制御装置、レーダ検知システム、レーダ検知方法
【課題】レーダから出力された検知結果によって異常を監視し、レーダの性能の低下を検知する。
【解決手段】取得部1aは、レーダ2から出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置および検知終了位置の座標を取得する。算出部1bは、検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部1eに記憶させる。比較部1cは、検知状況情報が示す検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値とそれぞれの所定の基準値とを比較する。異常判定部1dは、比較部1cによる比較結果に基づいて、レーダ2の異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する。
【解決手段】取得部1aは、レーダ2から出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置および検知終了位置の座標を取得する。算出部1bは、検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部1eに記憶させる。比較部1cは、検知状況情報が示す検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値とそれぞれの所定の基準値とを比較する。異常判定部1dは、比較部1cによる比較結果に基づいて、レーダ2の異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、制御装置、レーダ検知システム、レーダ検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車道における車両の通行状況を検知するために、例えば、ミリ波レーダ等のレーダを用いて、車道を俯瞰できる位置に設置して走行車両を検知するインフラレーダ等の技術が使用されている。
【0003】
これにより、車道上の車両の走行、一時停車または事故等による長時間停車による交通の障害の発生、交通量の測定等の車道における車両の通行状況を検知して車道の使用状態を管理し、また、車道脇に設置された表示装置等を使用して後続車等に車道の状態を知らせ、事故の発生を抑制することができる。
【0004】
また、車載レーダの設置位置のずれを検知する技術として、一部重畳領域を含み上下方向に検知範囲を異ならせた2台のレーダで、重畳領域を路面と平行に向けて設置することにより、レーダの設置のずれを検知する技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、レーダの設置位置が正常であれば、他車等の移動体は重畳領域で検知されるはずであり、一方、レーダの上下方向がずれると、重畳領域以外でも移動体を検知するようになることに基づき、レーダの設置のずれを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−14747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、インフラレーダのように10年以上の長期に亘って使用される可能性がある場合等もあるため、レーダのメンテナンスがなるべく不要である方が望ましい。この点では、車両の検知の際にレーダの送受信アンテナ面の角度を物理的に変化させるメカスキャン型よりも、車両の検知の際にレーダの送受信アンテナ面が固定され、車両の検知の際にレーダの送受信アンテナ面を変化させる必要がないスキャンレス型レーダの方が望ましい。また、スキャンレス型レーダにおいて、アンテナビーム幅が狭い型のレーダ(狭ビーム型レーダとする)は、ビームが広い型よりも受信電力が高く、物体の位置を検知する際に検知位置をシャープに検知できる点で望ましい。
【0007】
さて、狭ビーム型レーダの場合には、レーダの設置角度がずれると、所望の検知範囲をカバーできなくなる場合がある。このため、レーダの設置角度が常に正しい状態にあることを確認する必要がある。
【0008】
ここで、上記特許文献1記載の技術では、本来の用途からすればレーダは1台で済む所を、位置のずれを検知する目的で2台のレーダを使用するものであり、経済性の面で問題がある。
【0009】
また、メンテナンスの容易化の観点からは、レーダ実機を検分せずに、1台のレーダから出力された信号のみから設置角度のずれ等のレーダの異常の発生を検知できることが望ましい。
【0010】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、車道を俯瞰できる位置に設置された車両検知用のレーダについて、レーダから出力された信号によってレーダの異常を監視可能な制御装置、レーダ検知システム、レーダ検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために以下のような制御装置が提供される。この制御装置では、検知状況情報記憶部は、検知状況情報を記憶する。取得部は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、該車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する。算出部は、取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部に記憶させる。比較部は、検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する。異常判定部は、比較部による比較結果に基づいて、レーダの異常の発生の有無を判定する。
【0012】
また、上記目的を達成するために以下のようなレーダ検知システムが提供される。このレーダ検知システムでは、レーダは、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つ。制御装置は、検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、レーダから出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、比較部による比較結果に基づいて、レーダの異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する異常判定部と、を有する。監視装置は、異常判定部から出力された異常の発生を示す情報を受信すると、レーダの異常を示す情報を記憶する。
【0013】
また、上記目的を達成するために以下のようなレーダ検知方法が提供される。このレーダ検知方法は、コンピュータが、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得し、取得した検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を記憶し、記憶した算出結果の検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、記憶した算出結果の検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、レーダの異常の発生の有無を判定する。
【発明の効果】
【0014】
開示の制御装置、レーダ検知システム、レーダ検知方法によれば、レーダから出力された検知対象の検知結果によってレーダの異常を監視し、レーダの性能の低下を検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態の制御装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態のシステム構成を示す図である。
【図3】第2の実施の形態の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【図4】第2の実施の形態の監視装置のハードウェア構成を示す図である。
【図5】第2の実施の形態の制御装置の機能を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態の軌跡テーブルを示す図である。
【図7】第2の実施の形態の軌跡収集テーブルを示す図である。
【図8】第2の実施の形態の検知状況テーブルを示す図である。
【図9】第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
【図10】第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
【図11】第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
【図12】第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
【図13】第2の実施の形態の軌跡記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態の軌跡収集処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態のレーダ異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態のレーダ異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】第2の実施の形態の基本判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】第2の実施の形態の基本判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】第2の実施の形態の短期判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】第2の実施の形態の長期判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の制御装置を示す図である。本実施の形態の制御装置1は、交通量測定等に利用可能なインフラレーダのレーダ検知システムにおいて、レーダ2で検知された車道を走行する走行車両等の対象物の検知結果を収集すると共に、レーダ2の異常の発生の有無を判定する。制御装置1は、取得部1a、算出部1b、比較部1c、異常判定部1d、検知状況情報記憶部1eを有する。制御装置1は、監視装置3と通信回線で接続されている。
【0017】
取得部1aは、レーダ2から出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する。
算出部1bは、取得部1aによって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部1eに記憶させる。
【0018】
比較部1cは、検知状況情報記憶部1eに記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較すると共に、検知状況情報記憶部1eに記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する。
【0019】
異常判定部1dは、比較部1cによる比較結果に基づいて、レーダ2について、設置角度のずれや汚れ等の異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する。本実施の形態で判定されるレーダ2の異常は、例えば、設置角度のずれまたはレドームに対する汚れの付着等の、検知結果に対して偏差やばらつきの増大等の影響を与える異常を意味する。
【0020】
検知状況情報記憶部1eは、検知状況情報を記憶する。検知状況情報は、レーダ2の異常の発生の有無の判定に用いる情報であり、例えば、検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値の算出結果を含む。
【0021】
レーダ2は、アンテナによって電波を送受信することにより走行車両を検知する。レーダ2は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つ。レーダ2は、制御装置1と接続されており、例えば、検知時の検知対象の走行車両の位置、速度、反射された放射電波を受信したときの受信電力等を検知し、検知結果を示す信号を制御装置1に送信する。
【0022】
監視装置3は、異常判定部1dから出力された異常の発生を示す情報を受信すると、レーダ2の異常を示す情報を記憶し、レーダ検知システムの管理者にレーダ2の異常の発生を報知する。
【0023】
このように、制御装置1では、取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出した検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較すると共に算出した検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較し、比較結果に基づきレーダ2について、設置角度のずれや汚れ等の異常の発生の有無を判定する。これにより、レーダ2から出力された検知対象の検知結果によってレーダ2の異常を監視し、レーダ2の性能の低下を検知することが可能となる。
【0024】
[第2の実施の形態]
次に、図1に示した制御装置1の、レーダの性能の低下を検知する機能を制御装置100に適用した実施の形態を、第2の実施の形態として説明する。
【0025】
図2は、第2の実施の形態のシステム構成を示す図である。図2に示すレーダ検知システムは、交通量測定等に利用可能なインフラレーダであって、制御装置100,100a,100b,100c,100d,100e、レーダ200,200a,200b,200c,200d,200e、監視装置300を有する。制御装置100,100a〜100eおよび監視装置300は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク10を介して通信可能に接続されている。
【0026】
制御装置100は、レーダ200と接続されている。制御装置100は、レーダ200を制御すると共に、レーダ200により検知された走行車両の検知結果を示すデータを取得し、取得したデータを集計すると共に集計結果を監視装置300に送信する。制御装置100a〜100eは、制御装置100と同一の構成であり、それぞれレーダ200a〜200eと接続されている。
【0027】
レーダ200は、管理対象の車道を俯瞰できる位置に設置されており、走行車両を検知するミリ波レーダである。レーダ200は、車道の全域をカバーするために、管理対象の車道の監視ポイント毎、車道が複数車線を有する場合には車線毎に、複数設けられている。レーダ200は、ミリ波の送受信および信号処理により、車道上の走行車両の位置および速度を得ることができる。レーダ200は、接続されている制御装置100に対して検知した走行車両の検知結果を示すデータを送信する。本実施の形態のレーダ200は、構造が比較的単純で速度測定に適するFM−CW方式を用いる。なお、レーダ200は、パルス方式、二周波CW方式、SS(Spread Spectrum)方式やその他の方式のレーダを用いてもよい。
【0028】
監視装置300は、制御装置100,100a〜100eから送信されるデータを集計する。監視装置300は、制御装置100,100a〜100eと接続されている上位コンピュータであり、監視装置300により検知システム全体が制御されると共に、レーダ200,200a〜200eによる検知結果の集計および管理が行われる。また、監視装置300は、制御装置100,100a〜100eから、それぞれ対応するレーダ200,200a〜200eに異常が発生した旨の通知を受信すると、異常が発生した旨のログを作成すると共に、監視装置300に接続されたモニタに異常の発生を通知するメッセージを表示してレーダ検知システムの管理者に異常の発生を通知する。
【0029】
なお、本実施の形態では、制御装置100,100a〜100eとレーダ200,200a〜200eとが1対1で設置されているが、これに限らず、制御装置1台が複数台のレーダを制御してもよい。また、監視装置300がレーダ検知システムのすべての制御装置100,100a〜100eとレーダ200,200a〜200eとを監視するが、これに限らず、レーダ検知システムに複数台の監視装置を設置して冗長構成としてもよい。
【0030】
図3は、第2の実施の形態の制御装置のハードウェア構成を示す図である。制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。
【0031】
RAM102は、制御装置100の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
【0032】
バス107に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、表示部104、入力インタフェース105および通信インタフェース106がある。
【0033】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、制御装置100の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0034】
表示部104には、図示しない発光ランプや図示しないモニタが接続されている。表示部104は、CPU101からの命令に従って、LEDを点灯させ、または画像をモニタの画面に表示させる。発光ランプは、電球やLED(Light Emitting Diode)等がある。モニタとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0035】
入力インタフェース105には、操作部12とレーダ200とが接続されている。入力インタフェース105は、操作部12やレーダ200から送られてくる信号をCPU101に送信する。操作部12は、ボタンを有してもよく、キーボード、タッチパネル等の任意の操作手段とすることができる。
【0036】
通信インタフェース106は、ネットワーク10に接続されている。通信インタフェース106は、ネットワーク10を介して、監視装置300等の他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0037】
なお、図3には制御装置100のハードウェア構成を示したが、制御装置100a,100b,100c,100d,100eも同様のハードウェア構成である。
