説明

刷版収納装置

【課題】刷版2の収納スペースを抑制できる貯版部7を提供する。
【解決手段】回転可能な支えシャフト171の周囲に、版胴に係止するための係止部11を一端側にそれぞれ有する複数の刷版2を係止部11にて重ねて吊り下げ支持可能な複数のハンガユニット151を、互いに放射状に配設する。ハンガユニットを平行に並べて設ける場合などと比較して、ハンガユニット151を配設するスペースを抑制でき、刷版2の収納スペースを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕分けた刷版を収納する刷版収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新聞製作におけるCTP(Conputer To Plate)ラインの運用については、1つのCTPラインに、4〜6台の輪転機で構成される1セットの刷版の製版を行なう場合が多い。
【0003】
そして、CTPラインの稼動状況は、予め設定された降版ダイヤに従って各頁が降版し、その順に各頁の刷版が、描画、現像、版曲げおよび収納の順で製作される。
【0004】
したがって、収納される刷版は、降版ダイヤ通りの順番に重ねられるので、印刷のオペレータが刷版の収納状況を見て刷版を取りに来るが、刷版の枚数が多く溜まった場合には、輪転機毎の刷版を選別すなわち仕分けをしなければならない。
【0005】
また、刷版の表面はデリケートなので、傷が付かないように、特に収納の際には細心の注意が必要となる。
【0006】
このような刷版を仕分けて収納する刷版収納装置としては、例えば、刷版を水平に搬送する搬送部と、この搬送部から搬送された刷版を回動させて起立させる回動部とを備え、この回動部で起立された刷版を貯版部内で移動させて起立状態のまま互いに所定間隔に離間して順次配設するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−186458号公報(第4−5頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
刷版は、例えば40ページ程度の新聞に用いられるものでも、100枚程度の枚数が必要となるため、その収納スペースが問題となる。
【0008】
しかしながら、上述の刷版収納装置では、貯版部に収納された刷版が互いに所定間隔に離間されているとともに、それぞれの刷版が、回動部の移動方向に沿って順次配設されるため、刷版の枚数分、回動部の移動方向にスペースが必要になるなど、刷版の収納スペースを抑制することが容易でないという問題点を有している。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、刷版の収納スペースを抑制できる刷版収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の刷版収納装置は、版胴に係止するための係止部を一端側に有する刷版を収納する刷版収納装置であって、回転可能な中心軸と、この中心軸の周囲に互いに放射状に配設され、複数の刷版を係止部にて重ねて吊り下げ支持可能な複数のハンガユニットとを具備しているものである。
【0011】
請求項2記載の刷版収納装置は、請求項1記載の刷版収納装置において、所定の位置にて、ハンガユニットのいずれか一つを、吊り下げ状態の刷版を受け取る所定の受取位置との間で進退可能にする進退機構と、前記ハンガユニットを回動させる回動手段と、所定の信号に基づいて、前記ハンガユニットを前記回動手段により回動させてこれらハンガユニットのいずれか一つを選択的に前記所定の位置に移動させ、このハンガユニットを、前記進退機構により前記受取位置に進出させて、前記刷版を前記ハンガユニットに受け取らせた後、前記進退機構によりこのハンガユニットを、受け取った刷版とともに前記所定の位置に後退させる制御部とを具備しているものである。
【0012】
請求項3記載の刷版収納装置は、請求項2記載の刷版収納装置において、回動手段は、サーボモータであるものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の刷版収納装置によれば、複数の刷版を係止部にて重ねて吊り下げ支持可能な複数のハンガユニットを、回転可能な中心軸の周囲に互いに放射状に配設することで、これらハンガユニットを配設するスペースを抑制でき、刷版の収納スペースを抑制できる。
【0014】
請求項2記載の刷版収納装置によれば、請求項1記載の刷版収納装置の効果に加えて、所定の信号に基づいて、ハンガユニットを回動手段により回動させてこれらハンガユニットのいずれか一つを所定の位置に移動させ、このハンガユニットを、進退機構により選択的に所定の受取位置に進出させて、吊り下げ状態の刷版をハンガユニットに受け取らせた後、進退機構によりこのハンガユニットを、受け取った刷版とともに所定の位置に後退させることで、放射状に配設された複数のハンガユニットのそれぞれを有効に利用して、各ハンガユニットに効率よく刷版を受け取ることができる。
【0015】
請求項3記載の刷版収納装置によれば、請求項2記載の刷版収納装置の効果に加えて、サーボモータによりハンガユニットを回動させることで各ハンガユニットの回動角度を、簡単な制御で容易に精密に設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は刷版収納装置と吊り下げ部との動作を示す正面図、図2は刷版収納装置を備えた刷版仕分装置の搬送部近傍の動作を示す側面図、図3は搬送部近傍の動作を示す平面図、図4は搬送部近傍の動作を示す側面図、図5は搬送部近傍を示す正面図、図6は刷版仕分装置の吊り下げ部の動作を示す正面図、図7は吊り下げ部の動作を示す平面図、図8は吊り下げ部と刷版収納装置との動作を示す平面図、図9は吊り下げ部と刷版収納装置との動作を示す側面図、図10は吊り下げ部の一部の動作を示す拡大正面図、図11は吊り下げ部の一部の動作を示す拡大側面図、図12は刷版仕分装置を示す平面図である。
【0018】
なお、以下、図12に示す左右方向を左右方向、図12に示す上下方向を前後方向として説明する。
【0019】
