分離板型遠心分離機用分離板の製造方法
【課題】分離板型遠心分離機用分離板の製造方法の提供。
【解決手段】分離板2の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型50を用い、前記位置決用円錐面型50には、予め、前記円錐面21に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔51を設けておき、前記位置決用円錐面型50を前記分離板2の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔51に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする。
【解決手段】分離板2の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型50を用い、前記位置決用円錐面型50には、予め、前記円錐面21に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔51を設けておき、前記位置決用円錐面型50を前記分離板2の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔51に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高回転・高遠心力によって被処理液(原液)を比重差に応じて液・液、及び/或いは固・液に分離する分離板型遠心分離機用分離板(以下単に分離板ともいう)の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る分離板型遠心分離機(以下、単に「分離機」ともいう)は、産業の多くの分野に用いられており、例えば、船舶用ディーゼルエンジンの燃料油や潤滑油の浄化や、被処理液としてのこれらの油中(被処理液中)に混入した固形不純物を除去する清浄機として用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のこの種の分離板型遠心分離機(分離機)の構造は、薄い金属板が截頭円錐形状に成形された分離板が、当該分離機の回転体内の回転軸方向に多数積層された分離板群を備え、分離板群の各層において上下に位置する各分離板相互の上下間隙、即ち、各層において上の分離板の円錐面の内面(下面)と下の分離板の円錐面外面(上面)との間として形成された円錐面間隙を、下の分離板の円錐面の外面(上面)の円錐母線方向に複数配設された分離空間仕切突条部で、回転体の回転方向に間隔を置いて、例えば、8分轄して8室の分離空間が形成されている。
【0004】
このような構造の分離機による分離処理は次のようにして行われる。
例えば、燃料油や潤滑油等である被処理液(以下、原液ともいう)が、回転体の回転軸方向から回転体内に導入されると、遠心力により、前記分離板群の下方側から分離板群を上下方向に貫通した流通孔を経て、各分離空間に流入し拡散して行く。
【0005】
遠心力が与えられた被処理液は、流入した分離空間に拡散しつつ、液体は上下の分離板の円錐面の間を、分離板の中心即ち回転軸方向に向かって円錐面の傾斜を登るように流れて行く。
【0006】
他方、被処理液中に混入している雑多な固形不純物粒子は、遠心沈降によって、当該分離空間を形成する上の分離板の円錐面の内面(下面)側に沈降し、沈降した円錐面に沿って分離空間の外周縁側即ち円錐面の下辺に当たる底辺側へと流動(分離空間からの排出流動)して行く。
【0007】
沈降した固形不純物粒子が、このように分離空間の外周縁へ向かって排出流動させられる際には、当該分離空間を形成するよう(仕切るよう)に回転方向の前後に配置されている2つの分離空間仕切突条部のうち、後方に位置する分離空間仕切突条部によって、詳しくは当該分離空間仕切突条部の回転方向側の縁である回転正面縁によって、固形不純物粒子が案内されながら、恰も、分離空間仕切突条部で分離空間から掃き出されるように、分離空間の外周縁側の、上の分離板の内面側の下辺即ち底辺(当該分離板の外周端)側へと送られる。
【0008】
こうして、各分離空間からその外周縁に送り出される固形不純物は、その外周縁に集められて、堆積し、分離群の周囲の回転体内の空間に至り、終には当該回転体内の最外周空部の所謂固形不純物集塵場所である回転体内の最大径部に一時的に貯蔵され、適宜手段により適宜に回転体外へと排出される。
【0009】
さて、問題は、上記のような截頭円錐形状に形成された分離板の本体である円錐面(以下、円錐面体ともいう)上に、上記したような分離空間仕切突条部片(以下、分離板の円錐面に一体化される前の部材としての分離空間仕切突条部を分離空間仕切突条部片或いは略して突条部片ともいい、一体化された分離空間仕切突条部片を分離空間仕切突条部という)を一体的に装着させる方法であり、当該分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製法である。
【0010】
従来では、一方で、薄い金属板を截頭円錐状に加工して分離板本体即ち円錐面(体)を成形しておき、他方で、この分離板本体と同じか同程度の厚さ及び材質の平板な金属板から多数の分離空間仕切突条部片(以下、単に突条部片ともいう)を切り出しておき、前記分離板本体の複数箇所の所定位置に前記分離空間仕切突条部片を一枚毎宛がいながら溶接されていたのである。
【0011】
しかしながら、分離空間仕切突条部片は比較的薄い帯板状の小片であるため取り扱い難い上に、平面ではない円錐面上の、しかも所定位置に正確に位置決めして、分離板の本体である円錐面に一体的に配設する作業は、多大の手間数と時間とを要する困難な作業であり、生産効率が上がらない作業であった。
【0012】
又、この分離板の本体である截頭円錐形状に形成された円錐面体は、その機能上分離板の内外の平面が殊の外平滑でなければならず、従って耐久性は当然のことながら防錆性に優れた金属板を用いる必要があり、例えば、JIS規格でいうと、SUS304LやSUS316L等のステンレス鋼板を用いる必要があるため、平らなステンレス鋼板をテーパ面を備えた円錐面体に成形することにも困難性があった。
【0013】
従来、平らなステンレス鋼板を歪の無い平滑なテーパ面を備えた円錐面体に成形するには、へら絞り加工の熟練工によるへら絞り盤(旋盤に似た構造で、型に取り付けた被加工物を高速回転させながら、工具をその被加工物に押しつけながら成形する加工機で、英語でspinning latheともいう)を用い、手間と時間とを掛けて加工していたが、
本発明者は、試行錯誤を重ねた研究の結果、プレス機を用いてのプレス絞りによる加工法及びへら絞り加工機による円錐面体を得ることができた。
【0014】
本発明は、上記課題を解決すべく、生産効率の高い、分離空間仕切突条部を備えた分離板の製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする。
【0016】
請求項2の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入しつつ、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0017】
請求項3の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片をその帯状の一端側から他端側へと次第に挿入しながら、前記帯状の一端側から他端側に向けて溶接させて、
当該分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0019】
請求項5の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入しつつ、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0020】
請求項6の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片をその帯状の一端側から他端側へと次第に挿入しながら、前記帯状の一端側から他端側に向けて溶接させて、
当該分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接は帯びの長手方向に点在するスポット溶接であることを特徴とする。
【0022】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面に一体的に溶接された状態において、前記円錐面の上辺側から下辺側に延在する長さであることを特徴とする。
【0023】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面の円錐母線方向に配設されることを特徴とする。
【0024】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面の円錐母線と斜めに交差する方向に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0025】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向において直線状であることを特徴とする。
【0026】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向において曲線状であることを特徴とする。
【0027】
請求項13の発明は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向の一部において曲線状であることを特徴とする。
【0028】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項13の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、位置決用円錐面型は、当該位置決用円錐面型が適用される分離板の製造過程において成形される円錐面体を用いることを特徴とする。
【0029】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項13の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、位置決用円錐面型は、少なくとも分離板の円錐面に密着する部分は、当該分離板の製造過程において成形される円錐面体を用いることを特徴とする。
【0030】
請求項16の発明は、請求項1乃至請求項15の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、位置決用円錐面型は、位置決め孔の周縁を肉厚に成形したことを特徴とする。
【0031】
請求項17の発明は、請求項1乃至請求項15の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、位置決用円錐面型は、位置決め孔の周縁の少なくとも長手方向の両縁を肉厚に成形したことを特徴とする。
【0032】
請求項18の発明は、請求項1乃至請求項17の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、平板を打ち抜き加工で成形されたことを特徴とする。
【0033】
請求項19の発明は、請求項1乃至請求項17の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、平板を打ち抜き加工で成形され、帯状の長手方向に反りが与えられたことを特徴とする。
【0034】
請求項20の発明は、請求項1乃至請求項19の何れかに記載の空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、分離板の円錐面に位置決用円錐面型を重ねるように密嵌合させた状態にて、帯状の分離空間仕切突条部片の一方端側から他端側が次第に嵌り込むように位置決め孔に挿入しながらスポット溶接を施し、重ねられた状態の分離板と位置決用円錐面型とを一体的に当該円錐の軸を中心に転動させて、分離板の周方向に複数設定された所定位置を、溶接機の溶接位置に回転移動させながら、分離板の全ての所定位置に分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
請求項1乃至請求項20の各発明によれば、何れも、位置決め孔が設けられた位置決用円錐面型を用いることにより、薄い帯板状の小片であるため比較的取り扱い難い分離空間仕切突条部片を、平面でないために所定位置に当接し難い円錐面上の所定位置に正確に位置決めして前記円錐面(体)と一体化させる作業を、従来に較べて比較的容易且つ円滑に行う事ができ、従来要していた多大の手間数と時間とが大幅に削減され、生産効率のよい製造方法を提供することができる。
【0036】
請求項14乃至請求項15の各発明によれば、何れも、位置決用円錐面型として、半製品として生産される円錐面体が転用できるので、位置決用円錐面型の製造を迅速且つ容易にして、経済的である。
【0037】
請求項16乃至請求項17の各発明によれば、何れも、位置決用円錐面型に形成される位置決め孔の縁に厚みを形成しているので、分離空間仕切突条部片の当該位置決め孔への挿入を誤ることなく、迅速且つ容易に行うことができ、生産効率を向上させることができる。
【0038】
請求項19の発明によれば、分離空間仕切突条部片には反りが与えられているので、溶接作業従事者は、帯状の分離空間仕切突条部片の長手方向の一方端側を手で摘みながら迅速且つ容易に帯状に長い位置決め孔に当該分離空間仕切突条部片の他方端側から次第に挿入させていくことができ、これは円錐面の母線方向に分離空間仕切突条部片を配設する際に効果的となる。
【0039】
請求項20の発明によれば、分離板と位置決用円錐面型とを重ね合わせた状態で一体的に取り扱う事ができ、しかも、重ねあわせ状態のままで、円錐の軸を中心に転動させながら、分離板の円錐面の複数箇所に設定された所定位置を、溶接機の溶接位置に手軽に回転移動させることができるので、分離空間仕切突条部片の溶接作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】分離板型遠心分離機の回転体の断面図である。
