説明

出力装置、システム、制御方法、プログラム

【課題】 識別子(ID)を印刷物に書き込むための二次元コード内の領域が必要であった。
【解決手段】 出力装置であって、
前記出力装置を示す情報、前記出力装置での画像の出力時刻を示す情報、前記画像の出力時のページ番号及び部数番号を示す情報を符号化して二次元コードを生成する生成手段と、前記生成された二次元コードを前記画像に含める合成手段と、前記二次元コードの含められた画像を出力する出力手段と、を有することを特徴とする出力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力装置、システム、制御方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
1枚1枚の印刷物を識別するためのIDをその印刷物に印刷する技術が特願2010−202118として提案されている。公開前のため公知ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−202118
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載された技術では、IDを印刷物に書き込むための二次元コード内の領域が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本願の出力装置は、前記出力装置を示す情報、前記出力装置での画像の出力時刻を示す情報、前記画像の出力時のページ番号及び部数番号を示す情報を符号化して二次元コードを生成する生成手段と、前記生成された二次元コードを前記画像に含める合成手段と、前記二次元コードの含められた画像を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、識別子を印刷物に書き込むための二次元コード内の領域が必要なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る文書管理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】文書管理システムを構成するPC及びサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】文書管理システムを構成するMFPのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】本文書管理システムのソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図5】符号画像の付された原稿の一例を示す図である。
【図6】MFPにおけるコピー処理時の流れを示したフローチャートである。
【図7】デコード処理によって得られた埋め込み情報の一例を示す図である。
【図8】更新された埋め込み情報の一例を示す図である。
【図9】PCからの画像データを基にMFPにおいて印刷処理を行う際の流れを示したフローチャートである。
【図10】MFPからサーバへ送られる埋め込み情報の一例を示す図である。
【図11】サーバが生成するデータテーブルの一例を示す図である。
【図12】サーバが追跡を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】追跡対象とその追跡結果リストの一例を示す図である。
【図14】サーバが追跡を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】追跡対象とその追跡結果リストの一例を示す図である。
【図16】サーバが後方追跡を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】後方追跡対象とその追跡結果リストの一例を示す図である。
【図18】サーバが全追跡を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】全追跡の処理結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る文書管理システム100の構成の一例を示す図である。
【0010】
文書管理システム100は、PC101、MFP102/103およびサーバ104で構成され、LAN等のネットワーク105を介して相互に接続されている。
【0011】
PC101は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であって、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、外部記憶装置、ネットワークインターフェース、ディスプレイ、キーボード、マウス等を備える。
【0012】
MFP102/103は、スキャナ機能、複写機能、印刷機能、送信機能等を搭載する画像形成装置としての複合機(Multifunction Peripheral)である。なお、画像形成装置は、画像をメモリ上あるいは紙上に形成できるものであればよく、MFPに限られない。また、図1の文書管理システムにおいては2台のMFP102/103を含んでいるが、1台でもよいし或いは3台以上でもよい。
【0013】
サーバ104は、PC101及びMFP102/103から送られた各種ファイルやデータ等を格納する情報処理装置である。
【0014】
(ハードウェア構成)
図2は、PC101及びサーバ105のハードウェア構成の一例を示す図であり、図3は、MFP102/103のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0015】
図2において、CPU200は、ROM202のプログラム用ROMに記憶された、或いはハードディスク209からRAM201にロードされたOSやアプリケーション等のプログラムを実行する。RAM201は、CPU200の主メモリ、ワークエリア等として機能する。キーボードコントローラ203は、キーボード207や図示しないポインティングデバイスからのキー入力を制御する。ディスプレイコントローラ204は、各種ディスプレイ208の表示を制御する。ディスクコントローラ205は、各種データを記憶するハードディスク(HD)209やフロッピー(登録商標)ディスク(FD)等におけるデータアクセスを制御する。NC206はネットワークに接続されて、ネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。
【0016】
図3において、CPU300はMFP102/103を統括的に制御するプロセッサであって、内部バス307を介して接続された各部を制御するものである。表示部301は、タッチパネルなどの画像表示装置で構成され、ユーザは、表示部301に表示される画面を介して複写指示などを行う。スキャナ部302は、原稿をスキャンして画像データを取得する機能を有する。プリンタ部303は、紙等の記録媒体上に画像を印字する機能を有する。メモリ304は、CPU300がMFP102/103を制御するために実行する各種命令(アプリケーションプログラム含む)を記憶し、大容量記憶部305には、スキャナ部302でスキャンされた画像データが一時保存される。ネットワークインターフェース306は、CPU300に従いネットワーク105を介して各種データ等の送受信を行う。
【0017】
(ソフトウェア構成)
