説明

制御放出製剤およびその調製法

【課題】 薬量−ダンピングを生ずることのない親水性の制御放出製剤を提供する。
【解決手段】 そのような親水性の制御放出製剤は、前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉、1以上の有効成分、1以上の粘稠な親水性ポリマーおよび場合により医薬的に許容され得る配合剤を含んで成る。好適な親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピル セルロースおよびヒドロキシプロピル メチルセルロースを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性の制御放出製剤から薬量−ダンピングを防止するための前糊化澱粉の使用に関する。また本発明は親水性の制御放出製剤、より詳細には親水性の制御放出マトリックス製剤、およびそれらから調製され、好ましくは1日に1回、経口投与するための固体剤形に関する。親水性の制御放出製剤は、前糊化澱粉、1以上の有効成分、1以上の粘稠な親水性ポリマーおよび場合により医薬的に許容され得る配合剤を含んで成る。好適な親水性ポリマーには、ヒドロキシプロピル セルロースおよびヒドロキシプロピル メチルセルロースを含む。
【0002】
国際公開第96/14070号明細書は、2つの親水性の粘稠なポリマー、特にヒドロキシプロピル セルロースおよびヒドロキシプロピル メチルセルロースのマトリックスに包埋された有効成分としてシサプリド(cisapride)-(L)-酒石酸塩を含んで成る経口投与用の持続型放出製剤を開示する。このような親水性ポリマーは水との接触で膨潤し、これにより有効成分が徐々に放出されるゲル層(gellayer)を形成する。
【0003】
国際公開第97/24109号明細書は、生物接着性の医薬組成物およびそれらから調製される固体剤形を記載し、これは医薬的に効果的な量の有効成分、生物接着性ポリマーとして組成物中に包含された80%〜98(重量/重量)%の前糊化澱粉、および1%〜10(重量/重量)%の親水性のマトリックス形成ポリマーを含んで成る。該投与剤形は、局所的に作用する有効成分あるいはまた全身的に作用する薬剤について、規則的でしかも徐放性パターンを有し、そしてそれらは経口、鼻、直腸および膣への投与に適している。
【0004】
欧州特許第0299877号明細書は、膨潤剤として少なくとも1つの高分子量セルロース ヒドロコロイド、特にヒドロキシプロピル メチルセルロース 15Pa.s、および希釈剤を含んで成る親水性マトリックス内に均質に分散されたサルブタモールまたはそれらの誘導体を含有する錠剤に関し、ここで該希釈剤は1つの固有の希釈剤および1つの増粘希釈剤、特に前糊化されたトウモロコシ澱粉を含んで成る。
【0005】
欧州特許第0280613号明細書は、1以上の水溶性のポリマー性物質、特にヒドロキシプロピル メチルセルロースおよび少なくとも1つの澱粉誘導体、特に前糊化トウモロコシ澱粉を含んで成る希釈剤を含んで成る水溶性マトリックス中に、ジヒドロエルゴタミンまたはその一誘導体の均一分散物を含んで成る錠剤を記載する。
【0006】
欧州特許第0477061号は、少なくとも1つの膨潤成分、特にヒドロキシプロピル メチルセルロース、および少なくとも1つの希釈剤に基づく親水性マトリックス中に均質な分散状態でイソソルビド 5-モノニトレートを含んで成る徐放性の錠剤を特許請求する。希釈剤は少なくとも1つの固有の希釈剤ならびに澱粉および澱粉誘導体のようなポリマーから選択されるの1つの増粘希釈剤を含む。
【0007】
独国特許第2,195,893号明細書は、薬理学的に活性な薬剤を、a)微結晶セルロースおよびb)ヒドロキシプロピル メチルセルロースの混合物中に含んで成る徐放性の医薬組成物を記載し、ここでa)対b)の重量比は少なくとも1:1であるが、ただし有効成分が遊離状態または塩の状態のアセチルサリチル酸以外である場合、活性薬剤も前糊化澱粉との混合物状態である。
【0008】
国際公開第97/04752号明細書は、抱合卵胞ホルモンの経口投与用の医薬組成物を記載する。抱合卵胞ホルモンは、ヒドロキシプロピル メチルセルロースおよび前糊化澱粉を含
んで成る1以上の有機賦形剤上に被覆され、後者は適当な結合剤として存在する。
【0009】
制御放出医薬調製物は、包含された有効成分(1つまたは複数)の期間中の放出を調節し、そして持効性、徐放性、緩効性、連続性、遅効性または持続性の調製物から成るので、それらは溶剤または即座に溶解する剤形のような通例の剤形によっては提供されない治療的または利便的目的を達成する。有効成分(1つまたは複数)の制御放出は、推薦される毎日の摂取量を減らすことにより患者の薬量学的スキームを単純化し、そして患者のコンプライアンスを向上する。一日に2または多数回摂取することの代わりに一日にわずか1回の摂取に対する患者の正の精神的効果を過小評価すべきではない。
【0010】
医薬調製物からの有効成分(1つまたは複数)の制御放出は、該有効成分(1つまたは複数)を、物理的または化学的からみ合いにより、イオン的または結晶的相互作用により、錯体の形成により、水素結合により、またはファンデルワールス力により一緒に保持された粘稠な親水性ポリマーの可溶性、一部可溶性または不溶性網目構造である親水性マトリックス中に均質に包埋することにより達成され得る。該親水性マトリックスは水との接触で膨潤し、これにより保護性のゲル層を作成し、これからちょうどよい時期に有効成分(1つまたは複数)がポリマー性網目構造からの拡散により、ゲル層の侵食により、ポリマーの溶解により、または該放出メカニズムの組み合わせのいずれかによりゆっくりと、徐々に、連続的に放出される。制御放出マトリックスの調製に通例使用される親水性ポリマーは、多糖、ポリアクリレートおよびポリアルキレンオキシドを含んで成る。効果的な経口用の制御放出調製物、特に1日に1または2回の制御放出調製物は、好ましくは薬剤の血漿濃度における望ましくない変動または完全な薬量−ダンピングを回避するように、胃腸管を通る通路に沿ってその薬物動態学上の放出プロフィールを保つ。これは胃腸管の内容物が胃腸管の異なる領域でイオン強度値に変動を表すので、好ましくは変動するイオン強度の媒質中で制御放出調製物は制御放出プロフィールを提供しなけれなならないこと、そして特に薬量−ダンピングを回避しなければならないことを意味している。
【0011】
制御放出調製物を摂食状態の患者に投与する時、食物に関連する薬量−ダンピングが起こるかもしれない。摂食した患者において食物に関連する薬量−ダンピングの問題は、多数の因子が関与し得る。このような因子の1つは、確かに胃がその内容物に作用する機械的な力、そしてこれは摂取した調製物への作用である。別の因子は胃腸管液のイオン強度であると思われる。胃腸管で遭遇するイオン強度値は、管の領域のみならず、摂取した食物によっても変動するので、制御放出製剤は患者が絶食または摂食状態にあるかどうかにかかわらず、好ましくは制御放出プロフィールを提供しなければならず、そして特に薬量−ダンピングを回避しなければならない。胃腸管液のイオン強度は、約0.01〜約0.2の範囲であり得る(Johnson et al.Int.J.Pharm.,90,151-159)。
【0012】
多くの場合で記号μ(時折、I)により表されるイオン強度は溶液の特性であり、そして
【0013】
【数1】

【0014】
式中、ciは第i番目のイオンのモル濃度であり、Ziはその電荷であり、そして合計を溶液中のすべてのイオンについて適用する、
と定義される(Martin,A.,1993,Physical Pharmacy,Williams & Wilkins,pp134-135)。こ
のようにイオン強度は溶液の性質であり、溶液中の特定のイオンの性質ではない。イオン強度は溶液中のすべてのイオンが溶液中の所定の電解質により形成されるイオンに影響を与える(imposed)、非-理想的なよい尺度を構成すると考えられている。
【0015】
周囲の媒質のイオン強度が親水性マトリックスの崩壊、ゲル化および粘度に及ぼす効果がこの技術文献には記載されている。
【0016】
Mitchell et al.(Pharmaceutical Technology.Controlled drug release,vol.2,by Wells,J.I.,Rubinstein,M.H.(Eds.),Eills Horwood Limited,pp.23-33,1991)は、ヒドロキシ
メチルセルロース(HPMC)K15マトリックス 錠剤の崩壊およびゲル化に及ぼす電解質の効果を開示する。低いイオン強度の周囲媒質で、HPMCマトリックスは電解質による影響を受けず、そして水和が起こって完全なゲル層を生成する。しかし中程度のイオン強度では、マトリックスは形状および完全性を失い、そしてそれらは急速に崩壊する。周囲媒質中の溶質濃度が上昇する場合、水和の低下によりゲル化が防止されるので、錠剤は制御放出マトリックスとして作用しなくなる。すなわち周囲媒質中に存在する電解質は、HPMCマトリックスからの薬剤の放出プロフィールを改質することができる。薬剤そのものも水和、そしてこのようにHPMCのゲル化に影響を及ぼすことができる。これゆえに薬剤は自身の放出を決定するのに積極的な役割を果たし得る(Mitchell et al.Int.J.Pharm.,1993,100,165-173)。その結果、HPMCマトリックス中への薬剤の取り込みは予期することができない溶解プロフィールををもたらし、したがって剤形の予期することができない治療効力をもたらすかもしれない。
【0017】
種々のイオン強度の塩化ナトリウム溶液中のキサンタンガム マトリックス錠剤の膨潤特性は、Int.J.Pharm.,1995,120,63-72に記載されている。生理学的なイオン強度の範囲内で、キサンタンガム錠剤の膨潤は塩濃度と逆の相関を示す。
【0018】
予期せずに、親水性マトリックス製剤の制御放出プロフィールに及ぼす放出媒質のイオン強度の傷害または破壊効果は、製剤に前糊化澱粉を加えることにより対抗できることが見いだされた。親水性のマトリックス製剤の制御放出プロフィールに影響を及ぼすイオン強度の傷害効果は前記に示した通り、粘稠な親水性マトリックスポリマーの水和における変化に寄与し得る。該マトリックスポリマーは、放出媒質のイオン強度を作る溶質と水和水を競わなければならない。その結果、ポリマーは崩壊に対して許容できる抵抗を持つ十分に完全なマトリックスの形成を確実とするほどには水和することができない。マトリックスポリマーの水和はほとんど、またはさらには完全に抑制されるので、マトリックスは直ちに、例えば放出媒質中に投与されてから15分の時間間隔内でほとんど崩壊する。前糊化澱粉を製剤中に包含させることにより、親水性の制御放出製剤からの有効成分(1つまたは複数)の制御放出は、変化するイオン強度の放出媒質中、特にイオン強度値が上がる放出媒質中、より特別には最高0.4の範囲のイオン強度値の放出媒質中、さらにより一層特別には、生理学的条件下で遭遇するイオン強度値の放出媒質中、すなわち絶食ならびに摂食状態の両方の全胃腸管にわたり、そして最も特別には約0.01から約0.2の範囲のイオン強度値の放出媒質中で保護され、または維持され得る。
