説明

処理条件選択装置、処理条件選択方法及びプログラム

【課題】処理特性を熟知しない作業者であっても、印刷物に適したハーフトーン処理を選択可能な処理条件選択装置、処理条件選択方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】印刷物26に関する画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各信号処理条件を適用した場合での印刷物26の生産適性を評価する。生産適性の評価結果を可視化した結果表示画面100を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドットの分布特性が異なる複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件を選択し、前記1つの信号処理条件に応じたハーフトーン処理の実行を、記録媒体上に画像を形成することで印刷物を生産可能な画像形成装置に指示する処理条件選択装置、処理条件選択方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、インクジェット技術の飛躍的進歩に伴い、インクジェット方式の画像形成装置による高速・高画質を両立したカラー大判印刷が可能になりつつある。この装置は、特にサイン・ディスプレイ用途において幅広い分野で用いられ、例えば、店頭POP(Point Of Purchase)や壁面ポスター、屋外広告・看板等の印刷にも適用可能である。インクジェット方式では、印刷媒体上に複数種のインク(例えばCMYKインク)の液滴を吐出して多数のドットを形成することで、印刷物を得ることができる。
【0003】
この種の画像形成装置では、多階調レベルを表現する画像信号に対してハーフトーン処理を施すことで、インク滴の吐出制御信号(例えば、ドットのオン・オフやサイズ情報)に変換する。そこで、印刷物の品質(特に画質)を向上するため、ハーフトーン処理を適切に選択するための画像処理技術が種々提案されている。
【0004】
特許文献1には、非等方的な出力精度を有する画像形成装置において、出力精度が相対的に低い走査方向での濃度むらを緩和するように、非等方的な閾値配列特性を有する閾値マトリクスを用いてハーフトーン処理を実行する装置及び方法が開示されている。
【0005】
特許文献2及び3には、入力された画像信号の局所的特性から、解像度及び階調性を重視する閾値マトリクスのいずれか一方を選択し、ハーフトーン処理を実行する方法及び装置が開示されている。例えば、文字領域(若しくは線画領域)等の階調変化が大きい箇所では解像度を重視し、写真画像領域等の階調変化が小さい箇所では階調性を重視する。
【0006】
特許文献4には、グラフやコンピュータ・グラフィクス(以下、CGという。)等の画像領域ではディザ法を、自然画等の画像領域では誤差拡散法をそれぞれ選択して、ハーフトーン処理を実行する装置及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−239668号公報
【特許文献2】特開2000−196885号公報
【特許文献3】特開2010−136232号公報
【特許文献4】特開平10−32712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、印刷業者にとって、経営の効率化を図るため、印刷物生産システムの全体最適化に関する要望がある。例えば、印刷物の画質のみならず、ランニングコスト及び所要時間を総合的に勘案し、最適なハーフトーン処理を選択したい場合がある。しかしながら、特許文献1〜4に記載の装置及び方法では、作業者は、ハーフトーン処理を自由に選択することができなかった。仮に選択可能であったとしても、ハーフトーン処理の特性を熟知しない作業者は、どの種類を選択してよいか悩むことがあった。
【0009】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、処理特性を熟知しない作業者であっても、印刷物に適したハーフトーン処理を選択可能な処理条件選択装置、処理条件選択方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ドットの分布特性が異なる複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件を選択し、前記1つの信号処理条件に応じたハーフトーン処理の実行を、記録媒体上に画像を形成することで印刷物を生産可能な画像形成装置に指示する処理条件選択装置に関する。
【0011】
前記印刷物に関する画像形成情報を取得する画像形成情報取得部と、前記画像形成情報取得部により取得された前記画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各前記信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の生産適性を評価する生産適性評価部と、前記生産適性評価部による前記生産適性の評価結果を可視化した表示画像を作成する表示画像作成部とを有することを特徴とする。
【0012】
このように、印刷物に関する画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の生産適性を評価する生産適性評価部と、前記生産適性評価部による前記生産適性の評価結果を可視化した表示画像を作成する表示画像作成部とを設けたので、処理特性を熟知しない作業者であっても、生産適性の評価結果を可視化した表示画像を閲覧することで、ハーフトーン処理の特性を容易に把握可能であり、印刷物に適したハーフトーン処理を選択できる。
【0013】
また、前記所定の評価基準は複数の個別評価項目で構成されており、前記個別評価項目には、前記印刷物の品質、生産コスト及び所要時間のうち少なくとも1つに関する評価項目が含まれることが好ましい。
【0014】