図4は、第2の実施の形態の監視装置のハードウェア構成を示す図である。監視装置300は、CPU301によって装置全体が制御されている。CPU301には、バス308を介してRAM302と複数の周辺機器が接続されている。
【0038】
RAM302は、監視装置300の主記憶装置として使用される。RAM302には、CPU301に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM302には、CPU301による処理に必要な各種データが格納される。
【0039】
バス308に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ303、グラフィック処理装置304、入力インタフェース305、光学ドライブ装置306、および通信インタフェース307がある。
【0040】
HDD303は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD303は、監視装置300の二次記憶装置として使用される。HDD303には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0041】
グラフィック処理装置304には、モニタ311が接続されている。グラフィック処理装置304は、CPU301からの命令に従って、画像をモニタ311の画面に表示させる。モニタ311としては、CRTを用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0042】
入力インタフェース305には、キーボード312とマウス313とが接続されている。入力インタフェース305は、キーボード312やマウス313から送られてくる信号をCPU301に送信する。なお、マウス313は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0043】
光学ドライブ装置306は、レーザ光等を利用して、光ディスク314に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク314は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク314には、DVD、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R/RW等がある。
【0044】
通信インタフェース307は、ネットワーク10に接続されている。通信インタフェース307は、ネットワーク10を介して、制御装置100等の他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0045】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
図5は、第2の実施の形態の制御装置の機能を示すブロック図である。本実施の形態の制御装置100は、交通量測定等に利用可能なインフラレーダのレーダ検知システムにおいて、レーダ200で検知された車道を走行する走行車両等の対象物の検知結果を収集すると共に、レーダ200の異常の発生の有無を判定すると共に、検知した異常を監視装置300に通知する。制御装置100は、監視装置300とネットワーク10で接続されている。また、制御装置100は、レーダ200と接続されている。
【0046】
制御装置100は、取得部110、算出部120、比較部130、異常判定部140、軌跡情報記憶部151、軌跡収集情報記憶部152、検知状況情報記憶部153を有する。制御装置100は、監視装置300と通信回線で接続されている。
【0047】
取得部110は、レーダ200から出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する。
【0048】
取得部110は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標、検知終了位置の座標および走行車両から反射された電波の受信電力を取得し、取得結果を示す軌跡情報を生成し、生成した軌跡情報を軌跡情報記憶部151に記憶させる。
【0049】
算出部120は、所定の台数の走行車両を検知する毎に区分した区間において、軌跡情報記憶部151に記憶されている軌跡情報に示された、取得部110によって取得された検知開始位置の座標の平均値、検知終了位置の座標の平均値および走行車両から反射された電波の受信電力を算出する。
【0050】
このとき算出部120は、上記区間毎に軌跡収集情報を生成し、生成した軌跡収集情報を軌跡収集情報記憶部152に記憶させる。そして、算出部120は、レーダ200が新たに走行車両を検知する毎に軌跡情報を生成すると共に、生成した軌跡情報に示された検知結果を軌跡収集情報記憶部152に記憶されている当該区間の軌跡収集情報に加算する。そして、算出部120は、当該区間の終了時に、各検知結果の合計値を通過台数で割ることにより、各検知結果の平均値を算出する。
【0051】
また、算出部120は、算出結果を有する検知状況情報を、検知状況情報記憶部153に記憶させる。なお、算出部120は、所定時間経過毎に区分した区間において、取得部110によって取得された検知開始位置の平均値、検知終了位置の平均値および受信電力の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部153に記憶させてもよい。
【0052】
比較部130は、検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値との差の絶対値である平均検知距離を算出する。また、比較部130は、検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較する。また、比較部130は、検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する。また、比較部130は、検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された受信電力の平均値と受信電力の所定の基準値とを比較する。また、比較部130は、算出した平均検知距離を、平均検知距離の所定の基準値と比較する。
【0053】
検知開始位置の所定の基準値は、レーダの設置時に設定された検知開始位置に基づいて設定される。また、検知終了位置の所定の基準値は、レーダの設置時に設定された検知終了位置に基づいて設定される。また、受信電力の所定の基準値は、レーダの設置時に設定された受信電力に基づいて設定される。また、平均検知距離の所定の基準値は、レーダの設置時に設定された検知開始位置および検知終了位置に基づいて設定される。なお、検知開始位置の所定の基準値は、算出部120により過去に算出された検知開始位置の平均値に基づいて設定してもよい。また、検知終了位置の所定の基準値は、算出部120により過去に算出された検知終了位置の平均値に基づいて設定してもよい。また、受信電力の所定の基準値は、算出部120により過去に算出された受信電力の平均値に基づいて設定してもよい。また、平均検知距離の所定の基準値は、算出部120により過去に算出された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値に基づいて設定してもよい。
【0054】
異常判定部140は、比較部130による比較結果に基づいて、レーダの設置角度のずれの発生の有無を判定し、ずれが発生したと判定した場合には、ずれの発生を示す情報を出力する。なお、異常判定部140は、比較部130による比較結果に基づいて、レーダレドームの汚れの有無を判定し、汚れがあると判定した場合には、汚れの発生を示す情報を出力してもよい。本実施の形態で判定されるレーダ200の異常は、例えば、レーダ200の設置角度のずれまたはレドームに対する汚れの付着等の、検知結果に対して偏差やばらつきの増大等の影響を与える異常を意味する。
【0055】
軌跡情報記憶部151は、軌跡情報を記憶する。軌跡情報は、レーダ200によって検知された走行車両のそれぞれの検知結果を示す情報であり、例えば、レーダ200によって検知された走行車両のそれぞれの検知開始時および検知終了時の位置を示す座標、検知時の速度、検知時に反射された放射電波の受信電力を含む。
【0056】
軌跡収集情報記憶部152は、軌跡収集情報を記憶する。軌跡収集情報は、レーダ200によって検知された走行車両の所定の区間(例えば、一定時間または一定の台数が通過するまでの間)における集計結果を示す情報であり、例えば、所定の区間における検知された走行車両の通過台数、所定の区間における走行車両のそれぞれの検知開始時の座標の合計値、所定の区間における走行車両のそれぞれの検知終了時の座標の合計値、所定の区間における走行車両のそれぞれの受信電力の合計値を含む。また、軌跡収集情報は、所定の区間において検知された走行車両の台数を示す通過台数を含む。
【0057】
検知状況情報記憶部153は、検知状況情報を記憶する。検知状況情報は、レーダ200の異常の発生の有無の判定に用いる情報であり、例えば、検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値の算出結果を含む。
【0058】
レーダ200は、アンテナによって電波を送受信することにより走行車両を検知する。レーダ200は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つ。レーダ200は、制御装置100と接続されており、例えば、検知時の検知対象の走行車両の位置、速度、反射された放射電波を受信したときの受信電力等を検知し、検知結果を示す信号を制御装置100に送信する。
【0059】
レーダ200には、電波を送信する送信アンテナおよび電波を受信するアンテナが設けられている。走行車両等の検知対象にレーダ200の送信アンテナから電波が放射されると、その電波は反射される。そして、反射された電波がレーダ200の受信アンテナで受信される。このとき、検知対象へのレーダ200の送信電波に対する受信電波の遅延時間から、レーダ200と検知対象との距離および相対速度を検知することができる。ここで、レーダ200の絶対速度は0であるため、検知された相対速度は、検知対象の絶対速度とみなすことができる。また相対速度の正負により、検知対象の移動方向を知ることができる。
【0060】
また、レーダ200は、検知対象からの反射強度(受信電力値)を検知することができる。また、レーダ200のアンテナは、垂直方向・水平方向それぞれに送受信範囲を調整可能であり、レーダ200はこの範囲およびレーダの検知可能距離以内の物体を検知することができる。
【0061】
レーダ200は、走行車両を検知する車道に設置され、例えば、放射される放射電波の範囲が狭い、狭ビームのレーダを使用することができる。この場合、狭ビームのレーダは指向性が高いため、レーダが有する車両の検知性能を十分引き出すためには、レーダの設置角度が正確に維持されていることが求められる。またレーダビームのレドームは、常に異物が付着していない状態にある必要がある。
【0062】
車道に設置されたレーダ200を用いて走行車両を検知するレーダ検知システムが運用開始すると、その運用期間は10年程度やそれ以上の長期に亘る場合がある。レーダ200の運用期間中に、何らかの理由により、例えば、レーダ200の方向が当初の設置方向とずれたり、レドームに異物が付着したりするような異常が発生すれば、システムの当初想定された性能が引き出されなくなる場合がある。
【0063】
このような場合に、異常を認識できず、レーダ200の方向を修正せずに運用を継続すると、期待された性能を引き出すことができなくなる場合がある。
監視装置300は、異常判定部140から出力された異常の発生を示す情報を受信すると、レーダ200の異常を示す情報を記憶し、レーダ検知システムの管理者にレーダ200の異常の発生を報知する。
【0064】
本実施の形態のレーダ検知システムでは、レーダ200は、検知対象である走行車両の位置、速度、受信電力を所定の間隔で検知し、検知結果を示す信号を制御装置100に送信する。制御装置100は、レーダ200から送信された信号を取得部110で取得し、検知結果を示す軌跡情報を軌跡情報記憶部151に記憶させる。このとき、制御装置100は、軌跡情報に基づいて各走行車両を識別し、同一車両に同一のIDを付与して管理することで、走行車両の時系列な検知結果を得ることができる。
【0065】
次に、制御装置100は、軌跡情報記憶部151に記憶されている軌跡情報に基づいて、一定時間毎または一定通過台数毎に、検知開始位置の平均値、検知終了位置の平均値、受信電力の平均値等を計算し、検知状況情報記憶部153に記憶させる。これを繰り返すことで、検知状況情報を、継続して蓄積する。
【0066】
また、制御装置100は、一定期間毎等所定の契機で、蓄積した検知状況情報に基づき、検知開始位置の平均値、検知終了位置の平均値、受信電力の平均値等の変動からレーダ200の異常の発生の有無を判定する。異常判定部140は、検知開始位置の平均値、検知終了位置の平均値、受信電力の平均等が、短期的および長期的にも値の偏りが強くなっており、変動した値への回復傾向が確認できない場合、レーダ200に異常が発生したと判定し、管理者への報知等を行う。
【0067】
図6は、第2の実施の形態の軌跡テーブルを示す図である。図6に示す軌跡テーブル151aは、制御装置100が有する軌跡情報記憶部151に記憶されており、取得部110によって取得されたレーダ200の検知結果を示すデータが書き込まれる。軌跡テーブル151aは、レーダ200によって検知された走行車両の検知結果を示す軌跡情報を記憶するテーブルである。
【0068】
軌跡テーブル151aには、項目として“ID”、“検知開始座標”、“検知終了座標”、“速度”、“受信電力”が設けられている。軌跡テーブル151aにおいて、各項目の横方向に並べられた情報同士が軌跡情報として互いに関連付けられている。
【0069】
IDは、レーダ200によって検知された走行車両を一意に識別するために、検知された各走行車両に対して割り当てられた番号である。IDは、レーダ200によって新たな走行車両が検知される都度、検知結果に対して新たな軌跡情報が設定されると共に設定された軌跡情報に対して新たなIDが割り当てられる。
【0070】
検知開始座標は、ある走行車両の検知において最初に取得された座標を示す値である。本実施の形態では、レーダ200から放射される電波の放射方向が検知対象の走行車両の進行方向と一致するように、レーダ200が設置される。これに基づき、レーダ200で検知された走行車両の座標は、レーダ200からの電波の放射方向と平行な1次元上の座標として示される。
【0071】
検知終了座標は、ある走行車両の検知において最後に取得された座標を示す値である。検知開始座標および検知終了座標は、レーダ200による走行車両の検知時における検知の限界の両端を示す。
【0072】
速度は、ある走行車両の検知時において検知された走行車両の速度を示す値である。速度は、走行車両の検知時における任意の一回の計測値を、軌跡情報の速度の値としてもよく、検知時における計測値の平均値を、軌跡情報の速度の値としてもよい。また、速度は、検知開始時刻と検知終了時刻との時間を計測しておき、検知開始座標と検知終了座標との距離を計測した時間で割った算出結果を、軌跡情報の速度の値としてもよい。
【0073】
受信電力は、ある走行車両の検知時において検知された反射波の受信電力を示す値である。受信電力は、走行車両の検知時における任意の一回の計測値を、軌跡情報の受信電力の値としてもよく、検知時における計測値の平均値を、軌跡情報の受信電力の値としてもよい。
【0074】
図7は、第2の実施の形態の軌跡収集テーブルを示す図である。図7に示す軌跡収集テーブル152aは、制御装置100が有する軌跡収集情報記憶部152に記憶されており、算出部120による軌跡情報の所定の区間における集計結果が書き込まれる。軌跡収集テーブル152aは、レーダ200によって検知された走行車両の所定の区間における集計結果を示す軌跡収集情報を記憶するテーブルである。
【0075】
軌跡収集テーブル152aには、項目として“通過台数”、“合計検知開始座標”、“合計検知終了座標”、“合計受信電力”が設けられている。軌跡収集テーブル152aにおいて、各項目の横方向に並べられた情報同士が軌跡収集情報として互いに関連付けられている。
【0076】
通過台数は、所定の区間におけるレーダ200によって検知された走行車両の台数を示す値である。通過台数は、レーダ200によって新たな走行車両が検知される都度加算される。また、通過台数は、所定の区間の開始時に“0”が設定される。本実施の形態では、算出部120は、所定の時間間隔(例えば、10分)で区分された区間毎に軌跡情報を集計する。なおこれに限らず、所定の通過台数(例えば、100台)毎に区分された区間毎に軌跡情報を集計してもよい。
【0077】
合計検知開始座標は、所定の区間における走行車両の検知において最初に取得された座標の合計値である。合計検知開始座標は、算出部120により、走行車両がレーダ200によって新たに検知され、検知開始座標が取得される毎に、取得された検知開始座標を示す値が加算される。
【0078】
合計検知終了座標は、所定の区間における走行車両の検知において最後に取得された座標の合計値である。合計検知終了座標は、算出部120により、走行車両がレーダ200によって新たに検知され、検知終了座標が取得される毎に、取得された検知終了座標を示す値が加算される。
【0079】
合計受信電力は、所定の区間における走行車両の検知時において検知された反射波の受信電力の合計値である。合計受信電力は、算出部120により、走行車両がレーダ200によって新たに検知され、受信電力が取得される毎に、取得された受信電力を示す値が加算される。
【0080】
図8は、第2の実施の形態の検知状況テーブルを示す図である。図8に示す検知状況テーブル153aは、制御装置100が有する検知状況情報記憶部153に記憶されており、算出部120によって集計された各区間の軌跡収集情報に基づき、各区間の集計結果の平均値が書き込まれる。検知状況テーブル153aは、算出部120によって集計された各区間の集計結果の代表値(例えば、平均値)を示す検知状況情報を記憶するテーブルである。
【0081】
検知状況テーブル153aには、項目として“区間”、“平均検知開始座標”、“平均検知終了座標”、“平均受信電力”が設けられている。検知状況テーブル153aにおいて、各項目の横方向に並べられた情報同士が検知状況情報として互いに関連付けられている。
