説明

制御局装置およびその制御方法

【課題】 課金レートの境界への接近を、事前に移動端末に通知すること。
【解決手段】 制御局10は、交換ネットワーク20を介して、携帯電話などの前記移動端末に課金レートエリア境界への接近を報知する。そのため、制御局10は、移動端末と着信端末との位置関係を管理する位置情報管理部12と、この位置情報管理部12の移動端末位置監視部13からの位置情報と課金エリア境界の位置とに基づき前記移動端末の課金レートエリア境界への接近を検出する境界接近検出部15と、境界接近検出部15の検出結果に基づき前記課金レートエリア境界位置への接近を示す境界接近情報を発生する境界情報発生部16と、境界情報発生部16からの境界接近情報を前記移動端末に送信するデータ送受信部11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金レートの境界情報を移動端末へ通知する制御局装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の移動体通信システムでの課金情報の更新通知は、通信中に移動端末が通信料金の変更される場所に移動した場合、移動先の位置情報に基づいて新規の課金情報を算出して利用者に通知している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7―321962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、移動端末の通信料金が変更された後に新規の課金情報が利用者に通知されるため、利用者は移動端末の移動に伴う課金レートの変更を事前に知ることができないという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、課金レートの変更を事前に利用者に通知する移動体通信システムにおける制御局装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の制御局装置は、移動端末へ提供する通信サービスに対する課金レートを管理する制御局装置であって、移動端末の位置を管理する位置情報管理手段と、この位置情報管理手段が出力する前記移動端末の位置と課金レートが更新される課金レートエリア境界の位置とに基づき、前記課金レートエリア境界への前記移動端末の接近を検出する境界接近検出手段と、この境界接近検出手段の検出結果に基づき、前記課金レートエリア境界への接近を示す境界接近情報を発生する境界情報発生手段と、この境界情報発生手段が発生した前記境界接近情報を前記移動端末に送信するデータ送信手段と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0006】
本発明の制御局装置によれば、移動端末に対し、課金レートの境界情報を境界位置に達する前に通知するので、移動端末の利用者は、不本意な課金レートの上昇を抑制すべく通信を短縮したり、停止するなど、通信料金を節約する自発的な活動がし易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる制御局10を含む移動体通信システムの構成図である。
【0009】
この移動体通信システムで制御局10は、図1に示すように、交換ネットワーク20に接続されている。この交換ネットワーク20には、交換局40Aおよび40Bが接続されている。交換局40Aおよび40Bには、各々複数の基地局30A1、…、30An、および基地局30B1、…、30Bnが接続される。
【0010】
各基地局30A1、…、30An、および各基地局30B1、…、30Bnは、それぞれ個別のサービスエリアを有し、自己のサービスエリアに進入ないし存在する携帯電話等の移動端末50に対し通信サービスを行う。すなわち、移動端末50の利用者が、ある基地局のサービスエリア内で通信サービスを要求すると、移動端末50と該当基地局との間で交信が開始され、該当基地局は、移動端末50の現在位置が自己のサービスエリア内であることを検出する。
【0011】
また、移動端末50の利用者が、例えば自動車の助手席に乗りながら移動して通信サービスを受けている場合には、各基地局30A1、…、30An、および基地局30B1、…、30Bnにより、移動端末50の現在位置は、順次継続的に検出される。
【0012】
このように移動端末50が、各基地局30A1、…、30An、および基地局30B1、…、30Bnのサービスエリアに進入する毎に該当する基地局は、該当移動端末50の識別番号や着信者の番号とともに、移動端末50の現在位置を示す自己のサービスエリアの識別番号を、交換局40Aないし交換局40Bを介することにより交換ネットワーク20を通じて、制御局10に伝える。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態1に係る制御局10の構成を示すブロック図である。制御局10は、データ送受信部11と位置情報管理部12と境界接近検出部15と境界情報発生部16とから主に構成される。位置情報管理部12は、移動端末位置監視部13と着信端末位置監視部14とで構成される。
