説明

列車との無線LANシステム

【課題】低コストで、かつ簡易に設置することが可能な移動中の列車からアクセス可能な無線LANシステムを提供することである。
【解決手段】走行中の列車12とアクセス可能な親局14A、14B・・・を備えた二以上の無線LANのアクセスポイント16A、16B・・・が列車12の線路20に沿って設置され、前記二以上のアクセスポイント16A、16B・・・のうち、一のアクセスポイント16Aは、地上網Xとアクセス可能に構成されており、前記二以上のアクセスポイント16A、16B・・・のうち、他のアクセスポイント16B、16C・・・は、前記一のアクセスポイント16A側に隣接するアクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・とアクセス可能な子局22B、22C・・・を備えていることを特徴とする列車との無線LANシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動中の列車を無線LANによって、インターネットなどの地上網とアクセス可能にする無線LANシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやブロードバンド通信の発達により、自宅や会社などプライベートな空間だけでなく、例えば移動体電話や無線LANなどを用いることによって、様々な公共の場所においてインターネットに接続することが可能となっている。特に、ブロードバンド通信が普及した現在においては、無線LANなどによるブロードバンド通信の需要が大きい。
【0003】
公共の場所における無線LANによる通信は、一般的に鉄道の駅、空港、飲食店やホテルなどに無線LANのアクセスポイントを設け、各クライアント端末は、そのアクセスポイントにアクセス可能な子局などを設置することによって、アクセスポイントを介したインターネットへの接続を可能としている。このように発達されたブロードバンド通信の環境においては、移動中の列車の中からの無線LANへのアクセスの要望が強く、様々な研究がなされている。
【0004】
移動中の列車の中からの無線LANへのアクセスは、例えば、移動中の列車がいずれの場所においても、アクセスができるように複数の無線LANのアクセスポイントを列車の線路に沿って所定間隔をおいて設けることによって、実現している(特許文献1参照)。そして、これらアクセスポイントは、それぞれを地上網の終端装置に接続させて地上網にアクセス可能にすることや、一のアクセスポイントを地上網の終端装置に接続させ、その他のアクセスポイントをその一のアクセスポイントと光ファイバなどによって接続させることによって、地上網とのアクセスを実現している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−344478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように無線LANのアクセスポイントを地上網と接続させた場合、それぞれのアクセスポイント毎に有線伝送媒体を敷設しなければならないので、その敷設が困難であるだけでなく、そのコストが、列車の線路の距離に比例して増大するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、低コストで、かつ簡易に設置することが可能な移動中の列車からアクセス可能な無線LANシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために、本発明は、走行中の列車とアクセス可能な親局を備えた二以上の無線LANのアクセスポイントが列車の線路に沿って設置され、前記二以上のアクセスポイントのうち、一のアクセスポイントは、地上網とアクセス可能に構成されており、前記二以上のアクセスポイントのうち、他のアクセスポイントは、前記一のアクセスポイント側に隣接するアクセスポイントの親局とアクセス可能な子局を備えていることを特徴とする列車との無線LANシステムである。
【0009】
以上のように、本発明に係る無線LANシステムによれば、各アクセスポイントの子局は、一のアクセスポイント側に隣接するアクセスポイントの親局とアクセス可能であるので、有線伝送媒体を敷設しなくても、各アクセスポイントを各親局及び子局を介して接続することができる。
【0010】
