説明

出力停止制御回路と通信装置及び出力停止制御方法

【課題】 カードの挿抜等の過渡的な期間等における不用意な信号の出力抑止制御を容易化、簡素化可能とする出力停止制御回路及び方法の提供。
【解決手段】挿抜自在に実装される複数のカード(A、B、C)を備え、複数のカード間で一側から他側へカード間信号が転送され、他側端部のカードから装置出力信号を出力する通信装置において、装置出力信号を出力する他側端部のカードCに、出力停止制御回路(10)を備え、出力停止制御回路(10)は、隣のカードBからの少なくとも1つのカード信号の有無の検出結果に基づき、前記装置出力信号の出力停止を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力停止制御技術に関し、特に、通信装置に適用して好適な出力停止制御回路及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置等における出力停止制御回路について図7を参照して以下に説明する。図7には、通信装置で用いられる出力停止制御回路の典型的な構成例が示されている。通信装置は、挿抜可能なカード(「パッケージ」ともいう)A、B、Cを備え、各カードA、B、Cは、出力停止制御回路20を備えている。カードAは、他装置(不図示)から入力され通信装置内で所定の処理(分離、信号変換、回線設定等)が施された装置内信号と出力制御信号を受け、カードBに対してカード間信号と出力制御信号を出力する。カードBは、カードAからカード間信号と出力制御信号を受け、カードCに対して必要な信号をカード間信号として出力しさらに出力制御信号を出力する。カードCは、カードBからカード間信号と出力制御信号を受け、例えば対向装置(不図示)に対して装置出力信号を出力する。またカードCは対向装置(不図示)から装置入力信号を受け、カードBに対してカード間信号を出力する。カードBは、カードCからカード間信号を受け、カードAに対して必要な信号をカード間信号として出力する。カードAは、カードBからカード間信号を受け、装置内信号を出力し、通信装置内で所定の処理が施され、必要に応じて、他の装置へ伝送出力される。カードA、B、Cの出力停止制御回路20はそれぞれ前段のカードから入力される出力制御信号の値に基づき、後段のカードへのカード間信号の出力、あるいは対向装置への装置出力信号の出力の停止を制御する。なお、特に制限されないが、図7の例では、カードA、B、Cは、通信装置における装置内制御部、多重化等装置内機能部、伝送部等に対応し、装置内信号はパラレル信号とされる。
【0003】
通信システムにおいては、送信側の通信装置の立ち上げ(パワーアップ)やカード挿抜等から、所要の信号を装置から出力し通常運用出来るようになるまでの間の過渡的な期間(時間)において、不用な信号の出力を抑止する対策を、ユーザ(客先)の要求等に応じて行う必要が生じる。
【0004】
受信側の通信装置(図7の装置出力信号を受ける通信装置)における誤作動や警報検出の原因が、伝送路障害等の異常状態によるものであるのか、あるいは、伝送路は正常であるが送信側の装置の立ち上げ等の運用上によるものであるのかを、受信側の通信装置で識別することは困難である。このため、制御可能な正常状態では、受信側装置で誤作動や警報検出を起こさせないことを目的として、送信側の装置のカード挿抜時等において、装置出力信号を停止させるようにしている。
【0005】
図7の例では、カードAの出力停止制御回路は、カードA自身の正常出力が可能となったことの検知結果と、装置内信号として入力した出力制御信号とに基づき、カードAの出力停止を制御し、所要の信号をカードAから出力し通常運用出来るようになるまでの過渡的な期間に、カードA自身が不用意な信号を出力することがないように制御する。また、カードBにカードAの正常出力が可能となったことを出力制御信号として送信する。カードBも、カードAと同様にしてカードCへ送信する信号の出力停止を制御する。カードCの出力停止制御回路20は、カードC自身において正常出力が可能となったことの検知結果と、カードBから入力した出力制御信号とに基づき、カードCの装置出力信号の出力停止を制御することで、所要の信号を装置から出力し通常運用出来るようになるまでの過渡的な期間に、カードC自身が不用意な信号を出力することがないように制御している。