図12に、刷版仕分装置1を示し、この刷版仕分装置1は、図示しない製版ラインにより製作された刷版2を仕分けして収納するものである。そして、この刷版仕分装置1は、製版ラインからベンダ部3を経て搬入された刷版2を搬送する搬送部としての版送りローラコンベヤ4と、この版送りローラコンベヤ4に隣接する最終ストッカ部5と、版送りローラコンベヤ4で搬送された刷版2を吊り下げ状態にする吊り下げ部6と、この吊り下げ部6により吊り下げ状態となった刷版2を吊り下げ状態のままで収納する刷版収納装置としての貯版部7とを備えている。
【0020】
図2ないし図5に示すように、刷版2は、例えば金属製の薄板で長方形状に形成され、一般に、新聞印刷に用いられるものには、例えば2ページ長1ページ幅の2L1W版(約1100×400mm)、2ページ長2ページ幅の2L2W版(約1100×800mm)などのサイズがある。また、この刷版2には、図示しない輪転機の版胴に取り付けられる鉤状の係止部11,12が、両端部にそれぞれ曲げ形成されている。そして、この刷版2は、ベンダ部3において、印刷内容が焼き付けられた表面を上側とし、短手方向を搬送方向として、版送りローラコンベヤ4にて、吊り下げ部6側に係止部11が位置するように搬送されるとともに、版送りローラコンベヤ4により、係止部11側すなわち吊り下げ部6側である右方向へと搬送される。
【0021】
版送りローラコンベヤ4は、ベンダ部3、最終ストッカ部5および吊り下げ部6に隣接する搬送部本体としての平面視長方形状の本体部15を有し、この本体部15の上部に平面状の搬送面16が設けられ、この搬送面16に、刷版2を送る複数、例えば4つの版送りローラ17a,17b,17c,17dが回転可能に設けられ、前後方向に互いに略等間隔に離間されている。
【0022】
また、搬送面16には、版送りローラ17c,17d間にて、版送りローラ17d寄りの位置に前当て部18,18が突設され、右側の前当て部18の近傍に、検知手段としての前当て確認センサ19が設けられ、版送りローラ17a,17b間の右側にて、版送りローラ17a寄りの位置に検知手段としての搬入確認センサ21が設けられ、さらに、版送りローラ17b,17cの左側に、刷版2を押し出す版押し出し部22が設けられている。そして、版送りローラコンベヤ4の右端部には、搬送面16の下方に、吊り下げ部6側へと搬送された刷版2の下部を支持する版支え部23が設けられている。
【0023】
版送りローラ17a,17b,17c,17dは、版送りローラコンベヤ4の長手方向に長手状に搬送面16に形成されたローラ嵌合孔24a,24b,24c,24dにそれぞれ嵌合され、版送りローラコンベヤ4の長手方向に軸方向を有し、それぞれの上端部が搬送面16の上側に突出してベンダ部3の上端部と略等しい高さに位置している。
【0024】
また、各版送りローラ17a,17b,17c,17dには、それぞれモータ26a,26b,26c,26dが一体的に取り付けられ、これらモータ26a〜26dにより、各版送りローラ17a,17dが、版送りローラコンベヤ4の短手方向に刷版2を搬送するように回転可能となっている。なお、各モータ26a〜26dは、本体部15に設けられた搬送部制御部としてのコンベヤ制御部C1により、各確認センサ19,21などから出力される信号に基づき、それぞれ動作を制御されている。ここで、コンベヤ制御部C1は、図示しない各種電子部品を備えたコンベヤ制御回路、および、コンベヤ用空圧源などが搭載され、これらコンベヤ制御回路およびコンベヤ用空圧源などから、図示しない配線および配管などのコンベヤ用接続ラインが導出されている。
【0025】
さらに、版送りローラ17a〜17dは、待機状態において、それらの上端部が略等しい高さに位置しているとともに、版送りローラ17b,17cは、モータ26a,26cとともに、それぞれ搬送面16の下部に設けられたローラ上下シリンダ28によりローラ嵌合孔24b,24c内で上下動可能に設けられ、最下部に位置した状態で上端部が搬送面16よりも下側となるように構成されている。
【0026】
各前当て部18は、ベンダ部3から搬入された刷版2の前側位置を設定するもので、略直方体状の前当て部本体18aと、この前当て部本体18aの下部に連続して本体部15に回動可能に軸支された前当て部ブラケット18bとを備えている。
【0027】
前当て部本体18aは、ローラ嵌合孔24dの前側に連続して切り欠き形成された前当て部嵌合孔31にそれぞれ嵌合し、通常の状態で各版送りローラ17a〜17dの上端部よりも上側に位置するように搬送面16から突出している。
【0028】
前当て部ブラケット18bは、各前当て部本体18aの後側下方で本体部15に軸支され、前端側に前当て部用シリンダ33の上端部である先端部が接続されている。この前当て部用シリンダ33は、基端部である下端部が本体部15の固定ブラケット35に固定され、伸縮により前当て部ブラケット18bの軸支部を中心として各前当て部本体18aを前後方向に回動させるもので、コンベヤ制御部C1により伸縮を制御される。そして、各前当て部本体18aは、最大回動状態で前当て部嵌合孔31内にて略全体が搬送面16よりも下側に位置するように構成されている。
【0029】
前当て確認センサ19は、刷版2の前端部が前当て部18に当接するまでベンダ部3から搬入されたかどうかを検知するもので、搬送面16に穿設されたセンサ用孔部37にて搬送面16側である上側に向けて取り付けられている。
【0030】
また、搬入確認センサ21は、刷版2のベンダ部3からの搬入を確認し、かつ、前当て確認センサ19とともに、刷版2の幅を検知するもので、搬送面16に穿設されたセンサ用孔部39にて搬送面16側である上側に向けて取り付けられている。そして、これら確認センサ19,21により、版送りローラコンベヤ4は、ベンダ部3から搬入された刷版2をその幅寸法により仕分け可能となっており、本実施の形態では、例えば2L1W版のみを吊り下げ部6側へと搬送し、2L2W版を最終ストッカ部5へと収納するように構成されている。
【0031】
各版押し出し部22は、版送りローラコンベヤ4に搬入された刷版2を吊り下げ部6へと送り出すもので、略直方体状の押し出し部本体22aを備え、この押し出し部本体22aの下部には、押し出し部ブラケット22bが連続して形成されている。
【0032】
