説明

分包装置の紙つかみユニット

【課題】分包紙の熱シール部への薬剤の噛み込みによる製品不良を少なくすることのできる分包装置の紙つかみユニットを提供する。
【解決手段】この紙つかみユニット1は、長尺の分包紙4を幅方向中央で二つ折りにして、熱シールユニット3でT字型の熱シール部41を形成し、該熱シール部41の直ぐ上流の上部開放側から挿入されたホッパー2を通じて供給されてきた薬剤を前記分包紙4内に投入する際に、該分包紙4をつかんで前記ホッパー2回りを閉じるアーム15,15を備えており、前記アーム15,15の先端部に干渉部材18,18を設けるとともに、この干渉部材18,18の先端側を、分包紙4の前記熱シールユニット3による熱シール部41とホッパー2との隙間を塞ぐようにL字状に形成してなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の分包紙を幅方向中央で二つ折りにして上部を開放した状態で搬送し、この搬送される分包紙に熱シール部を形成し、この形成される熱シール部の直ぐ上流側の分包紙の上部開放側から底部付近まで挿入されたホッパーを通じて薬剤を分包紙内に投入する際に、前記ホッパー回りにおける分包紙の開放部分を閉じるように、該分包紙を挟圧可能なアームを備えた分包装置の紙つかみユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や医院等においては、医師の処方に合わせて散剤や錠剤などの薬剤を調剤し、個々にあるいは複数種を合体して分包袋内に封入し患者に供与するようにしている。
【0003】
従来、このような薬剤の分包作業を行うための分包装置としては、幅方向で二つ折りして上部を開放した状態の分包紙に熱シール部を形成する熱シールユニットを備え、前記分包紙に形成される熱シール部の直ぐ上流側の上部開放側に挿入されたホッパーを通じて薬剤を該分包紙内に投入するように構成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
そして、ホッパーから分包紙内に薬剤を投入する際に、その分包紙の上部開放側から薬剤が飛散するのを防止するために、ホッパーの上流側で分包紙をつかむ挟持部材を備えたものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−31003号公報
【特許文献2】特開2004−115131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の挟持部材だけでは、熱シール部とホッパーとの間から薬剤の飛散が起こり、その飛散した薬剤が熱シール部に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれがあった。かかる不具合は、単純にホッパーの下流側で分包紙をつかむ挟持部材を追加したとしても解消できない。図9は製品不良のメカニズムの説明図である。以下、図9を参照して説明する。
【0006】
仮に図9に示すように、分包紙4のホッパー2回りの開放部分を閉塞するために、その分包紙4の上流側の底部付近で該分包紙4を挟圧する第一の挟圧点51と、その分包紙4の上部開放側で該分包紙4を挟圧する第二の挟圧点52とを設けた場合を想定する。
【0007】
この場合、分包紙4の底部と第一の挟圧点51との隙間がなくなるものの、分包紙4の上部開放側における第二の挟圧点52と熱シール部41との間には有意の隙間が残存している。したがって、ホッパー2から薬剤を投入すると、この隙間から薬剤が飛散しやすくなる。
【0008】
そして、この飛散した薬剤が分包紙4の上部開放側に付着したまま当該分包紙4とともに搬送されて、次に熱シールされたときに、その熱シール部内に前記飛散した薬剤が噛み込んだ状態となり、製品不良が生じることとなる。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、ホッパーから供給される薬剤が分包紙の熱シール部に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれが少ない分包装置の紙つかみユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、長尺の分包紙を幅方向中央で二つ折りにして上部を開放した状態で搬送し、この搬送される分包紙に熱シール部を形成し、この形成される熱シール部の直ぐ上流側の分包紙の上部開放側から底部付近まで挿入されたホッパーを通じて薬剤を分包紙内に投入する際に、前記ホッパー回りにおける分包紙の開放部分を閉じるように、該分包紙を挟圧可能なアームを備えた分包装置の紙つかみユニットであって、前記アームを、前記ホッパーを挟んで分包紙の上流側の底部から斜め上方に延設し、該アームの基部で分包紙の上流側の底部付近を挟圧するとともに、該アームの先端部で分包紙の熱シール部付近を挟圧するように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、前記アームが、前記ホッパーを挟んで分包紙の上流側の底部から斜め上方に延設され、該アームの基部で分包紙の上流側の底部付近が挟圧されるとともに、該アームの先端部で分包紙の熱シール部付近が挟圧されるようになるので、熱シール部と、ホッパーとの隙間が少なくなる。