【図2】分離板群を構成する分離板の平面図である。
【図3】分離板の底面図である。
【図4】分離板の側面図である。
【図5】分離板の斜視図である。
【図6】分離板の縦断面図である。
【図7】別の分離板の斜視図である。
【図8】位置決用円錐面型の用法説明図である。
【図9】プレス絞り第1工程の説明図である。
【図10】プレス絞り第2工程の説明図である。
【図11】プレス絞り第3工程の説明図である。
【図12】プレス絞り第4工程の説明図である。
【図13】プレス絞り第5工程の説明図である。
【図14】プレス絞り第6工程の説明図である。
【図15】プレス絞り第7工程の説明図である。
【図16】プレス絞り第8工程の説明図である。
【図17】プレス絞り第9工程の説明図である。
【図18】へら絞り作業の開始状態を示す説明図である。
【図19】へら絞り作業の終了状態を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を、船舶用ディーゼルエンジンの燃料油や潤滑油等を被処理液とする分離板型遠心分離機(以下、単に分離機ともいう)用の分離板を例にして以下説明する。
【実施例】
【0042】
実施例の図1は分離板型遠心分離機の回転体の断面図、図2は分離板群を構成する分離板の平面図、図3は分離板の底面図、図4は分離板の側面図、図5は分離板の斜視図、図6は分離板の縦断面図、図7は別の分離板の斜視図、図8は位置決用円錐面型の用法説明図である。
【0043】
図1において、回転体1の内部には、回転体1の回転軸方向に笠状の分離板2が多数積層された分離板群20が設けられている。この分離板群20を構成する分離板2は、図2乃至図6に示すとおり、平板を絞り加工によって截頭円錐形状に加工されたものである。
【0044】
分離板群20の各層において、積層方向の上下に相対的に位置する上の各分離板2と下の分離板2との相互の上下間隙、即ち、図2乃至図6に示す分離板2おいて、各層における上の分離板2の円錐面21の内面(下面)212と下の分離板2の円錐面21の外面(上面)211との間には、被処理液が導入(図1の分離板群20中に図示の斜め上方に向けた多数の矢印は被処理液の導入方向を示す)される間隙として円錐面間隙(図示せず)が形成されている。
【0045】
相対的に下に位置する分離板2の円錐面21の外面(上面)211上には、当該円錐面21の略円錐母線方向に分離空間仕切突条部3が回転体1の回転方向(この実施例では図において右方向=反時計回り)に間隔を置いて、例えば8分轄して8室の分離空間4が形成されるように複数、平面図においては回転中心側から放射状に配設されている。
【0046】
この分離機による被処理液(スラッジや水分を含んだ燃料油や潤滑油等)の分離処理は大別して一次分離と二次分離によって次のように遠心分離処理される。
先ず、図1において、被処理液は、回転体1の回転軸に回転方向に設けられた導入口11から回転体1の内に導入され、回転体1の高速回転による遠心力で比重の軽い軽液、比重の重い重液、固形物等に分離される(以下、これを一次分離処理という)。
【0047】
この一次分離処理により分離された比重の軽い軽液は、分離板群20の下方側から上方側に向けて当該分離板群20を上下方向に貫通し、少なくとも、各分離空間4毎に当該分離空間4を貫通するように設けられた各々の流通孔22を上向き方向に流れて、順次下から上の各層の各分離空間4へと流入して、各分離空間4内に拡散して行く。
【0048】
次に二次処理を説明する。
各分離空間4内に拡散して行く被処理液は、遠心力が与えられているため、各分離空間4に当該流通孔22から拡散しつつ、被処理液の液体は、上下の分離板2,2の円錐面21の間、即ち、上の分離板2の円錐面21の内面(下面)212と下の分離板2の円錐面21の外面(上面)211との間隙である分離空間4内を、分離板2の中心即ち回転軸方向に向かって下の円錐面21の傾斜面211を登るよう上方へ向けて流れて行く。この流れ即ち上向流通は、図1の分離板群20中において、斜め上方に向け回転軸方向に向かうように示した多数の矢印の通りである。
【0049】
こうして、分離板群20の各層の分離板2の分離空間4の間隙を経て、分離板群20の上層側即ち上向へと流通した比較的軽い被処理液は、最終的には、図1に示す回転体1の回転軸近傍に設けられた回収口15から浄化液として回収される。
【0050】
他方、被処理液中に混入している処理対象の個々雑多な固形不純物粒子のうち比較的比重の大きな粒子は、回転体1の高速回転による遠心沈降によって、速やかに回転体1内の空間12の最大径部13に至って集積され、回転体1の胴回りにおける最大径部13に設けられた排出口14から、適宜のタイミングと適宜手段により回転体4外へと排出される。この最大径部13は、回転体4の内部側から観ると、内部における最外周空部であって固形不純物を一時的に貯蔵する集塵・集積場所である。
【0051】
又、比重の重い被処理液や被処理液中に含まれる固形不純物粒子等は、分離板群20によって形成される広大な沈降面(分離板2の円錐面積×分離板2の数)を構成する各分離空間4において、当該分離空間4の沈降面の分離空間4を形成する相対的に上(天井側)に位置する上の分離板2の円錐面21の内面(下面)212側(当該分離空間4の天井側に遠心力によって沈降)に沈降し、沈降した円錐面21に沿って当該分離空間4の外周縁41側即ち当該円錐面21の底辺41側へと流動して行く。以下、この流動を分離空間4からの排出流動と言う。
【0052】
こうして各分離空間4内において沈降した個々雑多な質量の固形不純物粒子が、各分離空間4の外周縁41へ向かって排出流動させられる際には、当該分離空間4が回転方向に複数形成されるように(仕切るように)、回転方向の前後方向に間隔をおいて配置されている相対的に一対をなす2つの分離空間仕切突条部3,3のうちの、回転方向の後方に位置する分離空間仕切突条部3(例えば、図4における符号3Fで示す分離空間仕切突条部に対する分離空間仕切突条部3R)によって、正確には、当該分離空間仕切突条部3Rの回転方向側の縁(前縁)である回転正面縁31によって、固形不純物粒子が例えば図4や図5の破線矢印の流動軌跡で示すように、案内されながら、恰も、分離空間仕切突条部3Rによって当該分離空間4から掃き出されるようにして、当該分離空間4の外周縁41側の、上の分離板2の内面212側の底辺41(当該分離板2の外周縁41)側へと送られる。
【0053】
そして、図1において、上記のように各分離空間4からその外周縁41側に送られて、分離板群20の外へと放出された固形不純物(図示せず)は、分離板群20の周囲の回転体1内の空間12に至り、終には、上記と同様に、当該回転体4内の最外周空部の所謂固形不純物集塵場所である回転体4内の最大径部13に一時的に貯蔵され、適宜手段により排出口14から回転体4外へと排出される。
【0054】
上記のように、分離空間4を満たす被処理液中に浮遊する固形不純物粒子を遠心力により分離空間仕切突条部3の回転正面縁31に案内させながら、当該分離空間4から外、即ち分離板群20の外周囲へと、当該分離空間4内を放出移動させる際、当該回転正面縁31において、軽重に差のある個々雑多の固形不純物粒子が互いの移動速度の違いや流路の錯綜による接触や衝突(図5の破線矢印)により単位粒子の質量が増大するように分離空間仕切突条部3を、より正確には、分離空間仕切突条部3の回転正面縁31を形成する。
【0055】
分離板2の円錐面21の円錐母線に対する分離空間仕切突条部3の配置、即ち、円錐面21に対する所定位置への分離空間仕切突条部片(3)の一体化のための溶接は、例えば、本実施例では、円錐面21の円錐母線と交差するように斜めに傾けて傾斜する配置としているが、必ずしもこれに限らず、例えば、図7に示す分離板20のように円錐母線と平行に、即ち円錐母線の方向に分離空間仕切突条部片(30)を配設(配置)してもよい(図7については更に後述する)
【0056】
何れの場合も、円錐面21の外周の表面に複数箇所(実施例では8箇所に)設定された所定位置に各々一体的に溶接される分離空間仕切突条部、即ち、一体化された後の分離空間仕切突条部3は、当該分離空間4中の固形不純物粒子を遠心力に応じて当該分離空間4の下方の底辺41側に、相対的に掃き出すように作用(以下、この作用を掃き出し作用ともいう)させる装置である。
【0057】
この実施例に示す分離空間仕切突条部3の傾き即ち傾斜は、当該分離空間仕切突条部3を通る円錐母線に対して、分離空間仕切突条部3上端部側が回転方向側に位置し、離空間仕切突条部3の下端部側が回転後方側に位置する傾き(以下、単に傾斜ともいう)となるように配設してある。
【0058】
尚、この分離空間仕切突条部3の回転正面縁31の形は、当該回転正面縁31の全長にわたって回転体4の回転方向(図において右回転)とは反対方向(図において左方向)に膨出する曲線を描くよう湾曲形成してもよい。
例えば、分離空間仕切突条部(片)3の前縁即ち回転正面縁31の全長に渡る曲線としたり(図示せず)、図示のように、回転正面縁31の全長のうち円錐面21の底辺41側寄りの部分が深く湾曲するように形成してもよい。
【0059】
このように形成すると、比較的広い領域で固形不純物粒子の接触や衝突による質量増大化を図ることができ、掃き出し作用を効果的に発揮させる事ができるが、必ずしもそうする必要は無く、単純に、回転正面縁31の全長にわたって直線的、即ち、分離空間仕切突条部(片)3自体が直線状の帯であってもよい。
【0060】
尚、実施例に示す「へ」の字状の分離空間仕切突条部(片)3の形状は、船舶用ディーゼルエンジンの燃料油や潤滑油等を被処理液とする固液分離性能実験において、実施実験を重ねての実験上見出された最良の形状であるに止まるから、分離機の性能や用途や被処理液の成分の如何や被処理液中に混入する固形不純物(粒子)の物性の如何等に応じて、分離空間仕切突条部3の形状は異なってよい。
【0061】
例えば、図7に示す分離板20の分離空間仕切突条部(片)3は直線状であり、この分離空間仕切突条部(片)3は円錐母線と平行、即ち円錐母線の方向に配設(配置)されている。尚、この直線状の分離空間仕切突条部(片)3では、「へ」字状等の湾曲部による作用効果は得られない。
【0062】
本実施例の分離板3は、後述のようにして製造される截頭円錐形状の円錐面体(2)を本体とし、この本体たる円錐面体(2)の外周表面である円錐面21(211)上に予定されている複数の設定位置に、当該円錐面体(2)とは別体に成形された複数枚の帯状の分離空間仕切突条部片(3)を、後述の位置決手段としての位置決用円錐面型の位置決め孔に各々挿入させて、或いは挿入させながら、溶接により前記円錐面体と一体化させ、当該円錐面体の外周面に一体的に配設して成った物である。
【0063】
以下、この分離空間仕切突条部3を備えた分離板2の製造について説明する。
分離板の製造に当っては、先ず前提として、予め、分離板の本体たる円錐面体(2)と、分離板とは別体の分離空間仕切突条部片(3)と、位置決手段である位置決用円錐面型とを別途に用意(製造)しておく必要がある。
【0064】
分離板2本体のプレス絞り加工方法
先ず、図9乃至図17において、分離板2の本体たる円錐面体(2)のプレス絞り加工による製造方法を以下説明する。
分離板2の本体たる円錐面体(2)の形状は、より正確には、第9工程の図17に示すように、垂直断面において台形状をした円錐面体(2)の頂部側の円穴201(以下、頂面円穴ともいう)の内周側に内向きのフランジ部202(以下、内向フランジ部ともいう)を水平に有し、円錐面体(2)の底辺部側の外周側には外向きのフランジ部203(以下、外向フランジ部ともいう)を水平に有した形状であり、概ねハット形をしている。
以下、この円錐面体(2)の垂直断面形状をハット形ともいい、ハット形の外向フランジ部203を除いた形状をハット本体ともいう。
【0065】
このようなハット形の円錐面体(2)のプレス絞り加工による製造においては、プレス絞り加工では、絞り成形が極めて困難な円錐面体(2)の周面のテーパ面204の成形のみならず、当該テーパ面204の上辺側における内向フランジ部202のR部(R1)の成形及び当該テーパ面204の下辺側における外向フランジ部203のR部(R2)部の成形という困難性がある。
本発明においては、以下に述べるプレス絞り加工やへら絞り加工により、分離板2の本体である円錐面体(2)の提供を可能にした。
【0066】
プレス絞り第1工程(素材=ブランク)
第1工程においては、図9に示すように、例えばJIS規格のSUS304LやSUS316L等のステンレス鋼板を材料として、平らなステンレス鋼板をテーパ面を備えた円錐面体(2)に成形するに当たり、先ず、素材200としての方形板(以下、方形素材ともいう)を用意する。この方形素材200は厚さ0.55mmの平板材(定尺板2000mm×1000mm 2B JIS規格)を目的の分離板2のサイズに応じて所要の方形、例えば400mm×400mmにカットする(以下、この工程を方形素材カット工程ともいう)。
【0067】
プレス絞り第2工程(歪防止円穴の形成)
第2工程においては、図10に示すように、方形板200の中央に、後述のプレス絞り加工において当該素材(200)に生ずる歪や割れの発生を除去するための歪防止円穴205を打ち抜いて成形する(以下、この工程を歪防止円穴カット工程ともいう)。
この歪防止円穴205は、後述の図17に示す第9工程において形成される頂面の正規の円あなである頂面円穴201の内径より小さい径の円穴とされるが、歪や割れの発生をより効果的に抑制するには、その範囲で可能な限り内径が大きい歪防止円穴205とするのが好ましい。
【0068】
プレス絞り第3工程(ドーナッツ状円盤の形成)
第3工程においては、図11に示すように、中央に歪防止円穴205が成形された方形板(素材)の周辺を、当該歪防止円穴205と同心円状に打ち抜いて円盤206を成形する(以下、この工程をドーナッツ状円盤成形カット工程ともいう)。
