説明

凹凸形成装置および情報入力装置

【課題】凸部の高さ位置がばらつくのを抑制することが可能な凹凸形成装置、および情報入力装置を提供する。
【解決手段】この凹凸形成部(凹凸形成装置)11は、下方から押し上げられることにより初期位置Oから所定の突出位置Pに突出して入力用凸部1〜5を形成する突出部材60と、昇降可能に変位して突出部材60を押し上げる駆動部41と、突出部材60の突出時に突出部材60と係合することにより突出部材60を所定の突出位置Pに位置するように規制する側壁52とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、凹凸形成装置および情報入力装置に関し、特に、駆動部を備える凹凸形成装置および情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動部を備える凹凸形成装置および情報入力装置が知られている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
上記特許文献1には、PETフィルムなどの透明樹脂からなるシート状部材に格子状に埋め込まれた複数のピエゾ素子を備えたピエゾ基板(凹凸形成装置)が開示されている。このピエゾ素子にはチタン酸ジルコン酸鉛などの強誘電体が用いられる。また、このピエゾ素子は、電圧が加えられるとシート状部材の膜厚方向に変形することにより凸部を形成するように構成されている。この特許文献1によるピエゾ基板は、ピエゾ素子に印加する電圧を5段階に分けることにより、ピエゾ素子の変形量を印加電圧に応じて5段階に調節することができるように構成されている。これにより、上記特許文献1によるピエゾ基板は、印加電圧を変化させてピエゾ素子の変形量(凸部の高さ)を調節できるように構成されている。
【0004】
上記特許文献2には、液晶表示ディスプレイの裏面の隅に4個のアクチュエータが設けられた入力装置が開示されている。この入力装置のアクチュエータには、圧電素子が用いられる。この特許文献2による入力装置では、液晶表示ディスプレイによって移動表示されるアイコンの表示位置に基づいてアクチュエータが表示画面を振動させるように構成されている。これにより、上記特許文献2による入力装置は、アイコンの表示動作に同期した触覚(表示画面の振動)を使用者に付与できるように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、複数の板状部材と、電磁粘性流体を流す流路と、電磁粘性流体の流量を制御するバルブと、複数の板状部材にそれぞれ設けられるとともに電磁粘性流体により押し上げられる複数のピストンとを備えた情報入力装置が開示されている。この特許文献3による情報入力装置は、所定のバルブに電圧を印加するとバルブ内の電磁粘性流体が固化して流れなくなることにより、流路が変更されてピストンを押し上げる。これにより、ピストンを上下させて板状部材を押し上げ、凸部を形成するように構成されている。また、この情報入力装置は、バルブに印加する電圧を変化させることにより電磁粘性流体の流量を調節することができる。これにより、上記特許文献3による凹凸形成装置では、バルブに印加する電圧を変化させることにより、形成された凸部の高さを変化させるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−243812号公報
【特許文献2】特開2005−267080号公報
【特許文献3】特開平9−319518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載のピエゾ基板では、格子状に埋め込まれたピエゾ素子に印加する電圧を変化させて変形量を調節する際に、それぞれのピエゾ素子の印加電圧に対する変形量にばらつきがあるという不都合がある。このため、同じ電圧を印加しても形成される凸部の高さ位置がばらつくという問題点がある。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の入力装置では、アイコンの表示動作に同期した触覚(表示画面の振動)を使用者に付与できるように構成されている一方、使用者に入力感覚を付与するためのボタン(凸部)を表示画面上に形成する構成は開示も示唆もされていない。
【0009】
また、上記特許文献3に記載の情報入力装置では、電圧印加により電磁粘性流体が固化するという性質を用いて電磁粘性流体の流量調節を行うことにより、形成される凸部の高さを変化させるように構成されている一方、印加電圧に対する電磁粘性流体の固化の態様には、ばらつきがある。その結果、電磁粘性流体の固化の態様の差異により、一定の電圧を印加しても流量にばらつきが生じるので、同じ高さだけピストンを上昇させることが困難であるという不都合がある。このため、一定の電圧を印加してもそれぞれの板状部材の凸部の高さ位置がばらつくという問題点がある。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、凸部の高さ位置がばらつくのを抑制することが可能な凹凸形成装置、および情報入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
この発明の第1の局面による凹凸形成装置は、下方から押し上げられることにより初期位置から所定の突出位置に突出して凸部を形成する突出部材と、昇降可能に設けられ、下方から突出部材を押し上げる駆動部と、突出部材の突出時に突出部材と係合することにより突出部材を所定の突出位置に位置するように規制する規制部とを備える。
【0012】
この第1の局面による凹凸形成装置では、上記のように、下方から押し上げられることにより初期位置から所定の突出位置に突出して凸部を形成する突出部材と、突出部材の突出時に突出部材と係合することにより突出部材を所定の突出位置に位置するように規制する規制部とを備えることによって、突出部材が押し上げられて凸部を形成する場合に、突出部材を押し上げる駆動部の変位量にばらつきが発生しても、規制部により凸部を所定の突出位置に規制することができる。その結果、凸部の高さ位置がばらつくのを抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、突出部材は、突出部材が所定の突出位置において規制部と係合した状態で形成された凸部が押し下げられる際に、規制部による係合が解除されて初期位置に戻るように構成されている。このように構成すれば、突出部材は規制部との係合が解除されるのに必要なだけの押し下げ力が加えられることにより係合が解除されると、その後は係合による抵抗を受けることなく押し下げられて初期位置に戻される。これにより、形成された凸部を押し下げる場合にも、通常の機械的なボタンを押し下げるようなクリック感(係合が解除される際の押し下げ力が除荷される感覚)を使用者に付与することができるので、明確な入力感覚を得ることができる。
