説明

処理装置及び処理方法

【課題】気体中に含まれる難分解性化合物を効率よく除去することが可能な処理技術を提供する。
【解決手段】難分解性化合物を含むPFCガス81が導入される下部処理槽22と、上記下部処理槽22内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出部54と、上記下部処理槽22内において発生した第1の分解物混合ガスが導入される上部処理槽21と、上記上部処理槽21内に配置されるカルシウム含有物とを備えている、難分解性化合物を含む気体を処理するための処理装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難分解性化合物を含有する気体を処理するための処理装置及び処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイオキシン類、PCB(ポリ塩化ビフェニル)及び有機フッ素化合物類(例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)又はパーフルオロオクタン酸(PFOA)等)などは化学的に安定な物質であって、耐熱性及び耐薬品性(例えば、耐酸性)に優れている。それゆえ、これら難分解性化合物は、界面活性剤、又は半導体製造における反射防止膜等の産業用材料として広く用いられている。
【0003】
しかしながら、これら難分解性化合物が広く用いられれば用いられるほど、難分解性化合物が自然界に放出される可能性が増加する。
【0004】
上述したように、難分解性化合物は化学的に安定な物質であるが故に、一度自然界に放出されれば、深刻な環境汚染の原因となり得る。例えば、北極熊、アザラシ及び鯨の体内から上述したような難分解性化合物が検出されており、難分解性化合物による環境汚染が国際的に深刻化しつつある。
【0005】
近年、例えば半導体工場又は液晶工場において使用する難分解性化合物を含む気体(例えば、各種PFC(パーフルオロカーボン)ガス)が、温暖化の原因の一つとして重要視されており、特にPFCガスは、二酸化炭素の数千倍の温室効果を有すると考えられている。PFCガスにおける炭素とフッ素の結合は、強固かつ安定なため、自然界中では分解されない。そこで、このような気体中の難分解性化合物を削減することも重要な課題となっている。
【0006】
半導体工場又は液晶工場等において使用するCF、CHF、C、SF、NF等のPFCガスは、従来から、750℃〜1400℃の高温条件において、熱分解装置、触媒分解装置、プラズマ分解装置、燃焼分解装置等により処理されている。しかし、PFCガスは難分解性であるため、分解温度条件の設定、処理量の決定、除去率の決定、副生成物の検討、ランニングコストの検討などを調査検討する必要がある。また、高温条件によって処理する従来の方法では、多大なエネルギーを消費してしまう。
【0007】
ところで、近年、小さな直径を有する気泡(バブル)には様々な作用効果があることが明らかになりつつあり、現在、このような気泡を作製する技術及びその効果に対する研究が進みつつある。そして、気泡を用いて、様々な有機物を分解しようとする試みもなされている。
【0008】
上記気泡は、その直径に応じて、マイクロバブル、マイクロナノバブル及びナノバブルに分類することができる。具体的には、マイクロバブルは、その発生時において10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは、その発生時において数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡である。なお、マイクロバブルは、発生後の収縮運動によって、その一部がマイクロナノバブルに変化することがある。また、ナノバブルは、長期に渡って液体中に存在することができるという性質を有している。
【0009】
例えば、従来から、様々なナノバブルの利用方法、及びナノバブルを利用した各種装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、特許文献1には、ナノバブルが、浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、又は静電分極の実現によって、界面活性作用及び殺菌作用を示すことが記載されている。さらに、特許文献1には、ナノバブルが有する界面活性作用及び殺菌作用を用いて、各種物体を洗浄する技術及び汚濁水を浄化する技術が記載されている。さらに、特許文献1には、ナノバブルを用いて生体の疲労を回復する方法が記載されている。なお、特許文献1では、水を電気分解するとともに、当該水に超音波振動を加えることによって、ナノバブルを作製している。
【0010】
また、従来から、液体を原料としてナノバブルを作製する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。上記作製方法は、液体中において、1)上記液体の一部を分解ガス化する工程、2)上記液体に超音波を印加する工程、又は3)上記液体の一部を分解ガス化する工程及び上記液体に超音波を印加する工程、からなるものである。なお、液体の一部を分解ガス化する工程として、電気分解法又は光分解法を用いることができることが記載されている。
【0011】
また、従来から、オゾンガスからなるマイクロバブル(オゾンマイクロバブル)を利用する廃液処理装置が用いられている(例えば、特許文献3参照)。上記廃液処理装置では、オゾン発生装置によって作製されたオゾンガスと廃液とを、加圧ポンプを用いて混合することによって、オゾンガスからなるマイクロバブルを作製している。そして、当該マイクロバブルが廃液中の有機物と反応することによって、廃液中の有機物が酸化分解される。
【特許文献1】特開2004−121962号公報(平成16年4月22日公開)
【特許文献2】特開2003−334548号公報(平成15年11月25日公開)
【特許文献3】特開2004−321959号公報(平成16年11月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のバブルを利用した処理技術では、気体に含まれる難分解性化合物を除去できないという問題点を有している。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は工場などから排出される気体に含まれる難分解性化合物を、効率よくかつ容易に除去することが可能な処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の1)〜5)を見出し、本発明を完成させるに至った。つまり、
1)工場等から排出される難分解性化合物(PFC(パーフルオロカーボン)など)を含む気体に、ナノバブル含有水ミストを含ませて処理することにより、難分解性化合物を効率よく処理できること、
2)ナノバブルの酸化力と活性炭の触媒作用とによる相乗効果を利用することによって、難分解性化合物を効率よく分解できること、
3)上記気体を含むマイクロナノバブルをナノバブル含有水中に導入することにより、ナノバブル含有水ミストを多量に含有する気体を効率よく発生させ得ること、
4)上記気体を含むマイクロナノバブルを液体中に導入し、さらに当該液体をナノバブル含有水吐出部においてせん断することによって、難分解性化合物を物理的に分解できること、
5)上記気体を処理することにより発生する難分解性化合物の分解物を含むガスをカルシウム含有物と接触させると、上記分解物が効率よく除去されること。
【0015】
すなわち、本発明に係る処理装置は、難分解性化合物を含む気体を処理するための処理装置であって、難分解性化合物を含む第1の気体が導入される第1処理部と、上記第1処理部内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出手段と、上記第1処理部内において発生した第2の気体が導入される第2処理部と、上記第2処理部内に配置されるカルシウム含有物とを備えていることを特徴としている。
【0016】
上記の構成により、難分解性化合物を含む第1の気体をナノバブル含有水によって処理することによって発生する第2の気体に含まれ得る、第1の気体に含まれる難分解性化合物、及びその分解物を、第2処理部においてカルシウム含有物と接触させることによって、効率よく無害化することができる。これにより、首尾よく第1の気体を処理することができる。
【0017】
上記カルシウム含有物は、主成分が炭酸カルシウムであることが好ましい。石灰岩、大理石、方解石、あられ石等の炭酸カルシウムを主成分とする物質は、上記カルシウム含有物として好適に用いることができる。
【0018】
また、本発明に係る処理装置において、上記ナノバブル含有水中に、上記第1の気体を含むマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生手段をさらに備えていることが好ましい。
【0019】
上記の構成により、第1処理部内において、第1の気体はマイクロナノバブルに含まれるので、ナノバブル含有水中に長時間滞留させることが可能であり、第1の気体に含まれる難分解性化合物をナノバブルにより効率よく分解することができる。
【0020】
また、本発明に係る処理装置において、上記マイクロナノバブル発生手段は、上記第1の気体が通過するらせん状の流路と、上記流路を通過した上記第1の気体が衝突するきのこ状の突起物と、を備えていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、上記第1の気体は、らせん状の流路を通過してらせん流に変換された後、きのこ状の突起物に衝突することによって、マイクロナノバブルとなる。これにより、ナノバブル含有水中に第1の気体を含むマイクロナノバブルを効率よく発生させることができる。
【0022】
また、本発明に係る処理装置において、上記マイクロナノバブル発生手段は、直径0.5μm以上3μm以下のマイクロナノバブルを上記ナノバブル含有水中に発生させるものであることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、第1の気体を含む超微細なマイクロナノバブルをナノバブル含有水中に発生させるので、第1の気体とナノバブル含有水とが十分に混合され、かつ第1の気体がより長時間ナノバブル含有水中に保持されることとにより、第1の気体に含まれる難分解性化合物を、ナノバブルにより効率よく分解することができる。
【0024】
また、本発明に係る処理装置において、上記第1の気体は、上記マイクロナノバブル発生手段に導入された後にマイクロナノバブルとして上記第1処理部内に吐出されており、上記マイクロナノバブル発生手段に導入される上記第1の気体の量を調節する、第1気体量調節手段をさらに備えていることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、マイクロナノバブル発生手段に導入される第1の気体の量を調節することにより、マイクロナノバブル発生手段から第1処理部内に吐出される第1の気体の量を調節することができる。従って、例えばマイクロナノバブル発生手段に導入される当該第1の気体の量を多くすることにより、第1処理部内を強く曝気することができるため、第1処理部内を効率よく撹拌できるとともに、後述するナノバブル含有水ミストを効率よく発生させることができる。また、マイクロナノバブル発生手段から第1処理部内に吐出される第1の気体の量を調節することによって、第1処理部内のナノバブル含有水中に発生させるマイクロナノバブルの量を調整することができる。
【0026】
さらに、例えば第1処理部内に後述する活性炭が備えられている場合には、当該曝気によって活性炭をよりよく流動させることができるので、活性炭の触媒作用が効果的に発揮され、分解効率が向上し得る。また、例えば後述する粒状活性炭が備えられている場合には、第1処理部内を強く曝気することにより、粒状活性炭から破砕微細活性炭を作製することができるため、活性炭の触媒作用を調節することができる。
【0027】
また、本発明に係る処理装置において、上記第1処理部内に活性炭が含まれていることが好ましい。
【0028】
上記の構成により、活性炭の触媒作用がナノバブルのラジカルによる酸化作用と相乗効果を奏し、効率よい分解に寄与する。
【0029】
また、本発明に係る処理装置において、上記活性炭は粒状活性炭又は破砕微細活性炭であることが好ましい。このように活性炭として、難分解性化合物を吸着する粒状活性炭、又は粒状活性炭よりも微細であり表面積が大きい破砕微細活性炭を用いることによって、処理槽内における触媒作用をより効果的に発揮させることができる。すなわち、粒状活性炭又は破砕微細活性炭の触媒作用によって、ナノバブルによる酸化作用がさらに相乗的に強まり、難分解性化合物を効率よく分解することができる。
【0030】
また、本発明に係る処理装置は、上記活性炭を、上記処理槽の容量に対して0.2(cm/cm)以上0.4(cm/cm)以下備えていることが好ましい。上記の構成によれば、活性炭の触媒作用をより高めることができる。
【0031】
