説明

分離型形状適応遮蔽領域を形成するシステムおよび方法

【課題】電気システム(12)用のパターン化形状適応構造(10)を形成する。
【解決手段】形状適応構造(10)の誘電体被覆(18)は、回路部品(16)が搭載された電気システム(12)上に配置され、電気システム(12)の表面に共形になるように形状設定され、電気システムの表面上にあるコンタクトパッド(22)の上に配置された複数の開口(20)を有する。形状適応構造(10)は、導電性被覆(24)であって、誘電体被覆(18)上に層状に重ねられ、かつ導電性被覆(24)とコンタクトパッド(22)の間に電気接続が形成されるようにコンタクトパッド(22)上に層状に重ねられた導電性被覆(24)も含む。誘電体被覆(18)および導電性被覆(24)は、所望の回路部品(16)または回路部品群を覆う形状適応構造のそれぞれの遮蔽領域(26)を分離するように貫通して形成された複数の重なり合う経路開口(27)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の諸実施形態は、一般に形状適応被覆に関し、より詳細には、電気システム用のパターン化形状適応構造を形成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス分野の技術的進歩は近年、大きく成長している。例えば、携帯電話機は、より小型かつより軽量になりつつあると共に、その機能と能力は同時に拡大しつつある。このことが、そのようなデバイス内に見られる電気部品の複雑さと動作の増加、およびそのような部品に利用できる空間量の減少を引き起こしている。電気部品のそのような複雑さの増加、および利用できる空間量の減少から、いくつかの課題が生じている。例えば、回路基板のサイズ低減が、回路基板上の密集度の増加を招いている。
【0003】
利用できる空間量の減少、およびその上にある回路部品の密集度の増加は、部品間の無線周波干渉および電磁波干渉(すなわちRFIおよびEMI)に関する課題をもたらしている。すなわち、多くの電子部品は電磁波を放射しており、それが隣接する他の回路基板部品と干渉を引き起こして、回路アセンブリ全体の性能に悪影響を及ぼす恐れがある。そのため、こうした部品がそのような干渉を引き起こすのを防ぐために遮蔽体が使用されてきた。遮蔽体はまた、回路基板/回路アセンブリ上の異なる電位で動作する領域を分離するためにも望ましいことがある。
【0004】
最も一般的なRFI/EMI遮蔽体は、折り曲げた金属または型打ちした金属(すなわち金属カン、金属箔クラッドなど)からなる、プリント回路基板またはその上にある個々の回路部品にフィットするように外形加工された箱型遮蔽体である。そうした箱型遮蔽体を収容するには、回路基板上に空間を割り当てなければならず、それにより、他の部品に利用できる空間が減少する。すなわち、従来型の箱型遮蔽体はかさばっており、また多大な空間および容積を占め、その大部分は回路基板と遮蔽体の間にある使用されない空隙である。それが電子デバイス(例えば携帯電話機)の全体の厚さを増加させることがある。
【0005】
箱型の遮蔽に代わる一手段として、回路アセンブリおよびその上にある個々の回路部品を遮蔽するために、形状適応型の遮蔽体が最近実装されている。典型的に、そのような遮蔽体は誘電体層および金属層から形成され、それらは回路アセンブリ上に配設される。誘電体層上に、回路アセンブリの回路部品に対応する「パターン化」金属層を形成することができるように、金属層を施与する前にマスキング層が誘電体層の一部分の上に施与される。しかし、そのようなマスキング層の使用には、それ自体の制限がある。すなわち、回路部品が上に非常に緊密に詰め込まれた回路アセンブリの場合、マスキング層の施与は、パターン化金属層を正確に施与/形成するのに十分なほど精密とはなり得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、緊密に詰め込まれた回路部品を有する回路アセンブリと共に実装することのできるパターン化形状適応構造およびその製作方法を設計することが望ましい。すなわち、そのように設計すれば、従来型の箱型遮蔽体では不可能な、より緊密な部品実装密度を可能にし得る。金属層をパターニングして形状適応遮蔽構造を形成する際のマスキング層の使用を不要にすることのできる、パターン化形状適応構造を製作する効率の良い方法を提供することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の諸実施形態は、緊密に詰め込まれた回路基板部品を無線周波干渉および/または電磁波干渉から分離遮蔽する、電気システム用のパターン化形状適応構造およびその製作方法を提供することによって、前述の欠点を克服する。
