説明

分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法とこれにより成形された容器

本願発明は、一般に射出方式で成形されるプレフォーム自体に隔壁を形成し、ブロー金型にプレフォームを配列してブロー成形する場合、2回の成形過程を経ることにより、自然に完成された容器全体にわたって均一な厚さの隔壁を有する容器を提供することができる、隔壁によって分割された収容空間を有する容器を製造するためのブロー成形方法に関する。本願発明のブロー成形方法は、隔壁によって分けられた分割空間を有するプレフォーム成形段階と、プレフォームをブロー金型に配列し、1次ブローを経て、所定の形状を備えるようにする1次ブロー成形段階と、2次ブローを経て、ブロー金型の形状に相応する容器の形状を得る2次ブロー成形段階とを具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、分割された収容空間を有する容器とその容器のブロー成形方法に関するものであり、より詳しくは、一般に射出方式で成形されるプレフォーム自体に隔壁を形成し、ブロー金型にプレフォームを配列してブロー成形する場合、2回の成形過程を経ることにより、自然に完成された容器全体にわたって均一な厚さの隔壁を有する容器を提供することができる、隔壁によって分割された収容空間を有する容器とそのブロー成形方法に関するものである。
前記容器は、例えば収容空間に比べて口頸部の断面積がさらに小さい瓶状の容器、胴体より入口がさらに広い容器、ねじ蓋を有する容器、 ワンタッチ式の蓋を有する容器、強制嵌め式の蓋を有する容器、円筒形の容器、長方形の容器などといった多様な形状の容器を含み、ひいては、一つの蓋によって開閉できる、分割された収容空間の上部注入口を有する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
空間が分割されていて異種の内容物を収容する従来の容器としては、韓国実用新案登録第0060490号(1991.11.13)『異種液体分離収容容器』を始めとして多数提案されている。
分割された収容空間を有する容器は、例えばシャンプとリンス、毛髪染色剤と酸化剤などのように異種の物品を排出口を介して一緒に排出して混合使用する必要がある場合や、あるいは、例えばコーラとポテトチップ、コーラとサイダー、白菜キムチと大根キムチ、味味噌と唐辛子味噌などのように異種の食品を好みによって一つの容器に入れて提供することが消費者の需要に応える場合や、或いは新しい需要の創出に寄与することが可能な場合などに採用されている。
【0003】
そして、広範囲に使われている合成樹脂製容器の大量生産のために、射出成形方法またはブロー成形方式が採用される。
特に、収容空間に比べて口頸部の断面積が小さい瓶状の容器は、プレフォーム(perform)の射出成形の後、ブロー成形法をとることが一般的である。
従来のブロー成形による二重容器の製造方法としては、韓国特許第0493424号(2005年5月25日)に開示されている『透明合成樹脂二重容器およびその製造方法』があるが、前記特許は、外皮が二重からなっている容器であって、本発明とは異なるものである。
【0004】
また、韓国特許公開第2006−0071954号(2005年6月27日)には『多重容器およびその製造方法』が開示されているが、この公開特許では、口頸部が互いに連結された2つの円筒形プレフォームを用いてブロー成形によって容器を製造するので、隔壁によって収容空間が分割された本発明とは異なるものである。
しかも、前記公開特許の多重容器は、2つの蓋(特に、ねじ蓋)によって容器の注入口が開閉される形態なので、不便である。
なお、本件発明に関して、以下のような先行技術文献がある。
【特許文献1】韓国実用新案登録第0060490号
【特許文献2】韓国特許第0493424号
【特許文献3】韓国特許公開第2006−0071954号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、主に射出成形されるプレフォーム自体に隔壁が備えられており、このプレフォームをブロー金型に投入し、成形することにより、隔壁によって分離された収容空間を有する容器を形成するが、特に1次ブロー段階を経て完成容器の長さに相当する中間体(intermediate)を成形した後、2次ブロー段階を経て容器を完成する成形方法、および前記成形方法による容器を提供することを目的としている。
【0006】
また、本願発明は、1次ブロー成形段階ではブロー(blowing)による膨張と共にストレッチロッドによって延伸が行われるが、特に隔壁による分割空間の数に相応する数のストレッチロッドを使用することにより、全体容器にわたって均一な厚さに膨張するのを保障する容器およびそのブロー成形方法を提供することを目的としている。
【0007】
さらに、本願発明は、収容空間より口頸部の断面積がさらに小さい瓶の形状であり、この際、前記プレフォームの隔壁上端は前記口頸部の上端部まで延長されており、
