説明

処理遅延のリアルタイム較正および報告のための方法およびシステム

本明細書で開示する主題は、第1のワイヤレスデバイスによって送信チェーンおよび受信チェーン処理遅延を推定するシステムおよび方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する主題は、ロケーション推定に関する処理遅延の較正および報告に関する。
【背景技術】
【0002】
セル電話、携帯情報端末(PDA)、または他の任意のモバイルワイヤレスデバイスなどのモバイルデバイスは、そのロケーションまたは位置を判定することができる場合がある。たとえば、モバイルデバイスが屋外エリアで使われる場合、モバイルデバイスは、そのロケーションを、衛星測位システム(SPS)から受信されたナビゲーション信号に基づいて推定することができる。しかし、ときには、特定の屋内ロケーションなど、SPSからのナビゲーション信号が入手可能となり得ないエリアがいくつかある。
【0003】
モバイルデバイスは、そのロケーションを、SPSからのナビゲーション信号が入手可能でないエリア内で推定することができる。たとえば、モバイルデバイスは、既知のロケーションに関連付けられたアクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスに信号を送信すればよい。このような信号を受信すると、アクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスは、モバイルデバイスに応答信号を送信し得る。アクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスからの距離範囲は、モバイルデバイスによる信号送信から応答信号の受信までの、測定された持続時間に基づいて推定され得る。
【0004】
ただし、アクセスポイントは、モバイルデバイスからの信号受信から、モバイルデバイスへの応答信号の送信までに、処理遅延にあう場合がある。このような処理遅延は、たとえば、特定のアクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスの動作条件に応じて変わり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある特定の実装形態では、第1のワイヤレスデバイスによって送信チェーンおよび受信チェーン遅延を推定するシステムおよび方法が提供される。本明細書で開示する主題は、第1のワイヤレスデバイスによって送信チェーンおよび受信チェーン遅延を推定するシステムおよび方法に関する。第1のワイヤレスデバイスは、ワイヤレスに第1の信号を送信し、第1の信号の送信中に、第1の信号の少なくとも一部分を受信する。第1の信号に関連した第1の送信処理遅延および第1の受信処理遅延は、第1の信号の送信中に、第1の信号の少なくとも一部分の受信に少なくとも部分的に基づいて推定される。ただし、これは例示的実装形態に過ぎず、請求する主題は、この点について限定されないことを理解されたい。
【0006】
非限定的かつ非網羅的な特徴について、以下の図を参照しながら説明し、様々な図を通じて同じ参照番号は同じ部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実装形態による、2つのノードの間の往復遅延(RTD)測定値に関連した時間基準および飛行時間(TOF)遅延を示す図である。
【図2】一実装形態による、ワイヤレスデバイスによって送信されるビーコンメッセージのフォーマットまたはレイアウトを示す図である。
【図3】一実装形態による遅延測定を示すタイミング図である。
【図4】一実装形態による、1つまたは複数の信号を互いに送信する2つのノードを備えるシステムを示す概略図である。
【図5】一実装形態による、2つのノードの間のRTDを測定するプロセスを示す流れ図である。
【図6】一実装形態による、全二重周波数分割複信(FDD)トランシーバを有するシステムにおいて使われるRFアーキテクチャを示す概略図である。
【図7】一実装形態による、単一アンテナおよび単一受信チェーンを有する半二重FDD(ピアツーピア)デバイスを示す概略図である。
【図8】一実装形態による、2つのアンテナおよび単一受信チェーンを有する半二重FDD(ピアツーピア)デバイスを示す概略図である。
【図9】一実装形態による、受信ダイバーシティを有する半二重FDD(ピアツーピア)デバイスを示す概略図である。
【図10】一実装形態による、時分割複信(TDD)トランシーバを有するシステムにおいて使われるRFアーキテクチャを示す概略図である。
【図11】一実装形態によるモバイルデバイスを示す概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書全体にわたる「一例」、「1つの特徴」、「例」または「特徴」という言及は、特定の特徴および/または例に関連して説明するその特徴、構造、または特性が、請求する主題の少なくとも1つの特徴および/または例に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所における「一例では」、「例」、「1つの特徴では」または「特徴」という語句の出現は、同じ特徴および/または例にすべて言及しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の例および/または特徴に合成されることがある。
【0009】
モバイルデバイスは、そのロケーションを、信号をワイヤレス送信することが可能なアクセスポイントまたは他のデバイスからワイヤレス受信された信号に基づいて識別することができる。たとえば、モバイルデバイスは、特定の建物または他の構造物など、衛星測位システム(SPS)からのナビゲーション信号が入手可能でないエリア内で使用される場合がある。アクセスポイントおよび/または他のワイヤレスデバイスは、このようなエリアにおいて既知のロケーションに置くことができ、モバイルデバイスは、モバイルデバイスから特定のアクセスポイントまでの距離範囲を推定することができる。あるいは、SPSナビゲーション信号が入手不可能であるエリア内に置かれたモバイルデバイスは、地球中心座標など、既知のロケーションをもつ1つまたは複数のワイヤレスデバイスと通信すればよい。一例では、SPSナビゲーション信号が入手可能であるエリア内に置かれたワイヤレスデバイスは、そのロケーションを判定し、このようなSPSナビゲーション信号が入手可能でないエリア内に置かれたモバイルデバイスと通信することができる。公知の技術を用いて、このようなモバイルデバイスから1つまたは複数のアクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスまでの距離範囲を推定することができ、このようなモバイルデバイスのロケーションを計算することができる。
【0010】
モバイルデバイスは、アクセスポイント、基地局、または他のワイヤレスデバイスまでの距離範囲を推定するのに、いくつかの技法のどの1つを使ってもよい。測位のために距離範囲測定または近接アプリケーションを実施する間、1つの解法は、送信デバイスから受信ノードまでの信号飛行時間(本明細書では「飛行時間」または「TOF」と呼ぶ)を測定することである。TOF測定値を、信号が移動する距離に変換することによって、送信デバイスと受信ノードとの間の距離範囲の推定値を生成することができる。
【0011】
ただし、TOF測定を行うためには、送信ノードおよび受信ノードが時間同期され得る。このように、送信ノードが、予め合意した時間境界で送信を開始し、受信ノードが、この時間境界と比較して、信号が受信されるのにかかったTOF遅延を測定する。
【0012】
一実装形態では、モバイルデバイスは、それ自体のロケーションを、1つまたは複数の近くのフェムトセルと通信することによって推定することができる。本明細書で使用する「フェムトセル」は、小型セルラー基地局を指し得る。このようなフェムトセルは、ブロードバンドを介して(たとえば、デジタル加入者線(DSL)やケーブルを介するなどして)サービスプロバイダのネットワークに接続することができる。フェムトセルは、フェムトセルに適合する多くの可能技術の中からほんのいくつかの例を挙げれば、たとえば、ユニバーサルモバイル通信システム(UTMS)、ロングタームエボリューション(LTE)、エボリューションデータ最適化またはEvolution-Data only(EV-DO)、Global System for Mobile communicaions(GSM(登録商標))、ワールドワイドインターオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(WiMAX)、符号分割多重接続(CDMA)-2000、または時分割同期符号分割多重接続(TD-SCDMA)などの技術を使用することができる。
【0013】
一実装形態では、ある特定のアクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスにプローブ要求信号がワイヤレス送信されるプロセスによって距離範囲が推定される。このようなプローブ要求を受信すると、アクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスは、応答信号をワイヤレス送信することができる。モバイルデバイスは、モバイルデバイスがプローブ要求を送信したときと、応答信号が受信されたときとの間の時間間隔(本明細書では「往復遅延」または「RTD」と呼ぶ)を測定することができる。ワイヤレス送信される信号は、光速である既知の速度で移動する。したがって、プローブ要求の送信から応答の受信までのRTDに基づいて、距離範囲を推定することができる。ただし、アクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスは通常、プローブ要求が受信されたときと、応答信号が送信されたときとの間の受信チェーン遅延(Rx)、および送信チェーン遅延(Tx)など、一定の処理遅延にあう。
【0014】
本明細書で使用する「処理遅延」は、メッセージ、パケット、信号、または他の情報の受信と、受信したメッセージ、パケット、信号、または他の情報に少なくとも部分的に基づく、ある特定の動作またはアクションの実施との間に電子デバイスが被る遅延を指し得る。たとえば、プローブ要求パケットまたは信号がワイヤレスデバイスによって受信された場合、ワイヤレスデバイスは、特定の動作を実施し、かつ/または特定の算出を行った後で、応答パケットまたは信号を送信することができる。一例では、プローブ要求を受信すると、プローブ要求を送信したワイヤレスデバイスの識別を抽出し、送信するべき応答を生成する間に処理遅延を被る。測距のケースでは、たとえば、処理遅延は、信号が受信機のアンテナにヒットしたときから、受信機が実際に信号を復調し、信号がそのデバイスに向けられたものであると判断し、飛行時間を推定したときまでの遅延を含む。同様に、別の遅延は、デバイスが、(たとえば、受信した「ビーコンメッセージ」を検出した後で)応答を送ると決定したときから、信号が実際にアンテナを離れるときまでにかかった時間に関連する。
【0015】
本明細書で使用する「受信チェーン遅延」は、電子デバイスが、ワイヤレス送信されたパケットおよび/または信号を受信すると被る遅延を指し得る。たとえば、パケットまたは他のワイヤレス信号が、アンテナによって受信され、続いてワイヤレスデバイス内の電子回路構成に与えられた場合、アンテナ、復調およびデコーダ回路構成、ならびに/または他の回路構成を通るパケットまたは他のワイヤレス信号の伝搬が、一定の時間間隔内に起こり得る。
【0016】
本明細書で使用する「送信チェーン遅延」は、電子デバイスが、ワイヤレス送信されたパケットおよび/または信号を送信すると被る遅延を指し得る。たとえば、応答パケットまたは他のワイヤレス信号が生成され、ワイヤレスデバイスによる送信のためにアンテナに与えられた場合、アンテナを通るパケットまたは他のワイヤレス信号の伝搬、変調器および/または他の回路構成を介した送信パケット/信号の形成に関連した遅延が、一定の時間間隔内に起こり得る。復調および変調に関連した遅延は、信号の飛行時間を判定する上では、重要な場合もそうでない場合もある。ただし、往復遅延測定を実施する際は、このような変調/復調遅延が考慮される。
【0017】
受信チェーン遅延および送信チェーン遅延は、現在の動作条件に基づいて変わり得る。たとえば、暑い日には、信号がアンテナおよび/または他の回路構成を通って移動する速度は、このような信号が寒い日に移動するであろう速度とは異なり得る。したがって、送信チェーン遅延および/または受信チェーン遅延は、周囲温度に依存し得る。送信チェーン遅延および/または受信チェーン遅延に影響し得る他の要因は、たとえば、回路が動作しているときの周波数を含み得る。たとえば、送信/受信回路構成を通る群遅延は、周波数依存になり得る。パケットのサイズおよびタイプも、それぞれ、パケットをデコードし、または組み立てるために復調器または変調器内で行われる処理量に影響を与え得る。また、受信信号強度(SNR)に依存して、信号を検出し、復調し、デコードするために受信機で行われる処理量が変わり得る。
【0018】
測定された時間間隔に基づく、正確な距離範囲推定値を与えるために、モバイルデバイスは、測定された往復遅延間隔から、処理遅延の推定値を減算すればよい。ただし、異なるアクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスは、異なる処理遅延にあう可能性がある。処理遅延のこのような差異は、現在の動作条件に少なくとも部分的に基づき得る。このような異なる処理遅延を正確に考慮するために、ある特定のアクセスポイントまたは他のワイヤレスデバイスに特有な処理遅延の推定値を、モバイルデバイスに与えればよい。プローブ要求の送信と、応答信号の受信との間の往復遅延の測定が行われ、アクセスポイントに特有の処理遅延が減算されると、アクセスポイントからモバイルデバイスまでの距離範囲の測定値は、このような時間測定値に基づいて推定することができる。
【0019】
RTD測定方式は、TOF測定方式とは反対に、時間同期の必要をなくし得る。たとえば、送信デバイスと受信デバイスとの間のどの時間差も、2つの暗黙的な単方向のTOF測定値中に現れるが、後で論じるように、互いを相殺するように符号は逆である。
【0020】
RTD測定方式に残る追加遅延は、送信用の波形の処理時間および受信信号の処理時間のものである。この値は、一部の標準では、「バックトゥザフューチャー」BTFと呼ばれ、従来は、設計ごとに、約1μsの精度まで測定され記録されていた。ただし、TOF測定値における、すべての1μsの誤差が、約300mの距離範囲推定値誤差につながるので、このような剰余遅延を、より高い精度まで較正することにより、このような測距および測位システムの性能が高まり得る。
【0021】
本明細書で論じる技法は、軽微な変更のみで、全二重システムと半二重システムの両方において行われる測定に適用することができる。「全二重」方法は、周波数分割複信(FDD)または時分割複信(TDD)システム内の、1つまたは複数の基地局(BS)またはアクセスポイント(AP)と、移動局(MS)またはアクセス端末(AT)との間で行われる測定に適用可能である。「半二重」方法は、一方、やはりFDDまたはTDDシステム両方における、ピアツーピア(たとえば、MS-MSやAT-AT)設定に対してより適用可能である。
【0022】
ある実装形態では、測距信号の送信および受信のための波形処理に関連した遅延(たとえば、TxおよびRxチェーン遅延)を高い精度まで測定するための手段を提供する。このような測定は、さらに、リアルタイムのRTD測定に関与するノードに報告され得る。
【0023】
モバイル端末設計では、低い部品表(BOM)コストは、重要な検討事項である。したがって、測定値忠実度を維持しながら、モバイルワイヤレスデバイスがRTD測定を比較的低コストで実施できるようにすることを目指すRFアーキテクチャは、非常に価値があり得る。
【0024】
移動局と基地局、アクセスポイント、第2の移動局、または他の任意のワイヤレスデバイスとの間など、2つのノードの間のRTD測定値は、あるノードから別のノードまでのTOFに起因する遅延だけでなく、「実」時間への各ノードの不完全同期に関連した時間遅延および各ノードでの処理遅延も含み得る。
【0025】
図1は、一実装形態による、2つのノード、たとえば、ノードA100とB105との間のRTD測定値に関連した時間基準およびTOF遅延を示す。一例では、ノードA100は、モバイルデバイスを含んでよく、ノードB105は、別のモバイルデバイス、アクセスポイント、基地局、または他のどのタイプのワイヤレス通信デバイスを含んでもよい。図1に示す例では、ノードA100、B105は、クロックを同期していない可能性があり、したがって、ノードA100での時間基準は、ノードBでの対応する時間基準とは異なり得る。この例では、ノードA100とB105の両方が、マスタクロックに同期されている場合、ノードA100とB105の両方は、t0を示す内部クロック基準をもつことになる。ただし、ノードA100でのクロックとノードB105でのクロックとの間が同期していない可能性があるので、ノードA100、B105でのそれぞれの時間基準は異なり得る。
【0026】
図示するように、各ノードでの時間基準
【0027】
【数1】