【0019】
このように本発明は、製剤から有効成分(1つまたは複数)の制御放出に及ぼす放出媒質のイオン強度の傷害効果に抵抗するために、1以上の有効成分および1以上の粘稠な親水性ポリマーを含んで成る親水性の制御放出製剤中に前糊化澱粉を使用すること、あるいはイオン強度が変化する放出媒質中、特にイオン強度が上がる放出媒質中、より特別には最高0.4の範囲のイオン強度値の放出媒質中、さらにより一層特別には、生理学的条件下で遭遇するイオン強度値の放出媒質中、すなわち絶食ならびに摂食状態の両方の全胃腸管にわたり、そして最も特別には約0.01から約0.2の範囲のイオン強度値の放出媒質中で、該製剤から有効成分(1つまたは複数)の制御放出を維持するために、1以上の有効成分
および1以上の粘稠な親水性ポリマーを含んで成る親水性の制御放出製剤中に於いて前糊化澱粉を使用することに関する。また本発明は、絶食または摂食状態の両方で、胃腸管にわたり該製剤からの薬量-ダンピングを防止するために、より特別には食物に関連する薬量−ダンピングを防止するために、1以上の有効成分および1以上の粘稠な親水性ポリマーを含んで成る親水性の制御放出製剤中に前糊化澱粉を使用することを含む。
【0020】
本明細書でこれまでに、または今後使用する用語「放出媒質」とは、親水性の制御放出製剤からの有効成分(1つまたは複数)の放出が起こり得るすべての種類の液体媒質、すなわち例えばインビトロの溶解媒質を包含するが、体液、より詳細には胃腸管液も包含する。
【0021】
「製剤から有効成分(1つまたは複数)の制御放出を維持するために」という用語は、製剤から有効成分(1つまたは複数)がゆっくりと、次第に、連続的に、長期間、徐々に、または持続的にちょうどよい時期に放出されることを意味する。特に用語「製剤からの有効成分(1つまたは複数)の制御放出」という用語は、製剤が経口投与直後に有効成分を放出せず、しかも米国薬局方 24,p2059に従い制御放出と交換可能な持続型放出に関する定義に従い、製剤が投薬頻度を減らすことを可能とすることを示す。持効型作用、徐放型放出または持続型放出と同義的に使用される制御放出では、その剤形は通例の剤形(例えば溶剤、即座に薬剤を放出する通例の固体剤形)として与えられるもとの比べて少なくとも2倍の投薬頻度の減少、または患者のコンプライアンスまたは治療性能の有意な上昇を可能とする固体剤形として記載されている。
【0022】
用語「薬量−ダンピング」は当業者には周知であり、そして制御放出製剤として使用されることを意図する製剤中に包含された有効成分(1つまたは複数)のほとんどの部分またはすべての急激な放出と定義する。放出が期間中にわたり持続する代わりに、全用量または少なくともそれらの大部分が短期間の内に放出される。これは深刻な逆効果または有効成分およびそれらの効力次第では死さえも引き起こすかもしれない。
【0023】
本発明は、前糊化澱粉、1以上の有効成分、1以上の粘稠な親水性ポリマーおよび場合により医薬的に許容され得る配合剤を含んで成り、前糊化澱粉は製剤がイオン強度値が変化する放出媒質中へ、特にイオン強度が上がる放出媒質中へ、より特別には最高0.4の範囲のイオン強度値の放出媒質中へ、さらにより一層特別には生理学的条件下で遭遇するイオン強度値、すなわち絶食ならびに摂食状態下の両方で全胃腸管にわたり、そして最も特別には約0.01〜約0.2の範囲のイオン強度値の放出媒質中へ、包含された有効成分(1つまたは複数)の制御放出の維持を可能とすることを特徴とする親水性の制御放出製剤に関する。また本発明は、前糊化澱粉、1以上の有効成分、1以上の粘稠な親水性ポリマーおよび場合により医薬的に許容され得る配合剤を含んで成り、前糊化澱粉は絶食ならびに摂食状態の両方で胃腸管にわたり該製剤からの薬量−ダンピングを防止し、より特別には前糊化澱粉は食物が関連する薬量−ダンピングを防止することを特徴とする親水性の制御放出製剤に関する。
【0024】
本発明の製剤は、
(a)4〜8時間以下のオーダーの短い半減期を持ち、通例の調製物中で投与される時に1日に数回に分けた用量で摂取しなければならない;または
(b)狭い治療指数を持つ;または
(c)全胃腸管にわたり十分に吸収される;
(d)治療に効果的な用量が比較的少量である、
1以上の有効成分を投与するために特に有用である。
【0025】
適当な有効成分は、局所的な生理学的効果を発揮するもの、ならびに経口投与後に全身
的効果を発揮するものである。そのような例は以下の;
−鎮痛および抗-炎症性薬剤(NSAID、フェンタニール、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン(nabumetone)、パラセタモール、ピロキシカム、トラマドール、セロコキシブ(celecoxib)およびロフェコキシブ(rofecoxib)のようなCOX-2インヒビター);
−抗-不整脈剤(プロカインアミド、キニジン、ベラパミル);
−抗細菌および抗原生動物剤(アモキシリン、アンピシリン、ベンザチン ペニシリン、ベンジルペニシリン、セファクロール、セファドロキシル、セフプロジル(cefprozil)、セフロキシム アキセチル(cefuroxime axetil)、セファレキシン、クロラムフェニコール、クロロキン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン(clarithromycin)、クラブラン酸、クリンダマイシン、ドキシサイクリン(doxyxyclin)、エリスロマイシン、フルクロキサシリン(flucloxacillin) ナトリウム、ハロファントリン(halofantrine)、イソニアジド、硫酸カナマイシン、リンコマイシン、メフロキン、ミノサイクリン、ナフシリン ナトリウム、ナリジクス酸、ネオマイシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン(ofloxacin)、オキサシリン、フェノキシメチル-ペニシリン カリウム、ピリメタミン-スルファドキシム、ストレプトマイシン);
−抗-凝固剤(ワルファリン);
−抗鬱剤(アミトリプチリン、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン(dothiepin)、ドキセピン、フルオキセチン、レボキセチン(reboxetine)、アミネプチン(amineptine)、セレジリン、ジェピロン、イミプラミン、炭酸リチウム、ミアンセリン、ミルナシプラン(milnacipran)、ノルトリプチリン、パロキセチン(paroxetine)、セルトラリン(sertraline);3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフラン[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン);
−抗糖尿病剤(グリベンクラミド(glibenclamide)、メトホルミン);
−抗癲癇剤(カルマバゼピン、クロナゼパム、エトスクシミド、ガバペンチン(gabapentin)、ラモトリジン、レベチラセタム(lavetiracetam)、フェノバルビトン(phenobarbitone)、フェニトイン、プリミドン、チアガビン(tiagabine)、トピラメート(topiramate)、バルプロミド(valpromide)、ビガバトリン);
−抗菌剤(アンホテリシン、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール(fluconazole)、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール(itraconazole)、ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン(terbinafine)、ボリコナゾール(voriconazole));
−抗ヒスタミン剤(アステミゾール、シンナリジン(cinnarizine)、シプロヘプタジン、デカルボエトキシロラタジン(decarboethoxyloratadine)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、フルナリジン、レボカバスチン(levocabastine)、ロラタジン(loratadine)、ノルアステミゾール(norastemizole)、オキサトミド(oxatomide)、プロメタジン、テルフェナジン);
−抗-高血圧剤(カプトプリルエナラプリル、ケンタセリン、リジノプリル、ミノキシジル、プラゾシン、ラミプリル(ramipril)、レセルピン、テラゾシン);
−抗-ムスカリン作用剤(硫酸アトロピン、ヒオスシン);
−抗腫瘍剤および代謝拮抗物質(シスプラチン、カルボプラチンのような白金化合物;パクリタキセル、ドセタキセル(docetaxel)のようなタキサン(taxane);カンプトテシン(camptothecin)、イリノテカン(irinotecan)、トポテカン(topotecan)のようなテカン(tecan);ビンブラスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビノレルビン(vinorelbine)のようなビンカ アルカロイド;5-フルオロウラシル、カペシタビン(capecitabine)、ジェムシタビン(gemcitabine)、メルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン(cladribine)、メトトレキセートのようなヌクレオシド誘導体および葉酸アンタゴニスト;ナイトロジェン マスタード、例えばシクロホスファミド、クロラムブシル(chlorambucil)、クロルメチン(chlormethine)、イホスファミド(iphosphamide)、メルファラン(melphalan)、あるいはニトロソウレア、例えばカルムスチン、ロムスチンのよう
なアルキル化剤、あるいは他のアルキル化剤、例えばブスルファン、ダルカルバジン、プロカルバジン、チオテパ;ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン(idarubicin)、エピルビシン(epirubicin)、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、マイトマイシンのような抗生物質;トラスツズマブ(trastuzumab)のようなHER 2抗体;エトポシド、テニポシド(teniposide)のようなポドフィロトキシン誘導体;ファルネシル トランスフェラーゼ インヒビター;ミトザントロンのようなアントラキノン誘導体);
−抗-偏頭痛剤(アルニジタン(alniditan)、ナラトリプタン(naratriptan)、スマトリプタン(sumatriptan));
−抗-パーキンソン剤(ブロモクリプチン メシレート(bromocryptine mesylate)レボトバ、セレジリン);