本体と隔壁とが接する外周面の部位には微細な分離線が形成されている容器およびそのブロー成形方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、隔壁によって分けられた分割空間を有するプレフォーム成形段階と、プレフォームをブロー金型に配列し、1次ブローを経て、所定の形状を備えるようにする1次ブロー成形段階と、2次ブローを経て、ブロー金型の形状に相応する容器の形状を得る2次ブロー成形段階とを具えてなる分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法を提供して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0009】
また、上記の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記1次ブロー成形段階では、ブローによる膨張と共に、前記容器の口頸部に投入されるストレッチロッドによって延伸が行われるように構成することがある。
【0010】
さらにまた、段落0009記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記ストレッチロッドの数は前記分割空間の数に相当する構成となすことがある。
【0011】
また、段落0008記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記1次ブロー成形段階は、ブロー金型に備えられ、ブローによる膨張と共に前記プレフォームの下部を引っ張って延伸させる引張手段によって行われる構成となすことがある。
【0012】
さらに、段落0011記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記プレフォームの下部には把持突起が備えられていて、前記引張手段は、前記把持突起を把持するクランプ部材と、このクランプ部材を垂直に動かせる昇降部材とからなる構成となすことがある。
【0013】
また、段落0011記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記引張手段は、前記プレフォームの下部を真空吸着する吸着部材と、前記吸着部材を垂直に動かせる昇降部材とから構成することがある。
【0014】
そして、上記段落0008ないし0013いずれか記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記1次ブロー成形段階のブロー圧は7〜11kg/平方センチメートルに、また、前記2次ブロー成形段階のブロー圧は20〜40kg/平方センチメートルにそれぞれ設定する構成となすことがある。
【0015】
そしてまた、上記段落0008ないし0013いずれか記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、完成された容器は収容空間より口頸部の断面積がさらに小さい瓶形状で構成することがある。
【0016】
また、段落0015記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記プレフォームの隔壁の上端は前記口頸部の上端部まで延長されている構成となすことがある。
【0017】
さらに、段落0016記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、完成された容器の本体の外皮と隔壁とが接する外周面の部位には、微細な分離線が形成される構成となすことがある。
【0018】
そしてさらに、段落0008ないし0013いずれか記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、 前記1次ブロー成形段階で得られた中間体は、2次ブロー成形により完成される容器の長さと同一の長さを有する構成となすことがある。
【0019】
また、段落0008ないし0013いずれか記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記プレフォーム成形段階のための金型は、隔壁を有するプレフォームの形状に相応するキャビティを形成するようにコアに分割部が設けられており、前記コアに取り付けられる冷却パイプは、各分割部に投入できる同数の分岐管を有する構成となすことがある。
【0020】
本願発明はまた、収容空間を形成する本体と、前記本体の上部に備えられた口頸部と、
前記口頸部の上端部まで延長されて前記本体の収容空間を分割する隔壁部と、を具えてなるブロー成形容器を提供して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0021】
また、上記のブロー成形容器において、前記本体の外皮と前記隔壁とが接する外周面の部位には、微細な分離線が形成された構成となすことがある。
