説明

分波器および携帯型通信装置

【課題】小型でしかも帯域外減衰量の特性を良好にすることの可能な分波器および携帯型通信装置を提供する。
【解決手段】送信信号と受信信号とを分離する分波器100は,アンテナ端子110を共通端子として並列接続された受信フィルタ130および送信フィルタ140と,アンテナ端子と受信フィルタとの間に挿入される位相整合回路120と,送信フィルタに接続される伸張コイル150とを備え,位相整合回路および伸張コイルは,多層構造を有するパッケージ200内にマイクロストリップライン232,250として形成される。マイクロストリップライン230は,多層構造のいずれかの層に形成され,マイクロストリップライン250は,多層構造を貫通するようにマイクロストリップライン230と垂直方向に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分波器および携帯型通信装置にかかり,特に,携帯電話などの端末において,送受同時通話を行う通信方式に用いられる分波器(特に,弾性表面波分波器)およびこれを用いた携帯型通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,携帯電話などの移動体通信機器が広く普及する中で,それに用いられる電子機器の小型化・高性能化の要求は益々高くなってきている。その中で,分波器(デュプレクサ)は,送信信号と受信信号とを分離すると同時に,必要な周波数帯域の信号のみを取り出すものであり,アナログやCDMA(Code Division Multiple Access)方式などの送受同時通信を行う方式において必須な部品である。その中でも,弾性表面波フィルタを用いた弾性表面波デュプレクサは,誘電体デュプレクサなどに比べ小型化・高性能化などが容易に実現可能であり,近年,特に注目されている。
【0003】
弾性表面波デュプレクサは,例えば,弾性表面波フィルタとセラミックパッケージからなる。その基本構成は一般に受信フィルタと送信フィルタを,アンテナ端子を共通端子として並列接続して構成し,また接続点の間に位相整合回路が導入された構成となっている(例えば,特許文献1,2参照。)。送受信の弾性表面波フィルタは,広帯域・低損失が必要なことから,現在一般的にラダー型フィルタが用いられ,また広帯域化・高帯域外抑圧度を実現するために伸張コイルが用いられている。その伸張コイルと位相整合回路は,多層構造を持ったセラミックパッケージ内にマイクロストリップライン(またはストリップライン)にて実現される。
【0004】
図10〜図12は,多層構造からなるセラミックパッケージに形成されたマイクロストリップラインを示す説明図である。図10は多層構造からなるセラミックパッケージ300の外観を示す説明図である。このセラミックパッケージ300は,上層から下層に向かって順に,第1層310,第2層320,第3層330,第4層340の4層構造である。
【0005】
図11は図10の層別パターンを示す説明図である。
第1層310には,図11に示したように,入出力ポートである第1ポート311および第2ポート312が形成されている。
【0006】
第2層320には,図11に示したように,パターン321と,コンタクトホール322〜324が形成されている。パターン321は,メアンダ形状のマイクロストリップラインである。メアンダ形状のマイクロストリップラインは,小さい面積で配置できることから,一平面内に作製される。コンタクトホール322は第1層の第2ポート312と接続され,コンタクトホール324は第1層の第1ポート311と接続されている。
【0007】
第3層330には,図11に示したように,パターン331と,コンタクトホール332〜336が形成されている。パターン231は,グランドプレーンであり,マイクロストリップ間のアイソレーション特性を改善させるために形成されている。コンタクトホール335は第2層のコンタクトホール323と接続され,コンタクトホール336は第2層のコンタクトホール324と接続されている。
【0008】
第4層340には,図11に示したように,パターン341と,コンタクトホール342〜347が形成されている。パターン341は,メアンダ形状のマイクロストリップラインである。コンタクトホール342は第3層のコンタクトホール332と接続され,コンタクトホール343は第3層のコンタクトホール333と接続され,コンタクトホール345は第3層のコンタクトホール335と接続され,コンタクトホール346は第3層のコンタクトホール334と接続され,コンタクトホール347は第3層のコンタクトホール336と接続されている。
【0009】
図12は,図10のセラミックパッケージ200の側面図である。
上述のように,メアンダ形状のマイクロストリップライン321,341は,小さい面積で配置できることから,一平面内に作製される。従来のセラミックパッケージ200では,図12に示したように,マイクロストリップライン321,341は水平方向に平行に形成されている。
【0010】
【特許文献1】特開平5−95253号公報
【特許文献2】特開2000−307383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで,近年のデバイスの小型化・高性能化の要求に対応するためには,パッケージの小型化は必須であり,したがって伸張コイルと位相整合回路のマイクロストリップラインの距離は必然的に小さくしなければならない。それに伴い,両マイクロストリップ間の影響が無視できなくなり,アイソレーション特性が悪化するという問題が発生する。