−抗精神性、催眠性および鎮静剤(アルプラゾラム、ブスピロン、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、クロルプロマジン(chlorpromazine)クロザピン、ジアゼパム、フルペチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、9-ヒドロキシリスペリドン(hydroxyrisperidone)、ロラゼパム、マザペルチン(mazapertine)、オランザピン(olanzapine)、オキサゼパム、ピモジド、ピパンペロン、ピラセタム(piracetam)、プロマジン、リスペリドン(risperidone)、セルホテル(selfotel)、セロクエル(seroquel)、セルチンドール(sertindole)、スルピリド、テマゼパム、チオチキセン、トリアゾラム、トリフルペリドール、ジプラシドン(ziprasidone)、ゾルピデム);
−抗-発作剤(ルベルゾール(lubeluzole)、ルベルゾール オキシド(lubeluzole oxide)、リルゾール(riluzole)、アプチガネル(aptiganel)、エリプロジル(eliprodil)、レマセミド(remacemide));
−鎮咳剤(デキストロメトルファン、レボドロプロピジン(laevodropropizine));
−抗ウイルス剤(アシクロビル、ガンシクロビル、ロビリド(loviride)、チビラピン(tivirapine)、ジドブジン、ラミブジン(lamivudine)、ジドブジン+ラミブジン、ジダノシン(didanosine)、ザルシタビン(zalcitabine)、スタブジン(stavudine)、アバカビル(abacavir)、ロピナビル(lopinavir)、アンプレナビル(amprenavir)、ネビラピン(nevirapine)、エファビレンズ(efavirenz)、デラビルジン(delavirdine)、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)、サキナビル(saquinavir)、アデホビル(adefovir)、ヒドロキシウレア);
−ベータ-アドレナリン作用性受容体剤(アテノロール、カルベディロール、メトプロロール、ネビボロール(nebivolol)、プロパノルオール);
−心変力性剤(アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、ミルリノン);
−コルチコステロイド(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメゾン、ブデソニド(budesonide)、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン);
−殺菌剤(クロルヘキシジン);
−利尿剤(アセタゾラミド、フルセミド(frusemide)、ヒドロクロロチアジド、イソソルビド);
−酵素;
−精油(アネトール、アニス油、キャラウェイ、カルダモン、カシア油、シネオール、シナモン油、クローブ油、コリアンダー油、脱メントール化(dementholised)ミント油、ディル油、ユーカリ油、オイゲノール、ジンジャー、レモン油、からし油、ネロリ油、ナツメグ油、オレンジ油、ペパーミント、セージ、スペアミント、テルピネオール、タイム);
−胃腸薬(シメチジン、シサプリド(cisapride)、クレボプリド(clebopride)、ジフェノキシラート、ドンペリドン、ファモチジン、ランソプラゾール(lansoprazole)、ロペルアミド(loperamide)、ロペルアミド オキシド(loperamide oxide)、メサラジン(mesalazine)、メトクロプラミド(metoclopramide)、モサプリド(mosapride)、ニザチジン、ノルシスアプリド(norcisapride)、オルサラジン(olsalazine)、オメプラゾール、パントプラゾール(pantoprazole)、ペルプラゾール(perprazole)、プルカロ
プリド(prucalopride)、ラベプラゾール(rabeprazole)、ラニチジン、リドグレル(ridogrel)、スルファサラジン(suphasalazine));
−止血剤(アミノカプロン酸);
−脂質調節剤(アトルバスチン(atorvastine)、セバスタチン、プラバスタチン、プロブコール、シンバスタチン);
−局所麻酔剤(ベンゾカイン、リグノカイン(lignocaine));
−オピオイド鎮痛剤(ブプレノルフィン、コデイン、デキストロモルアミド、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、モルフィネ);
−副交感神経作用性および抗痴呆剤(AIT-082、エプタスチグミン(eptastigmine)、ガランタミン、メトリホナート、ミラメリン(milameline)、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、タクリン、ドネペジル(donepezil)、リバスチグミン(rivastigmine)、サブコメリン(sabcomeline)、タルサクリジン(talsaclidine)、キサノメリン(xanomeline)、メマンチン(memantine)、ラザベミド(lazabemide));
−ペプチドおよびタンパク質(抗体、ベカルプレルミン(becaplermine)、シクロスポリン、エリスロポエチン、免疫グロブリン、インスリン);
−性ホルモン(卵胞ホルモン:抱合卵胞ホルモン、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、エストロン;プロゲステロン;酢酸クロマジン、酢酸シプロテン、17-デアセチル ノルゲスチメート(deacetyl norgestimate)、デソゲストレル(desogestrel)、ジエノゲスト(dienogest)、ジドロゲステロン、エチノジオール(ethynodiol) ジアセテート、ゲストデン(gestodene)、3-ケト デソゲストレル(keto desogestrel)、レボノルゲストレル(levonorgestrel)、リネストレノール、酢酸メトキシプロゲステロン、メゲステロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート(norgestimate)、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン(norgestrienone)、プロゲステロ
ン、酢酸キンゲスタノール);
−刺激剤(シルデナフィル(sildenafil));
−血管拡張剤(アムロジピン、ブフロメジル(buflomedil)、亜硝酸アミル、ジルチアゼム、ジピリダモール、三硝酸グリセリル、イソソルビドジニトレート、リドフラジン、モルシドミン(molsidomine)、ニサルジピン、ニフェジピン、オキシペンチフィリン(oxpentifylline)、三硝酸ペンタエリスリトール);
、それらのN-オキシド、それらの医薬的に許容され得る酸または塩基付加塩およびそれらの立体化学異性体である。
【0026】
医薬的に許容され得る酸付加塩は、有効成分の塩基形を適当な有機および非有機酸で処理することにより都合良く得ることができる酸付加塩の形態から成る。
【0027】
酸性のプロトンを含む有効成分は、それらの非毒性の金属またはアミン付加塩形に、適当な有機および無機塩基を用いた処理により転換することができる。
【0028】
用語、付加塩基は有効成分が形成することができる水和物および溶媒付加形態も含んで成る。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラート等である。
【0029】
有効成分のN-オキシド形は、1または幾つかの窒素原子がいわゆるN-オキシドに酸化されたそのような有効成分を含んで成る。
【0030】
用語「立体化学的異性体」とは、有効成分が有することができるすべての可能な立体化学的異性体と定義する。より詳細には、立体中心はR-またはS-配置を有することができ、そして1以上の二重結合を有する有効成分は、E-またはZ-配置を有することができる。
【0031】
有効成分の興味深い群は上記にこれまでに記載したものであるが、ただしサルブタモール、イソソルビド 5-モノニトレート、ジヒドロエルゴタミン、ビタミンB12、抱合卵胞ホルモン、アセチルサリチル酸、フルオライド、ミコナゾールおよびトリアムシノロンは含めない。
【0032】
別の有効成分の興味深い群は上記にこれまでに記載したものであるが、ただしジフェニルドラミンと組み合わせたサルブタモール、イソソルビド 5-モノニトレート、ジヒドロエルゴタミン、ビタミンB12、抱合卵胞ホルモン、アセチルサリチル酸、フルオライド、ミコナゾールおよびトリアムシノロン、アシクロビル、ラモトリジンおよびアセトアミノフェンは含めない。
【0033】
1以上の有効成分が存在するという観点から、本発明は薬剤として使用するための上記記載の親水性の制御放出製剤にも関する。
【0034】
これまでに記載したように、前糊化澱粉を本発明の製剤に含んで成る。前糊化澱粉は容易に入手できる製品であり、これは澱粉の前煮沸および乾燥により製造することができる。前糊化澱粉は水中で再構成した後に粘稠なペーストを与えるために食品産業で広く使用されている。
【0035】
前糊化は:
・噴霧乾燥:このようにして製造される前糊化澱粉は中空球状から成り、通常は中心に封入された気泡を含む。それらは最初に澱粉を水中で煮て、そして次に熱いペーストを乾燥チャンバーまたは塔中で噴霧することにより得られる;
・ロール−乾燥:このようにして製造される前糊化澱粉は透明の平らな不揃いの小板の外観の粒子から成る。一般にこのような生成物は、近くに設定されたスキージーロールの対または近くに設定されたドクターブレイドをもつ単一ロールのいずれかを使用して加熱ロール上で同時に煮て、そして乾燥される。いずれの場合でも紙一枚のフレークが得られ、次いでこれをメッシュサイズに挽いく;
・押出しまたはドラム−乾燥:このようにして製造される前糊化澱粉は、ロール−乾燥生成物よりも厚く、しかもより不揃いの個別の粒子から成る。ドラム−乾燥はロール−乾燥と、より厚い澱粉ペーストのコーティングを加熱したロールに適用する点を除き同じであり、そして次に乾燥した生成物を所望の粒子サイズに挽く。押出し法は、加湿した澱粉を大変高い剪断下で超加熱したチャンバーに通し、次いで延ばし、そして同時に大気圧でベンチングすることにより乾燥する。
【0036】
前糊化澱粉の好適な形態は、ドラム乾燥したワクシートウモロコシ澱粉であり、これはセレスター ベネルクス(Cerestar Benelux)(ブレダ、オランダ国)から入手することができる。
【0037】
本発明の親水性の制御放出製剤中の前糊化澱粉の重量百分率は、好ましくは約0.01%〜80(重量/重量)%未満、より好ましくは約0.01%〜約15%、さらにより好ましくは約0.01%〜約5%、そして最も好ましくは約5%である。
【0038】
