説明

函体形成方法

【課題】函体を形成する際の取扱い性が向上し、容易かつ簡便に函体を形成することができる函体形成方法を提供する。
【解決手段】通し穴が設けられた板状体に対して、2枚の異なる板状体の通し穴のそれぞれに1本の索状体を通して環状部を形成することにより、前記2枚の板状体を連結する連結工程を含み、複数の板状体が函体の側板及び底板となるように展開配置された状態で、前記連結工程を用いて、各板状体を連結し、前記各板状体を連結部分で折り曲げて前記索状体にて仮止めされた状態で、隣り合う板状体を接合して函体を形成し、前記索状体を取り除く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体から函体を容易に形成することができる函体形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木箱の製造方法が特許文献1に記載されている。この製造方法は、予め、各板材の内面に内側溝を形成し、これに対応する各板材に外側溝を設け、これらを枠状に組み合わせて枠状体とし、さらにこれに天板材と底板材を取り付けた際に、この外側溝を目安にして精度よく枠状体を箱本体と蓋体とに上下二分割して木箱を円滑に製造するものである。
しかしながら、特許文献1の製造方法では、例えば側板となる板材を組み合わせるときに、外側溝により、各板材の位置合わせをすることが可能であるが、位置合わせ後に各板材を接合するので、接合時に板材を誤って作業台から落としてしまった場合は、これを拾わなければならず、面倒である。また、板材がぐらついてうまく接合できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開2004−345673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、函体を形成する際の取扱い性が向上し、容易かつ簡便に函体を形成することができる函体形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、通し穴が設けられた板状体に対して、2枚の異なる板状体の通し穴のそれぞれに1本の索状体を通して環状部を形成することにより、前記2枚の板状体を連結する連結工程を含み、複数の板状体が函体の側板及び底板となるように展開配置された状態で、前記連結工程を用いて、各板状体を連結し、前記各板状体を連結部分で折り曲げて前記索状体にて仮止めされた状態で、隣り合う板状体を接合して函体を形成し、前記索状体を取り除くことを特徴とする函体形成方法を提供する。
【0006】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記各板状体が前記仮止めされた状態は、前記環状部が狭められて前記索状体が前記各板状体に略密着した状態であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、函体を形成する際に、函体の側板及び底板となる各板状体が索状体にて仮止めされた状態で、各板状体を接合するので、容易かつ簡便に函体を形成することができる。また、各板状体は索状体にて連結されているので、接合時に各板状体がバラバラとなることを防止できる。
請求項2の発明によれば、各板状体の仮止め時に、索状体が各板状体に略密着した状態であるため、各板状体の位置がある程度固定される。したがって、次なる各板状体の接合を位置決めされた状態で行うことができるので、容易かつ迅速に、さらに確実に函体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る函体形成方法のフローチャートである。
【図2】図1のステップS3にて各板状体が連結された状態を示す概略図である。
【図3】図1のステップS4にて板状体を仮止めした時の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明に係る函体形成方法のフローチャートである。また、図2は図1のステップS3にて各板状体が連結された状態を示す概略図であり、図3は図1のステップS4にて板状体を仮止めした時の一例を示す概略断面図である。
ステップS1:
一方の板状体に形成された通し穴に索状体を通す。この場合において、板状体は木製の板であってもよいし、金属製であってもよい。あるいは、金網のようなものであってもよい。本発明における板状体は、函体の側板及び底板として用いることができればどのようなものでもよい。また、板状体には、通し穴が貫通して形成されている。この通し穴は、函体を形成する際に適宜板状体に設けてもよいし、予め設けておいてもよい。通し穴の数も、必要な数だけ設けてもよいし、適当な個所に複数個設けてもよい。金属製の多孔板を板状体として用いれば、上記板状体と通し穴の両方を備えているので好適である。また、板状体を金網としても、特に通し穴を設ける必要はない。この場合は、網目の開口部分が本発明における通し穴となる。金網とすれば、軽量であり好ましい。また、索状体は、紐やロープ、ワイヤを含むものである。本ステップでは、このような索状体を通し穴に通す。
【0010】
ステップS2:
