説明

分光分析方法および分光分析用サンプリングユニット

【課題】 本発明は、微量物質に対する分光分析方法および分光分析用サンプリングユニットに関するものである。
【解決手段】 本発明の分光分析方法は、試料を加熱し、試料から特定物質の蒸気を発生させる工程と、蒸気中に、電磁波を反射する反射部材に特定物質と相溶性のある有機高分子膜を成膜させたサンプリングプレートを曝露する工程と、有機高分子膜に電磁波を照射し、反射部材から反射されたスペクトルを測定する工程とを有する、よう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量物質に対する分光分析方法および分光分析用サンプリングユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年さまざまな分野で環境保全に対する取り組みが成されている。電子・電気機器の分野においては、特定有害物質の使用制限についてのEU(欧州連合)による指令であるRoHS(Restrictions of the Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)が世界的な環境規制のグローバルスタンダードとなっている。RoHS指令では、既に鉛や水銀、六価クロム等を有害物質として厳しく規制しているが、さらに追加案としてフタル酸エステル類も規制の対象物質とすることが公表されている。フタル酸エステル類は発がん性などの人体への影響が懸念されるためである。
【0003】
規制対象候補のフタル酸エステル類は、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(Di(2-ethylhexyl) phthalate: DEHP)、フタル酸ジブチル(Dibutyl phthalate: DBP)およびフタル酸ブチルベンジル(Butyl benzyl phthalate: BBP)の3種類で、規制濃度はそれぞれ1,000ppmである。フタル酸エステル類は、主としてポリ塩化ビニル(PVC)の可塑剤として使用され、中でもフタル酸ジ−2−エチルヘキシルは、日本国内の生産量(約20万トン)の60%を占め、電線の被覆材等に多く使用さている。
【0004】
このような背景から、電子機器製品の製造工場では調達した部材にフタル酸エステル類が使用されているかどうかをチェックする必要がある。フタル酸エステル類の分析方法は、ガスクロマトグラフ質量分析法や液体クロマト質量分析法、全反射フーリエ変換型赤外分光法(ATR−FTIR:Attenuated Total Reflection - Fourier Transform Infrared Spectroscopy)が一般的である。
【0005】
微量の試料を分析する関連技術として、赤外線反射部材に形成したフッソ系樹脂の薄膜にピンホールを所定間隔を隔てて形成し、ここに溶媒に試料を含ませた溶液を滴下した後に蒸発させて凝縮し、赤外線を照射してスペクトルを測定することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−99813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、製造工場では製品の製造のために調達した部材に対してフタル酸エステル類のスクリーニングを実施する必要がある。ガスクロマトグラフ質量分析法や液体クロマト質量分析法はフタル酸エステル類を精密に分析できるが、試料の作成に多くの工数を要し結果を得るまでに長時間を要すること、解析に高度な技術を要すること、さらに質量分析装置の価格が高価であることなど、工場において調達部材の受け入れを行なう検査部門での適用には問題がある。
【0008】
ATR−FTIR法は、製品を直接測定することができ試料作成に長時間を要することはないが、分析においてマトリクス成分(原料物質成分)に基づくスペクトルがフタル酸エステル類の検出に影響し、検出精度が低いという問題がある。
【0009】
また、上記したフッソ系樹脂の薄膜にピンホールを形成して測定する方法は試料を凝集濃縮できるが、質量分析と同様に製品からフタル酸エステル類の溶液抽出に時間を要する、という問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題に対して、簡便に製品から検査試料を作成でき、可塑剤等の物質を高感度で検出できる分光分析方法および分光分析用サンプリングユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の一観点によれば、本発明の分光分析方法は、試料を加熱し、試料から特定物質の蒸気を発生させる工程と、蒸気中に、電磁波を反射する反射部材に特定物質と相溶性のある有機高分子膜を成膜させたサンプリングプレートを曝露する工程と、有機高分子膜に電磁波を照射し、反射部材から反射されたスペクトルを測定する工程とを有する、分光分析方法が提供される。
