説明

制御可能な浮力システム

本システムは、水域内の対象物(401)を移動させるための浮力システムを提供している。該システムは、少なくとも1つの膨張可能体(17)であって、膨張したときに、対象物(401)の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体(17)と、少なくとも1つの膨張可能体(17)を膨張させる膨張装置(37)と、を備えている。該システムは、膨張装置(37)を作動させる作動システム(21)も備えている。作動システム(21)の作動時に、膨張装置(37)は、ガスを少なくとも1つの膨張可能体(17)に流し、対象物(401)を移動させるようになっている。膨張装置は、対象物の深さを自動的に制御する静水圧センサ(407)および圧力逃し弁(91,93)、および海面で対象物を位置付けするのを補助するガイドワイヤ(411)を備えていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、水域内の対象物を上昇または下降させるための浮力システムに関する。
【0002】
本発明の1つの用途では、浮力システムは、故障または損傷した対象物、例えば、潜水艦または飛行機をある深さから上昇させるように、および/またはそれらの対象物を海面に保持するように、設計されている。
【0003】
本発明の他の用途では、浮力システムは、対象物を深海に対して上昇および/または下降させ、これによって、対象物が海面に持ち上げられて回収されるかまたは適所に下降されることを可能にするように、設計されている。この対象物の例として、水没した海底インフラ構造物、例えば、海底ツリー、マニホールド、およびプラットフォームアンカーが挙げられる。
【背景技術】
【0004】
深海で行われる作業には、それに付随する特有の困難さがある。これらの問題は、典型的には、深度が増すにつれて大きくなる圧力、ならびに作業が行われる深度が増すにつれて大きくなるケーブルのようなインフラ構造物の重量に関係している。
【0005】
深度が増すと、対象物の回収は、ますます困難になる。これは、損傷した潜水艦または航空機が所定の深さを超えて水没した場合に、救助機器が利用できなかったいくつかの海難事故によって、明らかにされてきている。結果として、これらの事故は、災難をもたらしている。
【0006】
潜水艦の脱出および救助/撤去安全技術は、ここ数十年にわたって発展してきている。第1世代は、脱出タワー/ハッチおよび(海面に達するまで、浮力および呼吸用空気の両方を脱出する潜水艦乗組員にもたらす)特別に設計された脱出服を具備している潜水艦に見られる脱出手段から構成されている。しかし、この技術は、実際には、船が存在する深さによって、なお制約されている。第2世代は、潜水ベルまたは救助ベルを用いる救助から構成されている。これは、乗組員を潜水艦から救出することができる深度を著しく増すと共に、脱出服を用いるよりもはるかに安全である。
【0007】
しかしながら、これらの方法は、いずれも、著しく制約されている。もし潜水艦がその崩壊/圧潰深さよりも深い水中で運転しているときに故障または損傷した場合、乗組員を救出すために、現在の脱出または救助方法を用いることができない。さらに、救助を行うのに、数日掛かることがある。その間に、潜水艦の内圧の増大、生存に不可欠な貯蔵物(酸素キャンドル、二酸化酸素吸収装置など)の消費、および生命を維持する雰囲気の劣化および汚染(硫化水素、塩素ガスなど)が、致命的な結果をもたらす場合がある。
【0008】
より深い箇所での作業がますます増えている他の業種は、石油業界およびガス業界である。この業界では、設備は、多くのさまざま理由および効用から、海底で利用されることが多い。沖合石油およびガス業界は、化石燃料を抽出し、それらを海上プラットフォームおよび石油リグに供給するために、海底の設備を用いている。比較的浅い深さにおける石油および天然ガスの貯留層が枯渇するにつれて、さらなる貯留層を求める探査が、より深海に移ってきている。
【0009】
海底の重量のある設備を船位保持し、回収するのは、かなりの資産を必要とする高価なプロセスである。現在、海底で用いられている設備は、比較的大きい自動船位保持船上に配置された高張力ワイヤおよびウインチを用いて、船位保持され、その後回収されるようになっている。しかし、この方法は、回収機器のそれぞれの能力に依存して、所定の深さに制約される。海の深さが増すと、それだけ、このような設備を船位保持し、その後に回収する作業には、困難さが伴い、かつコストが掛かることになる。
【0010】
本発明の背景技術の前述の検討は、本発明の理解を容易にすることのみが意図されている。この検討は、参照した資料のいずれかがこの出願の優先日に一般的な知識の一部であったことを承認または認知するものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、先行技術の問題の少なくとも1つを解消し、または有用な代替形態を少なくとももたらす浮力システムを提供することある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水域内の対象物を移動させるための浮力システムを提供している。該浮力システムは、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したときに、対象物の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
作動システムの作動時に、膨張装置は、ガスを少なくとも1つの膨張可能体に流し、少なくとも1つの膨張可能体は、所要の容積に膨張した時点で、対象物を移動させることができるようになっている。
【0013】
好ましくは、浮力システムは、対象物を実質的に垂直方位で移動させるように構成されている。浮力システムは、対象物を上昇させるように構成されていてもよいし、または下降させるように構成されていてもよい。浮力システムが、対象物を下降させる作業に用いられるとき、該システムは、下降プロセスを制御する手段をもたらすことになる。
【0014】
少なくとも1つの膨張可能体が、対象物に固定されるとよい。好ましくは、緩衝装置が、少なくとも1つの膨張可能体と対象物との間に延在している。この緩衝装置によって、対象物が、特に初期段階および最終段階において、比較的滑らかに上昇することが確実になる。
【0015】
膨張時に、各膨張可能体は、好ましくは、対象物の外に膨張するようになっている。
【0016】
少なくとも1つの膨張可能体は、少なくとも1つの膨張可能体を対象物から離脱させることができる解除手段を有していてもよい。この解除手段は、浮力システムが意図的ではなく作動された場合に操作されるとよい。
【0017】
少なくとも1つの膨張可能体は、過剰ガスを膨張可能体から放出する少なくとも1つの上側圧力逃し弁を備えていてもよい。過剰ガスを放出する必要があるのは、膨張装置によって過剰ガスが生じた場合、または対象物が上昇し、水域から膨張可能体に加えられた圧力が減少するにつれて、膨張可能体内のガスの容積が膨張した場合である。
【0018】
いったん対象物が所要の深さに達したとき、圧力逃し弁は、膨張可能体が膨張状態で保持されることを確実にするために、閉状態に係止(ロック)されるとよい。これによって、対象物は、所望のレベルで保持されることになる。
【0019】
また、少なくとも1つの膨張可能体は、該膨張可能体の底に配置された少なくとも1つの下側圧力逃し弁を備えていてもよい。少なくとも1つの下側圧力逃し弁は、いったん少なくとも1つの上側圧力逃し弁が係止(ロック)されたなら、膨張可能体内の圧力の増加分を放出するようになっているとよい。これによって、少なくとも1つの膨張可能体が過剰に膨張し、場合によっては、破裂することが防止されることになる。
【0020】
圧力逃し弁は、閉位置に付勢された弁ピストンを有していてもよい。弁ピストンの外面に対する圧力が増大すると、弁ピストンは、過剰ガスを膨張可能体から放出させるように、移動することになる。弁ピストンが最初に移動したとき、係止手段が解除され、弁ピストンがその閉位置に戻ったとき、係止手段が弁を前記位置に係止することになる。
【0021】
また、少なくとも1つの膨張可能体は、膨張装置と膨張可能体の開口との間に一方向弁を備えていてもよい。これによって、膨張可能体内に送達されたガスが膨張装置に戻ることが防止されることになる。
【0022】
本発明の一態様では、少なくとも1つの膨張可能体は、ウインチに固定されており、該ウインチは、索を少なくとも1つの膨張可能体から外に繰り出し、または膨張可能体内に繰り入れるようになっている。これによって、少なくとも1つの膨張可能体を海面に保持しながら、対象物を下降させることが可能になる。対象物を上昇させる必要があるとき、および/または対象物を上昇させることが可能であるとき、ウインチが作動され、対象物が上方に移動することになる。同様に、ウインチを用いて、万一海上の天候が悪い場合には対象物をさらに深い箇所に下降させることができ、または対象物を海底に制御して配置することもできる。