さらに、前記生産適性評価部は、前記画像形成情報及び各前記個別評価項目に基づいて、各前記信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の個別評価値をそれぞれ算出する個別評価値算出部と、前記個別評価値算出部により算出された各前記個別評価値をそれぞれ重み付けて加算することで、前記生産適性を評価する総合評価値を算出する総合評価値算出部とを備えることが好ましい。
【0015】
さらに、前記表示画像作成部は、前記総合評価値算出部により算出された前記総合評価値が最大となる信号処理条件を、推奨する信号処理条件として明示する表示画像を作成することが好ましい。
【0016】
さらに、前記表示画像作成部は、各前記個別評価値に関するレーダチャート画像を作成することが好ましい。
【0017】
さらに、前記生産適性評価部は、前記総合評価値算出部による前記総合評価値の算出に供される重み付けを決定する評価重み付け決定部をさらに備えることが好ましい。
【0018】
さらに、前記評価重み付け決定部は、ユーザインターフェース部からの入力に応じて前記重み付けを決定することが好ましい。
【0019】
さらに、前記複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件を選択する処理条件選択部をさらに有することが好ましい。
【0020】
さらに、前記表示画像作成部により作成された前記表示画像を表示する表示部をさらに有することが好ましい。
【0021】
本発明に係る処理条件選択方法は、ドットの分布特性が異なる複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件を選択し、前記1つの信号処理条件に応じたハーフトーン処理の実行を、記録媒体上に画像を形成することで印刷物を生産可能な画像形成装置に指示する方法であって、前記印刷物に関する画像形成情報を取得する取得ステップと、取得された前記画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各前記信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の生産適性を評価する評価ステップと、前記評価ステップでの前記生産適性の評価結果を可視化した表示画像を作成する作成ステップとを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明に係るプログラムは、ドットの分布特性が異なる複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件を選択し、前記1つの信号処理条件に応じたハーフトーン処理の実行を、記録媒体上に画像を形成することで印刷物を生産可能な画像形成装置に指示するためのプログラムであって、コンピュータを、前記印刷物に関する画像形成情報を取得する画像形成情報取得部、前記画像形成情報取得部により取得された前記画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各前記信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の生産適性を評価する生産適性評価部、前記生産適性評価部による前記生産適性の評価結果を可視化した表示画像を作成する表示画像作成部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る処理条件選択装置、処理条件選択方法及びプログラムによれば、印刷物に関する画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の生産適性を評価し、前記生産適性の評価結果を可視化した表示画像を作成するようにしたので、処理特性を熟知しない作業者であっても、生産適性の評価結果を可視化した表示画像を閲覧することで、ハーフトーン処理の特性を容易に把握可能であり、印刷物に適したハーフトーン処理を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の形態に係る処理条件選択装置としての画像処理装置が組み込まれた画像形成システムの概略説明図である。
【図2】図1に示す画像処理装置の電気的なブロック図である。
【図3】図1に示す信号変換部における信号処理流れを表す概略説明図である。
【図4】組織的ディザ法によるハーフトーン処理の概略説明図である。
【図5】図1に示すヘッドユニットの構成例を表す平面透視図である。
【図6】図2に示す制御部の機能ブロック図である。
【図7】図1に示す画像処理装置の動作説明に供されるフローチャートである。
【図8】印刷物の生産適性の評価結果を可視化した画面図である。
【図9】図9A及び図9Bは、ドットパターンを表す画像データを可視化した概略説明図である。
【図10】図1に示す信号変換部における別の信号処理流れを表す概略説明図である。
【図11】特徴量算出部での学習パターンの一例を表す概略図である。
【図12】特徴量算出部での学習パターンの別の一例を表す概略図である。
【図13】変形例に係る制御部の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本実施の形態に係る処理条件選択方法について、それを実施する処理条件選択装置及び印刷システムとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書において、画像を形成することを「印刷」という場合がある。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る処理条件選択装置としての画像処理装置12を組み込んだ印刷システム10の概略説明図である。印刷システム10は、画像処理装置12と、画像形成装置14と、DTP(Desktop Publishing)装置16と、データベースサーバ18とを基本的に備える。画像処理装置12、DTP装置16及びデータベースサーバ18は、有線又は無線によって相互に電気的に接続されている。
【0027】