【0006】
なお、特許文献1には、局装置内パッケージの診断の回路の簡略化、障害パッケージの特定の容易化を図るための構成として、パッケージに診断ビットを割りあて、各パッケージを通過する際に割当てられたビットに診断情報を付加し、最終段のチェック回路で診断ビットをチェックし障害パッケージを特定する構成が開示されている。特許文献2には、電源に接続され基本信号を入力する回路に対して、基本信号入力断から基本信号入力回復時まで擬似信号生成回路で擬似信号を生成して該回路に与え、擬似信号時には、回路の出力を停止する出力停止回路を備えた構成が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−186218号公報
【特許文献2】特開平08−036432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下に本発明による分析を与える。
【0009】
図7の構成の場合、装置出力信号に影響を与える装置内の全てのカード(すなわち、装置出力信号に信号導通等により直接または間接的に接続されるカード)に出力停止制御回路20をそれぞれ設ける必要がある。
【0010】
各カードにおいて、出力停止制御回路の機能を、当該カードが所要の信号を出力可能となったことを検知し、検知結果と隣のカードからの出力制御信号に基づき出力を制御し、当該カードからの送信信号を出力停止させる等、複雑な制御が必要である。
【0011】
また、装置出力信号を直接、出力するカードCの出力制御は、カードA、Bから出力制御信号による制御も必要となるため、出力制御信号もカード間に接続する必要がある。
【0012】
このように、制御が装置全体にわたり、大がかりとなるため、追加での客先要求等には容易に応じられない場合がある。
【0013】
なお、特許文献1では、終端パッケージのチェック回路で診断ビットをチェックするため、発生回路を各段のパッケージに備える必要がある。また、特許文献2では、基本入力信号断検出時、擬似信号を生成し、回路の出力を停止させるものである。これら文献記載の発明は、後述される本発明とは全く相違している。
【0014】
本発明の目的は、カードの挿抜等の過渡的な期間等における不用意な信号の出力抑止の制御を容易化、簡素化可能とする出力停止制御回路及び通信装置と出力停止制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、挿抜自在に実装される複数のカードを備え、複数のカード間で一側から他側へカード間信号が順次転送され、他側端部のカードから、装置出力信号を出力する通信装置に実装される出力停止制御回路であって、前記装置出力信号を出力する前記他側端部のカードに配設され、前記他側端部のカードの隣のカードからのカード間信号の有無の検出結果に基づき、前記装置出力信号の出力停止を制御する出力停止制御回路が提供される。
【0016】
本発明によれば、挿抜自在に実装される複数のカードを備え、前記複数のカード間で一側から他側へカード間信号が順次転送され、他側端部のカードから、装置出力信号を出力する通信装置の出力停止制御方法であって、
前記装置出力信号を出力する他側端部のカードが、隣のカードからのカード間信号の少なくとも1つのカード間信号の有無の検出結果に基づき、前記装置出力信号の出力停止を制御する、出力停止制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カードの挿抜等の過渡的な期間等における不用意な信号の出力抑止制御を容易化、簡素化可能としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態について説明する。前述したように、通信装置では、送信側装置の立ち上げやカード挿抜時から、所要の信号を装置から出力し通常運用出来るようになるまでの過渡的な期間にも、送信側の装置の原因により、該所要の信号を受信する対向装置が誤作動や警報を発生させないため、送信側の装置から不用意な信号を出力させない対策が必要となる場合がある。該対策は、送信装置内の各種制御や装置内部の各動作が通常運用状態となるまでには、全て動作時間があるために、必要となっている。以下では、本発明をかかる通信装置に適用した例を説明する。
【0019】