【0082】
区間は、算出部120により検知結果が集計された各区間を示す情報である。本実施の形態では、前述したように、各区間は、算出部120により所定の時間間隔で区分された区間毎に区分される。なおこれに限らず、各区間は、所定の通過台数毎に区分されてもよい。
【0083】
平均検知開始座標は、各区間における走行車両の検知において最初に取得された座標の平均値である。平均検知開始座標は、算出部120により、各区間の軌跡収集情報に基づき、区間毎に合計検知開始座標を通過台数で割ることにより算出される。
【0084】
平均検知終了座標は、各区間における走行車両の検知において最後に取得された座標の平均値である。平均検知終了座標は、算出部120により、各区間の軌跡収集情報に基づき、区間毎に合計検知終了座標を通過台数で割ることにより算出される。
【0085】
平均受信電力は、各区間における走行車両の検知時において検知された反射波の受信電力の平均値である。平均受信電力は、算出部120により、各区間の軌跡収集情報に基づき、区間毎に合計受信電力を通過台数で割ることにより算出される。
【0086】
図9から図12は、第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
図9に、レーダ200が管理対象の車道上に設置されている様子を示す。図9に示すように、レーダ200は、車道に設けられた支柱20等の高所に、ビーム201の放射方向が管理対象の車道の進行方向と平行に設置されている。レーダ200は、車道上の走行車両500に対して狭ビームの電波であるビーム201を放射させ、放射したビーム201の反射波を受信アンテナで受信することで、車道600をD1方向に走行する走行車両500の位置や速度を検知する。レーダ200で検知された走行車両500の検知結果は、例えば支柱20の脇に設置された制御装置100で収集され、収集結果が監視装置300に送信される。
【0087】
レーダ200で検知される走行車両500の位置の基準点(原点)を、レーダ200の設置地点の直下とする。また、レーダ200は、ビーム201が車道の車線に沿って放射されるように設置し、俯角、方位角を適切に調整することで、最適な検知距離を得ることができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、1車線の走行車両の検知を行う場合の例を示したが、これに限らず、例えば、レーダを複数の車線に沿って複数台平行に設置する等により、複数台のレーダを用いて同時に複数車線の検知を行うこともできる。
【0089】
また、図9では、レーダ200は走行車両500の前方からビーム201を放射することにより、走行車両500を検知する場合の例を示しているが、これに限らず、走行車両500の後方からビーム201を放射して走行車両500を検知してもよい。
【0090】
図10に、レーダ200が走行車両(走行車両500a,500b,500c)にビーム201を放射する際の様子を示す。図10に示すように、走行車両が管理対象である車道600上をD2方向に、走行車両500a,走行車両500b,500cのように走行しているものとする。制御装置100と共に支柱20に設置されているレーダ200は、走行車両500a〜500cに対してビーム201を放射している。
【0091】
このとき、レーダ200は、アンテナからビーム201を水平方向Xに対して所定の角度V(例えば、6°)下向きに放射する。レーダ200は、放射したビーム201の反射波を受信アンテナで受信することにより、ビーム201の境界面201a,201bの範囲内に含まれている走行車両500a〜500cについて、位置および速度を検知可能である。
【0092】
図11に、上方向から見たレーダ200のビーム201の水平方向における放射の様子を示す。図11に示すように、制御装置100と共に支柱20に設置されているレーダ200は、アンテナからビーム201をアンテナの正面方向に対して、境界面201c,201dが所定の角度θ(例えば、4°)の広がりとなるように放射する。
【0093】
図12に、レーダ200が走行車両500の前方から検知する場合の例を示す。ここで、D3方向に走行する走行車両500がビーム201による検知範囲に入り、軌跡202に沿って移動し、その後検知範囲から出たものとする。レーダ200は、所定の時間間隔(例えば、10秒毎)に走行車両500を検知し、検知結果を取得する。これにより、レーダ200は、検知範囲を通過する走行車両500の所定時間毎の座標(座標202a,202b,202c,202d,202e)、速度、受信電力を検知し、検知結果を制御装置100に送信する。検知結果を受信した制御装置100は、前述のように検知結果を走行車両毎に区別して収集する。ここで、走行車両500が検知範囲に入ってから最初に検知された座標202aを検知開始座標とし、最後に検知された座標202eを検知終了座標とする。
【0094】
なお、本実施の形態では、レーダ200は、遠方からレーダ200に接近する走行車両500に対して、走行車両500の前方からビーム201を放射して検知するが、これに限らず、レーダ200の直下を通過してレーダ200から遠ざかる走行車両500に対して、走行車両500の後方からビーム201を放射して検知してもよい。
【0095】
また、本実施の形態では、レーダ200は、走行車両500の位置の検知を、レーダ200のアンテナから放射されるビーム201の放射方向と平行方向の1次元座標として処理するが、これに限らず、平面2次元座標系や他の座標系で処理してもよい。
【0096】
図13は、第2の実施の形態の軌跡記録処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、レーダ200で検知された走行車両500の検知結果を軌跡情報記憶部151の軌跡テーブル151aに記憶させ、軌跡収集情報記憶部152の軌跡収集テーブル152aに記憶されている軌跡収集情報を更新する軌跡記録処理を実行する。軌跡記録処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図13に示す軌跡記録処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0097】
[ステップS11]取得部110は、レーダ200から送信された走行車両500の検知データを示す信号を取得する。このとき取得部110は、検知範囲内に複数台の走行車両がある場合には、それぞれの走行車両に対してIDを割り当てると共にそれぞれの走行車両を区別して検知する。
【0098】
[ステップS12]取得部110は、検知範囲内に走行車両500があるか否かを判定する。検知範囲内に走行車両500があれば、処理はステップS11に進められる。一方、検知範囲内に走行車両500がなければ、処理はステップS13に進められる。
【0099】
[ステップS13]取得部110は、検知された走行車両の軌跡情報を生成し、生成した軌跡情報を軌跡情報記憶部151に記憶されている軌跡テーブル151aに記憶させる。このとき取得部110は、複数台の走行車両が同時に検知されている場合には、走行車両毎に軌跡情報を生成して軌跡テーブル151aに記憶させる。
【0100】
[ステップS14]算出部120は、ステップS12で取得部110により生成され、軌跡情報記憶部151の軌跡テーブル151aに記憶された軌跡情報に基づいて、軌跡収集情報記憶部152に記憶されている軌跡収集テーブル152aに記憶されている軌跡収集情報を更新する。具体的には、算出部120は、新たに検知された走行車両の台数(すなわち、新たに生成された軌跡情報の数)を、軌跡収集情報の通過台数に加算すると共に、新たに生成された軌跡情報の検知開始座標、検知終了座標、受信電力の値を、それぞれ軌跡収集情報の合計検知開始座標、合計検知終了座標、合計受信電力の値に加算する。その後、処理はステップS11に進められる。
【0101】
図14は、第2の実施の形態の軌跡収集処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、軌跡記録処理で軌跡収集テーブル152aに記憶された軌跡収集情報の合計値を区間における通過台数で除して当該区間の検知状況情報を生成し、生成した検知状況情報を検知状況情報記憶部153の検知状況テーブル153aに記憶させる軌跡収集処理を実行する。軌跡収集処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図14に示す軌跡収集処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0102】
[ステップS21]算出部120は、走行車両500の軌跡の収集の区分単位となる所定の区間が終了したか否かを判定する。所定の区間が終了していれば、処理はステップS22に進められる。一方、所定の区間が終了していなければ、ステップS21の処理が繰り返される。ここで、所定の区間は、一定時間(例えば、10分)毎に区分してもよく、一定台数の走行車両(例えば、100台)が検知される毎に区分してもよい。
【0103】
[ステップS22]算出部120は、ステップS21で終了したと判定された区間の軌跡収集情報に基づいて、区間の各合計値(合計検知開始座標、合計検知終了座標、合計受信電力)を区間の通過台数で除し、得られた結果を示す検知状況情報を生成し、生成した検知状況情報を検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況テーブル153aに記憶させる。
【0104】
[ステップS23]算出部120は、軌跡収集情報記憶部152の軌跡収集テーブル152aに記憶されている軌跡収集情報を初期化する。その後、処理はステップS21に進められる。
【0105】
図15および図16は、第2の実施の形態のレーダ異常判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、走行車両500の検知結果に基づき、レーダ200において、アンテナの方向のずれやレドームの汚れの付着等による異常の発生の有無を判定するレーダ異常判定処理を実行する。レーダ異常判定処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図15および図16に示すレーダ異常判定処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0106】
[ステップS31]比較部130は、後述する長期判定処理を実行するか否かの判定に使用するタイマTLを初期化(タイマTLに0を設定)する。
[ステップS32]比較部130は、後述する短期判定処理を実行するか否かの判定に使用するタイマTSを初期化(タイマTSに0を設定)する。
【0107】
[ステップS33]比較部130は、新たな区間について算出部120によりステップS22において前述した検知状況情報が生成されたか否かを判定する。新たな区間の検知状況情報が生成されていれば、処理はステップS34に進められる。一方、新たな区間の検知状況情報が生成されていなければ、ステップS33の処理が繰り返される。これにより、所定の区間の終了に伴い新たに生成された検知状況情報に基づいて後述する基本判定処理が実行される。
【0108】
[ステップS34]比較部130は、検知状況情報に基づいて各平均値と閾値とを比較してレーダ200の異常の有無を評価する基本判定処理を実行する。基本判定処理については、詳しくは図16および図17において後述する。
【0109】
[ステップS35]比較部130は、タイマTSが示す時間が所定の期間(例えば、一か月)を経過したか否かを判定する。タイマTSが所定の期間を経過していれば、処理はステップS36に進められる。一方、タイマTSが所定の期間を経過していなければ、処理はステップS33に進められる。
【0110】
[ステップS36]異常判定部140は、基本判定処理の評価結果に基づいて短期的な期間のレーダ200の異常の有無を判定する短期判定処理を実行する。短期判定処理については、詳しくは図19において後述する。その後、処理はステップS41(図16)に進められる。
【0111】
[ステップS41]比較部130は、タイマTLが示す時間が所定の期間(例えば、六か月)を経過したか否かを判定する。タイマTLが所定の期間を経過していれば、処理はステップS42に進められる。一方、タイマTLが所定の期間を経過していなければ、処理はステップS32に進められる。
【0112】
[ステップS42]異常判定部140は、短期判定処理の判定結果に基づいて長期的かつ最終的なレーダ200の異常の有無を判定する長期判定処理を実行する。長期判定処理については、詳しくは図20において後述する。その後、処理はステップS31に進められる。
【0113】
図17および図18は、第2の実施の形態の基本判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、検知状況情報に基づいて、検知状況情報の各平均値と閾値とを比較してレーダ200の異常の有無を評価する基本判定処理を実行する。基本判定処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図17および図18に示す基本判定処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0114】
[ステップS51]比較部130は、検知状況情報の各平均値と閾値とを比較して所定範囲外であった場合に加算される変数EBを初期化(EBに0を設定)する。
[ステップS52]比較部130は、検知開始座標の平均値を示す、検知状況情報の平均検知開始座標が、所定範囲外であるか否かを判定する。平均検知開始座標が、所定範囲外であれば、処理はステップS53に進められる。一方、平均検知開始座標が、所定範囲内であれば、処理はステップS54に進められる。ここで、平均検知開始座標が所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値である検知開始座標閾値と比較して行われる。
【0115】
ここで、走行車両500の検知結果の位置の座標は、レーダ200のアンテナの直下が原点(0)であり、レーダの放射方向に向かって座標の値が増加するものとする。
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する(レーダ200は、走行車両500がレーダ200に接近するように走行している所を検知する)場合、平均検知開始座標が検知開始座標閾値以上(平均検知開始座標≧検知開始座標閾値)であれば、平均検知開始座標は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知開始座標が検知開始座標閾値未満(平均検知開始座標<検知開始座標閾値)であれば、平均検知開始座標は、所定範囲内であると判定される。
【0116】
また、レーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する(レーダ200は、走行車両500がレーダ200から遠ざかるように走行している所を検知する)場合、平均検知開始座標が検知開始座標閾値以下(平均検知開始座標≦検知開始座標閾値)であれば、平均検知開始座標は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知開始座標が検知開始座標閾値を超過(平均検知開始座標>検知開始座標閾値)していれば、平均検知開始座標は、所定範囲内であると判定される。
【0117】
[ステップS53]比較部130は、ステップS52における判定の結果、平均検知開始座標が所定範囲外であったので、変数EBに1を加算する。
[ステップS54]比較部130は、検知終了座標の平均値を示す、検知状況情報の平均検知終了座標が、所定範囲外であるか否かを判定する。平均検知終了座標が、所定範囲外であれば、処理はステップS55に進められる。一方、平均検知終了座標が、所定範囲内であれば、処理はステップS61(図18)に進められる。ここで、平均検知終了座標が所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値である検知終了座標閾値と比較して行われる。
【0118】
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する場合、平均検知終了座標が検知終了座標閾値以下(平均検知終了座標≦検知終了座標閾値)であれば、平均検知終了座標は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知終了座標が検知終了座標閾値を超過(平均検知終了座標>検知終了座標閾値)していれば、平均検知終了座標は、所定範囲内であると判定される。
【0119】
また、レーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する場合、平均検知終了座標が検知終了座標閾値以上(平均検知終了座標≧検知終了座標閾値)であれば、平均検知終了座標は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知終了座標が検知終了座標閾値未満(平均検知終了座標<検知終了座標閾値)であれば、平均検知終了座標は、所定範囲内であると判定される。
【0120】
[ステップS55]比較部130は、ステップS54における判定の結果、平均検知終了座標が所定範囲外であったので、変数EBに1を加算する。その後、処理はステップS61に進められる。
【0121】
[ステップS61]比較部130は、平均検知開始座標と平均検知終了座標との距離(以下、平均検知距離)を算出する。具体的には、比較部130は、|平均検知開始座標−平均検知終了座標|(平均検知開始座標と平均検知終了座標との差の絶対値)を計算し、計算結果を平均検知距離とする。
【0122】
[ステップS62]比較部130は、ステップS61で算出した平均検知距離が、所定範囲外であるか否かを判定する。平均検知距離が、所定範囲外であれば、処理はステップS63に進められる。一方、平均検知距離が、所定範囲内であれば、処理はステップS64に進められる。ここで、平均検知距離が所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値である検知距離閾値と比較して行われる。
【0123】