図4は、文書管理システムのソフトウェア構成の一例を示す図である。破線は、MFP102/103及びサーバ104をそれぞれ示している。なお、このソフトウェア構成は、各装置のCPUが、各装置内の各種記憶装置(RAM、外部メモリ、大容量記憶装置、メモリ等)におけるプログラムを処理することにより実現されている。
【0018】
まず、MFP102/103について説明する。
【0019】
制御部400は、MFP102/103の全体を制御し、後述の各部に対する指示、管理を行う。
【0020】
データ送受信部401は、サーバ104とのデータ等の送受信処理を行う。なお、ここでは省略されているが、PC101とのデータ等の送受信処理も行う。なお、受信のことを取得と呼ぶこともある。
【0021】
スキャン処理部402は、UIを介して与えられたユーザの操作指示に基づき、原稿読取台にセットされた原稿をスキャナ部302にスキャンさせ、スキャン結果である所の画像データを取得する処理を行う。
【0022】
コード検出部403は、スキャンによって取得された画像データからQRコード(登録商標)を検出する処理を行う。なお、本明細書においては、原稿に付される符号画像として、代表的な二次元コードであるQRコード(登録商標)を例に説明するがこれに限られない。例えば、一次元コードや電子透かしといった、文書管理や複写制限等を目的として特定の情報をコード化した画像を原稿に付加する技術に対し本発明は広く適用することができる。また、本明細書においては、「原稿」を、文字や図形等で構成される特定の情報が印字された印刷物や複写物などを指す用語として使用するものとする。そして、本明細書においては、「コンテンツ」を印刷物や複写物上の文字や図形等で構成される特定の情報そのものを指す用語として使用するものとする。これは例えば、ある印刷物Aとその複写物Bは、それぞれ別の原稿として区別されるが、そこに含まれる文字や図形等は同じであるため、コンテンツとしては同一であることを意味する。
【0023】
デコード部404は、検出されたQRコード(登録商標)を復号化(デコード)して埋め込み情報を抽出する処理を行う。
【0024】
埋め込み情報更新部405は、埋め込み情報を更新して複写原稿に付される新たな埋め込み情報を生成する処理を行う。更新対象となる埋め込み情報が存在しない場合(例えば、コピー元の原稿にQRコード(登録商標)が付加されていなかったときなど)には、新規に埋め込み情報を生成する処理も行う。
【0025】
エンコード部406は、更新(或いは新規に生成)された埋め込み情報を符号化(エンコード)して符号画像としてのQRコード(登録商標)を生成する処理を行う。
【0026】
画像合成部407は、印字対象の画像データと、符号化処理によって生成されたQRコード(登録商標)とを合成する処理を行う。
【0027】
印刷処理部408は、印刷処理、すなわち、合成処理によって得られた合成画像データを紙等の記録媒体上に画像として形成する処理をプリンタ部303に行わせる。
【0028】
追跡情報生成部409は、デコード部404が抽出した埋め込み情報と、埋め込み情報更新部405が生成した新たな埋め込み情報をもとに、印刷物の使用履歴を追跡するための情報として追跡情報を生成する。なお、後述するように、埋め込み情報と追跡情報は同じ情報であることもあるが、本明細書では、別々の名前となっている。このうち、埋め込み情報は、QRコード(登録商標)に含まれる、あるいは、含められることになる、あるいは、含まれていた情報となっており、追跡情報は、情報を保存する装置(例、サーバ)で保存され、後の追跡処理に供される情報となっている。
【0029】
次に、サーバ104について説明する。
【0030】
制御部410は、サーバ104の全体を制御し、後述する各部に対する指示、管理を行う。
【0031】
データ送受信部411は、MFP102/103とのデータ等の送受信処理を行う。なお、図4では省略されているが、データ送受信部411はPC101とのデータ等の送受信処理も行う。
【0032】
追跡情報保存処理部412は、制御部410の指示に基づいて、MFP102/103から受け取った追跡情報を登録する際に必要な各種の処理を行う。
【0033】
データ書込部413は、制御部410の指示に基づいて、追跡情報以外の各種データを不図示のハードディスク等に書き込み、保存する処理を行う。
【0034】
データ読出部414は、制御部410の指示に基づいて、不図示のハードディスク等から追跡情報を含む各種データを読み出す処理を行う。
【0035】
追跡情報検索部415は、制御部410の指示に基づいて、データ送受信部411が受信した検索情報をもとに保存された追跡情報の検索に必要な各種の処理を行う。
【0036】
<符号画像の付された原稿の説明>
図5は、本発明においてスキャン対象となる、符号画像の付された原稿の一例を示す図である。
【0037】
原稿501には、埋め込み情報を符号化して得られた符号画像としてのQRコード(登録商標)502が印刷されている。QRコード(登録商標)は記録媒体上の所定の領域、本実施形態においては、原稿501内の左上隅、左下隅、右上隅、右下隅に設けられた矩形領域503内のうちの何れかの領域に印字され、該領域を対象にQRコード(登録商標)の検出処理が行われる。なお、矩形領域の一辺の長さは例えば縦横それぞれ30mmである。もちろん、QRコード(登録商標)が印字可能な領域は、この例に限られるものでなく、その位置、形状、大きさは任意に設定可能である。
【0038】
そして、埋め込み情報には、例えば、以下の情報が含まれるものとする。
【0039】
・原稿の部数番号
・原稿のページ番号
・原稿の出力を指示した直近のユーザを特定するためユーザ情報(Latestのユーザ情報)
・そのコンテンツについて最初に出力を指示したユーザを特定するためのユーザ情報(Originalのユーザ情報)
・原稿の出力をおこなった日時を特定するための日時情報
・原稿の出力をおこなったMFPを特定するための機器情報
もちろん、埋め込み情報の内容はこれらに限るものでなく、たとえば、出力の種類情報(PCから送信された画像データの印刷なのか、原稿読取台を用いたコピーなのかといった情報)なども必要に応じて追加してもよい。また、原稿の出力をおこなったMFPを特定するための機器情報だけでなく、そのコンテンツを最初に出力した機器を特定するための情報を別途追加しても良い。この場合には、前者はLatestの機器情報、後者はOriginalの機器情報となる。
【0040】
なお、そのコンテンツについて最初に原稿の出力をおこなったというのは、より正確には、そのコンテンツに対してQRコード(登録商標)を付けて出力したのが初めてであるという意味である。
【0041】
ここで、部数番号とは、印刷および複写処理においてその原稿が何部目として出力されたかを示す情報である。また、ページ番号とは、印刷および複写処理においてその原稿が何ページ目として出力されたかを示す情報である。たとえば、3ページから成る文書を2部印刷した場合、出力される6枚の印刷物に埋め込み情報として書き込まれる部数番号およびページ番号は以下のようになる。
【0042】
・印刷物1:部数番号=1、ページ番号=1
・印刷物2:部数番号=1、ページ番号=2
・印刷物3:部数番号=1、ページ番号=3
・印刷物4:部数番号=2、ページ番号=1
・印刷物5:部数番号=2、ページ番号=2
・印刷物6:部数番号=2、ページ番号=3
したがって、一回の印刷および複写において、出力される印刷物のうち部数番号とページ番号の組み合わせが同一になるものはない。
【0043】