【0008】
本発明の一態様によれば、形状適応構造が、回路部品が搭載された電気システム上に配置された誘電体被覆であって、電気システムの表面に共形になるように形状設定され、電気システムの表面上にあるコンタクトパッドの上に配置された複数の開口を有する誘電体被覆を含む。形状適応構造は、導電性被覆であって、誘電体被覆上に層状に重ねられ、かつ導電性被覆とコンタクトパッドの間に電気接続が形成されるようにコンタクトパッド上に層状に重ねられた導電性被覆も含む。誘電体被覆および導電性被覆は、所望の回路部品または回路部品群を覆う形状適応構造のそれぞれの遮蔽領域を分離するように貫通して形成された複数の重なり合う経路開口を有する。
【0009】
本発明の別の態様によれば、パターン化形状適応構造を形成する方法が、回路基板およびその基板に搭載された複数の回路部品を含む電気システムに形状適応絶縁被覆を施与するステップを含む。この方法は、絶縁被覆上に形状適応金属層を堆積させるステップ、ならびに複数の経路開口を絶縁被覆および金属層を貫通してレーザアブレーションして、形状適応絶縁被覆および形状適応金属層を所望の回路部品または回路部品群を覆って配置された分離型遮蔽領域に分離するステップも含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、パターン化形状適応構造を形成する方法が、複数の回路部品が搭載された回路基板に電気絶縁被覆を施与するステップ、および電気絶縁被覆内に回路基板上にある複数のコンタクトパッドのそれぞれに隣接してコンタクトパッド開口を形成するステップを含む。この方法は、電気絶縁被覆の上および複数のコンタクトパッドのそれぞれに隣接するコンタクトパッド開口内に導電層を堆積させるステップ、ならびに導電層および電気絶縁被覆をレーザアブレーションして、複数の選択された回路部品または回路部品群のそれぞれを覆う分離型導電層遮蔽領域を形成するステップも含む。
【0011】
上記および他の利点および特徴は、添付の図面に関連して行う本発明の好ましい諸実施形態の以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【0012】
各図面は、本発明を実施するために目下企図されている好ましい実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による、部品実装済みのプリント回路基板上に形成されたパターン化形状適応構造の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるパターン化形状適応構造の断面図である。
【図3A】本発明の一実施形態によるパターン化形状適応構造の上面図である。
【図3B】本発明の別の実施形態によるパターン化形状適応構造の上面図である。
【図4】本発明の一実施形態による製作のさまざまなステップにおけるパターン化形状適応構造の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による製作のさまざまなステップにおけるパターン化形状適応構造の断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による製作のさまざまなステップにおけるパターン化形状適応構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の諸実施形態は、パターン化形状適応遮蔽構造を提供する。この構造は、それが施与される物品の形状に合致または適合するように形成されるため、形状適応型であると表現される。本発明の形状適応遮蔽構造について、以下では、プリント回路基板(PCB)での使用に関連して説明しているが、本発明の形状適応遮蔽構造を他の電気システムおよび電子デバイスに関連して使用できることが想定される。
