説明

制御機器

【課題】パネル取り付けの際の端子台への電線の接続の作業性を改善したDINレール取り付け兼用の制御機器を提供する。
【解決手段】プリント配線板を収容する略直方体形状のケース11と、ケースの前面側に設けられた前面パネル部12と、取り付け用パネルに形成された開口部から前面パネル部12が露出するようにケース11を取り付け用パネルに固定することを可能とするパネル取り付け手段と、ケース11の背面側を取り付け用レールに固定することを可能とするレール係合部14と、プリント配線板に実装され、かつ、電線を接続するための複数の端子がケース11の背面側周辺部から露出するように設けられた端子台13とを備え、端子台13の複数の端子のそれぞれが、前面側から操作可能な第1の電線固定部材13bと背面側から操作可能な第2の電線固定部材13aとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DINレールへの取り付けとパネルへの取り付けが選択的に可能である取り付け構造及び配線接続構造を有する制御機器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、PLC(Programable Logic Controller)や各種センサー装置のような制御機器は、その用途に応じてDINレール取り付けタイプとパネル取り付けタイプに大別される。DINレールは標準規格の取り付け用レールであり、例えば制御盤ボックスの中に複数の制御機器を並べて取り付ける場合に使用される。DINレール取り付けタイプの制御機器は、その背面側にDINレールと係合するレール係合部を備えている。DINレール取り付けタイプの制御機器は、一般に表示部や操作部を有しておらず、制御盤ボックスの中に収容されることが多い。
【0003】
他方、パネル取り付けタイプの制御機器は表示部や操作部を有しており、例えば制御盤ボックスの扉パネルに取り付けられることが多い。つまり、扉パネルに形成された開口部から表示部や操作部を含む前面パネル部が露出するようにして取り付けられる。扉パネル等の取り付け用パネルに形成される開口部の寸法についても、いくつかの寸法が規格によって決められている。パネル取り付けタイプの制御機器には、前面パネル部が露出するように取り付け用パネルの開口部に固定するためのパネル取り付け手段が備えられている。
【0004】
近年、例えば特許文献1に記載されているように、レール係合部とパネル取り付け手段の両方を備え、DINレールへの取り付けとパネルへの取り付けが選択的に可能な制御機器が開発されている。これは、ほとんどの制御機器が表示部や操作部を備えるようになってきた現状に即して開発されたものであり、いわばDINレール取り付けとパネル取り付けの両用タイプである。この両用タイプが1台あれば、DINレール取り付けタイプとパネル取り付けタイプの両方を個別に準備する必要が無いので、製造者、販売者及びユーザーは管理コスト等を軽減することができる。また、このような両用タイプの制御機器は、DINレールへの取り付けとパネルへの取り付けを相互に変更することができるので、例えば工場設備のレイアウト変更に対応しやすくなる。
【特許文献1】特開2004−13448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の制御機器は、パネルへの取り付けに際して以下のような制約がある。第1に、パネルに形成された開口部に制御機器を挿入するためには、前面パネル部を含むケース本体とその背面に装着された端子台部品とを固定している4本の固定螺子を緩めてケース本体から端子台部品を一旦分離する必要がある。そして、ケース本体をパネルの開口部に表側から挿入して一段大きくなった前面パネル部をパネルに固定した後に、ケース本体の背面に端子台部品を合体し、4本の固定螺子で固定する。
【0006】
第2に、端子台部品に備えられた端子台の各端子は、前面側から回転操作可能な締付け螺子を有する。このため、制御機器の背面側をDINレールへ取り付ける場合は、取り付けた後に電線を端子台の各端子に接続することが容易であるが、制御機器をパネルへ取り付ける場合は、上記のようにして端子台部品をケース本体に合体させた後では電線を端子台の各端子に接続する作業が非常に困難である。したがって、先に電線を端子台の各端子に接続し、その後に端子台部品をケース本体に合体させる必要がある。また、端子に接続された電線を取り外したり接続先を変更する場合は、端子台部品をケース本体から一旦取り外す必要がある。この場合に、誤結線を引き起こすおそれがある。
