分注装置
【課題】分注の良否を判定することで、高精度な分注を可能とした分注装置を提供すること。
【解決手段】プローブ3における静電容量の変化によって液体試料の液面を検知し、プローブによって液体試料を吸引・吐出して分注を行う分注装置1。液体試料を吸引後に検知した液体試料の第1の液面位置と、吸引した液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置との差に基づいて液体試料における分注の良否を判定する判定装置13が設けられている。
【解決手段】プローブ3における静電容量の変化によって液体試料の液面を検知し、プローブによって液体試料を吸引・吐出して分注を行う分注装置1。液体試料を吸引後に検知した液体試料の第1の液面位置と、吸引した液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置との差に基づいて液体試料における分注の良否を判定する判定装置13が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料の分注の良否を判定する判定機能を備えた分注装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬を用いて血液等の検体中に含まれる物質の量を分析する自動分析装置においては、正しい分析結果を得るため、検体や試薬等の液体試料を精度よく分注する必要があった。このため、自動分析装置は、通常、液体試料の液面を検知する分注装置を備え、分注装置が検知した液面位置に基づいて液体試料の適切な分注作業を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−57096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の自動分析装置は、検体や試薬等の液体試料を分注する際、内蔵した分注装置において、液体試料を吸引・吐出するプローブが液面に接触するときの静電容量の変化に基づいて液体試料の液面を検知している。しかし、自動分析装置は、分析中に液体試料の液面に気泡や膜等、例えば、気泡が存在すると、分注装置がその気泡を液面として誤検知し、分注作業を開始してしまう。この結果、自動分析装置においては、分注装置が液体試料を空気と共に吸い込んでしまい、液体試料の高精度な分注が妨げられ、信頼性のある分析ができなくなる恐れがあった。
【0005】
また、自動分析装置においては、液体試料の容器が適正にセットされていないと、液体試料中に気泡が紛れ込んでしまうことから、取扱い説明書に容器の適正なセット方法が注意事項として記載されている。しかし、作業者が分析作業に忙殺されたり、うっかりミス等によって液体試料の容器を適正でない状態にセットすると、液体試料中に気泡が混入する結果、液体試料の液面に気泡が発生してしまい、上記と同様の状況が発生するという問題があった。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、分注の良否を判定することで、高精度な分注を可能とした分注装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、プローブにおける静電容量の変化によって液体試料の液面を検知し、前記プローブによって前記液体試料を吸引・吐出して分注を行う分注装置において、前記液体試料を吸引後に検知した前記液体試料の第1の液面位置と、吸引した前記液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置との差に基づいて前記液体試料における分注の良否を判定する判定装置が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる分注装置は、液体試料を吸引後に検知した前記液体試料の第1の液面位置と、吸引した前記液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置との差に基づいて判定装置が前記液体試料における分注の良否を判定するので、気泡等を含む液面の異常を検知して分注の良否を判定することで、高精度な分注を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、この発明に係る分注装置の好適な実施例について説明する。
【実施例】
【0010】
まず、この発明の分注装置に係る実施例について説明する。図1は、この発明の実施例である検体を分注する分注装置の構成を示す図である。分注装置1は、図1に示すように、プローブ3、給排ポンプ5、圧力センサ7、洗浄水ポンプ8、増幅回路12、判定装置13、制御回路14及び入力装置15を備えている。