本発明の一形態においては、通信装置に挿抜自在に実装される複数のカード(A、B、C)を備え、複数のカード間で一側から他側へカード間信号が転送され、他側端部のカードCから装置出力信号を出力する。本発明においては、カードCにのみ、出力停止制御回路(10)を備える。出力停止制御回路(10)は、隣(前段)のカードBからのカード間信号の少なくとも1つのカード間信号の有無の検出結果に基づき、装置出力信号の出力停止を制御する出力停止制御信号を生成する内部信号生成回路を備えている。
【0020】
本発明の一形態において、内部信号生成回路は、カード間信号の有無の検出する信号有無検出回路(101)と、信号有無検出回路(101)での検出結果が信号無しから信号有りに変化したときに計時を開始し、タイムアウトまでの計時動作中に所定の論理値を出力するタイマー回路(102)と、タイマー回路(102)の出力の値が計時動作中を示していず、且つ、信号有無検出回路(101)での検出結果が信号有りを示すとき、前記出力停止制御信号を、装置出力信号を出力可能とする値に設定し、タイマー回路(102)の出力の値が計時動作中であるか、又は、信号有無検出回路(101)での検出結果が信号無し、のいずれかのとき、前記出力停止制御信号を、装置出力信号を出力停止とする値に設定する論理回路(103)を備えている。本発明において、信号有無検出回路(101)は、カード間信号有りからカード間信号無しへの変化を検出したとき、引き続き所定期間、カード間信号無しの状態が継続する場合に、検出結果をカード間信号無しとする。以下、具体的な実施例に即して説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の実施例の構成を示す図である。カードAは、他装置(不図示)から入力され通信装置内の他のカード等(カードAの上流(前段側)の不図示のカード)で所定の処理(分離、信号変換、回線設定等)が施された装置内信号を受け、カードBに対してカード間信号を出力する。カードBは、カードAからカード間信号を受け、カードCに対して必要な信号をカード間信号として出力する。カードCは、カードBからカード間信号を受け、例えば対向装置(不図示)に対して装置出力信号を出力し、対向装置(不図示)から装置入力信号を受け、カードBに対して必要な信号をカード間信号として出力する。カードBは、カードCからカード間信号を受け、カードAに対して必要な信号をカード間信号として出力する。カードAは、カードBからカード間信号を受け、装置内信号を出力し、通信装置内で所定の処理が施され、必要に応じて当該通信装置から他の装置(不図示)へ伝送出力される。
【0022】
図1では、装置出力信号を直接出力するカードCのみに出力停止制御回路10を設け、装置出力信号の出力停止制御を行う。本実施例においては、装置出力信号の出力停止制御を実現するにあたり、その他のカードA、カードBには、出力停止制御回路を設けることは不要とされる。
【0023】
なお、特に制限されないが、カードA、B、Cは、例えば通信装置における装置内制御部、多重化等装置内機能部、伝送部等に対応する。カードA、B、Cは通信装置に挿抜自在に実装され、収容する複数回線に応じて、数十枚程度のカードを実装した架で構成される。各カードには、電源、接地、各種信号等が供給され、隣のカードに対して必要な信号をカード間信号として送出する。特に制限されないが、本実施例において、カードCからの装置内信号はシリアル信号出力とされる。
【0024】
図2は、図1の出力停止制御回路10内に設けられ、出力信号停止を制御する内部信号生成回路の構成を示す図である。図2を参照すると、内部信号生成回路は、カード間信号104を入力し、信号の有無を検出してその検出状態によって所要の論理を出力する信号有無検出回路101と、信号有無検出回路101の出力信号105を入力し、出力信号105の論理の変化の時点から、所要の信号を装置から出力し通常運用出来るようになるまでの過渡的な時間を設定して計測し、該過渡的な時間のみ、所要の論理を出力するタイマー回路102と、信号有無検出回路101の出力信号105とタイマー回路102の出力信号106を入力し、出力停止制御信号107を出力する論理積(AND)回路103を備えている。内部信号生成回路から出力される出力停止制御信号107は、出力停止制御回路10において、装置出力信号の出力を制御する。特に制限されないが、タイマー回路102は、信号有無検出回路101の出力信号105が論理0(信号無し)から論理1へ変化した場合にのみ計時動作を開始し、信号有無検出回路101の出力信号105が論理1(信号有り)から論理0(信号無し)に変化した場合、及び、信号有無検出回路101の出力信号105の値が固定値の場合には、計時を開始せず、現在の状態を保持するものとする。
