説明

分析方法および分析用具

【課題】 手軽であり、かつ分析精度を向上させることが可能な分析方法を提供すること。
【解決手段】 特定成分および溶媒成分を含む試料液の分析を行う分析方法であって、上記試料液から上記溶媒成分の少なくとも一部を分離する分離工程と、上記分離工程により分離された上記溶媒成分から一定量を計量する溶媒成分計量工程と、上記試料液から一定量を計量する試料液計量工程と、上記試料液計量工程により計量された一定量の上記試料液と上記溶媒成分計量工程により計量された一定量の上記溶媒成分とを用いて希釈試料液を生成する希釈工程と、上記希釈試料液に含まれる上記特定成分を分析する分析工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば血液中の特定成分を分析する分析方法および分析用具に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の健康状態を把握し、あるいは特定の病気を治療するには、血液中の特定成分を分析することが有効である。上記特定成分としてのたとえば赤血球、白血球を分析するには、血球カウンタを用いた分析方法が行われている。
【0003】
図23は、赤血球や白血球を分析する分析方法に用いられる従来の血球カウンタを示している(特許文献1参照)。同図に示された血球カウンタXは、血球測定部94および免疫測定部95を備えている。血球測定部94は、白血球計数測定セル94aおよび赤血球計数測定セル94bを有しており、電気抵抗検出法を用いて血液に含まれる赤血球や白血球などの血球を計数するように構成されている。免疫測定部95は、C反応タンパクを測定するように構成されている。血球カウンタXによって血球計数やC反応タンパクを測定するには、まず検体としての血液を、検体容器91に注入する。白血球を計数するときには、プローブユニット93のノズル93aにより、検体容器91から所定量の血液が白血球計数測定セル94aに注入される。また、希釈液容器92aから電磁弁92cおよびノズル93aを経て白血球計数測定セル94aに所定量の希釈液が注入される。これにより、白血球計数測定セル94a内において血液の希釈が行われる。この希釈された血液を用いて電気抵抗検出法により白血球の計数を行う。これと同様に、赤血球の計数についても、赤血球計数測定セル94b内において血液の希釈および計数を行う。また、血球カウンタXによれば、血球計数と合わせて、免疫測定部95を用いてC反応タンパクを測定することが可能である。これらの測定結果は図中のMPUによって処理された後に、図中の表示装置またはプリンタに出力される。測定後の希釈された血液は、廃液容器92bへと送られる。
【0004】
図24は、総ヘモグロビン値およびグリコヘモグロビン値の分析方法に用いられる従来の分析用検査要素の一例を示している(特許文献2参照)。同図に示された分析用検査要素Yは、血液検体100を導入するための導入部101、分離チャンバ102、混合チャンバ103、総ヘモグロビン測定部108、およびグリコヘモグロビン測定部109を備えている。導入部101に導入された血液検体100の一部は、分離チャンバ102により赤血球が取り除かれて、血漿とされる。この血漿と、分岐流路103を通過してきた血液検体100の一部とが、混合チャンバ104において混合される。これにより、混合チャンバ104内には、希釈された血液検体が生成される。この希釈血液検体の一部は、酸化チャンバ105を経て総ヘモグロビン測定部108へと送られ、総ヘモグロビン値の測定がなされる。一方、上記希釈血液検体の一部は、第1および第2反応チャンバ106,107を経てグリコヘモグロビン測定部109へと送られ、グリコヘモグロビン値の測定がなされる。測定済みの希釈血液検体は、回収チャンバ110へと回収される。このように、分析用検査要素Yによれば、血液検体を希釈した状態で、総ヘモグロビン値およびグリコヘモグロビン値の計測を行うことができる。
【0005】
しかしながら、血球カウンタXおよび分析用検査要素Yには、以下のような不具合があった。
【0006】
まず、血球カウンタXには、希釈液容器92aと、プローブユニット93および血球測定部94などの希釈手段と、さらには廃液容器92bとを内蔵しておく必要がある。これらを内蔵すると血球カウンタXのサイズが大きくなってしまい、持ち運ぶことには適さない。また、ノズル93aは、血液の吸引および吐出を複数回繰り返す。このため、使用のたびにノズル93aをノズル洗浄器93bにより洗浄する必要がある。この洗浄液には血液が含まれるため、適切に廃棄すべく留意が必要である。
【0007】
また、白血球を計数するには、血液をたとえば100倍程度に希釈した検体血液を用い、赤血球を計数するには、血液を1万倍程度に希釈した検体血液を用いる。これらの検体血液の生成には、たとえば生理食塩水が用いられることが多い。このため、白血球や赤血球だけでなく、たとえばC反応タンパクの濃度も同様に薄くなってしまう。C反応タンパクと白血球とを同時に分析すると、より緻密な臨床データが得られる。しかし、C反応タンパクの濃度が薄いと、分析精度が低下する。この対策として、血球カウンタXにおいては、全血に所定の試薬を混合させた検体血液を用いて、免疫測定部95によるC反応タンパク測定を行っている。これは、血球測定部94での計数に用いる希釈血液とは別に、専用の検体血液を生成する必要があり、血球カウンタXをさらに大型としてしまう。
【0008】
