説明

出力システム、出力制御装置、出力方法、およびコンピュータプログラム

【課題】出力装置と端末とを備えるシステムにおいて、端末にあらかじめ格納された認証用の情報を利用せずに、ユーザの認証を行って出力を行う。
【解決手段】(a)出力指示装置が、出力指示装置を特定できる特定データと、出力対象の出力データとを含む出力ジョブデータを出力制御装置に送る(S110)。(b)照合データ格納部を参照して、出力ジョブデータの特定データについて、対応する照合データを決定する(S420)。(c)決定された照合データと、出力ジョブデータの出力データと、を対応づけて出力データ格納部に格納する(S350)。(d)照合データ入力装置が、ユーザから照合データを受け取って出力制御装置に送る(S210,S220)。(e)出力データ格納部内の出力データであって、照合データ入力装置を介して受け取った照合データと一致する照合データの出力データを、出力制御装置が出力装置に送って出力させる(S380)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザを認証した後にデータに基づいて出力を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ネットワークでユーザのホスト端末とネットワークプリンタが接続されている環境において、印刷を行う技術が存在する。たとえば、ある従来技術においては、ホスト端末は、印刷データを所定の暗号鍵により暗号化し、得られた暗号化印刷データを印刷要求とともにネットワークプリンタに送信する。そして、ホスト端末は、ネットワークプリンタから受信した証明情報に基づいて印刷データの利用適格があるか否かを判定し、印刷データの利用適格があると判定したときは、取扱指示情報を含む印刷許可通知をネットワークプリンタに送信する。また、ネットワークプリンタに復号鍵を送信する(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−43931号公報
【0004】
上記の技術においては、証明情報としては、ホスト端末を現在利用しているユーザのユーザID、すなわち、ユーザがホスト端末のオペレーティングシステムにログインするためのユーザIDが使用される。ユーザIDは、ホスト端末で実行されるアプリケーションソフトによってオペレーティングシステムから取得される。
【0005】
しかし、近年、企業内で使用されるホスト端末としてのパーソナルコンピュータには、セキュリティを確保するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれている場合が多い。そのようなパーソナルコンピュータにおいては、印刷を行うためのアプリケーションソフトがシステムからユーザIDを取得することは難しい。セキュリティを確保するためのアプリケーションソフトウェアが、他のアプリケーションソフトウェアによるユーザIDの取得を阻害するためである。
【0006】
また、近年、企業内で使用される端末としてのパーソナルコンピュータには、ユーザやアプリケーションソフトウェアが内部の記憶装置(ハードディスクなど)へデータを保存できないように設定されているものも多い。そのようなパーソナルコンピュータには、印刷用の証明情報として使用できるユーザの情報を、ユーザまたは印刷用のアプリケーションソフトウェアがあらかじめ固定的に記憶させておくこともできない。
【0007】
このような問題は、印刷に限らず、出力装置(たとえば、プリンタ、プロジェクタ、画像ディスプレイなど)と端末とを備えるシステムにおいて、ユーザを認証した後にデータに基づいて出力を行う場合に、広く存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、出力装置と端末とを備えるシステムにおいて、端末にあらかじめ格納された認証用の情報を利用せずに、ユーザの認証を行って出力を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様である出力システムにおいて、以下のような構成を採用する。この出力システムは、出力指示装置と、出力装置と、前記出力指示装置および前記出力装置に接続された出力制御装置と、前記出力装置と前記出力制御装置の少なくとも一方に接続された照合データ入力装置と、を備える。そのような出職システムにおいて、
前記出力指示装置は、ユーザの指示にしたがって、前記出力指示装置と前記ユーザとの少なくとも一方を特定することができる特定データと、出力の対象である出力データと、を含む出力ジョブデータを前記出力制御装置に送り、
前記照合データ入力装置は、前記ユーザを特定することができる照合データを前記ユーザから受け取って前記出力制御装置に送り、
前記出力装置は、前記出力データに基づいて出力を行うことができ、
前記出力制御装置は、
前記出力装置の使用を認められた所定のユーザについて、前記照合データを前記特定データと対応づけて格納する照合データ格納部と、
前記照合データ格納部を参照して、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データであって、前記照合データ格納部内に格納されている前記特定データについて、対応する前記照合データを決定する照合データ決定部と、
前記決定された前記照合データと、前記出力ジョブデータに含まれる前記出力データと、を対応づけて格納する出力データ格納部と、
前記出力データ格納部に格納された出力データであって、前記照合データ入力装置を介して受け取った前記照合データと一致する前記照合データに対応づけられている前記出力データを、前記出力装置に送って前記出力を行わせる出力データ送出部と、を備える。
【0010】
このような態様とすれば、ユーザが照合データ入力装置に入力した照合データと、ユーザが出力を指示した出力ジョブデータの特定データとを使用した照合を行うことによって、出力装置の使用を認められたユーザの出力データについてのみ、出力装置から出力させることができる。そして、その照合のために、照合データを、出力指示装置に保存し、出力指示装置から読み出す必要がない。よって、端末としての出力指示装置にあらかじめ格納された認証用の情報を利用せずに、ユーザの認証を行って出力を行うことができる。
【0011】
なお、「照合データをユーザから受け取る」態様には、照合データ入力装置が備える入力機器をユーザが操作して、照合データを照合データ入力装置に入力する態様と、ユーザが、照合データを格納した媒体を照合データ入力装置に読み込ませることによって、照合データを照合データ入力装置に入力する態様と、が含まれる。また、照合データ入力装置は、照合データを、出力装置を介して出力制御装置に送ってもよいし、出力装置を介さずに出力制御装置に送ってもよい。なお、出力制御装置は、特定データが照合データ格納部内に格納されていない出力ジョブデータについては、出力装置に出力を行わせないことが好ましい。
【0012】
前記特定データが、前記出力指示装置を特定することができるデータであって、前記出力指示装置と前記出力制御装置との間のデータ通信においてデータの送信元を表すデータを含む態様とすることができる。
【0013】
このような態様とすれば、データ通信においてデータの送信元を表すデータを使用して、出力装置の使用を認められたユーザの出力指示装置を特定して、ユーザが照合データ入力装置に入力した照合データとの照合を行うことができる。その結果、出力装置の使用を認められたユーザの出力データについてのみ、出力装置から出力させることができる。
【0014】
また、前記特定データが、前記ユーザに固有に割り当てられた識別コードを表すデータを含む態様とすることもできる。
【0015】
このような態様とすれば、ユーザに固有に割り当てられた識別コードを使用してユーザ個人を特定して、ユーザが照合データ入力装置に入力した照合データとの照合を行うことができる。その結果、出力装置の使用を認められたユーザの出力データについてのみ、出力装置から出力させることができる。なお、識別コードは、文字や数字の組み合わせとすることができる。また、一定の法則性にしたがって文字や数字の組み合わせに置き換えることができる図形であってもよい。
【0016】
なお、前記照合データ格納部は、
前記所定のユーザについて、前記ユーザを特定することができる複数種類のデータを、前記特定データと対応づけて格納しており、
前記出力制御装置は、さらに、
前記複数種類のデータのうち、前記照合データとして使用されるべきデータを表す照合設定データを格納する設定データ格納部と、
前記照合設定データを変更する指示を前記出力システムの管理者から受け取って、前記照合設定データを変更することができる設定変更部と、を備え、
前記照合データ決定部は、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データに対応する前記照合データを、前記照合設定データにしたがって決定する、態様とすることもできる。
【0017】
このような態様とすれば、照合設定データの内容を変更することによって、出力システムにおける照合処理の内容を変更することができる。
【0018】
また、前記特定データは、
