説明

分散型アンテナシステムのためのジョイントユーザー機器スケジューリングおよびクラスター情報

【課題】分散型アンテナシステムにおいてダウンリンクのスペクトラム効率およびユーザースループットを改善すること
【解決手段】複数のユーザーと、各々が多数のリモート無線ヘッドを含むクラスターとなるように分割すべき複数のリモート無線ヘッドと、CBS(中央基地局)プロセッサ、CBSメモリ、ユーザー順序決定モジュールおよびユーザースケジューリング兼クラスター情報モジュールを含む中央基地局(CBS)とを備える分散型アンテナシステムにおいて、比例的フェア規準に基づき、ユーザーの機器(UE)をスケジューリングし、受信した信号強度に従って、スケジューリングされたUEに対しクラスターを形成するためリモート無線ヘッドをピックアップする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には無線システムに関し、より詳細には、分散型アンテナシステムのためのジョイントユーザー機器(UE)のスケジューリングおよびクラスター情報に関する。
【背景技術】
【0002】
分散型アンテナシステム(DAS)では、地理的領域内に分散型アンテナが多数設置されており、これらアンテナは、これらアンテナを管理する中央基地局(CBS)に光ファイバーを介して接続されている。これらアンテナは、ユーザー(UE)に対してサービスをする複数のクラスターにグループ分けされている。これら多数のアンテナが接近していることに起因し、システムが正しく運用されない場合、限られた領域で干渉が生じ、携帯電話のようなユーザー機器の受信スループットに問題が生じることがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】J.チャンおよびJ.G.アンドリュー共著論文、「ランダム性を有する分散型アンテナシステム」(無線通信に関するIEEEトランザクション、第7巻第9号、3636〜3646ページ、2008年9月)
【非特許文献2】A.パパドギアニス、D.ゲスバートおよびE.ハードウィン共著論文、「マルチセル協働処理を行う無線ネットワークにおけるダイナミッククラスタリングアプローチ」(IEEE国際通信会議議事録、2008年5月、4033〜4037ページ)
【非特許文献3】http://en.wikipedia.org/wiki/Round−robin_scheduling
【非特許文献4】G.ケア、R.ミューラーおよびR.ノップ共著論文、「無線通信におけるハードフェアネスvs比例的フェアネス、単一セルのケース」(情報理論に関するIEEEトランザクション、第56巻、1366〜1385ページ、2007年4月)
【非特許文献5】シバラマ ベンカテッサンによる論文、「アップリンクスペクトル効率をより高くするための基地局のコーディネート:比例的にフェアなユーザーレート」(IEEE PIMRC議事録、1〜5ページ、2007年9月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、ダウンリンクのスペクトラム効率およびユーザースループットを改善するDASを運用する方法を提供するものである。この方法は、ジョイントアンテナクラスタリングおよびUEスケジューリングのためのアルゴリズムによって達成される。現行のアルゴリズムのほとんどは、これら2つの動作を別々に実行しているが、2つの動作は相互に依存するので、最適な方法とは言えない。他方、最適なジョイントクラスタリングおよびスケジューリングアルゴリズムは、実際のシステムで実施するには極めて複雑である。本発明は、最適以下であるが、実現が簡単な、ジョイント最適化を達成するアルゴリズムを提供するものである。提案するアルゴリズムでは、各時間インスタンスで次の2つのステップを実行する。(1)比例的フェア規準に基づき、UEをスケジューリングする。(2)受信した信号強度に従って、スケジューリングされたUEにアンテナを割り当てる。このように、アルゴリズムは、ジョイントアンテナクラスタリングおよびUEスケジューリングを実行すると共に、UEのスループット性能を最大にするよう、アンテナの数およびクラスターサイズのための適正値の選択に関する表示も行う。この結果、提案されるスキームは、スペクトラム効率およびユーザースループットを大幅に改善できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの様相によれば、分散型アンテナシステムは、複数のユーザーと、各々が多数のリモート無線ヘッドを含むクラスターとなるように分割すべき複数のリモート無線ヘッドと、CBS(中央基地局)プロセッサ、CBSメモリ、ユーザー順序決定モジュール、ユーザースケジューリングおよびクラスター情報モジュールを含む中央基地局(CBS)とを備える。前記ユーザー順序決定モジュールは、比例的フェアスケジューリング計量値の値が減少する順に前記ユーザーの順序を決定し、順序が決定されたユーザーの一組を提供するようになっている。前記ユーザースケジューリングおよびクラスター情報モジュールは、比例的フェアスケジューリング計量値の値が減少する順のユーザーの順序に従ってユーザーのスケジュールを決定し、前記ユーザーの順序に従ってスケジュールが決定された各ユーザーに対し、これまでピックアップされておらず、スケジュールが決定された前記ユーザーに対する信号強度の順序が減少する順に最初のN個の数のリモート無線ヘッドをピックアップし、前記スケジュールが決定されたユーザーに対し、サイズNのクラスターを形成するようになっている。
【0006】
一部の実施形態では、各ユーザーは、ユーザープロセッサと、ユーザーメモリと、各ユーザーへの信号強度が減少する順に前記リモート無線ヘッドの順序を決定するようになっているアンテナ順序決定モジュールとを備える。各ユーザーは、各ユーザーに対する比例的フェアスケジュールとして計量値を計算するようになっている比例的フェアスケジュール決定計量値モジュールを含む。前記アンテナ順序決定モジュールは、各ユーザーUE(i)に対するベクトルS(i、j)(ここで、iは、1からユーザーの総数Kに等しく、jは、1から信号強度が減少する順のリモート無線ヘッドの総数に等しい)として信号強度が減少する順に前記リモート無線ヘッドの順序を決定するようになっており、前記比例的フェアスケジュール決定計量値モジュールは、各ユーザーUE(i)に対する比例的フェアスケジュール決定計量値Mを計算するようになっている。前記ユーザー順序決定モジュールは、前記計算された比例的フェアスケジューリング計量値の値Mが減少する順にユーザーの順序を決定し、前記ユーザーの順序をUET(1)からUET(K)まで定めるUEインデックスとして、T(1)からT(K)まで順序が決定されたユーザーの組Tを提供するようになっている。前記ユーザースケジューリングおよびクラスター形成モジュールは、カウンターu=1からスタートし、(1)T(1)からT(K)に基づき、ユーザーUET(U)のスケジュールを決定し、(2)これまでピックアップされていなかったベクトルS(T(u)、j)から、最初のN個の数のj番目のリモート無線ヘッド(ここでNは形成すべきクラスターのサイズである)をピックアップし、(3)すべてのユーザーに対して1つのクラスターが割り当てられているわけではなく、リモート無線ヘッドがすべて一部のクラスターに割り当てられているわけではない場合、前記カウンターuをu+1にインクリメントし、ステップ(1)〜(3)を繰り返すことにより、クラスター形成を有する次のUET(u)のスケジュールを決定するようになっている。前記リモート無線ヘッドの各クラスターは、対応する1つのユーザーだけを有する。前記クラスターの各々は、同じ固定されたサイズのN個のリモート無線ヘッドを有する。
