分布形増幅器
【課題】利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる分布形増幅器を得ることを目的とする。
【解決手段】並列に接続されている複数のトランジスタ1a〜1jと、複数のトランジスタ1a〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する電圧源2と、複数のトランジスタ1a〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する電圧源5,7とを備え、電圧源5,7から複数のトランジスタ1a〜1jに供給される出力側バイアス電圧のうち、トランジスタ1aに供給される出力側バイアス電圧が、トランジスタ1b〜1jに供給される出力側バイアス電圧と異なるように構成する。
【解決手段】並列に接続されている複数のトランジスタ1a〜1jと、複数のトランジスタ1a〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する電圧源2と、複数のトランジスタ1a〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する電圧源5,7とを備え、電圧源5,7から複数のトランジスタ1a〜1jに供給される出力側バイアス電圧のうち、トランジスタ1aに供給される出力側バイアス電圧が、トランジスタ1b〜1jに供給される出力側バイアス電圧と異なるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高利得、高出力、高効率、広帯域な特性が得られる分布形増幅器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図19は以下の非特許文献1に開示されている分布形増幅器を示す構成図である。
図19の分布形増幅器では、複数個のトランジスタ101a〜101jが並列に接続されている。
電圧源102は、トランジスタ101a〜101jに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット103を介して、トランジスタ101a〜101jの入力側と接続されている。
なお、トランジスタ101a〜101jの入力側同士が、伝送線路104などの周辺回路を介して接続されている。
【0003】
電圧源105は、トランジスタ101a〜101jに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット106を介して、トランジスタ101a〜101jの出力側と接続されている。
なお、トランジスタ101a〜101jの出力側同士が、伝送線路107などの周辺回路を介して接続されている。
【0004】
図19の分布形増幅器は、高出力化を実現すること、出力インピーダンスと終端インピーダンスを揃えること、トランジスタ101aに接続されている伝送線路107の特性インピーダンスを下げることを目的として、トランジスタ101aのゲート幅を、トランジスタ101b〜101jのゲート幅より大きくしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】C. Campbell,C. Lee; V. Williams,M. Kao; H. Tserng,and P. Saunier,“A Wideband Power Amplifier MMIC Utilizing GaN on SiC HEMT Technology,”30th IEEE Compound Semiconductor IC Symposium,I.1,October,2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の分布形増幅器は以上のように構成されているので、トランジスタ101aのゲート幅がトランジスタ101b〜101jのゲート幅より大きい。そのため、トランジスタ101aの単位ゲート幅当たりのソースインダクタが大きくなり、トランジスタ101aの利得が低下する。一方で、特に不均一型の分布形増幅器では、各トランジスタ101の出力電力を不平衡が無いように分配合成する必要があるため、トランジスタ101a〜101jの中で、最も利得が低いトランジスタ101に、他のトランジスタ101の利得を合わせるように、回路を構成する必要がある。そのため、トランジスタ101aが大きいほど、分布形増幅器の利得が低下してしまう(所望の利得が得られる高域端の周波数が低下してしまう)などの課題があった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる分布形増幅器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る分布形増幅器は、並列に接続されている複数のトランジスタと、複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備え、出力側バイアス電圧供給手段から複数のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される出力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧と異なるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、並列に接続されている複数のトランジスタと、複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備え、出力側バイアス電圧供給手段から複数のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される出力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧と異なるように構成したので、利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による分布形増幅器を示す構成図である。
【図2】トランジスタ1a〜1jの特性を示す説明図である。
【図3】図2に示しているゲートソース間容量Cgs、ソースフィンガのインダクタンス成分Ls及びビアホール1個当たりのインダクタンスVIAだけを考慮する場合のトランジスタ1a〜1jの内部を示す回路図である。
【図4】ドレイン電圧が30Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
【図5】ドレイン電圧が25Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
【図6】ドレイン電圧が20Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
【図7】電圧振幅Vinに対する電圧振幅VCgsの比とゲート幅の関係を示すグラフ図である。
【図8】ゲート幅と最大周波数の関係を示すグラフ図である。
【図9】分布形増幅器の出力電力と最大動作周波数の関係を示すグラフ図である。
【図10】ドレイン電圧が20,30Vであるときの図1の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
【図11】図10の計算結果を図9のグラフにプロットしているグラフ図である。
【図12】この発明の実施の形態2による分布形増幅器を示す構成図である。
【図13】トランジスタ1a〜1jのトランスコンダクタンスgmの特性を示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態3による分布形増幅器を示す構成図である。
【図15】この発明の実施の形態4による分布形増幅器を示す構成図である。
【図16】この発明の実施の形態5による分布形増幅器を示す構成図である。
【図17】この発明の実施の形態6による分布形増幅器を示す構成図である。
【図18】この発明の実施の形態7による分布形増幅器を示す構成図である。
【図19】非特許文献1に開示されている分布形増幅器を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による分布形増幅器を示す構成図である。
図1の分布形増幅器では、10個のトランジスタ1a〜1jが並列に接続されている。
図1の例では、10個のトランジスタ1a〜1jが接続されているが、トランジスタ1の個数は2個以上であればよく、10個に限るものではない。
図1において、電圧源2は、トランジスタ1a〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット3を介して、トランジスタ1a〜1jの入力側と接続されている。
図1の例では、電圧源2は固定電圧源であるものを想定しているが、入力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源2は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
なお、トランジスタ1a〜1jの入力側同士が、伝送線路4などの周辺回路を介して接続されている。
【0012】
電圧源5は、トランジスタ1aに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット6を介して、トランジスタ1aの入力側と接続されている。
