説明

分注装置、分析装置および分注方法

【課題】煩雑な作業を必要とせず自動的かつ短時間に液体を容器に分注できること。
【解決手段】分析装置1における分注装置は、検体を受容するリザーバー40A〜40Cと、外部に連通する排出口が底部に設けられ、リザーバー40A〜40Cから所定の量の検体を計量して保持するノズル43A〜43Cと、を有する分注プレート31と、分注プレート31のリザーバー40A〜40Cに検体を仮分注する検体用第1分注部と、ノズル43A〜43Cに保持された各検体を排出口から排出させ、各排出口の下部に設けられたキュベット16aに本分注する加圧機構33と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を容器に分注する分注装置および分析装置に関し、特に血液や尿等の検体を反応容器に分注して分析する分析装置に適用して好適な分注装置および分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の検体を自動的かつ連続的に分析する分析装置において、液体である検体を複数の反応容器(キュベット)に分注する技術として、シリンジ型分注機によって検体容器内の検体を吸引し、各キュベット内に直接吐出することで分注を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、受容部に保持した液体のうち微量の液体を吐出し得るプレート状部材(以下、分注プレートと呼ぶ。)を用いて、液体を容器に分注する技術が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照)。特許文献2に記載の分注プレートは、受容部の底部に排出口を有し、この受容部に保持した液体の上面が加圧されることで排出口から微量の液体を排出する。排出する液体の液量は、加圧する大きさと加圧時間とによって調節される。特許文献3,4に記載の分注プレートは、受容部から所定の微量の液体を計量して保持する計量部を有し、この計量部に保持された液体の上面が加圧されることで、底部に設けられた排出口から微量の液体を排出する。排出する液体の液量は、計量部の容積によって定められている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−91520号公報
【特許文献2】特表2000−500567号公報
【特許文献3】特表2002−509023号公報
【特許文献4】独国特許発明第10102152号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術にかかる分注プレートは、予め受容部に液体を受容する必要があるため、分析装置における分注機として用いる場合、例えば分注を行うごとに脱着して受容部に液体を供給した後、再び分注装置に装着することが考えられるが、この場合、かかる煩雑な作業が必要であるばかりか、分析に費やす時間を増大させるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、煩雑な作業を必要とせず自動的かつ短時間に液体を容器に分注することができる分注装置、分析装置および分注方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる分注装置は、液体を受容する受容部と、外部に連通する排出口が底部に設けられ、前記受容部に保持された前記液体から所定量を計量して保持する計量部と、を有する分注プレートと、前記分注プレートの受容部に前記液体を仮分注する仮分注手段と、前記計量部において計量された前記液体を前記排出口から排出させ、該排出口の下部に設けられた容器に本分注する本分注手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2にかかる分注装置は、上記の発明において、前記本分注手段が行う本分注の分注精度は、前記仮分注手段が行う仮分注の分注精度よりも高いことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3にかかる分注装置は、上記の発明において、前記仮分注手段は、前記所定量以上、かつ前記受容部の容積以下の液量の前記液体を前記受容部に仮分注することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4にかかる分注装置は、上記の発明において、前記計量部は、前記受容部に接続された微細流路に生じる毛細管力によって前記受容部から流出された前記液体を計量して保持することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5にかかる分注装置は、上記の発明において、前記本分注手段は、前記計量部に保持された前記液体に圧力を加え、該液体を前記排出口から排出させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6にかかる分注装置は、上記の発明において、前記本分注手段は、前記計量部に保持された前記液体の上部に密閉空間を形成し、該密閉空間に気体を導入して前記液体に圧力を加えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7にかかる分注装置は、上記の発明において、前記仮分注手段および前記本分注手段は、互いに場所および時点の少なくとも一方を異ならせて、それぞれ前記液体の仮分注および本分注を行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項8にかかる分注装置は、上記の発明において、前記仮分注手段が前記受容部に前記液体を仮分注する場合、前記分注プレートを前記容器上に移動するとともに、前記排出口を該容器の上部に配設する移動手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項9にかかる分注装置は、上記の発明において、前記移動手段は、前記分注プレートが円周部に取り付けられた円盤状部材を周方向に回動し、該分注プレートを前記容器上に移動することを特徴とする。
【0016】