したがって、この熱シール部とホッパーとの隙間から薬剤の飛散が起こりにくくなり、その結果、この飛散した薬剤が熱シール部に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれが少なくなる。
【0012】
請求項2記載の発明のように、前記熱シール部は、分包紙の底部から上部に向かう縦シール部と、この縦シール部から分包紙の上部の縁に沿って上流側及び下流側の両側に延びる横シール部とからなる略T字型に形成されており、前記アームの先端部は、前記熱シール部の上流側に延びる横シール部の下方に潜り込み可能な略L字状に形成されることが好ましい。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、前記熱シール部は、分包紙の底部から上部に向かう縦シール部と、この縦シール部から分包紙の上部の縁に沿って上流側及び下流側の両側に延びる横シール部とからなる略T字型に形成されており、前記アームの先端部は、前記熱シール部の上流側に延びる横シール部の下方に潜り込み可能な略L字状に形成されたので、アームの先端部が、熱シール部の上流側に延びる横シール部の下方に潜り込むか、或いは、それに近い位置関係とされることで、熱シール部とホッパーとの隙間が少なくなる。したがって、この熱シール部とホッパーとの隙間から薬剤の飛散がさらに起こりにくくなり、その飛散した薬剤が熱シール部に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれがさらに少なくなる。
【0014】
請求項3記載の発明のように、前記アームは、前記基部付近を中心として前記先端部が開閉自在となっており、前記先端部と前記基部とに干渉部材を設けることが好ましい。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、前記アームは、前記基部付近を中心として前記先端部が開閉自在となっており、前記先端部と前記基部とに干渉部材を設けたので、アームを閉じたときの該アームと分包紙との衝突を緩和することで、熱シール部とホッパーとの隙間から薬剤の飛散がさらに起こりにくくなり、その飛散した薬剤が熱シール部に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれがさらに少なくなる。
【0016】
ところで、通常、分包紙は搬送時の搬送ローラとの接触等により帯電していることが多い。このため、前記従来例においては、分包紙に帯電した静電気でホッパーから供給されて飛散した薬剤が吸着されて、該分包紙の上部開放側に特に付着しやすくなる。したがって、この付着した薬剤が熱シール部に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれがあった。そこで、請求項4記載の発明のように、前記干渉部材はその表面に除電シートを貼設したものであることが好ましい。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、前記干渉部材はその表面に除電シートを貼設したものであるので、分包紙が帯電していたとしても、この除電シートで除電されるため、ホッパーから供給されて飛散した薬剤が分包紙に付着することがなくなる。したがって、薬剤が熱シール部に噛み込まれることがさらに少なくなり、製品不良を生じるおそれがさらに少なくなる。
【0018】
請求項5記載の発明のように、前記アームの中間部に前記基部又は先端部の干渉部材よりも軟らかい干渉部材を設けることが好ましい。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、前記アームの中間部に前記基部又は先端部の干渉部材よりも軟らかい干渉部材を設けたので、分包紙と、アームの基部、中間部及び先端部との良好な接触状態を確保することができる。
【0020】