一方、分析用検査要素Yは、血液検体100を全血の状態から希釈された状態とするだけであり、正確な倍率で希釈することはできない。また、総ヘモグロビン測定部108およびグリコヘモグロビン測定部109へと送られる希釈血液検体の量は、正確に計量されたものではない。赤血球や白血球などの血球計数を行うには、総ヘモグロビン値およびグリコヘモグロビン値の測定とは異なり、希釈倍率や測定部に送られる希釈血液検体の量が正確に規定されていないと、適切な測定を行うことが不可能である。したがって、分析用検査要素Yとは別に、血球計数が可能な分析装置を準備する必要があった。
【0009】
【特許文献1】特許第3475056号公報
【特許文献2】特開2004−239904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、手軽であり、かつ分析精度を向上させることが可能な分析方法および分析用具を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】
本発明の第1の側面によって提供される分析方法は、特定成分および溶媒成分を含む試料液の分析を行う分析方法であって、上記試料液から上記溶媒成分の少なくとも一部を分離する分離工程と、上記分離工程により分離された上記溶媒成分から一定量を計量する溶媒成分計量工程と、上記試料液から一定量を計量する試料液計量工程と、上記試料液計量工程により計量された一定量の上記試料液と上記溶媒成分計量工程により計量された一定量の上記溶媒成分とを用いて希釈試料液を生成する希釈工程と、上記希釈試料液に含まれる上記特定成分を分析する分析工程と、を有することを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、上記希釈試料液を生成するための専用の希釈液を用意する必要がない。このため、上記分析方法に用いる分析装置の小型化に有利である。また、上記希釈試料液における上記溶媒成分の濃度は、上記試料液における上記溶媒成分の濃度とほとんど同じである。このため、上記希釈試料液を用いて上記溶媒成分を高い精度で分析することが可能である。さらに、上記希釈工程における希釈倍率を正確なものとすることができる。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記希釈工程は、上記試料液の一部と上記分離工程により分離された上記溶媒成分とを用いて第1希釈試料液を生成する第1希釈工程と、上記第1希釈試料液と上記分離工程により分離された上記溶媒成分とを用いて第2希釈試料液を生成する第2希釈工程とを含む。このような構成によれば、いわゆる2段階の希釈を行うことが可能である。2段階希釈を行えば、高倍率の希釈を行う場合であっても、上記試料液の使用量を比較的少量とすることができる。したがって、上記分析方法に用いる分析装置の小型化に適している。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記試料液は、血液であり、上記溶媒成分は、血漿である。このような構成によれば、上記希釈工程において溶血が生じるおそれがない。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記分離工程においては、血漿分離フィルタを用いる。このような構成によれば、上記分離工程の分離効率を高めることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記特定成分は、赤血球、白血球、および血小板などの血球である。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、ヘモグロビンまたはC反応タンパクを分析する工程をさらに有する。
【0019】
本発明の第2の側面によって提供される分析用具は、試料液導入部と、試料液計量手段を有する第1流路と、上記試料液導入部に導入された試料液の一部から溶媒成分を分離する分離手段とこの分離手段により分離された上記溶媒成分を計量する溶媒成分計量手段とを有する第2流路と、上記第1流路および上記第2流路に接続し、上記第1流路で計量された上記試料液と上記第2流路で計量された上記溶媒成分とを混合することにより上記試料液を希釈する希釈手段と、上記希釈手段により希釈された希釈試料液に含まれる特定成分を分析する分析部と、を備えることを特徴としている。
【0020】
このような構成によれば、本発明の第1の側面によって提供される分析方法を適切に実施することが可能であり、上記分析方法の効果を十分に発揮させることができる。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記希釈手段は、上記試料液の一部と上記分離手段により分離された上記溶媒成分とを用いて第1希釈試料液を生成する第1希釈手段と、上記第1希釈試料液と上記分離手段により分離された上記溶媒成分とを用いて第2希釈試料液を生成する第2希釈手段とを含む。このような構成によれば、いわゆる2段階希釈を行うのに適している。
【0022】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1の側面に係る分析方法の一例のフローを示している。同図に示された分析方法は、試料液としての血液に含まれる赤血球、白血球、ヘモグロビン(以下、Hb)、およびC反応タンパク(以下、CRP)を分析する分析方法である。この分析方法は、血液導入工程、血漿分離工程、血液計量工程、血漿計量工程、第1希釈工程、第1希釈試料液計量工程、第2希釈工程、赤血球計数工程、白血球計数工程、Hb測光工程、CRP測光工程を有している。この分析方法の説明に先立ち、この分析方法に用いられる分析装置およびこれに装填されるカートリッジの構成について以下に説明する。