図1の例では、電圧源5は固定電圧源であるものを想定しているが、出力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源5は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
【0013】
電圧源7は、トランジスタ1b〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット8を介して、トランジスタ1b〜1jの入力側と接続されている。
図1の例では、電圧源5は固定電圧源であるものを想定しているが、出力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源7は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
なお、トランジスタ1a〜1jの出力側同士が、伝送線路9などの周辺回路を介して接続されている。
また、トランジスタ1aの出力側とトランジスタ1bの出力側とは、直流成分の通過を阻止するDCカット10を介して接続されている。
【0014】
次に動作について説明する。
最初に、トランジスタ1a〜1jの特性について説明する。
ここでは、説明の便宜上、トランジスタ1a〜1jとして、以下の非特許文献2に記載されているトランジスタを用いるものとする。
[非特許文献2]TriQuint Semiconductor Datasheet: TGF2023-01
【0015】
図2はトランジスタ1a〜1jの特性を示す説明図である。
図2において、Rp,RFpower,Cgs,Ls,VIA,RLは、トランジスタ1a〜1jの特性を示すパラメータである。
また、Vdはドレイン電圧であり、Rp,RFpowerはドレイン電圧のバイアス依存性を有しているため、ドレイン電圧毎に示している。
【0016】
Rpはゲート幅が1mmのトランジスタの最適負荷抵抗である。
RFpowerはゲート幅が1mmのトランジスタの出力電力である。
Cgsはトランジスタのゲートソース間容量である。
Lsはトランジスタのソースフィンガのインダクタンス成分である。
VIAはビアホール1個当たりのインダクタンスである。
RLは分布形増幅器の終端インピーダンスである。
以降の検討では、伝送線路4,9の特性インピーダンスが、最大でも200Ωであるものとする。
【0017】
図3は図2に示しているゲートソース間容量Cgs、ソースフィンガのインダクタンス成分Ls及びビアホール1個当たりのインダクタンスVIAだけを考慮する場合のトランジスタ1a〜1jの内部を示す回路図である。
図3において、11はゲートソース間容量Cgs、12はソースフィンガのインダクタンス成分Ls、13はビアホール1個当たりのインダクタンスVIA、14はトランジスタの入力端子である。
【0018】
上記の非特許文献1には、ドレイン電圧が30Vであるときの分布形増幅器の計算例が示されている。
図4はドレイン電圧が30Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
また、図5はドレイン電圧が25Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図であり、図6はドレイン電圧が20Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
図4,図5及び図6の計算結果を比較すると、ドレイン電圧が高いほど、トランジスタ101a〜101jのゲート幅が大きくなっていることが分かる。
このことは、図1の分布形増幅器におけるトランジスタ1b〜1jについても共通である。
【0019】
一方、トランジスタ1a〜1j,101a〜101jのゲート幅が大きくなると、ソースインダクタとビアホールのインダクタンスに起因する直列帰還が原因で利得が低下する。即ち、入力電圧振幅に対する出力電流が減少する。
トランジスタ1a〜1j,101a〜101jの出力電流Idsは、下記の式(1)で与えられる。
Ids=−gm×VCgs (1)
式(1)において、gmはトランスコンダクタンスであり、ゲート幅に比例して増加するパラメータである。
したがって、トランジスタ1a〜1j,101a〜101jの出力電流Idsは、トランスコンダクタンスgmに比例して増加する。
しかし、ゲートソース間容量11の両端の電圧振幅VCgsは異なる振る舞いを示す。
【0020】
トランジスタ1a〜1j,101a〜101jに入力される電圧振幅がVinであるとすると、電圧振幅Vinに対する電圧振幅VCgsの比(以下、「VCgs比」と称する)とゲート幅の関係は、図7に示すようになる。
図7より、高い周波数になる程、VCgs比が小さくなり、ゲート幅が大きくなる程、VCgs比の低下量が大きくなることが分かる。
また、式(1)より、このVCgs比の低下は、利得の低下と等価であると言える。
また、VCgs比が等しい値同士で比較すると、ゲート幅を増加させると、最大動作周波数が低下することが分かる。
【0021】
例えば、VCgs比が0.85となる周波数を最大動作周波数と規定すると、ゲート幅と最大周波数の関係は、図8に示すようになる。
ここで、図4〜6に示している分布形増幅器の出力電力とトランジスタのゲート幅との関係、図8に示しているゲート幅と最大動作周波数の関係を結び付けると、分布形増幅器の出力電力と最大動作周波数の関係は、図9に示すようになる。
図9より、出力電力を大きくすると、最大動作周波数が低下し、最大動作周波数を上げると、出力電力が低下することが分かる。
【0022】
図1の分布形増幅器では、トランジスタ1a〜1jに対するバイアス電圧として、トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々のバイアス電圧を印加することができる。
即ち、トランジスタ1a〜1jに対する入力側バイアス電圧として、入力側バイアス電圧供給手段である電圧源2から同一値の電圧が供給されるが、トランジスタ1a〜1jに対する出力側バイアス電圧として、出力側バイアス電圧供給手段である電圧源5から、所定値の電圧Vd(例えば、Vd=20V)がトランジスタ1aに供給され、出力側バイアス電圧供給手段である電圧源7から、所定値の電圧Vd(例えば、Vd=30V)がトランジスタ1b〜1jに供給される。
【0023】
図10はドレイン電圧が20,30Vであるときの図1の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
出力側バイアス電圧供給手段である電圧源7が、30Vの出力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給し、出力側バイアス電圧供給手段である電圧源5が、トランジスタ1b〜1jに供給される出力側バイアス電圧よりも低い20Vの出力側バイアス電圧をトランジスタ1aに供給すると、図10に示すように、伝送線路4,9の特性インピーダンスを200Ω以下にしつつ、分布形増幅器の出力インピーダンスを50Ωとし、更に、トランジスタ1aのゲート幅を小さくすることができる。
【0024】
また、トランジスタ1b〜1jに着目すると、トランジスタ1b〜1jは、トランジスタ1aよりも大きな30Vのバイアス電圧で動作しているため、出力電力を大きく取ることができる。
そのため、分布形増幅器の全体では、大きな出力電力(7.8Wの電力)を得ることができる。
図11は図10の計算結果を図9のグラフにプロットしているグラフ図であり、図1の分布形増幅器では、従来の分布形増幅器と比較して、高出力化、高周波化を実現していることが分かる。
また、同じ出力電力同士で比較すると、図1の分布形増幅器は、高利得であることが分かる。また、利得を改善すると、電力負荷効率が上がるため、図1の分布形増幅器は、高効率であることが分かる。
【0025】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、並列に接続されている複数のトランジスタ1a〜1jと、複数のトランジスタ1a〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する電圧源2と、複数のトランジスタ1a〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する電圧源5,7とを備え、電圧源5,7から複数のトランジスタ1a〜1jに供給される出力側バイアス電圧のうち、トランジスタ1aに供給される出力側バイアス電圧が、トランジスタ1b〜1jに供給される出力側バイアス電圧と異なるように構成したので、利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる効果を奏する。
【0026】
この実施の形態1では、電圧源7が同一値の出力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給しているものを示したが、トランジスタ1b〜1jに対して、異なる電圧値の出力側バイアス電圧を供給するようにしてもよい。
この場合、出力電圧が異なる電圧源7を複数用意すればよい。
例えば、トランジスタ1b〜1fに供給する出力側バイアス電圧と、トランジスタ1g〜1jに供給する出力側バイアス電圧とを異なる電圧値にする場合、出力電圧が異なる2個の電圧源7を用意(トランジスタ1b〜1fに対して出力側バイアス電圧を供給する電圧源7と、トランジスタ1g〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する電圧源7とを用意)し、トランジスタ1fの出力側と、トランジスタ1gの出力側とをDCカット10を介して接続すればよい。
【0027】
実施の形態2.
