制御プログラム、充電最適制御装置および駐車場システム
【課題】限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電する。
【解決手段】複数のパレット10aを備え、各パレット10aに駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場システム10に適用される充電最適制御装置16であって、ユーザの操作を受け付けるコントロールパネル14から充電の設定情報を入力する機能と、均等充電方式、小SOC(State Of Charge)車充電方式、条件指定方式、優先方式、および計画均等方式のいずれかの充電方式を選択する機能と、選択した充電方式に基づいて、各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する機能と、を少なくとも備える。
【解決手段】複数のパレット10aを備え、各パレット10aに駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場システム10に適用される充電最適制御装置16であって、ユーザの操作を受け付けるコントロールパネル14から充電の設定情報を入力する機能と、均等充電方式、小SOC(State Of Charge)車充電方式、条件指定方式、優先方式、および計画均等方式のいずれかの充電方式を選択する機能と、選択した充電方式に基づいて、各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する機能と、を少なくとも備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両駐車区域を備え、各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される制御プログラム、充電最適制御装置および駐車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車に対して充電する機能を有する駐車場が提案されている。例えば、特許文献1記載の技術では、駐車場に電気自動車のバッテリを充電する充電装置と、充電情報入出力装置とが設けられている。この駐車場で電気自動車のバッテリの充電を行なうと、駐車券に充電情報が記録される。ユーザが、出庫時にこの駐車券を料金精算機に挿入すると、駐車料金と充電料金が算出される。ユーザが、これら各料金の精算を済ませると、出口ゲートが開いて車両の出庫を可能にする。
【0003】
また、特許文献2記載の技術では、駐車場に、電気自動車の接続端子に接続可能な充電用および情報入出力用の接続端子と、充電装置とが設けられている。ユーザが、電気自動車を駐車場へ駐車し、接続端子を接続すると、充電装置を介してバッテリを充電することができる。また、電気自動車に搭載されたコンピュータとPOS端末との間で情報の送受信が可能となっている。
【0004】
また、特許文献3記載の技術では、電気自動車を車両駐車区域であるパレットに載せて、塔内へ格納するエレベータ式立体駐車場に、電気自動車用充電装置が設けられている。その充電装置に接続されるパレット用コネクタと電気自動車に接続される車側コネクタとがパレットに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−312772号公報
【特許文献2】特開平11−86058号公報
【特許文献3】特開平10−30354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、全電気自動車のバッテリを充電するために必要とする総電力量が、電源から供給される電力の範囲を超える場合、どのように制御するかどうかについては、何ら検討されていない。このため、最小の契約アンペア数の範囲内で無理のない充電を行なう仕組みが望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することができる制御プログラム、充電最適制御装置および駐車場システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の制御プログラムは、複数の車両駐車区域を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される充電最適制御装置の制御プログラムであって、選択可能な複数種類の充電方式から、いずれか一つの充電方式を選択する処理と、前記選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする。
【0009】
このように、複数種類の充電方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【0010】
(2)また、本発明の制御プログラムにおいて、前記選択可能な複数の充電方式は、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式と、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式と、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式と、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式と、前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式と、が含まれることを特徴とする。
【0011】
このように、均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【0012】
(3)また、本発明の制御プログラムにおいて、前記計画均等方式では、ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルから充電の設定情報を入力する処理と、前記入力された設定情報に基づいて、駐車中の全電気自動車のバッテリに対する充電の実行周期を選定する処理と、前記設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および前記充電の実行周期に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行する処理と、充電を実行している最中に、ユーザの操作を契機として、前記コントロールパネルから前記設定情報を変更する情報を入力する処理と、前記設定情報または前記変更後の設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および前記充電の実行周期に基づいて、スケジュール情報を生成する処理と、を含み、前記生成したスケジュール情報に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行することを特徴とする。
【0013】
このように、生成したスケジュール情報に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【0014】
(4)また、本発明の充電最適制御装置は、複数の車両駐車区域を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される充電最適制御装置であって、ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルから充電の設定情報を入力する機能と、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式、および前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式のいずれかの充電方式を選択する機能と、前記選択した充電方式に基づいて、前記各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する機能と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0015】
このように、均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【0016】
(5)また、本発明の駐車場システムは、複数の車両駐車区域と、ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルと、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式、および前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式のいずれかの充電方式を選択し、前記選択した充電方式に基づいて、前記各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する充電最適制御装置と、を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリの充電を実行することを特徴とする。
【0017】
このように、均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数種類の充電方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る電気自動車用駐車場システムの概略構成を示す図である。
【図2】システム起動時のシーケンスチャートを示す図である。
【図3】システム停止時のシーケンスチャートを示す図である。
【図4】正常に充電が開始された充電開始時のシーケンスチャートを示す図である。
【図5】ユーザが設定した充電条件に異常があった場合の充電開始時のシーケンスチャートを示す図である。
【図6】エラーが発生した場合の充電開始時のシーケンスチャートを示す図である。
【図7】充電停止のシーケンスチャートを示す図である。
【図8】ユーザにより設定された予定充電量が完了した場合の充電完了のシーケンスチャートを示す図である。
【図9】ユーザの操作に基づいて充電条件が変更された場合の充電条件変更のシーケンスチャートを示す図である。
【図10】センターシステムからの指示に基づいて充電条件が変更された場合の充電条件変更のシーケンスチャートを示す図である。
【図11】本実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電気自動車用駐車場システムの概略構成を示す図である。この電気自動車用駐車場システム10は、車両の駐車区域である複数のパレット10aを有しており、立体駐車場として機能する。各パレット10aには、電気自動車と電気的に接続を行なうための充電プラグ10bが設けられており、電源ケーブル10cを介して、中継ボックス12に接続されている。中継ボックス12は、各パレット10aの充電プラグ10bと、後述する充電最適制御装置16とを電気的に中継する機能を果たす。コントロールパネル14は、ユーザの操作を受け付けて、電気自動車のバッテリに対する充電条件の設定、充電開始、充電停止の情報を出力する。また、非接触型のICカードの情報を読み取る機能を有していてもよい。なお、充電最適制御装置16は、通信ネットワークを介して、本システムの管理および制御を行なうセンターシステムと情報を送受信することが可能である。また、充電最適制御装置16は、シーケンサI/O(Input/Output)を含む。充電最適制御装置16は、分電盤18から電力の供給を受けて、パレット10aに駐車された電気自動車のバッテリの充電を行なう。
【0021】
充電最適制御装置16は、以下の複数の機能を有する。
【0022】
(1)駐車場情報管理機能
