浄エアーの供給装置が設けられ、下方向に移動する搬送装置に対しては、予めその移動する搬送装置を検知し、下方向に移動する前から前記供給装置を作動させるように構成したことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、下向きに移動する搬送装置を事前に察知し、これに応じて搬送装置が下向きに移動する前から予め作動させておくため、搬送装置内のエアーを過不足することなく供給でき、そのためエアーの流れにかく乱が生じることがなく、微粒子の付着を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、搬送装置から処理室(ユニット)内にパーティクルを多く含んだ気体が進入するようなことはないので、処理室内での処理を正常に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1〜図3は実施の形態にかかる塗布現像処理システムの外観を示し、図1は平面から、図2、図3は側面から見た様子を各々示している。
【0020】
この塗布現像処理システム1は、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部から塗布現像処理システム1に対して搬入出したり、カセットCに対してウェハWを搬入出するためのカセットステーション2と、塗布現像処理工程の中でウェハWに対して所定の処理を施す枚葉式の各種処理ユニットを多段配置してなる処理ステーション3と、この処理ステーション3に隣接して設けられる露光装置4との間でウェハWの受け渡しをするためのインターフェイス部5とを一体に接続した構成を有している。
【0021】
カセットステーション2では、カセット載置台10上の位置決め突起10aの位置に、複数個のカセットCがウェハWの出入口を処理ステーション3側に向けてX方向(図1中の上下方向)に沿って一列に載置自在である。そして、このカセットCの配列方向(X方向)及びカセットCに収容されたウェハWの配列方向(Z方向;垂直方向)に移動可能なウェハ搬送体11が搬送路12に沿って移動自在であり、各カセットCに対して選択的にアクセスできるようになっている。
【0022】
このウェハ搬送体11はθ方向にも回転自在に構成されており、後述する第1熱処理ユニット群70や第3熱処理ユニット群90に属するアライメントユニット71、エクステンションユニット72に対してアクセスできるように構成されている。
【0023】
処理ステーション3では、正面側にレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20が、背面側に現像処理ユニット群30がそれぞれ配置されている。正面側に現像処理ユニット群30を、背面側にレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20をそれぞれ配置しても勿論構わない。
【0024】
レジスト・反射防止膜塗布ユニット群20は図2及び図3に示すように、カップCP内でウェハWをスピンチャックに載せてレジスト液を塗布して、該ウェハWに対してレジスト塗布処理を施すレジスト塗布ユニット21、22が並列配置され、さらにこれら各レジスト塗布ユニット21、22の上段にはカップCP内でウェハWをスピンチャックに載せて反射防止膜を塗布して、該ウェハWに対して反射防止膜塗布処理を施す反射防止膜塗布ユニット23、24が並列配置されている。
【0025】
並列に配置されたレジスト塗布ユニット21、22(反射防止膜塗布ユニット23、24)間には、受け渡し部25及び中継搬送部28が配置されている。受け渡し部25では、図4に示すように、下段にウェハWを23℃に温調するための温調台26が配置され、上段に載置台27が配置されている。温調台26は、ペルチェ素子等の冷却手段(図示を省略)が埋め込まれた冷却板26a表面から複数の支持ピン26bを出没可能に配置して構成される。また載置台27は、その表面に複数の固定支持ピン27aを配置して構成される。中継搬送部28は、受け渡し部25における温調台26、載置台27及びレジスト塗布ユニット21、22、反射防止膜塗布ユニット23、24との間でウェハWの受け渡しが可能なように、図示を省略した駆動系によって、これらに対して進退自在であり、θ方向に回転可能であり、更にZ方向に昇降可能である搬送アーム29を有する。
【0026】
そして、後述する第1搬送装置50から温調台26にウェハWが受け渡され、それを搬送アーム29がいずれかのレジスト塗布ユニット21、22、反射防止膜塗布ユニット23、24に受け渡し、その後搬送アーム29がレジスト或いは反射防止膜の塗布されたウェハWをレジスト塗布ユニット21、22、反射防止膜塗布ユニット23、24から受け取り、載置台27上に載せ、それを第1搬送装置50が受け取るようになっている。
【0027】
このように第1搬送装置50から直接レジスト塗布ユニット等に渡すのではなく、一旦レジスト・反射防止膜塗布ユニット群20内に配置された温調台26を介してレジスト塗布ユニット21、22、反射防止膜塗布ユニット23、24に渡すように構成しているので、ウェハWをより正確な温度に温調した状態でレジスト塗布や反射防止膜塗布を行うことができ、また第1搬送装置50側からレジスト塗布ユニット21、22、反射防止膜塗布ユニット23、24にパーティクルが進入することが少なくなる。
【0028】