【0012】
従来の構造では,図12に示したように,双方のマイクロストリップラインが平面上に作製されているため,電流方向が平行となっていた。このため,小型化するためにお互いの距離を小さくすると,お互いの電磁界が平行に作用しあうことによる影響から,図13に示したように,マイクロストリップ間のアイソレーション特性が悪化し,したがってポート間のアイソレーション特性も悪化し,帯域外抑圧度が低下するという問題があった。また,アイソレーション特性を確保するために,お互いの層の間にグランドプレーンなどの追加の層が必要となることで,小型化・低背化が困難な状況であった。
【0013】
本発明は,従来の分波器が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,小型でしかも帯域外減衰量の特性を良好にすることの可能な,新規かつ改良された分波器および携帯型通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため,本発明の第1の観点によれば,送信信号と受信信号とを分離する分波器が提供される。本発明の分波器は,アンテナ端子を共通端子として並列接続された受信信号用のフィルタ(受信フィルタ)および送信信号用のフィルタ(送信フィルタ)と,前記アンテナ端子と,前記受信フィルタまたは前記送信フィルタとの間に,直列または並列に挿入される整合回路(例えば,位相整合回路)と,前記受信フィルタまたは前記送信フィルタに接続される伸張インダクタンスと,を備え,前記整合回路および前記伸張インダクタンスは,多層構造を有するパッケージ内に第1,第2のマイクロストリップラインとして形成され,前記第1のマイクロストリップラインは,前記多層構造のいずれかの層に形成され,前記第2のマイクロストリップラインは,前記多層構造を貫通するように前記第1のマイクロストリップラインと垂直方向に形成されることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば,多層セラミックパッケージ内に作製されるメアンダ形状のマイクロストリップラインを水平方向と垂直方向にし,それぞれのメアンダラインに流れる電流の方向を直交とすることで,それぞれに発生する磁界の方向を直交として,お互いに作用する電磁界の影響を小さくし,マイクロストリップライン間のアイソレーション特性を改善する。これにより,ポート間のアイソレーション特性も改善し,帯域外抑圧度が改善できる。このように,互いのマイクロストリップ間を近づけても特性の劣化が非常に少なく,小型で高性能な弾性表面波デュプレクサが実現できる。また追加のグランドプレーン層などの必要が無く,小型化・低背化が容易に可能となる。
【0016】
本発明の分波器において,前記第1のマイクロストリップラインはメアンダ形状とすることができる。メアンダ形状のマイクロストリップラインは,小さい面積でも配置できることから,多層構造内の一平面内に作成することができる。このため,多層構造のパッケージのいずれかの層に平面的に形成される第1のマイクロストリップを作成するのに最適である。なお,第2のマイクロストリップラインについても同様にメアンダ形状とすることが可能である。
【0017】
また,パッケージの多層構造は,例えば,第1層,第2層,第3層および第4層からなる4層構造であり,前記第1層には入出力端子が形成され,前記第2層には前記入出力端子と前記第1のマイクロストリップラインとのアイソレーション特性を確保するためのグランドプレーンが形成され,前記第3層には前記第1のマイクロストリップラインが形成され,前記第4層には前記第1のマイクロストリップラインと外部出力端子とのアイソレーション特性を確保するためのグランドプレーンが形成される構成とすることができる。また,一般的にグランドプレーン(グランドプレーン層)は,デバイスのグランドを強化してノイズレベルを下げるために形成される。なお,第2層にのみグランドプレーンを形成し,第4層にはグランドプレーンを形成しない構成とすることも可能である。
【0018】
前記受信フィルタおよび前記送信フィルタは,例えばラダー型フィルタとすることができる。ラダー型フィルタによれば,送受信信号の広帯域・低損失を実現することが可能である。特に,送信フィルタおよび受信フィルタに弾性表面波フィルタを含む構成とする場合,広帯域・低損失が必要なことから,ラダー型フィルタを用いることが好適である。
【0019】
上述のように,前記受信フィルタおよび前記送信フィルタは,弾性表面波フィルタ(SAWフィルタ)を含むことが可能である。かかる弾性表面波フィルタを用いた分波器(弾性表面波分波器または弾性表面波デュプレクサと称される。)は,誘電体デュプレクサなどに比べ小型化・高性能化などが容易に実現可能である。
【0020】
前記受信フィルタおよび前記送信フィルタは,バルク共振子フィルタを含む構成とすることも可能である。
【0021】
上記課題を解決するため,本発明の第2の観点によれば,上記本発明の分波器を備えたことを特徴とする,携帯型通信装置が提供される。特に,弾性表面波フィルタで構成される弾性表面波分波器を備えることが可能である。弾性表面波分波器は,誘電体分波器(誘電体デュプレクサ)などに比べて小型化・高性能化などが容易に実現可能であることから,携帯型通信装置に搭載することが好適である。
【発明の効果】
【0022】
