説明

分光装置

【課題】光の損失を抑制する。
【解決手段】本発明に係る分光装置1は、互いに異なる波長帯域特性を有する複数のダイクロイックミラーDMが配列されたダイクロイックミラーアレイ21と、ダイクロイックミラーDMと略平行に対面する反射部材23と、を有する分光部5と、ダイクロイックミラーアレイ21からの透過光を光電変換する光電面7と、ダイクロイックミラーDMの各々に対応して設けられた複数のチャンネルCと、チャンネルCの各々に対応して設けられた複数のアノード14とを有する光電子増倍管2と、を備え、分光部5は、ダイクロイックミラーアレイ21と反射部材23との間に透光性材料からなる透光ブロック20を更に有し、透光ブロック20の反射面20cに反射部材23が設けられ、反射面20cと対向する分光面20bにダイクロイックミラーアレイ21が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を互いに異なる波長帯域の光に分光して各波長帯域の光を検出する分光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入射光を互いに異なる波長帯域の光に分光して各波長帯域の光を検出する分光装置がある。例えば、下記の特許文献1には、反射率の立ち上がり波長が互いに異なる複数のダイクロイックミラーが波長の大小順に配置されたダイクロイックミラーアレイと、当該ダイクロイックミラーアレイによる光の反射側にダイクロイックミラーアレイに対して対向配置された平面鏡と、ダイクロイックミラーアレイによる光の透過側に各ダイクロイックミラーの透過光を受光する複数の受光素子からなる受光素子アレイと、を備える分光装置が記載されている。
【0003】
この分光装置では、一端に位置するダイクロイックミラーに平面鏡側から平行光が斜めに入射すると、そのダイクロイックミラーの反射率の立ち上がり波長以上の光は反射され、当該波長以下の光は透過する。反射された光は平面鏡により反射されて隣りのダイクロイックミラーに入射し、以降、他端に位置するダイクロイックミラーに到達するまで光の反射及び透過が繰り返される。このようにして各ダイクロイックミラーを互いに異なる波長帯域の光が透過することで平行光が分光される。そして、各ダイクロイックミラーを透過した光は、ダイクロイックミラーの配列方向に沿って配列された受光素子によって受光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−62246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された分光装置にあっては、平面鏡とダイクロイックミラーアレイとの間の反射光路が大気中に形成されるため、反射光路において光が拡散しやすく、光の損失が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、入射光を互いに異なる波長帯域の光に分光するに際し、光の損失を抑制することができる分光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る分光装置は、入射光を互いに異なる波長帯域の光に分光して各波長帯域の光を検出する分光装置であって、互いに異なる波長帯域特性を有する複数のダイクロイックミラーが配列されたダイクロイックミラーアレイと、ダイクロイックミラーと略平行に対面する反射部材と、を有する分光部と、ダイクロイックミラーアレイからの透過光を光電変換する光電面と、ダイクロイックミラーの各々に対応して設けられた複数の電子増倍経路と、電子増倍経路の各々に対応して設けられた複数のアノードとを有する光電子増倍管を備えた光検出部と、を備え、分光部は、ダイクロイックミラーアレイと反射部材との間に、透光性を有する材料からなる透光部材を更に有し、透光部材の第1の面に反射部材が設けられ、第1の面と対向する第2の面にダイクロイックミラーアレイが設けられていることを特徴とする。
【0008】
この分光装置においては、ダイクロイックミラーアレイと反射部材との間に透光部材を有することで、反射光路における光の拡散を抑制することができ、光の損失を抑制することが可能となる。
【0009】
また、反射部材は、透光部材の第1の面に形成された反射膜であることが好ましい。この場合、透光部材に直接反射部材を形成することができ、反射部材と透光部材との界面(接合面)における光の損失をより一層抑制することが可能となる。
【0010】
また、ダイクロイックミラーは、透光性を有する材料からなる透光基板上に形成され、透光基板は、オプティカルコンタクトによって透光部材の第2の面に接合されていることが好ましい。この場合、接着剤のような接合部材を使用することなくダイクロイックミラーアレイと透光部材とを接合することができ、接合部材による光の損失をなくすことができるので、ダイクロイックミラーアレイと透光部材との界面(接合面)における光の損失をより一層抑制することが可能となる。
【0011】
また、透光部材は、入射光が入射する光入射部を有し、光入射部には、反射防止膜が形成されていることが好ましい。この場合、透光部材の光入射部において反射を抑制することができ、透光部材の光入射部における光の損失を抑制することが可能となる。
【0012】