【0007】
本発明の別の様相は、複数のユーザーと複数リモート無線ヘッドとを含む分散型アンテナシステムにおける中央基地局に関し、前記リモート無線ヘッドは、複数のクラスターに分割され、各クラスターは、多数のリモート無線ヘッドを含むようになっており、前記中央基地局は、プロセッサと、メモリと、比例的フェアスケジューリング計量値の値が減少する順に前記ユーザーの順序を決定し、一組の順序が決定されたユーザーを提供するようになっている、ユーザー順序決定モジュールと、比例的フェアスケジューリング計量値の値が減少する順のユーザーの順序に従ってユーザーのスケジュールを決定し、前記ユーザーの順序に従ってスケジュールが決定された各ユーザーに対し、これまでピックアップされておらず、スケジュールが決定された前記ユーザーに対する信号強度が減少する順に最初のN個の数のリモート無線ヘッドをピックアップし、前記スケジュールが決定されたユーザーに対し、サイズNのクラスターを形成するようになっているユーザースケジューリングおよびクラスター情報モジュールとを備える。
【0008】
本発明の別の様相は、中央基地局と複数のユーザーと複数リモート無線ヘッドとを含む分散型アンテナシステムにおいてユーザースケジューリングおよびクラスター形成を行う方法に関し、前記リモート無線ヘッドは、複数のクラスターに分割され、各クラスターは多数のリモート無線ヘッドを含むようになっており、この方法は、一組の順序が決定されたユーザーを提供するよう比例的フェアスケジューリング計量値が減少する順に前記ユーザーの順序を決定するステップと、比例的フェアスケジューリング計量値が減少する順のユーザーの順序に従ってユーザーのスケジュールを決定するステップと、前記ユーザーの順序に従ってスケジュールが決定された各ユーザーに対し、これまでピックアップされていない、スケジュールが決定された前記ユーザーに対する信号強度が減少する順に最初のN個の数のリモート無線ヘッドをピックアップし、前記スケジュールが決定されたユーザーに対し、サイズNのクラスターを形成するステップとを備える。
【0009】
一部の実施形態では、プリセットされた時間インスタントで周期的に、前記ユーザの順序を決定するステップと、前記ユーザのスケジュールを決定するステップと、最初のN個の数のリモート無線ヘッドをピックアップするステップとを実行する。
当業者が特定の実施形態の次の詳細を検討すれば、本発明の上記およびそれ以外の特徴および利点が明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】中央基地局(CBS)によって管理された分散型アンテナシステム(DAS)の一例を示す。
【図2】屋内に設置されたリモート無線ヘッド(RRH)の均一グリッドを示す。
【図3】ジョイントユーザー機器(UE)スケジューリングおよびクラスター形成アルゴリズムを示すフローチャートの一例を示す。
【図4】ユーザーおよび中央基地局の機能ブロック図の一例を示す。
【図5】分散型アンテナシステムにおける提案するジョイントUEスケジューリングおよびクラスター形成アルゴリズムのシミュレーションのための種々のパラメータを要約したテーブルである。
【図6】4×4システムにおける干渉効果を示すための異なるクラスターサイズに対する異なる数の干渉クラスターの例を示す。
【図7】異なるクラスターサイズにおけるクラスター間干渉の分析を示すテーブルである。
【図8】クラスターサイズが1、2および4となっている場合の4×4RRH配置における平均レートCDF(累積的分散関数)を示す。
【図9】クラスターサイズが1、2および4の場合の3×3RRH配置における平均レートCDFを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の次の詳細な説明では、添付図面を参照するが、これら添付図面は発明の開示の一部をなすものであり、図面には、発明を限定するためではなく、発明を説明するための発明を実施できる実施形態が示されている。図中、いくつかの図にわたって同様な番号は、実質的に類似する部品を示す。更に、後述し、かつ図に示すように、詳細な説明は、種々の実施形態について説明するが、本発明は本願に記載し、図示される実施形態だけに限定されるものではなく、当業者に知られているか、または当業者が知ることになる別の実施形態にも拡張できると理解すべきである。明細書における「一実施形態」、「本実施形態」または「これら実施形態」なる記載は、この実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ、明細書内の種々の箇所におけるこれらフレーズの記載は、必ずしもすべてが同じ実施形態を示すものではないことを意味する。更に、次の詳細な説明では、本発明を完全に理解できるよにするために、特定の細部が多数記載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明を実施するのにこれら特定の細部のすべてが必要であるわけではないことが明らかとなろう。別の状況では、本発明を不必要に不明瞭としないよう、周知の構造、材料、回路、プロセスおよびインターフェースについては詳細には記載していないか、および/またはこれらをブロック図で示している。
【0012】