以上のように,本発明によれば,マイクロストリップライン間のアイソレーション特性が改善することで,各ポート間のアイソレーション特性が良好となり,小型で高性能なデュプレクサとそれを搭載した携帯型通信装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら,本発明にかかる分波器および携帯型通信装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
図1は,本実施形態にかかるデュプレクサの構成を示す説明図である。
デュプレクサ100は,送信信号と受信信号とを分離すると同時に,必要な周波数帯域の信号のみを取り出すものである。デュプレクサ100は,図1に示したように,アンテナ端子110を共通端子として並列接続された受信フィルタ130および送信フィルタ140と,アンテナ端子110と受信フィルタ130との間に挿入される位相整合回路120と,送信フィルタ140に接続される伸張コイル150と,を備えて構成される。
【0025】
位相整合回路120は,受信フィルタ130に接続され,受信信号の位相整合を図るために用いられる。位相整合回路120は,例えば,セラミックパッケージ内においてメアンダ形状からなるマイクロストリップラインとして構成することが可能である。この点については,さらに後述する。
【0026】
図1に示した一例では,位相整合回路120は,アンテナ端子110と受信フィルタ130との間に挿入されているが,本発明はこれに限定されない。図2に示した例のように,位相整合回路120を,アンテナ端子110と,受信フィルタ130および送信フィルタ140との間に挿入する構成としてもよい。
【0027】
受信フィルタ130は受信信号(RX)用のフィルタである。受信フィルタ130は,例えば,図1に示したようなラダー型フィルタとして構成することができる。受信フィルタ130は,マイクロストリップライン120と受信端子RXとの間に直列接続された1ポートSAW共振子131,132,133と,これら1ポートSAW共振子131,132,133に接続され,他方の端子が接地された1ポートSAW共振子134,135,136とから構成される。1ポートSAW共振子131〜136はバルク共振子フィルタを含む構成とすることが可能である。
【0028】
送信フィルタ140は送信信号(TX)用のフィルタである。送信フィルタ140は,例えば,図1に示したようなラダー型フィルタとして構成することができる。送信フィルタ140は,アンテナ端子110と受信端子TXとの間に直列接続された1ポートSAW共振子141,142,143と,これら1ポートSAW共振子141,142,143に接続され,他方の端子がマイクロストリップライン150に接続された1ポートSAW共振子144,145,146とから構成される。
【0029】
伸張コイル150は,送信フィルタ140に接続され,送信信号の広帯域化・高帯域外抑圧度を実現するために用いられる。伸張コイル150は,例えば,セラミックパッケージ内においてメアンダ形状からなるマイクロストリップラインとして構成することが可能である。この点については,さらに後述する。
【0030】
上述のように,位相整合回路120および伸張コイル150は,例えばセラミックからなる多層構造を有するパッケージ(以下,セラミックパッケージという。)内にマイクロストリップラインとして一体に形成することが可能である。以下,図3〜図5を参照しながら説明する。
【0031】
図3は,位相整合回路120および伸張コイル150を形成するためのセラミックパッケージの一例を示す斜視図である。本実施形態では一例として,セラミックパッケージ200を4層構造とし,説明の便宜上,上層から下層に向かって順に,第1層(最上層)210,第2層220,第3層230,第4層(最下層)240とする。以下では,セラミックパターン200の層別パターンについて,図4を参照しながら説明する。また,セラミックパターン200の側面から見た状態については,図5,図6を参照しながら説明する。
【0032】
図4は,図3のセラミックパッケージ200の層別パターンを示す説明図である。
第1層210には,図4に示したように,入出力ポートである第1ポート211および第2ポート212が形成されている。
【0033】
第2層220には,図4に示したように,パターン221,222と,コンタクトホール(ビア(Via)ホール,スルーホールとも称される。)223〜227が形成されている。パターン221は,第3層のパターン231および第4層のパターン241とともに,マイクロストリップライン250を形成する。マイクロストリップライン250については,図5,図6を参照しながらさらに後述する。パターン222は,デバイスのグランドを強化してノイズレベルを下げるためのグランドプレーンとして機能する。ここでは,パターン222は,第1層に形成された入出力端子である第1,第2ポート211,212と,第3層に形成されたマイクロストリップライン(パターン232)とのアイソレーション特性を確保するために形成される。コンタクトホール223は第1層の第2ポート212と接続され,コンタクトホール226は第1層の第1ポート211と接続されている。
【0034】