前記出力指示装置を特定することができるデータであって、前記出力指示装置と前記出力制御装置との間のデータ通信においてデータの送信元を表す第1のデータと、
前記ユーザを特定することができるデータであって、前記出力システムの利用に際して前記ユーザによって前記出力指示装置に入力される第2のデータと、を含み、
前記照合データは、前記第2のデータに比べて開示される人間がより制限されたデータであり、
前記照合データ格納部は、前記第1および第2のデータの組み合わせと、前記照合データとを対応づけて格納しており、
前記照合データ決定部は、前記第1および第2のデータに基づいて、前記特定データに対応する前記照合データを決定する、態様とすることもできる。
【0019】
このような態様においては、開示される人間が制限されており、高度なセキュリティ管理を要する照合データは、出力制御装置内に格納される。すなわち、照合データを、出力指示装置内に格納する必要がない。そして、出力制御装置内において照合データと対応づけられるデータであって、出力指示装置から送出される特定データとして、第1と第2のデータが使用される。第2のデータは、あらかじめ出力指示装置に格納されているのではなくユーザによって出力指示装置に入力される。一方、第1のデータは、データ通信においてデータの送信元を表すデータであるため、任意に改変したり偽装したりすることが困難である。このため、これら第1と第2のデータと照合データを出力制御装置内で対応づけることにより、照合データを出力指示装置内に格納することなく、かつ、セキュリティレベルを大幅に低下させることなく、照合データを使用したユーザの認証を伴って出力を行うことができる。
【0020】
なお、出力システムは、前記出力指示装置として複数の出力指示装置を備え、
前記出力制御装置は、前記複数の出力指示装置から前記出力ジョブデータを受け取る態様とすることができる。
【0021】
このような対応においては、照合データを複数の出力指示装置に格納する必要がなく、出力制御装置において保持および管理することができる。このため、照合データの管理が容易である。
【0022】
また、前記照合データは、前記照合データによって特定されるユーザ以外のユーザに開示されないデータであり、
前記照合データ入力装置は、前記照合データを格納した記録媒体を前記ユーザから提供されて、前記記録媒体内の前記照合データを取得することにより、前記照合データを前記ユーザから受け取る、態様とすることもできる。
【0023】
このような態様においては、照合データは出力制御装置内および記録媒体内に格納されており、他のユーザには開示されない。また、照合データの保持について、ユーザ本人の記憶および管理に頼る必要もない。このため、機密情報としての照合データの管理が容易である。
【0024】
なお、照合データが、照合データによって特定されるユーザ本人にも、開示されない態様とすることもできる。また、照合データは、出力システムの管理者には開示されてもよい。
【0025】
なお、本発明は、以下のような、出力指示装置および出力装置に接続された出力制御装置の態様で構成することもできる。
ここで、前記出力装置と前記出力制御装置の少なくとも一方には、照合データ入力装置が接続されている。
この出力制御装置は、
前記出力指示装置とユーザとの少なくとも一方を特定することができる特定データと、出力の対象である出力データと、を含む出力ジョブデータを、前記出力指示装置から受け取る出力ジョブデータ受取部と、
前記ユーザを特定することができる照合データであって、前記照合データ入力装置が前記ユーザから受け取った照合データを受け取る照合データ受取部と、
所定のユーザについて、前記照合データを前記特定データと対応づけて格納する照合データ格納部と、
前記照合データ格納部を参照して、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データであって、前記照合データ格納部内に格納されている前記特定データについて、対応する前記照合データを決定する照合データ決定部と、
前記決定された前記照合データと、前記出力ジョブデータに含まれる前記出力データと、を対応づけて格納する出力データ格納部と、
前記出力データ格納部に格納された出力データであって、前記照合データ入力装置を介して受け取った前記照合データと一致する前記照合データに対応づけられている前記出力データを、前記出力装置に送って出力を行わせる出力データ送出部と、を備える。
【0026】
また、本発明は、出力システムにおいて出力を行う、以下のような方法の態様で構成することもできる。この方法は、
(a)前記出力指示装置が、ユーザの指示にしたがって、前記出力指示装置と前記ユーザとの少なくとも一方を特定することができる特定データと、出力の対象である出力データと、を含む出力ジョブデータを前記出力制御装置に送る工程と、
(b)所定のユーザについて、前記ユーザを特定することができる照合データを前記特定データと対応づけて格納する照合データ格納部を参照して、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データであって前記照合データ格納部内に格納されている前記特定データについて、前記出力制御装置が、対応する前記照合データを決定する工程と、
(c)前記出力制御装置が、前記決定された前記照合データと、前記出力ジョブデータに含まれる前記出力データと、を対応づけて出力データ格納部に格納する工程と、
(d)前記照合データ入力装置が、前記ユーザから前記照合データを受け取って前記出力制御装置に送る工程と、
(e)前記出力データ格納部に格納された出力データであって、前記照合データ入力装置を介して受け取った前記照合データと一致する照合データに対応づけられている前記出力データを、前記出力制御装置が前記出力装置に送って、前記出力装置に出力を行わせる工程と、を備える。
【0027】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、出力方法および出力装置、出力制御方法および出力制御装置、印刷方法および印刷装置、印刷制御方法および印刷制御装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
A.実施例:
A1.印刷システムの構成:
図1は、本実施例の印刷システムの構成を示す図である。印刷システム1においては、クライアント(端末)として機能するパーソナルコンピュータ100(以下「クライアントPC100」と表記する)と、プリンタ200と、印刷サーバ300と、ユーザサーバ400とが、ネットワークNTで互いに接続されている。
【0029】
クライアントPC100は、CPU102と、RAM103と、ROM104と、インターフェイス105(図1において「I/F105」と表記する)と、ディスプレイ106と、キーボード107と、マウス108とを有する。
【0030】
クライアントPC100は、入力手段としてのキーボード107と、マウス108とを介してユーザの指示を受け取る。書き換え可能な記憶部であるRAM103は、半導体メモリと、ハードディスクとを含む。クライアントPC100において、RAM103内に格納されたアプリケーションプログラムが実行されることで、CPU102は、様々な機能を実現する。CPU102がRAM103、ROM104などを使用して行った処理の結果は、ディスプレイ106に表示される。また、CPU102は、インターフェイス105およびネットワークNTを介して、印刷サーバ300とデータ通信を行う。
【0031】
具体的には、クライアントPC100は、ユーザからの印刷指示を受けて第1の印刷ジョブデータPJ1を生成し、印刷サーバ300に送信する。第1の印刷ジョブデータPJ1は、所定のプリンタから印刷データの出力を行う処理を、印刷サーバ300に指示するデータである。
【0032】
第1の印刷ジョブデータPJ1のヘッダ部分には、第1の印刷ジョブデータPJ1の送信元であるクライアントPC100のIPアドレス(Internet Protocol Address)が含まれる。このヘッダは、TCP/IPによる通信のヘッダであり、クライアントPC100のTCP/IP層がデータに付加する。
【0033】
また、第1の印刷ジョブデータPJ1には、印刷の態様を含むさまざまな指示が含まれる。そのような指示としては、たとえば、使用する印刷用紙の規格、カラー印刷かモノクロ印刷か、片面印刷か両面印刷か、印刷後にデータを保持するか破棄するか、など等の指示がある。
【0034】
印刷サーバ300は、CPU302と、RAM303と、ROM304と、インターフェイス305(図1において「I/F305」と表記する)と、ディスプレイ306と、キーボード307と、マウス308とを有する。
【0035】
印刷サーバ300は、入力手段としてのキーボード307と、マウス308とを介してシステム管理者の指示を受け取る。書き換え可能な記憶部であるRAM303は、半導体メモリと、ハードディスクとを含む。印刷サーバ300において、RAM303内に格納されたアプリケーションプログラムが実行されることで、CPU302は、様々な機能を実現する。CPU302がRAM303、ROM304などを使用して行った処理の結果は、ディスプレイ306に表示される。また、CPU302は、インターフェイス305およびネットワークNTを介して、クライアントPC100、プリンタ200、ユーザサーバ400とデータ通信を行う。
