説明

制御装置

【課題】入退に関する扉の制御を行う制御装置において、一定時間後に扉が閉じられたままであるときに自動的に施錠したり、一定時間後に扉が開けられたままであるときに報知を開始したりというように、一定時間後に何らかの処理を行う場合の一定時間である猶予時間を、入退管理システムの管理者の経験によって決めるのではなく、実際の利用状況および運用状況に即したものとする。
【解決手段】ログからイベントの発生時刻を抽出し、実際に利用者が扉を開いた扉開時刻と、その他のイベントの発生時刻との間の時間に基づいて、猶予時間を更新する。例えば、解錠時刻と扉開時刻との間の時間に基づいて、扉が閉じられたままであるときに自動的に施錠するまでの猶予時間を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退管理システムにおける扉の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ保護すべき部屋への入退を管理する入退管理システムにおいて、各部屋への入退は施解錠可能な扉により制御できるようになっている。各部屋ごとに、扉の制御を行う制御装置と、認証情報を読み取る認証装置とが設置されており、制御装置は、認証装置が読み取った認証情報に基づいて認証を行い、認証結果に応じて扉の錠を施解錠するようになっている。認証に成功して扉の錠が解錠されれば、入退室する利用者は、扉を開けて入室または退室をすることができる。
【0003】
セキュリティを確保するために、扉の錠が解錠状態のままにされていると自動的に施錠をしたり、扉が開かれたまま放置されていると警報を鳴らすというような制御を制御装置は行うが、扉の錠が解錠されてすぐに施錠しては扉を開くことができないし、扉が開かれてすぐに警報を鳴らしてはうるさいだけなので、一定時間経過してから、施錠したり、警報を鳴らすといった処理を行う。この一定時間はこれらの各処理の内容ごとに異なる値が設定される。以下では、この一定時間を処理を行うまでに与えられる時間という意味で猶予時間と呼ぶ。
【0004】
猶予時間は、従来では、入退管理システムを設置したときの値がそのまま使われたり、入退管理システムの管理者が経験によって変更した値が使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-179846 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の猶予時間の最適値は、入退管理システムの設置環境や利用者、あるいは、セキュリティポリシーなどに応じて様々である。
例えば、扉の錠を解錠してから扉が開かれずに解錠状態のまま扉が放置された場合に、自動的に施錠するまでの猶予時間を考えると、認証装置から扉までの距離が短い所では、短い時間で施錠しても問題ないが、認証装置から扉までの距離が長い所では、短い時間で施錠すると扉を開く前に施錠されてしまうという問題が生じる。一方、施錠までの猶予時間を長くすると、解錠状態のまま扉が放置される時間が長くなり、セキュリティ上問題となる。
【0007】
そのため最適値を決めるためには、設定値を変えては暫く運用してみるというように、入退管理システムの管理者が試行錯誤して探すという手間がかかる。
本発明は、上記のように猶予時間後に何らかの処理を行うという制御を行う際の猶予時間を、利用状況および運用状況に応じて、できるだけ最適に定める制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の制御装置は、扉の制御を行う制御装置であって、扉の開閉を検出する開閉検出部と、イベント種別と当該イベントの発生時刻とを対応付けて記録したログ、および、第1の種別のイベントが発生した発生時刻から、第2の種別のイベントが発生すべき発生予定時刻までの時間を示す猶予時間を記憶する記憶部と、第1の種別のイベントが発生してから、前記猶予時間だけ経過しても、第2の種別のイベントが発生しない場合に、扉の制御に関連した所定の処理を実行する実行部と、前記ログから、第2の種別のイベントの発生時刻と、前記第2の種別のイベントの発生時刻以前で直近の第1の種別のイベントの発生時刻との組を複数抽出し、抽出した各組について、当該第1の種別のイベントの発生時刻から当該第2の種別のイベントの発生時刻までの時間を算出し、算出した時間に基づいて決定される更新値に前記猶予時間を更新する更新部とを備え、前記ログには、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したことを示すイベントの発生時刻である扉開時刻が含まれ、前記第1の種別のイベントと前記第2の種別のイベントのうちいずれか一方は、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したこと示すイベントであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記の制御装置によると、第1の種別のイベントが発生してから、第2の種別のイベントが発生するまでに、猶予時間だけ経過したときに所定の処理を行う際の猶予時間を、ログに記録された時刻に基づいて決定するので、経験で決められた値ではなく、実際の利用状況および運用状況に即した値に猶予時間の設定を変更することができる。
猶予時間の算出に用いられるログには、利用者が扉を開いた扉開時刻が含まれるので、猶予時間の設定値に利用者の動作を反映させることができる。
【0010】
ここで、前記制御装置は、更に、扉の錠を施解錠する施解錠部を備え、前記ログには、前記施解錠部が扉の錠を解錠したことを示すイベントの発生時刻である解錠時刻が含まれ、前記猶予時間は、扉の錠を解錠しても扉が閉まり続けていた場合に、解錠時刻から、扉の錠を施錠すべき施錠予定時刻までの時間を示す第1施錠猶予時間であり、前記第1の種別のイベントは、前記施解錠部が扉の錠を解錠したことを示すイベントであり、前記第2の種別のイベントは、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したこと示すイベントであり、前記所定の処理は、前記施解錠部により扉の錠を施錠させる処理であり、前記更新部が更新する前記第1施錠猶予時間の更新値は、前記組の総数に対して、解錠時刻から扉開時刻までの時間が前記更新値以下である組の数の割合が、所定の割合以上となる値である としてもよい。
【0011】
扉の錠が解錠されても、扉が開かれなかった場合に、自動的に施錠するまでの第1施錠猶予時間を、ログに記録された解錠時刻と扉開時刻とに基づいて算出するので、第1施錠猶予時間が短すぎて、扉を開く前に、施錠されてしまったり、第1施錠猶予時間が長すぎて、解錠状態のまま扉が長時間放置されてしまい、セキュリティ上問題になるということのないよう、実際の利用状況および運用状況に即した値に第1施錠猶予時間の設定を変更することができる。
【0012】
ここで、前記制御装置は、更に、扉の錠を施解錠する施解錠部と、入退に関する認証を行う認証部とを備え、前記ログには、前記施解錠部が扉の錠を解錠したことを示すイベントの発生時刻である解錠時刻と、前記認証部が認証したことを示すイベントの発生時刻である認証時刻とが含まれ、前記猶予時間は、扉が開かれているときに認証が成功した場合に、認証時刻から、扉の錠を施錠すべき施錠予定時刻までの時間を示す第2施錠猶予時間であり、前記第1の種別のイベントは、前記認証部が認証に成功したことを示すイベントであり、前記第2の種別のイベントは、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したこと示すイベントであり、前記所定の処理は、前記認証時刻から前記第2施錠猶予時間の間の施錠予定時刻を、前記認証時刻から前記第2施錠猶予時間だけ経過した時刻まで延期する処理であり、前記更新部が更新する前記第2施錠猶予時間の更新値は、前記組の総数に対して、認証時刻から扉開時刻までの時間が前記更新値以下である組の数の割合が、所定の割合以上となる値である としてもよい。