【0007】
上記のように、特許文献1に記載された制御機器は、DINレールへ取り付ける場合に比べて、パネルへの取り付けには手間がかかり、作業性が良くないので、その改善が求められていた。
【0008】
本発明は、上記のような従来の制御機器の課題に鑑み、パネル取り付けの際の端子台への電線の接続の作業性を改善したDINレール取り付け兼用の制御機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による制御機器の第1の構成は、電子回路部品が実装されたプリント配線板を収容する略直方体形状のケースと、ケースの前面側に設けられた表示部及び操作部の少なくとも一方を含む前面パネル部と、取り付け用パネルに形成された開口部から前面パネル部が露出するようにケースを取り付け用パネルに固定することを可能とするパネル取り付け手段と、ケースの背面側を取り付け用レールに固定することを可能とするケースの背面側に設けられたレール係合部と、プリント配線板に実装され、かつ、電線を接続するための複数の端子がケースの背面側周辺部から露出するように設けられた端子台とを備え、端子台の複数の端子のそれぞれが、前面側から操作可能な第1の電線固定部材と背面側から操作可能な第2の電線固定部材とを備えていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、制御機器を取り付け用レール(DINレール)に取り付ける場合は第1の電線固定部材を前面側から操作して電線を端子台に接続すると共に、制御機器をパネルに取り付ける場合は第2の電線固定部材を背面側から操作して電線を端子台に接続することができる。したがって、従来の制御機器のように先に電線を接続した端子台部品をパネルに取り付けたケースに合体させるような手順を踏むことなく、制御機器全体をパネルに取り付けた後に電線を接続する作業を難なく行うことができる。また、制御機器全体がパネルに取り付けられたままの状態で、電線の取り外しや接続先の変更を随意に行うことができ、誤結線が発生するおそれが少なくなる。
【0011】
本発明による制御機器の第2の構成は、上記第1の構成の具体的な実施形態を特定するものであり、端子台は一列に配列された複数の端子を備え、各端子はプリント配線板に接続される中央ピン部と、この中央ピン部から二股状に分かれた互いに平行な第1及び第2の接触面と、第1及び第2の接触面にそれぞれ設けられた螺子孔に螺合する第1及び第2の締付螺子とを備え、第1の接触面及び第1の締付螺子が第1の電線固定部材を構成すると共に第2の接触面及び第2の締付螺子が第2の電線固定部材を構成し、端子台が実装されたプリント配線板がケースに収容された状態で、第1の締付螺子が前面側から回転可能であると共に第2の締付螺子が背面側から回転可能であることを特徴とする。このような構成により、端子台を構成する各端子が前面側から操作可能な第1の電線固定部材と背面側から操作可能な第2の電線固定部材とを有する構造を提供し、上記のような作用効果を得ることができる。
【0012】
本発明による制御機器の第3の構成は、上記第1又は第2の構成において、前面側に鍔部を有し、取り付け用パネルの開口部に前面側から挿入されると共に、取り付け用パネルの背面側に位置するケースに外嵌するように装着可能な前面枠部材を更に備え、ケースの側部に取り付けられる押さえ部材と前面枠部材とがパネル取り付け手段を構成し、前面枠部材の鍔部と押さえ部材との間に取り付け用パネルの開口部の周辺部分を挟むようにしてケースが取り付け用パネルに固定されることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、パネル取り付けに際して、従来の制御機器のように複数の固定螺子を緩めてケース本体と前面パネル部とを一旦分離し、取り付け対象のパネルの開口部に一方を挿入してから両者を再び合体して固定螺子で締付けるといった面倒な作業を行う必要が無くなる。すなわち、前面側から挿入された前面枠部材にケースを嵌め込むだけでよく、パネル取り付けの作業性が従来の制御機器に比べて大幅に改善される。なお、ケースの側部に取り付けられる押さえ部材を用いて制御機器(ケース)をパネルに固定する方法は従来の制御機器と同様である。
【0014】