本発明に係る無線LANシステムにおいて、前記二以上のアクセスポイントの使用する周波数は、いずれも隣接するアクセスポイントと電波が互いに干渉しない程度に異なるように構成されていることが好ましく、この場合、前記二以上のアクセスポイントの親局は、一つおきに同じ周波数を利用していることが好ましい。このように構成することにより、各アクセスポイント間において、干渉が生じることはなく、スムーズな無線LAN通信を行なうことができる。この場合、前記列車は、前記二以上のアクセスポイントが使用する異なる周波数のいずれとも受信可能に構成されている。
【0011】
また、本発明に係る無線LANシステムにおいて、前記二以上のアクセスポイントの親局は、前記一のアクセスポイントと反対方向に向かって、電波を放射可能な指向性アンテナを備えていることが好ましく、前記一のアクセスポイントと地上網は、有線によって接続されていることが好ましい。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明は、走行中の列車とアクセス可能な親局を備えた二以上の無線LANのアクセスポイントが列車の線路に沿って該線路の一方側に設置された第1アクセスポイント群と、前記列車とアクセス可能な親局を備えた二以上の無線LANのアクセスポイントが前記線路に沿って前記線路の他方側に設置された第2アクセスポイント群と、前記第1アクセスポイント群と前記第2アクセスポイント群の前記二以上のアクセスポイントのうち、それぞれの一のアクセスポイントは、地上網とアクセス可能に構成されており、前記第1アクセスポイント群と前記第2アクセスポイント群の前記二以上のアクセスポイントのうち、他のアクセスポイントは、それぞれの前記一のアクセスポイント側に隣接するアクセスポイントの親局とアクセス可能な子局を備えていることを特徴とする列車との無線LANシステムである。
【0013】
このように線路の両側に第1アクセスポイント群と第2アクセスポイント群それぞれを設け、それぞれの一のアクセスポイントを地上網とアクセス可能に構成することにより、いずれか一方のアクセスポイント群が不通状態となったとしても、他方のアクセスポイント群を利用することができるので、システム全体の信頼性が向上し、また無線LANのトラフィックの渋滞を回避することができる。
【0014】
本発明に係る無線LANシステムにおいて、前記二以上のアクセスポイントの使用する周波数は、いずれも隣接するアクセスポイントと、電波が互いに干渉しない程度に異なるように構成されていることが好ましく、この場合、前記二以上のアクセスポイントの親局は、前記一のアクセスポイントと反対方向に向かって、電波を放射可能な指向性アンテナを備えており、前記第1アクセスポイント群の各アクセスポイントと第2アクセスポイント群の各アクセスポイントは、それぞれ互いに前記線路を中心とする線対称に位置するように対になって設けられており、前記第1アクセスポイントの各アクセスポイント間に形成されるアクセスポイントの親局とアクセス可能なゾーンの周波数と前記第2アクセスポイントの各アクセスポイント間に形成されるアクセスポイントの親局とアクセス可能なゾーンの周波数は、線路を挟んで対向するゾーン同士の電波が互いに干渉しない程度に異なるように構成されていることが好ましい。また、前記二以上のアクセスポイントの親局は、一つおきに同じ周波数を利用するとともに、前記一のアクセスポイントと反対方向に向かって、電波を放射可能な指向性アンテナを備えており、前記第1アクセスポイント群の各アクセスポイントと第2アクセスポイント群の各アクセスポイントは、それぞれ互いに前記線路を中心とする線対称に位置するように対になって設けられており、前記第1アクセスポイントの各アクセスポイントの指向性アンテナと前記第2アクセスポイントの各アクセスポイントの指向性アンテナは、互いに反対方向に電波を放射するように設置されており、前記線対称の対となる各アクセスポイントの親局は、同一の周波数を用いていることが好ましい。さらに、この場合、前記列車は、前記二以上のアクセスポイントが使用する異なる周波数のいずれとも受信可能に構成されている。またさらに、前記一のアクセスポイントと地上網は、有線によって接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、低コストで、かつ簡易に設置することが可能な移動中の列車からアクセス可能な無線LANシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る列車との無線LANシステムの第1実施例について図面に基づいて説明する。図1は、第1実施例に係る無線LANシステムを列車の線路に設置した状態を示す概念図であり、図2は、第1実施例に係る無線LANシステムの一部拡大概念図である。