画像処理装置12は、外部装置からの画像信号(デバイス色信号又はページ記述データ)を画像形成装置14側に出力する。ここで、デバイス色信号とは、デバイス依存データで定義された色信号を意味し、例えば、4色(CMYK)或いは3色(RGB)のカラーチャンネルを有するラスタ形式データ(TIFF、ビットマップ、RAW等)である。また、画像形成装置14に供給されるデバイス色信号として、任意のヘッダを付加した独自のフォーマットデータを用いてもよい。また、画像処理装置12は、ドットの分布特性が異なる複数の信号処理条件から1つの信号処理条件(以下、「選択処理条件」という場合がある。)を選択し、選択処理条件に応じたハーフトーン処理の実行を、画像形成装置14に指示可能である。
【0028】
なお、本明細書中における「ドットの分布特性」とは、配置されたドットの二次元分布(密度、位相、空間周波数特性等)のみならず、異なるサイズのドットの密度、各サイズの分配比率、色版の数及び種類等の各種特性が含まれる。
【0029】
画像形成装置14は、画像処理装置12に電気的に接続されている。この接続には、例えば、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワーク等のシリアルインターフェイスや、セントロニクス等のパラレルインターフェイスを適用することができる。
【0030】
画像形成装置14は、記録媒体としてのロール紙(以下、用紙20という。)を所定方向に搬送させながら、ヘッドユニット22からインク24の液滴を吐出させることで用紙20上に画像を形成し、印刷物26を取得する、いわゆるインクジェットプリンタである。用紙20の基材には、合成紙・厚紙・アルミ蒸着紙等の紙類、塩化ビニル・PET等の樹脂やターポリン等を用いることができる。
【0031】
画像形成装置14は、ヘッドユニット22の他、画像処理装置12から入力された画像信号(以下、入力画像信号という。)を、ヘッドユニット22を制御するための制御信号に変換する信号変換部28と、該信号変換部28により取得された制御信号に基づいてヘッドユニット22を吐出制御するヘッドドライバ30とを備えている。
【0032】
なお、ヘッドユニット22による液滴の吐出機構として、種々の方式を採り得る。例えば、ピエゾ素子(圧電素子)等で構成されるアクチュエータの変形によってインク滴を吐出する方式を適用してもよい。また、ヒータ等の発熱体を介してインク24を加熱することで気泡を発生させ、その圧力でインク滴を吐出するサーマルジェット方式を適用してもよい。また、ヘッドユニット22は、ラインヘッドに限定されることなく、用紙20の幅方向に往復走査しながら画像を形成させるマルチパス方式であってもよい。
【0033】
DTP装置16は、文字、図形、絵柄や写真等から構成される素材(コンテンツ)データを編集可能であり、該素材データをページ毎に配置することで、ページ記述言語(以下、PDLという。)による電子原稿を生成する。ここで、PDLとは、印刷や表示等の出力単位である「ページ」内で文字、図形等の書式情報、位置情報、色情報(濃度情報を含む。)等の画像情報を記述する言語である。DTP装置16は、PDL形式の電子原稿に対してラスタライズ処理を施す。このラスタライズ処理には、PDL形式からラスタ形式に変換するデータ形式変換処理と、ICC(International Color Consortium)プロファイルを用いた色変換処理とが含まれる。
【0034】
データベースサーバ18は、電子原稿のジョブチケット{例えば、JDF(Job Definition Format)ファイル}、色見本データ、ターゲットプロファイル、又は画像形成装置14及び用紙20の組合せに適したデバイスプロファイル等のデータ管理を行う装置である。
【0035】
図2は、図1に示す画像処理装置12の電気的なブロック図である。
【0036】
画像処理装置12は、制御部32と、メモリ34と、第1インターフェース36と、第2インターフェース38と、表示制御部40と、表示部42とを基本的に備えている。メモリ34には、本実施の形態に係る処理条件選択装置として機能させるためのプログラムが格納されている。
【0037】
第1インターフェース36は、外部装置からの電気信号を受信する。例えば、DTP装置16で編集・作成された各種データ(デバイス色信号、PDLデータ)を取得可能である。また、データベースサーバ18で管理・保存されたICCプロファイル等の各種情報を取得可能である。第2インターフェース38は、外部装置に電気信号を送信する。例えば、画像処理装置12は、第2インターフェース38を介して、各種処理で得られた入力画像信号及び後述する選択処理条件を画像形成装置14側に供給可能である。
【0038】
CPU等の情報処理装置で構成される制御部32は、DTP装置16(図1参照)と同様のラスタライズ機能を有する画像処理部44と、画像形成情報取得部46と、生産適性評価部48と、表示画像作成部50と、処理条件選択部52を備えている。
【0039】
画像形成情報取得部46は、画像形成装置14、データベースサーバ18等の外部装置から画像形成情報を取得する。ここで、「画像形成情報」は、印刷物26に関する各種情報を意味する。画像形成情報は、画像形成装置14の種類に依存しない共通情報と、画像形成装置14の種類に依存する固有情報とに大別される。
【0040】
共通情報としては、入力画像信号の他、例えば、ジョブチケット等の付帯情報、画像の属性、所定の評価基準に基づいた画像特徴量等が挙げられる。画像の属性には、ドキュメント、写真(更には、人物画、風景画等)、CG等の種類が含まれる。画像特徴量には、例えば、空間周波数特性、色の分布、色の統計値(具体的には、平均値、標準偏差、分散等)が含まれる。
【0041】
固有情報としては、画像形成装置14の種類、出力解像度の他、例えば、用紙20に関するメディア情報、インク24の種類、組合せ、使用量等が含まれる。また、固有情報に対応付けられた物理的特性、例えば、用紙20の光沢度、各色のドットの模様(色・サイズ・形状)、インク24の吸収量・吸収速度・定着度等であってもよい。
【0042】