本発明による制御機器の第4の構成は、上記いずれかの構成において、背面側端部に端子台が実装された一対のプリント基板がケース内に収容され、ケースの背面側の対向する2面に一対の端子台が配置され、一対の端子台の間にレール係合部が配置されていることを特徴とする
【0015】
このような構成によれば、制御機器の内部スペース及び背面スペースを有効に活用しながら、プリント基板に直付けされる端子台に最大限の数の端子を備えさせることができる。もちろん、端子台の各端子には、第1の構成で述べたように、前面側から操作可能な第1の電線固定部材と背面側から操作可能な第2の電線固定部材とが備えられる。
【0016】
本発明による制御機器の第5の構成は、上記第4の構成において、レール係合部を構成する部材の少なくとも一部がケースの背面に対して着脱自在であることを特徴とする。このような構成によれば、レール係合部の一部(突出部)が一対の端子台のうちの一方又は両方に被さり、一部の端子の第2の電線固定部材の操作(背面からの操作)を妨げるような場合に、レール係合部を構成する部材の少なくとも一部を取り外すことによって、そのような状態を解消し、すべての端子の背面側からの操作による電線の接続又は取り外しを可能とすることができる。背面側からの操作による電線の接続又は取り外しを行うパネル取り付けに際してレール係合部の機能は不要であるから、その一部又は全部の構成部材を取り外しても問題は無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施例に係る制御機器の外観を示す斜視図である。(a)は前面側から見た斜視図であり、(b)は背面側から見た斜視図である。この制御機器は、電子回路部品が実装されたプリント配線板(後述する)を収容する略直方体形状のケース11と、その前面側に設けられた表示部12a及び操作部12bを含む前面パネル部12とを有する。図示の例では、表示部12aには4桁の7セグメント表示器が2段に設けられ、操作部12bには4個の押釦スイッチが設けられている。
【0019】
ケース11の背面側の周辺部(図示の例では上下の辺)には、電線を接続するための複数の端子を有する一対の端子台13が設けられている。これらの端子台13は、後述するように、ケース11に収容された2枚のプリント配線板の端部にそれぞれ実装されている。また、端子台13の各端子は、前面側と背面側の両方に電線を接続するための電線固定部材(締付螺子13a、13b等)を備えている。この特徴的な構造については後で詳しく述べる。
【0020】
制御機器を(ケース11の背面側を)DINレールに固定するためのレール係合部14が、ケース11の背面の一対の端子台13の間に設けられている。レール係合部14は、ケース11の背面側に形成されたDINレールを受け入れるための凹部140と、その上下に取り付けられた一対の固定具141及び142を備えている。レール係合部14の基本的な構造は従来の制御機器に備えられているものと同様であるが、一部の構成部材がケース11の背面に対して着脱自在である点が特徴的である。
【0021】
図2は、制御機器のケースの背面側をDINレールに固定した状態を示す図である。図2(a)は制御機器の背面側から見たDINレール及びレール係合部を示し、図2(b)はDINレールの断面を示している。また、図3は、ケースの一部である背面部材等の分解斜視図である。図1(b)から分かるように、制御機器を構成するケース11の背面側には別体の背面部材11aが結合されており、前述のレール係合部14を構成する凹部140は背面部材11aに形成され、固定具141及び142は背面部材11aに固定されている。また、背面部材11aの上下(図2の位置関係で)の切り欠き部分、すなわち左右の壁面部材11aL及び11aRで挟まれた空間に一対の端子台13が収容される。
【0022】
DINレール15は、制御機器の取り付けのために規格化された金属製のレールであり、図2(b)に示すような断面形状を有する。また、図2(a)に示すように、DINレール15の長手方向に沿って所定ピッチで、幅方向中央部に長孔15aが設けられている。この長孔15aを用いて、制御ボックスの内壁等の壁面16にDINレール15を螺子止め等によって固定することができる。DINレール15の幅方向両端部の段が形成された部分をレール係合部14の凹部140が受け入れると共に、固定具141及び142がDINレール15を幅方向に挟持することにより、制御機器の背面側(ケース11の背面側)がDINレール15に固定される。