【0014】
データ送受信部11は、交換ネットワーク20、交換局40Aないし交換局40Bを介して、基地局30A1、…、30An、基地局30B1、…、30Bn及び移動端末50とデータのやり取りを行う。
【0015】
位置情報管理部12は、移動端末50の位置と着信端末の位置とを一対として管理する。従って、位置情報管理部12は、着信端末が移動端末であった場合も、その相対位置の関係を出力することができる。
【0016】
位置情報管理部12は、データ送受信部11を通じて伝えられる移動端末50の現在位置を順次記憶し、移動端末50の位置を監視する移動端末位置監視部13と、着信端末の位置を監視する着信端末位置監視部14を具備している。着信端末が固定端末の場合は、着信端末位置監視部14に記憶される着信端末位置情報は変化しない。着信端末が移動端末の場合は、着信端末位置監視部14の記憶内容が、着信端末の移動に伴い変化する。これによって、位置情報管理部12は、きめ細かい通信サービスを行うためのデータを、他の部分、例えば、境界接近検出部15などに提供することができる。以下の説明は、着信端末が固定端末である場合について説明する。
【0017】
境界接近検出部15は、位置情報管理部12の移動端末位置監視部13から移動端末位置の情報を受けて、移動端末50の現在位置を知る。この現在位置は、先述したようにこの実施の形態1では、基地局30A1、…、30An、および基地局30B1、…、30Bnのサービスエリア単位で検出される。このようなサービスエリアが通常高々数キロメートル程度に定められるのに対し、単一の課金レートを定める、いわば課金レートエリアは相当大きく定められている。従って、移動端末50が移動をし、課金レートが変更になる課金レートエリア境界に達するまでには、複数の各基地局30A1、…、30An、および基地局30B1、…、30Bnのサービスエリアを通過するのが、通常状態となる。
【0018】
このようにして、移動端末50が移動を継続し、基地局30A1、…、30An、あるいは基地局30B1、…、30Bnのいずれかのサービスエリアに進入したとする。移動端末50の現在位置は、該当する基地局で検出され、データ送受信部11、移動端末位置監視部13を介して、境界接近検出部15に入力される。境界接近検出部15は、移動端末50が新たなサービスエリアに進入する毎に、課金レートエリア境界に接近したか判定する。なお、詳細は後述する。
【0019】
次に、課金レートエリア境界への接近が検出される場合について説明する。今、移動端末50が進入したサービスエリアの次のサービスエリアでは、課金レートが更新されるとする。すなわち、今進入したサービスエリアと次のサービスエリアとの間が、課金レートエリア境界であったとする。
【0020】
境界接近検出部15は、地図情報をデータベースとして格納しており、移動端末50が新たなサービスエリアに進入したことが移動端末位置監視部13からの出力により伝えられる毎に、そのサービスエリアと隣接するサービスエリアとの間で課金レートが変更される課金レートエリア境界が設定されているかを検出する。その結果、進行方向に隣接するサービスエリアとの間に課金レートエリア境界が存在することが判明すると、これは今回進入したサービスエリアを通過し終わると課金レートは更新されるので、移動端末50は、課金レートエリア境界に接近したことが検出される。これに伴い境界接近検出部15は、境界接近検出出力を境界情報発生部16に出力する。
【0021】
これを受けて境界情報発生部16は、「もうすぐ課金レートが更新される。」旨を表す境界接近情報を発生し、この情報に対応するデータをデータ送受信部11に出力する。
【0022】
データ送受信部11は、出力されたこのデータを、交換ネットワーク20を通じて、図1に示す交換局40Aあるいは交換局40Bのいずれか、さらに基地局30A1、…、30An、ないし基地局30B1、…、30Bnのいずれかを介して、該当する移動端末50に送信する。
【0023】
データを受けた移動端末50は、その内蔵した報知装置により利用者に対し、例えば「課金レートエリア境界に接近しました。もうすぐ課金レートは更新され、高くなります。」という趣旨の報知を行う。このような報知機能は、移動端末50の表示装置、あるいは音声報知装置など既存の装置を利用して、実現する。
【0024】
以上のようにこの実施の形態1によれば、移動端末50の利用者は、課金レートエリア境界に対して、基地局のサービスエリアの広さを単位として、課金レートエリア境界の手前の地点で課金レートの更新を知ることができる。
【0025】
なお、前記実施の形態1に関しては、課金レートへの接近を、基地局のサービスエリア1個を単位として検出したが、これは複数、例えば進行方向に2つのサービスエリアが存在する場合に、境界接近出力が出力されるよう、境界接近検出部15の設定を行ってもよい。