請求項6記載の発明のように、前記中間部の干渉部材はその表面に除電シートを貼設したものであることが好ましい。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、前記中間部の干渉部材はその表面に除電シートを貼設したものであるので、分包紙が帯電していたとしても、この除電シートで除電されるため、ホッパーから供給されて飛散した薬剤が熱シール部に噛み込まれることがさらに少なくなり、製品不良を生じるおそれがさらに少なくなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、前記アームが、前記ホッパーを挟んで分包紙の上流側の底部から斜め上方に延設され、該アームの基部で分包紙の上流側の底部付近が挟圧されるとともに、該アームの先端部で分包紙の熱シール部付近が挟圧されるようになるので、熱シール部と、ホッパーとの隙間が少なくなる。したがって、この熱シール部とホッパーとの隙間から薬剤の飛散が起こりにくくなり、その結果、この飛散した薬剤が熱シール部に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれが少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る紙つかみユニット1を備えた分包装置10の概略構成を示す図である。
【0024】
図1に示すように、この実施形態に係る分包装置10は、分包紙4に熱シール部41を形成する熱シールユニット3と、前記分包紙4に形成される熱シール部41の直ぐ上流側の上部開放側から薬剤を該分包紙4内に投入するホッパー2とを備えている。
【0025】
分包紙4は、セロハン又はグラシン製の長尺紙体を、幅方向中央で二つ折りして図示しない分包紙ロールに巻回されているものを、同じく図示しない搬送ローラで順次に繰り出して使用するようになっている。
【0026】
ホッパー2は、ステンレス製又は合成樹脂製の全体が漏斗状に形成されており、比較的広い四角形状断面を有する上部開放端と、長軸方向を分包紙4の搬送方向に向けた比較的狭い楕円形状断面を有する下部開放端とを備えている。このホッパー2は、薬剤供給装置500(図7参照。)の下方に配置された分包装置10の図示しない装置本体に着脱自在に取り付けられており、その薬剤供給装置500から所定量ずつ供給された薬剤を上部開放端から受けて、下部開放端から分包紙4内に重力で落としこむものである。
【0027】
そのために、このホッパー2の下部開放端を、側面視で上向きの円弧状に切り欠いて、分包紙4の上部開放側からその底部付近にまで深く突っ込むことができるようにしている。これにより、分包紙4の上部開放側からホッパー2を挿入したときに、その分包紙4の開き角度を小さくして、該分包紙4におけるシワの発生を防止することができるとともに、分包紙4とホッパー2との隙間を小さくして、この隙間からの薬剤の吹き上げを防止するようになっている。
【0028】
熱シールユニット3は、開閉自在の筐体31内に、分包紙4を熱融着温度にまで加熱可能なヒータ部32と、このヒータ部32に対向配置されたヒータ受け部33とを有しており、前記薬剤を入れた分包紙4を前記ヒータ部32とヒータ受け部33との間に挟圧して、熱シールするようになっている。
【0029】
その詳細構成は、特許文献1で公知となっているが、筐体31は、その底部に設けられた回動軸まわりに回動可能となっており、図示しないオープンレバーを押さえると、筐体31がその底部回動軸まわりに大きく開き、前記のようにしてホッパー2を挿入した分包紙4をセットできるようになっている。このヒータ部32とヒータ受け部33とは、重ね合わされた分包紙4の側縁部を熱シールする横部材と、この横部材の中間位置より移送方向の上流側に一体に装着され、分包紙4の幅方向を熱シールする縦部材とからなる略T字形状とされている。そして、モータ駆動される図示しないカム機構を用いて、ヒータ部32とヒータ受け部33とを近接離反させることにより開閉可能となっている。
【0030】
すなわち、分包紙4をセットした状態では、ヒータ部32とヒータ受け部33とは若干開いた状態となっており、前記ヒータ部32とヒータ受け部33とを閉じることにより、分包紙4を挟圧すると、その分包紙4に横シール部411と縦シール部412とが形成され、その縦シール部412の下流側に区画室が形成される。なお、縦シール部412のやや上流側の側縁部に一部横シール部411が形成され、この横シール部411により、ホッパー2から投入される薬剤の吹き上がりが抑制されるようになっている。
【0031】