【0023】
なお、図2(a)に示すように、固定具141だけでなく、その左右両側の凹部140からオーバーハング状に形成された保持部140aもDINレール15の上側端部を保持している。また、下側の固定具142は、一対の支持部材143によって左右から挟持されるように保持され、上下方向に摺動可能で、かつ、上方に付勢されるように取り付けられている。
【0024】
図3に示すように、一対の支持部材143は、それぞれ2本の固定螺子144で制御機器の背面に固定されている。固定螺子144を外すことにより、一対の支持部材143及び固定具142をケース11の背面(背面部材11a)から取り外すことができる。制御機器をDINレール15に取り付けるのではなく、後述のようにパネル(例えば制御ボックスの扉パネル)に取り付ける場合は、レール係合部14を構成する固定具142等は不要である。
【0025】
一方、図2に示すように、固定具142が背面部材11aに取り付けられた状態では、その把持用端部142aが下側の端子台13を構成する7個の端子のうちの中央の3個に被さっており、これら3個の端子の背面側締付螺子13aをドライバーで回転操作することができない。そこで、制御機器をパネルに取り付ける場合は、上述のように固定具142等を背面部材11aから取り外すことによって、端子台13を構成するすべての端子の背面側締付螺子13aが回転操作可能になる。なお、制御機器をDINレール15に取り付ける場合は、端子台13を構成する各端子の前面側締付螺子13b(図1参照)を使用して電線を各端子に接続することができるので、背面側締付螺子13aが使用できなくても問題ない。
【0026】
図4は、本発明の実施例に係る制御機器をパネルに取り付ける様子を示す斜視図である。また、図5は、制御機器をパネルに取り付けた状態を示す側面図及び断面図である。図5(a)は側面図であり、図5(b)は図5(a)のB−B線に沿う断面図である。図4において、パネルPAは透明体として描かれているが、実際には制御ボックスの扉パネルのような金属製のパネルである。このパネルPAには、制御機器を取り付けるための矩形の開口部OPが形成されている。
【0027】
本実施例の制御機器は、図4に示すように、パネルPAの開口部OPに前面側から挿入されると共に、パネルPAの背面側に位置するケース11に外嵌するように装着可能な前面枠部材21を備えている。前面枠部材21の前面側には鍔部211が設けられ、その外径はパネルPAの開口部OPより一回り大きくなっている。したがって、前面枠部材21をパネルPAの開口部OPに前面側から挿入したときに、その鍔部211がパネルPAの開口部OPの周辺部分に当接する。
【0028】
図4から分かるように、ケース11の上下左右の側面の前面側部分は、前面枠部材21が外嵌するように一段低くなっている。また、この部分の左右側面には、縦長溝形状の係合凹部111が形成され、これに係合する縦長条形状の係合凸部212が前面枠部材21の内壁に設けられている。ケース11の前面側部分に前面枠部材21を外嵌させたときに、左右一対の係合凹部111と係合凸部212とが係合することによって両者が仮固定される。
【0029】
また、ケース11の左右側面には、前後方向に離間して配設された一対の角孔112及び113が設けられている。前面枠部材21の左右側面にも角孔213が一つずつ設けられている。ケース11の前面側部分に前面枠部材21が外嵌固定されたときに、前面枠部材21の角孔213がケース11の左右側面の前面側の角孔113に重なるようになっている。これらの角孔112、113、213を用いて、ケース11の左右の側面に一対の押さえ部材22が装着される。押さえ部材22は、前面枠部材21と共に、ケース11(制御機器)をパネルPAに固定するためのパネル取り付け手段を構成する。
【0030】
図5(b)によく示されているように、押さえ部材22は、先端に押圧部221aが備えられた螺子ロッド221と、これに螺合する螺子孔が形成された一対の支持部を有するブラケット222からなる。ブラケット222は、板金の折り曲げ加工によって作られた細長い形状を有し、長手方向両端部が略直角に折り曲げられて螺子孔が形成された一対の支持部となっている。これに螺合支持される螺子ロッド221は、回転操作によってブラケット222の長手方向に前進又は後退する。また、ブラケット222の側面には、長手方向に離間するように一対の切り起こし係合部222a及び222bが形成されており、これらを上記の角孔112、113、213に係合させることによってブラケット222(押さえ部材22)がケース11の左右の側面に装着される。
