説明

刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシン

【課題】刺繍模様についてユーザの所望する色を採り入れつつ多様な配色パターンを簡単に得ることができる刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンを提供する。
【解決手段】制御装置は、色別模様部の糸色データに対し、第1記憶手段に記憶されている複数色の中からランダムに色を抽出して割り当てる割当処理を実行する(ステップA3、A4)。刺繍模様は、割当処理により各色別模様部に割り当てられた色で表示画面に表示される(ステップA4)。表示画面に表示された刺繍模様における各色別模様部の中から、ユーザの所望する糸色データの色を指定して第2記憶手段に記憶する(ステップA8〜A11)。また、制御装置は、第2記憶手段に色が記憶されている場合、その色を優先的に抽出して割り当てる割当処理を行う(ステップA3、A4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データを作成する刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、刺繍データに基づいて刺繍模様を縫製するミシンがある。このようなミシンでは、ミシンに内蔵された記憶装置、或はROMカードやフレキシブルディスク等の外部の記憶装置に、複数の刺繍模様が記憶されている。ユーザは、複数の刺繍模様の中から、所望の刺繍模様を選択する。そして、ミシンは、選択された刺繍模様の刺繍データを読み込んで、加工布を保持した刺繍枠を移送機構により移送させながら、加工布に刺繍模様を刺繍する。
【0003】
ところで、複数の色別模様部からなる刺繍模様の刺繍データは、色別模様部の色を特定する糸色データを含んでおり、各色別模様部は、糸色データとして予め設定された色(糸色)で縫製される。このため、各色別模様部の色が加工布(生地)の色と類似していると、当該色別模様部と生地の区別が分かり難いという問題が発生する。具体的には、「花」の刺繍模様を、花びらの色別模様部の色と同色の生地に縫製した場合、花びらと生地の区別が分かり難くなり、花びらが無い奇妙な刺繍模様であると見間違う虞がある。
そこで、刺繍データ作成装置には、予め好ましい色の組み合わせを示す配色データを記憶させておき、当該配色データと生地の色等を示す生地データとに基づいて、色別模様部の糸色データの色を設定するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−57262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の刺繍データ作成装置では、生地の色と配色データに基づき、刺繍模様の色別模様部の色が一義的に決定される。しかし、ユーザとしては、色別模様部の色が生地の色で制約されるのではなく、色別模様部の夫々について「規定の色」ではない好みの色や或いは奇抜な色で縫製したい場合もある。しかしながら、このような刺繍模様の色の指定を行うには、色別模様部のデータを1つ1つ読み出して該当する糸色データの確認や指定を行わなければならず、手間がかかり面倒である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、刺繍模様についてユーザの所望する色を採り入れた多様な配色パターンを簡単に得ることができる刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1の刺繍データ作成装置は、複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データであって前記色別模様部の色を特定する糸色データを含む刺繍データを作成する刺繍データ作成装置において、予め定義されている複数色を記憶する第1記憶手段と、前記色別模様部の前記糸色データ毎に、前記第1記憶手段に記憶されている複数色の中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行う第1割当手段と、前記第1割当手段により各色別模様部に割り当てられた色で前記刺繍模様を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面に表示された前記刺繍模様における各色別模様部の中から、ユーザの所望する糸色データの色を指定する指定手段と、前記指定手段で指定された色を記憶する第2記憶手段と、前記色別模様部の前記糸色データ毎に、前記第1記憶手段と前記第2記憶手段とのうち前記第2記憶手段に記憶されている色の抽出を優先した割当処理を行う第2割当手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記刺繍データ作成装置によれば、第1割当手段による一次的な配色によって、刺繍模様について、偶然性や意外性のある配色が可能となり、規定の配色にとらわれない多様な配色パターンを簡単に得ることができる。また、当該刺繍模様が各色別模様部に割り当てられた色で表示画面に表示されるため、色別模様部の色を視覚的に容易に把握することができる。