【0014】
この場合において、好ましくは、規制部は、第1係合部を含み、突出部材は第1係合部に係合する第2係合部を含む。このように構成すれば、規制部の第1係合部と突出部材の第2係合部とを係合させることができるので、突出部材と規制部とを容易に係合させることができる。
【0015】
規制部が第1係合部を含み、突出部材が第2係合部を含む構成において、好ましくは、第1係合部および第2係合部の一方は、凹形状および凸形状の一方の形状に形成され、第1係合部および第2係合部の他方は、凹形状および凸形状の他方の形状に形成される。このように構成すれば、凹形状と凸形状とにより係合することができるので、突出部材と規制部との係合を確実に行うことができる。
【0016】
規制部が第1係合部を含み、突出部材が第2係合部を含む構成において、好ましくは、突出部材は、上面が平坦面状に形成されているとともに、第1係合部と第2係合部との係合領域を含む断面において中央部が上部および下部面の幅よりも小さい幅を有することにより、側部に凹形状からなる第2係合部を含む。このように構成すれば、突出部材の側部に凹形状の第2係合部を形成しながら、形成される凸部の突出面(上面)の面積を大きくすることができる。
【0017】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、突出部材の上に重ねて配置されるとともに、弾性を有し、突出部材の突出に伴って変形可能な材料により構成される表面膜をさらに備え、突出部材が突出位置にある場合において駆動部が下降した際に、突出部材は、突出部材の突出に伴って変形していた表面膜の復元力により初期位置に戻されるように構成されている。このように構成すれば、表面膜の復元力により突出部材を初期位置に戻すことが可能となるので、駆動部の下降に伴って突出部材を下降させるために、駆動部と突出部材とを固定する必要がなくなる。これにより、装置の構造を簡素化することができる。
【0018】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、突出部材は、規制部よりも弾性変形しやすい材料により形成されている。このように構成すれば、突出部材と規制部とが係合する際に突出部材が変形しながら係合される。また、突出部材と規制部との係合が解除される際には、突出部材が変形することにより係合が解除される。これにより、突出部材と規制部との係合および係合の解除を容易に行うことができる。
【0019】
この発明の第2の局面による情報入力装置は、下方から押し上げられることにより初期位置から所定の突出位置に突出して凸部を形成する突出部材と、昇降可能に設けられ、下方から突出部材を押し上げる駆動部と、突出部材の突出時に突出部材と係合することにより突出部材を所定の突出位置に位置するように規制する規制部とを含む複数の凹凸形成部が配列された凹凸形成パネルと、凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、凹凸形成パネルは、表示装置に表示される入力用画像に応じて凹凸形成部の凸部を形成するように構成されている。
【0020】
この第2の局面による情報入力装置では、上記のように、下方から押し上げられることにより初期位置から所定の突出位置に突出して凸部を形成する突出部材と、突出部材の突出時に突出部材と係合することにより突出部材を所定の突出位置に位置するように規制する規制部とを備えることによって、突出部材が押し上げられて凸部を形成する場合に、突出部材を押し上げる駆動部の変位量にばらつきが発生しても、規制部により凸部を所定の突出位置に規制することができる。その結果、凸部の高さ位置がばらつくのを抑制することができる。
【0021】
また、凹凸形成パネルに複数の凹凸形成部を配列するように構成することによって、凹凸形成パネルの所定の位置に複数の凸部を形成することができるので、情報入力装置の所定の位置に、表示装置に表示される入力用画像に応じた入力用の凸部を形成することができる。また、凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置に表示される入力用画像に応じて凹凸形成部の凸部を形成するように構成することによって、表示装置が表示する入力用画像(テンキーの画像や再生または停止ボタンなどの画像、チャンネル選択ボタンの画像など)に応じた入力用の凸部を形成することができるので、異なる複数の情報入力機能を提供することができる。また、入力操作の際に、形成された入力用の凸部を押し下げることができるので、明確な入力感覚を得ることができる。
【0022】
この場合において、好ましくは、凹凸形成パネルは、表示装置の上方に配置された場合に、表示装置に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により構成されている。このように構成すれば、凹凸形成パネルを表示装置の上方に重ねた状態で入力用画像を視認することができるので、使用者が触れる側に凹凸形成パネルが配置されることが可能になる。これにより、凹凸形成部により形成された入力用の凸部の形状を使用者がより明確に感じとることができるので、確実な入力操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による情報入力装置の全体構成を示した斜視図である。また、図2〜図13は、図1に示した本発明の一実施形態による情報入力装置の詳細な構造を示した図である。まず、図1〜図13を参照して、本発明の一実施形態によるリモートコントローラ100の構成について説明する。なお、本実施形態では、情報入力装置の一例であるリモートコントローラ100に本発明を適用した場合について説明する。
【0025】
本発明の一実施形態によるリモートコントローラ100は、図1に示すように、凹凸形成パネル10と、表示装置20と、表面膜30とから構成されている。
【0026】
リモートコントローラ100の凹凸形成パネル10は、図1および図3に示すように、下側に配置された下部層40と、下部層40の上側に重ねて配置された上部層50とから構成されている。この凹凸形成パネル10は、平面的に見て、表示装置20と同一の長方形形状を有し、表示装置20の上方に重ねて配置されている。また、図2に示すように、この凹凸形成パネル10には、リモートコントローラ100の表面に入力用凸部1〜5を形成するための複数の凹凸形成部11がマトリクス状に配列されている。なお、凹凸形成部11は、本発明の「凹凸形成装置」の一例である。
【0027】
