説明

分解性ポリオールポリエステル調製のための組成物、ポリオールポリエステル、エラストマー、気泡体、ペイントおよび接着剤、ならびに、分解性ポリオールポリエステル気泡体を得るための方法

本発明は、分解性のポリオールポリエステルの調製を目的とした、ポリ(ヒドロキシブチレート)ポリマーおよび植物油に基づく混合物の組成に関する。この方法において、ポリ(ヒドロキシブチレート)と植物油は加熱下反応してポリオールポリエステルを生成し、ポリオールポリエステルは一旦精製されると、従来のポリウレタンの用途と類似の用途、すなわち、接着剤、気泡体、エラストマーおよびペイント、に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性ポリオールポリエステルの調製ための、ポリヒドロキシブチレートまたはこれのコポリマーによって規定された生分解性ポリマーに基づく、および、少なくとも1つの植物油、1つのイソシアネートおよび少なくとも1つの添加剤(例えば、触媒、界面活性剤、色素剤、充填剤または発泡剤)を含む組成物に関する。
【0002】
生産工程によれば、生分解性ポリマーおよび植物油は加熱下反応してポリオールポリエステルを生成し、このポリオールポリエステルは一旦精製されたならば、例えば、接着剤、気泡体、エラストマーおよびペイントなど、在来のポリウレタンと同様の用途に使用することができる。
【背景技術】
【0003】
ポリオールおよびイソシアネートと混合されてポリウレタン気泡体を生成する生分解性充填材料を含む、生分解性ポリウレタン気泡体の形態の様々な複合材料が従来技術において知られている。生分解性ポリウレタン気泡体の生成および/またはこれの性質を改良するための、前記混合物への種々の添加剤の添加もまた知られている。
【0004】
ポリマー化合物は、改質剤を有する1つまたは複数のポリマーのいずれもの組成物であり、これらは表現された量にて存在する。
【0005】
ポリ(ヒドロキシブチレート)からポリウレタン/ポリエステルを得ることを記述しているいくつかの特許がある。例えば、特許文献US4.324.880は、ポリウレタン生成のための、PHBのトリメチロールプロパンまたはペンタエリトリロールとのエステル交換反応について記述しているが、両試薬とも再生可能資源から得ることができずコスト高である。特許US5.352.753は、ポリエステルイソシアネートを用いてポリ(ヒドロキシブチレート)から得たオリゴマーの形成についても述べている。特許US5,665,831は、特許US4,324,880およびUS5,665,831の条件と類似の条件を用いるPHBのエチレングリコールとのエステル化条件を開示している。しかし、特許WO−02/06368A2に記載されているように、上記の方法の特許は、生分解性またはリサイクルの可能性が提供されておらず、低い柔軟性と疎水性(hydrofobicity)を示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、我々の知識の範囲において、未だ記述されたり利用されたりしたことのない、ポリオールを得るためのPHBのエステル化において天然および再生可能資源から得た生成物の利用に関する。生分解性生成物(気泡体、接着剤、ペイントおよびエラストマー)が得られ、試薬の割合によって、これらの主な性質が大幅に変わり、生成物に高いまたは低い柔軟性、密度および疎水性をもたらす。それ故、これら組成物に基づく生成物は、様々な分野において広範囲に使用することができる。
【0007】
本発明の一般的目的は、ポリヒドロキシブチレートまたはこれのコポリマーおよび植物油によって規定される生分解性ポリマーを使用することによって、例えば、接着剤、気泡体、エラストマーおよびペイントなど様々な用途に使用される分解性ポリオールポリエステルを提供することであり、従来のポリウレタンに置き換わる分解性ポリウレタンを得ることを可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ポリ(ヒドロキシブチレート)またはこれのコポリマー;少なくとも1つの植物油;1つのイソシアネート;および触媒、界面活性剤、色素形成、充填および発泡の機能の1つを提供する少なくとも1つの添加剤によって規定される生分解性ポリマーを含む、ポリオールポリエステルを調製するための組成物が提供される。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、上記で規定されたポリオールポリエステルを得るための方法が提供され、この方法は、
a)組成物を窒素雰囲気下約140から約180℃のPHB溶融温度まで加熱し、温度を180から220℃の値に上昇させて反応を自然に継続させるステップと、および
b)反応生成物を冷却し、約170℃に制御した温度を約10−20分間維持し、温度を約175℃までに維持して、暗色の液体生成物を得、温度を約200℃より高く維持した場合に、褐色の固体生成物を得るステップと
を含む。
【0010】
上記で規定したようにして得られたポリオールポリエステルはまた、水中で複数回洗浄することで不純物を分離する精製ステップに供することができる。