また、分光部を収容し、ダイクロイックミラーの透過光を光検出部に導出する筐体部をさらに備え、分光部は、透光部材を保持する保持部材に固定されて筐体部に収容されていることが好ましい。この場合、分光部の筐体部に対する位置調整を保持部材を介して行うことができる。このため、分光部を直接筐体部に固定する場合と比較して、透光部材に直接触れる必要がないために作業性が向上する。その結果、分光部を高精度に配置することができ、分光部における入射光の分解能を向上させることが可能となる。
【0013】
また、保持部材は、筐体部内での保持部材の位置を調整する調整部を備えることが好ましい。この場合、より容易に分光部を高精度に配置することができ、分光部における入射光の分解能を向上させることが可能となる。
【0014】
また、保持部材は、透光部材の第1の面及び第2の面に直交する第3の面に対向する対向面を有し、透光部材は、対向面と離間して保持部材に固定されていることが好ましい。この場合、透光部材は、保持部材の対向面に接触することなく、保持部材に固定されるので、保持部材との接触面積を抑えて分光部を固定することができる。その結果、透光部材と保持部材との接触面からの光の漏出を抑制し、透光部材における光の損失を抑制することが可能となる。
【0015】
また、保持部材は、対向面に段部を有し、透光部材は、段部において保持部材に固定されていることが好ましい。この場合、透光部材が、保持部材に対して面接触することなく、段部のみで保持部材に固定することができ、保持部材との接触面積を抑えて分光部を固定することができる。その結果、透光部材と保持部材との接触面からの光の漏出を抑制し、透光部材における光の損失を抑制することが可能となる。
【0016】
また、調整部は、ネジ部材が挿通可能な開口部を有し、開口部を介してネジ部材によって保持部材を押圧して筐体部に固定し、ネジ部材は、保持部材を筐体部に押圧する頭部と筐体部に螺入される軸部とを有し、保持部材の開口部の径は、軸部の径よりも大きく頭部の径よりも小さいことが好ましい。この場合、ネジ部材の軸部が保持部材の開口部を介して筐体部に螺入された状態で、保持部材の開口部の径と軸部の径との差を利用して保持部材の位置の微調整を行った上で、頭部によって押圧することで保持部材を筐体部に確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入射光を互いに異なる波長帯域の光に分光するに際し、光の損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る分光装置を示す斜視図である。
【図2】図1の分光装置のII−II断面図である。
【図3】図1の分光装置の光電子増倍管の拡大断面図である。
【図4】図1の分光装置のダイクロイックミラーアレイ周辺部分を示す拡大断面図である。
【図5】ダイクロイックミラーの波長帯域特性を示す図である。
【図6】バンドパスフィルタの通過帯域特性を示す図である。
【図7】図1の分光装置の分光部の拡大斜視図である。
【図8】図1の分光装置の組立手順を示す図である。
【図9】(a)は透光ブロック保持台の斜視図、(b)は分光部が固定された透光ブロック保持台の斜視図である。
【図10】ネジ部材の側面図である。
【図11】図1の分光装置の出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る分光装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る分光装置の一部破断状態を示す図である。図2は、図1の分光装置のII−II断面図である。図1及び図2に示すように、分光装置1は、反射型の分光装置であって、リニアマルチアノード型の光電子増倍管(光検出部)2と、入射光を分光する分光部5と、を備えている。また、分光装置1は、光電子増倍管2及び分光部5を収容する筐体(筐体部)10を備えている。
【0021】
光電子増倍管2は、マルチアノード型であって、後述する分光部5からの各透過光をそれぞれ電気信号に変換して出力する装置である。図3は、光電子増倍管2の拡大断面図である。この光電子増倍管2は四角柱状の金属製側管3を有しており、この側管3の一端側の開口部には、ガラス等の光透過性材料により形成された矩形状の光入射板4が融着等により気密に固定されている。この光入射板4は、図3において紙面に垂直な方向(以下、「幅方向」という)に延在する複数の光遮蔽板6によって等間隔に仕切られ、これにより、光入射板4には、幅方向に延在する光入射部4aが複数形成されることになる。また、光入射板4の内側表面には光電面7が形成されている。
【0022】
一方、側管3の他端側の開口部には、ガラス等の絶縁性材料により形成された矩形状のステム8が取り付けられている。より具体的には、ステム8には、その側面を取り囲む金属製の包囲部材9が融着等により気密に固定されており、この包囲部材9の一端に形成されたフランジ9aと、側管3の他端に形成されたフランジ部3aとが抵抗溶接等により気密に接合されている。
【0023】
このように側管3、光入射板4及びステム8等により形成された真空空間S内には、複数層のダイノード11を有するメタルチャンネルダイノード12が設置されている。また、真空空間S内においてメタルチャンネルダイノード12と光電面7との間には、平板状の収束電極13が設置されている。この収束電極13には、幅方向に延在する複数のスリット13aが形成されており、各スリット13aは、光電面7の垂線方向において光入射板4の各光入射部4aと対向している。
【0024】