【0023】
好ましくは、少なくとも1つの膨張可能体は、耐熱性および高引張強度特性を有する材料から作製されている。少なくとも1つの膨張可能体の内層は、耐熱性および高引張強度特性を有する材料から作製されているとよい。好ましくは、膨張可能体は、膨張可能バッグの形態にある。
【0024】
好ましくは、浮力システムは、複数の膨張可能体を備えている。
【0025】
好ましくは、複数の膨張可能体は、対象物が所望の方位で上昇または下降されることを確実にするように、配置されている。
【0026】
好ましくは、浮力システムは、対象物を所定のレベル、例えば、水面に保持する制御手段も備えている。いったん膨張されると、膨張可能体は、所定の期間にわたって、膨張状態で保持されるようになっているとよい。
【0027】
好ましくは、浮力システムは、膨張可能体ごとに膨張装置を備えている。
【0028】
膨張装置は、少なくとも1つの膨張可能体内に入るガスの量を調節する調節装置を備えていてもよい。
【0029】
本発明の一態様では、調節装置は、静水圧によって調節されるようになっており、調節装置は、外圧を考慮して所望の大きさの浮力をもたらすように膨張可能体を膨張させるために、必要な量のガスを供給するようになっているとよい。対象物が移動する深さが増すにつれて対象物に加えられた圧力が増大すると、膨張可能体を膨張させるのに必要な圧力も増大するようになっている。
【0030】
調節装置は、静水圧センサを備えていてもよい。
【0031】
膨張装置は、ガス生成システムおよびガス貯蔵システムを備えていてもよく、作動ガス生成システムに接続されていてもよく、またはこれらのシステムの組合せを備えていてもよい。
【0032】
ガス生成システムは、少なくとも1つの容器内に収容されているガス生成媒体、例えば、爆発性化合物、推進化合物、または他の化学化合物を備えていてもよい。これによって、装薬が媒体を活性化させ、少なくとも1つの容器内に加圧されたガスを生じさせることになる。少なくとも1つの容器は、媒体と容器出口との間に位置する一連の通路および/または邪魔板を有していてもよい。媒体によって生じたガスは、少なくとも1つの容器から出る前に、通路を通過することになる。これによって、媒体がガスを生じた時、容器出口が媒体の初期力に晒されないことが確実になる。
【0033】
媒体は、作動システムに操作可能に接続された開始装置または起爆装置によって作動されるようになっているとよい。ガス生成システムは、万一開始装置または起爆装置の1つまたは複数が正確に機能しない場合を想定して、2つ以上の開始装置または起爆装置を備えているとよい。
【0034】
好ましくは、生成したガスの分子量は、空気の分子量と厳密に一致している。
【0035】
好ましくは、容器出口は、膨張可能体に送達されるガスが所望の圧力で送達されるように、ガス送達調節装置に接続されている。
【0036】
好ましくは、媒体から送達されるガスは、少なくとも1つの膨張可能バッグに送達される前に冷却されるようになっている。
【0037】
膨張装置は、リザーバを備えていてもよい。対象物が下降しているとき、リザーバがガスを少なくとも1つの膨張可能体内に供給し、これによって、膨張可能体を所望の膨張に保持すること、下降の割合を制御すること、および対象物の重量または負の浮力を維持することが確実になる。好ましくは、リザーバが所定圧力に達したとき、ガス供給源またはガス生成装置が作動され、さらなるガスを供給するようになっている。
【0038】
この用途では、浮力システムは、下降ワイヤまたは案内ワイヤに取り付けられているとよい。これによって、浮力システムは、その重量または負の浮力の大部分を負担することなく、対象物を海底に容易かつ正確に配置することができる。これまでは、ケーブルの能力によって、一度に海底に配置される対象物の許容される重量が制限されていたことがある。浮力システムが用いられるこれらの用途では、対象物の重量は、著しく大きくてもよい。何故なら、浮力システムが、これまではケーブルによって制限されていた重量負担を軽減するからである。
【0039】
いったん海面に達したなら、少なくとも1つの膨張可能体は、供給ガスによって洗い流され、ガス生成プロセス中に生じたガスを希釈および/または除去するようになっているとよい。この機能は、静水圧センサによって自動的に作動されてもよいし、手動によってまたは遠隔的に作動されてもよい。これによって、回収ユニットが対象物を回収する前に、
毒性ガスが膨張可能体から放出されることが確実になる。
【0040】
ガス貯槽システムは、ガスを含むガス貯蔵シリンダーを備えていてもよい。好ましくは、ガス貯蔵シリンダーは、出口通路を介して、少なくとも1つの膨張可能体に流体連通している。出口通路は、ガスがガス貯蔵シリンダーを出るのを防ぐ1つまたは複数の圧力保持ディスクを有しているとよい。各圧力ディスクは、起爆装置に接続されているとよい。各起爆装置は、作動システムに操作可能に接続されているとよい。
【0041】
作動ガス生成システムは、浮力システムの外部のガス供給源を含んでいてもよい。対象物が潜水艦である場合、このガス供給源は、潜水艦の運転のために生成された圧縮空気であるとよい。作動システムは、浮力システムをガス供給源に流体接続する三方弁を備えていてもよい。
【0042】
膨張装置は、いったん上昇が開始されたなら、少なくとも1つの膨張可能体へのガスの送達を中止するように構成された少なくとも1つの静水圧センサまたは圧力逃し弁を備えていてもよい。いったん上昇が開始されたなら、仮にガスが膨張可能体に供給されなくても、膨張可能体は、継続的に膨張することになる。何故なら、外圧が減少するにつれて、膨張体の内側のガスが膨張するからである。
【0043】
作動システムは、種々の方法によって作動されてもよいが、これらの方法は、殆ど、特定の用途によって左右されることになる。浮力システムは、複数の作動システムを組み入れていてもよい。これは、潜水艦および飛行機に関連する用途では、特に重要である。何故なら、これによって、浮力システムを状況と無関係に確実に作動させることができるからである。
【0044】
作動システムは、対象物が所定深さにあるとき、自動的に作動するように構成されていてもよい。このような用途は、潜水艦が損傷し、海面に戻すことができないとき、または飛行機が着水したときに生じる。
【0045】
作動システムは、対象物が所定深さに達したときに、静水圧的に作動されるようになっていてもよい。自動作動システムは、対象物の外部に装着された1つまたは複数の静水圧操作装置を備えていてもよい。潜水艦の場合、これらの装置は、気密室の外部に配置されているとよい。
【0046】
静水圧操作装置は、一連の孔の付いた露出面を有する実質的に密封されたユニットを備えていてもよい。露出面は、第1のプレートに隣接しているとよい。第1のプレートは、正常の状態では付勢され、これによって、第2のプレートから離間しているとよい。静水圧が増大すると、一連の孔を通して作用している圧力が、第1のプレートを第2のプレートの方に移動させる。静水圧がさらに大きくなると、第1のプレートは、第2のプレートに係合し、作動システを作動させる回路を成立させることになる。
【0047】
作動システムは、もし対象物が所定深さよりもさらに降下することが必要とされる場合、作動システムの自動操作を無効にする無効機構を備えていてもよい。
【0048】
作動システムは、音響作動されるようになっていてもよい。
【0049】
浮力システムが潜水艦に装着される用途では、作動システムは、潜水艦の水面急浮上システム内に組み込まれているとよい。
【0050】
作動システムは、手動操作されるようになっていてもよい。
【0051】
また、対象物がオペレータを収容している潜水艦または同様の船である場合、作動システムは、対象物内から内部的に作動されるようになっていてもよい。
【0052】
内部手動作動システムは、潜水艦内に制御パネルを備えていてもよい。制御パネルは、作動システムを予備刺激する予備刺激ボタン、および作動システムを作動させる開始ボタンを備えているとよい。また、制御パネルは、継続ボタンも備えているとよい。継続ボタンは、作動システムの完全性を監視し、かつ制御パネルによって作動システムを作動させる一連の手順を開始させるためのものである。これによって、浮力システムが、偶発的に作動されないことが確実になる。
【0053】
また、制御パネルは、少なくとも1つの膨張可能体を離脱させる解除手段も備えているとよい。
【0054】