図12はこの発明の実施の形態2による分布形増幅器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
電圧源21は、トランジスタ1aに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット22を介して、トランジスタ1aの入力側と接続されている。
図12の例では、電圧源21は固定電圧源であるものを想定しているが、入力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源21は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
【0028】
電圧源23は、トランジスタ1b〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット24を介して、トランジスタ1b〜1jの入力側と接続されている。
図12の例では、電圧源23は固定電圧源であるものを想定しているが、入力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源23は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
なお、トランジスタ1aの入力側とトランジスタ1bの入力側とは、直流成分の通過を阻止するDCカット25を介して接続されている。
【0029】
電圧源26は、トランジスタ1a〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット27を介して、トランジスタ1a〜1jの出力側と接続されている。
図12の例では、電圧源26は固定電圧源であるものを想定しているが、出力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源26は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
【0030】
次に動作について説明する。
上記実施の形態1では、トランジスタ1b〜1jに供給する出力側バイアス電圧よりもトランジスタ1aに供給する出力側バイアス電圧を低くすることで、トランジスタ1aのゲート幅を小さくしているものを示したが、トランジスタ1a〜1jのトランスコンダクタンスgmは、図13に示すように、入力側バイアス電圧に依存する特性を有している。図13が示す特性は、非特許文献1に開示されている。
【0031】
そこで、この実施の形態2では、トランジスタ1a〜1jに対する入力側バイアス電圧として、トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々のバイアス電圧を印加するようにしている。
即ち、トランジスタ1a〜1jに対する出力側バイアス電圧として、出力側バイアス電圧供給手段である電圧源26から同一値の電圧が供給されるが、トランジスタ1a〜1jに対する入力側バイアス電圧として、入力側バイアス電圧供給手段である電圧源21から、所定値の電圧がトランジスタ1aに供給され、入力側バイアス電圧供給手段である電圧源23から、トランジスタ1aに供給される電圧と異なる電圧がトランジスタ1b〜1jに供給される。
【0032】
トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々の入力側バイアス電圧を供給するに際して、トランジスタ1a〜1jのトランスコンダクタンスgmとVCgs比の積が等しくなるように、入力側バイアス電圧を設定することで、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
つまり、従来の分布形増幅器よりも利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる。
【0033】
この実施の形態2では、電圧源23が同一値の入力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給しているものを示したが、トランジスタ1b〜1jに対して、異なる電圧値の入力側バイアス電圧を供給するようにしてもよい。
この場合、入力電圧が異なる電圧源23を複数用意すればよい。
例えば、トランジスタ1b〜1gに供給する入力側バイアス電圧と、トランジスタ1h〜1jに供給する入力側バイアス電圧とを異なる電圧値にする場合、出力電圧が異なる2個の電圧源23を用意(トランジスタ1b〜1gに対して入力側バイアス電圧を供給する電圧源23と、トランジスタ1h〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する電圧源23とを用意)し、トランジスタ1gの入力側と、トランジスタ1hの入力側とをDCカット25を介して接続すればよい。
【0034】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、トランジスタ1aに供給する出力側バイアス電圧とトランジスタ1b〜1jに供給する出力側バイアス電圧とが異なるものを示し、上記実施の形態2では、トランジスタ1aに供給する入力側バイアス電圧とトランジスタ1b〜1jに供給する入力側バイアス電圧とが異なるものを示したが、現実のトランジスタは多種多様であり、出力側バイアス電圧、あるいは、入力側バイアス電圧だけを別々の電圧値にしても、十分に利得を制御し切れないトランジスタも存在する。
【0035】
そこで、この実施の形態3では、図14に示すように、トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々の出力側バイアス電圧を供給する電圧源5,7を実装するとともに(実施の形態1の構成)、トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々の入力側バイアス電圧を供給する電圧源21,23を実装するようにしている(実施の形態2の構成)。
【0036】
これにより、出力側バイアス電圧と入力側バイアス電圧の双方が制御されるため、出力側バイアス電圧や入力側バイアス電圧に対する感度が悪いトランジスタであっても、トランジスタの利得を揃えることができるようになり、その結果、従来の分布形増幅器よりも利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる効果を奏する。
【0037】
図14の例では、電圧源7が同一値の出力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給しているものを示したが、トランジスタ1b〜1jに対して、異なる電圧値の出力側バイアス電圧を供給するようにしてもよい。
また、図14の例では、電圧源23が同一値の入力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給しているものを示したが、トランジスタ1b〜1jに対して、異なる電圧値の入力側バイアス電圧を供給するようにしてもよい。
【0038】
実施の形態4.