【0015】
図1を参照すると、本発明によるパターン化形状適応構造10の斜視図が示されている。パターン化形状適応構造10は、プリント回路基板(PCB)、フレックスPCB、リジッドフレックスPCB、またはマルチチップモジュールなどの回路基板14、ならびに回路基板14上に配設された回路部品16と共に、回路アセンブリ12の一部を形成している。パターン化形状適応構造10は、回路基板14および回路部品16上に、部品および回路基板の少なくとも一部の周りに共形になるように配設される。本発明の一実施形態によれば、結果として得られるパターン化形状適応構造10は、個々の回路部品16または部品群を選択的に遮蔽することによって、回路アセンブリ12に対する局所的な遮蔽となる。パターン化形状適応構造10について、回路基板14および回路部品16での使用に関して説明しているが、パターン化形状適応構造10をRF干渉およびEM干渉の影響を受けやすい他の電気システムを覆って配置できることも想定される。本発明の別の実施形態によれば、パターン化形状適応構造10はさらに、回路アセンブリ12内の電気経路および/または熱経路として機能することができる回路アセンブリ12の相互接続となる。
【0016】
パターン化形状適応構造10は、誘電体層18および金属層24を中に含み、それらは、回路部品16を内部および外部を発生源とする干渉要素から保護し、回路アセンブリ12の電気経路および/または熱経路となる。すなわち、パターン化形状適応構造10は、誘電体層18および金属層24を貫通して延びるレーザ切断経路27によって画定/分離される、局所的な接地遮蔽構造26(すなわち分離型遮蔽領域)を中に含む。遮蔽構造/領域26は、回路部品16を無線周波(RF)干渉、電磁波(EM)干渉、静電放電、ならびに水分、塵埃、および環境汚染物などの環境要素から保護する。本発明の諸実施形態によれば、パターン化形状適応構造10の局所的な接地遮蔽構造26は、回路アセンブリ12の他の部品16および外部発生源からの潜在的な干渉から各部品16が保護および遮蔽されるように、回路部品16または回路部品群に共形になる。本発明の一実施形態によれば、パターン化形状適応構造10は、選択的な部品16に対する局所的な遮蔽になることに加えて、例えば遮蔽領域26をグランドに接続するように機能することができ、または回路アセンブリ12内の熱放散の向上を得るための熱経路として機能することができる、相互接続(図示せず)も含む。
【0017】
次に、図2を参照すると、本発明の一実施形態による、回路アセンブリ12およびパターン化形状適応構造10の断面図が示されている。パターン化形状適応構造10は、上にパターン化形状適応構造10が配設される回路基板14および回路部品16(例えば抵抗器、集積回路パッケージ、コンデンサ、コイルなど)の形状に適合することができる形状適応可能な材料から形成される。本発明の一実施形態によれば、回路基板14の表面に、はんだマスク17が施与される。パターン化形状適応構造10は、誘電体層または誘電体被覆18(すなわち電気絶縁層)を含み、これは、回路基板14の上面19およびその上に配置された回路部品16に隣接して配置され、かつそれらを覆って形成される。誘電体層18は、回路部品16および回路基板14上にある回路の他の部分を電気的短絡から保護する助けとなるように、それらの部品と接触する。誘電体層18は、回路アセンブリ12の形状に合致させることが可能な任意の電気絶縁材料から形成することができ、一実施形態では、紫外線(UV)硬化性ポリマー、例えばDymax Corp製のUV光硬化形状適応被覆などを含む。しかし、他の適切なエポキシ被覆またはシリコンベースの被覆を使用して誘電体層18を形成することもできることが同じく想定される。回路アセンブリ12上に誘電体層18を堆積させる際、スプレー塗布プロセスを使用することができる。そのような施与プロセスは、回路アセンブリ12上への誘電体被覆18の制御可能かつ再現可能な堆積を可能にし、それにより誘電体層の厚さの制御が可能になる。