なお、両面に印刷された印刷物の場合、それぞれの面に異なるページ番号が書き込まれる。
【0044】
<MFP102/103における処理の説明>
MFP102/103における処理について、まず、コピー処理の場合の概要を説明する。
【0045】
図6は、MFP102/103におけるコピー処理時の流れを示したフローチャートである。なお、本実施形態においては、メモリ204に格納されたアプリケーション(プログラム)がユーザの操作指示で起動し、CPU300がこれを実行することにより以下の各ステップが実現される。
【0046】
ユーザがMFP102/103の原稿読取台にコピー元となる原稿をセットし、不図示の印刷指示ボタンを押下すると、ステップ601において、スキャン処理部402は、MFP102/103の原稿読取台上にセットされた原稿のスキャンをスキャナ部302に行わせる。これにより、1の画像データが取得される。なお、スキャン対象となる原稿を「元原稿」と呼ぶが、元原稿自体が複写物である場合もあり得る(以前にコピーされた複写原稿をさらにコピーする場合など)。
【0047】
ステップ602において、コード検出部403は、取得した画像データからQRコード(登録商標)を検出する。すなわち、取得した画像データの上述した四隅の矩形領域を対象にQRコード(登録商標)の有無をチェックする。QRコード(登録商標)が検出されればステップ603に進む。
【0048】
ステップ603において、デコード部404は、検出されたQRコード(登録商標)をデコードする。すなわち、QRコード(登録商標)を復号化して埋め込み情報を抽出する処理を行う。図7は、デコード処理によって抽出された埋め込み情報(第1の情報)の一例を示している。図7の例では、元原稿の印刷を指示したユーザのユーザ情報「Suzuki」、元原稿を出力した日時の日時情報「2008年1月30日9時53分13秒」、元原稿の部数番号「1」、元原稿のページ番号「2」、元原稿を出力したMFPの機器情報「MPF−0001」が抽出されている。なお、「Latestのユーザ情報」欄が空白なのは、この原稿がこのコンテンツを最初に印刷した原稿であって、未だ誰にもコピーされたことがないオリジナルの原稿であることを示している。もし元原稿が誰かによってコピーされたことがある原稿である場合には、直近にコピーを行ったユーザのユーザ情報が「Latestのユーザ情報」欄に示されることになる。また、機器情報は装置情報と呼ばれることもある。この装置情報(つまり、機器情報)には、例えば、その装置を製造した製造メーカ(ベンダ)を識別する情報と、その装置のシリアル番号の両方が含まれている。
【0049】
ステップ604において、埋め込み情報更新部405は、デコードに成功し、埋め込み情報を抽出できたかどうかを判定する。埋め込み情報を抽出できた場合にはステップ605に進む。QRコード(登録商標)の汚れ等によってデコードできなかった場合には、ステップ606に進む。
【0050】
ステップ605において、埋め込み情報更新部405は、ステップ603で抽出された埋め込み情報(第1の情報)を更新する。具体的には、元原稿を作成したユーザのユーザ情報(即ち、抽出により「Originalのユーザ情報」として得られた情報)を「Originalのユーザ情報」として残しつつ、今回コピーを指示したユーザのユーザ情報を「Latestのユーザ情報」とする。もし、ステップ603で抽出した埋め込み情報の中に「Latestのユーザ情報」が含まれていた場合には、今回コピーを指示したユーザのユーザ情報を「Latestのユーザ情報」とするために、これは消されることとなる。
【0051】
そして、今回のコピーの日時情報と、コピーした部数、ページ数に基づき出力する複写原稿に対応する部数番号とページ番号を割り当て、埋め込み情報の内容を更新する。
【0052】
図8の(a)は、本ステップにおいて更新された、図7に示す埋め込み情報の更新後の内容(第2の情報)の一例を示している。コピーを行なったユーザのユーザ情報「Tanaka」が「Latestのユーザ情報」欄に、元原稿を作成したユーザのユーザ情報「Suzuki」が「Originalのユーザ情報」欄に入っている。また、「Tanaka」によるコピーの日時が「2008年9月21日14時33分50秒」であり、出力される複写原稿の部数番号とページ番号がそれぞれ「2」と「1」であり、「MFP−0002」でコピーされたことが分かる。
【0053】
なお、埋め込み情報の更新のやり方として、Originalのユーザ情報以外にOriginalの情報が含まれている場合にはそれも残していく形であってもよい。図8の(b)は、このようなタイプの埋め込み情報の一例であり、Originalがその元原稿を最初に出力されたときの埋め込み情報、Latestが今回のコピーに関する情報を示している。
【0054】
一方、ステップ602でQRコード(登録商標)が検出できなかった場合及びステップ604でデコードに失敗した場合には、ステップ606において、埋め込み情報更新部405は、コピー処理によって出力される原稿に新たに埋め込むための新規の埋め込み情報を生成する。図8の(c)は、本ステップで生成される新規の埋め込み情報の一例である。新規に生成されるため、今回コピーを指示したユーザのユーザ情報「Tanaka」は、「Latestのユーザ情報」欄ではなく、「Originalのユーザ情報」欄に入れられている。
【0055】
ステップ607において、エンコード部406は、ステップ605で更新された埋め込み情報(第2の情報)或いはステップ606で新たに生成された埋め込み情報をエンコードしてQRコード(登録商標)を生成する処理を行う。
【0056】
ステップ608において、画像合成部407は、生成したQRコード(登録商標)とステップ601で得られた画像データとを合成する。その結果、元原稿にQRコード(登録商標)が付されていた場合には埋め込み情報の中身が更新されたQRコード(登録商標)(この場合、元原稿にQRコード(登録商標)が付されていた位置に、更新されたQRコード(登録商標)が付されるので、元原稿に付されていたQRコード(登録商標)は消えることになる。)、元原稿にQRコード(登録商標)が付されていなかった場合には新規に生成されたQRコード(登録商標)の合成された合成画像データが生成される。
【0057】
ステップ609において、追跡情報生成部409は、ステップ602でQRコード(登録商標)の検出に成功し、かつステップ604でデコード成功と判定した場合は、ステップ603で抽出された埋め込み情報(第1の情報)と、ステップ605で更新された埋め込み情報(第2の情報)をもとに、追跡情報を生成する。具体的には、第1の情報を入力追跡情報、第2の情報を出力追跡情報として、これら入力追跡情報と出力追跡情報を両方含む追跡情報を生成する。一方、ステップ602でQRコード(登録商標)の検出に失敗するか、ステップ604でデコード失敗と判定した場合は、ステップ606で新たに生成された埋め込み情報をもとに、追跡情報を生成する。具体的には、入力追跡情報が空、この新たに生成された埋め込み情報を出力追跡情報として、これら入力追跡情報と出力追跡情報を両方含む追跡情報を生成する。追跡情報の詳細は図10の説明として後述する。
【0058】
ステップ610において、追跡情報生成部409は、ステップ609で生成した追跡情報を大容量記憶部305に記録する。記録された追跡情報は、後にデータ送受信部401が所定のタイミング(一定時間ごとや、一定量ごとなど)でサーバ104に送信する。なお、追跡情報を大容量記憶部305に記録せず、コピー処理ごとに適時サーバに送信する方法でもよい。また、MFPがサーバ104に送信するのではなく、サーバ104または不図示の外部アプリケーションがMFPへアクセスして追跡情報を取得しても構わない。