上記実施の形態1,3では、例えば、トランジスタ1aの出力側とトランジスタ1bの出力側とがDCカット10を介して接続されており、上記実施の形態2,3では、例えば、トランジスタ1aの入力側とトランジスタ1bの入力側とがDCカット25を介して接続されているものを示したが、図15に示すように、DCカット10,25として、コンデンサ31を利用するようにしてもよく、上記実施の形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0039】
DCカット10,25として、コンデンサ31を利用する場合、例えば、最高動作周波数が低い分布形増幅器では、安価なチップコンデンサを利用することが可能になり、分布形増幅器の低コスト化を実現することができる。
また、最高動作周波数が高い分布形増幅器では、MMICプロセスのMIMキャパシタを利用することが可能になり、分布形増幅器の小型化を実現することができる。
【0040】
実施の形態5.
上記実施の形態1,3では、例えば、トランジスタ1aの出力側とトランジスタ1bの出力側とがDCカット10を介して接続されており、上記実施の形態2,3では、例えば、トランジスタ1aの入力側とトランジスタ1bの入力側とがDCカット25を介して接続されているものを示したが、図16に示すように、DCカット10,25として、結合容量32を利用するようにしてもよく、上記実施の形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0041】
DCカット10,25として、結合容量32を利用することで、コンデンサなどの部品が不要になるため、安価に分布形増幅器を構築することができる。
また、MIMプロセスなどが不要になるため、分布形増幅器の製造が容易になる。
【0042】
実施の形態6.
上記実施の形態1では、電圧源2,5,7がRFカット3,6,8を介してトランジスタ1と接続され、上記実施の形態2では、電圧源21,23,26がRFカット22,24,27を介してトランジスタ1と接続され、上記実施の形態3では、電圧源5,7,21,23がRFカット6,8,22,24を介してトランジスタ1と接続されているものを示したが、図17に示すように、RFカット6,8,22,24として、インダクタ33を利用するようにしてもよく、上記実施の形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0043】
RFカット6,8,22,24として、インダクタ33を利用する場合、例えば、最高動作周波数が低い分布形増幅器では、安価なチップインダクタを利用することが可能になり、分布形増幅器の低コスト化を実現することができる。
また、最高動作周波数が高い分布形増幅器では、ワイヤなどを利用することが可能になり、分布形増幅器の小型化を実現することができる。
【0044】
実施の形態7.
上記実施の形態1では、電圧源2,5,7がRFカット3,6,8を介してトランジスタ1と接続され、上記実施の形態2では、電圧源21,23,26がRFカット22,24,27を介してトランジスタ1と接続され、上記実施の形態3では、電圧源5,7,21,23がRFカット6,8,22,24を介してトランジスタ1と接続されているものを示したが、図18に示すように、RFカット6,8,22,24として、伝送線路34を利用するようにしてもよく、上記実施の形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0045】
RFカット6,8,22,24として、伝送線路34を利用することで、インダクタなどの部品が不要になるため、安価に分布形増幅器を構築することができる。
また、長いワイヤが不要になるため、分布形増幅器の製造バラつきを小さくすることができる。
【0046】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1a〜1j トランジスタ、2 電圧源(入力側バイアス電圧供給手段)、3 RFカット、4 伝送線路、5 電圧源(出力側バイアス電圧供給手段)、6 RFカット、7 電圧源(出力側バイアス電圧供給手段)、8 RFカット、9 伝送線路、10 DCカット、11 ゲートソース間容量Cgs、12 ソースフィンガのインダクタンス成分Ls、13 ビアホール1個当たりのインダクタンスVIA、14 トランジスタの入力端子、21 電圧源(入力側バイアス電圧供給手段)、22 RFカット、23 電圧源(入力側バイアス電圧供給手段)、24 RFカット、25 DCカット、26 電圧源(出力側バイアス電圧供給手段)、27 RFカット、31 コンデンサ、32 結合容量、33 インダクタ、34 伝送線路、101a〜101j トランジスタ、102 電圧源、103 RFカット、104 伝送線路、105 電圧源、106 RFカット、107 伝送線路。
【技術分野】
【0001】
この発明は、高利得、高出力、高効率、広帯域な特性が得られる分布形増幅器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図19は以下の非特許文献1に開示されている分布形増幅器を示す構成図である。
図19の分布形増幅器では、複数個のトランジスタ101a〜101jが並列に接続されている。
電圧源102は、トランジスタ101a〜101jに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット103を介して、トランジスタ101a〜101jの入力側と接続されている。
なお、トランジスタ101a〜101jの入力側同士が、伝送線路104などの周辺回路を介して接続されている。
【0003】
電圧源105は、トランジスタ101a〜101jに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット106を介して、トランジスタ101a〜101jの出力側と接続されている。
なお、トランジスタ101a〜101jの出力側同士が、伝送線路107などの周辺回路を介して接続されている。
【0004】
図19の分布形増幅器は、高出力化を実現すること、出力インピーダンスと終端インピーダンスを揃えること、トランジスタ101aに接続されている伝送線路107の特性インピーダンスを下げることを目的として、トランジスタ101aのゲート幅を、トランジスタ101b〜101jのゲート幅より大きくしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】C. Campbell,C. Lee; V. Williams,M. Kao; H. Tserng,and P. Saunier,“A Wideband Power Amplifier MMIC Utilizing GaN on SiC HEMT Technology,”30th IEEE Compound Semiconductor IC Symposium,I.1,October,2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の分布形増幅器は以上のように構成されているので、トランジスタ101aのゲート幅がトランジスタ101b〜101jのゲート幅より大きい。そのため、トランジスタ101aの単位ゲート幅当たりのソースインダクタが大きくなり、トランジスタ101aの利得が低下する。一方で、特に不均一型の分布形増幅器では、各トランジスタ101の出力電力を不平衡が無いように分配合成する必要があるため、トランジスタ101a〜101jの中で、最も利得が低いトランジスタ101に、他のトランジスタ101の利得を合わせるように、回路を構成する必要がある。