また、手動作動システムは、遠隔操作無人探査機(ROV)によって外部的に作動されるようになっていてもよい。外部手動作動システムは、ROVがドッキングされる対象物の外部のドッキングマウントを備えているとよい。ROVは、ドッキングマウントを正常な状態から係合状態に移動させ、作動システムを作動させるように構成されているとよい。外部手動作動システムは、システムにアクセスするのに特異なキーが必要であるように構成されているとよい。
【0055】
好ましくは、いったん外部手動作動システムが作動されたなら、少なくとも1つの膨張可能体は、ROVを離脱させて対象物から離れる方に移動させるのに十分な時間をもたらすために、遅延膨張手順によって作動されるとよい。
【0056】
浮力システムは、発電源またはバッテリパックから動力が供給されるようになっているとよい。
【0057】
対象物は、複数の浮力システムを有しているとよい。複数の浮力システムの各々の作動システムは、同期化され、同時にまたは所定時間内に互いに作動されるようになっているとよい。
【0058】
好ましくは、浮力システムは、該浮力システムが作動したときに作動するEPIRBのような位置指示無線標識を組み入れていてもよい。位置指示無線標識は、少なくとも1つの膨張可能体に接続されているとよい。
【0059】
浮力システムは、推進手段を備えていてもよい。推進手段は、対象物を種々の方向に移動、方向付け、または案内するために用いられるとよい。ガスを用いて、推進手段を操作するとよい。ガスは、ガス生成プロセスによって供給されるとよい。
【0060】
本発明の一用途では、対象物は潜水艦である。好ましくは、浮力システムは、潜水艦の音響特性または流体動特性に実質的に影響を与えないようになっている。浮力システムは、作動されるまで、潜水艦のケーシング内に実質的に収容されているとよい。浮力システムは、潜水艦のケーシングと気密室との間に実質的に収容されていてもよい。浮力システムは、ケーシングから気密室に延在している凹部内に密封されていてもよい。凹部は、凹部を横切るカバーを有しているとよい。カバーは、作動システムが作動されたとき、凹部から離脱されるようになっているとよい。
【0061】
本発明の他の用途では、対象物は、航空機、例えば、ヘリコプターまたは飛行機である。これらの用途では、複数の浮力システムが設けられるとよい。各浮力システムは、航空機が上昇し、または所望の位置で保持されることを確実にするように、戦略的観点から配置されるとよい。
【0062】
本発明の他の用途では、対象物は、潜水服またはROVである。ROVの場合、ROVは、海上船へのその接続から離脱させる手段を備えていてもよい。
【0063】
本発明の他の用途では、対象物は、減圧チャンバである。
【0064】
本発明のさらに他の用途では、対象物は、生産インフラ構造物または掘削設備、例えば、海底ツリー、マニホールド、およびブースタポンプである。このような用途では、浮力システムは海面から海底に延在する少なくとも1つのガイドワイヤを備えていてもよい。ガイドワイヤは、対象物の上昇を制御してその海面浮上位置を予想させる安定した道筋をもたらすことになる。
【0065】
また、浮力システムは、対象物に固定された少なくとも1つの持上げ帯索を備えていてもよい。これによって、対象物は、海面に達したとき、回収されることが可能となる。帯索は、上方に浮揚しているとよい。これによって、帯索が回収のために垂直方位に保持されることが確実になる。
【0066】
海底マニホールドを海底から上昇させるとき、他の海底インフラ構造物、パイプ、ケーブルなどが切り離され、浮力システムが、作動前に、対象物の堅固な鳩目孔/持上げ点に取り付けられることになる。
【0067】
本発明は、次世代の深海における大型海底回収、海難救助、および据付けを提供している。この新世代の深海回収は、水深に関わらず、対象物を海面に「浮遊」させ、海上船が対象物を船内に回収し、または対象物を近くの港に曳航することを可能にするという概念からなっている。また、本発明によれば、対象物の制御された下降および対象物の海底への据付けも可能である。
【0068】
本発明は、水没した対象物を水域の表面に向かって上昇させるための浮力システムをさらに提供している。該浮力システムは、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したとき、水没した対象物の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
作動システムの作動時に、膨張装置は、少なくとも1つの膨張可能体を膨張させ、少なくとも1つの膨張可能体は、所要の容積に膨張した時点で、水没した対象物を該対象物が水没している水域の表面に向かって移動させることが可能になっている。
【0069】
本発明は、潜水艦を水域の表面に向かって上昇させるための浮力システムをさらに提供している。該浮力システムは、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したとき、水没した潜水艦の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
作動システムの作動時に、膨張装置は、少なくとも1つの膨張可能体を膨張させ、少なくとも1つの膨張可能体は、所要の容積に膨張した時点で、潜水艦を該潜水艦が水没している水域の表面に向かって移動させることが可能になっている。
【0070】
好ましくは、浮力システムは、潜水艦の乗組員が脱出するのに十分な時間にわたって、潜水艦を海面に維持する手段を備えている。
【0071】
本発明は、生産インフラ構造物または掘削設備を回収すべく海底から上昇させるための浮力システムであって、設備に接続されるように構成されている、浮力システムを提供している。該浮力システムは、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したとき、設備の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
作動システムの作動時に、膨張装置は、少なくとも1つの膨張可能体を膨張させ、少なくとも1つの膨張可能体は、所要の容積に膨張した時点で、設備を該設備が水没している水域の表面に向かって移動させることが可能になっている。
【0072】
浮力システムは、設備に固定されるように構成されたクレードル内に組み込まれていてもよい。クレードルは、設備に取り付けられるとき、浮力システムが所望の方位に保持されるように、上向きに浮揚するようになっているとよい。クレードルは、設備が海面に戻される前に、設備に接続されるとよい。
【0073】
このような作業では、回収作業を補助するために、帯索が設備に接続されていてもよい。
【0074】
また、設備は、海底と海面との間に延在するガイドワイヤに接続されていてもよい。これによって、上昇時に、ガイドワイヤが上昇を案内し、設備の回収位置を予測することが可能になる。
【0075】
設備は、該設備を海洋から持ち上げるため、または対象物をクレーン設備のある港に曳航するために、船がクレーンを帯索に取り付けるまで、海面下に保持されているとよい。
【0076】
本発明は、生産インフラ構造物または掘削設備を海底に下降させるための浮力システムであって、設備に接続されるように構成されている、浮力システムを提供している。該浮力システムは、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したとき、設備の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
作動システムの作動時に、膨張装置は、少なくとも1つの膨張可能体を膨張させ、設備の重量を部分的に相殺し、海底に向かう下降の割合を制御するようになっている。
【0077】
好ましくは、システムは、ガスを収容するリザーバを備えている。リザーバは、ガスを少なくとも1つの膨張可能体に供給するものである。
【0078】
設備を海底に移動させるとき、該設備は、水中に吊り下げられ、または海上に浮遊しながら展開位置まで曳航され、ここで、少なくとも1つの膨張可能体が十分に膨張され、もし装着されているなら、リザーバが加圧されることになる。下降時に、作動システムは、膨張装置を作動し、少なくとも1つの膨張可能体を膨張状態に保持し、これによって、対象物は、より容易かつ正確に海底に向かって移動されることになる。
【0079】
添付の図面に示されているいくつかの特定の実施形態の以下の説明を参照すれば、本発明は、さらに良好に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態による浮力システムが設置されている、海底の底にある潜水艦の図である。