以下に続く詳細な説明の一部は、コンピュータ内の作動のアルゴリズムおよびシンボル表示に関連して記載されている。これらアルゴリズムの記載およびシンボル表示は、他の業者にデータ処理技術の技術革新の要旨を最も効果的に伝えるため、データ処理技術の当業者によって使用されている手段である。アルゴリズムとは、所望する最終ステートまたは結果を生じさせる一連の一定のステップのことである。本発明では、実行されるステップは目に見える結果を達成するために、目に見える量の物理的操作をする。通常、必ずそうとは言えないが、これら量は、記憶し、転送し、結合し、比較し、または他の方法で操作できる電気的または磁気的な信号または命令の形態をとる。主に共通して使用されることを理由として、これら信号をビット、値、要素、シンボル、キャラクター、ターム、数字、命令または同等なものとして述べることが時々好ましいことが判っている。しかしながら、これらの用語および類似の用語のすべてを適当な物理的量と関連させるべきであり、これらのすべては、これらの量に付される単に便宜的なラベルにすぎないことを念頭に入れるべきである。特に逆のことを記載しない限り、次の説明から明らかなように、詳細な説明における、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、[決定」、「ディスプレイ」または同等の用語のような用語を利用する説明は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内で物理的(電子的)量として示されるデータを操作し、これをコンピュータシステムのメモリまたはレジスタまたは他の情報記憶装置、送信デバイスまたはディスプレイデバイス内で物理的量として同じように示される別のデータに変換するようなコンピュータシステム、または他の情報処理デバイスの動作および処理も含み得ると理解できよう。
【0013】
本発明は、本願における動作を実行するための装置にも関する。この装置は、必要な目的のために特別に構成してもよいし、または1つ以上のコンピュータプログラムによって選択的に起動または再コンフィギュアできる1つ以上の汎用コンピュータを含んでもよい。かかるコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶メディア、例えば光ディスク、磁気ディスク、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、ソリッドステートデバイスおよびドライブまたは電子情報を記憶するのに適した他の任意のタイプのメディア(これらだけに限定されない)内に記憶できる。本願に示すアルゴリズムおよびディスプレイは、本来は任意の特定のコンピュータまたは他の装置に関連するものではない。本願の要旨に従い、プログラムおよびモジュールと共に、種々の汎用システムを利用してもよいし、所望する方法のステップを実行するために、より特殊な装置を構成することが便利であることが判る場合もあろう。更に、本発明は、任意の特定のプログラム言語と共に記載するものではなく、本願に記載する発明の要旨を実施するのに、種々のプログラム言語も使用できることが理解できよう。これらプログラム言語の命令は、1つ以上の処理デバイス、例えば中央処理ユニット(CPU)、プロセッサ、またはコントローラによっても実行できる。
【0014】
以下、より詳細に説明する本発明の実施形態は、分散型アンテナシステムにおけるジョイントユーザー機器スケジューリングおよびクラスター情報のための装置、方法およびコンピュータプログラムを提供するものである。
【0015】
A.分散型アンテナシステム
【0016】
図1は、中央基地局(CBS)によって管理される分散型アンテナシステム(DAS)の一例を示す。多数のRRH(リモート無線ヘッド)、すなわちダミーアンテナが分散された状態に設置されている。これらRRHは、光スイッチまたは同等物を介し、CBSによってパケットを送受信できるように制御されている。CBSは、RRHをターンオンまたはターンオフする能力を有し、複数のRRHのうちのどのRRHが他のRRHへこの情報を送信し、送らなければならないかを示す信号も計算する。DAS内の分散型アンテナの数が一般に多数であると仮定した場合、管理を容易にし、信号化のオーバーヘッドを低減するために、アンテナは複数のクラスターに分割される。図1では、これらRRHは、黒い円によって示されたクラスターにグループ分けされている。各クラスターは、4つのRRHと1つ以上のUEを含み、RRHの各クラスターは、1つのUEまたは多数のUEへ送信を行う。
【0017】
文献では、多数のクラスタリング方式が提案されている。時間経過に対してクラスターの形成(例えば各クラスター内のアンテナの数)が変化するか否かに応じ、これらクラスタリング方式は、2つのカテゴリー、例えばスタティックなクラスタリング方式またはダイナミックなクラスター方式に分割できる。
【0018】
非特許文献1(J.チャンおよびJ.G.アンドリュー共著論文、「ランダム性を有する分散型アンテナシステム」(無線通信に関するIEEEトランザクション、第7巻第9号、3636〜3646ページ、2008年9月))には、スタティッククラスタリングの一例が記載されており、この論文の全内容を本願で参考例として援用する。このチャンおよびアンドリューの共著論文では、分散型アンテナの地理的位置に基づいてクラスターが形成される。すなわち互いに接近しているどのN個のアンテナも1つのクラスターを形成し、ここでNは、クラスターのサイズである。一旦クラスターが形成されると、これらクラスターはデータ送信全体にわたって変わることはない。これらスタティック方式にはいくつかの欠点、例えばエッジ効果(すなわちクラスターのエッジにあるUEが受ける性能が常時不良となること)があり、これによってダイナミッククラスタリング方式を検討しようという動機が生じている。
【0019】
非特許文献2(A.パパドギアニス、D.ゲスバートおよびE.ハードウィン共著論文、「マルチセル協働処理を行う無線ネットワークにおけるダイナミッククラスタリングアプローチ」(IEEE国際通信会議議事録、2008年5月、4033〜4037ページ))には、ダイナミッククラスタリングの一例が開示されており、本願ではこの論文の全体を参考例として援用する。このパパドギアニス外による共著論文では、各クラスタリングインスタンスの間、特別な効率を最大にするような、ダイナミッククラスタリング方式が提案されている。このダイナミッククラスタリング方式の手順は、以下、簡単に説明する欲張りなアルゴリズムに基づく。
【0020】
ステップ1:まだ選択されていない1つのランダムなアクセスからスタートする。
【0021】
ステップ2:最初に選択されたアンテナによるジョイント能力を最大にするアンテナを探し、クラスターが形成されるまで、この状態で続行する。
【0022】
ステップ3:ステップ1へ進み、すべてのクラスターが形成されるまで繰り返す。
【0023】