【0012】
発明の他の一観点によれば、特定物質を含有する試料を載置し、試料を第1の温度で加熱する試料載置部と、電磁波を反射する反射部材に、試料中に含まれる特定物質と相溶性のある有機高分子膜を生成したサンプリングプレートと、試料の上方に配置され、有機高分子膜を下方に向けたサンプリングプレートを第2の温度に制御して支持するサンプリングプレート支持部と、試料載置台上に載置された試料を囲んで配置され、試料から蒸発した特定物質を有機高分子膜に導くダクトと、を有する分光分析用サンプリングユニットが提供される。
【発明の効果】
【0013】
特定物質と相溶性のある有機高分子膜を特定物質が蒸発した雰囲気中に曝すようにしたので、特定物質は有機高分子膜に相溶して補集が確実に行なわれ、特定物質を高感度で分析できる分析方法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】サンプリングユニットの構造例を示す図である。
【図2】サンプリングと分析のフロー例(その1)を示す図である。
【図3】サンプリングと分析のフロー例(その2)を示す図である。
【図4】ポリ塩化ビニルの熱分解温度特性を示す図である。
【図5】FTIRによるスペクトル測定例を示す図である。
【図6】フタル酸エステルの有無判定のフロー例を示す図である。
【図7】フタル酸エステルのIRスペクトル例を示す図である。
【図8】本発明により測定したIRスペクトル例を示す図である。
【図9】従来法(ATR−FTIR法)によるポリ塩化ビニル製部品のATR−FTIRスペクトル例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明のサンプリングユニット10の実施例から説明する。本実施例では、検査対象をポリ塩化ビニル製の部品(例えば、電線被覆材)とし、その部品に含まれるフタル酸エステル類をFTIRにより検出するものとする。
【0016】
図1は、サンプリングユニット10の構造例を示すもので、図1(a)はサンプリングユニット10の外観を示し、図1(b)は図(a)の断面を示している。図に示すように、サンプリングユニット10は検査試料(以降、単に試料という)を載置して加熱する試料載置部20とサンプリングプレート支持部50とに大きく分けることができる。
【0017】
試料載置部20は、内部にヒータと温度センサとを備え(いずれも不図示)、定められた温度に温度制御できる所謂ホットプレートである。試料載置部20の上面は試料プレート30を載置し、さらに試料プレート30の上にダクト40を載置している。試料プレート30は検査対象の試料70を載せる板で、試料載置部20の熱を試料に伝えることが必要なため熱伝導度が高い材料であること、また加熱された試料70と化学的に反応しないことが求められる。ここでは50mm×50mm、板厚1mmのステンレス板を用いている。試料プレート30の上に載置するダクト40は、ダクト40内の試料プレート30上に置いた試料70から蒸発した気体が拡散することがないように上方に導くためのものである。ここでは、20mmφ、高さ5mm、板厚1mmの石英管を用いている。
【0018】
サンプリングプレート支持部50は、後述するサンプリングプレート60を支持すると共に、定められた温度に温度制御できる構造になっている。また、サンプリングプレート60を支持するため中央に真空チャック用の孔(不図示)を形成している。サンプリングプレート60は、反射板61と有機高分子膜62とで構成される。
【0019】
反射板61は、スペクトルの測定において用いる赤外線を反射させるもので、有機高分子膜62を生成する側の表面は鏡面であることが必要である。少なくとも、60%以上の反射率があることが望ましい。ここでは、45mm×45mm、板厚1mmのステンレス板、またはアルミ板を用いている。
【0020】