【0011】
発明の詳細な説明
物質:
ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)−PHB:
生分解性ポリマーの種類の中で官能基を含む構造体が大変注目される。これは主として物理的、化学的および生物学的性質におけるこれらの通常の生分解性および融通性による。エネルギーおよび炭素源としての非常に幅広い種類の微生物から生成されるポリアルカノエート(カルボン酸から誘導されたポリエステル)は、生物学的発酵によりまたは化学的に合成することができる。
【0012】
ポリ(ヒドロキシブチレート)−PHBは、ポリアルカノエートの種類の主要なメンバーである。これの重要性は、これの3つの重要な要素、すなわち、100%生分解性であること、耐水性であることおよび熱可塑性ポリマーであることが組み合わさって、従来の熱可塑性ポリマーと同じ利用を可能にすることによって正当化される。以下の式1は、(a)3−ヒドロキシ酪酸および(b)ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)−PHBの構造式を示す。
【0013】
【化1】

【0014】
ポリヒドロキシブチレートの生成方法は、基本的に次の2ステップからなる。
【0015】
発酵ステップ:ここで微生物は、媒体中で利用可能な砂糖を代謝して、PHBを細胞内に貯蔵源として蓄積する。
【0016】
抽出ステップ:ここで、微生物細胞の内部に蓄積されたポリマーが抽出されて、固体および乾燥生成物が得られるまで精製される。
【0017】
PHB Industrial S.Aによって開発されたプロジェクトは、砂糖および/または糖蜜を発酵培地の主要成分として、フーゼル油(有機溶媒−アルコール製造の副産物)を微生物によって合成されたポリマーの抽出システムとして使用することを可能にし、および、過剰のサトウキビバガスをこれら工程のエネルギー生産(蒸気発生)に使用することもまた可能にした。この設計は、砂糖およびアルコール製造で発生する副産物を最大限利用することにより完全な垂直統合を可能にし、いわゆるクリーンで環境的に正しい技術を活用した方法を提供する。
【0018】
PHBの生成方法と類似の生成方法を通して、PHBVとして知られるポリ−(3−ヒドロキシ吉草酸塩)のランダムセグメントを用いてポリ−(3−ヒドロキシブチレート)の半結晶細菌性コポリマーを生成することが可能である。2つの方法の主な違いは、発酵培地中へのプロピオン酸の添加による。細菌への供給物におけるプロピオン酸の量は、コポリマー中のヒドロキシ吉草酸塩−PHV濃度の制御に関与し、分解時間(これは数週間から数年に変えることができる。)および一部の物理的性質(例えば、モル質量、結晶度、表面積)を変えることを可能にする。コポリマーの組成は、さらに融点(これは120から180℃に変えることができる。)、および延性および柔軟性の特性(これは、HV濃度が増加すると改良される。)に影響を及ぼす。
【0019】
式2は、PHBVの基本的構造を示す。
【0020】
【化2】

【0021】
ある研究によれば、試験片の射出直後に、PHBは、40%の最大伸長、1.4GPaの張力弾性率および90J/mの切り欠きIZOD衝撃強さの延性性能を示す。かかる性質は、時間の経過により変性しおよび約1カ月に安定化し、15日間の貯蔵後、物質の脆弱化を反映して伸長が40%から10%へと減少する。同じ貯蔵時間後に、張力弾性率は1.4GPaから3.5GPaに増加し、一方切り欠きIZOD衝撃強さは90J/mから25J/mへと減少する。この現象は、「熟成」として知られており、以降において説明する2次結晶化および無定形領域の閉じ込めに起因するものである。表1は、アイソスタシーポリプロピレンと比較したPHBのいくつかの性質を示す。
【0022】
【表1】

【0023】
PHBまたはこれのポリ(3−ヒドロキシ酪酸−co−ヒドロキシ吉草酸)−PHBVコポリマーの分解速度は、いくつかの環境上の条件の下、これら物品の使用者に大いに関連する。これらを合成ポリマーの可能性のある生分解性代替品として受け入れ可能にする理由は、好気性のおよび嫌気性の環境において、自然の生物学的ミネラリゼーションを通してCO/HO/バイオマスおよびCO/HO/CH/バイオマスをそれぞれ生成する、これらの完全な生分解性のためである。この生分解性は、通常細菌、菌類および藻類による表面への作用を介して起こる。生分解性ポリマー、従ってPHBおよびPHBVの実際の分解速度は、周囲の環境ならびに物品の厚さに依存する。
【0024】
植物油
植物油または植物性脂肪は、触ったときに油っぽく、トリグリセド的性質を有しまたは有していない脂肪質の物質であり、これらは、油性粒子または果実の細胞小器官中に存在し、脂質体またはエスフェロサムとして知られている。植物油は、食品として使用される以外に、薬学、化学、化粧品産業において、オイルとしてまたは関心ある化合物を得るための原料として使用されている。後者は、オイル化学産業の広い分野にわたる(以下の表を参照)。さらに、1932年以降、植物油は燃料としてエンジンに使用できることが既に知られていた。1980年代の初めに、石油価額の高騰と共に、ディーゼル油の再生可能な代替品発見の実現可能性についての議論が開始された。以下のデータによって証明され得るように、作付面積当たりのオイルの収率が高いので、原料を提供するためにヤシ油(アブラヤシ)の培養が試みられた。今日、このプログラムは再公式化されているが、すべての油性物品が可能性のある資源として考えられる。