この円盤206の外径は後述の第9工程において成形される完成品の円錐面体(2)の外向フランジ部203の外径より大きな径とするが、歪の発生をより効果的に抑制するには、その範囲で可能な限り円盤206の外径が小さい方が好ましい。
【0069】
尚、上記のプレス絞り第1〜第3工程即ち実質的にはプレス絞りにおける前加工工程は、必ずしも、この実施例に示す工程の順に行う必要はなく、第1〜第3工程或いは第2〜第3を同時に行ってもよいし、何れかの工程の順を逆に行ってもよい。
又、素材としてのドーナッツ状円盤206は、次の工程即ちプレス絞り第4工程の絞り加工工程を行う前に予め汚れや誇り等が付着してないかを確認し、付着しておれば除去しておく(以下この工程をドーナッツ状円盤素材の確認工程ともいう)。
【0070】
以下、プレス絞り第4工程〜第9工程を示す図12〜図15において、各図中の(a)は加圧直後の素材の状態を示す垂直断面図を示し、(b)は素材を図示せずに上下金型A,Bが合致した状態を示す垂直断面図であり、図12〜図17図の各図においては、断面を示す斜線を省略してある。
尚、このプレス絞り第4工程から第7工程において用いるプレス加工機即ちプレス絞り用金型装置は、図示の上金型A(A1〜A4)と下金型B(B1〜B4)とを用いる装置である。
【0071】
プレス絞り第4工程(第1段絞り成形)
図12(a)(b)において、この第4工程即ち第1段絞り工程において用いる上下金型A1,B1は、垂直断面において、上金型A1の下面の周辺は水平面A101で、上金型A1の下面の中央は台形状の凹部A102を有し、下金型B1の上面の周辺は水平面B101で、下金型B1の下面の中央は上金型A1の凹部A102に相応する台形状の凸部B102を有し、
上下金型A1,B1の凹凸部A102、B102の台形形状は垂直断面において台形の上辺及び左右の斜辺の各々が直線的に形成されている。以下、このような上下金型を直線台形状金型(A1・B1)ともいう。
【0072】
この直線台形状金型(A1・B1)を用いてドーナッツ状円盤206の素材をプレス絞り成形すると(以下、この工程を第1段絞り成形ともいう)、プレス後のスプリングバックによって、図12(a)に示すように、ハット本体の頂面と周面とにおける垂直断面において、ハット本体の頂面及び周面の断面ラインが各々ハット本体の内部から外部方向に向かって当該断面ラインが緩やかに膨らむ膨張曲線を描く膨張形状に成形された第1段絞り形成品(図12(a)が得られる。
【0073】
プレス絞り第5工程(第2段絞り成形)
図13(a)(b)において、この第5工程においては、上記の直線台形状金型(A1・B1)に換えて次のような上下金型(A2,B2)を用いる。
即ち、垂直断面において、上金型A2の下面の周辺は水平面A201で、上金型A2の下面の中央は台形状の凹部A202を有し、下金型B2の上面の周辺は水平面B201で、下金型B2の下面の中央は上金型A2の凹部A202に相応する台形状の凸部B202を有し、
上下金型(A2,B2)の凹凸部A202、B202の台形形状は垂直断面において、
台形の上辺及び左右の斜辺の各々がハット本体の内部側に向かって緩やかに凹むように膨らむ曲線に形成されている。以下、このような上下金型を内部側膨張曲線台形状金型(A2・B2)ともいう。
【0074】
この内部側膨張曲線台形状金型(A2・B2)を用いて第1段絞り形成品(図12(a))を更にプレス絞り成形すると(以下、第2段絞り成形ともう)、プレス後のスプリングバックによって、図13(a)に示すように、ハット本体の頂面と周面とのR部即ちR1の曲がりが所望の完成品形状に近い形状に成形されると共に、ハット本体の頂面と周面とにおける垂直断面において、ハット本体の頂面の断面ラインは水平で、ハット本体の周面の断面ラインはハット本体の外部から内部方向に向かって当該断面ラインが緩やかに凹む曲線を描く凹み曲線形状に成形された第2段絞り形成品(図13(a))が得られる。
【0075】
プレス絞り第6工程(第3段絞り成形)
図14(a)(b)において、この第6工程においては、上記の内部側膨張曲線台形状金型(A2・B2)に換えて次のような上下金型(A3,B3)を用いる。
即ち、垂直断面において、上金型A3の下面の周辺は水平面A301で、上金型A3の下面の中央は台形状の凹部A302を有し、下金型B3の上面の周辺は水平面B301で、下金型B3の下面の中央は上金型A3の凹部A302に相応する台形状の凸部B302を有し、
上下金型(A3,B3)の凹凸部A302、B302の台形形状は垂直断面において、
台形の上辺が直線で、台形の左右の斜辺の各々がハット本体の外部側に向かって緩やかに凸状に膨らむ曲線に形成されている。以下、この上下金型を外部側膨張曲線台形状金型(A3・B3)ともいう。
【0076】
この内部側膨張曲線台形状金型(A3・B3)を用いて第2段絞り形成品(図13(a))を更にプレス絞り成形すると(以下、第3段絞り成形ともう)、図14(a)に示すように、プレス後のスプリングバックによって、ハット本体の頂面と周面とのR1の曲げが所望の完成品形状の曲がりに成形されると共に、ハット本体の頂面と周面とにおける垂直断面において、ハット本体の頂面及びハット本体の周面の各断面ラインが所望の完成品形状の直線状に成形された第3段絞り形成品(図14(a))が得られる。
【0077】
プレス絞り第7工程(外向フランジ部のR部の成形)
上記の第6工程において得られる第3段絞り形成品(図14(a))においては、同図に示すように、ハット本体の頂面と外向フランジ部203とのR部即ちR2の曲げが未完である。
図15(a)(b)において、この第7工程においては、R2のR部の曲げを所望の完成品形状とするための成形である。以下、このような工程を外向フランジ部203のR部成形ともいう。
【0078】
この第7工程においては、上記の第6工程で用いた内部側膨張曲線台形状金型(A3・B3)に換えて、図15(a)(b)に示す上下金型(A4、B4)を用いる。
即ち、垂直断面において、
先ず、下金型B4の上面の中央は第3絞り成型品(図14(a))が被せられて密に嵌合する台形状の凸部B402を有し、下金型B4の上面の中央の周辺、即ち前記台形状凸部B402の周辺であって、ハット本体の外向フランジ部203の下面側を押圧する押圧面A401の断面ラインは、前記の台形状凸部B402から外周縁側に向かって直線的に高まる傾斜ラインに形成されている。
【0079】
他方、上金型A4の下面の中央はプレス時に第3絞り成型品(図14(a))のハット本体の頂面及び周面に接触しない凹部、即ち、図示のような台形状の凹部A402を有し、上金型A4の下面の中央の周辺、即ち前記台形状凹部A402の周辺であって、ハット本体の外向フランジ部203の上面側を押圧する押圧面B401の断面ラインは、前記下金型B4の押圧面A401の傾斜ラインと並行に形成されている。以下、このような上下金型を外向フランジ部のR部修正金型(A4・B4)ともいう。
【0080】
このような外向フランジ部のR部修正金型(A4・B4)を用いて第3段絞り形成品(図14(a))を更にプレス加工すると(以下、外向フランジ部のR部成形ともいう)、プレス後のスプリングバックによって、図15(a)に示すような、ハット本体の周面と外向フランジ部203とのR2のR部の曲げが所望の完成品形状の曲がりに成形され、ハット本体の周面と外向フランジ部203とにおける垂直断面において、ハット本体の周面の傾斜ラインに対してハット本体の外向フランジ部203の断面ラインが所望の完成品形状である直線状(水平)に成形された第4段プレス形成品(図15(a))が得られる。
【0081】
プレス絞り第8工程(正規外向フランジ部のカット成形)
図16において、この第8工程においては、打ち抜きプレス加工によって、図に示すように、前記第4段プレス形成品(図15(a))外向フランジ部203の外周縁部をカットして、当該外向フランジ部203の外径を完成品の正規寸法にカット成形する。この加工工程を正規外向フランジ部のカット成形工程ともいう。
【0082】
プレス絞り第9工程(正規円穴のカット成形)
図17において、この第9工程においては、打ち抜きプレス加工によって、図に示すように、頂面の歪防止円穴205の内周縁部を同心円状に拡大して、当該歪防止円穴205の内径を拡大するようカットして、完成品の正規寸法の正規円穴201にカット成形する。この加工工程を正規円穴のカット成形工程ともいう。
【0083】
尚、上記第8工程と第9工程の打ち抜きプレス加工の工程順は、この実施例に示す工程順に限らず、第8工程と第9工程の打ち抜きプレス加工順を逆にしてもよいし、同時加工してもよい。
【0084】
プレス絞り第10工程(流通孔穿孔工程)
最後に、上記の円錐面体成形工程即ちプレス絞り第1工程乃至第10工程を経て成形された円錐面体(2)の所定位置に所要サイズの流通孔22(図2乃至図7参照)を適宜の穿孔手段、例えば手動又は動力プレス機にて穿設する(以下この工程を流通孔穿孔工程ともいう)。以上の各工程により所望の円錐面体3が製造される。
【0085】
以上のプレス絞り第1乃至第10工程によって、
第1工程の素材200、即ち、JIS規格のSUS304LやSUS316L等のステンレス鋼板の厚さ0.5mmの方形板の素材(例えば400mm×400mm)を、第9工程の図17に示す分離板2の本体である円錐面体(2)が得られる。
この実施例では、第3〜第4絞り工程即ちプレス絞り第1段〜第3段工程の各工程において、プレス工程時間即ち1ストロークを均等スピードで約4〜8秒掛けて行うことにより、円錐面体(2)の頂面の外径(台形状における上辺の長さ)約114mm、頂面の正規円穴201の内径約108mm、従って、頂面側の内向フランジ部202の幅約3mm、外向フランジ部203の外径約336mm、外向フランジ部203の直径方向のR部(R2)とR部(R2)との間の長さ(台形状における下辺の長さ)約333mm、従って外向フランジ部203の幅約1.5mm、高さ約140mm、内向及び外向フランジ部203の厚さ各約0.5mm、テーパ面204の厚さ約0.3mmの円錐面体(2)であって、そのテーパ面204の上面及び下面に歪や割れの無い平滑なテーパ面を備えた遠心分離機用の分離板2本体としての円錐面体(2)を分離板2の本体の完成品即ち分離板本体として得ることができる。
【0086】
又、このプレス絞り第1乃至第10工程によって、高精度の分離板2の本体を量産することができ、廉価の分離板本体を提供することもできる。
【0087】
尚、上記実施例に示す完成品としての分離板2の本体の実際のサイズは、上記の通りであるが、プレス絞り第1乃至第10工程の各絞り工程を示す図9〜図17においては、上下金型A,Bや円錐面体(2)の形状を特徴的に明示するため実際の各部のサイズの比率に応じて図示されてはいない。殊に、プレス成型品の板厚や内向フランジ部202の幅及び外向フランジ部203の幅はその存在を特に明示するため大きく強調して図示してある。
【0088】
分離板2本体のへら絞り加工方法
次に、図9、図16、図17を借用しながら図18、図19に基づいて、分離板2の本体たる円錐面体(2)をへら絞り加工にて成形する製造方法を以下説明する。
図18、図19は装置の回転軸を水平方向とした概念図であり、図18は絞り加工の開始状態、図19は絞り加工の終了状態を示す。尚、図中の被加工物たる素材200は断面図で示すが、断面を表示する斜線は省略してある。
【0089】
図18及び図19において、へら絞り加工装置500(501,502,503)としては、例えば自動スピニング絞り加工機を用い、当該装置500は、截頭円錐形状の型501と、当該型500の截頭部の円形頂面に方形素材200を押圧固定するための押圧具502と、当該押え具502によって型500の円形頂面に押圧固定された方形素材200に押し当てられる「へら」に相応する回転自在な駒503とを備えている。
【0090】
方形素材200の中心が前記円形頂面の中心に一致するように押圧具502で押圧固定した状態で、押圧具502と方形素材200と型500とを一体として軸回転させながら、駒503を、図18に示すように断面が台形状の型500の上辺側からR1の所定のR部を成形するように押し当てつつ、台形状の斜辺に沿って台形状の底辺側に向けて移動させて行きながらテーパ面204を成形して行き、図19に示すR2の所定の
R部の位置で移動を停止させ、駒503を素材200から引き離す。
【0091】
駒503は、移動を停止させた際に、予め停止位置で予めR2のR部の曲がりが成形される形状の駒を用いておく。又、型501は当然のことながら完成品としての分離板2の本体、即ち円錐面体(2)の内部形状に応じた形状のものを用いるが、図19に示すように円錐面体(2)のテーパ面の斜面の長さより十分に長い斜面(台形状の斜辺)としておく。
【0092】
この工程のへら絞り加工によって、上記プレス絞り第7工程終了時の円錐面体(2)と同等の円錐面体(2)を得ることができる。
但し、へらし彫りにより得られる図19の円錐面体(2)には、頂面の正規円穴201が形成されておらず、従って、図17の円錐面体(2)に比べて、内向フランジ部202や正規寸法の外向フランジ部203も成形されていない。
よって、これらの加工、即ち、プレス絞り第8工程、第9工程及び第10工程は別途行うことになる。
【0093】
即ち、上記のへら絞り加工によれば、上記実施例で説明したプレス絞りの第2工程から第6工程を経ずして、プレス絞りの第1工程、上記へら絞り工程を経て、プレス絞り第8工程から第10工程を行うことにより、上記プレス絞り工程(第1〜第10工程)による成型品と同様の成型品を得ることができる。
【0094】
分離空間仕切突条部片の製造
分離空間仕切突条部片(3)は、適宜の成型手段、例えば打ち抜き加工機等により、平板な素材を打ち抜いて予め所要の形状に製造しておく(打ち抜き加工)。
例えば、上述したように「へ」字状等に湾曲させた形状や、図7に示すような直線帯状に成形する(以下この工程を突状部片の成形工程ともいう)。
【0095】
分離空間仕切突条部片(3)の成形の際には、殊に、当該分離空間仕切突条部片が円錐面の円錐母線と平行か平行に近い角度で正確には斜め方向に配設される突状部片の場合には、その長さ方向において、その上面(円錐面への当接面とは反対側の面=背面)側への反りを持たせるように加工しておく(以下この工程を反り加工ともいう)。