また、請求項10にかかる分注装置は、上記の発明において、前記容器上に配設された前記分注プレートの上部に前記仮分注手段を移動する第1移動手段と、前記第1移動手段によって移動させられた前記仮分注手段が前記受容部に前記液体を仮分注した場合、前記本分注手段を水平移動して前記分注プレートの上部に配設する第2移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項11にかかる分注装置は、上記の発明において、前記受容部は、前記仮分注手段の移動軌跡の下に配置されることを特徴とする。
【0018】
また、請求項12にかかる分注装置は、上記の発明において、液体を受容する受容部と、外部に連通する排出口が底部に設けられ、前記受容部に保持された前記液体を計量して保持する計量部とを有する分注プレートと、前記分注プレートの受容部に該受容部の容積以下の液量の前記液体を仮分注する仮分注手段と、前記計量部に保持された、前記受容部に仮分注された液量より少ない液量の前記液体を前記排出口から排出させ、該排出口の下部に設けられた容器に本分注する本分注手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項13にかかる分析装置は、容器に分注された液体を分析する分析装置であって、請求項1〜12のいずれか一つに記載の分注装置を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項14にかかる分注方法は、液体を受容する受容部と、外部に連通する排出口が底部に設けられ、前記受容部に保持された前記液体から所定量を計量して保持する計量部と、を有する分注プレートを備えた分注装置の分注方法において、前記分注プレートの受容部に前記液体を仮分注する仮分注ステップと、前記計量部に保持された前記液体を前記排出口から排出させ、該排出口の下部に設けられた容器に本分注する本分注ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる分注装置、分析装置および分注方法によれば、煩雑な作業を必要とせず自動的かつ短時間に液体を容器に分注することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明にかかる分注装置、分析装置および分注方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0023】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1にかかる分注装置、分析装置および分注方法について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる分析装置1の要部構成を示す模式図である。図1に示すように、分析装置1は、分析対象としての試料である検体および試薬を反応容器(キュベット)にそれぞれ分注し、分注したキュベット内で生じる反応を光学的に測定する測定機構10と、測定機構10を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構10における測定結果の分析を行う制御分析機構20とを備える。分析装置1は、これらの機構を連携させることによって複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行う。
【0024】
測定機構10は、大別して検体移送部11、検体用第1分注部12、検体用第2分注部13、試薬テーブル14、試薬分注部15、反応テーブル16、測光部17および洗浄部18を備える。また、制御分析機構20は、制御部21、入力部22、出力部23および記憶部24を備える。測定機構10および制御分析機構20が備えるこれらの各部は、制御部21に電気的に接続されている。
【0025】
検体移送部11は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器11aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック11bを備える。検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11a内の検体は、検体用第1分注部12および検体用第2分注部13によって、反応テーブル16上に配列して搬送されるキュベット16aに分注される。
【0026】
検体用第1分注部12は、水平方向に旋回するアーム12aと、アーム12aの旋回する先端部に鉛直方向に取り付けられたピペット様のプローブ12bとを備え、検体容器11aに収容された検体を、検体用第2分注部13が備える複数の分注プレート31上に形成された受容部に仮分注する。より具体的には、検体用第1分注部12は、上述した検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11aの中からプローブ12bによって検体を吸引し、アーム12aを図中時計回りに旋回させ、分注プレート31上に形成された複数の分注器の受容部に検体を吐出して仮分注を行う。図1では、分注プレート31上の分注器40Aの受容部に仮分注する状態が示されている。
【0027】
検体用第2分注部13は、各々3つの分注器40A〜40Cが形成された4つの分注プレート31と、各分注プレート31を円周部に保持する円盤状部材32と、反応テーブル16の所定位置上に配設される分注プレート31の上部に設けられた加圧機構33とを備える。分注器40A〜40Cは、検体用第1分注部12から受容した検体を所定の量ずつ排出可能な分注用容器であり、分注プレート31は、各分注器40A〜40Cを所定の関係に配置して有する板状の分注部材である。円盤状部材32は、図示しない駆動機構によって周方向に回動され、円周部に取り付けられた各分注プレート31を複数のキュベット16a上に交換自在に配設する。加圧機構33は、キュベット16a上に配設された分注プレート31の上面部に降下して装着され、分注器40A〜40C内の検体を加圧して排出する。かかる構成によって検体用第2分注部13は、分注プレート31上の各受容部に仮分注された検体を、反応テーブル16上の複数のキュベット16aに本分注する。なお、検体用第2分注部13の機構および動作の詳細は、別途後述する。