DASにおける別の重要問題は、UEのスケジューリングにある。CBSは、DASのフルの知識を有することができるので、すべてのUEにわたってジョイントUEスケジューリングを行うことが望ましい。文献における周知の2つのUEスケジューラーとして、ラウンド−ロビンスケジューラーと比例的フェアスケジューラーとがある。ラウンド−ロビンスケジューラーは、最も簡単なスケジューラーのうちの1つであり、このスケジューラーは、優先権に基づかない円形の順序で、等しい部分内の各UEに対し、リソースブロック(例えばタイムスロット、周波数バンド)を割り当てる。非特許文献3(http://en.wikipedia.org/wiki/Round−robin_scheduling)で、ラウンド−ロビンスケジューラーの一例を見ることができる。非特許文献4(G.ケア、R.ミューラーおよびR.ノップ共著論文、「無線通信におけるハードフェアネスvs比例的フェアネス、単一セルのケース」(情報理論に関するIEEEトランザクション、第56巻、1366〜1385ページ、2007年4月))に、比例的フェアスケジューラーの一例が記載されている。このケア外による論文は、UE間のフェアネスを検討することによる比例的フェアスケジューラー(PFS)を提案している。PFSは、時間経過に対し、自己の瞬間的チャンネルの質が自己の平均的チャンネル状態に対して高いとき、1つのUEをスケジューリングする。すなわちPFSは、
【数1】


の場合にUEkに対し、リソースブロックmを割り当てる。ここで、
【数2】


であり、
Kは、UEの総数であり、R(m)は、リソースブロックm内のi番目のUEの瞬間的に達成可能なレートであり、Tは、i番目のUEの長期平均レートである。このPFSは、LTE(長期進化)セルラーシステムで既に実施されている。
【0024】
クラスター形成とUEスケジューリングとは別々に行う(まずクラスター形成を実行し、次にUEスケジューリングを行うか、またはそれ以外の方法で行う)か、または共に行うことができる。DASでも使用できる、LTEシステム内のコーディネートマルチポイントトランスミッション(CoMP)に関連して、これまで一部のジョイントクラスタリングおよびUEスケジューリング方式が提案されている。特に非特許文献5(シバラマ ベンカテッサンによる論文、「アップリンクスペクトル効率をより高くするための基地局のコーディネート:比例的にフェアなユーザーレート」(IEEE PIMRC議事録、1〜5ページ、2007年9月))には、各クラスター内のユーザーレートの和を最大にするためのUEスケジューリングおよびクラスター選択方式が提案されている。この研究は、スタティックなクラスター形成を行うという仮定に基づくものであり、このことが更に性能の改善を制限している。更に、(オーバーラップしているクラスターを含む)すべての可能なクラスターをまず列挙し、UEが最適クラスターを選択するために、力づくのサーチを行うので、ベンカテッサンの論文で提案された方式の実施の複雑さは極めて高くなっている。
【0025】
図2は、部屋の内部に設置されたRRHの均一グリッドを示す。上記のように、このRRHのグリッドはCBSによって制御されると仮定する。この説明のために、屋内のケースだけを検討する。しかしながら本発明は、屋内のケースだけに限定されない。部屋内に、固定された数のUEが存在すると仮定する。各瞬間において生じるジョイントUEスケジューリングおよびRRHクラスタリングアルゴリズムが存在し、スケジューリングされたUEが受信したビットをこの瞬間の終了時に、更新する。このアルゴリズムの詳細については後述する。一実施例では、このアルゴリズムは2000時間単位の間で作動し、その終了時にすべてのユーザーの平均レートが計算される。
【0026】
B.ジョイントスケジューリングおよびクラスタリングの原理
【0027】
このジョイントスケジューリングおよびクラスタリングアルゴリズムの主な目的は、実施の複雑さが最小の状態でUEの達成可能なレートを高めることである。この目的のためにUEのスケジューリングとRRHのクラスタリングの双子の問題が相互に依存していることが理解できよう。この理由は、スケジューリングのプロセスが(スケジューリングされた場合)UEの瞬間的なレートに依存しており、このレートは、更にクラスタリングの構造に依存しているからである。同様に、複数のクラスターが複数のUEにサービスするので、ある時間インスタンスにおいて、どのUEがアクティブとなるか(すなわちどのUEがスケジューリングされているか)が知られている場合、クラスターをより良好に形成できる。しかしながら、文献におけるほとんどのアプローチは、まずUEをスケジューリングし、次にクラスターを形成するか、まず最初にクラスターを形成し、次にUEをスケジューリングするかのいずれかのプロセスを試みている。ジョイント最適化は実現が困難であり、通常、極めて計算集約的となるので、このような方法が実施されている。本発明はジョイント最適化を行うために最適以下の発見的方法を提供するものである。無線規格のフレームワーク、例えばLTE内で容易に実現できると考えられるものを計算することは容易である。
【0028】
C.ジョイントUEスケジューリングおよびクラスター形成アルゴリズム
【0029】
図3は、ジョイントUEスケジューリングおよびクラスター形成アルゴリズムを示すフローチャートの一例を示す。この実施形態では、1つのクラスター当たりN個のRRHの固定されたクラスターサイズを検討し、ここで、N=K×Kであり、Kは2/3/4となり得る。任意のクラスターサイズNが可能であり、単に原理を実証するためのシミュレーションでは、2/3/4の指定された値を使用するが、2/3/4の指定値は、発明の範囲を限定しないと理解すべきである。各RRHは1つのクラスターだけに属し、RRHの各クラスターは、1つのUEしか有しない。これら仮定は、実施を簡略化するためのものである。マルチユーザーマルチ入力マルチ出力(MU−MIMO)信号処理が使用される場合、RRHの各クラスターは、2つ以上のUEにもサービスできると理解すべきである。
【0030】
1.ステップ302において、各UEは信号強度が減少する順にシステム内のすべてのRRHの順序を決定する。UE(i)に対し、順序が決定されたRRHのベクトルは、S(i)である。従って、システム内にM個のRRHがある場合、S(i)は、UE(i)に対するベクトル[S(i、1)、S(i、2)、...S(i、M)]であり、RRH S(i、2)は、UE(i)に対する最大信号を有し、RRHS(i、2)は、UE(i)に対する次に強い信号を有する、などである。この情報は、UE(i=1〜UEKの総数)および各UEiに対して順序が決定されたRRHS(i、j)(j=1〜M)を有するRRHテーブルの状態で提供できる。
【0031】
2.ステップ304において、各UEiは、その瞬間まで受信される平均レート、およびスケジューリングされている場合にそのUEiが受信する瞬間レートに基づき、PF(比例的にフェアな)計量値Mを計算する。