この「反り」を与えた形状に成形しておくことによる利点については後述の溶接工程において説明する。以上の工程により所望の分離空間仕切突条部片が製造される。
【0096】
位置決用円錐面型の製作(製造)
分離空間仕切突条部片(3)を分離板2の本体たる円錐面体(2)の表面の一体化させる所定位置に宛がう位置決手段としての位置決用円錐面型は、当該分離板2の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する当該分離板本体の少なくとも円錐面に対して少なくとも一部分が着脱自在に蜜に嵌合する同一形状若しくは相似形の截頭円錐形状の円錐面型を用いる。
【0097】
図8の実施例に示す位置決用円錐面型50は、分離板2の本体である円錐面体(21の円錐面211に重ねるように、図示の矢印で示す円錐軸方向から密着嵌合させた際に、当該分離板2の分離空間仕切突条部片(3)を溶接する所定位置に相応する相応所定位置部位に、分離空間仕切突条部片(3)が前記の円錐面体(21)に一体化される状態で落とし込まれて蜜に嵌り込む位置決め孔51を、例えば、当該分離空間仕切突条部片(3)と同一形状の孔を設けてある。
【0098】
この位置決用円錐面型50(以下、円錐面型ともいう)は、図示の状態から分かるように、当該位置決用円錐面型50が適用されて分離空間仕切突条部片(3)が溶接される分離板2の本体である円錐面体(21)をそのまま転用して、位置決め孔51を穿設したものである。
従って、流通孔22は穿設されたままであるが、この流通孔22は円錐面型としては無用であり、無くてもよい。
【0099】
このような位置決用円錐面型50としては、上記のように分離板2を必ずしも転用する必要は無く、別途、円錐面型を作成してもよいが、このような転用をすることによって、位置決用円錐面型50の調達が迅速且つ容易となり、調達コストも経済的となる。
何れにしても、位置決用円錐面型50は、截頭円錐形状の分離板2と同一若しくは相似形状とし、当該分離板2の外面全体を外側の円錐軸方向からすっぽりと覆うサイズとするのが好ましい。
【0100】
又、仮に、位置決用円錐面型50を分離板2の転用で形成する場合には、当該分離板2の円錐面の厚さが薄いため、位置決め孔51の内周縁、少なくとも帯状に穿設される長孔の両縁側に適宜な補強部材(図示せず)を配設して、肉厚とするとよい。
このように位置決用円錐面型50に形成される位置決め孔51の縁に厚みを形成することにより、分離空間仕切突条部片(3)を当該位置決め孔51へ挿入する際に、誤ることなく、適確に挿入する事ができ、作業を迅速且つ容易に行うことができる。
【0101】
次に、分離板2の円錐面21の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片(3)を一体的に配設する溶接工程を説明する。
【0102】
溶接第1工程(嵌合工程)
図8に示すように、分離板2の円錐面21の外周側に位置決用円錐面型50を円錐軸方向から重ねるように着脱自在に嵌合し、分離板2のの円錐面21の所定位置即ち分離空間仕切突条部3の設定位置上に、位置決用円錐面型50の位置決め孔51が正確に重なるように蜜嵌合させて、分離板2と円錐面型50とを一体化させる(以下これを分離板と円錐面型との嵌合工程ともいう)。
【0103】
溶接第2工程
次に、前記位置決用円錐面型50の位置決め孔51に別体に形成された分離空間仕切突条部片(3)を挿入して、分離板2の円錐面21に分離空間仕切突条部片(3)を溶接する。
溶接は、例えば、帯状の分離空間仕切突条部片(3)の長さ方向に適宜間隔をおいて順に設定してある溶接箇所(図示せず)に、当該分離空間仕切突条部片(3)の一方の端から順に他方の端に向けてスポット溶接にて一体化させて行く。
【0104】
最初の位置決め孔51での溶接
先ず、一枚の分離空間仕切突条部片(3)の他端側を一方の手で把持しつつ、位置決め孔51の一端側に分離空間仕切突条部片(3)の一端側を突っ込んで、当該分離空間仕切突条部片(3)の反りの反発力に抗して、当該分離空間仕切突条部片(3)の少なくとも一端側の溶接箇所を位置決め孔51に沈めるよう押さえ込んだ状態にしたままで、他方の手で、当該一端側の溶接箇所をスポット溶接する。
【0105】
次ぎに、分離空間仕切突条部片(3)を把持した手で、次の溶接箇所を位置決め孔51に沈めるよう押さえ込んで、他方の手で次の溶接箇所をスポット溶接する。
以下同様に先の工程を繰り返して、順次、一方の手で溶接箇所を設定穴に沈めるよう押さえ込んで、他方の手で溶接箇所をスポット溶接して行き、当該分離空間仕切突条部片(3)の溶接を終える(以下この工程をスポット溶接工程ともいう)。
【0106】
上記のスポット溶接工程では分離空間仕切突条部片(3)を位置決め穴51に少しづつ挿入しつつ溶接する手法、即ち、分離空間仕切突条部片(3)をその帯状の一端側から他端側へと次第に位置決め穴51に適宜挿入して行きながら、帯状の一端側から他端側に向けて順次溶接ポイントを連続的に溶接させている。
このような溶接手法によれば、溶接箇所を確認しながらが順次溶接されるので、所定位置に正確に当接されながら溶接されるので、分離空間仕切突条部片(3)は所定の溶接箇所に安定化して、位置ズレを生ずることなく、正確に溶接されて、分離板2と一体化される。
【0107】
しかしながら、溶接手法はこれに限らず、例えば、当該分離空間仕切突条部片を(3)の全体を一度に位置決め穴51に挿入してスポット溶接してもよい。
又、実施例の溶接例では、帯び即ち、帯状に延在する分離空間仕切突条部片(3)の長手方向に点在するスポット溶接で説明したが、他の適当な溶接手段を用いてもよい。
尚、ここで溶接される分離空間仕切突条部片(3)の長さは、円錐面21に一体的に溶接された状態において、当該円錐面21の上辺側31から底辺即ち下辺側41に延在する長さが好ましい。
【0108】
2つ目の位置決め孔51での溶接
次に、分離空間仕切突条部片(3)の溶接作業を行う2つ目の位置決め孔51は、最初の位置決め孔51の隣の位置決め穴51や他の適当な位置決め穴でもよいが、最初(1つ目)の溶接に用いた位置決め孔51とは反対方向例えば180度の当りに位置する位置決め孔51を選択して、溶接をすると、2つ目の溶接完了の段階で、分離板2に被せられて重なる円錐面型(2、20)は、180度方向に離れた2ヶ所において溶接された分離空間仕切突条部片(3)によって、更なる位置決めがなされたことになるため、他の分離空間仕切突条部片(3)が溶接されるべき位置決め孔51が分離板2の所定位置に自ずと決定され、より簡便且つ確実に位置決めされ、分離空間仕切突条部片(3)を一層正確に分離板2の所定位置に一体化させることができる。
【0109】
何れにしても、上記のような円錐面型50を用いる事により、分離板2の円錐面21に位置決用円錐面型50を重ねるように密嵌合させた状態で、帯状の分離空間仕切突条部片(3)の一方端側から他端側が次第に嵌り込むように位置決め孔51に挿入しながらスポット溶接を施し、次の、所定位置即ち位置決め孔51を用いて分離空間仕切突条部片(3)を適宜な溶接機で溶接するに当っては、重ねられて一体的に嵌合された状態の分離板2と位置決用円錐面型50とを一体的に当該円錐の軸を中心に周方向に転動させ、分離板2の周方向に複数設定された所定位置(位置決め孔51)を、当該溶接機の所定溶接位置に回転移動させながら、分離板2の全ての所定位置に分離空間仕切突条部片(3)を一体的に配設することができるので、分離空間仕切突条部片(3)の溶接作業を効率よく行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、上記実施例において船舶用ディーゼルエンジンの燃料油や潤滑油等を被処理液とする分離板型遠心分離機用の分離板について説明したが、これに限らず、広く産業上利用する分離板型遠心分離機の分離板の製造において利用できる。
【符号の説明】
【0111】
2 分離板
(2) 円錐面体(分離板本体)
21 円錐面
211 円錐面の外面(上面)
212 円錐面の内面(下面)
22 流通孔
3 分離空間仕切突条部
(3) 分離空間仕切突条部片
31 円錐面の上辺
41 円錐面の下辺(底辺)
50 位置決用円錐面型(円錐面型)
51 位置決め孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、高回転・高遠心力によって被処理液(原液)を比重差に応じて液・液、及び/或いは固・液に分離する分離板型遠心分離機用分離板(以下単に分離板ともいう)の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る分離板型遠心分離機(以下、単に「分離機」ともいう)は、産業の多くの分野に用いられており、例えば、船舶用ディーゼルエンジンの燃料油や潤滑油の浄化や、被処理液としてのこれらの油中(被処理液中)に混入した固形不純物を除去する清浄機として用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のこの種の分離板型遠心分離機(分離機)の構造は、薄い金属板が截頭円錐形状に成形された分離板が、当該分離機の回転体内の回転軸方向に多数積層された分離板群を備え、分離板群の各層において上下に位置する各分離板相互の上下間隙、即ち、各層において上の分離板の円錐面の内面(下面)と下の分離板の円錐面外面(上面)との間として形成された円錐面間隙を、下の分離板の円錐面の外面(上面)の円錐母線方向に複数配設された分離空間仕切突条部で、回転体の回転方向に間隔を置いて、例えば、8分轄して8室の分離空間が形成されている。
【0004】
このような構造の分離機による分離処理は次のようにして行われる。
例えば、燃料油や潤滑油等である被処理液(以下、原液ともいう)が、回転体の回転軸方向から回転体内に導入されると、遠心力により、前記分離板群の下方側から分離板群を上下方向に貫通した流通孔を経て、各分離空間に流入し拡散して行く。
【0005】
遠心力が与えられた被処理液は、流入した分離空間に拡散しつつ、液体は上下の分離板の円錐面の間を、分離板の中心即ち回転軸方向に向かって円錐面の傾斜を登るように流れて行く。
【0006】
他方、被処理液中に混入している雑多な固形不純物粒子は、遠心沈降によって、当該分離空間を形成する上の分離板の円錐面の内面(下面)側に沈降し、沈降した円錐面に沿って分離空間の外周縁側即ち円錐面の下辺に当たる底辺側へと流動(分離空間からの排出流動)して行く。
【0007】
沈降した固形不純物粒子が、このように分離空間の外周縁へ向かって排出流動させられる際には、当該分離空間を形成するよう(仕切るよう)に回転方向の前後に配置されている2つの分離空間仕切突条部のうち、後方に位置する分離空間仕切突条部によって、詳しくは当該分離空間仕切突条部の回転方向側の縁である回転正面縁によって、固形不純物粒子が案内されながら、恰も、分離空間仕切突条部で分離空間から掃き出されるように、分離空間の外周縁側の、上の分離板の内面側の下辺即ち底辺(当該分離板の外周端)側へと送られる。
【0008】
こうして、各分離空間からその外周縁に送り出される固形不純物は、その外周縁に集められて、堆積し、分離群の周囲の回転体内の空間に至り、終には当該回転体内の最外周空部の所謂固形不純物集塵場所である回転体内の最大径部に一時的に貯蔵され、適宜手段により適宜に回転体外へと排出される。
【0009】
さて、問題は、上記のような截頭円錐形状に形成された分離板の本体である円錐面(以下、円錐面体ともいう)上に、上記したような分離空間仕切突条部片(以下、分離板の円錐面に一体化される前の部材としての分離空間仕切突条部を分離空間仕切突条部片或いは略して突条部片ともいい、一体化された分離空間仕切突条部片を分離空間仕切突条部という)を一体的に装着させる方法であり、当該分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製法である。
【0010】
従来では、一方で、薄い金属板を截頭円錐状に加工して分離板本体即ち円錐面(体)を成形しておき、他方で、この分離板本体と同じか同程度の厚さ及び材質の平板な金属板から多数の分離空間仕切突条部片(以下、単に突条部片ともいう)を切り出しておき、前記分離板本体の複数箇所の所定位置に前記分離空間仕切突条部片を一枚毎宛がいながら溶接されていたのである。
【0011】
しかしながら、分離空間仕切突条部片は比較的薄い帯板状の小片であるため取り扱い難い上に、平面ではない円錐面上の、しかも所定位置に正確に位置決めして、分離板の本体である円錐面に一体的に配設する作業は、多大の手間数と時間とを要する困難な作業であり、生産効率が上がらない作業であった。
【0012】
又、この分離板の本体である截頭円錐形状に形成された円錐面体は、その機能上分離板の内外の平面が殊の外平滑でなければならず、従って耐久性は当然のことながら防錆性に優れた金属板を用いる必要があり、例えば、JIS規格でいうと、SUS304LやSUS316L等のステンレス鋼板を用いる必要があるため、平らなステンレス鋼板をテーパ面を備えた円錐面体に成形することにも困難性があった。
【0013】
従来、平らなステンレス鋼板を歪の無い平滑なテーパ面を備えた円錐面体に成形するには、へら絞り加工の熟練工によるへら絞り盤(旋盤に似た構造で、型に取り付けた被加工物を高速回転させながら、工具をその被加工物に押しつけながら成形する加工機で、英語でspinning latheともいう)を用い、手間と時間とを掛けて加工していたが、
本発明者は、試行錯誤を重ねた研究の結果、プレス機を用いてのプレス絞りによる加工法及びへら絞り加工機による円錐面体を得ることができた。
【0014】
本発明は、上記課題を解決すべく、生産効率の高い、分離空間仕切突条部を備えた分離板の製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする。
【0016】
