説明

切替弁

【課題】水栓からの液体を複数の配水先に切り替えることができるとともに、配水される液体の流量を調整できる切替弁を提供する。
【解決手段】液体流入口45と複数の配水口46〜48が形成された弁本体44に、配水先を切り替える切替軸12と、配水される液体の流量が調整される流量調整軸34が備えられた切替弁10であって、切替軸12は、複数の開孔15〜17が形成された円筒体14と第1操作部21とで形成されており、流量調整軸34は、調整部35と第2操作部37で形成され、調整部35には流量調整部材36が形成され、切替軸12は、円筒体14に形成された開孔15〜17が、弁本体44の液体流入口45と配水口45〜46とを連通されるように回動され、流量調整軸34は、配水口45〜46と連通した開孔15〜17に対応する流量調整部材36を任意の流量になるように回動され調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛇口や浄水器などの水栓に接続され、切替手段を用いて配水先を切り換えることができる切替弁に関し、詳しくは、配水される液体の流量を調整し、節水することができる切替弁に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蛇口などの水栓に接続され、複数の配水先を切り替えることができる切替弁が広く普及しており、例えば、蛇口から供給される水を切替弁を用いて、原水のまま配水したり、シャワー上にして配水したり、もしくは浄水器や食器洗い機等の外付けの装置に配水して使用されている。
【0003】
また、使用する流量を調整し、使用者の所望する流量で配水したり、流量を抑えることで、節水ができたりする切替弁も知られている。例えば、下記特許文献1には、シャワー状、ストレート状及びシャワー・ストレート状等の流量を調整しながら吐水する多段切換機構を有する切換弁の発明が開示されている。
【0004】
下記特許文献1に記載の切換弁では、原水をそのまま吐水する流路に設けた第1開口孔と、原水をシャワー状にして吐水する流路に設けた第2開口孔と、原水を浄水器に送水する流路に設けた第3開口孔と、これら第1、第2、第3開口孔の位置を移動する多段切換機構と、更に第1、第2、第3開口孔を閉塞する第1、第2、第3弁体と、第1、第2、第3弁体を移動する調整機構(流量調整ツマミ)とを備え、多段切換機構の操作により第1、第2、第3開口孔の何れか1つを選定し、該選定された開口孔を該調整機構の操作により第1、第2、第3弁体の何れか一つの弁体で一部閉塞して吐水される流量を調整するとされている。
【0005】
このような構成とすることで、下記特許文献1に記載の切換弁によれば、簡単な調整ツマミ操作で流量の微調整ができ、また、シャワー状、ストレート状及びシャワー・ストレート状等の各種吐水流量を微調整しながら吐水できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−064744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載された切換弁における流量の調整は、流量調整ツマミを回転させることで各流量を調整している。詳しくは、流量調整ツマミの外周に雄ネジ部が螺刻されており、この流量調整ツマミが螺合する切換弁の外壁には、雌ネジ部が螺刻されている。そして、この流量調整ツマミを回転させると、流量調整ツマミは軸方向に進退し、これに伴って、切換弁内部の内周面に沿って軸方向に進退する摺動弁体の摺動位置が軸方向に進退する様になっている。すなわち、流量調整ツマミを回動すると、円筒体内部において摺動弁体が軸方向に摺動し、円筒体の周壁に設けられている各開口孔の面積を調整することで流量を調整している。
【0008】
しかし、上記特許文献1に記載の切換弁では、流量調整のために、流量調整ツマミを回動させて、摺動弁体を軸方向に摺動させているため、回転の動きを軸方向の動きに変換させているので、構造が複雑になるとともに、円筒体内部を摺動弁体が摺動するので、摺動弁体が移動し難く、また、摺動することで、摺動弁体の劣化がおこるおそれがある。
【0009】
本発明者は、このような従来技術の問題点及び解決すべき課題に鑑み、蛇口等の水栓から流入される水等の液体を配水する配水先を切り換える切替手段を備えた切替弁において、切替軸の内部に流量調整軸を配置させ、この流量調整軸に流量調整部材を形成して流量調整軸を回動させるようになすと流量当接部材も一緒に回動させることができるため、上記課題を解決をして切替軸に形成された開口から配水する流量を調整することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の切替弁は、
水栓から液体が流入される液体流入口と、前記液体が配水される複数の配水口が形成された弁本体とを有し、
前記弁本体には、供給された液体の配水先を切り替える切替軸と、前記複数の配水口から配水される液体の流量が調整される流量調整軸が備えられた切替弁であって、
前記切替軸は、一方が開放された開口部と他方が閉塞された底部を有し、複数の開孔が形成された円筒体と、前記底部の前記開口部とは反対側に形成された第1操作部とで形成されており、
前記流量調整軸は、前記切替軸の前記円筒体内に収容可能な大きさの棒状体で形成された調整部と、前記調整部と反対側に形成された第2操作部で形成されており、前記調整部には、前記切替軸の円筒体に形成された前記複数の開孔のうちの少なくとも一つと対応する位置に流量調整部材が形成され、
前記弁本体には、前記切替軸が挿通される第1挿通孔と、前記切替軸が装着される切替軸装着部と、前記流量調整軸が挿通される第2挿通孔とが設けられ、
前記切替軸及び前記流量調整軸は、前記弁本体内の前記切替軸及び前記流量調整軸の同軸線上に、前記調整部が前記円筒体の内部に収容されて装着され、
装着された前記調整部と前記円筒体との隙間には内部流路が形成され、
前記切替軸は、前記円筒体に形成された前記複数の開孔のうちのいずれかが、前記弁本体の前記液体流入口と前記複数の配水口のいずれか一つとを連通されるように回動され、
前記流量調整軸は、前記配水口の少なくとも一つと連通した前記開孔に対応する流量調整部材を任意の流量になるように回動され調整されることを特徴とする。
【0011】
また、第2の態様の切替弁は、前記第1の態様の切替弁において、
前記流量調整部材は、前記開孔より大きい幅を有し、前記調整部の半径と比べやや大きい半径ないしやや小さい半径の範囲で形成された小径部分と、前記小径部分から徐々に半径を拡大させながら前記調整部を周回させて形成される可変半径部と、前記円筒体の内周に比べわずかに小さい半径で形成された大径部分とで形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、第3の態様の切替弁は、前記第1の態様の切替弁において、