【0032】
3.ステップ306において、各UEiは、情報S(i)およびMをCBSへ送る。
【0033】
4.ステップ310では、CBSはそれらのPF計量値に基づき、UEのベクトルTを形成する。U1>U2である場合、UET(u1)は、UET(u2)よりも大きいPF計量値を有し、UET(u2)よりも前にスケジューリングされる。UET(u)に対して、T(u)は、PF計量値が減少する順のUEの順序を示すUEインデックスとして働く。
【0034】
5.ステップ312では、CBSは、カウンターu=1にセットする。ステップ314では、CBSはセットTからUET(u)をスケジューリングする。カウンターuは、スケジューリングするUEの数を維持する。ステップ314は、UEのスケジューリングステップである。
【0035】
6.ステップ316では、CBSは、UET(u)のRRHテーブル、すなわちベクトルS(T(u))および対応する順序のRRH S(T(u)、j)(j=1〜M)をルックアップする。CBSは、S(T(u))順序のRRH S(T(u)、j)(j=1〜M)から最初のN個のRRHをルックアップし、これらN個のRRHから1つのクラスターを形成し、UET(u)にサービスするよう、このクラスターを割り当てる。このステップは、クラスタリングステップである。
【0036】
7.ステップ318において、CBSは、すべてのUEに1つのクラスターが割り当てられているか、更に一部のクラスターにすべてのRRHが割り当てられているかどうかをチェックする。双方の問いに対する回答がNOである場合、CBSは、カウンターuをu+1にインクリメントする(ステップ320)ことにより別のUEをスケジューリングし(すなわちUEスケジューリングステップ314を繰り返す)、ステップ316を繰り返す(すなわちクラスタリングステップを繰り返す)。u>1であるとき、CBSはテーブルS(T(u))から最初のN個のRRHをピックアップできない場合がある。その理由は、これらRRHの一部が既に、より高いスケジュール計量値を有するUEに割り当てられている場合があるからである。このようにCBSは、テーブルS(T(u))から最初のN個のフリーなRRHをピックアップする。この場合、フリーなRRHとは、どのクラスターにもまだ割り当てられていないRRHのことである。ステップ318における2つの問いのいずれかに対する回答がYESである場合、スケジューリングおよびクラスタリングプロセスは停止し、CBSはステップ322においてスケジューリングされているすべてのUEの瞬間レートを計算する。
【0037】
ステップ304におけるPFスケジューラーに対し、UEは他のスケジューリングされたUEからの干渉に依存しているので、UEによって(例えば式(1)の場合のようなUEiに対する)瞬間レートの正確な計算をすることはできない。しかしながら、各UEがスケジューリング計量値を計算するとき、そのUEは自らと共に他のどのUEがスケジューリングされるかについては知らない。従って、ほとんどのPFアルゴリズムでは、1つのUEがその瞬間レートの値を推定する。本発明の本実施形態では、スケジューリングされたUEに対する最大信号強度を有するN個のRRHのクラスターにより、スケジューリングされたUEにサービスをすると仮定する。規準を計算するために、他のすべての干渉クラスターは、サイズ1のRRHクラスターであると仮定する。ジョイントクラスタリングおよびスケジューリングアルゴリズムは、PFスケジューリングのこのような特定のモデルにだけに限定されないと理解すべきである。上記式(1)には、PF計量値をどのように計算するかの一例が記載されている。
【0038】
時間t=1、...、Tからシミュレーションを実行する。1<m<Tとなるように任意の時間インスタントmを検討する。インスタントnまでのUEiの平均レートをT=R(1)+R(2)...+R(m−1)で示し、ここR(1)は、時間インスタント1においてUEiによって得られるレートであり、R(2)は、時間インスタント2においてUEiによって得られるレート等々である。ある時間インスタントにおいてまだUEがスケジューリングされていない場合、そのインスタントにおけるレートはゼロとなることに留意されたい。時間mの間のPF計量値を計算するには、UEが得るレートR(m)を計算しなければならない。スケジューリングプロセス前にアプリオリに計算することはできないことに留意されたい。その理由は、UEiが受ける干渉は、他のどのUEがスケジューリングされているかに応じて決まるからである。実際に、UEiは、送信を可能にするためにスケジューリングすることは全くできない。従って、R(m)の計算は、スケジューリングされた場合にUEが得るレートの近似であり、この近似は、実際のスケジューリングを評価するのに使用される。従って、R(m)を計算するには、順序が決定されたRRHテーブルS(i)から、最初のN個のRRHで、1つのクラスターをUEiが形成できると仮定する。更に、他のすべてのRRHが単一のRRHクラスターを形成し、これを送信し、これを使って干渉を計算すると仮定する。実際の送信中には、次の点からこのことは真とならない場合があり得る。例えば(a)より大きいスケジューリング計量値を有する別のUEにアンテナが割り当てられているときに、最初のN個のアンテナをS(i)から利用できない場合があること、および(b)干渉する他のUEが別のUEに送信するためのクラスターを形成し得ることが理由として挙げられる。それにもかかわらず、このアプローチはレートR(m)の有効な表示を提供する。PF計量値MをM=R(m)/Tとして計算する。
【0039】
PF計量値を使用するので、提案されるアルゴリズムは、フェアネスを維持する。1つのUEに対して一旦スケジューリングされた場合、信号強度に関し、利用できる最強のRRHをピックアップすることによってレートを最大にする。クラスターサイズは、Nに固定されるが、1つのUEのためのクラスターを形成する正確なN個のRRHは、時間インスタントごとに変化するので、アルゴリズムはまだダイナミックとなっている。その理由は、時間インスタントごとにUEのスケジューリング順序が変化するからである。
【0040】
一旦UEのスケジューリングが行われると、アルゴリズムは利用できるN個の最初のRRHに基づき、クラスターを形成する。クラスターがあらかじめ定められ、UEがスループットを最大にするために、最良のクラスターを選択しなければならない場合、このアプローチはアルゴリズムを過去のアプローチから区別する。K×K個のRRHを仮定した場合(特にベンカテッサンの上記論文の場合のように、オーバーラップするクラスターを検討した場合)、サイズNの多くのクラスターを形成でき、最適クラスターのためのUEサーチは、極めて計算集約的であった。しかしながら、提案するアルゴリズムでは、数の多い、あらかじめ定められたクラスターは存在せず、むしろUEがスケジューリングされるので、クラスターは作動中に形成される。