【0013】
利用者が連続して入室する場合に、前の人が扉が開いているときに次の人が認証を行い、次の人が扉の所まで移動する間に扉が閉じられると、次の人が扉を開ける前に、扉の錠が施錠されてしまうことがある。扉が開いているときに認証が行われた場合は、認証してから第2施錠猶予時間だけ経過するまでは、施錠をしないようにすることで、上のような事態を防止することができ連続した入室を円滑に行うことができる。また、第2施錠猶予時間を、ログに記録された認証時刻と扉開時刻とに基づいて算出するので、第2施錠猶予時間が短すぎて、扉を開く前に、施錠されてしまったり、第2施錠猶予時間が長すぎて、解錠状態のまま扉が長時間放置されてしまい、セキュリティ上問題になるということのないよう、実際の利用状況および運用状況に即した値に第2施錠猶予時間の設定を変更することができる。
【0014】
ここで、前記所定の処理は、扉が開かれ続けていることに対して注意報知開始を指示する処理であり、前記ログには、前記開閉検出部が扉の閉じられたことを検出したことを示すイベントの発生時刻である扉閉時刻が含まれ、前記猶予時間は、扉が開かれ続けている場合に、扉開時刻から、注意報知開始を指示すべき注意報知開始予定時刻までの時間を示す注意報知猶予時間であり、前記第1の種別のイベントは、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したこと示すイベントであり、前記第2の種別のイベントは、前記開閉検出部が扉の閉じられたことを検出したこと示すイベントであり、前記更新部が更新する前記注意報知猶予時間の更新値は、前記組の総数に対して、扉開時刻から扉閉時刻までの時間が前記更新値以上である組の数の割合が所定の割合以下となる値である としてもよい。
【0015】
扉が開かれたまま長時間放置されたとき、音を鳴らすなどの報知を行って注意を促すことが従来から行われているが、報知を開始するまでの注意報知猶予時間を、ログに記録された扉開時刻と扉閉時刻とに基づいて算出することで、注意報知猶予時間が短かすぎて、報知音が耳障りとなったり、注意報知猶予時間が長すぎて、扉が開かれたまま長時間放置されてしまい、セキュリティ上問題となるということのないよう、実際の利用状況および運用状況に即した値に注意報知猶予時間の設定を変更することができる。
【0016】
ここで、前記ログには、前記実行部が注意報知開始を指示したことを示すイベントの発生時刻である注意報知開始時刻が含まれ、前記実行部は、更に、前記注意報知開始時刻から注意報知時間だけ経過すると、注意報知終了を指示する処理と、警告報知開始を指示する処理とを実行し、前記注意報知時間は、扉が開かれ続けている場合に、扉開時刻から、警告報知開始を指示すべき警告報知開始予定時刻までの時間を示す警告報知猶予時間と、前記注意報知猶予時間との差であり、前記警告報知猶予時間は、前記更新部により更新され、前記更新部が更新する前記警報報知猶予時間の更新値は、前記組の総数に対して、扉開時刻から扉閉時刻までの時間が前記更新値以上である組の数の割合が前記所定の割合よりも小さい値以下となる値である としてもよい。
【0017】
報知を注意報知と警告報知との 2段階からなるようにし、注意報知猶予時間だけでなく、警告報知猶予時間も、ログに記録された扉開時刻と扉閉時刻とに基づいて算出することで、警告報知猶予時間が短かすぎて、注意報知する時間が短かくなりすぎたり、警告報知猶予時間が長すぎて、扉が開かれたまま長時間放置されてしまい、セキュリティ上問題となるということのないよう、実際の利用状況および運用状況に即した値に警告報知猶予時間の設定を変更することができる。
【0018】
ここで、前記実行部は、前記扉開時刻から、前記ログのうち、扉開時刻から扉閉時刻までの時間の最大値以上の時間が経過すると、警報報知終了を指示する としてもよい。
何らかの事情で扉を開け放しにしている場合にも、いつまでも警告報知が鳴り続けるということのないよう、一定時間経過すれば報知を止めるようにする場合に、報知の継続時間の最大値である最大報知時間を、ログに記録された扉開時刻と扉閉時刻とに基づいて算出することで、報知の継続時間が短かすぎて、報知の意味をなさなくなったり、報知の継続時間が長すぎて、報知音が耳障りとなったりすることのないよう、実際の利用状況および運用状況に即した値に最大放置時間の設定を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1における制御装置の構成図
【図2】第1施錠猶予時間を説明する図
【図3】第1施錠猶予時間の更新値の決定方法を説明する図
【図4】実施形態1における制御装置の動作を示す図
【図5】実施形態1における第1施錠猶予時間の更新動作を示す図
【図6】第2施錠猶予時間を説明する図
【図7】第2施錠猶予時間の更新値の決定方法を説明する図
【図8】実施形態2における制御装置の動作を示す図
【図9】実施形態2における第2施錠猶予時間の更新動作を示す図
【図10】実施形態3における制御装置の構成図
【図11】報知猶予時間を説明する図
【図12】報知猶予時間の更新値の決定方法を説明する図
【図13】実施形態3における制御装置の動作を示す図 (1)
【図14】実施形態3における制御装置の動作を示す図 (2)
【図15】実施形態3における報知猶予時間の更新動作を示す図
【図16】実施形態3における最大報知時間の更新動作を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
《実施形態1》
本実施形態では、利用者が認証に成功し、制御装置が扉の錠を解錠した後、利用者によって扉が開かれずに解錠状態のまま扉が放置されたときに、制御装置が一定時間後に自動的に施錠する場合の例について説明する。以下、この場合の一定時間を第1施錠猶予時間と呼ぶ。
〈構成〉
本実施形態における制御装置 100の構成を図1に示す。本実施形態における制御装置 100は、扉 200と認証装置 300とを組み合わせて構成される入退管理システムの一つの構成要素である。制御装置 100は、施解錠可能な扉 200を制御する装置であり、認証情報を読み取る認証装置 300とともに部屋ごとに設置されている。制御装置 100による扉 200の制御は、認証装置 300から受信した認証情報に基づいて行われる。
【0021】
扉 200には、制御装置 100により解錠および施錠がなされる錠 201が備えられており、扉の錠が解錠されているときは、利用者は手動で扉を開閉できるようになっている。
認証装置 300は、カードリーダのような認証情報を読み取るためのインターフェイスであり、予め利用者に配布された認証カードから、利用者IDを含む認証情報を読み取るための読取部 301を備えている。読取部 301は、認証情報を読み取ると、読み取った認証情報を制御装置 100の認証部 103に送信する。
【0022】
制御装置 100は、記憶部 104、認証部 103、施解錠部 102、開閉検出部 101、更新部 105、および、実行部 106 を含む構成となっている。以下、制御装置 100の各構成要素について説明する。
・記憶部 104
記憶部 104は、記録媒体であり、制御装置 100が扉 200の制御を行う上で発生したイベント種別を、イベントの発生時刻と対応付けて記録するログを記憶する。ここで、イベントには、認証を行ったことを示す認証イベント、扉 200の錠 201を解錠または施錠したことをそれぞれ示す解錠イベントまたは施錠イベント、扉 200の開閉を検出したことを示す扉開イベントおよび扉閉イベントなどがある。認証イベントには、認証が成功したことを示す認証成功イベント、認証が失敗したことを示す認証失敗イベントがある。また、記憶部 104は、第1施錠猶予時間を記憶する。第1施錠猶予時間は初期値は予め定められた値であるが、更新部 105によって更新されると、更新された値が 記憶部 104に記憶される。
【0023】