前記流量調整部材は、前記円筒体の内周に比べわずかに小さい半径を有し、
前記開孔よりも大きな幅で形成された大幅部と、
前記大幅部から徐々に前記幅が縮めて形成された縮幅部と、
前記調整部を周回し前記大幅部に達するとき狭くなるように形成された狭幅部とで形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、第4の態様の切替弁は、前記第1〜3のいずれかの態様の切替弁において、前記切替調整部材は、弾性体で形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、第5の態様の切替弁は、前記第1の態様の切替弁において、
前記流量調整軸は、前記調整部と前記第2操作部との間にフランジ部が形成され、
前記フランジ部は、前記弁本体内の前記第2挿入孔の内側に形成された当接部と当接し、
前記フランジ部と前記当接部とは、互いに当接する部分の一方には、スリット状に形成された凹凸スリット部が円周状に形成され、他方には少なくとも一つのリブが前記凹凸スリット部の凹部と嵌合されるように形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、第6の態様の切替弁は、前記第5の態様の切替弁において、
前記流量調整軸には、前記第2操作部に環状弾性部材が装着される環状弾性部材装着溝が形成され、
前記弁本体の前記第2挿入孔の外側の端部の内側に傾斜部が環状に形成され、
前記環状弾性部材装着溝に環状弾性部材が装着され、前記弁本体の前記第2装着孔に前記流量調整軸が装着されたとき、前記環状弾性部材と前記傾斜部が当接されることを特徴とする。
【0016】
また、第7の態様の切替弁は、前記第1の態様の切替弁において、
前記切替軸の底部には、前記流量調整軸の調整部の先端部分が嵌入される筒状の突起が形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、第8の態様の切替弁は、前記第1の態様の切替弁において、
前記弁本体の第1挿入口には、前記弁本体内に装着された前記流量調整軸及び前記切替軸を弁本体内に位置決め固定させ、且つ前記切替軸が挿通可能な開口を有し、前記切替軸を支持し回動可能なローター押さえ部材が装着されていることを特徴とする。
【0018】
また、第9の態様の切替弁は、前記第1の態様の切替弁において、
前記切替軸と前記弁本体との間には、弁座パッキンが嵌合されていることを特徴とする。
【0019】
また、第10の態様の切替弁は、前記第1の態様の切替弁において、
前記切替軸の第1操作部には、切替軸が操作される切替ハンドルが装着され、前記流量調整軸の第2操作部には、流量調整軸が操作される調整ハンドルが装着されていることを特徴とする。
【0020】
また、第11の態様の切替弁は、前記第10の態様の切替弁において、
前記ローター押さえ部材と前記切替ハンドルとの間には、前記切替ハンドルが装着された前記切替軸が所定の位置で一時固定されるための固定手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1の態様の切替弁によれば、弁本体内の配置された切替軸及び流量調整軸を回動することで、使用者が所望する配水口を選択し、且つその配水口から配水される流量を好みの流量に設定することができる。また、切替軸は、液体流入口及び配水口を切替軸を回動させることで連通することができる複数個の開孔が形成されたものなので、簡単な構造で製造することができる。さらに、流量調整軸は、流量を調整する調整部に流量調整部材が形成されたものなので、簡単な構造で製造することができる。そして、配水口の切替や流量の調整も、簡単な操作で行うことができるようになるとともに、高い節水効果を得ることができる。
【0022】
第2の態様の切替弁によれば、流量を調整する流量調整軸に形成される流量調整部材を、開孔より大きい幅を有し、調整部の半径と比べやや大きい半径ないしやや小さい半径の範囲で形成された小径部分と、小径部分から徐々に半径を拡大させながら調整部を周回させて形成された可変半径部と、円筒体の内周に比べわずかに小さい半径で形成された大径部分とで形成されているので、流量の調整を流量調整軸を回動させ、流量調整部の開孔との距離を変化させることで行うことができるので、簡単な構造で製造でき、操作も簡単に行うことができる。なお、第2の態様における「調整部の半径と比べやや大きい半径ないしやや小さい半径の範囲で形成」とは、小径部分の半径は、調整部の半径と同じであっても、それよりも僅かに小さくても、或いは、それよりも僅かに大きくてもよいことを意味する。すなわち、小径部分と開孔を合わせると円筒体と調整部との間の距離は大きくなるので、流量は全快状態となり、また、大径部分と開孔とを合わせると、流量調整部材は円筒体の内周と略同じ半径で形成されているので、開孔は略塞がれた状態となり、流量は少ないかあるいは略止まった状態とすることができる。さらに、可変半径部と開孔を合わせると、流量調整部材の半径に応じた流量を配水させることができるようになり、使用者の所望の流量を配水することができる。このとき、流量調整軸の操作は、流量調整軸を回動させるだけで行え、流量調整部材が円筒体と接する部分はわずかであるので、略抵抗なく回動させることができる。
【0023】
第3の態様の切替弁によれば、円筒体の内周に比べわずかに小さい半径を有し、開孔よりも大きな幅で形成された大幅部と、大幅部から徐々に幅が縮めて形成された縮幅部と、調整部を一周し大幅部に達するとき最も狭くなるように形成された最狭部とで形成されているので、流量の調整を流量調整軸を回動させ、流量調整部の開孔が塞がれる面積を変化させることで行うことができるので、簡単な構造で製造でき、操作も簡単に行うことができる。また、第2の態様の切替弁の効果を奏することができる。
【0024】
第4の態様の切替弁によれば、流量調整部材を、弾性体で形成することにより、流量調整部材の大径部を開孔と合わせることで、開孔を隙間なく閉塞することができ、完全に止水することができるようになる。
【0025】
第5の態様の切替弁によれば、流量調整軸が回動されると、流量調整軸のフランジ部に形成された凹凸スリットの凸部を、弁本体の当接部に形成されたリブが乗り越えるたびに使用者の手に振動が伝わり、使用感が伝わることができる。また、凹凸スリットの凹部にリブが嵌まり込むことで、流水量が変化しても切替軸及び流量調整軸が動くことを抑制することができる。なお、凹凸スリットが弁本体に形成され、流量調整軸のフランジ部にリブが形成されていてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0026】