有機高分子膜62は、試料70から蒸発した気体を補集する吸着体であり、ここでは膜厚が5μmのポリ塩化ビニル膜を用いている。検出対象としているフタル酸エステルは前述したようにポリ塩化ビニルの可塑剤として用いられているように、ポリ塩化ビニルに対して相溶性があり吸着体として好適である。ポリ塩化ビニルの他にはPMMA(Poly Menthyl Methacrylate)であってもよい。膜の生成は、ポリ塩化ビニルを有機溶剤で溶かし、反射板61にその溶液を滴下し回転させて遠心力により溶液を展延し膜生成している(即ち、スピンナ法)。膜生成はスプレー法やディップ法でもよく、膜厚は反射スペクトルを取得可能な膜厚であればよいが、1μmより薄いとフタル酸エステルと相溶する補集材として量的な不足が懸念され、10μmより厚くなると光の干渉が起こり試料のスペクトルが取得できなくなるため、1〜10μmが望ましい。1〜10μmの範囲では、膜厚が厚いほどフタル酸エステルをより多く吸収できるため検出感度が向上する。
【0021】
次に、図1に示したサンプリングユニット10を用いてサンプリングを行い、分析する方法について図2と図3を用いて説明する。図2はサンプリングから分析するまでのフロー例を示し、図3はフローに示される状態を示した図である。フローの開始に当たって、試料載置部20上には、試料プレート30およびダクト40が置かれ、サンプリングプレート支持部50は試料載置部20のダクト40の真上より外れた位置にあるものとする。
【0022】
まず、反射板61に有機高分子膜62であるポリ塩化ビニルの膜を成膜したサンプリングプレートをサンプリングプレート支持部50に取り付ける。サンプリングプレート支持部50への取付は、有機高分子膜62を下方に向け、反射板61の背面をサンプリングプレート支持部50の下面に真空チャックにより取り付ける(S10)。次に、ポリ塩化ビニル製品である試料70をダクト40内の試料プレート30上に置く。例えば、電線の被覆材が試料70であったとき、長さを3〜5mm程度に切断し、数個(200〜300mmg)を重ならないように置く(S11)。これらは図3(a)に示され、サンプリングプレート60と試料70とがそれぞれサンプリングプレート支持部50と試料載置部20とにセットされる状態を示している。また、サンプリングプレート支持部50は、試料載置部20の上方にはあるが、ダクト40の真上から離れた位置にある。S10とS11の順序は逆であってもよい。
【0023】
次に、試料載置部20を予備蒸発温度である180℃になるまで加熱し、1分間保持する。ポリ塩化ビニルの熱変形温度は80℃程度であるので、試料70は熱変形すると共に、180℃で気化するフタル酸エステル以外の添加物を蒸発させる(S12)。また、サンプリングプレート支持部50を70℃の補集温度に加熱する。ポリ塩化ビニルの使用限界温度は60℃であり、また耐熱温度は80℃であることから、60〜80℃がポリ塩化ビニルがフタル酸エステル類を相溶して補集する温度として好適である。この温度より低いと、フタル酸エステル類がポリ塩化ビニル膜上で凝集し、ポリ塩化ビニル膜内部に浸透しないため充分な補集ができない。また、80℃より高い温度では、ポリ塩化ビニルの熱変形が進み反射板61上の平坦な膜状が維持できず、スペクトルの測定に支障を来すことになる(S13)。S12とS13の順序も逆であってもよいが、予備蒸発温度の保持時間終了時に、サンプリングプレート支持部50の温度が補集温度になっていればよい。図3(b)は、試料載置部20を予備蒸発温度に加熱している状態を示している。また、図3(b)の矢印は、180℃で気化するフタル酸エステル以外の添加物の蒸発を示している。
【0024】
予備蒸発温度の加熱時間が終了後、サンプリングプレート支持部50を試料載置部20上に移動し、サンプリングプレート60上の有機高分子膜62(ポリ塩化ビニル膜)がダクト40の上方の縁部に当る状態まで下降する。この状態は、サンプリングプレート60でダクト40に蓋を閉めた状態である(S14)。
【0025】
続いて、試料載置部20を260℃に加熱した状態で3分間保持する(この温度をここでは本蒸発温度と称している)。この間に試料70からフタル酸エステル類は蒸発し、ダクト40により拡散することなく有機高分子膜62と相溶し補集される。図3(c)は、本蒸発温度による加熱を行っている状態を示している。また、図3(c)の直線の矢印はサンプリングプレート支持部50を移動した軌跡を、曲線の矢印はフタル酸エステル類の蒸発を示している(S15)。
【0026】