これは、充電を行なう施設情報を保持する機能である。この施設情報は、充電最適制御を行なう上で、基本情報となる。駐車場情報は、充電最適制御装置16の内部に、テキストファイルで保持し、システム起動時に読み込ようにする。ここで、「駐車場情報最終更新時刻」と「動作モード最終更新時刻」を初期化シーケンスで、本システムの管理および制御を行なうセンターシステムに送信する。情報が更新されていれば、センターシステムから通知される。起動時以外でも駐車場情報設定要求を受信した時は、情報を更新する。
【0023】
施設情報は、例えば、以下に挙げる項目を施設毎に管理する。
・駐車場を識別する駐車場ID
・駐車場で適用する充電方式(均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式)
・駐車場で充電できるパレット設備総数
・ある瞬間に同時に充電可能な台数である同時充電可能台数
・複数のパレットを並行して充電する為にON/OFFする周期である充電制御周期(分)
・センターシステムへ送信する充電状況通知間隔である最適充電状況通知送信間隔(分)
・駐車場内各機器を点検する時間間隔である設備点検時間間隔(分)
・駐車場の充電方式毎に必要な設定情報である充電条件設定
・駐車場情報を最後に更新した(駐車場情報設定要求を受信した)時刻である駐車場情報最終更新時刻
・動作モードを最後に更新した(動作モード設定要求を受信した)時刻である動作モード最終更新時刻
【0024】
(2)充電開始・停止制御機能
充電の開始と停止の制御は、コントロールパネル14でユーザの操作を契機として行なわれる。充電開始・停止を行なった場合は、充電イベント通知をセンターシステムに送信する。
【0025】
(a)充電開始処理機能
ユーザは、コントロールパネル14でICカードによる認証を行ない、正常であれば充電方式に従った充電条件を、コントロールパネル14が有するタッチパネルに入力し、充電を開始する。タッチパネルの画面で入力された充電条件と充電開始の指示を、充電最適制御装置16へ送信し、充電中の他の電気自動車の条件と組み合わせて充電スケジュールを組み立てる。この際、その時まで他の電気自動車に対して充電を行なっていたスケジュール情報は全て破棄し、新規に作り直す。ただし、入力された充電条件や充電中の他の電気自動車との組み合わせによっては、充電条件に合うスケジュールが組めない場合がある。これらのスケジューリングの結果は、コントロールパネル14に返され、画面に表示される。
【0026】
充電開始時に入力する充電条件は、例えば、以下に挙げる項目がある。
・充電を開始したいパレット番号
・自分に登録されている車両の中で、充電する車両
・深夜電力を利用した充電方式かどうかを示す深夜電力利用有無情報
・ユーザが保持するICカード情報(ICカードリーダより取得)
【0027】
充電開始後は、駐車場情報設定要求で入力される充電パラメータとしての「充電制御周期」でスケジュール情報を参照し、各パレットの電源ON/OFFを、PLC(Programmable logic Controller)を制御して最適充電制御を行なう。スケジュール情報は、例えば、下記のような内容となる。
【0028】
(スケジュール情報の一例)
・パレット数…6
・パレット1〜5に5台駐車中
・同時充電可能台数2台
・均等充電方式
【表1】
上記の表において、「○」は、充電を実行するパレットを示している。
【0029】
(b)充電停止処理機能
充電停止の操作は、開始と同様、まず、ユーザがICカードの認証を行ない、認証された場合は、コントロールパネル14のタッチパネルに表示される画面に従って、停止の操作を行なう。その操作内容は、コントロールパネル14の入力から充電最適制御装置16に送られ、PLCによって制御され、停止処理が行なわれる。充電最適制御装置16は、その結果をコントロールパネル14に送信し、コントロールパネル14は、タッチパネル画面にその内容を表示する。停止処理では、対象となる電気自動車のスケジュール情報を削除して、新しくスケジュール情報を組みなおす。
【0030】
(3)充電条件変更機能
本システムでは、コントロールパネル14、またはセンターシステム(PC、携帯)から充電条件の変更を行なう事ができる。コントロールパネル14からの条件変更のシーケンスは「充電開始停止制御」と同様である。充電最適制御装置16が、コントロールパネル14、またはセンターシステムから充電条件変更の通知を受け取った時、充電開始時と同様に新しい充電条件でスケジューリングを行なう。その結果はコントロールパネル14、またはセンターシステムへ応答する。充電最適制御装置16での充電条件変更処理では、スケジュール情報を更新するのみで、このタイミングで充電ON/OFFは制御しない。次にスケジュール情報が参照される時から、新しいスケジュールでの充電となる。これは充電ON/OFFを複数のパレットに対して同時に制御できないことによる。
【0031】
(4)充電状況管理機能
これは、本体コントローラにより、各電気自動車のバッテリの充電状況を管理する機能である。パレットに対応づけられた充電状況項目は、例えば、以下のようなものが挙げられる。これらの項目は、充電状況によって更新される。
・空き/開始待ち/充電中/充電待ち/充電完了/エラーなどの充電状態
・充電を開始した時刻である充電開始時刻
・充電条件から計算される充電が完了する予想時刻である予想充電完了時刻
・充電が完了した時刻である充電完了時刻
・最大充電量である充電容量(車種によって決定される)
・充電開始時にバッテリに残っている充電量である初期充電残量(利用者が指定または自動的に取得)
・充電後の充電残量である予定充電残量(利用者が指定)
・充電開始から現在までの充電量である実績充電量
・充電中にON/OFFした回数である通電回数
・最後に発生した充電イベントである最終充電イベント
なお、充電状況は、定期的にセンターシステムへ通知される。通知するデータは、充電中のパレット数分まとめて通知する。充電状況のセンターシステムへの通知間隔は、予めセンターシステムから通知される。
【0032】
(5)充電プラグ引き抜き監視機能
これは、充電中にプラグが電気自動車から引き抜かれたことを検出する機能である。すなわち、充電中のパレットに対し、定期的に充電最適制御装置16から、そのパレットに流れている電流値を読み込む。電流を流しているパレットにおいて、電流値が規定値より規定の期間連続で下回った場合、プラグが引き抜かれたと判断する。この規定の電流値、期間は設定ファイルから取得する。その後、充電を停止する。
【0033】
(6)機器監視制御機能
(a)機器定期監視機能
これは、監視対象機器に発生した異常を、センターシステムへ通知する機能である。充電最適制御装置16は、機器に異常がないかポーリングして監視し、機器の最新状態のみを保持する。監視対象機器の異常が復旧した場合、復旧した旨センターシステムへ通知する。ポーリング間隔は、センターシステムより通知される。
【0034】
(b)機器異常チェック機能
センターシステムから接続機器の異常チェック要求を受け、リアルタイムに接続機器の状態を収集しセンターシステムへ通知する。
【0035】
(7)充電情報取得機能
図示しないエネルギーモニタで収集した各充電パレットの充電情報を取得する。充電情報は、充電パレット毎に保持する。
【0036】
(8)PLC制御機能
充電方式とユーザに入力された充電条件とから、パレット毎に充電スケジュール情報を作成し、この作成した充電スケジュール情報に合わせて、パレット単位での充電開始/停止制御を行なう。
【0037】
(9)コントロールパネル制御機能
コントロールパネル14では、ICカードリーダで読み取ったICカードの認証と、コントロールパネル14が有するタッチパネルでの充電開始/停止/状況参照の操作を行なう。コントロールパネル14での操作は、ICカードから読み取った情報をセンターシステムへ通知し、センターシステムで認証を行ない、認証を得られた場合のみ行なう。
【0038】
(a)ICカード認証機能
コントロールパネル14に搭載するアプリケーションでは、ICカードリーダを常にポーリングし続け、認証情報を読み込むことができた時は、充電プラグを充電最適制御装置16に接続して、認証情報を送信する。その後は、再びICカードリーダのポーリングへ戻る。ICカード認証完了後、タッチパネルでの操作中もICカードリーダは動作しており、読み取った認証情報は、充電最適制御装置16に送信する処理を続ける。なお、充電最適制御装置16の制御プログラムが動作している時は、その通知を中止する。
【0039】
(b)タッチパネル操作機能
コントロールパネル14が有するタッチパネルに表示する画面は、ブラウザのCGI(Common Gateway Interface)で行なう。また、充電最適制御装置16をWebサーバとする。CGIに入力された値について、簡単な異常値判定はJava(登録商標)Scriptで行なう。それ以外のパレットの状態、充電スケジュール状況による判定は制御アプリケーションで行なう。CGIと制御アプリケーション間は充電プラグ(ソケット)で通信する。CGIに入力された値は、ソケットで制御アプリケーションに送信し、その結果を制御アプリケーションからCGIへ送信する。CGIではその結果を元に、次の画面に遷移する。初期画面では定期的に再読込を行ない、その度に制御アプリに認証状況を確認する。認証OKの状態に変化した時、次の画面に遷移する。
【0040】
(10)システム管理機能
(a)システム起動機能
充電最適制御装置16のPLCに搭載される制御アプリケーションは、PLCの電源ONと共に自動的に起動させる。制御アプリケーションが、停電やシステムの異常で終了し、再起動した場合、終了以前の充電をできるだけ継続させる。アプリケーションの停止中に電気自動車の入出庫によってパレットの状況が変わってしまうこともあるため、自動的に、完全に復旧することはできない場合がある。制御アプリケーション起動後は、以下のシーケンスで処理を行なう。
・設定ファイルを読み込み、各種初期設定を行なう。
・センターシステムとの初期化シーケンスを行なう。
・充電条件ファイルの有無を確認し、存在する場合は異常終了したものと判断する。このとき、各パレットのプラグ抜き差しの状態を確認し、差し込まれているパレットに関しては、充電条件ファイルに記録されている充電条件で充電を自動的に開始する。ただし、異常終了後、起動までの間に電気自動車の入出庫があった場合は、アプリケーションにおいてこれを検知できないため、異なる電気自動車に対して充電が行なわれる。
【0041】
(b)システム終了機能
制御アプリケーションの終了は、センターシステムから充電最適制御装置16にリモートアクセスサービスの保守用回線を通じてログインし、制御コマンドにより行なう。
【0042】
(c)電文出力制御機能
本システムでは、充電最適制御装置16の保守の目的の為、リモートアクセスサービスの回線を運用系と保守系の2回線用意する。ここで、リモートアクセスサービス接続モジュール機器の制限により、同時に1回線しか接続できない場合は、保守回線を使用する時に運用系の電文送信を止める必要がある。そこで、充電最適制御装置16からセンターシステムへの電文送信を止める機能を実装している。センターシステムへの電文送信開始/停止の制御は、システム終了でも使用した制御コマンドを使用する。システム終了とは異なる電文を制御アプリに送信し、送信開始/停止を制御する。制御アプリケーションでは、センターシステム通信機能の送信フラグを開始、または停止に設定する。
【0043】
(d)ログ出力機能
充電最適制御装置16の内部動作や、充電中の詳細情報、アラームの情報をログファイルに記録する。生成したログファイルは、センターシステムからリモートアクセスサービスの保守用回線を通じてFTPでログインし、取得する。その際、予めデータを圧縮しておいてもよい。
【0044】
(e)その他、ログ出力制限機能や、ログファイル管理機能を有する。
【0045】
次に、本実施形態に係る充電最適制御装置が選択可能な充電方式について説明する。本実施形態で選択可能な充電方式は、均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式である。ただし、本発明は、これらの充電方式に限定されるわけではなく、他の充電方式を適用することも可能である。