また、図1および図3に示すように、表示装置20は、平面的に見て、凹凸形成パネル10に対応した長方形形状を有し、凹凸形成パネル10の下方に重ねて配置されている。この表示装置20は、たとえばチャンネル選択ボタンの画像、テンキーの画像、再生または停止ボタンの画像など、必要とされる入力情報に応じた入力用画像を表示するように構成されている。
【0028】
また、図3に示すように、リモートコントローラ100の表面膜30は、平面的に見て、凹凸形成パネル10に対応した長方形形状を有し、凹凸形成パネル10の上面に配置される。
【0029】
本実施形態では、この表面膜30は、弾性を有し、後述する突出部材60が突出する場合に突出部材60の突出に伴って変形可能な材料により構成されている。この表面膜30はアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などからなり、表示装置20により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料により構成されている。
【0030】
また、図3に示すように、凹凸形成パネル10の下部層40は、平面的に見て、表示装置20と同一の長方形形状を有する。また、凹凸形成パネル10の下部層40には、平面的に見て正方形形状を有する複数の駆動部41がマトリクス状に配列されている。また、これらの駆動部41の側部を固定するための固定部42が、駆動部41の周囲を取り囲むように設けられている。マトリクス状に配列された駆動部41は、所定の電圧を印加することにより、Z方向に昇降可能に構成されている。下部層40は、上側に重ねて配置される上部層50に取り付けられた複数の突出部材60をそれぞれの駆動部41が下方から押し上げることにより、入力用凸部1〜5(図1参照)を形成するように構成されている。
【0031】
また、図4に示すように、凹凸形成パネル10の複数の駆動部41は、それぞれ平板形状を有するエラストマ層43と、エラストマ層43を上下から挟み込む一対の電極44aおよび44bとからなる積層構造を有している。この駆動部41は、電極44aおよび44bによってエラストマ層43に所定の電圧が印加されると、上方に突出するように変形して、上部層50に取り付けられた突出部材60を押し上げるように構成されている。
【0032】
駆動部41のエラストマ層43と一対の電極44aおよび44bとは、平面的に見て正方形形状を有しており、それぞれ接触面の全面で接触している。また、このエラストマ層43と一対の電極44aおよび44bとは、互いに固定されている。このエラストマ層43は、誘電体であるとともに、所定の電圧を印加されることにより必要量の伸びが得られるエラストマからなり、かつ、表示装置20により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料により構成されている。エラストマ層43は、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂からなる。また、一対の電極44aおよび44bは所定の電圧をエラストマ層43の全面に渡って印加できるように構成されている。この一対の電極44aおよび44bは、導電性を有し、エラストマ層43が変形するのに伴って弾性変形可能な材料で、かつ、表示装置20により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料により構成されている。電極44aおよび44bは、たとえば、ITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)などの透明導電膜からなる。
【0033】
また、図3および図4に示すように、下部層40の固定部42は、この積層構造を有する駆動部41の周囲を取り囲むように(図3参照)設けられ、後述する変形動作によって駆動部41が伸張しようとするのを制限している。ここで、マトリクス状に配列されたそれぞれの駆動部41の周囲を取り囲む固定部42は、PET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂などにより一体的に形成されるとともに、駆動部41を固定してエラストマ層43および電極44a、44bの面方向の変形を押さえることが可能な強度を有するように構成されている。
【0034】
また、図5および図6に示すように、下部層40にマトリクス状に配列された複数の駆動部41において、一対の電極44aおよび44bは、それぞれ一般的に知られた、いわゆるアクティブマトリクス方式により電気的に接続されている。すなわち、各々の電極44aは、X方向に延びるゲート線45とY方向に延びるデータ線46とが交差する位置にTFT(薄膜トランジスタ)47を介してデータ線46に接続するように配置されている。また、各々のTFT47のゲートには、X方向に延びるゲート線45が接続されている。ゲート線45にアドレス信号が印加されると、そのアドレス信号が印加されたゲート線45とゲートが接続されたTFT47はオン状態になる。このとき、各々のデータ線46に印加された電圧は、オン状態のTFT47に接続された電極44aのそれぞれに、TFT47を介して印加される。一方、アドレス信号が印加されないゲート線45にゲートが接続されたTFT47はオフ状態になっていることにより、このオフ状態のTFT47に接続された電極44aには電圧は印加されない。ここで、マトリクス状に配列され、エラストマ層43を挟み込む上下一対の電極44aおよび44bはそれぞれ同様の構造を有しており、電圧の印加された上部の電極44aと対応する下部の電極44bにも電圧が印加されるように構成されている。これにより、下部層40は、所定の位置の駆動部41における、平面的に見て同一の位置に配置された一対の電極44aおよび44bに選択的に電圧を印加することができるように構成されている。
【0035】
したがって、凹凸形成パネル10の下部層40は、マトリクス状に配列された一対の電極44aおよび44bにおいて、アドレス信号を印加するゲート線45と所定の電圧を印加するデータ線46とを選択することにより、それぞれ対応する位置の電極44aおよび44bに電圧を印加することができるように構成されている。これにより、マトリクス状に配列された任意の駆動部41に選択的に電圧を印加することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、凹凸形成パネル10の上部層50は、図3に示すように、平面的に見て、表示装置20および下部層40と同一形状の長方形形状を有する。この上部層50は、平面的に見て、駆動部41と実質的に同一形状の正方形形状を有する開口部51と、この開口部51にはめ込まれるようにして取り付けられる突出部材60(図7参照)とから構成されている。上部層50は、突出部材60が開口部51に取り付けられた状態で下方から駆動部41により押し上げられて突出する(図11参照)ことにより、凹凸形成パネル10の上面に入力用凸部1〜5を形成するように構成されている。