本蒸発温度による3分間の加熱後、サンプリングプレート支持部50を上方に移動し、さらにダクト40の真上から退避させる。同時に、サンプリングプレート支持部50の温度制御を停止しクールダウンを行う。サンプリングプレート支持部50が室温に戻ったところでサンプリングプレート60を取り外し、このサンプリングプレート60を用いて分光分析を行なう。図3(d)は、サンプリングプレート支持部50を上方に移動し、ダクト40の真上から退避させている状態を示し、図3(e)はサンプリングプレート60をサンプリングプレート支持部50から取り外している状態を示している。また、図3(d)図3(e)の有機高分子膜62にはポリ塩化ビニルと相溶したフタル酸エステル類80を示している。また、図3(d)の矢印はサンプリングプレート支持部50の移動の軌跡を、図3(e)の矢印はサンプリングプレート60の取り外した軌跡を示している(S16〜S18)。
【0027】
本発明では、試料であるポリ塩化ビニルを熱分解が始まる少し手前の温度から熱分解が終了する温度範囲の状態に加熱することで、試料からフタル酸エステル類を効率よく蒸発させるようにしている。ポリ塩化ビニルは、図4に示すように熱分解温度は240〜250℃、分解終了温度が400℃程度であるので、200〜400℃の加熱がフタル酸エステル類の補集に好適である。本実施例では、260℃でフタル酸エステル類を蒸発させている。なお、フタル酸エステルDEHPの蒸発温度は193℃である。なお、図4はポリ塩化ビニルの熱分解挙動をTG法(Thermogravimetry)で測定した値で、温度に対する重量変化を示している。
【0028】
次にサンプリングしたポリ塩化ビニル膜のスペクトルをFTIRによって求める例を説明する。最初に分析装置の構成について説明する。分析方法としては正反射法による方法と透過法による方法とがあり、図5(a)は、正反射法による分析方法の例を示す。分析装置100は分光器110、試料室120、赤外検出器130、AD変換器140およびフーリエ変換処理150を含んだ構成になっている。分光器110は赤外線の光源から波長に従って分光し、干渉光(インターフェログラム)を出力(出射)する。試料室120には前述したサンプリングプレート60を配置し、このサンプリングプレート60に分光器110から出射した干渉光を照射する。干渉光は有機高分子膜62を通り、反射板61で反射する。赤外検出器130は反射板61の表面で反射して再び有機高分子膜62を通過した干渉光を検出し、AD変換器140で赤外検出器130からのアナログ出力信号をデジタル化する。フーリエ変換処理150は、AD変換器140でデジタル化したデータをフーリエ変換することにより周波数成分に対するスペクトルを得る。
【0029】
図5(b)は、透過法による例を示し、分析装置101の構成は図5(a)に示す分析装置100と同一であるので個々の説明は省略する。異なる点は、試料室120における試料は反射板61から剥離した有機高分子膜62のみで、分光器110から出射した干渉光をこの有機高分子膜62に透過させる点である。なお、正反射法および透過法によるこれらの技術は従来技術として確立されている。
【0030】
次に、具体的に正反射法のスペクトル分析を行なう分析装置100を用いてフタル酸エステル類の検出を行なうフローを図6を用いて説明する。まず最初に、サンプリングを行なわないサンプリングプレート60(反射板61に有機高分子膜62を付けたブランクのサンプリングプレート)を分析装置100にセットし、上記の方法でIRスペクトル(赤外分光スペクトル)を測定する。これにより、ブランクのスペクトル(ブランクスペクトルと言うことにする)が取得される(図6のS20、S21)。
【0031】
続いて、図2に示した方法により試料70からサンプリングを行なったサンプリングプレート60を同様にセットし、IRスペクトルを測定する。これにより、サンプリングのスペクトル(サンプリングスペクトルということにする)が取得される(S22、S23)。
【0032】
サンプリングスペクトルからブランクスペクトルを差し引いて差スペクトルを算出する。算出した差スペクトルの特徴をライブラリデータと比較し、フタル酸エステルの有無を判定する(S24、S25)。
【0033】
本発明の方法によるスペクトル測定結果を説明する前に、フタル酸エステルのIRスペクトルを説明する。図7は、フタル酸エステルの透過率スペクトルを示した図である。エステルのC=O,C=Oの伸縮結合に帰属する強いピークが1723、1273、1122cm−1の付近に見られ、フタル酸エステルに特徴的な鋭いピークが1600、1580cm−1付近にほぼ等しい強度で見られる(図7下方に示した1630〜1550cm−1の部分拡大図参照)。従って、フタル酸エステルの有無は1600、1580cm−1付近のIRスペクトルで比較すればよい。
【0034】