【0026】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係る制御局10の構成を示すブロック図である。図3において、図2と同じ機能を果たす部分については、同じ参照符号を付して、説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0027】
実施の形態2に係る制御局10は、課金レート算出部17が付加されている点で実施の形態1とは差異がある。課金レート算出部17は、境界接近検出部15と同様、地図情報をデータベースとして格納しており、かつ位置情報管理部12の移動端末位置監視部13より、移動端末50の現在位置が順次入力されている。
【0028】
今、移動端末50が新たなサービスエリアに進入すると、課金レート算出部17は、そのサービスエリアと隣接するサービスエリアとの間で課金レートが変更される課金レートエリア境界が設定されていないかを検出する。その結果、進行方向に隣接するサービスエリアとの間に課金レートエリア境界が存在することが判明すると、前記隣接するサービスエリアに進入した場合の課金レートを算出する。これに伴い、課金レート算出部17は、移動端末50が課金レートエリア境界に接近したこと、および更新された新たな課金レートが境界情報発生部16に出力する。
【0029】
これを受けて境界情報発生部16は、「もうすぐ課金レートが更新される。新たな課金レートは、××である。」旨を表す境界接近情報を発生し、この情報に対応する内容のデータをデータ送受信部11に出力する。
【0030】
以下、実施の形態1の場合と同様にして、課金レートエリア境界への接近と新たな課金レートは、移動端末50に伝えられる。その結果、移動端末50の利用者は、例えば「課金レートエリア境界に接近しました。もうすぐ課金レートは更新され、××円になります。」という趣旨の報知を受けることになる。
【0031】
上の実施の形態2においては、課金レート算出部17が新たな課金レートのみを伝えるようにしているが、現在位置での課金レートを記憶している場合には、この現在位置の課金レートも併せて境界情報発信部16に出力するようにしてもよい。これに伴い、実施の形態1の場合と同様に、境界情報が、データ送受信部11等を介して移動端末50に伝えられ、移動端末の10の利用者には、「課金レートエリア境界に接近しました。もうすぐ課金レートは更新され、現在は△△円ですが、××円になります。」と、より詳細な報知をしてもよい。
【0032】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3に係る制御局10の構成を示すブロック図である。図4において、図2と同じ機能を果たす部分については、同じ参照符号を付して、説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0033】
実施の形態3に係る制御局10は、位置情報管理部12で取り扱うデータが異なっている点、境界到達距離検出部153および課金レート算出部173が付加されている点で実施の形態1とは差異がある。
【0034】
実施の形態1においては、移動端末50の現在位置を基地局30A1、…、30An、ないし基地局30B1、…、30Bnが基地局単位で検出していたが、この実施の形態3においては、移動端末50がGPS(Global Positioning System)機能を有しており、移動端末50の現在位置は、GPSにより常時正確に検出されている。その結果、この移動端末50の現在位置は、図1に示す基地局30A1、…、30An、ないし基地局30B1、…、30Bnを経由し、交換ネットワーク20を介して制御局10のデータ送受信部11に伝えられ、この受信された移動端末50の現在位置は、位置情報管理部12の移動端末位置監視部13に随時、更新記憶される。このようなGPS機能を持つ移動端末50の機能を利用して、その現在位置を制御局で監視することは、従来周知の技術で実現できるので、詳細は省略する。
【0035】
移動端末位置監視部13に記憶された移動端末50の現在位置は、境界到達距離検出部153に伝えられる。境界到達距離検出部153は、実施の形態1における境界接近検出部15同様、地図情報をデータベースとして格納しており、その地図情報から移動端末50のGPSで与えられた現在位置と課金レートエリア境界の位置との距離、いわば到達距離を算出するとともに、その距離が所定値になると、課金レートエリアの境界に接近したことを示す信号を出力する。
【0036】
課金レート算出部173は、移動端末位置監視部13からの現在位置を示す信号を受け、現在の課金レートと、次の課金レートエリアでの課金レートを算出し、境界情報発生部16に出力する。
【0037】