図2(a)は、第1施錠猶予時間と発生するイベントを時系列に示した図である。図2(a)は、利用者ID A の人により認証が成功し、扉 200の錠 201が解錠されても、扉 200が開かれないままであったときに、第1施錠猶予時間だけ経過すると、自動的に施錠することを示している。第1施錠猶予時間は、解錠イベントが発生した解錠時刻から、扉開イベントが発生することなく、施錠イベントが発生すべき施錠予定時刻までの時間である。
【0024】
図2(a) で発生する各イベントのログを示すと、図2(b) のようになる。この例では、第1施錠猶予時間を 30秒、利用者ID A の人による認証が成功した時刻を 0:00:00 として、認証が成功してから 1秒後に解錠が行われ、その後、扉が開かれることなく、30秒経過した時点で施錠が行われている。
・認証部 103
認証部 103は、認証装置 300から送信される認証情報を受信し、入退が許可された利用者かどうかの認証を行う機能を有する。認証部 103は、認証に成功すれば、認証に成功したことと、認証時刻とを対応付けて利用者IDとともにログに記録し、更に、施解錠部 102に扉 200の錠 201を解錠するように指示する。認証に失敗すれば、認証に失敗したことと、認証時刻とを対応付けて利用者IDとともにログに記録する。
・施解錠部 102
施解錠部 102は、扉 200の錠 201の施解錠を制御する機能を有する。施解錠部 102は、認証部 103から解錠の指示受けたとき、扉 200の錠 201を解錠し、扉 200の錠 201を解錠したことと解錠時刻とを実行部 106に送信し、扉 200の錠 201を解錠したことと解錠時刻とを対応付けてログに記録する。また、施解錠部 102は、開閉検出部 101から扉 200の閉じたことを検出したことを通知されたとき、あるいは、実行部 106から扉 200の錠 201を施錠するように指示を受けたとき、扉 200の錠 201を施錠し、扉 200の錠 201を施錠したことと施錠時刻とを実行部 106に送信し、扉 200の錠 201を施錠したことと施錠時刻とを対応付けてログに記録する。
・開閉検出部 101
開閉検出部 101は、扉 200の開閉を検出する機能を有する。開閉検出部 101は、扉 200の開いたことを検出すると、扉 200の開いたことと、扉開時刻と対応付けてログに記録する。また、開閉検出部 101は、扉 200の閉じたことを検出すると、扉 200の閉じたことと、扉閉時刻と対応付けてログに記録し、施解錠部 102に、扉 200の錠 201を施錠するように指示する。
【0025】
開閉の検出は、例えばリミットスイッチにより実現され、扉の開閉により機械的にスイッチが押されるように設置することで、開閉状態を電気信号として検出することができる。あるいは、扉の可動部に永久磁石とのセットを設置しておくことで、開閉状態を電気信号として検出するなど、どのような方法で開閉を検出するようにしてもよい。
・更新部 105
更新部 105は、記憶部 104からログを読み出し、ログに記録されたイベント種別とイベント発生時刻に基づいて、第1施錠猶予時間の更新値を算出し、記憶部 104に記憶された第1施錠猶予時間を算出した更新値に更新する機能を有する。更新は、認証部 103が認証情報を受信するの待っている空き時間に行われる。第1施錠猶予時間の更新値の算出方法については後述する。
・実行部 106
実行部 106は、施解錠部 102から扉 200の錠 201を解錠したことと解錠時刻とを受信してから、扉 200の錠 201を施錠したことと施錠時刻とを受信するまで、次の動作を行う。すなわち、記憶部 104に記憶された第1施錠猶予時間を読み出し、施錠時刻から現在時刻までの経過時間と第1施錠猶予時間を比較し、施錠時刻から現在時刻までの経過時間が第1施錠猶予時間を越えれば、施解錠部 102に扉 200の錠 201を施錠するように指示する。
〈第1施錠猶予時間の更新値の算出〉
ここでは、第1施錠猶予時間の更新値の算出方法について説明する。
【0026】
第1施錠猶予時間は、利用者の認証が成功し、扉 200の錠 201が解錠された後、扉 200が開けられることがない場合に、自動的に施錠を行うまでの時間である。従って、第1施錠猶予時間は、扉 200の錠 201が解錠されてから、扉 200が開けられるまでにかかる第1扉開猶予時間に基づいて算出する。
図2(c) は、第1扉開猶予時間と、利用者が部屋に入室するときに発生するイベントを時系列に示した図である。利用者が部屋に入室するときは、まず、認証イベントが発生し、認証に成功すれば、解錠イベントが発生する。解錠後、利用者は、認証装置 300が設置された位置から、扉 200の位置まで移動し、扉 200を開くことで、扉開イベントが発生する。利用者が入室した後、扉 200が締まると、扉閉イベントが発生する。第1扉開猶予時間は、解錠イベントが発生した解錠時刻から、扉開イベントが発生した扉開時刻までの時間である。
【0027】
第1施錠猶予時間の更新値の算出は、まず、上記のような連続する解錠イベントと扉開イベントとの組をログから抽出し、組ごとに扉開時刻と解錠時刻との差を算出し、第1扉開猶予時間を求める。続いて、各組ごとに求めた第1扉開猶予時間の分布を算出する。第1施錠猶予時間の精度を決める時間解像度をΔtとすると、分布の算出は時間軸を時間幅 Δt で分割し、0〜Δt, Δt〜2Δt, 2Δt〜3Δt,..., kΔt〜(k+1)Δt (k = 0, 1, 2,..)の各分割幅に第1扉開猶予時間が含まれる組の数を数えることでなされる。これを図で表すと、図3のようなヒストグラムを作成することに相当する。
【0028】
図3では、時間幅Δtを 1秒とし、0〜30秒の範囲で 1秒ごとの時間幅の中に扉開猶予時間が含まれる組の数を数えている。第1扉開猶予時間が第1施錠猶予時間を越えることはないので、時間範囲の最大値は、更新前の第1施錠猶予時間を選べばよい。ここでは、第1施錠猶予時間の初期値を 30秒とする。図3は、解錠後、およそ 17〜18秒後に扉を開いている利用者が最も多くて、どの利用者も解錠してから 28秒以内には扉を開いていることを示している。
【0029】
第1施錠猶予時間の更新値は、図3のヒストグラムにおいて、第1扉開猶予時間が更新値以下である割合が閾値以上となる最小の値となるように決定される。ここでは閾値は、例えば、95% とすると、第1扉開猶予時間の更新値は、23秒となる。この閾値は、利用者の全体数のうち扉を開くのが早い方から 95% の人は、自動的に施錠されるよりも前に扉を開くことができ、利用者の全体数のうち扉を開くのが遅い方から 5% の人は、扉を開く前に自動的に施錠がなされるという主旨の下に、予め決められた値である。
〈動作〉
本実施形態における制御装置 100の動作を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
まず、認証装置 300が読取部 301で読み取った認証情報を、認証部 103が受信するのを待つ(S401)。
認証部 103が認証情報を受信すると(S401 Y)、認証の成否を判定する(S402)。
認証に成功すれば(S402 Y)、認証部 103は、認証時刻と認証に成功したこと、および、認証に成功した利用者IDとを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録する(S403)。
【0031】
続いて、認証部 103は、施解錠部 102に扉 200の錠 201を解錠するように指示する(S405)。施解錠部 102は、扉 200の錠 201を解錠すると、解錠時刻と扉 200の錠 201を解錠したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録する(S406)。
次に、開閉検出部 101が、扉 200の開かれたことを検出すると(S407 Y)、扉開時刻と扉 200の開かれたことを検出したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録する(S408)。