【0028】
は、「実」時間(たとえば、t0)に、任意の同期誤差を足したもの、すなわち
【0029】
【数2】

【0030】
によって与えられ、ここで「ノード」は、AまたはBのどちらでもよい。式の項
【0031】
【数3】

【0032】
は、たとえば、マスタクロックの実時間(たとえば、t0)と、ある特定のノードのクロックとの間の時間差を示す。言い換えると、
【0033】
【数4】

【0034】
は、あるノードでのクロックがマスタクロックより遅れ、または進む時間量を示す。各ノードに関連したTx&Rxチェーン処理遅延は、本明細書では、それぞれ、
【0035】
【数5】

【0036】
および
【0037】
【数6】

【0038】
と指定される。したがって、ノードBによって観察され、報告される、ノードAとBとの間を移動する信号の時間遅延は、
【0039】
【数7】

【0040】
によって与えられる。
【0041】
具体的には、式Aは、信号がノードAからノードBに送信された場合、信号が送信されたときにノードAによって観察された時間を、信号が受信されたときにノードBによって観察された時間から減算することによって、時間遅延が判定されることを示す。ノードAによって送信チェーンに信号が与えられる時間は、
【0042】
【数8】

【0043】
である。信号が、ノードBによって受信され、ノードB内の受信チェーンからプロセッサまたは他の処理デバイスに与えられる時間は、
【0044】
【数9】

【0045】
である。ノードAの送信チェーンと、ノードBの受信チェーンとの間で信号が送信される持続時間は、式AではtTOFと指定される。考慮するべき他の要因は、ノードAに関する送信チェーン遅延、すなわちTx、およびノードBに関する受信チェーン遅延、すなわちRxである(たとえば、信号はノードAからノードBに送信されるので)。ノードAに関するTxチェーン遅延は、
【0046】
【数10】

【0047】
と指定され、ノードBに関するRxチェーン遅延は、
【0048】
【数11】

【0049】
と指定される。
【0050】
同様に、ノードBからノードAに送信される信号に関する時間遅延は、以下の式
【0051】
【数12】

【0052】
により、ノードAによって観察され、報告され得る。
【0053】
ノードAからノードBに送信される信号に関する時間遅延と、ノードBからノードAに送信される信号に関する時間遅延の両方が既知である場合、ノードAとBとの間で送信される信号に関するTOFは、ノードAからBに送信される信号に関して観察される時間遅延(以下では
【0054】
【数13】

【0055】
と指定される)を、ノードBからAに送信される信号(以下では
【0056】
【数14】

【0057】
と指定される)と平均することによって推定することができる。
【0058】
【数15】

【0059】
式Cに示すように、ノードAからノードBに送信される信号に関する時間遅延を、ノードBからノードAに送られる信号と平均した結果、式A、Bで上に示したいくつかの項が簡約される。このような項が簡約した後、得られた式Cは、ノードAとBとの間で信号を送信するときに観察される平均時間遅延が、実際のTOF(tTOFと指定される)ならびにノードA、Bでの測定されたTxチェーン遅延の1/2およびノードA、Bでの測定されたRxチェーン遅延の1/2と等しいことを示す。
【0060】
上述したように、各ノードでのTx&Rxチェーン遅延の合計は、「バックトゥザフューチャー」(BTF)値と呼ぶことができ、工場での試験時間中に、約1μsの精度まで測定することができる。
【0061】
【数16】