押し出し部本体22aは、ローラ嵌合孔24b,24cの左側に連続して切り欠き形成された押し出し部嵌合孔41にそれぞれ嵌合し、搬送面16から上側に突出している。
【0033】
押し出し部ブラケット22bは、本体部15の搬送面16の下方に左右方向に配設された長尺状のレール部44上に摺動すなわちスライド可能に下端部が嵌合されていることにより、版送りローラコンベヤ4による刷版2の搬送方向に沿ってスライド可能となっている。
【0034】
また、押し出し部ブラケット22bの右側には、この押し出し部ブラケット22bを介して押し出し部本体22aを左右方向にスライドさせる押し出し部用シリンダ46の先端部が接続されている。この押し出し部用シリンダ46は、基端部である右端部が、本体部15の搬送面16の下方に水平に配設された水平板部47に固定されて略水平に配設され、コンベヤ制御部C1により伸縮を制御されることにより、押し出し部本体22aを介して刷版2の右端部である係止部11側が搬送面16から所定距離、吊り下げ部6側へと突出するようにスライドストロークが設定されている。なお、このスライドストロークは、搬送する刷版2の長さなどに応じて適宜設定する。
【0035】
版支え部23は、本体部15の前後方向の略中心部に位置しており、前後方向に長尺状の版支え部本体23aを備え、この版支え部本体23aが、一対の支持ブラケット23b,23bにより本体部15に軸支されている。
【0036】
版支え部本体23aは、刷版2の幅よりも前後幅寸法が小さく形成されている。また、この版支え部本体23aの上部には、吊り下げ部6により版送りローラコンベヤ4の搬送面16から右側に突出した刷版2の係止部12に係合する段差部23cが左側に形成されている。
【0037】
また、各支持ブラケット23bは、一端部である右端部が版支え部本体23aに接続されているとともに、他端部である左端部が、水平板部47の右端部上側に突設された軸支ブラケット49に回動可能に軸支されている。さらに、各支持ブラケット23bの間には、図示しない架橋部が前後方向に架け渡され、この架橋部には、各支持ブラケット23bを介して版支え部本体23aを上下方向に回動させる版支え部用シリンダ51の先端部が接続されている。この版支え部用シリンダ51は、基端部である下端部が、水平板部47の右端部近傍に接続されて下方に突設されたシリンダ支持ブラケット52に回動可能に連結され、伸縮により、版支え部本体23aを上下方向に回動させるもので、コンベヤ制御部C1により伸縮を制御されている。
【0038】
また、版支え部本体23aは、上側への最大回動状態で、上端部が搬送面16と略面一となるように構成されている。
【0039】
最終ストッカ部5は、版送りローラコンベヤ4により吊り下げ部6側へと搬送されない刷版2、本実施の形態では例えば2L2W版を収納するもので、版送りローラコンベヤ4の前側に配設されている。
【0040】
また、図1、図6ないし図11に示す吊り下げ部6は、版送りローラコンベヤ4により送り出された刷版2を、係止部11にて吊り下げ状態とするもので、平面視で左右方向に長い長方形状の枠体54を有し、この枠体54内の前後には、左右に直線長尺状の一対のスライドレール55,55がそれぞれ連続して配設され、これらスライドレール55,55よりも内側には、左右に直線長尺状の円柱部材である一対のガイドレール56,56が連続して配設されている。また、スライドレール55,55およびガイドレール56,56には、吊り下げ部本体としての版スライドリフタ57がスライド可能に設けられている。
【0041】
版スライドリフタ57は、両ガイドレール56により左右方向にガイドされる略四角形板状の台部61を備え、この台部61には、両スライドレール55側へと突出ブラケット62,62が突設されているとともに、略中央部に、垂直上方へと支柱部63が突設され、かつ、この支柱部63よりも左側すなわち版送りローラコンベヤ4側である左端部に、吸着押し上げ部64が上方へと突設されている。また、支柱部63には、吸着押し上げ部64の上側に位置する持ち上げ部としてのリフタ部65が、この支柱部63に沿って上下にスライド可能に設けられている。そして、これら吸着押し上げ部64とリフタ部65とにより、吊り下げられた刷版2を貯版部7へと吊り下げ換える刷版受け渡し部66が構成されている。
【0042】
台部61の下部には、前側の左右両側に、前側の左右両側に、前側のガイドレール56に嵌合される図示しないスライド部が下部にそれぞれ設けられている。また、台部61の左右両側には、台部61の左右方向へのスライド、すなわち搬送方向への進退のストロークを設定するストロークセンサ69,69が突出して取り付けられている。ここで、これらストロークセンサ69,69は、枠体54の左右内側に当接すると版スライドリフタ57の左右方向へのスライドを停止させる信号を所定の制御回路に出力するものであり、これらストロークセンサ69,69により設定されるスライドストロークは、吊り下げ部6に収納される刷版2の長さに応じて適宜設定する。
【0043】
さらに、台部61の上部には、左右方向中央部に、支柱部63の前後両端の下端部を固定する支柱部用ブラケット71,71がそれぞれ突設され、右端部に、支柱部63を補強する補強部材72,72の下端部を固定する補強用ブラケット73,73がそれぞれ突設されている。
【0044】
なお、補強部材72,72の右側には、吊り下げ部制御部としてのスライドリフタ制御部C2が設けられている。このスライドリフタ制御部C2は、図示しない各種電子部品を備えた吊り下げ部制御回路、および、吊り下げ部用空圧源などが搭載され、これら吊り下げ部制御回路および吊り下げ部用空圧源などから、図示しない配線および配管などの吊り下げ部用接続ラインが導出されている。
【0045】
台部61の後側に位置する突出ブラケット62には、他端部が吸着押し上げ部64などに接続される吊り下げ部用接続ラインの保護用の多関節状のプラレールチェーン74の一端部が取り付けられており、このプラレールチェーン74の他端部は、前側のスライドレール55上に配設されている。また、台部61の前側に位置する突出ブラケット62は、前側に位置したスライドレール55上に配設された左右に長尺状のスライドリフタシリンダ75に接続され、このスライドリフタシリンダ75により版スライドリフタ57を左右方向にスライド可能としている。