【0025】
図2および図3は、本発明の第2の側面に係る分析用具の一例であり、図1に示した分析方法に用いられる分析装置に装填される分析装置用カートリッジの一例を示している。同図に示されたカートリッジAは、本体1Aとプリント配線基板1Bとが貼りあわされており、液導入槽2、分離手段3、希釈手段4、複数の分析部5A,5B,5C,5D、および2つの流量計測部6A,6Bとを具備して構成されている。
【0026】
本体1Aは、扁平矩形状であり、たとえばアクリルなどの透明樹脂からなる。本体1Aの図3における図中下面には、後述する流路や槽を形成するための複数の凹部または溝部が形成されている。本体1Aは、70mm角程度のサイズとされ、その厚さが3mm程度とされる。
【0027】
プリント配線基板1Bは、エポキシ樹脂などからなる複数の基材が積層されており、これらの基材の間に銅箔などからなる配線パターンが形成されている。また、プリント配線基板1Bには、後述する複数の電極51,62が形成されている。これらの電極51,62は、いわゆるスルーホール構造とされている。プリント配線基板1Bの延出部には、コネクタ8が形成されている。コネクタ8は、カートリッジAを血球カウンタ(図示略)などの分析装置に接続するために用いられる。本体1Aとプリント配線基板1Bとは、たとえば接着剤を用いて液密に接合されている。また、本体1Aおよびプリント配線基板1Bは、いずれも少なくとも後述する流路などを形成する表面が水の接触角が60度以上の疎水性表面とされている。
【0028】
液導入槽2は、本発明でいう試料液導入部の一例に相当し、分析すべき血液がカートリッジAに導入される槽であり、図3に示すように、本体1Aに形成された導入口2aに通じている。液導入槽2は、直径12mm程度、深さ2mm程度とされており、その容積が200μL程度である。
【0029】
分離手段3は、液導入槽2に導入された血液から溶媒成分である血漿を分離するためのものであり、図4に示すように、分離槽31と血漿分離フィルタ32とからなる。分離槽31は、平面視寸法が11mm×10mm程度、深さが2mm程度の直方体形状である。血漿分離フィルタ32は、分離槽31に内蔵されており、上記血液に含まれる血漿を透過させるフィルタである。血漿分離フィルタ32のサイズは、平面視寸法が10mm角程度、高さが2mm程度とされている。血漿分離フィルタ32は、たとえばガラス製またはポリエチレンなどの樹脂製の多孔質体であり、空隙率は80〜90%程度である。これにより、血漿分離フィルタ32は、血漿は透過させるが、赤血球、白血球、血小板などの血球は透過させない。血漿分離フィルタ32の前後に圧力を与えると、血漿を効率よく分離可能である。血漿分離フィルタ32としては、whatman社製の型番VF1,VF2,GMF150、Millipore社製の型番AP25、ADVANTEC社製の型番GA-200などを用いればよい。また、分離フィルタ32は、空隙率が均一である単一のものからなるもののほかに、部位によって空隙率が異なるものや、互いの空隙率が異なる複数のフィルタからなるものとしてもよい。分離層31は、直方体形状に限定されず、入側から出側に向けて断面形状が変化するテーパ形状であってもよい。
【0030】
希釈手段4は、液導入槽2から導入された血液を各種分析に適した濃度に希釈するためのものであり、第1および第2希釈槽42A,42B、血液計量手段43、血漿計量手段44、および第1希釈試料液計量手段45を具備して構成されている。本実施形態の希釈手段4は、後述するように第1および第2希釈槽42A,42Bを用いた2段階希釈が可能なタイプとされている。
【0031】
血液計量手段43は、液導入槽2と第1希釈槽42Aとの間に配置されており、導入流路43a、計量流路43c、およびオーバーフロー流路43dを含んでいる。血液計量手段43は、本発明でいう試料液計量手段の一例に相当する。導入流路43aは、液導入槽2から血液を導入する流路となっており、その幅が250μm程度、その深さが250μm程度とされており、幅/深さが1である。導入流路43aからは、分岐部43bを介して計量流路43cとオーバーフロー流路43dとが延びている。計量流路43cは、血液を分析に適した所定量だけ一時的に滞留させるためのものである。計量流路43cは、その長さが8mm程度とされており、その容積が0.5μL程度とされる。計量流路43cと第1希釈槽42Aとの間には、オリフィス43eが設けられている。オリフィス43eは、その幅が50μm程度とされており、計量流路43cから第1希釈槽42Aへの圧損抵抗を意図的に高めるためのものである。オーバーフロー流路43dは、蛇行流路であり、ドレインD1に繋がっている。オーバーフロー流路43dには、電極43fが設けられている。
【0032】
