説明

出入管理システム及び個人識別データ読取装置

【課題】個人認証対象者の人物特定を精度高く行える出入管理システム及び個人識別データ読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像撮影装置と、個人識別情報に基づき個人認証対象者の出入時の個人認証処理を表す個人識別情報処理情報を生成し出力する認証管理装置と、個人識別情報媒体から個人識別情報を読取り認証管理装置に出力するデータ読取手段と、画像撮影装置からの複数の静止画像の内所定条件に合った静止画像を選択し認証管理装置からの個人識別情報処理情報と組み合わせた検出画像データとして送信するデータ関連付け手段とを有した個人識別データ読取装置と、認証管理装置から受信した個人識別情報処理情報に応じた内容を表示するとともに、データ関連付け手段から受信した検出画像データの個人識別情報処理情報に基づき静止画像を表示する出入管理装置とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人のフロアへの出入を管理する出入管理システム、及びこの出入管理システムなどに用いられる個人識別データ読取装置に係り、特に、個人認証結果と個人認証対象者の撮影画像とにより個人認証対象者の人物特定を行えるものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種出入管理システムは、指紋や瞳の虹彩等を利用した生体認証、あるいはICカードを用いた個人認証を行う個人識別データ読取装置を備えている。当該システムにおいては個人識別データ読取装置が読み込んだ個人情報を蓄積された個人情報と比較し、認証の成功または失敗を表す個人認証結果信号を出力するものであり、この信号に基づいて部屋等への人(個人認証対象者)の出入が管理される。一方、出入管理システムは個人認証操作を行う個人認証対象者の人物特定をも可能にしている。すなわち、個人認証結果に加えて、その認証時刻における個人認証対象者の撮影画像をPC端末上に表示させる機能を有し、個人認証対象者の人物特定を行っている。このような機能を有することにより、個人認証結果が認証成功であった場合、個人認証対象者の氏名と顔の特定をも可能にしている。また、個人認証結果が認証失敗であった場合、個人認証対象者の氏名は特定できないが、個人認証対象者の撮影画像により、不審者としての顔を確認できる。その結果、セキュリティの向上が図れるものである(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−27796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の出入管理システムは、個人認証対象者の人物特定を認証時刻における撮影画像で行っているため、例えば、認証時刻にカメラの方向に顔を向けていない場合など、撮影画像から顔を認識できず人物特定を行えないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、個人認証対象者の人物特定を精度高く行える出入管理システム及び個人識別データ読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る出入管理システムは、出入口扉近辺の特定エリアの出入口を撮影するように配置される画像撮影装置と、複数の個人識別情報が蓄積され、受信した個人識別情報と前記蓄積個人識別情報とを比較、照合し、認証の成功または失敗を表す個人認証結果信号を前記出入口扉の錠の開錠と施錠を制御する信号として出力するとともに、前記受信した個人識別情報に基づき個人認証対象者の前記出入口通行時の個人認証処理を表す個人識別情報処理情報を生成し、出力する認証管理装置と、前記出入口扉近辺の出入口に設置され、個人識別情報が記憶された個人識別情報媒体を感知すると当該個人識別情報媒体から個人識別情報を読み取り、この個人識別情報を前記認証管理装置に出力するデータ読取手段と、前記画像撮影装置からの複数の静止画像の内、所定の条件に合った静止画像を選択し、選択した静止画像と前記認証管理装置からの個人識別情報処理情報とを組み合わせた検出画像データとして送信するデータ関連付け手段とを有した個人識別データ読取装置と、前記認証管理装置からの個人識別情報処理情報を受信し、この個人識別情報処理情報に応じた内容を表示するとともに、前記個人識別データ読取装置のデータ関連付け手段からの検出画像データを受信し、この検出画像データの個人識別情報処理情報に基づいて静止画像を表示する出入管理装置とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る個人識別データ読取装置は、個人識別情報が記憶された個人識別情報媒体から個人識別情報を感知すると当該個人識別情報媒体から個人識別情報を読み取るデータ読取手段と、複数の静止画像を記憶する撮影画像記憶手段と、記憶された複数の静止画像それぞれの顔画像における顔の方向、大きさ、明るさ、目の位置などを数値化して静止画像の評価値を算出する評価値算出手段と、前記評価値算出手段にて算出された評価値に基づき複数の静止画像から所定の静止画像を抽出する画像選択手段と、前記データ読取手段にて個人識別情報を読み取る毎に付される個人認証処理番号と前記個人識別情報とを有する個人識別情報処理情報を記憶する個人識別情報処理情報記憶手段と、前記画像選択手段にて抽出された前記所定の静止画像と前記個人識別情報処理情報記憶手段に記憶された個人識別情報処理情報とを組み合わせた検出画像データを生成し、出力する検出画像データ生成手段とを有するデータ関連付け手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の出入管理システム及び個人識別データ読取装置は、個人認証対象者の人物特定を精度高く行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る出入管理システムを示す概念図。
【図2】本発明の実施の形態1に使用される通行イベント情報の一例を示す図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る出入管理システムを示す構成図。
【図4】本発明の実施の形態1に使用されるスコア値を算出するための各項目の値の一例を示す図。
【図5】図3に示した表示手段603における表示内容の一例を示す図。
【図6】図3に示した表示手段603における表示内容の一例を示す図。