更に、表示画面に表示された色別模様部の中から所望の色を指定し、第2割当手段によって、他の色より優先して所望の色を割り当てる二次的な配色を行うことができる。これにより、刺繍模様にユーザの所望する色を採り入れつつ簡単に刺繍データを作成することができる。
【0009】
請求項2の刺繍データ作成装置では、請求項1の発明において、前記表示手段は、前記第1割当手段により各色別模様部に割り当てられた色の組み合わせが異なる複数の前記刺繍模様を前記表示画面に表示し、前記指定手段は、前記表示画面に表示された複数の前記刺繍模様における各色別模様部の中から、所望する糸色データの色を指定することを特徴とする。
【0010】
請求項3の刺繍データ作成装置では、請求項1または2の発明において、前記表示手段は、複数の前記刺繍模様のうち所望する刺繍模様のみを拡大して前記表示画面に表示する拡大手段を備え、前記指定手段は、前記拡大手段により拡大させて表示した前記刺繍模様における各色別模様部の中から、所望する糸色データの色を指定することを特徴とする。
【0011】
請求項4の刺繍データ作成装置では、請求項1から3までの何れかの発明において、前記表示手段は、前記第1割当手段により色を割り当てた場合と前記第2割当手段により色を割り当てた場合との双方において、各色別模様部に割り当てられた色で前記刺繍模様を前記表示画面に表示することを特徴とする。
【0012】
請求項5の刺繍データ作成装置では、請求項4の発明において、前記表示画面に前記刺繍模様が表示された後、ユーザの指示に基づいて、前記第1割当手段による割当処理、又は前記第2割当手段による割当処理を再び実行する再配色指示手段を備え、前記表示手段は、前記再配色指示手段により新たな配色の刺繍模様が作成された場合に、その刺繍模様を前記表示画面に表示することを特徴とする。
【0013】
請求項6の刺繍データ処理プログラムは、請求項1から5までの何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段として、刺繍データ作成装置のコンピュータを機能させるためものである。よって、上記した請求項1から5までの発明と同様の効果を奏する。
請求項7のミシンは、請求項1から5までの何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたものである。よって、上記した請求項1から5までの発明と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の刺繍データ作成装置によれば、第1割当手段による一次的な配色によって、刺繍模様について、偶然性や意外性のある配色が可能となり、規定の配色にとらわれない多様な配色パターンを簡単に得ることができる。また、当該刺繍模様が各色別模様部に割り当てられた色で表示画面に表示されるため、色別模様部の色を視覚的に容易に把握することができる。
更に、表示画面に表示された色別模様部の中から所望の色を指定し、第2割当手段によって、他の色より優先して所望の色を割り当てる二次的な配色を行うことができる。これにより、刺繍模様にユーザの所望する色を採り入れつつ簡単に刺繍データを作成することができる。
【0015】
請求項2の刺繍データ作成装置によれば、請求項1の発明の効果に加え、表示画面に、色の組み合わせが異なる刺繍模様を複数表示させ、それら刺繍模様における各色別模様部の中から所望の糸色データを指定することができる。従って、ユーザは、表示画面表示された複数の刺繍模様を視認しながら、所望の糸色データを容易に指定することができる。
【0016】
請求項3の刺繍データ作成装置によれば、請求項2の発明の効果に加え、拡大手段によって、複数の刺繍模様のうち所望する刺繍模様のみを拡大して表示画面に表示する。これにより、刺繍模様が拡大表示されるため、ユーザは、刺繍模様の細部まで明確に視認することができる。よって、色別模様部が小さい場合であっても、ユーザは、糸色データを容易に指定することができる。また、表示画面が小さい表示手段である場合でも、刺繍模様が拡大表示されるため、ユーザは、刺繍模様の細部まで明確に視認することができる。