【0011】
プローブ3は、管路2によって給排ポンプ5、圧力センサ7及び洗浄水ポンプ8と接続され、検体あるいは試薬を含む液体試料の液面と接触したときに静電容量が変化するステンレス等の導電性素材から形成されている。プローブ3は、駆動手段4によって図中矢印Aで示す上下方向及び各位置P1〜P4に移動され、液体試料の液面との相対位置に基づく静電容量の変化を判定装置13に出力する。ここで、管路2は、合成樹脂からなる可撓性を有する内径2〜3mmのパイプが使用されている。また、位置P1には、検体が入ったサンプルカップ20が、位置P2には、サンプルカップ20から分注した検体を吐出する分注容器21が、それぞれ配置されている。位置P3には、プローブ3を洗浄した洗浄水11を吐出する洗浄容器22が、位置P4には、洗浄水11では洗浄しきれないときに、プローブ3を洗浄する洗剤が入った洗剤カップ23が、それぞれ配置されている。この洗剤によるプローブ3の洗浄は選択に基づいて実行される。一方、駆動手段4は、後述するCPU13bからの指令に基づいて作動が制御され、プローブ3を位置P1〜P4に移動すると共に、プローブ3の先端を所定深さまで液体試料中に侵入させる。
【0012】
給排ポンプ5は、プローブ3に液体試料を吸引・吐出させるシリンジで、ポンプ駆動手段6によってピストン5aが往復動される。
【0013】
圧力センサ7は、給排ポンプ5によって液体試料を吸引・吐出する際の管路2内における液体試料の圧力を検知し、圧力信号(アナログ)として増幅回路12へ出力する。
【0014】
洗浄水ポンプ8は、タンク10に貯留された脱気した洗浄水11を吸い上げて圧力センサ7との間に設けた電磁弁9を介して管路2内に圧送する。このとき、電磁弁9は、吸い上げた洗浄水11を管路2内に圧送するときは「開」に切り替えられ、給排ポンプ5によってプローブ3が液体試料を吸引・吐出するときは「閉」に切り替えられる。
【0015】
増幅回路12は、圧力センサ7から出力される圧力信号(アナログ)を増幅し、増幅した圧力信号を判定装置13へ出力する。
【0016】
判定装置13は、液体試料の分注の良否を判定するもので、A/D変換器13a、CPU13b、記憶装置13c及び静電容量検出回路13dを備えている。A/D変換器13aは、増幅回路12から入力される圧力信号(アナログ)をデジタル信号に変換する。CPU13bは、記憶装置13cから読み出した制御信号に基づいて駆動手段4の作動によるプローブ3の上下方向並びに位置P1〜P4への位置決めを制御すると共に、静電容量検出回路13dから出力される静電容量信号と記憶装置13cから読み出される駆動手段4の制御信号とに基づき、液体試料を吸引後に検知した液体試料の第1の液面位置、吸引した液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置及び両液面位置の差ΔHを、それぞれ演算し、第1及び第2の液面位置とその差ΔHとを液面情報信号として記憶装置13cへ出力する。記憶装置13cは、プローブ3によって液体試料を吸引・吐出する際の管路2内における洗浄水11の圧力に関する所定の閾値、駆動手段4の制御信号及びCPU13bから出力された前記液面情報信号並びに予め設定された前記液面位置の差ΔHに関する閾値ΔHtを格納している。静電容量検出回路13dは、プローブ3と液体試料の液面との相対位置に基づく静電容量の変化を検知し、検知した静電容量信号をCPU13bに出力する。
【0017】
制御回路14は、入力装置15から入力された情報と判定装置13から入力される情報とに基づいて駆動手段4,ポンプ駆動手段6,洗浄水ポンプ8及び電磁弁9の動作を制御する。
【0018】
入力装置15は、前記閾値等を入力するキーボード等で、例えば、増幅回路12及び判定装置13と共に、ディスプレイ装置を備えたパーソナルコンピュータとして一体化したものであってもよい。
【0019】
以上のように構成される分注装置1は、以下のように使用される。先ず、電磁弁9を開の状態にして洗浄水ポンプ8によってタンク10内の洗浄水11を管路2内に圧送し、プローブ3の先端に空気層を所定量残して洗浄水11を満たす。
【0020】
次に、電磁弁9を閉の状態に切り替え、駆動手段4によってプローブ3をサンプルカップ20が配置された位置P1に位置決めした後、下降させ、プローブ3の先端をサンプルカップ20の検体中に所定量侵入させる。
【0021】
次いで、ポンプ駆動手段6によって給排ポンプ5のピストン5aを引き、プローブ3内に検体を所定量吸い込む。このとき、検体は、洗浄水11との間に前記空気層が介在した状態で吸い込まれるので、洗浄水11と混ざり合うことはない。