【0046】
また、このスライドリフタシリンダ75の左右両側近傍には、それぞれ規制センサ77,77がセンサ取付ブラケット78,78を介して取り付けられている。これら規制センサ77,77は、前側の突出ブラケット62が当接すると版スライドリフタ57の左右方向へのスライドを停止させる信号を出力するものである。
【0047】
支柱部63は、前後両端に位置する上下に直線状の支柱側板81,81と、これら支柱側板81,81間に配設される支柱本体82とを備え、これら支柱側板81,81が、支柱部用ブラケット71,71を介して台部61の上部に固定されているとともに、支柱本体82が、支柱側板81,81に固定されている。
【0048】
支柱側板81,81のそれぞれは、上下方向の中心部よりも下側寄りの位置が、補強部材72,72の上端部に接続されているとともに、これら補強部材72,72の上方に、長尺状のノズルブラケット84,84が前後方向に水平状に突設されている。これらノズルブラケット84,84の先端部には、圧縮空気を吹付ける空気吹付部としてのエアブローノズル85,85が取り付けられている。
【0049】
これらエアブローノズル85,85は、先端側が前後方向中心側へとそれぞれ屈曲され、スライドリフタ制御部C2の吊り下げ部用空圧源からの吊り下げ部用接続ラインに接続されて圧縮空気の供給を受けて、吊り下げ状態となった刷版2の右側、すなわち裏面側に吹付けるものである。
【0050】
そして、支柱本体82の版送りローラコンベヤ4側である左方には、リフタ部65を上下方向にスライドさせる上下に長尺状のリフタ上下シリンダ87が配設されている。このリフタ上下シリンダ87は、スライドリフタ制御部C2の吊り下げ部用空圧源に接続された吊り下げ部用接続ラインにより圧縮空気が給排されることで伸縮されてリフタ部65の上下方向のスライドストロークを設定するもので、上下端部にそれぞれシリンダ取付用ブラケット88,88が設けられ、これらシリンダ取付用ブラケット88,88が、両支柱側板81,81の左側間に亘って連続して設けられた支柱部ブラケット89,89に固定されることにより、支柱本体82に対して左側に離間された位置に配設されている。
【0051】
吸着押し上げ部64は、台部61に対して垂直上方に突設された支持体91を有し、この支持体91の左右に、パッド上下シリンダ92と版押し上げシリンダ93とがそれぞれ上方向に向けて取り付けられている。
【0052】
パッド上下シリンダ92は、スライドリフタ制御部C2の吊り下げ部用空圧源からの吊り下げ部用接続ラインが接続される給排接続口95,95を下端部に備え、かつ、上端部から突出したシリンダ突出部96の前後両端に、それぞれ水平状の支持板97,97が突設され、これら支持板97,97のそれぞれの先端部の右側にハンド部としての非接触パッド98,98が取り付けられている。
【0053】
これら非接触パッド98,98は、吊り下げ状態となった刷版2を真空吸着して非接触に保持するもので、左右に面方向を有する略円板状に形成され、版送りローラコンベヤ4側、すなわち背面側である左側にスライドリフタ制御部C2の吊り下げ部用空圧源からの吊り下げ部用接続ラインが接続されて圧縮空気が給排されるとともに、右側に圧縮空気を吹出す円環状の吹出口とこの吹出口の周囲に設けられた複数の吸込口とが形成されている。そして、これら非接触パッド98,98は、上側が下側に対して若干右側、すなわちリフタ部65により吊り下げられた刷版2側に傾斜して配設されている。
【0054】
一方、版押し上げシリンダ93は、上端部に設けられた版押し上げ部104を介して、非接触パッド98,98に真空吸着された刷版2を、伸縮により押し上げるもので、スライドリフタ制御部C2の吊り下げ部用空圧源からの吊り下げ部用接続ラインが図示しない接続口に接続され、圧縮空気が給排されている。また、版押し上げシリンダ93の前後両端には、スライドリフタ制御部C2の吊り下げ部用空圧源からの吊り下げ部用接続ラインに下端部が接続されて圧縮空気の供給を受ける空気吹付部としてのエアブローノズル105,105が上方向に向けてそれぞれ取り付けられている。さらに、版押し上げシリンダ93の上下両端部近傍には、図示しないスライド規制センサがそれぞれ設けられている。
【0055】
版押し上げ部104は、非接触パッド98,98間で前後方向に長尺状に形成されており、上端部に、刷版2の係止部12の下端部が嵌合する凹状の嵌合溝104aが設けられている。
【0056】
また、エアブローノズル105,105は、上端部が版押し上げ部104よりも下側に位置している。
【0057】
そして、版押し上げ部64は、待機状態において、各シリンダ92,93が収縮した状態となっている。
【0058】
さらに、リフタ部65は、リフタ上下シリンダ87により上下にスライドされる前後に長尺状のスライド板111を有し、このスライド板111の前後部には、刷版2を係止部11にて吊り下げる版スライド取出部112,112がそれぞれ設けられ、これら版スライド取出部112,112は、スライド板111の右側にて支柱部63の前後にそれぞれ取り付けられた取出用シリンダ113,113の伸縮によりそれぞれ前後方向にスライド可能に構成されている。そして、スライド板111の上右側、すなわち支柱部63側には、この支柱部63の前後両端を挟んでこの支柱部63にガイドされる平面視略コ字状のガイド板114が設けられている。
【0059】
また、スライド板111の前後両端には、左側すなわち刷版2の搬送方向後側に向けてスライド板水平部115,115が水平にそれぞれ突設され、各スライド板水平部115の先端部にはスライド板垂直部116がそれぞれ下方に向けて突設されている。したがって、これらスライド板垂直部116,116とスライド板111との間には、スライド板水平部115,115の突出量に対応した空間部118が形成されている。
【0060】
そして、スライド板111の左端部には、スライド板水平部115よりも下側の位置に、空間部118に位置するスライド板突出部121が下方に向けて突設され、このスライド板突出部121の先端部には、ユニットピン受部122が設けられている。