【0036】
具体的には、印刷サーバ300は、クライアントPC100から第1の印刷ジョブデータPJ1を受け取る。そして、印刷サーバ300は、第1の印刷ジョブデータPJ1、RAM303内に格納されている情報、およびユーザサーバ400から受け取った情報をもとに第2の印刷ジョブデータPJ2を生成する。そして、第2の印刷ジョブデータPJ2をプリンタ200に送信する。第2の印刷ジョブデータPJ2は、送信先のプリンタから印刷データの出力を行う旨を指示するデータである。
【0037】
ユーザサーバ400は、CPU402と、RAM403と、ROM404と、インターフェイス405(図1において「I/F405」と表記する)と、ディスプレイ406と、キーボード407と、マウス408とを有する。
【0038】
ユーザサーバ400も、キーボード407と、マウス408とを介してシステム管理者の指示を受け取る。なお、印刷サーバ300を操作する権限を有しているシステム管理者と、ユーザサーバ400を操作する権限を有しているシステム管理者とは、異なっていてもよいし、同一であってもよい。ユーザサーバ400は、たとえば、本実施例の印刷システム1を導入した顧客企業のサーバである。これに対して、印刷サーバ300は、たとえば、本実施例の印刷システム1を提供するサービス会社が用意するサーバである。
【0039】
書き換え可能な記憶部であるRAM403は、半導体メモリと、ハードディスクとを含む。ユーザサーバ400において、RAM403内に格納されたアプリケーションプログラムが実行されることで、CPU402は、様々な機能を実現する。CPU402がRAM403、ROM404などを使用して行った処理の結果は、ディスプレイ406に表示される。また、CPU402は、インターフェイス405およびネットワークNTを介して、印刷サーバ300とデータ通信を行う。
【0040】
本実施例においては、ユーザサーバ400は、印刷サーバ300からの問い合わせを受けて、所定の情報を印刷サーバ300に返信する。
【0041】
プリンタ200は、印刷機構201と、CPU202と、RAM203と、ROM204と、インターフェイス205(図1において「I/F205」と表記する)と、タッチパネルを兼ねたディスプレイ206と、操作キー207aと、テンキー207bと、カードリーダ209とを有する。
【0042】
プリンタ200は、入力手段としての操作キー207aとディスプレイ206とを介してユーザの指示を受け取る。また、プリンタ200は、ユーザのICカードに格納されたユーザ名および識別番号をカードリーダ209で読み取る。なお、ユーザ名と識別番号は、それぞれ、本実施例の印刷システム1を使用することができるユーザに割り当てられた固有の情報である。たとえば、ユーザ名は「KITADA」であり、識別番号は010112である。さらに、プリンタ200は、テンキー207bを通じてユーザからパスワードを受け取ることができる。
【0043】
書き換え可能な記憶部であるRAM203は、半導体メモリと、ハードディスクとを含む。プリンタ200において、RAM203やROM204内に格納されたアプリケーションプログラムが実行されることで、CPU202は、様々な機能を実現する。たとえば、CPU202は、入力されたユーザ名とパスワードとによって認証を行う。CPU202がRAM203、ROM204などを使用して行った処理の結果は、ディスプレイ306に表示される。また、CPU202は、インターフェイス205およびネットワークNTを介して、クライアントPC100、印刷サーバ300、ユーザサーバ400とデータ通信を行う。そして、CPU202は、ドラム、定着機、紙送り機構等を備えた印刷機構201を制御して印刷を行う。
【0044】
本実施例においては、プリンタ200は、ユーザからの指示に応じて、インターフェイス205を介して印刷サーバ300に第2の印刷ジョブデータPJ2を要求する。そして、インターフェイス205を介して印刷サーバ300から第2の印刷ジョブデータPJ2を受け取る。その後、プリンタ200は、第2の印刷ジョブデータPJ2内に格納されている各種の設定に従って、印刷機構201、RAM203、ROM204、ディスプレイ206等を使用して、印刷データの保存、プレビュー、印刷またはそれらに先立つパスワードの要求などの所定の処理を行う。印刷データのプレビューや印刷などの処理も、操作キー207aを介してユーザから実行の指示が入力された場合に開始される。
【0045】
なお、図1においては、クライアントPC100とプリンタ200は、1台ずつ記載されている。しかし、印刷システム1においては、複数のクライアントPC100と複数のプリンタ200がネットワークに接続されている。図1においては、印刷システム1の理解を容易にするため、2台目以降のクライアントPC100と2台目以降のプリンタ200については、図示を省略している。
【0046】
なお、本実施例においては、一人のユーザが、1台のクライアントPC100を使用する。そして、各ユーザは他のユーザのPCは使用しない。すなわち、ユーザとクライアントPC100は、1対1に対応する。
【0047】
A2.印刷システムの動作:
図2は、印刷を行う際の印刷システム1の各要素の動作を示すチャートである。まず、ステップS110で、クライアントPC100は、ユーザの印刷指示に従って、第1の印刷ジョブデータPJ1を生成し、印刷サーバ300に送信する。なお、図2においては、第1の印刷ジョブデータを「第1の印刷JD」と表記する。同様に、印刷サーバ300が生成する第2の印刷ジョブデータを「第2の印刷JD」と表記する。
【0048】
なお、キーボード107およびマウス108を介してユーザからの印刷指示を受け取るのは、クライアントPC100のCPU102の機能部としてのユーザインターフェイス部102aである。ユーザの印刷指示に従って第1の印刷ジョブデータPJ1を生成する機能を奏するのは、CPU102の機能部としてのジョブデータ生成部102bである(図1参照)。インターフェイス105を制御して、第1の印刷ジョブデータPJ1を印刷サーバ300に送信する機能を奏するのは、CPU102の機能部としての送信部102cである(図1参照)。
【0049】
図3は、第1の印刷ジョブデータPJ1と、印刷サーバ300において生成される第2の印刷ジョブデータPJ2の内容の一例を示す図である。なお、図3では、第1の印刷ジョブデータPJ1および第2の印刷ジョブデータPJ2が含む多数のデータのうち、一部を示している。
【0050】
第1の印刷ジョブデータPJ1は、ヘッダ部分に、インターネット上においてクライアントPC100を特定することができる固有のアドレス(IPアドレス:Internet Protocol Address)を表すデータPJ100(以下、「IPアドレスPJ100」と記述する)を有する。IPアドレスPJ100を含むヘッダは、クライアントPC100と印刷サーバ300との間のデータ通信のプロトコル(TCP/IP)に従って生成される。
【0051】
図3の例においては、IPアドレスPJ100は、クライアントPC100のIPアドレスが192.168.0.1であることを表している。
【0052】
また、第1の印刷ジョブデータPJ1は、ユーザを特定することができる氏名コードを表すデータPJ102(以下、「氏名コードPJ102」と記述する)と、プリンタの型番でプリンタを指定するデータPJ104(以下、「プリンタ型番PJ104」と記述する)と、印刷の際のオプションの設定内容を表すデータPJ106(以下、「オプション設定PJ106」と記述する)と、画像データや文書データなどの印刷の対象を表す印刷データPJ108とを含む。
【0053】
氏名コードPJ102は、たとえば、本印刷システム1を導入した会社の社員に割り当てられている社員番号である。氏名コードは、ユーザが印刷システム1を使用するために、クライアントPC100から印刷システム1にログインする際にクライアントPC100に入力される。
【0054】
図3のプリンタ型番PJ104は、ユーザが印刷指示において指定したプリンタの型番が「LP−S7000」であることを表している。図1に示したプリンタ200の型番は、「LP−S7000」であるものとする。
【0055】
オプション設定PJ106の内容としては、たとえば、印刷に際してパスワードを要求するか、印刷に先立つプレビューを許可するか、印刷後もプリンタ200内にデータを保存するか、1部も印刷を行わずにプリンタ200内にデータを保存するか、等の設定が含まれる。
【0056】
図3のオプション設定PJ106は、ユーザが印刷データの印刷に際してオプションを指定していないことを表している。オプションが指定されていない場合は、プリンタ200においては、操作キー207aを介して印刷が指示されると、1部だけ印刷が行われ、その後、印刷データは消去される。
【0057】
印刷データPJ108は、たとえば、クライアントPC100で実行されるアプリケーションソフトウェアが生成した文書や画像の内容を表すデータである。
【0058】