【0025】
信号有無検出回路101は、カード間信号104の信号有りから信号無を検出した時点から、所定時間(t1)継続して、信号無し状態が続いた場合、出力信号105を論理1から論理0とする。カード間信号104は、カードBからカードCにパラレル入力される複数本のカード間信号のうちのいずれか1本とする。なお、カード間信号としては、装置出力の情報信号、監視や制御に用いられる信号等が用いられるが、このうち、信号有無検出回路101に入力されるカード間信号104としては、クロック信号等、各サイクルでトグルする信号が用いられる。
【0026】
信号有無検出回路101の出力信号105が論理0(信号無し)から論理1(信号有り)へ変化したとき、タイマー回路102の計時が開始し、その間、タイマー回路102は出力信号106として論理0を出力し、この間、論理積(AND)回路103から出力される出力停止制御信号107は論理0とされ、出力停止制御回路10において装置出力信号の出力は停止される。タイマー回路102でタイムアウトが発生すると、タイマー回路102の出力信号106は論理1となり、信号有無検出回路101の出力信号105が論理1(信号有り)の場合、論理積(AND)回路103から出力される出力停止制御信号107は論理1とされ、出力停止制御回路10において装置出力信号の出力停止は解除される(出力可能)。特に制限されないが、出力停止制御回路10においては、装置出力信号と、出力停止制御信号107との論理積をとることで出力停止制御が実現される。
【0027】
図3乃至図6は、図1の出力停止制御回路の構成例に、図2の内部信号生成回路を適用した場合のカードCの動作の例を説明するためのタイムチャートであり、カードBまたはカードCの抜去時と挿入時のタイミング動作が示されている。図3乃至図6において、カード間信号は図2の104、信号有無検出回路出力は図2の105、タイマー回路出力は図2の106、出力停止制御信号は図2の107にそれぞれ対応している。また、各信号について論理1を“H”(Highレベル)、論理0を“L”(Lowレベル)として図示している。
【0028】
カードAやカードAよりもさらに装置側(上流)のカード(不図示)が挿抜された時は、カードBやカードAを通じて、カードCのカード間信号の有無が発生するため、カードBの挿抜時と同様の動作となる。装置の立ち上げやカードの電源オンオフ等、対象としている装置の起動や停止に関する過渡期には、各種の条件が存在する。しかし、装置出力信号を直接出力させるカードCに限定した場合の過渡的な条件変化は、図3乃至図6の各条件変化に集約されるため、それを考慮すれば充分である。
【0029】
図3は、カードBが装置から抜去された時の動作例である。カードBが抜去されることにより、カードCに入力されるカード間信号が無くなるため、信号有無検出回路出力では、カード間信号無しの論理となる。信号有無検出回路101は、信号無しの状態がt1時間継続した場合、信号無と判断し、信号有無検出回路出力は“H”→“L”への変化となる。この時、信号有りの状態への論理変化で動作するタイマー回路103は動作しないため、タイマー回路出力の論理変化は行われない。この例では“H”固定である。
【0030】
信号有無検出回路出力とタイマー回路出力の論理積で決定する出力停止制御信号は、信号有無検出回路出力の論理変化があった時点で、装置出力信号可能の論理から装置出力信号停止の論理に変化する。すなわち、信号無しの状態がt1時間継続した場合、信号無と判断し、信号有無検出回路出力は“H”→“L”への変化となり、図1の出力停止制御回路を制御し、カードBの抜去からt1時間後に装置出力信号を停止させる制御が行われる。
【0031】
t1は、信号有無検出回路101においてカード間信号の無を判断する時間であり、対象とする信号によって任意に設定可能な時間とする。特に制限されないが、適用されるt1の時間設定は、一例として、数クロックサイクル程度であり、数ns(ナノ秒)とする。