血漿計量手段44は、本発明でいう溶媒成分計量手段の一例に相当し、分離手段3の下流側に配置されており、バルブV3,V4を介して第1および第2希釈槽42A,42Bのそれぞれに繋がっている。血漿計量手段44は、導入流路44a、計量流路44c、およびオーバーフロー流路44dを含んでいる。導入流路44aは、分離槽31から血漿を導入する流路となっている。導入流路44aからは、分岐部44bを介して計量流路44cとオーバーフロー流路44dとが延びている。計量流路44cは、血液を所定濃度に希釈するために正確な量の血漿を一時的に滞留させるためのものである。図5および図6に示すように、計量流路44cは、大断面部44caと2つのテーパ部44cbとを有する。大断面部44caは、その幅が2mm程度、深さが2mm程度とされており、その容積が50μL程度となっている。2つのテーパ部44cbは、大断面部44caの前後端にそれぞれ繋がっており、血漿が大断面部44caに流入し、また大断面部44caから流出するときにその流れが不当に乱れることを防止するためのものである。図2に示すように、オーバーフロー流路44dは、ドレインD2に繋がっている。
【0033】
第1および第2希釈槽42A,42Bは、血液の希釈がなされる槽であり、いずれもその直径が6mm程度、深さが2mm程度とされており、その容積が50μL以上となっている。第1および第2希釈槽42A,42Bは、それぞれ本発明でいう第1希釈手段および第2希釈手段の一例に相当する。第1希釈槽42Aは、血液計量手段43および血漿計量手段44と繋がっており、血液計量手段43により計量された血液が、血漿計量手段44により計量された血漿により希釈されて、第1希釈試料液としての第1検体血液が生成される槽である。第2希釈槽42Bは、第1希釈槽42Aおよび血漿計量手段44と繋がっており、第1希釈槽42Aにおいて希釈された第1希釈試料液としての第1検体血液が、血漿計量手段44により計量された血漿により希釈されて、第2希釈試料液としての第2検体血液が生成される槽である。第1希釈槽42Aと第2希釈槽42Bとの間には、計量流路45aを含む第1希釈試料液計量手段45が設けられている。本実施形態においては、第1および第2希釈槽42A,42Bにおける希釈倍率が同じである構成であるため、計量流路45aは、上述した計量流路43cと同一のサイズとされている。
【0034】
カートリッジAにおいては、液導入槽2から繋がる導入流路43a、計量流路43c、およびオリフィス43eを含む部分によって、本発明でいう第1流路が構成されている。また、液導入槽2から繋がる分離手段3、導入流路44a、および計量流路44cを含む部分によって、本発明でいう第2流路が構成されている。
【0035】
複数の分析部5A,5B,5C,5Dは、血液中の特定成分の分析が行われる部位である。第1および第2分析部5A,5Bは、電気抵抗検出法を用いた分析部であり、第1分析部5Aが白血球用、第2分析部5Bが赤血球用である。一方、第3および第4分析部5C,5Dは、光学的手法を用いた分析部であり、第3分析部5CがHb用、第4分析部5DがCRP用である。
【0036】
第1分析部5Aは、バッファ槽50を介して第1希釈槽42Aに繋がっており、第1希釈槽42Aにおいて生成された第1検体血液を用いて白血球の計数を行うための部位である。図7および図8に示すように、第1分析部5Aは、細孔53とこの細孔53を挟む1対の電極51とを有しており、電気抵抗検出法を用いた計数が可能に構成されている。細孔53は、その前後の流路の幅が250μm程度であるのに対して、その幅が50μm程度の狭幅とされている。この幅は、白血球が通過したときに1対の電極51間の電気抵抗の変化が顕著に大きくなるように決定されている。細孔53前後の略円形状に拡大された流路部分には、1対の電極51が設けられている。1対の電極51は、たとえば金、白金、パラジウム、カーボンから選ばれた1種または複数種類のものからなり、印刷の手法により形成されている。図8に示すように、各電極51は、スルーホール52を介して配線パターン22に導通している。スルーホール52および配線パターン22は、たとえば銅からなる。
【0037】
第2分析部5Bは、第2希釈槽42Bに繋がっており、第2希釈槽42Bにおいて生成された第2検体血液を用いて赤血球の計数を行うための部位である。第2分析部5Bは、図7および図8を用いて説明した第1分析部5Aとほぼ同一構造を有している。
【0038】
第3および第4分析部5C,5Dは、バッファ槽50にそれぞれ独立に繋がっている。図9および図10に示すように第3および第4分析部5C,5Dは、略円形状に拡大された流路部分に設けられた反射膜55を有しており、光学的手法によりそれぞれHbおよびCRPを計測するための部位である。反射膜55は、たとえば金、白金、パラジウムから選ばれた1種または複数種類のものからなり、電極51と一括して印刷の手法により形成されている。図10に示すように、拡大された流路部分の図中上面には、試薬56が塗布されている。試薬56は、第1検体血液と混合されてHbまたはCRPについて光学的手法により計測を行うことを可能とするものである。本実施形態においては、透明とされた本体1Aを通して、第3および第4分析部5C,5Dに光が照射され、その反射光を検出することにより、HbおよびCRPの計測が可能となっている。
【0039】
第1および第2分析部5A,5Bには、第1および第2流量計測部6A,6Bがそれぞれ繋がっている。第1および第2流量計測部6A,6Bは、それぞれ第1および第2分析部5A,5Bを通過した第1および第2検体血液の流量を計測するための部位であり、蛇行流路61と複数の電極62とを有している。蛇行流路62は、流れ方向の長さを大としつつ、十分な容積を有する。本実施形態においては、蛇行流路62は、第1分析部5Aまたは第2分析部5Bを通過した分析済みの第1および第2検体血液を少なくとも50μL以上貯蔵可能な貯蔵手段となっている。複数の電極62は、互いに蛇行流路61の流れ方向において一定ピッチで配置されている。各電極62は、上述した電極51と同様の構造である。