請求項2の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入しつつ、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0017】
請求項3の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片をその帯状の一端側から他端側へと次第に挿入しながら、前記帯状の一端側から他端側に向けて溶接させて、
当該分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0019】
請求項5の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入しつつ、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0020】
請求項6の発明は、分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片をその帯状の一端側から他端側へと次第に挿入しながら、前記帯状の一端側から他端側に向けて溶接させて、
当該分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接は帯びの長手方向に点在するスポット溶接であることを特徴とする。
【0022】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面に一体的に溶接された状態において、前記円錐面の上辺側から下辺側に延在する長さであることを特徴とする。
【0023】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面の円錐母線方向に配設されることを特徴とする。
【0024】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面の円錐母線と斜めに交差する方向に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【0025】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向において直線状であることを特徴とする。
【0026】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向において曲線状であることを特徴とする。
【0027】
請求項13の発明は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向の一部において曲線状であることを特徴とする。
【0028】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項13の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、位置決用円錐面型は、当該位置決用円錐面型が適用される分離板の製造過程において成形される円錐面体を用いることを特徴とする。
【0029】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項13の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、位置決用円錐面型は、少なくとも分離板の円錐面に密着する部分は、当該分離板の製造過程において成形される円錐面体を用いることを特徴とする。
【0030】
請求項16の発明は、請求項1乃至請求項15の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、位置決用円錐面型は、位置決め孔の周縁を肉厚に成形したことを特徴とする。
【0031】
請求項17の発明は、請求項1乃至請求項15の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、位置決用円錐面型は、位置決め孔の周縁の少なくとも長手方向の両縁を肉厚に成形したことを特徴とする。
【0032】
請求項18の発明は、請求項1乃至請求項17の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、平板を打ち抜き加工で成形されたことを特徴とする。
【0033】
請求項19の発明は、請求項1乃至請求項17の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、溶接される分離空間仕切突条部片は、平板を打ち抜き加工で成形され、帯状の長手方向に反りが与えられたことを特徴とする。
【0034】
請求項20の発明は、請求項1乃至請求項19の何れかに記載の空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、分離板の円錐面に位置決用円錐面型を重ねるように密嵌合させた状態にて、帯状の分離空間仕切突条部片の一方端側から他端側が次第に嵌り込むように位置決め孔に挿入しながらスポット溶接を施し、重ねられた状態の分離板と位置決用円錐面型とを一体的に当該円錐の軸を中心に転動させて、分離板の周方向に複数設定された所定位置を、溶接機の溶接位置に回転移動させながら、分離板の全ての所定位置に分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
請求項1乃至請求項20の各発明によれば、何れも、位置決め孔が設けられた位置決用円錐面型を用いることにより、薄い帯板状の小片であるため比較的取り扱い難い分離空間仕切突条部片を、平面でないために所定位置に当接し難い円錐面上の所定位置に正確に位置決めして前記円錐面(体)と一体化させる作業を、従来に較べて比較的容易且つ円滑に行う事ができ、従来要していた多大の手間数と時間とが大幅に削減され、生産効率のよい製造方法を提供することができる。
【0036】
請求項14乃至請求項15の各発明によれば、何れも、位置決用円錐面型として、半製品として生産される円錐面体が転用できるので、位置決用円錐面型の製造を迅速且つ容易にして、経済的である。
【0037】
請求項16乃至請求項17の各発明によれば、何れも、位置決用円錐面型に形成される位置決め孔の縁に厚みを形成しているので、分離空間仕切突条部片の当該位置決め孔への挿入を誤ることなく、迅速且つ容易に行うことができ、生産効率を向上させることができる。
【0038】
請求項19の発明によれば、分離空間仕切突条部片には反りが与えられているので、溶接作業従事者は、帯状の分離空間仕切突条部片の長手方向の一方端側を手で摘みながら迅速且つ容易に帯状に長い位置決め孔に当該分離空間仕切突条部片の他方端側から次第に挿入させていくことができ、これは円錐面の母線方向に分離空間仕切突条部片を配設する際に効果的となる。
【0039】
請求項20の発明によれば、分離板と位置決用円錐面型とを重ね合わせた状態で一体的に取り扱う事ができ、しかも、重ねあわせ状態のままで、円錐の軸を中心に転動させながら、分離板の円錐面の複数箇所に設定された所定位置を、溶接機の溶接位置に手軽に回転移動させることができるので、分離空間仕切突条部片の溶接作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】分離板型遠心分離機の回転体の断面図である。
【図2】分離板群を構成する分離板の平面図である。
【図3】分離板の底面図である。
【図4】分離板の側面図である。
【図5】分離板の斜視図である。
【図6】分離板の縦断面図である。
【図7】別の分離板の斜視図である。
【図8】位置決用円錐面型の用法説明図である。
【図9】プレス絞り第1工程の説明図である。
【図10】プレス絞り第2工程の説明図である。
【図11】プレス絞り第3工程の説明図である。
【図12】プレス絞り第4工程の説明図である。
【図13】プレス絞り第5工程の説明図である。
【図14】プレス絞り第6工程の説明図である。
【図15】プレス絞り第7工程の説明図である。
【図16】プレス絞り第8工程の説明図である。
【図17】プレス絞り第9工程の説明図である。
【図18】へら絞り作業の開始状態を示す説明図である。
【図19】へら絞り作業の終了状態を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を、船舶用ディーゼルエンジンの燃料油や潤滑油等を被処理液とする分離板型遠心分離機(以下、単に分離機ともいう)用の分離板を例にして以下説明する。
【実施例】
【0042】
実施例の図1は分離板型遠心分離機の回転体の断面図、図2は分離板群を構成する分離板の平面図、図3は分離板の底面図、図4は分離板の側面図、図5は分離板の斜視図、図6は分離板の縦断面図、図7は別の分離板の斜視図、図8は位置決用円錐面型の用法説明図である。
【0043】
図1において、回転体1の内部には、回転体1の回転軸方向に笠状の分離板2が多数積層された分離板群20が設けられている。この分離板群20を構成する分離板2は、図2乃至図6に示すとおり、平板を絞り加工によって截頭円錐形状に加工されたものである。
【0044】
分離板群20の各層において、積層方向の上下に相対的に位置する上の各分離板2と下の分離板2との相互の上下間隙、即ち、図2乃至図6に示す分離板2おいて、各層における上の分離板2の円錐面21の内面(下面)212と下の分離板2の円錐面21の外面(上面)211との間には、被処理液が導入(図1の分離板群20中に図示の斜め上方に向けた多数の矢印は被処理液の導入方向を示す)される間隙として円錐面間隙(図示せず)が形成されている。
【0045】
相対的に下に位置する分離板2の円錐面21の外面(上面)211上には、当該円錐面21の略円錐母線方向に分離空間仕切突条部3が回転体1の回転方向(この実施例では図において右方向=反時計回り)に間隔を置いて、例えば8分轄して8室の分離空間4が形成されるように複数、平面図においては回転中心側から放射状に配設されている。
【0046】
この分離機による被処理液(スラッジや水分を含んだ燃料油や潤滑油等)の分離処理は大別して一次分離と二次分離によって次のように遠心分離処理される。
先ず、図1において、被処理液は、回転体1の回転軸に回転方向に設けられた導入口11から回転体1の内に導入され、回転体1の高速回転による遠心力で比重の軽い軽液、比重の重い重液、固形物等に分離される(以下、これを一次分離処理という)。
【0047】
この一次分離処理により分離された比重の軽い軽液は、分離板群20の下方側から上方側に向けて当該分離板群20を上下方向に貫通し、少なくとも、各分離空間4毎に当該分離空間4を貫通するように設けられた各々の流通孔22を上向き方向に流れて、順次下から上の各層の各分離空間4へと流入して、各分離空間4内に拡散して行く。
【0048】
次に二次処理を説明する。
各分離空間4内に拡散して行く被処理液は、遠心力が与えられているため、各分離空間4に当該流通孔22から拡散しつつ、被処理液の液体は、上下の分離板2,2の円錐面21の間、即ち、上の分離板2の円錐面21の内面(下面)212と下の分離板2の円錐面21の外面(上面)211との間隙である分離空間4内を、分離板2の中心即ち回転軸方向に向かって下の円錐面21の傾斜面211を登るよう上方へ向けて流れて行く。この流れ即ち上向流通は、図1の分離板群20中において、斜め上方に向け回転軸方向に向かうように示した多数の矢印の通りである。
【0049】
こうして、分離板群20の各層の分離板2の分離空間4の間隙を経て、分離板群20の上層側即ち上向へと流通した比較的軽い被処理液は、最終的には、図1に示す回転体1の回転軸近傍に設けられた回収口15から浄化液として回収される。
【0050】
他方、被処理液中に混入している処理対象の個々雑多な固形不純物粒子のうち比較的比重の大きな粒子は、回転体1の高速回転による遠心沈降によって、速やかに回転体1内の空間12の最大径部13に至って集積され、回転体1の胴回りにおける最大径部13に設けられた排出口14から、適宜のタイミングと適宜手段により回転体4外へと排出される。この最大径部13は、回転体4の内部側から観ると、内部における最外周空部であって固形不純物を一時的に貯蔵する集塵・集積場所である。
【0051】
又、比重の重い被処理液や被処理液中に含まれる固形不純物粒子等は、分離板群20によって形成される広大な沈降面(分離板2の円錐面積×分離板2の数)を構成する各分離空間4において、当該分離空間4の沈降面の分離空間4を形成する相対的に上(天井側)に位置する上の分離板2の円錐面21の内面(下面)212側(当該分離空間4の天井側に遠心力によって沈降)に沈降し、沈降した円錐面21に沿って当該分離空間4の外周縁41側即ち当該円錐面21の底辺41側へと流動して行く。以下、この流動を分離空間4からの排出流動と言う。
【0052】
こうして各分離空間4内において沈降した個々雑多な質量の固形不純物粒子が、各分離空間4の外周縁41へ向かって排出流動させられる際には、当該分離空間4が回転方向に複数形成されるように(仕切るように)、回転方向の前後方向に間隔をおいて配置されている相対的に一対をなす2つの分離空間仕切突条部3,3のうちの、回転方向の後方に位置する分離空間仕切突条部3(例えば、図4における符号3Fで示す分離空間仕切突条部に対する分離空間仕切突条部3R)によって、正確には、当該分離空間仕切突条部3Rの回転方向側の縁(前縁)である回転正面縁31によって、固形不純物粒子が例えば図4や図5の破線矢印の流動軌跡で示すように、案内されながら、恰も、分離空間仕切突条部3Rによって当該分離空間4から掃き出されるようにして、当該分離空間4の外周縁41側の、上の分離板2の内面212側の底辺41(当該分離板2の外周縁41)側へと送られる。
【0053】
そして、図1において、上記のように各分離空間4からその外周縁41側に送られて、分離板群20の外へと放出された固形不純物(図示せず)は、分離板群20の周囲の回転体1内の空間12に至り、終には、上記と同様に、当該回転体4内の最外周空部の所謂固形不純物集塵場所である回転体4内の最大径部13に一時的に貯蔵され、適宜手段により排出口14から回転体4外へと排出される。
【0054】