【0046】
[均等充電方式について]
均等充電方式では、現在駐車している車両台数で、限られた電力量を均等に配分し、充電を行なう。以下の2つのパターンがある。
【0047】
(パターン1)
充電プラグが挿入されると充電を開始し、充電プラグが引き抜かれると充電を停止する制御を行なう充電方式である。ユーザによるコントロールパネルでの操作が不要となる。不特定多数のユーザへ充電サービスを提供する場合に好適である。
【0048】
(パターン2)
コントロールパネルからの入力で、充電開始または充電停止を行なうことができる充電方式である。ユーザを限定することができると共に、充電完了時間が明らかとなる。社用車等を駐車するための駐車場や、マンションなどの集合住宅など、ユーザ相互の合意の下で充電できる駐車場に好適である。
【0049】
[小SOC(State Of Charge)車充電方式について]
小SOC車充電方式では、バッテリの残充電量の少ない車両に対して優先的に充電を行なう。以下の2つのパターンがある。
【0050】
(パターン1)
小SOC車を完全優先とする。駐車中のすべての車両が同時刻に満充電となるように充電の制御を行なう充電方式である。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、充電残量が少ない車両に対して充電を集中することにより、残充電量の少ない車両を優先的に減らすことができる。電気自動車のレンタカーや、カーシェアリングに好適である。
【0051】
(パターン2)
比例充電を行なう。駐車中のすべての車両が同時刻に満充電となるように充電の制御を行なう充電方式である。充電残量の少ない車両には充電時間を長くし、充電残量の多い車両に対しては充電時間を短くする。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、全車両に対して充電が行なわれ、その中でも充電残量が少ない車両を優先的に充電することができる。全車両に充電が行なわれるため、不公平感を小さくすることができる。電気自動車のレンタカーや、カーシェアリングに好適である。
【0052】
[条件指定方式について]
ユーザによって設定された充電条件、例えば、希望充電量、充電完了希望時間に合った充電を行なう充電方式である。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、全車両に対して充電完了時間が保証される。一般業務用の商用車に好適である。
【0053】
[優先方式について]
優先充電モード、通常充電モードまたは充電待機モードの3つの充電モードを利用して、優先順位を付与し、充電する充電方式である。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、優先充電モードで充電を行なうパレットを確保できる。また、優先度が低い車両であっても通常充電モードで充電を行なうことができる。コインパーキングやショッピングセンターなどの一般サービス企業で好適な充電方式である。優先順位は次のように決定する。
【0054】
先着順…先着順に優先充電モードを割り当てて充電を行なう。先着の車両に対して優先的に充電をすることができ、不公平感を軽減することができる。優先充電モードで充電を行なっていた車両が満充電となると、それまで通常充電モードで充電していた車両を優先充電モードに切り替えることが可能となる。
【0055】
ユーザ選択…優先充電モードを割り当てるかどうか、ユーザが選択肢で充電を行なう。ユーザの要望に合わせて優先的に充電するかどうかを選択することができる。優先充電モードで充電を行なっていた車両が満充電となると、それまで通常充電モードで充電していた車両であって充電開始時に優先充電モードを選択していた車両を、優先充電モードに切り替えることが可能となる。
【0056】
指定パレット…予め指定したパレットを優先充電モードに割り当てて充電する。指定されたパレットが空いていれば、誰でも優先充電モードで充電することができる。
【0057】
指定EV…予め指定したEV(電気自動車)を、優先充電モードに割り当てて充電する。利用頻度の高い車両を予め指定して、優先的に充電することができる。なお、この指定EVは、カードに割り当てられるものとする。
【0058】
[計画均等方式について]
計画均等方式は、すべての車両、すなわち、駐車中の車両、まだ駐車していない車両のいずれに対しての充電計画を自動的に作成し、その作成した計画に沿って上記均等充電を行なう充電方式である。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、指定された時間までに、すべての車両の充電を完了させることができる。利用用途に応じて「深夜充電する」か「すぐ充電する」かのいずれかを選択することができる。充電完了時間を保証することができる。社用車など、営業開始時間までにすべての車両の充電を完了させたい場合に好適である。
【0059】
次に、以上のように構成された充電最適制御装置16を備える電気自動車用駐車場システムの動作について説明する。図2から図10は、電気自動車用駐車場システムの各動作を示すシーケンスチャートである。図2は、システム起動時のシーケンスチャートを示す。本体コントローラの電源がONとなり(ステップS1)、その次に、充電最適制御装置16の制御アプリケーションの電源がONとなる(ステップS2)。ステップS2における電源ONは、PLCの電源ONを意味する。制御アプリケーションとCGIは、PLC上で動作するため、これによって両者を起動させる。
【0060】
制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電最適制御装置1の起動要求を行なう(ステップS5)。センターシステムは、駐車場情報の設定要求を行ない(ステップS7)、制御アプリケーションはこれに応答する(ステップS8)。また、センターシステムは、制御アプリケーションに対して、動作モード設定要求を行ない(ステップS9)、制御アプリケーションは、これに応答する(ステップS10)。また、センターシステムは、制御アプリケーションに対して、設備アラーム要求を行ない(ステップS11)、制御アプリケーションは、これに応答する(ステップS12)。ここで、起動処理で異常が発生した場合は、センターシステムは、エラーログを出力する。充電が可能であれば、できる限り起動させる。最後に、コントロールパネルの電源をONとし(ステップS16)、コントロールパネルは、CGIに対して、初期画面の呼び出しを行なう(ステップS18)。
【0061】
図3は、システム停止時のシーケンスチャートを示す。システムを停止させる場合は、まず、制御アプリケーションの電源をOFFとする(ステップS20)。これは、制御アプリケーションの電源がONの状態で、他の装置の電源をOFFとすると、エラーと認識してしまう場合があるので、これを回避するためである。制御アプリケーションの電源を最初にOFFにした後は、それ以外の装置の電源をOFFにする順番は問われない。制御アプリケーションの電源をOFFとした後、本体コントローラの電源をOFFとし(ステップS22)、コントロールパネルの電源をOFFとする(ステップS23)。
【0062】
図4は、充電開始時のシーケンスチャートを示す。ここでは、正常に充電が開始されたものとする。ユーザが、コントロールパネルを操作し、ICカードをリーダーにかざすと、ICカードの内容が読み取られ、読み取られた情報がCGI、制御アプリケーションを介してセンターシステムに送信される(ステップS30)。センターシステムは、情報の内容を確認し、認証が成功すると、認証応答を制御アプリケーションに送信する(ステップS32)。次に、CGIが、制御アプリケーションに対してログイン確認要求を行ない(ステップS34)、制御アプリケーションがこれに応答する(ステップS36)。ステップS36では、車両選択、またはパレットの選択画面に遷移する。
【0063】
次に、コントロールパネルにおけるユーザの操作を契機として、パレット番号が選択されると、コントロールパネルからCGIに対してパレット番号を示す情報が送信される(ステップS38)。CGIから制御アプリケーションに対して、対象パレットが通知され(ステップS40)、制御アプリケーションは、パレット状況を確認する(ステップS42)。そして、次の画面に遷移する(ステップS44)。また、コントロールパネルにおけるユーザの操作を契機として、充電条件が入力される(ステップS46)。この充電条件は、充電方式に基づいて行なわれる。例えば、充電残量、ユーザが希望する希望充電量、および希望充電完了日時である。入力された充電条件は、CGIで保持され、充電開始の通知と共に、制御アプリケーションに送信される。
【0064】
充電開始が指示されると(ステップS48)、制御アプリケーションは、充電のスケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、スケジュールを反映させ、パレット情報を更新する(ステップS50)。そして、制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS52)。また、制御アプリケーションは、充電開始完了画面を表示するようにCGIに通知するし(ステップS54)。センターシステムは、ステップS52の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS56)。そして、制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS58)、シーケンサI/Oに対して、充電開始制御を行ない(ステップS60)、シーケンサI/Oは、これに応答する(ステップS62)。
【0065】
図5は、充電開始時のシーケンスチャートを示す。ここでは、ユーザが設定した充電条件に異常があったものとする。図4に示したステップS48で充電開始となった後、制御アプリケーションが、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認する(ステップS50−1)。ここで、制御アプリケーションが、ユーザによって設定された充電条件が異常であることを認識すると、充電開始不可画面を表示するように、CGIに対して通知を行なう(ステップS64)。
【0066】
図6は、充電開始時のシーケンスチャートを示す。ここでは、エラーが発生したものとする。図4に示したステップS48で充電開始となった後、制御アプリケーションが、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、スケジュールを反映させ、パレット情報を更新する(ステップS50)。制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS52)。また、制御アプリケーションは、充電開始完了画面を表示するようにCGIに通知するし(ステップS54)。センターシステムは、ステップS52の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS56)。そして、制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS58)、シーケンサI/Oに対して、充電開始制御を行なう(ステップS60)。
【0067】