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する場合およびレーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する場合のいずれの場合も、平均検知距離が検知距離閾値以上(平均検知距離≧検知距離閾値)であれば、平均検知距離は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知距離が検知距離閾値未満(平均検知距離<検知距離閾値)であれば、平均検知距離は、所定範囲内であると判定される。
【0124】
[ステップS63]比較部130は、ステップS62における判定の結果、平均検知距離が所定範囲外であったので、変数EBに1を加算する。
[ステップS64]比較部130は、受信電力の平均値を示す、検知状況情報の平均受信電力が、所定範囲外であるか否かを判定する。平均受信電力が、所定範囲外であれば、処理はステップS65に進められる。一方、平均受信電力が、所定範囲内であれば、処理はステップS66に進められる。ここで、平均受信電力が所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値である受信電力閾値と比較して行われる。
【0125】
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する場合およびレーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する場合のいずれの場合も、平均受信電力が受信電力閾値以上(平均受信電力≧受信電力閾値)であれば、平均受信電力は、所定範囲外であると判定される。一方、平均受信電力が受信電力閾値未満(平均受信電力<受信電力閾値)であれば、平均受信電力は、所定範囲内であると判定される。
【0126】
[ステップS65]比較部130は、ステップS64における判定の結果、平均受信電力が所定範囲外であったので、変数EBに1を加算する。
[ステップS66]比較部130は、ステップS52、ステップS54、ステップS62、ステップS64における判定結果に基づく値を有する変数EBが、所定範囲外であるか否かを判定する。変数EBが、所定範囲外であれば、処理はステップS67に進められる。一方、変数EBが、所定範囲内であれば、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。ここで、変数EBが所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値であるEB閾値と比較して行われる。
【0127】
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する場合およびレーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する場合のいずれの場合も、変数EBがEB閾値以上(変数EB≧EB閾値)であれば、変数EBは、所定範囲外であると判定される。一方、変数EBがEB閾値未満(変数EB<EB閾値)であれば、変数EBは、所定範囲内であると判定される。
【0128】
[ステップS67]比較部130は、ステップS66における判定の結果、変数EBが所定範囲外であったので、変数EBとEB閾値とを比較して所定範囲外であった場合に加算される変数ESに1を加算する。その後、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0129】
なお、本実施の形態の基本判定処理では、ステップS52で平均検知開始座標が所定範囲外であるか否かを判定した後、ステップS54で平均検知終了座標が所定範囲外であるか否かを判定し、その後、ステップS62で平均検知距離が所定範囲外であるか否かを判定し、その後ステップS64で平均受信電力が所定範囲外であるか否かを判定する。しかし、これに限らずこれらの判定を任意の順序で行うことができる。また、基本判定処理において、これらの判定以外の判定を行ってもよく、これらの判定のうちの少なくとも1つ以上の判定を省略してもよい。
【0130】
図19は、第2の実施の形態の短期判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、基本判定処理によって値が設定された変数ESと閾値とを比較してレーダ200の短期的な期間における異常の有無を判定する短期判定処理を実行する。短期判定処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図19に示す短期判定処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0131】
[ステップS71]異常判定部140は、基本判定処理によって値が設定された変数ESと閾値とを比較して、変数ESが、予め設定された所定の閾値であるES閾値以上であるか否かを判定する。変数ESがES閾値以上であれば、処理はステップS72に進められる。一方、変数ESがES閾値未満であれば、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0132】
[ステップS72]異常判定部140は、ステップS71における判定の結果、変数ESがES閾値以上であったので、変数ESをES閾値と比較して所定範囲外であった場合に加算される変数ELに1を加算する。その後、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0133】
図20は、第2の実施の形態の長期判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、短期判定処理によって値が設定された変数ELと閾値とを比較してレーダ200の長期的な期間におけると共に最終的な異常の有無を判定する長期判定処理を実行する。長期判定処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図20に示す長期判定処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0134】
[ステップS81]異常判定部140は、短期判定処理によって値が設定された変数ELと閾値とを比較して、変数ELが、予め設定された所定の閾値であるEL閾値以上であるか否かを判定する。変数ELがEL閾値以上であれば、処理はステップS82に進められる。一方、変数ELがEL閾値未満であれば、処理はステップS83に進められる。
【0135】
[ステップS82]異常判定部140は、ステップS81における判定の結果、変数ELがEL閾値以上であったので、エラー処理を実行する。エラー処理では、例えば、監視装置300やその他の上位装置へのレーダ200における異常発生の通知、レーダ200の異常発生を示すエラーログの記録、レーダ200による検知の停止、レーダ200による異常が発生している項目の検知を停止する縮退機能モードへの移行等が行われる。その後、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0136】
[ステップS83]異常判定部140は、ステップS81における判定の結果、変数ELがEL閾値未満であったので、変数ELを初期化(変数ELに0を設定)する。その後、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0137】
このように、第2の実施の形態の制御装置100では、レーダ200から出力された検知対象の検知結果によってレーダ200の異常を監視し、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0138】
また、所定の台数の車両毎または所定時間経過毎に、検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果に基づいてエラーを検知することにより、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0139】
また、レーダ200のアンテナから放射された放射電波が走行車両500によって反射された受信出力の平均値を算出し、算出結果に基づいてエラーを検知することにより、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0140】
また、検知開始位置の平均値と検知終了位置の平均値との距離である検知距離の平均値に基づいてエラーを検知することにより、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0141】
また、検知開始位置および検知終了位置の判定の基準を、過去に算出された検知開始位置および検知終了位置に基づいて定めることで、レーダ200の状態の経年変化を検知することにより、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0142】
また、これらの比較結果に基づいて、レーダ200の設置角度のずれの発生の有無や汚れの有無を検知することが可能となる。
以上、開示の制御装置、レーダ検知システム、レーダ検知方法を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、開示の技術に他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、開示の技術は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【0143】
以上の第1の実施の形態および第2の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、
前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定する異常判定部と、
を有することを特徴とする制御装置。
【0144】
(付記2) 前記算出部は、所定の台数の走行車両を検知する毎に、前記取得部によって取得された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させることを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0145】
(付記3) 前記算出部は、所定時間経過毎に、前記取得部によって取得された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させることを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0146】
(付記4) 前記取得部は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標、検知終了位置の座標および前記走行車両から反射された電波の受信電力を取得し、
前記算出部は、前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値、検知終了位置の座標の平均値および受信電力の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させ、
前記比較部は、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と前記検知終了位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された受信電力の平均値と受信電力の所定の基準値とを比較する、
ことを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0147】
(付記5) 前記比較部は、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値との差の絶対値である平均検知距離を算出し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と前記検知終了位置の所定の基準値とを比較し、前記算出した平均検知距離と平均検知距離の所定の基準値とを比較することを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0148】
(付記6) 前記検知開始位置の所定の基準値は、前記レーダの設置時に設定された検知開始位置に基づき、
前記検知終了位置の所定の基準値は、前記レーダの設置時に設定された検知終了位置に基づく、
ことを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0149】
(付記7) 前記検知開始位置の所定の基準値は、前記算出部により過去に算出された検知開始位置の平均値に基づき、
前記検知終了位置の所定の基準値は、前記算出部により過去に算出された検知終了位置の平均値に基づく、
ことを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0150】
(付記8) 前記異常判定部は、前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの設置角度のずれの発生の有無を判定し、ずれが発生したと判定した場合には、ずれの発生を示す情報を出力することを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0151】
(付記9) 前記異常判定部は、前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダのレドームの汚れの有無を判定し、汚れがあると判定した場合には、汚れの発生を示す情報を出力することを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0152】
(付記10) 車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダと、
検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、
前記レーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、
前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する異常判定部と、
を有する制御装置と、
前記異常判定部から出力された異常の発生を示す情報を受信すると、前記レーダの異常を示す情報を記憶する監視装置と、
を有することを特徴とするレーダ検知システム。
【0153】
(付記11) コンピュータが、
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得し、
前記取得した検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を記憶し、
前記記憶した算出結果の検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記記憶した算出結果の検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較し、
前記比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定する、
ことを特徴とするレーダ検知方法。
【符号の説明】
【0154】
1 制御装置
1a 取得部
1b 算出部
1c 比較部
1d 異常判定部
1e 検知状況情報記憶部
2 レーダ
3 監視装置
【技術分野】
【0001】
本件は、制御装置、レーダ検知システム、レーダ検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車道における車両の通行状況を検知するために、例えば、ミリ波レーダ等のレーダを用いて、車道を俯瞰できる位置に設置して走行車両を検知するインフラレーダ等の技術が使用されている。
【0003】
これにより、車道上の車両の走行、一時停車または事故等による長時間停車による交通の障害の発生、交通量の測定等の車道における車両の通行状況を検知して車道の使用状態を管理し、また、車道脇に設置された表示装置等を使用して後続車等に車道の状態を知らせ、事故の発生を抑制することができる。
【0004】
また、車載レーダの設置位置のずれを検知する技術として、一部重畳領域を含み上下方向に検知範囲を異ならせた2台のレーダで、重畳領域を路面と平行に向けて設置することにより、レーダの設置のずれを検知する技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、レーダの設置位置が正常であれば、他車等の移動体は重畳領域で検知されるはずであり、一方、レーダの上下方向がずれると、重畳領域以外でも移動体を検知するようになることに基づき、レーダの設置のずれを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−14747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、インフラレーダのように10年以上の長期に亘って使用される可能性がある場合等もあるため、レーダのメンテナンスがなるべく不要である方が望ましい。この点では、車両の検知の際にレーダの送受信アンテナ面の角度を物理的に変化させるメカスキャン型よりも、車両の検知の際にレーダの送受信アンテナ面が固定され、車両の検知の際にレーダの送受信アンテナ面を変化させる必要がないスキャンレス型レーダの方が望ましい。また、スキャンレス型レーダにおいて、アンテナビーム幅が狭い型のレーダ(狭ビーム型レーダとする)は、ビームが広い型よりも受信電力が高く、物体の位置を検知する際に検知位置をシャープに検知できる点で望ましい。
【0007】
さて、狭ビーム型レーダの場合には、レーダの設置角度がずれると、所望の検知範囲をカバーできなくなる場合がある。このため、レーダの設置角度が常に正しい状態にあることを確認する必要がある。
【0008】
ここで、上記特許文献1記載の技術では、本来の用途からすればレーダは1台で済む所を、位置のずれを検知する目的で2台のレーダを使用するものであり、経済性の面で問題がある。
【0009】
また、メンテナンスの容易化の観点からは、レーダ実機を検分せずに、1台のレーダから出力された信号のみから設置角度のずれ等のレーダの異常の発生を検知できることが望ましい。
