説明

制汗性組成物

粒子状制汗活性物質、香料をカプセル化する剪断感受性殻を含むカプセル、ならびに粒子状制汗活性物質およびカプセルについての担体を含む無水制汗性組成物であって、カプセルが0.25から9μmの厚さを有し、およびカプセルの10から40重量%を示す架橋ゼラチンコアセルベートの殻、25から70μmの体積平均粒子直径、1:5から1:120の範囲の殻厚さ対平均粒子直径の比、および1.5MPaから50MPaの範囲のHysitron硬さを有する、無水制汗性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制汗性組成物、より具体的には、カプセル化芳香剤を含む無水制汗性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル化芳香剤を含む制汗性組成物は当分野において公知である。これらの組成物の大部分は、本発明に用いられる剪断感受性カプセル剤よりむしろ、アラビアゴム(gum arabic)またはアラビアゴム(gum acacia)、デンプンまたは特定の加工デンプンに基づいたものなどの湿気感受性カプセル剤を含む。
【0003】
WO2006/056096(Givaudan SA)は、主として衣類コンディショナー組成物に用いることに焦点を合わせた剪断感受性カプセル剤を開示する。衣類コンディショナーの例の中で、20%の芳香剤を含有するゼラチンカプセルを含む、無水制汗性組成物もまた実施例9として開示されている。この先行文献は、より高レベルのカプセル化芳香剤およびより低レベルのカプセル殻を有するカプセルを含む制汗性組成物に関しては触れていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/056096号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、芳香剤のトリガー型放出を可能にする制汗性組成物の提供において遭遇する問題を克服することに関する。製剤化中のカプセル剤安定性、および望まれるときのカプセル化芳香剤の放出の2重の利点は、達成するのが非常に困難であり、用いられるカプセル剤についてのパラメータの正確な選択を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書を通じて、用語「香料」および「芳香剤」は交換可能に用いてもよく、本質的に同じ意味を有することは理解されるべきである。同様に、用語「カプセル剤(encapsulate)」は名詞として用いられる場合、これは本質的に、語「カプセル(capsule)」と同じ意味を有する。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、粒子状制汗活性物質、香料をカプセル化する剪断感受性殻を含むカプセル、ならびに粒子状制汗活性物質およびカプセルについての担体を含む無水制汗性組成物であって、カプセルが、0.25から9μmの厚さを有し、およびカプセルの10から40重量%を示す架橋ゼラチンコアセルベートの殻、25から70μmの体積平均粒子直径、1:5から1:120の範囲の殻厚さ対平均粒子直径の比、および1.5MPaから50MPaの範囲のHysitron硬さを有する、無水制汗性組成物が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による組成物のヒト身体への塗布を含む、発汗を低下させ、およびヒト身体を芳香で満たす美容的方法が提供される。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による組成物の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による特定されたパラメータを満たすカプセル剤の選択によって、無水制汗性組成物を作製するための条件下での製造能力を、脇の下で放出可能な芳香剤のより高い有効性と組み合わせることができる。これは、本明細書に記載された理由により、無水スティックまたはエアゾール組成物に特に当てはまる。
【0011】
本発明における、水感受性よりむしろ剪断感受性のカプセル剤の使用は、カプセル剤の破裂およびその後の芳香剤の放出の所望の形態に関連する。デンプンまたは特定の加工デンプンからなるものなどの水感受性カプセル剤は、湿気が存在するようになるまでこれらの内容物を保持する。脇の下に塗布された場合、このようなカプセルからのカプセル化香料の放出は、発汗が始まった後でのみ起こる。本発明は、カプセル剤の身体誘発性破裂の異なる型に関する。剪断感受性カプセル剤が脇の下に塗布された場合、脇の下に剪断ストレスが生じる、身体に対する腕の単純な動きによって、破裂に達することができる。その後、消費者は、例えば運動しながら、望ましい芳香剤放出を経験することができる。芳香剤放出は、消費者が発汗し始めていることを必要とせず、この発汗とは、不快なものであり、有効であるといわれている制汗性組成物を塗布している場合には失望させられるものである。
【0012】
本発明は、制汗活性物質および典型的には担体材料に懸濁した芳香剤のカプセルを含む無水組成物を用いる。このような組成物は、多くの組成物において、潤滑剤として働き、およびこれに含有されるカプセル剤への剪断ストレスを低下させることができる、有意なレベルの水を有しない。このような組成物における粒子状カプセル剤は「乾性」であり、無水組成物中にある。このような組成物は、製造および保存中の安定性を有し、なおさらに、望ましいときに芳香を発するために、カプセル剤の注意深い選択を必要とする。
【0013】
無水組成物は、1重量%未満の自由水を含むと理解されるべきである。「自由」水は、粒子状制汗活性物質に会合した水などの組成物の他の成分に化学的または物理的に結合した水を除く。
【0014】
剪断感受性香料カプセル剤を含む無水制汗性組成物に関するさらなる問題は、これらの身体への塗布に関する。典型的な塗布手段は、噴霧(例えば、エアゾール組成物として)およびこすり付け(例えば、スティック組成物として)である。これらの塗布手段のどちらも、スプレーディスペンサーのノズルを通過する際であろうと、身体に対して直接こすられる際であろうと、組成物へ剪断ストレスを生じることができる。この段階でカプセル化芳香剤の大部分が放出されることは望ましくない。従って、このような組成物に用いられる香料カプセル剤は、早すぎる破裂を避けるために注意深く選択された性質を有しなければならない。
【0015】
本発明に用いられるカプセル剤の特に重要なパラメータは、殻材料のレベルである。これは、比較的低く、たった10から40重量%である。これは、破裂させられるカプセル能力を増強する。より高レベルの殻材料、および結果として起こるより低レベルのカプセル化材料を用いると、カプセルは、所望の刺激下で有意な芳香剤が放出されるのには硬くなりすぎて、十分破裂することができない。
【0016】
本発明は、スプレー組成物、特に、エアゾールスプレー組成物の形で用いてもよい。このような使用において、カプセルが、製造工程を乗り切るだけでなく、通常のスプレーディスペンサーの狭いスプレー流出口を通して押し出されるというストレスをも乗り切るのに十分、頑強であり、しかもなおさらに、皮膚上で剪断感受性であることが重要である。
【0017】
本発明は、剪断感受性香料カプセルの無水制汗性組成物への組み入れに関し、本明細書でのカプセルという用語はマイクロカプセルを含む。本明細書での剪断感受性は、カプセルが、衣類に対する剪断を含む脇の下領域で遭遇する通常の剪断ストレスの結果としてこれの香料内容物を放出する能力があることを企図する。剪断感受性カプセルは、代わりに、「摩擦感受性」または「圧力感受性」と呼ばれることもある。
【0018】
本明細書での剪断感受性カプセルについてのカプセル材料または殻は、架橋ゼラチンコアセルベートである。このようなカプセルを形成するのに適した1つの方法は、複合コアセルベーションと呼ばれることが多く、US 6045835に記載されている。このような方法において、一般的にはゼラチンであるカチオン性ポリマー、または密接に関連したカチオン性ポリマーの水溶液が、ゼラチンを溶解させるのに十分高い高温、一般的には少なくとも40°で形成され、多くの場合、70℃を超える必要はない。40から60℃の範囲が非常に便利である。溶液は、典型的には希釈溶液であり、1から10%w/w、特に2から5%w/wの範囲にあることが多い。ゼラチンの溶解前または溶解後のいずれでも、水中油の乳濁液が、必要に応じて希釈剤と共に、香油の導入によって形成されてもよい。
【0019】