ここで、シーケンサI/Oがエラーの発生を認識すると、それを制御アプリケーションに通知し(ステップS66)、制御アプリケーションは、充電停止処理を実行する(ステップS68)。そして、制御アプリケーションは、スケジュールを作成し(ステップS70)、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS72)。センターシステムは、ステップS72の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS74)。次に、制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS76)、設備異常チェックを行なう(ステップS78)。制御アプリケーションは、センターシステムに対し、設備アラームを通知し(ステップS80)、センターシステムは、これに応答する(ステップS82)。
【0068】
図7は、充電停止のシーケンスチャートを示す。図4のステップS60における充電開始通知がなされた後、ユーザがコントロールパネルを操作して、充電ストップボタンを押下した場合(ステップS84)、CGIは、制御アプリケーションに対して、充電停止の通知を行なう(ステップS86)。制御アプリケーションは、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、そのスケジュールを反映させる(ステップS88)。そして、CGIに充電停止の表示をさせる通知を行なう(ステップS90)。次に、制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS92)、シーケンサI/Oに対して充電停止の制御を行なう(ステップS94)。シーケンサI/Oは、これに応答する(ステップS96)。そして、制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS98)。センターシステムは、ステップS98の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS100)。
【0069】
図8は、充電完了のシーケンスチャートを示す。ここでは、ユーザにより設定された予定充電量が完了した場合について説明する。制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS102)、充電スケジュールを確認する(ステップS104)。ここで、全充電スケジュールが完了したものとする。制御アプリケーションは、シーケンサI/Oに対して充電停止制御を行ない(ステップS106)、シーケンサI/Oは、これに応答する(ステップS108)。次に、制御アプリケーションは、パレット情報を更新する(ステップS110)。ここでは、充電状況を更新することとなる。そして、制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS112)。センターシステムは、ステップS98の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS114)。
【0070】
なお、各電気自動車のバッテリが満充電となった場合は、制御アプリケーションが、本体コントローラから電流値を取得し、電流値低下判定を行ない、電流値が低下した場合は、充電停止処理を行なう。そして、制御アプリケーションは、スケジュールの作成、確認、反映を行なって、動作タイミングを検出し、シーケンサI/Oに対して充電停止制御を行なう。これ以降は、上記ステップS110からステップS114と同様の手順を実行する。
【0071】
図9は、充電条件変更のシーケンスチャートを示す。ここでは、ユーザの操作に基づいて充電条件が変更されたものとする。図4のステップS60における充電開始通知がなされた後、ユーザがコントロールパネルを操作して、充電条件を変更したとする(ステップS116)。この情報はコントロールパネルからCGIに送信され、さらに制御アプリケーションに送信される(ステップS118)。制御アプリケーションは、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、スケジュールを反映させる(ステップS120)。制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS122)。また、制御アプリケーションは、CGIに対して、充電条件変更完了画面を表示する旨の通知を行なう(ステップS126)。CGIは、コントロールパネルに対して充電条件変更完了画面を表示する旨の通知を行なう(ステップS124)。センターシステムは、ステップS122の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS128)。
【0072】
図10は、充電条件変更のシーケンスチャートを示す。ここでは、センターシステムからの指示に基づいて充電条件が変更されたものとする。図4のステップS60における充電開始通知がなされた後、センターシステムから制御アプリケーションに対して、充電条件変更要求がなされたものとする(ステップS130)。制御アプリケーションは、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、スケジュールを反映させる(ステップS132)。制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電条件変更応答を行ない(ステップS134)、また、充電イベントを通知する(ステップS136)。センターシステムは、ステップS136の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS138)。
【0073】
(第2の実施形態)
図11は、本実施形態の変形例を示す図である。この変形例では、コントロールパネル110と、複数のコンセントボックス112−1〜112−nは、移動可能となっている。各コンセントボックス112−1〜112−nは、中継ボックス111を介して、コントロールパネル110に電気的に接続されている。この変形例では、コンセントボックス112−1〜112−n毎に相互に異なる充電方式を適用することができる。このような構成により、充電する車両の数が増加した場合であっても、コンセントボックスを増設することが容易となる。
【0074】
また、利用可能電流はコンセントボックス毎に均等配分する。例えば、各コンセントボックス112−1〜112−nと中継ボックス111では、最大電流が100Aとなる。従って、このシステムでは、1コンセントボックスあたり100Aを越えないよう、利用できる最大電流を各コンセントボックス112−1〜112−nに割り当てる。
【0075】
また、系統(電源)が150Aでコンセントボックスが2つである場合、各々コンセントボックスに75Aずつ割り当てる。また、系統(電源)が250Aでコンセントボックスが2つである場合、各々コンセントボックスに100Aずつ割り当てる。この場合は、50A利用できないことになる。また、系統(電源)が250Aでコンセントボックスが3つである場合、各々コンセントボックスに83Aずつ割り当てる。
【0076】
これにより、“移動可能”、“拡張性”といったユーザからのニーズに応えることが可能となる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、設定情報に基づいて、駐車中の全電気自動車のバッテリに対する充電の実行周期を選定し、設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および充電の実行周期に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
10 電気自動車用駐車場システム
10a パレット
10b 充電プラグ
10c 電源ケーブル
12 中継ボックス
14 コントロールパネル
16 充電最適制御装置
110 コントロールパネル
111 中継ボックス
112−1〜112−n コンセントボックス
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両駐車区域を備え、各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される制御プログラム、充電最適制御装置および駐車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車に対して充電する機能を有する駐車場が提案されている。例えば、特許文献1記載の技術では、駐車場に電気自動車のバッテリを充電する充電装置と、充電情報入出力装置とが設けられている。この駐車場で電気自動車のバッテリの充電を行なうと、駐車券に充電情報が記録される。ユーザが、出庫時にこの駐車券を料金精算機に挿入すると、駐車料金と充電料金が算出される。ユーザが、これら各料金の精算を済ませると、出口ゲートが開いて車両の出庫を可能にする。
【0003】
また、特許文献2記載の技術では、駐車場に、電気自動車の接続端子に接続可能な充電用および情報入出力用の接続端子と、充電装置とが設けられている。ユーザが、電気自動車を駐車場へ駐車し、接続端子を接続すると、充電装置を介してバッテリを充電することができる。また、電気自動車に搭載されたコンピュータとPOS端末との間で情報の送受信が可能となっている。
【0004】
また、特許文献3記載の技術では、電気自動車を車両駐車区域であるパレットに載せて、塔内へ格納するエレベータ式立体駐車場に、電気自動車用充電装置が設けられている。その充電装置に接続されるパレット用コネクタと電気自動車に接続される車側コネクタとがパレットに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−312772号公報
【特許文献2】特開平11−86058号公報
【特許文献3】特開平10−30354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、全電気自動車のバッテリを充電するために必要とする総電力量が、電源から供給される電力の範囲を超える場合、どのように制御するかどうかについては、何ら検討されていない。このため、最小の契約アンペア数の範囲内で無理のない充電を行なう仕組みが望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することができる制御プログラム、充電最適制御装置および駐車場システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の制御プログラムは、複数の車両駐車区域を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される充電最適制御装置の制御プログラムであって、選択可能な複数種類の充電方式から、いずれか一つの充電方式を選択する処理と、前記選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする。
【0009】
このように、複数種類の充電方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【0010】
(2)また、本発明の制御プログラムにおいて、前記選択可能な複数の充電方式は、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式と、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式と、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式と、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式と、前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式と、が含まれることを特徴とする。
【0011】
このように、均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【0012】