また、本発明に係る処理装置は、上記第1処理部内に設けられ、上記ナノバブル含有水と上記活性炭との混合溶液から上記活性炭を分離する分離手段と、上記分離手段により上記活性炭が分離された上記混合溶液を貯める貯水槽とをさらに備えており、上記ナノバブル含有水吐出手段は、上記貯水槽内の上記混合溶液を用いてナノバブル含有水を作製し、上記第1処理部内に吐出するものであることが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、分離手段によって、第1処理部内のナノバブル含有水と活性炭との混合溶液から活性炭を分離し、活性炭が分離された混合溶液が第1処理部内から貯水槽に移送される。その後ナノバブル含有水吐出手段は、貯水槽内の混合液体を用いてナノバブル含有水を作製し、第1処理部内に吐出する。第1の気体が導入された上記混合溶液を第1処理部と貯水槽との間で循環させ、第1の気体を含むナノバブル含有水をさらにせん断してナノバブル含有水を作製することにより、より効率よく第1の気体に含まれる難分解性化合物を分解することができる。さらに、第1処理部内の活性炭は、分離手段により分離され、貯水槽に移送されずに第1処理部内に滞留するので、第1処理部内において長時間触媒作用を発揮し、分解処理に寄与することができる。
【0033】
また、本発明に係る処理装置において、上記貯水槽内に、上記混合溶液を加熱する加熱手段をさらに備えていることが好ましい。上記の構成によれば、貯水槽内の混合溶液を加熱することにより、上記混合溶液に含まれる難分解性化合物の分解効率を向上させることができる。
【0034】
また、本発明に係る処理装置は、上記貯水槽内に、上記活性炭よりも粒径の大きい大型活性炭をさらに備えていることが好ましい。上記の構成によれば、大型活性炭の触媒作用と吸着作用とにより、貯水槽内の混合溶液に含まれる難分解性化合物を、効率よく分解することができる。また、大型活性炭は粒径が大きいため、ナノバブル含有水吐出手段に取り込まれることがなく、ナノバブル含有水吐出手段の性能を妨げない。
【0035】
また、本発明に係る処理装置では、上記第2処理部において発生した第3の気体を処理するための気体処理手段をさらに備えていることが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、第2処理部内において発生した第3の気体を、さらに処理することができる。すなわち、第1処理部内及び第2処理部内において処理されずに残留した難分解性化合物を含む第3の気体を、気体処理手段においてさらに分解処理することができる。
【0037】
ここで、第1処理部内においては、第1の気体を含むマイクロナノバブルと、ナノバブル含有水とが混合され、霧状のナノバブル含有水であるナノバブル含有水ミストを多量に含む第2の気体が、第2処理部内に発生する。そして、当該第2の気体中の難分解性化合物のうち第2処理部内において処理されずに残留した難分解性化合物は、第3の気体となって、ナノバブル含有水ミストとともに気体処理手段に導入され、ナノバブル含有水ミストに含まれるナノバブルによってより効率よく分解され得る。さらに、第1処理部内のナノバブル含有水内において、第1の気体をナノバブルによってある程度分解すること、及び、第1の気体を処理することによって発生した第2の気体を第2処理部においてカルシウム含有物と接触させ、ある程度無害化することにより、気体処理手段における第3の気体の分解に要するエネルギーコストを抑えることができる。
【0038】
また、本発明に係る処理装置において、上記気体処理手段は、熱分解装置、触媒分解装置、プラズマ分解装置、及びバーナー方式燃焼分解装置からなる群より選択される少なくとも1つを備えていることが好ましい。
【0039】
気体処理手段が熱分解装置を備えていれば、高温(例えば1300℃など)にすることにより効率よく難分解性化合物を分解することができる。また、気体処理手段が触媒分解装置を備えていれば、触媒を使用することにより、効率よく難分解性化合物を分解することができる。また、気体処理手段がプラズマ分解装置を備えていれば、プラズマにより分解することによって、効率よく難分解性化合物を分解することができる。また、気体処理手段がバーナー方式燃焼分解装置を備えていれば、燃焼ガスを利用して、1300℃から1400℃などまでの温度において燃焼させて分解させることができる。
【0040】
また、本発明に係る処理装置において、上記第1の気体は、難分解性化合物を使用する装置から排出される気体であり、上記難分解性化合物を使用する装置から上記第1の気体が排出されたときに、上記ナノバブル含有水吐出手段を作動させる、シーケンス制御手段をさらに備えていることが好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、シーケンス制御手段によって、第1の気体が排出されたときに本発明に係る処理装置におけるナノバブル含有水吐出手段を作動させるため、第1の気体が排出されていないときには上記の手段を作動させず、必要時のみに作動させることができ、エネルギー消費を抑えることができる。
【0042】
また、本発明に係る処理装置において、上記第1の気体は、パーフルオロカーボンを含むことが好ましい。また、上記第1の気体は、CF、CHF、C、SF、及びNFからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。上記の構成によれば、本発明に係る処理装置は、ナノバブルが有するラジカルによる酸化力により、パーフルオロカーボン、CHF、SF、NF等における炭素などの原子とフッ素との間の強固な結合を分解することができるため、上記第1の気体を処理するために好適に用いることができる。
【0043】
また、本発明に係る処理装置において、上記ナノバブル含有水吐出手段は、下記1)〜4)
1)供給液と供給ガスとを混合及びせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部
2)上記マイクロバブル含有水をさらにせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部
3)上記ナノバブル含有水をさらにせん断して多量のナノバブルを含むナノバブル含有水を作製する第3気体せん断部
4)上記第3気体せん断部が吐出したナノバブル含有水をさらにせん断して、さらに多量のナノバブルを含むナノバブル含有水を作製する第4気体せん断部
を、備えるものであることが好ましい。
【0044】
上記の構成であれば、多量のナノバブルを含むナノバブル含有水を効率よく発生させることができる。また、ナノバブル含有水吐出手段が気体せん断部を少なくとも4つ備えていることにより、気体せん断部が3つ以下の場合よりも、多量かつ微細なナノバブルを含有させることができ、ナノバブルが有するラジカルによる酸化分解作用を強力にすることができる。
【0045】
また、ナノバブル含有水吐出手段に、例えば難分解性化合物を含む第1の気体が取り込まれる場合には、少なくとも4つ備えられたせん断部によって難分解性化合物をせん断することにより、難分解性化合物を物理的に分解することができる。
【0046】
また、本発明に係る処理装置において、上記ナノバブル含有水吐出手段は、上記第1気体せん断部に供給される上記供給液及び上記供給ガスを混合するポンプと、上記第1気体せん断部に上記供給ガスを供給する第3配管と、上記第1気体せん断部に供給される上記供給ガスの量を調節する第2気体量調節手段とをさらに備えていることが好ましい。上記の構成によれば、ナノバブルを多量に含むナノバブル含有水を作製することができる。
【0047】
また、本発明に係る処理装置において、上記第2気体量調節手段は、上記第1気体せん断部に対して1.0リットル/分以下にて上記供給ガスを供給することが好ましい。上記の構成によれば、供給ガスの量が多くなりすぎないため、ナノバブルの発生を妨げず、多量のナノバブルを発生させることができる。
【0048】
また、本発明に係る処理装置において、上記第1気体せん断部への上記供給ガスの取り込みは、上記ポンプの出力が最大値に達した時点以降に行われることが好ましい。上記の構成によれば、はじめは供給液のみを供給し、ポンプ出力が最大値に達した時点以降に供給ガスを導入することにより、キャビテーションを起こさないためポンプを損傷させない。
【0049】
また、本発明に係る処理装置において、上記第1気体せん断部への上記供給ガスの取り込みは、上記ポンプの動作開始時から60秒後以降に行われることが好ましい。上記の構成によれば、ポンプの動作開始時から60秒後以降にポンプ出力が最大値に達するため、上記構成であればキャビテーションを起こさないためポンプを損傷させない。
【0050】
また、本発明に係る処理装置において、上記第3配管は、上記第1気体せん断部の内側面に対して18度の角度をなすように、上記第1気体せん断部に接続されていることが好ましい。上記の構成であれば、第1気体せん断部において、マイクロバブルを多量に発生させることができる。
【0051】
また、本発明に係る処理装置において、上記第1気体せん断部の内部の横断面は、楕円形又は真円形であり、上記第1気体せん断部の内部表面には、2本以上の溝が設けられていることが好ましい。上記の構成によれば、溝を有することにより、第1気体せん断部における流体の旋回乱流を制御することができる。
【0052】
また、本発明に係る処理装置において、上記溝の深さは、0.3mm〜0.6mmであり、上記溝の幅は、0.8mm以下であることが好ましい。上記の構成によれば、第1気体せん断部における流体の旋回乱流をより効果的に制御することができる。
【0053】
また、本発明に係る処理装置において、上記第1気体せん断部では、第1配管を介して上記供給液が供給されるとともに、第2配管を介して上記マイクロバブル含有水が吐出され、上記第1配管の内腔の横断面の面積は、上記第2配管の内腔の横断面の面積よりも大きいことが好ましい。上記の構成によれば、空気のせん断を合理的かつ安定的に行うことができ、マイクロバブルを多量に作製することができる。
【0054】
また、本発明に係る処理装置において、上記第1気体せん断部の隔壁の厚さは、6mm〜12mmであることが好ましい。上記の構成であれば、第1気体せん断部において、マイクロバブルを安定的に発生させることができる。
【0055】
また、本発明に係る処理装置において、上記供給ガスは、オゾンガスを含んでいてもよい。上記の構成によれば、オゾンを含むナノバブルを含むナノバブル含有水を作製することができ、難分解性化合物を強力に酸化分解することができる。
【0056】
本発明に係る処理方法は、難分解性化合物を含む気体を処理するための処理方法であって、第1処理部内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出工程と、上記ナノバブル含有水中に難分解性化合物を含む第1の気体を含むマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生工程とを有する第1処理工程と、上記第1の気体を処理することによって発生した第2の気体を、カルシウム含有物を含む第2処理部に導入して処理する第2処理工程とを有していることを特徴としている。また、本発明に係る処理方法では、上記第2処理工程において上記第2の気体を処理することによって発生した第3の気体を、気体処理手段に導入して処理する第3処理工程をさらに有していることが好ましい。
【0057】
上記の構成によれば、本発明に係る処理装置と同等の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明の処理装置によれば、難分解性化合物を含む第1の気体が導入される第1処理部と、上記第1処理部内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出手段と、上記第1処理部内において発生した第2の気体が導入される第2処理部と、上記第2処理部内に配置されるカルシウム含有物とを備えているので、気体に含まれる難分解性化合物を、効率よくかつ容易に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0060】
尚、本明細書では、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱う。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
【0061】
また、本明細書では、「主成分」とは、50質量%以上含有していることを意味する。
【0062】
〔第1の実施形態〕
本発明に係る処理装置の第1の実施形態について、図1を参照して以下に説明する。図1は、本発明に係る処理装置20の第1の実施形態を示す模式図である。本実施形態に係る処理装置20は難分解性化合物を含む気体を処理するためのものであり、図1に示すように、処理槽19と、ナノバブル含有水吐出部(ナノバブル含有水吐出手段)54と、マイクロナノバブル発生部(マイクロナノバブル発生手段)79と、タンク(貯水槽)5とを備えている。
【0063】
ここで、本発明に係る処理装置20によって処理される難分解性化合物は、特に限定されないが、例えば、有機フッ素化合物、硫黄化合物、硝化物、塩化物などが含まれる。例えば有機フッ素化合物としては、パーフルオロカーボン(PFC)などが挙げられ、例えば炭素数4〜9までのPFCや、CF、CHF、C、SF、NFなどのPFCなどを例示することができる。
【0064】
本発明の処理装置20によって処理する難分解性化合物が上述の化合物であれば、効率よく処理することができる。上記難分解性化合物が上述の有機フッ素化合物であれば、炭素などの原子とフッ素との間の強固な結合を効率よく分解することができる。本実施形態においては、難分解性化合物として有機フッ素化合物を例として説明する。
【0065】