第1実施例に係る無線LANシステム10は、走行中の列車12とアクセス可能な親局14A、14B・・・を備えた二以上の無線LANのアクセスポイント16A、16B・・・と、左端の第1アクセスポイント16Aを地上網Xに接続する地上網終端装置18と、を備えている。二以上のアクセスポイント16A、16B・・・は、列車12の線路20に沿って設置されており、所定の数、第1実施例においては、8つのアクセスポイント16A、16B・・・を一つのグループとして構成している。この8つのアクセスポイント16A、16B・・・によって構成された無線LANシステム10は、列車12の線路20に沿って、複数設置されており、それぞれが地上網終端装置18を介してアクセスポイント16A、16B・・・を地上網Xにアクセス可能に接続している。
【0017】
第1アクセスポイント16Aを除く、その他のアクセスポイント16B、16C・・・には、第1アクセスポイント16A側に隣接するアクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・とアクセス可能な子局22B、22C・・・を備えている。これらアクセスポイント16A、16B・・・は、子局22B、22C・・・が親局14A、14B・・・にアクセスするのに十分な間隔を置いて設置されている。また、各アクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・の使用する周波数は、隣接するアクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・と、電波が互いに干渉しないように異なるものを使用しており、第1実施例においては、一つおきに同じもの、すなわち1chの周波数と7chの周波数を交互に使用している。各子局22B、22C・・・は、第1アクセスポイント16A側に隣接する親局16A、16B・・・とアクセス可能に構成されているので、受信可能な周波数は、親局と同様に交互に1chの周波数と7chの周波数である。また、アクセスポイント16B、16C・・・の親局14B、14C・・・と子局22B、22C・・・は、有線21によって接続されている。
【0018】
各アクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・は、第1アクセスポイント16Aと反対方向を向いた指向性アンテナ24を備えており、各指向性アンテナ24は、第1アクセスポイント16Aと反対方向に向かって、電波を放射することができる。これらアクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・及び子局22B、22C・・・それぞれには、同一のアドレス体系の異なるプライベートIPアドレスが予め設定されている。また、列車10には、各親局14A、14B・・・とアクセス可能な子局26が設けられており、この子局26にも、同一のアドレス体系の異なるプライベートIPアドレスが予め設定されている。さらに、地上網終端装置18にも、同一のアドレス体系の異なるプライベートIPアドレスが予め設定されている。このように一列に連なった各アクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・と第1アクセスポイント16Aと反対方向の子局22B、22C・・・は、アクセス可能に構成されており、これら親局14A、14B・・・、子局22A、22B・・・、列車10の子局26及び地上網終端装置18は、同一アドレス体系の異なるIPアドレスが設定されているので、イントラネットを形成し、列車10の子局26から各アクセスポイント16A、16B・・・及びそれに接続された地上網終端装置18を介して地上網にアクセスすることができる。
【0019】
列車10の子局26は、図3に示すように列車10内の無線LAN28に接続されており、この無線LANに接続しているクライアント端末30は、子局26を介して、第1実施例に係る無線LANシステム10のイントラネットにアクセスすることができる。また、列車10の子局26は、各アクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・が使用する周波数1chと7chの電波いずれも受信可能に構成されており、いずれの親局14A、14B・・・に対してもアクセスすることができる。子局26は、地上網終端装置18のIPアドレスをデフォルトの宛先アドレスとして登録しており、このため、列車10内のクライアント端末30からパケットを受信すると、地上網終端装置18のIPアドレスでカプセル化したパケットを生成して送信するよう構成されている。そのパケットを受信した地上網終端装置18は、逆カプセル化を行なったパケットを地上網に発信するよう構成されている。なお、子局26は、列車10内のクライアント端末30をそれらに自動的に付与したポート番号によって識別するように構成されている。