上記のように、分離空間4を満たす被処理液中に浮遊する固形不純物粒子を遠心力により分離空間仕切突条部3の回転正面縁31に案内させながら、当該分離空間4から外、即ち分離板群20の外周囲へと、当該分離空間4内を放出移動させる際、当該回転正面縁31において、軽重に差のある個々雑多の固形不純物粒子が互いの移動速度の違いや流路の錯綜による接触や衝突(図5の破線矢印)により単位粒子の質量が増大するように分離空間仕切突条部3を、より正確には、分離空間仕切突条部3の回転正面縁31を形成する。
【0055】
分離板2の円錐面21の円錐母線に対する分離空間仕切突条部3の配置、即ち、円錐面21に対する所定位置への分離空間仕切突条部片(3)の一体化のための溶接は、例えば、本実施例では、円錐面21の円錐母線と交差するように斜めに傾けて傾斜する配置としているが、必ずしもこれに限らず、例えば、図7に示す分離板20のように円錐母線と平行に、即ち円錐母線の方向に分離空間仕切突条部片(30)を配設(配置)してもよい(図7については更に後述する)
【0056】
何れの場合も、円錐面21の外周の表面に複数箇所(実施例では8箇所に)設定された所定位置に各々一体的に溶接される分離空間仕切突条部、即ち、一体化された後の分離空間仕切突条部3は、当該分離空間4中の固形不純物粒子を遠心力に応じて当該分離空間4の下方の底辺41側に、相対的に掃き出すように作用(以下、この作用を掃き出し作用ともいう)させる装置である。
【0057】
この実施例に示す分離空間仕切突条部3の傾き即ち傾斜は、当該分離空間仕切突条部3を通る円錐母線に対して、分離空間仕切突条部3上端部側が回転方向側に位置し、離空間仕切突条部3の下端部側が回転後方側に位置する傾き(以下、単に傾斜ともいう)となるように配設してある。
【0058】
尚、この分離空間仕切突条部3の回転正面縁31の形は、当該回転正面縁31の全長にわたって回転体4の回転方向(図において右回転)とは反対方向(図において左方向)に膨出する曲線を描くよう湾曲形成してもよい。
例えば、分離空間仕切突条部(片)3の前縁即ち回転正面縁31の全長に渡る曲線としたり(図示せず)、図示のように、回転正面縁31の全長のうち円錐面21の底辺41側寄りの部分が深く湾曲するように形成してもよい。
【0059】
このように形成すると、比較的広い領域で固形不純物粒子の接触や衝突による質量増大化を図ることができ、掃き出し作用を効果的に発揮させる事ができるが、必ずしもそうする必要は無く、単純に、回転正面縁31の全長にわたって直線的、即ち、分離空間仕切突条部(片)3自体が直線状の帯であってもよい。
【0060】
尚、実施例に示す「へ」の字状の分離空間仕切突条部(片)3の形状は、船舶用ディーゼルエンジンの燃料油や潤滑油等を被処理液とする固液分離性能実験において、実施実験を重ねての実験上見出された最良の形状であるに止まるから、分離機の性能や用途や被処理液の成分の如何や被処理液中に混入する固形不純物(粒子)の物性の如何等に応じて、分離空間仕切突条部3の形状は異なってよい。
【0061】
例えば、図7に示す分離板20の分離空間仕切突条部(片)3は直線状であり、この分離空間仕切突条部(片)3は円錐母線と平行、即ち円錐母線の方向に配設(配置)されている。尚、この直線状の分離空間仕切突条部(片)3では、「へ」字状等の湾曲部による作用効果は得られない。
【0062】
本実施例の分離板3は、後述のようにして製造される截頭円錐形状の円錐面体(2)を本体とし、この本体たる円錐面体(2)の外周表面である円錐面21(211)上に予定されている複数の設定位置に、当該円錐面体(2)とは別体に成形された複数枚の帯状の分離空間仕切突条部片(3)を、後述の位置決手段としての位置決用円錐面型の位置決め孔に各々挿入させて、或いは挿入させながら、溶接により前記円錐面体と一体化させ、当該円錐面体の外周面に一体的に配設して成った物である。
【0063】
以下、この分離空間仕切突条部3を備えた分離板2の製造について説明する。
分離板の製造に当っては、先ず前提として、予め、分離板の本体たる円錐面体(2)と、分離板とは別体の分離空間仕切突条部片(3)と、位置決手段である位置決用円錐面型とを別途に用意(製造)しておく必要がある。
【0064】
分離板2本体のプレス絞り加工方法
先ず、図9乃至図17において、分離板2の本体たる円錐面体(2)のプレス絞り加工による製造方法を以下説明する。
分離板2の本体たる円錐面体(2)の形状は、より正確には、第9工程の図17に示すように、垂直断面において台形状をした円錐面体(2)の頂部側の円穴201(以下、頂面円穴ともいう)の内周側に内向きのフランジ部202(以下、内向フランジ部ともいう)を水平に有し、円錐面体(2)の底辺部側の外周側には外向きのフランジ部203(以下、外向フランジ部ともいう)を水平に有した形状であり、概ねハット形をしている。
以下、この円錐面体(2)の垂直断面形状をハット形ともいい、ハット形の外向フランジ部203を除いた形状をハット本体ともいう。
【0065】
このようなハット形の円錐面体(2)のプレス絞り加工による製造においては、プレス絞り加工では、絞り成形が極めて困難な円錐面体(2)の周面のテーパ面204の成形のみならず、当該テーパ面204の上辺側における内向フランジ部202のR部(R1)の成形及び当該テーパ面204の下辺側における外向フランジ部203のR部(R2)部の成形という困難性がある。
本発明においては、以下に述べるプレス絞り加工やへら絞り加工により、分離板2の本体である円錐面体(2)の提供を可能にした。
【0066】
プレス絞り第1工程(素材=ブランク)
第1工程においては、図9に示すように、例えばJIS規格のSUS304LやSUS316L等のステンレス鋼板を材料として、平らなステンレス鋼板をテーパ面を備えた円錐面体(2)に成形するに当たり、先ず、素材200としての方形板(以下、方形素材ともいう)を用意する。この方形素材200は厚さ0.55mmの平板材(定尺板2000mm×1000mm 2B JIS規格)を目的の分離板2のサイズに応じて所要の方形、例えば400mm×400mmにカットする(以下、この工程を方形素材カット工程ともいう)。
【0067】
プレス絞り第2工程(歪防止円穴の形成)
第2工程においては、図10に示すように、方形板200の中央に、後述のプレス絞り加工において当該素材(200)に生ずる歪や割れの発生を除去するための歪防止円穴205を打ち抜いて成形する(以下、この工程を歪防止円穴カット工程ともいう)。
この歪防止円穴205は、後述の図17に示す第9工程において形成される頂面の正規の円あなである頂面円穴201の内径より小さい径の円穴とされるが、歪や割れの発生をより効果的に抑制するには、その範囲で可能な限り内径が大きい歪防止円穴205とするのが好ましい。
【0068】
プレス絞り第3工程(ドーナッツ状円盤の形成)
第3工程においては、図11に示すように、中央に歪防止円穴205が成形された方形板(素材)の周辺を、当該歪防止円穴205と同心円状に打ち抜いて円盤206を成形する(以下、この工程をドーナッツ状円盤成形カット工程ともいう)。
この円盤206の外径は後述の第9工程において成形される完成品の円錐面体(2)の外向フランジ部203の外径より大きな径とするが、歪の発生をより効果的に抑制するには、その範囲で可能な限り円盤206の外径が小さい方が好ましい。
【0069】
尚、上記のプレス絞り第1〜第3工程即ち実質的にはプレス絞りにおける前加工工程は、必ずしも、この実施例に示す工程の順に行う必要はなく、第1〜第3工程或いは第2〜第3を同時に行ってもよいし、何れかの工程の順を逆に行ってもよい。
又、素材としてのドーナッツ状円盤206は、次の工程即ちプレス絞り第4工程の絞り加工工程を行う前に予め汚れや誇り等が付着してないかを確認し、付着しておれば除去しておく(以下この工程をドーナッツ状円盤素材の確認工程ともいう)。
【0070】
以下、プレス絞り第4工程〜第9工程を示す図12〜図15において、各図中の(a)は加圧直後の素材の状態を示す垂直断面図を示し、(b)は素材を図示せずに上下金型A,Bが合致した状態を示す垂直断面図であり、図12〜図17図の各図においては、断面を示す斜線を省略してある。
尚、このプレス絞り第4工程から第7工程において用いるプレス加工機即ちプレス絞り用金型装置は、図示の上金型A(A1〜A4)と下金型B(B1〜B4)とを用いる装置である。
【0071】
プレス絞り第4工程(第1段絞り成形)
図12(a)(b)において、この第4工程即ち第1段絞り工程において用いる上下金型A1,B1は、垂直断面において、上金型A1の下面の周辺は水平面A101で、上金型A1の下面の中央は台形状の凹部A102を有し、下金型B1の上面の周辺は水平面B101で、下金型B1の下面の中央は上金型A1の凹部A102に相応する台形状の凸部B102を有し、
上下金型A1,B1の凹凸部A102、B102の台形形状は垂直断面において台形の上辺及び左右の斜辺の各々が直線的に形成されている。以下、このような上下金型を直線台形状金型(A1・B1)ともいう。
【0072】
この直線台形状金型(A1・B1)を用いてドーナッツ状円盤206の素材をプレス絞り成形すると(以下、この工程を第1段絞り成形ともいう)、プレス後のスプリングバックによって、図12(a)に示すように、ハット本体の頂面と周面とにおける垂直断面において、ハット本体の頂面及び周面の断面ラインが各々ハット本体の内部から外部方向に向かって当該断面ラインが緩やかに膨らむ膨張曲線を描く膨張形状に成形された第1段絞り形成品(図12(a)が得られる。
【0073】
プレス絞り第5工程(第2段絞り成形)
図13(a)(b)において、この第5工程においては、上記の直線台形状金型(A1・B1)に換えて次のような上下金型(A2,B2)を用いる。
即ち、垂直断面において、上金型A2の下面の周辺は水平面A201で、上金型A2の下面の中央は台形状の凹部A202を有し、下金型B2の上面の周辺は水平面B201で、下金型B2の下面の中央は上金型A2の凹部A202に相応する台形状の凸部B202を有し、
上下金型(A2,B2)の凹凸部A202、B202の台形形状は垂直断面において、
台形の上辺及び左右の斜辺の各々がハット本体の内部側に向かって緩やかに凹むように膨らむ曲線に形成されている。以下、このような上下金型を内部側膨張曲線台形状金型(A2・B2)ともいう。
【0074】
この内部側膨張曲線台形状金型(A2・B2)を用いて第1段絞り形成品(図12(a))を更にプレス絞り成形すると(以下、第2段絞り成形ともう)、プレス後のスプリングバックによって、図13(a)に示すように、ハット本体の頂面と周面とのR部即ちR1の曲がりが所望の完成品形状に近い形状に成形されると共に、ハット本体の頂面と周面とにおける垂直断面において、ハット本体の頂面の断面ラインは水平で、ハット本体の周面の断面ラインはハット本体の外部から内部方向に向かって当該断面ラインが緩やかに凹む曲線を描く凹み曲線形状に成形された第2段絞り形成品(図13(a))が得られる。
【0075】
プレス絞り第6工程(第3段絞り成形)
図14(a)(b)において、この第6工程においては、上記の内部側膨張曲線台形状金型(A2・B2)に換えて次のような上下金型(A3,B3)を用いる。
即ち、垂直断面において、上金型A3の下面の周辺は水平面A301で、上金型A3の下面の中央は台形状の凹部A302を有し、下金型B3の上面の周辺は水平面B301で、下金型B3の下面の中央は上金型A3の凹部A302に相応する台形状の凸部B302を有し、
上下金型(A3,B3)の凹凸部A302、B302の台形形状は垂直断面において、
台形の上辺が直線で、台形の左右の斜辺の各々がハット本体の外部側に向かって緩やかに凸状に膨らむ曲線に形成されている。以下、この上下金型を外部側膨張曲線台形状金型(A3・B3)ともいう。
【0076】
この内部側膨張曲線台形状金型(A3・B3)を用いて第2段絞り形成品(図13(a))を更にプレス絞り成形すると(以下、第3段絞り成形ともう)、図14(a)に示すように、プレス後のスプリングバックによって、ハット本体の頂面と周面とのR1の曲げが所望の完成品形状の曲がりに成形されると共に、ハット本体の頂面と周面とにおける垂直断面において、ハット本体の頂面及びハット本体の周面の各断面ラインが所望の完成品形状の直線状に成形された第3段絞り形成品(図14(a))が得られる。
【0077】
プレス絞り第7工程(外向フランジ部のR部の成形)
上記の第6工程において得られる第3段絞り形成品(図14(a))においては、同図に示すように、ハット本体の頂面と外向フランジ部203とのR部即ちR2の曲げが未完である。
図15(a)(b)において、この第7工程においては、R2のR部の曲げを所望の完成品形状とするための成形である。以下、このような工程を外向フランジ部203のR部成形ともいう。
【0078】
この第7工程においては、上記の第6工程で用いた内部側膨張曲線台形状金型(A3・B3)に換えて、図15(a)(b)に示す上下金型(A4、B4)を用いる。
即ち、垂直断面において、
先ず、下金型B4の上面の中央は第3絞り成型品(図14(a))が被せられて密に嵌合する台形状の凸部B402を有し、下金型B4の上面の中央の周辺、即ち前記台形状凸部B402の周辺であって、ハット本体の外向フランジ部203の下面側を押圧する押圧面A401の断面ラインは、前記の台形状凸部B402から外周縁側に向かって直線的に高まる傾斜ラインに形成されている。
【0079】
他方、上金型A4の下面の中央はプレス時に第3絞り成型品(図14(a))のハット本体の頂面及び周面に接触しない凹部、即ち、図示のような台形状の凹部A402を有し、上金型A4の下面の中央の周辺、即ち前記台形状凹部A402の周辺であって、ハット本体の外向フランジ部203の上面側を押圧する押圧面B401の断面ラインは、前記下金型B4の押圧面A401の傾斜ラインと並行に形成されている。以下、このような上下金型を外向フランジ部のR部修正金型(A4・B4)ともいう。
【0080】