【0040】
次に、カートリッジAを用いた血液分析の分析方法について、以下に説明する。
【0041】
まず、図1に示す血液導入工程を行う。血液導入工程は、スポイトなどを用いて試料液としての血液を図3に示す導入口2aから液導入槽2へと導入することにより行う。血液が導入されたカートリッジAを分析装置(図示略)に装填する。この装填においては、コネクタ8を上記分析装置のコネクタ(図示略)に接続する。この際、液導入槽2およびドレインD1〜D8は、上記分析装置に備えられたポンプに繋がる複数のエア吐出ノズルまたはエア吸引ノズルに接続される。上記分析装置は、上記ポンプと上記エア吐出ノズルおよびエア吸引ノズルとの接続状態が適宜切り替え可能に構成されている。
【0042】
次に、図1に示す血液計量工程を行う。この血液計量工程には、図2に示す血液計量手段43を用いる。この手順を、図11〜図15を参照しつつ説明する。まず、図11に示すように、液導入槽2に繋がるバルブV1を開状態とし、バルブV2を閉状態とする。また、ドレインD3を閉状態とする。そして、液導入口2aからエアの吐出を行う。これにより、液導入槽2から導入流路43aを経て計量流路43cおよびオーバーフロー流路43dへと血液Sが流れ出す。計量流路43cとオーバーフロー流路43dとは、互いの断面積が略同じであるため、血液Sが流れるときの圧損抵抗も略同一である。したがって、計量流路43cとオーバーフロー流路43dとには、血液Sの流れ方向長さが略同じとなるように血液Sが流れる。
【0043】
上記吐出を継続すると、図12に示すように、計量流路43c内に血液Sが満たされた状態となる。計量流路43cの下流側には、オリフィス43eが設けられているため、血液Sが流れるときの圧損抵抗が非常に大きい。一方、オーバーフロー流路43dは、流れ方向において一様断面とされているため、オリフィス43eと比べて圧損抵抗が顕著に小さい。このため、さらに吐出を継続すると、計量流路43c内に血液Sが滞留されたままの状態で、オーバーフロー流路43d内を血液Sが流れ続け、血液Sの先端部分が電極43fに到達する。
【0044】
血液Sの先端が電極43fに到達したことを検知したことをもって、図13に示すように、バルブV1を閉状態とし、液導入口2aからのエア吐出を停止する。そして、ドレインD3を開状態とし、ドレインD3からエアを吐出する。これにより、導入流路43a内の血液Sがオーバーフロー流路43dの下流側部分へと送り出される。計量流路43c内の血液Sは滞留したままである。
【0045】
さらに上記吐出を継続すると、図14に示す状態となる。本図においては、上記吐出の継続により、導入流路43aおよびオーバーフロー流路43dの上流寄りの部分には血液Sの代わりにエアが侵入しており、計量流路43c内に滞留した血液Saが血液Sから分離されている。オーバーフロー流路43d内の血液Sの後端部分が電極43fを通過したことをもって、ドレインD3からのエア吐出をいったん停止する。
【0046】
そして、図15に示すように、ドレインD1を閉状態とした上で、再びドレインD3からエアを吐出すると、計量流路43cに滞留していた血液Saがオリフィス43eを通して第1希釈槽42Aへと流出させられる。以上の手順により、所定量の血液Saの計量が完了し、第1希釈槽42Aには所定量である0.5μL程度の血液Saが滞留する。
【0047】
次に、図1に示す血漿分離工程および血漿計量工程を図16〜図18を参照しつつ説明する。まず、図16に示すように、バルブV1を閉状態とし、バルブV2を開状態とする。また、ドレインD2を閉状態、ドレインD4と開状態としておく。この状態で、液導入口2aからエアを吐出すると、液導入槽2内の血液Sは、分離槽31へと流れる。上記エア吐出の圧力により、血漿分離フィルタ32に対して差圧をかける。これにより、血液S中に含まれる血漿Bpが血漿分離フィルタ32を透過し、血液Sから分離される。
【0048】
さらに上記吐出を継続すると、図17に示すように、計量流路44c内が血漿Bpにより満たされ、血漿BpはドレインD4へと向かう。血漿Bpの先端部分がドレインD4の手前に到達したことを、たとえば電極(図示略)を用いた電気抵抗手段、あるいは反射膜(図示略)を用いた光学的手段により検知する。この検知をもって上記吐出を停止する。
【0049】
そして、図18に示すように、バルブV2を閉状態とし、バルブV3を開状態とする。また、ドレインD2を開状態、ドレインD4を閉状態とする。この状態で、たとえばドレインD2からエアを吐出する、あるいは、第1希釈槽42Aより下流側に位置するいずれかのドレインから吸引する。これにより、計量流路44cに滞留していた血漿Bpが第1希釈槽42Aへと送り出される。以上の手順により血漿計量工程が完了し、第1希釈槽42Aには、所定量である50μL程度の血漿Bpaが滞留する。
【0050】
この後は、図1に示す第1希釈工程を行う。この工程においては、第1希釈槽42A内で、0.5μL程度の血液Saと50μL程度の血漿Bpaとを混合し、100倍に希釈された第1希釈試料液としての第1検体血液を生成する。この混合は、たとえば、第1希釈槽42Aに内蔵された鉄球を磁力を利用して第1希釈槽42A内を円運動させることなどにより行えばよい。