第6の態様の切替弁によれば、流量調整軸に装着される環状弾性部材が、弁本体に形成された傾斜部と当接することで、流量調整軸の凹凸スリットの凸部を弁本体のリブが乗り越えるとき、この環状弾性部材を弁本体の傾斜部が押圧することで、高いクリック感を得ることができる。なお、凹凸スリットが弁本体に形成され、流量調整軸のフランジ部にリブが形成されていてもよく、同様の効果を得ることができる。また、環状弾性部材の硬度や材質、形状を変更したりすることにより、水圧による切替トルクの変化にも対応でき、また、切替トルクの初期調整も可能となる。なお、環状弾性部材として、公知のOリングやVパッキン等の各種シールパッキンを適宜選択して使用することができる。
【0027】
第7の態様の切替弁によれば、流量調整軸は、切替軸の中央から突出した筒状の突起によっても支持されるので、装着を確実に行うことができるとともに、操作時の流量調整軸のブレを抑制し、抵抗も最小限にすることができるので、安定して操作を行うことができる。
【0028】
第8の態様の切替弁によれば、弁本体の内部に装着された切替軸及び流量調整軸をローター押さえ部材で押えることで、切替軸及び流量調整軸を確実に固定させることができ、また、切替軸が支持されることで安定して回動させることができるようになる。
【0029】
第9の態様の切替弁によれば、切替軸と弁本体との間を液密にすることができ、液漏れ等を抑制することができるとともに、切替軸を円滑に回動させることができる。
【0030】
第10の態様の切替弁によれば、切替軸の第1操作部と流量調整軸の第2操作部にそれぞれハンドルが装着されるので、操作がしやすくなる。
【0031】
第11の態様の切替弁によれば、切替軸の各流路が正しく連通された状態で切換軸を固定することができるので、各流路を確実に連通させることができ、水漏れを抑制して配水を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1Aは実施形態1に係る切替弁の斜視図であり、図1Bは実施形態1に係る切替弁の他の方向から見た斜視図である。
【図2】図1AのII−II線での断面図である。
【図3】図1AのIII−III線での断面図である。
【図4】図4Aは実施形態1に係る切替弁の切替部の斜視図であり、図4Bは図4AのIVB−IVB線での断面図である。
【図5】図5Aは実施形態1に係る切替弁の切替部の上面図であり、図5Bは底面図である。
【図6】図6Aは実施形態1に係る切替弁の流量調整部の斜視図であり、図6Bは図6AのVIB−VIB線での断面図であり、図6Cは実施形態1に係る切替弁の流量調整部の他の方向からの斜視図である。
【図7】図7Aは本実施形態1に係る切替弁の弁本体の斜視図であり、図7Bは図7AのVIIB−VIIB線での断面図である。
【図8】実施形態1に係る切替弁の使用態様の一例を示した断面図である。
【図9】図9A〜図9Cは図8に示す本実施形態1に係る切替弁の使用態様の詳細を示した。
【図10】図10Aは実施形態1に係る切替弁の他の使用態様を示した断面図であり、図10Bは実施形態1に係る切替弁のさらに他の使用態様を示した断面図である。
【図11】図11Aは実施形態2に係る切替弁の図2に対応する断面図であり、図11Bは実施形態2の切替弁に係る流量調整部の斜視図である。
【図12】図12A及び図12Bは実施形態2に係る切替弁の使用態様を示した断面図である。
【図13】図13Aは実施形態3に係る切替弁の図2に対応する断面図であり、図13Bは実施形態3に係る切替弁の流量調整部の斜視図である。
【図14】図14Aは実施形態3に係る切替弁の切替部の上面図であり、図14Bは実施形態3に係る切替弁の切替部の底面図である。
【図15】図15Aは変形例に係る切替弁の図2に対応する断面図であり、図15Bは変形例に係る切替弁の流量調整軸の正面図であり、図15Cは変形例に係る切替弁の流量調整軸の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための切替弁を例示するものであって、本発明をこの切替弁に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。なお、下記各実施形態においては、環状弾性部材としてOリングを用いた場合を説明する。
【0034】
[実施形態1]
本実施形態1に係る切替弁を図1〜図10を参照して説明する。本実施形態1の切替弁10は、図1〜図3に示すように、蛇口等の水栓に装着され、流入される液体を複数の配水先へと導くためのものであって、複数の配水先を切り替える切替部11と、配水される液体の流量を調整する流量調整部33と、切替部11及び流量調整部33が挿入及び装着され、水栓と接続され流入され液体が各配水先へと配水させる弁本体44とで構成されている。また、弁本体44の上部には、水栓と接続されるためのシールパッキン62及び水栓キャップ63が装着され、下部には液体が原水のまま配水される原水孔65とシャワー状に配水される複数のシャワー孔66が設けられたシャワーキャップ64が装着され、側面には浄水器等の外部装置にホース等で接続される分岐61が装着されている。
【0035】
切替部11は、図2〜図5に示すように、配水先を切り替える切替軸12と、切替軸12を弁本体44に回動自在に固定するローター押さえ板53と、切替軸12を回動させ操作する切替ハンドル13を有している。
【0036】
切替軸12は、一方が開放された開口部18と他方が閉塞された底部19を有し、複数の開孔が形成された円筒体14と、底部19の開口部18とは反対側に形成された第1操作部21とで形成されている。さらに、切替軸12の底部19には、円筒体14の径よりも小さな径の筒状の突起19aが形成されている。
【0037】
開口部18は、所定径を有する円形で形成されており、切替弁を組み立てるとき後述する流量調整軸34が挿入される部分である。また、開口部18と対向する底部19に形成された筒状の突起19aは、開口部18の径よりも小さい径で形成されており、所定長さ突出して形成されている。この筒状の突起19aは、後述する流量調整軸34の先端部34aが挿入され支持される部分である。
【0038】
また、円筒体14は、弁本体44に流入する液体が通過する内部流路20を形成する部分であり、円筒体14に形成された複数の開孔のうちのいずれか一つから円筒体14内に液体が流入し、他の開孔のいずれか一つから配水されるようになる。この配水状態の詳細は後述する。なお、本実施形態1では、円筒体14には3つの開孔が形成されている。詳しくは、3つの開孔のうち2つの第1開孔15及び第2開孔16は、円筒体14の略中央に円筒体14の側面に対向して形成され、弁本体44から流入される位置と対応した位置に形成されている。このとき、第1開孔15の形状は円形で形成され、第2開孔16の形状は細長い長円形で形成される。さらに、他の一つの第3開孔17は、円形であって、第1開孔15が形成された位置から円筒体14の軸方向へずらし、第1開孔15と並んで形成される。