【0010】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、車道を俯瞰できる位置に設置された車両検知用のレーダについて、レーダから出力された信号によってレーダの異常を監視可能な制御装置、レーダ検知システム、レーダ検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために以下のような制御装置が提供される。この制御装置では、検知状況情報記憶部は、検知状況情報を記憶する。取得部は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、該車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する。算出部は、取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部に記憶させる。比較部は、検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する。異常判定部は、比較部による比較結果に基づいて、レーダの異常の発生の有無を判定する。
【0012】
また、上記目的を達成するために以下のようなレーダ検知システムが提供される。このレーダ検知システムでは、レーダは、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つ。制御装置は、検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、レーダから出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、比較部による比較結果に基づいて、レーダの異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する異常判定部と、を有する。監視装置は、異常判定部から出力された異常の発生を示す情報を受信すると、レーダの異常を示す情報を記憶する。
【0013】
また、上記目的を達成するために以下のようなレーダ検知方法が提供される。このレーダ検知方法は、コンピュータが、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得し、取得した検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を記憶し、記憶した算出結果の検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、記憶した算出結果の検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、レーダの異常の発生の有無を判定する。
【発明の効果】
【0014】
開示の制御装置、レーダ検知システム、レーダ検知方法によれば、レーダから出力された検知対象の検知結果によってレーダの異常を監視し、レーダの性能の低下を検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態の制御装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態のシステム構成を示す図である。
【図3】第2の実施の形態の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【図4】第2の実施の形態の監視装置のハードウェア構成を示す図である。
【図5】第2の実施の形態の制御装置の機能を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態の軌跡テーブルを示す図である。
【図7】第2の実施の形態の軌跡収集テーブルを示す図である。
【図8】第2の実施の形態の検知状況テーブルを示す図である。
【図9】第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
【図10】第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
【図11】第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
【図12】第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
【図13】第2の実施の形態の軌跡記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態の軌跡収集処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態のレーダ異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態のレーダ異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】第2の実施の形態の基本判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】第2の実施の形態の基本判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】第2の実施の形態の短期判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】第2の実施の形態の長期判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の制御装置を示す図である。本実施の形態の制御装置1は、交通量測定等に利用可能なインフラレーダのレーダ検知システムにおいて、レーダ2で検知された車道を走行する走行車両等の対象物の検知結果を収集すると共に、レーダ2の異常の発生の有無を判定する。制御装置1は、取得部1a、算出部1b、比較部1c、異常判定部1d、検知状況情報記憶部1eを有する。制御装置1は、監視装置3と通信回線で接続されている。
【0017】
取得部1aは、レーダ2から出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する。
算出部1bは、取得部1aによって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部1eに記憶させる。
【0018】
比較部1cは、検知状況情報記憶部1eに記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較すると共に、検知状況情報記憶部1eに記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する。
【0019】
異常判定部1dは、比較部1cによる比較結果に基づいて、レーダ2について、設置角度のずれや汚れ等の異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する。本実施の形態で判定されるレーダ2の異常は、例えば、設置角度のずれまたはレドームに対する汚れの付着等の、検知結果に対して偏差やばらつきの増大等の影響を与える異常を意味する。
【0020】
検知状況情報記憶部1eは、検知状況情報を記憶する。検知状況情報は、レーダ2の異常の発生の有無の判定に用いる情報であり、例えば、検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値の算出結果を含む。
【0021】
レーダ2は、アンテナによって電波を送受信することにより走行車両を検知する。レーダ2は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つ。レーダ2は、制御装置1と接続されており、例えば、検知時の検知対象の走行車両の位置、速度、反射された放射電波を受信したときの受信電力等を検知し、検知結果を示す信号を制御装置1に送信する。
【0022】
監視装置3は、異常判定部1dから出力された異常の発生を示す情報を受信すると、レーダ2の異常を示す情報を記憶し、レーダ検知システムの管理者にレーダ2の異常の発生を報知する。
【0023】
このように、制御装置1では、取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出した検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較すると共に算出した検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較し、比較結果に基づきレーダ2について、設置角度のずれや汚れ等の異常の発生の有無を判定する。これにより、レーダ2から出力された検知対象の検知結果によってレーダ2の異常を監視し、レーダ2の性能の低下を検知することが可能となる。
【0024】
[第2の実施の形態]
次に、図1に示した制御装置1の、レーダの性能の低下を検知する機能を制御装置100に適用した実施の形態を、第2の実施の形態として説明する。
【0025】
図2は、第2の実施の形態のシステム構成を示す図である。図2に示すレーダ検知システムは、交通量測定等に利用可能なインフラレーダであって、制御装置100,100a,100b,100c,100d,100e、レーダ200,200a,200b,200c,200d,200e、監視装置300を有する。制御装置100,100a〜100eおよび監視装置300は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク10を介して通信可能に接続されている。
【0026】
制御装置100は、レーダ200と接続されている。制御装置100は、レーダ200を制御すると共に、レーダ200により検知された走行車両の検知結果を示すデータを取得し、取得したデータを集計すると共に集計結果を監視装置300に送信する。制御装置100a〜100eは、制御装置100と同一の構成であり、それぞれレーダ200a〜200eと接続されている。
【0027】
レーダ200は、管理対象の車道を俯瞰できる位置に設置されており、走行車両を検知するミリ波レーダである。レーダ200は、車道の全域をカバーするために、管理対象の車道の監視ポイント毎、車道が複数車線を有する場合には車線毎に、複数設けられている。レーダ200は、ミリ波の送受信および信号処理により、車道上の走行車両の位置および速度を得ることができる。レーダ200は、接続されている制御装置100に対して検知した走行車両の検知結果を示すデータを送信する。本実施の形態のレーダ200は、構造が比較的単純で速度測定に適するFM−CW方式を用いる。なお、レーダ200は、パルス方式、二周波CW方式、SS(Spread Spectrum)方式やその他の方式のレーダを用いてもよい。
【0028】
監視装置300は、制御装置100,100a〜100eから送信されるデータを集計する。監視装置300は、制御装置100,100a〜100eと接続されている上位コンピュータであり、監視装置300により検知システム全体が制御されると共に、レーダ200,200a〜200eによる検知結果の集計および管理が行われる。また、監視装置300は、制御装置100,100a〜100eから、それぞれ対応するレーダ200,200a〜200eに異常が発生した旨の通知を受信すると、異常が発生した旨のログを作成すると共に、監視装置300に接続されたモニタに異常の発生を通知するメッセージを表示してレーダ検知システムの管理者に異常の発生を通知する。
【0029】
なお、本実施の形態では、制御装置100,100a〜100eとレーダ200,200a〜200eとが1対1で設置されているが、これに限らず、制御装置1台が複数台のレーダを制御してもよい。また、監視装置300がレーダ検知システムのすべての制御装置100,100a〜100eとレーダ200,200a〜200eとを監視するが、これに限らず、レーダ検知システムに複数台の監視装置を設置して冗長構成としてもよい。
【0030】
図3は、第2の実施の形態の制御装置のハードウェア構成を示す図である。制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。
【0031】
RAM102は、制御装置100の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
【0032】
バス107に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、表示部104、入力インタフェース105および通信インタフェース106がある。
【0033】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、制御装置100の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0034】
表示部104には、図示しない発光ランプや図示しないモニタが接続されている。表示部104は、CPU101からの命令に従って、LEDを点灯させ、または画像をモニタの画面に表示させる。発光ランプは、電球やLED(Light Emitting Diode)等がある。モニタとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0035】
入力インタフェース105には、操作部12とレーダ200とが接続されている。入力インタフェース105は、操作部12やレーダ200から送られてくる信号をCPU101に送信する。操作部12は、ボタンを有してもよく、キーボード、タッチパネル等の任意の操作手段とすることができる。
【0036】
通信インタフェース106は、ネットワーク10に接続されている。通信インタフェース106は、ネットワーク10を介して、監視装置300等の他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0037】
なお、図3には制御装置100のハードウェア構成を示したが、制御装置100a,100b,100c,100d,100eも同様のハードウェア構成である。
図4は、第2の実施の形態の監視装置のハードウェア構成を示す図である。監視装置300は、CPU301によって装置全体が制御されている。CPU301には、バス308を介してRAM302と複数の周辺機器が接続されている。
【0038】
RAM302は、監視装置300の主記憶装置として使用される。RAM302には、CPU301に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM302には、CPU301による処理に必要な各種データが格納される。
【0039】
バス308に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ303、グラフィック処理装置304、入力インタフェース305、光学ドライブ装置306、および通信インタフェース307がある。
【0040】
HDD303は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD303は、監視装置300の二次記憶装置として使用される。HDD303には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0041】
グラフィック処理装置304には、モニタ311が接続されている。グラフィック処理装置304は、CPU301からの命令に従って、画像をモニタ311の画面に表示させる。モニタ311としては、CRTを用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0042】
入力インタフェース305には、キーボード312とマウス313とが接続されている。入力インタフェース305は、キーボード312やマウス313から送られてくる信号をCPU301に送信する。なお、マウス313は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0043】
光学ドライブ装置306は、レーザ光等を利用して、光ディスク314に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク314は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク314には、DVD、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R/RW等がある。
【0044】
通信インタフェース307は、ネットワーク10に接続されている。通信インタフェース307は、ネットワーク10を介して、制御装置100等の他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0045】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
図5は、第2の実施の形態の制御装置の機能を示すブロック図である。本実施の形態の制御装置100は、交通量測定等に利用可能なインフラレーダのレーダ検知システムにおいて、レーダ200で検知された車道を走行する走行車両等の対象物の検知結果を収集すると共に、レーダ200の異常の発生の有無を判定すると共に、検知した異常を監視装置300に通知する。制御装置100は、監視装置300とネットワーク10で接続されている。また、制御装置100は、レーダ200と接続されている。
【0046】
制御装置100は、取得部110、算出部120、比較部130、異常判定部140、軌跡情報記憶部151、軌跡収集情報記憶部152、検知状況情報記憶部153を有する。制御装置100は、監視装置300と通信回線で接続されている。
【0047】
取得部110は、レーダ200から出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する。
【0048】
取得部110は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標、検知終了位置の座標および走行車両から反射された電波の受信電力を取得し、取得結果を示す軌跡情報を生成し、生成した軌跡情報を軌跡情報記憶部151に記憶させる。
【0049】
算出部120は、所定の台数の走行車両を検知する毎に区分した区間において、軌跡情報記憶部151に記憶されている軌跡情報に示された、取得部110によって取得された検知開始位置の座標の平均値、検知終了位置の座標の平均値および走行車両から反射された電波の受信電力を算出する。
【0050】
このとき算出部120は、上記区間毎に軌跡収集情報を生成し、生成した軌跡収集情報を軌跡収集情報記憶部152に記憶させる。そして、算出部120は、レーダ200が新たに走行車両を検知する毎に軌跡情報を生成すると共に、生成した軌跡情報に示された検知結果を軌跡収集情報記憶部152に記憶されている当該区間の軌跡収集情報に加算する。そして、算出部120は、当該区間の終了時に、各検知結果の合計値を通過台数で割ることにより、各検知結果の平均値を算出する。