ポリアニオンまたは類似の負荷電ポリマーが導入され、組成物は、pHが系の等電点より下、例えば、pH5より下、特にpH3.5からpH4.5に到達するまで希釈され、その結果、複合コアセルベートが分散した香油液滴の周りに生じる。ポリアニオンは一般的に、アラビアゴム、またはアルカリ金属塩のような荷電カルボキシメチルセルロース誘導体を含み、このアルカリ金属塩のうち、ナトリウムが最も一般的に挙げられる例である。
【0020】
その後、生じた殻は、短鎖脂肪族ジアルデヒド、例えば、特にグルタルアルデヒドを含む、C−Cジアルデヒドで架橋される。架橋ステップは、一般的に、5から15℃、特に10℃の領域などの周囲より下の温度で行われる。反応物、および適切な操作条件の代表的な重量および割合は、前述のUS 6045835の実施例1、2、または3に示されている。そこで概略を述べられた一般的方法内でのパラメータの適切な選択によって、当業者は、30から100μm、具体的には75μmまでで、特に40から60μmの範囲の体積平均粒子サイズを有するカプセルを作製する能力は十分ある。
【0021】
殻が架橋コアセルベート化ゼラチンを含むカプセル化香料を形成するのに同様に適している第2のカプセル化方法は、WO2006/056096に企図されているように、上記方法のバリエーションを含む。このようなバリエーションにおいて、まず、空のヒドロゲル殻を含むマイクロカプセルを乾燥状態で形成し、一般的には希釈油で希釈された、芳香化合物の水性または水性/アルコール性混合物と接触させる。芳香化合物は、水性拡散によってヒドロゲル殻を通って輸送され、内部に保持される。その後、生じた芳香剤含有マイクロカプセルを、実際的には無水である粉末まで乾燥させる。芳香油対希釈油の比の選択は、製造者の裁量であり、広範囲にわたって変動してもよいが、比は、芳香油対希釈油について、1:2から1:1、特に3:4から1:1の範囲で選択される場合が多い。
【0022】
コアの香油に対する殻材料の割合は重大であり、乳濁液中の構成要素の割合を適切に変化させることによって達成される。殻材料が、カプセルの10から40重量%、特に12から25重量%を構成することが必要とされる。殻とコアの割合を変化させることによって、殻の物理的強度を変化させることができる(同じ体積平均粒子サイズのカプセルについて)。従って、所望の組み合わせの特性を有するカプセルを選択することができる。
【0023】
本発明の幾つかの好ましい実施形態において、芳香油は、カプセル剤の70から85重量%を構成し、このような実施形態において、バランスは殻によって提供される。
【0024】
他の好ましい実施形態において、芳香油は、油希釈剤と共に存在し、例えば、殻内に保持されるこの油混合物の25から75重量%、特に40から60重量%を示す。望ましくは、このような実施形態において、殻は、カプセル剤の12から25重量%を構成する。特定のこのような好ましい実施形態において、芳香剤は、カプセル剤の35から50重量%を構成し、35から50重量%の希釈油によって補完される。必要ならば、なお他の実施形態において、組成物は、希釈油を含有するカプセル剤の一部、および希釈油を含まない他のカプセル剤を含有し、2つのセットのカプセル剤の重量比は、製造者の裁量で、25:1から1:25の範囲で選択される。
【0025】
カプセルの体積平均粒子直径(サイズ)が少なくとも40μmであることが好ましく、多くの望ましい実施形態においては、直径が60μmまでである。本明細書において、他に規定がない限り、カプセル剤の体積平均粒子直径(D[4,3])は、カプセル剤が2100rpmの分散モジュールミキサー速度を用いてシクロペンタシロキサン(DC245)に分散される、Malvern Mastersizerを用いて入手できるものである。球の粒子形と仮定し、標準の計算感度における汎用モデルを用いて計算される。
【0026】
マイクロカプセルの殻の厚さは、粒子サイズが増加するにつれて増加する傾向があり、0.25から9μmの範囲である。好ましくは、カプセルの少なくとも90重量%が、2.5μmまでの厚さの殻を有する。望ましくは、カプセルの少なくとも95重量%が、少なくとも0.25μmの殻厚さを有する。本明細書で望ましく用いられるマイクロカプセルの平均殻厚さは、1.5μmまでである。同じまたは他の適切なカプセルは、少なくとも0.4μmの平均殻厚さを有する。40μmまでの直径のカプセルについて、殻厚さは、0.25μmから0.75μm未満までなどの0.75μm未満であることが多く、一方、少なくとも40μmの粒子について、殻厚さは0.6から2.5μmであることが多い。
【0027】
殻厚さは、半透明油中のカプセルの分散を凝固し、固体塊の薄切片を切り取り、走査型電子顕微鏡を用いて、切断の個々のカプセルの画像を得、それによって、これの輪状の殻の内部および外部の輪郭、ならびに従って、これの厚さを明らかにすることによって測定することができる。
【0028】
無水制汗性組成物内の組み入れのための芳香剤含有カプセルは、一般的には、10:1から100:1の範囲、多くの望ましいこのようなカプセルにおいては、30:1または40:1から80:1までの範囲の体積平均直径対平均殻厚さの比を有するように選択される。
【0029】
粒子サイズおよびカプセルの殻厚さによって、芳香油、および存在する場合には、任意の希釈油を含有するコアの平均%体積は、50から90%の範囲内にある場合が多く、多くの実施形態においては、70から87.5%の範囲内である。
【0030】
Hysitron Tribo圧子で測定される場合のカプセルの硬さは、これらが、皮膚と皮膚または衣類との摩擦接触によって剪断される能力を保持しながら、無水製剤中に効果的に組み入れられることを可能にする重要な特性である。硬さは、望ましくは、0.5から50MPa、特に2.5または5MPaから25MPaまでの範囲であり、多くの実施形態においては、10MPaまでである。特定の好ましい実施形態において、硬さは、3.5から5.5MPaの範囲である。
【0031】
本発明におけるカプセル、特に、本発明の組成物および方法における摩擦によって剪断されるこれらの能力に関する、対象となるさらなるパラメータは、これらの「見かけの換算弾性率」(Er)である。望ましくは、Erは、20から35MPaの範囲内であり、多くの都合のよい実施形態において、22から30MPaの範囲である。
【0032】
Hysitron硬さ(H)および見かけの換算弾性率(Er)の測定を以下の様式で行う。
【0033】
所定のカプセルを適切に載せ、Berkovichチップ(三角錐)を取り付けられたTribo圧子のヘッドがカプセルを圧縮する。装置は、試料を75μNの初期接触力で10秒間圧縮し、続いて位置保持段階を1秒間、および減圧段階を10秒間、行うことによって、圧入を実行するようにプログラムされている。装置は非常に少量の荷重(典型的には、約15から30μN)を達成する。Hysitron硬さ(MPa)および見かけの換算弾性率(同様にMPa)は、以下の方程式を用いて力たわみデータの緩和段階から計算される。
【0034】
【数1】

【0035】
W=圧縮力
A=接触面積(A≒24.56h
【0036】
【数2】

S=接触剛性(dW/dh
=全針入度
γ=1.034
【0037】
【数3】

【0038】
K=3/4
=接触深度
【0039】
製造工程条件の調節によって、本明細書に記載された粒子サイズおよび平均直径についての範囲または好ましい範囲に特定化された特性を有する、その結果の乾性カプセルを得ることができる。
【0040】
カプセルは、これらの製造経路のおかげで、少量の残留水含有量を含有することが多い。例えば、通常のカール・フィッシャー法によって測定された場合、5重量%未満、特に0.5から3.5%などの4重量%未満、特に、0.6から3%w/w(芳香剤含有カプセルに基づく)の残留水含有量を有するカプセルを選択することが望ましい。殻の重量に基づいて、本明細書に用いられるカプセルの前記水含有量は、1%から20%w/wの範囲であることが多い。カプセル内、特に殻内の水の割合を制限することによって、無水製剤内の粗粒子の形成を少なくとも部分的に、好ましくは実質的に避け、それによって、脇の下の皮膚上で粗粒子の嫌な感覚を避けることが可能である。粗粒子は、典型的には、粒子が凝集して、これらの構成粒子へ容易に破砕されない集塊物を形成する場合に生じる。従って、エアゾールまたはスプレー組成物に関して、粗粒子形成の回避は、スプレーノズルの封鎖の可能性を低下させるという第2の利点を有する。
【0041】