今、移動端末50が課金レートエリア境界に接近し、境界到達距離検出部153から境界に接近したことを示す信号が出力されると、これは境界情報発生部16に伝えられる。これを受けて境界情報発生部16は、例えば「現在の課金レートは○○円である。課金レートエリア境界までの到距離は△△である。新たな課金レートは、××円である。」旨を表す情報を発生し、この情報に対応する内容のデータをデータ送受信部11に出力する。
【0038】
以下、実施の形態1の場合と同様にして、課金レートエリア境界への接近とその到達距離、現在の課金レートおよび新たな課金レートは、移動端末50に伝えられる。その結果、移動端末50の利用者は、例えば「課金レートエリアの境界に接近し、後△△距離を移動すると課金レートエリア境界に達します。現在の課金レートは○○円です。新たな課金レートは、××円になります。」という趣旨の報知を受けることになる。
【0039】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4に係る制御局10の構成を示すブロック図である。図5において、図4と同じ機能を果たす部分については、同じ参照符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0040】
実施の形態4に係る制御局10は、課金レートエリア境界接近の検出アルゴリズムが、実施の形態3と差異がある。実施の形態3では課金レートエリア境界への到達距離で課金レートエリア境界への接近を検出するが、この実施の形態4においては、課金レートエリア境界への到達時間で課金レートエリア境界接近を検出する。
【0041】
すなわち、境界到達時間検出部154は、実施の形態3の場合と同様、移動端末位置監視部13からの移動端末50の現在位置情報を受けて、課金レートエリア境界までの距離を算出する。加えて、境界到達時間検出部154は、所定時間前から現時点までの移動距離から、移動端末50の単位時間あたりの移動距離、すなわち移動速度を算出する。前記課金レートエリア境界までの距離を、この移動速度で割ることにより、課金レートエリア境界への到達時間を算出する。この算出された通達時間が所定値になると、これは移動端末50が課金レートエリア境界に接近したと判定し、境界接近検出出力を、到達時間を示す前記所定値とともに、境界情報発生部16に出力する。
【0042】
一方、境界情報発生部16には、実施の形態3同様、課金レート算出部173から現在の課金レートと、次の課金レートエリアでの課金レートが出力されている。
【0043】
この状態で、境界到達時間検出部154から検出出力が出されると、この出力を受けて境界情報発生部16は、例えば「課金レートエリア境界までの到達時間は△△である。現在の課金レートは○○円である。新たな課金レートは、××円である。」旨を表す情報を発生し、この情報に対応する内容のデータをデータ送受信部11に出力する。
【0044】
以下、実施の形態3の場合と同様にして、課金レートエリア境界への接近と、現在の課金レートおよび新たな課金レートは、移動端末50に伝えられる。その結果、移動端末50の利用者は、例えば「課金レートエリア境界に接近し、あと大体△△の時間が経つと課金レートが変更になります。現在の課金レートは○○円です。新たな課金レートは、××円になります。」という趣旨の報知を受けることになる。
【0045】
なお、到達時間情報は、各曜日の時刻毎の過去データに基づく交通渋滞情報を勘案して算出したり、別システム(例えば、VICSシステム)から提供される到達時間情報を流用して、算出することもできる。
【0046】
このように到達時間を通知すれば、単に距離情報を通知する場合よりも、一般的には、ばらつきの少ない課金レートエリアの境界情報を伝えることができ、車両渋滞によって到達時間がばらつく時は、利用者にとって特に便利である。一般に、通信料金、特に通話料金は、時間の長短によって設定される場合が多いからで、利用者が車の助手席にあって長時間通話をするような場合には、境界への到達時間が通知されることは、便利でありサービスは向上する。
【0047】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5に係る制御局10の構成を示すブロック図である。図6において、実施の形態3に係るブロック図である図4と同じ機能を果たす部分については、同じ符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0048】
この実施の形態5は、先述の各実施の形態が、課金レートエリア境界が単一の場合について説明したのに対し、課金レートエリア境界が複数ある場合を取り扱っている点で差異がある。
【0049】
移動端末50の現在位置は、移動端末位置監視部13を介して、境界方向検出部155に伝えられる。境界方向検出部155は、地図情報のデータベースを格納しており、移動端末位置監視部13から伝えられる移動端末50の現在位置と、課金レートエリアの境界位置との距離、いわば到達距離を算出するするとともに、その距離が境界接近と取り扱うべき設定値になると、課金レートエリア境界に接近したことを示す信号を出力する点で、実施の形態3における境界到達距離検出部153と同様である。