更に、真空空間S内においてメタルチャンネルダイノード12とステム8との間には、幅方向に延在する複数のマルチアノード14がリニアに配列され、各マルチアノード14は、光電面7の垂線方向において光入射板4の各光入射部4aと対向している。なお、ステム8の内側表面には、隣り合うマルチアノード14,14間を隔てる隔壁16が立設され、クロストークの発生が抑制されている。また、各マルチアノード14には、出力信号を取り出すためのステムピン17の一端が接続されており、各ステムピン17の他端は、ステム8を気密に貫通して外部に突出している。
【0025】
以上のように構成された光電子増倍管2においては、光電面7の垂線方向において対向する光入射部4aとマルチアノード14との間に位置する収束電極13のスリット13a及びメタルチャンネルダイノード12の電子通過孔によって複数のチャンネル(光電子増倍経路)C(ここでは、m=1〜8)が形成される。従って、光電子増倍管2は、リニアに配列された複数のチャンネルCを有することになる。
【0026】
ここで、任意の1つのチャンネルCに着目して電子増倍作用について説明する。光入射部4aを透過した光が光電面7に入射すると、光電面7にて光電変換され、真空空間S中に光電子が放出される。放出された光電子は収束電極13のスリット13aを通って最前段のダイノード11上に収束される。これにより、光電子は、光入射部4aとマルチアノード14との間に位置する電子通過孔を通りながら、メタルチャンネルダイノード12により二次電子増倍され、最後段のダイノード12から二次電子群が放出される。この二次電子群はマルチアノード14に到達し、このマルチアノード14に接続されたステムピン17を介して出力信号が送出される。
【0027】
また、図2及び図4に示すように、光電子増倍管2の光入射板4の光入射側には、分光部5が配置されている。分光部5は、入射光を複数の異なる波長帯域の光に分光する部分であって、ダイクロイックミラーアレイ21と、入射部(光入射部)22と、反射部材23と、を有している。
【0028】
ダイクロイックミラーアレイ21は、光入射部4aの配列方向に沿って所定の傾斜角度θ(ここでは、θ=12度)をもって傾斜して配置されている。このダイクロイックミラーアレイ21は、互いに異なる波長帯域特性を有する複数のダイクロイックミラーDM(ここでは、n=1〜8)の配列である。ここでは、長波長帯域側が光透過帯域であって且つ光透過帯域の最短波長が互いに異なる複数のダイクロイックミラーDMが、光電面7に対し傾斜角度θをもって光電面7と対面する平面Pの傾斜方向に沿って最短波長が大きい順に配列されている。各ダイクロイックミラーDMは、図4において紙面に垂直な方向(以下、「幅方向」という)に延在し、光電面7の垂線方向において各光入射部4aと対向している。
【0029】
ダイクロイックミラーDMは、ダイクロイックミラーDMのうち光透過帯域の最短波長が最大のダイクロイックミラーであって、入射光が入射する入射部22と光電面7の垂線方向において対向する位置に配置されている。ダイクロイックミラーDM〜ダイクロイックミラーDMは、光透過帯域の最短波長が大きい順に互いに隣り合うように配列されている。そして、最短波長が最大のダイクロイックミラーDMと光電面7との距離は、最短波長が最小のダイクロイックミラーDMと光電面7との距離に比べ大きくなっている。
【0030】
ここで、長波長帯域側が光透過帯域である場合の光透過帯域の最短波長とは、図5に示すように、例えば、各ダイクロイックミラーDMにおいて光透過率が50%のときの波長αを意味する。なお、ダイクロイックミラーアレイ21においては、ダイクロイックミラーDM,DM,DM・・・DMという順序で光透過帯域の最短波長αが徐々に大きくなっているものとする。
【0031】
更に、図2及び図4に示すように、ダイクロイックミラーアレイ21に対する光の入射側には、入射部22が光電面7に対して平行に配置されている。入射部22は、検出対象の光(入射光)が入射する部分である。ダイクロイックミラーアレイ21による光の反射側には、反射部材23がダイクロイックミラーDMの配列方向に対して平行に配置されている。反射部材23は、各ダイクロイックミラーDM(i=1〜7)により反射された光を当該ダイクロイックミラーDMの次に光透過帯域の最短波長が大きいダイクロイックミラーDMi+1に反射する部材である。この反射部材23は、例えば、高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜とを交互に多層重ねた反射膜(誘電体多層膜)を有する誘電体ミラーである。
【0032】
また、光電面7とダイクロイックミラーアレイ21との間において、光電面7の垂線方向においてダイクロイックミラーDMのそれぞれに対応する位置には、幅方向に延在するバンドパスフィルタBPF(ここでは、k=1〜8)が配置されている。このバンドパスフィルタBPFは、互いに異なる透過波長帯域特性を有するフィルタである。各バンドパスフィルタBPFは、光入射板4と互いに対向するように設けられたバンドパスフィルタ保持台25に取り付けられている。バンドパスフィルタ保持台25は、幅方向に延在する複数の光遮蔽板26と幅方向に延在する取付部27とを有している。そして、隣り合うバンドパスフィルタBPF,BPFi+1は(i=1〜7)、光遮蔽板26によって仕切られており、バンドパスフィルタBPFの配列方向の両端に設けられた取付部27によって、筐体10に取り付けられている。