図4は、印刷サーバ300において第2の印刷ジョブデータPJ2を生成する処理を表すフローチャートである。なお、図4の印刷サーバ300の一部のステップは、図2のチャートにおいても示す。
【0059】
図4のステップS310で、印刷サーバ300は、クライアントPC100から第1の印刷ジョブデータPJ1を受信する。なお、インターフェイス305を介して、クライアントPC100から第1の印刷ジョブデータPJ1を受け取る機能を奏するのは、CPU302の機能部としてのジョブデータ受信部302aである(図1参照)。
【0060】
そして、図4のステップS320で、印刷サーバ300は、第1の印刷ジョブデータPJ1の内容を解析し、IPアドレスPJ100、氏名コードPJ102、プリンタ型番PJ104、オプション設定PJ106、印刷データPJ108を取得する(図3の上段参照)。
【0061】
図5は、印刷サーバ300がRAM303内に保持しており照合データの設定を表すデータSD1(以下「照合設定データSD1」と記載する)の内容を表す図である。
【0062】
ユーザの氏名コードは、本実施例の印刷システム1においてユーザを特定することができるデータである。クライアントPCのIPアドレスは、本実施例の印刷システム1においてネットワークNYに接続された各クライアントPCを特定することができるデータである。本実施例の印刷システム1においてユーザまたはクライアントPCを特定することができるデータを「特定データ」と呼ぶ。
【0063】
照合設定データSD1は、フラグD132,D134を有する。フラグD132は、特定データとして照合処理において使用することができる氏名コードを、実際に特定データとして使用するか否かを表す。フラグD134は、同じく、照合処理において特定データとして使用することができるIPアドレスを、実際に特定データとして使用するか否かを表す。フラグが1である場合は、そのデータは、照合処理において特定データとして使用される。フラグが0である場合は、そのデータは、照合処理において特定データとして使用されない。
【0064】
本実施例の印刷システム1においては、ユーザごとの情報を取り扱うために、各ユーザに識別番号とユーザ名が割り当てられている。たとえば、識別番号は010112であり、ユーザ名は「KITADA」である。ユーザ名と、識別番号は、本実施例の印刷システム1において、印刷システム1を使用できるユーザを特定することができるデータである。識別番号とユーザ名は、1対1に対応する。本実施例の印刷システム1において、印刷システム1を使用できるユーザを特定することができるデータを、「照合データ」と呼ぶ。
【0065】
照合設定データSD1は、フラグD142,D144を有する。フラグD142は、照合データとして照合処理において使用することができる識別番号を、実際に照合データとして使用するか否かを表す。フラグD144は、同じく、照合処理において照合データとして使用することができるユーザ名を、実際に照合データとして使用するか否かを表す。フラグが1である場合は、そのデータは、照合処理において照合データとして使用される。フラグが0である場合は、そのデータは、照合処理において照合データとして使用されない。
【0066】
印刷サーバ300のCPU302は、特定データのうちフラグが1となっているデータを第1の印刷ジョブデータPJ1から抽出し、そのデータに基づいて、照合データのうちフラグが1となっているデータを決定する。
【0067】
図5の例では、特定データとして使用することができるデータのフラグD130のうちのIPアドレスに対応するフラグD134が1となっている。また、照合データとして使用することができるデータのフラグD140のうちのユーザ名に対応するフラグD144が1となっている。よって、印刷サーバ300のCPU302は、第1の印刷ジョブデータPJ1のIPアドレスPJ100に基づいて、ユーザ名を決定する(図3の上段のIPアドレスPJ100、および同、下段のユーザ名PJ202参照)。
【0068】
IPアドレスPJ100は、クライアントPC100のTCP/IP層が送信データに付加するヘッダに含まれる。このため、IPアドレスPJ100に基づいてユーザ名を決定することとすれば、IPアドレスPJ100などのクライアントPC100を特定できる情報を、クライアントPC100のアプリケーションソフトがクライアントPC100のシステムから取得しなくても、印刷サーバ300側において、ユーザ名を決定することができる。このため、他のアプリケーションソフトウェアによるユーザIDやIPアドレスの取得を阻害するような、セキュリティを確保するためのアプリケーションソフトウェアがインストールされているクライアントPC100からの印刷指示についても、印刷サーバ300側で、ユーザ名を決定することができる。
【0069】
なお、本実施例の印刷システム1において特定データとして使用することができる情報のうち、どれを実際に特定データとして使用するかは、たとえば、印刷システム1の管理者が決定する。また、照合データとして使用することができる情報のうち、どれを実際に照合データとして使用するかも、たとえば、印刷システム1の管理者が決定できる。印刷システム1の管理者は、その決定に応じて、キーボード307およびマウス308を介して照合設定データSD1を上書きすることができる。
【0070】
このような態様とすることで、各クライアントPC100の設定内容を変更することなく、印刷サーバ300の照合設定データSD1の内容を変更することによって、印刷システム1における照合処理の内容を変更することができる。
【0071】
なお、印刷システム1の管理者に使用すべき特定データおよび照合データの設定を促し、その設定の入力を受けて、照合設定データSD1を保存する機能は、CPU302の機能部としての設定変更部302bが実現する。
【0072】
図4のステップS330では、印刷サーバ300のCPU302は、ステップS310で受信した第1の印刷ジョブデータPJ1に含まれるIPアドレスPJ100をユーザサーバ400に送信して、IPアドレスPJ100に対応するユーザ名の問い合わせを行う(図2のステップS330参照)。
【0073】
なお、ステップS330において、ユーザサーバ400にユーザ名の問い合わせが行われるのは、照合設定データSD1において、照合データとして使用できるデータのフラグD140のうちユーザ名のフラグD144が1となっているためである(図5参照)。
【0074】
図6は、ユーザサーバ400がRAM403内に保持しているユーザごとのデータのリストであるユーザデータリストDB3の内容を表す図である。このユーザデータリストDB3に識別番号およびユーザ名が記載されているユーザは、本実施例の印刷システム1を使用してプリンタ200で印刷を行うことができるユーザである。
【0075】
ユーザデータリストDB3は、各ユーザに割り当てられている氏名コードを表すデータD332(以下、「氏名コードD332」と記述する)と、各ユーザに割り当てられているクライアントPCのIPアドレスを表すデータD334(以下、「IPアドレスD334」と記述する)と、識別番号を表すデータD342(以下、「識別番号D342」と記述する)と、ユーザ名を表すデータD344(以下、「ユーザ名D344」と記述する)と、を含む。
【0076】
IPアドレスは、インターネットに接続された各機器を特定するためのインターネット上のアドレスである。IPアドレスは、データ通信においてはプロトコルに従って送信データ中に配されて、データの送信先や送信元を表す。このため、IPアドレスは、任意に任意に改変したり偽装したりすることが困難である。よって、本実施例のユーザデータリストDB3のように、印刷システムを使用できるユーザの識別番号D342やユーザ名D344と対応づけるデータとして、第1の印刷ジョブデータPJ1内に含まれるIPアドレスを使用することによって、次のような効果が得られる。すなわち、印刷ジョブデータPJ1に含まれるIPアドレスに基づいて、不正に印刷システムを使用しようとする行為を有効に防止することができる。
【0077】
また、氏名コードは、社内において社員に対して固有に与えられる。このため、本実施例のユーザデータリストDB3のように、印刷システムを使用できるユーザの識別番号D342やユーザ名D344と対応づけるデータとして、氏名コードを使用することによって、次のような効果が得られる。すなわち、印刷ジョブデータPJ1に含まれる氏名コードに基づいて、印刷指示を出したユーザを特定することができる。
【0078】
なお、ユーザまたはクライアントPCを特定することができる特定データを、図6において「特定データD330」として示す。また、印刷システム1の使用が認められたユーザを特定することができる照合データを、図6において「照合データD340」として示す。
【0079】
特定データD330(氏名コードD332、IPアドレスD334)は、本実施例の印刷システム1以外の要請に基づいて定められる情報である。すなわち、特定データD330は、本実施例の印刷システム1の内部処理のために専用に設けられた情報ではない。
【0080】