【図2】浮力システムが展開されている、図1と同様の図である。
【図3】潜水艦に設置されている浮力システムの概略図である。
【図4】第2の実施形態による浮力システムの概略図である。
【図5a.5b】浮力システムの作動システムの概略図である。
【図6a.6b】静水圧センサの平面図および側断面図である。
【図7】膨張装置のガス生成システムの略断面図である。
【図8】膨張装置のガス貯蔵システムの略断面図である。
【図9a.9b】膨張状態にある膨張可能バッグの平面図および側面図である。
【図10】圧力逃し弁の断面図である。
【図11】図4に示されている第2の実施形態による膨張可能バッグおよび関連する容器の概略図である。
【図12】本発明の第3の実施形態による浮力システムの概略図である。
【図13】本発明の第4の実施形態による浮力システムの概略図である。
【図14】ヘリコプターに装着された本発明の第5の実施形態による浮力システムの概略図である。
【図15】飛行機に装着された本発明の第6の実施形態による浮力システムの概略図である。
【図16】チャンバに装着された本発明の第7の実施形態による浮力システムの概略図である。
【図17】本発明の第8の実施形態による上側レベルのレイアウトを示す浮力システムの概略図である。
【図18】上側レベルが取り外されている図18と同様の図である。
【図19】図17の側面図である。
【図20】海底からの設備の回収の2つの段階で示されている図17〜19の浮力システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明は、多業種にわたって多くの用途を有している。勿論、多くのさらなる用途も可能であり、これらの用途は、特に深海を探査しようとする人類の追究心によって、将来、脚光を浴びることになるだろう。
【0082】
以下に説明するのは、いくつかの異なる業種にわたるいくつかの用途である。以下の実施形態の大半は、水没した対象物を海面に向かって上昇させる用途を検討している。しかし、本発明は、対象物を海底に制御して下降させる用途、対象物を所要の深さに保持する用途、および対象物を海洋を通って推進させる用途も有している。
【0083】
種々の実施形態による本発明は、浮力システム11の形態にある。この浮力システム11は、対象物12を水域の表面15に向かって上昇させるため、対象物12を海底14に向かって下降させるため、または対象物12を表面15または所望の深さに維持するためのものである。
【0084】
浮力システム11は、1つまたは複数の膨張可能体16と、1つまたは複数の膨張装置19と、1つまたは複数の作動システム21の組合せを備えている。種々の用途および種々の状況において、浮力システム11は、必要な数および必要な構成の前述の構成要素を組み入れるように構成されている。
【0085】
図1および図3を参照すると、第1の実施形態による本発明は、潜水艦13に装着された浮力システム11の形態にある。図1は、海底14上のある位置にある潜水艦13を示している。これは、潜水艦13が故障または損傷したときに生じることがある。本発明は、図1に示されている潜水艦13が浮力システム11の作動によって表面15に容易に戻ることを可能にするものである。
【0086】
図2は、浮力システム11が作動され、膨張可能バッグ17の形態にある複数の膨張可能体16が展開された後の潜水艦13を示している。図示されているように、潜水艦13は、直立位置で表面15に上昇しており、乗組員が潜水艦13から脱出することが可能になっている。
【0087】
潜水艦13は、典型的には、船の上端に向かって気密室81および外ケーシング83を有するように構成されており、これらの2つは、互いに離間している。この間隙は、膨張可能バッグ17がモジュール18内に貯蔵され得る領域をもたらしている。また、この間隙によって、潜水艦13の流体動特性または音響特性に悪影響を与えることなく、浮力システム11を潜水艦に装着させることができる。
【0088】
外ケーシング83を有していない潜水艦13の場合、膨張可能バッグ17は、モジュール18内に貯蔵され、気密室81内に据え付けられるように設計され、組み込まれるとよい。
【0089】
この実施形態による浮力システム11の構成要素は、図3に最もよく示されている。
【0090】
浮力システム11は、膨張装置19を備えている。膨張装置19は、この実施形態では作動ガス生成システム23として設けられており、膨張可能バッグ17を膨張させるガスは、浮力システム11の外部のガス供給減25から供給されるようになっている。外部ガス供給源25は、潜水艦内の空気供給源27から供給されるようになっている。
【0091】
膨張装置19は、作動システム21によって作動されるようになっている。この実施形態における作動システム21は、手動外部作動システム21a、手動内部作動システム21b、および自動作動システム21cを備えている。これによって、浮力システム11を作動させる多重手段がもたらされ、潜水艦13を状況に関わらず海面に浮上させることが確実になる。明らかに、浮力システムの他の用途がこれらの作動システムの1つしか必要としないこともある。
【0092】
図5は、この実施形態に利用される作動システム21の構成要素を最もよく示している。
【0093】
手動外部作動システム21aは、図示されていない遠隔操作無人探査機(ROV)によって操作されるようになっているとよい。ROVは、ドッキングマウント29に係合するように構成されており、このROVを介して、作動システム21を作動させることができる。
【0094】
手動内部作動システム21bは、3つの制御パネル31の1つによって、潜水艦13内から操作可能である。
【0095】
自動作動システム21cは、気密室81の外部に装着された静水圧操作装置33を備えている。この実施形態では、気密室81に固定された6つの静水圧操作装置49が設けられている。
【0096】
各静水圧操作装置49は、図6aに示されているように、一連の孔53の付いた露出面51を有する実質的に密封されたユニットからなっている。露出面51は、図6bに示されているように、第1のプレート55に隣接している。第1のプレート55は、バネ59によって第2のプレート57から離れる方に付勢されており、これによって、正常な状態では、第1のプレート55および第2のプレート57は、互いに離間している。
【0097】
潜水艦13が所定の深さに達すると、孔53を通して作用している圧力が、第1のプレート55の底面の接触ブラシ61aが第2のプレート57の上側の接触ブラシ61bと係合するまで、第1のプレート55を第2のプレート57に向かって移動させることになる。これによって、回路が成立し、その結果、膨張装置19の作動がもたらされ、膨張可能バッグ17の展開が生じることになる。
【0098】
図5に示されている外部手動作動システム21aを検討すると、外部手動作動システム21aは、ROVによって回転されるように構成されたナット69を有するドッキングマウント29を備えている。ナット69は、ドッキングマウント29のハウジング71内に螺合されている。ナット69は、正確に構成されたアームを有するROVのみしかナット69を回転させることができないように、特異的に構成されている。ナット69をハウジング71から取り外すことによって、ROVは、ハウジング71に螺合されられている作動ネジ73にアクセスすることが可能となる。作動ネジ73を回転させると、作動ネジ73は、作動プレート75に係合する。この係合によって、回路が成立し、作動システム21が膨張装置19を作動させることになる。ROVを潜水艦13から離脱させ、潜水艦13から離れる方に移動させるために、膨張可能バッグ17が膨張し、潜水艦13が上方に移動する前に、遅れが設定されている。
【0099】
図5に示されている内部手動作動システム21bを検討すると、制御パネル31は、作動システムを予備刺激する予備刺激ボタン77、および作動システムを作動させる開始ボタン79を備えている。また、制御パネル31は、継続ボタン85も備えている。継続ボタン85は、作動システム21の完全性を監視し、かつ制御パネル31によって作動システム21bを作動させる一連の手順を開始させるためのものである。
【0100】
制御パネル31は、浮力システム11が偶発的に作動したときに膨張可能バッグ17を離脱させる解除手段87も備えている。
【0101】
制御パネル31は、必要に応じて、もし潜水艦が所定の深さよりもさらに沈む必要がある場合、自動作動システム21cを無効にするのに用いられる無効スイッチ89も備えている。
【0102】