生産適性評価部48は、画像形成情報取得部46により取得された画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各信号処理条件を適用した場合での印刷物26の生産適性を評価する。ここで、所定の評価基準は、少なくとも1つの個別評価項目で構成されてもよく、印刷物26の画像の品質(以下、単に画質という。)、生産コスト及び所要時間のうち少なくとも1つに関する評価項目が含まれる。すなわち、印刷物26の生産適性は、画質(Quality)、生産コスト(Cost)及び所要時間(Delivery)を総合的に勘案した適性を意味する。
【0043】
処理条件選択部52は、画像形成装置14が実行可能である信号処理条件の候補(以下、「候補処理条件」という場合がある。)を複数抽出する。そして、処理条件選択部52は、複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件(選択処理条件)を選択する。処理条件選択部52は、生産適性評価部48による評価結果に基づいて選択してもよいし、作業者による指示入力に基づいて選択してもよい。
【0044】
表示画像作成部50は、表示部42に表示させる画面、あるいは前記画面の一部を構成する各種画像を作成する。表示画像作成部50は、生産適性評価部48による評価結果を可視化するための結果表示画面100(表示画像;図8参照)を作成する。
【0045】
表示制御部40は、図示しないインターフェースを介して、表示画像作成部50により作成された各種画面(図8の結果表示画面100を含む。)を表示部42に表示させる。また、表示部42の表示機能と、マウス等のポインティングデバイス54の入力機能とを用いることで、ユーザインターフェース(UI部56)を実現する。
【0046】
図3は、図1に示す信号変換部28における信号処理流れを表す概略説明図である。信号変換部28は、解像度変換部60と、CMYK色変換部62と、ハーフトーン処理部64とを基本的に備える。
【0047】
信号変換部28に入力される画像信号(入力画像信号)は、複数のカラーチャンネルからなる多階調データである。例えば、8ビット(1画素当り256階調)RGBのTIFF形式データであってもよい。
【0048】
解像度変換部60は、画像サイズを拡大又は縮小する画像拡縮処理を用いて、入力画像信号の解像度を、画像形成装置14に応じた出力解像度に変換する。ここで得られる第1中間画像信号は、入力画像信号とデータ定義は同一であるが、データサイズが異なっている。この画像拡縮処理には、補間演算を含む公知のアルゴリズムを種々適用してもよい。
【0049】
CMYK色変換部62は、公知のカラーマッチング手法を用いて、解像度変換部60から取得した第1中間画像信号を、画像形成装置14で取り扱うデバイス色信号(CMYK色信号)に変換する。ここで得られる第2中間画像信号は、多階調のCMYK色信号に相当する。
【0050】
ハーフトーン処理部64は、CMYK色変換部62から取得した第2中間画像信号を、インク24を適切に吐出制御するための制御信号(ヘッドユニット22の制御に供される信号)に変換する。ここで得られる制御信号は、ヘッドユニット22(図1及び図5参照)に対してインク24の吐出動作の有無(オン・オフ)を時系列的に制御するCMYK毎の2値データ(あるいは多値データ)である。
【0051】
ところで、画像形成装置14は、ハーフトーン処理部64により実行可能である複数の信号処理条件を格納する信号処理条件格納部66をさらに備える。信号処理条件格納部66は、画像処理装置12からの印刷指示を受けて、ハーフトーン処理を実行しようとする入力画像信号に応じた選択処理条件をハーフトーン処理部64に供給する。
【0052】
このハーフトーン処理には、組織的ディザ法、誤差拡散法、濃度パターン法、ランダムドット法等を適用することができる。以下、ハーフトーン処理の一手法である、閾値マトリクスを用いた組織的ディザ法について説明する。
【0053】
図4は、組織的ディザ法によるハーフトーン処理の概略説明図である。一例として、ベイヤー型の閾値マトリクスを用いた2値化の概念を示す。先ず、多値CMYK色信号の各アドレスと、閾値マトリクスの各行列要素とを対応付ける。そして、着目する画素での画素値と、着目する行列要素での閾値との大小関係をそれぞれ比較し、画素値の方が大きい場合には「1(オン)」を割り当て、それ以外の場合には「0(オフ)」を割り当てる。このようにして、画像信号の階調数を多値から2値に変換することができる。
【0054】
その後、ヘッドドライバ30は、ハーフトーン処理部64(信号変換部28)から取得した制御信号に基づいてヘッドユニット22を吐出制御する。
【0055】
図5は、ヘッドユニット22の構造例を表す平面透視図である。ヘッドユニット22は、少なくとも基本色であるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のラインヘッド68(ドット形成部)を備えている。そして、各ラインヘッド68は、用紙20の搬送方向に沿って配列されている。
【0056】
ラインヘッド68は、千鳥でマトリクス状に配列された複数のインク室ユニット70(ドット形成素子)を備えている。各インク室ユニット70は、ノズル72と、圧力室74と、供給口76とをそれぞれ備えている。平面形状が概略正方形である圧力室74には、その対角線上の両隅部の一方にノズル72側への流出口が設けられ、他方に図示しない共通流路からの流入口(供給口76)が設けられている。
【0057】
以下、ノズル72の配置の特徴について説明する。本図において、ラインヘッド68の長手方向及び短手方向をそれぞれ矢印X方向(主方向)、矢印Y方向(副方向)と定義する。このとき、用紙20の搬送方向は、矢印X方向に直交するとともに、矢印Y方向に平行する。
【0058】
第L1列における各ノズル72は、矢印X方向に沿って所定間隔(4単位長に相当する。)おきに等間隔に配置されている。第L2〜第L4列における各ノズル72についても、第L1列と同様に配置されている。以下、矢印X方向を、ノズル72(インク室ユニット70)の「配列方向」ともいう場合がある。