【0062】
ただし、本明細書で論じる実装形態において、TxおよびRxチェーン遅延は、オンザフライで、TxおよびRxチェーン遅延が単に工場で測定された場合に可能であるよりも高い精度で測定することができる。リアルタイムのRxおよびTxチェーン遅延の測定では、たとえば、温度および信号周波数に起因する、このような遅延における変動を考慮することができる。
【0063】
異なる性能および関連処理、RxチェーンおよびTxチェーン遅延をもつ様々なRFアーキテクチャを使用することができる。RTDを測定する基本的な一連の動作は、様々な実装形態における各RFアーキテクチャに対して同じである。異なるRFアーキテクチャを使ってRTD測定を行う上での唯一の違いは、ビーコンメッセージまたはビーコンフレームが全二重それとも半二重(ピアツーピア)モードで送信されるかを選ぶことにある。
【0064】
様々なRFアーキテクチャは、Tx+Rxチェーン遅延を測定し、Tx+Rxチェーン遅延の測定値を受信ノードに送信することができる。信号のある部分の送信中、数dBだけ減衰される信号の一部は、Rxチェーンにリークバックする場合がある。言い換えると、ワイヤレスデバイスが信号を送信する場合、信号のある部分が、ワイヤレスデバイスのRxチェーンによって受信され得る。たとえば、ワイヤレスデバイスのRxチェーンが、ビーコンメッセージまたは他の信号の送信中に対応する送信周波数に同調された場合、ワイヤレスデバイスは、ローカルに送信されるビーコンメッセージを検出し、復調し、ビーコンメッセージがワイヤレスデバイスのTx&Rxチェーンの両方を通って移動するのにかかった時間を測定することができる。「リークした」信号がRxチェーンに戻るのにとる経路は、本明細書で論じる異なるRFアーキテクチャに基づいてわずかに異なる場合があり、実装される具体的なRFアーキテクチャに基づいて、処理遅延推定の精度が異なるようになる。
【0065】
図2は、一実装形態による、ワイヤレスデバイスによって送信されるビーコンメッセージ200のフォーマットまたはレイアウトを示す。ビーコンメッセージ200は、ワイヤレスデバイスに送信される信号を含んでよく、たとえば、アクセスプローブを含み得る。ビーコンメッセージ200は、プリアンブル205、データカプセル210、および巡回冗長検査(CRC)部分215など、異なる部分からなり得る。プリアンブル205は、データを含まない、ビーコンメッセージ200の部分を含み得る。たとえば、プリアンブル205は、ビーコンメッセージ200を送信するワイヤレスデバイスと、ビーコンメッセージ200を受信するワイヤレスデバイスとの間で同期をとるために使用することができる。プリアンブル205は、たとえば、固定コードおよび検出フェーズを含み得る。プリアンブル205の固定コードは、その固定コードに気づいているどのデバイスによる検出も可能にし、検出されると、受信信号のフェーズが推定され得る。概して、固定コードは、ビーコンメッセージのメッセージカプセル部分をデコードするのを助けるのに使われる。プリアンブル205の送信中、送信されるプリアンブル205の部分は、ビーコンメッセージ200を送信したワイヤレスデバイスの受信チェーンを介して受信することができる。プリアンブル200の継続時間は可変でよく、通常は、たとえば、約5ミリ秒より長い期間である。プリアンブル205の部分は、データカプセル210の送信に先立って、送信側ワイヤレスデバイスのRxチェーンを通して受信することができる。
【0066】
プリアンブル205の部分を受信すると、ワイヤレスデバイスは、それ自体のTxおよびRxチェーン遅延を判定することができ、測定されたTxおよびRxチェーン遅延を、ビーコンメッセージ200のデータカプセル210に入れて送信することができる。
【0067】
ワイヤレスデバイスは、プリアンブル205が完全に送信される前に、推定TxおよびRxチェーン遅延を、データカプセル210に入れて送られるべきデータにカプセル化することができる。データカプセル210は、測定されたTxおよびRxチェーン遅延と、ビーコンメッセージ200を送信するワイヤレスデバイスの識別、および適用可能な場合は到着時間(TOA)測定値など、他の情報との組合せを含み得る。CRC215は、たとえば、データカプセル210に入れて送信されるデータに対する偶発的変化を検出するのに使用されるハッシュ関数を含み得る。
【0068】
図3は、一実装形態による遅延測定のタイミング図を示す。第1のタイミング図300において、送信されるべきビーコンメッセージが生成される。このようなビーコンメッセージは、プリアンブル310およびデータカプセル315を含む。第2のタイミング図320は、ワイヤレスデバイスのTxチェーンを介したビーコンメッセージの送信タイムラインを示す。図示のように、プリアンブル310が形成されるときと、プリアンブルがワイヤレスデバイスのTxチェーンを介して送信されるときとの間に、Txチェーン遅延325が存在する。第3のタイミング図330は、ビーコンメッセージを送信するワイヤレスデバイスのRxチェーンを介した、ビーコンメッセージの受信タイムラインを示す。図示のように、ワイヤレスデバイスによるプリアンブル310の形成から、Txチェーンを介したプリアンブル310の送信および後に続くプリアンブル310の、ワイヤレスデバイスのRxチェーンを介した受信までに、測定されたTxおよびRxチェーン遅延335が存在する。測定されたTxおよびRxチェーン遅延は、データカプセル315にカプセル化し、ビーコンメッセージを受信したワイヤレスデバイスに送信することができる。
【0069】
図4は、一実装形態による、1つまたは複数の信号を相互に送信する2つのノードを備えるシステム400の概略図である。図示のように、システム400は、ノードA405およびノードB410を含む。この例では、ノードA405は、ノードB410からのその距離範囲を判定することを望む。たとえば、ノードB410は、地球中心座標によって指定されるような、既知のロケーションをもつ場合があり、ノードA405は、プローブ要求を含むビーコンメッセージをノードBに送信することができ、ノードB410までのその距離範囲を、ノードB410から受信されることになる応答用のRTD測定値に基づいて推定することができる。上述したように、処理、Rxチェーン、およびTxチェーン遅延を、測定されたRTDから減算すればよく、その後、RTD測定値から測定遅延を差し引いたものに基づいて、距離範囲が推定され得る。
【0070】
この例では、ノードA405および/またはノードB410はそれぞれ、モバイルデバイス、アクセスポイント、基地局、またはワイヤレス信号を受信し送信することが可能な他のどのワイヤレスデバイスなどのワイヤレス通信デバイスを含み得る。ノードA405は、プロセッサ415、受信機420、および送信機425など、様々な構成要素を含み得る。ノードA405は、ワイヤレス信号を送信および/または受信する1つまたは複数のアンテナも含み得る。図4に示す実装形態では、ノードA405は、2つのアンテナ、すなわち第1のアンテナ430および第2のアンテナ435を含む。ただし、一部の実装形態では、ある特定のノードが、ワイヤレス信号の送信と受信の両方に使われる単一アンテナのみを含み得ることを理解されたい。この例では、第1のアンテナ430が、ワイヤレス信号を受信するのに使用され、第2のアンテナ435が、ワイヤレス信号を送信するのに使用される。したがって、第1のアンテナ430は、ノードA405用のRxチェーンの一部であり、第2のアンテナ435は、ノードA405用のTxチェーンの一部である。
【0071】
ノードB410は、プロセッサ440、受信機445、および送信機450など、様々な構成要素を含み得る。ノードB410は、ワイヤレス信号を送信および/または受信する1つまたは複数のアンテナも含み得る。図4に示す実装形態では、ノードB410は、2つのアンテナ、すなわち第1のアンテナ455および第2のアンテナ460を含む。この例では、第1のアンテナ455は、ワイヤレス信号を受信することができ、第2のアンテナ460は、ワイヤレス信号を送信することができる。したがって、第1のアンテナ455は、ノードB410用のRxチェーンの一部であり、第2のアンテナ460は、ノードB410用のTxチェーンの一部である。
【0072】