【0017】
請求項4の刺繍データ作成装置によれば、請求項1から3までの何れかの発明の効果に加え、表示手段によって、刺繍模様が第1割当手段或は第2割当手段により割り当てられた色で表示される。従って、各割当手段で割り当てた夫々の色別模様部の色を、視覚的に容易に把握することができる。
【0018】
請求項5の刺繍データ作成装置は、請求項4の発明の効果に加え、再配色指示手段によって、ユーザの指示に基づき糸色データに係る抽出と割り当てとを繰り返し実行することができる。従って、表示画面に表示される刺繍模様について、ユーザが気に入るまで再配色指示手段により新たな配色の刺繍データを作成することができる。
【0019】
請求項6の刺繍データ処理プログラムは、請求項1から5までの何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段として、刺繍データ作成装置のコンピュータを機能させるためのものである。よって、上記した請求項1から5までの発明と同様の効果を奏する。
請求項7のミシンは、請求項1から5までの何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたものである。よって、上記した請求項1から5までの発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示すミシンの外観斜視図
【図2】電気的構成を示すブロック図
【図3】ミシンのRAMの記憶領域を説明するための概念図
【図4】刺繍データの一例を示す図
【図5】刺繍データの作成時における配色モード選択画面の一例を示す図
【図6】第1色替画面の一例を示す図
【図7】第2色替画面の一例を示す図
【図8】サムネイル表示画面の一例を示す図
【図9】複数のサムネイル表示画面を説明するための図
【図10】拡大表示画面の一例を示す図
【図11】指定手段により指定された色別模様部を強調表示した状態で示す図10相当図
【図12】リポジトリ画面の一例を示す図
【図13】刺繍データ作成処理における糸色データの設定に係る全体のフローチャート
【図14】ランダム配色処理に係るフローチャート
【図15】グラデーションの配色モードでの抽出処理に係るフローチャート
【図16】ランダム、ビビッド及びソフトの配色モードでの抽出処理に係るフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を家庭用ミシン(以下、ミシンMと称す)に適用した一実施形態について、図1〜図16を参照しながら説明する。
図1において、ミシンMは、左右方向に延びるベッド部1と、ベッド部1の右端部から上方に立上がる脚柱部2と、脚柱部2の上部からに左方に延びるアーム部3とを一体に備えて構成されている。アーム部3内には、ミシン主軸(図示略)が左右方向に延びるように設けられていると共に、前記ミシン主軸を回転させるミシンモータ4(図2参照)が配設されている。尚、ミシンMに対して使用者(ユーザ)が位置する方向を前方とし、その反対方向を後方とする。また、脚柱部2が位置する側を右側とし、その反対側を左側とする。
【0022】
アーム部3の先端部には、縫針5を装着した針棒5aと、押え足6を備えた押え棒(図示略)とが設けられている。また、図示は省略するが、アーム部3内には、前記針棒をミシン主軸の回転に基づき上下動させる針棒駆動機構、針棒を布送り方向と直交する方向(左右方向)に揺動させる針棒揺動機構、天秤を針棒の上下動に同期して上下動させる天秤駆動機構、前記押え棒を上下動させる押え棒駆動機構等が配設されている。
アーム部3には、上面側を開閉するカバー3aが開閉可能に設けられている。カバー3aを開けた状態におけるアーム部3の手前側の中央部には、糸駒10を収容するための収容部10aが設けられている。糸駒10から延びる上糸は、前記天秤等を含む糸供給経路を経由して縫針5に供給される。
【0023】
アーム部3の前面側には、縫製作業の起動と停止を指令する起動停止スイッチ8a等の各種のスイッチ類が設けられると共に、縫製速度(ミシン主軸の回転速度)を調節するための速度調節ツマミ8bが設けられている。