前記ヒータ部32とヒータ受け部33との下流側には、分包紙4を搬送する紙送りローラ34,35の対がそれぞれ縦軸まわりに回転可能に設けられている。これらの紙送りローラ34,35は、図示しないステッピングモータで回転駆動されることにより分包紙4をその下流側に送りだすようになっており、紙送りローラ34,35による分包紙4の送り量は前記ステッピングモータの回転数(ステップ数)で制御することができる。なお、紙送りローラ34,35を、前記ヒータ部32とヒータ受け部33との下流側に設けたのは、ヒータ部32とヒータ受け部33との間における分包紙4の弛みを少なくするためである。
【0032】
図2は紙つかみユニット1の詳細構成を示す斜視図である。また図3は紙つかみユニット1の左右アーム15,15が開いた状態を示す詳細図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。図4は紙つかみユニット1の左右アーム15,15が閉じた状態を示す詳細図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【0033】
紙つかみユニット1は、図2〜図4に示すように、前記分包装置10の図示しない装置本体から支持するための支持部11と、この支持部11の背面に取り付けられたロータリソレノイド12と、支持部11の表面に回動可能に取り付けられ前記ロータリソレノイド12の励磁・非励磁により左右に回動するクランクアーム13と、このクランクアーム13の先端に取り付けられたコロ131に当接して前記支持部11の前面において先端がV字状に開閉可能となるように取り付けられた左右開閉部14,14と、この左右開閉部14,14にそれぞれ片持ち状態で取り付けられた左右両アーム15,15と、を備えている。
【0034】
左右開閉部14,14の基部は、図では明らかでないが、例えば噛合されて、該左右開閉部14,14が互いに逆向きに回動可能となっているとともに、当該基部の最下部には、左右開閉部14,14を開く方向に付勢されたバネ19が係止されている。また、左開閉部14には、左アーム15の基部が取り付けられているとともに、該左開閉部14の中間部から先端部にかけて前記クランクアーム13のコロ131に当接可能な突起部141が形成されている。そして、クランクアーム13の回動により、コロ131が突起部141を押圧することでバネ19の付勢力に抗して左右開閉部14,14を閉じ、その押圧状態を解除することでバネ19の付勢力により左右開閉部14,14を開くようになっている。
【0035】
一方、右開閉部14には、係合部142と、案内部143とが取り付けられているとともに、該右開閉部14と同軸で右アーム15の基部が回動自在に取り付けられている。そして、この右アーム15の中間部に、前記係合部142に係止可能な係止部151が取り付けられており、この係止部151の爪を係合部142の孔に入れることによって、右アーム15は右開閉部14と一体となって回動するようになっている。その一方、前記係合部142の孔から係止部151の爪を脱出させると、右アーム15は右開閉部14と切り離された状態となって、案内部143に案内されて大きく開くようになり、これにより、分包紙4をセットできるようになっている。
【0036】
左右両アーム15,15は、前記左右アーム15,15の基部の上部から斜め上方に延設され、かつ、ともに所定の曲率半径でもって内側に屈曲した中間部と、この中間部の先端から下方に延設されかつ下端で斜め下方に屈曲したL字状の先端部とからなっている。
【0037】
すなわち、左右両アーム15,15の先端部は、挟圧部分と、この挟圧部分に連なる連結部分とを有する。
【0038】
挟圧部分は、左右両アーム15,15の挟圧状態において、縦シール部412よりも上流側かつ横シール部411よりも分包紙4の底部側で、分包紙4の搬送方向に延びるように形成される。これによって熱シール部41とホッパー2との隙間から薬剤の飛散が起こりにくくなり、その飛散した薬剤が熱シール部41に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれが少なくなる。挟圧部分は、左右両アーム15,15の挟圧状態において分包紙4の上部寄りに配置され、これによって薬剤投入時における薬剤の収容空間を大きくすることができる。
【0039】
連結部分は、左右両アーム15,15の挟圧状態において、ホッパー2に沿って上下に延びるように形成される。連結部分は、左右両アーム15,15の中間部に連なり、連結部分の下端部は、挟圧部分の上流側端部に連なる。本実施形態では、連結部分も、左右両アーム15,15の挟圧状態において分包紙4を挟圧するように構成され、これによって分包紙4にしわが発生するのを防ぐことができる。
【0040】