制御放出マトリックスを構成する親水性ポリマーは、好ましくは有効成分(1つまたは複数)を、徐々に、ゆっくりと、連続的に放出する。それらは投与後に水性流体との接触で膨潤し、粘稠な薬剤放出を調節するゲル層を生じる。ポリマーの粘度は好ましくは150〜100,000mPa.s(20℃で2%水溶液の見掛粘度)である。そのようなポリマーの例は
−メチルセルロースのようなアルキルセルロース;
−ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロース;
−ヒドロキシエチルメチルセルースおよびヒドロキシプロピルメチルセルースのようなヒドロキシアルキルアルキルセルロース;
−カルボキシメチルセルロースのようなカルボキシアルキルセルロース;
−カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩;
−カルボキシメチルエチルセルロースのようなカルボキシアルキルアルキルセルロース;−カルボキシアルキルセルロースエステル;
−アルギン酸、それらのアルカリ金属およびアンモニウム塩、カラゲニン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビア ゴム、グアガム、キサンタンガム、澱粉、カルボキシメチルアミロペクチン ナトリウムのようなペクチン、キトサンのようなキチン誘導体、ポリフラクタン、イヌリンのような他の天然、半合成または合成多糖;
−ポリアクリル酸およびそれらの塩;
−ポリメクタリル酸およびそれらの塩、メタクリレートコポリマー;
−ポリビニルアルコール;
−ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー;
−ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンの組み合わせ;
−ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのようなポリアルキレンオキシドならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー。
【0039】
好ましい親水性ポリマーは多糖、より特別にはセルロース誘導体、そして最も特別にはエーテル誘導体である。
【0040】
最も好適なセルロースエーテル誘導体は、ヒドロキシプロピル メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースである。
【0041】
様々な粘度等級のヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが市販されている。
【0042】
本発明で好ましく使用するヒドロキシプロピルメチルセルロースは、約3,500mPa.s〜約100,000mPa.sの範囲、特に約4,000mPa.s〜約20,000mPa.sの範囲の粘度等級、そして最も特別には約6,500mPa.s〜約15,000mPa.sの範囲の粘度等級(20℃で2%水溶液の見掛粘度)を有し、例えばhypromellose 2208(ダウ(DOW)、アントワープ、ベルギー)である。
【0043】
1,500mPa.s(20℃で2%水溶液の見掛粘度)未満の粘度を有するヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、特に約150〜約700mPa.s、好ましくは200〜600mPa.sの範囲の粘度を有するヒドロキシプロピルセルロース、例えばKlucel EF(商標)(ヘリキュラス、ウィルミントン、米国)が好ましい。
【0044】
マトリックスを構成する粘稠な親水性ポリマーは、主に調製物の制御された薬物動態学的な放出プロフィールを提供する。調製物に加工されるポリマーの量に依存して、放出プロフィールを変えることができる。好ましくは本製剤中の粘稠な親水性ポリマーの量は、約0.01〜約80(重量/重量)%の範囲である。さらにポリマーの組み合わせを使用する場合、該ポリマーの比率も調製物の放出プロフィールに影響を及ぼす。例えば1以上の親水性ポリマー、好ましくはセルロース誘導体、より特に好ましくはヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用する時、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量百分率(重量/重量%)は、好ましくは0〜約16%;ヒドロキシプロピルセルロースの重量百分率は、好ましくは約25%から約62%の間の範囲である。ヒドロキシプロピルセルロース対ヒドロキシプロピルメチルセルロースの比率は、好ましくは1:5〜5:1、より好ましくは1:1〜5:1、そして最も好ましくは3:1〜5:1の範囲である。
【0045】
異なるポリマーの組み合わせにより、有効成分(1つまたは複数)がマトリックスから放出される異なるメカニズムを組み合わせる可能性が提供される。そのような組み合わせは、調製物の薬物動態学的放出プロフィールの制御を自在にし易すくする。これまでに述べたように、有効成分を親水性マトリックスから放出することができる3つの主なメカニズムが存在する:溶解、侵食および拡散である。有効成分が可溶性ポリマーのマトリックスの網目構造に均一に分散している時、有効成分は溶解メカニズムにより放出されるだろう。この網目構造は次第に胃腸管中で溶解し、これによりその装填量を徐々に放出する。マトリックスポリマーはマトリックス表面から徐々に侵食され、同様に有効成分をちょうど良い時期に放出することができる。有効成分が不溶性のポリマーでできたマトリックス中に加工される場合、有効成分は拡散により放出されるだろう;胃腸管の流体が不溶性のスポンジ−様マトリックスに浸透し、そして装填された薬剤を放出して拡散する。
【0046】
ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するマトリックスからの1以上の有効成分の放出は、放出メカニズムの組合わせにより起こる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースはヒドロキシプロピルセルロースに比べて溶解度が高いので、前者はマトリックスから次第に溶解し、そして侵食されが、後者はよりスポンジ−様マトリックスとして作用し、有効成分を主に拡散により放出する。
【0047】
有効成分(1つまたは複数)、親水性ポリマーおよび前糊化澱粉の外に、本発明の製剤は調製物の製造、圧縮性、外見および味を向上させるために、場合により医薬的に許容され得る配合剤を含んでもよい。このような配合剤は、例えば希釈剤または増量剤、グライダンツ、結合剤、造粒剤、凝結防止剤、潤滑剤、香料、色素および保存剤を含んで成る。
【0048】
増量剤は可溶性増量剤、例えばシュクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、イヌリンから、および不溶性増量剤、例えばリン酸二カルシウムまたは三カルシウム、タルクから選択することができる。興味深い増量剤は、ラクトース、特にラクトース1水和物である。種々の等級のラクトースを使用することができる。本発明で好ましく使用するラクトースの1種は、ラクトース1水和物200メッシュ(DMV、ヴェゲール、オランダ)である。別のラクトース1水和物、DCL11型のラクトース1水和物(DMV、ヴェゲール、オランダ)も好ましく使用することができる。表示DCLは「直接圧縮ラクトース(Direct Compression Lactose)」を示す。数字11は、製造元の参照番号である。この種のラクトースは98(重量/重量)%の粒子が250μmよりも小さい直径を有し、30(重量/重量)%〜60(重量/重量)%の粒子が100μmの直径を有し、そして最大15(重量/重量)%の粒子が45μmよりも小さい直径を有することを特徴とする。
【0049】
増量剤の重量百分率は約6%〜約54(重量/重量)の間の範囲%である。
【0050】
場合によりさらにマトリックス製剤中に含んで成ることができる配合剤の中で、ポリビドン;澱粉;アカシア ガム;ゼラチン;海草誘導体、例えばアルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびカルシウム;セルロース誘導体、例えば有用な結合および造粒特性を有するエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;コロイド状シリカ、澱粉またはタルクのようなグライダンツ;ステアリン酸および/またはパルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ラウリル硫酸ナトリウムまたはマグネシウムのような潤滑剤;タルクおよびトウモロコシ澱粉のような粘着防止剤を挙げることができる。
【0051】
上記の医薬的に許容され得る配合剤に加えて、シクロデキストリンまたはそれらの誘導体も本制御放出製剤に含めて、有効成分(1つまたは複数)の溶解速度を向上させることができる。このために、推薦できるシクロデキストリンまたはそれらの誘導体の量は、均
等な量の増量剤と置き換えてよい。
【0052】
経口の固体制御放出剤形からの薬剤放出、そして続いて胃腸管から血流への薬剤の吸収は溶解−速度依存的であり、そして米国薬局方24、第10頁に従い、水に解けずらい、わずかに水溶性、大変わずかに水溶性、現実的には非水溶性または非水溶性の場合、遅くなり、しかも不規則になり得る。
【0053】
pH依存的な溶解性を持つ薬剤の場合、剤形からの薬剤の放出そして続いて血流への吸収は、胃腸管に沿って剤形が通過する間に変動し得る。これは特にpHが上昇するにつれて溶解性が下がるアルカリ薬剤に関係する。胃腸管に沿って通過する時、制御放出製剤は実質的な期間、管腔内容物の平均pH値が7.5(回腸)から、6.4(右結腸)を越えて7.0(左結腸)に変動する管(回腸および結腸)の下部に留まる(Evans et al.,Gut,29,1035-1041,1988;Wilson and Washington,in Physiological Pharmaceutics,Ellis Horwood Limited,West Sussex,UK,pp21-36,1989)。この胃腸管下部でのより高いpH値は、上部と比較した時にアルカリ薬剤の溶解性の低下を引き起こし、剤形からの低い薬剤放出をもたらし、したがって低く、しかもゆっくりとした薬剤吸収をもたらす。
【0054】
シクロデキストリンまたはそれらの誘導体は、一般に錯化剤として知られている。薬剤/シクロデキストリン錯体を本発明の制御放出製剤に取り込むことにより、水に解けずらい、わずかに水溶性、大変わずかに水溶性、現実的には非水溶性または非水溶性の薬剤あるいはpH依存的溶解性を有する薬剤の溶解速度および続く吸収特性を向上させることができる。特に該薬剤のより迅速またはより規則的な放出が提供され;好ましくはゼロ次元の放出が得られる。溶解−速度強化機能の外に、シクロデキストリンまたはそれらの誘導体は、本製剤の侵食要素としても作用し得る。
【0055】