【0059】
ステップ611において、印刷処理部408は、生成された合成画像データに基づいて紙等の記録媒体上に画像を形成し出力する。印字出力された複写原稿は、不図示の排紙トレイより排紙される。なお、コピー処理を優先するため、ステップ609の追跡情報生成処理およびステップ610の追跡情報記録処理よりも先に、あるいは並行してステップ611のコピー処理を実行してもよい。
【0060】
次に、PC101から受け取った画像データを基に印刷処理を行う場合の概要を説明する。
【0061】
図9は、PC101から受け取った画像データを基にMFP102/103において印刷処理を行う際の流れを示したフローチャートである。なお、図6の場合と同様、メモリ204に格納されたアプリケーション(プログラム)がユーザの操作で起動し、CPU300がこれを実行することにより以下の各ステップが実現される。
【0062】
ユーザがPC101において印刷を指示すると、ステップ901において、データ送受信部401は、PC101から画像データを受信する。なお、ここでは、受け取った画像データはラスタライズ等がなされた印刷に適した状態の画像データ(ビットマップデータ)であるものとして説明を行う。受け取った画像データがPDLデータである場合には、不図示の画像処理部にて、PDLデータの解釈、ラスタライズといった印刷処理に適した画像データへと加工する処理が後述のステップ902及び903と並行して実行される。
【0063】
ステップ902において、埋め込み情報更新部405は、印刷出力される原稿に埋め込むための埋め込み情報、例えば、今回印刷指示を行ったユーザのユーザ情報、今回の印刷出力の日時情報、出力原稿に対応する部数番号とページ番号の各情報を生成する。
【0064】
ステップ903において、エンコード部406は、ステップ902で生成された埋め込み情報をエンコードし、QRコード(登録商標)を生成する。
【0065】
ステップ904において、画像合成部407は、生成したQRコード(登録商標)とステップ901で受け取った画像データ(印刷に適した画像データ)とを合成し、QRコード(登録商標)の付加された合成画像データを生成する。
【0066】
ステップ905において、追跡情報生成部409は、ステップ902で新たに生成された埋め込み情報をもとに、追跡情報を生成する。追跡情報の詳細は図10の説明として後述する。
【0067】
ステップ906において、データ送受信部411は、ステップ905で生成した追跡情報を大容量記憶部305に記録する。記録した追跡情報は、後にデータ送受信部401がサーバ104に送信する。なお、追跡情報の記録方法およびサーバ104への送信方法はステップ610と同様であるため、説明は省略する。
【0068】
ステップ907において、印刷処理部408は、生成された合成画像データを記録媒体上に画像として形成して出力する。出来上がった印刷原稿は、不図示の排紙トレイより排紙される。なお、印刷処理を優先するため、ステップ905の追跡情報生成処理およびステップ906の追跡情報記録処理よりも先に、あるいは並行してステップ907の印刷を実行してもよい。
【0069】
次に、コピー処理および印刷処理において、MFP102やMFP103が生成する追跡情報の概要を説明する。
【0070】
図10の(a)〜(c)は、MFP102やMFP103が生成する追跡情報の一例を示している。同図に示す追跡情報は、大きく分けて「入力追跡情報」と「出力追跡情報」から構成される。「入力追跡情報」の欄は、ユーザの操作指示がコピー指示の場合に、ステップ603で抽出した元原稿の埋め込み情報(第1の情報)となる。したがって、ユーザの操作指示が印刷指示である場合や、コピー指示ではあるけれども元原稿からのQRコード(登録商標)の検出や検出されたQRコード(登録商標)のデコードに失敗した場合には、「入力追跡情報」の欄は空白となる。
【0071】
また、「出力追跡情報」の欄は、ユーザの操作指示がコピー指示の場合で、かつ元原稿からのQRコード(登録商標)の検出処理および検出されたQRコード(登録商標)のデコードに成功した場合は、ステップ605で更新された埋め込み情報(第2の情報)となる。また、ユーザの操作指示がコピー指示ではあるけれども元原稿からのQRコード(登録商標)の検出や検出されたQRコード(登録商標)のデコードに失敗した場合は、「出力追跡情報」の欄は、ステップ606で新規に生成された埋め込み情報となる。一方、ユーザの操作指示が印刷指示である場合は、「出力追跡情報」の欄は、ステップ902で生成した埋め込み情報となる。
【0072】
以下、図10の(a)〜(c)のそれぞれについて説明する。
【0073】
まず、図10の(a)は、ユーザ「Suzuki」が、「2008年1月30日9時53分13秒」に、PC等から「MFP−0001」に対して印刷指示した際に、「MFP−0001」の追跡情報生成部409で生成された追跡情報である。また(a)は、1部目の2ページ目に関する追跡情報である。PC等から送信された画像データに基づいて印刷された原稿であるので、QRコード(登録商標)の検出は行われず、「入力追跡情報」の欄は空白である。また、「出力追跡情報」の欄の「ユーザ情報」、「日時情報」、「部数番号」、「ページ番号」、「機器情報」は、それぞれ図7の埋め込み情報の「Originalのユーザ情報」、「日時情報」、「部数番号」、「ページ番号」、「機器情報」と一致している。なお、他の部数番号や他のページ番号を持ったページに関しても同様の追跡情報が生成される(図11を参照)。
【0074】
同(b)は、上記(a)の追跡情報が生成されたときに印刷した原稿を、ユーザ「Tanaka」が「2008年9月21日14時33分50秒」に、「MFP−0002」に対してコピー指示した際に、「MFP−0002」の追跡情報生成部409で生成された追跡情報である。「入力追跡情報」の欄には、更新前の埋め込み情報(元原稿の埋め込み情報)が記載されている。これは、コピー時に元原稿のQRコード(登録商標)の検出及びデコード処理が問題なく出来たことを示している。また、(b)の「入力追跡情報」は上記(a)の「出力追跡情報」と同一になる。なお、(b)の「出力」の欄の「ユーザ情報」、「日時情報」、「部数番号」、「ページ番号」、「機器情報」は、それぞれ図8の(a)の埋め込み情報の「Latestのユーザ情報」、「日時情報」、「部数番号」、「ページ番号」、「機器情報」と一致している。
【0075】
同(c)は、上記(b)の追跡情報が生成されたときに印刷した原稿を、ユーザ「Ueda」が「2010年8月8日11時24分20秒」に、「MFP−0003」に対してコピー指示した際に、「MFP−0003」の追跡情報生成部409で生成された追跡情報である。「入力追跡情報」の欄には、更新前の埋め込み情報(元原稿の埋め込み情報)が記載されている。すなわち、(c)の「入力追跡情報」は上記(b)の「出力追跡情報」と同一になる。
【0076】
<サーバ104における処理の説明>
本実施形態においてサーバ104は、MFP102/103から受け取った追跡情報を保存する。以下、詳しく説明する。
【0077】
サーバ104のデータ送受信部411が、MFP102/103から追跡情報を受け取ると、制御部410によって追跡情報保存処理部412に送られる。
【0078】