【0059】
第L2列の各ノズル72は、第L1列の各ノズル72の位置を基準として、矢印Xの左方向に1単位長だけシフトした位置に配置されている。第L3列の各ノズル72は、第L2列の各ノズル72の位置を基準として、矢印Xの左方向に1単位長だけシフトした位置に配置されている。第L4列の各ノズル72は、第L3列の各ノズル72の位置を基準として、矢印Xの左方向に1単位長だけシフトした位置に配置されている。これにより、ラインヘッド68の長手方向に沿って並ぶように投影される実質的なノズル72の間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0060】
図6は、図2に示す制御部32の機能ブロック図である。
【0061】
生産適性評価部48は、所定の信号処理条件を適用した場合での印刷物26の個別評価値をそれぞれ算出する個別評価値算出部80と、個別評価値算出部80により算出された個別評価値をそれぞれ重み付けて加算することで印刷物26の印刷適性を評価するための総合評価値を算出する総合評価値算出部82と、総合評価値算出部82による算出処理の際の各個別評価値の重み付けを決定する評価重み付け決定部84とを備える。生産適性評価部48と、他の構成要素(画像形成情報取得部46、表示画像作成部50及び処理条件選択部52)との間でのデータの授受方法については後述する。
【0062】
本実施の形態に係る画像処理装置12は以上のように構成される。続いて、画像処理装置12の動作について、図7のフローチャート及び図6の機能ブロック図を主に参照しながら説明する。
【0063】
先ず、画像形成情報取得部46は、画像形成情報を取得する(ステップS1)。各種情報の取得に先立ち、最初に、画像処理装置12は、第1インターフェース36を介して、画像を形成しようとする画像信号を入力する。この場合、2つの入力形態が想定される。
【0064】
第1の形態として、図1に示すように、DTP装置16は、所定の編集処理を経て作成したPDL形式の電子原稿に対し、さらにラスタライズ処理を施すことで、デバイス色信号(例えば、RGB色信号)を予め作成しておく。そして、画像処理装置12は、第1インターフェース36を介して、DTP装置16から供給されたデバイス色信号を入力する。
【0065】
第2の形態として、DTP装置16は、所定の編集処理を経てPDL形式の電子原稿を作成し、該電子原稿をPDL形式のまま画像処理装置12側に供給する。その後、画像処理部44(図2参照)は、メモリ34に格納されたICCプロファイルを読み出し、入力された電子原稿(PDL形式)に対してラスタライズ処理を施すことで、デバイス色信号(例えば、RGB色信号)を作成する。
【0066】
そして、画像形成情報取得部46は、この入力画像信号に対応付けられた画像形成情報(共通情報及び/又は固有情報)を取得する。画像形成情報取得部46は、予め登録・管理されたデータベースサーバ18から共通情報(又は固有情報)を取得してもよいし、画像形成装置14から固有情報を取得してもよい。
【0067】
次いで、処理条件選択部52は、画像形成装置14が実行可能である信号処理条件の候補(以下、「候補処理条件」という。)を抽出する(ステップS2)。処理条件選択部52は、第2インターフェース38を介して画像形成装置14から複数の候補処理条件を取得してもよいし、データベースサーバ18に問い合せて取得してもよい。
【0068】
次いで、生産適性評価部48は、印刷物26の生産適性の評価を開始する(ステップS3)。生産適性評価部48は、ステップS2で抽出されたすべての候補処理条件について評価が完了したか否かを判別する(ステップS4)。
【0069】
完了していないと判別された場合、個別評価値算出部80は、ステップS2で取得された画像形成情報を用いて、未だ評価していな候補処理条件における個別評価値を算出する(ステップS5)。個別評価項目として、例えば、粒状性、鮮鋭性、モトル(斑点模様)、筋むら(インク滴の着弾位置の誤差に起因する濃淡差)、バンディング(用紙20の搬送に起因する濃淡差)、階調性、平均濃度(濃度の均一性)、インク24の総使用量、単位時間当りの印刷量、ハーフトーン処理の所要時間等が挙げられる。そして、個別評価値算出部80は、算出した個別評価値の各値を、総合評価値算出部82及び表示画像作成部50にそれぞれ供給する。
【0070】
次いで、総合評価値算出部82は、個別評価値の各値から総合評価値を算出する(ステップS6)。算出に先立ち、評価重み付け決定部84は、総合評価値算出部82による算出処理の際の各個別評価値の重み付けを決定する。例えば、「粒状性」を優先(重視)する場合は、「粒状性」の個別評価値の重み付けを、「筋むら」の個別評価値の重み付けよりも相対的に大きくする。また、「インク量」を優先(重視)する場合は、「インク24の総使用量」の個別評価値の重み付けを、画質(粒状性、階調性等)に関する個別評価値の重み付けよりも相対的に大きくする。
【0071】
そして、総合評価値算出部82は、評価重み付け決定部84により決定された重み付けに従って、各候補処理条件での総合評価値を算出し、その値を表示画像作成部50に供給する。
【0072】
その後、ステップS4に戻って、すべての候補処理条件について個別評価値及び総合評価値を算出するまで、ステップS4〜S6を繰り返す。完了したと判別された場合、ステップS7に進み、生産適性評価を終了する。
【0073】
次いで、表示画像作成部50は、ステップS5で算出された個別評価値と、ステップS6で算出された総合評価値とを用いて、表示部42に表示させる結果表示画面100を作成する(ステップS8)。
【0074】
次いで、表示制御部40は、結果表示画面100を表示部42に表示させる(ステップS9)。
【0075】
図8は、印刷物26の生産適性の評価結果を可視化した画面図である。
【0076】