剪断感受性カプセル剤またはカプセル剤の混合物は、製剤製造者の裁量による量で制汗性組成物に用いることができる。一般的には、量は、組成物の少なくとも0.05重量%、多くの場合、少なくとも0.1重量%、しばしば少なくとも0.3重量%である。通常、量は、組成物の5重量%まで、望ましくは4重量%までであり、多くの場合は、3重量%までである。都合のよい範囲は、組成物の0.5から2.5重量%である。従って、噴霧剤の導入前のベース組成物は、比例してより高い割合のカプセル剤を含有する。
【0042】
剪断感受性カプセルおよび/もしくは他のカプセルならびに/または非カプセル剤における本明細書で用いることができる香油は、従来通り、所望の美的結果を達成するように選択することができ、通常、少なくとも5個の成分、しばしば少なくとも20個の成分のブレンドを含む。成分は、合成または天然の抽出物であり得、天然油または天然油を模倣するように製造された油の場合、個々の香料化合物の混合物であることが多い。香油は、とりわけ、1978年にF A Fazzalariに編集され、the American Society for Testing and Materialsによって出版されたthe Compilation of Odor and Taste Threshold Values Dataにおける匂い(2)としてコードされた任意の化合物、または任意の2つ以上のこのような化合物の混合物を含み得る。
【0043】
すべてではないが、しばしば、ブレンドにおいて香料成分または構成要素として働く香料化合物は、少なくとも0.5のClogP(オクタノール/水分配係数)、多くの場合、少なくとも1のClogPを有する。本明細書で用いることができる香料成分の多くは、アルデヒド、ケトン、アルコール、エステル、テルペン、ニトリル、およびピラジンの化学的クラス内で選択される、ヒトによって認識できる匂いを有する有機化合物を含み得る。クラス内または1つより多いクラスからの化合物の混合物は、調香師の技能および専門的知識を用いて、所望の芳香効果に達するように一緒にブレンドすることができる。
【0044】
代替として、または追加的に、カプセルに組み入れられる芳香剤は、1つの香料精油、またはお互いに、および/もしくは合成類似体と混合された香料精油の混合物、ならびに/またはおそらく花、葉、種、果実、もしくは他の植物材料から抽出された1つ以上の個々の香料化合物を含み得る。本明細書で企図される油には、ベルガモット、シダー・アトラス、シダー・ウッド、クローブ、ゼラニウム、グアヤク、ジャスミン、ラベンダー、レモングラス、スズラン、ライム、ネロリ、ムスク、オレンジの花、パチョリ、モモの花、プチグレン、ピメント、バラ、ローズマリー、およびタイム由来の油が挙げられる。
【0045】
天然由来の油はこれ自体、多くの成分のブレンドを含み、香油は一般的に、複数の合成または天然の香料化合物のブレンドを含むので、カプセル剤中に存在するそれぞれ個々の化合物が単一の沸点、ClogP、またはODTを示すとはいえ、カプセル剤中の香油自体は、単一のこれらを示さない。
【0046】
必要に応じて、組成物は、魅力的な匂いがすること以外に、さらなる機能を提供する1つ以上の香料構成要素を含み得る。このさらなる機能は脱臭効果を含み得る。様々な精油および香料構成要素、例えば、US 4278658に記載されているような脱臭価値試験に合格したものは、脱臭効果および悪臭マスキングを提供する。
【0047】
本明細書に記載された本発明において、カプセル(および制汗活性物質)が懸濁している担体は、1つ以上の油を含んでもよく、この油とは、水と混ざらない液体を意味する。このような油は、20度で(1気圧において)液体であることを特徴とし、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、エーテル油、およびアルコール油、またはこのようなクラスの油から選択された2つ以上の油の混合物から選択されることが多い。油が100℃より上、好ましくは150℃より上の沸点を有することが非常に望ましい。
【0048】
非常に好ましい1つのクラスの油は、揮発性シリコーン油を含み、これは、ブレンドの油の20重量%から95重量%、特に少なくとも30重量%、多くの都合のよいブレンドにおいては少なくとも40重量%を提供することが多い。揮発性シリコーン油の重量割合が80重量%まで、特に70重量%までであるブレンドを用いることは、本発明において有利である。ブレンドにおける油のバランスは、1つ以上の不揮発性シリコーン油および/または1つ以上の他のクラスの油によって提供される。
【0049】
本明細書において、揮発性シリコーン油は、少なくとも1Pa、典型的には、1Paまたは10Paから2kPaまでの範囲の25℃における測定可能な蒸気圧を有する液体ポリオルガノシロキサンである。揮発性ポリオルガノシロキサンは、直鎖状もしくは環状またはこれらの混合であり得る。好ましい環状シロキサンは、他にしばしばシクロメチコーンとも呼ばれているが、ポリジメチルシロキサン、特に3から9個のケイ素原子、好ましくは少なくとも4個、特に少なくとも5個のケイ素原子を含有するものが挙げられる。好ましいシクロメチコーンは、多くて7個のケイ素原子、非常に好ましくは6個までのケイ素原子を含有する。本明細書における揮発性シリコーン油は、望ましくは、重量平均で4.5から5.9個、特に少なくとも4.9個のケイ素原子を含有する。
【0050】
好ましい直鎖状ポリオルガノシロキサンには、3から9個のケイ素原子を含有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。揮発性シロキサンは、通常、それだけで、10−5/秒(10センチストーク)より下、特に10−7/秒(0.1センチストーク)より上の粘性率を示し、直鎖状シロキサンは通常、5×10−6/秒(5センチストーク)より下の粘性率を示す。揮発性シリコーンはまた、1つ以上のペンダント−O−Si(CH基によって置換された前述の直鎖状または環状シロキサンなどの直鎖状または環状シロキサンを含み得、その結果生じた化合物は、望ましくは、多くて7個のケイ素原子を含有する。市販されているシリコーン油の例には、Dow Corning Corporation製の等級表示344、345、244、245、および246を有する油、Union Carbide Corporation製のシリコーン7207およびシリコーン7158、ならびにGeneral Electric製のSF1202が挙げられる。
【0051】
非常に望ましくは、本発明による組成物は、エーテル油もしくはエステル油のいずれか、または両方を、好ましくは組成物の10%w/wより高い、特に20%w/wより高い割合で含む。合わせると、これらは担体油ブレンドの100%w/wまで構成することができるが、合わせてこれらは60%w/wくらいに寄与し、多くの組成物においては、合計でブレンドの50%w/wまでであることが望ましい。
【0052】
エステル油は脂肪族または芳香族であり得る。適切な脂肪族エステル油は、10から26個の炭素原子を含有する少なくとも1つの残基および少なくとも3個の炭素原子で26個までの炭素原子の第2の残基を含む。エステルはモノエステルまたはジエステルであり得、後者の場合、C−Cジオールまたはジカルボン酸から誘導され得る。このような油の例として、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、ミリスチルミリスタートが挙げられる。
【0053】
特に安息香酸エステルを含む芳香族エステルを用いることは特に望ましい。好ましい安息香酸エステルは、式Ph−CO−O−Rを満たし、式中、Rは以下である:
混合物を含む、少なくとも8個の炭素、特に12から15個などの10から20個の炭素を含有する脂肪族基、
または式-A−Y−Phの芳香族基、ただし、式中、Aは1から4個の炭素を含有する直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン基を表し、Yは任意の酸素原子もしくはカルボキシル基を表す。
【0054】
特に好ましくは、芳香族エステルはC12−15アルキルベンゾアートを含む。
【0055】
エーテル油は、好ましくは、ポリプロピレングリコール(PPG)の短鎖アルキルエーテルを含み、アルキル基がC2−C6、特にC4を含み、PPG部分が10から20個、特に14から18個のプロピレングリコール単位を含む。特に好ましいエーテル油は、INCI名PPG14−ブチルエーテルを有する。
【0056】