【0051】
また、算出部120は、算出結果を有する検知状況情報を、検知状況情報記憶部153に記憶させる。なお、算出部120は、所定時間経過毎に区分した区間において、取得部110によって取得された検知開始位置の平均値、検知終了位置の平均値および受信電力の平均値を算出し、算出結果を有する検知状況情報を検知状況情報記憶部153に記憶させてもよい。
【0052】
比較部130は、検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値との差の絶対値である平均検知距離を算出する。また、比較部130は、検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較する。また、比較部130は、検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する。また、比較部130は、検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況情報によって示された受信電力の平均値と受信電力の所定の基準値とを比較する。また、比較部130は、算出した平均検知距離を、平均検知距離の所定の基準値と比較する。
【0053】
検知開始位置の所定の基準値は、レーダの設置時に設定された検知開始位置に基づいて設定される。また、検知終了位置の所定の基準値は、レーダの設置時に設定された検知終了位置に基づいて設定される。また、受信電力の所定の基準値は、レーダの設置時に設定された受信電力に基づいて設定される。また、平均検知距離の所定の基準値は、レーダの設置時に設定された検知開始位置および検知終了位置に基づいて設定される。なお、検知開始位置の所定の基準値は、算出部120により過去に算出された検知開始位置の平均値に基づいて設定してもよい。また、検知終了位置の所定の基準値は、算出部120により過去に算出された検知終了位置の平均値に基づいて設定してもよい。また、受信電力の所定の基準値は、算出部120により過去に算出された受信電力の平均値に基づいて設定してもよい。また、平均検知距離の所定の基準値は、算出部120により過去に算出された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値に基づいて設定してもよい。
【0054】
異常判定部140は、比較部130による比較結果に基づいて、レーダの設置角度のずれの発生の有無を判定し、ずれが発生したと判定した場合には、ずれの発生を示す情報を出力する。なお、異常判定部140は、比較部130による比較結果に基づいて、レーダレドームの汚れの有無を判定し、汚れがあると判定した場合には、汚れの発生を示す情報を出力してもよい。本実施の形態で判定されるレーダ200の異常は、例えば、レーダ200の設置角度のずれまたはレドームに対する汚れの付着等の、検知結果に対して偏差やばらつきの増大等の影響を与える異常を意味する。
【0055】
軌跡情報記憶部151は、軌跡情報を記憶する。軌跡情報は、レーダ200によって検知された走行車両のそれぞれの検知結果を示す情報であり、例えば、レーダ200によって検知された走行車両のそれぞれの検知開始時および検知終了時の位置を示す座標、検知時の速度、検知時に反射された放射電波の受信電力を含む。
【0056】
軌跡収集情報記憶部152は、軌跡収集情報を記憶する。軌跡収集情報は、レーダ200によって検知された走行車両の所定の区間(例えば、一定時間または一定の台数が通過するまでの間)における集計結果を示す情報であり、例えば、所定の区間における検知された走行車両の通過台数、所定の区間における走行車両のそれぞれの検知開始時の座標の合計値、所定の区間における走行車両のそれぞれの検知終了時の座標の合計値、所定の区間における走行車両のそれぞれの受信電力の合計値を含む。また、軌跡収集情報は、所定の区間において検知された走行車両の台数を示す通過台数を含む。
【0057】
検知状況情報記憶部153は、検知状況情報を記憶する。検知状況情報は、レーダ200の異常の発生の有無の判定に用いる情報であり、例えば、検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値の算出結果を含む。
【0058】
レーダ200は、アンテナによって電波を送受信することにより走行車両を検知する。レーダ200は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つ。レーダ200は、制御装置100と接続されており、例えば、検知時の検知対象の走行車両の位置、速度、反射された放射電波を受信したときの受信電力等を検知し、検知結果を示す信号を制御装置100に送信する。
【0059】
レーダ200には、電波を送信する送信アンテナおよび電波を受信するアンテナが設けられている。走行車両等の検知対象にレーダ200の送信アンテナから電波が放射されると、その電波は反射される。そして、反射された電波がレーダ200の受信アンテナで受信される。このとき、検知対象へのレーダ200の送信電波に対する受信電波の遅延時間から、レーダ200と検知対象との距離および相対速度を検知することができる。ここで、レーダ200の絶対速度は0であるため、検知された相対速度は、検知対象の絶対速度とみなすことができる。また相対速度の正負により、検知対象の移動方向を知ることができる。
【0060】
また、レーダ200は、検知対象からの反射強度(受信電力値)を検知することができる。また、レーダ200のアンテナは、垂直方向・水平方向それぞれに送受信範囲を調整可能であり、レーダ200はこの範囲およびレーダの検知可能距離以内の物体を検知することができる。
【0061】
レーダ200は、走行車両を検知する車道に設置され、例えば、放射される放射電波の範囲が狭い、狭ビームのレーダを使用することができる。この場合、狭ビームのレーダは指向性が高いため、レーダが有する車両の検知性能を十分引き出すためには、レーダの設置角度が正確に維持されていることが求められる。またレーダビームのレドームは、常に異物が付着していない状態にある必要がある。
【0062】
車道に設置されたレーダ200を用いて走行車両を検知するレーダ検知システムが運用開始すると、その運用期間は10年程度やそれ以上の長期に亘る場合がある。レーダ200の運用期間中に、何らかの理由により、例えば、レーダ200の方向が当初の設置方向とずれたり、レドームに異物が付着したりするような異常が発生すれば、システムの当初想定された性能が引き出されなくなる場合がある。
【0063】
このような場合に、異常を認識できず、レーダ200の方向を修正せずに運用を継続すると、期待された性能を引き出すことができなくなる場合がある。
監視装置300は、異常判定部140から出力された異常の発生を示す情報を受信すると、レーダ200の異常を示す情報を記憶し、レーダ検知システムの管理者にレーダ200の異常の発生を報知する。
【0064】
本実施の形態のレーダ検知システムでは、レーダ200は、検知対象である走行車両の位置、速度、受信電力を所定の間隔で検知し、検知結果を示す信号を制御装置100に送信する。制御装置100は、レーダ200から送信された信号を取得部110で取得し、検知結果を示す軌跡情報を軌跡情報記憶部151に記憶させる。このとき、制御装置100は、軌跡情報に基づいて各走行車両を識別し、同一車両に同一のIDを付与して管理することで、走行車両の時系列な検知結果を得ることができる。
【0065】
次に、制御装置100は、軌跡情報記憶部151に記憶されている軌跡情報に基づいて、一定時間毎または一定通過台数毎に、検知開始位置の平均値、検知終了位置の平均値、受信電力の平均値等を計算し、検知状況情報記憶部153に記憶させる。これを繰り返すことで、検知状況情報を、継続して蓄積する。
【0066】
また、制御装置100は、一定期間毎等所定の契機で、蓄積した検知状況情報に基づき、検知開始位置の平均値、検知終了位置の平均値、受信電力の平均値等の変動からレーダ200の異常の発生の有無を判定する。異常判定部140は、検知開始位置の平均値、検知終了位置の平均値、受信電力の平均等が、短期的および長期的にも値の偏りが強くなっており、変動した値への回復傾向が確認できない場合、レーダ200に異常が発生したと判定し、管理者への報知等を行う。
【0067】
図6は、第2の実施の形態の軌跡テーブルを示す図である。図6に示す軌跡テーブル151aは、制御装置100が有する軌跡情報記憶部151に記憶されており、取得部110によって取得されたレーダ200の検知結果を示すデータが書き込まれる。軌跡テーブル151aは、レーダ200によって検知された走行車両の検知結果を示す軌跡情報を記憶するテーブルである。
【0068】
軌跡テーブル151aには、項目として“ID”、“検知開始座標”、“検知終了座標”、“速度”、“受信電力”が設けられている。軌跡テーブル151aにおいて、各項目の横方向に並べられた情報同士が軌跡情報として互いに関連付けられている。
【0069】
IDは、レーダ200によって検知された走行車両を一意に識別するために、検知された各走行車両に対して割り当てられた番号である。IDは、レーダ200によって新たな走行車両が検知される都度、検知結果に対して新たな軌跡情報が設定されると共に設定された軌跡情報に対して新たなIDが割り当てられる。
【0070】
検知開始座標は、ある走行車両の検知において最初に取得された座標を示す値である。本実施の形態では、レーダ200から放射される電波の放射方向が検知対象の走行車両の進行方向と一致するように、レーダ200が設置される。これに基づき、レーダ200で検知された走行車両の座標は、レーダ200からの電波の放射方向と平行な1次元上の座標として示される。
【0071】
検知終了座標は、ある走行車両の検知において最後に取得された座標を示す値である。検知開始座標および検知終了座標は、レーダ200による走行車両の検知時における検知の限界の両端を示す。
【0072】
速度は、ある走行車両の検知時において検知された走行車両の速度を示す値である。速度は、走行車両の検知時における任意の一回の計測値を、軌跡情報の速度の値としてもよく、検知時における計測値の平均値を、軌跡情報の速度の値としてもよい。また、速度は、検知開始時刻と検知終了時刻との時間を計測しておき、検知開始座標と検知終了座標との距離を計測した時間で割った算出結果を、軌跡情報の速度の値としてもよい。
【0073】
受信電力は、ある走行車両の検知時において検知された反射波の受信電力を示す値である。受信電力は、走行車両の検知時における任意の一回の計測値を、軌跡情報の受信電力の値としてもよく、検知時における計測値の平均値を、軌跡情報の受信電力の値としてもよい。
【0074】
図7は、第2の実施の形態の軌跡収集テーブルを示す図である。図7に示す軌跡収集テーブル152aは、制御装置100が有する軌跡収集情報記憶部152に記憶されており、算出部120による軌跡情報の所定の区間における集計結果が書き込まれる。軌跡収集テーブル152aは、レーダ200によって検知された走行車両の所定の区間における集計結果を示す軌跡収集情報を記憶するテーブルである。
【0075】
軌跡収集テーブル152aには、項目として“通過台数”、“合計検知開始座標”、“合計検知終了座標”、“合計受信電力”が設けられている。軌跡収集テーブル152aにおいて、各項目の横方向に並べられた情報同士が軌跡収集情報として互いに関連付けられている。
【0076】
通過台数は、所定の区間におけるレーダ200によって検知された走行車両の台数を示す値である。通過台数は、レーダ200によって新たな走行車両が検知される都度加算される。また、通過台数は、所定の区間の開始時に“0”が設定される。本実施の形態では、算出部120は、所定の時間間隔(例えば、10分)で区分された区間毎に軌跡情報を集計する。なおこれに限らず、所定の通過台数(例えば、100台)毎に区分された区間毎に軌跡情報を集計してもよい。
【0077】
合計検知開始座標は、所定の区間における走行車両の検知において最初に取得された座標の合計値である。合計検知開始座標は、算出部120により、走行車両がレーダ200によって新たに検知され、検知開始座標が取得される毎に、取得された検知開始座標を示す値が加算される。
【0078】
合計検知終了座標は、所定の区間における走行車両の検知において最後に取得された座標の合計値である。合計検知終了座標は、算出部120により、走行車両がレーダ200によって新たに検知され、検知終了座標が取得される毎に、取得された検知終了座標を示す値が加算される。
【0079】
合計受信電力は、所定の区間における走行車両の検知時において検知された反射波の受信電力の合計値である。合計受信電力は、算出部120により、走行車両がレーダ200によって新たに検知され、受信電力が取得される毎に、取得された受信電力を示す値が加算される。
【0080】
図8は、第2の実施の形態の検知状況テーブルを示す図である。図8に示す検知状況テーブル153aは、制御装置100が有する検知状況情報記憶部153に記憶されており、算出部120によって集計された各区間の軌跡収集情報に基づき、各区間の集計結果の平均値が書き込まれる。検知状況テーブル153aは、算出部120によって集計された各区間の集計結果の代表値(例えば、平均値)を示す検知状況情報を記憶するテーブルである。
【0081】
検知状況テーブル153aには、項目として“区間”、“平均検知開始座標”、“平均検知終了座標”、“平均受信電力”が設けられている。検知状況テーブル153aにおいて、各項目の横方向に並べられた情報同士が検知状況情報として互いに関連付けられている。
【0082】
区間は、算出部120により検知結果が集計された各区間を示す情報である。本実施の形態では、前述したように、各区間は、算出部120により所定の時間間隔で区分された区間毎に区分される。なおこれに限らず、各区間は、所定の通過台数毎に区分されてもよい。
【0083】
平均検知開始座標は、各区間における走行車両の検知において最初に取得された座標の平均値である。平均検知開始座標は、算出部120により、各区間の軌跡収集情報に基づき、区間毎に合計検知開始座標を通過台数で割ることにより算出される。
【0084】
平均検知終了座標は、各区間における走行車両の検知において最後に取得された座標の平均値である。平均検知終了座標は、算出部120により、各区間の軌跡収集情報に基づき、区間毎に合計検知終了座標を通過台数で割ることにより算出される。
【0085】
平均受信電力は、各区間における走行車両の検知時において検知された反射波の受信電力の平均値である。平均受信電力は、算出部120により、各区間の軌跡収集情報に基づき、区間毎に合計受信電力を通過台数で割ることにより算出される。
【0086】
図9から図12は、第2の実施の形態のレーダによる車両の検知を示す図である。
図9に、レーダ200が管理対象の車道上に設置されている様子を示す。図9に示すように、レーダ200は、車道に設けられた支柱20等の高所に、ビーム201の放射方向が管理対象の車道の進行方向と平行に設置されている。レーダ200は、車道上の走行車両500に対して狭ビームの電波であるビーム201を放射させ、放射したビーム201の反射波を受信アンテナで受信することで、車道600をD1方向に走行する走行車両500の位置や速度を検知する。レーダ200で検知された走行車両500の検知結果は、例えば支柱20の脇に設置された制御装置100で収集され、収集結果が監視装置300に送信される。
【0087】
レーダ200で検知される走行車両500の位置の基準点(原点)を、レーダ200の設置地点の直下とする。また、レーダ200は、ビーム201が車道の車線に沿って放射されるように設置し、俯角、方位角を適切に調整することで、最適な検知距離を得ることができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、1車線の走行車両の検知を行う場合の例を示したが、これに限らず、例えば、レーダを複数の車線に沿って複数台平行に設置する等により、複数台のレーダを用いて同時に複数車線の検知を行うこともできる。
【0089】
また、図9では、レーダ200は走行車両500の前方からビーム201を放射することにより、走行車両500を検知する場合の例を示しているが、これに限らず、走行車両500の後方からビーム201を放射して走行車両500を検知してもよい。
【0090】
図10に、レーダ200が走行車両(走行車両500a,500b,500c)にビーム201を放射する際の様子を示す。図10に示すように、走行車両が管理対象である車道600上をD2方向に、走行車両500a,走行車両500b,500cのように走行しているものとする。制御装置100と共に支柱20に設置されているレーダ200は、走行車両500a〜500cに対してビーム201を放射している。
【0091】
このとき、レーダ200は、アンテナからビーム201を水平方向Xに対して所定の角度V(例えば、6°)下向きに放射する。レーダ200は、放射したビーム201の反射波を受信アンテナで受信することにより、ビーム201の境界面201a,201bの範囲内に含まれている走行車両500a〜500cについて、位置および速度を検知可能である。
【0092】
図11に、上方向から見たレーダ200のビーム201の水平方向における放射の様子を示す。図11に示すように、制御装置100と共に支柱20に設置されているレーダ200は、アンテナからビーム201をアンテナの正面方向に対して、境界面201c,201dが所定の角度θ(例えば、4°)の広がりとなるように放射する。
【0093】
図12に、レーダ200が走行車両500の前方から検知する場合の例を示す。ここで、D3方向に走行する走行車両500がビーム201による検知範囲に入り、軌跡202に沿って移動し、その後検知範囲から出たものとする。レーダ200は、所定の時間間隔(例えば、10秒毎)に走行車両500を検知し、検知結果を取得する。これにより、レーダ200は、検知範囲を通過する走行車両500の所定時間毎の座標(座標202a,202b,202c,202d,202e)、速度、受信電力を検知し、検知結果を制御装置100に送信する。検知結果を受信した制御装置100は、前述のように検知結果を走行車両毎に区別して収集する。ここで、走行車両500が検知範囲に入ってから最初に検知された座標202aを検知開始座標とし、最後に検知された座標202eを検知終了座標とする。
【0094】