本発明のサンプリングユニットを用いて電線被覆材からサンプリングし、図5(a)に示した正反射法で測定したIRスペクトルの結果を図8に示す。図8は図7の部分拡大図に合わせて波長1630〜1550cm−1の範囲の透過率スペクトルを示している。図8に示されるように、波長1600cm−1と1580cm−1近辺において同じように透過率のピークが見られ、有機高分子膜62に補集された物質はフタル酸エステルであることが確認された。
【0035】
同じ電線被覆材を、比較のために従来方法であるATRの全反射と残渣によって測定した。図9はその測定結果を示した図で、図8と同様に波長1630〜1550cm−1の範囲の透過率スペクトルである。全反射と残渣とのいずれの方法ともフタル酸エステルに特徴的な1600、1580cm−1付近のピークが見られず、本発明による方法が高い精度で検出できることが確認された。
【0036】
以上、本発明の分光分析方法とサンプリングユニットの実施例を説明したが、これらは上記した内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得るものである。
【符号の説明】
【0037】
10 サンプリングユニット
20 試料載置部
30 試料プレート
40 ダクト
50 サンプリングプレート支持部
60 サンプリングプレート
61 反射板
62 有機高分子膜
70 試料
80 ポリ塩化ビニルと相溶したフタル酸エステル類
100 分析装置(正反射法)
101 分析装置(透過法)
110 分光器
120 試料室
130 赤外検出器
140 AD変換器
150 フーリエ変換処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を加熱し、前記試料から特定物質の蒸気を発生させる工程と、
前記蒸気中に、電磁波を反射する反射部材に前記特定物質と相溶性のある有機高分子膜を成膜させたサンプリングプレートを曝露する工程と、
前記有機高分子膜に前記電磁波を照射し、前記反射部材から反射されたスペクトルを測定する工程と
を有することを特徴とする分光分析方法。
【請求項2】
試料を加熱し、前記試料から特定物質の蒸気を発生させる工程と、
前記蒸気中に、電磁波を反射する反射部材に前記特定物質と相溶性のある有機高分子膜を成膜させたサンプリングプレートを曝露する工程と、
前記有機高分子膜を前記反射部材から剥離し、前記電磁波を照射して前記有機高分子膜を透過したスペクトルを測定する工程と
を有することを特徴とする分光分析方法。
【請求項3】
前記特定物質は、フタル酸エステル類である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の分光分析方法。
【請求項4】
前記有機高分子膜は、ポリ塩化ビニルである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の分光分析方法。
【請求項5】
前記ポリ塩化ビニルの有機高分子膜の膜厚は、10μm以下である
ことを特徴とする請求項4に記載の分光分析方法。
【請求項6】
前記試料の加熱は、200℃から400℃の温度範囲である
ことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の分光分析方法。
【請求項7】
前記蒸気雰囲気に前記有機高分子膜を曝すときの前記反射板の温度は、60℃から80℃の温度範囲にある
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の分光分析方法。
【請求項8】
特定物質を含有する試料を載置し、前記試料を第1の温度で加熱する試料載置部と、
電磁波を反射する反射部材に、前記試料中に含まれる特定物質と相溶性のある有機高分子膜を生成したサンプリングプレートと、
前記試料の上方に配置され、前記有機高分子膜を下方に向けた前記サンプリングプレートを第2の温度に制御して支持するサンプリングプレート支持部と、
前記試料載置台上に載置された試料を囲んで配置され、前記試料から蒸発した特定物質を前記有機高分子膜に導くダクトと
を有することを特徴とする分光分析用サンプリングユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−154718(P2012−154718A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12785(P2011−12785)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】