本明細書におけるエステル油およびエーテル油は、好ましくは、100℃を超える沸点を有するように選択される。これは、典型的には95℃以下、一般的には65から85℃で溶解する、担体中の油を凝固させるための全てのワックス系と共にこれらを用いることを可能にする。低分子ゲル化剤を用いて作製されるスティックについて、150℃を超える沸点を有する油を選択することが好ましく、これらは、当然ながら、ワックス系と併用することにも適している。
【0057】
エステル油およびエーテル油は、1:0から0:1、幾つかの実施形態においては10:1から1:10のお互いの重量比で組成物中に存在し得る。
【0058】
事実、このような油は、例えば、制汗性製剤が皮膚への塗布後、目に見えることの程度を低下させるなどの幾つかの他の有益な性質を有するが、油ブレンドが、大きな割合のこのようなエーテル油およびエステル油と比較して、小さい割合のみを含有する組成物は、多くの消費者によって好まれる官能的特性を示す傾向にある。実際、油ブレンドの5重量%より多く、特に10重量%より多く、特に15重量%より多くがエステル油およびエーテル油によって提供されることが望ましい。2つの油の合わせた重量は、油ブレンドの重量の好ましくは60%未満、特に50%未満、とりわけ40%未満である。
【0059】
担体油ブレンドは、好ましくは不揮発性炭化水素油、不揮発性シリコーン油、および脂肪族一価アルコールを含む炭化水素油を含む、20℃未満の融点および100℃より高い、好ましくは150℃より高い沸点を有する1つ以上の他の水非混和性油をさらに含み得る。
【0060】
本発明において、不揮発性シリコーン油または/および炭化水素油などの、エモリエント油と呼ばれることもある不揮発性油を、望ましくは、皮膚を軟らかくするために、または皮膚に沈着した粒子状材料の可視性をマスクするのを助けるためなどを含む、組成物の官能的特性を変化させるために含めることができることもある。しかしながら、このような不揮発性油の割合を油ブレンドの30重量%未満に制限することが望ましく、本出願による様々な組成物において、このような油の総割合は、5から20重量%である。
【0061】
適切な不揮発性炭水化物油の例として、ポリイソブテンおよび水素化ポリデセンが挙げられる。適切な不揮発性シリコーン油の例には、ジメチコーンおよび直鎖状アルキルアリルシロキサンが挙げられる。ジメチコーンは、典型的には、20から100個のケイ素原子などの中間鎖長を有する。アルキルアリルシロキサンは特に、2から4個のケイ素原子、およびケイ素原子あたり少なくとも1つのフェニル置換基、または少なくとも1つのジフェニレン基を含有するものである。脂肪族アルコールは、望ましくは、12から40個の炭素原子、しばしばイソステアリルアルコールなどの14から30個の炭素原子を含有する分岐鎖一価アルコールである。
【0062】
本発明の組成物において企図されるエステル油の一部分を構成し得る1つのさらなるクラスのエステル油は、一般的には、グリセリドエステル、特に、リノレンエライジン酸、トランス7−オクタデセン酸、パリナリン酸、ピノレン酸、プニカ酸、ペテロセレン酸、コルンビン酸、およびステアリドン酸などの異性体を含む、リノール酸、リノレン酸、またはリシノール酸などの、不飽和C18脂肪族カルボン酸のグリセリドトリエステルを含有する、天然植物油を含む。このような有益な天然油の例として、ヒマシ油、コエンドロの種油、ホウセンカの種油、パリナリウム・ラウリナリウム(parinarium laurinarium)核脂肪、サバスチアーナ・ブラシリネンシス(sabastiana brasilinensis)の種油、ルリヂサの種油、マツヨイグサの油、セイヨウオダマキ(aquilegia vulgaris)の油、ヒマワリ油、およびサフラワー油が挙げられる。このような油は、望ましくは、油ブレンドの1から10重量%を含み得る。
【0063】
芳香剤材料の重量は、芳香剤がカプセル化されていようと「自由」であろうと関係なく、本明細書で油ブレンドの重量を計算する際には含まれない。
【0064】
本発明の組成物は、粒子状制汗活性物質を含む。このような制汗活性物質は、好ましくは、組成物の重量の0.5から50%、特に5から30%、とりわけ10から26%の量で組み入れられている。スティック組成物内の5%までの制汗活性物質の組み入れからの主な恩恵は体臭を低下させることに現れること、および制汗活性物質の割合が増加するにつれて、発汗を制御することにおけるこの組成物の効力が増加することが、しばしば考えられる。
【0065】
本明細書で用いる制汗活性物質は、特に、アルミニウムおよびジルコニウムの無機塩、有機アニオンおよび有機錯体との塩を含む、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、ならびに、混合アルミニウム/ジルコニウム塩を含む、収斂活性塩から選択されることが多い。好ましい収斂性塩には、アルミニウム、ジルコニウム、およびアルミニウム/ジルコニウムのハロゲン化物、および塩化水和物などのハロゲン化水和物塩が挙げられる。
【0066】
アルミニウムハロゲン化水和物は、通常、一般式Al(OH)・wHOによって定義され、式中、Qは塩素、臭素、またはヨウ素を表し、xは2から5までの変数であり、x+y=6であり、一方、wHOは可変量の水和を表す。活性化アルミニウム塩化水和物として知られた、特に効果的なアルミニウムハロゲン化水和物塩は、EP−A−6739(Unilever NVら)に記載されている。
【0067】
ジルコニウム活性物質は、通常、経験的一般式:ZrO(OH)2n−nz・wHOによって表すことができ、式中、zは0.9から2.0の範囲の変数であり、そのため、2n−nzの値はゼロまたは正であり、nはBの原子価であり、Bは塩化物、他のハロゲン化物、スルファミン酸塩、硫酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される。可変の程度での可能な水和は、wHOによって表される。好ましいのは、Bが塩化物であり、変数zが1.5から1.87の範囲にあることである。実際のところは、このようなジルコニウム塩は通常、これ自体だけで用いられず、組み合わされたアルミニウムおよびジルコニウムに基づいた制汗剤の成分として用いられる。
【0068】
上記のアルミニウム塩およびジルコニウム塩は、様々な量で水を配位および/もしくは結合していてもよく、ならびに/またはポリマー種、混合物、もしくは錯体として存在してもよい。特に、ジルコニウムヒドロキシ塩は、様々な量のヒドロキシ基を有する一連の塩を表すことが多い。ジルコニウムアルミニウム塩化水和物は特に好ましい場合がある。
【0069】
上記の収斂性アルミニウムおよび/またはジルコニウム塩に基づいた制汗性錯体を用いることができる。錯体は、カルボキシレート基との化合物を用いることが多く、有利には、これはアミノ酸である。適切なアミノ酸の例には、dl−トリプトファン、dl−β−フェニルアラニン、dl−バリン、dl−メチオニン、およびβ−アラニン、好ましくは式CH(NH)COOHを有するグリシンが挙げられる。
【0070】
グリシンなどのアミノ酸と共のアルミニウムハロゲン化水和物およびジルコニウム塩化水和物の組み合わせの錯体を用いることが非常に望ましく、これは、US−A−3792068(Lueddersら)に開示されている。これらのAl/Zr錯体の幾つかは、文献において一般的にZAGと呼ばれる。ZAGは、一般的には、2から10、特に2から6の範囲のAl/Zr比率、2.1から0.9のAl/Cl比、および可変量のグリシンで、アルミニウム、ジルコニウム、および塩化物を含有する。この好ましい型の活性物質は、異なる粒子サイズの販売であるが、B K Giulini、Summit、およびReheisから入手できる。
【0071】
本明細書で用いられる多くのアルミニウムおよび/またはジルコニウム含有収斂性制汗性塩は、1.3:1から1.5:1の範囲の金属:塩化イオンのモル比を有する。1:1から1.25:1などのより低い金属:塩化イオンのモル比を有する他のものは、皮膚に塗布された場合、より低いpHを生じる傾向があり、それゆえに、刺激性がより高くなりがちである。
【0072】
懸濁組成物における固形制汗性塩の割合は、通常、固形活性物質にも存在する可能性がある水和のいかなる水の重量もいかなる錯化剤の重量も含む。
【0073】
本発明に用いられる多くの粒子状制汗剤は、少なくとも1.49で、1.57より高くない屈折率(RI)を有する。ジルコニウムを含まない活性物質は、これらの配合に、および少なくとも部分的にはこれらの残留水含有量に依存して、1.49から1.54のRIを有する傾向がある。同様に、ジルコニウムを含有する活性物質は、1.52から1.57のRIを有する傾向がある。