また、本発明に係る処理装置20において処理される難分解性化合物は、半導体製造装置において使用するもの、液晶製造装置において使用するものなどであってもよい。例えば半導体工場のエッチング装置では、エッチングガスとしてCF、CHF、Cなどが使用され、またCVD(chemical vapor deposition)装置では、チャンバ内に付着した生成物のクリーニングガスとしてC、NFなどが使用されている。本発明に係る処理装置20において処理される難分解性化合物としては、例えば上述した装置などから排出されるPFCガスなどであってもよい。例えば、半導体製造工程におけるドライ・エッチングによる微細パターン加工の際に排出されるPFCガスなどが挙げられる。
【0066】
処理槽19は、下部処理槽(第1処理部)22及び上部処理槽(第2処理部)21を備えており、下部処理槽22内に難分解性化合物を含む第1の気体が導入される。下部処理槽22及び上部処理槽21の詳細については、後述する。第1の気体は、上述した有機フッ素化合物などの難分解性化合物を含む気体であり、例えば、半導体製造装置、液晶製造装置などから排出される気体などを含んでいてもよい。本実施形態においては、第1の気体として、半導体製造装置(図示せず)から排出されるPFCガス(第1の気体)81を例として説明する。
【0067】
本実施形態において、処理装置20は半導体製造装置及びPFCガス排出設備31に連結されており、半導体製造装置から排出されるPFCガス81が、PFCガス排出設備31を介して処理装置20に導入されて処理される。本実施形態に係る処理装置20は、半導体製造装置の近傍に設置されている。これにより、例えば半導体製造装置からのPFCガス81の排出条件又は状態を表わす信号に基づいて、処理装置20を稼動することが容易になる。つまり、半導体製造装置と処理装置20とを、信号の送受信により容易に連動させることができる。
【0068】
このように、本発明に係る処理装置20は、難分解性化合物を排出する装置の近傍に設置されることが好ましい。さらに、本発明に係る処理装置20と、難分解性化合物を排出する装置とが、連携して運転されることがより好ましい。
【0069】
本発明に係る処理装置20の設置場所は特に限定されないが、例えば、クリーンルーム内において、半導体製造装置などの難分解性化合物を排出する設備の近傍に設置し、クリーンルーム内において発生する難分解性化合物を含む気体を処理することが可能である。また、他の難分解性化合物を含む気体を排出する装置に連結して使用することも可能である。
【0070】
本実施形態に係る処理装置20と半導体製造装置とは、信号線44を介した信号の送受信により、シーケンサー(シーケンス制御手段)53によって連動される。シーケンサー53は、半導体製造装置に、信号線44を介して接続されており、半導体製造装置からPFCガス81が排出されることを、信号線44を介して信号を受信することによって、認識する。
【0071】
本実施形態において、シーケンサー53はさらに、PFCガス排出設備31、及び本処理装置に備えられた後述する各装置、つまりナノバブル含有水吐出部54における気液混合循環ポンプ(ポンプ)7、インバータ制御ブロワー(第1気体量調節手段)23、散水ポンプ45、排気ファン41、PFCガス分解装置(気体処理手段)33、及びスクラバー34にも、信号線44を介して接続されている。シーケンサー53は、PFCガス81が半導体製造装置から排出されることを示す信号を受信すると、当該各装置を作動させる。上記の構成により、PFCガス81が排出されるときに当該各装置を作動させることができるので、必要時のみに作動させることができ、エネルギー消費を抑えることができる。なお、当該各装置を作動させるタイミングは、特に上述したものには限定されず、例えばシーケンサー53に組み込まれるプログラムに従って作動させてもよい。
【0072】
(下部処理槽22)
下部処理槽22には、ナノバブル含有水吐出部54からナノバブル含有水が吐出される。また、マイクロナノバブル発生部79が下部処理槽22内に設けられており、下部処理槽22内のナノバブル含有水中にPFCガス81を含むマイクロナノバブル27を発生させる。これにより、下部処理槽22内において、マイクロナノバブル27に含まれるPFCガス81をナノバブル含有水中のナノバブルによって分解する。ナノバブル含有水吐出部54及びマイクロナノバブル発生部79の詳細については、後述する。
【0073】
なお、本実施形態においては、PFCガス81をマイクロナノバブル27として下部処理槽22内に導入する例について説明するが、本発明に係る処理装置に第1の気体を導入する方法としては、特にこれに限定されない。
【0074】
下部処理槽22内には、ナノバブル含有水吐出部54からナノバブル49を含むナノバブル含有水がナノバブル流30として吐出される。本実施形態において、ナノバブル含有水吐出部54は、タンク5に貯められた液体を用いてナノバブル含有水を作製して、当該ナノバブル含有水を下部処理槽22内に吐出する。
【0075】
本実施形態において、タンク5には補給水が補給される。補給水としては特に限定されないが、例えば工業用水、水道水などを用いることができる。またタンク5には、後述するように、下部処理槽22から混合溶液が導入される。
【0076】
また、タンク5は、吸い込み水配管43に連結している。タンク5内の液体は、吸い込み水配管43に設けられた散水ポンプ45により吸い上げられ、後述するように、散水用水配管46を通って上部処理槽21内に散水される。
【0077】
マイクロナノバブル発生部79は、下部処理槽22内のナノバブル含有水中に、PFCガス排出設備31から排出されたPFCガス81を含有するマイクロナノバブル27を発生させる。これにより、下部処理槽22内において、ナノバブル含有水と、マイクロナノバブル27に含まれるPFCガス81とを、ナノバブル49の酸化力により分解することができる。
【0078】
このように、下部処理槽22内においてナノバブル49によってラジカルが発生し、当該ラジカルによって、PFCガス81が酸化分解される。例えば、PFCの炭素とフッ素との結合は、強固かつ安定であることが知られているが、本発明に係る処理装置20であれば、このような結合をも酸化分解することができる。
【0079】
ここでラジカルとは、不対電子を有する原子、分子、又はイオンを意図しており、フリーラジカルと称することもある。ラジカルは、通常反応性が高いために、生成するとすぐに他の原子や分子との間で酸化還元反応を起し、安定な分子やイオンとなる。ラジカルは、安定な分子又はイオンになる際に、強い酸化力を示す。このラジカルの酸化力によって、有機フッ素化合物における炭素などの原子とフッ素との強固な結合などが分解される。ナノバブル含有水吐出部54において作製されたナノバブル49の酸化力は、マイクロバブルや、マイクロナノバブルの酸化力と比較して、格段に強力である。
【0080】
本発明に係る処理装置20においては、下部処理槽22内に粒状活性炭26が流動していることが好ましい。本実施形態においては、粒状活性炭26として、「クラレコール(登録商標)」(クラレケミカル株式会社製)を用いている。PFCガス81を含有するマイクロナノバブル27は、下部処理槽22内において粒状活性炭26と混ざりあう。
【0081】
ところで、本発明者らは、後述する実施例2に示すように、ナノバブル49のみにより有機フッ素化合物を処理した場合に比して、活性炭の存在下でナノバブル49によって有機フッ素化合物を処理した場合には、有機フッ素化合物の除去率が高いことを見出した。すなわち、活性炭の存在下で、有機フッ素化合物をナノバブルにより処理すると、ナノバブルの酸化力と活性炭の吸着作用及び触媒作用とによって、有機フッ素化合物の分解が効率よく進行することを見出した。
【0082】
従って、下部処理槽22内においては、ナノバブルの酸化作用と粒状活性炭26の吸着作用及び触媒作用とによって、PFCガス81中の有機フッ素化合物が効率よく分解される。特に、下部処理槽22内に流動する粒状活性炭26の濃度を高めることによって、粒状活性炭26による吸着作用及び触媒作用が向上するため、より効率よく有機フッ素化合物を分解することができる。従って、本発明に係る処理装置20は、活性炭を、下部処理槽22の容量に対して0.2(cm/cm)〜0.4(cm/cm)含んでいることが好ましい。
【0083】
また、マイクロナノバブル発生部79から吐出されるマイクロナノバブルによって下部処理槽22が曝気されることによって、下部処理槽22内の粒状活性炭26が強い曝気で攪拌され、粒状活性炭26の一部が破砕された破砕微細活性炭62が生じる。破砕微細活性炭62は、粒状活性炭26よりも表面積が大きいため、粒状活性炭26よりも吸着作用及び触媒作用が強いので、ナノバブル49の酸化力との相乗効果により、難分解性化合物の分解効率がより一層向上する。本発明者らは、活性炭の触媒作用によって、さらに過酸化水素の分解をも促進させることを見出しており、従って本発明に係る処理装置20において、活性炭は触媒的に作用し、ナノバブル49が有する酸化分解力を増強させることができる。
【0084】
本発明に係る処理装置20において、下部処理槽22に含まれる活性炭は、粒状活性炭、破砕微細活性炭又はその両方であってもよく、また、触媒作用によりナノバブル49の酸化力を増強させ得るものであれば、他の形状の活性炭であってもよい。また、粒状活性炭26は、平均粒径が1mmであることが好ましく、破砕微細活性炭62は、平均粒径が0.2mm以下であることが好ましい。
【0085】
下部処理槽22内において、ナノバブル含有水は、ナノバブル49によって分解されずに残留するPFCガス81を含むマイクロナノバブル27、粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62とともに、マイクロナノバブル発生部79による曝気によって撹拌され、混合された混合溶液として存在する。本実施形態において、下部処理槽22内の混合溶液の一部は、流通配管14を経てタンク5に移送される。下部処理槽22内の流通配管14に連結された下部処理槽22における混合溶液排出口(図示せず)近傍には、フィルター17及びスクリーン18からなるフィルター部(分離手段)16が設けられており、当該フィルター部16によって、下部処理槽22から流通配管14を介してタンク5に移送される混合溶液から、粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62が分離される。
【0086】
フィルター17は、混合溶液排出口の近くに配置され、スクリーン18は、フィルター17よりも液相側に、フィルター17を覆うように配置されている。スクリーン18によって、比較的サイズの大きな粒状活性炭26を分離し、フィルター17によって、より微細な破砕微細活性炭62を分離する。これにより、フィルター部16においては、混合溶液から粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62が十分に分離され、粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62が下部処理槽22から流通配管14に流出しないようになっている。
【0087】
また、下部処理槽22内において、ナノバブル49、粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62によって処理され、有機フッ素化合物が分解された混合溶液の一部は、1次処理水排水管70を経て排出される。下部処理槽22内の1次処理水排水管70に連結された下部処理槽22における混合溶液排出口(図示せず)近傍には、混合溶液中に含まれる粒状活性炭26及びサイズの大きい破砕微細活性炭62を分離する、スクリーン69が設けられている。
【0088】
スクリーン69では、混合溶液から粒状活性炭26及びサイズの大きい破砕微細活性炭62が十分に分離され、粒状活性炭26及びサイズの大きい破砕微細活性炭62が下部処理槽22から1次処理水排水管70に流出しないようになっているが、サイズの小さい破砕微細活性炭62は1次処理水排水管70に流出し得る。流出した破砕微細活性炭62は、後述する排水処理装置35に導入されて処理される。従って、長時間使用してサイズが小さくなり、処理能力が低下した破砕微細活性炭62を、下部処理槽22から排出させることができる。
【0089】
本実施形態においては、フィルター17として、合成樹脂製のスポンジを用い、スクリーン18及び69として、樹脂製の網目状のシートを用いたが、これに限定されない。また、フィルター17、スクリーン18及び69の交換、メンテナンス等のための、取り出し口63及び67が下部処理槽22に設けられている。
【0090】
下部処理槽22とタンク5との間を繋ぐ流通配管14には、流通配管14の設計の自由度を上げるフランジ13及び15が設けられており、下部処理槽22内の混合溶液をタンク5に移送する。このとき下部処理槽22からタンク5に移送される混合溶液は、ナノバブル49と、ナノバブル49により分解されずに残留するPFCガス81を含むマイクロナノバブル27とを含有している。当該混合溶液は、タンク5に移送された後、第1配管6を経てナノバブル含有水吐出部54に取り込まれ、ナノバブル含有水として下部処理槽22内に戻される。タンク5内の混合溶液からは粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62が除去されているので、当該混合溶液をナノバブル含有水吐出部54が取り込んで下部処理槽22に吐出するときに、閉塞現象が生じることはない。