【0032】
次に、開閉検出部 101は、扉 200の閉じられたことを検出するのを待つ(S409 N)、開閉検出部 101が、扉 200の閉じられたことを検出すると(S409 Y)、扉閉時刻と扉 200の閉じられたことを検出したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録する(S410)。
続いて、開閉検出部 101は、施解錠部 102に扉 200の錠 201を施錠するように指示する(S411)。
【0033】
施解錠部 102は、扉 200の錠 201を施錠すると、施錠時刻と扉 200の錠 201を施錠したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録し(S412)、認証情報の受信待ちに戻る(S401)。
開閉検出部 101が、扉 200の開かれたことを検出しない場合(S407 N)、解錠時刻から、第1施錠猶予時間だけ経過したかどうかを判定し(S413)、第1施錠猶予時間だけ経過するまでは(S413 N)、扉開検出待ちに戻る(S407)。解錠時刻から、第1施錠猶予時間だけ経過すれば(S413 Y)、開閉検出部 101からの指示に基づき、施解錠部 102は扉 200の錠 201を施錠する(S411)。
【0034】
なお、認証部 103が認証情報を受信したあとに(S401 Y)、認証に失敗すれば(S402 N)、認証部 103は、認証時刻と認証に失敗したこと、および、認証に失敗した利用者IDとを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録し(S404)、認証待ちに戻る(S401)。
また、認証部 103が認証情報を受信しなければ(S401 N)、それまでに記憶部 104に記憶されているログに基づいて、第1施錠猶予時間を更新する(S414)。
【0035】
以上のようにして、本実施形態における制御装置 100は動作する。
〈第1施錠猶予時間の更新動作〉
第1施錠猶予時間の更新動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、第1扉開猶予時間を時間範囲ごとに分類して記憶する第1扉開猶予時間配列 T1(i) の要素を 0 に初期化する(S501)。
【0036】
解錠時刻 t1 と、扉開時刻 t2 との組をログから読み出し、各組ごとに第1扉開猶予時間 (t2-t1) を算出する(S502)。
時間解像度を Δt として、第1扉開猶予時間 (t2-t1) が、kΔt 以上 (k+1)Δt 未満となる非負整数 k に対して、配列の要素 T1(k) をインクリメントする(S503)。これをログから読み出したすべての解錠時刻と扉開時刻との組について行うことで、第1扉開猶予時間を時間間隔 Δt の幅ごとに分類した配列 T1(i) が算出される。時間解像度 Δt は、例えば、1秒としておくと第1施錠猶予時間の更新値を 1秒の精度で決定することができる。
【0037】
算出された配列 T1(i) のすべての要素の和をとり N とする(S504)。
配列 T1(i) の i ≦ n なる要素の和の、N に対する割合が閾値以上となる最小の n を算出する(S505)。ここで、閾値としては、例えば、95% とする。
以上のようにして決定された n を用いて、第1施錠猶予時間を nΔt にする(S506)。
《実施形態2》
利用者が連続して入室するときに、前の人が認証に成功し、扉の錠が解錠された後、扉を開いている途中で次の人が認証に成功し、次の人が扉まで移動している間に、前の人によって開かれた扉が閉じられることがある。セキュリティを確保するためには、扉が閉じられると即座に施錠を行うことが望ましいが、そうすると、次の人が扉を開ける前に、扉の錠が自動的に施錠されてしまい、次の人は認証をやり直して、扉の錠を解錠しなければならなくなる。
【0038】
本実施形態では、上記のようなことが起こらないように、扉が開いているときに認証に成功した場合、認証時刻から一定の時間は施錠をしないようにする場合の例について説明する。以下、この一定の時間を第2施錠猶予時間と呼ぶ。
第2施錠猶予時間と実施形態1 で説明した第1施錠猶予時間とは排他的なものではないので、本実施形態における制御装置は、実施形態1における制御装置 100に、上記の機能を付加したものとして説明する。
〈構成〉
本実施形態における制御装置 100の構成は、図1に示した実施形態1 における制御装置 100の構成と同じであるが、各構成要素は次の点で異なる。
【0039】
まず、記憶部 104は、ログと第1施錠猶予時間に加えて、第2施錠猶予時間も記憶する。
図6(a)は、第2施錠猶予時間と発生するイベントを時系列に示した図である。
まず、利用者ID A の人による認証成功イベントが発生し、続いて、解錠イベントが発生する。次に、利用者ID A の人が扉を開くことを検出した扉開イベントが発生する。この後、扉が閉じて扉閉イベントが発生するよりも前に、利用者ID B の人による認証成功イベントが発生したとする。扉が閉じられると即座に施錠するという仕様の下では、利用者ID A の人が入室し終えて扉を閉じると、施錠予定時刻A で施錠されてしまう。そうすると、利用者ID B の人が、それ以降の時刻に、扉を開くには再度認証し、解錠しなければならない。これでは不便であるので、本実施形態における制御装置 100は、施錠予定時刻A を、施錠予定時刻B にまで延期する。こうすることで、利用者ID B の人は、施錠予定時刻A 以降でも、扉を開くことができる。この延期する時間を、利用者ID B の人の認証成功時刻から測ったものが、第2施錠猶予時間である。施錠予定時刻B 以前に、扉の開閉が行われ、扉開イベントと扉閉イベントが発生しても、施錠イベントはすべて、施錠予定時刻B まで延期される。施錠予定時刻B の時点で扉が開かれている場合は、施錠予定時刻B 以降で扉が閉じられた後に施錠が行われる。
【0040】
図6(a) で発生する各イベントのログを示すと、図6(b) のようになる。この例では、第2施錠猶予時間を 30秒、利用者ID A の人による認証が成功した時刻を 0:00:00 として、利用者ID A の人による認証が成功してから 1秒後に解錠が行われ、更に、15秒後に利用者ID A の人により扉が開かれ、その 3秒後に、扉が閉まるより前に、利用者ID B の人による認証が成功し、利用者ID B の人による認証が成功してから 2秒後に扉が閉まっている。扉が閉じられると即座に施錠するという仕様の下では、扉が閉まるった時刻 00:00:21 から、例えば、 1秒後の時刻 00:00:22 に施錠が行われるが、ここでは、利用者ID B の人による認証が成功した時刻 00:00:19 から、第2施錠猶予時間だけ経過した時刻 00:00:49 までの間では施錠をしない。よって、扉が閉じてから 8秒後に、利用者ID B の人が扉を開くことができる。その 10秒後に閉じられても、すぐには施錠はされず、利用者ID B の人による認証が成功してから第2施錠猶予時間だけ経過した時刻 00:00:49 に施錠がなされる。
【0041】
第2施錠猶予時間は、第1施錠猶予時間と同様に、更新部 105が更新する。第2施錠猶予時間の更新方法については後述する。
実行部 106は、実施形態1で説明した第1施錠猶予時間に基づいた施錠の指示に加えて、第2施錠猶予時間に基づいた施錠の延期の指示も行う。
すなわち、認証部 103は、認証が成功したときに、認証が成功したことと認証時刻とを実行部 106に送信し、実行部 106は、認証部 103から認証が成功したことと認証時刻とを受信すると、記憶部 104に記憶されたログを読み出し、扉 200の開閉状態を判別する。その結果、認証時に、扉 200が開いていれば、記憶部 104から第2施錠猶予時間を読み出し、認証時刻から第2施錠猶予時間だけ経過するまでの間に受けた施錠指示は、認証時刻から第2施錠猶予時間だけ経過した時刻まで延期するように施解錠部 102に指示する。施解錠部 102は、実行部 106から上記指示に従って、施錠を延期する。