【0051】
第1希釈工程が終了した後は、図1に示す白球計数工程、Hb測光工程、およびCRP測光工程を行う。図2に示すように、第1希釈槽42Aにはバッファ槽50が繋がっている。このバッファ槽50に100倍に希釈された上記第1検体血液を送出する。白血球を計数するには、上記第1検体血液中の赤血球を破壊する溶血処理を施しておく必要がある。本実施形態においては、たとえばバッファ槽50に溶血剤が塗布されている。
【0052】
白血球計数工程の手順を、図19〜図22を参照しつつ説明する。この計数には、第1分析部5Aと、その下流側に設けられた第1流量計測部6Aとを用いる。図19は、白血球の計数を開始する状態を示しており、バッファ槽50に100倍に希釈された第1検体血液DSが滞留している。この状態において、たとえばドレインD5からエアの吸引を開始する。すると、図20に示すようにバッファ槽50から第1検体血液DSが流出し、第1分析部5Aを流れる。ドレインD5からの吸引を継続すると第1検体血液DSの先端部分が、複数の電極62のうち最も上流側に位置する電極62aに到達する。たとえば、電極62aと電極51との導通を監視することにより、第1検体血液DSの先端部分が電極62aに到達したことを検出することができる。この検出を目安として、第1分析部5Aによる白血球の計数を開始する。上述したとおり、細孔53は狭幅であるため白血球が通過すると、1対の電極51間の電気抵抗が瞬間的に大きくなる。これにより、1対の電極51間の電気抵抗を時系列的に監視すると、白血球の通過に対応してパルス信号が発生する。このパルス信号の数を積算する。
【0053】
上記パルス信号を積算しつつ、上記吸引を継続すると、図21に示すように、第1検体血液DSの先端部分は、複数の電極62のうち上流側から数えて2番目にある電極62bに到達する。この到達は、たとえば、電極62a,62b間の導通を監視することにより検出することができる。第1検体血液DSの先端部分が電極62aに到達してから電極62bに到達するまでの間に第1分析部5Aを通過した第1検体血液DSの流量は、電極62a,62b間に滞留可能な検体血液DSの量と同じである。電極62a,62b間の流れ方向距離は既知であるため、第1分析部5Aを通過した第1検体血液DSの流量を知ることができる。この流量と積算されたパルス数とにより、第1検体血液DSの単位体積あたりの白血球数が得られる。これにより血液Sの単位体積あたりの白血球の個数を計数することができる。
【0054】
この後は、上記吸引を継続し計数を重ねることにより、さらに計数の精度を向上させることも可能である。そして、図22に示すように、たとえば第1検体血液DSの先端部分が、複数の電極62のうち最も下流側に位置する電極62nに到達したことを検知したことをもって、第1分析部5Aによる計数処理を終了すればよい。また、本図から明らかなように、第1分析部5Aによる計数が終了したときには、分析済みの検体血液DSは、蛇行流路61内に滞留した状態とされる。
【0055】
一方、図1に示すHb測光工程およびCRP測光工程は、図2に示す第3および第4分析部5C,5Dを用いて行う。たとえば、上述した白血球計数工程が終了した後に、ドレインD6,D7からそれぞれ吸引し、第1検体血液DSを第3および第4分析部5C,5Dそれぞれの反射膜55に到達させて行う。この際、第1検体血液DSは、図10に示す試薬56と反応し、HbおよびCRPのそれぞれを分析可能な状態となる。この状態で、上記分析装置から本体1Aを透してそれぞれの反射膜55に光を照射し、その反射光を本体1Aを透して上記分析装置に備えられた受光素子などにより受光する。この光を適宜処理することにより、HbおよびCRPの分析を行うことができる。なお、本実施形態とは異なり、プリント配線基板1Bに代えて、透明な材質からなる基板を備える構成としてもよい。この場合、反射膜55は不要である。第3および第4分析部5C,5Dは、いずれも透明である本体1Aおよび上記基板により挟まれた構造となる。したがって、HbおよびCRPの分析をいわゆる透過測定により行うことが可能である。
【0056】
次に、図1に示す第1希釈試料液計量工程、および第2希釈工程について説明する。第1希釈試料液計量工程においては、図2に示す第1希釈槽42Aに滞留した第1検体血液DSから0.5μL程度を計量流路45aを用いて計量する。計量流路45aを利用した第1検体血液DSの計量は、図11〜図15を参照して説明した計量手順とほぼ同様である。また、図16〜図18を参照して説明した血漿計量工程において、図18に示すバルブV3を閉状態とし、その一方で、バルブV4を開状態とする。これにより、50μL程度の血漿Bpaを、第2希釈槽42Bへと送出する。次いで、第2希釈工程を行う。この工程においては、第2希釈槽42Bにおいて、0.5μL程度の第1検体血液DSと50μL程度の血漿Dpaとを混合する。これにより、血液Sを1万倍に希釈したものに相当する第2希釈試料液としての第2検体血液を得る。
【0057】
以上の手順により得られた1万倍希釈の第2検体血液を用いて、図1に示す赤血球計数工程を行う。この工程には、第2分析部5Bを用いる。この工程は、第1分析部5Aによる白血球計数工程とほぼ同一である。第2流量計測部6Bを利用して流量計測する点についても、第1流量計測部6Aを利用した流量計測と同様である。
【0058】
次に、カートリッジAおよびこれを用いた分析方法の作用について説明する。
【0059】