【0032】
図4は、カードBが装置に挿入された時の動作例である。カードBが挿入されることにより、カードCの信号有無検出回路101(図2)において、入力されるカード間信号104が有りの状態となるため、信号有無検出回路出力はカード間信号有りの論理(この例では信号を検出した場合、“L”→“H”への変化)となる。
【0033】
本実施例では、カード間信号の立ち下がりエッジに同期して動作する。信号有無検出回路出力が信号無しから信号有りの状態への論理変化で、タイマー回路102が動作する。図4に示すように、タイマー回路出力は、カード間信号無しから有りへの変化時点から、t2時間、“L”へ変化する。t2の期間、信号有無検出回路出力とタイマー回路出力の論理積で決定する出力停止制御信号は、カード間信号無しの論理、または、タイマー動作有りの論理で、装置出力信号停止の論理(“L”)となり、t2時間経過後、タイマー回路出力は“H”となり、信号有無検出回路出力も“H”であることから、装置出力信号可能の論理(“H”)となる。出力停止制御信号は、図1のカードCの出力停止制御回路を制御し、カードBが挿入されても、t2時間は装置出力信号の出力停止を継続させる。
【0034】
t2は、所要の信号を装置から出力し通常運用出来るようになるまでの過渡的な時間として、任意の値に設定される。適用されるt2の時間設定は、一例として、全てのソフト制御が立ち上がる程度の時間で数秒を想定している。したがって、t1(数ナノ秒)はt2に比べて1×10−9程度に充分小さい値である。
【0035】
図5は、カードCが装置から抜去された時の動作例である。図5の実線部は電源チャージ等によりカードCが抜去されても、カードCの電源が直ちに断とならない過渡期の動作例を示している(カードCの電源電圧がカードC内蔵の大容量コンデンサ等に保持されているか、あるいはカードCがバッテリ駆動される)。カードCが抜去されることにより、カードCに入力されているカード間信号が無くなるため、信号有無検出回路出力がカード間信号無しの論理(この例では信号無しの状態がt1時間継続した場合、“H”→“L”への変化)となる。この時は、信号有りの状態への論理変化で動作するタイマー回路は動作しないため、タイマー回路出力の論理は変化しない(この例では“H”固定)。そのため、信号有無検出回路出力とタイマー回路出力の論理積出力の出力停止制御信号は、信号有無検出回路出力の論理変化があった時点で、装置出力信号可能の論理から装置出力信号停止の論理(この例では信号無しの状態がt1時間継続した場合、“H”→“L”への変化)となり、図1の出力停止制御回路を制御して装置出力信号をカードCの抜去からt1時間後に停止させる。
【0036】
一方、前記の様な電源チャージ等が無い場合は、カードCの電源断により、信号有無検出回路出力、タイマー回路出力の信号波形は、破線a、bで示すように“L”レベルとなり、信号有無検出回路出力とタイマー回路出力の論理積出力も“L”レベルとなり、出力停止制御信号は、装置出力信号停止の論理となる。なお、カードCからの装置出力信号は、これらの論理状態とは関係無く、電源が断となることからも停止される。
【0037】
図6は、カードCが装置に挿入された時の動作例を示す。実線部は電源チャージ等でカードCが抜去されても、カードCの電源がまだ断とならない過渡期の動作として示している。
【0038】
電源チャージ等が無い場合には、カードBの電源断により、破線aで示すように、タイマー回路出力は、初め“L”レベルでカードCの挿入による電源オンで”H”レベルとなるが、この時点では、カード間信号は無しの論理であるため、信号有無検出回路出力とタイマー回路出力の論理積から生成される出力停止制御信号は、電源チャージの有無に関係無く、装置出力信号停止の論理となる。以下の動作は電源が復旧しているため電源チャージの有無に関係無く同様となる。
【0039】
カードCが完全に挿入されることにより、入力されるカード間信号が有りの状態となるため、信号有無検出回路出力がカード間信号有りの論理(この例では、信号を検出した場合、“L”→“H”へ変化)となる。信号有無検出回路出力がカード間信号無しからカード間信号有りの状態へ論理が変化した時点から、タイマー回路102(図2)が動作するため、タイマー回路出力の論理がタイマーの動作時間だけ変化(この例では、信号有りへの論理変化からt2時間のみ“L”への変化)する。