結果表示画面100には、画像形成情報を表示する情報表示欄102と、印刷物26の個別評価値の各値を信号処理条件毎に表示する第1結果表示欄104と、信号処理条件をマニュアルで選択・入力可能である第1選択部106と、信号処理条件の選択方法を入力する選択方法入力部108と、画像形成装置14の印刷モードを入力・編集可能である第2選択部110と、現時点で選択された信号処理条件での印刷物26の総合評価値を可視化して表示する第2結果表示欄112と、[設定]と表示されたボタン114とが設けられている。
【0077】
情報表示欄102には、インク24の種類、用紙20の種類、画像形成装置14の出力解像度、及び入力画像信号の属性がそれぞれ表示されている。
【0078】
第1結果表示欄104には、「画質」、「コスト」及び「生産性」に関する個別評価値がそれぞれ表示されている。「画質」の欄には、粒状性、モトル、筋むら、バンディング、階調性、及び平均濃度に関して、最高点が5点、最低点が1点である各個別評価値が表示されている。「コスト」の欄には、インク24の総使用量が最も少ない信号処理条件を基準(=1)とした場合における、その相対値が表示されている。「生産性」の欄には、1分間当りの印刷物26の搬送方向の長さ(単位はm/分)が表示されている。
【0079】
第1選択部106では、複数の候補処理条件(ハーフトーン名称がA〜N)の中からいずれか1つの条件を選択可能に設けられている。本図例では、ハーフトーン名称「B」が選択されている。
【0080】
選択方法入力部108では、複数の候補処理条件の中からいずれか1つを入力する「マニュアル入力」、又は入力されたモードに応じて適切な信号処理条件を自動的に選択する「モード入力」が選択可能に構成されている。本図では、例えば、「モード入力」が選択されている。
【0081】
第2選択部110では、複数のモード(粒状重視、筋むら重視、インク量重視及び生産性重視)の中からいずれか1つのモードを選択可能に設けられている。本図例では、モード名「粒状重視」が選択されている。ここで、UI部56からのモードの変更入力に応じて、評価重み付け決定部84は、総合評価値算出部82による総合評価値の算出に供される重み付けをその都度変更する。そして、総合評価値が最大となる信号処理条件(本図例では、ハーフトーン名称「B」)に該当する枠領域を着色することで、推奨する信号処理条件として明示する。これにより、作業者は、最適なハーフトーン処理を更に選択し易くなる。
【0082】
また、第2選択部110では、作業者の要望に応じて、上記した4つのモードとは異なるモード(例えば、階調重視モード)を編集・追加可能である。
【0083】
第2結果表示欄112には、画質の各個別評価項目に関する第1レーダチャート画像(左側)と、印刷物26の生産適性(いわゆるQCD)に関する第2レーダチャート画像(右側)とが表示されている。
【0084】
作業者は、結果表示画面100の第1選択部106、第2選択部110等をクリックし、信号処理条件を1つずつ選択しながら、印刷物26の生産適性を把握する。このようにして、作業者は、印刷物26を生産する際における最適な信号処理条件を1つ選択する。
【0085】
次いで、処理条件選択部52は、UI部56を介して、信号処理条件の選択指示を受け付けたか否かを確認する(ステップS10)。具体的には、[設定]ボタン114(図8参照)のクリック操作を受け付けたか否かで判断する。
【0086】
クリック操作を受け付けていない場合、ステップS9に戻って、表示制御部40は、結果表示画面100の表示制御を繰り返す。一方、クリック操作を受け付けた場合、次のステップS11に進む。
【0087】
次いで、処理条件選択部52は、ステップS10で選択指示された信号処理条件を、選択処理条件として決定する(ステップS11)。制御部32は、入力画像信号及び画像形成装置14と関連付けた上で、この選択処理条件をメモリ34に記録させる。
【0088】
最後に、画像形成装置14は、用紙20上に画像を形成することで、印刷物26を得る(ステップS12)。作業者による印刷指示に応じて、画像形成装置14は、画像処理装置12から入力画像信号及び選択処理条件を受信し、信号変換部28、ヘッドドライバ30を介して、用紙20上にインク24の液滴を吐出させる。
【0089】
例えば、第2選択部110において「粒状重視」モードを選択した場合、図9A例に示すドットパターン(階調レベルは、約50%)が生成される。本図から諒解されるように、各ドットは略等方的に配置されている。このように、高空間周波数帯域側にノイズ成分(スペクトル)を増やすことで、人間の視覚にとって粒状感(ノイズ感)が少ないドットパターンが得られる。
【0090】
一方、第2選択部110において「筋むら重視」モードを選択した場合、図9B例に示すドットパターン(階調レベルは、約50%)が生成される。本図のドットパターンは、図9Aのドットパターンと比べて、行方向(図5の矢印Y方向)に連結するドットの割合が多い。これにより、ラインヘッド68(同図参照)を用いて画像を形成する際、用紙20の搬送方向(矢印Y方向)に延在する筋むらに対する頑健性が向上する。
【0091】
以上のように、印刷物26に関する画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各信号処理条件を適用した場合での印刷物26の生産適性を評価し、前記生産適性の評価結果を可視化した結果表示画面100を作成するようにしたので、処理特性を熟知しない作業者であっても、生産適性の評価結果を可視化した結果表示画面100(特に、第1結果表示欄104及び第2表示結果欄112)を閲覧することで、ハーフトーン処理の特性を容易に把握可能であり、印刷物26に適したハーフトーン処理を選択できる。
【0092】
続いて、本実施の形態に係る画像処理装置12の変形例について、図10〜図13を参照しながら説明する。なお、変形例において本実施形態と同一である構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0093】
本変形例における画像形成装置120は、画像領域の各サブ領域に応じてハーフトーン処理を切替可能に設けられている。図10は、図1に示す信号変換部122における別の信号処理流れを表す概略説明図である。