一方、識別番号D342は、本実施例の印刷システム1がユーザごとの情報を取り扱うために各ユーザに割り当てている番号である。そして、ユーザ名D344は、本実施例の印刷システム1を使用できるユーザに割り当てられたユーザ名である。すなわち、特定データD330は、本実施例の印刷システム1の内部処理のために設けられた情報である。
【0081】
各ユーザの氏名コードは、一般社員に対して公開されている。また、各ユーザのクライアントPCのIPアドレスも、データ通信において必要であることから、公開されている。これに対して、各ユーザに割り当てている識別番号D342は印刷システム1の管理者以外には非公開である。また、ユーザ名D344も、原則として、印刷システム1の管理者およびユーザ本人以外には公開されない。すなわち、照合データは、他のユーザに対して公開されないデータである。言い換えれば、照合データは、特定データよりも公開の対象が限定されるデータである。
【0082】
ユーザサーバ400のCPU402は、図2のステップS410で、印刷サーバ300からユーザ名の問い合わせを受けると、ステップS420で、ユーザデータリストDB3(図6参照)内において、第1の印刷ジョブデータPJ1のIPアドレスPJ100(図3の上段参照)に対応するユーザ名を検索する。
【0083】
そして、ユーザ名が得られた場合には、ユーザサーバ400は、決定した照合データとしてのユーザ名を、ステップS430で印刷サーバ300に送信する。
【0084】
一方、ステップS420において、ユーザデータリストDB3内にIPアドレスが存在しなかった場合には、ユーザサーバ400は、当該IPアドレスは印刷システム1の使用が認められたユーザのクライアントPC100のものではない旨のメッセージを印刷サーバ300に返信する。なお、図2においては、ユーザデータリストDB3内にIPアドレスが存在しなかった場合の処理については、理解を容易にするために、図示を省略している。
【0085】
なお、ユーザサーバ400において、インターフェイス405を制御して、印刷サーバ300から照合データとしてのユーザ名の問い合わせを受け取る機能(図2のステップS410参照)を奏するのは、CPU402の機能部としての受信部402aである(図1参照)。そして、照合データとしてのユーザ名を検索し、決定する機能(図2のステップS420参照)を奏するのは、CPU402の機能部としての検索部402bである(図1参照)。インターフェイス405を制御して、照合データとしてのユーザ名、または上記のメッセージを印刷サーバ300に送信する機能(図2のステップS430参照)を奏するのは、CPU402の機能部としての送信部402cである(図1参照)。
【0086】
印刷サーバ300は、図4のステップS340で、ユーザサーバ400から、照合データとしてのユーザ名、または送信されたIPアドレスが印刷システム1の使用が認められたユーザのクライアントPC100のものではない旨のメッセージを受信する。
【0087】
ステップS340で照合データとしてのユーザ名を受信した場合には(ステップS345においてYes)、印刷サーバ300は、ステップS350で、そのユーザ名PJ202と、印刷データPJ208(クライアントPC100から受信した第1の印刷ジョブデータPJ1に含まれる印刷データPJ108と同一)と、を含む第2の印刷ジョブデータPJ2を生成する(図3参照)。そして、その第2の印刷ジョブデータPJ2をRAM303内に保存する。
【0088】
なお、印刷ジョブデータPJ2におけるプリンタ型番PJ204は、印刷ジョブデータPJ1のプリンタ型番PJ104と同じ内容を表す(図3の下段参照)。印刷ジョブデータPJ2におけるオプション設定PJ206は、印刷ジョブデータPJ1のオプション設定PJ106と同じ内容を表す。また、第2の印刷ジョブデータPJ2がプリンタ200に送信される際には、ヘッダ部分に、印刷サーバ300のIPアドレスPJ200が付される(図3の下段参照)。
【0089】
なお、印刷サーバ300において、インターフェイス305を制御して、ユーザサーバ400に、照合データとしてのユーザ名の問い合わせを行う機能(図2および図4のステップS330参照)を奏するのは、CPU302の機能部としての特定データ送信部302cである(図1参照)。インターフェイス305を制御して、ユーザサーバ400から照合データとしてのユーザ名を受け取る機能(図2および図4のステップS340参照)を奏するのは、CPU302の機能部としての照合データ受信部302dである(図1参照)。そして、第2の印刷ジョブデータPJ2を生成する機能(図2および図4のステップS350参照)を奏するのは、CPU302の機能部としてのジョブデータ生成部302eである(図1参照)。
【0090】
また、印刷サーバ300は、ステップS350において、第1の印刷ジョブデータPJ1の印刷が許可された旨をクライアントPC100に返信する。クライアントPC100は、ステップS120で、印刷サーバ300からのメッセージを受信し、ユーザが印刷指示した第1の印刷ジョブデータPJ1の印刷が許可された旨をディスプレイ106に表示する。
【0091】
その後、印刷サーバ300は、RAM303内に第2の印刷ジョブデータPJ2を保持した状態で待機する。なお、印刷サーバ300は、同様の処理によって生成した複数の第2の印刷ジョブデータPJ2をRAM303内に格納している。
【0092】
一方、図4のステップS340で、印刷サーバ300が、照合データとしてのユーザ名を受信せず、対応するユーザ名を問い合わせたIPアドレスが印刷システム1の使用が認められたユーザのクライアントPC100のものではない旨のメッセージを受信した場合には(ステップS345においてNo)、処理はステップS360に進む。
【0093】
ステップS360において、印刷サーバ300は、第1の印刷ジョブデータPJ1の印刷が許可されない旨をクライアントPC100に返信する。クライアントPC100は、ユーザが印刷指示した第1の印刷ジョブデータPJ1の印刷が許可されない旨をディスプレイ106に表示する。以上が、図4のフローチャートに示す、印刷サーバ300において第2の印刷ジョブデータPJ2を生成する処理である。
【0094】
印刷が認められたユーザは、クライアントPC100において印刷指示を出した後、印刷指示において指定した型番のプリンタ200のある場所に印刷物を取りに行く。その際、ユーザは、自らのユーザ名が格納されたICカードを持ってゆく。ユーザは、プリンタ200に到着すると、カードリーダ209(図1参照)にICカードを挿入する。
【0095】
プリンタ200は、図2のステップS210で、カードリーダ209を介してICカードから照合データとしてのユーザ名を取得する。そして、図2のステップS220で、印刷サーバ300にそのユーザ名を送信して、そのユーザが印刷を指示した印刷ジョブデータの送信を印刷サーバ300にリクエストする。なお、インターフェイス205を制御して、第2の印刷ジョブデータPJ2のリクエストを印刷サーバ300に送信する機能を奏するのは、CPU202の機能部としての送信部202cである(図1参照)。
【0096】
図7は、印刷サーバ300がリクエストを受けてプリンタに第2の印刷ジョブデータPJ2を送信する処理を表すフローチャートである。なお、図7の一部のステップは図2にも示す。
【0097】
印刷サーバ300は、ステップS360で、プリンタ200からユーザ名を伴う印刷ジョブデータのリクエストを受信する。そして、ステップS370で、印刷サーバ300は、RAM303内に保持している複数の第2の印刷ジョブデータの中から、プリンタ200から受け取ったユーザ名と一致するユーザ名を含む第2の印刷ジョブデータPJ2(図3の下段参照)を検索する。その後、該当する第2の印刷ジョブデータPJ2の有無に応じて異なる処理を実行する(ステップS375)。
【0098】
該当する第2の印刷ジョブデータPJ2が存在する場合には(ステップS375においてYes)、ステップS380で、その第2の印刷ジョブデータPJ2をプリンタ200に送信する。
【0099】
一方、RAM303内に保持している複数の第2の印刷ジョブデータの中に、プリンタ200から受け取ったユーザ名と一致するユーザ名を含む第2の印刷ジョブデータPJ2が存在しない場合には(ステップS375においてNo)、ステップS390で、その旨をプリンタ200に送信する。プリンタ200は、ディスプレイ206に、ユーザが印刷指示した印刷ジョブデータは存在しない旨を表示する。
【0100】
なお、インターフェイス305を介して、プリンタ200から印刷ジョブデータのリクエストを受け取る機能(図2および図4のステップS360参照)を奏するのは、CPU302の機能部としてのリクエスト受信部302fである(図1参照)。第2の印刷ジョブデータPJ2を選択する機能(図2および図4のステップS370参照)を奏するのは、CPU302の機能部としてのジョブデータ処理部302gである(図1参照)。
【0101】
インターフェイス305を制御して、該当する第2の印刷ジョブデータが存在しない旨のメッセージ、または第2の印刷ジョブデータPJ2をプリンタ200に送信する機能(図2および図4のステップS380,S390参照)を奏するのは、CPU302の機能部としてのジョブデータ送信部302hである(図1参照)。なお、第2の印刷ジョブデータPJ2は、印刷データPJ208、オプション設定PJ206等に基づいて印刷を実行すべき旨のプリンタ200に対する指示の情報を含む。