このような外向フランジ部のR部修正金型(A4・B4)を用いて第3段絞り形成品(図14(a))を更にプレス加工すると(以下、外向フランジ部のR部成形ともいう)、プレス後のスプリングバックによって、図15(a)に示すような、ハット本体の周面と外向フランジ部203とのR2のR部の曲げが所望の完成品形状の曲がりに成形され、ハット本体の周面と外向フランジ部203とにおける垂直断面において、ハット本体の周面の傾斜ラインに対してハット本体の外向フランジ部203の断面ラインが所望の完成品形状である直線状(水平)に成形された第4段プレス形成品(図15(a))が得られる。
【0081】
プレス絞り第8工程(正規外向フランジ部のカット成形)
図16において、この第8工程においては、打ち抜きプレス加工によって、図に示すように、前記第4段プレス形成品(図15(a))外向フランジ部203の外周縁部をカットして、当該外向フランジ部203の外径を完成品の正規寸法にカット成形する。この加工工程を正規外向フランジ部のカット成形工程ともいう。
【0082】
プレス絞り第9工程(正規円穴のカット成形)
図17において、この第9工程においては、打ち抜きプレス加工によって、図に示すように、頂面の歪防止円穴205の内周縁部を同心円状に拡大して、当該歪防止円穴205の内径を拡大するようカットして、完成品の正規寸法の正規円穴201にカット成形する。この加工工程を正規円穴のカット成形工程ともいう。
【0083】
尚、上記第8工程と第9工程の打ち抜きプレス加工の工程順は、この実施例に示す工程順に限らず、第8工程と第9工程の打ち抜きプレス加工順を逆にしてもよいし、同時加工してもよい。
【0084】
プレス絞り第10工程(流通孔穿孔工程)
最後に、上記の円錐面体成形工程即ちプレス絞り第1工程乃至第10工程を経て成形された円錐面体(2)の所定位置に所要サイズの流通孔22(図2乃至図7参照)を適宜の穿孔手段、例えば手動又は動力プレス機にて穿設する(以下この工程を流通孔穿孔工程ともいう)。以上の各工程により所望の円錐面体3が製造される。
【0085】
以上のプレス絞り第1乃至第10工程によって、
第1工程の素材200、即ち、JIS規格のSUS304LやSUS316L等のステンレス鋼板の厚さ0.5mmの方形板の素材(例えば400mm×400mm)を、第9工程の図17に示す分離板2の本体である円錐面体(2)が得られる。
この実施例では、第3〜第4絞り工程即ちプレス絞り第1段〜第3段工程の各工程において、プレス工程時間即ち1ストロークを均等スピードで約4〜8秒掛けて行うことにより、円錐面体(2)の頂面の外径(台形状における上辺の長さ)約114mm、頂面の正規円穴201の内径約108mm、従って、頂面側の内向フランジ部202の幅約3mm、外向フランジ部203の外径約336mm、外向フランジ部203の直径方向のR部(R2)とR部(R2)との間の長さ(台形状における下辺の長さ)約333mm、従って外向フランジ部203の幅約1.5mm、高さ約140mm、内向及び外向フランジ部203の厚さ各約0.5mm、テーパ面204の厚さ約0.3mmの円錐面体(2)であって、そのテーパ面204の上面及び下面に歪や割れの無い平滑なテーパ面を備えた遠心分離機用の分離板2本体としての円錐面体(2)を分離板2の本体の完成品即ち分離板本体として得ることができる。
【0086】
又、このプレス絞り第1乃至第10工程によって、高精度の分離板2の本体を量産することができ、廉価の分離板本体を提供することもできる。
【0087】
尚、上記実施例に示す完成品としての分離板2の本体の実際のサイズは、上記の通りであるが、プレス絞り第1乃至第10工程の各絞り工程を示す図9〜図17においては、上下金型A,Bや円錐面体(2)の形状を特徴的に明示するため実際の各部のサイズの比率に応じて図示されてはいない。殊に、プレス成型品の板厚や内向フランジ部202の幅及び外向フランジ部203の幅はその存在を特に明示するため大きく強調して図示してある。
【0088】
分離板2本体のへら絞り加工方法
次に、図9、図16、図17を借用しながら図18、図19に基づいて、分離板2の本体たる円錐面体(2)をへら絞り加工にて成形する製造方法を以下説明する。
図18、図19は装置の回転軸を水平方向とした概念図であり、図18は絞り加工の開始状態、図19は絞り加工の終了状態を示す。尚、図中の被加工物たる素材200は断面図で示すが、断面を表示する斜線は省略してある。
【0089】
図18及び図19において、へら絞り加工装置500(501,502,503)としては、例えば自動スピニング絞り加工機を用い、当該装置500は、截頭円錐形状の型501と、当該型500の截頭部の円形頂面に方形素材200を押圧固定するための押圧具502と、当該押え具502によって型500の円形頂面に押圧固定された方形素材200に押し当てられる「へら」に相応する回転自在な駒503とを備えている。
【0090】
方形素材200の中心が前記円形頂面の中心に一致するように押圧具502で押圧固定した状態で、押圧具502と方形素材200と型500とを一体として軸回転させながら、駒503を、図18に示すように断面が台形状の型500の上辺側からR1の所定のR部を成形するように押し当てつつ、台形状の斜辺に沿って台形状の底辺側に向けて移動させて行きながらテーパ面204を成形して行き、図19に示すR2の所定の
R部の位置で移動を停止させ、駒503を素材200から引き離す。
【0091】
駒503は、移動を停止させた際に、予め停止位置で予めR2のR部の曲がりが成形される形状の駒を用いておく。又、型501は当然のことながら完成品としての分離板2の本体、即ち円錐面体(2)の内部形状に応じた形状のものを用いるが、図19に示すように円錐面体(2)のテーパ面の斜面の長さより十分に長い斜面(台形状の斜辺)としておく。
【0092】
この工程のへら絞り加工によって、上記プレス絞り第7工程終了時の円錐面体(2)と同等の円錐面体(2)を得ることができる。
但し、へらし彫りにより得られる図19の円錐面体(2)には、頂面の正規円穴201が形成されておらず、従って、図17の円錐面体(2)に比べて、内向フランジ部202や正規寸法の外向フランジ部203も成形されていない。
よって、これらの加工、即ち、プレス絞り第8工程、第9工程及び第10工程は別途行うことになる。
【0093】
即ち、上記のへら絞り加工によれば、上記実施例で説明したプレス絞りの第2工程から第6工程を経ずして、プレス絞りの第1工程、上記へら絞り工程を経て、プレス絞り第8工程から第10工程を行うことにより、上記プレス絞り工程(第1〜第10工程)による成型品と同様の成型品を得ることができる。
【0094】
分離空間仕切突条部片の製造
分離空間仕切突条部片(3)は、適宜の成型手段、例えば打ち抜き加工機等により、平板な素材を打ち抜いて予め所要の形状に製造しておく(打ち抜き加工)。
例えば、上述したように「へ」字状等に湾曲させた形状や、図7に示すような直線帯状に成形する(以下この工程を突状部片の成形工程ともいう)。
【0095】
分離空間仕切突条部片(3)の成形の際には、殊に、当該分離空間仕切突条部片が円錐面の円錐母線と平行か平行に近い角度で正確には斜め方向に配設される突状部片の場合には、その長さ方向において、その上面(円錐面への当接面とは反対側の面=背面)側への反りを持たせるように加工しておく(以下この工程を反り加工ともいう)。
この「反り」を与えた形状に成形しておくことによる利点については後述の溶接工程において説明する。以上の工程により所望の分離空間仕切突条部片が製造される。
【0096】
位置決用円錐面型の製作(製造)
分離空間仕切突条部片(3)を分離板2の本体たる円錐面体(2)の表面の一体化させる所定位置に宛がう位置決手段としての位置決用円錐面型は、当該分離板2の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する当該分離板本体の少なくとも円錐面に対して少なくとも一部分が着脱自在に蜜に嵌合する同一形状若しくは相似形の截頭円錐形状の円錐面型を用いる。
【0097】
図8の実施例に示す位置決用円錐面型50は、分離板2の本体である円錐面体(21の円錐面211に重ねるように、図示の矢印で示す円錐軸方向から密着嵌合させた際に、当該分離板2の分離空間仕切突条部片(3)を溶接する所定位置に相応する相応所定位置部位に、分離空間仕切突条部片(3)が前記の円錐面体(21)に一体化される状態で落とし込まれて蜜に嵌り込む位置決め孔51を、例えば、当該分離空間仕切突条部片(3)と同一形状の孔を設けてある。
【0098】
この位置決用円錐面型50(以下、円錐面型ともいう)は、図示の状態から分かるように、当該位置決用円錐面型50が適用されて分離空間仕切突条部片(3)が溶接される分離板2の本体である円錐面体(21)をそのまま転用して、位置決め孔51を穿設したものである。
従って、流通孔22は穿設されたままであるが、この流通孔22は円錐面型としては無用であり、無くてもよい。
【0099】
このような位置決用円錐面型50としては、上記のように分離板2を必ずしも転用する必要は無く、別途、円錐面型を作成してもよいが、このような転用をすることによって、位置決用円錐面型50の調達が迅速且つ容易となり、調達コストも経済的となる。
何れにしても、位置決用円錐面型50は、截頭円錐形状の分離板2と同一若しくは相似形状とし、当該分離板2の外面全体を外側の円錐軸方向からすっぽりと覆うサイズとするのが好ましい。
【0100】
又、仮に、位置決用円錐面型50を分離板2の転用で形成する場合には、当該分離板2の円錐面の厚さが薄いため、位置決め孔51の内周縁、少なくとも帯状に穿設される長孔の両縁側に適宜な補強部材(図示せず)を配設して、肉厚とするとよい。
このように位置決用円錐面型50に形成される位置決め孔51の縁に厚みを形成することにより、分離空間仕切突条部片(3)を当該位置決め孔51へ挿入する際に、誤ることなく、適確に挿入する事ができ、作業を迅速且つ容易に行うことができる。
【0101】
次に、分離板2の円錐面21の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片(3)を一体的に配設する溶接工程を説明する。
【0102】
溶接第1工程(嵌合工程)
図8に示すように、分離板2の円錐面21の外周側に位置決用円錐面型50を円錐軸方向から重ねるように着脱自在に嵌合し、分離板2のの円錐面21の所定位置即ち分離空間仕切突条部3の設定位置上に、位置決用円錐面型50の位置決め孔51が正確に重なるように蜜嵌合させて、分離板2と円錐面型50とを一体化させる(以下これを分離板と円錐面型との嵌合工程ともいう)。
【0103】
溶接第2工程
次に、前記位置決用円錐面型50の位置決め孔51に別体に形成された分離空間仕切突条部片(3)を挿入して、分離板2の円錐面21に分離空間仕切突条部片(3)を溶接する。
溶接は、例えば、帯状の分離空間仕切突条部片(3)の長さ方向に適宜間隔をおいて順に設定してある溶接箇所(図示せず)に、当該分離空間仕切突条部片(3)の一方の端から順に他方の端に向けてスポット溶接にて一体化させて行く。
【0104】
最初の位置決め孔51での溶接
先ず、一枚の分離空間仕切突条部片(3)の他端側を一方の手で把持しつつ、位置決め孔51の一端側に分離空間仕切突条部片(3)の一端側を突っ込んで、当該分離空間仕切突条部片(3)の反りの反発力に抗して、当該分離空間仕切突条部片(3)の少なくとも一端側の溶接箇所を位置決め孔51に沈めるよう押さえ込んだ状態にしたままで、他方の手で、当該一端側の溶接箇所をスポット溶接する。
【0105】
次ぎに、分離空間仕切突条部片(3)を把持した手で、次の溶接箇所を位置決め孔51に沈めるよう押さえ込んで、他方の手で次の溶接箇所をスポット溶接する。
以下同様に先の工程を繰り返して、順次、一方の手で溶接箇所を設定穴に沈めるよう押さえ込んで、他方の手で溶接箇所をスポット溶接して行き、当該分離空間仕切突条部片(3)の溶接を終える(以下この工程をスポット溶接工程ともいう)。
【0106】
上記のスポット溶接工程では分離空間仕切突条部片(3)を位置決め穴51に少しづつ挿入しつつ溶接する手法、即ち、分離空間仕切突条部片(3)をその帯状の一端側から他端側へと次第に位置決め穴51に適宜挿入して行きながら、帯状の一端側から他端側に向けて順次溶接ポイントを連続的に溶接させている。
このような溶接手法によれば、溶接箇所を確認しながらが順次溶接されるので、所定位置に正確に当接されながら溶接されるので、分離空間仕切突条部片(3)は所定の溶接箇所に安定化して、位置ズレを生ずることなく、正確に溶接されて、分離板2と一体化される。
【0107】
しかしながら、溶接手法はこれに限らず、例えば、当該分離空間仕切突条部片を(3)の全体を一度に位置決め穴51に挿入してスポット溶接してもよい。
又、実施例の溶接例では、帯び即ち、帯状に延在する分離空間仕切突条部片(3)の長手方向に点在するスポット溶接で説明したが、他の適当な溶接手段を用いてもよい。
尚、ここで溶接される分離空間仕切突条部片(3)の長さは、円錐面21に一体的に溶接された状態において、当該円錐面21の上辺側31から底辺即ち下辺側41に延在する長さが好ましい。
【0108】
2つ目の位置決め孔51での溶接
次に、分離空間仕切突条部片(3)の溶接作業を行う2つ目の位置決め孔51は、最初の位置決め孔51の隣の位置決め穴51や他の適当な位置決め穴でもよいが、最初(1つ目)の溶接に用いた位置決め孔51とは反対方向例えば180度の当りに位置する位置決め孔51を選択して、溶接をすると、2つ目の溶接完了の段階で、分離板2に被せられて重なる円錐面型(2、20)は、180度方向に離れた2ヶ所において溶接された分離空間仕切突条部片(3)によって、更なる位置決めがなされたことになるため、他の分離空間仕切突条部片(3)が溶接されるべき位置決め孔51が分離板2の所定位置に自ずと決定され、より簡便且つ確実に位置決めされ、分離空間仕切突条部片(3)を一層正確に分離板2の所定位置に一体化させることができる。
【0109】