【発明の効果】
【0022】
上記構成により、本願発明にあっては、次のような効果を得ることができる。すなわち、容器の分割部によって形成される各収容空間の注入口を開閉する蓋(特にねじ蓋)が一つのみの場合でも、十分な密閉性を保障することができるため、使用が便利である。
また、1次ブロー成形段階ではブローによる膨張と共にストレッチロッドによって延伸が行われるが、特に隔壁による分割空間の数に相応する数のストレッチロッドを使用することにより、全体容器にわたって均一な厚さへの膨張が保障されるとともに、完成された容器は収容空間より口頸部の断面積がさらに小さい瓶の形状も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】隔壁を備えたプレフォーム製造のための金型を概略的に示す部分断面図である。
【図2】本願発明に係る分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法によってプレフォームをブロー金型に配列した状態を概略的に示す断面図である。
【図3】本願発明に係る容器のブロー成形方法によって1次ブローを経て中間体を成形した段階を概略的に示す部分断面図である。
【図4】本願発明に係る容器のブロー成形方法によって2次ブローを経て容器を完成した段階を概略的に示す断面図である。
【図5】図4の「C−C」線断面図である。
【図6】ワンタッチ式の蓋を有する断面長方形の容器と、入口が大きく且つねじ蓋を有する容器を示す図である。
【図7】ワンタッチ式の蓋を有する断面長方形の容器と、入口が大きく且つねじ蓋を有する容器を示す図である。
【図8】1次ブロー段階で引張手段によって行われる延伸過程を概略的に示す断面図である。
【0024】
符号の説明
B:容器 P:プレフォーム
M:中間体 10、10p、10m:本体
20、20p、20m:口頸部
30、30p、30m:隔壁 40:金型
41:ボディ 43:ボトムコア
45:ストレッチロッド 47:ブローコア
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
各図面において、同一の参照符号は同一の機能を有する部材を示し、特別な言及がないかぎり、図面の各参照符号が指す部材はこのような基準に準ずる部材として把握すればよい。
なお、説明の便宜上、所定の方向基準を図4を参照して特定し、完成された容器Bの口頸部20が配列された方を上部とし、その反対の方を下部とする。
【0026】
まず、図2の拡大された円「A」内に示されているように、公知の射出成形法を応用して製造されるプレフォームは、本体10pの内部に既に隔壁30pが形成されており、収容空間より断面積が小さい瓶状の完成容器B(図4参照)のために、口頸部20pには既にネジ部23pおよびフランジ21pが設けられており、このため、前記フランジがブロー金型40のボディ41のキャビティ41aの上端入口に掛止される。
【0027】
しかしながら、本願発明は、瓶状の容器のための構成(相対的に狭い口頸部、ネジ部およびフランジ)によってその保護範囲が限定されるものではない。
例えば、本願発明によって製造される容器は、図6(平面図および正面図)に示すように、ワンタッチ式のロッキングレバーを備えた蓋を有する断面長方形の容器B1、または図7(平面図および正面図)に示すように、口頸部の注入口の断面積が収容空間のそれとほぼ同一であり且つねじ蓋を有する容器B2なども、本願発明の技術範囲に属するものである。 また、この他にも、本発明の容器は、断面三角形または楕円形などの多様な形状を持つことができる。
【0028】
図1に示すように、前記プレフォーム10pの製造のための金型50は、冷却水通路55Aを形成するために冷却カバー55によって覆われており、設計されたプレフォーム形状のためのキャビティ52の外壁を形成するための外部金型51と、プレフォームのためのキャビティの内壁を担当するコア52と、前記コア52の冷却のための冷却パイプ57と、前記外部金型51の下部に配列され、溶融合成樹脂の注入のための通路59Aを有するノズル59とを有している。
【0029】
本願発明のためのプレフォームの製造、すなわち分割された収容空間を有する容器の製造のために、前記プレフォームには隔壁が形成されなければならず、このために、前記コア53は、隔壁に該当するキャビティ52Aの形成のための分割部53Aを有し、前記コア53に取り付けられる冷却パイプ57も、各分割部53Aに投入できる同数の分岐管57Aを有することが好ましい。
【0030】
図2を参照すると、前記金型40のボディ41は、基本的に2つの分体が合わせられて構成され、断熱部材41bによって取り囲まれている。前記ボディ41の下部には、固定プレート43aの上部に配列され且つ断熱部材43bによって取り囲まれたボトムコア43が備えられている。なお、図示はしてはいないが、前記ボディ41と前記ボトムコア43には冷却水のための流路が設けられている。