【0028】
試薬テーブル14は、全体が水平面内で円状に形成されており、図示しない駆動機構によって周方向に回動され、円周部に沿って保持した複数の試薬容器14aを回転移動する。試薬分注部15は、検体用第1分注部12と同様に、水平方向に旋回するアーム15aと、アーム15aの旋回する先端部に鉛直方向に取り付けられたピペット様のプローブ15bとを用いて構成されており、試薬テーブル14上の所定位置に移動された試薬容器14a内の試薬をプローブ15bによって吸引し、アーム15aを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル16上の所定位置に搬送されたキュベット16aに分注する。
【0029】
反応テーブル16は、全体が水平面内で円状に形成され、図示しない駆動機構によって周方向に回動され、円周部に沿って配列され複数のキュベット16aを周方向に回転搬送する。これによって、反応テーブル16は、円周状の搬送経路16b上で複数のキュベット16aを搬送する。ここで、反応テーブル16は、通常、所定の回転速度で連続的に図中時計回りに各キュベット16aを回転搬送するが、制御部21からの指示に基づいて回転速度や回転方向を変更することもできる。なお、反応テーブル16は、キュベット16bの配列間隔等に応じて、ステップ的に搬送を行うようにしてもよい。
【0030】
測光部17は、発光部17aと、受光部17bとを備え、発光部17aから発せられ、所定の測光位置に搬送されたキュベット16a内の試料を透過した光を受光して、分光強度測定を行う。この測光部17による測定結果は、制御部21に出力され分析される。
【0031】
洗浄部18は、図示しないノズルによって、測光部17による測定が終了したキュベット16a内の検体を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行う。
【0032】
制御部21は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御するとともに、測光部17から取得した測定結果に基づいて吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行う。また、制御部21は、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を、キーボード、マウス等を用いて構成される入力部22を介して外部から取得する。さらに、制御部21は、検体の分析結果等を含む諸情報を、ディスプレイ、プリンタ、通信機構等を用いて構成される出力部23に出力するとともに、ROMおよびRAM等を用いて構成される記憶部24に記録する。
【0033】
以上のように構成された分析装置1では、列をなして順次搬送される複数のキュベット16aに対して、検体用第1分注部12および検体用第2分注部13が検体容器11a中の検体を分注し、試薬分注部15が試薬容器14a中の試薬を分注した後、測光部17が検体と試薬とを反応させた状態の試料の分光強度測定を行い、この測定結果を制御部21が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部18が測光部17による測定が終了した後に搬送されるキュベット16aを搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。なお、各々のキュベット16aへの試薬と検体の分注の順序、および同一のキュベット16aへ導入される試薬の数は、分析項目毎、あるいは使用する分析用試薬、あるいは分析プロトコル毎に異なってよい。
【0034】
なお、分析装置1は、図1では試薬テーブル14および試薬分注部15の組を1セットだけ備えるものとしたが、分析項目等に応じて2セット以上備えることもできる。ここで、各試薬容器14a内に収容される試薬は、分析項目等に応じて選択されるものであり、同一のものでも異なるものでもよい。また、分析装置1は、検体および試薬が分注された場合にキュベット16a内を攪拌する図示しない攪拌機構を備えることもできる。
【0035】
つづいて、本発明にかかる分注装置としての検体用第1分注部12および検体用第2分注部13について、より詳細に説明する。まず、図2および図3は、検体用第1分注部12および検体用第2分注部13の要部構成を示す図であって、図2は、平面図であり、図3は、斜視図である。
【0036】
図2および図3に示すように、検体用第2分注部13は、各々3つの分注器40A〜40Cが形成された4つの分注プレート31が、円盤状部材32の円周部に中心角にして90度毎の等間隔で取付けられている。各分注プレート31は、貫通孔35a,35bを介して挿通される2つのビス34によって円盤状部材32の上面にネジ締結され、分注器40A〜40Cを円盤状部材32の周外に突設した状態で固定される。円盤状部材32に対する各分注プレート31の取付位置は、各ビス34が螺合する雌ネジ部と、各分注プレート31の所定の側面が押し当てられる位置決めピン36とによって決定される。円盤状部材32上に取り付けられた各分注プレート31は、円盤状部材32が図示しない駆動機構によって周方向に図中反時計回りに回動されることで回転搬送される。
【0037】
ここで、分注器40A〜40Cは、各々受容部としてのリザーバー41A〜41Cと、計量部としてのノズル43A〜43Cとを、微細流路42A〜42Cによって連結した構造を有する。これらを代表して、図4−1および図4−2に、分注器40Aの斜視図および断面図を示す。図4−2は、図4−1におけるXX断面を示す図である。
【0038】
図4−1および図4−2に示すように、リザーバー41Aは、検体の受容口として上部が開口された円筒状の容器として形成されている。ノズル43Aは、リザーバー41Aに比して小さな口径で上部が開口された円筒状の容器部43Aaと、容器部43Aaの底部を排出口43Acにおいて外部に連通する一層小径の円筒状の排管部43Abとにより、所定の量の液体を計量して保持し得る容器として形成されている。微細流路42Aは、リザーバー41Aとノズル43Aとを上部開口の中心同士を結ぶ中心線上で連結する、微細な幅および深さを有したU字型、あるいは角型等の形状を持つ流路として形成されている。