【0031】
図4及び図5から分かるように、背面側の切り起こし係合部222aはケース11の背面側の角孔112に係合し、前面側の切り起こし係合部222bはケース11の前面側の角孔113及び前面枠部材21の角孔213に係合する。重なり合ったケース11の前面側の角孔113と前面枠部材21の角孔213に押さえ部材22のブラケット222の前面側の切り起こし係合部222aが挿入されて係合することにより、ケース11と前面枠部材21との結合状態が確実になる。なお、制御機器の前面側から見て右側の押さえ部材22はケース11の上下方向中央より上側にオフセットした位置に装着され、逆に左側の押さえ部材22は上下方向中央より下側にオフセットした位置に装着されている(図4における角孔213の位置を参照)。
【0032】
図6は、ドライバーを用いて本実施例の制御機器をパネルに取り付ける様子を示す側面図である。この図に示すように、ドライバーDRを用いて押さえ部材22の螺子ロッド221をブラケット222に対して回転し前進させることにより、螺子ロッド221の先端の押圧部221aと前面枠部材21の鍔部211との間でパネルPAの開口部OPの周辺部分を挟みこむようにして制御機器(ケース11)がパネルPAに固定される。図5(b)の断面図にこの固定状態がよく示されている。
【0033】
次に、本実施例の制御機器に特徴的な端子台13の構造について図7及び図8を参照しながら説明する。図7はケースに内蔵された一対のプリント配線板とそれらの背面側端部に実装された端子台を示す斜視図であり、図7(a)は、ケース11の背面部材11aを取り除いた状態を示し、図7(b)は更にケース11を除いた状態(但し、ケース11から分離可能な前面パネル部12は残している)を示している。図8は端子台を示し、図8(a)は斜視図、図8(b)は断面図、図8(c)は各端子の構造を示す斜視図である。
【0034】
図7に示すように、本実施例の制御機器はケース11の内部に一対のプリント配線板31が収容されており、それぞれの背面側端部に端子台13が実装されている。なお、図7は、制御機器の背面側を上に、前面側を下にして描かれている。一対のプリント配線板31には、端子台13の他にも各種回路部品が実装されているが、図では省略されている。実装される回路部品は制御機器の種類や機能によって異なる。また、プリント配線板31の前面側端部には、前面パネル部12のプリント配線板121との電気接続のための基板間コネクタ311が実装されている。
【0035】
端子台13は、図8に示すように、樹脂成形品である台部材131に複数の端子33が一列に装着された構造を有する。各端子33は、プリント配線板31(の半田付けランド)に接続される中央ピン部331と、この中央ピン部331から二股状に分かれた互いに平行な第1及び第2の接触面332とを有する。第1及び第2の接触面332には、前面側及び背面側の締付螺子13aが螺合する螺子孔が形成され、締付螺子13aは、接触板333に挿通された後に接触面332の螺子孔にねじ込まれる。端子に接続される電線は、接触面332と接触板333との間に挟みこまれて、締付螺子13aによってしっかり固定される。つまり、第1の接触面332及び前面側(第1)の締付螺子13a(及び接触板333)が前面側(第1)の電線固定部材を構成し、第2の接触面332及び背面側(第2)の締付螺子13a(及び接触板333)が背面側(第2)の電線固定部材を構成している。
【0036】
したがって、本実施例の制御機器は、背面側をDINレール15に固定して使用する場合は(図1及び図2参照)、前面側の電線固定部材(締付螺子13b)を使用して電線を各端子に接続し、パネルに取り付けて使用する場合は(図4〜図6参照)、背面側の電線固定部材(締付螺子13a)を使用して電線を各端子に接続することができる。後者の場合は、前述のように、不要なレール係合部14を構成する部材の一部(固定具142等)を取り外すことによって、端子台13のすべての端子33が背面側から使用可能となる。
【0037】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記の実施例に限らず、種々の形態で実施することができる。図示した具体的な形状や構造は必要に応じて変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例に係る制御機器の外観を示す斜視図である。