【0050】
但し、境界方向検出部155は、前記設定値が単一に設定されるのではなく、複数例えば2個設定されている。両方の設定値の間には数キロメートルの差をもって設定されているものとする。今、一方の設定値(この値は、他方の設定値よりは数キロメートル小さい。)まで移動端末50が接近したとする。境界方向検出部155は、これを受けて、他方の設定値が示す範囲に、別の課金レートエリアとの境界が存在しないかを検出する。別の課金レートエリアとの境界にも接近していることが検出されると、境界方向検出部155は、両方の境界が検出されたことを示す信号を、境界情報発生部16に出力する。
【0051】
課金レート群算出部175は、移動端末位置監視部13から移動端末50の現在位置を示す信号を受け、現在位置における課金レートを算出とともに、その周辺にある複数の課金レートエリアの境界と、各課金レートエリアの課金レートを算出する。これによって、境界方向検出部155が検出した複数の課金レートエリアの各課金レートが算出され、境界情報発生部16に伝えている。
【0052】
今、移動端末50が、前記一方の設定値で定まる境界への距離のところに達したとすると、境界情報発生部16では、二つの境界に関してその課金レートを比較し、いずれの方向への進行が安価であるかを判定する。
【0053】
この判定結果に応じて、ある方向に進行した場合の課金レート、また別の方向に進行した場合の課金レートを含む、境界情報を発生する。この境界情報は、「もうすぐ課金レートが更新される。ある方向に進行した場合の新たな課金レートは、いくらである。また、別のある方向に進行した場合の新たな課金レートは、いくらである。課金レートは、どの方向が安価である。」旨を表す情報を発生し、この情報に対応する内容のデータをデータ送受信部11に出力する。
【0054】
これに伴い、移動端末50では、例えば「課金レートエリア境界に接近し、ある方向に後△△距離を移動すると課金レート境界に達します。現在の課金レートは○○円です。新たな課金レートは、××円になります。別の方向に進むより、課金レートはお得です。なお、別の方向に進行する場合の課金レート等課金情報は次の通りです。・・・・」という内容の報知を、利用者に対して行う。
【0055】
なお、境界方向を含む境界情報は全てを報知すると大きくなるので、デフォルトで、あるいは利用者の設定により、一部のみが利用者に報知される様にしてもよい。例えば、先の報知において、「なお、別の方向に進行する場合の課金レート等課金情報は次の通りです。必要なら、追加情報キーを操作してください。」として、報知を短縮することができる。
【0056】
この実施の形態5では、課金レートエリア境界への接近を距離情報である到達距離に基づき検出したが、実施の形態4のように到達時間で検出してもよい。
【0057】
さらに、この実施の形態5では、課金レートエリア境界への接近を検出する設定値を複数設定したが、これは単一であってもよい。すなわち、課金レートエリア境界接近を定める到達距離を、比較的大きめに定めておき、この到達距離に達するとその距離以内にある複数方向の課金レート境界を検出し、各々について利用者に報知するようにしてもよい。このように到達距離などを大きくし、課金レートエリア境界に到達する相当以前に利用者に報知をすれば、利用者は報知のアドバイスにより、あるいは自己の判断により、安価な課金レートの方向を選定でき、特に土地勘を持っている利用者、あるいはカーナビゲーションシステムを利用している利用者には便利なサービスとなる。
【0058】
以上のように、本発明の実施の形態1ないし実施の形態5によれば、課金レートエリアの境界情報を事前に知ることができるので、利用者は自己に好適な対応を余裕を持って採ることができ便利である。
【0059】
なお、今後GPS機能搭載の移動端末50が多くなると、利用者へのサービス向上の観点から、課金レートの基本単位は細かい設定が可能となり、実施されると考えられる。ただし、本発明の実施にあたっては、課金レートの基本単位を基準に、課金の境界情報を送る必要はない。課金の基本単位ごとに境界情報が利用者に伝えられると、特に音声の場合には、課金レートの更新の報知が頻発し、かえってサービスの低下の要因となるからである。このような場合には、利用者が課金レート情報を受信する単位を設定できるようにすることができる。利用者は、課金レートが1円や2円更新するごとに境界情報が伝えられることは望まず、より高額な例えば50円単位での情報提供が望ましいと考える場合がる。例えば、移動端末50が高速で移動している場合には、より高額での情報提供を利用者が設定できるようにすることができる。
【0060】