【0031】
前記ボディ41の上部にはブローのためのブローコア47が載せられ、これにより適切な昇降手段(例えば、流圧または空圧シリンダー)によって昇降可能になっている。
前記ブローコア47の下端の内接チップ47aは、プレフォームPの口頸部20pの内面と接して漏洩なしにさらに完璧なブローが可能であって、ブローのための空気圧力制御の精密性が高まるようになっている。
【0032】
前記ブローコア47の上端のカバープレート47Aは、ストレッチロッド45のためのストップブロック45Bを支えている。 前記カバープレートの下部には固定プレート47Bが備えられているため、前記ブローコア47の空気注入口47Cにブローのためのノズルが嵌め込まれて固定される。
前記ブローコア47の内部にはパイプ47bが備えられており、その内周面に配列されたストレッチロッド45の円滑な昇降を保障し、その外周面には空気の疎通する通路が形成される。
【0033】
前記パイプ47bの上部には気密性のためのブッシング47cが配列される。
前記パイプ47bの下部には、図2の拡大された円「B」の内部から確認できるように、凹溝47d’が設けられており、空気が前記プレフォームPに注入できるようにするブッシング47dが備えられている。
【0034】
前記ブロー金型40において、前記プレフォームPの口頸部20pに嵌合されるブローコア47の内接チップ47aも重要であるが、何よりもストレッチロッド45の概念が重要である。
後述するように、ストレッチロッド45は、1次ブロー成形段階でブローによる膨張と共に前記容器の口頸部への投入によってプレフォームの延伸が可能となるようにする。
特に、前記ストレッチロッド45は、前記分割空間の数(商業的な観点で2〜3個が一般的である)に相当する数を有し、各分割空間に投入されて均等な延伸を保障する。
【0035】
以下、各図面を参照して、前記金型40を用いた容器のブロー成形工程をより詳細に説明する。
図1を参照すると、前述したように、本発明のためのプレフォームは、既に隔壁30pを備えており、主に射出によって形成されるが、大量生産のためにプレフォームのための金型は多数のキャビティなどが備えられている。
プレフォーム成形に続いてブロー成形が行われてもよく、近距離または遠距離の場所に移動して時差をおいてブロー成形が行われてもよい。後者の場合にはランプヒーターまたはその他のヒーターによる再加熱過程が必要である。
【0036】
1次ブロー成形段階では、プレフォームPのフランジ21pが金型のボディ41の上部に載せられ、口頸部20pにブローコア47のチップ47aが内接すると、図2および図3に示すように、コンプレッサなどに連結されたノズル(図示せず)が前記固定プレート47Bに嵌め込まれ、注入された空気は前記ブローコアパイプ47bの外周面に沿って下部ブッシング47dの凹溝47d’を経てプレフォームPの内部に注入されてプレフォームを膨張させる。
【0037】
その際、昇降手段によって前記ストレッチロッド45が前記ブローコアパイプ47bの内周面に沿って下降しながら、前記プレフォームPの底部を加圧して延伸が行われるようにすることが、より均一な厚さを有する容器の製造のために好ましい。
しかも、前記ストレッチロッドは、前述したように、前記プレフォームにおいて隔壁による分割空間の数に相当する数を有することが好ましい。
【0038】
このような1次ブローだけでなく次の2次ブロー段階においても、延伸のために、プレフォームは100〜120℃の温度を維持することが好ましい。
瓶状の容器のためのプレフォームでは、口頸部部位(口頸部とフランジを含む)はプレフォームのもの20p、または1次ブロー成形による中間体のもの20m、または2次成形によって完成された容器Bのもの20においてその形状および大きさの変化がないが、これに対し、前記隔壁30pのプレフォームで容器に成形されることにより、長くなり且つ広くならなければならない。
【0039】
したがって、前記プレフォームPの隔壁30pが前記口頸部20pの上端部まで延長されていると、図3から確認できるように、1次成形段階で延伸が行われない、中間体Mの隔壁30mの上端部30amはその下部より厚い。これは、図4に示すように、2次成形を済ませた容器Bの隔壁30の上端部30aと同様である。
【0040】
図3に示すように、前記1次ブロー成形段階で得られた中間体Mは、2次ブロー成形により完成される容器Bの長さと同様の長さに延伸され、本体10mの中間が膨らんで形成される。 前記ストレッチロッド45が別途の加熱手段によってプレフォームの加熱温度だけ昇温しなければ、冷却防止のために出来る限りロッドはプレフォームPまたは中間体Mと接触しないことが好ましい。
【0041】
また、前記ロッドのチップ45aは、柔らかくラウンドされており、延伸過程でプレフォームの破損を防止するようになっていることが好ましい。
【0042】