〈第2施錠猶予時間の更新値の算出〉
ここでは、第2施錠猶予時間の更新値の算出方法について説明する。
【0042】
第2施錠猶予時間は、認証装置 300で認証を行い、認証装置 300のある位置から扉 200のある位置まで移動して、扉 200を開くまでにかかる時間である。従って、第2施錠猶予時間は、認証が行われてから、扉 200が開けられるまでにかかる第2扉開猶予時間に基づいて算出する。
図6(c) は、第2扉開猶予時間と、利用者が部屋に入室するときに発生するイベントを時系列に示した図である。第2扉開猶予時間は、認証イベントが発生した認証時刻から、扉開イベントが発生した扉開時刻までの時間である。
【0043】
第2施錠猶予時間の更新値の算出は、第1施錠猶予時間の更新値の算出とほぼ同様である。実施形態1で説明したように、第1施錠猶予時間の更新値の算出では、解錠イベントと扉開イベントとの組をログから抽出し、解錠時刻から扉開時刻までの第1扉開猶予時間の分布から、更新値を決定した。それに対して、第2施錠猶予時間の更新値の算出では、認証イベントと扉開イベントとの組をログから抽出し、認証時刻から扉開時刻までの第2扉開猶予時間の分布から、更新値を決定する。
【0044】
第2扉開猶予時間の分布は、横軸の時間を、解錠時刻から扉開時刻までの第1扉開猶予時間の代わりに、認証時刻から扉開時刻までの第2扉開猶予時間とすることで、図3と同様にヒストグラムを作成することができ、第2施錠猶予時間の更新値は、第2扉開猶予時間が更新値以下である割合が閾値以上となる最小の値となるように決定される。
〈動作〉
本実施形態における制御装置 100の動作を、図8のフローチャートを用いて説明する。図8と、図4との異なる部分は、開閉検出部 101が、扉 200の閉じられたことを検出してから、施解錠部 102が扉 200の錠 201を施錠するまでの動作と、認証情報を受信しない間に行われる施錠猶予時間の更新が、第1施錠猶予時間だけでなく、第2施錠猶予時間も更新する点であるので、ここでは、これらの異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
本実施形態における制御装置 100では、開閉検出部 101が、扉 200の開かれたことを検出し(S807 Y)、扉開時刻と扉 200の開かれたことを検出したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録すると(S808)、開閉検出部 101は、扉 200の閉じられるのを待つ(S812 N)。
開閉検出部 101が、扉 200の閉じられたことを検出すれば(S812 Y)、扉閉時刻と扉 200の閉じられたことを検出したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録する(S813)。
【0046】
次に、最新の認証時刻が変更されてないかどうか判定する(S821)。これは、記憶部 104に記憶されているログから読み出される最新の認証時刻と、ステップ S803 で記録した認証時刻とを比較することでなされる。
最新の認証時刻が変更されてなければ(S821 N)、施解錠部 102は扉 200の錠 201を施錠する(S818)。以降は、図4と同様である。
【0047】
最新の認証時刻が変更されていれば(S821 Y)、扉が閉じられてもすぐには施錠はせずに、最新の認証時刻から第2施錠猶予時間だけ経過するまで待つ(S814 N)。ここで、最新の認証時刻は、記憶部 104に記憶されているログから、最も新しい認証時刻をその都度読み出して確認する。従って、利用者が次々と認証を行った場合でも、常に最後に認証した利用者の認証時刻から第2施錠猶予時間だけ経過するまでは施錠されない。最新の認証時刻から第2施錠猶予時間だけ経過すれば(S814 Y)、施解錠部 102は扉 200の錠 201を施錠する(S818)。以降は、図4と同様である。
【0048】
本実施形態における制御装置 100では、第1施錠猶予時間に加えて、第2施錠猶予時間を用いた扉 200の制御を行うので、認証情報を受信していないときには(S801 N)、それまでに記憶部 104に記憶されているログに基づいて、第1施錠猶予時間の更新と(S821)、第2施錠猶予時間の更新とを行う(S822)。
〈第2施錠猶予時間の更新動作〉
第2施錠猶予時間の更新動作について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
第2施錠猶予時間の更新動作は、図5に示した第1施錠猶予時間の更新動作とほぼ同じである。異なる点は、第1施錠猶予時間の更新では、解錠時刻 t1 から扉開時刻 t2 までの第1扉開猶予時間を算出するのに対して、第2施錠猶予時間の更新では、認証時刻 t0 から扉開時刻 t2 までの第2扉開猶予時間を算出する点である。
まず、第2扉開猶予時間を時間範囲ごとに分類して記憶する第2扉開猶予時間配列 T0(i) の要素を 0 に初期化する(S901)。
【0050】
認証時刻 t0 と、扉開時刻 t2 との組をログから読み出し、各組ごとに第2扉開猶予時間 (t2-t0) を算出する(S902)。
時間解像度を Δt として、第2扉開猶予時間 (t2-t0) が、kΔt 以上 (k+1)Δt 未満となる非負整数 k に対して、配列の要素 T0(k) をインクリメントする(S903)。これをログから読み出したすべての認証時刻と扉開時刻との組について行うことで、第2扉開猶予時間を時間間隔 Δt の幅ごとに分類した配列 T0(i) が算出される。時間解像度 Δt は、例えば、1秒としておくと第2施錠猶予時間の更新値を 1秒の精度で決定することができる。
【0051】
算出された配列 T0(i) のすべての要素の和をとり N とする(S904)。
配列 T0(i) の i ≦ n なる要素の和の、N に対する割合が閾値以上となる最小の n を算出する(S905)。ここで、閾値としては、例えば、95% とする。
以上のようにして決定された n を用いて、第2施錠猶予時間を nΔt にする(S906)。
《実施形態3》
本実施形態では、扉が開き放しになっていた場合に、報知を行う例について説明する。報知は2段階からなり、まず、注意報知を行って注意を促してから、警告報知で警告する。例えば、音を鳴らして報知する場合、最初は小さな音の注意報知を行い、それでも扉が閉められなければ、大きな音で警告報知を行う。警告報知はしばらく鳴らした後には止めるものとする。以下、扉を開けてから注意報知を開始するまでの時間を注意報知猶予時間、扉を開けてから警告報知を開始するまでの時間を警告報知猶予時間と呼び、これらを総称して単に報知猶予時間と呼ぶ。また、注意報知および警告報知を継続する時間の最大値を、それぞれ、最大注意報知時間および最大警告報知時間と呼び、これらを総称して最大報知時間と呼ぶ。
【0052】
上記の報知に関する制御と、実施形態1 で説明した自動施錠に関する制御とは排他的なものではないので、本実施形態における制御装置は、実施形態1 の制御装置 100に、報知に関する制御を行う機能を付加したものとして説明する。
〈構成〉
本実施形態における制御装置 100の構成は、図1に示した 実施形態1 における制御装置 100の構成とほぼ同じであるが、図1に示すように、認証装置 300が報知部 302を備え、実行部 106が、扉 200の開閉状態に応じて、報知部 302に対して報知に関する指示を出力する構成となっている。報知部 302は、注意報知および警告報知を行うために、2種類の報知音を鳴らす機能を有している。報知音の種類は、音の大きさや、高さ、長さ、パターンによって区別される。報知部 302は、スピーカを含み、制御装置 100の実行部 106から、注意報知および警告報知の開始および終了の指示を受けて、注意報知音および警告報知音をそれぞれスピーカから発する。