しかし、浸漬塗布プロセスを使用して回路アセンブリ12上に誘電体層18を堆積できること、または誘電体層18を熱成形プロセスによって施与および形状設定できることも想定される。重要なことには、上記の技法の1つによって回路アセンブリ12上に誘電体被覆18を堆積させると、均一な厚さを有し、ピンホールのない被覆が得られる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、回路基板14上にあるコンタクトパッド22を露出させ、一実施形態によれば回路基板14から上方に延びるパッケージフィードスルー25(例えばシリコン貫通ビア)を露出させるために、誘電体被覆18内に複数の開口20が形成される。コンタクトパッド22およびパッケージフィードスルー25を露出させると、パターン化形状適応構造10を回路基板14のグランドプレーン23に電気的に結合することが可能になる。一例示的実施形態では、開口20が、レーザドリル加工プロセスによって形成される。すなわち、コンタクトパッド22およびパッケージフィードスルー25の上に配置された任意の誘電体材料に穴を開ける(すなわちその材料を焼く)ように、誘電体被覆上でコンタクトパッド22およびパッケージフィードスルー25の上方に位置する点にレーザが向けられる。コンタクトパッド22を露出させると、誘電体層18を形成した後に製造者が回路アセンブリ12をテストすることも可能になることが理解されよう。
【0019】
誘電体層18を硬化させた後かつ開口20の形成後に、誘電体層の上面上に導電層24が形成される。導電層24は、回路アセンブリ12に対する局所的なRFおよびEM遮蔽となり、かつ回路アセンブリ12内の電気経路/熱経路として働くように、電気伝導性かつ熱伝導性の材料からなり、また例えば銅、銀、またはニッケルなどの金属材料から形成することができる。一例示的実施形態によれば、導電層24は、スプレー施与によって誘電体層18に施与される金属微粒子被覆の形をとる。あるいは、導電層24は、スパッタリングまたはめっきプロセスによって施与することもできる。以下では金属層24と呼んでいるが、金属含浸エポキシ(metal impregnated epoxy)または金属充填塗料(metal−filled paint)など、他の適切な材料を使用してパターン化層を形成することもできることが同じく想定されており、パターン化金属層という用語は、そのような変形形態および等価物を包含することを理解されたい。金属層24と誘電体層18の間のより良好な接着を可能にし、遮蔽特性を向上させるために、金属層24を複数層(図示せず)の堆積によって形成できる(例えば、スパッタリングまたはめっきプロセスによって形成された、誘電体層に隣接するチタン層とチタン層上にある銅層)ことも想定される。
【0020】
金属層24は、初めは、スプレー塗布プロセス(またはスパッタリングもしくはめっきプロセス)などによって連続層として施与されるが、その後、図2に示すように、不連続層の形をとるようにパターニングされる。すなわち、金属層24は、回路アセンブリ12の部品16の局所的な遮蔽構造26を形成するようにパターニングされる。図2に示すように、各遮蔽構造26は、遮蔽を形成するために、コンタクトパッド22またはパッケージフィードスルー25によってグランドに電気的に接続される。遮蔽構造26は、コンタクトパッド22および/またはパッケージフィードスルー25が回路基板14または部品16から遮蔽構造26への熱導体として働いている状態で、回路アセンブリ12を伝導冷却または対流冷却するための高熱伝導性サーマルプレーンとなることができる。
【0021】
本発明の諸実施形態によれば、遮蔽構造26を形成するための金属層24のパターニングは、レーザアブレーション(すなわちレーザ切断)プロセスによるものである。図2に示すように、レーザアブレーションプロセスは誘電体層18および金属層24に対して、誘電体層18と金属層24のそれぞれが複数の重なり合う経路開口27を含むようにパターニングされる(すなわち、経路が垂直に、下方に誘電体層18および金属層24を貫通して形成される)ように実施される。本発明の一実施形態によれば、経路開口27はまた、下方にはんだマスク17を貫通して回路基板14に至るまで延びる。経路開口27をさらに、下方に回路基板14の一部を貫通して延びるように形成できることも想定される。