図11は、追跡情報保存処理部412において作成されるデータテーブルの一例を示す図である。データテーブルは、追跡情報を生成するMFPごとに分けて作成している。このようにMFPごとにデータテーブルを分割しておくことにより、追跡情報検索部415が追跡を行う際に、追跡要求に含まれる機器情報に基づき検索すべきデータテーブルを限定することができるため、追跡処理を効率的に行うことができる。なお、追跡処理の詳細については図12および図13で説明する。
【0079】
図11の例では、(a)〜(c)の3つのデータテーブルが作成されているため、3つのMFPから追跡情報を受け取ったことを示している。図11の「入力ユーザ情報」、「入力日時情報」、「入力部数番号」、「入力ページ番号」、「入力機器情報」は、図10の「入力追跡情報」に対応している。同様に、図11の「出力ユーザ情報」、「出力日時情報」、「出力部数番号」、「出力ページ番号」、「出力機器情報」は、図10の「出力追跡情報」に対応している。なお、機器情報は装置情報と呼ぶこともある。
【0080】
図11の(a)は、「MFP−0001」の追跡情報生成部409で生成された追跡情報が保存されているデータテーブルである。したがって、(a)に保存されている追跡情報の「出力機器情報」の欄は、すべて「MFP−0001」となっている。「No」は、データテーブル内で追跡情報を一意に識別するための識別子であり、本実施例ではデータテーブルごとに連番、すなわちそのデータテーブルに追跡情報が保存された順番としている。
【0081】
(a)において、No1〜3の追跡情報は出力日時情報が同一である。これは、No1〜3の追跡情報が1回の印刷命令で生成されたものであることを示している。すなわち、No1〜3の追跡情報は、「MFP−0001」において「2008年1月30日9時53分13秒」にユーザ「Suzuki」が、3ページから成る文書を1部印刷したことを示している。同様に、No4〜5の追跡情報は、「MFP−0001」において「2008年1月30日10時7分21秒」にユーザ「Baba」が、1ページの元原稿を2部コピーしたことを示している。また、このときの元原稿は、「MFP−0001」において「2008年1月27日14時22分9秒」にユーザ「Aoki」が印刷あるいはコピーした原稿のうち、1部目の3ページ目の原稿であることを示している。
【0082】
同(b)は、「MFP−0002」の追跡情報生成部409で生成された追跡情報が保存されているデータテーブルである。したがって、(b)に保存されている追跡情報の「出力機器情報」の欄は、すべて「MFP−0002」となっている。(b)において、No100〜101の追跡情報は、「MFP−0002」において「2008年9月21日14時33分50秒」にユーザ「Tanaka」が、1ページの元原稿を2部印刷したことを示している。また、このときの元原稿は、「MFP−0001」において「2008年1月30日9時53分13秒」にユーザ「Suzuki」が印刷あるいはコピーした原稿のうち、1部目の2ページ目の原稿であることを示している。ここで注目して頂きたいのは、No100とNo101の出力日時情報が同時刻になっている点である。厳密にいえば、両者は夫々違う紙への印刷なので同時刻であるはずがない。しかし、両者を同時刻としておくことによって、後に、問題の原稿が何部印刷されたかわかるようになる。そこで、本明細書では同時刻としている。ページについても同様である。(a)のNo1−3で、同時刻が記載されていることがわかる。このように、本願で言う日時というのは、印刷あるいはコピーがなされた時の厳密な時刻を指しているわけではない。あるページが印刷される際の、あるいはそれより少し前の、あるいはそれより少し後の時刻がそのページの出力日時情報として記されることになる。これは、追跡情報の場合だけではなく、埋め込み情報の場合も同じである。
【0083】
同(c)は、「MFP−0003」の追跡情報生成部409で生成された追跡情報が保存されているデータテーブルである。(c)において、No2349の追跡情報は、「MFP−0003」において「2010年8月8日11時24分20秒」にユーザ「Ueda」が、1ページの元原稿を1部印刷したことを示している。また、このときの元原稿は、「MFP−0002」において「2008年9月21日14時33分50秒」にユーザ「Tanaka」が印刷あるいはコピーした原稿のうち、2部目の1ページ目の原稿であることを示している。
【0084】
なお、図10の(a)の追跡情報は、図11の(a)のNo2の追跡情報に対応している。同様に、図10の(b)の追跡情報は、図11の(b)のNo101の追跡情報に対応している。また、図10の(c)の追跡情報は、図11の(c)のNo2349の追跡情報に対応している。
【0085】
図11で保存した追跡情報を基に、サーバ104において追跡処理を行うことが可能となる。以下、追跡処理について説明を行う。
【0086】
図12は、サーバ104の追跡情報検索部415が追跡を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。本実施例では、ユーザが追跡対象とする原稿を原稿読取台上にセットし、表示部301に表示された不図示の追跡実行ボタンを押下することで追跡指示を出すことを想定している。MFPは、ユーザの追跡指示により追跡対象の原稿をスキャンして埋め込み情報を抽出し、その埋め込み情報を追跡要求としてサーバ104に送信する。
【0087】
ステップ1201において、データ送受信部411は、MFP102/103から追跡要求を受信する。この追跡要求には、追跡対象の原稿をMFP102/103でスキャンして抽出した埋め込み情報が含まれている。もちろん、追跡要求の受信方法はこれに限定したものではなく、サーバ104にデコード機能(不図示)を具備し、デコードする前のQRコード(登録商標)の画像そのものを受信してからサーバ上で埋め込み情報を抽出しても良い。また、追跡要求元の機器もMFPに限定するものではなく、カメラを具備した携帯端末やPC101で動作するアプリケーション(いずれも不図示)などでも良い。このように埋め込み情報を受信しても、抽出しても、いずれも埋め込み情報を取得していることにはかわりない。
【0088】
ステップ1202において、追跡情報検索部415は、ステップ1201で受信した追跡要求を検索結果リストに追加する。
【0089】
ステップ1203において、追跡情報検索部415は、ステップ1201で受信した追跡要求から、検索対象のデータテーブルを決定する。具体的には、ステップ1201で受信した追跡要求に含まれる機器情報と同一の機器情報のデータテーブルを検索対象とする。
【0090】
ステップ1204において、追跡情報検索部415は、ステップ1203で決定したデータテーブル内から、追跡要求に合致する「出力追跡情報」を持つ追跡情報を検索する。具体的には、データテーブル内の「出力日時情報」「出力部数番号」、「出力ページ番号」が、追跡要求の「日時情報」、「部数番号」、「出力ページ番号」と合致するものを検索する。
【0091】
ステップ1205において、追跡情報検索部415は、ステップ1203で決定した対象データテーブル内に追跡要求と合致する追跡情報が存在するかどうかを判定する。合致する追跡情報が存在する場合、ステップ1206に進む。合致する追跡情報が存在しない場合、追跡が中断されたことを示すためステップ1209に進む。
【0092】