図3に示した1次ブロー成形におけるプレフォームの延伸において補助的に使用されたストレッチロッド45に対する代案として、図8にはプレフォームの下部を引っ張って延伸させる引張手段が示されている。
特に、前記引張手段は、プレフォームPの下部に設けられた突起11pを把持するクランプ部材145を有している。
【0043】
前記プレフォーム突起の形状は、クランプ部材による把持が容易でありながらも、プレフォームの製造のための金型からの脱型容易性を保障する多様な変形形態を持つことができる。前記引張手段のためのクランプ部材145は、ヒンジ145aを軸として開閉されるハサミ部145Aと、前記ハサミ部145Aを動作させるクランプロッド145Bを有する。
【0044】
前記クランプ部材145のための昇降部材は、前記ハサミ部145Aとヒンジ145aによって連結されており、前記クランプロッド145Bを覆う外皮145Cを昇降させる動力手段(図示せず)によって実現される。
前記クランプロッド145Bの動作のための構成は、当業者によって多様な形態で実現できる。
また、図示してはいないが、引張手段は、前記プレフォームの下部を真空吸着する吸着部材と、前記吸着部材を成すノズルのための昇降部材とから構成できる。この場合、プレフォームの下部の突起は必須的なものではない。
【0045】
次に、最終2次ブロー成形段階は図4に示すように空気の注入のみで行われ、これにより金型40のボディ41のキャビティ41aの形状に相応する容器が得られる。
前記1次ブロー成形段階のブロー圧は7〜11kg/平方センチメートルであり、前記2次ブロー成形段階のブロー圧は20〜40kg/平方センチメートルであって、1次ブローではより小さい圧力によって所定の形状を備え(特に、長さの側面で出来る限り容器に近接して延伸させ)、2次ブローで強い圧力によって完成品が出るようにすることが好ましい。
【0046】
図4および図5に示すように、完成された容器Bは、口頸部20の断面積が、本体10によって取り囲まれた収容空間Sの断面積に比べて小さい瓶の形状であり、前記口頸部の外周面には栓の螺合のためのネジ部23が設けられている。
【0047】
前記口頸部20とフランジ21は、プレフォームPおよび中間体Mにおいて全く形状と大きさの変化がない(これは一定の程度隔壁の上端部30aも同様である)。
これに対し、前記本体10と隔壁30(厳しくは上端部30aの下側部位)は長くなり且つ広くなっており、その分だけ、プレフォームの状態に比べて厚さは薄くなる(但し、図1〜図4では便宜のために工程による厚さ変化を細密に示していない)。
【0048】
本願発明者は、実験において、1次および2次ブロー成形過程を経る場合には、そうでない場合に比べて前記本体10と前記隔壁30とが接する外周面の部位には微細な分離線13が直線に形成されことを知見した(図4の「C−C」線に沿った図5では若干誇張して図示されている)。 これは金型内で合成樹脂が有する延伸特性によるものと思われ、一定の程度容器Bの本体10と隔壁30との分離破損を防止して容器の耐久性の向上に寄与することができるものと期待される。
【0049】
以上の説明において、プレフォーム成形方法、ブロー成形、プレフォームおよびブロー金型構造、プレフォームからブロー成形に至る連続的な製造工程などに関連した通常の公知技術が省略されているが、当業者であれば、これを当然推測および推論することができる。
また、本願発明を説明するにおいて、添付図面を参照して特定の工程、特定の金型構造および容器(プレフォーム)の形状について主に説明したが、本願発明は当業者によって多様な変形および変更が可能であり、それらの変形および変更も本発明の保護範囲に属するものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁によって分けられた分割空間を有するプレフォーム成形段階と、
プレフォームをブロー金型に配列し、1次ブローを経て、所定の形状を備えるようにする1次ブロー成形段階と、
2次ブローを経て、ブロー金型の形状に相応する容器の形状を得る2次ブロー成形段階と、を有してなることを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項2】
請求項1記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記1次ブロー成形段階では、ブローによる膨張と共に、前記容器の口頸部に投入されるストレッチロッドによって延伸が行われるようにしたことを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項3】
請求項2記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記ストレッチロッドの数は前記分割空間の数に相当することを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項4】