本発明で使用するシクロデキストリンは、医薬的に許容され得る当該技術分野で既知の非置換および置換シクロデキストリン、より詳細にはα、βまたはγシクロデキストリンまたは医薬的に許容され得るそれらの誘導体を含む。
【0056】
本発明で使用できる置換シクロデキストリンは、米国特許第3,459,731号明細書に記載されているポリエーテルを含む。一般に非置換シクロデキストリンを、アルキレンオキシドと、好ましくは過圧下および高温で、アルカリ触媒の存在下で反応させる。
【0057】
シクロデキストリンのヒドロキシ部分は、別の分子のアルキレンオキシドとも反応することができるアルキレンオキシドにより置換することができるので、平均モル置換度(MS)を、グルコース単位あたりの置換剤の平均モル数の尺度に使用する。MSは3より大きくなることができ、理論的には限界がない。
【0058】
さらなる置換シクロデキストリンは、1以上のシクロデキストリンのヒドロキシ基の水素がC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、カルボキシC1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシカルボニルC1-6アルキルにより置換されたエーテルであり、またはそれらの混合エーテルである。特にそのような置換シクロデキストリンは、1以上のシクロデキストリンのヒドロキシ基の水素がC1-3アルキル、ヒドロキシC2-4アルキルまたはカルボキシC1-2アルキルにより、またはより特別にはメチル、エチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、カルボキシメチルまたはカルボキシエチルにより置換されたエーテルである。
【0059】
前述の定義において、用語「C1-2アルキル」は、メチルまたはエチルのような1または2個の炭素原子を有する飽和炭化水素基を含むことを意味し;用語「C1-3アルキル」は、1〜3個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖の飽和炭化水素基を含むことを意味し
、用語「C1-2アルキル」について記載したものおよび1-メチルエチル、プロピルを含む;用語「C2-4アルキル」は、2〜4個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖の飽和炭化水素基を含むことを意味し、エチル、1-メチルエチル、1,1-ジメチルエチル、プロピル、2-メチルプロピル、ブチル等を含む;用語「C1-6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖の飽和炭化水素基を含むことを意味し、上記で述べた用語について記載したものおよびペンチル、ヘキシル等を含む。
【0060】
そのようなエーテルは、出発シクロデキストリンを、所望のシクロデキストリンエーテルが得られるように選択した濃度の適当な-アルキル化剤またはそのような試薬の混合物と反応させることにより調製することができる。該反応は好ましくは適当な塩基の存在下で適切な溶媒中にて行う。そのようなエーテルを用いて、置換度(DS)はグルコース単位あたりの置換されたヒドロキシ官能基の平均数であり、DSはすなわち3以下である。
【0061】
本発明の製剤に使用するシクロデキストリン誘導体において、DSは好ましくは0.125〜3、特に0.3から2、より特別には0.3〜1の範囲であり、そしてMSは0.125〜10、特に0.3〜3、そしてより特別には0.3〜1.5の範囲である。
【0062】
本発明における特別な用途の中で、β-シクロデキストリンエーテル、例えばM.Nogradiによる未来の薬剤(Drug of the Future)、第9巻、第8号、第577〜578(1984)に記載されたジメチルβ-シクロデキストリン、およびポリエーテル、例えばヒドロキシプロピル β-シクロデキストリンおよびヒドロキシエチル β-シクロデキストリンを例示する。そのようなアルキルエーテルは、約0.125〜3、例えば約0.3〜2の置換度を持つメチルエーテルでよい。そのようなヒドロキシプロピルシクロデキストリンは、例えばβ-シクロデキストリンとプロピレンオキシドとの間の反応から形成することができ、そして約0.125〜10、例えば約0.3〜3のMS値を有することができる。
【0063】
別の適当な種類の置換シクロデキストリンは、スルホブチルシクロデキストリンである。この種もまた本発明で想定される。
【0064】
本発明で好ましく使用するシクロデキストリンは、その高い水溶性からβ-シクロデキストリンであり、そしてより詳細にはヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンである。
【0065】
有効成分に対するシクロデキストリンの比率は、広く変動してよい。この比率は使用する有効成分またはシクロデキストリン、所望の溶解プロフィール、シクロデキストリンの溶解性およびこれから記載するシクロデキストリン−有効成分混合物を調製するために使用する溶媒中の有効成分に依存する。好ましくは少なくとも1:1の比率が適用されるが、より低い比率も考慮される。
【0066】
異なる種類(α、β、γ)、または異なる置換(2-ヒドロキシプロピルまたはメチル)、または異なる置換度のシクロデキストリンの混合物の使用も、本発明では想定している。
【0067】
シクロデキストリンまたはそれらの誘導体を本発明の制御放出製剤に包含するために、シクロデキストリンは好ましくは最初に有効成分(1つまたは複数)と完全に混合され、続いてこの完全な混合物を制御放出製剤の残りの成分と混合する。
【0068】
異なる技法を使用してシクロデキストリンおよび有効成分(1つまたは複数)の完全な混合物を調製することができ、それらには以下を含んで成る:
a)単純な混合法、ここで2つの成分が適当な混合装置、例えばTurbulaミキサー(Willy
A.バコーベン マッキネンファブリーク(Bachoven Machinenfabric)、バーゼル、スイス)中で物理的に混合する;
b)ボールミル粉砕法、ここで2つの成分が一緒になり、そして適当なボールミル(Retsch GMBH & Co.、ハーン、ドイツ)中で挽かれる;
c)乾燥圧縮法、ここでシクロデキストリンおよび有効成分(1つまたは複数)を適当な混合装置で混合する。生成した混合物は次に圧縮機、例えばPolygran 3W 圧縮機(ゲルテイス(Gerteis)、ヨーナ、スイス)に通し、次いで分解して生成した凝集物、例えばシートまたは板を得る。
d)固体分散法。これから使用する「固体分散法」という用語は、有効成分(1つまたは複数)およびシクロデキストリンの場合、少なくとも2つの成分を含んで成る固体状態(液体またはガス状態との反対として)における系と定義し、ここで1つの成分をもう1つの成分(1つまたは複数)(さらに当該技術分野で一般的に知られている医薬的許容されいる、可塑剤、保存剤等の配合剤が含まれる場合)全体に事実上一様に分散させる。成分の該分散物は、系全体が化学的および物理的に均一または均質であるか、あるいは熱力学的に1相から成る時、そのような固体分散物を今後、「固体溶液(solid solution)」と呼ぶ。固体溶液は中の成分が通常、投与される生物に直ちに生物学的に利用され得るので、好適な物理系である。
【0069】
この利点はおそらく、該固体溶液が胃腸液のような液体媒質と接触する時、液体溶液を形成することができる容易さにより説明できるだろう。溶解の容易さは、少なくとも一部は固体溶液からの成分の溶解に必要なエネルギーが、結晶または微結晶固体相からの成分の溶解に必要なエネルギーよりも少ないことに因る。
【0070】
「固体分散物」という用語は、固体溶液よりも全体的に均質性が低い分散物も含んで成る。そのような分散物は、全体が化学的および物理的に均一ではないか、または1以上の相を含んで成る。例えば用語「固体分散物」は、不定形の微結晶または結晶の有効成分(1つまたは複数)、あるいは不定形の微結晶または結晶シクロデキストリン、あるいは両方が、シクロデキストリン、または有効成分(1つまたは複数)を含んで成る別の相、あるいは有効成分(1つまたは複数)およびシクロデキストリンを含んで成る固体溶液に、事実上一様に分散しているドメインまたは小領域を有する系も指す。該ドメインはいくつかの物理的特徴、小さいサイズが目だって際立ち、そして固体分散物全体に一様に、しかも無作為に分散した固体分散物内の領域である。
【0071】
溶融−押出し、噴霧−乾燥、凍結−乾燥および溶液−蒸発を含め、固体分散物を調製するための様々な技法が存在し、後者の技法が好適である。
【0072】
溶液−蒸発法は、以下の工程を含んで成る:
a)有効成分(1つまたは複数)およびシクロデキストリンを、水またはアルコール、例えばメタノール、エタノールのような有機溶媒、あるいはそらの混合物のような適当な溶媒に、場合により高温で溶解し;
b)点a)下で生成した溶液の溶媒を、場合により真空下で蒸発させる。溶液は薄いフィルムを形成するように大きな表面に注ぎ、そしてそれから溶媒を蒸発させる。
【0073】
噴霧−乾燥法では、2つの成分を適当な溶媒に溶解し、そして生成した溶液を噴霧ドライヤーのノズルを通して噴霧し、続いて溶媒を高温で生じた液滴から蒸発させる。
【0074】
凍結−乾燥法では、シクロデキストリンおよび有効成分(1つまたは複数)を適当な溶媒に溶解する。次いで混合物を凍結し、続いて溶媒を真空下で、そして昇華熱の供給下で昇華させ、この間に形成される蒸気を連続的に除去する。生成した凍結−乾燥固体は、高温で2次乾燥工程に供してもよい。
【0075】
溶融−押出し法は、以下の工程を含んで成る:
a)有効成分(1つまたは複数)およびシクロデキストリンを混合し、
b)場合により添加剤をこのようにして得られた混合物とブレンドし、
c)このようにして得られたブレンドを均質なメルトが得られるまで加熱そしてコンパウンドし、
d)このようにして得たメルトを1以上のノズルに通し;そして
e)メルトが固化するまで冷却する。
【0076】
用語「メルト」および「溶融する」とは、広く解釈されるべきである。これらの用語は、固体状態から液体状態への変化を意味するだけでなく、ガラス状態からゴム状態への転移をも称し、そしてここでは混合物中の1成分がもう1つの中に事実上均質に包埋されることが可能である。特別な場合では1成分が溶融し、そしてもう1つの成分(1つまたは複数)がメルト中に溶解し、すなわち溶液を形成し、冷却すると有利な溶解特性を有する固体溶液を形成することができる。
【0077】
これまでに記載したような固体分散物を調製した後、得られた生成物は場合により挽かれ、そして篩にかけることができる。
【0078】
当業者は、最適な溶媒、操作温度、使用する装置の種類、混合および挽く速度、噴霧−乾燥の速度、凍結速度、昇華速度、溶融−押出しにおける押出速度等のような、上記の有効成分(1つまたは複数)およびシクロデキストリンの完全な混合物の調製に関する技法のパラメーターを至適化することができると考えるだろう。
【0079】