【0033】
図6は、バンドパスフィルタBPFの通過波長帯域特性を示す図である。図6に示すように、バンドパスフィルタBPF〜バンドパスフィルタBPFは、略可視領域に相当する波長域を8つの検出領域に分割している。各バンドパスフィルタBPFは、対応するダイクロイックミラーDMの光透過帯域のうち一部の波長帯域(中心波長λ)を透過する特性を有している。例えば、バンドパスフィルタBPFは、波長β11より長波長で波長β12より短波長の光を透過する。この波長β11及び波長β12はいずれも、波長αより長波長である。バンドパスフィルタBPFは、波長β21より長波長で波長β22より短波長の光を透過する。この波長β21及び波長β22はいずれも、波長αより短波長で波長αより長波長である。
【0034】
なお、光電面7の垂線方向において対応する各ダイクロイックミラーDMとバンドパスフィルタBPFとの間には光通過路Rが形成されており、隣り合う光通過路R,Rは、幅方向に延在する光遮光部材34によって仕切られている。
【0035】
続いて、上述した分光部5についてさらに詳細に説明する。図7は、分光装置1の分光部5の拡大斜視図である。図7に示すように、分光部5は、透光ブロック(透光部材)20を更に有し、この透光ブロック20を中心とし、上述のダイクロイックミラーアレイ21、入射部22、及び反射部材23を一体にして有している。
【0036】
透光ブロック20は、入射光に対して透光性を有する材料からなり、ダイクロイックミラーアレイ21及び反射部材23の間に設けられている。透光ブロック20は、例えば石英ガラス又はBK7(硼珪酸ガラス)等のガラスから構成され、複数の平面によって囲まれた長尺の略角柱状部材であり、その全平面が光学研磨されている。透光ブロック20は、入射部22が設けられている入射面20aと、ダイクロイックミラーアレイ21が設けられている分光面(第2の面)20bと、反射部材23が設けられている反射面(第1の面)20cと、後述の透光ブロック保持台(保持部材)30に固定される固定面(第3の面)20dと、透光ブロック20の長手方向の第1端面20e及び第2端面20fと、支持面20gと、を有している。
【0037】
入射面20aは、入射光の入射方向に対して略垂直に設けられており、光電面7に略平行な面である。この入射面20aに反射防止膜(ARコート;Anti Reflection Coating)が蒸着等によって形成されて入射部22を構成しており、入射部22は、透光ブロック20の入射面20aにおける入射光の反射を低減することにより、透光ブロック20内への入射光量の低下を抑制している。分光面20bは、入射面20a及び光電面7の間に位置する面であって、入射面20a及び光電面7に対して所定の傾斜角度θをもって傾斜している。この分光面20bに沿って、透光性材料(例えば、ガラス)からなる透光基板上に誘電体膜を複数層積層することにより形成されたダイクロイックミラーアレイ21が設けられている。反射面20cは、分光面20bと対向する面(反対側の面)であって、分光面20bに略平行な面である。反射面20cは、入射面20aの端部から所定の傾斜角度θをもって延設されている。この反射面20c上に、反射部材23が設けられている。固定面20dは、入射面20a、分光面20b及び反射面20cに直交する面である。第1端面20eは、入射面20a及び固定面20dに直交する面である。第2端面20fは、固定面20dに直交し、第1端面20eに略平行な面である。支持面20gは、固定面20d及び第2端面20fに直交する面である。なお、ダイクロイックミラーアレイ21及び反射部材23の具体的な接合方法は、後述の第1実施例及び第2実施例において説明する。
【0038】
次に、筐体10について説明する。図1及び図8に示すように、筐体10は、分光部5を収容する上側筐体10aと、光電子増倍管2を収容する下側筐体10bとで構成されている。上側筐体10aは、分光部5及びバンドパスフィルタBPFを収容し、ダイクロイックミラーDMの透過光をバンドパスフィルタBPFを介して光電子増倍管2に導出する。分光部5は、透光ブロック保持台30に固定されて、上側筐体10aに収容される。上側筐体10aは、直方体箱型形状を呈しており、筐体本体40と遮光カバー40aとから構成されている。筐体本体40は、幅方向に直交する一側面が開口しており、遮光カバー40aによって塞がれる。筐体本体40の上面には、開口部41が設けられており、この開口部41にはレンズユニット(不図示)が結合されている。そして、開口部41を介して、検出対象の入射光が集光された状態で分光部5の入射部22に入射される。筐体本体40の下面には、ダイクロイックミラーDMの透過光をバンドパスフィルタBPFを介して光電子増倍管2に導出する光導出路42が設けられている。そして、筐体本体40の開口面と反対側の側面の内側には、透光ブロック保持台30を固定するための雌ネジ部43と、バンドパスフィルタ保持台25を固定するための雌ネジ部44と、が設けられている。
【0039】
ここで、透光ブロック保持台30について説明する。図9の(a)は透光ブロック保持台30の斜視図、(b)は分光部5が固定された透光ブロック保持台30の斜視図である。図9に示すように、透光ブロック保持台30は、保持板31と、段部32と、支持部33と、光遮光部材34と、開口部35と、を備えている。保持板31は、透光ブロック20の固定面20dと対向するように設けられている。