【0041】
図4は、ユーザーと中央基地局の機能ブロック図の一例を示す。UE410は、RRHの順序を定めるためのアンテナ順序決定モジュール412と、PFスケジューリング計量値を計算するためのPFスケジューリング計量モジュール414と、信号プロセッサ416と、メモリ418とを有する。CBS430は、UEの順序を決定するためのUE順序決定モジュール432と、スケジューリングおよびクラスタリングを実行するためのUEスケジューリングおよびクラスター形成モジュール434と、スケジュールが決定されたUEの瞬間的レートを計算するためのレート計算モジュール436と、信号プロセッサ438と、メモリ440とを有する。メモリ418、440は、例えば順序が決定されたRRHの信号強度、ベクトルS(i)、PFスケジューリング計量値M、セットTなどを含むデータを記憶する。
【0042】
D.シミュレーション結果
【0043】
図5は、分散型アンテナシステムにおける提案されたジョイントUEスケジューリングおよびクラスター形成のシミュレーションのための種々のパラメータを要約したテーブルである。更に、1つのUE当たり2つのアンテナ、および1つのRRH当たり1つのアンテナを仮定する。シミュレーションの結果を理解するために、干渉がこれらシステム内でどのような役割を果たすかについての説明から始める。
【0044】
図6は、4×4システムにおける干渉の効果を示すために、異なるクラスターサイズに対する異なる数の干渉クラスターの例を示す。このシステムに対し、図6は、2つのクラスター状況、すなわち4つのRRHが1つのクラスターを形成するときの第1のクラスタリング状況、および2つのRRHが1つのクラスターを形成するときの第2のクラスタリング状況を示す。各ケースにおいて、実線で囲んだクラスタリングは、所望するクラスタリングであり、他のクラスターは(破線で囲まれた)干渉クラスターである。クラスターのサイズが大きくなるにつれ(送信アンテナの数が多くなるように)、受信した信号強度が大きくなる外に、干渉クラスターの数が少なくなる。
【0045】
図7は、異なるクラスターサイズに対するクラスター間の干渉の分析を示す表である。この表を理解するために、N×M個のMIMOシステム内の最大数の独立ストリームが最小(NM)であることを思い出していただきたい。この場合、受信アンテナの数Nは、(各UEが2つのアンテナを有すると仮定することにより)2であるが、他方、送信アンテナの数Mは、クラスターサイズである。従って、2×2のシステムと2×4のシステムの双方に対し、2つのストリームしか送られない。しかしながら、2×2システムよりも2×4システムにおいて、あるパワー利得が存在する。このことを理解すると、図7の表において、クラスターサイズが増加するにつれ、干渉ストリームの数は減少することが理解できる。このことは、クラスターサイズの増加と共にレートが増加することを示す。しかしながら、クラスターサイズが増加し、これによってクラスターの数が減少するにつれ、各時間インスタントにおいて、より少ない数のUEしかスケジューリングされない。従って、クラスターサイズが増加するとき、1つのUEは、より少ない回数しかスケジューリングされない。これによって平均レートが減少する。従って、クラスターサイズが増加するにつれ、逆の効果が生じる。シミュレーションの研究は、所定の状況に対し、どんな効果が主な効果となるかを示す。
【0046】
図8は、1、2および4のクラスターサイズで4×4のRRHが設置されている場合の平均レートCDF(累積的分散関数)を示す。図9は、1、2および4のクラスターサイズで3×3のRRHが設置されている場合の平均レートCDF(累積分散関数)を示す。各ケースに対し、クラスターサイズを増加すると、より良好なスペクトル効率を生じさせることに役立つことが理解できよう。3×3システムでは干渉が少ないので、性能が改善される。このことは、これらシステムの干渉が限定される性質を際立たせている。4×4システムでは、クラスターサイズが1から2に変化すると、各UEは少なくスケジューリングされるので、性能が低下することが理解できる。このことは、上記トレードオフの一例となっている
【0047】
提案されるジョイントUEスケジューリングおよびクラスター形成アルゴリズムは、最善なRRH配置、更に所定の配置に対する最善なクラスターサイズを選択するための表示を与える。シミュレーション結果は、図5の表に示されたパラメータによる屋内のケースに対して固有のものであることに留意されたい。異なる環境(屋内、屋外)に対し、チャンネル条件、RRHのスペースおよびユーザー数は変化する。それにもかかわらず、任意のシステムのための最適パラメータを計算するために、提案されるジョイントスケジューリングおよびクラスタリングフレームワークを使用できる。
【0048】
本発明は、分散型アンテナシステムにおけるジョイントクラスタリングおよびUEスケジューリング方式を提供するものである。この方式は、基地局のコーディネートを行う将来のセルラーシステムにも実施できる。セルラー通信のLTE高度規格にはこれら双方のシナリオが記載されている。本発明のジョイントクラスタリングおよびスケジューリング方式は、これらシステムの運用を効率的にできる。
【0049】
当然ながら、図1に示された分散型アンテナシステムおよび図5に示された機能的フローチャートは、本発明を実施できるシステムの純粋な例であり、本発明は特定のハードウェアまたはソフトウェアコンフィギュレーションに限定されるものではない。本発明を実施するコンピュータおよび記憶システムは、上記発明を実施するのに使用されるモジュール、プログラムおよびデータ構造を記憶し、読み取りできる公知のI/Oデバイス(例えばCDおよびDVDドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、ハードドライブなど)も有することができる。これらモジュール、プログラムおよびデータ構造は、コンピュータで読み取りできるかかるメディアにコード化できる。例えば本発明のデータ構造は、本発明で使用されるプログラムが常駐する1つ以上のコンピュータで読み取り可能なメディアとは別個に、コンピュータで読み取りできるメディア上に記憶できる。本システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形態またはメディア、例えば通信ネットワークによって相互に接続できる。通信ネットワークの例として、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、例えばインターネット、無線ネットワーク、記憶エリアネットワークなどがある。