ステップ1206において、追跡情報検索部415は、ステップ1204で合致した追跡情報の「入力追跡情報」が空白であるかどうかを判定する。「入力追跡情報」が空白の場合、追跡が完了したことを示すためステップ1208に進む。「入力追跡情報」が空白でない場合、ステップ1207に進む。
【0093】
ステップ1207において、追跡情報検索部415は、合致した追跡情報の入力追跡情報を次の追跡要求として設定し、新たに設定された追跡要求にもとづきステップ1202に戻って追跡処理を続行する。
【0094】
ステップ1208において、追跡情報検索部415はデータ送受信部411を経由して、追跡成功を示す情報とともに追跡結果リストをMFP102/103に送信する。
【0095】
ステップ1209において、追跡情報検索部415はデータ送受信部411を経由して、追跡失敗を示す情報とともに追跡結果リストをMFP102/103に送信する。
【0096】
もちろん、追跡結果リストはMFP102/103で表示されることになる。
【0097】
図13は追跡対象とその追跡結果リストの一例を示す図である。(a)は、サーバ104がステップ1201で受信した追跡要求に含まれる、追跡対象の原稿の埋め込み情報である。(b)は、ステップ1208で送信した追跡結果リストである。以下、(a)の追跡要求をもとに(b)の追跡結果リストが作成される過程を説明する。
【0098】
追跡結果リストは、追跡処理の開始時は空である。まず、ステップS1201で追跡要求を受信後、ステップ1202において、追跡結果リストの使用履歴「1」の行に、(a)の埋め込み情報に基づき追跡情報を追加する。ステップ1203では、追跡要求に含まれる機器情報をもとに、「MFP−0003」のデータテーブルが検索対象として決定される。すなわち、図11の例では(c)のデータテーブルが検索対象として決定される。
【0099】
ステップ1204では、「MFP−0003」のデータテーブル内において、日時情報「2010年8月8日11時24分20秒」、部数番号「1」、ページ番号「1」の出力情報を持つ追跡情報を検索する。図11の(c)の例では、No「2349」の追跡情報がこの条件に合致する。
【0100】
次に、合致した追跡情報の入力追跡情報に基づき、ステップ1207において次の追跡要求を設定し、ステップ1202に戻る。したがって、ステップ1202において、図11の(c)のNo「2349」の入力追跡情報を、図13の(b)の使用履歴「2」の行に追加する。また、ステップ1203では次の検索対象のデータテーブルは「MFP−0002」と決定される。そして、ステップ1204では、図11の(b)に示す「MFP−0002」のデータテーブル内から、日時情報「2008年9月21日14時33分50秒」、部数番号「2」、ページ番号「1」の出力情報を持つ追跡情報を検索する。図11の(b)の例では、No「101」の追跡情報がこの条件に合致する。
【0101】
この合致した追跡情報の入力追跡情報に基づき、ステップ1207において次の追跡情報を設定する。以降、同様の処理により、ステップ1202において図13の(b)に使用履歴「3」の行が追加され、ステップ1204において図11の(a)のNo「2」の追跡情報が合致する。ここで、合致した追跡情報の入力追跡情報が空白のため、ステップ1206の判定からステップ1208に進み、追跡処理を完了する。
【0102】
図14は、サーバ104の追跡情報検索部415が複製情報も含めて追跡を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。複製情報とは、追跡対象である原稿が複数部数印刷されたことを示す情報である。図14中のステップ1201〜ステップ1209は図12に示すものと同一であるため、図12と異なる手順であるステップ1401〜ステップ1402についてのみ説明する。
【0103】
ステップ1401において、追跡情報検索部415は、ステップ1204で合致した追跡情報に複製情報が存在するかどうかを判定する。具体的には、合致した追跡情報の「出力追跡情報」に、同一の文書が複数部数印刷されている履歴が記録されているかどうかを判定する。同一の文書が複数部数印刷されているかどうかは、「出力追跡情報」のうち「出力ユーザ情報」、「出力日時情報」、「出力ページ番号」、「出力機器情報」が同一で、「出力部数番号」のみが異なる履歴が存在するかどうかで判断する。合致した追跡情報と同一の文書が複数部数印刷されている場合はステップ1402に進む。「入力追跡情報」が空白でない場合、ステップ1206に進む。
【0104】
ステップ1402において、追跡情報検索部415は、ステップ1401で検出した複製情報を検索結果リストに追加する。
【0105】
図15は追跡対象とその追跡結果リストの一例を示す図である。(b)の追跡結果リストに複製情報が含まれている以外は図13と同一であるため、複製情報についてのみ説明する。
(a)の埋め込み情報に基づき、図14のフローチャートに従って追跡情報を検索すると、はじめてステップ1207に到達した段階で、図15の(b)には使用履歴「1」の行と書き込まれている。このとき、ステップ1207において図11の(c)のNo「2349」の入力追跡情報が次の追跡要求として設定され、次にステップ1202において図11の(c)のNo「2349」の入力追跡情報を、図15の(b)の使用履歴「2」の行に追加する。そして、ステップ1204では、追跡要求に合致する追跡情報として図11の(b)のNo「101」の追跡情報が検索される。ここで、図11の(b)のNo「100」の出力追跡情報に注目すると、No「101」の出力追跡情報と異なるのは部数番号だけである。すなわち、No「100」の追跡情報とNo「101」の追跡情報は、同一の原稿を複数部数印刷した際のそれぞれの部数番号に対応する追跡情報である。したがってステップ1401において、No「100」の追跡情報は、No「101」の追跡情報の複製情報であると判断する。
【0106】
これにより図15の(b)では、使用履歴「2」の行に続いて、その複製情報が使用履歴「2の複製1」の行として記録されている。これは、ステップ1402において記録された複製情報である。
【0107】
図16は、サーバ104の追跡情報検索部415が後方追跡を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。図12のフローチャートに示す通常の追跡処理は、追跡対象原稿の過去の使用履歴を追跡するのに対し、後方追跡ではそれ以降の使用履歴を追跡するものである。
【0108】
ステップ1601において、データ送受信部411は、MFP102/103から後方追跡要求を受信する。この追跡要求には、追跡対象の原稿をMFP102/103でスキャンして抽出した埋め込み情報が含まれている。もちろん、追跡要求の受信方法はこれに限定したものではなく、ステップ1201と同様に、QRコード(登録商標)の画像そのものを受信してからサーバ104上で埋め込み情報を抽出しても良い。
【0109】
ステップ1602において、追跡情報検索部415は、すべてのデータテーブル内から追跡要求に合致する追跡情報を検索する。具体的には、データテーブル内の「入力日時情報」「入力部数番号」、「入力ページ番号」が、追跡要求の「日時情報」、「部数番号」、「出力ページ番号」と合致するものを検索する。後方追跡処理の場合、追跡対象の原稿が次にどの機器で処理されるか不明であり、図12の追跡処理のように検索対象のデータテーブルを限定することができないため、すべてのデータテーブルを検索対象としている。
【0110】