【0074】
制汗活性材料の選択は、望ましくは、これが投与される塗布器の型を考慮に入れる。従って、組成物が接触型塗布器から、例えば、スティック、クリーム(軟らかい固体)、または回転塗布式ディスペンサーを用いて、投与される多くの特に好ましい実施形態において、制汗活性物質は、AZAGなどのアルミニウム−ジルコニウム活性物質を含む。しかしながら、組成物が、エアゾールディスペンサーを用いるなどのスプレーとして投与される他の非常に好ましい実施形態においては、制汗活性物質は、非常に望ましくは、アルミニウム塩化水和物(ACH)または活性化アルミニウム塩化水和物(AACH)である。
【0075】
本発明による組成物の組み入れについて、望ましくは、粒子の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、とりわけ少なくとも99重量%が0.1μmから100μmの範囲の直径を有する。スティック、軟固体、または回転塗布式ディスペンサーなどの接触型塗布器における組み入れについて、制汗性粒子は、通常、少なくとも1μmで、特に20μm未満の平均粒子直径を有する。幾つかの非常に望ましい接触型組成物において、重量による粒子は、少なくとも2μm、特に、3から8μmの範囲などの10μm未満の平均粒子サイズを有する。
【0076】
非接触型塗布器、特に、噴霧剤ガスにより、任意に機械的または電気機械的推進性手段によって増強されて、ディスペンサーから組成物が放出されるエアゾールにおける組み入れについては、粒子の5重量%未満、特に1重量%未満が有利にはどの粒子も10μm未満の直径を有さないことが特に望ましい。好ましくは、エアゾール組成物における包含について、粒子は、75μm未満の直径を有する。多くの好ましいエアゾール組成物において、制汗剤は、15から25μmの範囲の平均(D50)粒子直径を有する。制汗活性物質または活性物質の混合物の粒子サイズは、前文で述べたように、香料マイクロカプセルサイズの測定と同様に、Malvern Mastersizerを用いて測定することができる。
【0077】
本発明の組成物は、必要ならば、回転塗布式ディスペンサー、軟固体(無水クリーム)用ディスペンサー、またはスティックディスペンサー、それぞれからの塗布に適切であるように粒子状材料が懸濁している油ブレンドの粘性率を増加させ、または油ブレンドを凝固させるための1つ以上の増粘剤またはゲル化剤(構造化剤または凝固剤と呼ばれることもある。)を含むことができる。このような増粘剤またはゲル化剤は、当業者によって選択され、生じた回転塗布式用、ローション、または軟固体の組成物の所望の粘性率または硬さに達成するのに十分な量のこれらが組み入れられ、用いられる実際の量は、選択された材料または材料の組み合わせの固有の増粘能力またはゲル化能力、およびこのような選択された型を形成するこれらの能力を考慮に入れる。
【0078】
代替の実施形態において、加圧エアゾールディスペンサーからの塗布について、ベース組成物であるとみなされ、望ましくは懸濁補助剤を組み入れる、無水組成物が、噴霧剤とブレンドされる。
【0079】
回転塗布式からの塗布について、典型的には1000から7000mPa.sの範囲内、特に2500から5500mPa.s内まで、生じた組成物の粘性率を増加させるのに十分な増粘剤が導入される。本明細書における粘性率は、攪拌機TAおよびHellipathを備えたBrookfield RVT粘度計において、25℃で20rpmで回転させて、測定される。
【0080】
軟固体としての使用については、0.003から0.5ニュートン/mm、一般的には0.003ニュートン/mmまたは0.01ニュートン/mmから0.1ニュートン/mmまでの硬さに、生じた組成物の粘性率を増加させるのに十分な増粘剤が導入される。硬さは、安定マイクロシステムTA.XT2iテクスチャーアナライザー(Stable Micro systems TA.XT2i Texture Analyser)を用いて測定することができる。直径9.5mmの金属球が、この5kg荷重セルの下面に付着しており、試料表面の真上に位置づけられる。Expert Exceed(商標)ソフトウェアの制御下で、球が7mmの距離の間、0.05mm/秒の押込み速度で試料に押し込まれ、球を試料から同じ速度で引っ込めて、逆行させる。時間(秒)、距離(mm)、および力(N)を含むデータは、25Hzの速度で得られる。4.76mmの針入度における硬さHは、以下の式を用いて計算される:
H=F/A
式中、HはN・mm−2で表され、Fは、Nでの同じ走行距離における荷重であり、Aはmm−2での圧子投影面積である。
【0081】
本明細書におけるスティック組成物は、望ましくは、30mm未満、好ましくは20mm未満、特に望ましくは15mm未満の通常の針入度試験で測定される場合の硬さを有する。多くは、7から13mmまたは7.5から12.5mmの針入度を有する。本明細書で用いられる通常の針入度試験は、9°10’+/−15’であるように特定化された、針の先端における円錐角を有するSetaワックス針(重量2.5グラム)を備えた実験室プラントPNT針入度計を利用する。平らな上部表面を有する組成物の試料が用いられる。針が組成物の表面上へと引き下げられ、その後、ホルダー付きの針を50グラムの針とホルダーの総重量下、5秒間、落下させることによって、針入度硬さ測定が行われ、その後で、針入度の深度が記録される。望ましくは、試験は、各試料において6つの点で実施され、その結果が平均される。
【0082】
本発明によるスティック組成物において、通常、非ポリマー繊維成形ゲル化剤およびワックスから選択される構造化剤を含むことが好ましく、必要に応じて微粒子シリカおよび/または油溶性ポリマー増粘剤を追加してもよい。構造化剤は一般的に、1.5から30重量%のレベルで用いられる。
【0083】
非ポリマー繊維成形ゲル化剤は、水非混和性の油のブレンド中に高温で溶解され、冷却すると、典型的にはわずか数個の分子の幅である、非常に薄い糸の網を形成するように沈殿物が析出する。このような増粘剤の1つの特に効果的なカテゴリーは、N−アシルアミノ酸アミド、具体的には、N−ラウロイルグルタミン酸ジn−ブチルアミドおよびN−エチルヘキサノイルグルタミン酸ジn−ブチルアミド、ならびに特にこれらの混合物などのN−アシルグルタミン酸ジアルキルアミドを含む。
【0084】
用語「ワックス」は、30℃で固体であり、40℃より上で、一般的に95℃より下の温度で溶解して流動性液体を示し、不水溶性であり、これらの融点より上に加熱された場合、水非混和性のままである材料を指す。ワックスの例として、パラフィンワックスなどの炭化水素ワックス、およびステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールなどの16から24個の炭素の直鎖状脂肪アルコールが挙げられる。
【0085】
無水組成物は、下記で同定されたものから選択されるものの1つ以上などの、1つ以上の任意の構成要素を含有し得る。
【0086】
任意の構成要素には、洗浄剤が挙げられ、これは、皮膚または衣類からの製剤の除去を助けるために10%w/wまでの量で存在することが多い。このような洗浄剤は、典型的には、C−C22アルキル部分、ならびに、ポリオキシアルキレン基(POEまたはPOP)および/またはポリオールを含み得る親水性部分を含有する、エステルまたはエーテルなどの非イオン性界面活性剤である。
【0087】
本明細書での組成物は、化粧用固体または軟固体として通常、企図可能な1つ以上の添加物を組み入れることができる。このような化粧用添加物には、タルクまたは微粉(即ち、高分子量)ポリエチレン、即ち、ワックスではなく、1%から約10%の量での、例えば、Accumist(商標)などの皮膚感触向上剤、例えば約5%までの量での、グリセロールまたはポリエチレングリコール(分子量200から600)などの保湿剤、例えば5%までの量でのアラントインまたは脂質などの皮膚有益剤、着色剤、メタノールおよびメタノール誘導体などの、しばしば2%までの量での、前述のアルコール以外の皮膚冷却剤を挙げることができ、これらのパーセンテージの全ては組成物の重量によるものである。さらなる任意の構成要素は、0.01から0.1%w/wの量などでのエチルパラベンもしくはメチルパラベン、またはBHT(ブチルヒドロキシトルエン)などの保存剤を含む。
【0088】