図5は、一実装形態による、2つのノードの間のRTDを測定するプロセス500を示す流れ図である。たとえば、プロセス500は、図4を参照して上で論じたノードA、Bによって実装することができる。最初に、動作505で、ノードAが、ビーコンメッセージを送信し、それ自体のTxおよびRxチェーン遅延を送信中に測定する。図4を参照すると、ノードA405が、ビーコンメッセージをノードB410に送信中である場合、このようなビーコンメッセージは、送信機425および第2のアンテナ435を含むTxチェーン経由で送信することができる。ビーコンメッセージの一部は、第1のアンテナ430にリークバックし、ノードA405のRxチェーンによって受信される場合がある。TxおよびRxチェーン遅延の測定値は、リークした信号に基づいて判定され得る。TxおよびRxチェーン遅延の測定の値は、送信のための、送信機425への信号の提供から、受信機420による受信までの継続時間に少なくとも部分的に基づいて判定することができる。ノードAは、それ自体のRxおよびTxチェーン遅延の測定値を、メモリデバイスに記憶することができる。
【0073】
再び図5を参照すると、動作510で、ノードBは、ノードAからビーコンメッセージを受信し、ビーコンメッセージの到着時間(TOA)を測定することができる。ノードBによって測定されたTOAは、ノードAによって送信されたビーコンメッセージが、受信され、ノードBのRxチェーンを通される時間を示し得る。ノードBによるTOA測定は、ノードBの内部クロックを参照して行われ得る。ノードA、Bは、システムクロックを参照して、情報/データのフレームを送信することができる。フレームは、フレーム境界を含み得る。ノードBが、ノードAからビーコンメッセージを受信した場合、ノードBは、受信したビーコンメッセージのフレーム境界と、予想されるフレーム境界との間の時間差を、システムまたはネットワーククロックから導出される、ノードB自体の内部クロックに基づいて測定することができる。ビーコンメッセージに関するTOA測定値は、予想されるフレーム境界からの、このような時間差と等しくなり得る。
【0074】
次に、動作515で、ノードBは、TOA測定値を、ビーコンメッセージのデータカプセルに埋め込めばよく、続いて、ノードAへのビーコンメッセージの送信を開始することができる。ノードBは、ノードAからビーコンメッセージを受信し、TOAを判定した後、ノードAにビーコンメッセージを直ちに送信することは求められないことを理解されたい。TOA測定値は、ノードAに送信されて、ノードAに、ノードBによる受信までの、ノードAによるビーコンメッセージの送信のための時間量を判定させ得る。ノードAからのTxチェーン遅延およびノードBからのRxチェーン遅延が、判定され、TOA測定値から減算することができ、マスタシステムクロックと相対した、ノードA、Bに対する内部クロックの間のどのタイミング差分も判定することができる場合、ビーコンメッセージがワイヤレスに移動していた実際の時間を判定することができる。
【0075】
ノードA、Bは、たとえば、ノードA、Bのクロックが同期されていない場合など、それ自体の内部クロックとマスタシステムクロックとの間の差分をすぐに判定することができない場合もある。このような内部クロックタイミング差分を考慮するために、ノードBからノードAにビーコンメッセージを送信すればよく、このようなビーコンメッセージに関するTOAを測定し、次いで、ノードAからノードBに送信されるビーコンメッセージに対して観察されるTOAとの平均をとればよい。ノードAからBに、また、ノードBからAに送られるビーコンメッセージに関するこのようなTOAを平均することによって、ノードA、Bの内部クロックの間のどの内部計時タイミング差分も、有効に相殺し、ノードA、Bの内部クロックの間が同期していないことによる悪影響を受けない平均TOA測定値を生じ得る。
【0076】
再び図5を参照すると、動作520で、ノードBは、ビーコンメッセージプリアンブルの送信中の、それ自体のTxおよびRxチェーン処理遅延を測定し、次いで、このような測定値を、ビーコンメッセージのデータカプセルに埋め込むことができる。動作525で、ノードBは、ノードAへのそのビーコンメッセージの送信を完了し得る。次に、動作530で、ノードAは、ノードBからのビーコンメッセージのTOAを測定し、ノードBからのビーコンメッセージのデータカプセルからタイミング情報を抽出することができる。この時点で、ノードAは、それ自体のTxおよびRxチェーン遅延の測定値、ノードBに関するTxおよびRxチェーン遅延の測定値、ノードAからノードBに送信されたビーコンメッセージに関するTOA、ならびにノードBからノードAに送信されたビーコンメッセージに関するTOAをもっている。
【0077】
最後に、動作535で、ノードAは、ノードAとBとの間の実飛行時間(TOF)を計算する。TOFは、上述したように、式Cの使用に基づいて計算することができる。
【0078】
図6〜10は、ビーコンメッセージを送信し、ノードの間のTOFを測定する様々なRFアーキテクチャを示す。図6は、一実装形態による、全二重FDDトランシーバを有するシステムにおいて使われるRFアーキテクチャ600の概略図である。このようなシステムにおいて、RTD測定に関与する2つのノードは、基地局(またはアクセスポイント)およびモバイルデバイス(またはアクセス端末)を含む。第1のビーコンメッセージの送信を、基地局それともモバイルデバイスが開始するのかに依存して、このようなビーコンメッセージは、それぞれダウンリンク(もしくは順方向リンク)またはアップリンク(もしくは逆方向リンク)上で送信される。第1のビーコンメッセージを受信したデバイスからの後続ビーコンメッセージの送信はしたがって、それぞれ、アップリンク(もしくは逆方向リンク)またはダウンリンク(もしくは順方向リンク)を介して実施することができる。
【0079】
本明細書で使用する「順方向リンク」は、基地局からモバイルデバイスへの通信リンクを指し得る。本明細書で使用する「逆方向リンク」は、モバイルデバイスから基地局への通信リンクを指し得る。本明細書で使用する「アップリンク」は、移動局から基地局への通信リンクを指し得る。本明細書で使用する「ダウンリンク」は、基地局から移動局への通信リンクを指し得る。「順方向リンク」および「ダウンリンク」は、本明細書で使用するように、入換え可能な用語である。同様に、「逆方向リンク」および「アップリンク」は、本明細書で使用するように、入換え可能な用語である。
【0080】
図6に示すRFアーキテクチャ600は、送受切換器605、RF Rxチェーン610、RF Txチェーン615、復調(demod)ブロック620、変調(mod)ブロック625、クロック630、遅延測定ユニット635、およびアンテナ640など、いくつかの構成要素を含み得る。RFアーキテクチャ600に関連したTx処理遅延は、変調器625、RF Txチェーン615に関連したデジタル処理、およびRF Txチェーン615からアンテナ640への送受切換器605を通る遅延を含み得るが、それに限定されない。一方、Rxチェーン遅延は、送受切換器605、RF Rxチェーン610、および復調器ブロック620に関連した処理を経る信号の遅延を含み得るが、それに限定されない。
【0081】
ビーコンメッセージ送信中、アンテナ640経由で送信される信号の一部は、送受切換器605を通して逆反射され、RF Rxチェーン610を通過し、復調器ブロック620に届く。この時点で、時間遅延推定値の精度は、RFアーキテクチャ600のサンプリングクロック周波数クロック630によって制限される。サンプリングクロックレートは、たとえば、RFアーキテクチャ600の動作帯域幅の2倍に設定することができる。たとえば、CDMA 1Xシステムの場合、サンプリングクロックレートは、約2.5MHzに設定され得る。したがって、このような測定値に関連した精度は依然として、数百メートル以内である。
【0082】
遅延測定ユニット635は、放物線適合などの曲線当てはめアルゴリズムを、復調器ブロック620の出力に適用して、RxおよびTxチェーン遅延の測定値の精度を高めることができる。遅延測定ユニット635の性能は、受信されるビーコンメッセージの信号対ノイズ比の関数でよい。ただし、対象となっている信号対ノイズ比(たとえば、約5dBより大きいもの)の場合、遅延推定値の精度は、8〜16倍向上され得ることが示される場合がある。遅延測定ユニット635の出力は、RxおよびTx遅延推定値としてローカルに使われる値であり、データカプセルに埋め込まれて、他方のノードに報告されてもよい。
【0083】
したがって、図6に見られるように、RFアーキテクチャ600に関して推定される処理遅延は、各ノードに関連した実数値に非常に近い。
【0084】
【数17】