【0039】
かかる構造を有する分注器40Aは、液体である検体をリザーバー41Aに受容し、微細流路42Aに生じる毛細管力によってリザーバー41Aから流出される検体をノズル43Aで計量して保持する。そして、ノズル43Aの上部開口に圧力が加えられた場合、ノズル43Aに保持した所定量の検体を、排管部43Abを介して排出口43Acから外部に排出する。分注器40B,40Cは、分注器40Aと同様の構造を有しており、同様の作用によって所定量の検体を計量して排出することができる。
【0040】
なお、分注器40A〜40Cが分注し得る検体の量は、各々ノズル43A〜43Cの容積によって決定されるが、各ノズル43A〜43Cの上部開口および排出口における表面張力に依存した検体面の湾曲や、加圧して排出する排出動作中に微細流路42A〜42Cから極微量に流入する検体などによって、わずかに容積に対して差異を生じる。
【0041】
かかる分注器40A〜40Cのリザーバー41A〜41Cは、図2に示すように、分注プレート31が円盤状部材32の回転位置としてのポジションP1(図中、円盤状部材32の上部位置)に配設された場合、検体用第1分注部12におけるプローブ12bの旋回経路下に配置される。また、ノズル43A〜43Cは、分注プレート31がポジションP2(図中、円盤状部材の左側位置)に配設された場合に、反応テーブル16の搬送経路16b上で搬送される複数のキュベット16aの上部に配置される。
【0042】
このような配置を実現するために、リザーバー41A〜41Cは、図5に示すように、ポジションP1においてプローブ12bの旋回経路に沿った曲線となるカーブC1上に配列されている。同様に、ノズル43A〜43Cは、ポジションP2においてキュベット16aの搬送経路16bに沿った曲線となるカーブC2上に配列されている。ここで、カーブC1は、検体用第1分注部12におけるアーム12aの長さに相当する半径R1を有した円弧であり、カーブC2は、円周状の搬送経路16bと等しい半径R2を有した円弧である。
【0043】
また、リザーバー41A〜41Cおよびノズル43A〜43Cは、それぞれ図5中で上下方向に間隔Wで配列されている。この間隔Wは、ポジションP2で分注プレート31の下部に搬送される複数のキュベット16aのこの方向の配列間隔に等しい。なお、リザーバー41A〜41Cの配列間隔は、ノズル43A〜43Cの配列間隔と必ずしも一致させる必要はなく、カーブC2上に配列するものであれば間隔Wより大きくても小さくてもよい。また、微細流路42A〜42Cは、このように設けられたリザーバー41A〜41Cとノズル43A〜43Cとを各々連結するように設けられている。
【0044】
一方、図2に示すように、ポジションP2に配設された分注プレート31の上部には、本分注手段としての加圧機構33が上下動自在に設けられている。加圧機構33は、ノズル43A〜43Cに検体が充填された分注プレート31がポジションP2に配設された場合、この分注プレート31の上面部に降下して装着される。図6−1および図6−2は、分注プレート31に装着された状態の加圧機構33を示す断面図である。図6−2は、図6−1におけるYY断面を示す図である。
【0045】
図6−1および図6−2に示すように、加圧機構33は、図示しない気体供給源から加圧気体を導入する気体導入管33aと、導入された加圧気体を1ミリ秒〜数十ミリ秒の範囲で設定される期間の圧力パルスとして通過させるon−offバルブ33bと、通過した圧力パルスを平面内で均一化する多孔質フィルタ33cと、分注器40A〜40Cに保持された検体の上部に密閉空間33dを形成する密閉部材33eと、を用いて構成された圧力パルス印加機構33A〜33Cを、各々分注器40A〜40Cに対応させて備える。
【0046】
かかる加圧機構33は、分注プレート31の上面部に装着された場合、例えば圧力値が数十kPaであり、圧力印加時間が1ミリ秒〜数十ミリ秒である圧力パルスを、分注器40A〜40Cに保持された検体の上面に均一に印加し、ノズル43A〜43Cに保持された検体を各々底部に設けられた排出口から排出させる。このとき、加圧機構33は、圧力パルスの印加を分注器40A〜40Cごとに同時または非同時に行うことができ、ノズル43A〜43Cごとに同時または非同時に検体を排出させることができる。
【0047】
なお、加圧機構33は、圧力パルスの印加を分注器40A〜40Cごとに非同時に行う必要がない場合には、例えば分注器40A〜40Cの上部を一括して覆う密閉空間を形成する圧力パルス印加機構を1組だけ備えるようにしてもよい。
【0048】
ここで、以上のように構成された検体用第1分注部12および検体用第2分注部13による検体の分注手順を、図7−1〜図7−6を参照して説明する。なお、図7−1〜図7−6では、分注器40A〜40Cを代表して、分注器40Aのみ断面図を示している。
【0049】
まず、検体用第1分注部12は、図7−1に示すように、ポジションP1(図2参照)においてプローブ12bから検体を吐出し、分注プレート31のリザーバー41A〜41Cに検体を仮分注する。このとき、検体用第1分注部12は、ノズル43A〜43Cの容積以上、かつリザーバー41A〜41Cの容積以下の液量の検体を、各リザーバー41A〜41Cに仮分注する。この仮分注する検体の液量は、リザーバー41A〜41Cごとに定められた等量または非等量の液量であってもよく、仮分注を行うごとに異なる液量であってもよい。
【0050】
仮分注によってリザーバー41A〜41Cに受容された各検体の一部は、図7−2に示すように、微細流路42A〜42Cに生じる毛細管力によって各々ノズル43A〜43Cに移動し、これによってノズル43A〜43Cは、図7−3に示すように、検体で満たされる。すなわち、この段階でノズル43A〜43Cは、各々の容積に等しい所定量の検体を計量して保持することとなる。
【0051】