【0061】
各版スライド取出部112は、各取出用シリンダ113の先端部に取り付けられた取出板124を有している。さらに、各取出板124は、スライド板111を右側から左側へと上側から跨ぐように略逆U字状に形成され、この取出板124の先端部にて前後方向中心側へと、刷版2の係止部11に係合する版スライド取出ピン125が略水平に突設されている。
【0062】
そして、各版スライド取出部112は、互いに連動して接近、あるいは離間され、最も接近した状態で、取出板124,124が刷版2の幅寸法と略等しい間隔となり、最も離間された状態で、版スライド取出ピン125,125の先端部間が刷版2の幅寸法よりも大きい間隔となるように前後方向のスライドストロークが設定されている。なお、このスライドストロークは、吊り下げ部6に吊り下げる刷版2の長さに応じて適宜設定する。
【0063】
また、各取出用シリンダ113は、スライドリフタ制御部C2の吊り下げ部用空圧源から吊り下げ部用接続ラインにより給排される圧縮空気により伸縮される。なお、これら取出用シリンダ113およびリフタ上下シリンダ87には、スライドリフタ制御部C2の吊り下げ部用空圧源からの吊り下げ部用接続ラインの一部が接続され、これら吊り下げ部用接続ラインは、ガイド板114と支柱本体82とに両端部がそれぞれ接続された多関節状のプラレールチェーン127により保護されている。
【0064】
各スライド板水平部115の先端部には、各スライド板垂直部116の内側に位置して、パッド回動用シャフト128が下方向へと突設されている。各パッド回動用シャフト128は、各スライド板垂直部116に突設された保持部131,131に挿通され、これら保持部131にそれぞれ設けられたベアリングにより外周面が保持され、スライド板垂直部116の上部に設けられた各モータ133を介して、水平方向に回動可能に構成されている。
【0065】
また、各パッド回動用シャフト128には、上下2箇所に、それぞれパッド取付ブラケット135,135が突設され、これらパッド取付ブラケット135の先端部には、ハンド部としての非接触パッド138がそれぞれ取り付けられている。
【0066】
これら非接触パッド138は、吊り下げ状態となった刷版2を真空吸着して非接触に保持するもので、非接触パッド98と基本的に同一の構成を有している。すなわち、これら非接触パッド138は、略円板状に形成され、背面側にスライドリフタ制御部C2の吊り下げ部用空圧源からの吊り下げ部用接続ラインが接続されて圧縮空気が給排されるとともに、圧縮空気を吹出す円環状の吹出口が形成されるとともに、この吹出口の周囲に複数の吸込口が形成され、上側が下側に対して若干傾斜して配設されている。
【0067】
そして、各パッド回動用シャフト128は、通常の状態でパッド取付ブラケット135,135が刷版2の搬送方向に平行に位置して各非接触パッド138がリフタ部65に吊り下げられた刷版2の幅方向の前後に位置するとともに、各モータ133により水平回動された状態で各非接触パッド138が刷版2の版送りコンベヤローラ4側である表面側に対向するように構成されている。
【0068】
ユニットピン受部122は、貯版部7から吊り下げ部6側へと進出してくる各ハンガユニット151の受取位置を規定するもので、貯版部7側に向けて配設されている。
【0069】
そして、リフタ部65は、待機状態において、スライド板111がリフタ上下シリンダ87の最下部に位置し、各取出用シリンダ113が最大に伸張しているとともに、各非接触パッド138が刷版2の搬送方向に沿うように回動した状態となっている。
【0070】
また、図1および図9に示す貯版部7は、貯版部本体としての枠体である架台153を備え、この架台153には、刷版2が吊り下げ収納されるハンガユニット151をそれぞれ有するハンガ部154が回転自在に設けられているとともに、各ハンガユニット151を吊り下げ部6側との間で進退させる進退機構としてのユニット進退部155が設けられている。
【0071】
架台153は、略直方体枠状の架台本体157を有し、この架台本体157の上側寄りの位置には、左右に亘って直線状に連続した上側支持体158が設けられ、また、この架台本体157の下側寄りの位置には、平面視格子状の下側支持体159が設けられている。さらに、上側支持体158の下部には、ユニット進退部155が取り付けられ、下側支持体159の上部には、ハンガ部154を回動させる回動手段としてのサーボモータ161が、四角形板状のモータ取付ベース162を介して取り付けられている。このモータ取付ベース162は、四隅に設けられた水平調整ボルトにより、ハンガ部154を水平状態に保つようにその傾斜を調整可能に設けられている。
【0072】
このハンガ部154は、ハンガユニット151がそれぞれ取り付けられた複数の枠状のユニット用架台165を放射状に有し、これらユニット用架台165の下部がサーボモータ161により周方向に水平回動される円板状の回転テーブル166に固定されているとともに、ユニット用架台165の上部近傍がユニット用ブラケット167に固定されて平面視で略放射状に配設されている。
【0073】
さらに、このハンガ部154は、中央部に回転可能な中心軸としての支えシャフト171が挿通され、この支えシャフト171の上端部が架台153の上側支持体158に、下端部が回転テーブル166に、それぞれ固定され、ユニット用ブラケット167内に設けられた図示しないベアリングに外周の一部が保持されている。また、この支えシャフト171は、架台153の後側、すなわち吊り下げ部6側寄りに位置しており、吊り下げ部6側に回動されたハンガユニット151の吊り下げ部6側の一部が架台153の外郭から突出するように構成されている。
【0074】
各ハンガユニット151は、上下に長手状の四角形状に形成され、背面の上下2箇所に、ユニット用架台165に対してこれらハンガユニット151をスライド可能にするスライドレール174,175がハンガユニット151の幅方向に直線状に設けられ、スライドレール174,175間およびスライドレール175の下側にそれぞれ四角形状の孔部176,177が穿設され、かつ、上部寄りの支えシャフト171側に、ユニット進退部155と嵌合可能なスライド受けプレート178がそれぞれ取り付けられている。そして、各ハンガユニット151の上部には、刷版2の係止部11に係合するユニット側係合部179が形成されている。