なお、本実施の形態では、レーダ200は、遠方からレーダ200に接近する走行車両500に対して、走行車両500の前方からビーム201を放射して検知するが、これに限らず、レーダ200の直下を通過してレーダ200から遠ざかる走行車両500に対して、走行車両500の後方からビーム201を放射して検知してもよい。
【0095】
また、本実施の形態では、レーダ200は、走行車両500の位置の検知を、レーダ200のアンテナから放射されるビーム201の放射方向と平行方向の1次元座標として処理するが、これに限らず、平面2次元座標系や他の座標系で処理してもよい。
【0096】
図13は、第2の実施の形態の軌跡記録処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、レーダ200で検知された走行車両500の検知結果を軌跡情報記憶部151の軌跡テーブル151aに記憶させ、軌跡収集情報記憶部152の軌跡収集テーブル152aに記憶されている軌跡収集情報を更新する軌跡記録処理を実行する。軌跡記録処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図13に示す軌跡記録処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0097】
[ステップS11]取得部110は、レーダ200から送信された走行車両500の検知データを示す信号を取得する。このとき取得部110は、検知範囲内に複数台の走行車両がある場合には、それぞれの走行車両に対してIDを割り当てると共にそれぞれの走行車両を区別して検知する。
【0098】
[ステップS12]取得部110は、検知範囲内に走行車両500があるか否かを判定する。検知範囲内に走行車両500があれば、処理はステップS11に進められる。一方、検知範囲内に走行車両500がなければ、処理はステップS13に進められる。
【0099】
[ステップS13]取得部110は、検知された走行車両の軌跡情報を生成し、生成した軌跡情報を軌跡情報記憶部151に記憶されている軌跡テーブル151aに記憶させる。このとき取得部110は、複数台の走行車両が同時に検知されている場合には、走行車両毎に軌跡情報を生成して軌跡テーブル151aに記憶させる。
【0100】
[ステップS14]算出部120は、ステップS12で取得部110により生成され、軌跡情報記憶部151の軌跡テーブル151aに記憶された軌跡情報に基づいて、軌跡収集情報記憶部152に記憶されている軌跡収集テーブル152aに記憶されている軌跡収集情報を更新する。具体的には、算出部120は、新たに検知された走行車両の台数(すなわち、新たに生成された軌跡情報の数)を、軌跡収集情報の通過台数に加算すると共に、新たに生成された軌跡情報の検知開始座標、検知終了座標、受信電力の値を、それぞれ軌跡収集情報の合計検知開始座標、合計検知終了座標、合計受信電力の値に加算する。その後、処理はステップS11に進められる。
【0101】
図14は、第2の実施の形態の軌跡収集処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、軌跡記録処理で軌跡収集テーブル152aに記憶された軌跡収集情報の合計値を区間における通過台数で除して当該区間の検知状況情報を生成し、生成した検知状況情報を検知状況情報記憶部153の検知状況テーブル153aに記憶させる軌跡収集処理を実行する。軌跡収集処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図14に示す軌跡収集処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0102】
[ステップS21]算出部120は、走行車両500の軌跡の収集の区分単位となる所定の区間が終了したか否かを判定する。所定の区間が終了していれば、処理はステップS22に進められる。一方、所定の区間が終了していなければ、ステップS21の処理が繰り返される。ここで、所定の区間は、一定時間(例えば、10分)毎に区分してもよく、一定台数の走行車両(例えば、100台)が検知される毎に区分してもよい。
【0103】
[ステップS22]算出部120は、ステップS21で終了したと判定された区間の軌跡収集情報に基づいて、区間の各合計値(合計検知開始座標、合計検知終了座標、合計受信電力)を区間の通過台数で除し、得られた結果を示す検知状況情報を生成し、生成した検知状況情報を検知状況情報記憶部153に記憶されている検知状況テーブル153aに記憶させる。
【0104】
[ステップS23]算出部120は、軌跡収集情報記憶部152の軌跡収集テーブル152aに記憶されている軌跡収集情報を初期化する。その後、処理はステップS21に進められる。
【0105】
図15および図16は、第2の実施の形態のレーダ異常判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、走行車両500の検知結果に基づき、レーダ200において、アンテナの方向のずれやレドームの汚れの付着等による異常の発生の有無を判定するレーダ異常判定処理を実行する。レーダ異常判定処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図15および図16に示すレーダ異常判定処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0106】
[ステップS31]比較部130は、後述する長期判定処理を実行するか否かの判定に使用するタイマTLを初期化(タイマTLに0を設定)する。
[ステップS32]比較部130は、後述する短期判定処理を実行するか否かの判定に使用するタイマTSを初期化(タイマTSに0を設定)する。
【0107】
[ステップS33]比較部130は、新たな区間について算出部120によりステップS22において前述した検知状況情報が生成されたか否かを判定する。新たな区間の検知状況情報が生成されていれば、処理はステップS34に進められる。一方、新たな区間の検知状況情報が生成されていなければ、ステップS33の処理が繰り返される。これにより、所定の区間の終了に伴い新たに生成された検知状況情報に基づいて後述する基本判定処理が実行される。
【0108】
[ステップS34]比較部130は、検知状況情報に基づいて各平均値と閾値とを比較してレーダ200の異常の有無を評価する基本判定処理を実行する。基本判定処理については、詳しくは図16および図17において後述する。
【0109】
[ステップS35]比較部130は、タイマTSが示す時間が所定の期間(例えば、一か月)を経過したか否かを判定する。タイマTSが所定の期間を経過していれば、処理はステップS36に進められる。一方、タイマTSが所定の期間を経過していなければ、処理はステップS33に進められる。
【0110】
[ステップS36]異常判定部140は、基本判定処理の評価結果に基づいて短期的な期間のレーダ200の異常の有無を判定する短期判定処理を実行する。短期判定処理については、詳しくは図19において後述する。その後、処理はステップS41(図16)に進められる。
【0111】
[ステップS41]比較部130は、タイマTLが示す時間が所定の期間(例えば、六か月)を経過したか否かを判定する。タイマTLが所定の期間を経過していれば、処理はステップS42に進められる。一方、タイマTLが所定の期間を経過していなければ、処理はステップS32に進められる。
【0112】
[ステップS42]異常判定部140は、短期判定処理の判定結果に基づいて長期的かつ最終的なレーダ200の異常の有無を判定する長期判定処理を実行する。長期判定処理については、詳しくは図20において後述する。その後、処理はステップS31に進められる。
【0113】
図17および図18は、第2の実施の形態の基本判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、検知状況情報に基づいて、検知状況情報の各平均値と閾値とを比較してレーダ200の異常の有無を評価する基本判定処理を実行する。基本判定処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図17および図18に示す基本判定処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0114】
[ステップS51]比較部130は、検知状況情報の各平均値と閾値とを比較して所定範囲外であった場合に加算される変数EBを初期化(EBに0を設定)する。
[ステップS52]比較部130は、検知開始座標の平均値を示す、検知状況情報の平均検知開始座標が、所定範囲外であるか否かを判定する。平均検知開始座標が、所定範囲外であれば、処理はステップS53に進められる。一方、平均検知開始座標が、所定範囲内であれば、処理はステップS54に進められる。ここで、平均検知開始座標が所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値である検知開始座標閾値と比較して行われる。
【0115】
ここで、走行車両500の検知結果の位置の座標は、レーダ200のアンテナの直下が原点(0)であり、レーダの放射方向に向かって座標の値が増加するものとする。
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する(レーダ200は、走行車両500がレーダ200に接近するように走行している所を検知する)場合、平均検知開始座標が検知開始座標閾値以上(平均検知開始座標≧検知開始座標閾値)であれば、平均検知開始座標は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知開始座標が検知開始座標閾値未満(平均検知開始座標<検知開始座標閾値)であれば、平均検知開始座標は、所定範囲内であると判定される。
【0116】
また、レーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する(レーダ200は、走行車両500がレーダ200から遠ざかるように走行している所を検知する)場合、平均検知開始座標が検知開始座標閾値以下(平均検知開始座標≦検知開始座標閾値)であれば、平均検知開始座標は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知開始座標が検知開始座標閾値を超過(平均検知開始座標>検知開始座標閾値)していれば、平均検知開始座標は、所定範囲内であると判定される。
【0117】
[ステップS53]比較部130は、ステップS52における判定の結果、平均検知開始座標が所定範囲外であったので、変数EBに1を加算する。
[ステップS54]比較部130は、検知終了座標の平均値を示す、検知状況情報の平均検知終了座標が、所定範囲外であるか否かを判定する。平均検知終了座標が、所定範囲外であれば、処理はステップS55に進められる。一方、平均検知終了座標が、所定範囲内であれば、処理はステップS61(図18)に進められる。ここで、平均検知終了座標が所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値である検知終了座標閾値と比較して行われる。
【0118】
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する場合、平均検知終了座標が検知終了座標閾値以下(平均検知終了座標≦検知終了座標閾値)であれば、平均検知終了座標は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知終了座標が検知終了座標閾値を超過(平均検知終了座標>検知終了座標閾値)していれば、平均検知終了座標は、所定範囲内であると判定される。
【0119】
また、レーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する場合、平均検知終了座標が検知終了座標閾値以上(平均検知終了座標≧検知終了座標閾値)であれば、平均検知終了座標は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知終了座標が検知終了座標閾値未満(平均検知終了座標<検知終了座標閾値)であれば、平均検知終了座標は、所定範囲内であると判定される。
【0120】
[ステップS55]比較部130は、ステップS54における判定の結果、平均検知終了座標が所定範囲外であったので、変数EBに1を加算する。その後、処理はステップS61に進められる。
【0121】
[ステップS61]比較部130は、平均検知開始座標と平均検知終了座標との距離(以下、平均検知距離)を算出する。具体的には、比較部130は、|平均検知開始座標−平均検知終了座標|(平均検知開始座標と平均検知終了座標との差の絶対値)を計算し、計算結果を平均検知距離とする。
【0122】
[ステップS62]比較部130は、ステップS61で算出した平均検知距離が、所定範囲外であるか否かを判定する。平均検知距離が、所定範囲外であれば、処理はステップS63に進められる。一方、平均検知距離が、所定範囲内であれば、処理はステップS64に進められる。ここで、平均検知距離が所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値である検知距離閾値と比較して行われる。
【0123】
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する場合およびレーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する場合のいずれの場合も、平均検知距離が検知距離閾値以上(平均検知距離≧検知距離閾値)であれば、平均検知距離は、所定範囲外であると判定される。一方、平均検知距離が検知距離閾値未満(平均検知距離<検知距離閾値)であれば、平均検知距離は、所定範囲内であると判定される。
【0124】
[ステップS63]比較部130は、ステップS62における判定の結果、平均検知距離が所定範囲外であったので、変数EBに1を加算する。
[ステップS64]比較部130は、受信電力の平均値を示す、検知状況情報の平均受信電力が、所定範囲外であるか否かを判定する。平均受信電力が、所定範囲外であれば、処理はステップS65に進められる。一方、平均受信電力が、所定範囲内であれば、処理はステップS66に進められる。ここで、平均受信電力が所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値である受信電力閾値と比較して行われる。
【0125】
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する場合およびレーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する場合のいずれの場合も、平均受信電力が受信電力閾値以上(平均受信電力≧受信電力閾値)であれば、平均受信電力は、所定範囲外であると判定される。一方、平均受信電力が受信電力閾値未満(平均受信電力<受信電力閾値)であれば、平均受信電力は、所定範囲内であると判定される。
【0126】
[ステップS65]比較部130は、ステップS64における判定の結果、平均受信電力が所定範囲外であったので、変数EBに1を加算する。
[ステップS66]比較部130は、ステップS52、ステップS54、ステップS62、ステップS64における判定結果に基づく値を有する変数EBが、所定範囲外であるか否かを判定する。変数EBが、所定範囲外であれば、処理はステップS67に進められる。一方、変数EBが、所定範囲内であれば、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。ここで、変数EBが所定範囲外であるか否かの判定は、予め設定された基準値であるEB閾値と比較して行われる。
【0127】
例えば、レーダ200が走行車両500の前方からビーム201を放射して検知する場合およびレーダ200が走行車両500の後方からビーム201を放射して検知する場合のいずれの場合も、変数EBがEB閾値以上(変数EB≧EB閾値)であれば、変数EBは、所定範囲外であると判定される。一方、変数EBがEB閾値未満(変数EB<EB閾値)であれば、変数EBは、所定範囲内であると判定される。
【0128】
[ステップS67]比較部130は、ステップS66における判定の結果、変数EBが所定範囲外であったので、変数EBとEB閾値とを比較して所定範囲外であった場合に加算される変数ESに1を加算する。その後、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0129】
なお、本実施の形態の基本判定処理では、ステップS52で平均検知開始座標が所定範囲外であるか否かを判定した後、ステップS54で平均検知終了座標が所定範囲外であるか否かを判定し、その後、ステップS62で平均検知距離が所定範囲外であるか否かを判定し、その後ステップS64で平均受信電力が所定範囲外であるか否かを判定する。しかし、これに限らずこれらの判定を任意の順序で行うことができる。また、基本判定処理において、これらの判定以外の判定を行ってもよく、これらの判定のうちの少なくとも1つ以上の判定を省略してもよい。
【0130】
図19は、第2の実施の形態の短期判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、基本判定処理によって値が設定された変数ESと閾値とを比較してレーダ200の短期的な期間における異常の有無を判定する短期判定処理を実行する。短期判定処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図19に示す短期判定処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0131】
[ステップS71]異常判定部140は、基本判定処理によって値が設定された変数ESと閾値とを比較して、変数ESが、予め設定された所定の閾値であるES閾値以上であるか否かを判定する。変数ESがES閾値以上であれば、処理はステップS72に進められる。一方、変数ESがES閾値未満であれば、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0132】
[ステップS72]異常判定部140は、ステップS71における判定の結果、変数ESがES閾値以上であったので、変数ESをES閾値と比較して所定範囲外であった場合に加算される変数ELに1を加算する。その後、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0133】