【0022】
しかる後、駆動手段4によってプローブ3を上昇させ、分注容器21が配置された位置P2にプローブ3を位置決めした後、再び下降させ、ポンプ駆動手段6によって給排ポンプ5のピストン5aを押してプローブ3内に吸い込んだ検体を分注容器21に吐出する。
【0023】
そして、駆動手段4によってプローブ3を上昇させ、洗浄容器22が配置された位置P3にプローブ3を位置決めした後、再び下降させ、電磁弁9を開の状態に切り替える。そして、洗浄水ポンプ8を駆動してタンク10内の洗浄水11を管路2内に圧送し、プローブ3から洗浄容器22に吐出させてプローブ3を洗浄水11で洗浄することで、1つの検体の分注作業が完了する。このとき、プローブ3を洗浄水11で洗浄しきれないときには、洗剤でプローブ3を洗浄することもある。一方、他の検体を分注するときには、以上の動作を繰り返すことにより、新たなサンプルカップ20から新たな分注容器21に順次新たな検体を分注してゆく。
【0024】
このとき、分注装置1においては、判定装置13が以下のようにして分注の良否を判定する。
【0025】
先ず、CPU13bは、検体を所定量吸い込んだプローブ3が上昇し、サンプルカップ20の液面から離れる吸引後に検知した検体の第1の液面位置Ls1、吸引した検体を吐出後、プローブ3が下降してきて同一の検体について吸引前に検知した第2の液面位置Ls2及び両液面位置の差ΔH(=Ls2−Ls1)を、静電容量検出回路13dから出力される静電容量信号と記憶装置13cから読み出される駆動手段4の制御信号とに基づいて演算する。このとき、検体に気泡等が発生せず、分注が良好に実行されていれば差ΔH=0となる。
【0026】
これに対し、図2に示すように、検体を所定量吸い込んだプローブ3が上昇した後、サンプルカップ20の検体に気泡Bが存在すると、吸引した検体を吐出後、吸引前に同一の検体に関してCPU13bによって演算される第2の液面位置Ls2は、気泡Bの存在によって第1の液面位置Ls1とは異なり、両液面位置の差ΔH>0となる。このため、記憶装置13cには、許容誤差等を考慮した閾値ΔHtを予め記憶させておく。この場合、閾値ΔHtは、前記許容誤差の他、試薬や検体等の粘性等によって異なり、個々の液体試料について決められる。
【0027】
そして、CPU13bは、記憶装置13cから読み出した閾値ΔHtと実測された差ΔHとを比較し、前記液面位置の差ΔHが閾値ΔHt以内であれば、検体の分注を良と判定し、閾値ΔHtを超えていれば、検体の分注を不良と判定する。このように、分注装置1は、分注する液体試料を収容した容器の形状や分注量に関係なく、分注の良否を判定装置13によって判定することができる。この場合、分注装置1においては、サンプルカップ20等の液体試料の容器は、内容量が減少しても、液面形状が変化しない範囲で使用することが好ましいが、液面形状が変化する場合には、予め液面位置の変化量も考慮して分注の良否を判定するようにする。
【0028】
このようにして判定された分注の良否に基づき、分注装置1においては、分注不良と判定されたときには、警報や分注不良マークが制御回路14から表示装置(図示せず)に出力される。このような分注不良が発生した場合、オペレータは、マニュアル操作によってプローブを引き上げて容器を取り出し、内部の気泡を除去した後、改めて分注操作を行う。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかる分注装置は、液体試料の分注に有用であり、特に、自動分析装置での使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例である分注装置の構成を示す図である。
【図2】図1の分注装置における分注の良否の判定を説明する図である。
【符号の説明】
【0031】
1 分注装置
2 管路
3 プローブ
4 駆動手段
5 給排ポンプ
5a ピストン
6 ポンプ駆動手段
7 圧力センサ
8 洗浄水ポンプ
9 電磁弁
10 タンク
11 洗浄水
12 増幅回路
13 判定装置
13a A/D変換器
13b CPU
13c 記憶装置
13d 静電容量検出回路
14 制御回路
15 入力装置
20 サンプルカップ
21 分注容器
22 洗浄容器
23 洗剤カップ
Ls1 第1の液面位置
Ls2 第2の液面位置