【0025】
本発明において使用される重要な原料はヒマシ油であり、これは約90%のリシノール酸のトリグリセドを含有する混合物である。ヒマシ油は、天然において実質的に純粋な形で見出されるのに加えて、依然として水酸化脂肪酸および不飽和脂肪酸の希少な資源である。これの組成および理想的構造をそれぞれ図3および表2に示す。これの組成および特徴的構造により、いくつかの化学反応に従って広範囲な生成物を得ることが可能である。
【0026】
植物油は、使用することができ、または大豆、コーン、トウゴマ、ヤシ、ココナッツ、ピーナッツ、アマニ、ヒマワリ、ババス、パーム核、キャノーラ、オリーブ、カルナバワックス、バターの木、ホホバ、ブドウの種、アンディローバ、アーモンド、スイートアーモンド、コットン、クルミ、コムギ胚芽、イネ、マカダミア、ゴマ、ヘーゼルナッツ、ココア(バター)、カシューナッツ、クプアス、ポピーおよびこれらの可能性のある水素化誘導体からの、「天然」(自然で見出されたまま)の形態にて、または誘導体の1つを使用することができる。植物油は、組成物中に質量割合で約10%から約90%、好ましくは約30%から約70%存在する。
【0027】
表2は、ヒマシ油の標準的な性質を示す。
【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
理想的なヒマシ油の構造は次式の通りである。
【0031】
【化3】

【0032】
イソシアネート
イソシアネートは、説明したように、ポリオールおよび添加剤の反応に使用され、生分解性ポリウレタン気泡体を形成する。これは、ポリオールのポリイソシアネートとの反応に由来する発泡工程から得られ、少なくとも2つのイソシアネート官能基を含む。この工程の一般的な反応を式4に示し、一方この工程の一般的な結合を式5に示す。
【0033】
説明した気泡体を得るために使用することができるポリイソシアネートは、芳香族化合物、脂肪族化合物、脂環式化合物、これらの組合せを含み、加えて、水との三量化から得られる化合物を含む。1−メチルベンゼン2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン2,6−ジイソシアネート、1,1−メチレンビス(4−イソシアネートベンゼン)、1−イソシアネート−2(4−イソシアネートフェニル)ベンゼン、ナフタレン1,5ジイソシアネート、1,1’,1”−メチレントリス(ベンゼン4イソシアネート)、p−フェニレンジイソシアネートおよびこれらの混合物を使用することができる。
【0034】
脂肪族ポリイソシアネートは、1,6−ジイソシアネートを含み、脂環式ポリイソシアネートは、1,3,3’−トリメチルシクロヘキサン−5−イソシアネート−1−(メチルイソシアネート)、トルエンジイソシアネートおよびこれらの混合物を含み、組成物中に質量割合で約20%から約60%、好ましくは約35%から約55%存在する。
【0035】
生産設備およびコスト低減の理由から、現在の解決策において説明した気泡体を得るためにより有用なジイソシアネートは、1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネートおよびトルエンジイソシアネートであり、これらの理想化した構造を式6に示す。
【0036】
【化4】

【0037】
【化5】

【0038】
【化6】

【0039】
添加剤
添加剤は、得られた気泡において改変および改良を促進する、少量加えられる化合物である。触媒、界面活性剤、顔料、充填剤、発泡剤、難燃剤、抗酸化剤、放射線防護剤を個別にまたは混合して使用することが好ましい。
【0040】
第三アミンに基づく添加触媒は、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N−エチルモルフィリン、N−メチルモルフィリン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、1−メチル−4−ジメチルアミンエチルピペラジン、N,N−ジエチル3−ジエチルアミンプロピルアミン、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾールを含み;他の有用な触媒の種類は、有機スズ、有機鉄、有機水銀および有機鉛の種類ならびにアルカリ金属の無機塩である。
【0041】
この反応のための触媒は、酸または強塩基であり得る。強塩基の例として、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを、無機酸の例として、硫酸および塩酸、有機酸のパラ−トルエンスルホン酸を挙げることができる。本明細書において使用される触媒は、アルカリまたはアルカリ鉄金属の塩基、p−トルエンスルホン酸または4A、5A、6Aおよび7A族に含まれる元素からの酸である。