そして、左右両アーム15,15の基部、中間部、先端部の内側には、それぞれ干渉部材16,17,18を設けている。
【0041】
干渉部材16,18は、ともにシリコンスポンジの表面に除電シートを貼設したものであって、干渉部材17は、ポリエチレンスポンジの表面に除電シートを貼設したものである。そして、干渉部材18の先端側は、分包紙4の熱シール部41の上流側に延びた横シール部411の下方に潜り込み可能なL字状に形成されている。ここで、干渉部材16,18には、シリコンスポンジを使用し、干渉部材17には、ポリエチレンスポンジを使用したのは、シリコンスポンジに比べて、ポリエチレンスポンジは軟らかいので、分包紙4と、アーム15,15の基部、中間部及び先端部との良好な接触状態を確保するためである。また、干渉部材16,17,18のそれぞれにおいて、分包紙4と対向する側になる除電シートは、分包紙4に帯電した静電気を除去するものである。この除電シートとしては、例えば銅イオンを含む導電性繊維素材からなるサンダーロン(登録商標)を、それぞれ適用箇所に応じた形状寸法に切って使用することができる。
【0042】
ところで、通常、分包紙4は搬送時の搬送ローラとの接触等により帯電しているため、前記従来例においては、分包紙4に帯電した静電気でホッパー2から供給されて舞い上がった薬剤を吸着し、この吸着された薬剤が熱シール部41に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれがあった。これに対し、本実施形態では、紙つかみユニット1の左右アーム15,15の基部、中間部、先端部の干渉部材16,17,18の表面にそれぞれ前記したような除電シートを貼り付けたので、これらの除電シートの優れた導電性とコロナ放電性とにより、分包紙4の帯電電位を速やかに低下させることにより、かかる不具合が非常に少なくなる。なお、除電シートはアースが不要であるので、アーム15,15の開閉動作等を妨害することがないので、非常に便利である。
【0043】
図5は紙つかみユニット1のアーム15,15間にホッパー2を装備した状態を示す説明図、図6は紙つかみユニット1のアーム15,15間からホッパー2を取り外すためにそのアーム15,15の一方を倒伏させた状態を示す説明図、図7は分包装置10の分包動作に係る制御系を示す機能ブロック図、図8はこの分包装置10に係る分包動作を示すフローチャートである。
【0044】
図7に示すように、制御装置600は、例えば薬剤供給装置500内に、分包装置10とともに一体に組み込まれており、CPU601と、RAM603と、ROM604と、表示部605と、入力部606とを備えている。
【0045】
ROM604は、分包装置10と薬剤供給装置500との制御プログラムや、予め設定された各種データ等を記憶するものであり、RAM603は、データを一時的に記憶するものである。表示部605は、LCD等からなり、ユーザへの各種メッセージ等を表示するものであり、入力部606は、ユーザの各種指示や処方箋データ等を入力するためのものである。
【0046】
CPU601は、入力部606からの各種指示や処方箋データ等と、ROM604に予め記憶しておいた制御プログラムとに従って、分包装置10の紙つかみユニット1と、熱シールユニット3と、紙送りローラ34,35と、薬剤供給装置500とを制御し、表示部605に各種メッセージ等を表示させるものである。
【0047】
以下、図8を参照して、主として分包装置10の分包動作を説明する。
【0048】
まず、図8において、初期設定としての分包装置10の準備作業を行う(ステップS1)。具体的には、分包装置10の装置本体の適宜位置に図示しない分包紙ロールをセットする。熱シールユニット3の筐体31の図示しないオープンレバーを押さえる。すると、熱シールユニット3の筐体31が、その底部の回動軸を中心に回動するように開いて、前記ヒータ部32とヒータ受け部33とが離間し、次いで紙送りローラ34,35を離間させる。ホッパー2を前記装置本体から取り外す。
【0049】
次いで、紙つかみユニット1の係止部151の紙つかみロックを前方にスライドさせて、この係止部151の爪を係合部142の孔から脱出させる。すると、図5に示すような状態から、図6に示すように、右アーム15が前記案内部143で案内されて右側に倒伏する。
【0050】
前記分包紙ロールから繰り出した分包紙4を、熱シールユニット3の内側に通し、ホッパー2を、この分包紙4の間に挿入して元のセット位置に戻す。そして、紙つかみユニット1の右アーム15と、熱シールユニット3の紙送りローラ34,35と、筐体31とを順次に元に戻していき、それぞれロックされた状態とする。