【0039】
また、第1操作部21は、円筒体14と一体に形成され、この第1操作部21を回動させることで弁本体44内に装着される円筒体14を回動させることができる部分である。
【0040】
なお、実施形態1では、第1操作部21に切替軸12を弁本体44に回動自在に固定するローター押さえ板53が装着されている。このローター押さえ板53は、中央に第1操作部21が貫通する貫通孔53aが形成された所定厚を有する筒状部材で形成されており、この筒状部材の外側には、ローター押さえ板53を弁本体44に固定するネジが螺合されるねじ止め部53bが2箇所設けられている。なお、ネジ止め部は2箇所より多くてもよい。また、ネジの代わりに、例えばフック状に形成された引っ掛け部と、この引っ掛け部が引っ掛かるような構造を設けるようにして、いわゆるパッチン止めにより固定されるようにしてもよく、さらには、ネジとパッチン止めを併用するようにしてもよい。また、ローター押さえ板53と第1操作部21との間には、第1操作部21の外周に形成された第1溝部22に第1Oリング23が装着され液密になされている。さらにまた、ローター押さえ板53の弁本体44と装着される部分には、ローター押さえ板53の外周に形成された第2溝部24に第2Oリング25が装着され液密に成されている。
【0041】
また、第1操作部21には、切替軸12を操作するための切替ハンドル13が装着されている。切替ハンドル13は、第1操作部21と結合される結合部27と、使用者が操作するハンドル部28とで構成されている。また、ハンドル部28は、使用者が操作しやすいように大きめな径の円形の筒状に形成され、ハンドル部28の外周には、使用者が把持しやすいように凹み部28aが形成されている。さらに、使用者が配水先を目視で確認できるような、目印突起29が形成されている。
【0042】
また、切替ハンドル13には、中央にネジが挿通するねじ孔30が形成されており、この孔を隠しまた、浸水を抑制するための切替キャップ31が装着されている。
【0043】
また、切替ハンドル13には、切替軸12の配水する位置がわかるように固定手段32が内蔵され、ローター押さえ板53に形成された位置決め穴と固定手段32の位置が一致したとき、一時固定されるようになっている。この構造は公知であるので詳細な説明は省略するが、例えば、2個のボールと、これらのボールの間にスプリングを配置し、ボールが位置決め穴に嵌まり込むようなものが考えられる。
【0044】
次に、流量調整部33について説明する。流量調整部33は、図2、図3及び図6に示すように、弁本体44を挟み切替部11と対向する位置に配置されており、流量の調整を行う流量調整軸34とこの流量調整軸34を回動させ操作する調整ハンドル43で構成されている。
【0045】
流量調整軸34は、流量の調整を行う流量調整部材36が一体に形成された調整部35と、この調整部35の反対側に突出して形成された第2操作部37で形成されている。なお、実施形態1では、流量調整部材36が1つ形成された場合を説明する。
【0046】
調整部35は、切替軸12の円筒体14の内径に比べ小さな径の棒状体で形成され、切替軸12の円筒体14の内部に配置される部分となる。また、流量調整軸34の先端部34aは、流量調整軸34の径よりも小さい径で形成されており、この先端部34aは、弁本体44に装着されたとき、切替軸12の円筒体14の内部に形成された筒状の突起19aの内側に嵌合される部分となる。このとき、先端部34aの外周には、突起34bが環状に形成されており、先端部34aが筒状の突起19a内に嵌合されたとき、当接される部分の面積を最小限とすることができるので、切替る際の抵抗を小さくすることができる。
【0047】
流量調整部材36は、切替軸12の円筒体14に形成された任意の開孔と対応する位置に形成されている。流量調整部材36の形状は、円筒体14に形成された(第3)開孔17より大きい幅を有し、調整部35の半径と同じ半径で形成された小径部36aと、小径部36aから徐々に半径を拡大させながら調整部35を周回させて形成された可変半径部36bと、円筒体14の内周と略同じ半径で形成された大径部36cとで形成された形状をしており、断面の形状は例えば渦状をしている。なお、小径部36aは調整部35の半径よりやや大きく形成されていてもよく、また、やや小さく形成されていてもよい。さらにまた、大径部36cは、円筒体14の内周よりやや小さく形成されていてもよい。このような構成にすることで、流量調整軸34を小径部36aに合わせた際には、より多くの流量を得たり、やや多めの流量を得ることができ、また、流量調整軸34を大径部36cに合わせたときには極少量の流量が得られるような設計が可能となり、製造される切替弁の設計の幅を広げることができる。さらに、流量調整部材36を、弾性体で形成することにより、流量調整部材の大径部を開孔と合わせることで、開孔を隙間なく閉塞することができ、完全に止水することができるようになる。
【0048】
また、第2操作部37には、Oリングが装着される溝が2箇所に形成されている。これらの溝のうち、調整部35に近い位置に形成された第3溝部38には、第3Oリング39が装着され、この第3Oリング39は、弁本体44に流量調整軸34が装着されたとき、液密にされ且つ回動されることになる。
【0049】
また、調整部35から遠い位置に形成された第4溝部40には、第4Oリング41が装着される。この第4Oリング41も、第3Oリング39と同様に、弁本体44に流量調整軸34が装着されたとき、液密にされ且つ回動されることになる。さらに、第4Oリング0は、弁本体44の一部と当接することとなるが、詳細は後述する。なお、第2操作部37には2箇所にOリングが装着される場合を説明したが、これに限らず、1箇所でもよい。この場合、内側に装着される第3Oリングを省略することができ、外側に装着される第4Oリングのみでも液密にされ且つ回動されることになり、回動時の抵抗を小さくすることができる。
【0050】
また、第2操作部37には、端部に調整ハンドル43が装着される。調整ハンドル43は、一方が開口した有底の円筒体で形成されており、底の部分にはネジが挿通される開孔43aが形成されている。また、調整ハンドル43の内側には、調整ハンドル43の内周から突出した第1係止部43bが形成されている。この第1係止部43bは、後述する弁本体44の流量調整部33が装着されたとき、調整ハンドル43の動きを規制するもので、一定の区間のみ回動させるためのものであり、その回動範囲内で流量調整が行えるものである。そして、調整ハンドル43は、この開孔43aにねじを通し第2操作部と螺合することで固定される。