何れにしても、上記のような円錐面型50を用いる事により、分離板2の円錐面21に位置決用円錐面型50を重ねるように密嵌合させた状態で、帯状の分離空間仕切突条部片(3)の一方端側から他端側が次第に嵌り込むように位置決め孔51に挿入しながらスポット溶接を施し、次の、所定位置即ち位置決め孔51を用いて分離空間仕切突条部片(3)を適宜な溶接機で溶接するに当っては、重ねられて一体的に嵌合された状態の分離板2と位置決用円錐面型50とを一体的に当該円錐の軸を中心に周方向に転動させ、分離板2の周方向に複数設定された所定位置(位置決め孔51)を、当該溶接機の所定溶接位置に回転移動させながら、分離板2の全ての所定位置に分離空間仕切突条部片(3)を一体的に配設することができるので、分離空間仕切突条部片(3)の溶接作業を効率よく行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、上記実施例において船舶用ディーゼルエンジンの燃料油や潤滑油等を被処理液とする分離板型遠心分離機用の分離板について説明したが、これに限らず、広く産業上利用する分離板型遠心分離機の分離板の製造において利用できる。
【符号の説明】
【0111】
2 分離板
(2) 円錐面体(分離板本体)
21 円錐面
211 円錐面の外面(上面)
212 円錐面の内面(下面)
22 流通孔
3 分離空間仕切突条部
(3) 分離空間仕切突条部片
31 円錐面の上辺
41 円錐面の下辺(底辺)
50 位置決用円錐面型(円錐面型)
51 位置決め孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項2】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入しつつ、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項3】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片をその帯状の一端側から他端側へと次第に挿入しながら、前記帯状の一端側から他端側に向けて溶接させて、
当該分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項4】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項5】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入しつつ、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項6】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片をその帯状の一端側から他端側へと次第に挿入しながら、前記帯状の一端側から他端側に向けて溶接させて、
当該分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項7】
溶接は帯びの長手方向に点在するスポット溶接であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項8】
溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面に一体的に溶接された状態において、前記円錐面の上辺側から下辺側に延在する長さであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項9】
溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面の円錐母線方向に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項10】
溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面の円錐母線と斜めに交差する方向に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項11】
溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向において直線状であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項12】
溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向において曲線状であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項13】
溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向の一部において曲線状であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項14】
位置決用円錐面型は、当該位置決用円錐面型が適用される分離板の製造過程において成形される円錐面体を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項15】
位置決用円錐面型は、少なくとも分離板の円錐面に密着する部分は、当該分離板の製造過程において成形される円錐面体を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項16】
位置決用円錐面型は、位置決め孔の周縁を肉厚に成形したことを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項17】
位置決用円錐面型は、位置決め孔の周縁の少なくとも長手方向の両縁を肉厚に成形したことを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項18】
溶接される分離空間仕切突条部片は、平板を打ち抜き加工で成形されたことを特徴とする請求項1乃至請求項17の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項19】
溶接される分離空間仕切突条部片は、平板を打ち抜き加工で成形され、帯状の長手方向に反りが与えられたことを特徴とする請求項1乃至請求項17の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項20】
分離板の円錐面に位置決用円錐面型を重ねるように密嵌合させた状態にて、帯状の分離空間仕切突条部片の一方端側から他端側が次第に嵌り込むように位置決め孔に挿入しながらスポット溶接を施し、重ねられた状態の分離板と位置決用円錐面型とを一体的に当該円錐の軸を中心に転動させて、分離板の周方向に複数設定された所定位置を、溶接機の溶接位置に回転移動させながら、分離板の全ての所定位置に分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする請求項1乃至請求項19の何れかに記載の空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項1】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項2】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入しつつ、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項3】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がプレス絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片をその帯状の一端側から他端側へと次第に挿入しながら、前記帯状の一端側から他端側に向けて溶接させて、
当該分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項4】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入し、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項5】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片を挿入しつつ、前記円錐面に当該分離空間仕切突条部片を溶接により一体的に配設することを特徴とする
分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項6】
分離板型遠心分離機の回転体内に当該回転体の回転軸方向に積層される截頭円錐形状の分離板型遠心分離機用分離板の製造方法において、
円錐面体がへら絞り加工にて成形された前記分離板の円錐面の所定位置に、帯状の分離空間仕切突条部片を一体的に配設する工程においては、
前記分離板の円錐面の外周に着脱自在に密嵌合する位置決用円錐面型を用い、
前記位置決用円錐面型には、予め、前記円錐面に密着嵌合させた際に前記分離板の所定位置に相応する相応所定位置部位に、前記分離空間仕切突条部片が前記円錐面に一体化される状態で嵌り込む当該分離空間仕切突条部片と同一形状の位置決め孔を設けておき、
前記位置決用円錐面型を前記分離板の円錐面に密着嵌合させた状態で、前記位置決め孔に、別体に形成された分離空間仕切突条部片をその帯状の一端側から他端側へと次第に挿入しながら、前記帯状の一端側から他端側に向けて溶接させて、
当該分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項7】
溶接は帯びの長手方向に点在するスポット溶接であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項8】
溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面に一体的に溶接された状態において、前記円錐面の上辺側から下辺側に延在する長さであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項9】
溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面の円錐母線方向に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項10】
溶接される分離空間仕切突条部片は、円錐面の円錐母線と斜めに交差する方向に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項11】
溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向において直線状であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項12】
溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向において曲線状であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項13】
溶接される分離空間仕切突条部片は、長手方向の一部において曲線状であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項14】
位置決用円錐面型は、当該位置決用円錐面型が適用される分離板の製造過程において成形される円錐面体を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項15】
位置決用円錐面型は、少なくとも分離板の円錐面に密着する部分は、当該分離板の製造過程において成形される円錐面体を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項16】
位置決用円錐面型は、位置決め孔の周縁を肉厚に成形したことを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項17】
位置決用円錐面型は、位置決め孔の周縁の少なくとも長手方向の両縁を肉厚に成形したことを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項18】
溶接される分離空間仕切突条部片は、平板を打ち抜き加工で成形されたことを特徴とする請求項1乃至請求項17の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項19】
溶接される分離空間仕切突条部片は、平板を打ち抜き加工で成形され、帯状の長手方向に反りが与えられたことを特徴とする請求項1乃至請求項17の何れかに記載の分離空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【請求項20】
分離板の円錐面に位置決用円錐面型を重ねるように密嵌合させた状態にて、帯状の分離空間仕切突条部片の一方端側から他端側が次第に嵌り込むように位置決め孔に挿入しながらスポット溶接を施し、重ねられた状態の分離板と位置決用円錐面型とを一体的に当該円錐の軸を中心に転動させて、分離板の周方向に複数設定された所定位置を、溶接機の溶接位置に回転移動させながら、分離板の全ての所定位置に分離空間仕切突条部片を一体的に配設することを特徴とする請求項1乃至請求項19の何れかに記載の空間仕切突条部を備えた分離板型遠心分離機用分離板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−96270(P2012−96270A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246869(P2010−246869)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(502115419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(502115419)
【Fターム(参考)】
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