【0040】
段部32は、透光ブロック20の固定面20dに対向する保持板31の対向面31aにおいて、対向面31aに平行な面となるように設けられている平板状部である。段部32は、1mm程度の板厚を有し、その板厚分だけ保持板31の対向面31aに対して突出している。段部32は、例えば、対向面31aにおいて、入射面20aと固定面20dと第1端面20eとによって囲まれる第1角部20p、及び、当該第1角部20pの固定面20dにおける対角に位置し、固定面20dと第2端面20fと支持面20gとによって囲まれる第2角部20qのそれぞれに対向する位置に設けられている。
【0041】
また、支持部33,33は、透光ブロック20を嵌合可能に設けられた一対の部材であって、対向面31a上において透光ブロック20の位置を決定する。支持部33,33は、保持板31の対向面31aに設けられている。一方の支持部33は、第1角部20pを囲むように、入射面20a及び第1端面20eに沿った形状を有している。他方の支持部33は、第2角部20qを囲むように、第2端面20f及び支持面20gに沿った形状を有している。透光ブロック20は、この支持部33,33によって位置決めされつつ、段部32,32において接着剤等により透光ブロック保持台30に固定される。これにより、図9の(b)に示すように、透光ブロック20は、段部32の板厚である間隔Gだけ対向面31aから離間して透光ブロック保持台30に固定される。
【0042】
また、透光ブロック20の固定面20dと段部32,32とは対角で面接触しているので、透光ブロック保持台30に対して傾くことなく透光ブロック20を高精度に固定することができる。また、保持板31は、筐体本体40の開口面と反対側の側面に対して面接触しているので、筐体本体40に対して傾くことなく透光ブロック保持台30を高精度に固定することができ、筐体本体40に対して傾くことなく透光ブロック20を高精度に固定することが可能となる。
【0043】
なお、入射面20aの垂直方向上方から見た場合、入射面20aの一部及び一方の支持部33のうち入射面20aに接する部分が開口部41に含まれるように、透光ブロック20は透光ブロック保持台30に固定される。そして、一方の支持部33のうち入射面20aに接する部分の端面33bは、入射面20aから開口部41の周縁に向かって広がるように傾斜している。これにより、一方の支持部33は、レンズによって集光された入射光が入射部22へ入射するのを妨げることなく、透光ブロック20の位置決めに必要な大きさを確保することができる。また、支持部33,33には、透光ブロック20の角部に対応する位置に、溝部33aが形成されている。これにより、支持部33,33と第1角部20p及び第2角部20qとが接触しないようにすることができ、破損の可能性が高い角部に接触することなく透光ブロック20の位置決めを行うことが可能となる。
【0044】
光遮光部材34は、幅方向に延在し、隣り合うダイクロイックミラーDM,DMi+1の透過光の光路間を仕切って、透過光間のクロストークを防止する板材である。光遮光部材34は、分光部5を透光ブロック保持台30に固定している状態において、隣り合うダイクロイックミラーDM,DMi+1の境界及び隣り合うバンドパスフィルタBPF,BPFi+1の境界に沿うように設けられている。このように、光遮光部材34は、ダイクロイックミラーDMの透過光を、対応するバンドパスフィルタBPFに略垂直に入射するように導光している。開口部35は、後述のネジ部材50によって挿通され、透光ブロック保持台30を上側筐体10aに固定するための部分であって、例えば、保持板31の周縁部の対角上に2箇所設けられている。
【0045】
次に、図8を参照して、分光装置1の組立手順を説明する。まず、バンドパスフィルタBPFをバンドパスフィルタ保持台25に装着する。そして、バンドパスフィルタBPFが装着されたバンドパスフィルタ保持台25にバンドパスフィルタ蓋25aを被せ、バンドパスフィルタ蓋25aの開口部及び取付部27の開口部を介して、筐体本体40の雌ネジ部44にネジ部材を螺入して、バンドパスフィルタ保持台25を筐体本体40に固定する。また、分光部5を接着剤等により透光ブロック保持台30に固定する。そして、分光部5が固定された透光ブロック保持台30を、調整部Tによって位置の微調整を行って筐体本体40にネジ部材50で固定する。この調整部Tは、開口部35及びネジ部材50により構成される。
【0046】
ここで、ネジ部材50について説明する。図10は、ネジ部材50の側面図である。図10に示すように、ネジ部材50は、雄ネジであって、頭部51及び軸部52から構成されている。頭部51は、例えば円柱状の形状を呈しており、透光ブロック保持台30を筐体本体40に押圧する部分である。頭部51は、例えば頭頂面に十字状の溝が形成されている。頭部51の径は、透光ブロック保持台30の開口部35の径よりも大きい。軸部52は、例えば円柱状の形状を呈しており、透光ブロック保持台30の開口部35を挿通して、筐体本体40の雌ネジ部43に螺入される部分である。この軸部52は、頭部51の頭頂面の反対側の面から一方向に延設されている。軸部52の径は、透光ブロック保持台30の開口部35の径よりも小さい。ドライバー等の工具によって、軸部52が雌ネジ部43に螺入され、頭部51が透光ブロック保持台30を筐体本体40に押圧する。このようにして、ネジ部材50は透光ブロック保持台30を筐体本体40に固定する。