【0053】
記憶部 104は、ログおよび第1施錠猶予時間に加えて、注意報知猶予時間と警告報知猶予時間とを記憶する。また、記憶部 104は、最大報知時間として、最大警告報知時間を記憶する。後述するように、最大報知時間が必要になるのは、2段階の報知のうち後段の報知である警告報知に対してのみであるので、最大注意報知時間は、記憶部 104に記憶する必要はない。
【0054】
図11(a)は、報知猶予時間と発生するイベントを時系列に示した図である。
まず、利用者ID A の人による認証成功イベントが発生し、続いて、解錠イベントが発生する。次に、利用者ID A の人が扉を開くことを検出した扉開イベントが発生する。扉が開いてから、注意報知時間だけ経過した時刻まで、扉が閉じられなければ、注意報知を開始する。注意報知を開始した後、更に、扉が開いてから、警告報知時間だけ経過した時刻まで、扉が閉じられなければ、注意報知を終了して、警告報知を開始する。注意報知を開始した注意報知開始時刻から、注意報知を終了した注意報知終了時刻までが注意報知時間である。警告報知を開始してから、最大報知時間だけ経過すると、警告報知を終了する。警告報知を開始した警告報知開始時刻から、警告報知を終了した警告報知終了時刻までの警告報知時間は、最大警告報知時間に一致する。
【0055】
図11(a) で発生する各イベントのログを示すと、図11(b) のようになる。この例では、注意報知猶予時間を 15秒、警告報知猶予時間を 20秒、最大警告報知時間を 10秒、利用者ID A の人による認証が成功した時刻を 0:00:00 として、利用者ID A の人による認証が成功してから 1秒後に解錠が行われ、更に、15秒後に利用者ID A の人により扉が開かれ、その後、扉が閉じられない場合に、扉を開いてから注意報知猶予時間 15秒だけ経過した時刻 00:00:31 に、注意報知を開始する。更に、扉が閉じられない場合に、扉を開いてから警告報知猶予時間 20秒だけ経過した時刻 00:00:36 に、注意報知を終了し、警告報知する。警告報知を開始してから、最大警告報知時間 10秒だけ経過した時刻 00:00:41 に,警告報知を終了する。
【0056】
報知猶予時間および最大報知時間は、第1施錠猶予時間と同様に、更新部 105が更新する。報知猶予時間および最大報知時間の更新方法については後述する。
実行部 106は、実施形態1で説明した第1施錠猶予時間に基づいた施錠の指示に加えて、報知部 302に対する報知指示をを行う。
すなわち、開閉検出部 101が、扉 200の開かれたことを検出すると、扉 200の開かれたことと扉開時刻とを実行部 106に送信し、実行部 106は、開閉検出部 101から、扉 200の開かれたことと扉開時刻とを実行部 106に受信すると、開閉検出部 101から、扉 200の開じられたことと扉閉時刻とを受信するまで、次の動作を行う。すなわち、記憶部 104から、報知猶予時間および最大報知時間を読み出し、扉開時刻から現在時刻までの時間と注意報知猶予時間とを比較し、扉開時刻から現在時刻までの時間が注意報知猶予時間を越えれば、報知部 302に注意報知を開始するように指示する。また、扉開時刻から現在時刻までの時間と警告報知猶予時間とを比較し、扉開時刻から現在時刻までの時間が警告報知猶予時間を越えれば、報知部 302に注意報知を終了し、警告報知を開始するように指示する。更に、警告報知開始時刻から現在時刻までの時間と最大警告報知時間とを比較し、警告報知開始時刻から現在時刻までの時間が最大警告報知時間を越えれば、報知部 302に警告報知を終了するように指示する。
〈報知猶予時間の更新値の算出〉
ここでは、報知猶予時間の更新値の算出方法について説明する。報知猶予時間には、注意報知猶予時間と警告報知猶予時間とがあるが、両者は算出の上で用いられる閾値が異なるだけであるので、以下では、一般的に、報知猶予時間として説明する。
【0057】
報知猶予時間は、利用者が扉 200を開けてから、扉 200を閉めなかった場合に、報知を開始するまでの時間である。従って、報知時間は、扉 200が開かれてから、扉 200が閉じられるまでにかかる扉開時間に基づいて算出する。
図11(c) は、扉開時間と、利用者が部屋に入室するときに発生するイベントを時系列に示した図である。扉開時間は、扉開イベントが発生した扉開時刻から、扉閉イベントが発生した扉閉時刻までの時間である。
【0058】
報知猶予時間の更新値の算出は、第1施錠猶予時間の更新値の算出と同様に、ログからあるイベントの組を抽出し、イベント発生時刻の間の時間の分布から更新値を決定するという方法をとるが、以下で説明するように、対象となるイベントの組と、閾値のとり方が異なる。
報知猶予時間の更新値の算出は、まず、連続する扉開イベントと扉閉イベントとの組をログから抽出し、組ごとに扉閉時刻と扉開時刻との差を算出し、扉開時間を求める。続いて、各組ごとに求めた扉開時間の分布を算出する。分布の算出は、実施形態1で説明した第1施錠猶予時間の更新値の算出と同様で、時間軸を時間幅 Δt で分割し、各分割幅に扉開時間が含まれる組の数を数えることでなされる。これを図で表すと、図12のようなヒストグラムを作成することに相当する。
【0059】
報知猶予時間の更新値は、図12のヒストグラムにおいて、扉開時間が更新値以上である割合が閾値以下となる最大の値となるように決定する。ここでは閾値は、例えば、注意報知時間に対しては 30%とすると、注意報知猶予時間は 15秒となる。また、例えば、警告報知時間に対しては 10% とすると、警告報知猶予時間は 20秒となる。この閾値は、利用者の全体数のうち扉を開け放しにしてる時間が長い方から 30% の人に対して、注意報知を行い、更に、利用者の全体数のうち扉を開け放しにしてる時間が長い方から 10% の人に対して、警告報知を行うという主旨の下に、予め決められた値である。
【0060】
注意報知時間に対する閾値よりも、警告報知時間に対する閾値を小さくしておくとで、注意報知猶予時間よりも、警告報知猶予時間の方が長くなることが保証される。
〈最大報知時間の更新値の算出〉
ここでは、最大報知時間の更新値の算出方法について説明する。報知猶予時間には、最大注意報知猶予時間と最大警告報知猶予時間とがあるが、両者は算出の上で用いられる閾値が異なるだけであるので、以下では、一般的に、最大報知時間として説明する。
【0061】
報知は利用者に扉 200を開いていることを知らせることが目的なので、どの利用者もが扉 200を閉めてしまうほど時間が経過した後にまで、報知を継続する意味はあまりない。よって、最大報知時間は、扉開時間が最も長い人に対して、報知がなされる程度に長ければ十分であると考える。
すなわち、最大報知時間の更新値は、次のように算出する。まず、連続する扉開イベントと扉閉イベントとの組をログから抽出し、組ごとに扉閉時刻と扉開時刻との差を算出して、扉開時間を求める。次に、扉開時間の最大値を求め、報知猶予時間との差分 ΔT を求める。時間ΔTは、報知開始時刻から、扉開時間が最も長い人が扉を閉じるまでの時間である。最大報知時間の更新値は、時間ΔT に 1以上の実数αを乗じた値 αΔTとする。実数αを乗じるのは、扉開時間が最も長い人が扉を閉じる時刻よりも少し後にまで、報知を継続するためである。実数αの値としては、例えば、1.2 くらいにする。
【0062】
上述したように、注意報知猶予時間に対する閾値よりも、警告報知猶予時間に対する閾値の方を小さくしておくことで、注意報知猶予時間よりも、警告報知猶予時間の方が長くなることが保証されるので、最大注意報知時間は、最大警告報知時間よりも長くなる。従って、注意報知時間が最大注意報知時間を越えるよりも前に、必ず警告報知が開始し、その時点で注意報知が終了するので、実際には最大注意報知時間が使用されることはない。よって、記憶部 104には最大警告報知時間だけを記憶すればよい。
〈動作〉