【0022】
引き続き図2を参照すると、誘電体層18および金属層24内のレーザ切断経路開口27は、金属層24のパッチ(patch)を互いに分離し、それにより回路アセンブリ12の回路部品16を覆う局所的な/分離型遮蔽構造26(すなわち分離型遮蔽領域/パッチ)を画定するように形成される。各経路開口27は、隣接する回路部品16および隣接する遮蔽領域26を互いに適切に分離するのに十分な幅を有すると同時に、緊密に詰め込まれた回路部品間に容易に形成されるのに十分なほど狭い。一例示的実施形態によれば、したがって経路開口を、例えば約25〜500マイクロメートルの幅を有するようにレーザ切断することができるが、基板14上での回路部品16の配置密度に基づいて、他のより広いまたはより狭い幅の経路開口をレーザ切断することもできる。さらに、各経路開口27は、経路開口の所望の幅に基づいて、1回のレーザ切断によって形成しても、レーザの複数パス(すなわち複数回のレーザ切断)によって形成してもよいことが理解されよう。
【0023】
遮蔽構造26をレーザアブレーションによって形成することに加えて、本発明の一実施形態によれば、相互接続28をレーザアブレーションによって形成することもできる。すなわち、レーザ切断プロセスを使用して誘電体層18および金属層24内に経路開口27を形成し、それによって、開口20を通じて回路基板14(およびコンタクトパッド22)と接触する相互接続28を画定することができる。したがって、相互接続28は、回路アセンブリ12内の電気経路および/または熱経路となるように画定することができる。
【0024】
ここで、図3Aおよび3Bを参照すると、回路アセンブリ12の上面図が示されている。図3Aに示すように、金属層24の領域を互いに分離するように複数のレーザ切断経路開口27が金属層24および誘電体層18内に形成され、それにより、回路アセンブリ12の回路部品16または回路部品群(図1および2)を覆う分離型遮蔽領域26が画定される。したがって、図3Aに示す実施形態によれば、3つの異なる遮蔽領域26を形成することができ、それらは、例えばコンタクトパッド22(図2)によって回路基板14に電気的に接続することができる。次に、図3Bを参照すると、本発明の別の実施形態によれば、各経路開口27が、金属層24のパッチを取り囲む閉ループ経路の形をとり、それにより、回路アセンブリ12の回路部品16または回路部品群(図1および2)を覆う分離型遮蔽領域26が画定される。分離型遮蔽領域26は、例えばパッケージフィードスルー25(図2)によって回路基板14に電気的に接続することができる。図3Aおよび3Bの各実施形態では、経路開口27による各遮蔽領域26の分離が、各回路部品または回路部品群を回路アセンブリ12の他の部品16からの潜在的な干渉から保護および遮蔽する助けとなり、それにより、回路部品間のクロストークが最小限に抑えられる。
【0025】
次に、図4〜6に移ると、本発明の一実施形態による図1〜3に示す形状適応構造10などのパターン化形状適応構造を製作/形成する一例示的プロセス30の中で形成される段階的な構造が示されている。図4に示すように、このプロセスは、誘電体層/被覆18が、上に誘電体層/被覆18が配設される回路基板14および回路部品16(例えば抵抗器、集積回路パッケージ、コンデンサ、コイルなど)に施与されるステップ32から開始する。誘電体層18(すなわち電気絶縁層)が、回路基板14の上面19およびその上に配置された回路部品16に隣接して配置され、かつそれらを覆って形成されて、回路部品16および回路基板14上にある回路の他の部分を電気的短絡から保護する助けとなるように、それらの部品と接触する。誘電体層18は、回路アセンブリ12の形状に合致させることが可能な任意の電気絶縁材料から形成することができ、一実施形態では、紫外線(UV)硬化性ポリマー、例えばDymax Corp製のUV光硬化形状適応被覆などを含む。しかし、他の適切なエポキシ被覆またはシリコンベースの被覆を使用して誘電体層18を形成することもできることが同じく想定される。ステップ32において回路アセンブリ12上に誘電体層18を堆積させる際、回路アセンブリ12上への誘電体被覆18の制御可能かつ再現可能な堆積を可能にし、それにより誘電体層の厚さの制御が可能になるように、スプレー塗布プロセスを使用することができる。しかし、浸漬塗布プロセスを使用して回路アセンブリ12上に誘電体層18を堆積できること、または誘電体層18を熱成形プロセスによって施与および形状設定できることも想定される。重要なことには、上記の技法の1つによって回路アセンブリ12上に誘電体被覆18を堆積させると、均一な厚さを有し、ピンホールのない被覆が得られる。