現像処理ユニット群30についてもレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20と同様に構成されている。即ち、現像処理ユニット群30は、カップCP内でウェハWをスピンチャックに載せて現像液を供給して、該ウェハWに対して現像処理を施す現像処理ユニット31、32が並列配置され、さらにこれら各現像処理ユニット31、32の上段には現像処理ユニット33、34が積み重ねられて構成されている。
【0029】
並列に配置された現像処理ユニット31、32(33、34)間には、受け渡し部35及び中継搬送部38が配置されている。受け渡し部35及び中継搬送部38の構成については、図4に示したものと同様なので説明を省略する。そして、この場合も、ウェハWをより正確な温度に温調した状態で現像処理を行うことができ、また第2搬送装置60側から現像処理ユニット31、32、33、34にパーティクルが進入することが少なくなる。
【0030】
図1に示したように、処理ステーション3の中心部には、ウェハWを載置自在な受け渡し台40が備えられている。受け渡し台40は例えば多段に構成してもよい。
【0031】
この受け渡し台40を挟んで上記レジスト・反射防止膜塗布ユニット群20と現像処理ユニット群30とは相対向しており、レジスト・反射防止膜塗布ユニット群20と受け渡し台40との間には第1搬送装置50が、現像処理ユニット群30と受け渡し台40との間には第2搬送装置60がそれぞれ装備されている。
【0032】
第1搬送装置50と第2の搬送装置60とは基本的に同一の構成を有しており、第1搬送装置50の構成を図5に基づいて説明すると、第1搬送装置50は、上端及び下瑞で相互に接続され対向する一体の壁部51、52からなる筒状支持体53の内側に、上下方向(Z方向)に昇降自在なウェハ搬送手段54(64)を備えている。筒状支持体53はモータ55の回転軸に接続されており、このモータ55の回転駆動力で、前記回転軸を中心としてウェハ搬送手段54と共に一体に回転する。従って、ウェハ搬送手段54はθ方向に回転自在となっている。
【0033】
ウェハ搬送手段54の搬送基台56上には、ウェハWを保持する複数、例えば2本のピンセット57、58が上下に備えられている。各ピンセット57、58は基本的に同一の構成を有しており、筒状支持体53の両壁部51、52間の側面開口部を通過自在な形態及び大きさを有している。また、各ピンセット57、58は搬送基台56に内蔵されたモータ(図示せず)により前後方向の移動が自在となっている。
【0034】
第1搬送装置50及び第2の搬送装置60の両側には、熱処理ユニットが配置されている。熱処理ユニットには、第1熱処理ユニット70と、第2熱処理ユニット80と、第3熱処理ユニット90と、第4熱処理ユニット100とがあり、第1熱処理ユニット70及び第3熱処理ユニット90はカセットステーション2側に、第2熱処理ユニット80及び第4熱処理ユニット100はインターフェイス部5側に夫々配置されている。
【0035】
各熱処理ユニット群70、80、90、100には、ウェハWの位置合わせを行うアライメントユニット71と、ウェハWを待機させるエクステンションユニット72と、ウェハWを加熱処理する加熱処理ユニット73〜77とが下から順に、例えば7段に積み重ねられたものが配置される。
【0036】
インターフェイス部5には、ウェハWを搬送するウェハ搬送体110が設けられており、ウェハ搬送体110は搬送レール111に沿ったX方向の移動と、Z方向(垂直方向)の移動と、θ方向の回転とがいずれも自在である。ウェハ搬送体110は、露光装置4と、第2熱処理ユニット80及び第4熱処理ユニット100に属するエクステンションユニット72と、ウェハWの周縁部を露光する周辺露光装置112との間でウェハWを搬送することができるように構成されている。
【0037】
図6はこのように構成された塗布現像処理システム1における清浄エアー供給系の構成を示す図である。
【0038】
図6に示すように、この塗布現像処理システム1の上部には清浄エアーをシステム内に導入するための供給口121〜124が設けられ、塗布現像処理システム1の下部には清浄エアーをシステム外に排気するための排出口125〜128が設けられている。例えば供給口121〜124や排出口125〜128は、それぞれ処理の種類に応じた領域に対応して設けられている。ここでは、供給口121及び排気口125は第1搬送装置50に対応する位置、供給口122及び排気口126は第2の搬送装置60に対応する位置、供給口123及び排気口127はレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20に対応する位置、供給口124及び排気口128は現像処理ユニット群30に対応する位置に設けられている。
【0039】
供給口121〜124と排出口125〜128との間は、エアー循環用の配管129を介して接続され、配管129上には温調装置130が配置されている。また、各供給口121〜124にはファン・フィルタ・ユニット131〜134が配置され、各排出口125〜128には排気ファン135〜138が配置されている。排気ファン135〜138は制御部139によって排気量の制御が行われるようになっている。
【0040】
そして、供給口121〜124からシステム1内に供給された清浄エアーはシステム1内でダウンフローを形成し、排出口125〜128からシステム1外に排出され、配管129を通り温調及び清浄が行われ、再び供給口121〜124からシステム1内に供給されるようになっている。
【0041】