そのため、トランジスタ101aが大きいほど、分布形増幅器の利得が低下してしまう(所望の利得が得られる高域端の周波数が低下してしまう)などの課題があった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる分布形増幅器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る分布形増幅器は、並列に接続されている複数のトランジスタと、複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備え、出力側バイアス電圧供給手段から複数のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される出力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧と異なるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、並列に接続されている複数のトランジスタと、複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備え、出力側バイアス電圧供給手段から複数のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される出力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧と異なるように構成したので、利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による分布形増幅器を示す構成図である。
【図2】トランジスタ1a〜1jの特性を示す説明図である。
【図3】図2に示しているゲートソース間容量Cgs、ソースフィンガのインダクタンス成分Ls及びビアホール1個当たりのインダクタンスVIAだけを考慮する場合のトランジスタ1a〜1jの内部を示す回路図である。
【図4】ドレイン電圧が30Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
【図5】ドレイン電圧が25Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
【図6】ドレイン電圧が20Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
【図7】電圧振幅Vinに対する電圧振幅VCgsの比とゲート幅の関係を示すグラフ図である。
【図8】ゲート幅と最大周波数の関係を示すグラフ図である。
【図9】分布形増幅器の出力電力と最大動作周波数の関係を示すグラフ図である。
【図10】ドレイン電圧が20,30Vであるときの図1の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
【図11】図10の計算結果を図9のグラフにプロットしているグラフ図である。
【図12】この発明の実施の形態2による分布形増幅器を示す構成図である。
【図13】トランジスタ1a〜1jのトランスコンダクタンスgmの特性を示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態3による分布形増幅器を示す構成図である。
【図15】この発明の実施の形態4による分布形増幅器を示す構成図である。
【図16】この発明の実施の形態5による分布形増幅器を示す構成図である。
【図17】この発明の実施の形態6による分布形増幅器を示す構成図である。
【図18】この発明の実施の形態7による分布形増幅器を示す構成図である。
【図19】非特許文献1に開示されている分布形増幅器を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による分布形増幅器を示す構成図である。
図1の分布形増幅器では、10個のトランジスタ1a〜1jが並列に接続されている。
図1の例では、10個のトランジスタ1a〜1jが接続されているが、トランジスタ1の個数は2個以上であればよく、10個に限るものではない。
図1において、電圧源2は、トランジスタ1a〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット3を介して、トランジスタ1a〜1jの入力側と接続されている。
図1の例では、電圧源2は固定電圧源であるものを想定しているが、入力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源2は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
なお、トランジスタ1a〜1jの入力側同士が、伝送線路4などの周辺回路を介して接続されている。
【0012】
電圧源5は、トランジスタ1aに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット6を介して、トランジスタ1aの入力側と接続されている。
図1の例では、電圧源5は固定電圧源であるものを想定しているが、出力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源5は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
【0013】
電圧源7は、トランジスタ1b〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット8を介して、トランジスタ1b〜1jの入力側と接続されている。
図1の例では、電圧源5は固定電圧源であるものを想定しているが、出力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源7は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
なお、トランジスタ1a〜1jの出力側同士が、伝送線路9などの周辺回路を介して接続されている。
また、トランジスタ1aの出力側とトランジスタ1bの出力側とは、直流成分の通過を阻止するDCカット10を介して接続されている。
【0014】
次に動作について説明する。
最初に、トランジスタ1a〜1jの特性について説明する。
ここでは、説明の便宜上、トランジスタ1a〜1jとして、以下の非特許文献2に記載されているトランジスタを用いるものとする。
[非特許文献2]TriQuint Semiconductor Datasheet: TGF2023-01
【0015】
図2はトランジスタ1a〜1jの特性を示す説明図である。
図2において、Rp,RFpower,Cgs,Ls,VIA,RLは、トランジスタ1a〜1jの特性を示すパラメータである。
また、Vdはドレイン電圧であり、Rp,RFpowerはドレイン電圧のバイアス依存性を有しているため、ドレイン電圧毎に示している。
【0016】
Rpはゲート幅が1mmのトランジスタの最適負荷抵抗である。
RFpowerはゲート幅が1mmのトランジスタの出力電力である。
Cgsはトランジスタのゲートソース間容量である。
Lsはトランジスタのソースフィンガのインダクタンス成分である。
VIAはビアホール1個当たりのインダクタンスである。
RLは分布形増幅器の終端インピーダンスである。
以降の検討では、伝送線路4,9の特性インピーダンスが、最大でも200Ωであるものとする。
【0017】
図3は図2に示しているゲートソース間容量Cgs、ソースフィンガのインダクタンス成分Ls及びビアホール1個当たりのインダクタンスVIAだけを考慮する場合のトランジスタ1a〜1jの内部を示す回路図である。
図3において、11はゲートソース間容量Cgs、12はソースフィンガのインダクタンス成分Ls、13はビアホール1個当たりのインダクタンスVIA、14はトランジスタの入力端子である。
【0018】
上記の非特許文献1には、ドレイン電圧が30Vであるときの分布形増幅器の計算例が示されている。
図4はドレイン電圧が30Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
また、図5はドレイン電圧が25Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図であり、図6はドレイン電圧が20Vであるときの従来の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