膨張状態にある膨張可能バッグ17が、図9aおよび図9bに最もよく示されている。各膨張可能バッグ17は、4つの上側圧力逃し弁91を備えている。上側圧力逃し弁91は、膨張可能バッグ17からの過剰ガスおよび(潜水艦13が上昇し、水域によって膨張可能バッグ17に加えられた圧力が減少するときに生じる)過剰な量のガスを放出させるように設計されている。いったん潜水艦13が所要の深さまで上昇したなら、圧力逃し弁91が係止し、これによって、さらなるガスが該弁を通ることが防止され、膨張可能バッグ17を膨張状態に保持することが確実になる。
【0103】
膨張可能バッグ17は、該膨張可能バッグ17の下側領域に配置された2つの下側圧力逃し弁93も備えている。下側圧力逃し弁93は、上側圧力逃し弁91が係止した時点で、膨張性体内の圧力の増加分を放出するようになっている。
【0104】
図10を参照すると、各圧力逃し弁91は、閉位置に付勢された弁ピストン95を有している。弁ピストン95の外面97に対する圧力が膨張可能バッグ17内の圧力よりも大きくなると、弁ピストン95は、過剰ガスが逃し弁91を介して膨張可能バッグ17から放出することを可能にするように、移動する。弁ピストン95の最初の移動時に、係止手段99が解除され、これによって、弁ピストン95がその閉位置に戻ったとき、係止手段99が弁ピストン95を前記位置に係止することになる。
【0105】
各膨張可能バッグ17は、膨張装置19と膨張可能バッグ17の開口103との間に一方向性弁101も備えている。これによって、膨張可能バッグ17内に送達されたガスが膨張装置19に戻ることは、阻止されることになる。
【0106】
各膨張可能バッグ17は、該バッグ17が膨張したときに作動するEPIRB105も組み入れられている。
【0107】
もし浮力システム11が操作される必要がある場合、作動システム21は、自動的に作動されるか、または潜水艦13の外部または内部から手動で作動されることになる。作動時に、膨張装置19は、浮力システム11の外部のガス供給源25からのガスを転用して作動されるようになっている。このガスを用いて、潜水艦13を表面15に浮上させるために十分な上昇が得られるまで、バッグ17を膨張させることになる。
【0108】
本発明の第2の実施形態が、図4に示されている。この実施形態は、第1の実施形態と極めて類似しているので、同様の構成要素には、同様の部番が付されている。この実施形態は、第1の実施形態を基礎としており、浮力システム11の膨張装置10は、ガス生成システム35および調節装置43を備えている。この実施形態では、浮力システム11は潜水艦13からのガスの供給のみに依存していない。
【0109】
この実施形態では、ガス生成システム35は、図11に示されているように、膨張可能バッグ17ごとに6つの容器37の組を備えている。各容器37は、静水圧操作装置49に接続されており、潜水艦13の深さを考慮して膨張可能バッグ17に入るガスの量を調節する調節装置43を付随的に備えている。
【0110】
図7を参照すると、各容器は、ガス生成媒体39、例えば、起爆時および/または起動時にガスを生成する爆発性化合物、推進化合物、または他の化学化合物を含んでいる。このガスは、容器37の出口41を通って、膨張可能バッグ17を充填するようになっている。ガスは、膨張可能バッグ17に入る前に冷却されているとよい。
【0111】
調節装置43は、出口41の上流に配置されている。調節装置43を急速なガス生成の力から保護するために、一連の通路/邪魔板45が、媒体39と出口41との間に配置されている。これらの通路45によって、急速なガス生成の力を長い経路を通過させ、爆発の実効および急速な圧力増大を緩和させることになる。
【0112】
媒体39は、作動システム21に接続された開始装置または起爆装置47によって点火されるようになっている。図7は、3つの起爆装置47を有する媒体39を示している。これによって、もし1つまたは2つの起爆装置47が故障しても、バックアップされることになる。
【0113】
図11に示されているように、各膨張可能バッグ17は、気密室81に固定された取付け点63において、潜水艦13に固定されている。膨張可能バッグ17および容器37は、モジュール18内に配置されている。モジュール18は、ピン67を外すことによって取り外されるカバー65を有している。これらのピン67は、作動システム21が作動された時、起爆によって取り外されるようになっている。
【0114】
この実施形態における膨張可能バッグ17の展開は、第1の実施形態において説明したものに厳密に準じている。
【0115】
本発明の第3の実施形態によれば、膨張装置19は、ガス貯蔵システム107を備えている。この実施形態は、第2の実施形態に極めて類似しているので、同様の構成要素には、同様の部番が付されている。しかし、この実施形態では、媒体39を介してガスを生成するのではなく、ガスは、図8に示されているように、高圧ガスシリンダー109内に貯蔵されている。
【0116】
この実施形態では、ガス貯蔵システム107のガスシリンダー109は、膨張可能バッグ17に流体連通している出口111を有している。ガスは、3つの保持ディスク113によって、シリンダー109内に保存されている。各ディスク113は、起爆装置115に接続されている。起爆装置115は、作動システム21によって作動されると、ディスク113を破裂させ、ガスをバッグ17内に進入させることが可能になる。さらなる起爆装置115aは、その装薬がディスク113の面に向くように配置されている。これによって、ディスク113が破裂し、ガスがそこを通過することが確実なものになる。
【0117】
図12は、この第3の実施形態による膨張可能バッグ17を貯蔵するためのモジュール18の構成を示している。
【0118】
本発明の第4の実施形態が、図13に示されている。この実施形態は、ガス生成システム35およびガス貯蔵システム107を含むハイブリッドシステムを備える膨張装置19を有している。図13は、この実施形態の膨張装置19および膨張可能バッグ17がいかにモジュール18内に構成されているかを示している。
【0119】
図14に示されている本発明の第5の実施形態では、4つの個々の浮力システム211が、ヘリコプター213に戦略的観点から適切に配置されている。この実施形態では、膨張装置19は、ガス生成システム35の形態にあり、作動手段は、自動作動システム21cおよび手動内部作動システム21bの形態にある。
【0120】
図15は、本発明の第6の実施形態を示している。この実施形態は、第5の実施形態に類似しているが、ヘリコプターに関連する代わりに、飛行機223に関連している。
【0121】
図16に示されている本発明の第7の実施形態では、浮力システム311は、チャンバ、この場合、飽和潜水ベル313に固定されている。浮力システム311は、第5および第6の実施形態に記載されているものに類似しているが、ここでは、ウインチ315も組み入れている。これによって、ベル313は、必要に応じて、表面15から離れて下降することが可能である。
【0122】
前述の実施形態において確認されたように、本発明は、第3世代の脱出および救助システムを提供している。第3世代の脱出および救助/撤去技術は、資産物(例えば、潜水艦、潜水ベル)が運転または配置されている水深とは無関係に、満足のいく結果を達成することができる「自助(self help)」の概念からなっている。機能不全が生じた場合または資産物に損傷(出力損失、出火、浸水、衝突、機械的な故障または資産物を作動不能とする事故)が生じた場合、即時に浮上する能力によって、海底からの危険な浮力上昇脱出を行う必要性または作動救助装置が配備されるのを待機する必要性をなくすことができる。また、資産物が、能力外の深さ(圧潰深さ)に落ち込むのを阻止し、これによって、資産物および全ての乗組員の完全な犠牲を避けることができる。
【0123】
図17〜図20を参照すると、第8の実施形態による本発明が示されている。この実施形態は、先の実施形態に記載されているものと同様の構成要素を有しているので、同様の構成要素には、前述の構成要素と同様の部番が付されている。この実施形態では、浮力システム11は、海底マニホールド401のような設備を海底から上昇させるかまたは該海底に下降させるのに用いられている。図20は、海底マニホールド401を、船によって回収するために、海底14(図20b)から海面15(図20a)に上昇させる浮力システム11を示している。
【0124】
図17、図18および図19に示されているように、この実施形態の浮力システム11は、クレードル403上に支持されている。浮力システム11は、膨張可能バッグ17を有している。膨張可能バッグ17は、図17に示されているように、クレードル403の上側に配置され、萎縮した状態で貯蔵されている。膨張可能バッグ17の下に配置されているのは、ガス生成システム35である。ガス生成システム35は、爆発物、推進物、またはガス生成用媒体(図示せず)のような媒体39を含んでいる14個の容器37を備えている。