【0051】
また、調整部35と第2操作部37の間には、円筒体14の内周に比べわずかに小さい半径で形成されたフランジ42が形成されている。このフランジ42の第2操作部37側の弁本体44の一部と当接される面42aには、少なくとも一つのリブ42bが形成されている。なお、リブが2ヶ所以上に形成される場合、リブが等間隔に配置されていることが好ましく、このようにすることで、流量調整軸が回動される際に軸芯のズレを抑制でき、さらに安定させることができる。なお、実施形態1では、リブ42bは対向する位置に2つ形成されている。このリブについては、後述する。
【0052】
次に、弁本体44について説明する。弁本体44は、図2、図3及び図7に示すように、一方に切替軸12が挿通される第1挿通孔44aと他方に流量調整軸34が挿通される第2挿通孔44bが形成され、中央に切替軸12の円筒体14が回動自在に配置され第1挿通孔44a及び第2挿通孔44bを連通する中空の切替軸装着部49が形成されており、この切替軸装着部49には複数の開口が形成されている。また、弁本体44の上部には、シールパッキン62が装着可能な所定の深さを有し中央に液体流入口45が形成された円形のパッキン設置部50と、シールパッキン62及び切替弁10が水栓と接続される部分とを固定する水栓キャップ63が螺合により接続される円形の水栓キャップ接続部51が形成されている。
【0053】
また、弁本体44の下部には、第1配水口46及び第2配水口47が形成されており、第1配水口46は弁本体44の上部の液体流入口45と対向する位置に形成され、第2配水口47は第1配水口46と軸線上に平行に形成されている。このとき第1配水口46と第2配水口47は同じ大きさの円形で形成されている。また、弁本体44の下部には、シャワーキャップ64が螺合により装着される円形のシャワーキャップ装着部52が形成されている。
【0054】
さらに、弁本体44の側面には、第3配水口48が形成されており、第3配水口48が形成された弁本体44の側面には、分岐61が装着される分岐装着部58が形成されている。
【0055】
また、弁本体44の切替軸装着部49の内面には、弁座パッキン54が装着されるための弁本体44の軸線上と平行に形成された仕切り突起55とこの仕切り突起55を中心として対向した位置に2つのパッキン溝56,56が仕切り突起55が形成される軸線と平行に切替軸装着部49の内側の円周に沿って形成されている。
【0056】
第1挿通孔44a側には、弁本体44にローター押さえ板53が装着される切替軸装着部49より大径のローター押さえ板装着部71が形成され、また、ローター押さえ板53と弁本体44とを固定するネジ止め部53bが2つ形成されている。
【0057】
また、第2挿通孔44bの内側には、流量調整軸34に形成されたフランジ42と当接される当接部57が形成されている。この当接部57には、スリット状に形成された凹凸スリット57aが円周状に形成されており、フランジ42に形成されたリブ42bと嵌合されることとなる。この弁本体44に形成された凹凸スリット57aと流量調整軸34に形成されたフランジ42のリブ42bが嵌合されることにより、流量が変化しても流量調整軸34が意に反して動くことを抑制することができる。
【0058】
また、第2挿通孔44bの凹凸スリット57aが形成された円周の周りには、環状の溝59が形成され、この環状の溝59に、切替軸12の円筒体14の端部14aが挿入され回動自在に支持されることとなり、切替軸12が回動される際の軸心のズレを抑制することができ、さらに、円筒体14を弁座パッキン54の面に均一に接触させることができるので、液漏れを抑制することができる。
【0059】
また、第2挿通孔44bの外側の端部の内周面には、傾斜部60が環状に形成されている。この傾斜部60には、流量調整軸34の第2操作部37に装着される第4Oリング41と当接されることとなる。さらに、第2挿通孔44bの外側の外周面の上部には、突起状の第2係止部44b1が形成されている。この第2係止部44b1は、調整ハンドル43に形成された第1係止部43bと係合される部分となる。
【0060】
なお、シールパッキン62は、所定の厚さを有した円形の弾性体で形成され、中央には水栓が接続される接続口62aが形成され、この接続口62aとパッキン設置部50に形成された開口とが対応するように形成されている。また、水栓キャップ63は、パッキン設置部50に設置したシールパッキン62を介在し水栓に形成された切替弁10と接続される部分とを固定するためのものである。水栓キャップ63は、パッキン設置部50に設置されたシールパッキン62の上面が覆われて、弁本体44の水栓キャップ接続部51と螺合により結合される円形の板状体63aであってこの板状体63aの外周に垂下部63bが形成され、水栓キャップ63の上面には、シールパッキン62の接続口62aを含む一部が現れるように円形に切り取られて形成されている。
【0061】
また、シャワーキャップ64は、弁本体44の下部に装着され、中央に原水を配水する孔となる原水孔65が形成された円形の板状体64aであって、原水孔65部分を除く板状体64aには、複数の小さい孔が形成されており、この複数の孔はシャワー状の配水が可能なシャワー孔66となる。また、円形の板状体64aの周囲から立設した立設部64bが形成され、この立設部64bは弁本体44のシャワーキャップ装着部52と螺合により結合される。また、シャワーキャップ64の中央の原水孔65の周囲が立設され、複数の段部が形成された原水孔立設部67が形成されている。なお、本実施形態1では、2つの第1段部及び第2段部が形成されている。この原水孔立設部67の第1段部67aには、拡散板70が設けられている。この拡散板70は、円形の薄板状の板体で形成されており、拡散板70の上方に設けられた弁本体44の第2配水口47から流出された液体を拡散板70に一度当てこの拡散板70上を液体が流れることで、下方に配置されたシャワーキャップ64の複数のシャワー孔66に満遍なく液体をいきわたらせることができ、シャワーでの配水を偏りなく行うことができる。
【0062】
また、第2段部67bには第5Oリング68が装着される。この第5Oリング68は、弁本体44にシャワーキャップ64が装着されたとき、弁本体44の第1配水口46とシャワーキャップ64の原水孔65との間を液密にすることができる。さらに、シャワーキャップ64の立設部64bの内側の上部と、弁本体44のシャワーキャップ装着部52の上部には第6Oリング69が装着される隙間がそれぞれ形成され、この第6Oリング69が装着されることで、弁本体44とシャワーキャップ64を液密にすることができる。
【0063】