図4,図5及び図6の計算結果を比較すると、ドレイン電圧が高いほど、トランジスタ101a〜101jのゲート幅が大きくなっていることが分かる。
このことは、図1の分布形増幅器におけるトランジスタ1b〜1jについても共通である。
【0019】
一方、トランジスタ1a〜1j,101a〜101jのゲート幅が大きくなると、ソースインダクタとビアホールのインダクタンスに起因する直列帰還が原因で利得が低下する。即ち、入力電圧振幅に対する出力電流が減少する。
トランジスタ1a〜1j,101a〜101jの出力電流Idsは、下記の式(1)で与えられる。
Ids=−gm×VCgs (1)
式(1)において、gmはトランスコンダクタンスであり、ゲート幅に比例して増加するパラメータである。
したがって、トランジスタ1a〜1j,101a〜101jの出力電流Idsは、トランスコンダクタンスgmに比例して増加する。
しかし、ゲートソース間容量11の両端の電圧振幅VCgsは異なる振る舞いを示す。
【0020】
トランジスタ1a〜1j,101a〜101jに入力される電圧振幅がVinであるとすると、電圧振幅Vinに対する電圧振幅VCgsの比(以下、「VCgs比」と称する)とゲート幅の関係は、図7に示すようになる。
図7より、高い周波数になる程、VCgs比が小さくなり、ゲート幅が大きくなる程、VCgs比の低下量が大きくなることが分かる。
また、式(1)より、このVCgs比の低下は、利得の低下と等価であると言える。
また、VCgs比が等しい値同士で比較すると、ゲート幅を増加させると、最大動作周波数が低下することが分かる。
【0021】
例えば、VCgs比が0.85となる周波数を最大動作周波数と規定すると、ゲート幅と最大周波数の関係は、図8に示すようになる。
ここで、図4〜6に示している分布形増幅器の出力電力とトランジスタのゲート幅との関係、図8に示しているゲート幅と最大動作周波数の関係を結び付けると、分布形増幅器の出力電力と最大動作周波数の関係は、図9に示すようになる。
図9より、出力電力を大きくすると、最大動作周波数が低下し、最大動作周波数を上げると、出力電力が低下することが分かる。
【0022】
図1の分布形増幅器では、トランジスタ1a〜1jに対するバイアス電圧として、トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々のバイアス電圧を印加することができる。
即ち、トランジスタ1a〜1jに対する入力側バイアス電圧として、入力側バイアス電圧供給手段である電圧源2から同一値の電圧が供給されるが、トランジスタ1a〜1jに対する出力側バイアス電圧として、出力側バイアス電圧供給手段である電圧源5から、所定値の電圧Vd(例えば、Vd=20V)がトランジスタ1aに供給され、出力側バイアス電圧供給手段である電圧源7から、所定値の電圧Vd(例えば、Vd=30V)がトランジスタ1b〜1jに供給される。
【0023】
図10はドレイン電圧が20,30Vであるときの図1の分布形増幅器の計算例を示す説明図である。
出力側バイアス電圧供給手段である電圧源7が、30Vの出力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給し、出力側バイアス電圧供給手段である電圧源5が、トランジスタ1b〜1jに供給される出力側バイアス電圧よりも低い20Vの出力側バイアス電圧をトランジスタ1aに供給すると、図10に示すように、伝送線路4,9の特性インピーダンスを200Ω以下にしつつ、分布形増幅器の出力インピーダンスを50Ωとし、更に、トランジスタ1aのゲート幅を小さくすることができる。
【0024】
また、トランジスタ1b〜1jに着目すると、トランジスタ1b〜1jは、トランジスタ1aよりも大きな30Vのバイアス電圧で動作しているため、出力電力を大きく取ることができる。
そのため、分布形増幅器の全体では、大きな出力電力(7.8Wの電力)を得ることができる。
図11は図10の計算結果を図9のグラフにプロットしているグラフ図であり、図1の分布形増幅器では、従来の分布形増幅器と比較して、高出力化、高周波化を実現していることが分かる。
また、同じ出力電力同士で比較すると、図1の分布形増幅器は、高利得であることが分かる。また、利得を改善すると、電力負荷効率が上がるため、図1の分布形増幅器は、高効率であることが分かる。
【0025】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、並列に接続されている複数のトランジスタ1a〜1jと、複数のトランジスタ1a〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する電圧源2と、複数のトランジスタ1a〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する電圧源5,7とを備え、電圧源5,7から複数のトランジスタ1a〜1jに供給される出力側バイアス電圧のうち、トランジスタ1aに供給される出力側バイアス電圧が、トランジスタ1b〜1jに供給される出力側バイアス電圧と異なるように構成したので、利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる効果を奏する。
【0026】
この実施の形態1では、電圧源7が同一値の出力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給しているものを示したが、トランジスタ1b〜1jに対して、異なる電圧値の出力側バイアス電圧を供給するようにしてもよい。
この場合、出力電圧が異なる電圧源7を複数用意すればよい。
例えば、トランジスタ1b〜1fに供給する出力側バイアス電圧と、トランジスタ1g〜1jに供給する出力側バイアス電圧とを異なる電圧値にする場合、出力電圧が異なる2個の電圧源7を用意(トランジスタ1b〜1fに対して出力側バイアス電圧を供給する電圧源7と、トランジスタ1g〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する電圧源7とを用意)し、トランジスタ1fの出力側と、トランジスタ1gの出力側とをDCカット10を介して接続すればよい。
【0027】
実施の形態2.
図12はこの発明の実施の形態2による分布形増幅器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
電圧源21は、トランジスタ1aに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット22を介して、トランジスタ1aの入力側と接続されている。
図12の例では、電圧源21は固定電圧源であるものを想定しているが、入力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源21は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
【0028】
電圧源23は、トランジスタ1b〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット24を介して、トランジスタ1b〜1jの入力側と接続されている。
図12の例では、電圧源23は固定電圧源であるものを想定しているが、入力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源23は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
なお、トランジスタ1aの入力側とトランジスタ1bの入力側とは、直流成分の通過を阻止するDCカット25を介して接続されている。
【0029】
電圧源26は、トランジスタ1a〜1jに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段であり、高周波信号の通過を阻止するRFカット27を介して、トランジスタ1a〜1jの出力側と接続されている。