【0037】
また、本実施形態では、上部層50の開口部51は、平面的に見て、下部層40にマトリクス状に配列された複数の駆動部41のそれぞれが配置される位置と重なる位置に配置されている。また、複数の開口部51は、それぞれ上部層50に一体的に形成されている。この開口部51は、図3に示すように、上部層50をZ方向に貫通して設けられている。
【0038】
また、本実施形態では、それぞれの開口部51は、図7に示すように、X方向側に設けられた側壁52と、Y方向側に設けられた隔壁53とによって囲まれている。また、この開口部51の側壁52は、X方向に突出するように一体的に形成された凸形状を有する係合部54を含む。この係合部54は、突出部材60と係合するように構成されている。また、係合部54は、側壁52の全幅に渡って、Y方向に延びるように形成されている。また、係合部54の先端は、後述する突出部材60の突出動作が円滑に行われるように、丸みを帯びた形状に形成されている。なお、図4に示すように、この係合部54は、開口部51のX方向側の側面である側壁52の両側に設けられている。一方、図7に示すように、開口部51のY方向側の側面である隔壁53には係合部は設けられておらず、平坦な面によって開口部51を仕切るように構成されている。この開口部51は、側壁52および隔壁53によって駆動部41により下方から押し上げられる突出部材60の移動方向をZ方向に規制するとともに、側壁52に一体的に形成された係合部54によって突出部材60の突出時の位置を突出位置P(図11参照)に規制するように構成されている。なお、側壁52および係合部54はそれぞれ、本発明の「規制部」および「第1係合部」の一例である。
【0039】
また、本実施形態では、図7に示すように、突出部材60は、平面的に見て、上部層50の開口部51と実質的に同一形状を有している。また、突出部材60は、開口部51にはまり込んだ状態で上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。この突出部材60が駆動部41に押し上げられて突出位置P(図11参照)に移動することにより、凹凸形成パネル10に入力用凸部1〜5(図1参照)が形成されるように構成されている。なお、本実施形態では、図9に示すように、駆動部41および駆動部41の側部を取り囲む固定部42と、これらの上方に重ねて配置された突出部材60および係合部54を含む側壁52とにより、個々の凹凸形成部11が構成される。したがって、下部層40と上部層50とからなる凹凸形成パネル10には、複数の凹凸形成部11がマトリクス状に配列されるように構成されている。
【0040】
図8に示すように、本実施形態では、突出部材60は、上部61と、下部62と、上部61と下部62との間の中央部63とからなり、一体的に形成されている。上部61と下部62とは、平面的に見て実質的に同一形状に形成されている。また、図9に示すように、係合部54と凹部64との係合領域を含む断面において、中央部63が、上部61および下部62の幅W1よりも小さい幅W2を有する。これにより、図8に示すように、突出部材60には、側部に中央部63と上端部61aおよび下端部62aとからなる凹形状を有する凹部64が形成されている。このため、突出部材60は、Y方向から見た側面形状(図9参照)は、H形状を有している。この凹部64は、突出部材60のY方向の全幅にわたって設けられている。なお、凹部64は、本発明の「第2係合部」の一例である。
【0041】
また、本実施形態では、図8および図9に示すように、突出部材60の上面65は、平坦面状に形成されている。突出部材60は、開口部51にはめ込まれた場合に、この上面65が上部層50の上側面と実質的に同じ高さに位置することにより、上部層50の上面が実質的に平坦になる(図4参照)ように構成されている。また、図9に示すように、突出部材60の上端部61aおよび下端部62aのY方向から見た側面形状は、後述する突出部材60の突出動作が円滑に行われるように、丸みを帯びた形状に形成されている。
【0042】
ここで、本実施形態では、図9に示すように、突出部材60は、開口部51に取り付けられた状態(図7参照)で、係合部54が形成された位置に突出部材60の凹部64が位置するように構成されている。この突出部材60が、それぞれの開口部51にはめ込まれるようにして取り付けられた上部層50と下部層40とが重ねて配置されることにより、凹凸形成パネル10が構成されている。この凹凸形成パネル10において、下部層40の所定の駆動部41に選択的に電圧を印加して所定の突出部材60を押し上げることにより、凹凸形成パネルの所定の位置に入力用凸部1〜5が形成される。
【0043】
また、本実施形態では、突出部材60は、図10に示すように、初期位置Oにおいて下方から駆動部41によって押し上げられた場合に、凹部64の下端部62aが凹部64の内側に突出する係合部54と当接しながら変形する。そして、突出部材60は、図11に示すように、係合部54に乗り上がるようにして突出位置Pまで押し上げられて凹凸形成パネル10の上面から突出することにより、凹凸形成パネル10上に入力用凸部1〜5が形成されるように構成されている。このような突出部材60の変形を伴う突出を可能とするために、本実施形態では、突出部材60は、係合部54よりも弾性変形しやすい材料により形成されている。具体的には、突出部材60は、アクリルゴムや、シリコンゴムなどのゴム状の材料により形成されている。また、側壁52および係合部54にも同様の材料が用いられるが、突出部材60の材料よりも硬度の高い材料が選択される。ここで、図9に示すように、下部62の厚みt2は、上部61の厚みt1よりも小さい。すなわち、下部62は、下端部62aが係合部54と当接しながら変形するのが容易なように小さい厚みt2を有するように構成されている。一方、上部61は、突出部材60の突出時にも上面65を平坦な形状に維持できるように大きい厚みt1を有するように構成されている。また、凹部64のX方向の長さL2は、係合部54の突出長さL1よりも大きい。このため、少ない変形量で突出部材60が係合部54を乗り越えることが可能なように構成されている。
【0044】