【図7】図3に示した表示手段603における表示内容の一例を示す図。
【図8】各装置間のデータのやり取りを示す図であって、(a)撮影途中で別の者による読取操作がない場合、(b)撮影途中で別の者による読取操作がある場合を示す図。
【図9】本発明の実施の形態1の動作を表すフロー図。
【図10】本発明の実施の形態1における画像撮影装置400の他の配置例を示す図。
【図11】本発明の実施の形態2に係る出入管理システムを示す構成図。
【図12】本発明の実施の形態2の動作を表すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1ないし図9は本発明の実施の形態1に係る出入管理システムを示す図である。
【0011】
図1の概略図にて示すように、出入管理システムは個人識別データ読取装置100と認証管理装置300と画像撮影装置400と出入管理装置600とを備える。
【0012】
個人識別データ読取装置100は出入り口扉700近辺の特定エリアの出入口に設置され、データ読取手段200とデータ関連付手段500とを備える。データ読取手段200は個人識別情報が記憶された個人識別情報媒体の接触あるいは非接触状態を感知すると当該個人識別情報媒体から個人識別情報を取り込み、出力する。例えば、このデータ読取手段200は個人識別情報媒体であるICカードから個人情報を読み取るICカード認証装置、あるいは個人識別情報媒体である指紋や瞳の虹彩等から個人情報を読み取る生体認証(指紋認証、虹彩認証)装置である。また、データ読取手段200は個人識別情報媒体を感知すると撮影開始信号を送信する。
【0013】
認証管理装置300は複数の個人識別情報が蓄積され、個人識別データ読取装置100のデータ読取手段200からの個人識別情報を受け、受信した個人識別情報と蓄積個人識別情報とを比較・照合し、認証の成功または失敗を表す個人認証結果信号を出力する。この個人認証結果信号は出入り口扉700の錠の開錠と施錠を制御する信号として利用される。また、データ読取手段200からの個人識別情報に基づき通行イベント情報などの個人識別情報処理情報(以下、通行イベント情報と略称する)を生成し、個人識別データ読取装置100のデータ関連付手段500に送信する。したがって、認証管理装置300は通行イベント情報を生成する個人識別情報処理情報生成手段(以下、通行イベント情報生成手段と略称する)としても機能する。
【0014】
通行イベント情報はデータ読取手段200からの個人識別情報に基づいて個人認証対象者のフロア通行時の個人認証処理を表す情報であり、図2に一例を示す。すなわち、通行イベント情報は個人認証処理毎に特定された数字あるいは記号などにて表されたイベント番号、データ読取手段200からの個人識別情報(ID)、認証時刻、入室および退室などの種別、認証の成功または失敗を表す認証結果の情報を含んでいる。例えば、イベント番号は1日の中での始めの個人認証処理に対して0001、次の個人認証処理に対して0002と順次付され、個人認証処理毎に固有であり、異なる個人認証処理(イベント)に対して同一のイベント番号(個人認証処理番号)が付されることはない。図2に示された通行イベント情報は、イベント番号「0001」(本日1番のイベントを示す)、個人識別情報(ID)「001111」、認証時刻「12時00分00秒」、種別「入室」、認証結果の情報「成功」を示している。
【0015】
図1に戻り、画像撮影装置400は出入り口扉700近辺の特定エリアの出入口を撮影するように配置されたカメラ等の画像を撮影する装置である。画像撮影装置400は、個人識別データ読取装置100のデータ読取手段200から撮影開始信号を受けると、所定間隔毎に撮影した個人認証対象者の静止画像を、撮影終了まで個人識別データ読取装置100へ送信する。画像撮影装置400は、内部にタイマーを保有し、撮影開始信号を受けてから予め設定された所定時間が経過すると、撮影を終了する。なお、内部タイマーを用いず、外部装置からの信号に基づいて撮影を終了するようにしてもよい。
【0016】
なお、この例では撮影開始から撮影終了までの期間、複数の静止画像からなる撮影画像を送信するものとしたが、同期間、動画像からなる撮影画像を送信するものでも良い。動画像は複数の静止画像の集合体であり、本発明では複数の静止画像として表現した場合、動画像を含むものとする。また、撮影開始から撮影終了までの期間が1つの通行イベントに相当する。
【0017】
個人識別データ読取装置100のデータ関連付手段500はこの画像撮影装置400からの複数の静止画像と、上記した認証管理装置300からの通行イベント情報とを記憶(保存)し、記憶された複数の静止画像から所定の条件に合った静止画像、つまり、この例においては適切な顔、認識しやすい顔が映っている静止画像(最適画像)を選択し、選択した静止画像と記憶された通行イベント情報とを組み合わせて検出画像データとして送信する。所定の条件は、詳細は後述するが、静止画像の顔画像における顔の方向、大きさ、明るさ、目の位置などを数値化して算出された評価値の値にて決定される。なお、検出画像データとして、適切な顔が映っている静止画像を検出する際に用いた静止画像毎に算出した評価値を含むものとしても良い。また、画像撮影装置400からの撮像画像が動画像である場合、動画像から所定間隔毎に静止画像を取り出す機能をデータ関連付手段500に追加すればよい。
【0018】
出入管理装置600は個人識別データ読取装置100および認証管理装置300とネットワークで接続され、管理者が個人認証対象者の出入を把握し管理するための管理情報を受信、記録および表示するPC端末等の装置である。この管理情報は認証管理装置300から送信された通行イベント情報、および個人識別データ読取装置100から送信された検出画像データである。このような管理情報を受けた出入管理装置600はその表示手段603に例えば、図5ないし図7に示すように通行イベント情報と、この情報に関連付けられた撮影画像とを表示する。
【0019】
次に、本発明の実施の形態1に係る出入管理システムを図3の構成図を用いてさらに詳しく説明する。
【0020】
まず最初に、認証管理装置300について説明する。認証管理装置300はデータ照合手段301と登録情報記憶手段302と個人識別情報処理情報生成手段303(以下、通行イベント情報生成手段と略称する)とを有する。
【0021】