【0085】
ピアツーピア設定でTOF測定を実施する間、一実装形態では、ビーコンメッセージは、しばしば実施されるように、モバイルデバイスまたはアクセス端末によって逆方向リンクまたはアップリンク上で送信することができる。ただし、他のモバイルデバイスやアクセス端末などの受信ノードは、この時点で、通常行うように順方向リンクまたはダウンリンク信号を受信し復調するのに加え、逆方向リンク(またはアップリンク)信号を受信し、復調することが可能でなければならない場合がある。図7〜10は、ピアツーピア設定でRTD測定を実施する様々なデバイスアーキテクチャを示す。
【0086】
図7は、一実装形態による、単一アンテナおよび単一受信チェーンを有する半二重FDD(ピアツーピア)デバイス700の概略図である。半二重FDDデバイス700は、送受切換器705、第1のRFスイッチ720、第2のRFスイッチ725、RF Rxチェーン730、RF Txチェーン735、復調(demod)ブロック740、変調(mod)ブロック745、クロック750、遅延測定ユニット755、およびアンテナ760など、様々な構成要素を含み得る。
【0087】
第1および第2のRFスイッチ720および725は、それぞれ、TxおよびRxチェーンにそれぞれ含まれる。正常な全二重動作では、第1のRFスイッチ720は、RF Txチェーン735を送受切換器705に接続することができ、第2のRFスイッチ725は、送受切換器705をRF Rxチェーン730に接続することができる。このような構成は、半二重FDDデバイス700が測距ビーコンメッセージを送信中であるときも使用することができる。
【0088】
したがって、測定された処理遅延は、この場合、以下によって与えられる。
【0089】
【数18】

【0090】
一方、受信ノードは、送受切換器705を第2のRFスイッチ725に接続する第1のRFスイッチ720を有してよく、スイッチ725は、第1のRFスイッチ720をRF Rxチェーン730に接続することができる。RF Rxチェーン730は、この構成において、RL上で受信される測距ビーコンメッセージを受信し、復調するように、RL帯域に同調され得る。
【0091】
図7に示すように、受信信号の経路は、送受切換器705、第1のRFスイッチ720、第2のRFスイッチ725、RF Rxチェーン730、および復調器ブロック740を通るものである。したがって、Rx処理遅延は以下によって与えられ、現実の合計処理遅延も、以下によって与えられる。
【0092】
【数19】

【0093】
式E、F、および図7から分かるように、測定された処理遅延は、実遅延とはわずかに異なる。測定された処理遅延と実遅延との間の差は、数百ピコ秒でよく、十分に測距および測位システムの誤差許容範囲内であり得る数センチメートルの誤差を生じる可能性がある。
【0094】
図8は、一実装形態による、2つのアンテナおよび単一受信チェーンを有する半二重FDD(ピアツーピア)デバイス800の概略図である。図示のように、半二重FDDデバイス800は、送受切換器805、RL RFフィルタ810、RFスイッチ825、RF Rxチェーン830、RF Txチェーン835、復調(demod)ブロック840、変調(mod)ブロック845、クロック850、遅延測定ユニット855、第1のアンテナ860、および第2のアンテナ865など、様々な構成要素を含み得る。
【0095】
図8に示すアーキテクチャは、別個のアンテナ(第2のアンテナ865)およびRL RFフィルタ810を使用して、RL上で送信される測距ビーコンメッセージを受信する。このような構成の利点は、RF Txチェーン835が、Tx経路でのRFスイッチの導入による追加電力減衰を招く可能性がないことである。この構成の場合、送信ノードと受信ノードの両方が、RL RFフィルタ810をRF Rxチェーン830に接続するRFスイッチ825を有し得る。
【0096】
アンテナ860と865との間に、無視できる伝搬遅延がある場合、処理遅延は、この構成において、RF Txチェーン835、送受切換器805、RL RFフィルタ810、RFスイッチ825、RF Rxチェーン830、および復調器ブロック840による遅延の合計を含み得る。RF Rxチェーン830は、RL帯域上で送信される測距ビーコンメッセージを受信し、復調するように、RL周波数と同調され得る。したがって、処理遅延は、やはり
【0097】
【数20】

【0098】
によって与えられる。
【0099】
図8に示すアーキテクチャの追加BOMコストは、図7に示すアーキテクチャに非常に類似し得る。
【0100】
図9は、一実装形態による、受信ダイバーシティを有する半二重FDD(ピアツーピア)デバイス900の概略図である。図示のように、半二重FDDデバイス900は、送受切換器905、第1のRFスイッチ910、RL RFフィルタ915、FL RFフィルタ920、第2のRFスイッチ935、第1のRF Rxチェーン940、第2のRF Rxチェーン945、RF Txチェーン950、第1の復調(demod)ブロック955、第2の復調ブロック960、クロック965、変調(mod)ブロック970、遅延測定ユニット975、第1のアンテナ980、および第2のアンテナ985など、様々な構成要素を含み得る。
【0101】
図9に示すアーキテクチャは、たとえば、受信ダイバーシティ用のデュアルRF Rxチェーンを有するデバイスに適し得る。二次Rxチェーン(図9では、第1のRF Rxチェーン940とラベルづけされる)は、この場合、測距ビーコンメッセージを受信し、復調するのに使われるものでよい。やはり、図8の構成と同様に、アンテナ980と985との間に、無視できる伝搬遅延がある場合、処理遅延は、RF Txチェーン950、送受切換器905、第1のRFスイッチ910、RL RFフィルタ915、第2のRFスイッチ935、第1のRF Rxチェーン940、および第1の復調器ブロック955を通る遅延に起因し得る。合計遅延は、したがって、
【0102】
【数21】