P1〜P4 位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料の分注の良否を判定する判定機能を備えた分注装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬を用いて血液等の検体中に含まれる物質の量を分析する自動分析装置においては、正しい分析結果を得るため、検体や試薬等の液体試料を精度よく分注する必要があった。このため、自動分析装置は、通常、液体試料の液面を検知する分注装置を備え、分注装置が検知した液面位置に基づいて液体試料の適切な分注作業を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−57096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の自動分析装置は、検体や試薬等の液体試料を分注する際、内蔵した分注装置において、液体試料を吸引・吐出するプローブが液面に接触するときの静電容量の変化に基づいて液体試料の液面を検知している。しかし、自動分析装置は、分析中に液体試料の液面に気泡や膜等、例えば、気泡が存在すると、分注装置がその気泡を液面として誤検知し、分注作業を開始してしまう。この結果、自動分析装置においては、分注装置が液体試料を空気と共に吸い込んでしまい、液体試料の高精度な分注が妨げられ、信頼性のある分析ができなくなる恐れがあった。
【0005】
また、自動分析装置においては、液体試料の容器が適正にセットされていないと、液体試料中に気泡が紛れ込んでしまうことから、取扱い説明書に容器の適正なセット方法が注意事項として記載されている。しかし、作業者が分析作業に忙殺されたり、うっかりミス等によって液体試料の容器を適正でない状態にセットすると、液体試料中に気泡が混入する結果、液体試料の液面に気泡が発生してしまい、上記と同様の状況が発生するという問題があった。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、分注の良否を判定することで、高精度な分注を可能とした分注装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、プローブにおける静電容量の変化によって液体試料の液面を検知し、前記プローブによって前記液体試料を吸引・吐出して分注を行う分注装置において、前記液体試料を吸引後に検知した前記液体試料の第1の液面位置と、吸引した前記液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置との差に基づいて前記液体試料における分注の良否を判定する判定装置が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる分注装置は、液体試料を吸引後に検知した前記液体試料の第1の液面位置と、吸引した前記液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置との差に基づいて判定装置が前記液体試料における分注の良否を判定するので、気泡等を含む液面の異常を検知して分注の良否を判定することで、高精度な分注を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、この発明に係る分注装置の好適な実施例について説明する。
【実施例】
【0010】
まず、この発明の分注装置に係る実施例について説明する。図1は、この発明の実施例である検体を分注する分注装置の構成を示す図である。分注装置1は、図1に示すように、プローブ3、給排ポンプ5、圧力センサ7、洗浄水ポンプ8、増幅回路12、判定装置13、制御回路14及び入力装置15を備えている。
【0011】
プローブ3は、管路2によって給排ポンプ5、圧力センサ7及び洗浄水ポンプ8と接続され、検体あるいは試薬を含む液体試料の液面と接触したときに静電容量が変化するステンレス等の導電性素材から形成されている。プローブ3は、駆動手段4によって図中矢印Aで示す上下方向及び各位置P1〜P4に移動され、液体試料の液面との相対位置に基づく静電容量の変化を判定装置13に出力する。ここで、管路2は、合成樹脂からなる可撓性を有する内径2〜3mmのパイプが使用されている。また、位置P1には、検体が入ったサンプルカップ20が、位置P2には、サンプルカップ20から分注した検体を吐出する分注容器21が、それぞれ配置されている。位置P3には、プローブ3を洗浄した洗浄水11を吐出する洗浄容器22が、位置P4には、洗浄水11では洗浄しきれないときに、プローブ3を洗浄する洗剤が入った洗剤カップ23が、それぞれ配置されている。この洗剤によるプローブ3の洗浄は選択に基づいて実行される。一方、駆動手段4は、後述するCPU13bからの指令に基づいて作動が制御され、プローブ3を位置P1〜P4に移動すると共に、プローブ3の先端を所定深さまで液体試料中に侵入させる。
【0012】