【0040】
信号有無検出回路出力とタイマー回路出力の論理積出力の出力停止制御信号は、タイマー回路102が動作している時間は装置出力信号停止の論理(この例では“L”)となり、その時間経過後は、装置出力信号可能の論理(この例では“H”)となる。それらの論理変化によって、図1の出力停止制御回路10を制御し、カードCの挿入からt2時間のみ装置出力信号を停止させる。
【0041】
図1に例示する出力停止制御回路10の構成例と、図7に示した出力停止制御回路20の構成例とを比較して説明する。
【0042】
本実施例によれば、不用意な信号を停止するための対策を、直接装置出力信号を出力させるカードの出力停止制御回路に限定して行うことを可能とするため、信号導通等で関係している各カードの全てに出力停止制御回路を設ける必要が無くなる。
【0043】
本実施例によれば、出力停止制御回路の機能、構成を簡素化することが出来る。すなわち、図2乃至図6を用いて説明したように、装置のシステム構成が求めるt1とt2の時間を設定するだけで実現することが出来る。このため、図7の構成において必要とされた、自カードが所要の信号を出力可能となったことを検知して出力制御し、自カードからの信号を出力停止させる複雑な制御は不要とされる。
【0044】
装置出力信号を直接出力するカードCでは、そのカードを出力制御するための他カードからの出力制御信号による制御が不要となり、その信号によるカード間信号の接続も不要となる。以上から、出力停止制御回路を設置するのは、一枚のカードCのみでよい。しかも、簡易な制御となるため、客先の要求等への対応を容易化することが出来る。
【0045】
図1では、装置出力信号に関係するカードの構成が3枚の単純な例を示して説明したが、3枚を越える場合でも、本発明の他の実施例として同様に該当可能である。
【0046】
また、図2乃至図6で示した“H“や”L”の論理や、論理回路の構成は適宜変更可能である。更に、図7の出力制御信号は、各カードや装置間で1対1に接続してある例で示しているが、その信号接続が直接装置出力信号を出力させるカードCに集約されていれば、接続方法は問わない。それらの違いによる構成の変化でも、図1や図2に例示した構成と同様の作用効果が得られる。
【0047】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施例の動作例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例の動作例を示す図である。
【図5】本発明の一実施例の動作例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例の動作例を示す図である。
【図7】従来の典型例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
10、20 出力停止制御回路
101 信号有無検出回路
102 タイマー回路
103 論理積回路
104 カード間信号
105 信号有無検出回路の出力信号(信号有無検出回路出力)
106 タイマー回路の出力信号(タイマー回路出力)
107 出力停止制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿抜自在に実装される複数のカードを備え、複数のカード間で一側から他側へカード間信号が順次転送され、他側端部のカードから、装置出力信号を出力する通信装置に実装される出力停止制御回路であって、
前記装置出力信号を出力する前記他側端部のカードに配設され、
前記他側端部のカードの隣のカードからのカード間信号の有無の検出結果に基づき、前記装置出力信号の出力停止を制御する、ことを特徴とする出力停止制御回路。
【請求項2】
前記隣のカードからのカード間信号の少なくとも1つのカード間信号を入力し、前記カード間信号が信号有りから信号無しへの変化を検出したとき、さらにカード間信号無しの状態が所定時間継続する場合に、カード間信号無しと判定し、前記装置出力信号の出力を停止させる制御を行う、ことを特徴とする請求項1記載の出力停止制御回路。
【請求項3】