ステップ1603において、追跡情報検索部415は、いずれかのデータテーブル内に追跡要求と合致する追跡情報が存在するかどうかを判定する。合致する追跡情報が存在する場合、ステップ1604に進む。合致する追跡情報が存在しない場合、追跡が中断されたことを示すためステップ1605に進む。
【0111】
ステップ1604において、追跡情報検索部415は、ステップ1602で合致した追跡情報を検索結果リストに追加する。なお、合致した追跡情報は複数存在する可能性があるが、それらすべてを追跡結果リストに追加する。
【0112】
ステップ1605において、追跡情報検索部415はデータ送受信部411を経由して、追跡成功を示す情報とともに追跡結果リストをMFP102/103に送信する。合致する追跡情報が存在しなかった場合は、空の追跡結果リストを送信する。
【0113】
もちろん、追跡結果リストはMFP102/103で表示されることになる。
【0114】
なお、図16のフローチャートでは、1つの後方追跡要求に対して、1回のみ検索を行い追跡結果リストを送信している。これは、後方追跡では検索対象データテーブルを限定できないことと、追跡要求に該当する追跡情報が複数合致する可能性があることにより、通常の追跡処理と比較して追跡処理の負荷が高いことを考慮しているためである。もちろん、図12のステップ1207と同様に、ステップ1604の後に合致した各追跡情報の出力情報を次の追跡要求として設定し、ステップ1602に戻って後方追跡処理を続行しても良い。
【0115】
図17は後方追跡処理における追跡対象とその追跡結果リストの一例を示す図である。(a)は、サーバ104がステップ1601で受信した後方追跡要求に含まれる、追跡対象の原稿の埋め込み情報である。(b)は、ステップ1605で送信した追跡結果リストである。以下、(a)の追跡要求をもとに(b)の追跡結果リストが作成される過程を説明する。
【0116】
追跡結果リストは、追跡処理の開始時は空である。ステップ1602では、各データテーブル内において、日時情報「2008年9月21日14時33分50秒」、部数番号「2」、ページ番号「1」の入力情報を持つ追跡情報を検索する。図11の(c)の例では、No「2349」の追跡情報がこの条件に合致する。
【0117】
次に、ステップ1604において、追跡結果リストに追加する。すなわち、図11の(c)のNo「2349」の入力追跡情報を、図17の(b)の使用履歴「後方1」の行に追加する。
【0118】
同様に、図17の例では、「後方2」〜「後方5」の追跡情報が(a)の追跡要求に合致し、追性結果リストに追加されている(これらの追跡情報は図11に不図示)。この追跡結果リストにより、追跡対象の文書は、のちに5枚複写されたことが追跡できる。
【0119】
図18は、サーバ104の追跡情報検索部415が全追跡を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。全追跡とは、複製情報を含めた通常の追跡処理と、後方追跡処理を組み合わせることにより、追跡対象の文書の使用履歴をすべて追跡する方法である。図18中の各ステップのうち、図12と図14ですでに説明したステップについては同番号を用いることで、説明を省略する。
【0120】
ステップ1801において、追跡要求に合致した出力追跡情報を持つ追跡情報が存在するかどうか判定する。追跡結果ツリーにノードが存在しない場合はステップ1802に進み、すでに追跡結果ツリーにノードが存在する場合、ステップ1803に進む。ここで、追跡結果ツリーとは、追跡対象の文書の使用履歴を表現するためのデータ構造である。追跡結果ツリーは一般的なツリー構造であり、各ノードが使用履歴に相当し、根ノードはOriginalの追跡情報である。なお、図12〜図17では追跡結果を表形式として説明しているが、図18と同様にツリー構造で表現しても良い。使用履歴の順番を表現できる方法であれば、ツリー構造や表形式といった内部的なデータ保持方法は問わない。図12〜図17の表形式では、使用履歴の順番を「使用履歴」の列で表現している。また、図19のツリー構造では、使用履歴の順番をノードの親子関係で表現している。
【0121】
ステップ1802では、合致した追跡情報を、ノードとして追跡結果ツリーに追加する。
【0122】
ステップ1803では、合致した追跡情報を、追跡要求の追跡情報の親ノードとして追跡結果ツリーに追加する。
【0123】
ステップ1804では、合致した追跡情報に複製情報が存在した場合に、その複製情報を、追跡要求の追跡情報の兄弟ノードとして追跡結果ツリーに追加する。
【0124】
ステップ1805より前が、複製情報を含めた通常の追跡処理であり、ステップ1805以降が後方追跡処理である。ステップ1805では、追跡結果ツリーのノードの中に、後方追跡処理を行っていないものがあるかどうかを判定する。すべてのノードについて、後方追跡処理が完了している場合は、ステップ1808に進む。まだ後方追跡処理を実行していないノードがある場合は、ステップ1806に進む。
【0125】
ステップ1806では、後方追跡を行うノードを一つ選択し、そのノードの追跡情報のうち出力追跡情報を次の追跡要求として設定する。
【0126】
ステップ1807において、追跡情報検索部415は、追跡要求に合致した追跡情報を、追跡要求の追跡情報の子ノードとして追跡結果ツリーに追加する。追跡要求に合致した追跡情報が複数存在する場合は、それらすべてを追加する。ただし、すでに子ノードとして存在している追跡情報は追加しない。もちろん、ここで追加した子ノードは、ステップ1805に戻った時に後方追跡処理を行っていないと判定される。
【0127】
ステップ1808において、追跡情報検索部415はデータ送受信部411を経由して、追跡成功を示す情報とともに追跡結果ツリーをMFP102/103に送信する。
【0128】
ステップ1205において合致する追跡情報が存在しなかった場合、ステップ1809において、追跡情報検索部415はデータ送受信部411を経由して、追跡失敗を示す情報とともに追跡結果ツリーをMFP102/103に送信する。
【0129】
図19は、追跡結果ツリー表示画面の一例を示す説明図である。図19の例は、図17の(a)の追跡情報を追跡対象として、図18のフローチャートに従って追跡処理をした時の追跡結果を示している。
【0130】
追跡結果ツリーは、追跡処理の開始時は空である。ステップ1204では、「MFP−0002」のデータテーブル内において、追跡要求に合致する追跡情報を検索する。その結果、図11の(b)のNo「101」の追跡情報が合致する。次に、ステップ1801において、追跡結果ツリーにはまだノードが無いためステップ1802に進み、合致した追跡情報をノードとして追跡結果ツリーに追加する(追跡情報1901)。
【0131】
ステップ1401において、合致した追跡情報に複製情報が存在するかどうか判定する。図11の例では、合致したNo「101」の追跡情報に対する複製情報として、No「100」の追跡情報が存在する。したがって、ステップ1804に進み、合致した追跡情報の兄弟ノードとして、複製情報の追跡情報を追跡結果ツリーに追加する(追跡情報1902)。
【0132】
次にステップ1207において、追跡情報1901の入力追跡情報を新たな追跡要求に設定し、ステップ1203に戻る。
【0133】