第3層230には,図4に示したように,パターン231,232と,コンタクトホール233〜237が形成されている。パターン231は,第2層のパターン221および第4層のパターン241とともに,マイクロストリップライン250(図5,図6)を形成する。パターン232は,メアンダ形状のマイクロストリップラインである。メアンダ形状のマイクロストリップラインは,小さい面積で配置できることから,一平面内に作製される。コンタクトホール234は第2層のコンタクトホール224と接続され,コンタクトホール236は第2層のコンタクトホール225と接続され,コンタクトホール237は第2層のコンタクトホール226と接続され,コンタクトホール238は第2層のコンタクトホール227と接続されている。
【0035】
第4層240には,図4に示したように,パターン241,242と,コンタクトホール243〜247が形成されている。パターン241は,第2層のパターン221および第3層のパターン231とともに,マイクロストリップライン250(図5,図6)を形成する。パターン242は,デバイスのグランドを強化してノイズレベルを下げるためのグランドプレーンとして機能する。ここでは,パターン242は,第3層に形成されたマイクロストリップライン(パターン232)と,グランドとのアイソレーション特性を確保するために形成される。コンタクトホール243は第3層のコンタクトホール233と接続され,コンタクトホール245は第3層のコンタクトホール235と接続され,コンタクトホール246は第3層のコンタクトホール236と接続され,コンタクトホール247は第3層のコンタクトホール238と接続されている。
【0036】
図5は,図3のセラミックパッケージ200を(1)方向から見た側面図である。図中の「Via」はコンタクトホールを示す。上述のように,第2層のパターン221,第3層のパターン231,および第4層のパターン241によって,マイクロストリップライン250が形成されている。このマイクロストリップライン250は,多層構造を貫通するように,他方のマイクロストリップライン232と直交する方向(垂直方向)に形成されている。
【0037】
図6は,図3のセラミックパッケージ200を(2)方向から見た側面図である。マイクロストリップライン250は,図6に示したように,第2層のパターン221,第3層のパターン231,および第4層のパターン241によって,メアンダ形状が形成されている。
【0038】
図7は,図3のセラミックパッケージ200におけるポート間のアイソレーション特性を示す説明図である。図7に示したように,本実施形態にかかるセラミックパッケージ200によれば,従来のアイソレーション特性(図13)と比較して,アイソレーション特性が改善されたことが分かる。これは,多層セラミックパッケージ内に作製されるメアンダ形状のマイクロストリップラインを水平方向と垂直方向にし(図5),それぞれのメアンダラインに流れる電流の方向を直交とすることで,それぞれに発生する磁界の方向が直交し,お互いに作用する電磁界の影響が小さくなり,マイクロストリップライン間のアイソレーション特性が改善されたためである。
【0039】
以上,位相整合回路120および伸張コイル150を形成するための,多層構造を有するセラミックパッケージ200について説明した。図1に示した受信フィルタ130および送信フィルタ140は,例えば,図8に示したように,セラミックパッケージ200上にフリップチップ(Flip-Chip)接合することが可能である。この状態で上部にキャップ160等がされ,製品としてのデュプレクサ100が完成する。かかるデュプレクサ100は,小型化・低背化が容易に可能であるため,例えば,携帯電話等の携帯型通信装置に搭載することが好適である。
【0040】
(本実施形態の効果)
以上説明したように,本実施形態によれば,多層構造からなるセラミックパッケージ200内に作製されるメアンダ形状のマイクロストリップラインを水平方向と垂直方向にし,それぞれのメアンダラインに流れる電流の方向を直交とすることで,それぞれに発生する磁界の方向を直交として,お互いに作用する電磁界の影響を小さくし,マイクロストリップライン間のアイソレーション特性を改善することが可能である。これにより,ポート間のアイソレーション特性も改善し,帯域外抑圧度が改善できる。このように,互いのマイクロストリップ間を近づけても特性の劣化が非常に少なく,小型で高性能な弾性表面波デュプレクサが実現できる。また追加のグランドプレーン層などの必要が無く,小型化・低背化が容易に可能となる。
【0041】
また,本実施形態で説明した弾性表面波分波器は,誘電体分波器(誘電体デュプレクサ)などに比べて小型化・高性能化などが容易に実現可能であることから,携帯型通信装置に搭載することが好適である。
【0042】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる分波器および携帯型通信装置の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0043】
例えば,上記実施形態のパッケージ構造においては,第4層240にグランドプレーンの機能を有するパターン242を形成した場合について説明したが(図4〜図6),本発明はかかる構成に限定されず,第2層にのみグランドプレーンを形成し,第4層にはグランドプレーンを形成しない構成とすることも可能である。
【0044】
また,上記実施形態では,伸張インダクタンスの一例として伸張コイル150について説明したが,本発明はこれに限定されず,他の要素でインダクタンスを構成してもよい。また,上記実施形態では,伸張コイル150が送信フィルタ140に接続される構成について説明したが,本発明はこれに限定されない。送信コイル150は,送信フィルタ140に代えて受信フィルタ130に接続される構成としてもよく,または,送信フィルタ140および受信フィルタ130に接続される構成としてもよい。