【0026】
やはりステップ32において、回路基板14上にあるコンタクトパッド22を露出させ、一実施形態によれば、回路基板14および/または部品16から上方に延びるように形成されたパッケージフィードスルー25を露出させるために、誘電体層18内に開口20が形成される。コンタクトパッド22およびパッケージフィードスルー25を露出させると、図5〜6で説明するように、形状適応構造10(すなわち金属層24)を回路基板14のグランドプレーン23に電気的に結合することが可能になる。一例示的実施形態では、開口20がステップ32において、レーザドリル加工プロセスによって形成される。すなわち、コンタクトパッド22およびパッケージフィードスルー25の上に配置された任意の誘電体材料に穴を開ける(すなわちその材料を焼く)ように、誘電体被覆上でコンタクトパッド22およびパッケージフィードスルー25の上方に位置する点にレーザが向けられる。
【0027】
次に、図5を参照すると、誘電体層18内への開口20の形成とその硬化のすぐ後で、プロセス30は、誘電体層18および開口20内に金属層24が施与されるステップ34において継続する。金属層24は、回路アセンブリ12に対する局所的なRFおよびEM遮蔽となり、かつ回路アセンブリ12内の電気相互接続および熱経路として働くように、電気伝導性かつ熱伝導性の材料からなり、また銅、銀、またはニッケルから形成することができ、あるいは金属含浸エポキシまたは金属充填塗料から形成することもできる。このプロセスの一例示的実施形態によれば、金属層24は、スプレー施与によって誘電体層18に施与され、したがって、金属微粒子被覆または塗料の形をとる。あるいは、導電層24は、スパッタリングまたはめっきプロセスによって施与できることも想定される。金属層24は、均一かつ完全なメタルカバレージ(例えば1〜2kÅ)が得られるように少なくとも最小厚みを有し、かつ回路アセンブリ12の十分なRFおよびEM遮蔽となるように、誘電体層18に施与される。金属層24は、図5には、金属材料の1回のスプレー施与によって単一の層として形成されたものとして示してあるが、2ステッププロセスによって形成できることも理解されよう。すなわち、薄い第1の金属層を上記のようにスプレー施与によって追加することができ、次いで、第1の金属層に第2の金属層を別のスプレー施与によって追加して金属層24全体の厚さを増大させ、したがって形状適応構造10内の遮蔽を向上させることができる。
【0028】
金属層24は、誘電体層18の上に堆積されることに加えて、コンタクトパッド22(およびパッケージフィードスルー25)との電気接続を形成するように、開口20内にも堆積される。金属層24とコンタクトパッド22/パッケージフィードスルー25の間のこの電気接続は、パターン化形状適応構造10を回路基板14に結合させ、遮蔽を向上させて、保護された領域に入る、またはそこから出るRF放出を低減させる。
【0029】
次に、図6を参照すると、プロセス30の次のステップでは、誘電体層18および金属層24がステップ36においてパターニングされる。より具体的には、誘電体層18および金属層24が、ステップ36において、それらを貫通して複数の経路開口27を形成するようにレーザアブレーションまたはレーザ切断され、複数の経路開口27は、下方に(はんだマスク17を貫通して)回路基板14まで延びる。誘電体層18および金属層24内のレーザ切断経路開口27は、金属層24のパッチを互いに分離し、それにより回路アセンブリ12の回路部品16を覆う分離型遮蔽領域26を画定するように形成される。