【0103】
によって与えられる。
【0104】
このような構成の利点は、RFスイッチに起因する減衰が、一次Rxチェーン(図9では、第2のRF Rxチェーン945とラベルづけされる)から除かれ、このようなRFスイッチがより許容され得る第1のRF Rxチェーン940に移されていることである。
【0105】
図10は、一実装形態による、時分割複信(TDD)トランシーバを有するシステムにおいて使われるRFアーキテクチャ1000の概略図を示す。このようなシステムにおいて、RTD測定に関与する2つのノードは、基地局(またはアクセスポイント)およびモバイルデバイス(またはアクセス端末)を含む。第1のビーコンメッセージの送信を、基地局それともモバイルデバイスが開始するのかに依存して、このようなビーコンメッセージは、それぞれダウンリンク(もしくは順方向リンク)またはアップリンク(もしくは逆方向リンク)上で送信される。第1のビーコンメッセージを受信したデバイスからの後続ビーコンメッセージの送信はしたがって、それぞれ、アップリンク(もしくは逆方向リンク)またはダウンリンク(もしくは順方向リンク)を介して実施することができる。ただし、このようなメッセージは、TDDシステム向けに同じ周波数チャネルを介して、ただしそれぞれのタイムスロット中に送信され得る。
【0106】
TDDシステムのピアツーピア構成では、たとえば、RTD測定に関与する2つのノードは、2つのモバイルデバイス(またはアクセス端末)を含み得る。ある例では、ビーコンメッセージは、2つのモバイルデバイスの間で交換され得る。
【0107】
図10に示すRFアーキテクチャ1000は、RFフィルタ1005、RFスイッチ1010、RF Txチェーン1015、RF Rxチェーン1020、変調(mod)ブロック1025、復調(demod)ブロック1030、遅延測定ユニット1035、クロック1040、およびアンテナ1045など、いくつかの構成要素を含み得る。RFアーキテクチャ1000に関連したTx処理遅延は、RF Txチェーン1015に関連したデジタル処理およびRFスイッチ1010を通る遅延を含み得るが、それに限定されない。一方、Rxチェーン遅延は、RFスイッチ1010、RF Rxチェーン1020、および復調器ブロック1030に関連した処理を通る信号の遅延を含み得るが、それに限定されない。
【0108】
したがって、この構成における処理遅延は、やはり
【0109】
【数22】