【0075】
スライドレール174,175は、各一端部がそれぞれハンガ部154の中心側に突出している。また、スライドレール174の他端部には、ハンガユニット151の位置決め用の位置決めピン181が突設されている。この位置決めピン181は、版スライドリフタ57のリフタ部65が上側に位置した状態でユニットピン受部122に係合してハンガユニット151のそれ以上のスライドを防止するものである。
【0076】
孔部176は、版スライドリフタ57のエアブローノズル105,105の先端から吹出される圧縮空気がハンガユニット151のユニット用架台165側から通過するように設けられている。
【0077】
また、スライド受けプレート178は、ユニット進退部155とハンガユニット151との接続部となるもので、正面視で略L字状に形成され、側方に突出する端部がハンガユニット151のユニット用架台165側に固定されているとともに、上方に突出する端部に、ユニット進退部155に上側から係合される版スライドピンブッシュ183がハンガ部154の中心側に突出して水平状に取り付けられている。なお、このスライド受けプレート178は、支えシャフト171の定位置に水平状に取り付けられたハンガユニット検知手段としてのユニット有無センサ184によりその有無が定位置で検知されることで、この定位置にハンガユニット151が位置しているかどうかを検出可能となっている。
【0078】
また、各ユニット側係合部179は、吊り下げられる刷版2の係止部11に対応して、刷版2側が上側となる傾斜状に形成されている。そして、このユニット側係合部179は、ハンガ部154への収納状態で、支えシャフト171の側方に位置して定位置に取り付けられた刷版吊り下げ検知手段としての図示しない刷版有無センサに対向している。この刷版有無センサは、定位置の進退開始/終了位置である進退位置P1に位置したハンガユニット151のユニット側係合部179に対向するように取り付けられており、刷版2が各ハンガユニット151に吊り下げられているかどうかを、各ハンガユニット151のユニット側係合部179を監視することで検知可能となっている。
【0079】
各ユニット用架台165は、各ハンガユニット151を刷版2の吊り下げ側と反対側にて支持するもので、上端部が、ハンガユニット151のユニット側係合部179が上端部から突出するように、ハンガユニット151の上端部よりも下側に位置している。また、ユニット用架台165には、ハンガユニット151側の側面にて各スライドレール174,175に対応する位置に、水平直線状のレール取付板186,187がそれぞれ取り付けられている。これらレール取付板186,187は、スライドレール174,175にそれぞれ嵌合し、各ハンガユニット151のスライド方向をガイドするものである。さらに、各ユニット用架台165の支えシャフト171側には、レール取付板186,187間、および、レール取付板187の下方に、ハンガユニット151をユニット用架台165に固着可能なマグネット188がそれぞれ取り付けられたマグネット板189がそれぞれ取り付けられている。これらマグネット板189は、進退位置P1以外の位置にあるハンガユニット151がユニット用架台165に対して進出しないように保持するものである。
【0080】
ユニット進退部155は、架台153に対して左側寄りの吊り下げ部6側に、刷版2の搬送方向に交差する方向に設けられ、架台153の上側支持体158に対して取付板191を介して水平に取り付けられたユニットスライドシリンダ192を備え、このユニットスライドシリンダ192の伸縮により水平にスライドされるシリンダプレート193にピン上下シリンダ194が取り付けられ、このピン上下シリンダ194の伸縮により上下にスライドされるスライドピンジョイント195が、このピン上下シリンダ194の先端部に水平に取り付けられ、かつ、このスライドピンジョイント195の先端部に、版スライドピン196が下方に向けて突設されている。
【0081】
取付板191は、架台153の上側支持体158の下側に取り付けられ、この上側支持体158から貯版部7の後側である吊り下げ部6側へと直線状に配設されている。
【0082】
ユニットスライドシリンダ192は、取付板191の下部に、この取付板191に沿って水平状に取り付けられている。
【0083】
シリンダプレート193は、側面視で略T字状に形成され、ユニットスライドシリンダ192に接続されている。
【0084】
ピン上下シリンダ194は、シリンダプレート193に上下に取り付けられている。
【0085】
ここで、各シリンダ192,194には、架台153の上側支持体158の上側に取り付けられた制御部としての貯版部制御部C3から、図示しない貯版部用接続ラインにより圧縮空気が給排されている。この貯版部制御部C3は、図示しない貯版部用制御回路および貯版部用空圧源などを備え、各シリンダ192,194の伸縮動作およびサーボモータ161の動作などを、ユニット有無センサ184および刷版有無センサなどからの信号などに基づきそれぞれ制御する部分である。
【0086】
そして、この貯版部制御部C3により、架台153の左右方向の中心部の吊り下げ部6側である定位置の進退位置P1に選択的に回動された一つのハンガユニット151が、ユニット進退部155を介して選択的に吊り下げ部6側へと、刷版2の搬送方向に交差、例えば略直交するように進退され、右側へと最大にスライドした版スライドリフタ57の空間部118の支柱部63側の受取位置P2にて、リフタ部65が吊り下げた刷版2を、この進出したハンガユニット151に吊り下げ換えることが可能となっている。
【0087】
なお、各制御部C1,C2,C3は、それぞれ図示しない上位の制御部であるコンピュータなどに電気的に接続され、このコンピュータに入力された指令などに基づいて互いに連動して動作可能に構成されている。
【0088】
貯版部用接続ラインは、多関節状の保護用のプラレールチェーン198により保護されており、このプラレールチェーン198は、一端部がシリンダプレート193に、他端部がシリンダプレート193の下側に取り付けられたチェーンレール199にそれぞれ接続され、このチェーンレール199により、ユニットスライドシリンダ192のスライド方向にガイドされる。