本実施形態によれば、第1検体血液DSおよび上記第2検体血液を生成するのに、生理食塩水などの希釈液を用いない。このため、カートリッジAや、上記分析装置などに、希釈液を内蔵する必要がない。したがって、カートリッジAや上記分析装置の小型化に有利である。これにより、カートリッジAと、これを装填する分析装置とを携帯すれば、外出先などでの血球計数などを手軽に行うことが可能であり、便利である。
【0060】
また、カートリッジAに分析済みの第1検体血液DSおよび上記第2検体血液を貯蔵する構成としているため、上記分析装置は、全く濡れることがなく、その使用中および使用前後において、完全にドライである。これは、上記分析装置を清潔に保つのに適している。また、上記分析装置の洗浄が不要であるため、洗浄液の廃棄といった煩わしい作業を回避できる。
【0061】
本実施形態によれば、第1および第2希釈槽42A,42Bを利用して2段階の希釈を行うことができる。したがって、たとえば100倍希釈と1万倍希釈という、比較的高倍率の2種類の希釈が可能である。これにより、白血球の計数と赤血球の計数という、それぞれに適した希釈倍率が顕著に異なる分析を一括して行うことができる。また、血液計量手段43および血漿計量手段44を備えることにより、十分に正確な希釈倍率で希釈することが可能である。大断面部44caを用いた計量は、高倍率希釈に特に有効である。
【0062】
さらに、第1検体血液DSおよび上記第2検体血液は、血漿を用いて希釈されているため、血球以外の成分については血液Sと同様の濃度としておくことが可能である。たとえば、CRPについては、血液Sと第1検体血液DSとでほとんど同じ濃度である。したがって、生理食塩水を用いて血液を希釈する場合と比べて、CRPを格段に精度よく分析することが可能である。また、希釈によって溶血が生じるおそれが無く、血球計数を確実に行うことができる。
【0063】
本発明に係る分析方法および分析用具は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る分析方法および分析用具の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0064】
血漿を分離する手段としては、血漿分離フィルタを用いる構成が、カートリッジAの小型化、分離効率の向上に好ましいが、これに限定されず、血液から血球を除く血漿などの成分を適切に分離する手段であればよい。
【0065】
希釈手段における希釈倍率は、流路などのサイズを適宜設定することにより、さらなる高倍率化が可能である。また、2段階の希釈に限定されず、たとえば1回のみの希釈、あるいは3回以上の希釈を行う構成としてもよい。
【0066】
本発明に係る分析方法および分析用具は、血液の血球計数などに限定されず、さまざまな試料液の分析に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例を示すフロー図である。
【図2】本発明の第2の側面に係る分析装置用カートリッジの一例を示す全体平面図である。
【図3】本発明の第2の側面に係る分析装置用カートリッジの一例を示す全体斜視図である。
【図4】本発明の第2の側面に係る分析装置用カートリッジの一例の分離手段を示す要部斜視図である。
【図5】本発明の第2の側面に係る分析装置用カートリッジの一例の計量流路を示す要部平面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿う要部断面図である。
【図7】本発明の第2の側面に係る分析装置用カートリッジの一例の電気抵抗式分析部を示す要部平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う要部断面図である。
【図9】本発明の第2の側面に係る分析装置用カートリッジの一例の光学式分析部を示す要部平面図である。
【図10】図9のX−X線に沿う要部断面図である。
【図11】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の血液計量工程において、血液導入状態を示す要部平面図である。
【図12】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の血液計量工程において、計量流路が充填された状態を示す要部平面図である。
【図13】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の血液計量工程において、オーバーフロー流路への継続流入を示す要部平面図である。
【図14】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の血液計量工程において、計量流路内に血液が分離された状態を示す要部平面図である。
【図15】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の血液計量工程において、第1希釈槽に血液が送出された状態を示す要部平面図である。
【図16】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の血漿分離工程を示す要部平面図である。
【図17】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の血漿計量工程において、計量流路が充填された状態を示す要部平面図である。