登録情報記憶手段302には予め複数の個人識別情報が蓄積されている。データ照合手段301は個人識別データ読取装置100のデータ読取手段200からの個人識別情報を受信し、この受信した個人識別情報と登録情報記憶手段302に記憶されている個人識別情報とを比較・照合し、受信した個人識別情報が登録情報記憶手段302に一致する個人識別情報が記憶されていると認証の成功を、また一致する個人識別情報が記憶されていないと失敗を表す個人認証結果信号を出力する。この個人認証結果信号は出入り口扉700の開錠と施錠を制御する錠制御信号として利用され、出入り口扉700は個人認証結果信号が認証の成功を表す信号であると開錠される。
【0022】
通行イベント情報生成手段303はデータ読取手段200からの個人識別情報を受信し、個人識別情報にイベント番号を付加するとともに認証時刻、入室、退室などの種別を付加して、例えば、図2に示す通行イベント情報を生成し、個人識別データ読取装置100のデータ関連付手段500に送信する。
【0023】
次に、個人識別データ読取装置100のデータ関連付手段500について説明する。データ関連付手段500は第1の個人識別情報処理情報受信手段501(以下、第1の通行イベント情報受信手段と略称する)と第1の個人識別情報処理情報記憶手段502(以下、第1の通行イベント情報記憶手段と略称する)と撮影画像受信手段503と撮影画像記憶手段504と、撮影画像評価値算出手段505と画像選択(検出)手段506と検出画像データ生成手段507とを有する。
【0024】
第1の通行イベント情報受信手段501は通行イベント情報生成手段303からの通行イベント情報をネットワーク500を介して受け取り、第1の通行イベント情報記憶手段502に出力する。そして第1の通行イベント情報手段502には通行イベント情報が記憶される。撮影画像取得手段503は画像撮影装置400からの静止画像を受信し、撮影画像記憶手段504に出力する。そして撮影画像記憶手段504には撮影された静止画像が記憶される。
【0025】
撮影画像評価値算出手段505は撮影画像記憶手段504に記憶された静止画像を取り出し、その静止画像内から人の顔を検出し、その顔画像がどれだけ客観的にバランスの取れた顔画像であるのかを評価する。すなわち、静止画像における顔の認識のし易さ、適切さを評価値として算出し、その評価値を評価結果として取り込んだ静止画像および第1の通行イベント情報記憶手段502に記憶された通行イベント情報のイベント番号と関連付けた評価情報として撮影画像記憶手段504に出力する。
【0026】
この撮影画像評価値算出手段505は取り込んだ静止画像における人物の顔領域を顔画像データとして検出する顔検出処理部と、検出された顔画像における顔の認識のし易さ、適切さを示す評価値を算出する評価値算出部と、この評価値算出部からの評価値と取り込んだ静止画像および第1の通行イベント情報記憶手段502に記憶された通行イベント情報のイベント番号とを関連付け、評価情報として撮影画像記憶手段504に出力する評価情報出力手段を有する。
【0027】
顔検出処理部は顔画像と顔画像以外の対象画像を多数記憶している記憶部と、この記憶部に記憶された顔画像および対象画像と取り込んだ静止画像とを比較照合し、静止画像における顔領域と顔領域以外を区別し、顔画像データを出力する識別器とを有する。
【0028】
評価値算出部は、顔検出処理部から出力された顔画像データの中から、顔の方向、大きさ、明るさ、目の位置(目検出)等の各項目の値を求め、これら各項目の値にそれぞれ重み係数を掛けて組み合わせる(加算する)ことにより算出してスコア値としての評価値を出力する。例えば、方向算出部、大きさ算出部、明るさ算出部、目の位置算出部を有し、各算出部に対して重み係数乗算部を有し、各重み係数乗算部からの乗算結果を加算し、評価値として出力する加算部とを有している。
【0029】
方向算出部は円形フィルターを用いることにより顔画像データから検出した鼻の位置と目の位置との位置関係から方向に対する評価値を算出し、大きさ算出部は顔画像データの高さピクセルにより大きさに対する評価値を算出し、明るさ算出部は、顔画像データの各ピクセルのRGB値を平均した平均輝度値により明るさに対する評価値を算出し、目の位置算出部は顔画像データに対してテンプレートマッチングを行うことにより目の位置に対する評価値を算出する。
【0030】
このスコア値の算出についてさらに図4を用いて説明する。図4はスコア値を算出するための各項目の値の一例を示すテーブルである。すなわち、評価する項目に対して状態に応じた評価値を与え、かつ、各項目に対して重み付けをしたものである。項目としては「顔の方向」、「顔の大きさ」、「顔の明るさ」、「目の位置(目検出)」であり、重み付け係数として、順に「6」、「6」、「4」、「4」としている。
【0031】
項目「顔の方向」の状態別評価点は3段階評価とし、鼻の位置と目の位置との位置関係から状態が「正面」と判定されると5点、「30度内回転」と判定されると3点、「それ以外」と判定されると1点と設定される。項目「顔の大きさ」の状態別評価点は5段階評価とし、高さピクセルが200超え、200以下150超え、150以下100超え、100以下50超え、50以下の順に4点、5点、3点、1点、0点と設定される。項目「顔の明るさ」の状態別評価点は5段階評価とし、各ピクセルのRGB値を平均した平均輝度値が240超え、240以下200超え、200以下150超え、150以下100超え、100以下の順に2点、5点、3点、1点、0点と設定される。項目「目検出」の状態別評価点は3段階評価とし、テンプレートマッチングにより「両目」と判定されると5点、「片目」と判定されると3点、「なし」と判定されると0点と設定される。
【0032】
例えば、方向算出部が正面と判定すると5を出力し、その重み係数乗算部から30(=5×6)が出力される。大きさ算出部が高さピクセルとして180を検出すると5を出力し、その重み係数乗算部から30(=5×6)が出力される。明るさ算出部が各ピクセルのRGB値を平均した平均輝度値として140を検出すると1を出力し、その重み係数乗算部から4(=1×4)が出力される。目の位置算出部が両目と判定すると5を出力し、その重み係数乗算部から20(=5×4)が出力される。そして、これら重み係数乗算部からの出力を受けた加算部は84(=30+30+4+20)を出力する。加算部からの84は評価値算出部からの評価値(スコア値)となる。
【0033】