(3)また、本発明の制御プログラムにおいて、前記計画均等方式では、ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルから充電の設定情報を入力する処理と、前記入力された設定情報に基づいて、駐車中の全電気自動車のバッテリに対する充電の実行周期を選定する処理と、前記設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および前記充電の実行周期に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行する処理と、充電を実行している最中に、ユーザの操作を契機として、前記コントロールパネルから前記設定情報を変更する情報を入力する処理と、前記設定情報または前記変更後の設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および前記充電の実行周期に基づいて、スケジュール情報を生成する処理と、を含み、前記生成したスケジュール情報に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行することを特徴とする。
【0013】
このように、生成したスケジュール情報に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【0014】
(4)また、本発明の充電最適制御装置は、複数の車両駐車区域を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される充電最適制御装置であって、ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルから充電の設定情報を入力する機能と、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式、および前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式のいずれかの充電方式を選択する機能と、前記選択した充電方式に基づいて、前記各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する機能と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0015】
このように、均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【0016】
(5)また、本発明の駐車場システムは、複数の車両駐車区域と、ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルと、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式、および前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式のいずれかの充電方式を選択し、前記選択した充電方式に基づいて、前記各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する充電最適制御装置と、を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリの充電を実行することを特徴とする。
【0017】
このように、均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数種類の充電方式から、いずれか一つの充電方式を選択し、その選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る電気自動車用駐車場システムの概略構成を示す図である。
【図2】システム起動時のシーケンスチャートを示す図である。
【図3】システム停止時のシーケンスチャートを示す図である。
【図4】正常に充電が開始された充電開始時のシーケンスチャートを示す図である。
【図5】ユーザが設定した充電条件に異常があった場合の充電開始時のシーケンスチャートを示す図である。
【図6】エラーが発生した場合の充電開始時のシーケンスチャートを示す図である。
【図7】充電停止のシーケンスチャートを示す図である。
【図8】ユーザにより設定された予定充電量が完了した場合の充電完了のシーケンスチャートを示す図である。
【図9】ユーザの操作に基づいて充電条件が変更された場合の充電条件変更のシーケンスチャートを示す図である。
【図10】センターシステムからの指示に基づいて充電条件が変更された場合の充電条件変更のシーケンスチャートを示す図である。
【図11】本実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電気自動車用駐車場システムの概略構成を示す図である。この電気自動車用駐車場システム10は、車両の駐車区域である複数のパレット10aを有しており、立体駐車場として機能する。各パレット10aには、電気自動車と電気的に接続を行なうための充電プラグ10bが設けられており、電源ケーブル10cを介して、中継ボックス12に接続されている。中継ボックス12は、各パレット10aの充電プラグ10bと、後述する充電最適制御装置16とを電気的に中継する機能を果たす。コントロールパネル14は、ユーザの操作を受け付けて、電気自動車のバッテリに対する充電条件の設定、充電開始、充電停止の情報を出力する。また、非接触型のICカードの情報を読み取る機能を有していてもよい。なお、充電最適制御装置16は、通信ネットワークを介して、本システムの管理および制御を行なうセンターシステムと情報を送受信することが可能である。また、充電最適制御装置16は、シーケンサI/O(Input/Output)を含む。充電最適制御装置16は、分電盤18から電力の供給を受けて、パレット10aに駐車された電気自動車のバッテリの充電を行なう。
【0021】
充電最適制御装置16は、以下の複数の機能を有する。
【0022】
(1)駐車場情報管理機能
これは、充電を行なう施設情報を保持する機能である。この施設情報は、充電最適制御を行なう上で、基本情報となる。駐車場情報は、充電最適制御装置16の内部に、テキストファイルで保持し、システム起動時に読み込ようにする。ここで、「駐車場情報最終更新時刻」と「動作モード最終更新時刻」を初期化シーケンスで、本システムの管理および制御を行なうセンターシステムに送信する。情報が更新されていれば、センターシステムから通知される。起動時以外でも駐車場情報設定要求を受信した時は、情報を更新する。
【0023】
施設情報は、例えば、以下に挙げる項目を施設毎に管理する。
・駐車場を識別する駐車場ID
・駐車場で適用する充電方式(均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式)
・駐車場で充電できるパレット設備総数
・ある瞬間に同時に充電可能な台数である同時充電可能台数
・複数のパレットを並行して充電する為にON/OFFする周期である充電制御周期(分)
・センターシステムへ送信する充電状況通知間隔である最適充電状況通知送信間隔(分)
・駐車場内各機器を点検する時間間隔である設備点検時間間隔(分)
・駐車場の充電方式毎に必要な設定情報である充電条件設定
・駐車場情報を最後に更新した(駐車場情報設定要求を受信した)時刻である駐車場情報最終更新時刻
・動作モードを最後に更新した(動作モード設定要求を受信した)時刻である動作モード最終更新時刻
【0024】
(2)充電開始・停止制御機能
充電の開始と停止の制御は、コントロールパネル14でユーザの操作を契機として行なわれる。充電開始・停止を行なった場合は、充電イベント通知をセンターシステムに送信する。
【0025】
(a)充電開始処理機能
ユーザは、コントロールパネル14でICカードによる認証を行ない、正常であれば充電方式に従った充電条件を、コントロールパネル14が有するタッチパネルに入力し、充電を開始する。タッチパネルの画面で入力された充電条件と充電開始の指示を、充電最適制御装置16へ送信し、充電中の他の電気自動車の条件と組み合わせて充電スケジュールを組み立てる。この際、その時まで他の電気自動車に対して充電を行なっていたスケジュール情報は全て破棄し、新規に作り直す。ただし、入力された充電条件や充電中の他の電気自動車との組み合わせによっては、充電条件に合うスケジュールが組めない場合がある。これらのスケジューリングの結果は、コントロールパネル14に返され、画面に表示される。
【0026】
充電開始時に入力する充電条件は、例えば、以下に挙げる項目がある。
・充電を開始したいパレット番号
・自分に登録されている車両の中で、充電する車両
・深夜電力を利用した充電方式かどうかを示す深夜電力利用有無情報
・ユーザが保持するICカード情報(ICカードリーダより取得)
【0027】
充電開始後は、駐車場情報設定要求で入力される充電パラメータとしての「充電制御周期」でスケジュール情報を参照し、各パレットの電源ON/OFFを、PLC(Programmable logic Controller)を制御して最適充電制御を行なう。スケジュール情報は、例えば、下記のような内容となる。
【0028】
(スケジュール情報の一例)
・パレット数…6
・パレット1〜5に5台駐車中
・同時充電可能台数2台
・均等充電方式
【表1】
上記の表において、「○」は、充電を実行するパレットを示している。
【0029】
(b)充電停止処理機能
充電停止の操作は、開始と同様、まず、ユーザがICカードの認証を行ない、認証された場合は、コントロールパネル14のタッチパネルに表示される画面に従って、停止の操作を行なう。その操作内容は、コントロールパネル14の入力から充電最適制御装置16に送られ、PLCによって制御され、停止処理が行なわれる。充電最適制御装置16は、その結果をコントロールパネル14に送信し、コントロールパネル14は、タッチパネル画面にその内容を表示する。停止処理では、対象となる電気自動車のスケジュール情報を削除して、新しくスケジュール情報を組みなおす。
【0030】
(3)充電条件変更機能
本システムでは、コントロールパネル14、またはセンターシステム(PC、携帯)から充電条件の変更を行なう事ができる。コントロールパネル14からの条件変更のシーケンスは「充電開始停止制御」と同様である。充電最適制御装置16が、コントロールパネル14、またはセンターシステムから充電条件変更の通知を受け取った時、充電開始時と同様に新しい充電条件でスケジューリングを行なう。その結果はコントロールパネル14、またはセンターシステムへ応答する。充電最適制御装置16での充電条件変更処理では、スケジュール情報を更新するのみで、このタイミングで充電ON/OFFは制御しない。次にスケジュール情報が参照される時から、新しいスケジュールでの充電となる。これは充電ON/OFFを複数のパレットに対して同時に制御できないことによる。
【0031】
(4)充電状況管理機能
これは、本体コントローラにより、各電気自動車のバッテリの充電状況を管理する機能である。パレットに対応づけられた充電状況項目は、例えば、以下のようなものが挙げられる。これらの項目は、充電状況によって更新される。
・空き/開始待ち/充電中/充電待ち/充電完了/エラーなどの充電状態
・充電を開始した時刻である充電開始時刻
・充電条件から計算される充電が完了する予想時刻である予想充電完了時刻
・充電が完了した時刻である充電完了時刻
・最大充電量である充電容量(車種によって決定される)
・充電開始時にバッテリに残っている充電量である初期充電残量(利用者が指定または自動的に取得)
・充電後の充電残量である予定充電残量(利用者が指定)
・充電開始から現在までの充電量である実績充電量
・充電中にON/OFFした回数である通電回数
・最後に発生した充電イベントである最終充電イベント
なお、充電状況は、定期的にセンターシステムへ通知される。通知するデータは、充電中のパレット数分まとめて通知する。充電状況のセンターシステムへの通知間隔は、予めセンターシステムから通知される。
【0032】