【0091】
このように、下部処理槽22内の混合溶液は、下部処理槽22とタンク5との間を循環して、ナノバブル含有水が繰り返し供給されるため、ナノバブル49による酸化作用がより強力になる。また、粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62がタンク5に流出せずに下部処理槽22内に滞留することによって、これらの触媒作用による有機フッ素化合物の分解能を維持することができる。
【0092】
また、下部処理槽22内で処理された混合溶液中には、下部処理槽22内でナノバブルによって分解されずに残留するPFCガス81を含むマイクロナノバブル27を含んでいるため、PFCガス81も下部処理槽22とタンク5との間を循環し、ナノバブル含有水吐出部54に取り込まれる。そして、PFCガス81は、ナノバブル含有水吐出部54によって繰り返しせん断され、PFCガス81の炭素とフッ素との強固な結合が物理的に分解される。また、循環するPFCガス81を含む混合溶液を用いて、ナノバブル含有水吐出部54が繰り返しナノバブル含有水を作製し、下部処理槽22に吐出することによって、当該ナノバブル含有水中のPFCガス81をナノバブル49の酸化力によって効率よく分解することができる。ナノバブル49の酸化力による分解と、ナノバブル含有水吐出部54における物理的な分解とによって、PFCガス81の一部が分解されて、フッ化水素(HF)ガス50及びその他の分解物ガス52となる。下部処理槽22において分解されずに残留したPFCガス81と、PFCガス81が分解して生じたフッ化水素ガス50及び分解物ガス52とは、第1の分解物混合ガス(第2の気体)となって下部処理槽22から発生し、上部処理槽21へと拡散する。
【0093】
下部処理槽22の具体的な形状については、特に限定されず、適宜公知の水槽を用いることが可能である。なお、下部処理槽22は、底部に向かって先細るテーパ形状を構成する傾斜部25及び55を備えていることが好ましい。上記構成によれば、マイクロナノバブル発生部79によるマイクロナノバブルの吐出圧と、ナノバブル含有水吐出部54によるナノバブル含有水の吐出圧とによって、下部処理槽22内の混合溶液をより効果的に攪拌することができる。その結果、下部処理槽22内の混合溶液に含まれる有機フッ素化合物の酸化分解反応をより促進することができる。なお、下部処理槽22の底面と傾斜部25とがなす角度は特に限定されないが、例えば、45度〜60度であることが好ましい。また、上記角度として、使用する活性炭の種類や供給元に応じて、好ましい角度を選択することが好ましい。
【0094】
(マイクロナノバブル発生部79)
マイクロナノバブル発生部79は、らせん状流路(流路)32及びカレントカッター(きのこ状の突起物)37を備えている。マイクロナノバブル発生部79は、PFCガス81をらせん流に変換するらせん状流路32と、らせん流となったPFCガス81を微細に破砕する数多くのきのこ状の突起物(きのこ状衝突体)を有するカレントカッター37とを備えている。マイクロナノバブル発生部79に送り込まれたPFCガス81を、らせん状流路32を通過させることによりらせん流に変換した後、カレントカッター37のきのこ状衝突体に衝突させ、衝突及びせん断を繰り返すことによって、PFCガス81を含むマイクロナノバブル27を下部処理槽22内のナノバブル含有水中に発生させる。PFCガス81を含むマイクロナノバブル27を下部処理槽22内のナノバブル含有水中に発生させることによって、PFCガス81をより長時間、ナノバブル含有水中に滞留させることが可能であり、PFCガス81をナノバブル49により効率よく分解することができる。
【0095】
本明細書において使用する限り、「マイクロナノバブル」は、直径が約数百nm〜10μmの気泡であるが、実際にはマイクロバブルとナノバブルとが混在している気泡群を指している。なお、「マイクロバブル」は、直径が約10〜50μmの気泡であり、水中において徐々に縮小し、最終的に消滅(完全溶解)するものである。また、「ナノバブル」は、直径が約1μm以下(約100〜200nm)の気泡であり、水中に長く存在することが可能である。
【0096】
マイクロナノバブル発生部79は、PFCガス81を含む微細なマイクロナノバブル27をナノバブル含有水中に発生させるガス微細化機構を備えていることが好ましい。特に、下部処理槽22内のナノバブル含有水中に、PFCガス81を含む0.5μm以上3μm以下のマイクロナノバブル27を発生させることがより好ましい。上記の構成により、より微細なPFCガス81を含むマイクロナノバブル27をナノバブル含有水中に発生させることができるので、マイクロナノバブル27に含まれるPFCガス81とナノバブル含有水とが十分に混合される結果、PFCガス81がナノバブル49により効率よく分解される。本発明に用いられるマイクロナノバブル発生部79としては、例えばラインミキサーなどが挙げられる。
【0097】
本発明に係る処理装置20は、マイクロナノバブル発生部79に導入するPFCガス81の導入量を調節するインバータ制御ブロワー23を備えていてもよい。本実施形態においてインバータ制御ブロワー23は、処理槽19の外側に設けられ、ガス配管24を介して処理槽19の下部処理槽22内に設けられたマイクロナノバブル発生部79に接続されている。インバータ制御ブロワー23は、ガス配管24を介して、PFCガス排出設備31からマイクロナノバブル発生部79にPFCガス81を送り込むとともに、その導入量をインバータ制御により調節している。つまり、マイクロナノバブル発生部79から下部処理槽22へのPFCガス81の吐出量は、インバータ制御ブロワー23により調節される。これにより、下部処理槽22内のナノバブル含有水中に発生するマイクロナノバブル27の量が調節される。また、下部処理槽22内に吐出されるPFCガス81の吐出量が調節されることによって、下部処理槽22内のナノバブル含有水の攪拌状態が調節される。
【0098】
インバータ制御ブロワー23としては、インバータ運転できる、すなわち電動機の回転数を制御できる型のものを採用することが好ましい。電動機の回転数を制御により、マイクロナノバブル27の発生量を調節することによって、下部処理槽22内における粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62の流動状態を調節することができる。インバータ制御ブロワー23により調節される下部処理槽22内への曝気量は、粒状活性炭26が沈降しないレベルであることが好ましい。
【0099】
さらに、インバータ制御ブロワー23により調節される下部処理槽22内への曝気量は、下部処理槽22の液相中におけるPFCガス81、PFCガスが分解して生じたフッ化水素ガス50及び分解物ガス52を十分に攪拌し、これらのガスを下部処理槽22内の液面まで上昇させて上部処理槽21に放出させ得る曝気量であることが好ましい。上記の条件を満たすために、当該曝気量は、下部処理槽22の容積あたり50m/時間/m以上の曝気量であることが好ましい。また、曝気量をインバータ制御することによって、後述するスクリーン18及び69と、フィルター17とに、粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62が堆積しないような曝気量に調節することができるとともに、活性炭が有する触媒の強度を調節することができる。
【0100】
(ナノバブル含有水吐出部54)
次いで、ナノバブル含有水吐出部54について説明する。ナノバブル含有水吐出部54は、第1配管6、気液混合循環ポンプ7を有する第1気体せん断部8、第2配管9、第2気体せん断部10、電動ニードルバルブ(第2気体量調節手段)11、第3配管12、第3気体せん断部80、及び第4気体せん断部29を備えている。本実施形態においてナノバブル含有水吐出部54は、タンク5と処理槽19との間に設けられており、ナノバブル含有水吐出部54の第4気体せん断部29が処理槽19の下部処理槽22内に設けられ、下部処理槽22内にナノバブル含有水を吐出するようになっている。
【0101】
第1気体せん断部8には第1配管6及び第2配管9が接続されている。そして、第1配管6はタンク5に連結されており、第1配管6を介して第1気体せん断部8に液体(供給液)が供給されるとともに、第3配管12を介して第1気体せん断部8に気体(供給ガス)が供給される。そして、第1気体せん断部8の中で上記液体と上記気体とが混合及びせん断されて、その結果、マイクロバブル含有水が作製される。
【0102】
上記第1気体せん断部8に供給される液体は、タンク5に貯留された補給水、又は、当該補給水と、下部処理槽22からタンク5に移送された混合溶液との混合液、であり得る。これにより、処理装置20を小さく設計し、省スペース化を実現できる。
【0103】
また、第1気体せん断部8に供給される気体としては、特に限定されないが、例えば、空気、オゾン、酸素、窒素、炭酸ガスなどが挙げられる。また、上記気体は、オゾン又は酸素であることが好ましい。上記構成であれば空気よりも多量のラジカルを発生させることができるので、より効果的に難分解性化合物を酸化分解することができる。なお、この場合には、第3配管12の電動ニードルバルブ11側の末端に、各気体を貯蔵し得るタンクを設けることが好ましい。なお、上記タンクの具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知のタンクを用いることが可能である。
【0104】
第1気体せん断部8内への液体の供給は、気液混合循環ポンプ7を動作させることによって行なわれる。また、第1気体せん断部8内への気体の供給、及び気体の供給量の調節は、電動ニードルバルブ11の開閉動作によって調節され得る。
【0105】
電動ニードルバルブ11の開閉動作のタイミングは特に限定されない。例えば、まず気液混合循環ポンプ7の運転を開始することによって第1気体せん断部8内に液体を導入するとともに当該液体を攪拌させる。その後、気液混合循環ポンプ7の出力が最大値に達した時点以降に電動ニードルバルブ11を開いて、これによって第1気体せん断部8内に気体を供給することが好ましい。また、気液混合循環ポンプ7の運転を開始してから60秒後以降に電動ニードルバルブ11を開いて、これによって第1気体せん断部8内に気体を供給することが、より好ましい。
【0106】
気液混合循環ポンプ7の運転開始時に電動ニードルバルブ11を開くことも可能であるが、この場合、気液混合循環ポンプ7がキャビテーション現象を起こし、その結果、気液混合循環ポンプ7が損傷する恐れがある。しかしながら、上記構成であれば、気液混合循環ポンプ7がキャビテーション現象を起こすことを防止することができるので、その結果、気液混合循環ポンプ7が破損することを防ぐことができる。
【0107】
電動ニードルバルブ11を開くことによって第1気体せん断部8内に供給される気体の量は特に限定されない。例えば、第1気体せん断部8に対して、1.0リットル/分以下にて気体を供給することが好ましい。上記構成であれば、効率よく多量のナノバブル含有水を作製することができる。
【0108】
図1に示すように、第1気体せん断部8には第3配管12を介して気体が供給される。第3配管12を第1気体せん断部8に接続させる場合、第1気体せん断部8上における第3配管12の接続位置、及び第1気体せん断部8に対する第3配管12の接続角度等は特に限定されない。
【0109】
例えば、第3配管12は第1気体せん断部8の側面に接続されるとともに、第1気体せん断部8の内側面(すなわち、第1気体せん断部8の内面に対する接線)に対して略18度の角度をなすように接続されることが好ましい。換言すれば、第3配管12の接続箇所における局所を考えた場合、第3配管12は、気体と液体との混合物の運動方向に対して18度の角度をなすように第1気体せん断部8の内側面に接続されることが好ましい。
【0110】
マイクロバブルを効率的に作製するためには、効率的に気体をせん断する必要がある。このとき、液体を超高速回転させて負圧部を形成し、当該負圧部に気体を導入する。そして、気体と液体との回転速度の差により、効率的に気体をせん断させている。この場合、上記入射角度が18度であるときが、最も気体のせん断効率が高く、それゆえ、最も多くのマイクロバブルを作製することができる。
【0111】
本実施形態においては、4つの気体せん断部を有するナノバブル含有水吐出部54について説明したが、特に4つには限らず、より多くの気体せん断部を有するものを用いてもよい。本発明者らは、4つ以上の気体せん断部を有するナノバブル含有水吐出部を用いると、各種難分解性化合物の分解効率がさらに向上することを見出した。例えばPFCガスをマイクロナノバブルとし、4つ以上の気体せん断部を有するナノバブル含有水吐出部に導入して物理的にせん断すると、PFCガスの一部が分解されてフッ化水素等になることを見出した。従って、4つ以上の気体せん断部を有するナノバブル含有水吐出部を用いることによって、各種難分解性化合物の分解処理に対応することができる。
【0112】
次いで、ナノバブル含有水吐出部54によってナノバブル含有水が作製される工程についてさらに詳細に説明する。なお、ナノバブル含有水は、大まかに言えば2つの工程(第1気体せん断工程及び第2気体せん断工程)を経て製造される。以下に、第1気体せん断工程及び第2気体せん断工程について説明する。
【0113】
<第1気体せん断工程>
第1気体せん断工程では、気体と液体とから、マイクロバブル含有水が作製される。