【0042】
他の触媒として、酸および塩基触媒と同じ割合の有機金属化合物を使用することができる。この種類では、Logos Quimicaによって生産された製品P6131を特に使用することができる。この製品の使用は、合成をより低い温度で実施でき、ならびに反応中のPHB構造の完全性を保証し、2次反応の発生およびポリ(ヒドロキシブチレート)の分解を低減するという利益を有する。
【0043】
触媒は、組成物中に質量割合で、約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%存在する。
【0044】
界面活性剤は、有機界面活性剤を含み、好ましくは脂肪酸および有機シランを個別にあるいは混合して使用する。脂肪酸は、有機のスルホン化リシノール酸の塩を含み、ここでシランはポリ(ジメチルシロキサン)およびポリ(フェニルメチルシロキサン)を、質量割合で組成物の約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%を、個別にあるいは混合して含む。
【0045】
顔料は、例えば、アゾ化合物、フタロシアニンおよびジオキサジンなど、金属酸化物およびカーボンブラックを、質量割合で組成物の約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%を、個別にあるいは混合して含む。
【0046】
充填剤は、主に炭酸塩、アルミナおよびシリカならびに天然および合成繊維の粒子および繊維を、質量割合で組成物の約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%を、個別にまたは混合して含む。
【0047】
いくつかの発泡剤を、記述した気泡体を得るために使用することができる。クロロフルオロカーボンを別として、特許US4.945.119に記載されているジフルオロクロロメタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタンを含む長期間使用された発泡剤は、環境上の問題の圧力により、オゾン層に影響の小さい、例えば、ブラジル特許PI9509500−4に記載されているような脂肪族および脂環式成分、すなわち、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタンまたはこれらの混合物などの新しい発泡剤の生産を余儀なくされている。
【0048】
しかし、本発明に記載する発泡体の調製には、発泡剤は水だけと規定され、水がポリイソシアネートと反応して二酸化炭素を生成する。
【0049】
ポリオールポリエステル生成のための方法論
予備混合:
ポリ(ヒドロキシブチレート)またはこのコポリマーと植物油との予備混合を、「Henschel」型混合機中、本発明において決定された割合において、完全に均質になるまで5分間にわたって実施する。
【0050】
触媒の添加
触媒を、約1:100から1:200の範囲の割合で加える。触媒の完全な組入れを促進するために「Henschel」型混合機を使用する。
【0051】
反応
混合物を、窒素雰囲気下PHBの融点(製品により、この温度は140から180℃の範囲であることができる。)まで加熱する。この点から温度を180から220℃の値へ上昇させると、反応は自然発生的に起こる。冷却システムを始動させて、温度を約10−20分間約170℃に維持する。温度が175℃を超えなければ、得られる生成物は暗色の液体である。同一の反応条件において、温度が200℃より高いと、得られる生成物は褐色の固体である。
【0052】
精製
混合物を周囲温度に冷却した後、得られた生成物を水で3回洗浄して不純物を分離する精製工程を開始する。洗浄後、物質を真空乾燥する。
【0053】
性質の測定
生成物をポリウレタンの原料として利用するためのパラメータを確立することを目的に、得られた生成物のいくつかの性質、その中でフーリエ変換線赤外分光法(FTIR)を通しての構造的特徴、分子質量、酸性度指数、ヒドロキシル指数、密度を測定した。
【0054】
イソシアネートを用いた重合化
得られた生成物は、気泡体からエラストマー、ペイントおよび接着剤に及ぶ物品を得るために、イソシアネートで重合化した。最終用途により、いくつかの種類の添加剤を使用することもできる。エラストマーを得るために、1−1.5%の割合(質量/質量)の抗気泡剤および0.2−0.7%の割合(質量/質量)の有機金属触媒を加えた。完全な均質化後にイソシアネートを添加し混合する。混合物は、気泡を除去するために真空下30分間放置する。
【0055】
ポリオール−ポリエステルとイソシアネートとの反応で、堅い気泡体が得られた。一旦混合して、生成物に有機金属触媒、アミニック(aminics)、シリコーン界面活性剤および発泡剤を添加した。すべての成分を加えて、気泡注射器中の混合作用の下で、または手動混合機(ハンドミックス)の助けを借りて、発泡を実施する。