その後、分注プレート31は、円盤状部材32によって回転搬送されポジションP2(図2参照)に配設され、上面部に加圧機構33が装着される。加圧機構33は、図7−4および図7−5に時系列的に示すように、分注器40A〜40Cに保持された各検体の上面に圧力パルスを印加して均一に加圧し、ノズル43A〜43Cに保持された各検体を、各々底部の排出口から吐出して排出させ、各排出口の下部に設けられたキュベット16aに本分注する。この本分注の分注精度は、リザーバー41A〜41Cへの仮分注の分注精度よりも高い。なお、図7−4および図7−5では、加圧機構33自体とキュベット16aとの図示を省略している。
【0052】
この加圧機構33による排出動作では、微細流路42A〜42Cが狭隘なため、この各流路内にある検体の流動抵抗は、リザーバー41A〜41Cおよびノズル43A〜43C内にある検体の流動抵抗よりも大きく、微細流路42A〜42C内にある検体は、上面に圧力パルスが印加されてもほとんど流動しない。このため、ノズル43A〜43Cに保持された所定量の検体のみが外部に排出され、キュベット16aに分注される。
【0053】
加圧機構33からの圧力パルスの印加が終了し、検体の上面にかかる圧力が大気圧にもどると、リザーバー41A〜41Cに残された各検体の一部は、微細流路42A〜42Cに生じる毛細管力によって各々ノズル43A〜43Cに移動する。これによって、ノズル43A〜43Cは、図7−6に示すように再び検体で満たされ、微量の検体を排出可能な状態となる。つまり、検体用第2分注部13では、リザーバー41A〜41Cに検体が受容されている間、毛細管力による検体の移動と、加圧機構33からの圧力パルスの印加とを繰り返すことで、所定量の検体の排出と分注とを繰り返し行うことができる。
【0054】
以上のようにしてキュベット16aに対する本分注が行われた後、分注プレート31は、図2に示すように、円盤状部材32の回転位置としてのポジションP3(図中、円盤状部材32の下部位置)およびポジションP4(図中、円盤状部材32の右側位置)に順次回転搬送される。ポジションP3,P4では、図示しない洗浄機構によって、分注器40A〜40C内に残された検体の廃棄、分注器40A〜40Cの洗浄および乾燥等が行われる。洗浄等が行われた分注プレート31は、再びポジションP1に配設され、分注処理に供される。このようにして検体用第2分注部13では、円盤状部材32に取り付けられた各分注プレート31は、連続して繰り返し分注処理に利用される。なお、ポジションP3,P4では、図示しない交換機構によって、分注プレート31を交換するようにしてもよい。
【0055】
以上説明した一連の分注手順では、検体用第1分注部12および検体用第2分注部13は、ポジションP1における仮分注と、ポジションP2における本分注とを同時に行うことができる。つまり、検体用第1分注部12は、加圧機構33がポジションP2において本分注を行う期間にポジションP1に配設された分注プレート31のリザーバー41A〜41Cに対し、検体を仮分注することができる。また、これと同時に、図示しない洗浄機構等は、ポジションP3,P4に搬送された分注プレート31の洗浄、乾燥、交換等を行うことができる。このようにして、検体用第1分注部12および検体用第2分注部13では、検体の分注にかかる処理全体を効率化して処理時間を短縮化することができる。
【0056】
つぎに、列をなして搬送される複数のキュベット16aに対する分注動作について、図8−1および図8−2を参照して説明する。図8−1および図8−2は、分注プレート31の下部に搬送された複数のキュベット16aに同時に検体を分注する場合の分注動作を示す断面図である。なお、図8−1および図8−2では、ノズル43A〜43Cの容積は互いに等しいものとして示している。また、複数のキュベット16aにおける個々のキュベットには、識別可能なように各々異なる符号16a−1〜16a−6を付して示している。
【0057】
分注プレート31では、ノズル43A〜43Cの排出口の配列間隔が、搬送経路16b上に配列された複数のキュベット16aの配列間隔である搬送間隔距離に等しく設定されている。このため、図8−1に示すように、分注プレート31の下部に搬送されたキュベット16a−1〜16a−3は、各々ノズル43A〜43Cの排出口の直下に所定期間だけ同時に配置される。この状態で、加圧機構33は、ノズル43A〜43C内の各検体に同時に圧力パルスを印加して排出させ、この各検体を異なるキュベット16a−1〜16a−3に同時に分注することができる。
【0058】
その後、キュベット16a−1〜16a−3が分注プレート31の下部から搬出され、キュベット16a−3に続くキュベット16a−4〜16a−6が、図8−2に示すように、各ノズル43A〜43Cの直下に搬送された場合、加圧機構33は、再びノズル43A〜43C内の各検体に同時に圧力パルスを印加して排出させ、各検体を各々キュベット16a−4〜16a−6に同時に分注することができる。
【0059】
このようにして、検体用第2分注部13では、各ノズル43A〜43Cに保持された検体を同時に排出させることで、分注プレート31の下部に搬送される3つのキュベット16a対して、ノズル43A〜43Cごとに異なるキュベット16aに同時に検体を分注することができる。これによって、例えばシリンジ型分注機のようにキュベットごとに検体の分注を行う場合に比して高速に、複数のキュベットに対する分注を行うことができる。
【0060】
なお、ノズル43A〜43Cの容積は、互いに異なるものとしてもよい。この場合、連続する3つのキュベット16aに異なる液量の検体を同時に分注させることができる。また、例えば2つ置きに並ぶキュベット16aを1つの組とし、これによって組み分けされる3組のキュベット16aを各々ノズル43A〜43Cに対応付け、この3つの組ごとにノズル43A〜43Cの容積に応じた液量の検体を分注することができる。
【0061】
さらに、ノズル43A〜43Cの排出口の配列間隔は、複数のキュベット16aの搬送間隔距離の整数倍としてもよい。このように配列間隔を設定した場合にも、分注プレート31の下部に搬送された複数のキュベット16aのうち3つは、各々ノズル43A〜43Cの排出口の直下に所定期間だけ同時に配置される。このため、加圧機構33は、この3つのキュベット16aに対してノズル43A〜43C内の各検体を同時に排出させ、分注することができる。