本実施形態における制御装置 100の動作を、図13および図14のフローチャートを用いて説明する。図13および図14と、図4との異なる部分は、開閉検出部 101が、扉 200の開かれたことを検出した後に、扉 200の閉じられたことを検出しない場合の動作と、認証情報を受信しない間に行われる更新が、第1施錠猶予時間だけでなく、注意報知猶予時間、警告報知猶予時間、最大警告報知時間も更新する点であるので、ここでは、これらの異なる部分についてのみ説明する。
【0063】
本実施形態における制御装置 100では、開閉検出部 101が、扉 200の開かれたことを検出し(S1107 Y)、扉開時刻と扉 200の開かれたことを検出したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録した後に(S1108)、開閉検出部 101が、扉 200の閉じられたことを検出しないと(S1109 N)、扉開時刻から注意報知猶予時間だけ経過したかどうか判定する(S1111)。扉開時刻から注意報知猶予時間だけ経過していなければ(S1111 N)、扉閉検出待ちに戻る(S1109)。扉開時刻から注意報知猶予時間だけ経過していれば(S1111 Y)、注意報知を開始し(S1112)、注意報知開始時刻と注意報知を開始したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録する(S1113)。
【0064】
その後、再び扉閉検出待ちに入り(S1114)、開閉検出部 101が、扉 200の閉じられたことを検出すると(S1114 Y)、扉閉時刻と扉 200の閉じられたことを検出したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録し(S1110)、開閉検出部 101からの指示に基づき、施解錠部 102は扉 200の錠 201を施錠する(S1125)。以降は、図4と同様である。
【0065】
注意報知開始以降も、開閉検出部 101が、扉 200の閉じられたことを検出しないと(S1114 N)、扉開時刻から警告報知猶予時間だけ経過したかどうか判定する(S1115)。扉開時刻から警告報知猶予時間だけ経過していなければ(S1115 N)、扉閉検出待ちに戻る(S1114)。扉開時刻から警告報知猶予時間だけ経過していれば(S1115 Y)、注意報知を終了し(S1116)、注意報知終了時刻と注意報知を終了したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録する(S1117)。更に、警告報知を開始し(S1118)、警告報知開始時刻と警告報知を開始したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録する(S1119)。
【0066】
その後、再び扉閉検出待ちに入り(S1120)、開閉検出部 101が、扉 200の閉じられたことを検出すると(S1120 Y)、扉閉時刻と扉 200の閉じられたことを検出したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録し(S1110)、開閉検出部 101からの指示に基づき、施解錠部 102は扉 200の錠 201を施錠する(S1125)。以降は、図4と同様である。
【0067】
警告報知開始以降も、開閉検出部 101が、扉 200の閉じられたことを検出しないと(S1120 N)、警告報知開始時刻から最大報知時間だけ経過したかどうか判定する(S1121)。警告報知開始時刻から最大報知時間だけ経過していなければ(S1121 N)、扉閉検出待ちに戻る(S1120)。警告報知開始時刻から最大報知時間だけ経過していれば(S1121 Y)、警告報知を終了し(S1122)、警告報知終了時刻と警告報知を終了したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録する(S1123)。
【0068】
最後に、開閉検出部 101が、扉 200の閉じられたことを検出するのを待ち(S1124 N)、扉 200の閉じられたことを検出すると(S1124 N)、扉閉時刻と扉 200の閉じられたことを検出したこととを対応付けた情報を、記憶部 104に記憶されたログに記録し(S1110)、開閉検出部 101からの指示に基づき、施解錠部 102は扉 200の錠 201を施錠する(S1125)。以降は、図4と同様である。
【0069】
本実施形態における制御装置 100では、第1施錠猶予時間だけでなく、注意報知猶予時間、警告報知猶予時間、最大警告報知時間を用いて報知に関する制御を行うので、認証情報を受信していないときには(S1101 N)、それまでに記憶部 104に記憶されているログに基づいて、第1施錠猶予時間の更新と、注意報知猶予時間の更新、警告報知猶予時間の更新、最大警告報知時間の更新を行う。注意報知猶予時間および警告報知猶予時間の更新は次に述べる同一の報知猶予時間の更新動作で行われる。最大報知時間の更新動作については後述する。
〈報知猶予時間の更新動作〉
報知猶予時間の更新動作について、図15のフローチャートを用いて説明する。
【0070】
まず、扉開時間を時間範囲ごとに分類して記憶する扉開時間配列 T2(i) の要素を 0 に初期化する(S1201)。
扉開時刻 t2 と、扉閉時刻 t3 との組をログから読み出し、各組ごとに扉開時間 (t3-t2) を算出する(S1202)。
時間解像度を Δt として、扉開時間 (t3-t2) が、kΔt 以上 (k+1)Δt 未満となる k に対して、配列の要素 T2(k) をインクリメントする(S1203)。これをログから読み出したすべての扉開時刻と扉閉時刻との組について行うことで、扉開時間を時間間隔 Δt の幅ごとに分類した配列 T2(i) が算出される。時間解像度 Δt は、例えば、1秒としておくと報知猶予時間の更新値を 1秒の精度で決定することができる。
【0071】
算出された配列 T2(i) のすべての要素の和をとり N とする(S1204)。
配列 T2(i) の i >= n なる要素の和の、N に対する割合が閾値以上となる最大の n を算出する(S1205)。ここで、閾値としては、例えば、注意報知猶予時間に対しては 30%、警告報知猶予時間に対しては 10% とする。
以上のようにして決定された n を用いて、報知猶予時間を nΔt にする(S1206)。
〈最大報知時間の更新動作〉
最大報知時間の更新動作について、図16のフローチャートを用いて説明する。
【0072】
まず、扉開時刻 t2 と、扉閉時刻 t3 との組をログから読み出し、各組ごとに扉開時間 (t3-t2) を算出する(S1301)。
扉開時間 (t3-t2) の最大値と報知猶予時間との差分 ΔT を算出する(S1302)。
最大報知時間を ΔT のα倍にする(S1303)。ここで、αは 1以上の実数で、例えば、1.2 とする。
《補足》
上述の実施形態を以下のように変形してもよい。
【0073】
(1) 上述の実施形態では、運用中常に猶予時間の更新を行うように説明したが、猶予時間の更新をする期間は一定の期間に決めておき、その期間を過ぎれば猶予時間の更新を止めるようにしてもよい。これは、例えば、1週間と期間を決めて、その間に蓄積されるログから猶予時間を決定すれば、十分な値が得られることが期待されるからである。
また、猶予時間の算出は、全ログではなく最新の何日分または何件分かのログに基づいて算出するようにしてもよい。こうすることで、猶予時間の更新のためには、必要のない古いログは消去することができる。
【0074】
(2) 上述の実施形態では、制御装置は、猶予時間の種類ごとに 1つの設定値しかもたないとして説明したが、猶予時間の種類ごとに複数の設定値をもつようにし、曜日や時間帯によって使い分けるようにしてもよい。
(3) 上述の実施形態では、施解錠部が施錠あるいは解錠の指示を行ったかどうかにより錠が施解錠状態を判定するように説明したが、錠の施解錠状態を検出する検出部を備え、検出結果によって施解錠状態を判定するようにしてもよい。