【0050】
詳細な説明では、本発明を完全に理解できるようにするために、説明的のために多数の細部について記載した。しかしながら、当業者には本発明を実施するのにこれら特定の細部のすべてが必要であるわけではないことが明らかとなろう。更に本発明は、通常、フローチャート、フロー図、構造図またはブロック図として示されるプロセスとしても記載できることも理解できよう。フローチャートは逐次シーケンスとして動作を説明できるが、動作の多くは平行して、または同時に実行できる。更に動作の順序を入れ替えてもよい。
【0051】
当業者に知られているように、上記の動作はハードウェア、ソフトウェアもしくはソフトウェアとハードウェアのある組み合わせによって実行できる。回路および論理デバイス(ハードウェア)を使って本発明の実施形態の種々の特徴について実行できるが、マシンで読み取り可能なメディア(ソフトウェア)上に記憶された命令を使って他の特徴を実施することもでき、これら命令は、プロセッサによって実行される場合、本発明の実施形態を実施する方法をプロセッサに実行させる。更に、ハードウェア内単独で実施できる本発明の実施形態もあれば、ソフトウェア内単独で実施できる実施形態もある。更に、上記種々の機能は単一ユニット内で実行してもよいし、多数のコンポーネントにわたって任意の数の方法で分散させてもよい。ソフトウェア内で実行する場合、コンピュータで読み取り可能なメディア上に記憶されている命令に基づき、汎用コンピュータのようなプロセッサによってこれら方法を実施してもよい。所望すれば、圧縮および/または暗号化されたフォーマットで命令をメディア上に記憶してもよい。
【0052】
これまでの記載から、本発明は、分散型アンテナシステムにおける干渉を管理するための、方法、装置およびコンピュータで読み取り可能なメディアに記憶されたプログラムを提供するものであることが明らかとなろう。更に本明細書では特定の実施形態について図示し、記載したが、当業者であれば、同一目的を達成するように計算された任意の装置を、本明細書に開示した特定の実施形態の代わりに使用できることが理解できよう。本開示は、本発明の任意のすべての適用例または変形例をカバーするものであり、次の特許請求の範囲で使用している用語は、本発明を本明細書に開示されている特定の実施形態だけに限定するものと見なすべきではないと理解すべきである。逆に本発明の範囲全体は次の特許請求の範囲によって決定すべきであり、特許請求の範囲は、かかる請求項に権利がある均等物の全範囲と共に、特許請求の範囲の解釈の確立された原理に従って解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザーと、
各々が多数のリモート無線ヘッドを含むクラスターに分割される複数のリモート無線ヘッドと、
CBS(中央基地局)プロセッサ、CBSメモリ、ユーザー順序決定モジュール、ユーザースケジューリングおよびクラスター形成モジュールを含む中央基地局(CBS)とを備え、
前記ユーザー順序決定モジュールは、比例的フェアスケジューリング計量値の値が減少する順に前記ユーザーの順序を決定し、順序が決定されたユーザーの一組を提供し、
前記ユーザースケジューリングおよびクラスター形成モジュールは、比例的フェアスケジューリング計量値の値が減少する順のユーザーの順序に従ってユーザーのスケジュールを決定し、前記ユーザーの順序に従ってスケジュールが決定された各ユーザーに対し、これまでピックアップされておらず、スケジュールが決定された前記ユーザーに対する信号強度の順序が減少する順に最初のN個の数のリモート無線ヘッドをピックアップし、前記スケジュールが決定されたユーザーに対し、サイズNのクラスターを形成する、分散型アンテナシステム。
【請求項2】
各ユーザーは、ユーザープロセッサと、ユーザーメモリと、各ユーザーへの信号強度が減少する順に前記リモート無線ヘッドの順序を決定するようになっているアンテナ順序決定モジュールとを備える、請求項1に記載の分散型アンテナシステム。
【請求項3】
各ユーザーは、各ユーザーに対する比例的フェアスケジュール計量値を計算する比例的フェアスケジュール決定計量値モジュールを含む、請求項2に記載の分散型アンテナシステム。
【請求項4】
前記アンテナ順序決定モジュールは、各ユーザーUE(i)に対するベクトルS(i、j)として信号強度が減少する順に前記リモート無線ヘッドの順序を決定し、ここで、iは、1からユーザーの総数Kに等しく、jは、1から信号強度が減少する順のリモート無線ヘッドの総数に等しく、
前記比例的フェアスケジュール決定計量値モジュールは、各ユーザーUE(i)に対する比例的フェアスケジュール決定計量値Mを計算する、請求項3に記載の分散型アンテナシステム。
【請求項5】
前記ユーザー順序決定モジュールは、前記計算された比例的フェアスケジューリング計量値の値Mが減少する順にユーザーの順序を決定し、前記ユーザーの順序をUET(1)からUET(K)まで定めるUEインデックスとして、T(1)からT(K)まで順序が決定されたユーザーの組Tを提供し、
前記ユーザースケジューリングおよびクラスター形成モジュールは、カウンターu=1からスタートし、
(1)T(1)からT(K)に基づき、ユーザーUET(U)のスケジュールを決定し、
(2)これまでピックアップされていなかったベクトルS(T(u)、j)から、最初のN個の数のj番目のリモート無線ヘッドをピックアップし、ここでNは形成すべきクラスターのサイズであり、
(3)すべてのユーザーに対して1つのクラスターが割り当てられているわけではなく、リモート無線ヘッドがすべて一部のクラスターに割り当てられているわけではない場合、前記カウンターuをu+1にインクリメントし、ステップ(1)〜(3)を繰り返すことにより、クラスター形成を有する次のUET(u)のスケジュールを決定する、請求項4に記載の分散型アンテナシステム。
【請求項6】
前記リモート無線ヘッドの各クラスターは、対応する1つのユーザーだけを有する、請求項1に記載の分散型アンテナシステム。
【請求項7】
前記クラスターの各々は、同じ固定されたサイズのN個のリモート無線ヘッドを有する、請求項1に記載の分散型アンテナシステム。
【請求項8】
複数のユーザーと複数リモート無線ヘッドとを含む分散型アンテナシステムにおける中央基地局であって、
前記リモート無線ヘッドは、複数のクラスターに分割され、各クラスターは、複数のリモート無線ヘッドを含み、
前記中央基地局は、
プロセッサと、
メモリと、
比例的フェアスケジューリング計量値の値が減少する順に前記ユーザーの順序を決定し、一組の順序が決定されたユーザーを提供する、ユーザー順序決定モジュールと、