また、本実施形態では、図11に示すように、側壁52の係合部54に乗り上がった突出部材60は、凹部64が下端部62aで係合部54と係合することにより突出位置Pに位置するように規制される。このため、マトリクス状に配列された凹凸形成部11において、突出部材60を押し上げるそれぞれの駆動部41の変位量にばらつきが発生しても、突出部材60が係合部54と係合することにより、突出位置Pで入力用凸部1〜5(図1参照)を形成することができるように構成されている。これにより、図11に示すように、形成される入力用凸部1〜5(図1参照)は、それぞれ高さHを有し、それぞれの入力用凸部1〜5の高さ位置がばらつくのを抑制するように構成されている。
【0045】
また、本実施形態では、図12に示すように、突出位置Pに突出部材60が押し上げられて入力用凸部1〜5(図1参照)が形成された状態(図12の破線参照)で、形成された入力用凸部1〜5(図1参照)が使用者によって押し下げられる場合には、押し下げ力によって係合部54と突出部材60との係合が解除されるように構成されている。すなわち、突出部材60は、加えられた押し下げ力によって、下端部62aが下面側で係合部54と当接しながら変形することにより、初期位置Oに戻るように構成されている。このとき、突出部材60を押し上げていた駆動部41も、使用者により加えられる押し下げ力によって押し下げられる。この入力用凸部1〜5の押し下げ時には、突出部材60と係合部54との係合を解除するのに十分な押し下げ力が加えられることにより入力用凸部1〜5が押し下げられる。この際、押し下げを開始して突出部材60と係合部54との係合が解除されると、係合による抵抗を受けることなく押し下げられて初期位置Oに戻されることにより、加えていた負荷(押し下げ力)が除荷されるような感覚を使用者に与える。このため、入力用凸部1〜5が押し下げられる際には、機械的に設けられたボタンを押し下げるのと同様のクリック感(係合が解除される際の押し下げ力が除荷される感覚)が得られるように構成されている。
【0046】
また、本実施形態では、図13に示すように、突出位置Pに突出部材60が押し上げられて入力用凸部1〜5(図1参照)が形成された状態で駆動部41が下降した場合には、突出部材60は、凹凸形成パネル10の上面に配置されるとともに突出部材60の突出に伴って伸張していた表面膜30の復元力により、係合部54との係合が解除されて初期位置Oに戻るように構成されている。以上から、凹凸形成パネル10は、駆動部41に所定の電圧が加えられることにより突出部材60が押し上げられて突出位置Pへ上昇することにより入力用凸部1〜5が形成される。そして、駆動部41への電圧の印加を停止して駆動部41が下降した場合には、突出部材60の突出に伴って伸張していた表面膜30の復元力によって突出位置Pから初期位置Oに下降されるように構成されている。
【0047】
また、本実施形態では、凹凸形成パネル10を構成する下部層40および上部層50を構成する固定部42、エラストマ層43、電極44aおよび44b、TFT47、側壁52、隔壁53および突出部材60などは、全て表示装置20に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する透明な材料により構成されている。このため、凹凸形成パネル10は、全体が表示装置20に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有するように構成されている。このため、図1に示すように、凹凸形成パネル10によってリモートコントローラ100の表面に形成された入力用凸部1〜5には、入力用画像が表示装置20によって表示されるように構成されている。
【0048】
ここで、図1および図2に示すように、リモートコントローラ100には、1つの凹凸形成部11(図2参照)により正方形形状に形成された入力用凸部(チャンネル操作ボタン)1と、入力用凸部(早送りボタン)3aと、入力用凸部(一時停止ボタン)3bと、入力用凸部(巻き戻しボタン)3cと、入力用凸部(停止ボタン)3dと、その他の入力用凸部5とが形成されている。また、2つの凹凸形成部11により長方形形状に形成された入力用凸部(音量調節ボタン)2aおよび2bと、入力用凸部(再生ボタン)4とが形成されている。このように、リモートコントローラ100の凹凸形成パネル10は、凸形状を形成させる凹凸形成部11の組み合わせにより、様々な大きさを有する入力用凸部1〜5を形成することが可能となる。これにより、たとえば、リモートコントローラ100がCDやDVDなど再生装置の操作や、照明、冷暖房装置の操作など、目的に応じた入力用凸部1〜5を形成することが可能となる。
【0049】
次に、図1、図2、図4、図10〜図13を参照して、本発明の一実施形態によるリモートコントローラ100の入力用凸部1〜5の形成動作および凹凸形成部11の変形動作を説明する。
【0050】
図4に示すように、凹凸形成パネル10の凹凸形成部11は、電圧無印加時では平板形状を有している。ここで、下部層40にマトリクス状に配列された一対の電極44aおよび44bのうち、任意の電極44aおよび44bによって、エラストマ層43に所定の電圧を印加すると、エラストマ層43を挟んで互いに向かい合う電極44aおよび44bの間に静電引力が生じる。この静電引力により、エラストマ層43は、一対の電極44aおよび44bによって電圧印加方向に押しつぶされ電圧印加方向に対して垂直方向(面方向)に伸張する。この場合、エラストマ層43は固定部42により周囲を固定されているため伸張を制限されるので、エラストマ層43が座屈変形することにより凸形状に変形(図11参照)する。また、一対の電極44aおよび44bは、エラストマ層43とそれぞれ接触面で固定されているので、図11に示すように、このエラストマ層43の変形により電極44aおよび44bを含む駆動部41の全体が凸形状に変形する。これにより、駆動部41が上方に突出するように変形する。
【0051】
ここで、入力用凸部3aが形成される場合を例にとると、図10に示すように、下部層40の駆動部41が上方に突出するように変形すると、下部層40の上方に配置された上部層50の突出部材60が初期位置O(図10の破線参照)から押し上げられるようにして突出する。その結果、突出部材60は、凹部64の下端部62aが変形しながら係合部54を乗り越えるとともに、係合部54に乗りあがるようにして突出位置P(図11参照)まで上昇する。これにより、図11に示すように、リモートコントローラ100の凹凸形成パネル10に入力用凸部3aが形成される。なお、図1に示すように、入力用凸部3aを除く入力用凸部1〜5も同様に、突出部材60が係合部54に乗り上がり突出位置Pまで上昇することにより形成される。このとき、凹凸形成パネル10の表面に固着された表面膜30は、突出部材60の突出に伴って伸張し、入力用凸部1〜5の表面を構成している。また、突出部材60は、突出位置Pで係合部54に乗り上がるようにして係合することにより、駆動部41の変形量にわずかな誤差が生じていても確実に突出位置Pまで押し上げられるため、形成される入力用凸部1〜5はそれぞれ等しい高さHを有する。なお、入力用凸部2a、2bおよび4も、変形する駆動部41の個数を調整することにより、同様に形成される。すなわち、マトリクス状に配列された駆動部41のうち2つの駆動部41により2つの突出部材60が押し上げられた場合には、図1および図2に示すように、長方形形状の入力用凸部2a、2bおよび4が形成される。