この評価値算出部からの評価値を受けた評価情報出力手段は、取り込んだ静止画像に評価値を関連付け、評価情報として撮影画像記憶手段504に出力する。これらの動作は撮影開始から撮影終了までの期間、つまり、通行イベント情報のイベント番号が同じ期間に撮影画像受信手段503にて受信された複数の静止画像に対して行われ、これら複数の静止画像それぞれに対して評価値が算出されて評価情報として撮影画像記憶手段504に出力される。
【0034】
なお、評価情報出力手段における評価値と静止画像との関連付けは画像のファイル名に評価値を追記したファイル名に変更(リネーム)する方法、画像ファイルのユーザ領域やメタ情報領域に評価値を挿入する方法などによって行われる。
【0035】
画像選択手段506は、撮影画像評価値算出手段504で算出された評価値に基づいて、撮影画像記憶手段504に記憶された複数の静止画像から静止画像を選択する。例えば、最も評価値が高い評価情報を有する静止画像を選択し検出画像データ生成手段507に出力する。
【0036】
検出画像データ生成手段507は画像選択手段506から受信した静止画像に第1の通行イベント情報記憶手段502から受け取った通行イベント情報を関連付けて(組み合わせて)検出画像データを生成し、ネットワーク500を介して出入管理装置600に送信する。
【0037】
この検出画像データ生成手段507における静止画像と通行イベント情報との関連付けは上述した評価値と静止画像との関連付けと同様の方法、例えばファイル名を変更することにより関連付けを行う方法、つまり静止画像の画像ファイル名「画像0001.jpg」に通行イベント情報におけるイベント番号「0001」を付加して「画像0001−イベント0001.jpg」に変更することにより行い、検出画像データのファイル名として静止画像を送信する。
【0038】
出入管理装置600は、第2の個人識別情報処理情報受信手段601(以下、第2の通行イベント情報受信手段と略称する)と、第2の個人識別情報処理情報記憶手段602(以下、第2の通行イベント情報記憶手段と略称する)と、液晶モニタ等の表示手段603と、検出画像データ受信手段604と、検出画像データ記憶手段605とを有する。
【0039】
第2の通行イベント情報受信手段601は通行イベント情報生成手段303からの通行イベント情報をネットワーク500を介して受信し、第2の通行イベント情報記憶手段602に出力する検出画像データ受信手段604は検出画像データ生成手段507からの検出画像データをネットワーク500を介して受信し、検出画像データ記憶手段605に出力する。
【0040】
表示手段603は第2の通行イベント情報記憶手段602に記憶された通行イベント情報を表示し、また、検出画像データ記憶手段605に記憶された検出画像データ、つまり、適切な顔、認識しやすい顔が映っている静止画像をその通行イベント情報とともに表示する。例えば、イベント番号0001を含む通行イベント情報に対応する最適な静止画像表示する場合、表示手段603は検出画像データにおけるファイル名の「イベント0001」をキーとして画像を検索して表示させられることになる。
【0041】
表示手段603に通行イベント情報が表示されることにより、管理者は個人認証対象者の出入を把握し管理できる。また、表示手段603に通行イベント情報とともにそれに対応した適切な顔、認識しやすい顔が映っている静止画像が表示されることにより、管理者は精度高く個人認証対象者の人物特定を行える。
【0042】
次に、表示手段603における表示内容の一例を図5〜図7を用いて説明する。各図に示すように、表示手段603の左側は第2の通行イベント情報記憶手段602から受け取った通行イベント情報が表示される通行イベント情報表示領域、右側は検出画像データ記憶手段605から受け取った静止画像が表示される静止画像表示領域である。
【0043】
図5は1日の中での始めの個人認証処理がなされた場合の通行イベント情報を表示した例を示したものであり、イベント番号0001に対応して第2の通行イベント情報記憶手段602に記憶された通行イベント情報に基づいて最初の個人認証対象者である個人識別ID123456、認証時刻9時20分30秒、種別「入室」、認証結果「成功」が表示される。
【0044】
図6は図5に示された状態において管理者がイベント番号0001をクリックした場合の表示例を示したものであり、イベント番号0001に対応した検出画像データ記憶手段605に記憶された静止画像データが表示される。この表示された静止画像は通行イベント情報期間における最も評価値が高かった個人識別ID123456を持つ個人認証対象者の顔画像である。
【0045】
図7は5人の個人認証対象者が認証を行った後の通行イベント情報、および管理者がイベント番号0005をクリックした場合の表示例を示したものである。通行イベント情報領域には個人認証対象者が個人認証処理を行う度にイベント番号に対応して第2の通行イベント情報記憶手段602に記憶された通行イベント情報に基づいて情報が表示される。画像表示領域にはイベント番号0005に対応した検出画像データ記憶手段605に記憶された静止画像データが表示される。この表示された静止画像は5番目の個人認証対象者に対する通行イベント情報期間における最も評価値が高かった顔画像である。認証を失敗した個人認証対象者の顔画像であっても画像表示領域に表示できる。
【0046】
こうすることにより管理者は、イベント番号0005に対応する個人認証処理を行った個人認証対象者の人物名は確認することができないものの、画像表示領域に表示された客観的に認識しやすい顔画像を見ることにより、人物確認を行うことが可能となる。
【0047】
次に、このように構成された本発明の実施の形態1の動作について図8(a)(b)及び図9を用いて説明する。図8(a)(b)は横軸を時間軸とした場合の各装置間のデータのやり取りを示し、図9はフロー図を示す。
【0048】
まず、図8(a)及び図9を用いて、個人認証対象者Aが読取操作しその撮影の途中に別の者が読取操作を行わない場合について説明する。この場合、図9におけるステップS11、ステップS16の分岐は「No」となる。個人認証対象者Aが、12時00分00秒に個人識別データ読取装置100のデータ読取手段200に対しICカードなどの個人識別情報媒体により読取操作を行うと、データ読取手段200が個人識別情報媒体から個人識別情報を読み取り、認証管理装置300のデータ照合手段301に送信する(図8(a)のステップ001、002、図9のステップS1、S2)。
【0049】