図12の例では、電圧源26は固定電圧源であるものを想定しているが、出力側バイアス電圧を可変できる可変電圧源であってもよい。
また、電圧源26は、固定電圧源とDC/DCコンバータから構成されていてもよい。
【0030】
次に動作について説明する。
上記実施の形態1では、トランジスタ1b〜1jに供給する出力側バイアス電圧よりもトランジスタ1aに供給する出力側バイアス電圧を低くすることで、トランジスタ1aのゲート幅を小さくしているものを示したが、トランジスタ1a〜1jのトランスコンダクタンスgmは、図13に示すように、入力側バイアス電圧に依存する特性を有している。図13が示す特性は、非特許文献1に開示されている。
【0031】
そこで、この実施の形態2では、トランジスタ1a〜1jに対する入力側バイアス電圧として、トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々のバイアス電圧を印加するようにしている。
即ち、トランジスタ1a〜1jに対する出力側バイアス電圧として、出力側バイアス電圧供給手段である電圧源26から同一値の電圧が供給されるが、トランジスタ1a〜1jに対する入力側バイアス電圧として、入力側バイアス電圧供給手段である電圧源21から、所定値の電圧がトランジスタ1aに供給され、入力側バイアス電圧供給手段である電圧源23から、トランジスタ1aに供給される電圧と異なる電圧がトランジスタ1b〜1jに供給される。
【0032】
トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々の入力側バイアス電圧を供給するに際して、トランジスタ1a〜1jのトランスコンダクタンスgmとVCgs比の積が等しくなるように、入力側バイアス電圧を設定することで、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
つまり、従来の分布形増幅器よりも利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる。
【0033】
この実施の形態2では、電圧源23が同一値の入力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給しているものを示したが、トランジスタ1b〜1jに対して、異なる電圧値の入力側バイアス電圧を供給するようにしてもよい。
この場合、入力電圧が異なる電圧源23を複数用意すればよい。
例えば、トランジスタ1b〜1gに供給する入力側バイアス電圧と、トランジスタ1h〜1jに供給する入力側バイアス電圧とを異なる電圧値にする場合、出力電圧が異なる2個の電圧源23を用意(トランジスタ1b〜1gに対して入力側バイアス電圧を供給する電圧源23と、トランジスタ1h〜1jに対して入力側バイアス電圧を供給する電圧源23とを用意)し、トランジスタ1gの入力側と、トランジスタ1hの入力側とをDCカット25を介して接続すればよい。
【0034】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、トランジスタ1aに供給する出力側バイアス電圧とトランジスタ1b〜1jに供給する出力側バイアス電圧とが異なるものを示し、上記実施の形態2では、トランジスタ1aに供給する入力側バイアス電圧とトランジスタ1b〜1jに供給する入力側バイアス電圧とが異なるものを示したが、現実のトランジスタは多種多様であり、出力側バイアス電圧、あるいは、入力側バイアス電圧だけを別々の電圧値にしても、十分に利得を制御し切れないトランジスタも存在する。
【0035】
そこで、この実施の形態3では、図14に示すように、トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々の出力側バイアス電圧を供給する電圧源5,7を実装するとともに(実施の形態1の構成)、トランジスタ1aと、トランジスタ1b〜1jに対して、別々の入力側バイアス電圧を供給する電圧源21,23を実装するようにしている(実施の形態2の構成)。
【0036】
これにより、出力側バイアス電圧と入力側バイアス電圧の双方が制御されるため、出力側バイアス電圧や入力側バイアス電圧に対する感度が悪いトランジスタであっても、トランジスタの利得を揃えることができるようになり、その結果、従来の分布形増幅器よりも利得の低下を防止して、高利得、高出力、高効率及び広帯域特性を実現することができる効果を奏する。
【0037】
図14の例では、電圧源7が同一値の出力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給しているものを示したが、トランジスタ1b〜1jに対して、異なる電圧値の出力側バイアス電圧を供給するようにしてもよい。
また、図14の例では、電圧源23が同一値の入力側バイアス電圧をトランジスタ1b〜1jに供給しているものを示したが、トランジスタ1b〜1jに対して、異なる電圧値の入力側バイアス電圧を供給するようにしてもよい。
【0038】
実施の形態4.
上記実施の形態1,3では、例えば、トランジスタ1aの出力側とトランジスタ1bの出力側とがDCカット10を介して接続されており、上記実施の形態2,3では、例えば、トランジスタ1aの入力側とトランジスタ1bの入力側とがDCカット25を介して接続されているものを示したが、図15に示すように、DCカット10,25として、コンデンサ31を利用するようにしてもよく、上記実施の形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0039】
DCカット10,25として、コンデンサ31を利用する場合、例えば、最高動作周波数が低い分布形増幅器では、安価なチップコンデンサを利用することが可能になり、分布形増幅器の低コスト化を実現することができる。
また、最高動作周波数が高い分布形増幅器では、MMICプロセスのMIMキャパシタを利用することが可能になり、分布形増幅器の小型化を実現することができる。
【0040】
実施の形態5.
上記実施の形態1,3では、例えば、トランジスタ1aの出力側とトランジスタ1bの出力側とがDCカット10を介して接続されており、上記実施の形態2,3では、例えば、トランジスタ1aの入力側とトランジスタ1bの入力側とがDCカット25を介して接続されているものを示したが、図16に示すように、DCカット10,25として、結合容量32を利用するようにしてもよく、上記実施の形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0041】
DCカット10,25として、結合容量32を利用することで、コンデンサなどの部品が不要になるため、安価に分布形増幅器を構築することができる。
また、MIMプロセスなどが不要になるため、分布形増幅器の製造が容易になる。
【0042】
実施の形態6.
上記実施の形態1では、電圧源2,5,7がRFカット3,6,8を介してトランジスタ1と接続され、上記実施の形態2では、電圧源21,23,26がRFカット22,24,27を介してトランジスタ1と接続され、上記実施の形態3では、電圧源5,7,21,23がRFカット6,8,22,24を介してトランジスタ1と接続されているものを示したが、図17に示すように、RFカット6,8,22,24として、インダクタ33を利用するようにしてもよく、上記実施の形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0043】
RFカット6,8,22,24として、インダクタ33を利用する場合、例えば、最高動作周波数が低い分布形増幅器では、安価なチップインダクタを利用することが可能になり、分布形増幅器の低コスト化を実現することができる。
また、最高動作周波数が高い分布形増幅器では、ワイヤなどを利用することが可能になり、分布形増幅器の小型化を実現することができる。
【0044】
実施の形態7.