【0075】
(4) 上述の実施形態では、認証装置はカードリーダで、認証カードを読み取るとして説明したが、指紋認証などの生体認証を用いてもよい。
(5) 上述の実施形態では、認証が行われていない空き時間に、猶予時間の更新を行うように説明したが、認証が行われるごとに更新するようにしてもよい。また、この場合、猶予時間の更新値の算出に用いられる配列をゼロ化して、ログを読み直すということをせずに、配列を記憶部に記憶しておき、認証が行われるごとに、配列の要素を更新するようにすることで、ログを読み直す負荷を軽減するようにしてもよい。
【0076】
(6) 上述の実施形態では、1つの制御装置に、扉と認証装置とのセットが 1つ接続されているとして説明したが、1つの制御装置に、扉と認証装置とのセットが複数接続されていてもよい。
この場合、扉ごとに猶予時間を記憶部に保持し、それぞれの猶予時間を扉ごとに記録されたログに基づいて更新するようにしてもよい。こうすることで、制御装置が 1つでも、扉ごとに異なる猶予時間の最適値を用いた制御を行うことができる。
【0077】
あるいは、複数の扉をまとめて同じ猶予時間を用いるようにしてもよい。こうすることで、ビルや工場の入り口などで複数の扉が設置されている場合に、どの扉に対しても同じ猶予時間の最適値を用いた制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0078】
100:制御装置
101:開閉検出部
102:施解錠部
103:認証部
104:記憶部
105:更新部
106:実行部
200:扉
201:錠
300:認証装置
301:読取部
302:報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の制御を行う制御装置であって、
扉の開閉を検出する開閉検出部と、
イベント種別と当該イベントの発生時刻とを対応付けて記録したログ、および、第1の種別のイベントが発生した発生時刻から、第2の種別のイベントが発生すべき発生予定時刻までの時間を示す猶予時間を記憶する記憶部と、
第1の種別のイベントが発生してから、前記猶予時間だけ経過しても、第2の種別のイベントが発生しない場合に、扉の制御に関連した所定の処理を実行する実行部と、
前記ログから、第2の種別のイベントの発生時刻と、前記第2の種別のイベントの発生時刻以前で直近の第1の種別のイベントの発生時刻との組を複数抽出し、抽出した各組について、当該第1の種別のイベントの発生時刻から当該第2の種別のイベントの発生時刻までの時間を算出し、算出した時間に基づいて決定される更新値に前記猶予時間を更新する更新部とを備え、
前記ログには、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したことを示すイベントの発生時刻である扉開時刻が含まれ、
前記第1の種別のイベントと前記第2の種別のイベントのうちいずれか一方は、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したこと示すイベントである
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、更に、
扉の錠を施解錠する施解錠部を備え、
前記ログには、前記施解錠部が扉の錠を解錠したことを示すイベントの発生時刻である解錠時刻が含まれ、
前記猶予時間は、扉の錠を解錠しても扉が閉まり続けていた場合に、解錠時刻から、扉の錠を施錠すべき施錠予定時刻までの時間を示す第1施錠猶予時間であり、
前記第1の種別のイベントは、前記施解錠部が扉の錠を解錠したことを示すイベントであり、
前記第2の種別のイベントは、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したこと示すイベントであり、
前記所定の処理は、前記施解錠部により扉の錠を施錠させる処理であり、
前記更新部が更新する前記第1施錠猶予時間の更新値は、
前記組の総数に対して、解錠時刻から扉開時刻までの時間が前記更新値以下である組の数の割合が、所定の割合以上となる値である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は、更に、
扉の錠を施解錠する施解錠部と、
入退に関する認証を行う認証部とを備え、
前記ログには、前記施解錠部が扉の錠を解錠したことを示すイベントの発生時刻である解錠時刻と、
前記認証部が認証したことを示すイベントの発生時刻である認証時刻とが含まれ、
前記猶予時間は、扉が開かれているときに認証が成功した場合に、認証時刻から、扉の錠を施錠すべき施錠予定時刻までの時間を示す第2施錠猶予時間であり、
前記第1の種別のイベントは、前記認証部が認証に成功したことを示すイベントであり、
前記第2の種別のイベントは、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したこと示すイベントであり、
前記所定の処理は、前記認証時刻から前記第2施錠猶予時間の間の施錠予定時刻を、前記認証時刻から前記第2施錠猶予時間だけ経過した時刻まで延期する処理であり、
前記更新部が更新する前記第2施錠猶予時間の更新値は、
前記組の総数に対して、認証時刻から扉開時刻までの時間が前記更新値以下である組の数の割合が、所定の割合以上となる値である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記所定の処理は、扉が開かれ続けていることに対して注意報知開始を指示する処理であり、
前記ログには、前記開閉検出部が扉の閉じられたことを検出したことを示すイベントの発生時刻である扉閉時刻が含まれ、
前記猶予時間は、扉が開かれ続けている場合に、扉開時刻から、注意報知開始を指示すべき注意報知開始予定時刻までの時間を示す注意報知猶予時間であり、
前記第1の種別のイベントは、前記開閉検出部が扉の開かれたことを検出したこと示すイベントであり、
前記第2の種別のイベントは、前記開閉検出部が扉の閉じられたことを検出したこと示すイベントであり、
前記更新部が更新する前記注意報知猶予時間の更新値は、
前記組の総数に対して、扉開時刻から扉閉時刻までの時間が前記更新値以上である組の数の割合が所定の割合以下となる値である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ログには、前記実行部が注意報知開始を指示したことを示すイベントの発生時刻である注意報知開始時刻が含まれ、
前記実行部は、更に、
前記注意報知開始時刻から注意報知時間だけ経過すると、注意報知終了を指示する処理と、警告報知開始を指示する処理とを実行し、
前記注意報知時間は、扉が開かれ続けている場合に、扉開時刻から、警告報知開始を指示すべき警告報知開始予定時刻までの時間を示す警告報知猶予時間と、前記注意報知猶予時間との差であり、
前記警告報知猶予時間は、
前記更新部により更新され、
前記更新部が更新する前記警報報知猶予時間の更新値は、
前記組の総数に対して、扉開時刻から扉閉時刻までの時間が前記更新値以上である組の数の割合が前記所定の割合よりも小さい値以下となる値である
ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記実行部は、
前記扉開時刻から、前記ログのうち、扉開時刻から扉閉時刻までの時間の最大値以上の時間が経過すると、警報報知終了を指示する
ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−52387(P2011−52387A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199964(P2009−199964)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】