これを受けて、認証管理装置300のデータ照合手段301は個人認証対象者Aについての個人認証処理を行う。すなわち、データ読取手段200からの個人識別情報と登録情報記憶手段302に記憶されている個人識別情報とを比較・照合し、受信した個人識別情報が登録情報記憶手段302に一致する個人識別情報が記憶されていると認証の成功を、また一致する個人識別情報が記憶されていないと失敗を表す個人認証結果信号を出入り口扉700に出力する(図8(a)のステップ003、図9のステップS3、S4)。
【0050】
データ照合手段301から「認証成功」を示す個人認証結果信号が出力されると出入り口扉700の錠の開錠が行なわれる(図9のステップS5)。「認証失敗」を示す個人認証結果信号が出力された場合は出入り口扉700の錠の開錠は行われない。
【0051】
また、データ読取手段200からの個人識別情報を受けた通行イベント情報生成手段303はその個人識別情報にイベント番号を付加するとともに認証時刻、入室、退室などの種別を付加して通行イベント情報(図2参照)を生成し、個人識別データ読取装置100のデータ関連付手段500へ送信するとともに、ネットワーク500を介して出入管理装置600に送信する(図8(a)のステップ004、図9のステップS6)。
【0052】
出入管理装置600ではその第2の通行イベント情報受信手段601にて通行イベント情報をネットワーク500を介して受信し、第2の通行イベント情報記憶手段602に記憶するとともに、図5に示すように表示手段602に通行イベント情報の内容を表示する(図8(a)の005、図9のステップS7)。
【0053】
一方、個人識別データ読取装置100のデータ読取手段200は個人識別情報媒体を感知すると画像撮影装置400に対して撮影開始信号を送信する(図8(a)のステップ006)。撮影開始信号を受けた画像撮影信号400は所定間隔毎に出入り口扉700近辺の特定エリアの出入口における画像撮影を開始し、個人識別データ読取装置100の撮像画像受信手段503に撮影した静止画像A1〜A4を送信する(図8(a)のステップ007、図9のステップS8)。
【0054】
そして、データ読取手段200から撮影開始信号を送信した時間から所定時間後(図8(a)の例では10秒後)に、画像撮影装置400は、内部に保有するタイマーにより所定時間の経過を感知し、撮影を終了する。
【0055】
撮影画像受信手段503は、受信した静止画像A1〜A4を撮影画像記憶手段504に送り、撮影画像評価値算出手段505は撮影画像記憶手段504から取り出した画像に対して顔検出処理を行い、評価値を算出する(図8(a)の008、図9のステップS9、S10)
【0056】
撮影時間が経過すると(図9のステップS12)、画像選択手段506は、静止画像A1〜A4から最も評価値が高かった静止画像を選択する(図8(a)の009、図9のステップS13)。
【0057】
検出画像データ生成手段507は、画像選択手段506で選択された静止画像と、認証管理装置300の通行イベント情報生成手段303で生成された通行イベント情報とを組み合わせて検出画像データを生成し、出入管理装置600に送信する(図8(a)の010、図9のステップS14)。検出画像データは、検出画像データ記憶手段605に記憶される(図9のステップS15)。そして、表示手段603が検出画像データ記憶手段605に記憶された検出画像データ、つまり、適切な顔、認識しやすい顔が映っている静止画像をその通行イベント情報とともに表示する。
【0058】
次に、図8(b)及び図9を用いて、個人認証対象者Aが読取操作しその撮影の途中に別の者が読取操作を行った場合について説明する。この場合、図9におけるステップS11、ステップS16の分岐は「Yes」となる。図8(b)における001から008までの処理については、図8(a)と同様であるためその説明を省略する。
【0059】
個人認証対象者Aが撮影されている間に別の個人認証対象者Bが読取操作を行うと、個人識別データ読取装置100は、人の顔の検出処理を途中であっても中止し、Bによる読取操作が行われるまでに撮影され評価値が算出された静止画像から、その評価値に基づいて最適の画像を選択する。そして、選択した静止画像と通行イベント情報とから検出画像データを生成し、出入管理装置600に送信する。また、Bに対しては読取操作時から所定時間の間(図8(b)の例では10秒間)、新たに画像を撮影する。
【0060】
具体的には、別の個人認証対象者が読取操作を行うと、個人識別データ読取装置100のデータ読取手段200は撮影画像評価値算出手段505に対して顔検出処理を中止させる検出処理中止信号を送信するとともに、画像撮影装置400に対して、内部タイマーをリセットし、新たに所定時間の間撮影を行うようにするリセット信号を送信する。リセット信号を受信した画像撮影装置400は、リセット信号を受信した時から所定時間の間個人認証対象者Bの撮影を行う(図8(b)の009)。こうすることにより、途中で読取操作を行った個人認証対象者Bに対しても所定時間撮影を行うことができる。
【0061】
画像選択手段506は、個人認証対象者Bが読取操作を行うと、個人認証対象者Bによる読取操作がなされるまでに顔検出処理がなされた静止画像から、最も評価値が高い静止画像を選択する(図8(b)の010、図9のステップS13)。図8(b)では、顔検出処理された画像A1またはA2のいずれかの画像を選択する。
【0062】
個人認証対象者Aについては、選択された画像と通行イベント情報とが組み合わされて検出画像データとして出入管理装置600に送信される(図8(b)の011、図9のステップS14、S15)。一方、個人認証対象者Bについては、Bにより別の読取操作が行われるので(図9のステップS16−Yes)、上述したように、個人識別情報が読み取られて認証処理され、通行イベント情報と撮影された静止画像とから検出画像データが生成され出入管理装置600に送信される(図8(b)の012〜018、図9のステップS2〜S15)。なお、図8(b)に示す例では、所定時間(10秒)の間別の個人認証対象者による読取操作がなかったので、10秒の間に撮影された画像B1〜B4のいずれかから最適な画像が選択される。
【0063】
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、記憶された複数の静止画像から適切な顔が映っている静止画像を選択し、選択した静止画像と通行イベント情報とを表示することにより、個人認証対象者の人物特定を精度高く行うことが可能となる。
【0064】