上記実施の形態1では、電圧源2,5,7がRFカット3,6,8を介してトランジスタ1と接続され、上記実施の形態2では、電圧源21,23,26がRFカット22,24,27を介してトランジスタ1と接続され、上記実施の形態3では、電圧源5,7,21,23がRFカット6,8,22,24を介してトランジスタ1と接続されているものを示したが、図18に示すように、RFカット6,8,22,24として、伝送線路34を利用するようにしてもよく、上記実施の形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0045】
RFカット6,8,22,24として、伝送線路34を利用することで、インダクタなどの部品が不要になるため、安価に分布形増幅器を構築することができる。
また、長いワイヤが不要になるため、分布形増幅器の製造バラつきを小さくすることができる。
【0046】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1a〜1j トランジスタ、2 電圧源(入力側バイアス電圧供給手段)、3 RFカット、4 伝送線路、5 電圧源(出力側バイアス電圧供給手段)、6 RFカット、7 電圧源(出力側バイアス電圧供給手段)、8 RFカット、9 伝送線路、10 DCカット、11 ゲートソース間容量Cgs、12 ソースフィンガのインダクタンス成分Ls、13 ビアホール1個当たりのインダクタンスVIA、14 トランジスタの入力端子、21 電圧源(入力側バイアス電圧供給手段)、22 RFカット、23 電圧源(入力側バイアス電圧供給手段)、24 RFカット、25 DCカット、26 電圧源(出力側バイアス電圧供給手段)、27 RFカット、31 コンデンサ、32 結合容量、33 インダクタ、34 伝送線路、101a〜101j トランジスタ、102 電圧源、103 RFカット、104 伝送線路、105 電圧源、106 RFカット、107 伝送線路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続されている複数のトランジスタと、上記複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、上記複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備えた分布形増幅器において、
上記出力側バイアス電圧供給手段から上記複数のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される出力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧と異なっていることを特徴とする分布形増幅器。
【請求項2】
並列に接続されている複数のトランジスタと、上記複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、上記複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備えた分布形増幅器において、
上記入力側バイアス電圧供給手段から上記複数のトランジスタに供給される入力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される入力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される入力側バイアス電圧と異なっていることを特徴とする分布形増幅器。
【請求項3】
並列に接続されている複数のトランジスタと、上記複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、上記複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備えた分布形増幅器において、
上記出力側バイアス電圧供給手段から上記複数のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される出力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧と異なっており、
上記入力側バイアス電圧供給手段から上記複数のトランジスタに供給される入力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される入力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される入力側バイアス電圧と異なっていることを特徴とする分布形増幅器。
【請求項4】
出力側バイアス電圧供給手段は、その他のトランジスタが2個以上ある場合、2個以上のその他のトランジスタに対して、同一又は異なる出力側バイアス電圧を供給することを特徴とする請求項1または請求項3記載の分布形増幅器。
【請求項5】
入力側バイアス電圧供給手段は、その他のトランジスタが2個以上ある場合、2個以上のその他のトランジスタに対して、同一又は異なる入力側バイアス電圧を供給することを特徴とする請求項2または請求項3記載の分布形増幅器。
【請求項6】
或るトランジスタのゲート幅が、その他のトランジスタのゲート幅と異なっていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の分布形増幅器。
【請求項7】
出力側バイアス電圧供給手段と複数のトランジスタの出力側とが、高周波信号の通過を阻止するRFカットを介して接続されており、
或るトランジスタの出力側とその他のトランジスタの出力側とが、直流成分の通過を阻止するDCカットを介して接続されている
ことを特徴とする請求項1または請求項3記載の分布形増幅器。
【請求項8】
入力側バイアス電圧供給手段と複数のトランジスタの入力側とが、高周波信号の通過を阻止するRFカットを介して接続されており、
或るトランジスタの入力側とその他のトランジスタの入力側とが、直流成分の通過を阻止するDCカットを介して接続されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載の分布形増幅器。
【請求項9】
DCカットがコンデンサ又は結合容量で構成されており、RFカットがインダクタ又は伝送線路で構成されていることを特徴とする請求項7または請求項8記載の分布形増幅器。
【請求項1】
並列に接続されている複数のトランジスタと、上記複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、上記複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備えた分布形増幅器において、
上記出力側バイアス電圧供給手段から上記複数のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される出力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧と異なっていることを特徴とする分布形増幅器。
【請求項2】
並列に接続されている複数のトランジスタと、上記複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、上記複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備えた分布形増幅器において、
上記入力側バイアス電圧供給手段から上記複数のトランジスタに供給される入力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される入力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される入力側バイアス電圧と異なっていることを特徴とする分布形増幅器。
【請求項3】
並列に接続されている複数のトランジスタと、上記複数のトランジスタに対して入力側バイアス電圧を供給する入力側バイアス電圧供給手段と、上記複数のトランジスタに対して出力側バイアス電圧を供給する出力側バイアス電圧供給手段とを備えた分布形増幅器において、
上記出力側バイアス電圧供給手段から上記複数のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される出力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される出力側バイアス電圧と異なっており、
上記入力側バイアス電圧供給手段から上記複数のトランジスタに供給される入力側バイアス電圧のうち、或るトランジスタに供給される入力側バイアス電圧が、その他のトランジスタに供給される入力側バイアス電圧と異なっていることを特徴とする分布形増幅器。
【請求項4】
出力側バイアス電圧供給手段は、その他のトランジスタが2個以上ある場合、2個以上のその他のトランジスタに対して、同一又は異なる出力側バイアス電圧を供給することを特徴とする請求項1または請求項3記載の分布形増幅器。
【請求項5】
入力側バイアス電圧供給手段は、その他のトランジスタが2個以上ある場合、2個以上のその他のトランジスタに対して、同一又は異なる入力側バイアス電圧を供給することを特徴とする請求項2または請求項3記載の分布形増幅器。
【請求項6】
或るトランジスタのゲート幅が、その他のトランジスタのゲート幅と異なっていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の分布形増幅器。
【請求項7】
出力側バイアス電圧供給手段と複数のトランジスタの出力側とが、高周波信号の通過を阻止するRFカットを介して接続されており、
或るトランジスタの出力側とその他のトランジスタの出力側とが、直流成分の通過を阻止するDCカットを介して接続されている
ことを特徴とする請求項1または請求項3記載の分布形増幅器。
【請求項8】
入力側バイアス電圧供給手段と複数のトランジスタの入力側とが、高周波信号の通過を阻止するRFカットを介して接続されており、
或るトランジスタの入力側とその他のトランジスタの入力側とが、直流成分の通過を阻止するDCカットを介して接続されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載の分布形増幅器。
【請求項9】
DCカットがコンデンサ又は結合容量で構成されており、RFカットがインダクタ又は伝送線路で構成されていることを特徴とする請求項7または請求項8記載の分布形増幅器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−231392(P2012−231392A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99584(P2011−99584)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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