前記隣のカードからのカード間信号の少なくとも1つのカード間信号を入力し、前記カード間信号が信号無しから信号有りへの変化を検出したとき、さらに所定時間経過後にカード間信号有りの場合に、カード間信号有りと判定し、前記装置出力信号を出力可能に制御する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の出力停止制御回路。
【請求項4】
前記装置出力信号の出力停止を制御する出力停止制御信号を生成する内部信号生成回路を備え、
前記内部信号生成回路は、
前記隣のカードからのカード間信号の少なくとも1つのカード間信号を入力し、前記カード間信号の有無を検出する信号有無検出回路と、
前記信号有無検出回路の出力信号が信号無しから信号有りに変化したときに計時を開始し、タイムアウトまでの間の計時中に所定の値を出力するタイマー回路と、
前記タイマー回路の出力が計時中を示す前記所定の値でなく、且つ、前記信号有無検出回路の検出結果が信号有りを示すとき、前記出力停止制御信号を、前記装置出力信号の出力を可能とする値とし、
前記タイマー回路の出力が計時中を示す前記所定の値であるか、又は、前記信号有無検出回路の検出結果が信号無しのいずれかであるとき、前記出力停止制御信号を、装置出力信号の出力停止の値に設定する論理回路と、
を備えている、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の出力停止制御回路。
【請求項5】
前記信号有無検出回路は、カード間信号有りからカード間信号無しへの変化を検出したとき、引き続き所定時間、カード間信号無しの状態が継続する場合に、前記検出結果をカード間信号無しとする、ことを特徴とする請求項4記載の出力停止制御回路。
【請求項6】
前記タイマー回路で計時される所定の期間が可変に設定自在とされる、ことを特徴とする請求項4記載の出力停止制御回路。
【請求項7】
前記信号有無検出回路の所定期間が可変に設定自在とされる、ことを特徴とする請求項5記載の出力停止制御回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の出力停止制御回路を備えた通信装置。
【請求項9】
挿抜自在に実装される複数のカードを備え、前記複数のカード間で一側から他側へカード間信号が順次転送され、他側端部のカードから、装置出力信号を出力する通信装置の出力停止制御方法であって、
前記装置出力信号を出力する他側端部のカードが、隣のカードからのカード間信号の少なくとも1つのカード間信号の有無の検出結果に基づき、前記装置出力信号の出力停止を制御する、ことを特徴とする出力停止制御方法。
【請求項10】
前記隣のカードからのカード間信号の少なくとも1つのカード間信号について、信号有りから信号無しへの変化を検出したとき、カード間信号無しの状態が所定時間継続する場合に、カード間信号無しと判定し、前記装置出力信号の出力停止を制御する、ことを特徴とする請求項9記載の出力停止制御方法。
【請求項11】
前記隣のカードからのカード間信号の少なくとも1つのカード間信号について、信号無しから信号有りへの変化を検出したとき、さらに所定時間経過後にカード間信号有りの場合に、カード間信号有りと判定し、前記装置出力信号を出力可能に制御する、ことを特徴とする請求項9又は10記載の出力停止制御方法。
【請求項12】
カード間信号の有無を検出し、カード間信号無しからカード間信号有りに変化したときにタイマーで計時を開始し、予め定められた期間を計時し、
前記タイマーが計時動作中でなく、且つ、カード間信号有りのとき、前記装置出力信号の出力を可能とし、
前記タイマーが計時中であるか、又は、前記カード間信号が信号無しのいずれかのとき、前記装置出力信号の出力を停止とする、ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の出力停止制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−98582(P2010−98582A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268612(P2008−268612)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】