【0020】
次に、第1実施例に係る無線LANシステム10の動作について、図4に示すフロー図に基づいて説明する。先ず、列車12内のクライアント端末30から地上網Xに接続されたサーバ32にパケットを送信する場合について説明する。前提として列車12は、その子局26がアクセスポイント16Bの親局14Bとアクセス可能なゾーンMに位置していることとする。先ず、列車12内のクライアント端末30から宛先をサーバ32のグローバルIPアドレスとするパケットαを発信すると(S100)、子局26は、そのパケットαについて地上網終端装置18のプライベートIPアドレスを宛先アドレスとするカプセル化を行ってパケットβを作成し、そのカプセル化されたパケットβを発信する(S102)。この際、列車12の子局26は、アクセスポイント16Bの親局14Bとアクセスが可能であるので、パケットβは、アクセスポイント16Bの親局14Bに転送され、その後、子局22B→アクセスポイント16Aの親局14Aを介して地上網終端装置18に転送される(S104)。パケットβが地上網終端装置18に転送されると、逆カプセル化が行なわれて、パケットαが復元され(S106)、パケットαは、その後地上網Xを介してサーバ32に転送される(S108)。
【0021】
次に、地上網Xに接続されたサーバ32から列車12内のクライアント端末30にパケットを送信する場合について説明する。先ず、サーバ32は、クライアント端末30のグローバルIPアドレスを宛先とするパケットγを地上網Xを介して地上網終端装置18に発信すると(S200)、地上網終端装置18は、パケットγを受信し、そのパケットγについて列車12の子局26のプライベートIPアドレスを宛先アドレスとするカプセル化を行ってパケットδを作成し、そのカプセル化されたパケットδを発信する(S202)。地上網終端装置18から子局26宛に発信されたパケットδは、第1実施例に係る無線LANシステム10の全てのアクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・に転送される(S204)。列車12は、いずれかのアクセスポイント16A、16B・・・の親局14A、14B・・・とアクセス可能なゾーンL、M・・・に位置するので、いずれかの親局14A、14B・・・からパケットδを受信することができる(S206)。子局26は、パケットδを受信すると、逆カプセル化が行なわれて、パケットγが復元され、そのパケットγは、その後列車12内のクライアント端末30に転送される(S208)。なお、親局14A、14B・・・に転送されたが、列車12に受信されなかったパケットδは、破棄される。例えば、図3において、列車12が、親局14Aとアクセス可能なゾーンLに移動していた場合、親局14Aに転送されたパケットδは、列車12の子局26によって受信されるが、その他の親局14B、14C・・・に転送されたパケットδは、列車12の子局26によって受信されないので破棄される。
【0022】
次に、本発明に係る無線LANシステムの第2実施例について図面に基づいて説明する。図5は、第2実施例に係る無線LANシステム40を列車の線路に設置した状態を示す概念図である。第2実施例に係る無線LANシステム40は、第1実施例に係る無線LANシステム10と異なり、各アクセスポイント46A、46B・・・、47A、47B・・・が線路50の両側それぞれに一列ずつ設置されている。以下、各アクセスポイント46A、46B・・・、47A、47B・・・を線路の一方側のアクセスポイント46A、46B・・・で構成される第1アクセスポイント群Aと線路の他方側のアクセスポイント47A、47B・・・で構成される第2アクセスポイント群Bに大別する。
【0023】