エアゾール組成物は、望ましくは、加えて、典型的には、ヘクトライト、ベントナイト、またはモンモリロナイトなどの粉末シリカまたは層状粘土である、増量剤と呼ばれることもある懸濁化補助剤を含む。層状粘土は、疎水的に表面処理されていてもよい。懸濁化補助剤は、ベースエアゾール組成物(即ち、いかなる付随した揮発性噴霧剤をも引いた組成物)の0.5から4重量%を構成する。エアゾール組成物はまた、望ましくは、層状粘土の膨張を助けるための膨潤補助剤を含有し得、これはエアゾールベース組成物の0.005から0.5重量%の割合で、特に1:10から1:75の粘土に対する重量比で、選択されることが多い。適切な膨潤補助剤には、特に、プロピレンカーボネートおよびクエン酸トリエチルが挙げられる。
【0089】
本発明の組成物は、例えば組成物の0.01から4%、特に0.1から1.5%の重量%での、非カプセル化芳香剤を追加的に含み得る。非カプセル化芳香剤は、望ましくは、5:1から1:5の範囲の剪断感受性カプセル剤に対する重量比で組成物に組み入れられる。非カプセル化芳香剤は、上記の香料材料の同じパレットから作製することができる。非カプセル化芳香剤は、必要ならば、カプセル化芳香剤と同じ、または類似であり得るが、この2つの芳香剤が異なる場合にはより魅力的であることが多く、なぜなら、これが、鼻が香料に対する感受性を減ずるようになる程度を最小にするからである。様々な芳香剤の選択、およびトップノートの割合などのこれらの間での違いは、主に美的判断の問題である。
【0090】
必要に応じて、非カプセル化芳香剤への追加または代替として、本明細書での組成物は、ヒトが発汗したとき、水性排泄物が殻を破壊し、芳香剤を放出するように水感受性殻内にカプセル化された芳香剤を含み得る。このような水感受性カプセル剤は、例えば、EP0303461に記載されている。追加的に、または同様に代替として、本明細書での組成物は、それぞれが自由芳香剤と可逆的に会合するメチル基またはヒドロキシプロピル基によって置換されていてもよい、αシクロデキストリンまたはβシクロデキストリンを含むシクロデキストリンなどの環状オリゴ糖を含み得る。このような材料は、EP1289484に記載されている。組成物は、水感受性芳香性カプセル剤および/または環状オリゴ糖を組成物の0.1重量%から4重量%の量で含有し得る。
【0091】
剪断感受性カプセル剤対水感受性カプセル剤および/または環状オリゴ糖の重量比は、5:1から1:5の範囲で選択されることが多い。
【0092】
本発明の組成物は、これらが接触型塗布器に用いる全組成物であろうとエアゾール組成物についての噴霧剤と混合するベース組成物であろうと、望ましくは、水溶性短鎖一価アルコール(一般的には、Cまでと認識されている。)、特にエタノールを実質的に、または完全に含まない。この関連において実質的に、個々の全組成物またはベース組成物の5重量%未満、好ましくは1重量%未満の割合を示す。
【0093】
本明細書において文脈が他に要求を示さない限り、全ての重量、%、および他の数は、用語「約」によって修飾され得る。
【0094】
本発明の組成物は、当分野において公知の方法のいずれによって作製してもよい。好ましい方法において、穏やかに混合しながら、即ち、カプセルを損傷しない速度および力の入力で、芳香カプセルを組成物に組み入れる。組成物が、剪断または強力な混合に実質的に曝されないことがさらに好ましい。
【0095】
本発明によるスティックまたは軟らかい組成物を調製するための1つの便利な工程順序は、第1に、水非混和性液体または水非混和性液体のうちの1つにおける構造化剤組み合わせの溶液を形成することを含む。これは、通常、70から140℃の範囲の温度などの、全ての構造化剤が溶解する十分高い温度(溶解温度)で混合物を撹拌することによって実行される。任意の油溶性化粧用添加物を、ゲル化剤の導入前または後のいずれかで油相へ導入することができる。しかしながら、芳香油は、カプセル化されていようと自由であろうと、一般的には、しばしば高温に対するこれの感受性が理由で、制汗活性物質の後で、組成物に組み入れられる最後の構成要素である。一般的には、生じた構造化剤溶液を、ゲル化剤が溶解する温度とこれが凝固する温度の間の中間である温度まで冷ましておき、この温度は、60から90℃の領域の温度に達することが多い。
【0096】
幾つかの経路において、担体油は、ゲル化剤、および制汗性または脱臭性活性物質の導入前に、一緒に混合することができる。他の調製経路において、ゲル化剤、特にアミドゲル化剤についての全部または一部分を、必要に応じていくらかの水混和性およびアルコール性液体中のアミドゲル化剤の溶解温度より上の沸点を有するアルコールと共に、分岐鎖状脂肪族アルコール、例えば、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノールなどの組成物の第1画分に、溶解することが望ましい。これにより、担体液の残りが、構造化剤が溶解または融解する温度まで加熱されることを避けることができる。このような工程は、一般的に、例えば、「Sonolator」(商標)中で画分を激しく混合することを含む。本発明の組成物において、芳香カプセルは、最も望ましくは、あらゆる強力な混合ステップの後に導入される。
【0097】
構造化剤を溶解するための担体液の割合は、担体液の25から50重量%であることが多い。
【0098】
前記の他の調製経路において、粒子状材料を、好ましくは、担体油の第2画分、例えば、シリコーン油および/またはエステル油および/または炭化水素油へ導入し、その後、溶解した構造化剤を含有する第1画分、および懸濁した粒子状材料を含有する第2画分を、組成物がゲル化する温度より上の温度で、しばしば組成物の通常の凝固温度より5℃から30℃上の温度で、混合し、投与容器に充填し、冷却し、または周囲温度まで冷ましておく。冷却は、容器および内容物を冷ましておくこと以外何もせずにもたらされるものであってもよい。冷却については、周囲空気またはさらに冷蔵された空気を容器およびこれらの内容物の全体に吹き付けることによって助けてもよい。
【0099】
本明細書での懸濁液回転塗布式用組成物は、まず、撹拌子またはリサイクルループなどの撹拌手段を備えた混合容器に油を同時または逐次的に充填し、その後、この容器に制汗/脱臭活性構成要素、増粘剤、および任意の構成要素を入れ、油ブレンド中にいずれの有機増粘剤をも溶解するのに必要な程度まで組成物を加熱することによって作製することができる。その後、生じた液体組成物は、回転塗布式ディスペンサーへと開口部から放出され、ボール(または、より通常には、円筒ころ)が挿入され、キャップがはめられる。
【0100】
本明細書でのエアゾール製造物は、一般的には1:1から1:15、多くの製剤においては1:3から1:9の油ブレンド対噴霧剤の重量比で、噴霧剤とブレンドされる、芳香カプセル、懸濁化剤、および場合による構成要素と共に油ブレンド中に懸濁した制汗性および/または脱臭性活性物質を含むベース組成物を含む。噴霧剤は、一般的には、圧縮ガスまたは周囲温度より下、好ましくは0℃より下、特に−10℃より下で沸騰する材料のいずれかである。圧縮ガスの例として、窒素および二酸化炭素が挙げられる。低沸点の材料の例として、ジメチルエーテル、具体的にはプロパン、ブタン、およびイソブタンを含むC−Cアルカンが挙げられ、わずかなペンタンもしくはイソペンタンをさらに含有してもよく、または特に、USAで用いるためには、噴霧剤は、2から4個の炭素、少なくとも1個の水素、および3から7個のフッ素原子を含有するヒドロフルオロカーボンから選択される。
【0101】
エアゾール製造物は、まず、ベース組成物を調製し、この組成物をエアゾール缶へ充填し、バルブ組立部品を缶の口へはめ、それによって缶を密封し、その後、噴霧剤を所望の圧力まで缶へ充填し、最後に、バルブ組立部品の上に、またはこれを覆ってアクチュエータを組み合わせることによる通常の様式で作製することができる。
【0102】
本発明を要約し、参考文献と共に、これをより詳細に記載してきたが、これから、特定の実施形態を単なる一例として、より完全に記載する。
【実施例】
【0103】
カプセルE1およびE2
本明細書に記載されたカプセルE1およびE2は、グルタルアルデヒドで架橋された、アラビアゴムまたはカルボキシメチルセルロース、それぞれとのゼラチンの複合コアセルベートからなる殻を含んだ。E1については、WO2006/056096の方法に従って調製するが、組み入れられる香料はより高いレベルであり、E2についてはUS6045835の方法に従うが、この場合もやはり、組み入れられる香料はより高いレベルであり、どの場合も、表1に詳述された特定の特性を得るように条件が調節される。
【0104】
【表1】