【図18】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の血漿計量工程において、第1希釈槽に血漿が送出された状態を示す要部平面図である。
【図19】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の白血球計数工程において、その初期状態を示す要部平面図である。
【図20】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の白血球計数工程において、その計数開始状態を示す要部平面図である。
【図21】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の白血球計数工程において、第1検体血液の先端部分が上流から2個目の電極に到達した状態を示す要部平面図である。
【図22】本発明の第1の側面に係る分析方法の一例の白血球計数工程において、第1検体血液の先端部分が最下流側の電極に到達した状態を示す要部平面図である。
【図23】従来の分析方法に用いられる血球カウンタの一例を示す概念図である。
【図24】従来の分析方法に用いられる分析用検査要素の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0068】
A (分析装置用)カートリッジ
Bp 血漿(溶媒成分)
Bpa 計量された血漿(溶媒成分)
D1〜D8 ドレイン
DS 第1検体血液(第1希釈試料液)
S 血液(試料液)
Sa 血液(計量された試料液)
V1,V2,V3,V4 バルブ
1A 本体
1B プリント配線基板
2 液導入槽(試料液導入部)
3 分離手段
4 希釈手段
5A 第1分析部(電気抵抗式分析部)
5B 第2分析部(電気抵抗式分析部)
5C 第3分析部(光学式分析部)
5D 第4分析部(光学式分析部)
6A 第1流量計測部
6B 第2流量計測部
8 コネクタ
22 配線
31 分離槽
32 血漿分離フィルタ
42A 第1希釈槽
42B 第2希釈槽
43 血液計量手段(試料液計量手段)
43a 導入流路
43b 分岐部
43c 計量流路
43d オーバーフロー流路
43e オリフィス
44 希釈液計量手段(溶媒成分希釈手段)
44a 導入流路
44b 分岐部
44c 計量流路
44ca 大断面部
44cb テーパ部
44d オーバーフロー流路
45 第1希釈試料液計量手段
45a 計量流路
50 バッファ槽
51 電極
52 スルーホール
53 細孔
55 反射膜
56 試薬
61 蛇行流路(貯蔵手段)
62 電極(希釈試料液検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定成分および溶媒成分を含む試料液の分析を行う分析方法であって、
上記試料液から上記溶媒成分の少なくとも一部を分離する分離工程と、
上記分離工程により分離された上記溶媒成分から一定量を計量する溶媒成分計量工程と、
上記試料液から一定量を計量する試料液計量工程と、
上記試料液計量工程により計量された一定量の上記試料液と上記溶媒成分計量工程により計量された一定量の上記溶媒成分とを用いて希釈試料液を生成する希釈工程と、
上記希釈試料液に含まれる上記特定成分を分析する分析工程と、を有することを特徴とする、分析方法。
【請求項2】
上記希釈工程は、
上記試料液の一部と上記分離工程により分離された上記溶媒成分とを用いて第1希釈試料液を生成する第1希釈工程と、
上記第1希釈試料液と上記分離工程により分離された上記溶媒成分とを用いて第2希釈試料液を生成する第2希釈工程とを含む、請求項1に記載の分析方法。
【請求項3】
上記試料液は、血液であり、上記溶媒成分は、血漿である、請求項1または2のいずれかに記載の分析方法。
【請求項4】
上記分離工程においては、血漿分離フィルタを用いる、請求項3に記載の分析方法。
【請求項5】
上記特定成分は、赤血球、白血球、および血小板などの血球である、請求項3または4に記載の分析方法。
【請求項6】
ヘモグロビンまたはC反応タンパクを分析する工程をさらに有する、請求項3または4に記載の分析方法。
【請求項7】
試料液導入部と、
試料液計量手段を有する第1流路と、
上記試料液導入部に導入された試料液の一部から溶媒成分を分離する分離手段とこの分離手段により分離された上記溶媒成分を計量する溶媒成分計量手段とを有する第2流路と、
上記第1流路および上記第2流路に接続し、上記第1流路で計量された上記試料液と上記第2流路で計量された上記溶媒成分とを混合することにより上記試料液を希釈する希釈手段と、
上記希釈手段により希釈された希釈試料液に含まれる特定成分を分析する分析部と、
を備えることを特徴とする、分析用具。
【請求項8】
上記希釈手段は、上記試料液の一部と上記分離手段により分離された上記溶媒成分とを用いて第1希釈試料液を生成する第1希釈手段と、
上記第1希釈試料液と上記分離手段により分離された上記溶媒成分とを用いて第2希釈試料液を生成する第2希釈手段とを含む、請求項7に記載の分析法具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−47031(P2007−47031A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232067(P2005−232067)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】