また、顔検出処理の結果に基づき選択された画像を、個人認証を行った時刻ではなく、個人認証対象者のフロア通行時の個人認証処理(イベント)を表す通行イベント情報と関連付けて保存することにより、管理者は、イベント毎に対応付けられた画像を表示・検索することができ、管理者の操作負担を軽減させることが可能となる。
【0065】
例えば、ある時刻における個人認証が認証失敗であったとする。従来の出入管理システムにおいては、個人認証時刻に撮影された画像が表示されていたことから、その時刻において撮影された画像内の顔が不明確であった場合は、管理者はその時刻前後の画像をデータベースから探さなければならず、また表示画像が動画像形式の場合には、顔が認識できる瞬間を見つけるため常に動画を注意深く見ておかなければならない。
【0066】
一方、本発明の実施の形態1においては、個人認証時刻に依存せず通行イベント情報に基づいて検索を行うことができる。すなわち、各通行イベントにおける最適な画像が通行イベント毎に対応付けられて保存されているので、上述したように、表示されている通行イベント情報におけるイベント番号をクリックするだけでその通行イベントに関して最も最適な画像を表示させることが可能となり、管理者はデータベースから適切な画像を1枚1枚検索する必要がなくなり、操作負担を軽減させることができる。
【0067】
また、個人認証対象者の撮影・顔検出処理の途中で別の個人認証対象者による読み取り要求があった場合には、その前の個人認証対象者の顔検出処理を停止して画像の選択を行い、すぐに別の個人認証対象者に対する個人認証・撮影等の処理を行うので、別の個人認証対象者が撮影されないということを防止できる。そのため、複数の通行人が短い時間間隔で出入を行う場合においても、全ての通行人に対して漏れなく撮影を行うことができる。
【0068】
なお、画像撮影装置400のカメラの種別については、アナログカメラ、デジタルカメラ、ネットワークカメラ等、特に制限はない。また、画像撮影装置400は必ずしも個人識別データ読取装置100と別々である必要はなく、一体型であってもよい。また、画像撮影装置400は、ネットワーク700と接続され、ネットワーク経由で撮影画像を個人識別データ読取装置100へ送信してもよい。
【0069】
なお、図8(a)では画像撮影装置400は10秒間に4枚の静止画像を撮影するが、これに限るものではなく、撮影時間・撮影枚数ともに任意に設定できるものとする。
【0070】
なお、画像撮影装置400は、個人認証対象者による個人認証操作が行われる前から画像の撮影を開始するようにしてもよい。そうすることにより、個人認証対象者を撮影する回数が増え、より評価値の高い画像を得られる確率が増え、管理者が個人認証対象者をより容易に特定することができる。また、画像撮影装置400に映像の中の動きを検知するモーションディテクト機能を持たせて、動きを検知したら撮影を開始するとしてもよい。そうすることにより、個人認証対象者が撮影範囲内にいる場合にのみ撮影を行うので、誰も人が写っていない無駄な画像の蓄積を抑えつつ、個人認証対象者を個人認証操作前から撮影することができる。
【0071】
なお、図1に示した出入管理システムの装置構成については、説明を簡単にするため認証管理装置300、画像撮影装置400、出入管理装置600をそれぞれ1台のみ示したが、それぞれの装置を適宜複数配置して出入を管理するようにしてもよい。
【0072】
図10は画像撮影装置400を2台配置した構成を示す。図10のように画像撮影装置400a、400bを2台配置することにより、撮影設定時間内でできるだけ長い間、個人認証対象者を撮影することができる。例えば個人認証対象者が個人認証処理を行って開錠された出入り口扉700をすぐに通過した場合においても、画像撮影装置400bにより出入り口扉700通過後の個人認証対象者を撮影することができる。
【0073】
なお、図1の個人識別データ読取装置100の読み取り対象とする記録媒体は非接触型のICカードに限らず、接触型の磁気ストライプカードでもよい。もしくは読み取り時に暗証番号の入力を求めることとしてもよい。
【0074】
なお、認証管理装置300は、個人認証が成功してもすぐには出入り口扉700の錠を開錠せず、画像撮影装置400の撮影時間が経過するまで個人認証対象者を通行させないようにしてもよい。そうすることにより、設定された撮影時間の間は必ず個人認証対象者の画像を撮影することができ、その画像から評価値が高く顔を認識しやすい画像を得られる確率が増すので、管理者が個人認証対象者をより容易に特定することができる。
【0075】
なお、図2に示す通行イベント情報については、扉番号、カメラの固体番号等も通行イベント情報に含めてもよい。
【0076】
なお、撮影画像評価値算出手段505は、上述したようにスコア値を計算せず、静止画像から検出された顔の大きさに基づいて評価を行ってもよいし、輝度値に基づく顔の明るさに基づいて評価を行ってもよい。また、顔検出を行ったときの検出された顔の数を評価値として算出し、画像選択手段506はその顔の数に基づいて撮影画像を選択するようにしてもよい。その場合、顔の数が複数であると評価値が大きくなるものとし、顔の数は、画像内の顔として識別された領域数を数えることにより容易に求めることができる。
【0077】
検出した顔の数に基づいて評価を行う場合、撮影画像評価値算出手段505は検出した顔の数を評価結果として画像選択手段506に通知する。こうすることにより、管理者は複数人による通行を容易に検索・発見することができる。例えば、不正通行が考えられるが個人認証処理には問題がなかった場合等については、個人識別IDを持たない者による共連れ入室が考えられるが、上述したように検出した顔の数を評価値とすることにより複数の顔が検出された画像が優先的に表示され、管理者は画像を1枚1枚確認せずとも評価値の高い画像をすぐに検索して複数人の通行を容易に発見することが可能となる。
【0078】
また、検出した顔の数を項目の1つに含めて上述のスコア値を計算してもよい。そのようにすることにより、検出した顔の数と、それら顔の把握しやすさとを調整して評価値を算出することができる。
【0079】
さらに、撮影した画像の中から検出した顔の数が複数ある画像に絞り込み、その中でスコア値が高い画像を画像選択手段506に選択させるようにしてもよい。この場合、撮影画像評価値算出手段505は受け取った画像の顔検出処理を行い検出した顔の数が複数であれば撮影画像記憶手段504に記憶する。複数でなければ記憶しない、もしくは撮影画像記憶手段504の別の記憶領域に記憶する。
【0080】