ここで、本実施形態では、第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54と第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64の両方が同時に下方向に移動するとき、制御部139の制御によって排気ファン135、136の排気量が多くなり、これにより清浄エアーのダウンフローが強まるようになっている。
【0042】
従って、本実施形態のシステム1では、第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54と第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64の両方が同時に下方向に移動した場合に生じる気流の乱れは、上記のように強められたダウンフローによって吸収される。よって、パーティクルがシステム1内で拡散することなく、排出口125、126から排出される。
【0043】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図7はこの実施形態に係る清浄エアー供給系の構成を示す図である。
図7に示した清浄エアー供給系では、制御部139がレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20に対応するファン・フィルタ・ユニット133及び現像処理ユニット群30に対応するファン・フィルタ・ユニット134によるシステム1内への清浄エアーの導入量を制御するようになっている。
【0044】
そして、この実施形態では、第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54や第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64が移動するとき、制御部139の制御によってレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20に対応するファン・フィルタ・ユニット133及び現像処理ユニット群30に対応するファン・フィルタ・ユニット134によるシステム1内への清浄エアーの導入量を多くなるように制御し、レジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30内の圧力が第1搬送装置50や第2搬送装置60等が配置された他の領域に比べ高くなるようにされている。
【0045】
従って、この実施形態では、第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54や第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64が移動した場合に生じたパーティクルがレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30内に進入することはない。よって、これらのレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30内での処理を正常に行うことができる。
【0046】
次に本発明の更に他の実施形態について説明する。
図8はこの実施形態に係る清浄エアー供給系の構成を示す図である。
図8に示した清浄エアー供給系では、レジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30にそれぞれ第1搬送装置50や第2搬送装置60に向けて排気を行うための排気口141及び排気ファン142を設けたものである。排気ファン142は制御部139によって作動が制御される。
【0047】
そして、この実施形態では、第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54や第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64が移動するとき、制御部139の制御によって排気ファン142が作動し、レジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30から第1搬送装置50や第2搬送装置60に向けて排気を行われるようになっている。
【0048】
従って、この実施形態では、第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54や第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64が移動した場合に生じたパーティクルがレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30内に進入することはない。よって、これらのレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30内での処理を正常に行うことができる。
【0049】
次に本発明の更に別の実施形態について説明する。
図9はこの実施形態に係るシステム構成を示す図である。
図9に示したシステム1では、レジスト・反射防止膜塗布ユニット群20における第1搬送装置50との間でウェハWの受け渡しを行うための開口部152、更に現像処理ユニット群30における第2搬送装置60との間でウェハWの受け渡しを行うための開口部153に、それぞれ開口部を開閉するためのシャッター部材154及びシャッター開閉機構155が設けられている。シャッター開閉機構155は制御部139によって作動が制御されるようになっている。
【0050】