【0114】
第1気体せん断工程では、第1気体せん断部8において、気液混合循環ポンプ7を用いて気体と液体との混合物の圧力が流体力学的に制御されるとともに、負圧部に対して気体が吸入される。なお、「負圧部」とは、気体と液体との混合物の中で周りと比較して圧力が小さな領域を意図する。そして、上記混合物を高速流体運動させて負圧部を形成しながら気体をせん断することによって、微細なマイクロバブルを発生させる。つまり、液体と気体とを効果的に自給混合するとともに、圧送する。これによって、より微細なマイクロバブルを含有するマイクロバブル含有水を形成することができる。
【0115】
気液混合循環ポンプ7としては特に限定されないが、揚程40m以上(4kg/cmの圧力)の高揚程のポンプであることが好ましい。また、気液混合循環ポンプ7としてはトルクが安定している2ポールのポンプを用いることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部8内のマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能であり、その結果、マイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルをより微細にせん断することができる。
【0116】
また、気液混合循環ポンプ7では、ポンプの圧力が制御されていることが好ましい。例えば、気液混合循環ポンプ7の回転数が、インバータ等の回転制御部(図示せず)によって制御されていることが好ましい。なお、上記回転制御部は、さらにシーケンサー(図示せず)によって制御され得る。上記構成によれば、上記第1気体せん断部8の中のマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能となり、その結果、マイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルを所望のサイズに揃えることができる。
【0117】
第1気体せん断部8の材料は特に限定されないが、ステンレス、プラスチック、又は樹脂であることが好ましい。上記材料の中では、ステンレスが最も好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水中に不純物が混入することを防止することができるとともに、第1気体せん断部8が振動することを防止することができる。
【0118】
また、第1気体せん断部8の厚さ(隔壁の厚さ)は特に限定されないが、6mm〜12mmであることが好ましい。一般的に、第1気体せん断部8の厚さが薄ければ、第1気体せん断部8中のマイクロバブル含有水の運動によって、第1気体せん断部8が振動する。つまり、マイクロバブル含有水の運動エネルギーが振動として外部に伝播して失われるので、マイクロバブル含有水の高速流体運動が低下し、その結果、せん断エネルギーが低下する。しかしながら、上記構成によれば、第1気体せん断部8の振動を防ぐことかできるので、効率よくマイクロバブルを作製することができる。
【0119】
次いで、気液混合循環ポンプ7を有する第1気体せん断部8がマイクロバブルを発生させるメカニズムについてさらに詳細に説明する。
【0120】
まず、第1気体せん断部8において、マイクロバブル含有水の構成成分である液体と気体とからなる混相旋回流を発生させる。具体的には、インペラと呼ばれる羽を超高速で回転させて、液体と気体とからなる混相旋回流を発生させる。このとき、第1気体せん断部8の中心部には、高速旋回する気体空洞部が形成される。
【0121】
次いで、上記気体空洞部を圧力によって竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。このとき、上記気体空洞部に対しては、当該気体空洞部の負圧を利用して、気体を自動的に供給させる。そして、さらにマイクロバブルを切断及び粉砕しながら混相旋回流を回転させる。なお、上記切断及び粉砕は、第1気体せん断部8の出口内外における気液二相流体の回転速度の差によって生じる。なお、上記回転速度の差は、500〜600回転/秒であることが好ましい。
【0122】
すなわち、第1気体せん断部8において、気液混合循環ポンプ7によってマイクロバブル含有水を高速流体運動させることによって負圧部を形成するとともに、流体力学的にマイクロバブル含有水の圧力を制御することによって上記負圧部に対して気体を供給している。その結果、第1気体せん断部8では、マイクロバブルを発生させることができる。すなわち、気液混合循環ポンプ7を用いて液体と気体とを効果的に自給混合しながら圧送することによりマイクロバブル含有水を製造することができる。
【0123】
第1気体せん断部8内腔の横断面の形状は特に限定されないが、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。また、第1気体せん断部8の内腔表面は、鏡面仕上げによって形成されていることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部8の内部表面の摩擦が小さいので、気体と液体との混合物を高速旋回させることができるとともに、気体を効率良くせん断することができる。その結果、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0124】
また、第1気体せん断部8の内部表面(内腔表面)には、溝が設けられていることが好ましい。また、上記溝の数は特に限定されないが、2本以上設けられていることが好ましい。また、上記溝は、第1気体せん断部8の内部表面上に形成された凹形状を有するものであればよく、その形状は特に限定されない。例えば、上記溝は、深さ略0.3mm〜0.6mm、幅略0.8mm以下であることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部8内の液体と気体との混合物の旋回乱流の発生を制御することができるので、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0125】
また、上記第1気体せん断部8へは、第1配管6を介して液体が供給され、第2配管9を介してマイクロバブル含有水が吐出されている。このとき、上記液体を供給する第1配管6内腔の横断面の面積は、マイクロバブル含有水を吐出する第2配管9の内腔の横断面の面積よりも大きいことが好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水の吐出圧力を高めることができるので、安定的にマイクロバブルを発生させることができる。
【0126】
<第2気体せん断工程>
第2気体せん断工程では、上記第1気体せん断工程にて作製されたマイクロバブル含有水からナノバブル含有水が作製される。さらに詳細には、第1気体せん断部8によって作製されたマイクロバブル含有水を第2気体せん断部10にてさらにせん断して、これによって、ナノバブル含有水を作製している。
【0127】
なお、必要に応じて第3気体せん断部80をさらに備えることができる。第3気体せん断部80を備えれば、第2気体せん断部10によって作製されたナノバブルの大きさをさらに小さくすることができるとともに、ナノバブルの量を増加させることができる。
【0128】
また、必要に応じてさらに第4気体せん断部29をさらに備えることができる。第4気体せん断部29は、第3気体せん断部80によって作製されたナノバブルの大きさをさらに小さくすることができるとともに、ナノバブルの量を増加させることができる。
【0129】
上記気液混合循環ポンプ7によって、マイクロバブル含有水が第1気体せん断部8から第2気体せん断部10へ、さらに第3気体せん断部80へ、さらに第4気体せん断部29へ圧送される。マイクロバブル含有水が第1気体せん断部8から第2気体せん断部10へ、さらに第3気体せん断部80、さらに第4気体せん断部29へと配管を介して圧送される場合には、マイクロバブル含有水が圧送される方向に向かって、徐々に又は段階的に配管の直径が小さくなることが好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水をより高速で流体運動しながら竜巻状に細くすることができる。換言すれば、より高速で旋回する回転せん断流を発生させることができる。その結果、マイクロバブルからナノバブルを効率よく発生させることができるとともに、ナノバブル含有水中に超高温の極限反応場を形成することができる。
【0130】
上記極限反応場が形成されると、ナノバブル含有水が局部的に高温高圧状態となり、当該局所にて不安定なフリーラジカルができるとともに、同時に熱が発生される。フリーラジカルは不対電子を有する原子又は分子であって、他の原子又は分子から電子を奪い取って安定化しようとする。それゆえ、フリーラジカルを含むナノバブル含有水は、強い酸化力を示すことになる。従って上記構成によれば、フリーラジカルの作用によって、有機物などを酸化分解することができる。
【0131】
また、第2気体せん断部10、第3気体せん断部80及び第4気体せん断部29は、ステンレス、プラスチック、又は樹脂によって形成されていることが好ましい。
【0132】
また、第2気体せん断部10、第3気体せん断部80及び第4気体せん断部29内腔の横断面の形状は、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。上記構成によれば、第2気体せん断部10、第3気体せん断部80及び第4気体せん断部29の内部表面の抵抗(摩擦)が小さいので、マイクロバブル含有水を高速旋回させることができるとともに、マイクロバブル含有水を効率良くせん断することができ、その結果、多くのナノバブルを発生させることができる。
【0133】
また、第2気体せん断部10、第3気体せん断部80及び第4気体せん断部29には、小孔が開いていることが好ましい。上記小孔の開口の直径は特に限定されないが、4mm〜9mmであることが好ましい。上記構成によれば、第2気体せん断部10、第3気体せん断部80及び第4気体せん断部29の内部におけるバブル含有水の旋回運動を制御することができる。つまり、上記構成によれば、第2気体せん断部10、第3気体せん断部80及び第4気体せん断部29内部の旋回乱流の発生を制御することができる。その結果、第2気体せん断部10、第3気体せん断部80及び第4気体せん断部29によって、安定にナノバブルを発生させることができる。なお、上記小孔の具体的なサイズは、ポンプの吸引最大値、モーター出力値、及びポンプ吐出圧力値によって決定することも可能である。
【0134】
上述した気液混合循環ポンプ7、第1気体せん断部8、第2気体せん断部10、第3気体せん断部80及び第4気体せん断部29などの具体的な構成としては特に限定しないが、例えば市販のものを用いることが可能である。例えば、株式会社協和機設社製のバビダスHYK型を用いることが可能であるが、これに限定されない。
【0135】
(上部処理槽21)
本実施形態において、上部処理槽21には、炭酸カルシウム(カルシウム含有物)を含んでいる、上部炭酸カルシウム層1、中間部炭酸カルシウム層3、及び下部炭酸カルシウム層56が備えられている。また、これらの炭酸カルシウムを支えるための、上部支持網2、中間部支持網4、及び下部支持網57が備えられている。
【0136】
上部支持網2、中間部支持網4、及び下部支持網57は、上部処理槽21を水平に区切るよう形成されて固定されており、炭酸カルシウムを支えられる構造になっている。これらの支持網の網目の大きさは、炭酸カルシウムが落下せず、かつ気体、液体、及び後述する炭酸カルシウムのフロック又はスライムなどが通過できる大きさであることが好ましい。
【0137】
炭酸カルシウムは、上部支持網2、中間部支持網4、及び下部支持網57の上に、気体、液体などが通過できる程度に多量に設けられて炭酸カルシウム層を形成している。炭酸カルシウムは、支持網上に、1mあたり0.5g以下にて設けることが好ましい。このような量であれば、炭酸カルシウムが難分解性化合物などと反応してできる反応物により支持網が閉塞されることを、避けることができる。また、炭酸カルシウムは、各支持網の網目から落下しない大きさであることが好ましく、例えば直径2mm以上10mm以下の顆粒状のものがより好ましい。このような大きさであれば、難分解性化合物を含むガスとの反応効率がよく、また搬送しやすいため取り扱いが容易となる。
【0138】
なお、炭酸カルシウムとしては、主成分が炭酸カルシウムであることが好ましく、例えば、石灰岩、結晶質石灰岩(大理石)、方解石(カルサイト)、あられ石などが挙げられる。また、炭酸カルシウムに代えて、カルシウム化合物、カルシウム剤、カルシウムを含む鉱石などカルシウムを含むもの(カルシウム含有物)を用いることもできる。カルシウム剤としては消石灰などが挙げられる。カルシウム含有物は、カルシウムを含んでいるため、例えば酸性ガスなどを中和することができる。酸性ガスとしては、例えばフッ化水素ガス、硫化水素ガス、硝酸ガス、塩化水素ガスなどが挙げられる。従って、本発明に係る処理装置において処理する難分解性化合物が有機フッ素化合物、硫黄化合物、硝酸化物、塩化物などであれば、これらが下部処理槽22において分解されて生じるフッ化水素ガス、硫化水素ガス、硝酸ガス、塩化水素ガスなどを、カルシウム含有物によってさらに中和し除去することができる。
【0139】
本実施形態においては、上述したようなガスは、炭酸カルシウム層を通過する際に炭酸カルシウムの表面に接触することによって、炭酸カルシウムと自動的に反応し、無害化される。