同様に、ステップ1204では、「MFP−0001」のデータテーブル内において、追跡要求に合致する追跡情報を検索する。その結果、図11の(a)のNo「2」の追跡情報が合致する。次に、ステップ1801において、追跡結果ツリーにはすでにノードが存在するためステップ1803に進み、合致した追跡情報を追跡要求の追跡情報の親ノードとして追跡結果ツリーに追加する(追跡情報1903)。
【0134】
ステップ1401において、合致した追跡情報に複製情報が存在するかどうか判定する。図11の例では、合致したNo「2」の追跡情報に対する複製情報は存在しないためステップ1206に進む。ステップ1206では、さらに合致したNo「2」の入力追跡情報が空白であるため、ステップ1805に進む。
【0135】
以上の一連のステップが、複製情報を含む通常の追跡処理である。入力追跡情報が空白である追跡情報は、追跡結果ツリーの根ノードとなる。図19の例では、追跡情報1903が根ノードである。続くステップ1805以降は、後方追跡処理である。
【0136】
ステップ1805では、追跡結果ツリーにまだ後方追跡を実行していないノードが存在するかどうか確認する。最初にステップ1805を実行する際には、いずれのノードもまだ後方置換を実行していない。
【0137】
ステップ1806では、ステップ1805で後方追跡を実行していないと判定されたノードからひとつを選択し、その追跡情報の出力追跡情報を追跡要求に設定する。図19の例では、まず根ノードである追跡情報1903を選択したとする。
【0138】
ステップ1603ですべてのデータテーブルに対して追跡情報を検索し、ステップ1807では合致した追跡情報を、追跡要求の追跡情報の子ノードとして追加する。図19の例では、追跡情報1903の後方追跡処理として、ステップ1602の検索により追跡情報1901、1902、1904が合致している。追跡情報1901および追跡情報1902は、すでに追跡結果ツリーに追加されているので、ステップ1807で追加される子ノードは、追跡情報1904だけである。
【0139】
次に、ステップ1805に戻り、追跡結果ツリーのうち後方追跡処理を実行していないノードがあるかどうかを判定する。この時点で、後方追跡処理を実行していないノードは追跡情報1901、1902、1904である。
【0140】
図19の例では、追跡情報1902および追跡情報1904に対して後方追跡処理を実行した結果、合致する追跡情報は存在していない。したがって、追跡結果ツリーにおいて、追跡情報1902および追跡情報1904は子ノードを持っていない。一方、追跡情報1901に対して後方追跡処理を実行した結果、追跡情報1905、1906、1907が合致している。したがって、追跡結果ツリーにおいて、追跡情報1901の子ノードとして1905、1906、1907が追加されている。
【0141】
以下、同様に追跡情報1905、1906、1907に対しても順次、後方追跡処理を実行する。図19の例では、追跡情報1905、1906、1907のいずれも後方追跡処理で合致する追跡情報が存在していないため、これらの追跡情報は子ノードを持っていない。
【0142】
追跡結果ツリーのすべてのノードで後方追跡処理が完了した時点で、追跡結果ツリーが完成する。これにより、追跡対象の文書の使用履歴をすべて追跡することができる。図19の例では、追跡対象である図17の(a)の文書は最初にユーザ「Suzuki」によって印刷され(追跡情報1903)、その後複写が繰り返され、最終的に7枚の原稿が生成されたことが分かる。
【0143】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0144】
100 文書管理システム
101 PC
102 MFP
103 MFP
104 サーバ
105 ネットワーク
200 CPU
201 RAM
202 ROM
203 キーボードコントローラ
204 ディスプレイコントローラ
205 ディスクコントローラ
206 NC
207 キーボード
208 ディスプレイ
209 ハードディスク(HD)
300 CPU
301 表示部
302 スキャナ部
303 プリンタ部
304 メモリ
305 大容量記憶部
306 ネットワークインターフェース
307 内部バス
400 制御部
401 データ送受信部
402 スキャン処理部
403 コード検出部
404 デコード部
405 埋め込み情報更新部
406 エンコード部
407 画像合成部
408 印刷処理部
409 追跡情報生成部
410 制御部
411 データ送受信部
412 追跡情報保存処理部
413 データ書込部
414 データ読出部
415 追跡情報検索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力装置であって、
前記出力装置を示す情報、前記出力装置での画像の出力時刻を示す情報、前記画像の出力時のページ番号及び部数番号を示す情報を符号化して二次元コードを生成する生成手段と、
前記生成された二次元コードを前記画像に含める合成手段と、
前記二次元コードの含められた画像を出力する出力手段と、を有することを特徴とする出力装置。
【請求項2】
画像の出力装置を示す情報、前記出力装置での前記画像の出力時刻を示す情報、前記画像の出力時のページ番号及び部数番号を示す情報、前記出力装置に前記画像の出力を指示したユーザを示す情報を含む第1の情報と、
前記画像の元となった画像の出力装置を示す情報、前記出力装置での前記元となった画像の出力時刻を示す情報、前記元となった画像の出力時のページ番号及び部数番号を示す情報、前記出力装置に前記元となった画像の出力を指示したユーザを示す情報を含む第2の情報とを関連付けて保存する保存手段と、
請求項1に記載の出力装置における出力手段で出力された画像から二次元コードを検出し、前記出力装置を示す情報、前記出力装置での画像の出力時刻を示す情報、前記画像の出力時のページ番号及び部数番号を示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記出力装置を示す情報、前記出力装置での画像の出力時刻を示す情報、前記画像の出力時のページ番号及び部数番号を示す情報と同じ情報を含む第1の情報を前記保存手段から検索する検索手段と、
前記検索手段で同じ情報を含む第1の情報が検索できた場合、前記同じ情報を含む第1の情報と関連付けて前記保存手段に保存されている第2の情報のうち、前記元となった画像の出力を指示したユーザを示す情報を表示する表示手段とを有することを特徴とするシステム。
【請求項3】
出力装置の制御方法であって、
前記出力装置を示す情報、前記出力装置での画像の出力時刻を示す情報、前記画像の出力時のページ番号及び部数番号を示す情報を符号化して二次元コードを生成する生成工程と、
前記生成された二次元コードを前記画像に含める合成工程と、
前記二次元コードの含められた画像を出力する出力工程と、を有することを特徴とする出力装置の制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の出力装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータよみとり可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−206505(P2012−206505A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28889(P2012−28889)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】