1.カプセルの平均粒子サイズ(D[4,3])を、シクロペンタジメチコーン(R.I.1.397)中の分散後にMalvern Mastersizer 2000を用いて、2100rpmの分散モジュール速度、「汎用」結果計算モデル、「標準」計算感度、および粒子形として選択された「球形」で測定した。
2.殻厚さを、示された範囲内の粒子サイズを有するカプセルについてSEMによって測定した。非球形カプセルについては、厚さを、最小カプセル剤直径において、またはこの近くで測定した。
3.計算された殻厚さは、カプセルが単一のコアを有する球形であること、および殻とコアが同じ密度を有したことを仮定する。
4.Hysitron硬さおよび見かけの換算弾性率を、Hysitron Tribo圧子を用いて測定した(さらなる詳細は下記)。
【0105】
カプセルのHysitron硬さおよび見かけの換算弾性率を、概要における方法を用いて測定した。測定用のカプセルを調製するために、脱塩水中のカプセルの分散の1滴を1片のシリコンウエハー上に置き、機械的分析のために別々のカプセルを残すように乾燥させておいた。乾燥したウエハーをHysitron Tribo圧子へはめ込み、この装置の光学系を用いて空間的にマッピングして、試料の周りの周囲長を同定した。
【0106】
結果は、D[4,3]+/−20%の粒子サイズを有するカプセルについて得られた20個の測定値の最小値の平均として表されている。
【0107】
(実施例1および2)
これらの実施例において、カプセルE1またはE2を通常の制汗性組成物に加えることの時間にわたる有効性を評価した。表2に示されているようなスティック組成物およびエアゾール組成物を試験した。塗布前に、エアゾールベース組成物に噴霧剤のガスを供給した(ベース:噴霧剤=13:87重量による。)。
【0108】
【表2】

【0109】
E1およびE2を含むスティック組成物において、カプセル化芳香剤含有量は、それぞれ0.6%(1.5×0.40)および0.56%(0.7×0.80)であった。E1およびE2を含むエアゾールベース組成物において、カプセル化芳香剤含有量は、1.84%であった。これらの数字のそれぞれは、存在する自由芳香剤のレベルより有意に低い。
【0110】
製剤の有効性を、以下の試験で決定した。24から26人のパネリストが、約0.3gの実施例のスティック製造物を左または右のいずれかの腋窩に、対照製造物を他方に、自己塗布し、全体として左−右をランダム化してバランスをとった。エアゾール試験製造物および対照製造物は、約2秒間のスプレーを用いて同様に塗布された。添加されたカプセルE1またはE2(フローラルグリーン芳香剤を含有する。)を含む「試験」製剤を、フルーティ−フローラル(Bm)またはフローラルアルデヒド(Cn)の非カプセル化芳香剤だけを含有する対照製剤と比較した。添加されたカプセル化芳香剤の時間にわたる効果は、表3および4に示されている。
【0111】
制汗性製剤の塗布後、ユーザーは彼らの通常の衣類を着て、匂いの強度は、0から10へ増加する知覚のスケールで2時間間隔で専門家パネルによって評価された。スコアを平均し、対照試料についてのスコアを「試験」試料についてのスコアから差し引いた。3つのスコア、即ち、芳香剤自体の強度、衣類を通して検出される強度、および最後に、任意の悪臭の強度を測定した。結果は表3(スティック製造物について)および表4(エアゾール製造物について)に要約されている。
【0112】
興味深いことに、添加された芳香剤カプセルに起因する芳香強度差は、例えば、約6から8時間、増加し、その後、幾分、衰えることを観察することができる。対照的に、非カプセル化芳香剤の強度は、開始から衰える傾向がある。
【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
表3および4から、試験期間を通して、衣類を通して評価されたか直接評価されたかに関係なく、対照試料と比較して、試験試料から芳香剤のより大きい強度が知覚されたことは明らかである。さらに、悪臭の存在を判断した場合、いったん十分長い時間が経過して、悪臭が発生してしまうと、パネリストは一貫してマイナスの差を出し、試験組成物での処理後に発生したものより、対照組成物での処理後、より多くの悪臭が発生したことを示している。この効果の寿命は特に顕著であり、塗布後8から12時間目においてなおピーク性能を果たすこともある。
【0116】
(実施例3および4)
本発明による組成物についての悪臭抑制における有益性を実証するために臨床試験を行った。実施例3および4に用いられた製剤は、実施例1および2、それぞれに用いられたものと同じであり、塗布レベルも同様であった。
【0117】
これらの実施例において、試験製造物および対照製造物が、パネリストの脇の下に毎日塗布され、パネリストは、5時間後または24時間後まで通常の毎日の行動を実施し、そのとき、芳香剤の有効性が、脇の下を優しくこする(「剪断」)前と後の両方で、訓練を受けた評価者によって評価された。この試験における悪臭は0から5のスケールで評価された。スティック製造物からの結果は表5に示され、エアゾール製造物からの結果は表6に示されている。
【0118】
【表5】

【0119】
評価者によって施された追加の「剪断」前でさえも、幾つかのかなり大きな差を示していることは興味深い。これは、少なくともスティック製剤について、カプセル化芳香剤の有意な剪断放出が通常の毎日の行動のこととして起こることを示している。
【0120】
【表6】

【0121】
表5および6に要約された結果は一貫して、カプセル化芳香剤E1およびE2を用いた組成物が、長時間にわたって対照組成物より大きい程度で悪臭を低下させたことを示している。
【0122】
(実施例5ならびに比較例AおよびB)
表7に示された組成物を、以下に記載された方法によって調製した。組成物Aは、制汗性スティック組成物に一般的に用いられるような典型的な香料を含有した。組成物Bは、追加的に、0.595%の単一の芳香アコードを含有した。第3の組成物(実施例5)は、組成物Bと同じ芳香香料アコードであるが、E2として前に記載しているようなカプセルを生じるようにカプセル化されたものを含有した。カプセルを、0.56%w/wの単一芳香アコードと同等である、0.7%w/wで加えた。
【0123】
【表7】

【0124】
芳香強度を以下の方法によって試験した。
1.計量された量の各組成物を、プラスチックフィルムの別々のシートにわたってスティック組成物の切りたての表面をこすりつけることによって沈着させた(平均重量:それぞれ、0.80g、0.77g、および0.77g)。
2.塗布後すぐに、沈着物の芳香強度が、1から10のラインスケールを用いて10人の女性の専門家パネルによって評価された。
3.プラスチックフィルムを37℃のオーブン中に保存し、5時間後、一時的に取り出して、衣類内のこすりを模倣するために手袋をはめた指で一度こすり、その後、オーブンに戻し、さらに1時間、保存した。
4.37℃での合計6時間後、プラスティックシートを1時間、室温へと平衡に達するようにしておいた。
5.シートの芳香強度を、即時の評価と同じ様式で手袋をはめた指での最終の1回のこすりの前と後に評価した。
【0125】
10人の評価者の平均スコアは、表7の下部に示されている。カプセル化芳香アコードが、37℃の体温での長時間後、こすりに曝された場合、芳香の増加を生じる優れた能力を保持したことは注目すべきである。
【0126】
組成物の成分
本明細書に記載された実施例および比較例に含まれる構成要素は表8に詳述されている。
【0127】
【表8】


1.DC245はDC246(商標)またはDC345(商標)に置き換えることができる
2.Finsoln TNはFinsolv TPP(商標)に置き換えることができる
3.Estol 1512はEstol 1517(商標)に置き換えることができる
4.Prisorine 3515はEutanol G16(商標)に置き換えることができる
5.Lanette 18は、Lanette 16(商標)および/またはLanette 22(商標)に部分的に(50%まで)置き換えることができる。
6.Castorwax MP80はCastorwax MP90(商標)に置き換えることができる
7.Kester Wax 62はKester Wax 69Hに置き換えることができる。
全体的または部分的に。
【0128】
スティック製造物の製造
本明細書に記載されたスティック製造物は、典型的には、以下の様式で調製/パッケージされる。底面およびキャップで覆われた開口先端部を有する横断面が卵形の円筒、底面と先端部の間の中間の位置で円筒内にぴったりはまるプラットフォーム、ならびに底面の下にはめられたプラットフォームのための前進手段を含むディスペンサーに充填することによってスティック製造物を作製し、前記手段は、下記の表に要約された組成物と共に、プラットフォーム内にローター車輪および連動スレッドをかみ合わせる付属のねじ込みスピンドルを含む。要約されたスティック組成物は、以下の一般的方法によって作製される。