【0062】
また、検体用第2分注部13による分注動作は、上述した分注動作に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上述した分注動作では、各ノズル43A〜43Cから複数のキュベット16aに同時に検体を分注するものとして説明したが、キュベット16aごとに異なるタイミングで検体を分注することもできる。この場合、検体用第2分注部13では、ノズル43A〜43Cのうち2以上のノズルに保持された各検体を順次排出させ、この各液体を同一のキュベット16aに分注することで、ノズル43A〜43Cの各容積を適宜合計して算出される液量の検体を分注することができる。
【0063】
さらに、検体用第2分注部13では、複数のキュベット16aごとに個別にノズル43A〜43Cを対応付けて順次排出させることで、キュベット16aごとに指定される液量の検体を各キュベット16aに分注することができる。ここで、キュベット16aごとに対応付けられるノズル数は、単数でも複数でもよい。また、キュベット16aごとに指定可能な液量は、適宜対応付けしたノズル43A〜43Cの容積を合計して算出される液量である。
【0064】
また、上述した分注動作では、各ノズル43A〜43Cがキュベット16aごとに1回ずつ分注を行うものとして説明したが、1つのキュベット16aに対して連続して複数回の分注を行うこともできる。これによって、キュベット16aごとに一層多彩な液量を指定して検体の分注を行うことができる。
【0065】
さらに、上述した分注動作では、ノズル43A〜43Cの排出口の配列間隔が、複数のキュベット16aの搬送間隔距離と等しいか整数倍であるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、各ノズル43A〜43Cの排出口の直下にキュベット16aが搬送されたこと検知し得る機構を備え、この機構によってノズル43A〜43Cごとに対応付けられたキュベット16aが搬送されたことを検知した場合に、対応するノズルから検体を排出し、分注することもできる。これによって、検体用第2分注部13は、任意に設定した配列間隔および搬送間隔距離のもとで分注動作を行うことができ、間欠的に配列して搬送されるキュベット16aに対する分注動作を行うこともできる。
【0066】
また、上述した分注動作では、分注プレート31が3つのノズル43A〜43Cを有するものとして説明したが、検体用第2分注部13は、分注プレート31に替えて、例えば図9に示すように、1つのノズル43Aを有する分注プレート131を用いて分注を行うようにしてもよい。さらに、検体用第2分注部13は、2つまたは4つ以上のノズルを有する分注プレートを用いて分注を行うようにすることもできる。この場合、分注プレート上の各ノズルの排出口をカーブC2上に配列することが好ましい。
【0067】
以上説明したように、この実施の形態1にかかる分析装置1では、検体を受容するリザーバーと、外部に連通する排出口が底部に設けられ、リザーバーに保持された検体から所定量を計量して保持するノズルと、を有する分注プレートと、分注プレートのリザーバーに検体を仮分注する仮分注手段としての検体用第1分注部12と、各ノズルにおいて計量された検体を各排出口から排出させ、各排出口の下部に設けられたキュベット16aに本分注する本分注手段としての検体用第2分注部13と、を備えているため、煩雑な作業を必要とせず自動的かつ短時間に検体をキュベット16aに分注することができるとともに、このように分注された所定量の検体に対して、成分分析等の分析を行うことができる。
【0068】
また、分析装置1では、検体用第1分注部12は、所定量以上、かつリザーバーの容積以下の液量の検体をリザーバーに仮分注した後で、より分注精度の高い本分注をするようにしているため、所定量の検体をより簡易な機構で、高精度の分注を行うことができる。
【0069】
(実施の形態2)
つぎに本発明の実施の形態2にかかる分析装置および分注装置について説明する。図10は、本実施の形態2にかかる分析装置が備える仮分注手段としての検体用第1分注部212と、本分注手段としての検体用第2分注部213との要部構成を示す斜視図である。本実施の形態2にかかる分析装置は、分析装置1をもとに検体用第1分注部12および検体用第2分注部13に替えて、検体用第1分注部212および検体用第2分注部213を備える。
【0070】
また、検体用第2分注部213は、検体用第2分注部13が回転搬送可能に備えた分注プレート31に替えて、図示しない保持機構によって固定配置された分注プレート231を備えるとともに、検体用第2分注部13が上下動可能に備えた加圧機構33に替えて、水平移動可能な加圧機構233を備える。ここで、分注プレート231は、ポジションP2において搬送経路16b上の複数のキュベット16aの上部に固定配置されている。なお、図10において、実施の形態1と同一の構成部分には同一符号を付して示している。
【0071】
検体用第1分注部212は、検体用第1分注部12と同様に構成されており、プローブ12bによって検体容器11aから取得した検体を、分注プレート31のリザーバー41A〜41Cに仮分注する。ただし、検体用第1分注部212では、アーム12aおよびプローブ12bは、図示しない移動手段によって、検体容器11aと分注プレート231との間で仮分注手段の移動軌跡としてのカーブC3に沿って水平旋回可能に構成されている。
【0072】
分注プレート231は、分注プレート31が備えた分注器40A〜40Cに替えて、この分注器40A〜40Cと同様の構造を有する分注器40D〜40Fを備える。分注器40D〜40Fは、分注器40A〜40Cと同様に、リザーバー41D〜41Fに受容した検体を、各々ノズル43D〜43Fで計量して保持する。各ノズル43D〜43Fの底部に設けられた排出口はカーブC2上に配列されており、搬送経路16b上で搬送される複数のキュベット16aの上部に配置されている。また、リザーバー40D〜40Fは、カーブC3に沿って配列されており、アーム12aの旋回動作中に順次プローブ12bから検体の分注を受ける。