【0094】
信号変換部122は、解像度変換部60及びCMYK色変換部62の他、図3とは異なる機能を有するハーフトーン処理部124を備える。
【0095】
ハーフトーン処理部124は、1つの画像領域を複数のサブ領域に分割する画像分割部126と、画像分割部126により分割されたサブ領域毎の画像特徴量を算出する特徴量算出部128と、信号処理条件格納部130から供給された選択処理条件に従ってサブ領域毎にハーフトーン処理演算を実行する処理演算部132と、処理演算部132での演算により得られたサブ領域に対応する制御信号を統合する画像統合部134とを備える。
【0096】
画像分割部126は、1つの画像領域を任意の領域数及び領域サイズに分割する。例えば、ブロック単位でもよいし、オブジェクト単位でもよい。
【0097】
特徴量算出部128は、サブ領域での画像信号を入力するとともに、各信号処理条件に対応付けられた画像特徴量を出力する。特徴量算出部128は、種々の入出力モデル、例えば、モンテカルロ法、ニューラルネットワーク、ブースティングアルゴリズム、遺伝的アルゴリズム等を適用してもよい。特に、ニューラルネットワーク等の学習モデルに基づいて画像特徴量を算出する場合、テストデータを用いて、特徴量算出部128に予め学習させておく必要がある。
【0098】
図11例に示すように、特徴的な模様を表す画像パターン(以下、学習パターンという。)と、各学習パターンに適した信号処理条件に対応する画像特徴量との組合せデータ(テストデータ)を複数準備する。本図における9つの学習パターンのうち、左側の学習パターンほど低い空間周波数帯域でのスペクトル成分が大きく、右側の学習パターンほど高い空間周波数帯域でのスペクトル成分が大きい。また、上側の学習パターンほど濃淡のコントラストが高く、下側の学習パターンほど濃淡のコントラストが低い。このように、二次元的に略等方的な学習パターンを用いることで、粒状性に応じた画像特徴量を得ることができる。
【0099】
また、図12に示すように、縦方向に延在する細線からなる非等方的な学習パターンを用いてもよい。この場合、矢印X方向(図5のラインヘッド68の延在方向)の鮮鋭性に応じた画像特徴量を得ることができる。さらに、横方向に延在する細線であってもよく、この場合、矢印Y方向の鮮鋭性に応じた画像特徴量が得られる。
【0100】
図10に戻って、信号処理条件格納部130は、特徴量算出部128により算出された画像特徴量に応じて、複数の信号処理条件の中から信号処理条件を1つ選択する。処理演算部132は、サブ領域内の第2中間画像信号に対しハーフトーン処理を施すことで、サブ領域に応じた制御信号を得る。画像統合部134は、画像分割部126により分割された各サブ領域を統合することで、画像領域の継ぎ目がない制御信号を得る。
【0101】
図13は、変形例に係る制御部32の機能ブロック図である。本図の生産適性評価部140は、画像形成装置120によるハーフトーン処理を模擬した上で印刷物26の生産適性を評価する点で、本実施の形態(図2及び図6の生産適性評価部48)と異なる。
【0102】
なお、本変形例に係る制御部32の動作は、図7に示すフローチャート(ステップS3、S4、S6〜S8)と同様であり、ステップS5での個別評価値の算出方法のみが異なる。
【0103】
生産適性評価部140は、総合評価値算出部82及び評価重み付け決定部84の他、ハーフトーン処理部124(図10参照)と同等の機能を有するハーフトーン模擬処理部142と、ハーフトーン模擬処理部142により得られた画像信号及び画像形成情報に基づいて印刷物26の個別評価値を算出する個別評価値算出部144とを備える。
【0104】
ハーフトーン模擬処理部142は、処理条件選択部52からの所定の信号処理条件を用いて、画像形成情報取得部46からの入力画像信号を、印刷物26の生産適性を評価するための画像信号(以下、評価用画像信号という。)に変換する。ハーフトーン模擬処理部142は、ハーフトーン処理部124(図10参照)での演算結果を略再現する処理演算を実行してもよいし、印刷物26の生産適性との相関が十分に保たれる範囲で、簡略化した処理演算を実行してもよい。
【0105】
個別評価値算出部144は、ハーフトーン模擬処理部142により得られた評価用画像信号と、画像形成情報取得部46からの画像形成情報とを用いて、所定の信号処理条件を適用した場合での印刷物26の個別評価値をそれぞれ算出する。ここで、個別評価値算出部144は、評価用画像信号が表す画像領域全体から個別評価値を算出してもよいし、サブ領域毎、オブジェクト毎に個別評価値を算出してもよい。
【0106】
このように、画像形成装置120でのハーフトーン処理を画像処理装置12上で模擬して個別評価値を算出しても、本実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0107】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0108】
例えば、本実施の形態では主にCMYK(4つの色版)を中心に説明したが、これに限定されることなく、任意の色版の種類及び版数に設計変更できる。例えば、CMYKの標準インクと、LC、LM等の淡色やW(白色)等のオプションインクとを組み合わせてもよい。
【0109】
また、画像形成装置14は、インクジェットプリンタに限られず、メディア上に色材を付着させてドットを形成する方式(例えば、電子写真方式)であれば、本発明を適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0110】
10…印刷システム 12…画像処理装置
14、120…画像形成装置 16…DTP装置
18…データベースサーバ 20…用紙
26…印刷物 32…制御部
34…メモリ 40…表示制御部
42…表示部 46…画像形成条件取得部
48、140…生産適性評価部 50…表示画像作成部
52…処理条件選択部 56…UI部