【0052】
また、図12に示すように、形成された入力用凸部1〜5が、使用者によって押し下げられることにより、所定の情報入力がなされる。この際、突出部材60は、加えられた押し下げ力によって、下端部62aが下面側で係合部54と当接しながら変形する。そして、突出部材60と係合部54との係合が解除されて、突出位置Pから初期位置Oまで押し下げられることにより、初期位置Oに戻るように構成されている。このため、リモートコントローラ100の使用者は、入力時に突出部材60と係合部54との係合が解除されたことによるクリック感を得ることが可能である。
【0053】
次に、図11に示すように、入力用凸部1〜5(図1参照)が形成された状態では、表面膜30は突出部材60の上昇に伴って伸張した状態を維持している。このため、突出位置Pにおいて突出部材60には、下方に突出部材60を押し戻すように表面膜30の復元力が加えられている。ここで、図13に示すように、入力用凸部1〜5が使用者によって押し戻されることなく駆動部41への電圧印加が中断されると、突出部材60を押し上げていた駆動部41が下降する。このとき、図13の破線に示すように、突出位置Pにおいて突出部材60には、下方に突出部材60を押し戻すように表面膜30の復元力が加えられているので、突出部材60は、この表面膜30の復元力により押し戻されて下降する。この結果、突出部材60は、突出位置Pから初期位置Oに押し戻される。これにより、突出部材60が突出位置Pまで押し上げられることにより形成された入力用凸部1〜5が、平坦な状態に戻される。
【0054】
以上のような変形動作によって、リモートコントローラ100は、リモートコントローラ100上に入力用凸部1〜5を形成するとともに、形成された入力用凸部1〜5を元の平坦な状態に戻すことが可能となる。
【0055】
本実施形態では、上記のように、下方から押し上げられることにより初期位置Oから突出位置Pに突出して入力用凸部1〜5を形成する突出部材60と、突出部材60の突出時に突出部材60と係合することにより突出部材60を所定の突出位置Pに位置するように規制する側壁52とを備えることによって、突出部材60が押し上げられて入力用凸部1〜5を形成する場合に、突出部材60を押し上げる駆動部41の変位量にばらつきが発生しても、側壁52により入力用凸部1〜5を所定の突出位置Pに規制することができる。その結果、入力用凸部1〜5の高さ位置(突出位置P)がばらつくのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、突出部材60は、突出部材60が突出位置Pにおいて側壁52と係合部54で係合した状態で形成された入力用凸部1〜5が押し下げられる際に、側壁52の係合部54による係合が解除されて初期位置Oに戻るように構成することによって、突出部材60は、側壁52の係合部54との係合が解除されるのに必要なだけの押し下げ力が加えられることにより係合が解除されると、その後は係合による抵抗を受けることなく押し下げられて初期位置Oに戻される。これにより、形成された入力用凸部1〜5を押し下げる場合にも、通常の機械的なボタンを押し下げるようなクリック感(係合が解除される際の押し下げ力が除荷される感覚)を使用者に付与することができるので、明確な入力感覚を得ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、側壁52は、側壁52に一体的に形成された係合部54を含み、突出部材60は係合部54に係合する凹部64を含むように構成することによって、側壁52の係合部54と突出部材60の凹部64とを係合させることができるので、突出部材60と側壁52とを容易に係合することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、係合部54は、凸形状に形成され、凹部64は、凹形状に形成されることによって、凸形状と凹形状とにより係合することができるので、突出部材60と側壁52との係合を確実に行うことができる。
【0059】
本実施形態では、上記のように、突出部材60は、上面65が平坦面状に形成されているとともに、係合部54と凹部64との係合領域を含む断面において中央部63が上部61および下部62の幅W1よりも小さい幅W2を有することにより、側部に凹形状からなる凹部64を含むように構成することによって、突出部材60の側部に凹形状の凹部64を形成しながら、形成される凸部64の突出面(上面65)の面積を大きくすることができる。
【0060】
本実施形態では、上記のように、突出部材60が突出位置Pにある場合において駆動部41が下降した際に、突出部材60は、突出部材60の突出に伴って変形していた表面膜30の復元力により初期位置Oに戻されるように構成されることによって、表面膜30の復元力により突出部材60を初期位置Oに戻すことが可能となるので、駆動部41の下降に伴って突出部材60を下降させるために、駆動部41と突出部材60とを固定する必要がなくなる。これにより、凹凸形成部11の構造を簡素化することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、突出部材60は、側壁52の係合部54よりも弾性変形しやすい材料により形成されることによって、突出部材60と側壁52の係合部54とが係合する際に突出部材60が変形しながら係合される。また、突出部材60と係合部54との係合が解除される際に、突出部材60が変形することにより係合が解除されることができる。これにより、突出部材60と側壁52の係合部54との係合および係合の解除を容易に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、凹凸形成パネル10に複数の凹凸形成部11を配列するように構成することによって、凹凸形成パネル10の所定の位置に複数の入力用凸部1〜5を形成することができるので、リモートコントローラ100の所定の位置に、表示装置20に表示される入力用画像に応じた入力用凸部1〜5を形成することができる。