【0047】
調整部Tによる透光ブロック保持台30の位置調整について説明する。上述のネジ部材50を用い、開口部35を介して軸部52を雌ネジ部43に螺入しつつ、透光ブロック保持台30の開口部35の径と軸部52の径との差を利用して透光ブロック保持台30の位置を微調整して光軸調整を行った上で、頭部51によって透光ブロック保持台30を筐体本体40に押圧する。これにより、透光ブロック保持台30を筐体本体40に確実に固定する。例えば、入射面20aが入射光の入射方向に対して直交すること、入射光の入射方向にダイクロイックミラーDMが位置すること、ダイクロイックミラーDMの透過光がそれぞれ対応するバンドパスフィルタBPFに垂直に入射すること等を考慮して透光ブロック保持台30の位置を微調整する。続いて、遮光カバー40aを筐体本体40にネジ部材で固定する。そして、光電子増倍管2を収容する下側筐体10bに上側筐体10aをネジ部材で固定する。以上の手順により、分光装置1が組み立てられる。
【0048】
以上のように構成された分光装置1における入射光の分光作用について説明する。図2に示すように、入射光は、光電面7に対して略平行に配置されている入射部22に略垂直に入射する。すなわち、入射光は、光電面7の垂線方向に沿って入射部22に入射する。この入射部22は透光ブロック20の入射面20aに形成された反射防止膜であるので、入射光は入射部22において殆ど反射されることなく透光ブロック20内に入射する。そして、入射光は、透光ブロック20内を通って、入射部22と入射方向において対面しているダイクロイックミラーDMに入射する。
【0049】
ここで、ダイクロイックミラーDMを透過した光(主に波長αより長波長帯域の光)は、バンドパスフィルタBPF及び光入射部4aを透過して光電面7に略垂直に入射する。一方、ダイクロイックミラーDMにより反射された光(主に波長αより短波長帯域の光)は、透光ブロック20内を通って、透光ブロック20の反射面20cに設けられた反射部材23により反射される。このとき、ダイクロイックミラーアレイ21は、光透過帯域の最短波長が最大のダイクロイックミラーDMに比べ光透過帯域の最短波長が最小のダイクロイックミラーDMのほうが光電面7に近くなるように傾斜していると共に、反射部材23と略平行に対面しているので、反射部材23により反射された光は、光透過帯域の最短波長が2番目に大きいダイクロイックミラーDMに対し光電面7の垂線方向に沿って入射することになる。
【0050】
このため、ダイクロイックミラーDMを透過した光(主に、波長αより短波長帯域の光のうち、波長αより長波長帯域の光)は、バンドパスフィルタBPF及び光入射部4aを透過して光電面7に略垂直に入射する。さらに、ダイクロイックミラーDMにより反射された光(主に波長αより短波長帯域の光)は、透光ブロック20内を通って、反射部材23により反射される。このようにして、光透過帯域の最短波長が最小のダイクロイックミラーDMに到達するまで光の反射が透光ブロック20内で繰り返されることになる。
【0051】
次に、分光装置1の作用効果を、以下の第1実施例及び第2実施例を用いて説明する。
【0052】
(第1実施例)
第1実施例において、ダイクロイックミラーアレイ21が形成されている透光基板は、エポキシ接着剤等の樹脂系の接着剤により透光ブロック20の分光面20bに接合されている。また、反射部材23は、ガラス板上にアルミ膜を形成したものであって、UV(UltraViolet)接着材により透光ブロック20の反射面20cに接合されている。
【0053】
(第2実施例)
第2実施例において、ダイクロイックミラーアレイ21が形成されている透光基板は、オプティカルコンタクトにより透光ブロック20の分光面20bに接合されている。また、反射部材23は、誘電体ミラー(反射膜)であって、蒸着等によって透光ブロック20の反射面20cに直接形成されている。
【0054】
図11は、第1実施例及び第2実施例に係る分光装置1の各チャンネルの出力特性を示す図である。図11において、横軸は分光された光の波長を示し、縦軸は光透過率(分光された光の強度の入射光の強度に対する割合)を示す。なお、比較のため、従来品(型名:H11453)の各チャンネルの出力特性を併せて示している。この従来品は、分光部の反射光路を大気としたものである。グラフE1〜E8はそれぞれ、従来品のチャンネルC〜C(中心波長λ〜λ)の出力特性を示すグラフである。グラフF1〜F8はそれぞれ、第1実施例に係る分光装置1のチャンネルC〜C(中心波長λ〜λ)の出力特性を示すグラフである。グラフG1〜G8はそれぞれ、第2実施例に係る分光装置1のチャンネルC〜C(中心波長λ〜λ)の出力特性を示すグラフである。
【0055】