【0110】
によって与えられる。
【0111】
モバイルデバイスは、多くの異なるタイプのワイヤレスプロトコルおよび/または標準の中でほんのいくつかの例を挙げれば、IEEE 802.11、802.15、または802.16、ワールドワイドインターオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(WiMAX)、またはBluetooth(登録商標)など、1つまたは複数のワイヤレスプロトコルおよび/または標準により、別のモバイルデバイス、アクセス端末、または他のどのワイヤレスデバイスとも通信することができる。
【0112】
送信機および/または受信機などの回路構成は、たとえば、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)などのような様々なワイヤレス通信ネットワークの使用により、機能性を提供し得る。「ネットワーク」および「システム」という用語はしばしば、本明細書において互換的に使用される。WWANは、符号分割多重接続(CDMA)ネットワーク、時分割多重接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多重接続(FDMA)ネットワーク、直交周波数分割多重接続(OFDMA)ネットワーク、単一キャリア周波数分割多重接続(SC-FDMA)ネットワークなどであってよい。CDMAネットワークは、CDMA2000、広帯域CDMA(W-CDMA)などの1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)を実装することができる。CDMA2000は、IS-95、IS-2000、およびIS-856基準を含む。TDMAネットワークは、Global System for Communications(GSM(登録商標))、Digital Advanced Phone System(D-AMPS)、または他の何らかのRATを実装することができる。GSM(登録商標)およびW-CDMAは、「第3世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP)という名称の組織からの文書で説明される。CDMA2000は、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2)という名称の組織からの文書で説明される。3GPPおよび3GPP2の文書は、公に利用可能である。WLANは、IEEE 802.11xネットワークでもよく、WPANはブルートゥースネットワーク、IEEE 802.15x、または何らかの他のタイプのネットワークでもよい。本技法はまた、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組合せのために使用され得る。こうした技法は、ウルトラモバイルブロードバンド(UMB)ネットワーク、高速パケットデータ(HRPD)ネットワーク、CDMA2000 1Xネットワーク、GSM(登録商標)、ロングタームエボリューション(LTE)などとの使用のために実装され得る。
【0113】
図11は、一実装形態による、モバイルデバイス1100のある特定の実装形態の概略的なブロック図である。モバイルデバイス1100は、無線送信機が、RFキャリア信号を、音声やデータなどのベースバンド情報で、RFキャリアに変調するように適合され、無線受信機が、変調RFキャリアを復調してこのようなベースバンド情報を取得し得る移動局(MS)を含み得る。
【0114】
モバイルデバイス1100は、プロセッサ1105、ユーザインターフェース1110、送信機1115、受信機1120、メモリ1125、クロック1130、およびアンテナ1135など、いくつかの要素を含み得る。ユーザインターフェース1110は、音声やデータなどのユーザ情報を入力し、または出力する複数のデバイスを備え得る。このようなデバイスは、ほんのいくつか例を挙げると、たとえば、キーボード、ディスプレイ画面、マイクロホン、スピーカ、ボタンおよびつまみを含み得る。
【0115】
メモリ1125は、説明または示唆したプロセス、例、実装形態、またはそれらの例のうちの1つまたは複数を実行するように実行可能である機械可読命令を記憶するように適応され得る。プロセッサ1105は、そのような機械可読命令を入手、実行するように適合され得る。こうした機械可読命令の実行により、プロセッサ1105は、モバイルデバイス1100の様々な要素に、1つまたは複数の機能を実施するよう命じることができる。
【0116】
送信機1115は、アンテナ1135を使用して、パケットベースの通信などの通信を、他のワイヤレスデバイスに送信することができる。受信機1120も、このようなアンテナ1135を使用して、パケットベースの通信などの通信を、他のワイヤレスデバイスから受信することができる。クロック1130は、信号が送信および/または受信されたときを判定するのに使用することができる。
【0117】
上述の詳細な説明のいくつかの部分は、特定の装置または専用のコンピューティングデバイスまたはプラットフォームのメモリに記憶される、バイナリのデジタル信号上の、操作のアルゴリズムまたは記号による表現の形で提示されてきた。この特定の明細書の文脈においては、特定の装置などの用語は、プログラムソフトウェアからの命令に従って特定の機能を実行するようにプログラムされた後の、汎用コンピュータを含む。アルゴリズムによる説明または記号による表現は、他の当業者に自身の成果の本質を伝えるための、信号処理または関連技術の当業者により用いられる技術の例である。ここでは、かつ一般に、アルゴリズムとは、所望の結果を導く、操作または同様の信号処理の一貫した手順であると考えられる。この場合の操作または処理は、物理量の物理的な操作を含む。通常、必須ではないが、そのような物理量は、記憶され、送信され、組み合わされ、比較され、または場合によっては操作され得る、電気信号または磁気信号の形態であり得る。
【0118】
場合によっては、主に一般に用いられているという理由で、そのような信号を、ビット、データ、値、要素、記号、文字、語、数字、番号などとして言及することが便利であることが分かっている。しかし、これらの用語または同様の用語のすべてが、適切な物理量と関連付けられるべきであり、便宜的な呼び方にすぎないことを、理解されたい。別段に明記されていない限り、以下の説明から明らかなように、本明細書を通じて、「処理」、「コンピューティング」、「計算する」、「判断する」などの用語を利用した説明は、専用コンピュータまたは同様の専用電子コンピューティングデバイスなどの特定の装置のアクションまたはプロセスを指していることが認識される。したがって、本明細書の文脈においては、専用のコンピュータまたは同様の専用の電子コンピューティングデバイスは、メモリ、レジスタ、または他の情報記憶デバイス、伝送デバイス、または、専用のコンピュータもしくは同様の専用の電子コンピューティングデバイスの表示デバイスの中に、通常は物理的な電子的な量または磁気的な量として表される信号を、操作または変換することができる。たとえば、ある特定のコンピューティング装置は、1つまたは複数の特有の機能を実施するための命令でプログラムされた1つまたは複数のプロセッサを備え得る。
【0119】
本明細書で説明する方法は、特定の特徴および/または例により適用場面に応じて様々な手段によって実施できる。たとえば、そのような方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはそれらの組合せで実施できる。たとえば、ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明する機能を実行するように設計された他のデバイスユニット、および/またはそれらの組合せの中で実装できる。
【0120】
ファームウェアおよび/またはハードウェア/ソフトウェア実装の場合、特定の方法は、本明細書で説明する機能を実行するモジュール(たとえば、プロシージャ、関数など)を用いて実装され得る。命令を有形に実施するいずれの機械可読媒体も、本明細書で説明する方法の実装において使用され得る。たとえば、ソフトウェアコードは、移動局および/またはアクセスポイントのメモリに記憶し、デバイスの処理ユニットによって実行することができる。メモリは、処理ユニット内および/またはプロセッサユニットの外部で実現されてもよい。本明細書で用いられる用語「メモリ」は、任意の種類の、長期間の、短期間の、揮発性の、非揮発性の、または他のメモリを指し、特定の種類のメモリもしくは特定の数のメモリには何ら限定されるべきではなく、または記憶が記憶される媒体の種類は何ら限定されるべきではない。
【0121】
ハードウェア/ソフトウェアで実装される場合、方法またはその部分を実装する機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体に記憶し、かつ/またはコンピュータ可読媒体を介して送信することができる。コンピュータ可読媒体は、製造品の形をとり得る。コンピュータ可読媒体は、ある場所から別の場所への、コンピュータプログラムの転送を容易にするどの媒体も含むコンピュータ記憶媒体および/または通信媒体を含み得る。記憶媒体は、コンピュータまたは同様の装置によってアクセスされ得る任意の使用可能な媒体とすることができる。限定ではなく、例として、コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、または他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気記憶デバイス、または、命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを運ぶまたは記憶するために使用され、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含み得る。
【0122】
本明細書で言及する「命令」は、1つまたは複数の論理演算を表す表現に関する。たとえば、命令は、1つまたは複数のデータオブジェクトに対して1つまたは複数の動作を実行する機械によって翻訳可能であることにより、「機械可読」であり得る。ただし、これは、命令の例に過ぎず、請求する主題は、この点について限定されない。別の例では、本明細書で言及する命令は、エンコードされたコマンドを含むコマンドセットをもつ処理ユニットによって実行可能な、エンコードされたコマンドに関し得る。このような命令は、処理ユニットによって理解される機械言語の形でエンコードされ得る。やはり、これらは命令の例に過ぎず、請求する主題は、この点について限定されない。
【0123】
例示的な特徴であると現在考えられることが、例示され説明されてきたが、特許請求される主題から逸脱することなく、様々な他の修正を行うことができ、等価物が置換され得ることが、当業者には理解されよう。加えて、特許請求される主題の教示に具体的な状況を適合させるために、本明細書で説明される中心的な概念から逸脱することなく、多くの修正が行われ得る。したがって、特許請求する主題は、開示される特定の例に限定されず、また、そのような特許請求する主題は添付の特許請求の範囲内にあるすべての態様およびその同等物を含み得ることが意図されている。
【符号の説明】
【0124】
100 ノードA
105 ノードB
200 ビーコンメッセージ
205 プリアンブル
210 データカプセル
215 巡回冗長検査(CRC)部分
300 第1のタイミング図
310 プリアンブル
315 データカプセル
320 第2のタイミング図
325 Txチェーン遅延
330 第3のタイミング図
335 TxおよびRxチェーン遅延
400 システム
405 ノードA
410 ノードB
415 プロセッサ
420 受信機
425 送信機
430 第1のアンテナ
435 第2のアンテナ
440 プロセッサ
445 受信機
450 送信機
455 第1のアンテナ
460 第2のアンテナ
500 プロセス
600 RFアーキテクチャ
605 送受切換器
610 RF Rxチェーン
615 RF Txチェーン
620 復調(demod)ブロック、復調器ブロック
625 変調(mod)ブロック、変調器
630 クロック
635 遅延測定ユニット
640 アンテナ
700 半二重FDD(ピアツーピア)デバイス
705 送受切換器
720 第1のRFスイッチ
725 第2のRFスイッチ
730 RF Rxチェーン
735 RF Txチェーン
740 復調(demod)ブロック
745 変調(mod)ブロック
750 クロック
755 遅延測定ユニット
760 アンテナ
800 半二重FDD(ピアツーピア)デバイス
805 送受切換器
810 RL RFフィルタ
825 RFスイッチ
830 RF Rxチェーン
835 RF Txチェーン
840 復調(demod)ブロック
845 変調(mod)ブロック
850 クロック
855 遅延測定ユニット
860 第1のアンテナ、アンテナ
865 第2のアンテナ、アンテナ
900 半二重FDD(ピアツーピア)デバイス
905 送受切換器
910 第1のRFスイッチ
915 RL RFフィルタ
920 FL RFフィルタ
935 第2のRFスイッチ
940 第1のRF Rxチェーン
945 第2のRF Rxチェーン
950 RF Txチェーン
955 第1の復調(demod)ブロック
960 第2の復調ブロック
965 クロック
970 変調(mod)ブロック
975 遅延測定ユニット
980 第1のアンテナ、アンテナ
985 第2のアンテナ、アンテナ
1000 RFアーキテクチャ
1005 RFフィルタ
1010 RFスイッチ
1015 RF Txチェーン
1020 RF Rxチェーン
1025 変調(mod)ブロック
1030 復調(demod)ブロック
1035 遅延測定ユニット
1040 クロック
1045 アンテナ
1100 モバイルデバイス
1105 プロセッサ
1110 ユーザインターフェース
1115 送信機
1120 受信機
1125 メモリ
1130 クロック
1135 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のワイヤレスデバイスから第1の信号をワイヤレス送信するステップと、
前記第1のワイヤレスデバイスの受信機によって、前記第1の信号の送信中に前記第1の信号の少なくとも一部分を受信するステップと、