シクロデキストリンまたはそれらの誘導体の代わりに、他の水溶性ポリマーを使用して有効成分(1つまたは複数)を含む上記の完全な混合物を調製することができる。適当な水溶性ポリマーは、20℃で2(重量/容量)%の水溶液に溶解した時に、1〜5000mPa.s、より好ましくは1〜700mPa.s、そして最も好適には1〜100mPa.sの見掛粘度を有する。例えば水溶液ポリマーは、
−メチルセルロースのようなアルキルセルロース、
−ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース、
−ヒドロキシエチル メチルセルロースおよびヒドロキシプロピル メチルセルロースのようなヒドロキシアルキル アルキルセルロース、
−カルボキシメチルセルロースのようなカルボキシアルキルセルロース
−カルボキシメチルセルロース ナトリウムのようなカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩
−カルボキシメチルエチルセルロースのようなカルボキシアルキルアルキルセル
ロース
−カルボキシアルキルセルロース エステル
−澱粉
−カルボキシメチルアミロペクチン ナトリウムのようなペクチン
−キトサンのようなキチン誘導体
−トレハロース、アルギン酸、それらのアルカリ金属およびアンモニウム塩、カラゲニン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビア ガム、グア ガムおよびキサンタンガム、
−ポリアクリル酸およびそれらの塩
−ポリメタクリル酸、それらの塩およびエステル、メタクリレートコポリマー、
−ポリビニルアルコール、
−ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、
−ポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの組み合わせ、
−ポリエチレン オキシドおよびポリプロピレン オキシドのようなポリアルキレン オキシド、およびエチレン オキシドとプロピレン オキシドのコポリマー、から成る群から選択することができる。
【0080】
本発明の興味深い製剤は:
有効成分(1つまたは複数) 0.01〜50(重量/重量)%
粘稠な親水性ポリマー(1つまたは複数) 0.01〜80(重量/重量)%
前糊化澱粉 0.01-<80(重量/重量)%
医薬的に許容され得る配合剤 加えて100(重量/重量)%
または
有効成分(1つまたは複数) 0.01〜50(重量/重量)%
ヒドロキシプロピルセルロースを含んで成る
粘稠な親水性ポリマー(1つまたは複数) 0.01〜80(重量/重量)%
前糊化澱粉 0.01-<80(重量/重量)%
医薬的に許容され得る配合剤 加えて100(重量/重量)%
である。
【0081】
本発明の別の興味深い製剤は:
有効成分(1つまたは複数) 0.01〜50(重量/重量)%
粘稠な親水性ポリマー(1つまたは複数) 0.01〜80(重量/重量)%
前糊化澱粉 0.01〜15(重量/重量)%
医薬的に許容され得る配合剤 加えて100(重量/重量)%
または
有効成分(1つまたは複数) 0.01〜50(重量/重量)%
ヒドロキシプロピルセルロースを含んで成る
粘稠な親水性ポリマー(1つまたは複数) 0.01〜80(重量/重量)%
前糊化澱粉 0.01〜15(重量/重量)%
医薬的に許容され得る配合剤 加えて100(重量/重量)%
である。
【0082】
本発明のさらに別の興味深い製剤は:
有効成分(1つまたは複数) 0.01〜50(重量/重量)%
粘稠な親水性ポリマー(1つまたは複数) 0.01〜80(重量/重量)%
前糊化澱粉 0.01〜5(重量/重量)%
医薬的に許容され得る配合剤 加えて100(重量/重量)%
または
有効成分(1つまたは複数) 0.01〜50(重量/重量)%
ヒドロキシプロピルセルロースを含んで成る
粘稠な親水性ポリマー(1つまたは複数) 0.01〜80(重量/重量)%
前糊化澱粉 0.01〜5(重量/重量)%
医薬的に許容され得る配合剤 加えて100(重量/重量)%
である。
【0083】
本発明のさらに別の興味深い製剤は:
有効成分(1つまたは複数) 0.01〜50(重量/重量)%
ヒドロキシプロピルセルロース 25〜62(重量/重量)%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0〜16(重量/重量)%
前糊化澱粉 0.01〜5(重量/重量)%
医薬的に許容され得る配合剤 加えて100(重量/重量)%
である。
【0084】
本発明の制御放出マトリックス製剤は、一般に以下の工程に従い調製される:
(1.a)1以上の有効成分、前糊化澱粉、1以上の粘稠な親水性ポリマー、および場合により幾つかまたはすべての医薬的に許容され得る配合剤を混合し;
(1.b)(1.a)下で調製した粉末混合物を圧縮機に通し、これにより板を生成し;
(1.c)生成した板を分割そして篩にかけ、これにより粒子を生成し;
(1.d)生成した粒子を場合によりすべてまたは残りの医薬的に許容され得る配合剤と、均質になるまで混合する。
【0085】
有効成分(1つまたは複数)が水に溶けずらい、わずかに水溶性、大変わずかに水溶性、現実的には非水溶性または非水溶性の薬剤あるいはpH依存的溶解性を有する薬剤、特にアルカリ薬剤である場合、有効成分(1つまたは複数)を上記のようにシクロデキストリンまたはそれらの誘導体あるいは他の水溶性ポリマーとの完全な混合物として制御放出製剤に包含することができる。このような場合、本放出製剤製剤の調製物は、さらなる第1工程、すなわち
(2.a)1以上の有効成分および水溶性ポリマーを十分に混合し;
(2.b)(2.a)下で調製した十分な混合物を前糊化澱粉、1以上の粘稠な親水性ポリマー、および場合により幾つかまたはすべての医薬的に許容され得る配合剤と混合し;
(2.c)(2.b)下で調製した粉末混合物を圧縮機に通し、これによりプレートを生成し;
(2.d)生成したプレートを破壊し、そして篩にかけ、これにより顆粒を生成し;
(2.e)生成した顆粒を場合によりすべてまたは残りの医薬的に許容され得る配合剤と、均質になるまで混合する、
ことを含んで成る。
【0086】
これまでに記載した方法により得られる製剤は、投与剤形、特に制御放出剤形の製造に使用することができる。好適な投与剤形は固体剤形、特に経口剤形、そしてより詳細には錠剤またはカプセル、例えば本発明の製剤から得られたペレットを充填したカプセルである。該錠剤は、上記の方法から生成される最終ブレンド、すなわち(1.d)または(2.e)で得られるブレンドを技術的には既知の打錠機(tabletting machine)を使用して錠剤にすることにより得られる。
【0087】
上記の方法の工程(1.b)または(2.c)で述べたような圧縮機は、粉状混合物が粉状混合物に圧を加える2つのローラー間を移動する装置である。このように混合物は圧縮され、そしてシートまたは板が形成される。圧縮機は例えばゲルテイス(Gerteis)(ヨーナ、スイス)から、例えばPolygran 3W 圧縮機として市販されている。
【0088】
制御放出製剤の調製の上記一般ルートは、例えば特定の成分を上記に示した以外の工程で加えることにより、当業者により改変され得る。
【0089】
圧縮工程を含む上記調製ルートの代わりに、上記混合物は直接圧縮を使用して錠剤にすることもできる。直接圧縮技法を使用する時、所望の錠剤の形態のダイまたは母型を、錠剤組成物を有する粉末状マトリックスで充填し、そして次いで打ち抜く。この打錠法の利点は、通常必要とする工程がより少なことである。直接打錠するための装置は市販されている。このような装置は、混合物の流体特性が強制的な原料供給無しにダイまたは母型を充填することに適していない時でも、強制的な原料供給計が必要である。
【0090】
生成した錠剤は様々な種類の形状、例えば長円または環状を有することができる。当業者は種々の形状が容量に対して異なる比表面積を有するという事実から、錠剤の形状が放出期間に影響を与えると考えるだろう。その結果、錠剤の溶解は錠剤の表面で主に起こる
プロセスであるという事実の観点から、異なる形状は必ずではないが、異なる溶解プロフィールを意味することができる。
【0091】
生成した錠剤は様々な公称重量およびすなわち異なるサイズを有することができる。錠剤のサイズは表面対容量比に影響を与え、そしてその結果、これまでに述べたような放出期間に影響を与える。
【0092】
生成する錠剤は上記材料の均質な分散物から製造される。該分散物は材料の物理的混合により得ることができる。錠剤の制御放出プロフィールは、均質に分散した親水性ポリマーの膨潤によるゲル層の形成により確立される。これは錠剤が分割可能で、そして適当なスコアで提供されることを意味する。これにより必要な時はいつでも推薦される用量に調整することが可能となる。
【0093】
上記材料、比率および重量百分率は、非コート錠剤または錠剤芯、すなわちコーティングなしの錠剤に適用する。
【0094】
しかし本発明の錠剤は、好ましくは当該技術分野で既知のフィルムコート組成物を用いてフィルムコートされる。コーティングは錠剤の外観および/または味を向上させ、そして飲み易くできる。本発明の錠剤のコーティングは他の目的、例えば安定性および使用期限を向上させるためにも役立つ。
【0095】
適当なコート製剤は、例えばヒドロキシプロピル メチルセルロース、例えばhypromellose 2910(5mPa.s)のようなフィルム形成ポリマー、例えばグリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのような可塑剤、例えば二酸化チタンのような不透明化剤、および例えばタルクのようなフィルムスムースナーを含んで成る。
【0096】
適当なコーティング溶媒は水ならびに有機溶媒である。有機溶媒の例はアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール、ケトン、例えばアセトン、またはハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンである。
【0097】
場合によりコーティングは、該有効成分(1つまたは複数)の即座の放出を提供し、そしてこのように該有効成分(1つまたは複数)により処置される症状の即座の緩和を提供するために、治療に効果的な量の1以上の有効成分を含んでもよい。
【0098】
本発明のコート錠剤は、上記のように最初に錠剤芯を調製し、続いて該錠剤芯をコーティング パン中でのコーティングのような通例の技法を使用してコーティングすることにより調製される。
【0099】
有効成分(1つまたは複数)は、本発明の製剤から調製される剤形に治療に効果的な量で存在する。治療に効果的な量を構成する量は、使用する材料、処置する症状、該症状の重篤度および処置する患者に従い変動する。本発明で使用する有効成分(1つまたは複数)の量は、好ましくは約0.01%から約50(重量/重量)%の間の範囲である。
【0100】
以下の実施例は、本発明を具体的に説明することを意図している。
【実施例】
【0101】
実施例の部
錠剤処方
錠剤1