第1実施例の分光装置1の出力特性と従来品の出力特性とを比較すると、チャンネルCでは、従来品の光透過率は76〜78%程度であるのに対して、第1実施例の分光装置1の光透過率は83〜85%程度である。チャンネルCでは、従来品の光透過率は68〜70%程度であるのに対して、第1実施例の分光装置1の光透過率は74〜78%程度である。チャンネルCでは、従来品の光透過率は60〜65%程度であるのに対して、第1実施例の分光装置1の光透過率は65〜70%程度である。チャンネルCでは、従来品の光透過率は55〜58%程度であるのに対して、第1実施例の分光装置1の光透過率は61〜63%程度である。チャンネルCでは、従来品の光透過率は50〜52%程度であるのに対して、第1実施例の分光装置1の光透過率は55〜57%程度である。チャンネルCでは、従来品の光透過率は45%程度であるのに対して、第1実施例の分光装置1の光透過率は50%程度である。チャンネルCでは、従来品の光透過率は40〜42%程度であるのに対して、第1実施例の分光装置1の光透過率は45%程度である。チャンネルCでは、従来品の光透過率は36%〜38%程度であるのに対して、第1実施例の分光装置1の光透過率は40〜42%程度である。このように、第1実施例の分光装置1において各チャンネルの光透過率が1割程度増大している。この光透過率の増加は、光量の増加を意味し、光の損失が低減されていることを示している。従って、第1実施例の分光装置1では、従来品と比較して光の損失が低減されている。
【0056】
第2実施例の分光装置1の出力特性と従来品の出力特性及び第1実施例の分光装置1の出力特性とを比較する。第2実施例の分光装置1においては、いずれのチャンネルの光透過率も80〜90%である。このように、第2実施例の分光装置1において各チャンネルの光透過率が大幅に増大している。また、チャンネルCの光透過率とチャンネルCの光透過率との差が10%以下と小さいことから、反射光路における光の損失が少ないことが分かる。従って、第2実施例の分光装置1では、従来品と比較して光の損失が大幅に低減されている。
【0057】
このように、透光ブロック20の反射面20cに反射部材23が接合され、反射面20cと対向する分光面20bにダイクロイックミラーアレイ21が接合される構成とすることで、入射光の入射光路及び反射光路において、光の拡散を抑制することができ、分光部5内における光の損失を抑制することができる。また、反射部材23と透光ブロック20との界面(接合面)及びダイクロイックミラーアレイ21と透光ブロック20との界面(接合面)における光の損失を抑制することができる。
【0058】
また、第2実施例の分光装置1では、ダイクロイックミラーアレイ21は、オプティカルコンタクトによって透光ブロック20の分光面20bに接合され、反射部材23として誘電体多層膜が透光ブロック20の反射面20cに直接形成されている。この場合、接着剤のような接合部材を使用することなくダイクロイックミラーアレイ21と透光ブロック20とを接合することができ、接合部材による光の損失をなくすことができるので、ダイクロイックミラーアレイ21と透光ブロック20との界面における光の損失をより一層抑制することが可能となる。また、反射部材23として誘電体多層膜を透光ブロック20に直接形成することにより、接着剤のような接合部材を使用しないため、反射部材23と透光ブロック20との界面における光の損失をより一層抑制することが可能となる。また、誘電体多層膜によって、検出波長域に適した反射膜を形成することができるので、より光強度を保持した状態での反射が可能になる。
【0059】
また、上述したように、入射部22は反射防止膜で構成されているため、入射部22において入射光が反射するのを抑制することができ、入射部22における光の損失を抑制することができる。
【0060】
また、上述したように、各ダイクロイックミラーDMを透過した光はバンドパスフィルタBPFを透過することになるため、波長弁別性をより一層向上させることができる。従って、入射光を分光する際の分解能を向上させることが可能になる。しかも、各ダイクロイックミラーDMを透過した光はバンドパスフィルタBPFに略垂直に入射することになるため、バンドパスフィルタBPFを透過した光の波長域がシフトするのを防止することができる。
【0061】
また、分光部5は、透光ブロック20、ダイクロイックミラーアレイ21、入射部22及び反射部材23が一体となっているため、一括して配置することができるが、配置が正確に行われなければ、すべてのチャンネルで検出不良になる場合がある。上述したように、分光部5は、透光ブロック保持台30に固定されてから、筐体10(上側筐体10a)に取り付けられているため、分光部5の筐体10に対する位置調整を透光ブロック保持台30を介して行うことができる。一方、分光部5を直接筐体10に固定する場合、分光部5に直接触れて作業をする必要があるので、破損及び汚れの付着といった要因に対応しながら、筐体10の内部で作業を行う必要がある。よって、分光部5を直接筐体10に固定する場合と比較して、作業性が向上するため、分光部5を高精度に配置することができ、分光部5における入射光の分解能を向上させることが可能となる。また、透光ブロック保持台30における分光部5の位置調整は、筐体10外で行うことができる。さらに、調整部Tによって筐体10に対する透光ブロック保持台30の位置調整を行うことができる。このため、分光部5をより高精度に配置することができ、分光部5における入射光の分解能を向上させることが可能となる。
【0062】
また、分光部5は、透光ブロック20が透光ブロック保持台30に面接触することなく、段部32を介して透光ブロック保持台30に固定されているため、透光ブロック保持台30との接触面積を抑えて分光部5を固定することができる。その結果、透光ブロック保持台30との接触面からの光の漏出を抑制し、透光ブロック20における光の損失を抑制することが可能となる。
【0063】
なお、本発明に係る分光装置は本実施形態に記載したものに限定されない。本発明に係る分光装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る分光装置1を変形し、又は他のものに適用してもよい。