【0140】
例えばフッ化水素ガスは、炭酸カルシウムと反応し、以下のように反応してフッ化カルシウムとなって無害化される。
2HF+CaCO→CaF+HO+CO
このような反応は、炭酸カルシウムの表面にフッ化水素ガスが接触することによって、自動的に進行する。
【0141】
下部処理槽22においては、ナノバブル49、粒状活性炭26及び破砕微細活性炭62によって、マイクロナノバブル27に含まれるPFCガス81が分解される。ここで、PFCガス81が分解されてフッ化水素ガス50及びその他の分解物ガス52が生じ、分解されずに下部処理槽22に残留するPFCガス81と共に、下部処理槽22内を上昇し、第1の分解物混合ガスとして上部処理槽21に放出される。このとき、上部処理槽21に放出される第1の分解物混合ガスには、ナノバブル含有水ミスト76が多量に含まれる。
【0142】
ナノバブル含有水ミスト76は、霧状のナノバブル含有水である。下部処理槽22内のナノバブル含有水中にマイクロナノバブル発生部79からマイクロナノバブルを発生させるとき、ナノバブル含有水へのPFCガス81の吐出量をインバータ制御ブロワー23により調節することによって、ナノバブル含有水ミスト76を発生させることが可能である。例えば、酸素溶解が6%以上となるようにインバータ制御ブロワー23を調節することが好ましい。
【0143】
上部処理槽21内に放出された第1の分解物混合ガスは、各指示網及び各炭酸カルシウム層を通過して、上部処理槽21内を上昇する。このとき、第1の分解物混合ガスに含まれる、フッ化水素ガス50及び上述した酸性ガスなどは、炭酸カルシウムと反応して処理される。フッ化水素ガス50を例にして説明すると、フッ化水素ガス50は、炭酸カルシウムと反応してフッ化カルシウムとなる。当該フッ化カルシウムは、フロック及びスライムを形成し、炭酸カルシウム又は支持網の表面に付着するか、あるいは支持網の網目を通って下部処理槽22へと落下する。「フロック」とは、一般的には化学的に反応した凝集物を意味し、また「スライム」とは、固体の表面に形成される薄い膜状のものを意味する。
【0144】
上部処理槽21における各支持網及び炭酸カルシウム層のさらに上には、上述した散水用水配管46が設置されている。散水用水配管46には、フランジ47、及び散水ノズル48が設けられている。フランジ47は、散水用水配管46の末端を閉じるように形成されている留め具であり、散水ノズル48は、散水用水配管46に一定間隔をおいて設置されているノズルである。
【0145】
散水用水配管46には、タンク5内に補給される補給水と、下部処理槽22からタンク5に導入される混合溶液とが、タンク5から散水ポンプ45により吸い込み水配管43を経て導入される。そして、散水用水配管46を流れる液体は、散水ノズル48から上部処理槽21内に散水され、各炭酸カルシウム層及び各指示網を通って下部処理槽22へと落下する。このとき、当該液体によって、各炭酸カルシウム層における炭酸カルシウムの表面と、各指示網とが洗浄されるため、これらに付着しているフッ化カルシウムなどのフロック及びスライムは、当該液体とともに下部処理槽22へと落下する。下部処理槽22内に落下したフッ化カルシウムなどのフロック及びスライムは、その後下部処理槽22内の混合溶液とともに1次処理水排水管70を経て後述する排水処理装置35へと移送される。
【0146】
また、上部処理槽21内に散水される当該液体は、上部処理槽21内の第1の分解物混合ガスに含まれる、フッ化水素ガス50などの溶解性を有するガスの一部を溶解させて下部処理槽22へと落下させる。溶解したフッ化水素などはフッ素イオンなどとなり、下部処理槽22内に落下する。
【0147】
また、下部処理槽22内の混合溶液には、下部処理槽22においてPFCガス81が分解して生じたフッ化水素などが一部溶解してフッ素イオンなどとして含まれ得る。下部処理槽22に含まれるフッ素イオンなどは、タンク5を経て散水用水配管46に導入されて上部処理槽21内に散水され得る。上部処理槽21内に散水されたフッ素イオンなどは、炭酸カルシウムと接触してフッ化カルシウムなどとなって無害化され得る。このように、下部処理槽22内において難分解性化合物が分解されて溶解した分解物などをさらに処理することができる。
【0148】
下部処理槽22から、上部処理槽21内に拡散した第1の分解物混合ガスは、上部処理槽21内を上昇し、各指示網及び各炭酸カルシウム層を通過する際、第1の分解物混合ガスに含まれるフッ化水素ガス50、酸性ガスなどが炭酸カルシウムによって処理され、第2の分解物混合ガス(第3の気体)となって上部処理槽21の上部に設けられた排気ダクト40に到達する。すなわち、第2の分解物混合ガスには、下部処理槽22において分解されずに残留したPFCガス81と、PFCガス81が分解して生じたフッ化水素ガス50及び分解物ガス52とのうち、炭酸カルシウムにより処理されずに残留したガスを含む。また、第2の分解物混合ガスには、多量のナノバブル含有水ミスト76がさらに含まれる。第2の分解物混合ガスは、PFCガス分解装置33に導入されてさらに分解される。
【0149】
本実施形態において、第1の分解物混合ガスに含まれる難分解性化合物の一部を炭酸カルシウムにより処理することによって、第2の分解物混合ガスに含まれる難分解性化合物を減らすことができる。従って、後述するPFCガス分解装置33における消費エネルギーを減らすことができる。
【0150】
(PFCガス分解装置33)
PFCガス分解装置33は、処理槽19の外部に設けられ、上部処理槽21の上部に設けられた排気ダクト40に、PFCガス配管36を介して接続されている。排気ダクト40に到達した第2の分解物混合ガスは、排気ダクト40に設けられた排気ファン41を介してPFCガス配管36を経て、PFCガス分解装置33に導入されて分解される。
【0151】
ところで、PFCガス81を分解するためには、次の反応式
CF+2HO→4HF+CO
+3HO→6HF+CO+CO
NF+(3/2)HO→3HF+(1/2)NO+(1/2)NO
SF+3HO→6HF+SO
に示すように分解反応に水(HO)を必要とする。
【0152】
従って、PFCガス分解装置33においてPFCガス81を分解するには、通常、水(HO)を供給しなくてはならないが、本実施形態における第2の分解物混合ガスには、多量のナノバブル含有水ミスト76が含まれている。すなわち、PFCガス分解装置33には、ガスとともに、水を含むナノバブル含有水ミスト76が導入されるため、別途水を供給する必要がない。また、ナノバブル含有水ミストは、反応性に富むラジカルを有しているため、反応性に優れており、PFCガスの分解において有効に作用する。
【0153】
ここで、PFCガス分解装置33内に導入されたナノバブル含有水ミスト76は、例えばPFCガス分解装置33内の温度が高温であるとき、特に有効に作用する。つまり、ナノバブル含有水ミスト76が存在しているPFCガス分解装置33内が高温である場合、PFCガス81の分解反応が促進され、従ってPFCガス81を容易に分解することができる。そのような温度としては、例えば、850℃〜1400℃であることが好ましい。
【0154】
PFCガス分解装置33としては、例えば従来使用している気体処理装置などを用いることができる。PFCガス分解装置33は、例えば、PFCガス熱分解装置、PFCガス触媒分解装置、PFCガスプラズマ分解装置、及びPFCガス燃焼分解装置の少なくとも何れか1つを備えていてもよいが、これに限定されない。上記の各装置については後述する。PFCガス分解装置33に用いられる装置は、処理対象となる難分解性化合物を含むガスの濃度、成分などによって、決定すればよい。
【0155】
PFCガス分解装置33において分解されるPFCガスなどの難分解性化合物は、例えばフッ化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素酸化物などに分解される。このうち、フッ化水素は毒性を有するため、フッ化水素を含むガスを大気中に排出する前に無毒化する必要がある。そこで、本実施形態において、処理装置20は、フッ化水素含有ガスを無毒化するための不純物除去手段として、スクラバー34を備えている。
【0156】
スクラバー34は、PFCガス分解後配管38によってPFCガス分解装置33に接続されており、PFCガス分解後配管38を介してPFCガス分解装置33において生じたフッ化水素含有ガスが導入される。スクラバー34としては、例えば、洗浄水が水である水スクラバーや、洗浄水がアルカリ性を示すアルカリスクラバーなどを用いることができるが、これに限定されない。また、スクラバー34の具体例としては、湿式充填塔スクラバーTRS型(セイコー化工機株式会社製)などが挙げられる。スクラバー34では、ガス中のフッ化水素を、洗浄水に気液接触させ、洗浄水中にフッ素イオンとして溶解させることによって、ガス中からフッ素を除去して無毒化する。
【0157】
本実施形態において、フッ化水素含有ガス中のフッ化水素は、スクラバー34において取り除かれて洗浄水とともに廃液として排出され、排水配管42によって後述する排水処理装置35へと移送される。スクラバー34においてフッ化水素が除去され無害化されたガスは、処理ガス39として処理装置20外に排出される。
【0158】
本発明に係る処理装置20は、スクラバー34及び下部処理槽22から排出される廃液を処理するための排水処理装置35をさらに備えていてもよい。本実施形態に係る排水処理装置35は、排水配管42によってスクラバー34と接続されており、スクラバー34から排出されるフッ素イオンなどを含有する廃液が導入される。また、排水処理装置35は、1次処理水排水管70によって下部処理槽22に接続されており、下部処理槽22から排出される廃液が導入される。下部処理槽22から排出される廃液には、フッ素イオンなどの分解物、サイズの小さい破砕微細活性炭62、フッ化カルシウムのフロック及びスライムなどが含まれ得る。
【0159】
本実施形態に係る排水処理装置35は、無機凝集剤として消石灰(水酸化カルシウム)を備えており、また有機凝集剤として高分子凝集剤を備えている。このような高分子凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミド系有機凝集剤(栗田工業株式会社製のクリフロック)などを用いることができる。また、排水処理装置35は、例えば、消石灰及び高分子凝集剤を備える凝集槽と、フッ化カルシウムのフロック(集合体)を沈殿させる為の沈澱槽とを備えていてもよい。
【0160】
スクラバー34及び下部処理槽22から排水処理装置35に移送された廃液中のフッ素イオンは、消石灰中のカルシウムと反応し、フッ化カルシウムを形成して沈殿する。また、下部処理槽22から排出された廃液が、有機フッ素化合物を分解したときに生じる硫酸イオンを含んでいる場合には、この硫酸イオンが消石灰中のカルシウムと反応して硫酸カルシウムを形成し、無害化される。さらに、下部処理槽22から排出された廃液に含まれるフッ化カルシウムなどのフロック及びスライムが、凝集後沈澱処理される。上述した沈殿物、下部処理槽22から排出された破砕微細活性炭62などは、排水処理装置35において、被処理水中から固液分離される。
【0161】
このように無害化された廃液は、2次処理水排水管71から処理水として排出される。
【0162】
以上のように、本発明に係る処理装置20によれば、PFCガスのような難分解性化合物を含有する気体を処理し、ナノバブルの酸化作用及び活性炭の触媒作用によりPFCガス中の炭素などの原子とフッ素との強固な結合を切断して分解する。その結果生じたフッ化水素ガスなどの分解物ガスを、カルシウム含有物と反応させて無害化する。さらに、未分解のPFCガス及び分解物ガスを、PFCガス分解装置33において分解処理する。これにより、半導体製造装置などから排出される気体中の難分解性化合物を効率よく分解することができる。
【0163】
本発明に係る処理装置20によれば、例えば従来の、高温にて処理する気体処理装置などにおいて処理しようとする難分解性化合物を含む気体を、当該気体処理装置に導入する前に、ナノバブルの酸化作用、活性炭の触媒作用、及びカルシウム含有物の中和作用により、常温にて分解して処理することができる。従って、当該気体処理装置のみを用いて処理するよりも、エネルギー消費を大幅に抑えることができる。
【0164】
〔第2の実施形態〕
本発明に係る処理装置20の第2の実施形態について、図2を参照して以下に説明する。図2は、本発明に係る処理装置20の第2の実施形態を示す模式図である。第2の実施形態においては、PFCガス分解装置として、PFCガス熱分解装置72を用いている点が第1の実施形態と異なっており、他は第1の実施形態と同様に構成されている。よって、本実施形態では、第1の実施形態と異なる点のみについて説明し、同様の構成の部材には同じ部材番号を付してその説明は省略する。
【0165】
本実施形態において、PFCガス熱分解装置72は、セラミックヒーター(図示しない)を備えている。一般に、反応時の温度が上昇すると難分解性化合物の分解が促進されるため、本実施形態においてPFCガス熱分解装置72内の温度をセラミックヒーターによって上昇させることにより、難分解性化合物の分解効率を向上させる。PFCガス熱分解装置72における加熱手段としては、セラミックヒーターの他にも、電熱ヒーターなどを用いることができる。
【0166】