【図2】制御機器のケースの背面側をDINレールに固定した状態を示す図である。
【図3】ケースの一部である背面部材等の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る制御機器をパネルに取り付ける様子を示す斜視図である。
【図5】制御機器をパネルに取り付けた状態を示す側面図及び断面図である。
【図6】ドライバーを用いて本実施例の制御機器をパネルに取り付ける様子を示す側面図である。
【図7】ケースに内蔵された一対のプリント配線板とそれらの背面側端部に実装された端子台を示す斜視図である。
【図8】端子台の斜視図及び断面図と各端子の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
11 ケース
12 前面パネル部
13 端子台
13a,13b 締付螺子(電線固定部材)
14 レール係合部
21 前面枠部材(パネル取り付け手段)
22 押さえ部材(パネル取り付け手段)
31 プリント配線板
32 端子
142 固定具(レール係合部を構成する部材)
331 中央ピン部
332 接触面(電線固定部材)
OP 開口部
PA 取り付け用パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路部品が実装されたプリント配線板を収容する略直方体形状のケースと、
前記ケースの前面側に設けられた表示部及び操作部の少なくとも一方を含む前面パネル部と、
取り付け用パネルに形成された開口部から前記前面パネル部が露出するように前記ケースを前記取り付け用パネルに固定することを可能とするパネル取り付け手段と、
前記ケースの背面側を取り付け用レールに固定することを可能とする前記ケースの背面側に設けられたレール係合部と、
前記プリント配線板に実装され、かつ、電線を接続するための複数の端子が前記ケースの背面側周辺部から露出するように設けられた端子台とを備え、
前記端子台の複数の端子のそれぞれが、前面側から操作可能な第1の電線固定部材と背面側から操作可能な第2の電線固定部材とを備えていることを特徴とする制御機器。
【請求項2】
前記端子台は一列に配列された複数の端子を備え、各端子は前記プリント配線板に接続される中央ピン部と、この中央ピン部から二股状に分かれた互いに平行な第1及び第2の接触面と、前記第1及び第2の接触面にそれぞれ設けられた螺子孔に螺合する第1及び第2の締付螺子とを備え、前記第1の接触面及び前記第1の締付螺子が前記第1の電線固定部材を構成すると共に前記第2の接触面及び前記第2の締付螺子が前記第2の電線固定部材を構成し、前記端子台が実装されたプリント配線板が前記ケースに収容された状態で、前記第1の締付螺子が前面側から回転可能であると共に前記第2の締付螺子が背面側から回転可能であることを特徴とする
請求項1記載の制御機器。
【請求項3】
前面側に鍔部を有し、前記取り付け用パネルの開口部に前面側から挿入されると共に、前記取り付け用パネルの背面側に位置する前記ケースに外嵌するように装着可能な前面枠部材を更に備え、
前記ケースの側部に取り付けられる押さえ部材と前記前面枠部材とが前記パネル取り付け手段を構成し、前記前面枠部材の鍔部と前記押さえ部材との間に前記取り付け用パネルの開口部の周辺部分を挟むようにして前記ケースが前記取り付け用パネルに固定されることを特徴とする
請求項1又は2記載の制御機器。
【請求項4】
背面側端部に前記端子台が実装された一対のプリント基板が前記ケース内に収容され、前記ケースの背面側の対向する2面に一対の前記端子台が配置され、前記一対の端子台の間に前記レール係合部が配置されていることを特徴とする
請求項1、2又は3記載の制御機器。
【請求項5】
前記レール係合部を構成する部材の少なくとも一部がケースの背面に対して着脱自在であることを特徴とする
請求項4記載の制御機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−32238(P2006−32238A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212344(P2004−212344)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】