【0125】
各容器37は、調節装置43と膨張可能バッグ17に入るガスの量を調節するための静水圧センサ407とに連結されている。各容器37は、膨張可能バッグ17に入る前に生成したガスを冷却するのを補助するために、熱交換器405に連結されている。
【0126】
作動システム21は、音響的に操作される作動システム21dおよびROVによって作動されるとよい手動操作作動システム21aの形態にある。作動システム21は、電源409に接続されている。
【0127】
図20を参照すると、海底マニホールド401の回収プロセスの2つの段階が示されている。マニホールド401は、海底から表面15に延在しているガイドワイヤ411に固定されている。このガイドワイヤ411は、表面15に戻されるマニホールド401を案内するのに役立つと共に、マニホールド401が上昇したとき、回収ユニットにマニホールド401の正確な回収位置をもたらすものである。
【0128】
プロセスの第1の段階では、浮力システム11のクレードル403が、マニホールド401に固定され、マニホールド401よりも高い位置に保持されるように上向きに浮揚される。これは、ROVによって行われるとよい。同時に、帯索413も接続される。この帯索413も、マニホールド401の上方に保持されるように上向きに浮揚し、これによって、回収ユニットのクレーンがマニホールド401を海洋から容易に持ち上げることが可能になる。
【0129】
いったん浮力システム11がマニホールド401に固定され、マニホールド401が周囲のインフラ構造物から切り離されたなら、作動システム21が作動されるとよい。これによって、ガスが生成され、膨張可能バッグ17内に送給されることになる。作動時に、好ましくは、手動による緩動または音響手段によって、電荷が電源409から(ガス生成容器37を作動させるための)静水圧センサ407に送られるとよい。静水圧センサ407を介して計測された水圧が、膨張可能体17を膨張させるのに十分なガスを供給するために作動されるガス生成容器37の数を決定する。ガス生成容器37によって生じたガスは、熱交換器405および調節器43を通って、ガス圧接合点に送られ、次いで、この接合点から、膨張ガスが、空圧ホース415を介して膨張可能体17に送達されることになる。
【0130】
さらなる膨張によって、浮力システム11は、マニホールド401を上向き方向に移動させることになる。次いで、マニホールド401は、回収位置に移動し、この回収位置において、表面15の下に保持され、回収ユニットによる回収を待つことになる。
【0131】
マニホールド401が上昇するにつれて、膨張可能バッグ17に作用している圧力が減少する。膨張可能バッグ17の内側のガスの圧力が膨張可能バッグ17を破裂させるのを防ぐために、過剰ガスが、膨張可能バッグ17の上端および底にそれぞれ配置された圧力逃し弁91および/または93を通して放出されることになる。
【0132】
膨張可能バッグ17が十分に膨張すると、過剰ガスは、圧力逃し弁91,93を通して膨張可能バッグ17から放出される。表面15に達すると、膨張可能バッグ17の内側のガス圧は減少し、上側圧力逃し弁は、再び着座して閉位置に係止し、これによって、ガスが膨張可能バッグ17から漏れないことが確実になり、マニホールド401が表面15の近くに保持されることが確実になる。
【0133】
膨張可能体17の必要な大きさおよび必要な膨張は、水没している対象物の重量によって決定される。作動されるべきガス生成容器の数および大きさは、膨張可能体の大きさおよび水没している対象物が位置している深さの両方によって決定される。
【0134】
浮力システムがマニホールド401の堅固な鳩目孔/持上げ箇所に取り付けられる場合、上向きに浮揚する持上げ帯索413も同じ箇所に取り付けられる。上向きに浮揚する持上げ帯索413は、マニホールド401が表面に達した時点で、表面からその堅固な鳩目孔/上昇点にアクセス可能となるように十分長くなっているべきである。これによって、海上の船が、上向きに浮揚している持上げ帯索413を適切なクレーンに接続させ、マニホールド401および浮力システム11を水中から船、艀、などのデッキに持ち上げることが可能になる。
【0135】
いたん回収されたなら、浮力システム11は、マニホールド401から取り外され、膨張可能体17は、萎縮され、かつ再梱包され、作動/使用されたガス生成容器37は、取り換えられ、上側逃し弁91は、解除/再設定され、電源409は、再充電されるようになっているとよい。これによって、浮力システム11は、再配備の準備が整ったことになる。
【0136】
図20に示されているのと同様のシステムが、マニホールド401を海底14に制御して下降させるのに用いられてもよい。このような用途では、浮力システム11によってもたらされる浮力は、マニホールド401の重量によって生じる力よりもいくらか小さくなっている必要があるだろう。しかし、マニホールド401がさらに下降すると、下降の制御を維持することを目的とし、膨張可能バッグ17に作用する追加的な力に打ち勝つために、付加的なガスを膨張可能バッグ17内に送給する必要がある。これに関連して、浮力システム11は、必要に応じて、膨張可能バッグ17内に流れることになるガスを保持するためのリザーバ(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0137】
当業者にとって明らかとなるような修正形態および変更形態は、本発明の範囲内に包含されていることが見込まれている。
【0138】
明細書の全体を通して、文脈に他の指示がない限り、「comprise(〜を備えている)」という用語または「comprises」または「comprising」のような変形は、記述されている完全体または完全体の群を含んでいるが、任意の他の完全体または他の完全体の群を排除するものではないことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水域内の対象物を移動させるための浮力システムにおいて、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したときに、前記対象物の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
前記少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
前記膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
前記作動システムの作動時に、前記膨張装置は、ガスを前記少なくとも1つの膨張可能体に流し、前記少なくとも1つの膨張可能体は、所要の容積に膨張した時点で、前記対象物を移動させることが可能になっていることを特徴とする浮力システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの膨張可能体は、前記対象物に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の浮力システム。
【請求項3】
緩衝装置が、前記少なくとも1つの膨張可能体と前記対象物との間に延在していることを特徴とする、請求項1または2に記載の浮力システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの膨張可能体は、前記対象物の外に膨張するようになっていることを特徴とする、請求項1,2または3に記載の浮力システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの膨張可能体は、前記少なくとも1つの膨張可能体を前記対象物から離脱させることができる解除手段を有していることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの膨張可能体は、過剰ガスを前記膨張可能体から放出する少なくとも1つの上側圧力逃し弁を備えていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項7】
前記圧力逃し弁は、前記対象物が所要の深さに達したとき、閉状態に係止されるようになっていることを特徴とする、請求項6に記載の浮力システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの膨張可能体は、前記膨張可能体の底に配置された少なくとも1つの下側圧力逃し弁も備えており、前記少なくとも1つの下側圧力逃し弁は、前記膨張可能体内の圧力の増加分を放出するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項9】