【0129】
選択された油を所望の重量割合で容器へ充填し、所望の重量割合での所望のゲル化剤またはゲル化剤の混合物を導入し、生じた混合物を、適切な力の撹拌で、または再循環ループによる循環によって撹拌し、ゲル化剤または全てのゲル化剤が油中に溶解している温度に達するまで加熱する。ワックスについて、この温度は一般的には75から90℃の範囲である。SMGAについて、特定のSMGAに依存して、この温度は、90から120℃であることが多い。その後、混合物を5から15℃だけ、冷ましておき、カプセル化芳香剤(特に制汗活性物質を含む。)以外の所望の重量割合の粒子を、連続的に撹拌しながら導入する。混合物を、組成物の通常の凝固温度(前の試験で決定されている。)より約5から10℃上の温度まで冷却し、または冷ましておく。最後に、穏やかに撹拌しながら、カプセル化芳香剤および任意の非カプセル化(自由)芳香剤を導入し、静止した流動性組成物をディスペンサーへ充填する。
【0130】
スティック製剤
表9に詳述されたスティック製剤を上記の様式で調製することができる。
【0131】
【表9】

【0132】
本明細書に記載されたエアゾール製造物は、典型的には以下の様式で調製/パッケージされる。ベース組成物の全ての構成要素を、均一な混合物が得られるまで周囲温度で容器中でブレンドする。その後、ベース組成物を、前もって作られたアルミニウム缶へ充填し、浸漬管がたれさがるバルブを支持するバルブカップを所定の位置へ圧着させ、噴霧剤をバルブを通して缶へ充填する。その後、アクチュエータを、バルブから上へ伸びたバルブステムの上に設置する。
【0133】
本明細書に記載された軟固体製造物は、典型的には以下の様式で調製/パッケージされる。軟固体製剤を、狭いアパーチャを有するドームに覆われている先端部を有するディスペンサーに充填する。ワックスゲル化剤と共に作製されたこれらは、スティック製剤のものと同様の工程によって作製されるが、この量は、硬いスティックを製造するには不十分である。シリカ増粘剤を用いて作製されるものは、均一な懸濁液が得られるまで25から50℃の範囲の温度で容器中で全ての構成要素の懸濁液を撹拌し、その後、これをディスペンサーに先端まで満たし、口にドームを設置する。
【0134】
下記に示されたさらなる実施例は、本明細書に記載された方法で調製することができる。
【0135】
実施例14において、回転塗布式用製剤は、実施例13と同様の方法によって作製されるが、より少ない増粘剤を用いる。
【0136】
実施例15において、実施例14の回転塗布式用製剤は、不織布塗布器の布に吸収させる。
【0137】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状制汗活性物質、香料をカプセル化する剪断感受性殻を含むカプセル、ならびに粒子状制汗活性物質およびカプセルについての担体を含む無水制汗性組成物であって、カプセルが0.25から9μmの厚さを有し、およびカプセルの10から40重量%を示す架橋ゼラチンコアセルベートの殻、25から70μmの体積平均粒子直径、1:5から1:120の範囲の殻厚さ対平均粒子直径の比、および1.5MPaから50MPaの範囲のHysitron硬さを有する、無水制汗性組成物。
【請求項2】
架橋ゼラチンコアセルベートが、ゼラチンをアラビアゴムまたは荷電カルボキシメチルセルロースのいずれかと5未満のpHで接触させることによって得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
コアセルベートがグルタルアルデヒドで架橋している、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
カプセルが40から60μmの範囲の粒子サイズD[4,3]を有する、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
カプセルが2.5μmまでの範囲の実測殻厚さを有する、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
カプセルが0.3から0.8μmの範囲の実測平均殻厚さを有する、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
カプセルが40:1から80:1の範囲の平均粒子サイズ対殻厚さの比を有する、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
カプセルが、カプセルの12から25重量%を示す殻を有する、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
カプセルが2.5から4MPaの範囲のHysitron硬さを有する、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
カプセルが10から3MPaの範囲の見かけの換算弾性率を有する、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
カプセルが5%未満の水含有量を有する、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
0.1から4重量%のカプセルを含有する、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
非カプセル化芳香剤を追加的に含有する、請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
ブレンドが30から70%w/wの揮発性シリコーン油ならびに20から40%w/wのエステル油および/またはエーテル油を含む、請求項1から13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
揮発性シリコーン油の少なくとも90%w/wがシクロペンタジメチコーンおよび/またはシクロヘキサジメチコーンである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
エステル油がアルキルベンゾアートであり、および不飽和C18脂肪酸のトリグリセリド油であってもよい、請求項14または15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
ワックス、油溶性ポリマー、および非ポリマー繊維形成性ゲル化剤から選択される少なくとも1つのゲル化剤を、7から13mmの針入度硬さを与えるように1.5から30%の範囲で選択された組成物中重量濃度で含有する、請求項1から16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
粒子状制汗活性物質が、アルミニウム塩化水和物および/またはアルミニウム塩化水和物から選択され、これらのいずれも、グリシンと錯体形成していてもよい、およびこれらのいずれも、ポリマー共ゲル化剤と一緒でもよい、請求項1から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
エタノールを含まない、請求項1から18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
水感受性カプセル化芳香剤を追加的に含有する、請求項1から19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
噴霧剤を含むエアゾール組成物である、請求項1から20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
構造化剤を含むスティック組成物である、請求項1から20のいずれかに記載の組成物。

【公表番号】特表2012−506846(P2012−506846A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532575(P2011−532575)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062902
【国際公開番号】WO2010/049237
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】