【0089】
スライドピンジョイント195は、左右方向に長手状に形成され、先端部が進退位置P1の上方に位置している。
【0090】
さらに、版スライドピン196は、下方に向けて突出し、ピン上下シリンダ194によりスライドピンジョイント195が下方にスライドした状態で版スライドピンブッシュ183に係合され、ピン上下シリンダ194によりスライドピンジョイント195が上方にスライドした状態でこの版スライドピンブッシュ183への係合が解除される。
【0091】
次に、上記一実施の形態の刷版仕分装置1の動作を説明する。
【0092】
ベンダ部3を経由した刷版2は、版送りローラコンベヤ4のモータ26a〜26cによる各版送りローラ17a〜17cの回転により、前端部が前当て部18,18の前当て部本体18a,18aに当接するまで搬送面16上に搬送される。
【0093】
この状態で、図2および図3に示すように、各確認センサ19,21により刷版2を検知する場合には、この刷版2の幅が所定幅より大きい、例えば2L2W版などであると判断し、前当て部用シリンダ33を収縮させて前当て部ブラケット18bを介して版押し出し部22を前側へと回動させて搬送面16の下側へと退避させ、さらにモータ26a〜26dにより各版送りローラ17a〜17dを介して刷版2を最終ストッカ部5へと収納する。
【0094】
一方、図4および図5に示すように、前当て確認センサ19のみで刷版2を検知する場合には、この刷版2の幅が所定幅のもの、例えば2L1W版などであると判断する。
【0095】
このとき、版送りローラコンベヤ4では、ローラ上下シリンダ28を収縮させて版送りローラ17b,17cを搬送面16の下側へと退避させ、搬送面16上に位置した刷版2を、押し出し部用シリンダ46の収縮により版押し出し部22,22を介して吊り下げ部6側へと押し出す。
【0096】
さらに、図6および図7に示すように、版スライドリフタ57のリフタ部65の取出用シリンダ113の収縮により、各スライド板111を介して各版スライド取出部112が前後に移動し、版押し出し部22,22により搬送面16から右側へと突出した刷版2の係止部11に版スライド取出ピン125をそれぞれ前後両端から嵌合させた状態で、スライドリフタシリンダ75により版スライドリフタ57を搬送方向である右側へとスライドさせるとともに、リフタ上下シリンダ87により、リフタ部65を上方向へとスライドさせる。
【0097】
同時に、版送りローラコンベヤ4では、版支え部用シリンダ51が伸張することで、支持ブラケット23bを介して版支え部23が上側へと回動し、版支え部本体23aの上部を搬送面16と略面一な状態とする。
【0098】
この結果、刷版2の係止部11側が右側上方へと吊り上げられるとともに、刷版2の係止部12側は、版支え部23の段差部23cに係合して、刷版2が、実線に示すように、湾曲した状態となる。
【0099】
また、貯版部7では、図1、図8および図9に示すように、貯版部制御部C3により、刷版2を吊り下げ収納するハンガユニット151が選択され、この選択されたハンガユニット151を、サーボモータ161を介してハンガ部154を回動させることで進退位置P1に位置させ、さらに、ピン上下シリンダ194を伸張させて版スライドピン196を下方にスライドさせてこのハンガユニット151の版スライドピンブッシュ183に係合させて、ユニットスライドシリンダ192を伸張させることでスライドピンジョイント195、版スライドピン196およびスライド受けプレート178を介して、ハンガユニット151を、マグネット188の吸着力に抗してスライドレール174,175に沿って受取位置P2まで進出させる。
【0100】
この後、版支え部用シリンダ51が収縮することで、支持ブラケット23bを介して版支え部23が下側へと回動し、刷版2の係止部12と版支え部23の段差部23cとの係合が外れて、刷版2の下側が版スライドリフタ57側へと自重により回動するように落下する。
【0101】
このとき、各エアブローノズル85,105により刷版2の裏面側に空気を吹付けることで、刷版2の係止部12側の落下速度を緩和し、刷版2の傷付きを防止する。
【0102】
さらに、吸着押し上げ部64のパッド上下シリンダ92が伸張することで、シリンダ突出部96および支持板97を介して各非接触パッド98が上方へスライドして、吊り下げられた刷版2の表面側に対向するとともに、リフタ部65のモータ133が回動することで、パッド回動用シャフト128が回動し、各非接触パッド138が吊り下げられた刷版2の表面側に対向して、これら非接触パッド98,138に対して圧縮空気を給排することで、刷版2の表面側が各非接触パッド98,138により、非接触に保持される。
【0103】
この状態で、図10および図11に示すように、吸着押し上げ部64の版押し上げシリンダ93を伸張させることで、版押し上げ部104が上方向にスライドして嵌合溝104aに刷版2の係止部12の下端部が嵌合し、さらに、版押し上げ部104が上方にスライドすることで、刷版2が持ち上げられ、刷版2の係止部11の各版スライド取出ピン125への係合が外れるとともに、これら係合が外れた版スライド取出ピン125は、リフタ部65の取出用シリンダ113を伸張させることで、刷版2の前後へと退避する。
【0104】
さらに、版押し上げシリンダ93を収縮させ、非接触パッド98,138の吸着を解除することにより、版押し上げ部104により下端部を支持された刷版2が、その支えを失って自重で落下し、係止部11が、受取位置P2に進出したハンガユニット151のユニット側係合部179に上側から係合して、刷版2がハンガユニット151に吊り下げ保持される。
【0105】
なお、ハンガユニット151に刷版2が既に吊り下げ保持されている場合でも、同様に動作することで、刷版2同士が係止部11にて重ね合わされた状態で吊り下げ保持される。
【0106】
この後、この刷版2を吊り下げ保持したハンガユニット151は、ユニットスライドシリンダ192の収縮によりスライドレール174,175に沿ってハンガ部154へと後退するなど、各部がそれぞれ待機状態に戻る。