(5)充電プラグ引き抜き監視機能
これは、充電中にプラグが電気自動車から引き抜かれたことを検出する機能である。すなわち、充電中のパレットに対し、定期的に充電最適制御装置16から、そのパレットに流れている電流値を読み込む。電流を流しているパレットにおいて、電流値が規定値より規定の期間連続で下回った場合、プラグが引き抜かれたと判断する。この規定の電流値、期間は設定ファイルから取得する。その後、充電を停止する。
【0033】
(6)機器監視制御機能
(a)機器定期監視機能
これは、監視対象機器に発生した異常を、センターシステムへ通知する機能である。充電最適制御装置16は、機器に異常がないかポーリングして監視し、機器の最新状態のみを保持する。監視対象機器の異常が復旧した場合、復旧した旨センターシステムへ通知する。ポーリング間隔は、センターシステムより通知される。
【0034】
(b)機器異常チェック機能
センターシステムから接続機器の異常チェック要求を受け、リアルタイムに接続機器の状態を収集しセンターシステムへ通知する。
【0035】
(7)充電情報取得機能
図示しないエネルギーモニタで収集した各充電パレットの充電情報を取得する。充電情報は、充電パレット毎に保持する。
【0036】
(8)PLC制御機能
充電方式とユーザに入力された充電条件とから、パレット毎に充電スケジュール情報を作成し、この作成した充電スケジュール情報に合わせて、パレット単位での充電開始/停止制御を行なう。
【0037】
(9)コントロールパネル制御機能
コントロールパネル14では、ICカードリーダで読み取ったICカードの認証と、コントロールパネル14が有するタッチパネルでの充電開始/停止/状況参照の操作を行なう。コントロールパネル14での操作は、ICカードから読み取った情報をセンターシステムへ通知し、センターシステムで認証を行ない、認証を得られた場合のみ行なう。
【0038】
(a)ICカード認証機能
コントロールパネル14に搭載するアプリケーションでは、ICカードリーダを常にポーリングし続け、認証情報を読み込むことができた時は、充電プラグを充電最適制御装置16に接続して、認証情報を送信する。その後は、再びICカードリーダのポーリングへ戻る。ICカード認証完了後、タッチパネルでの操作中もICカードリーダは動作しており、読み取った認証情報は、充電最適制御装置16に送信する処理を続ける。なお、充電最適制御装置16の制御プログラムが動作している時は、その通知を中止する。
【0039】
(b)タッチパネル操作機能
コントロールパネル14が有するタッチパネルに表示する画面は、ブラウザのCGI(Common Gateway Interface)で行なう。また、充電最適制御装置16をWebサーバとする。CGIに入力された値について、簡単な異常値判定はJava(登録商標)Scriptで行なう。それ以外のパレットの状態、充電スケジュール状況による判定は制御アプリケーションで行なう。CGIと制御アプリケーション間は充電プラグ(ソケット)で通信する。CGIに入力された値は、ソケットで制御アプリケーションに送信し、その結果を制御アプリケーションからCGIへ送信する。CGIではその結果を元に、次の画面に遷移する。初期画面では定期的に再読込を行ない、その度に制御アプリに認証状況を確認する。認証OKの状態に変化した時、次の画面に遷移する。
【0040】
(10)システム管理機能
(a)システム起動機能
充電最適制御装置16のPLCに搭載される制御アプリケーションは、PLCの電源ONと共に自動的に起動させる。制御アプリケーションが、停電やシステムの異常で終了し、再起動した場合、終了以前の充電をできるだけ継続させる。アプリケーションの停止中に電気自動車の入出庫によってパレットの状況が変わってしまうこともあるため、自動的に、完全に復旧することはできない場合がある。制御アプリケーション起動後は、以下のシーケンスで処理を行なう。
・設定ファイルを読み込み、各種初期設定を行なう。
・センターシステムとの初期化シーケンスを行なう。
・充電条件ファイルの有無を確認し、存在する場合は異常終了したものと判断する。このとき、各パレットのプラグ抜き差しの状態を確認し、差し込まれているパレットに関しては、充電条件ファイルに記録されている充電条件で充電を自動的に開始する。ただし、異常終了後、起動までの間に電気自動車の入出庫があった場合は、アプリケーションにおいてこれを検知できないため、異なる電気自動車に対して充電が行なわれる。
【0041】
(b)システム終了機能
制御アプリケーションの終了は、センターシステムから充電最適制御装置16にリモートアクセスサービスの保守用回線を通じてログインし、制御コマンドにより行なう。
【0042】
(c)電文出力制御機能
本システムでは、充電最適制御装置16の保守の目的の為、リモートアクセスサービスの回線を運用系と保守系の2回線用意する。ここで、リモートアクセスサービス接続モジュール機器の制限により、同時に1回線しか接続できない場合は、保守回線を使用する時に運用系の電文送信を止める必要がある。そこで、充電最適制御装置16からセンターシステムへの電文送信を止める機能を実装している。センターシステムへの電文送信開始/停止の制御は、システム終了でも使用した制御コマンドを使用する。システム終了とは異なる電文を制御アプリに送信し、送信開始/停止を制御する。制御アプリケーションでは、センターシステム通信機能の送信フラグを開始、または停止に設定する。
【0043】
(d)ログ出力機能
充電最適制御装置16の内部動作や、充電中の詳細情報、アラームの情報をログファイルに記録する。生成したログファイルは、センターシステムからリモートアクセスサービスの保守用回線を通じてFTPでログインし、取得する。その際、予めデータを圧縮しておいてもよい。
【0044】
(e)その他、ログ出力制限機能や、ログファイル管理機能を有する。
【0045】
次に、本実施形態に係る充電最適制御装置が選択可能な充電方式について説明する。本実施形態で選択可能な充電方式は、均等充電方式、小SOC車充電方式、条件指定方式、優先方式または計画均等方式である。ただし、本発明は、これらの充電方式に限定されるわけではなく、他の充電方式を適用することも可能である。
【0046】
[均等充電方式について]
均等充電方式では、現在駐車している車両台数で、限られた電力量を均等に配分し、充電を行なう。以下の2つのパターンがある。
【0047】
(パターン1)
充電プラグが挿入されると充電を開始し、充電プラグが引き抜かれると充電を停止する制御を行なう充電方式である。ユーザによるコントロールパネルでの操作が不要となる。不特定多数のユーザへ充電サービスを提供する場合に好適である。
【0048】
(パターン2)
コントロールパネルからの入力で、充電開始または充電停止を行なうことができる充電方式である。ユーザを限定することができると共に、充電完了時間が明らかとなる。社用車等を駐車するための駐車場や、マンションなどの集合住宅など、ユーザ相互の合意の下で充電できる駐車場に好適である。
【0049】
[小SOC(State Of Charge)車充電方式について]
小SOC車充電方式では、バッテリの残充電量の少ない車両に対して優先的に充電を行なう。以下の2つのパターンがある。
【0050】
(パターン1)
小SOC車を完全優先とする。駐車中のすべての車両が同時刻に満充電となるように充電の制御を行なう充電方式である。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、充電残量が少ない車両に対して充電を集中することにより、残充電量の少ない車両を優先的に減らすことができる。電気自動車のレンタカーや、カーシェアリングに好適である。
【0051】
(パターン2)
比例充電を行なう。駐車中のすべての車両が同時刻に満充電となるように充電の制御を行なう充電方式である。充電残量の少ない車両には充電時間を長くし、充電残量の多い車両に対しては充電時間を短くする。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、全車両に対して充電が行なわれ、その中でも充電残量が少ない車両を優先的に充電することができる。全車両に充電が行なわれるため、不公平感を小さくすることができる。電気自動車のレンタカーや、カーシェアリングに好適である。
【0052】
[条件指定方式について]
ユーザによって設定された充電条件、例えば、希望充電量、充電完了希望時間に合った充電を行なう充電方式である。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、全車両に対して充電完了時間が保証される。一般業務用の商用車に好適である。
【0053】
[優先方式について]
優先充電モード、通常充電モードまたは充電待機モードの3つの充電モードを利用して、優先順位を付与し、充電する充電方式である。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、優先充電モードで充電を行なうパレットを確保できる。また、優先度が低い車両であっても通常充電モードで充電を行なうことができる。コインパーキングやショッピングセンターなどの一般サービス企業で好適な充電方式である。優先順位は次のように決定する。
【0054】
先着順…先着順に優先充電モードを割り当てて充電を行なう。先着の車両に対して優先的に充電をすることができ、不公平感を軽減することができる。優先充電モードで充電を行なっていた車両が満充電となると、それまで通常充電モードで充電していた車両を優先充電モードに切り替えることが可能となる。
【0055】
ユーザ選択…優先充電モードを割り当てるかどうか、ユーザが選択肢で充電を行なう。ユーザの要望に合わせて優先的に充電するかどうかを選択することができる。優先充電モードで充電を行なっていた車両が満充電となると、それまで通常充電モードで充電していた車両であって充電開始時に優先充電モードを選択していた車両を、優先充電モードに切り替えることが可能となる。
【0056】
指定パレット…予め指定したパレットを優先充電モードに割り当てて充電する。指定されたパレットが空いていれば、誰でも優先充電モードで充電することができる。
【0057】
指定EV…予め指定したEV(電気自動車)を、優先充電モードに割り当てて充電する。利用頻度の高い車両を予め指定して、優先的に充電することができる。なお、この指定EVは、カードに割り当てられるものとする。
【0058】
[計画均等方式について]
計画均等方式は、すべての車両、すなわち、駐車中の車両、まだ駐車していない車両のいずれに対しての充電計画を自動的に作成し、その作成した計画に沿って上記均等充電を行なう充電方式である。ユーザを限定することができ、充電完了時間が明らかとなる。また、指定された時間までに、すべての車両の充電を完了させることができる。利用用途に応じて「深夜充電する」か「すぐ充電する」かのいずれかを選択することができる。充電完了時間を保証することができる。社用車など、営業開始時間までにすべての車両の充電を完了させたい場合に好適である。
【0059】
次に、以上のように構成された充電最適制御装置16を備える電気自動車用駐車場システムの動作について説明する。図2から図10は、電気自動車用駐車場システムの各動作を示すシーケンスチャートである。図2は、システム起動時のシーケンスチャートを示す。本体コントローラの電源がONとなり(ステップS1)、その次に、充電最適制御装置16の制御アプリケーションの電源がONとなる(ステップS2)。ステップS2における電源ONは、PLCの電源ONを意味する。制御アプリケーションとCGIは、PLC上で動作するため、これによって両者を起動させる。
【0060】