【0064】
例えば、ダイクロイックミラーDMはそれぞれ、特定波長より短波長の光を透過し、該波長以上の波長を反射する波長帯域特性を有してもよい。この場合、ダイクロイックミラーDMは、ダイクロイックミラーDMのうち光透過帯域の最長波長が最小のダイクロイックミラーであって、光電面7の垂線方向において透光ブロック20の分光面20bの入射部22と対向する位置に配置されている。そして、ダイクロイックミラーDM〜ダイクロイックミラーDMは、光透過帯域の最長波長が小さい順に互いに隣り合うように透光ブロック20の分光面20bに沿って配列されている。
【0065】
また、ダイクロイックミラーアレイ21を透光ブロック20の分光面20bに直接蒸着等によって形成してもよい。この場合、透光ブロック20とダイクロイックミラーアレイ21との界面における光の損失をより一層抑制することが可能となる。
【0066】
また、上記実施形態では、反射部材23として誘電体ミラーを用いたが、これに代えてアルミニウム膜を蒸着したアルミミラーとしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…分光装置、2…光電子増倍管(光検出部)、5…分光部、10…筐体(筐体部)、14…マルチアノード、20…透光ブロック(透光部材)、20b…分光面(第2の面)、20c…反射面(第1の面)、20d…固定面(第3の面)、21…ダイクロイックミラーアレイ、22…入射部、23…反射部材、30…透光ブロック保持台(保持部材)、31a…対向面、32…段部、35…開口部、50…ネジ部材、51…頭部、52…軸部、C…チャンネル(電子増倍経路)、DM…ダイクロイックミラー、T…調整部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を互いに異なる波長帯域の光に分光して各波長帯域の光を検出する分光装置であって、
互いに異なる波長帯域特性を有する複数のダイクロイックミラーが配列されたダイクロイックミラーアレイと、前記ダイクロイックミラーと略平行に対面する反射部材と、を有する分光部と、
前記ダイクロイックミラーアレイからの透過光を光電変換する光電面と、前記ダイクロイックミラーの各々に対応して設けられた複数の電子増倍経路と、前記電子増倍経路の各々に対応して設けられた複数のアノードとを有する光電子増倍管を備えた光検出部と、
を備え、
前記分光部は、前記ダイクロイックミラーアレイと前記反射部材との間に、透光性を有する材料からなる透光部材を更に有し、
前記透光部材の第1の面に前記反射部材が設けられ、前記第1の面と対向する第2の面に前記ダイクロイックミラーアレイが設けられていることを特徴とする分光装置。
【請求項2】
前記反射部材は、前記透光部材の前記第1の面に形成された反射膜であることを特徴とする請求項1に記載の分光装置。
【請求項3】
前記ダイクロイックミラーは、透光性を有する材料からなる透光基板上に形成され、
前記透光基板は、オプティカルコンタクトによって前記透光部材の前記第2の面に接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分光装置。
【請求項4】
前記透光部材は、前記入射光が入射する光入射部を有し、
前記光入射部には、反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分光装置。
【請求項5】
前記分光部を収容し、前記ダイクロイックミラーの透過光を前記光検出部に導出する筐体部をさらに備え、
前記分光部は、前記透光部材を保持する保持部材に固定されて前記筐体部に収容されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分光装置。
【請求項6】
前記保持部材は、前記筐体部内での前記保持部材の位置を調整する調整部を備えることを特徴とする請求項5に記載の分光装置。
【請求項7】
前記保持部材は、前記透光部材の前記第1の面及び前記第2の面に直交する第3の面に対向する対向面を有し、
前記透光部材は、前記対向面と離間して前記保持部材に固定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の分光装置。
【請求項8】
前記保持部材は、前記対向面に段部を有し、
前記透光部材は、前記段部において固定されていることを特徴とする請求項7に記載の分光装置。
【請求項9】
前記調整部は、ネジ部材が挿通可能な開口部を有し、前記開口部を介して前記ネジ部材によって前記保持部材を押圧して前記筐体部に固定し、
前記ネジ部材は、前記保持部材を前記筐体部に押圧する頭部と前記筐体部に螺入される軸部とを有し、
前記開口部の径は、前記軸部の径よりも大きく前記頭部の径よりも小さいことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の分光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−242115(P2012−242115A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109422(P2011−109422)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】