【0107】
そして、このような動作を繰り返すことにより、ベンダ部3から搬入される刷版2を順次仕分け、刷版2の枚数が各ハンガユニット151に略均等になるように貯版部7に収納する。
【0108】
この貯版部7に収納された刷版2は、作業員が適宜取りに来て所定の輪転機の版胴に装着し、この輪転機により各刷版2に焼き付けられた所定の情報がオフセット印刷される。
【0109】
このように、版送りローラコンベヤ4から水平に搬送された刷版2の係止部11を吊り下げ部6で吊り下げ支持し、この刷版2を、刷版受け渡し部66により、貯版部7から所定の受取位置P2に進出したハンガユニット151に係止部11にて吊り下げ換えることで、刷版を貯版部へと移動させて収納する従来の場合と異なり、刷版2同士を擦れ合わせることなく同一のハンガユニット151に対して複数の刷版2を重ねて吊り下げることが可能になり、刷版2の表面を傷付けることなく収納スペースを低減できる。
【0110】
また、刷版受け渡し部66が、刷版2を非接触で吊り下げ換える非接触パッド98,138を備えることで、刷版2の表面の傷付きを確実に防止できる。
【0111】
さらに、吊り下げ部6により吊り下げられた刷版2の他端側が版送りローラコンベヤ4の版支え部23から離れた際に、刷版2の裏側にエアブローノズル85,105から空気を吹付けることで、刷版2の他端側などの吊り下げ部6およびハンガユニット151への衝突の勢いを緩和し、刷版2の傷付きを確実に防止できる。
【0112】
そして、確認センサ19,21により検知された幅が所定幅以下の刷版2のみを搬送部本体で吊り下げ部6側へと搬送することで、所定幅以下の刷版2のみを確実に貯版部7に収納できる。
【0113】
また、貯版部7は、複数の刷版2を係止部11にて重ねて吊り下げ支持可能な複数のハンガユニット151を、中央支持部を中心として互いに放射状に配設することで、これらハンガユニット151を配設するスペースを抑制でき、刷版2の収納スペースを、より抑制できる。
【0114】
さらに、貯版部7は、所定の信号に基づいて、ハンガユニット151を備えるハンガ部154をサーボモータ161により回動させてこれらハンガユニット151のいずれか一つを進退位置P1に移動させ、このハンガユニット151を、ユニット進退部155により選択的に受取位置P2に進出させて、吊り下げ状態の刷版2をハンガユニット151に受け取らせた後、ユニット進退部155によりこのハンガユニット151を、受け取った刷版2とともに進退位置P1に後退させることで、放射状に配設された複数のハンガユニット151のそれぞれを有効に利用して、各ハンガユニット151に効率よく刷版2を受け取ることができる。
【0115】
そして、サーボモータ161によりハンガユニット151を回動させることで、各ハンガユニット151の回動角度を、簡単な制御で容易に精密に設定できる。
【0116】
なお、上記一実施の形態において、貯版部7は、上記刷版仕分装置1に適用するだけでなく、刷版2を所定の位置に吊り下げる任意の刷版仕分装置に適用でき、また、例えば吊り下げ部6を設けずに、オペレータが刷版2をハンガユニット151にそれぞれ掛けるなど、単独で用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の一実施の形態の刷版収納装置と吊り下げ部との動作を示す正面図である。
【図2】同上刷版収納装置を備えた刷版仕分装置の搬送部近傍の動作を示す側面図である。
【図3】同上搬送部近傍の動作を示す平面図である。
【図4】同上搬送部近傍の動作を示す側面図である。
【図5】同上搬送部近傍を示す正面図である。
【図6】同上刷版仕分装置の吊り下げ部の動作を示す正面図である。
【図7】同上吊り下げ部の動作を示す平面図である。
【図8】同上吊り下げ部と刷版収納装置との動作を示す平面図である。
【図9】同上吊り下げ部と刷版収納装置との動作を示す側面図である。
【図10】同上吊り下げ部の一部の動作を示す拡大正面図である。
【図11】同上吊り下げ部の一部の動作を示す拡大側面図である。
【図12】同上刷版仕分装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0118】
2 刷版
7 刷版収納装置としての貯版部
11 係止部
151 ハンガユニット
155 進退機構としてのユニット進退部
161 回動手段としてのサーボモータ
171 中心軸としての支えシャフト
C3 制御部としての貯版部制御部
P2 受取位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
版胴に係止するための係止部を一端側に有する刷版を収納する刷版収納装置であって、
回転可能な中心軸と、
この中心軸の周囲に互いに放射状に配設され、複数の刷版を係止部にて重ねて吊り下げ支持可能な複数のハンガユニットと
を具備していることを特徴とする刷版収納装置。
【請求項2】
所定の位置にて、ハンガユニットのいずれか一つを、吊り下げ状態の刷版を受け取る所定の受取位置との間で進退可能にする進退機構と、
前記ハンガユニットを回動させる回動手段と、
所定の信号に基づいて、前記ハンガユニットを前記回動手段により回動させてこれらハンガユニットのいずれか一つを選択的に前記所定の位置に移動させ、このハンガユニットを、前記進退機構により前記受取位置に進出させて、前記刷版を前記ハンガユニットに受け取らせた後、前記進退機構によりこのハンガユニットを、受け取った刷版とともに前記所定の位置に後退させる制御部と
を具備していることを特徴とする請求項1記載の刷版収納装置。
【請求項3】
回動手段は、サーボモータである
ことを特徴とする請求項2記載の刷版収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−130919(P2007−130919A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327430(P2005−327430)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(594095866)清水製作株式会社 (23)
【Fターム(参考)】