【0102】
プリンタ200は、図2のステップS230で第2の印刷ジョブデータPJ2を受信すると、ステップS240で、第2の印刷ジョブデータPJ2の印刷データPJ208やオプション設定PJ206にしたがって印刷を行う。
【0103】
なお、インターフェイス205を介して、印刷サーバ300から第2の印刷ジョブデータPJ2を受け取る機能(図2のステップS230参照)を奏するのは、CPU202の機能部としての受信部202aである(図1参照)。印刷機構201を制御して、第2の印刷ジョブデータPJ2に基づき印刷を行う機能(図2のステップS240参照)を奏するのは、CPU202の機能部としての印刷部202bである(図1参照)。
【0104】
本実施例のような態様とすることで、印刷システム1の使用を認められたユーザについてのみ、プリンタ200の印刷を許可することができる(たとえば、図2のステップS420、および図6参照)。また、一部のユーザにのみ印刷を許可するための情報(本実施例において、ユーザ名)をクライアントPC100内に保存することなく、認証を伴う印刷を行うことができる。
【0105】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0106】
B1.変形例1:
上記実施例では、ユーザ名の決定に使用されるIPアドレスは、クライアントPC100のTCP/IP層がデータに付加するヘッダ内に含まれるIPアドレスである。しかし、ユーザ名の決定に使用されるIPアドレスは、クライアントPC100において実行される印刷用のアプリケーションプログラムが生成するデータ内に格納されていてもよい。
【0107】
すなわち、クライアントPC100やユーザを特定することができる情報は、プリンタ200からの出力を指示するアプリケーションプログラムが生成するデータ内に格納されていてもよく、また。そのアプリケーションプログラムが生成したデータに、あとから通信のために付加されるヘッダに格納されていてもよい。出力指示装置(クライアントPC100)やユーザを特定することができる情報は、出力指示装置(クライアントPC100)から出力制御装置(印刷サーバ300やユーザサーバ400)に送信されるデータのいずれかの部位に格納されていればよい。
【0108】
B2.変形例2:
上記実施例では、第1の印刷ジョブデータPJ1内のIPアドレスPJ100に応じて、第2の印刷ジョブデータPJ2における照合データとしてのユーザ名PJ202が生成される。しかし、照合データは、他のデータに基づいて生成することもできる。
【0109】
たとえば、照合設定データSD1(図5参照)において、フラグD132を1とし、フラグD134を0とすることで、第1の印刷ジョブデータPJ1に含まれる氏名コードPJ102(図3の上段参照)に基づいて、照合データを決定することができる。そのような場合には、図2、図4のステップS330では、印刷サーバ300は、ユーザサーバ400に、氏名コードPJ102を送信して、照合データを問い合わせる。
【0110】
そのような態様においては、ユーザサーバ400は、ユーザデータリストDB3を検索し、問い合わせとともに受け取った氏名コードと一致する氏名コードに対応する照合データを、印刷サーバ300に返信する。このような態様とすれば、1台のクライアントPC100を複数のユーザが共有する場合にも、照合データ入力装置としてのカードリーダ209を介して照合データを入力したユーザに対して、出力指示装置としてのクライアントPC100を介してそのユーザが印刷を指示した印刷データに基づく印刷物を渡すことができる。
【0111】
また、照合設定データSD1において、フラグD132とフラグD134をともに1とすることで、第1の印刷ジョブデータPJ1に含まれるIPアドレスPJ100と氏名コードPJ102(図3の上段参照)に基づいて、照合データを決定することができる。そのような場合には、図2、図4のステップS330では、印刷サーバ300は、ユーザサーバ400に、IPアドレスPJ100と氏名コードPJ102を送信して、照合データを問い合わせる。
【0112】
そのような態様においては、ユーザサーバ400は、ユーザデータリストDB3を検索し、問い合わせとともに受け取ったIPアドレスおよび氏名コードと一致するIPアドレスおよび氏名コードに対応する照合データを、印刷サーバ300に返信する。このような態様とすれば、1台のクライアントPC100を複数のユーザが共有する場合にも、照合データ入力装置としてのカードリーダ209を介して照合データを入力したユーザに対して、そのユーザが印刷を指示した印刷データに基づく印刷物を渡すことができる。また、改変や偽装がしにくいIPアドレスを使用して認証を行っているため、印刷システムの不正利用を有効に防止することができる。
【0113】
B3.変形例3:
上記実施例においては、照合データ入力装置としてのカードリーダ209は、出力装置としてのプリンタ200に接続され、プリンタ200のCPU202に制御される。すなわち、上記実施例においては、照合データ入力装置と出力装置とは一体に構成される。しかし、照合データ入力装置は、印刷サーバ300やユーザサーバ400などの出力システムの他の構成要素に接続されてる態様とすることもでき、他の構成要素と一体で設けられる態様とすることもできる。ただし、照合データ入力装置は、出力指示装置と出力装置とのうち出力装置に近い位置に設けられていることが好ましい。
【0114】
また、照合データ入力装置は、ユーザと直接接触して照合データの入力を受け取るものとすることも好ましい。たとえば、ユーザが照合データ入力装置を介して入力する照合データは、キーボードを介して入力されるユーザ名などの情報であってもよいし、指紋や眼底の血管、手のひらの血管、顔などの画像といった生体情報を含むこともできる。そのような態様においては、照合データ入力装置は、それらの情報を取得できる態様とすることができる。また、出力制御装置は、それらの情報と特定情報を対応づけて保持する(図6参照)。
【0115】
B4.変形例4:
上記実施例においては、出力指示装置(上記実施例においてクライアントPC100)は、特定データとして使用することができる複数種類のデータ(氏名コードとIPアドレス)を出力制御装置(上記実施例において印刷サーバ300およびユーザサーバ400)に送信している。そして、出力制御装置(印刷サーバ300)は、照合設定データSD1に応じて、その中から使用する特定データを決定している。しかし、出力指示装置は、複数種類の特定データのうち、出力制御装置が照合データの検索に使用しないデータを出力制御装置に送信しない態様とすることもできる。
【0116】
また、上記実施例においては、照合データ入力装置および出力装置(上記実施例において、操作キー207a、テンキー207bおよびカードリーダ209を有するプリンタ200)は、照合データとして使用することができる複数種類のデータ(識別番号とユーザ名)のうちユーザ名を出力制御装置に送信している。しかし、照合データ入力装置は、複数種類の照合データを出力制御装置に送信する態様とすることもできる。
【0117】
特定データとして使用できる複数種類のデータのうちの一部のデータのみが出力指示装置から出力制御装置に送信され、照合データとして使用できる複数種類のデータのうちの一部のデータのみがタ入力装置から出力制御装置に送信される態様においては、以下のような処理を行うことが好ましい。すなわち、そのような態様においては、照合設定データSD1(図1および図5参照)の内容を変更した場合には、出力制御装置(上記実施例において印刷サーバ300およびユーザサーバ400)は、出力指示装置(同、クライアントPC100)と、照合データ入力装置(同、操作キー207a、テンキー207bおよびカードリーダ209を有するプリンタ200)に、変更後の設定内容を送信する。そして、出力指示装置は、その設定に応じた特定データを出力制御装置に送ることが好ましい。また、照合データ入力装置は、その設定に応じた照合データを出力制御装置に送ることが好ましい。
【0118】
B5.変形例5:
上記実施例においては、プリンタ200は、照合データとしてのユーザ名をICカードから読み取ると、第2の印刷ジョブデータPJ2のリクエストを行う(図2のステップS230,S240参照)。また、プリンタ200は、第2の印刷ジョブデータPJ2を受信すると、印刷を行う(図2のステップS230,S240参照)。しかし、図2のステップS230とステップS240の間や、ステップS230とステップS240の間において、ユーザに対してパスワードが要求される態様とすることもできる。
【0119】
たとえば、パスワードは、照合データ(上記実施例において、ユーザ名や識別コード)を記憶している記憶媒体(上記実施例においてICカード)に格納されている態様とすることができる。そして、印刷システムは、操作キー207aやテンキー207bなどの入力装置から入力されたパスワードと、記憶媒体に格納されたパスワードとの照合を行い、両者が一致する場合に、次の処理に進む態様とすることができる。