前記第1の信号に関連した第1の送信処理遅延および第1の受信処理遅延を、前記第1の信号の前記送信中に前記第1の信号の前記少なくとも一部分の前記受信に少なくとも部分的に基づいて測定するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記第1の信号の前記送信中に、前記第1の送信処理遅延および前記第1の受信処理遅延の測定値を、前記第1の信号に埋め込むステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の信号が前記第1のワイヤレスデバイスから第2のワイヤレスデバイスに送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の信号が前記第1のワイヤレスデバイスからワイヤレスネットワークに送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第2のワイヤレスデバイスからワイヤレス送信される第2の信号を受信するステップをさらに含み、前記第2の信号の送信に関連した第2の送信処理遅延および第2の受信処理遅延が、前記第2の信号に埋め込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のワイヤレスデバイスがフェムトセルを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の信号の受信とデータフレームのフレーム境界との間の第1の時間遅延を、ネットワーククロックに少なくとも部分的に基づいて、さらに測定する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の信号が、前記ネットワーククロックに少なくとも部分的に基づく、前記第1のワイヤレス信号の受信と、前記データフレームの前記フレーム境界との間の、前記第2のワイヤレスデバイスによって測定された第2の時間遅延の測定値を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の時間遅延と前記第2の時間遅延を合計し、前記第1および第2の送信処理遅延と前記第1および第2の受信処理遅延とを減算することによって、前記第1のワイヤレスデバイスと前記第2のワイヤレスデバイスとの間で送信される信号に関する往復時間を推定するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記往復時間を除数2で除算することによって、前記第1のワイヤレスデバイスと前記第2のワイヤレスデバイスとの間で送信される前記信号に関する飛行時間を推定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1の信号をワイヤレス送信するための送信機と、
前記第1の信号の送信中に、前記第1の信号の少なくとも一部分を受信するための受信機と、
前記第1の信号の前記送信中に、前記受信された前記第1の信号の少なくとも一部分に少なくとも部分的に基づいて、第1の送信処理遅延および第1の受信処理遅延を推定するための命令でプログラムされたプロセッサとを備える装置。
【請求項12】
前記送信機が、前記第1の信号の前記送信中に、前記第1の送信処理遅延および前記第1の受信処理遅延の測定値を、前記第1の信号に埋め込むことが可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記送信機が、前記第1の信号をワイヤレスデバイスに送信することが可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記送信機が、前記第1の信号をワイヤレスネットワークに送信することが可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記受信機が、ワイヤレスデバイスからワイヤレス送信された第2の信号を受信することが可能であり、前記第2の信号の送信に関連した第2の送信処理遅延および第2の受信処理遅延が、前記第2の信号に埋め込まれる、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記ワイヤレスデバイスがフェムトセルを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記第2の信号の受信と、データフレームのフレーム境界との間の第1の時間遅延を、前記装置の基準クロックに少なくとも部分的に基づいて測定することが可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記第2の信号が、前記ワイヤレスデバイスの基準クロックに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のワイヤレス信号の受信と、前記データフレームの前記フレーム境界との間の、前記ワイヤレスデバイスによって測定された第2の時間遅延の測定値を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記プロセッサが、前記第1の時間遅延と前記第2の時間遅延を合計し、前記第1および第2の送信処理遅延と前記第1および第2の受信処理遅延とを減算することによって、前記装置と前記ワイヤレスデバイスとの間で送信される信号に関する往復時間を推定することが可能である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセッサが、前記往復時間を除数2で除算することによって、前記装置と前記ワイヤレスデバイスとの間で送信される前記信号に関する飛行時間を推定することが可能である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置が全周波数分割複信回路構成を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項22】
前記装置が半周波数分割複信回路構成を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項23】
前記装置が2つのアンテナを備え、前記半周波数分割複信回路構成が単一受信信号チェーンを実装する、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記装置が2つのアンテナを備え、前記半周波数分割複信回路構成が2つの受信信号チェーンを実装する、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記装置が時分割複信回路構成を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項26】
前記プロセッサが、前記受信機と前記送信機との間を選択的に切り換えるようにプログラムされる、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
第1の信号をワイヤレス送信するための手段と、
前記第1の信号の送信中に、前記第1の信号の少なくとも一部分を受信するための手段と、
前記第1の信号に関連した第1の送信処理遅延および第1の受信処理遅延を、前記第1の信号の前記送信中に、受信するための前記手段によって受信された前記第1の信号の前記少なくとも一部分に少なくとも部分的に基づいて推定するための手段とを備える装置。
【請求項28】
ワイヤレス送信するための前記手段が、前記第1の信号の前記送信中に、前記第1の送信処理遅延および前記第1の受信処理遅延の測定値を、前記第1の信号に埋め込むことが可能である、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
送信するための前記手段が、前記第1の信号をワイヤレスデバイスに送信することが可能である、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
送信するための前記手段が、前記第1の信号をワイヤレスネットワークに送信することが可能である、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
受信するための前記手段が、ワイヤレスデバイスからワイヤレス送信された第2の信号を受信することが可能であり、前記第2の信号の送信に関連した第2の送信処理遅延および第2の受信処理遅延が、前記第2の信号に埋め込まれる、請求項27に記載の装置。
【請求項32】
前記ワイヤレスデバイスがフェムトセルを備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記第2の信号の受信とデータフレームのフレーム境界との間の第1の時間遅延を、前記装置の基準クロックに基づいて測定するための手段をさらに備える、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記第2の信号が、前記ワイヤレスデバイスの基準クロックに基づく、前記第1のワイヤレス信号の受信と、前記データフレームの前記フレーム境界との間の、前記ワイヤレスデバイスによって測定された第2の時間遅延の測定値を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
推定するための前記手段が、前記第1の時間遅延と前記第2の時間遅延を合計し、前記第1および第2の送信処理遅延と前記第1および第2の受信処理遅延とを減算することによって、前記装置と前記ワイヤレスデバイスとの間で送信される信号に関する往復時間を推定することが可能である、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
推定するための前記手段が、前記往復時間を除数2で除算することによって、前記装置と前記ワイヤレスデバイスとの間で送信される前記信号に関する飛行時間を推定することが可能である、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記装置が全周波数分割複信回路構成を備える、請求項27に記載の装置。
【請求項38】
前記装置が半周波数分割複信回路構成を備える、請求項27に記載の装置。
【請求項39】
前記装置が2つのアンテナを備え、前記半周波数分割複信回路構成が単一受信信号チェーンを実装する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記装置が2つのアンテナを備え、前記半周波数分割複信回路構成が2つの受信信号チェーンを実装する、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
前記装置が時分割複信回路構成を備える、請求項27に記載の装置。
【請求項42】
前記プロセッサが、受信するための前記手段と、ワイヤレス送信するための前記手段との間を選択的に切り換えるようにプログラムされる、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
第1のワイヤレスデバイスからの第1の信号の送信を開始し、
前記第1の信号の前記送信中に、前記第1のワイヤレスデバイスによる、前記第1の信号の少なくとも一部分の受信に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の信号の前記送信に関連した第1の送信処理遅延および第1の受信処理遅延を測定するための、プロセッサによって実行可能な命令を記録したプロセッサ読み取り可能な記録媒体。
【請求項44】
前記命令が、前記第1の信号の前記送信中に、前記第1の送信処理遅延および前記第1の受信処理遅延の測定値を前記第1の信号に埋め込むように、前記プロセッサによってさらに実行可能である、請求項43に記載のプロセッサ読み取り可能な記録媒体。
【請求項45】
前記命令が、2のワイヤレスデバイスによる、前記第1のワイヤレスデバイスへの、第2の信号の送信に関連した第2の送信処理遅延および第2の受信処理遅延を判定するように前記プロセッサによってさらに実行可能であり、前記第2の送信処理遅延および前記第2の受信処理遅延が、前記第2の信号に埋め込まれる、請求項43に記載のプロセッサ読み取り可能な記録媒体。
【請求項46】
前記命令が、ネットワーククロックに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の信号の受信とデータフレームのフレーム境界との間の第1の時間遅延を測定するように、前記プロセッサによってさらに実行可能である、請求項43に記載のプロセッサ読み取り可能な記録媒体。
【請求項47】
前記命令が、第2のワイヤレスデバイスによって、第2の信号の送信に関連した第2の送信処理遅延および第2の受信処理遅延を判定するように前記プロセッサによってさらに実行可能であり、前記第2の送信処理遅延および前記第2の受信処理遅延が前記第2の信号に埋め込まれる、請求項43に記載のプロセッサ読み取り可能な記録媒体。
【請求項48】
前記命令が、ネットワーククロックに基づく、前記第2の信号の受信とデータフレームのフレーム境界との間の第1の時間遅延を測定するように前記プロセッサによってさらに実行可能である、請求項47に記載のプロセッサ読み取り可能な記録媒体。
【請求項49】
前記命令が、前記第1の時間遅延と前記第2の時間遅延を合計し、前記第1および第2の送信処理遅延と前記第1および第2の受信処理遅延とを減算することによって、前記第1のワイヤレスデバイスと前記第2のワイヤレスデバイスとの間で送信される信号に関する往復時間を推定するように、前記プロセッサによってさらに実行可能である、請求項48に記載のプロセッサ読み取り可能な記録媒体。
【請求項50】
前記命令が、前記往復時間を除数2で除算することによって、前記第1のワイヤレスデバイスと前記第2のワイヤレスデバイスとの間で送信される前記信号に関する飛行時間を推定するように前記プロセッサによってさらに実行可能である、請求項49に記載のプロセッサ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−517709(P2013−517709A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549144(P2012−549144)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/021419
【国際公開番号】WO2011/088410
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(507364838)クアルコム,インコーポレイテッド (446)
【Fターム(参考)】