【0051】
以上の準備が終了した後に、制御装置600の図示しないスタートスイッチを入れると、分包作業に入る(ステップS2でYES)。すると、熱シールユニット3の紙送りローラ34,35が回転して分包紙4を設定位置に移動させる(ステップS3)。この移動量は、紙送りローラ34,35を回転駆動する図示しないステッピングモータの回転数(ステップ数)で制御される。
【0052】
次いで、熱シールユニット3のヒータ部32とヒータ受け部33とが閉じて、両部が重なった状態となることにより、分包紙4を挟圧する(ステップS4)。すると、その分包紙4に横シール部411と、縦シール部412とが形成され、その縦シール部412の下流側に区画室が形成される。なお、縦シール部412のやや上流側の側縁部に一部横シール部411が形成される。
【0053】
次いで、紙つかみユニット1の左右アーム15,15が閉じた状態となる(ステップS5)。具体的には、まずロータリソレノイド12を励磁する。すると、このロータリソレノイド12は、内蔵したバネに抗して背面側から見てクランクアーム13を時計回りに回動する。クランクアーム13のコロ131は左開閉部14の突起部141に当接しながら上昇し、これにより左開閉部14を内側に押圧する。すると、左右開閉部14,14は基部が噛合されているので、互いに逆向きに動作する結果、バネ19の付勢力に抗して左右開閉部14,14は閉じる。
【0054】
前記左右開閉部14,14に連動して左右アーム15,15も閉じる。すると、左右アーム15,15の先端部と基部とに、それぞれ取り付けられた干渉部材16,18のシリコンスポンジと除電シートとを介して、また左右アーム15,15の中間部に取り付けられた干渉部材17のポリエチレンスポンジと除電シートとを介して、前記分包紙4を挟圧する結果、ホッパー2の回りの隙間を少なくなるとともに、分包紙4に帯電した静電気が除電される。
【0055】
しかる後に、薬剤供給装置500から薬剤が供給される(ステップS6)。すると、ホッパー2を介して分包紙4内に薬剤が供給される。具体的には、このホッパー2の下部開放端から分包紙4の底部にその薬剤が投入される。このときには、左右アーム15,15の先端部の干渉部材18,18で分包紙4を挟圧することにより、ホッパー2と熱シールユニット3による前記横シール部411との隙間が非常に少なくなっているので、当該隙間から薬剤が吹き上がるおそれがほとんどなくなる。
【0056】
次いで、紙つかみユニット1の左右アーム15,15が開いた状態とされる(ステップS7)。具体的には、まずロータリソレノイド12を非励磁とする。すると、このロータリソレノイド12は、内蔵したバネの付勢力によって背面側から見てクランクアーム13を反時計回りに回動する。
【0057】
そして、クランクアーム13のコロ131が左開閉部14の突起部141から離れると、前記押圧状態が解除される結果、バネ19の付勢力により該左右開閉部14,14は開く。前記左右開閉部14,14に連動して左右アーム15,15も開く。
【0058】
次いで、熱シールユニット3のヒータ部32とヒータ受け部33とを開くことにより、分包紙4の挟圧を解除し(ステップS8)。しかる後に、上記ステップS2に戻る。
【0059】
そして、上記ステップS2〜S8を繰り返すことにより、分包作業を連続して行うことができる。分包紙4がなくなった時点で(ステップS2でNO)、分包作業が終了する。ただし、上記準備作業を行うことにより、再度分包作業を行うことができるようになる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、紙つかみユニット1の左右アーム15,15の先端部に干渉部材18,18を設けるとともに、これらの干渉部材18,18の先端側が分包紙4の前記横シール部411の下部に潜り込み可能なL字状に形成されたので、熱シール部41とホッパー2との隙間から薬剤の飛散が起こりにくくなり、これにより、飛散した薬剤が熱シール部41に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれが非常に少なくなる。
【0061】
また、分包紙4が帯電していたとしても、前記左右アーム15,15の基部、中間部、先端部にそれぞれ取り付けられた干渉部材16,17,18の除電シートにより、分包紙4に帯電した静電気は効率よく除電される。すなわち、かかる除電シートを設けない場合には、静電気によりホッパー2から供給されて舞い上がった薬剤を吸着し、この吸着された薬剤が熱シール部41に噛み込まれて、製品不良を生じるおそれがあったが、本実施形態のように、除電シートを設けた場合にはそのおそれがほとんどなくなる。