また、凹凸形成パネル10に重ねて配置される表示装置20に表示される入力用画像に応じて凹凸形成部11の入力用凸部1〜5を形成するように構成することによって、表示装置20が表示する入力用画像(テンキーの画像や再生または停止ボタンなどの画像、チャンネル選択ボタンの画像など)に応じた入力用凸部1〜5を形成することができるので、異なる複数の情報入力機能を提供することができる。また、入力操作の際に、形成された入力用凸部1〜5を押し下げることができるので、明確な入力感覚を得ることができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、凹凸形成パネル10は、表示装置20の上方に配置された場合に、表示装置20に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料により構成されていることによって、凹凸形成パネル10を表示装置20の上方に重ねた状態で入力用画像を視認することができるので、使用者が触れる側に凹凸形成パネル10が配置されることが可能になる。これにより、凹凸形成部11により形成された入力用凸部1〜5の形状を使用者がより明確に感じとることができるので、確実な入力操作を行うことができる。
【0064】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0065】
たとえば、上記実施形態では、本発明の情報入力装置の一例としてリモートコントローラを示したが、本発明はこれに限らず、リモートコントローラ以外の情報入力装置にも適用可能である。
【0066】
また、上記実施形態では、図3に示すように、凹凸形成パネル10が表示装置20の上方に重ねて配置されている例を示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成パネルが表示装置の下方に配置されていてもよい。この場合には、表示装置に、たとえば電子ペーパーのような柔軟で薄い表示装置を用いる必要がある。
【0067】
また、上記実施形態では、複数の凹凸形成部11は、凹凸形成パネル10にマトリクス状に配列されている例を示したが、本発明はこれに限らず、マトリクス状である必要はなく、たとえば、千鳥配列をなすように配列されていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、駆動部41は、エラストマ層43と、エラストマ層43を挟み込む一対の電極44aおよび44bとからなる積層構造を有する例を示したが、本発明はこれに限らず、凸部形成層は、図14に示す第1変形例のように、上下方向に駆動するように構成されたピンにより突出部材が押し上げられるように構成されていてもよい。この第1変形例では、下部層400の駆動部410は、図示しない駆動装置により上下方向(Z方向)に昇降可能に構成されたピン430と、ピン430の移動方向を上下方向に規制するための固定部420とから構成されている。この第1変形例では、突出部材60は、ピン430により押し上げられるように構成されている。また、この第1変形例以外にも、突出部材を下方から押し上げることが可能なものであれば、圧電素子や、イオン交換樹脂膜、光、熱などによって突出部材を押し上げ、入力用凸部が形成されるように構成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、突出部材60は、側部に中央部63と上端部61aおよび下端部62aとからなる凹形状を有する凹部64が形成されるとともに、この凹部64が下端部62aで係合部54と係合することにより突出位置Pに位置するように規制される例を示したが、本発明はこれに限らず、突出部材は、図14に示す第1変形例のように、凸形状からなる第2係合部を有し、この第2係合部が係合することにより所定の突出位置に位置するように規制されてもよい。この第1変形例では、突出部材600の側部には、凸形状を有する凸部640が形成されている。この凸部640が係合部54と係合することにより、突出位置Pに位置するように規制されるように構成されている。なお、この凸部641は、本発明の「第2係合部」の一例である。
【0070】
また、上記実施形態では、図9に示すように、凹部64のX方向の長さL2は、係合部54の突出長さL1よりも大きい例を示したが、本発明はこれに限らず、図15に示す第2変形例のように、凹部と係合部とは略同一形状を有し、嵌まりあうように構成されていてもよい。この第2変形例では、側壁520の両側面に三角形状の断面形状を有する係合部540が一体的に形成されている。また、この係合部540と実質的に同一形状を有する凹部641が突出部材601の側部に形成されている。そして、凹部641と係合部540とが嵌まり合うように構成されている。
【0071】
また、上記実施形態では、突出部材60は、突出部材60が突出位置Pにある場合において駆動部41が下降した際に、突出部材60の突出に伴って変形していた表面膜30の復元力により初期位置Oに戻されるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、図16に示す第3変形例のように、突出部材を押し上げる駆動部と突出部材とが固定されることにより、駆動部の下降に伴い、駆動部の復元力により突出部材が初期位置に戻るように構成してもよい。この第3変形例では、突出部材602は、脚部66を有し、駆動部41の上側の電極44aと突出部材602の脚部66との接触部Qで固定されている。このため、駆動部41が下降する場合には、駆動部41の復元力によって突出部材602と係合部54との係合が解除され、初期位置Oに戻るように構成されている。
【0072】
また、上記実施形態では、側壁52の1つの係合部54に対応して突出部材60に1つの凹部64が形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、係合部および凹部が複数設けられていてもよい。たとえば、図17に示す第4変形例のように、2つの凹部と1つの係合部とが係合するように形成されていてもよい。この第4変形例では、突出部材603のX方向の側部には、2つの凹部642および643がそれぞれ形成されている。一方、側壁52の側面には、1つの係合部541が形成されている。この場合には、初期位置Oにおいて凹部642と係合部541とが係合する。そして、突出位置Pにおいて凹部643と係合部541とが係合するように構成されている。また、凹部および係合部をさらに多くすることにより、突出量(入力用凸部の高さ)を多段階に調節するように構成してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、突出部材60と、側壁52および係合部54とは、アクリルゴムや、シリコンゴムなどのゴム状の材料で形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、異なる材料により形成されていてもよい。突出部材は、係合部よりも弾性変形しやすいとともに、表示装置により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料であればよい。したがって、アクリルゴムおよびシリコンゴム以外のゴム状の材料や、他の弾性変形しやすい材料により形成されていてもよい。また、係合部および側壁は、アクリルゴムやシリコンゴムなどのゴム状の材料である必要はなく、突出部材の材料よりも硬度の高い材料であるとともに、表示装置により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示す分解斜視図である。