【0120】
また、たとえば、印刷サーバ300やユーザサーバ400が特定データや照合データと対応づけてパスワードを保持する態様とすることもできる。そして、印刷システムは、操作キー207aやテンキー207bなどの入力装置から入力されたパスワードと、印刷サーバ300やユーザサーバ400が保持しているパスワードとの照合を行い、両者が一致する場合に、次の処理に進む態様とすることができる。
【0121】
B6.変形例6:
上記実施例においては、出力指示装置としてのクライアントPC100から受け取った特定データとしてのIPアドレスと、照合データ入力装置としてのカードリーダ209を介して受け取った照合データとしてのユーザ名と、を照合する処理は、印刷サーバ300およびユーザサーバ400が実行する(図2参照)。しかし、これらの処理は、1台のサーバで実行することもでき、3台以上のサーバで実行することもできる。
【0122】
ただし、出力指示装置から出力用の印刷ジョブデータを受け取って、出力装置に渡すための印刷ジョブデータを生成するサーバとして、出力サービスを提供する者(会社)が用意するサーバを設け、特定データと照合データとの対応関係を保持するサーバとして、出力サービスの提供を受ける者(会社)のサーバと、を設けることが好ましい。そのような態様とすることで、特定データをあらかじめ保持している社内のサーバを侑子運活用することができる。また、そのような態様とすれば、特定データをサービス会社のサーバに保存する必要がない。
【0123】
また、上記実施例の印刷システム1においては、クライアントPC100と、プリンタ200と、印刷サーバ300と、ユーザサーバ400とがネットワークNTで接続されている。しかし、印刷システムの態様はこのようなものに限られない。すなわち、これらのうちの任意の要素が一つの筐体内に格納されている態様とすることができる。また、上記の印刷サーバ300と、ユーザサーバ400などの各要素が、さらに複数の要素で構成される態様とすることもできる。
【0124】
B7.変形例7:
上記実施例においては、本発明の一態様として印刷システムを説明した。しかし、本発明はそのような態様に限らず、様々な態様で実現することができる。すなわち、記録媒体への印刷に限らず、ディスプレイへの静止画像や動画の表示、スクリーンへの静止画像や動画の投射、音声メッセージの再生など、様々な態様で情報の出力を行う機器に適用することができる。
【0125】
B8.変形例8:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0126】
そのような機能を実現するコンピュータプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。ホストコンピュータは、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からホストコンピュータにコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがホストコンピュータのマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをホストコンピュータが直接実行するようにしてもよい。
【0127】
この明細書において、ホストコンピュータとは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。コンピュータプログラムは、このようなホストコンピュータに、上述の各部の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0128】
なお、この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】実施例の印刷システムの構成を示す図。
【図2】印刷を行う際の印刷システム1の各要素の動作を示すチャート。
【図3】第1の印刷ジョブデータPJ1と、印刷サーバ300において生成される第2の印刷ジョブデータPJ2の内容の一例を示す図。
【図4】印刷サーバ300において第2の印刷ジョブデータPJ2を生成する処理を表すフローチャート。
【図5】印刷サーバ300がRAM303内に保持しており照合データの設定を表す照合設定データSD1の内容を表す図。
【図6】ユーザサーバ400がRAM403内に保持しているユーザごとのデータのリストであるユーザデータリストDB3の内容を表す図。
【図7】印刷サーバ300がリクエストを受けてプリンタに第2の印刷ジョブデータPJ2を送信する処理を表すフローチャート。
【符号の説明】
【0130】
1…印刷システム
100…クライアントPC
102…CPU
102a…ユーザインターフェイス部
102b…ジョブデータ生成部
102c…送信部
103…RAM
104…ROM
105…インターフェイス
106…ディスプレイ
107…キーボード
108…マウス
200…プリンタ
201…印刷機構
202…CPU
202a…受信部
202b…印刷部
202c…送信部
203…RAM
204…ROM
205…インターフェイス
206…ディスプレイ
207a…操作キー
207b…テンキー
209…カードリーダ
300…印刷サーバ
302…CPU
302a…ジョブデータ受信部
302b…設定変更部
302c…特定データ送信部
302d…照合データ受信部
302e…ジョブデータ生成部
302f…リクエスト受信部
302g…ジョブデータ処理部
302h…ジョブデータ送信部
303…RAM
304…ROM
305…インターフェイス
306…ディスプレイ
307…キーボード
308…マウス
400…ユーザサーバ
402…CPU
402a…受信部
402b…検索部
402c…送信部
403…RAM
404…ROM
405…インターフェイス
406…ディスプレイ
407…キーボード
408…マウス
D130…特定データとして使用することができるデータのフラグ
D132…氏名コードを特定データとして使用するか否かを表すフラグ
D134…IPアドレスを特定データとして使用するか否かを表すフラグ
D140…照合データとして使用することができるデータのフラグ
D142…識別番号を照合データとして使用するか否かを表すフラグ
D144…ユーザ名を特定データとして使用するか否かを表すフラグ
D330…特定データ
D332…氏名コード
D334…IPアドレス
D340…照合データ
D342…識別番号
D344…ユーザ名
DB3…ユーザデータリスト
NT…ネットワーク
PJ1…第1の印刷ジョブデータ
PJ100…IPアドレス
PJ102…氏名コード
PJ104…プリンタ型番
PJ106…オプション設定
PJ108…印刷データ
PJ2…第2の印刷ジョブデータ
PJ200…IPアドレス
PJ202…ユーザ名
PJ204…プリンタ型番
PJ206…オプション設定
PJ208…印刷データ
SD1…照合設定データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力指示装置と、出力装置と、前記出力指示装置および前記出力装置に接続された出力制御装置と、前記出力装置と前記出力制御装置の少なくとも一方に接続された照合データ入力装置と、を備える出力システムであって、
前記出力指示装置は、ユーザの指示にしたがって、前記出力指示装置と前記ユーザとの少なくとも一方を特定することができる特定データと、出力の対象である出力データと、を含む出力ジョブデータを前記出力制御装置に送り、
前記照合データ入力装置は、前記ユーザを特定することができる照合データを前記ユーザから受け取って前記出力制御装置に送り、
前記出力装置は、前記出力データに基づいて出力を行うことができ、
前記出力制御装置は、
所定のユーザ、前記照合データを前記特定データと対応づけて格納する照合データ格納部と、
前記照合データ格納部を参照して、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データであって、前記照合データ格納部内に格納されている前記特定データについて、対応する前記照合データを決定する照合データ決定部と、
前記決定された前記照合データと、前記出力ジョブデータに含まれる前記出力データと、を対応づけて格納する出力データ格納部と、
前記出力データ格納部に格納された出力データであって、前記照合データ入力装置を介して受け取った前記照合データと一致する前記照合データに対応づけられている前記出力データを、前記出力装置に送って前記出力を行わせる出力データ送出部と、を備える、出力システム。
【請求項2】
請求項1記載の出力システムであって、
前記特定データは、前記出力指示装置を特定することができるデータであって、前記出力指示装置と前記出力制御装置との間のデータ通信においてデータの送信元を表すデータを含む、出力システム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の出力システムであって、
前記特定データは、前記ユーザに固有に割り当てられた識別コードを表すデータを含む、出力システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の出力システムであって、