次に、切替弁10の組み立てについて図2、図3を参照して説明する。まず、流量調整軸34の第2操作部37に第3及び第4Oリング39、41を装着し、あらかじめ内部に弁座パッキン54を装着した弁本体44の第1挿通孔44aから流量調整軸34の第2操作部37から先に挿通し、この第2操作部37を弁本体44の第2挿通孔44bに装着する。このとき、弁本体44の第2挿通孔44bの内側に形成された凹凸スリット57aと流量調整軸34のフランジ42に形成されたリブ42bとが嵌合される。そして、調整ハンドル43と第2操作部37とを位置決めをしてネジによって固定させる。
【0064】
次に、第1操作部21に第1Oリング23を装着させた切替軸12を円筒体14の端部14aから第1挿通孔44aを通して挿通し、弁本体44内の切替軸装着部49に配置し、円筒体14の端部14aを弁本体44の切替軸装着部49の環状の溝59に当接させて装着させる。そして、弁本体44のローター押さえ板装着部71に第2Oリング25を装着させたローター押さえ板53を装着させ、ネジを用いて固定させる。その後、切替ハンドル13を第1操作部21にネジで固定し、切替ハンドル13のネジ孔30を切替キャップ31を取り付けて塞ぐ。
【0065】
次に、拡散板70、第5Oリング68及び第6Oリング69を装着したシャワーキャップ64を弁本体44の下部に螺合して取り付ける。
【0066】
次に、弁本体44のパッキン設置部50にシールパッキン62を設置し、水栓の切替弁10と接続させる部分とシールパッキン62の接続口62aとを連通させ、水栓キャップ63を弁本体44の上部と螺合させて取り付ける。そして、分岐61を分岐装着部58に装着させ、切替弁の組み立てが完了する。
【0067】
次に、図2、図3及び図8〜図10を参照して、実施形態1に係る切替弁10の使用態様について説明する。実施形態にかかる切替弁10は、水栓から流入された液体を、原水又はシャワーとして配水するか又は浄水器等と接続された分岐へ配水することができるものであり、この配水される液体の流量を調整することができるものである。
【0068】
まず、シャワーとして配水される場合を説明する。シャワーとして配水されるためには、弁本体44に形成された液体流入口45と切替軸12の円筒体14に形成された第3開孔17、及び弁本体44に形成された第2配水口47とをそれぞれ連通させるように操作する。この操作は、切替ハンドル13を回転させることで行うことになるが、このときシャワーとして配水される位置がわかるように、弁本体44及び切替部11の切替ハンドル13に固定手段32が備えられており、この固定手段32がシャワーの位置に到達したときに、使用者の手に伝わる振動及び音を聞くことで判断することができる。また、さらに、切替ハンドル13に形成された目印突起29を目印としてシャワーの位置を目視で判断することもできる。
【0069】
シャワーの位置に切替軸12が回動され選択されると、切替弁10内の流路は、弁本体44の液体流入口45、切替軸12の円筒体14の第2開孔16、円筒体14と流量調整軸34の調整部35との間に形成された内部流路20、切替軸12の円筒体14の第3開孔17、弁本体44の第2配水口47、シャワーキャップ64のシャワー孔66の順になる。
【0070】
そして、液体がシャワーとして配水されているとき、流量調整部33を操作することで、シャワーの流量を調整することができる。すなわち、調整ハンドル43を回動させ、流量調整軸34を回動させると、調整部35に形成された流量調整部材36が回動する。この流量調整部材36は、上述したような形状をしているので、流量を全快とする場合、流量調整部材36の小径部36aが切替軸12の円筒体14の第3開孔17と対応するように調整ハンドル43を回動する。一方、流量を最も少なくする場合には、流量調整部材36の大径部36cが切替軸12の円筒体の第3開孔17と対応するように調整ハンドル43を回動する。そして、任意の流量にする場合は、流量調整部材36の可変半径部36bが切替軸12の円筒体14の第3開孔17と対応するように調整ハンドル43を回動させ、任意の流量となるように調整することができる。
【0071】
この調整は、流量調整部材36の可変半径部36bを一定の範囲で回動させることで、第3開孔17との隙間が変化するため、そこを流れる流量を多くしたり少なくしたりすることができるものである。なお、流量を全快にするか最も少ないものにするかは、調整ハンドル43に形成された第1係止部43bと弁本体の第2挿通孔44bの外側の外周面に形成された第2係止部44b1が係合されるそれぞれの位置で判断することができる。すなわち、一方の係合する位置で流量が全快となり、調整ハンドル43を回動させ、他方の係合する位置に到達したときに流量が最も少ないようにすることで、使用者が現在使用している流量を判断しやすくなるとともに、使用したい流量がわかりやすくなる。さらに、このいずれかの位置を基準とすることで、任意の流量の目安とすることができ、使用者が扱いやすくなる。
【0072】
また、弁本体44の第2挿通孔44bの内側に形成された凹凸スリット57aと、流量調整軸34のフランジ42に形成されたリブ42bとが嵌合されることで、流量調整軸34が水圧によって勝手に動くことを抑制することができる。
【0073】
弁本体44の第2挿通孔44bの外側の内面に形成された傾斜部60と流量調整軸34の第2操作部37に装着された第4Oリング41とが当接されていることで、調整ハンドル43を回動したとき、凹凸スリット57aの凸部をリブ42bが乗り越えるとき、第4Oリング41の弾性力に反して流量調整部33が移動した後、隣接する凹部に再びリブ42bが嵌合されるとき、第4Oリング41の弾性力が開放され、使用者により大きな振動(クリック感)を与えることができる。
【0074】
次に、図10を参照して、他の配水先について説明する。配水を原水とする場合の流路は、切替軸12を回動させ、弁本体44の液体流入口45、切替軸12の円筒体14の第2開孔16、円筒体14と流量調整軸34の調整部35との間に形成された内部流路20、円筒体14の第1開孔15、弁本体44の第1配水口46、シャワーキャップ64の原水孔65の順になる。このとき、円筒体14の第2開孔16は長円形に開孔されているので、切替軸12を回動させても、弁本体44の液体流入口45と連通することができる。
【0075】
また、配水先を浄水器等と接続される分岐61とする場合の流路は、切替軸12を回動させ、弁本体44の液体流入口45、切替軸12の円筒体14の第2開孔16、円筒体14と流量調整軸34の調整部35との間に形成された内部流路20、円筒体14の第2開孔16、弁本体44の第3配水口48、分岐61の順になる。このとき、円筒体14の第2開孔16は長円形に形成されているので、弁本体44の液体流入口45と第3配水口48の両方を連通させることができる。