【0056】
調合および化合物の性質についての説明
ポリオールポリエステルを得るための調合:
【実施例1】
【0057】
ポリ(ヒドロキシブチレート)9.9%、ヒマシ油89.1%およびNaOH触媒1%の混合物を、反応温度170℃において10分間試験し、最終生成物として液体を得る。
【実施例2】
【0058】
ポリ(ヒドロキシブチレート)19.80%、ヒマシ油79.2%およびNaOH触媒1%の混合物を、反応温度170℃において20分間試験し、最終生成物として液体を得る。
【実施例3】
【0059】
ポリ(ヒドロキシブチレート)39.6%、ヒマシ油59.4%およびNaOH触媒1%の混合物を、反応温度170℃において20分間試験し、最終生成物として液体を得る。
【実施例4】
【0060】
ポリ(ヒドロキシブチレート)59.4%、ヒマシ油39.6%およびNaOH触媒1%の混合物を、反応温度170℃において10分間試験し、最終生成物として液体を得る。
【実施例5】
【0061】
ポリ(ヒドロキシブチレート)49.5%、ヒマシ油49.5%およびNaOH触媒1%の混合物を、反応温度170℃において10分間試験し、最終生成物として液体を得る。
【実施例6】
【0062】
ポリ(ヒドロキシブチレート)49.5%、ヒマシ油49.5%およびNaOH触媒1%の混合物を、反応温度200℃において15分間試験し、最終生成物として固体を得る。
【0063】
エラストマーを得るための調合
【実施例7】
【0064】
(4.1項の実施例1から6の通りの)ポリオールポリエステル82.3%、オクチル酸スズ触媒0.4%、抗気泡剤0.8%、ジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)16.5%の混合物の試験。
【実施例8】
【0065】
(4.1項の実施例1から6の通りの)ポリオールポリエステル76%、オクチル酸スズ触媒0.4%、抗気泡剤0.8%、ジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)22.8%の混合物の試験。
【実施例9】
【0066】
(4.1項の実施例1から6の通りの)ポリオールポリエステル70%、オクチル酸スズ触媒0.3%、抗気泡剤0.7%、精製したジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)29%の混合物の試験。
【実施例10】
【0067】
(4.1項の実施例7の通りの)ポリオールポリエステル76%、オクチル酸スズ触媒0.4%、抗気泡剤0.8%、ジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)22.8%の混合物の試験。
【実施例11】
【0068】
(4.1項の実施例1から6の通りの)ポリオールポリエステル70%、オクチル酸スズ触媒0.3%、抗気泡剤0.7%、重合性ジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)29%の混合物の試験。
【実施例12】
【0069】
(4.1項の実施例1から6の通りの)ポリオールポリエステル64.6%、オクチル酸スズ触媒0.2%、テトラメチルエチレンジアミン0.2%、界面活性剤ポリ(ジメチルシロキサン)0.6%、ジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)32.3%、発泡剤としての水2.1%の混合物の試験。
【実施例13】
【0070】
(4.1項の実施例1から6の通りの)ポリオールポリエステル74.2%、オクチル酸スズ触媒0.25%、テトラメチルエチレンジアミン0.25%、界面活性剤ポリ(ジメチルシロキサン)0.74%、ジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)22.3%、発泡剤としての水2.26%の混合物の試験。
【実施例14】
【0071】
(4.1項の実施例1から6の通りの)ポリオールポリエステル60.7%、オクチル酸スズ触媒0.21%、テトラメチルエチレンジアミン0.21%、界面活性剤ポリ(ジメチルシロキサン)0.6%、ジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)36.42%、発泡剤としての水1.86%の混合物の試験。
【実施例15】
【0072】
(4.1項の実施例1から6の通りの)ポリオールポリエステル64.6%、オクチル酸スズ触媒0.2%、テトラメチルエチレンジアミン0.2%、界面活性剤ポリ(ジメチルシロキサン)0.6%、重合性ジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)32.3%、発泡剤としての水2.1%の混合物の試験。
【実施例16】
【0073】
(4.1項の実施例1から6の通りの)ポリオールポリエステル57.2%、オクチル酸スズ触媒0.2%、テトラメチルエチレンジアミン0.2%、界面活性剤ポリ(ジメチルシロキサン)0.57%、重合性ジイソシアネート(1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート)40%、発泡剤としての水1.83%の混合物の試験。