比例的フェアスケジューリング計量値の値が減少する順のユーザーの順序に従ってユーザーのスケジュールを決定し、前記ユーザーの順序に従ってスケジュールが決定された各ユーザーに対し、これまでピックアップされておらず、スケジュールが決定された前記ユーザーに対する信号強度が減少する順に最初のN個の数のリモート無線ヘッドをピックアップし、前記スケジュールが決定されたユーザーに対し、サイズNのクラスターを形成するユーザースケジューリングおよびクラスター情報モジュールとを備える、中央基地局。
【請求項9】
各ユーザーUE(i)に対するベクトルS(i、j)として信号強度が減少する順に前記リモート無線ヘッドの順序が決定され、ここで、iは、1からユーザーの総数Kに等しく、jは、信号強度が減少する順のリモート無線ヘッドの総数に等しく、
各ユーザーUE(i)に対する比例的フェアスケジュール決定計量値Mが計算される、請求項8に記載の中央基地局。
【請求項10】
前記ユーザー順序決定モジュールは、前記計算された比例的フェアスケジューリング計量値の値Mを低減する際に、ユーザーの順序を決定し、前記ユーザーの順序をUET(1)からUET(K)まで定めるUEインデックスとして、T(1)からT(K)まで順序の決定されたユーザーの組Tを提供するようになっており、
前記ユーザースケジューリングおよびクラスター形成モジュールは、カウンターU=1からスタートし、
(1)T(1)からT(K)に基づき、ユーザーUET(U)のスケジュールを決定し、
(2)これまでピックアップされていなかったベクトルS(T(u)、j)から、最初のN個の数のj番目のリモート無線ヘッドをピックアップし、ここでNは形成すべきクラスターのサイズであり、
(3)すべてのユーザーに対して1つのクラスターが割り当てられているわけではなく、リモート無線ヘッドがすべて一部のクラスターに割り当てられているわけではない場合、前記カウンターuをu+1にインクリメントし、ステップ(1)から(3)を繰り返すことにより、クラスター形成を有する次のUET(u)のスケジュールを決定する、請求項9に記載の中央基地局。
【請求項11】
前記リモート無線ヘッドの各クラスターは、対応する1つのユーザーだけを有する、請求項8に記載の中央基地局。
【請求項12】
前記クラスターの各々は、同じ固定されたサイズのN個のリモート無線ヘッドを有する、請求項8に記載の中央基地局。
【請求項13】
中央基地局と複数のユーザーと複数リモート無線ヘッドとを含む分散型アンテナシステムにおいてユーザースケジューリングおよびクラスター形成を行う方法であって、前記リモート無線ヘッドは、複数のクラスターに分割され、各クラスターは複数のリモート無線ヘッドを含み、
一組の順序が決定されたユーザーを提供するよう比例的フェアスケジューリング計量値が減少する順に前記ユーザーの順序を決定するステップと、
比例的フェアスケジューリング計量値が減少する順のユーザーの順序に従ってユーザーのスケジュールを決定するステップと、
前記ユーザーの順序に従ってスケジュールが決定された各ユーザーに対し、これまでピックアップされていない、スケジュールが決定された前記ユーザーに対する信号強度が減少する順に最初のN個の数のリモート無線ヘッドをピックアップし、前記スケジュールが決定されたユーザーに対し、サイズNのクラスターを形成するステップとを備える、方法。
【請求項14】
前記中央基地局により、前記ユーザの順序を決定するステップと、前記ユーザのスケジュールを決定するステップと、最初のN個の数のリモート無線ヘッドをピックアップするステップとを実行する請求項13記載の方法。
【請求項15】
各ユーザーUE(i)に対するベクトルS(i、j)としての信号強度が減少する順に前記リモート無線ヘッドの順序を決定するステップと、ここで、iは、1からユーザーの総数Kに等しく、jは、1から信号強度が減少する順のリモート無線ヘッドの総数に等しく、
各ユーザーUE(i)に対する比例的フェアスケジュール決定計量値Mを計算するステップとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
各ユーザが、前記リモート無線ヘッドの順序を決定するステップと、前記比例的フェアスケジュール決定計量値を計算するステップを実行する請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記計算された比例的フェアスケジューリング計量値の値Mが減少する順にユーザーの順序が決定され、前記ユーザーの順序をUET(1)からUET(K)まで定めるUEインデックスとして、T(1)からT(K)まで順序の決定されたユーザーの組Tが提供され、
ユーザーをスケジュールし、スケジュールされたユーザに対しサイズNのクラスターを形成するため最初のN個のリモート無線ヘッドをピックアップする方法であって、カウンターu=1からスタートし、
(1)T(1)からT(K)に基づき、ユーザーUET(U)のスケジュールを決定し、
(2)これまでピックアップされていなかったベクトルS(T(u)、j)から、最初のN個の数のj番目のリモート無線ヘッドをピックアップし、ここでNは形成すべきクラスターのサイズであり、
(3)すべてのユーザーに対して1つのクラスターが割り当てられているわけではなく、リモート無線ヘッドがすべて一部のクラスターに割り当てられているわけではない場合、前記カウンターuをu+1にインクリメントし、ステップ(1)から(3)を繰り返すことにより、クラスター形成を有する次のUET(u)のスケジュールを決定する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
プリセットした時間インスタントで周期的に、前記ユーザの順序を決定するステップと、前記ユーザのスケジュールを決定するステップと、最初のN個の数のリモート無線ヘッドをピックアップするステップとを実行する請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記リモート無線ヘッドの各クラスターは、対応する1つのユーザーだけを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記クラスターの各々は、同じ固定されたサイズのN個のリモート無線ヘッドを有する、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−75104(P2012−75104A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209064(P2011−209064)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】