【0073】
加圧機構233は、加圧機構33が備えた圧力パルス印加機構33A〜33Cと同様の構成および機能を有する圧力パルス印加機構233A〜233Cを備える。ただし、圧力パルス印加機構233A〜233Cでは、気体導入管およびon−offバルブを水平方向に配管して構成されている。かかる加圧機構233は、検体用第1分注部212がリザーバー41D〜41Fに対して仮分注を行った場合、図示しない移動手段によって、図10中の矢印方向に水平移動させられ、分注プレート231の上部に配設される。そして、分注器40D〜40Fごとに圧力パルスを印加し、ノズル43D〜43Fに保持した各検体を、これらのノズルごとに同時または非同時に排出させ、複数のキュベット16aに検体を分注する。その後、加圧機構233は、分注プレート231の上部から水平移動して元の位置に搬出され、検体用第1分注部212による仮分注が可能な状態で待機する。
【0074】
このようにして、検体用第1分注部212および検体用第2分注部213では、搬送経路16b上で搬送される複数のキュベット16aの上部に分注プレート231を固定配置したまま、プローブ12bと加圧機構233とを順次分注プレート231上に移動することで、検体の仮分注および本分注を行うことができる。また、検体用第2分注部213による本分注では、検体用第2分注部13と同様に、分注プレート231が有する各ノズル43D〜43Fから、この各ノズル43D〜43Fの直下に搬送された複数のキュベット16aに対して同時または非同時に、キュベット16aごとに指定される液量の検体を分注することができる。
【0075】
ここまで、本発明を実施する最良の形態を実施の形態1および2として説明したが、本発明は、この実施の形態1および2に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば種々の変形が可能である。例えば、上述した実施の形態1および2では、本発明にかかる分注装置を、検体の分注にのみ用いるものとして説明したが、試薬の分注にも適用することができる。これによって、微量の試薬の分注が可能となるばかりか、キュベットごとに指定される液量の試薬を複数のキュベットに対して高速に分注することができ、分析装置における分析処理を高速化することが可能となる。
【0076】
また、上述した実施の形態1および2では、キュベットの搬送経路が円周状であるものとしたが、楕円形、多角形等の周囲に沿って搬送されるものでもよい。さらに、分注プレートの下部において搬送経路が円弧状であるものとしたが、分注プレート上の各ノズルの排出口を搬送経路に沿って配列することとすれば、搬送経路は任意形状でよく、曲線状でも直線状でもよい。これによって、分析装置におけるキュベットの搬送経路の自由度を高めることができる。
【0077】
また、上述した実施の形態1では、検体用第2分注部13は、各々4つの分注プレート31,131を備えるものとしたが、4つに限定されず、5つ以上備えてもよい。あるいは、2つまたは3つの分注プレートのみを、ポジションP1,P2に同時に配設可能なように備えてもよい。また、検体用第2分注部13は、同一構造の複数の分注プレートを備えるものとしたが、異なる分注器を有した複数の分注プレートを備えることもできる。さらに、検体用第2分注部13は、複数の分注プレートを回転搬送してポジションP1〜P4に配設するものとしたが、回転搬送に限定されることはなく、例えば2次元的に平面搬送するステージや3次元的な搬送が可能な搬送アーム等を用いて搬送を行うようにしてもよい。
【0078】
さらに、上述した実施の形態1および2では、分注プレート31,131,231は、リザーバー、微細流路およびノズルが一体に形成された分注器を有するものとしたが、一体形成に限定されず、例えば微細流路およびノズルに対してリザーバーを分離可能な分注器を有するものとしてもよい。この場合、検体用第2分注部13は、ノズルおよび微細流路をポジションP1,P2に固定し、リザーバーのみポジションP1,P2間で搬送を行うようにしてもよい。
【0079】
また、上述した実施の形態1および2では、分注プレート31,131,231は、分注器ごとにリザーバー、微細流路およびノズルを有するものとしたが、例えば1つのリザーバーに複数の微細流路およびノズルを接続した構造としてもよい。この場合、仮分注すべきリザーバー数が削減されるため、仮分注に要する時間を短縮することができ、分注処理を高速化することができる。
【0080】
さらに、上述した実施の形態1および2では、分注プレート31,131,231は、リザーバー、微細流路およびノズルから構成される分注器を備えるものとしたが、例えば底部に排出口を有するリザーバー、もしくは容積と上部開口とを拡大したノズルを分注器として備えるようにしてもよい。この場合、加圧機構は、圧力パルスの圧力値および圧力印加時間等によって検体の排出量および分注量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した検体用第2分注部を拡大して示す平面図である。
【図3】図1に示した検体用第2分注部を拡大して示す斜視図である。
【図4−1】分注プレートに形成された分注器の構造を示す斜視図である。
【図4−2】分注プレートに形成された分注器の構造を示す断面図である。
【図5】分注プレート上の分注器の配置を説明する図である。
【図6−1】加圧機構の構成を示す縦断面図である。
【図6−2】加圧機構の構成を示す横断面図である。
【図7−1】分注プレートによる分注手順を説明する図である。
【図7−2】分注プレートによる分注手順を説明する図である。
【図7−3】分注プレートによる分注手順を説明する図である。
【図7−4】分注プレートによる分注手順を説明する図である。
【図7−5】分注プレートによる分注手順を説明する図である。
【図7−6】分注プレートによる分注手順を説明する図である。
【図8−1】分注プレートから複数のキュベットに同時に分注する分注動作を説明する図である。
【図8−2】分注プレートから複数のキュベットに同時に分注する分注動作を説明する図である。