【0074】
実施例の性質
これらの分解の固有特性ゆえに、例えば、パッケージおよび特定の農業分野などの主に「ワンウェイ」製品において、この特性が所望される用途は極めて重要な用途である。最も適切な用途は、パッケージダンネージ、電気−電子製品のためのパッケージ、使い捨て食品パッケージ、植物苗木の成長および水栽培のための農業用トレー、森林再生のための植物苗木容器である。
【0075】
エラストマーは、分解性接着剤およびペイントなど、副製品として主に使用される。
【0076】
【表4】

【0077】
生分解の試験
本発明で挙げた生成物の粉砕したサンプルについて、これらの生分解性を生物学的に活性な土において120日間評価した。この期間においてこれらサンプルは全体的に消費されたことが観察され、物質の生分解性の特性を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(ヒドロキシブチレート)またはこのコポリマーによって規定される生分解性ポリマー、少なくとも1つの植物油、イソシアネートならびに(触媒、界面活性剤、着色、充填剤および発泡の機能の1つを示す)少なくとも1つの添加剤を含むことを特徴とする、分解性ポリオールポリエステルを調製するための組成物。
【請求項2】
生分解性ポリマーが、組成物中に約10%から約90%、好ましくは約30%から約70%にある質量割合において提供されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
植物油が、大豆、コーン、ヒマシ油植物、ヤシ、ココナッツ、ピーナッツ、アマニ、ヒマワリ、ババスヤシ、パーム核、アブラナ、オリーブ、カルナバワックス、アブラギリ、ホホバ、ブドウの種、アンディローバ、アーモンド、スイートアーモンド、コットン、クルミ、コムギ胚芽、コメ、マカダミア、ゴマ、ヘーゼルナッツ、ココア(バター)、カシューナッツ、クプアス、ケシおよびこれらの可能性のある水素化誘導体からの「天然」(自然で見出されたまま)の物または誘導体であり、組成物中に質量割合で約10%から約90%、好ましくは約30%から約70%存在することを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
イソシアネートが、1−メチル−ベンゼン2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン2,6−ジイソシアネート、1,1−メチレンビス(4−イソシアネートベンゼン)、1−イソシアネート−2(4−イソシアネートフェニル)ベンゼン、ナフタレン1,5ジイソシアネート、1,1’,1”−メチレントリス(ベンゼン4イソシアネート)、p−フェニレンジイソシアネート、1,6−ジイソシアネート、1,3,3’−トリメチルシクロヘキサン−5−イソシアネート−1−(メチルイソシアネート)、トルエンジイソシアネートおよびこれらの混合物から選択され、組成物中に質量割合で約10%から約90%、好ましくは約30%から約70%存在することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
触媒型の添加剤が、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N−エチルモルフィリン、N−メチルモルフィリン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、1−メチル−4−ジメチルアミンエチルピペラジン、N,N−ジエチル3−ジエチルアミンプロピルアミン、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾールまたは有機スズ、有機鉄、有機水銀および有機鉛触媒の他の種類ならびにアルカリ金属の無機塩から選択され、組成物中に質量割合で約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%存在することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
触媒が、アルカリ金属またはアルカリテラウス(terrous)金属の塩基、p−トルエンスルホン酸または4A、5A、6Aおよび7A族に含まれる元素からの酸であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
界面活性剤型の添加剤が、スルホン化リシノール酸の塩、ポリ(ジメチルシロキサン)およびポリ(フェニルメチルシロキサン)から個々にまたは混合物において選択され、組成物中に約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%にある質量割合において存在することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