【0045】
また,上記実施形態で示したメアンダ形状はあくまで一例に過ぎず,本発明はこれに限定されない。例えば,図4(c)に示した3層のパターン232のメアンダ形状を,図9に示したパターン232’のようなメアンダ形状の方向とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は分波器および携帯型通信装置に利用可能であり,特に,携帯電話などの端末において,送受同時通話を行う通信方式に用いられる分波器(特に,弾性表面波分波器)およびこれを用いた携帯型通信装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態にかかるデュプレクサの基本構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるデュプレクサの基本構成を示す説明図である。
【図3】セラミックパッケージの外観を示す斜視図である。
【図4】図3のセラミックパッケージの層別パターンを示す説明図である。
【図5】図3のセラミックパッケージを(1)方向から見た側面図である。
【図6】図3のセラミックパッケージを(2)方向から見た側面図である。
【図7】アイソレーション特性を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかるデュプレクサの外観を示す説明図である。
【図9】メアンダ形状の応用例を示す説明図である。
【図10】従来のセラミックパッケージの外観を示す斜視図である。
【図11】図10のセラミックパッケージの層別パターンを示す説明図である。
【図12】図10のセラミックパッケージの側面図である。
【図13】アイソレーション特性を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
100 デュプレクサ
110 アンテナ端子
120 位相整合回路(マイクロストリップライン)
130 受信フィルタ(ラダー型フィルタ)
140 送信フィルタ(ラダー型フィルタ)
150 伸張コイル(マイクロストリップライン)
200 セラミックパッケージ
210 第1層(最上層)
211 第1ポート
212 第2ポート
220 第2層
221 パターン
230 第3層
231 パターン
232 パターン(マイクロストリップライン)
240 第4層(最下層)
241 パターン
250 マイクロストリップライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号と受信信号とを分離する分波器であって,
アンテナ端子を共通端子として並列接続された受信フィルタおよび送信フィルタと,
前記アンテナ端子と,前記受信フィルタまたは前記送信フィルタとの間に,直列または並列に挿入される整合回路と,
前記受信フィルタまたは前記送信フィルタに接続される伸張インダクタンスと,
を備え,
前記整合回路および前記伸張インダクタンスは,多層構造を有するパッケージ内に第1,第2のマイクロストリップラインとして形成され,
前記第1のマイクロストリップラインは,前記多層構造のいずれかの層に形成され,
前記第2のマイクロストリップラインは,前記多層構造を貫通するように前記第1のマイクロストリップラインと垂直方向に形成されることを特徴とする,分波器。
【請求項2】
前記第1のマイクロストリップラインはメアンダ形状であることを特徴とする,請求項1に記載の分波器。
【請求項3】
前記多層構造は第1層,第2層,第3層および第4層からなる4層構造であり,
前記第1層には入出力端子が形成され,
前記第2層には前記入出力端子と前記第1のマイクロストリップラインとのアイソレーション特性を確保するためのグランドプレーンが形成され,
前記第3層には前記第1のマイクロストリップラインが形成され,
前記第4層には前記第1のマイクロストリップラインと外部出力端子とのアイソレーション特性を確保するためのグランドプレーンが形成されることを特徴とする,請求項1または2に記載の分波器。
【請求項4】
前記受信フィルタおよび前記送信フィルタは,ラダー型フィルタであることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の分波器。
【請求項5】
前記受信フィルタおよび前記送信フィルタは,弾性表面波フィルタを含むことを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の分波器。
【請求項6】
前記受信フィルタおよび前記送信フィルタは,バルク共振子フィルタを含むことを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の分波器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の分波器を備えたことを特徴とする,携帯型通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−174100(P2007−174100A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366846(P2005−366846)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】