そして、この実施形態では、第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54と第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64が同時に移動するとき、このようなときには第1搬送装置50及び第2搬送装置60とレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30との間でウェハWの受け渡しは行われないので、制御部139の制御によってシャッター部材154により開口部152、153が閉じられるようになっている。
【0051】
従って、この実施形態では、第1搬送装置50におけるウェハ搬送手段54や第2搬送装置60におけるウェハ搬送手段64が同時に移動した場合に生じたパーティクルがレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30内に進入することはない。よって、これらのレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30内での処理を正常に行うことができる。
【0052】
この場合、レジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30に対応する排気ファン137、138による排気量を制御部139によって制御可能に構成すると共に、シャッター部材154により開口部152、153を閉じているときには排気ファン137、138による排気量を多くし、開口部152、153を開いているときには排気ファン137、138による排気量を少なくするようにしてもよい。
【0053】
これにより、開口部152、153を開いているときにはレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30内が周囲と比べ陽圧となり、開口部152、153からレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20及び現像処理ユニット群30内にパーティクル等を含んだ気体が進入することはなくなる。
【0054】
次に、図1、図10及び図11を参照して清浄エアー供給系に係る別の実施形態を説明する。図6に示した実施形態の構成と相違する点は、第1搬送装置50と第2搬送装置60との間ないしはこれら各搬送装置50,60の近傍にバイパス手段としての一対のダクト160を設けた点にある。ダクト160はボックス形状に形成され、その上部の各面にエアーの流入口161が、その下部には排気口162がそれぞれ設けられる。
【0055】
また、排気口162には排気ファン163の強弱運転を制御部139により制御する排気手段が設けられる。
【0056】
制御部139は、少なくともいずれか一方の搬送装置が上方に移動するとき、それに応じて排気ファン163を作動せしめてダクト160内のエアーを排気させる。そして、制御部139により一つの搬送装置が作動するときは、排気ファン163による排気を弱くし、二つの搬送装置が同時に作動するときは、排気を強くするために排気ファン163を強く作動させるように制御する。
【0057】
このようにバイパス手段であるダクト160が各搬送装置50,60近傍に設けられているため、エアーの一部は流入口161からダクト160内に流入し、排気口162を経て排出されていき、圧力上昇を回避できる。
【0058】
またこのとき、各搬送装置50,60の各ウェハ搬送手段54,64の作動状況に応じて制御部139により排気ファン163の強弱が制御される。
【0059】
かかる構成により、第1または第2の搬送装置50,60内の圧力上昇を回避でき、ウェハ搬送手段54,64の上昇作動が円滑になるだけでなく、排気ファン162へ流れる下向きのエアーは乱れを生じることもなく、その結果,微粒子がシステム内で拡散することもなく、排出口125、126から外部へ放出される。これと同時にレジスト・反射防止膜塗布ユニット群20ないしは現像処理ユニット群30内へのパーティクルの浸入を効果的に抑制できる。
【0060】
なお、流入口161を設ける数は任意である。また、この流入口161は常時開口するように形成してもよいが、ウェハ搬送手段54,64が上昇するときのみ開口させ、それ以外のときは閉じるように形成することもできる。
【0061】
さらに別の実施形態では、これらの搬送装置の周囲に基板を処理する処理室を配置した処理システムにおいて、前記搬送装置の上方から該搬送装置に向けて供給される清浄エアーの供給装置が設けられ、下方向に移動する搬送装置に対しては、予めその移動する搬送装置を検知し、下方向に移動する前から清浄エアーをダウンフローさせるように供給装置を作動させるように構成することもできる。
【0062】
かかる構成により搬送装置50,60内の空間に清浄エアーを均一に流すことができ、それだけパーティクル等の微粒子を効率よく外部へ排出することができる。
【0063】
かかる構成は図7〜9に示された上記各実施形態にも適宜摘要することができる。
【0064】
尚、上記実施形態では、基板としてウェハを例に挙げて説明したが、LCD基板等の他の基板にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る塗布現像処理システムの構成を示す平面図である。
【図2】図1に示した塗布現像処理システムにおける処理ステーションの左側面図である。
【図3】図1に示した塗布現像処理システムにおける処理ステーションの右側面図である。
【図4】図1に示した塗布現像処理システムにおけるレジスト・反射防止膜塗布ユニット群の受け渡し部及び中継搬送部の構成を示す図である。