制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電最適制御装置1の起動要求を行なう(ステップS5)。センターシステムは、駐車場情報の設定要求を行ない(ステップS7)、制御アプリケーションはこれに応答する(ステップS8)。また、センターシステムは、制御アプリケーションに対して、動作モード設定要求を行ない(ステップS9)、制御アプリケーションは、これに応答する(ステップS10)。また、センターシステムは、制御アプリケーションに対して、設備アラーム要求を行ない(ステップS11)、制御アプリケーションは、これに応答する(ステップS12)。ここで、起動処理で異常が発生した場合は、センターシステムは、エラーログを出力する。充電が可能であれば、できる限り起動させる。最後に、コントロールパネルの電源をONとし(ステップS16)、コントロールパネルは、CGIに対して、初期画面の呼び出しを行なう(ステップS18)。
【0061】
図3は、システム停止時のシーケンスチャートを示す。システムを停止させる場合は、まず、制御アプリケーションの電源をOFFとする(ステップS20)。これは、制御アプリケーションの電源がONの状態で、他の装置の電源をOFFとすると、エラーと認識してしまう場合があるので、これを回避するためである。制御アプリケーションの電源を最初にOFFにした後は、それ以外の装置の電源をOFFにする順番は問われない。制御アプリケーションの電源をOFFとした後、本体コントローラの電源をOFFとし(ステップS22)、コントロールパネルの電源をOFFとする(ステップS23)。
【0062】
図4は、充電開始時のシーケンスチャートを示す。ここでは、正常に充電が開始されたものとする。ユーザが、コントロールパネルを操作し、ICカードをリーダーにかざすと、ICカードの内容が読み取られ、読み取られた情報がCGI、制御アプリケーションを介してセンターシステムに送信される(ステップS30)。センターシステムは、情報の内容を確認し、認証が成功すると、認証応答を制御アプリケーションに送信する(ステップS32)。次に、CGIが、制御アプリケーションに対してログイン確認要求を行ない(ステップS34)、制御アプリケーションがこれに応答する(ステップS36)。ステップS36では、車両選択、またはパレットの選択画面に遷移する。
【0063】
次に、コントロールパネルにおけるユーザの操作を契機として、パレット番号が選択されると、コントロールパネルからCGIに対してパレット番号を示す情報が送信される(ステップS38)。CGIから制御アプリケーションに対して、対象パレットが通知され(ステップS40)、制御アプリケーションは、パレット状況を確認する(ステップS42)。そして、次の画面に遷移する(ステップS44)。また、コントロールパネルにおけるユーザの操作を契機として、充電条件が入力される(ステップS46)。この充電条件は、充電方式に基づいて行なわれる。例えば、充電残量、ユーザが希望する希望充電量、および希望充電完了日時である。入力された充電条件は、CGIで保持され、充電開始の通知と共に、制御アプリケーションに送信される。
【0064】
充電開始が指示されると(ステップS48)、制御アプリケーションは、充電のスケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、スケジュールを反映させ、パレット情報を更新する(ステップS50)。そして、制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS52)。また、制御アプリケーションは、充電開始完了画面を表示するようにCGIに通知するし(ステップS54)。センターシステムは、ステップS52の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS56)。そして、制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS58)、シーケンサI/Oに対して、充電開始制御を行ない(ステップS60)、シーケンサI/Oは、これに応答する(ステップS62)。
【0065】
図5は、充電開始時のシーケンスチャートを示す。ここでは、ユーザが設定した充電条件に異常があったものとする。図4に示したステップS48で充電開始となった後、制御アプリケーションが、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認する(ステップS50−1)。ここで、制御アプリケーションが、ユーザによって設定された充電条件が異常であることを認識すると、充電開始不可画面を表示するように、CGIに対して通知を行なう(ステップS64)。
【0066】
図6は、充電開始時のシーケンスチャートを示す。ここでは、エラーが発生したものとする。図4に示したステップS48で充電開始となった後、制御アプリケーションが、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、スケジュールを反映させ、パレット情報を更新する(ステップS50)。制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS52)。また、制御アプリケーションは、充電開始完了画面を表示するようにCGIに通知するし(ステップS54)。センターシステムは、ステップS52の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS56)。そして、制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS58)、シーケンサI/Oに対して、充電開始制御を行なう(ステップS60)。
【0067】
ここで、シーケンサI/Oがエラーの発生を認識すると、それを制御アプリケーションに通知し(ステップS66)、制御アプリケーションは、充電停止処理を実行する(ステップS68)。そして、制御アプリケーションは、スケジュールを作成し(ステップS70)、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS72)。センターシステムは、ステップS72の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS74)。次に、制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS76)、設備異常チェックを行なう(ステップS78)。制御アプリケーションは、センターシステムに対し、設備アラームを通知し(ステップS80)、センターシステムは、これに応答する(ステップS82)。
【0068】
図7は、充電停止のシーケンスチャートを示す。図4のステップS60における充電開始通知がなされた後、ユーザがコントロールパネルを操作して、充電ストップボタンを押下した場合(ステップS84)、CGIは、制御アプリケーションに対して、充電停止の通知を行なう(ステップS86)。制御アプリケーションは、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、そのスケジュールを反映させる(ステップS88)。そして、CGIに充電停止の表示をさせる通知を行なう(ステップS90)。次に、制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS92)、シーケンサI/Oに対して充電停止の制御を行なう(ステップS94)。シーケンサI/Oは、これに応答する(ステップS96)。そして、制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS98)。センターシステムは、ステップS98の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS100)。
【0069】
図8は、充電完了のシーケンスチャートを示す。ここでは、ユーザにより設定された予定充電量が完了した場合について説明する。制御アプリケーションは、動作タイミングを検出し(ステップS102)、充電スケジュールを確認する(ステップS104)。ここで、全充電スケジュールが完了したものとする。制御アプリケーションは、シーケンサI/Oに対して充電停止制御を行ない(ステップS106)、シーケンサI/Oは、これに応答する(ステップS108)。次に、制御アプリケーションは、パレット情報を更新する(ステップS110)。ここでは、充電状況を更新することとなる。そして、制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS112)。センターシステムは、ステップS98の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS114)。
【0070】
なお、各電気自動車のバッテリが満充電となった場合は、制御アプリケーションが、本体コントローラから電流値を取得し、電流値低下判定を行ない、電流値が低下した場合は、充電停止処理を行なう。そして、制御アプリケーションは、スケジュールの作成、確認、反映を行なって、動作タイミングを検出し、シーケンサI/Oに対して充電停止制御を行なう。これ以降は、上記ステップS110からステップS114と同様の手順を実行する。
【0071】
図9は、充電条件変更のシーケンスチャートを示す。ここでは、ユーザの操作に基づいて充電条件が変更されたものとする。図4のステップS60における充電開始通知がなされた後、ユーザがコントロールパネルを操作して、充電条件を変更したとする(ステップS116)。この情報はコントロールパネルからCGIに送信され、さらに制御アプリケーションに送信される(ステップS118)。制御アプリケーションは、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、スケジュールを反映させる(ステップS120)。制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電イベントを通知する(ステップS122)。また、制御アプリケーションは、CGIに対して、充電条件変更完了画面を表示する旨の通知を行なう(ステップS126)。CGIは、コントロールパネルに対して充電条件変更完了画面を表示する旨の通知を行なう(ステップS124)。センターシステムは、ステップS122の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS128)。
【0072】
図10は、充電条件変更のシーケンスチャートを示す。ここでは、センターシステムからの指示に基づいて充電条件が変更されたものとする。図4のステップS60における充電開始通知がなされた後、センターシステムから制御アプリケーションに対して、充電条件変更要求がなされたものとする(ステップS130)。制御アプリケーションは、スケジュールを作成し、作成したスケジュールを確認し、スケジュールを反映させる(ステップS132)。制御アプリケーションは、センターシステムに対して、充電条件変更応答を行ない(ステップS134)、また、充電イベントを通知する(ステップS136)。センターシステムは、ステップS136の充電イベント通知に対する通知応答を行なう(ステップS138)。
【0073】
(第2の実施形態)
図11は、本実施形態の変形例を示す図である。この変形例では、コントロールパネル110と、複数のコンセントボックス112−1〜112−nは、移動可能となっている。各コンセントボックス112−1〜112−nは、中継ボックス111を介して、コントロールパネル110に電気的に接続されている。この変形例では、コンセントボックス112−1〜112−n毎に相互に異なる充電方式を適用することができる。このような構成により、充電する車両の数が増加した場合であっても、コンセントボックスを増設することが容易となる。
【0074】
また、利用可能電流はコンセントボックス毎に均等配分する。例えば、各コンセントボックス112−1〜112−nと中継ボックス111では、最大電流が100Aとなる。従って、このシステムでは、1コンセントボックスあたり100Aを越えないよう、利用できる最大電流を各コンセントボックス112−1〜112−nに割り当てる。