【0076】
このような構成とすることで、実施形態1の切替弁は、弁本体内の配置された切替軸及び流量調整軸を回動することで、使用者が所望する配水口を選択し、且つその配水口から配水される流量を好みの流量に設定することができる。また、切替軸は、液体流入口及び配水口を切替軸を回動させることで連通することができる複数個の開孔が形成されたものなので、簡単な構造で製造することができる。さらに、流量調整軸は、流量を調整する調整部に流量調整部材が形成されたものなので、簡単な構造で製造することができる。そして、配水口の切替や流量の調整も、簡単な操作で行うことができるようになる。
【0077】
[実施形態2]
なお、実施形態1の切替弁10では、流量調整軸34に形成された流量調整部材36は、シャワーとして配水される場合の第3開孔17に対応した部分の一つであったが、これに限らす、他の開孔に対応した部分に流量調整部材を形成してもよい。
【0078】
そこで、実施形態2に係る切替弁10Aは、流量調整軸34に流量調整部材36が2つ形成された場合を説明する。なお、実施形態2に係る切替弁10Aは、実施形態1に係る切替弁10と比べ、流量調整軸34Aの構造が異なるのみなので、他の共通する構成には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0079】
図11及び図12に示すように、実施形態2に係る切替弁10Aでは、切替弁10Aに装着される流量調整軸34Aの調整部35Aには流量調整部材36Aが2つ形成されている。なお、これらの流量調整部材36Aは、同じ構造をしている。そして、切替弁10Aを組み立てたとき流量調整部材36Aは、シャワーとして配水される切替軸12の第3開孔17に対応する位置に配置される第1流量調整部材36A1と、原水として配水される切替軸12の第1開孔15に対応する位置に配置される第2流量調整部材36A2となる。他の構成は実施形態1の流量調整軸34と同じであり、また、実施形態2の切替弁10Aの組み立ても実施形態1の切替弁10と同様である。
【0080】
実施形態2の切替弁10Aの使用方法は、シャワーとして配水する場合は、実施形態1の切替弁10と同じである。また、原水として配水する場合の流路は、実施形態1の原水を排水する場合と同様だが、切替軸12の円筒体14と流量調整軸34Aの調整部35Aの間に形成された内部流路20から円筒体14の第1開孔15に排出される際、調整部35Aの第2流量調整部材36A2により流量の調整がなされる。詳細はシャワーの場合と同じであるが、調整ハンドル43を回動させることで流量調整軸34Aに形成された流量調整部材を回動させて流量の調整が行われる。
【0081】
なお、浄水器等に接続される第2開孔も第2流量調整部材と対応することになるが、第2開孔は上述したように、長円形で形成されているため、第2流量調整部材による流量の調整の効果は少ない。
【0082】
[実施形態3]
実施形態1では、シャワーとして配水する場合の流量調整を行うことができる切替弁10を示し、実施形態2では、シャワー及び原水として配水する場合の流量調整を行うことができる切替弁10Aを示した。実施形態3に係る切替弁10Bでは、シャワー及び原水だけでなく分岐として配水される場合にも流量調整ができる切替弁10Bについて説明する。なお、実施形態3に係る切替弁10Bは、実施形態1及び2に係る切替弁10A及び10Bに比べ、一部の構造が異なるのみなので、共通する構成については共通の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
図13及び図14に示すように、実施形態3に係る切替弁10Bは、弁本体44に装着される切替軸12の円筒体14Bに形成される各開孔及び弁本体44Bに形成される各配水口の形成位置並びに、流量調整軸34Bの調整部35Bに形成される流量調整部材36Bの個数及び形成位置が異なっている。
【0084】
円筒体14Bには4つの開孔が形成されており、4つの開孔のうち2つの第1開孔15B及び第2開孔16Bは、円筒体14Bの略中央に円筒体14Bの側面に対向して形成され、弁本体44Bから流入される位置と対応した位置に形成されている。このとき、第1開孔15Bの形状は円形で形成され、第2開孔16Bの形状は細長い長円形で形成される。また、他の一つの第3開孔17Bは、円形であって、第1開孔15Bが形成された位置から円筒体14Bの軸方向の円筒体14Bの開放された方向にずらすとともに、第1開孔15Bの位置より円周方向にずらした位置に形成されている。また、さらに他の第4開孔72は円形であって、第1開孔15Bが形成された位置から第3開孔17Bが形成された方向とは反対の方向にずらすとともに、第1開孔15Bの位置より円周方向に第3開孔17Bとは反対側にずらした位置に形成されている。
【0085】
流量調整軸34Bは、実施形態1及び2と略同じ形状をしているが、調整部35Bの流量調整部材36Bが等間隔に3つ形成されている。この3つの第1〜第3流量調整部材36B1、36B2、36B3は、切替軸12Bの円筒体14Bに形成された第3、第1及び第4開孔17B、15B、72にそれぞれ対応して形成されている。
【0086】
弁本体44Bは、上部に液体流入口45が形成され、下部には、3つの配水口が軸線上に並んで形成されている。この第1〜第3配水口46B、47B、48Bは、それぞれシャワー、原水及び浄水器等と接続される水栓に接続されている。図示は省略したが、弁本体44の下部にシャワーキャップや分岐を適宜装着することができる。
【0087】
実施形態3の切替弁10Bの組み立ては、実施形態1の切替弁10と同様である。また、実施形態3の切替弁10Bの使用方法についても、実施形態1又は2の切替弁10A及び10Bと同様であり、切替ハンドル13の回動により切替軸12Bの円筒体14Bに形成されたいずれかの開口と弁本体44Bに形成されたいずれかの配水口を連通させることで、液体の配水が行われる。このとき、調整ハンドル43を回動し、配水される流量を調整することができる。
【0088】
[変形例]
上記実施形態1〜3の切替弁では、流量調整部材36を小径部、可変半径部及び大径部が形成された渦形状で形成された場合を説明したが、これに限らず、半径を一定にして開孔を塞ぐ面積を可変するような流量調整部材としてもよい。
【0089】
すなわち、図15に示すように、変形例の切替弁10Cに係る流量調整部材36Cは、円筒体14の内周に比べわずかに小さい半径を有し、開孔よりも大きな幅で形成された大幅部36Caと、大幅部36Caから徐々に幅が縮めて形成された縮幅部36Cbと、調整部35を周回し大幅部36Caに達するとき狭くなるように形成された狭幅部36Ccとで形成されている。このような構成とすることで、開孔と流量調整部材の間の隙間による流量の調整ではなく、開孔を塞ぐ流量調整部材の面積によっても流量を調整することができる。