シサプリド-(L)-酒石酸塩 52.92mg
ラクトース 1水和物 200メッシュ 274.83mg
ヒドロキシプロピル メチルセルロース 2208 34.2mg
ヒドロキシプロピル セルロース 142.5mg
ドラム乾燥したワクシートウモロコシ澱粉 28.5mg
ステアリン酸マグネシウム 2.85mg
コロイド状無水シリカ 5.7mg
タルク* 28.5mg
錠剤2
シサプリド-(L)-酒石酸塩 52.92mg
ラクトース 1水和物 200メッシュ 149.43mg
ヒドロキシプロピル メチルセルロース 2208 74.1mg
ヒドロキシプロピル セルロース 228.00mg
ドラム乾燥したワクシートウモロコシ澱粉 28.5mg
ステアリン酸マグネシウム 2.85mg
コロイド状無水シリカ 5.7mg
タルク* 28.5mg
錠剤3
3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン マイクロファイン
16.00mg
ラクトース 1水和物 DCL11 108.80mg
ヒドロキシプロピル メチルセルロース 2208 41.60mg
ヒドロキシプロピル セルロース 128.00mg
ドラム乾燥したワクシートウモロコシ澱粉 16.00mg
ステアリン酸マグネシウム 6.4mg
コロイド状無水シリカ 3.20mg
錠剤4
3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン マイクロファイン
16.00mg
ラクトース 1水和物 DCL11 54.20mg
ヒドロキシプロピル メチルセルロース 2208 23.40mg
ヒドロキシプロピル セルロース 72.00mg
ドラム乾燥したワクシートウモロコシ澱粉 9.00mg
ステアリン酸マグネシウム 3.6mg
コロイド状無水シリカ 1.80mg
錠剤5
3-[2-[(3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン ブタン二酸塩(1:1)
21.26mg
ラクトース 1水和物 DCL11 103.54mg
ヒドロキシプロピル メチルセルロース 2208 41.60mg
ヒドロキシプロピル セルロース 128.00mg
ドラム乾燥したワクシートウモロコシ澱粉 16.00mg
ステアリン酸マグネシウム 6.4mg
コロイド状無水シリカ 3.20mg
錠剤6
3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン マイクロファイン
16mg
ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン 200mg
ラクトース 1水和物 DCL11 6.3mg
ヒドロキシプロピル メチルセルロース 2208 74.1mg
ヒドロキシプロピル セルロース 228mg
ドラム乾燥したワクシートウモロコシ澱粉 28.5mg
ステアリン酸マグネシウム 11.4mg
コロイド状無水シリカ 5.7mg
エタノール96(容量/容量)%** 363mg
*技術的理由から、製造工程の規模を上げる間、タルクはステアリン酸マグネシウムおよびラクトース1水和物 DCL11に代えることができる。
**最終生成物中には現れない。
錠剤1〜5の調製
有効成分、ヒドロキシプロピル メチルセルロース、ヒドロキシプロピル セルロース、ドラム乾燥したワクシートウモロコシ澱粉、そしてラクトース1水和物 200メッシュを使用した場合(錠剤1および2)はラクトース増量剤を遊星形ミキサー中で混合し、そして次いで乾燥圧縮機を使用して圧縮した。圧縮物を分割し、篩にかけ、そしてコロイド状の無水シリカと、そしてラクトース1水和物 DCL11を使用した場合(錠剤3、4および5)はラクトース増量剤を遊星形ミキサー中で混合した。ステアリン酸マグネシウムを加え、そして混合した。生成したブレンドを遍心プレスを使用して錠剤とした。
【0102】
上記の錠剤調製法から、ラクトース増量剤はポリマーブレンドの乾燥圧縮前または後に加えてよいと結論することができる。これは使用するラクトースの種類、より詳細にはラクトースの粒子サイズに依存する。
錠剤6の調製
有効成分およびヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンを、75℃でエタノール96(容量/容量)%に溶解した。生成した溶液を真空下で乾燥するまで蒸発させた。生成した沈殿を挽き、そして篩にかけ、そして続いてヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびドラム乾燥したワクシートウモロコシ澱粉と遊星形ミキサー中で混合し、そして乾燥圧縮機を使用して圧縮した。圧縮物を分割し、篩にかけ、そしてコロイド状の無水シリカおよびラクトースと遊星形ミキサー中で混合した。ステアリン酸マグネシウムを加え、そして混合した。生成したブレンドは遍心プレスを使用して錠剤とした。
コーティング調製物
コーティング溶液は、69.0(重量/重量)%の塩化メチレンを17.30(重量/重量)%のエタノール96(容量/容量)%と混合し、そしてその中に6.0(重量/重量)%のヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 5mPa.s、1.5(重量/重量)%のポリエチレングリコール 400、4.0(重量/重量)%のタルク、1.5(重量/重量)%の二酸化チタンおよび6.0(重量/重量)%のポリエチレングリコール 6000を懸濁した。このコーティング懸濁液を錠剤3および4にコーティン グパン中で適用し、42.8mg/錠剤3および28.4mg/錠剤4のコーティング厚を生じた。場合により1以上の有効成分を該コーティング懸濁液に包含することができる。
インビトロ溶解アッセイ
a)錠剤1および錠剤2からのシサプリド-(L)-酒石酸塩の放出を、1.5%のラウリル硫酸ナトリウムを含む400mlのpH7.2のMcIlvaineバッファーまたはEurandバッファーを含むビーカーに各錠剤をおくことにより、37℃でインビトロで評価した。媒質を1分あたり150回転でパドルを用いて撹拌した。2時間後、600mlのバッファー(McIlvineまたはEurand)を溶解媒質に加え、そして撹拌速度を1分あたり100回に下げた。適切な時間間隔で、サンプルを放出媒質から採取し、そしてUV分光計を介して分析した。
【0103】
pH7.2のMcIlvaineバッファー溶液(100ml)(J.Biol.Chem.49,183(1921))は、13.05ml
のクエン酸溶液(0.1M)および86.95mlのNa2HPO4.2H20溶液(0.2M)から成る。このMcIlvaineバッファー溶液は、通常、溶解試験を行うEurandバッファー溶液よりも高いイオン強度を有する。pH7.2でMcIlvaineバッファーのイオン強度は、0.398である。
【0104】
pH7.2のEurandバッファー溶液(100ml)は、190mlの水酸化ナトリウム溶液(0.2N)および0.087gのKH2PO4から成る。この溶液のpHを、塩酸1Nで7.2に調整し、そして100mlの水で希釈する。このEurandバッファーpH7.2のイオン強度は、0.076である。
【0105】
表1は、錠剤1および錠剤2について、McIlvineまたはEurandバッファーのいずれかから放出されたシサプリド-(L)-酒石酸の時間の関数としての百分率を表す。このデータは、錠剤からの有効成分の制御放出が放出媒質のイオン強度が上昇する時に妨害されないことを説明している。データは、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの量を合わせることにより、放出プロフィールを変えることができることも示している。
b)両錠剤とも上記「コーティング調製物」下で記載したようにコートされている錠剤3および4からの3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの放出は、各々の錠剤を900mlの0.1N HClを含有するビーカー中のカゴ置くことにより37℃でインビトロにて評価した。媒質は1分あたり100回転でカゴを用いて撹拌した。適切な時間間隔で、サンプルを放出媒質から取り出し、そしてUV分光計を介して分析した。
【0106】
表2は、コート錠剤3およびコート錠剤4について、時間の関数として放出された3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの百分率を表す。このデータは錠剤からの有効成分の制御放出を具体的に説明し、そして公称重量、すなわち錠剤のサイズを調整することにより放出プロフィールを変えることができることも示している。
c)以下の組成を有する錠剤を調製した:
シサプリド-(L)-酒石酸塩 52.92mg
ラクトース 346.08mg
ヒドロキシプロピル メチルセルロース 2208 66.00mg
ヒドロキシプロピル セルロース 67.95mg
ステアリン酸マグネシウム 2.85mg
コロイド状無水シリカ 5.70mg
タルク 28.60mg
シサプリド-(L)-酒石酸塩の放出は、錠剤を400mlのpH7.2 McIlvineバッファー(1.5%のラウリル硫酸ナトリウムを含む)を含むビーカー中のカゴ置くことにより37℃でインビトロにて評価した。媒質は1分あたり150回転でカゴを用いて撹拌した。適切な時間間隔で、サンプルを放出媒質から採取し、そしてUV分光計を介して分析した。
【0107】
表3は、時間の関数として放出されたシサプリド-(L)-酒石酸塩の百分率を表す。データは、有効成分が大変迅速に放出されることを説明している。前ゼラチン化澱粉を欠く製剤は、活性薬剤物質の制御放出を提供することができなかった;錠剤は溶解媒質中でゲル化することができず、そして完全なマトリックス網目構造を形成することができなかった。かわりに溶解媒質中に浸漬した後、約10〜15分の時間間隔で崩壊した。
d)錠剤6の調製法に記載したように調製したヒドロキシプロピル β-シクロデキストリンを含む完全な混合物からの3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの放出は、216mgの該完全な混合物を300mlのpH7.5 USPバッファーを含有するビーカーに導入することにより、37℃でインビトロにて評価した。媒質は1分あたり100回転でパドルを用いて撹拌した。適切な時間間隔でサンプルを溶解媒質から採取し、そしてUV分光計を介して分析した。
【0108】
USPバッファー pH7.5は、6.805gのKH2PO4、204.5mlの0.2N NaOH溶液および700mlの蒸留水を1リットルのビーカーに入れて調製した。撹拌しながら完全に溶解した後、生成した混合物を適当な容器中にて蒸留水で1リットルとした。
【0109】
表4は、時間の関数として溶解した3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの百分率を表す。データは、ヒドロキシプロピル β-デキストリンとの完全な混合物からアルカリ性の有効成分の溶解がpH7.5の媒質中で迅速であることを説明している。