【0075】
また、系統(電源)が150Aでコンセントボックスが2つである場合、各々コンセントボックスに75Aずつ割り当てる。また、系統(電源)が250Aでコンセントボックスが2つである場合、各々コンセントボックスに100Aずつ割り当てる。この場合は、50A利用できないことになる。また、系統(電源)が250Aでコンセントボックスが3つである場合、各々コンセントボックスに83Aずつ割り当てる。
【0076】
これにより、“移動可能”、“拡張性”といったユーザからのニーズに応えることが可能となる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、設定情報に基づいて、駐車中の全電気自動車のバッテリに対する充電の実行周期を選定し、設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および充電の実行周期に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行するので、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電することが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
10 電気自動車用駐車場システム
10a パレット
10b 充電プラグ
10c 電源ケーブル
12 中継ボックス
14 コントロールパネル
16 充電最適制御装置
110 コントロールパネル
111 中継ボックス
112−1〜112−n コンセントボックス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両駐車区域を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される充電最適制御装置の制御プログラムであって、
選択可能な複数種類の充電方式から、いずれか一つの充電方式を選択する処理と、
前記選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする制御プログラム。
【請求項2】
前記選択可能な複数の充電方式は、
前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式と、
残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式と、
ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式と、
充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式と、
前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式と、が含まれることを特徴とする請求項1記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記計画均等方式では、
ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルから充電の設定情報を入力する処理と、
前記入力された設定情報に基づいて、駐車中の全電気自動車のバッテリに対する充電の実行周期を選定する処理と、
前記設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および前記充電の実行周期に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行する処理と、
充電を実行している最中に、ユーザの操作を契機として、前記コントロールパネルから前記設定情報を変更する情報を入力する処理と、
前記設定情報または前記変更後の設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および前記充電の実行周期に基づいて、スケジュール情報を生成する処理と、を含み、
前記生成したスケジュール情報に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行することを特徴とする請求項2記載の制御プログラム。
【請求項4】
複数の車両駐車区域を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される充電最適制御装置であって、
ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルから充電の設定情報を入力する機能と、
前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式、および前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式のいずれかの充電方式を選択する機能と、
前記選択した充電方式に基づいて、前記各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する機能と、を少なくとも備えることを特徴とする充電最適制御装置。
【請求項5】
複数の車両駐車区域と、
ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルと、
前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式、および前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式のいずれかの充電方式を選択し、前記選択した充電方式に基づいて、前記各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する充電最適制御装置と、を備え、
前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリの充電を実行することを特徴とする駐車場システム。
【請求項1】
複数の車両駐車区域を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される充電最適制御装置の制御プログラムであって、
選択可能な複数種類の充電方式から、いずれか一つの充電方式を選択する処理と、
前記選択した充電方式に基づいて、電源から供給される電力を前記各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行する処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする制御プログラム。
【請求項2】
前記選択可能な複数の充電方式は、
前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式と、
残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式と、
ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式と、
充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式と、
前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式と、が含まれることを特徴とする請求項1記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記計画均等方式では、
ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルから充電の設定情報を入力する処理と、
前記入力された設定情報に基づいて、駐車中の全電気自動車のバッテリに対する充電の実行周期を選定する処理と、
前記設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および前記充電の実行周期に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行する処理と、
充電を実行している最中に、ユーザの操作を契機として、前記コントロールパネルから前記設定情報を変更する情報を入力する処理と、
前記設定情報または前記変更後の設定情報、予め定められた同時充電可能台数を示す情報および前記充電の実行周期に基づいて、スケジュール情報を生成する処理と、を含み、
前記生成したスケジュール情報に基づいて、電源から供給される電力を各電気自動車のバッテリに供給して充電を実行することを特徴とする請求項2記載の制御プログラム。
【請求項4】
複数の車両駐車区域を備え、前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリを充電する機能を有する駐車場に適用される充電最適制御装置であって、
ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルから充電の設定情報を入力する機能と、
前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式、および前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式のいずれかの充電方式を選択する機能と、
前記選択した充電方式に基づいて、前記各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する機能と、を少なくとも備えることを特徴とする充電最適制御装置。
【請求項5】
複数の車両駐車区域と、
ユーザの操作を受け付けるコントロールパネルと、
前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対して、供給可能な電力量を均等に配分して充電を行なう均等充電方式、残電力量が相対的に少ない電気自動車のバッテリに対して、優先的に充電を行なう小SOC(State Of Charge)車充電方式、ユーザによって指定された充電条件に基づいて、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう条件指定方式、充電を行なう順序を決定し、前記順序に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう優先方式、および前記各車両駐車区域に駐車中の電気自動車のバッテリに対する充電計画を自動的に作成し、前記作成した計画に従って、前記各車両駐車区域に駐車中の複数の電気自動車のバッテリに対する充電を行なう計画均等方式のいずれかの充電方式を選択し、前記選択した充電方式に基づいて、前記各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する充電最適制御装置と、を備え、
前記各車両駐車区域に駐車された電気自動車のバッテリの充電を実行することを特徴とする駐車場システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−75247(P2012−75247A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217925(P2010−217925)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【出願人】(501493358)株式会社セック (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【出願人】(501493358)株式会社セック (3)
【Fターム(参考)】
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