【図4】図1の200−200線に沿った凹凸形成パネルの断面の一部を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるパネル本体の電極配置を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるパネル本体の電極配置を示す拡大図である。
【図7】本発明の一実施形態による上部層の構造を示す拡大図である。
【図8】本発明の一実施形態による突出部材の構造を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による凹凸形成部の構造を拡大して示す断面図である。
【図10】図4の凹凸形成パネルの断面図において、突出部材が押し上げられる状態を示す断面図である。
【図11】図4の凹凸形成パネルの断面図において、入力用凸部が形成されている状態を模式的に示す断面図である。
【図12】図11の凹凸形成パネルの断面図において、入力用凸部が押し下げられる状態を示す断面図である。
【図13】図11の凹凸形成パネルの断面図において、突出部材が突出位置から下降する状態を模式的に示す断面図である。
【図14】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの第1変形例を示す断面図である。
【図15】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの第2変形例を示す断面図である。
【図16】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの第3変形例を示す断面図である。
【図17】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの第4変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1、2a、2b、3a〜3d、4、5 入力用凸部
10 凹凸形成パネル
11 凹凸形成部(凹凸形成装置)
20 表示装置
30 表面膜
41、410 駆動部
52、520 側壁(規制部)
54、540、541 係合部(第1係合部)
60、600〜603 突出部材
64、640〜643 凹部(第2係合部)
61 上部
62 下部
63 中央部
65 上面
100 リモートコントローラ(情報入力装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方から押し上げられることにより初期位置から所定の突出位置に突出して凸部を形成する突出部材と、
昇降可能に設けられ、下方から前記突出部材を押し上げる駆動部と、
前記突出部材の突出時に前記突出部材と係合することにより前記突出部材を所定の突出位置に位置するように規制する規制部とを備える、凹凸形成装置。
【請求項2】
前記突出部材は、前記突出部材が前記所定の突出位置において前記規制部と係合した状態で形成された前記凸部が押し下げられる際に、前記規制部による係合が解除されて前記初期位置に戻るように構成されている、請求項1に記載の凹凸形成装置。
【請求項3】
前記規制部は、第1係合部を含み、前記突出部材は前記第1係合部に係合する第2係合部を含む、請求項1または2に記載の凹凸形成装置。
【請求項4】
前記第1係合部および前記第2係合部の一方は、凹形状および凸形状の一方の形状に形成され、前記第1係合部および前記第2係合部の他方は、凹形状および凸形状の他方の形状に形成される、請求項3に記載の凹凸形成装置。
【請求項5】
前記突出部材は、上面が平坦面状に形成されているとともに、前記第1係合部と前記第2係合部との係合領域を含む断面において中央部が上部および下部の幅よりも小さい幅を有することにより、側部に凹形状の前記第2係合部を含む、請求項3または4に記載の凹凸形成装置。
【請求項6】
前記突出部材の上に重ねて配置されるとともに、弾性を有し、前記突出部材の突出に伴って変形可能な材料により構成される表面膜をさらに備え、
前記突出部材が前記所定の突出位置にある場合において前記駆動部が下降した際に、前記突出部材は、前記突出部材の突出に伴って変形していた前記表面膜の復元力により前記初期位置に戻されるように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項7】
前記突出部材は、前記規制部よりも弾性変形しやすい材料により形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項8】
下方から押し上げられることにより初期位置から所定の突出位置に突出して凸部を形成する突出部材と、昇降可能に設けられ、下方から前記突出部材を押し上げる駆動部と、前記突出部材の突出時に前記突出部材と係合することにより前記突出部材を前記所定の突出位置に位置するように規制する規制部とを含む複数の凹凸形成部が配列された凹凸形成パネルと、
前記凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、
前記凹凸形成パネルは、前記表示装置に表示される入力用画像に応じて前記凹凸形成部の前記凸部を形成するように構成されている、情報入力装置。
【請求項9】
前記凹凸形成パネルは、前記表示装置の上方に配置された場合に、前記表示装置に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により構成されている、請求項8に記載の情報入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−230886(P2009−230886A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71417(P2008−71417)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】