前記圧力逃し弁は、閉位置に付勢された弁ピストンを有しており、前記弁ピストンに作用する圧力が、過剰ガスを前記膨張可能体から放出させるべく、前記弁ピストンを移動させるようになっていることを特徴とする、請求項6または7に記載の浮力システム。
【請求項10】
前記圧力逃し弁内に組み込まれた係止手段が、前記弁ピストンの移動時に解除され、前記弁ピストンがその閉位置に戻ったとき、前記係止手段が前記弁を前記位置に係止するようになっていることを特徴とする、請求項9に記載の浮力システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの膨張可能体は、前記膨張装置と前記膨張可能体の開口との間に一方向弁を備えていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの膨張可能体は、ウインチに固定されており、前記ウインチは、索を前記少なくとも1つの膨張可能体から外に繰り出し、または該膨張可能体内に繰り入れるようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの膨張可能体は、耐熱性および高引張強度特性を有する材料から少なくとも部分的に作製されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項14】
前記膨張可能体は、膨張可能バッグの形態にあることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項15】
前記対象物を所定レベルに保持する制御手段も備えていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項16】
前記浮力システムは、膨張可能体ごとに膨張装置を備えていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項17】
前記膨張装置は、前記少なくとも1つの膨張可能体内に入るガスの量を調節する調節装置を備えていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項18】
前記調節装置は、静水圧によって調節されるようになっており、前記調節装置は、外圧を考慮して所望の大きさの浮力をもたらすように前記膨張可能体を膨張させるために、必要な量のガスを供給するようになっていることを特徴とする、請求項17に記載の浮力システム。
【請求項19】
前記調節装置は、静水圧センサの形態にあることを特徴とする、請求項18に記載の浮力システム。
【請求項20】
前記膨張装置は、ガス生成システム、ガス貯蔵システムを備えており、および/またはガスを供給するための作動ガス生成システムに接続されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項21】
前記ガス生成システムは、前記少なくとも1つの容器内に含まれているガス生成媒体を備えていることを特徴とする、請求項20に記載の浮力システム。
【請求項22】
装薬が前記媒体を活性化させ、前記少なくとも1つの容器内に加圧されたガスを生じさせるようになっていることを特徴とする、請求項21に記載の浮力システム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの容器は、前記媒体と容器出口との間に位置する一連の通路および/または邪魔板を有しており、前記媒体によって生じたガスは、前記少なくとも1つの容器から出る前に、前記通路を通過するようになっていることを特徴とする、請求項22に記載の浮力システム。
【請求項24】
前記媒体は、前記作動システムに操作可能に接続された開始装置または起爆装置によって作動されるようになっていることを特徴とする、請求項22または23に記載の浮力システム。
【請求項25】
前記ガス生成システムは、2つ以上の開始装置または起爆装置を備えていることを特徴とする、請求項24に記載の浮力システム。
【請求項26】
前記生成したガスの分子量は、空気の分子量と等しいかまたは厳密に一致していることを特徴とする、請求項21〜25のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項27】
前記媒体は、爆発性化合物、推進化合物、または他の化学化合物であることを特徴とする、請求項21〜26のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項28】
前記容器出口は、前記膨張可能体に送達されるガスが所望の圧力で送達されるように、ガス送達調節装置に接続されていることを特徴とする、請求項23〜27のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項29】
前記媒体から送達されるガスは、前記少なくとも1つの膨張可能バッグに送達される前に冷却されるようになっていることを特徴とする、請求項21〜28のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項30】
前記少なくとも1つの膨張可能体は、供給ガスによって洗い流され、前記ガス生成プロセス中に生じたガスを希釈および/または除去するようになっていることを特徴とする、請求項21〜29のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項31】
前記ガス貯槽システムは、前記ガスを収容するガス貯蔵シリンダーを備えていることを特徴とする、請求項20に記載の浮力システム。
【請求項32】
前記ガス貯槽シリンダーは、出口通路を介して、前記少なくとも1つの膨張可能体に流体連通していることを特徴とする、請求項31に記載の浮力システム。
【請求項33】
前記出口通路は、前記ガスが前記ガス貯蔵シリンダーを出るのを防ぐ1つまたは複数の圧力保持ディスクを有していることを特徴とする、請求項32に記載の浮力システム。
【請求項34】
各圧力ディスクは、前記作動システムに操作可能に接続された起爆装置に接続されていることを特徴とする、請求項33に記載の浮力システム。
【請求項35】
前記作動ガス生成システムは、外部ガス供給源を含んでいることを特徴とする、請求項20に記載の浮力システム。
【請求項36】
前記作動システムは、前記浮力システムを前記ガス供給源に流体接続する三方弁を備えていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項37】
前記膨張装置は、いったん上昇が開始されたなら、前記少なくとも1つの膨張可能体へのガスの送達を中止するように構成された少なくとも1つの静水圧センサまたは圧力逃し弁を備えていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項38】
前記膨張装置は、前記少なくとも1つの膨張可能体が下降中に所望の膨張を保つことを確実にすべく、ガスを前記少なくとも1つの膨張可能体に供給するためのリザーバを備えていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項39】
前記リザーバが所定の圧力に達したとき、前記ガス供給源またはガス生成装置が作動され、さらなるガスを供給するようになっていることを特徴する、請求項38に記載の浮力システム。
【請求項40】
前記作動システムは、前記対象物が所定深さにあるとき、自動的に作動するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項41】
前記作動システムは、前記対象物が所定深さに達したときに、静水圧的に作動されるようになっていることを特徴とする、請求項40に記載の浮力システム。
【請求項42】
前記自動作動システムは、前記対象物の外部に装着された1つまたは複数の静水圧操作装置を備えていることを特徴とする、請求項41に記載の浮力システム。
【請求項43】
前記静水圧操作装置は、一連の孔の付いた露出面を有する実質的に密封されたユニットを備えており、前記露出面は、第1のプレートに隣接しており、前記第1のプレートは、正常の状態では付勢されており、これによって、第2のプレートから離間しており、静水圧が増大すると、前記一連の孔を通して作用している圧力が、前記第1のプレートを前記第2のプレートの方に移動させ、これによって、前記第1のプレートが最終的に前記第2のプレートに係合し、前記作動システムを作動する回路を成立させるようになっていることを特徴とする、請求項42に記載の浮力システム。
【請求項44】
前記作動システムは、前記作動システムの前記自動操作を無効にする無効機構を備えていることを特徴とする、請求項40〜43のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項45】