本発明の一実施形態によれば、各経路開口は、約25〜500マイクロメートルの幅を有するようにレーザ切断することができる。ステップ36は、各経路開口27を形成するために1回のレーザ切断ステップを含んでも、各経路開口27を形成するために複数回のレーザ切断ステップ(すなわちレーザの複数パス)を含んでもよいことが理解されよう。各経路開口27を1回のステップで形成するか、それとも複数回のステップで形成するかは、金属層24の隣接する要素間の、クロストークなどを制御するのに所望の距離など、回路アセンブリ12の設計要件に基づいてよい。本発明の一実施形態によれば、回路アセンブリ12内の電気配線経路および/または熱経路となる、相互接続28または領域を形成するように、金属層24の追加のレーザ切断をステップ36において実施することができる。
【0030】
したがって、ステップ36が完了すると、結果として得られるパターン化金属層24は不連続層の形をとり、また遮蔽部分26(すなわち遮蔽領域)および電気経路/熱経路または相互接続28を中に含んでいてよい。有利には、遮蔽部分26を選択的に形成すると、回路基板14上の部品16(または部品群)の周りに分離型ファラデーケージを形成することが可能になる。さらに、熱導体として働く相互接続28を形成すると、遮蔽領域26とは別の、回路アセンブリ12を付加的に伝導冷却または対流冷却するための高熱伝導性サーマルプレーンとして機能することができる構造が得られる。
【0031】
以上、本発明を限られた数の実施形態だけに関連して詳細に説明してきたが、本発明がそのような開示した実施形態に限定されないことが容易に理解されるはずである。そうではなく、本発明は、これまでに説明していないが本発明の趣旨および範囲に相応する任意の数の変形形態、改変形態、代替物、または等価な構成を組み込むように修正することができる。さらに、本発明のさまざまな実施形態を説明してきたが、本発明の諸態様が、説明した実施形態のうちいくつかだけを含むことがあることを理解されたい。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されるものと見なすべきではなく、添付の特許請求の範囲に記載の範囲によってのみ限定されるものである。
【0032】
したがって、本発明の一実施形態によれば、形状適応構造が、回路部品が搭載された電気システム上に配置された誘電体被覆であって、電気システムの表面に共形になるように形状設定され、電気システムの表面上にあるコンタクトパッドの上に配置された複数の開口を有する誘電体被覆を含む。形状適応構造は、導電性被覆であって、誘電体被覆上に層状に重ねられ、かつ導電性被覆とコンタクトパッドの間に電気接続が形成されるようにコンタクトパッド上に層状に重ねられた導電性被覆も含む。誘電体被覆および導電性被覆は、それらの中を貫通して形成された、所望の回路部品または回路部品群を覆う形状適応構造のそれぞれの遮蔽領域を分離するための複数の重なり合う経路開口を有する。
【0033】
本発明の別の実施形態によれば、パターン化形状適応構造を形成する方法が、回路基板およびその基板に搭載された複数の回路部品を含む電気システムに形状適応絶縁被覆を施与するステップを含む。この方法は、絶縁被覆上に形状適応金属層を堆積させるステップ、ならびに複数の経路開口を絶縁被覆および金属層を貫通してレーザアブレーションして、形状適応絶縁被覆および形状適応金属層を所望の回路部品または回路部品群を覆って配置された分離型遮蔽領域に分離するステップも含む。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態によれば、パターン化形状適応構造を形成する方法が、複数の回路部品が搭載された回路基板に電気絶縁被覆を施与するステップ、および電気絶縁被覆内に回路基板上にある複数のコンタクトパッドのそれぞれに隣接してコンタクトパッド開口を形成するステップを含む。この方法は、電気絶縁被覆の上および複数のコンタクトパッドのそれぞれに隣接するコンタクトパッド開口内に導電層を堆積させるステップ、ならびに導電層および電気絶縁被覆をレーザアブレーションして、複数の選択された回路部品または回路部品群のそれぞれを覆う分離型導電層遮蔽領域を形成するステップも含む。