顔料型の添加剤が、金属酸化物、カーボンブラック、アゾ化合物、フタロシアニンおよびジオキサジンから個々にまたは混合物において選択され、組成物中に約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%にある質量割合において存在することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
充填剤型の添加剤が、カーボネート、アルミナおよびシリカから個々にまたは混合物において選択されならびに天然および合成繊維から選択され、組成物中に約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%にある質量割合において存在することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
発泡剤型の添加剤が、ジフルオロクロロメタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタンまたはこれらの混合物から選択され、組成物中に約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%にある質量割合において存在することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項11】
発泡剤型の添加剤が水であり、炭酸ガスを形成するポリイソシアネートとの反応のために、組成物中に約0.5%から約3%、好ましくは約1%から約2%にある質量割合において存在することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項12】
a)組成物を素雰囲気下約140から約180℃のPHBの溶融温度まで加熱し、温度を180から220℃の値に上昇させて反応を自然に継続させるステップと、および
b)反応生成物を冷却し、約170℃に制御した温度を約10−20分間維持し、温度を約175℃まで維持して、暗色の液体生成物を得、温度を約200℃より高く維持した場合に、褐色の固体生成物を得るステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に規定のポリオールポリエステルを得るための方法。
【請求項13】
組成物を周囲温度まで冷却する処理に供すること、組成物を精製する処理に供すること、水にて3回洗浄して不純物を分離することを含むこと、および、この処理された物質を洗浄し真空乾燥すること
を特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ポリオールポリエステルを、質量割合で約1%から約1.5%の抗気泡剤および質量割合で約0.2%から約0.7%の有機金属触媒剤と混合すること、ポリオールポリエステルを、重合のために、イソシアネートと均質化しおよび混合すること、および、この混合物を、気泡を除去するために、約30分間真空下に維持することを特徴とする、ポリオールポリエステルからエラストマーを得るための、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
有機金属触媒、アミニック、シリコーン界面活性剤および発泡剤との混合および添加の下、ポリオールポリエステルとイソシアネートとの反応を含み、発泡が、気泡注射器中の混合作用の下で、または手動混合機(ハンドミックス)の助けを借りて実施されることを特徴とする、ポリオールポリエステルから気泡体を得るための、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の方法により得られたエラストマーまたは気泡体を含む、
ポリオールポリエステルからペイントおよび接着剤を得るための、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
パッケージダンネージ、電気−電子製品のためのパッケージ、使い捨て食品パッケージ、植物苗木の成長および水栽培のための農業用トレー、森林再生のための植物苗木容器において使用される、ポリオールポリエステル、イソシアネートならびに有機金属触媒、アミニック、シリコーン界面活性剤および発泡剤を含むことを特徴とする、請求項13に記載の分解性ポリオールポリエステル気泡体。
【請求項18】
潤滑剤として、ならびに、種子、農業防御剤および栄養素の保護および封入のための農業分野における、請求項12において得られた、固体のポリオールポリエステルの使用。

【公表番号】特表2009−527595(P2009−527595A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555573(P2008−555573)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/BR2007/000046
【国際公開番号】WO2007/095710
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(506179239)
【出願人】(508256547)
【Fターム(参考)】