また、課金レートの更新をどの程度で利用者に伝えるかについては、課金レートエリア境界情報の提供を停止させるための手段、例えば停止スイッチを移動端末50の一部に設け、この停止スイッチが押圧されたときはデータ送受信部11に課金レート境界情報が伝えられても、利用者への表示などの伝達が抑制されるようにしてもよい。この場合、この停止スイッチの押圧状況を学習して記憶する事により、利用者が希望しない小単位での課金レートの更新情報が自動的に通知されないよう抑制されるようにしてもよい。このように学習機能を設けると、利用者ごとに課金レート変更の通知頻度が最適に自動調整されるので、利用者へのサービスは一層向上する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、移動体通信システムにおいて、移動中の利用者に対し、課金レートエリア境界関連の情報を境界到達以前に通知するもので、移動体通信システムのサービス向上に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1に係る制御局を含む移動体通信システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態1に係る制御局の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態2に係る制御局の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態3に係る制御局の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態4に係る制御局の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態5に係る制御局の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0063】
10 制御局
11 データ送受信部
12 位置情報管理部
13 移動端末位置監視部
14 着信端末位置監視部
15 境界接近検出部
16 境界情報発生部
17 課金レート算出部
50 移動端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末へ提供する通信サービスに対する課金レートを管理する制御局装置であって、
移動端末の位置を管理する位置情報管理手段と、
この位置情報管理手段が出力する前記移動端末の位置と、前記課金レートが更新される課金レートエリア境界の位置とに基づき、前記課金レートエリア境界への前記移動端末の接近を検出する境界接近検出手段と、
この境界接近検出手段の検出結果に基づき、前記課金レートエリア境界への接近を示す境界接近情報を発生する境界情報発生手段と、
この境界情報発生手段が発生した前記境界接近情報を前記移動端末に送信するデータ送信手段と、
を具備することを特徴とする制御局装置。
【請求項2】
前記移動端末の位置に応じて前記移動端末に対する課金レートを算出する課金レート算出手段を具備し、
前記境界接近情報は、前記課金レートエリアの境界を越えたエリアでの課金レートを含むことを特徴とする請求項1記載の制御局装置。
【請求項3】
前記境界接近検出手段は、前記課金レートエリア境界との距離が所定値になると前記課金レートエリア境界への接近を検出し、前記境界接近情報には境界までの距離情報を含むことを特徴とする請求項1記載の制御局装置。
【請求項4】
前記境界接近検出手段は、前記境界に到達するまでの時間が所定値になると前記課金レートエリア境界への接近を検出し、前記境界接近情報には境界までの到達時間情報を含むことを特徴とする請求項1記載の制御局装置。
【請求項5】
通信料金が安くなる課金レートエリアとの境界への移動方向情報を算出する方向算出手段を備え、
前記境界接近情報は、前記境界への移動方向情報を含むことを特徴とする請求項1記載の制御局装置。
【請求項6】
移動端末へ提供する通信サービスに対する課金レートを管理する制御局装置の制御方法であって、
移動端末の位置を管理する位置情報管理ステップと、
この位置情報管理ステップで出力する前記移動端末の位置と、前記課金レートが更新される課金レートエリア境界の位置とに基づき、前記課金レートエリア境界への前記移動端末の接近を検出する境界接近検出ステップと、
この境界接近検出ステップの検出結果に基づき、前記課金レートエリア境界への接近を示す境界接近情報を発生する境界情報発生ステップと、
この境界情報発生ステップで発生した前記境界接近情報を前記移動端末に送信するデータ送信ステップと、
を具備することを特徴とする制御局装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−229296(P2006−229296A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37466(P2005−37466)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】