請求項1記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記1次ブロー成形段階は、ブロー金型に備えられ、ブローによる膨張と共に前記プレフォームの下部を引っ張って延伸させる引張手段によって行われることを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項5】
請求項4記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記プレフォームの下部には把持突起が備えられていて、前記引張手段は、前記把持突起を把持するクランプ部材と、このクランプ部材を垂直に動かせる昇降部材とからなることを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項6】
請求項4記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記引張手段は、前記プレフォームの下部を真空吸着する吸着部材と、前記吸着部材を垂直に動かせる昇降部材とからなることを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記1次ブロー成形段階のブロー圧は7〜11kg/平方センチメートルに、また、前記2次ブロー成形段階のブロー圧は20〜40kg/平方センチメートルにそれぞれ設定したことを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項8】
請求項1ないし6いずれか記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、完成された容器は収容空間より口頸部の断面積がさらに小さい瓶形状であることを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項9】
請求項8記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記プレフォームの隔壁の上端は前記口頸部の上端部まで延長されていることを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項10】
請求項9記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、完成された容器の本体の外皮と隔壁とが接する外周面の部位には、微細な分離線が形成されていることを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項11】
請求項1ないし6いずれか記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、 前記1次ブロー成形段階で得られた中間体は、2次ブロー成形により完成される容器の長さと同一の長さを有することを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項12】
請求項1ないし6いずれか記載の分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法において、前記プレフォーム成形段階のための金型は、隔壁を有するプレフォームの形状に相応するキャビティを形成するようにコアに分割部が設けられており、前記コアに取り付けられる冷却パイプは、各分割部に投入できる同数の分岐管を有することを特徴とする分割された収容空間を有する容器のブロー成形方法。
【請求項13】
収容空間を形成する本体と、前記本体の上部に備えられた口頸部と、
前記口頸部の上端部まで延長されて前記本体の収容空間を分割する隔壁部と、を具えてなることを特徴とするブロー成形容器。
【請求項14】
請求項13に記載のブロー成形容器において、前記本体の外皮と前記隔壁とが接する外周面の部位には、微細な分離線が形成されていることを特徴とするブロー成形容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−537862(P2010−537862A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523946(P2010−523946)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005186
【国際公開番号】WO2009/031814
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510055921)クールテック カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Cool Tech Company Limited
【住所又は居所原語表記】272−4,Dodang−dong, Wonmi−gu, Bucheon−si Gyeonggi−do,420−808 Korea
【Fターム(参考)】