そして撮影時間が経過すると、撮影画像評価値算出手段505は撮影画像記憶手段504に記憶した画像(複数の顔が検出された画像)を受信して再度顔検出処理を行い、スコア値を算出する。そして、スコア値を算出した画像のうちスコア値が最も高い画像を選択するよう画像選択手段506に通知する。
【0081】
そのようにすることにより、表示する画像には複数の顔が写っており、かつ、それらの顔が最も客観的にバランスが取れているので、管理者は、画像を1枚1枚確認することなく容易に複数人の通行を発見し、それら複数の顔を容易に把握することが可能となる。
【0082】
なお、撮影画像評価値算出手段505は、画像撮影装置400が動画像形式の場合において、最も評価値の高い画像が撮影された時間前後の動画像を撮影画像記憶手段504に保存することとしてもよい。そうすることにより、管理者は、最も評価値の高い静止画像と動画像を組み合わせて人物確認を行うことができ、より容易に不審者の把握が可能となる。
【0083】
なお、撮影画像評価値算出手段505は、評価した画像を全て撮影画像記憶手段504に保存せず、最も評価値の高い画像のみ保存するようにしてもよい。また、評価値の比較的高い画像を保存、例えば一定の閾値を設定し、その閾値を超えた評価値を有する画像のみ保存するというようにしてもよい。そうすることにより、評価値が小さく顔が十分に検出されていない画像を保存する必要がなくなり、撮影画像記憶手段504に記憶するデータ容量を削減することが可能となる。
【0084】
なお、画像選択手段506が選択する画像は必ずしも1枚である必要はなく、複数枚選択してもよい。評価値が高い順に複数の画像を選択してもよいし、一定の閾値を設け、撮影画像評価値算出手段505で評価値が算出された静止画像のうち、閾値を超えた評価値を有する画像のみ選択するとしてもよい。そうすることにより管理者は、複数の画像から個人認証対象者の顔を特定することができ、さらに容易に不審者を判別することができる。
【0085】
なお、表示手段603に通行イベント情報を表示する場合において、認証が失敗したときには、通行イベント情報の認証項目での内容「失敗」を目立たせて表示させたり、エラー音を鳴らすようにしてもよい。そうすることにより、管理者はより容易に異常を発見しやすくなる。
【0086】
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2に係る出入管理システムの構成図を示す。本実施の形態は、撮影画像記憶手段504が第1の撮影画像記憶領域504−1と第2の撮影画像記憶領域504−2とを有する点において実施の形態1と異なる。実施の形態1に相当する部分には図3と同一符号を付してその説明を省略する。
【0087】
第1の撮影画像記憶領域504−1には、撮影画像取得手段503が画像撮影装置400から受信した撮影画像のうちの1枚が保存される。例えば、個人認証が行われた時刻とほぼ同時刻に撮影された1枚目の撮影画像が保存される。以下、第1の撮影画像記憶領域504−1には1枚目の撮影画像が保存されるとして説明をするが、これに限るものではなく、撮影時間中に撮影された画像のうちいずれの撮影画像であってもよい。
【0088】
第2の撮影画像記憶領域504−2には、画像撮影装置400によって撮影時間中に撮影された画像のうち、第1の撮影画像記憶領域504−2に保存された画像以外の撮影画像が保存される。
【0089】
図12は、本発明の実施の形態2に係る出入管理システムの動作を表すフロー図を示す。ステップS1〜S9までの処理は、実施の形態1における図9と同様であるため省略する。
【0090】
受信した撮影画像が1枚目であれば(ステップS10-Yes)、その画像は第1の画像記憶領域に保存される(ステップS11)。受信した撮影画像が1枚目でなければ(ステップS10-No)、すなわち2枚目以降の撮影画像であれば、第2の画像記憶領域に保存される(ステップS12)。
【0091】
撮影画像評価値算出手段505は、1枚目の撮影画像については第1の撮影画像記憶領域504−1から画像を受信して顔検出処理を行う。2枚目以降の撮影画像については第2の撮影画像記憶領域504−2から画像を受信して顔検出処理を行う(ステップS13)。
【0092】
そして、撮影時間中に別の読み取り操作がなく(ステップS14−No)、撮影時間が経過し(ステップS15−Yes)、顔検出が撮影画像のうちいずれか1枚でも成功すると(ステップS16-Yes)、画像選択手段506は最も評価の高かった画像を選択する(ステップS17)。
【0093】
撮影画像のうちいずれも顔検出が成功しなかった場合は(ステップS16−No)、撮影画像評価値算出手段505は、顔検出ができなかったという顔検出結果を画像選択手段506に通知するとともに、画像選択手段506は、第1の撮影画像記憶領域504−1から1枚目の画像を選択する(ステップS18)。
【0094】
検出画像データ生成手段507は、画像選択手段506から受信した1枚目の画像と通行イベント情報とを関連付けて検出画像データを生成する(ステップS19)。またこのとき、顔検出ができなかったという結果を関連付ける。関連付けの方法については実施の形態1と同様の方法を用いることができる。関連付けられた検出画像データは、検出画像データ記憶手段605に保存され(ステップS20)、必要に応じて表示手段603にて表示される。
【0095】
顔検出ができなかったという結果が関連付けられた検出画像データが検出画像データ記憶手段605に保存されたとき、すなわち顔検出ができなかったという結果が出入管理装置600に通知されたとき、出入管理装置600は、表示手段603にて顔検出ができなかった旨とその通行イベントに対応するイベント番号等を表示するようにしてもよい。そうすることにより、管理者は、1枚1枚画像を確認せずとも顔が検出できなかった通行であったことを容易に検索・認識することができる。特に不審者による不正通行は、意図的に画像撮影装置に顔を向けなかったり、顔を覆い隠したりすることが多いので、そういった不正通行を検索等する場合に有効である。
【0096】
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、実施の形態1の効果を有することに加えて、撮影画像評価値算出手段505における顔検出ができなかった場合においても、撮影画像を通行イベント情報と関連付けて保存し表示可能とすることにより、管理者は、出入時の状況を画像で確認することができる。
【0097】