【図9】分注プレートの変形例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2にかかる分析装置が備える検体用第2分注部の要部構成を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
1 分析装置
10 測定機構
11 検体移送部
11a 検体容器
11b 検体ラック
12,212 検体用第1分注部
12a アーム
12b プローブ
13,213 検体用第2分注部
14 試薬テーブル
14a 試薬容器
14b プローブ
15 試薬分注部
15a アーム
15b プローブ
16 反応テーブル
16a キュベット
16b,16c 搬送経路
17 測光部
17a 発光部
17b 受光部
18 洗浄部
20 制御分析機構
21 制御部
22 入力部
23 出力部
24 記憶部
31,131,231 分注プレート
32 円盤状部材
33,233 加圧機構
33A〜33C,233A〜233C 圧力パルス印加機構
33a 気体導入管
33b on−offバルブ
33c 多孔質フィルタ
33d 密閉空間
33e 密閉部材
34 ビス
35a,35b 貫通孔
36 ピン
40A〜40F 分注器
41A〜41F リザーバー
42A〜42C 微細流路
43A〜43F ノズル
43Aa 容器部
43Ab 排管部
43Ac 排出口
C1〜C3 カーブ
P1〜P4 ポジション
R1〜R2 半径
W 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を受容する受容部と、外部に連通する排出口が底部に設けられ、前記受容部に保持された前記液体から所定量を計量して保持する計量部と、を有する分注プレートと、
前記分注プレートの受容部に前記液体を仮分注する仮分注手段と、
前記計量部において計量された前記液体を前記排出口から排出させ、該排出口の下部に設けられた容器に本分注する本分注手段と、
を備えたことを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記本分注手段が行う本分注の分注精度は、前記仮分注手段が行う仮分注の分注精度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記仮分注手段は、前記所定量以上、かつ前記受容部の容積以下の液量の前記液体を前記受容部に仮分注することを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項4】
前記計量部は、前記受容部に接続された微細流路に生じる毛細管力によって前記受容部から流出された前記液体を計量して保持することを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項5】
前記本分注手段は、前記計量部に保持された前記液体に圧力を加え、該液体を前記排出口から排出させることを特徴とする請求項2に記載の分注装置。
【請求項6】
前記本分注手段は、前記計量部に保持された前記液体の上部に密閉空間を形成し、該密閉空間に気体を導入して前記液体に圧力を加えることを特徴とする請求項5に記載の分注装置。
【請求項7】
前記仮分注手段および前記本分注手段は、互いに場所および時点の少なくとも一方を異ならせて、それぞれ前記液体の仮分注および本分注を行うことを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項8】
前記仮分注手段が前記受容部に前記液体を仮分注する場合、前記分注プレートを前記容器上に移動するとともに、前記排出口を該容器の上部に配設する移動手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の分注装置。
【請求項9】
前記移動手段は、前記分注プレートが円周部に取り付けられた円盤状部材を周方向に回動し、該分注プレートを前記容器上に移動することを特徴とする請求項8に記載の分注装置。
【請求項10】
前記容器上に配設された前記分注プレートの上部に前記仮分注手段を移動する第1移動手段と、
前記第1移動手段によって移動させられた前記仮分注手段が前記受容部に前記液体を仮分注した場合、前記本分注手段を水平移動して前記分注プレートの上部に配設する第2移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の分注装置。
【請求項11】
前記受容部は、前記仮分注手段の移動軌跡の下に配置されることを特徴とする請求項10に記載の分注装置。
【請求項12】
液体を受容する受容部と、外部に連通する排出口が底部に設けられ、前記受容部に保持された前記液体を計量して保持する計量部とを有する分注プレートと、
前記分注プレートの受容部に該受容部の容積以下の液量の前記液体を仮分注する仮分注手段と、
前記計量部に保持された、前記受容部に仮分注された液量より少ない液量の前記液体を前記排出口から排出させ、該排出口の下部に設けられた容器に本分注する本分注手段と、
を備えたことを特徴とする分注装置。
【請求項13】
容器に分注された液体を分析する分析装置であって、請求項1〜12のいずれか一つに記載の分注装置を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項14】
液体を受容する受容部と、外部に連通する排出口が底部に設けられ、前記受容部に保持された前記液体から所定量を計量して保持する計量部と、を有する分注プレートを備えた分注装置の分注方法において、
前記分注プレートの受容部に前記液体を仮分注する仮分注ステップと、
前記計量部に保持された前記液体を前記排出口から排出させ、該排出口の下部に設けられた容器に本分注する本分注ステップと、
を含むことを特徴とする分注方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−170972(P2007−170972A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368654(P2005−368654)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】