前記照合データ格納部は、
前記所定のユーザについて、前記ユーザを特定することができる複数種類のデータを、前記特定データと対応づけて格納しており、
前記出力制御装置は、さらに、
前記複数種類のデータのうち、前記照合データとして使用されるべきデータを表す照合設定データを格納する設定データ格納部と、
前記照合設定データを変更する指示を前記出力システムの管理者から受け取って、前記照合設定データを変更することができる設定変更部と、を備え、
前記照合データ決定部は、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データに対応する前記照合データを、前記照合設定データにしたがって決定する、出力システム。
【請求項5】
請求項1記載の出力システムであって、
前記特定データは、
前記出力指示装置を特定することができるデータであって、前記出力指示装置と前記出力制御装置との間のデータ通信においてデータの送信元を表す第1のデータと、
前記ユーザを特定することができるデータであって、前記出力システムの利用に際して前記ユーザによって前記出力指示装置に入力される第2のデータと、を含み、
前記照合データは、前記第2のデータに比べて開示される人間がより制限されたデータであり、
前記照合データ格納部は、前記第1および第2のデータの組み合わせと、前記照合データとを対応づけて格納しており、
前記照合データ決定部は、前記第1および第2のデータに基づいて、前記特定データに対応する前記照合データを決定する、出力システム。
【請求項6】
請求項5記載の出力システムであって、
前記照合データは、前記照合データによって特定されるユーザ以外のユーザに開示されないデータであり、
前記照合データ入力装置は、前記照合データを格納した記録媒体を前記ユーザから提供されて、前記記録媒体内の前記照合データを取得することにより、前記照合データを前記ユーザから受け取る、出力システム。
【請求項7】
出力指示装置および出力装置に接続された出力制御装置であって、
前記出力装置と前記出力制御装置の少なくとも一方には、照合データ入力装置が接続されており、
前記出力制御装置は、
前記出力指示装置とユーザとの少なくとも一方を特定することができる特定データと、出力の対象である出力データと、を含む出力ジョブデータを、前記出力指示装置から受け取る出力ジョブデータ受取部と、
前記ユーザを特定することができる照合データであって、前記照合データ入力装置が前記ユーザから受け取った照合データを受け取る照合データ受取部と、
所定のユーザについて、前記照合データを前記特定データと対応づけて格納する照合データ格納部と、
前記照合データ格納部を参照して、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データであって、前記照合データ格納部内に格納されている前記特定データについて、対応する前記照合データを決定する照合データ決定部と、
前記決定された前記照合データと、前記出力ジョブデータに含まれる前記出力データと、を対応づけて格納する出力データ格納部と、
前記出力データ格納部に格納された出力データであって、前記照合データ入力装置を介して受け取った前記照合データと一致する前記照合データに対応づけられている前記出力データを、前記出力装置に送って出力を行わせる出力データ送出部と、を備える、出力制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の出力制御装置であって、
前記特定データは、前記出力指示装置を特定することができるデータであって、前記出力指示装置と前記出力制御装置との間のデータ通信においてデータの送信元を表すデータを含む、出力制御装置。
【請求項9】
請求項7または8のいずれかに記載の出力制御装置であって、
前記特定データは、前記ユーザに固有に割り当てられた識別コードを表すデータを含む、出力制御装置。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の出力制御装置であって、
前記照合データ格納部は、
前記所定のユーザについて、前記ユーザを特定することができる複数種類のデータを、前記特定データと対応づけて格納しており、
前記出力制御装置は、さらに、
前記複数種類のデータのうち、前記照合データとして使用されるべきデータを表す照合設定データを格納する設定データ格納部と、
前記照合設定データを変更する指示を前記出力制御装置の管理者から受け取って、前記照合設定データを変更することができる設定変更部と、を備え、
前記照合データ決定部は、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データに対応する前記照合データを、前記照合設定データにしたがって決定する、出力制御装置。
【請求項11】
請求項7記載の出力制御装置であって、
前記特定データは、
前記出力指示装置を特定することができるデータであって、前記出力指示装置と前記出力制御装置との間のデータ通信においてデータの送信元を表す第1のデータと、
前記ユーザを特定することができるデータであって、前記出力指示装置の利用に際して前記ユーザによって前記出力指示装置に入力される第2のデータと、を含み、
前記照合データは、前記第2のデータに比べて開示される人間がより制限されたデータであり、
前記照合データ格納部は、前記第1および第2のデータの組み合わせと、前記照合データとを対応づけて格納しており、
前記照合データ決定部は、前記第1および第2のデータに基づいて、前記特定データに対応する前記照合データを決定する、出力制御装置。
【請求項12】
請求項11記載の出力制御装置であって、
前記照合データは、前記照合データによって特定されるユーザ以外のユーザに開示されないデータである、出力システム。
【請求項13】
出力指示装置と、出力装置と、前記出力指示装置および前記出力装置に接続された出力制御装置と、前記出力装置と前記出力制御装置の少なくとも一方に接続された照合データ入力装置と、を備える出力システムにおいて、出力を行う方法であって、
(a)前記出力指示装置が、ユーザの指示にしたがって、前記出力指示装置と前記ユーザとの少なくとも一方を特定することができる特定データと、出力の対象である出力データと、を含む出力ジョブデータを前記出力制御装置に送る工程と、
(b)所定のユーザについて、前記ユーザを特定することができる照合データを前記特定データと対応づけて格納する照合データ格納部を参照して、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データであって前記照合データ格納部内に格納されている前記特定データについて、前記出力制御装置が、対応する前記照合データを決定する工程と、
(c)前記出力制御装置が、前記決定された前記照合データと、前記出力ジョブデータに含まれる前記出力データと、を対応づけて出力データ格納部に格納する工程と、
(d)前記照合データ入力装置が、前記ユーザから前記照合データを受け取って前記出力制御装置に送る工程と、
(e)前記出力データ格納部に格納された出力データであって、前記照合データ入力装置を介して受け取った前記照合データと一致する照合データに対応づけられている前記出力データを、前記出力制御装置が前記出力装置に送って、前記出力装置に出力を行わせる工程と、を備える方法。
【請求項14】
出力指示装置および出力装置に接続された出力制御装置において実行され、前記出力装置から出力を行わせるコンピュータプログラムであって、
前記出力装置と前記出力制御装置の少なくとも一方には、照合データ入力装置が接続されており、
前記コンピュータプログラムは、
前記出力指示装置とユーザとの少なくとも一方を特定することができる特定データと、出力の対象である出力データと、を含む出力ジョブデータを、前記出力指示装置から受け取る機能と、
前記ユーザを特定することができる照合データであって、前記照合データ入力装置が前記ユーザから受け取った照合データを受け取る機能と、
所定のユーザについて、前記照合データを前記特定データと対応づけて照合データ格納部に格納する機能と、
前記照合データ格納部を参照して、前記出力ジョブデータに含まれる前記特定データであって、前記照合データ格納部内に格納されている前記特定データについて、対応する前記照合データを決定する機能と、
前記決定された前記照合データと、前記出力ジョブデータに含まれる前記出力データと、を対応づけて出力データ格納部に格納する機能と、
前記出力データ格納部に格納された出力データであって、前記照合データ入力装置を介して受け取った前記照合データと一致する前記照合データに対応づけられている前記出力データを、前記出力装置に送って出力を行わせる機能と、を前記出力制御装置に実現させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−193138(P2009−193138A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30607(P2008−30607)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】