第1アクセスポイント群Aの各アクセスポイント46A、46B・・・と第2アクセスポイント群Bの各アクセスポイント47A、47B・・・は、それぞれが互いに線路50を中心とする線対称に位置するように設けられている。例えば、図5に示すようにアクセスポイント46Aとアクセスポイント47Iやアクセスポイント46Fとアクセスポイント47Dは、それぞれ線路50を中心とする線対称に位置するように対になって設けられている。また、各アクセスポイント46A、46B・・・、47A、47B・・・の親局44A、44B・・・、45A、45B・・・には、第1実施例と同様に指向性アンテナ54、55が設けられており、第1アクセスポイント群Aの親局44A、44B・・・の指向性アンテナ54は、第1アクセスポイント46A、46E、46Iと反対側(図5の右側)を向いており、第2アクセスポイント群Bの親局45A、45B・・・の指向性アンテナ55は、第1アクセスポイント47A、47E、47Iと反対側(図5の左側)を向いている。また、各アクセスポイント46A、46B・・・、47A、47B・・・の親局44A、44B・・・、45A、45B・・・の使用する周波数は、第1実施例と同様に一つおきに同じもの、すなわち1chの周波数のものと7chの周波数のものを交互に使用しており、さらに各親局44A、44B・・・、45A、45B・・・は、線対称の対となるアクセスポイント46A、46B・・・、47A、47B・・・と同一の周波数のものを用いている。例えば、アクセスポイント46Bの親局44Bとアクセスポイント47Hの親局45Hは、同じ7chの電波を発するように構成されており、アクセスポイント46Cの親局44Cとアクセスポイント47Gの親局45Gは、同じ1chの電波を発するように構成されている。これは、指向性アンテナの向きと各アクセスポイントの配置位置により、例えば2chなどの少ない周波数チャンネル数で互いに干渉しない構成になっている。
【0024】
第2実施例に係る無線LAN40とアクセス可能な列車42の概念図を図6に示す。この列車42には、第1アクセスポイント群Aの各アクセスポイント16A、16B・・・とアクセス可能な第1子局56Aが列車42の前側(図6の左側)に設置されており、第2アクセスポイント群Bの各アクセスポイント17A、17B・・・とアクセス可能な第2子局56Bが列車42の後側(図6の右側)に設置されている。そして、第1子局56Aは、列車42の奇数号車(1号車、3号車・・・)内に存するクライアント端末とアクセス可能な無線LAN58Aを形成し、第2子局56Bは、列車42の偶数号車(2号車、4号車・・・)内に存するクライアント端末とアクセス可能な無線LAN58Bを形成している。
【0025】
また、第2実施例に係る無線LAN40とアクセス可能な列車42内に設置されたIP電話64A、64B及び64Cについて図7に基づいて説明する。これらIP電話64A、64B及び64Cは、第1号車と第16号車の運転席、及び8号車の車掌室に設置されており、無線LAN58A及び58Bの両方に接続されている。これらIP電話64A、64B及び64Cは、通常、無線LAN58Aを使用して通信を行なっているが、第1アクセスポイント群Aが故障した場合、無線LAN58Bを使用できるように切り替えられるよう構成されている。
【0026】
なお、第1実施例に係る無線LAN10及び第2実施例に係る無線LAN40において、各アクセスポイントには、ネットワークカメラを設置しても良く、これにより鉄道運行会社は、線路の状況を監視することができるとともに、使用していないネットワーク資源を有効活用することができる。
【0027】
以上のように第1実施例に係る無線LAN10及び第2実施例に係る無線LAN40において、各親局14A、14B・・・、44A、44B、・・・、45A、45B・・・は、二種類の周波数を用いたが、隣接するアクセスポイントと電波が干渉しない程度に異なれば良く、三種類以上の周波数を用いても良い。第2実施例に係る無線LAN40は、この場合、各アクセスポイントの親局44A、44B、・・・、45A、45B・・・とアクセス可能なゾーンの周波数は、線路を挟んで対向するゾーン同士の電波が互いに干渉しない程度に異なることも必要である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る無線LANシステムの第1実施例を列車の線路に設置した状態を示す概念図である。
【図2】第1実施例に係る無線LANシステムの一部拡大概念図である。
【図3】第1実施例に係る無線LANシステムの親局とアクセス可能な列車の概念図である。
【図4】第1実施例に係る無線LANシステムの動作を示すフロー図である。
【図5】本発明に係る無線LANシステムの第2実施例を列車の線路に設置した状態を示す概念図である。
【図6】第2実施例に係る無線LANシステムの親局とアクセス可能な列車の概念図である。
【図7】第2実施例に係る無線LANシステムの親局とアクセス可能な列車内にIP電話を設置した場合の概念図である。
【符号の説明】
【0029】
10 無線LANシステム
12 列車
14A、14B・・・ 親局
16A、16B・・・ アクセスポイント
22A、22B・・・ 子局