前記作動システムは、音響作動されるようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項46】
前記作動システムは、手動操作されるようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項47】
前記作動システムは、前記対象物内から内部的に作動されるようになっていることを特徴とする、請求項46に記載の浮力システム。
【請求項48】
前記作動システムは、前記作動システムを作動させる制御パネルを備えていることを特徴とする、請求項47に記載の浮力システム。
【請求項49】
前記制御パネルは、前記少なくとも1つの膨張可能体を離脱させる解除手段を備えていることを特徴とする、請求項48に記載の浮力システム。
【請求項50】
前記作動システムは、外部的に作動されるようになっていることを特徴とする、請求項46に記載の浮力システム。
【請求項51】
前記作動システムは、遠隔操作無人探査機(ROV)によって作動されるようになっており、前記外部手動作動システムは、前記ROVがドッキングされる対象物の外部のドッキングマウントを備えていることを特徴とする、請求項50に記載の浮力システム。
【請求項52】
発電源またはバッテリパックから動力が供給されるようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項53】
前記浮力システムが作動したときに作動する位置指示無線標識を組み入れていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載に浮力システム。
【請求項54】
推進手段を備えており、前記推進手段は、前記対象物を種々の方向に移動、方向付け、または案内するために用いられるようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1つに記載の浮力システム。
【請求項55】
請求項1〜54のいずれか1つに記載の複数の浮力システムを備えている潜水艦において、前記浮力システムは、前記潜水艦から放出される音響ノイズと干渉しないように、作動されるまで前記潜水艦のケーシング内に実質的に収容されていることを特徴とする、潜水艦。
【請求項56】
請求項1〜54のいずれか1つに記載の複数の浮力システムを備えている飛行機、潜水艦、ROV、または減圧チャンバにおいて、各浮力システムは、前記飛行機が上昇され、または所望の位置に保持されることを確実なものとするように、配置されていることを特徴とする、飛行機、潜水艦、ROV、または減圧チャンバ。
【請求項57】
水没した対象物を水域の表面に向かって上昇させるための浮力システムにおいて、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したとき、前記水没した対象物の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
前記少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
前記膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
前記作動システムの作動時に、前記膨張装置は、前記少なくとも1つの膨張可能体を膨張させ、前記少なくとも1つの膨張可能体は、所要の容積に膨張した時点で、前記水没した対象物を該対象物が水没している前記水域の前記表面に向かって移動させることが可能になっていることを特徴とする浮力システム。
【請求項58】
潜水艦を水域の表面に向かって上昇させるための浮力システムにおいて、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したとき、前記潜水艦の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
前記少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
前記膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
前記作動システムの作動時に、前記膨張装置は、前記少なくとも1つの膨張可能体を膨張させ、前記少なくとも1つの膨張可能体は、所要の容積に膨張した時点で、前記潜水艦を該潜水艦が水没している前記水域の前記表面に向かって移動させることが可能になっていることを特徴とする浮力システム。
【請求項59】
前記浮力システムは、前記潜水艦の乗組員が脱出するのに十分な時間にわたって、前記潜水艦を前記表面に維持する手段を備えていることを特徴とする、請求項58に記載の浮力システム。
【請求項60】
生産インフラ構造物または掘削設備を回収するために海底から上昇させるための浮力システムであって、前記設備に接続されるように構成されている浮力システムにおいて、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したとき、前記設備の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
前記少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
前記膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
前記作動システムの作動時に、前記膨張装置は、前記少なくとも1つの膨張可能体を膨張させ、前記少なくとも1つの膨張可能体は、所要の容積に膨張した時点で、前記設備を該設備が水没している前記水域の前記表面に向かって移動させることが可能になっていることを特徴とする浮力システム。
【請求項61】
前記設備に固定されるように構成されたクレードル内に組み込まれていることを特徴とする、請求項60に記載の浮力システム。
【請求項62】
前記クレードルは、前記設備に取り付けられたときに、前記浮力システムが所望の方位に保持されるように、上向きに浮揚するようになっていることを特徴とする、請求項61に記載の浮力システム。
【請求項63】
回収作業を補助するために、帯索が前記設備に接続されていることを特徴とする、請求項61,62または63に記載の浮力システム。
【請求項64】
前記設備は、海底と海面との間に延在しているガイドワイヤに接続されており、上昇時に、前記ガイドワイヤが、上昇を案内し、これによって、前記設備の回収位置を予測することが可能になっていることを特徴とする、請求項60,61,62または63に記載の浮力システム。
【請求項65】
生産インフラ構造物または掘削設備を海底に下降させるための浮力システムであって、前記設備に接続されるように構成されている浮力システムにおいて、
少なくとも1つの膨張可能体であって、膨張したとき、前記設備の浮力を増大させる、少なくとも1つの膨張可能体と、
前記少なくとも1つの膨張可能体を膨張させる膨張装置と、
前記膨張装置を作動させる作動システムと、
を備えており、
前記作動システムの作動時に、前記膨張装置は、前記少なくとも1つの膨張可能体を膨張させ、前記設備の重量を部分的に相殺し、前記海底に向かう下降の割合を制御するようになっていることを特徴とする浮力システム。
【請求項66】
前記システムは、ガスを収容するリザーバを備えており、前記リザーバは、ガスを前記少なくとも1つの膨張可能体に供給するようになっていることを特徴とする、請求項65に記載の浮力システム。
【請求項67】
図面を参照して、本明細書に実質的に記載されている浮力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a−6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9a−9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20a−20b】
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【公表番号】特表2012−519114(P2012−519114A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524049(P2012−524049)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001599
【国際公開番号】WO2010/065999
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(512037451)
【Fターム(参考)】