PFCガス熱分解装置72としては、どのような方式を用いる装置でもよいが、例えば筒状の躯体と洗浄ガス導入管とヒーターとで構成されている加熱反応部を備える装置などが挙げられる。上記の装置においては、例えば躯体の内周面、ヒーターの外周面の材質はセラミックスであり、PFCガスなどの難分解性化合物を加熱反応部に導入して熱分解処理する。
【0167】
PFCガス熱分解装置72内の温度は、導入される難分解性化合物の種類、又は導入される気体の量など種々の条件によって異なるが、例えば1,300℃まで上昇させることが好ましい。これにより、気体中の難分解性化合物を効率よく分解することができる。
【0168】
〔第3の実施形態〕
本発明に係る処理装置20の第3の実施形態について、図3を参照して以下に説明する。図3は、本発明に係る処理装置20の第3の実施形態を示す模式図である。第3の実施形態においては、PFCガス分解装置として、PFCガス触媒分解装置74を用いている点が第1の実施形態と異なっており、他は第1の実施形態と同様に構成されている。よって、本実施形態では、第1の実施形態と異なる点のみについて説明し、同様の構成の部材には同じ部材番号を付してその説明は省略する。
【0169】
本実施形態において、PFCガス触媒分解装置74は、当該装置内に導入された難分解性化合物を含有する気体を、触媒を使用して電気加熱により処理する。触媒としては、例えば、Ni・Al触媒又はPd/Ni/Al触媒を用いることができる。また、電気加熱手段としては、例えば、電気炉を用いることができる。PFCガス触媒分解装置74では、排ガス中のPFCガスなどの難分解性化合物を電気炉において電気加熱し、さらに触媒と接触させることで、約750℃において、当該難分解性化合物を分解することができる。つまり、PFCガス触媒分解装置74は、第2の実施形態におけるPFCガス熱分解装置よりも低温において分解することができる。また、PFCガス触媒分解装置74は、発生したフッ化水素を即座に吸収する成分を含む高性能触媒を含んでいることが好ましい。
【0170】
〔第4の実施形態〕
本発明に係る処理装置の第4の実施形態について、図4を参照して以下に説明する。図4は、本発明に係る処理装置20の第4の実施形態を示す模式図である。第4の実施形態においては、PFCガス分解装置として、PFCガスプラズマ分解装置75を用いている点が第1の実施形態と異なっており、他は第1の実施形態と同様に構成されている。よって、本実施形態では、第1の実施形態と異なる点のみについて説明し、同様の構成の部材には同じ部材番号を付してその説明は省略する。
【0171】
PFCガスプラズマ分解装置75は、排ガス中のPFCガスなどの難分解性化合物をプラズマにより分解し、そこに水や酸素を添加することにより、分解したガスの再結合を防ぎ、処理可能なガスに転化する装置である。その結果、気体中の難分解性化合物を効率よく分解することができる。
【0172】
PFCガスプラズマ分解装置75としては、例えば、前処理部、プラズマ発生部、反応部、及びガス冷却器から構成されている、マイクロ波を利用した空洞共振器方式の装置であってもよい。
【0173】
〔第5の実施形態〕
本発明に係る処理装置の第5の実施形態について、図5を参照して以下に説明する。図5は、本発明に係る処理装置の第5の実施形態を示す模式図である。第5の実施形態においては、PFCガス分解装置として、PFCガス燃焼分解装置77を用いている点が第1の実施形態と異なっており、他は第1の実施形態と同様に構成されている。よって、本実施形態では、第1の実施形態と異なる点のみについて説明し、同様の構成の部材には同じ部材番号を付してその説明は省略する。
【0174】
本実施形態において、PFCガス燃焼分解装置77は、図示しないが燃焼手段としてバーナーを備えている。上述したように、反応時の温度が上昇すると難分解性化合物の分解が促進されるため、PFCガス燃焼分解装置77内の温度を上昇させることにより、難分解性化合物の分解効率が向上する。
【0175】
PFCガス燃焼分解装置77では、燃料炉にPFCガスなどの難分解性化合物を導入し、バーナーに燃料と酸素ガスを吹き込んで燃焼させて分解する。例えば、PFCガスをフッ化水素まで分解する。
【0176】
バーナーによって上昇させる温度としては、導入される難分解性化合物の種類、又は導入される気体の量など種々の条件によって異なるが、例えば1,300℃まで上昇させることが好ましい。これにより、気体中の難分解性化合物を効率よく分解することができる。
【0177】
〔第6の実施形態〕
本発明に係る処理装置20の第6の実施形態について、図6を参照して以下に説明する。図6は、本発明に係る処理装置20の第6の実施形態を示す模式図である。第6の実施形態においては、タンク5内にヒーター64が設けられている点のみが第1の実施形態と異なっており、他は第1の実施形態と同様に構成されている。よって、本実施形態では、第1の実施形態と異なる点のみについて説明し、同様の構成の部材には同じ部材番号を付してその説明は省略する。
【0178】
本実施形態において、タンク5内にはヒーター64が設けられているので、タンク5内の難分解性化合物を含有する液体の温度を調節することができる。一般に液体の温度が上昇すると当該化合物の分解が促進されるため、温度が上昇した液体を下部処理槽22に移送し、下部処理槽22内でナノバブル及び活性炭により処理することによって、難分解性化合物の分解効率が向上する。しかしながら、当該液体の温度設定は、液体に含まれる難分解性化合物の種類、ナノバブル含有水吐出部54の仕様、下部処理槽22内の粒状活性炭26の量、及びマイクロナノバブル発生部79から吐出されるPFCガスの吐出量等によって異なるので、予め得た実験データに基づいて、総合的な観点(省エネ、コスト、分解性能等)から決定すればよい。
【0179】
〔第7の実施形態〕
本発明に係る処理装置の第7の実施形態について、図7を参照して以下に説明する。図7は、本発明に係る処理装置の第7の実施形態を示す模式図である。第7の実施形態においては、タンク5内に大型活性炭65が充填された大型活性炭収容容器66が設けられている点が第1の実施形態と異なっており、他は第1の実施形態と同様に構成されている。よって、本実施形態では、第1の実施形態と異なる点のみについて説明し、同様の構成の部材には同じ部材番号を付してその説明は省略する。
【0180】
本実施形態において、タンク5には下部処理槽22に含まれる粒状活性炭26よりも大きい大型活性炭65が充填された大型活性炭収容容器66が設けられている。
【0181】
ここで、触媒作用として作用する活性炭には、通常、細孔が開いている。大型活性炭65にも同様に細孔が開いており、また大型であるが故に、タンク5が含む活性炭の量及び表面積が多くなるため、タンク5が含む大型活性炭65は、強い触媒作用を有する。タンク5には、下部処理槽22から移送されたナノバブル49を含んでおり、従って大型活性炭65が有する触媒作用は、タンク5において、ナノバブルによる酸化作用をより強めることができるので、液体に含まれる難分解性化合物を効率よく分解することができる。また、大型活性炭65は吸着作用も有しているため、難分解性化合物を吸着させた後にナノバブルの酸化力によって分解することもできる。
【0182】
なお、大型活性炭65は、一定時間使用した後に新しい大型活性炭に交換するなど、定期的にメンテナンスを行うことが好ましい。難分解性化合物を吸着して性能が低下した大型活性炭65を新しいものに交換することによって、難分解性化合物をより効率よく分解することができる。
【0183】
〔第8の実施形態〕
本発明に係る処理装置の第8の実施形態について、図8を参照して以下に説明する。図8は、本発明に係る処理装置の第8の実施形態を示す模式図である。第8の実施形態においては、ナノバブル含有水吐出部54にナノバブルを作製するために導入される気体をオゾンガスに特定している点のみが第1の実施形態と異なっており、他は第1の実施形態と同様に構成されている。よって、本実施形態では、第1の実施形態と異なる点のみについて説明し、同様の構成の部材には同じ部材番号を付してその説明は省略する。
【0184】
本実施形態において、ナノバブルを作製するために導入される気体をオゾンガスに限定しているため、作製されるナノバブルはオゾンナノバブルとなる。従って、オゾン以外の気体によって作製されたナノバブルよりも、酸化力の強いナノバブルを作製することができるため、液体中の難分解性化合物をより強力に酸化分解することができる。
【0185】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的内容を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0186】
〔実施例1〕
図2に基づいて、PFCガスを処理する処理装置20を作製した。
【0187】
本実施例において用いた処理装置20において、タンク5の容量は0.5m、処理槽19の上部処理槽21の容量は約0.8m、下部処理槽22の容量は約1.2m、PFCガス熱分解装置72の容量は約1.5m、スクラバー34の容量は約2.2mとした。
【0188】
ナノバブル含有水吐出部54としては、3.7kwの出力を有する電動機により構成された気液混合循環ポンプ7を備える、株式会社協和機設製のHYK型を用いた。また、下部処理槽22には、水処理用活性炭「クラレコールGW(液相用)(登録商標)」(クラレケミカル株式会社製)を導入した。
【0189】
マイクロナノバブル発生部79には、半導体工場から排出された、PFCを含むガスを導入した。またインバータ制御ブロワー23によって調節される、マイクロナノバブル発生部79から下部処理槽22に吐出されるPFCガスの吐出量は、下部処理槽22の容積あたり0.1m/時間/mとした。
【0190】
タンク5には、補給水として水道水を導入し、処理設備に関する一連の設備を全て稼動した。稼動し始めて6日後に、タンク5内、及び1次処理水排水管70から得られる液体中の総フッ素量を測定した。総フッ素量は燃焼イオンクロマトグラフ法により測定した。その結果を表1に示す。ただし、タンク5に導入された水道水には、初めから微量のフッ素が含まれていた。
【0191】
【表1】

【0192】
また、稼動し始めて6日後に、スクラバー34から排出された処理ガス39中のPFCなどについて、ガスクロマトグラフ−質量分析計法を用いて検出した。その結果を表2に示す。
【0193】
【表2】

【0194】
表1及び表2に示す結果から、以下のa)及びb)が明らかになった。
a)タンク5内の液体中の総フッ素量と比較して、1次処理水排水管70から得られる液体中の総フッ素量が格段に高かったため、PFCガスに含まれるPFCが、下部処理槽22において分解されてフッ化水素(HF)等になり、フッ素イオンとして液体中に溶解したことが明らかになった。
b)スクラバー34から排出された処理ガス39中に、PFC等分解物が検出されなかったことから、分解物が確実に分解されたことが明らかになった。
【0195】
〔実施例2〕
ナノバブルによる酸化分解に、さらに活性炭を組み合わせた場合の効果を調べるために、実施例1で用いた装置と同様の装置を用いて、以下の通り実験した。
【0196】
本実施例では、半導体工場から排出された、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)などの有機フッ素化合物を含有する液体を下部処理槽22に20リットル導入し、以下の条件1)〜3)により処理装置20を稼動した。
1)下部処理槽22内をマイクロナノバブル発生部により曝気する。
2)下部処理槽22内をマイクロナノバブル発生部により曝気するとともに、ナノバブル含有水を吐出させる。
3)下部処理槽22内をマイクロナノバブル発生部により曝気するとともに、ナノバブル含有水を吐出させ、さらに破砕微細活性炭を添加する。
【0197】
本実施例においては、ナノバブル含有水吐出部として、株式会社協和機設社製のHYK型を用い、破砕微細活性炭として、水処理用活性炭「クラレコールGW(液相用)(登録商標)」(クラレケミカル株式会社製)を用いた。
【0198】
処理装置20を6日間稼働した後に、下部処理槽22内の液体におけるPFOS濃度、全有機炭素(TOC)濃度、化学的酸素要求量(COD)を測定した。PFOS濃度はLC/MS/MS法(液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計法)、全有機炭素濃度は燃焼触媒酸化法、化学的酸素要求量は過マンガン酸カリ消費法により測定した。その結果を表3に示す。
【0199】
【表3】

【0200】
表3に示す結果から、ナノバブル含有水を吐出させるとともに破砕微細活性炭を添加することにより、PFOS濃度、全有機炭素量、化学的酸素要求量が大きく低下したことから、破砕微細活性炭が触媒的に作用し、ナノバブルによる酸化分解力を高めたことが明らかになった。
【0201】
〔実施例3〕
上部処理槽21にカルシウム含有物を備えた場合の効果を調べるために、実施例1で用いた装置と同様の装置を2セット作製し、処理装置A及び処理装置Bとした。ただし、処理装置Aにおける上部処理槽21には炭酸カルシウムの鉱物を備え、処理装置Bには炭酸カルシウムの鉱物を備えなかった。炭酸カルシウムの鉱物としては、市販されている直径0.6mmの方解石(カルサイト)を装置あたり5000g用いた。
【0202】
処理装置A及び処理装置Bを用いて、実施例1と同様に実験を行った。稼動し始めて6日後に、PFCガス配管36内の気体に含まれるフッ化水素濃度を、ランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法を用いて測定した。その結果を表4に示す。