【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の列車とアクセス可能な親局を備えた二以上の無線LANのアクセスポイントが列車の線路に沿って設置され、
前記二以上のアクセスポイントのうち、一のアクセスポイントは、地上網とアクセス可能に構成されており、
前記二以上のアクセスポイントのうち、他のアクセスポイントは、前記一のアクセスポイント側に隣接するアクセスポイントの親局とアクセス可能な子局を備えていることを特徴とする列車との無線LANシステム。
【請求項2】
前記二以上のアクセスポイントの親局が使用する周波数は、いずれも隣接するアクセスポイントと電波が互いに干渉しない程度に異なるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の列車との無線LANシステム。
【請求項3】
前記二以上のアクセスポイントの親局は、一つおきに同じ周波数を利用していることを特徴とする請求項2記載の列車との無線LANシステム。
【請求項4】
前記二以上のアクセスポイントの親局は、前記一のアクセスポイントと反対方向に向かって、電波を放射可能な指向性アンテナを備えていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の列車との無線LANシステム。
【請求項5】
走行中の列車とアクセス可能な親局を備えた二以上の無線LANのアクセスポイントが列車の線路に沿って該線路の一方側に設置された第1アクセスポイント群と、
前記列車とアクセス可能な親局を備えた二以上の無線LANのアクセスポイントが前記線路に沿って前記線路の他方側に設置された第2アクセスポイント群と、
前記第1アクセスポイント群と前記第2アクセスポイント群の前記二以上のアクセスポイントのうち、それぞれの一のアクセスポイントは、地上網とアクセス可能に構成されており、
前記第1アクセスポイント群と前記第2アクセスポイント群の前記二以上のアクセスポイントのうち、他のアクセスポイントは、それぞれの前記一のアクセスポイント側に隣接するアクセスポイントの親局とアクセス可能な子局を備えていることを特徴とする列車との無線LANシステム。
【請求項6】
前記二以上のアクセスポイントの親局が使用する周波数は、いずれも隣接するアクセスポイントと電波が互いに干渉しない程度に異なるように構成されていることを特徴とする請求項5記載の列車との無線LANシステム。
【請求項7】
前記二以上のアクセスポイントの親局は、前記一のアクセスポイントと反対方向に向かって、電波を放射可能な指向性アンテナを備えており、
前記第1アクセスポイント群の各アクセスポイントと第2アクセスポイント群の各アクセスポイントは、それぞれ互いに前記線路を中心とする線対称に位置するように対になって設けられており、
前記第1アクセスポイントの各アクセスポイント間に形成されるアクセスポイントの親局とアクセス可能なゾーンの周波数と前記第2アクセスポイントの各アクセスポイント間に形成されるアクセスポイントの親局とアクセス可能なゾーンの周波数は、線路を挟んで対向するゾーン同士の電波が互いに干渉しない程度に異なるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の列車との無線LANシステム。
【請求項8】
前記二以上のアクセスポイントの親局は、一つおきに同じ周波数を利用するとともに、前記一のアクセスポイントと反対方向に向かって、電波を放射可能な指向性アンテナを備えており、
前記第1アクセスポイント群の各アクセスポイントと第2アクセスポイント群の各アクセスポイントは、それぞれ互いに前記線路を中心とする線対称に位置するように対になって設けられており、
前記第1アクセスポイントの各アクセスポイントの指向性アンテナと前記第2アクセスポイントの各アクセスポイントの指向性アンテナは、互いに反対方向に電波を放射するように設置されており、
前記線対称の対となる各アクセスポイントの親局は、同一の周波数を用いていることを特徴とする請求項6記載の無線LANシステム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−186872(P2006−186872A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380586(P2004−380586)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(502306660)日本テレコム株式会社 (63)
【Fターム(参考)】