図20は、第2の実施の形態の長期判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態の制御装置100は、短期判定処理によって値が設定された変数ELと閾値とを比較してレーダ200の長期的な期間におけると共に最終的な異常の有無を判定する長期判定処理を実行する。長期判定処理は、レーダ200の稼働中には処理が継続される。以下では、図20に示す長期判定処理をフローチャートのステップ番号に沿って説明する。
【0134】
[ステップS81]異常判定部140は、短期判定処理によって値が設定された変数ELと閾値とを比較して、変数ELが、予め設定された所定の閾値であるEL閾値以上であるか否かを判定する。変数ELがEL閾値以上であれば、処理はステップS82に進められる。一方、変数ELがEL閾値未満であれば、処理はステップS83に進められる。
【0135】
[ステップS82]異常判定部140は、ステップS81における判定の結果、変数ELがEL閾値以上であったので、エラー処理を実行する。エラー処理では、例えば、監視装置300やその他の上位装置へのレーダ200における異常発生の通知、レーダ200の異常発生を示すエラーログの記録、レーダ200による検知の停止、レーダ200による異常が発生している項目の検知を停止する縮退機能モードへの移行等が行われる。その後、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0136】
[ステップS83]異常判定部140は、ステップS81における判定の結果、変数ELがEL閾値未満であったので、変数ELを初期化(変数ELに0を設定)する。その後、処理はレーダ異常判定処理に復帰する。
【0137】
このように、第2の実施の形態の制御装置100では、レーダ200から出力された検知対象の検知結果によってレーダ200の異常を監視し、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0138】
また、所定の台数の車両毎または所定時間経過毎に、検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果に基づいてエラーを検知することにより、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0139】
また、レーダ200のアンテナから放射された放射電波が走行車両500によって反射された受信出力の平均値を算出し、算出結果に基づいてエラーを検知することにより、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0140】
また、検知開始位置の平均値と検知終了位置の平均値との距離である検知距離の平均値に基づいてエラーを検知することにより、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0141】
また、検知開始位置および検知終了位置の判定の基準を、過去に算出された検知開始位置および検知終了位置に基づいて定めることで、レーダ200の状態の経年変化を検知することにより、レーダ200の性能の低下を検知することが可能となる。
【0142】
また、これらの比較結果に基づいて、レーダ200の設置角度のずれの発生の有無や汚れの有無を検知することが可能となる。
以上、開示の制御装置、レーダ検知システム、レーダ検知方法を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、開示の技術に他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、開示の技術は前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【0143】
以上の第1の実施の形態および第2の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、
前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定する異常判定部と、
を有することを特徴とする制御装置。
【0144】
(付記2) 前記算出部は、所定の台数の走行車両を検知する毎に、前記取得部によって取得された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させることを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0145】
(付記3) 前記算出部は、所定時間経過毎に、前記取得部によって取得された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させることを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0146】
(付記4) 前記取得部は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標、検知終了位置の座標および前記走行車両から反射された電波の受信電力を取得し、
前記算出部は、前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値、検知終了位置の座標の平均値および受信電力の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させ、
前記比較部は、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と前記検知終了位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された受信電力の平均値と受信電力の所定の基準値とを比較する、
ことを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0147】
(付記5) 前記比較部は、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値との差の絶対値である平均検知距離を算出し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と前記検知終了位置の所定の基準値とを比較し、前記算出した平均検知距離と平均検知距離の所定の基準値とを比較することを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0148】
(付記6) 前記検知開始位置の所定の基準値は、前記レーダの設置時に設定された検知開始位置に基づき、
前記検知終了位置の所定の基準値は、前記レーダの設置時に設定された検知終了位置に基づく、
ことを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0149】
(付記7) 前記検知開始位置の所定の基準値は、前記算出部により過去に算出された検知開始位置の平均値に基づき、
前記検知終了位置の所定の基準値は、前記算出部により過去に算出された検知終了位置の平均値に基づく、
ことを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0150】
(付記8) 前記異常判定部は、前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの設置角度のずれの発生の有無を判定し、ずれが発生したと判定した場合には、ずれの発生を示す情報を出力することを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0151】
(付記9) 前記異常判定部は、前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダのレドームの汚れの有無を判定し、汚れがあると判定した場合には、汚れの発生を示す情報を出力することを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0152】
(付記10) 車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダと、
検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、
前記レーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、
前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する異常判定部と、
を有する制御装置と、
前記異常判定部から出力された異常の発生を示す情報を受信すると、前記レーダの異常を示す情報を記憶する監視装置と、
を有することを特徴とするレーダ検知システム。
【0153】
(付記11) コンピュータが、
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得し、
前記取得した検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を記憶し、
前記記憶した算出結果の検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記記憶した算出結果の検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較し、
前記比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定する、
ことを特徴とするレーダ検知方法。
【符号の説明】
【0154】
1 制御装置
1a 取得部
1b 算出部
1c 比較部
1d 異常判定部
1e 検知状況情報記憶部
2 レーダ
3 監視装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、
前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定する異常判定部と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記算出部は、所定の台数の走行車両を検知する毎に、前記取得部によって取得された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記算出部は、所定時間経過毎に、前記取得部によって取得された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記取得部は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標、検知終了位置の座標および前記走行車両から反射された電波の受信電力を取得し、
前記算出部は、前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値、検知終了位置の座標の平均値および受信電力の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させ、
前記比較部は、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と前記検知終了位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された受信電力の平均値と受信電力の所定の基準値とを比較する、
ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項5】
前記比較部は、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値との差の絶対値である平均検知距離を算出し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と前記検知終了位置の所定の基準値とを比較し、前記算出した平均検知距離と平均検知距離の所定の基準値とを比較することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項6】
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダと、
検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、
前記レーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、
前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する異常判定部と、
を有する制御装置と、
前記異常判定部から出力された異常の発生を示す情報を受信すると、前記レーダの異常を示す情報を記憶する監視装置と、
を有することを特徴とするレーダ検知システム。
【請求項7】
コンピュータが、
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得し、
前記取得した検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を記憶し、
前記記憶した算出結果の検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記記憶した算出結果の検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較し、
前記比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定する、
ことを特徴とするレーダ検知方法。
【請求項1】
検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、
前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定する異常判定部と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記算出部は、所定の台数の走行車両を検知する毎に、前記取得部によって取得された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記算出部は、所定時間経過毎に、前記取得部によって取得された検知開始位置の平均値および検知終了位置の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記取得部は、車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標、検知終了位置の座標および前記走行車両から反射された電波の受信電力を取得し、
前記算出部は、前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値、検知終了位置の座標の平均値および受信電力の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させ、
前記比較部は、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と前記検知終了位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された受信電力の平均値と受信電力の所定の基準値とを比較する、
ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項5】
前記比較部は、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値との差の絶対値である平均検知距離を算出し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と前記検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と前記検知終了位置の所定の基準値とを比較し、前記算出した平均検知距離と平均検知距離の所定の基準値とを比較することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項6】
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダと、
検知状況情報を記憶する検知状況情報記憶部と、
前記レーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を含む検知状況情報を前記検知状況情報記憶部に記憶させる算出部と、
前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記検知状況情報記憶部に記憶されている検知状況情報によって示された検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定し、異常が発生したと判定した場合には異常の発生を示す情報を出力する異常判定部と、
を有する制御装置と、
前記異常判定部から出力された異常の発生を示す情報を受信すると、前記レーダの異常を示す情報を記憶する監視装置と、
を有することを特徴とするレーダ検知システム。
【請求項7】
コンピュータが、
車道の走行方向に沿った検知範囲を持つレーダから出力された信号に基づき、前記車道を走行した複数台の走行車両のそれぞれについて、検知開始位置の座標および検知終了位置の座標を取得し、
前記取得した検知開始位置の座標の平均値および検知終了位置の座標の平均値を算出し、算出結果を記憶し、
前記記憶した算出結果の検知開始位置の座標の平均値と検知開始位置の所定の基準値とを比較し、前記記憶した算出結果の検知終了位置の座標の平均値と検知終了位置の所定の基準値とを比較し、
前記比較結果に基づいて、前記レーダの異常の発生の有無を判定する、
ことを特徴とするレーダ検知方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−127906(P2012−127906A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281582(P2010−281582)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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