e)錠剤6からの3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの放出は、錠剤を600mlのUSPバッファーpH7.5を含むビーカー中のカゴ置くことにより37℃でインビトロにて評価した。媒質は1分あたり100回転で、カゴを用いて撹拌した。適切な時間間隔で、サンプルを放出媒質から採取し、そしてUV分光計を介して分析した。
【0110】
表5は、時間の関数としてUSPバッファーpH7.5中に放出した3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフロ[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの百分率を表す。この放出プロフィールは制御されたものであり、そして規則的(0次元)な放出である。
臨床試験
臨床試験1
この実施例に記載する実験は:
・40mgのシサプリド(シサプリド-(L)-酒石酸塩として投与)を、錠剤処方2に記載した制御放出製剤中で単回投与;
・有効成分としてシサプリド1水和物を含有する規格の市販されている10mg錠剤(Prepulsid(商標))を1日に4回投与(1日4回摂取)
を摂取した後のシサプリドの生物学的利用能および薬物動態学を評価し、そして比較することを目的とした。
【0111】
さらに同時に高脂肪食の摂取が制御放出製剤の薬物動態学に及ぼす影響を調査した。
【0112】
調査試験は、20名の健康な有志を対象としたオープン 3-アーム試験(open 3-arm trial)であった。年齢が18から45歳の間の男性および女性の健康な有志が含まれた。3つの処置期間を、少なくとも4日のワッシュアウト期間により分けた。
【0113】
各有志者は無作為な交差順序で、錠剤2を絶食中に、および高脂肪食の後直接に、および1日4回のPrepulsid(商標)を服用した。後者は参照処置として役立て、そして錠剤は「市場条件(market condition)」、すなわち食事前15分および就寝時に服用した。
【0114】
高カロリーの高脂肪食は、3枚の小麦パン、15グラムのバター、5グラムのバターで焼いた1つのスクランブルエッグおよび15gのベーコン、70グラムのチーズ、150mlの高脂肪ミルクおよび150mlのオレンジジュース(約4000kJ;70gの脂肪;30gのタンパク質;40gの炭化水素、350gの水から成った)。シサプリド制御放出錠剤は、食事終了後10分以内に服用した。
【0115】
血液サンプルは投与前および投与後48時間まで、規則的な時間間隔で採血した。
【0116】
シサプリドの血漿濃度は、認められているHPLC法により測定した。種々の処置の心臓血管および研究室での安全性および耐容を評価した。
【0117】
試験の結果では、すべての処置は安全で耐容がよいことを示す。
【0118】
詳細な薬物動態学的結果を表6に与える。
【0119】
絶食条件下で錠剤2を摂取した後のシサプリドの相対的な生物学的利用率は、規格のPrepulsid(商標)の1日4回の経過と類似する。高脂肪食を摂取した後、錠剤2の薬物動態学的性能は、絶食条状態での摂取に匹敵した。
臨床試験2
第2の調査試験は、標準的なPrepulsid(商標)を用いた処置と比較して、制御放出製剤である錠剤2の相対的な安定−状態の生物学的利用能を評価することを目的とした。
【0120】
この第2−アームオープン実験(2-arm open study)では、18名の健康な有志が無作為に交差した順序で、1日に1回、錠剤2を6日間、および市販されている10mgのPrepulsid(商標)錠剤を1日に4回服用した。
【0121】
すべての錠剤は食事前15分に摂取された(または1日4回の処方の第4錠目は就寝時に)。
【0122】
血液サンプルは6日目、前投与から出発し、そして規則的な時間間隔で朝の摂取後の48時間まで採取した。シサプリドの血漿濃度は認められているHPLC法により測定した。種々の処置の心臓血管および研究室での安全性および耐容を評価した。
【0123】
試験の結果は、慢性の処置は耐容がよく、そして安全であることを示す。
【0124】
詳細な薬物動態学的結果を表6に与える。安定状態は両方の処置で達成された。錠剤2を1日に1回服用した後のシサプリドの相対的な安定−状態の生物学的利用率は、規格のPrepulsid(商標)錠剤の1日4回の処置と比べて同様であった。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
【表4】

【0129】
【表5】

【0130】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉、1以上の有効成分、1以上の粘稠な親水性ポリマーおよび場合により医薬的に許容され得る配合剤を含んで成り、前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉は製剤がイオン強度の変化する放出媒質中への包含された有効成分(1つまたは複数)の制御放出の維持を可能とするか、或いは、前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉は絶食ならびに摂食状態の両方で胃腸管にわたり製剤からの薬量−ダンピングを防止する、ことを特徴とする親水性の制御放出製剤。
【請求項2】
前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉は製剤がイオン強度の変化する放出媒質中への包含された有効成分の制御放出の維持を可能ならしめることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉は絶食ならびに摂食状態の両方で胃腸管にわたり製剤からの薬量−ダンピングを防止することを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
製剤中の前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉の重量百分率が、5〜80%未満である、前記請求項のいずれか1つに記載の製剤。
【請求項5】
製剤中の前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉の重量百分率が、5〜15%である、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
製剤中の前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉の重量百分率が、5%である、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
1以上の粘稠な親水性のポリマーが、150〜100,000mPa.s(20℃で2%水溶液の見掛粘度)の粘度を有する、前記請求項のいずれか1つに記載の製剤。
【請求項8】
1以上の粘稠な親水性ポリマーが、ヒドロキシプロピル セルロースを含んで成る、前記請求項のいずれか1つに記載の製剤。
【請求項9】
1以上の粘稠な親水性のポリマーが、さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでいてもよく、ヒドロキシプロピルセルロースの重量百分率が25から62%の範囲であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量百分率が0〜16%の範囲である、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
1以上の粘稠な親水性のポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載の製剤。
【請求項11】
1以上の粘稠な親水性のポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、前記請求項のいずれか1つに記載の製剤。
【請求項12】
ヒドロキシプロピルセルロース対ヒドロキシプロピルメチルセルロースの比率が1:5〜5:1の範囲である、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
ヒドロキシプロピルセルロース対ヒドロキシプロピルメチルセルロースの比率が1:1〜5:1の範囲である、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
ヒドロキシプロピルセルロース対ヒドロキシプロピルメチルセルロースの比率が3:1
〜5:1の範囲である、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
さらに溶解速度−強化剤として水溶性ポリマーを含んで成る、前記請求項のいずれか1つに記載の製剤。
【請求項16】
水溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンである、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
有効成分が9−ヒドロキシリスペリドンである前記請求項のいずれか1つに記載の製剤。
【請求項18】
薬剤として使用するための、前記請求項のいずれか1つに記載の製剤。
【請求項19】
投与剤形製造のための、請求項1〜17のいずれか1つに記載の製剤の使用。
【請求項20】
治療に効果的な量の請求項1〜17のいずれか1つに記載の製剤を含んで成る投与剤形。
【請求項21】
場合によりコート錠剤として成形される、請求項20に記載の投与剤形。
【請求項22】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の製剤の調製法であって:
(a)場合により1以上の有効成分および水溶性ポリマーを十分に混合し;
(b)1以上の有効成分と、または(a)が行われた場合は(a)で調製された十分な混合物と、前糊化したドラム乾燥ワクシートウモロコシ澱粉、1以上の粘稠な親水性ポリマーおよび場合により幾らかの、またはすべての医薬的に許容され得る配合剤を混合し;
(c)(b)で調製された粉末混合物を圧縮機に通すことにより圧縮し、これによりプレートを得;
(d)生成したプレートを破壊し、これにより顆粒を得;
(e)場合により生成した顆粒をすべての、または残りの医薬的に許容され得る配合剤と均質になるまで混合する、
ことを特徴とする上記方法。

【公開番号】特開2011−6485(P2011−6485A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229600(P2010−229600)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【分割の表示】特願2000−609041(P2000−609041)の分割
【原出願日】平成12年3月24日(2000.3.24)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】