他方の板状体に形成された通し穴に索状体を通し、両板状体を連結する。他方の板状体は、ステップS1で索状体を通した板状体とは別の板状体である。索状体は、ステップS1で用いたものである。したがって、本ステップにより、一方の板状体と他方の板状体、すなわち2枚の板状体が索状体により連結される。このステップS1及びステップS2が、本発明での連結工程となる。このとき、索状体は2枚の板状体の通し穴をそれぞれ通り、環状部を形成して両板状体を連結している。
【0011】
ステップS3(符号については図2を参照):
函体が展開された構成となるように、各板状体1〜5を連結する。函体が展開された構成とは、板状体の連結部分で折り曲げて函体を形成できるような位置に板状体を平面上に配置したものである。具体的には、函体を形成した際に、底板となる板状体と、側板となる板状体が展開配置された状態のことである。図2では、板状体1〜4が側板であり、板状体5が底板となる。このように各板状体1〜5を配置した状態で、上述したステップS1及びステップS2での連結工程を用いて各板状体1〜5を連結する。図2でいえば、底板となる板状体5に対し、側板となる板状体1〜4をそれぞれ索状体6にて連結する。索状体6は、各板状体1〜5の通し穴7を挿通されている。
【0012】
ステップS4(符号については図3を参照):
函体を仮組立する。この仮組立の際に、函体の側板及び底板となる各板状体(図3では側板(板状体)1及び底板(板状体)5を表示)が索状体6にて仮止めされた状態で、各板状体(側板1と底板5)を接合するので、容易かつ簡便に函体を形成することができる。また、この仮止め状態では、各板状体(側板1と底板5)は索状体6にて連結されているので、後に板状体を接合する時に各板状体1,5がバラバラとなることを防止できる。(A)に示すように、索状体6は例えば結束バンドを用いることができ、ロック部材8にその先端を通すことにより、環状部9を形成し、側板1と底板5を連結している。この連結された状態で、底板5上に側板1を載置した状態が仮止め状態である。このとき、(B)に示すように、結束バンド6を締め付けることにより、すなわち環状部9を狭めて側板1及び底板5(さらには通し穴7の内面)に略密着させることにより、側板1と底板5の確実な位置決めを行うことができる。したがって、次なる各板状体の接合工程を板状体同士が位置決めされた状態で行うことができるので、容易かつ迅速に、さらに確実に函体を形成することができる。
【0013】
ステップS5:
各板状体を接合し、函体を形成する。図2でいえば、側板1〜4を底板5上に載置し、隣り合う側板1〜4及び側板1〜4と底板5を接合する。これにより、側板が4枚の略直方体形状の函体が形成される。なお、底板の形状を5角形とすれば、側板が5枚の函体を形成することができる。側板の枚数や、蓋となる天板を設けるか否かは適宜定めることができる。この場合においても、各板状体を上記連結工程で連結する。この接合は接着や溶接等を用いることができる。
【0014】
ステップS6:
索状体を取り除く。ステップS5にて各板状体が接合され、函体が形成されたので、仮止めのための索状体を取り除く。なお、この工程は省略してもよい。
なお、上記板状体(特に側板となる部分)に写真を取り付けられる構成を設けたり、あるいは板状体として美術工芸品が装飾されたものを用いたりすることもできる。このように、本発明は、板状体として種々のものを用いることができる。また、函体を形成することが困難な場合でも、容易に適用することができ、コスト面でも効率がよい。また、函体を形成するための各板状体の接合手段については、目的に応じて種々の手段を用いることができ、接合の自由度が高い。すなわち、函体の強度を目的に応じて自由に設定できる。
【符号の説明】
【0015】
1〜4 板状体(側板)
5 板状体(底板)
6 索状体
7 通し穴
8 ロック部材
9 環状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通し穴が設けられた板状体に対して、2枚の異なる板状体の通し穴のそれぞれに1本の索状体を通して環状部を形成することにより、前記2枚の板状体を連結する連結工程を含み、
複数の板状体が函体の側板及び底板となるように展開配置された状態で、前記連結工程を用いて、各板状体を連結し、
前記各板状体を連結部分で折り曲げて前記索状体にて仮止めされた状態で、隣り合う板状体を接合して函体を形成し、
前記索状体を取り除くことを特徴とする函体形成方法。
【請求項2】
前記各板状体が前記仮止めされた状態は、前記環状部が狭められて前記索状体が前記各板状体に略密着した状態であることを特徴とする請求項1に記載の函体形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−264716(P2010−264716A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119876(P2009−119876)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(505430838)有限会社創造舎 (8)
【出願人】(506120253)株式会社環境セラステクノ (8)
【Fターム(参考)】