給排ポンプ5は、プローブ3に液体試料を吸引・吐出させるシリンジで、ポンプ駆動手段6によってピストン5aが往復動される。
【0013】
圧力センサ7は、給排ポンプ5によって液体試料を吸引・吐出する際の管路2内における液体試料の圧力を検知し、圧力信号(アナログ)として増幅回路12へ出力する。
【0014】
洗浄水ポンプ8は、タンク10に貯留された脱気した洗浄水11を吸い上げて圧力センサ7との間に設けた電磁弁9を介して管路2内に圧送する。このとき、電磁弁9は、吸い上げた洗浄水11を管路2内に圧送するときは「開」に切り替えられ、給排ポンプ5によってプローブ3が液体試料を吸引・吐出するときは「閉」に切り替えられる。
【0015】
増幅回路12は、圧力センサ7から出力される圧力信号(アナログ)を増幅し、増幅した圧力信号を判定装置13へ出力する。
【0016】
判定装置13は、液体試料の分注の良否を判定するもので、A/D変換器13a、CPU13b、記憶装置13c及び静電容量検出回路13dを備えている。A/D変換器13aは、増幅回路12から入力される圧力信号(アナログ)をデジタル信号に変換する。CPU13bは、記憶装置13cから読み出した制御信号に基づいて駆動手段4の作動によるプローブ3の上下方向並びに位置P1〜P4への位置決めを制御すると共に、静電容量検出回路13dから出力される静電容量信号と記憶装置13cから読み出される駆動手段4の制御信号とに基づき、液体試料を吸引後に検知した液体試料の第1の液面位置、吸引した液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置及び両液面位置の差ΔHを、それぞれ演算し、第1及び第2の液面位置とその差ΔHとを液面情報信号として記憶装置13cへ出力する。記憶装置13cは、プローブ3によって液体試料を吸引・吐出する際の管路2内における洗浄水11の圧力に関する所定の閾値、駆動手段4の制御信号及びCPU13bから出力された前記液面情報信号並びに予め設定された前記液面位置の差ΔHに関する閾値ΔHtを格納している。静電容量検出回路13dは、プローブ3と液体試料の液面との相対位置に基づく静電容量の変化を検知し、検知した静電容量信号をCPU13bに出力する。
【0017】
制御回路14は、入力装置15から入力された情報と判定装置13から入力される情報とに基づいて駆動手段4,ポンプ駆動手段6,洗浄水ポンプ8及び電磁弁9の動作を制御する。
【0018】
入力装置15は、前記閾値等を入力するキーボード等で、例えば、増幅回路12及び判定装置13と共に、ディスプレイ装置を備えたパーソナルコンピュータとして一体化したものであってもよい。
【0019】
以上のように構成される分注装置1は、以下のように使用される。先ず、電磁弁9を開の状態にして洗浄水ポンプ8によってタンク10内の洗浄水11を管路2内に圧送し、プローブ3の先端に空気層を所定量残して洗浄水11を満たす。
【0020】
次に、電磁弁9を閉の状態に切り替え、駆動手段4によってプローブ3をサンプルカップ20が配置された位置P1に位置決めした後、下降させ、プローブ3の先端をサンプルカップ20の検体中に所定量侵入させる。
【0021】
次いで、ポンプ駆動手段6によって給排ポンプ5のピストン5aを引き、プローブ3内に検体を所定量吸い込む。このとき、検体は、洗浄水11との間に前記空気層が介在した状態で吸い込まれるので、洗浄水11と混ざり合うことはない。
【0022】
しかる後、駆動手段4によってプローブ3を上昇させ、分注容器21が配置された位置P2にプローブ3を位置決めした後、再び下降させ、ポンプ駆動手段6によって給排ポンプ5のピストン5aを押してプローブ3内に吸い込んだ検体を分注容器21に吐出する。
【0023】
そして、駆動手段4によってプローブ3を上昇させ、洗浄容器22が配置された位置P3にプローブ3を位置決めした後、再び下降させ、電磁弁9を開の状態に切り替える。そして、洗浄水ポンプ8を駆動してタンク10内の洗浄水11を管路2内に圧送し、プローブ3から洗浄容器22に吐出させてプローブ3を洗浄水11で洗浄することで、1つの検体の分注作業が完了する。このとき、プローブ3を洗浄水11で洗浄しきれないときには、洗剤でプローブ3を洗浄することもある。一方、他の検体を分注するときには、以上の動作を繰り返すことにより、新たなサンプルカップ20から新たな分注容器21に順次新たな検体を分注してゆく。
【0024】
このとき、分注装置1においては、判定装置13が以下のようにして分注の良否を判定する。
【0025】