【0203】
【表4】

【0204】
表4に示すように、上部処理槽21にカルシウム含有物を備えている処理装置AのPFCガス配管36内の気体に含まれるフッ化水素濃度は、カルシウム含有物を備えていない処理装置Bよりも大幅に低かった。本実施例の結果から、上部処理槽21にカルシウム含有物を備えることによって、フッ化水素を確実に処理できることが明らかになった。
【0205】
従って、本発明に係る処理装置では、上部処理槽21にカルシウム含有物を備えることによりフッ化水素を処理することができるので、その後のPFCガス分解装置に導入される難分解性化合物を減らすことができ、PFCガス分解装置における消費エネルギーをより抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明は、工場等から排出されるガスを処理するためのガス処理装置を製造する分野に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】本発明に係る処理装置の第1の実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明に係る処理装置の第2の実施形態を示す模式図である。
【図3】本発明に係る処理装置の第3の実施形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る処理装置の第4の実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明に係る処理装置の第5の実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係る処理装置の第6の実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明に係る処理装置の第7の実施形態を示す模式図である。
【図8】本発明に係る処理装置の第8の実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0208】
1 上部炭酸カルシウム層
2 上部支持網
3 中間部炭酸カルシウム層
4 中間部支持網
5 タンク(貯水槽)
6 第1配管
7 気液混合循環ポンプ(ポンプ)
8 第1気体せん断部
9 第2配管
10 第2気体せん断部
11 電動ニードルバルブ(第2気体量調節手段)
12 第3配管
13 フランジ
14 流通配管
15 フランジ
16 フィルター部(分離手段)
17 フィルター
18 スクリーン
19 処理槽
20 処理装置
21 上部処理槽(第2処理部)
22 下部処理槽(第1処理部)
23 インバータ制御ブロワー(第1気体量調節手段)
24 ガス配管
25 傾斜部
26 粒状活性炭
27 マイクロナノバブル
29 第4気体せん断部
30 ナノバブル流
31 PFCガス排出設備
32 らせん状流路(流路)
33 PFCガス分解装置(気体処理手段)
34 スクラバー
35 排水処理装置
36 PFCガス配管
37 カレントカッター(きのこ状の突起物)
38 PFCガス分解後配管
39 処理ガス
40 排気ダクト
41 排気ファン
42 排水配管
43 吸い込み水配管
44 信号線
45 散水ポンプ
46 散水用水配管
47 フランジ
48 散水ノズル
49 ナノバブル
50 フッ化水素ガス
52 分解物ガス
53 シーケンサー
54 ナノバブル含有水吐出部(ナノバブル含有水吐出手段)
55 傾斜部
56 下部炭酸カルシウム層
57 下部支持網
62 破砕微細活性炭
63 取り出し口
64 ヒーター
65 大型活性炭
66 大型活性炭収容容器
67 取り出し口
69 スクリーン
70 1次処理水排水管
71 2次処理水排水管
72 PFCガス熱分解装置
74 PFCガス触媒分解装置
75 PFCガスプラズマ分解装置
76 ナノバブル含有水ミスト
77 PFCガス燃焼分解装置
79 マイクロナノバブル発生部(マイクロナノバブル発生手段)
80 第3気体せん断部
81 PFCガス(第1の気体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難分解性化合物を含む第1の気体が導入される第1処理部と、
上記第1処理部内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出手段と、
上記第1処理部内において発生した第2の気体が導入される第2処理部と、
上記第2処理部内に配置されるカルシウム含有物と
を備えていることを特徴とする難分解性化合物を含む気体を処理するための処理装置。
【請求項2】
上記カルシウム含有物は、主成分が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
上記ナノバブル含有水中に上記第1の気体を含むマイクロナノバブルを発生させる、マイクロナノバブル発生手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
上記マイクロナノバブル発生手段は、
上記第1の気体が通過するらせん状の流路と、
上記流路を通過した上記第1の気体が衝突するきのこ状の突起物と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
上記マイクロナノバブル発生手段は、直径0.5μm以上3μm以下のマイクロナノバブルを上記ナノバブル含有水中に発生させるものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の処理装置。
【請求項6】
上記第1の気体は、上記マイクロナノバブル発生手段に導入された後にマイクロナノバブルとして上記第1処理部内に吐出されており、
上記マイクロナノバブル発生手段に導入される上記第1の気体の量を調節する、第1気体量調節手段をさらに備えていることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
上記第1処理部内に活性炭が含まれていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項8】
上記活性炭は粒状活性炭又は破砕微細活性炭であることを特徴とする請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
上記活性炭を、上記第1処理部の容量に対して0.2(cm/cm)以上0.4(cm/cm)以下備えていることを特徴とする請求項7又は8に記載の処理装置。
【請求項10】
上記第1処理部内に設けられ、上記ナノバブル含有水と上記活性炭との混合溶液から上記活性炭を分離する分離手段と、
上記分離手段により上記活性炭が分離された上記混合溶液を貯める貯水槽とをさらに備えており、
上記ナノバブル含有水吐出手段は、上記貯水槽内の上記混合溶液を用いてナノバブル含有水を作製し、上記第1処理部内に吐出するものであることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項11】
上記貯水槽内に、上記混合溶液を加熱する加熱手段をさらに備えていることを特徴とする請求項10に記載の処理装置。
【請求項12】
上記貯水槽内に、上記活性炭よりも粒径の大きい大型活性炭をさらに備えていることを特徴とする請求項10又は11に記載の処理装置。
【請求項13】
上記第2処理部において発生した第3の気体を処理するための気体処理手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項14】
上記気体処理手段は、熱分解装置、触媒分解装置、プラズマ分解装置、及びバーナー方式燃焼分解装置からなる群より選択される少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項13に記載の処理装置。
【請求項15】
上記第1の気体は、難分解性化合物を使用する装置から排出される気体であり、
上記難分解性化合物を使用する装置から上記第1の気体が排出されたときに、上記ナノバブル含有水吐出手段を作動させる、シーケンス制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項16】
上記第1の気体は、パーフルオロカーボンを含むことを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項17】
上記第1の気体は、CF、CHF、C、SF、及びNFからなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜16に記載の処理装置。
【請求項18】
上記ナノバブル含有水吐出手段は、下記1)〜4)を備えるものであることを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の処理装置。
1)供給液と供給ガスとを混合及びせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部
2)上記マイクロバブル含有水をさらにせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部
3)上記ナノバブル含有水をさらにせん断して多量のナノバブルを含むナノバブル含有水を作製する第3気体せん断部
4)上記第3気体せん断部が吐出したナノバブル含有水をさらにせん断して、さらに多量のナノバブルを含むナノバブル含有水を作製する第4気体せん断部。
【請求項19】
上記ナノバブル含有水吐出手段は、
上記第1気体せん断部に供給される上記供給液及び上記供給ガスを混合するポンプと、
上記第1気体せん断部に上記供給ガスを供給する第3配管と、
上記第1気体せん断部に供給される上記供給ガスの量を調節する第2気体量調節手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項18に記載の処理装置。
【請求項20】
上記第2気体量調節手段は、上記第1気体せん断部に対して1.0リットル/分以下にて上記供給ガスを供給することを特徴とする請求項19に記載の処理装置。
【請求項21】
上記第1気体せん断部への上記供給ガスの取り込みは、上記ポンプの出力が最大値に達した時点以降に行われることを特徴とする請求項19又は20に記載の処理装置。
【請求項22】
上記第1気体せん断部への上記供給ガスの取り込みは、上記ポンプの動作開始時から60秒後以降に行われることを特徴とする請求項19又は20に記載の処理装置。
【請求項23】
上記第3配管は、上記第1気体せん断部の内側面に対して18度の角度をなすように、上記第1気体せん断部に接続されていることを特徴とする請求項19〜22の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項24】
上記第1気体せん断部の内部の横断面は、楕円形又は真円形であり、
上記第1気体せん断部の内部表面には、2本以上の溝が設けられていることを特徴とする請求項18〜23の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項25】
上記溝の深さは、0.3mm〜0.6mmであり、
上記溝の幅は、0.8mm以下であることを特徴とする請求項24に記載の処理装置。
【請求項26】
上記第1気体せん断部では、第1配管を介して上記供給液が供給されるとともに、第2配管を介して上記マイクロバブル含有水が吐出され、
上記第1配管の内腔の横断面の面積は、上記第2配管の内腔の横断面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項18〜25の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項27】
上記第1気体せん断部の隔壁の厚さは、6mm〜12mmであることを特徴とする請求項18〜26の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項28】
上記供給ガスは、オゾンガスを含んでいることを特徴とする請求項18〜27の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項29】
第1処理部内にナノバブル含有水を吐出するナノバブル含有水吐出工程と、
上記ナノバブル含有水中に難分解性化合物を含む第1の気体を含むマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生工程とを有する第1処理工程と、
上記第1の気体を処理することによって発生した第2の気体を、カルシウム含有物を含む第2処理部に導入して処理する第2処理工程とを有していることを特徴とする難分解性化合物を含む気体を処理するための処理方法。
【請求項30】
上記第2処理工程において上記第2の気体を処理することによって発生した第3の気体を、気体処理手段に導入して処理する第3処理工程をさらに有していることを特徴とする請求項29に記載の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−89054(P2010−89054A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264366(P2008−264366)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】