また、上述したように顔検出ができなかったという結果と対応するイベント番号等とを表示装置603に表示することにより、管理者は、顔検出ができなかった通行を容易に検索等することが可能となる。
【符号の説明】
【0098】
100 個人識別データ読取装置
200 データ読取装置
300 認証管理装置
301 データ照合手段
302 登録情報記憶手段
303 通行イベント情報生成手段
400 画像撮影装置
500 データ関連付手段
501 通行イベント情報受信手段
502 通行イベント情報記憶手段
503 撮影画像取得手段
504 撮影画像記憶手段
504−1 第1の撮影画像記憶領域
504−2 第2の撮影画像記憶領域
505 撮影画像評価値算出手段
506 画像選択手段
507 検出画像データ生成手段
600 出入管理装置
601 通行イベント情報受信手段
602 通行イベント情報記憶手段
603 表示手段
604 検出画像データ受信手段
605 検出画像データ記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口扉近辺の特定エリアの出入口を撮影するように配置される画像撮影装置と、
複数の個人識別情報が蓄積され、受信した個人識別情報と前記蓄積個人識別情報とを比較、照合し、認証の成功または失敗を表す個人認証結果信号を前記出入口扉の錠の開錠と施錠を制御する信号として出力するとともに、前記受信した個人識別情報に基づき個人認証対象者の前記出入口通行時の個人認証処理を表す個人識別情報処理情報を生成し、出力する認証管理装置と、
前記出入口扉近辺の出入口に設置され、個人識別情報が記憶された個人識別情報媒体を感知すると当該個人識別情報媒体から個人識別情報を読み取り、この個人識別情報を前記認証管理装置に出力するデータ読取手段と、前記画像撮影装置からの複数の静止画像の内、所定の条件に合った静止画像を選択し、選択した静止画像と前記認証管理装置からの個人識別情報処理情報とを組み合わせた検出画像データとして送信するデータ関連付け手段とを有した個人識別データ読取装置と、
前記認証管理装置からの個人識別情報処理情報を受信し、この個人識別情報処理情報に応じた内容を表示するとともに、前記個人識別データ読取装置のデータ関連付け手段からの検出画像データを受信し、この検出画像データの個人識別情報処理情報に基づいて静止画像を表示する出入管理装置と
を備えたことを特徴とする出入管理システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、静止画像の顔画像における顔の方向、大きさ、明るさ、目の位置などを数値化して算出された評価値の値にて決定されることを特徴とする請求項1記載の出入管理システム。
【請求項3】
前記個人識別情報処理情報は、個人認証処理毎に付される個人認証処理番号と、個人識別情報と、認証時刻と、認証結果の情報とを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の出入管理システム。
【請求項4】
前記個人認証対象者の撮影途中に別の個人認証対象者による読取操作があると、
前記個人識別データ読取装置は、前記別の個人認証対象者による読取操作が行われるまでに撮影され評価値が算出された静止画像の内から所定の条件に合った静止画像を選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の出入管理システム。
【請求項5】
前記データ関連付け手段は、
前記画像撮影装置から受け取った前記静止画像を記憶する撮影画像記憶手段と、
前記静止画像の画像内から人の顔を検出し、前記評価値を算出する撮影画像評価値算出手段と、
算出された前記評価値に基づいて複数の前記静止画像から静止画像を選択する画像選択手段と、
前記認証管理装置から受け取った個人識別情報処理情報を記憶する第1の個人識別情報処理情報記憶手段と、
前記画像選択手段で選択された前記静止画像と前記第1の個人識別情報処理情報記憶手段に記憶される前記個人識別情報処理情報とを関連付けて検出画像データを生成する検出画像データ生成手段と
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の出入管理システム。
【請求項6】
前記画像選択手段は、前記評価値に対しての閾値を持っており、前記撮影画像評価値算出手段で評価値が算出された前記静止画像のうち、前記閾値を超えた評価値を持つ前記静止画像を選択することを特徴とする請求項5に記載の出入管理システム。
【請求項7】
前記撮影画像評価値算出手段は、前記静止画像内から人の顔を検出しその顔の数を評価値として算出し、
前記画像選択手段は前記撮影画像評価値算出手段で算出された顔の数に基づいて前記撮影画像を選択することを特徴とする請求項5または6に記載の出入管理システム。
【請求項8】
前記出入管理装置は、前記撮影画像評価値算出手段が前記静止画像から顔検出できない場合には顔検出ができなかった旨を表示することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の出入管理システム。
【請求項9】
個人識別情報が記憶された個人識別情報媒体から個人識別情報を感知すると当該個人識別情報媒体から個人識別情報を読み取るデータ読取手段と、
複数の静止画像を記憶する撮影画像記憶手段と、記憶された複数の静止画像それぞれの顔画像における顔の方向、大きさ、明るさ、目の位置などを数値化して静止画像の評価値を算出する評価値算出手段と、前記評価値算出手段にて算出された評価値に基づき複数の静止画像から所定の静止画像を抽出する画像選択手段と、前記データ読取手段にて個人識別情報を読み取る毎に付される個人認証処理番号と前記個人識別情報とを有する個人識別情報処理情報を記憶する個人識別情報処理情報記憶手段と、前記画像選択手段にて抽出された前記所定の静止画像と前記個人識別情報処理情報記憶手段に記憶された個人識別情報処理情報とを組み合わせた検出画像データを生成し、出力する検出画像データ生成手段とを有するデータ関連付け手段と
を備えたことを特徴とする個人識別データ読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−108645(P2012−108645A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255817(P2010−255817)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】