【0062】
なお、上記実施形態では、紙つかみユニット1の左右アーム15,15の基部、中間部、先端部のいずれにおいても、干渉部材16,17,18を設けているが、中間部の干渉部材17を省略することとしてもよい。この逆に、干渉部材17を複数設けてもよいし、さらには、この干渉部材17を、他の干渉部材16,18間で連続するように設けてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、分包紙ロールで分包紙4を幅方向中央で二つ折れにしているものを使用したが、分包紙ロールで分包紙4を幅方向中央で二つ折れにしていないものを使用して、それを装置内で二つ折れにすることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る分包装置の概略構成を示す図である。
【図2】紙つかみユニットの詳細構成を示す斜視図である。
【図3】紙つかみユニットのアームが開いた状態を示す詳細図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図4】紙つかみユニットのアームが閉じた状態を示す詳細図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図5】紙つかみユニットのアーム間にホッパーを装備した状態を示す説明図である。
【図6】紙つかみユニットのアーム間からホッパーを取り外すためにそのアームの一方を倒伏させた状態を示す説明図である。
【図7】分包装置の包動作に係る制御系を示す機能ブロック図である。
【図8】分包装置に係る分包動作を示すフローチャートである。
【図9】製品不良のメカニズムの説明図である。
【符号の説明】
【0065】
10 分包装置
1 紙つかみユニット
11 支持部
12 ロータリソレノイド
13 クランクアーム
131 コロ
14 開閉部
15 アーム
16,17,18 干渉部材
19 バネ
2 ホッパー
3 熱シールユニット
31 筐体
32 ヒータ部
33 ヒータ受け部
34,35 紙送りローラ
4 分包紙
41 熱シール部
411 横シール部
412 縦シール部
500 薬剤供給装置
600 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の分包紙を幅方向中央で二つ折りにして上部を開放した状態で搬送し、この搬送される分包紙に熱シール部を形成し、この形成される熱シール部の直ぐ上流側の分包紙の上部開放側から底部付近まで挿入されたホッパーを通じて薬剤を分包紙内に投入する際に、前記ホッパー回りにおける分包紙の開放部分を閉じるように、該分包紙を挟圧可能なアームを備えた分包装置の紙つかみユニットであって、
前記アームを、前記ホッパーを挟んで分包紙の上流側の底部から斜め上方に延設し、該アームの基部で分包紙の上流側の底部付近を挟圧するとともに、該アームの先端部で分包紙の熱シール部付近を挟圧するように構成したことを特徴とする分包装置の紙つかみユニット。
【請求項2】
前記熱シール部は、分包紙の底部から上部に向かう縦シール部と、この縦シール部から分包紙の上部の縁に沿って上流側及び下流側の両側に延びる横シール部とからなる略T字型に形成されており、前記アームの先端部は、前記熱シール部の上流側に延びる横シール部の下方に潜り込み可能な略L字状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の分包装置の紙つかみユニット。
【請求項3】
前記アームは、前記基部付近を中心として前記先端部が開閉自在となっており、前記先端部と前記基部とに干渉部材を設けたことを特徴とする請求項2記載の分包装置の紙つかみユニット。
【請求項4】
前記干渉部材はその表面に除電シートを貼設したものであることを特徴とする請求項3記載の分包装置の紙つかみユニット。
【請求項5】
前記アームの中間部に前記基部又は先端部の干渉部材よりも軟らかい干渉部材を設けたことを特徴とする請求項3又は4記載の分包装置の紙つかみユニット。
【請求項6】
前記中間部の干渉部材はその表面に除電シートを貼設したものであることを特徴とする請求項5記載の分包装置の紙つかみユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−70256(P2010−70256A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243409(P2008−243409)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】