【符号の説明】
【0090】
10、10A〜10C…切替弁 11…切替部 12、12B…切替軸 13…切替ハンドル 14、14B…円筒体 15、15B…第1開孔 16、16B…第2開孔
17、17B…第3開孔 18…開口部 19…底部 19a…筒状の突起 21…第1操作部 33…流量調整部 34、34A、34B…流量調整軸 35、35A、35B…調整部 36、36A〜36C…流量調整部材 36a…小径部 36b…可変半径部 36c…大径部 36Ca…大幅部 36Cb…縮幅部 36Cc…狭幅部 37…第2操作部 40…第4溝部 41…第4Oリング 42…フランジ 42b…リブ 43…調整ハンドル 44、44B…弁本体 44a…第1挿通孔 44b…第2挿通孔 45…液体流入口 46、46B…第1配水口 47、47B…第2配水口 48、48B…第3配水口 49…切替軸装着部 53…ローター押さえ板 54…弁座パッキン 57…当接部 57a…凹凸スリット 60…傾斜部 61…分岐 65…原水孔 66…シャワー孔 72…第4開孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓から液体が流入される液体流入口と、前記液体が配水される複数の配水口が形成された弁本体とを有し、
前記弁本体には、供給された液体の配水先を切り替える切替軸と、前記複数の配水口から配水される液体の流量が調整される流量調整軸が備えられた切替弁であって、
前記切替軸は、一方が開放された開口部と他方が閉塞された底部を有し、複数の開孔が形成された円筒体と、前記底部の前記開口部とは反対側に形成された第1操作部とで形成されており、
前記流量調整軸は、前記切替軸の前記円筒体内に収容可能な大きさの棒状体で形成された調整部と、前記調整部と反対側に形成された第2操作部で形成されており、前記調整部には、前記切替軸の円筒体に形成された前記複数の開孔のうちの少なくとも一つと対応する位置に流量調整部材が形成され、
前記弁本体には、前記切替軸が挿通される第1挿通孔と、前記切替軸が装着される切替軸装着部と、前記流量調整軸が挿通される第2挿通孔とが設けられ、
前記切替軸及び前記流量調整軸は、前記弁本体内の前記切替軸及び前記流量調整軸の同軸線上に、前記調整部が前記円筒体の内部に収容されて装着され、
装着された前記調整部と前記円筒体との隙間には内部流路が形成され、
前記切替軸は、前記円筒体に形成された前記複数の開孔のうちのいずれかが、前記弁本体の前記液体流入口と前記複数の配水口のいずれか一つとを連通されるように回動され、
前記流量調整軸は、前記配水口の少なくとも一つと連通した前記開孔に対応する流量調整部材を任意の流量になるように回動され調整されることを特徴とする切替弁。
【請求項2】
前記流量調整部材は、前記開孔より大きい幅を有し、前記調整部の半径と比べやや大きい半径ないしやや小さい半径の範囲で形成された小径部分と、前記小径部分から徐々に半径を拡大させながら前記調整部を周回させて形成される可変半径部と、前記円筒体の内周に比べわずかに小さい半径で形成された大径部分とで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切替弁。
【請求項3】
前記流量調整部材は、前記円筒体の内周に比べわずかに小さい半径を有し、
前記開孔よりも大きな幅で形成された大幅部と、
前記大幅部から徐々に前記幅が縮めて形成された縮幅部と、
前記調整部を周回し前記大幅部に達するとき狭くなるように形成された狭幅部とで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切替弁。
【請求項4】
前記切替調整部材は、弾性体で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切替弁。
【請求項5】
前記流量調整軸は、前記調整部と前記第2操作部との間にフランジ部が形成され、
前記フランジ部は、前記弁本体内の前記第2挿入孔の内側に形成された当接部と当接し、
前記フランジ部と前記当接部とは、互いに当接する部分の一方には、スリット状に形成された凹凸スリット部が円周状に形成され、他方には少なくとも一つのリブが前記凹凸スリット部の凹部と嵌合されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切替弁。
【請求項6】
前記流量調整軸には、前記第2操作部に環状弾性部材が装着される環状弾性部材装着溝が形成され、
前記弁本体の前記第2挿入孔の外側の端部の内側に傾斜部が環状に形成され、
前記環状弾性部材装着溝に環状弾性部材が装着され、前記弁本体の前記第2装着孔に前記流量調整軸が装着されたとき、前記環状弾性部材と前記傾斜部が当接されることを特徴とする請求項5に記載の切替弁。
【請求項7】
前記切替軸の底部には、前記流量調整軸の調整部の先端部分が嵌入される筒状の突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切替弁。
【請求項8】
前記弁本体の第1挿入口には、前記弁本体内に装着された前記流量調整軸及び前記切替軸を弁本体内に位置決め固定させ、且つ前記切替軸が挿通可能な開口を有し、前記切替軸を支持し回動可能なローター押さえ部材が装着されていることを特徴とする請求項1に記載の切替弁。
【請求項9】
前記切替軸と前記弁本体との間には、弁座パッキンが嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の切替弁。
【請求項10】
前記切替軸の第1操作部には、切替軸が操作される切替ハンドルが装着され、前記流量調整軸の第2操作部には、流量調整軸が操作される調整ハンドルが装着されていることを特徴とする請求項1に記載の切替弁。
【請求項11】
前記ローター押さえ部材と前記切替ハンドルとの間には、前記切替ハンドルが装着された前記切替軸が所定の位置で一時固定されるための固定手段を備えていることを特徴とする請求項10に記載の切替弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−19225(P2013−19225A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155069(P2011−155069)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(593019607)ジョプラックス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】