【符号の説明】
【0035】
10 パターン化形状適応構造
12 回路アセンブリ、電気システム
14 回路基板
16 回路部品
17 はんだマスク、はんだ層
18 誘電体層、誘電体被覆
19 上面
20 開口
22 コンタクトパッド
23 グランドプレーン
24 金属層、導電層、導電性被覆
25 パッケージフィードスルー
26 局所的な接地遮蔽構造、分離型遮蔽構造、分離型遮蔽領域、遮蔽部分
27 レーザ切断経路、レーザ切断経路開口
28 相互接続

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路部品(16)が搭載された電気システム(12)上に配置された誘電体被覆(18)であって、前記電気システム(12)の表面に共形になるように形状設定され、前記電気システムの前記表面上にあるコンタクトパッド(22)の上に配置された複数の開口(20)を有する誘電体被覆(18)と、
導電性被覆(24)であって、前記誘電体被覆(18)上に層状に重ねられ、かつ前記導電性被覆(24)と前記コンタクトパッド(22)の間に電気接続が形成されるように前記コンタクトパッド(22)上に層状に重ねられた導電性被覆(24)と
を備え、
前記誘電体被覆(18)および前記導電性被覆(24)が、所望の回路部品(16)または回路部品(16)群を覆う前記形状適応構造のそれぞれの遮蔽領域(26)を分離するように貫通して形成された複数の重なり合う経路開口(27)を有する
形状適応構造(10)。
【請求項2】
前記回路部品のそれぞれを覆う前記それぞれの遮蔽領域(26)が、前記回路部品を覆う前記誘電体被覆(18)および前記導電性被覆(24)からなる分離型パッチを備える、請求項1記載の形状適応構造(10)。
【請求項3】
前記複数の重なり合う経路開口(27)のそれぞれが、そのそれぞれに対応する遮蔽領域(26)を取り囲む閉ループ経路を備える、請求項1記載の形状適応構造(10)。
【請求項4】
前記導電性被覆(24)が、微粒子金属スプレー被覆、スパッタリングした金属被覆、およびめっきした金属被覆のうち1つを備える、請求項1記載の形状適応構造(10)。
【請求項5】
前記複数の重なり合う経路開口(27)のそれぞれが、約25〜500マイクロメートルの幅を有する、請求項1記載の形状適応構造(10)。
【請求項6】
前記複数の重なり合う経路開口(27)がレーザ切断経路開口を備える、請求項1記載の形状適応構造(10)。
【請求項7】
前記誘電体被覆(18)と前記電気システム(12)の前記表面との間に配置されたはんだ層(17)をさらに備え、前記はんだ層(17)が、貫通して形成された、前記誘電体被覆および導電性被覆(18、24)内の前記複数の重なり合う経路開口(27)に重なり合う複数の経路開口(27)を含む、請求項1記載の形状適応構造(10)。
【請求項8】
前記電気システム(12)が、プリント回路基板(PCB)、フレックスPCB、リジッドフレックスPCB、およびモジュールのうち1つを備える、請求項1記載の形状適応構造(10)。
【請求項9】
前記電気システム(12)から前記分離型遮蔽領域(26)のそれぞれまで延び、それにより前記分離型遮蔽領域(26)を前記電気システム(12)に電気的に接地するパッケージフィードスルー(25)をさらに備える、請求項1記載の形状適応構造(10)。
【請求項10】
前記導電性被覆(24)が、
第1の金属被覆であって、前記誘電体被覆(18)上に層状に重ねられ、かつ前記第1の金属被覆と前記コンタクトパッド(22)の間に電気接続が形成されるように前記複数の開口(20)内に層状に重ねられた第1の金属被覆と、
前記第1の金属被覆上に層状に重ねられた第2の金属被覆と
を備える、請求項1記載の形状適応構造(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−3906(P2011−3906A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140053(P2010−140053)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】