64、124…ハーフトーン処理部 80、144…個別評価値算出部
82…総合評価値算出部 84…評価重み付け決定部
100…結果表示画面 104…第1結果表示欄
112…第2結果表示欄 142…ハーフトーン模擬処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドットの分布特性が異なる複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件を選択し、前記1つの信号処理条件に応じたハーフトーン処理の実行を、記録媒体上に画像を形成することで印刷物を生産可能な画像形成装置に指示する処理条件選択装置であって、
前記印刷物に関する画像形成情報を取得する画像形成情報取得部と、
前記画像形成情報取得部により取得された前記画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各前記信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の生産適性を評価する生産適性評価部と、
前記生産適性評価部による前記生産適性の評価結果を可視化した表示画像を作成する表示画像作成部と
を有することを特徴とする処理条件選択装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記所定の評価基準は複数の個別評価項目で構成されており、
前記個別評価項目には、前記印刷物の品質、生産コスト及び所要時間のうち少なくとも1つに関する評価項目が含まれることを特徴とする処理条件選択装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記生産適性評価部は、
前記画像形成情報及び各前記個別評価項目に基づいて、各前記信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の個別評価値をそれぞれ算出する個別評価値算出部と、
前記個別評価値算出部により算出された各前記個別評価値をそれぞれ重み付けて加算することで、前記生産適性を評価する総合評価値を算出する総合評価値算出部と
を備える
ことを特徴とする処理条件選択装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記表示画像作成部は、前記総合評価値算出部により算出された前記総合評価値が最大となる信号処理条件を、推奨する信号処理条件として明示する表示画像を作成することを特徴とする処理条件選択装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の装置において、
前記表示画像作成部は、各前記個別評価値に関するレーダチャート画像を作成することを特徴とする処理条件選択装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の装置において、
前記生産適性評価部は、前記総合評価値算出部による前記総合評価値の算出に供される重み付けを決定する評価重み付け決定部をさらに備えることを特徴とする処理条件選択装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、
前記評価重み付け決定部は、ユーザインターフェース部からの入力に応じて前記重み付けを決定することを特徴とする処理条件選択装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置において、
前記複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件を選択する処理条件選択部をさらに有することを特徴とする処理条件選択装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置において、
前記表示画像作成部により作成された前記表示画像を表示する表示部をさらに有することを特徴とする処理条件選択装置。
【請求項10】
ドットの分布特性が異なる複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件を選択し、前記1つの信号処理条件に応じたハーフトーン処理の実行を、記録媒体上に画像を形成することで印刷物を生産可能な画像形成装置に指示する処理条件選択方法であって、
前記印刷物に関する画像形成情報を取得する取得ステップと、
取得された前記画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各前記信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の生産適性を評価する評価ステップと、
前記評価ステップでの前記生産適性の評価結果を可視化した表示画像を作成する作成ステップと
を備えることを特徴とする処理条件選択方法。
【請求項11】
ドットの分布特性が異なる複数の信号処理条件の中から1つの信号処理条件を選択し、前記1つの信号処理条件に応じたハーフトーン処理の実行を、記録媒体上に画像を形成することで印刷物を生産可能な画像形成装置に指示するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記印刷物に関する画像形成情報を取得する画像形成情報取得部、
前記画像形成情報取得部により取得された前記画像形成情報及び所定の評価基準に基づいて、各前記信号処理条件を適用した場合での前記印刷物の生産適性を評価する生産適性評価部、
前記生産適性評価部による前記生産適性の評価結果を可視化した表示画像を作成する表示画像作成部と
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−222433(P2012−222433A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83464(P2011−83464)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】