【図5】図1に示した塗布現像処理システムにおける第1の搬送装置の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る塗布現像処理システムにおける清浄エアー供給系の構成を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る塗布現像処理システムにおける清浄エアー供給系の構成を示す図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係る塗布現像処理システムにおける清浄エアー供給系の構成を示す図である。
【図9】本発明の更に別の実施形態に係る塗布現像処理システムにおける清浄エアー供給系の構成を示す図である。
【図10】本発明の更に別の実施形態に係る塗布現像処理システムにおける清浄エアー供給系の構成を示す図である。
【図11】ダクトの外観斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
20 レジスト・反射防止膜塗布ユニット群
30 現像処理ユニット群
50 第1搬送装置
60 第2搬送装置
121〜124 供給口
125〜128 排出口
129 配管
130 温調装置
131〜134 ファン・フィルタ・ユニット
135〜138 排気ファン
139 制御部
141 排気口
142 排気ファン
152、153 開口部
154 シャッター部材
155 シャッター開閉機構
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に基板を搬送する複数の搬送装置と、
これらの搬送装置の周囲に配置され、基板を処理する処理室と、
前記搬送装置の移動に応じて前記処理室内の圧力を制御する手段と
を具備することを特徴とする処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の処理システムにおいて、
前記制御手段は、少なくとも1つの前記搬送装置が移動するとき前記処理室内の圧力を高めることを特徴とする処理システム。
【請求項3】
垂直方向に基板を搬送する複数の搬送装置と、
これらの搬送装置の周囲に配置され、基板を処理する処理室と、
少なくとも1つの前記搬送装置が移動するときに前記処理室内の気体を前記搬送装置に向けて吹き出すように制御する手段と
を具備することを特徴とする処理システム。
【請求項4】
垂直方向に基板を搬送する複数の搬送装置と、
これらの搬送装置の周囲に配置され、前記搬送装置との間で基板を受け渡すための開口部を有し、基板を処理する処理室と、
前記開口部に設けられたシャッター部材と、
前記搬送装置の移動に応じて前記シャッター部材による前記開口部の開閉を制御する手段と
を具備することを特徴とする処理システム。
【請求項5】
請求項4記載の処理システムにおいて、
前記制御手段は、前記複数の搬送装置が同時に移動するときに前記シャッター部材により前記開口部を閉じることを特徴とする処理システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の処理システムにおいて,
前記処理室内を排気する排気手段と、
前記シャッター部材により前記開口部を閉じているときには前記処理室内の排気を強くし、前記開口部を開いているときには前記処理室内の排気を弱くするように制御する手段と
を更に具備することを特徴とする処理システム。
【請求項7】
垂直方向に基板を搬送する複数の搬送装置と、
これらの搬送装置の周囲に配置され、基板を処理する処理室と、
上記搬送装置近傍に設けられ、上方移動する該搬送装置で生じた圧力上昇に伴うエアーを流入口から流入させて排気口から排気するバイパス手段と
を具備することを特徴とする処理システム。
【請求項8】
請求項7記載の処理システムにおいて、
前記排気口に設けられた排気手段と、
前記搬送装置の作動する数が少ないときは前記排気手段による排気が弱くなり、作動する数が多いときは前記排気手段による排気が強くなるように制御する手段と
を更に具備することを特徴とする処理システム。
【請求項9】
請求項7又は請求項8記載の処理システムにおいて、
前記バイパス手段は、ボックス形状のダクトを有し、
前記流入口はダクトの上方に設けられていることを特徴とする処理システム。
【請求項10】
請求項7〜請求項9のうちいずれか1項に記載の処理システムにおいて、
前記流入口は、前記ダクトの周囲で、かつ、複数個設けられていることを特徴とする処理システム。
【請求項11】
垂直方向に基板を搬送する複数の搬送装置と、
これらの搬送装置の周囲に配置され、基板を処理する処理室と、
前記搬送装置の上方から該搬送装置に向けて清浄エアーを供給する供給装置と、
下方向に移動する前記搬送装置に対しては、予めその移動する搬送装置を検知し、下方向に移動する前から前記供給装置を作動させるように制御する手段と
を具備することを特徴とする処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−277014(P2007−277014A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197457(P2007−197457)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【分割の表示】特願2000−195805(P2000−195805)の分割
【原出願日】平成12年6月29日(2000.6.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】