先ず、CPU13bは、検体を所定量吸い込んだプローブ3が上昇し、サンプルカップ20の液面から離れる吸引後に検知した検体の第1の液面位置Ls1、吸引した検体を吐出後、プローブ3が下降してきて同一の検体について吸引前に検知した第2の液面位置Ls2及び両液面位置の差ΔH(=Ls2−Ls1)を、静電容量検出回路13dから出力される静電容量信号と記憶装置13cから読み出される駆動手段4の制御信号とに基づいて演算する。このとき、検体に気泡等が発生せず、分注が良好に実行されていれば差ΔH=0となる。
【0026】
これに対し、図2に示すように、検体を所定量吸い込んだプローブ3が上昇した後、サンプルカップ20の検体に気泡Bが存在すると、吸引した検体を吐出後、吸引前に同一の検体に関してCPU13bによって演算される第2の液面位置Ls2は、気泡Bの存在によって第1の液面位置Ls1とは異なり、両液面位置の差ΔH>0となる。このため、記憶装置13cには、許容誤差等を考慮した閾値ΔHtを予め記憶させておく。この場合、閾値ΔHtは、前記許容誤差の他、試薬や検体等の粘性等によって異なり、個々の液体試料について決められる。
【0027】
そして、CPU13bは、記憶装置13cから読み出した閾値ΔHtと実測された差ΔHとを比較し、前記液面位置の差ΔHが閾値ΔHt以内であれば、検体の分注を良と判定し、閾値ΔHtを超えていれば、検体の分注を不良と判定する。このように、分注装置1は、分注する液体試料を収容した容器の形状や分注量に関係なく、分注の良否を判定装置13によって判定することができる。この場合、分注装置1においては、サンプルカップ20等の液体試料の容器は、内容量が減少しても、液面形状が変化しない範囲で使用することが好ましいが、液面形状が変化する場合には、予め液面位置の変化量も考慮して分注の良否を判定するようにする。
【0028】
このようにして判定された分注の良否に基づき、分注装置1においては、分注不良と判定されたときには、警報や分注不良マークが制御回路14から表示装置(図示せず)に出力される。このような分注不良が発生した場合、オペレータは、マニュアル操作によってプローブを引き上げて容器を取り出し、内部の気泡を除去した後、改めて分注操作を行う。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかる分注装置は、液体試料の分注に有用であり、特に、自動分析装置での使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例である分注装置の構成を示す図である。
【図2】図1の分注装置における分注の良否の判定を説明する図である。
【符号の説明】
【0031】
1 分注装置
2 管路
3 プローブ
4 駆動手段
5 給排ポンプ
5a ピストン
6 ポンプ駆動手段
7 圧力センサ
8 洗浄水ポンプ
9 電磁弁
10 タンク
11 洗浄水
12 増幅回路
13 判定装置
13a A/D変換器
13b CPU
13c 記憶装置
13d 静電容量検出回路
14 制御回路
15 入力装置
20 サンプルカップ
21 分注容器
22 洗浄容器
23 洗剤カップ
Ls1 第1の液面位置
Ls2 第2の液面位置
P1〜P4 位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブにおける静電容量の変化によって液体試料の液面を検知し、前記プローブによって前記液体試料を吸引・吐出して分注を行う分注装置において、
前記液体試料を吸引後に検知した前記液体試料の第1の液面位置と、吸引した前記液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置との差に基づいて前記液体試料における分注の良否を判定する判定装置が設けられていることを特徴とする分注装置。
【請求項1】
プローブにおける静電容量の変化によって液体試料の液面を検知し、前記プローブによって前記液体試料を吸引・吐出して分注を行う分注装置において、
前記液体試料を吸引後に検知した前記液体試料の第1の液面位置と、吸引した前記液体試料を吐出後、同一の液体試料について吸引前に検知した第2の液面位置との差に基づいて前記液体試料における分注の良否を判定する判定装置が設けられていることを特徴とする分注装置。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2007−322285(P2007−322285A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153917(P2006−153917)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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