脚柱部2の前面には、大型で縦長形状をなしフルカラー表示が可能なディスプレイ9が設けられている。ディスプレイ9は、例えば液晶カラーディスプレイから構成されている。ディスプレイ9には、実用模様や刺繍模様等の種々の縫製模様、縫製作業に必要な各種の機能を実行させる機能名の他、後述する刺繍模様の色を設定するための設定画面等が表示される(図5等参照)。また、ディスプレイ9の前面には、透明電極からなる複数のタッチキーを有するタッチパネル9a(図2参照)が設けられており、このタッチキーがユーザの指又はタッチペン(図示略)で押圧操作されることで、前記の縫製模様の選択、各種機能の指示、各種のパラメータ等の設定が可能になっている。
脚柱部2の右側面には、各種の刺繍模様の刺繍データ等が記憶されているメモリカード11(図2にのみ図示)が挿入されるカードスロット12が設けられている。
【0024】
ベッド部1の上面には、図示しない針板が設けられている。また、いずれも図示は省略するが、ベッド部1内には、前記針板の下側に位置して、送り歯を上下方向及び前後方向に移動させる布送り機構、下糸ボビンを収容し縫針5と協働して縫目を形成する水平回転釜、上糸と下糸を切断する糸切り機構等が配設されている。
ベッド部1の左側部分には、刺繍枠移送装置13が取外し可能に装着される。刺繍枠移送装置13は、ベッド部1の上面と同じ高さになる本体部14と、本体部14の上面部に左右方向に移動可能に設けられた可動部15とを備えている。可動部15には、刺繍枠16を着脱可能に連結するためのキャリッジ17が前後方向に移動可能に設けられている。刺繍枠16は、縫製対象たる加工布CLを保持する。刺繍枠移送装置13は、キャリッジ17を可動部15ごと左右方向に駆動させるX方向移送機構(図示略)と、キャリッジ17を前後方向に移動させるY方向移送機構(図示略)とを備えている。刺繍枠16は、前記刺繍模様の刺繍データに基づいて、X方向移送機構及びY方向移送機構の夫々の駆動モータ(後述するX軸モータ18及びY軸モータ19、図2参照)の駆動により、左右方向たるX方向、及び前後方向たるY方向へ移動される。
【0025】
続いて、ミシンMの制御系の構成について、図2のブロック図を参照しながら説明する。
制御装置21は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、内部にCPU22、ROM23、RAM24、EEPROM25、カードスロット12、入出力インターフェース27a,27b(I/O)、それらを結ぶバス28等を有する。入力インターフェース27aには、起動停止スイッチ8a、タッチパネル9aが接続されている。出力インターフェース27bには、ミシンモータ4、X軸モータ18、Y軸モータ19、ディスプレイ9を夫々駆動する駆動回路31,32,33,34が接続されている。制御装置21、ディスプレイ9及び駆動回路34は、表示手段に相当する。また、制御装置21、タッチパネル9a、ディスプレイ9、駆動回路34等から、刺繍データ作成装置30が構成される。
【0026】
ROM23は、刺繍データ、縫製制御プログラム、刺繍縫製に用いられる複数種類の糸に関する全ての情報であって後述の糸の色情報や品番等を含む全糸情報テーブル、及びディスプレイ9を制御する表示制御プログラムを記憶している。また、ROM23には、刺繍データを作成するための各種処理手段としてコンピュータを機能させるための刺繍データ処理プログラムが記憶されている。尚、これら各種のプログラムやデータは、EEPROM25等を含む他の内部記憶手段や、メモリカード11等の外部記憶手段に記憶されてもよい。例えば刺繍データ処理プログラムが外部記憶手段に記憶されている場合、制御装置21は、当該プログラムをRAM24上に読み込んで実行する。
【0027】
RAM24は、上記のプログラムやデータ、タッチパネル9aの操作等で入力された各種の設定値、制御装置21で演算された演算結果等を一時的に記憶するための記憶領域を有する。詳細には、図3に示すように、RAM24には、プログラム記憶領域241,設定記憶領域242、刺繍データ記憶領域243、フラグ記憶領域244、縫製条件記憶領域245、画像表示データ記憶領域246、色情報記憶領域247、リポジトリ記憶領域248、抽出データ記憶領域249等、複数の記憶領域が設けられている。
【0028】
プログラム記憶領域241は、ROM23等から読み出された各種のプログラムを記憶する。設定記憶領域242は、プログラムの実行の際に参照される設定値やテーブル等を記憶する。刺繍データ記憶領域243は、刺繍データ作成時の元(基準)となるデータを記憶する。フラグ記憶領域244は、プログラムの実行の際に使用される各種フラグを記憶する。縫製条件記憶領域245は、刺繍模様を縫製する際の各種縫製条件を記憶する。画像表示データ記憶領域246は、ディスプレイ9に表示する画面の画像データや表示設定を記憶する。
【0029】
色情報記憶領域247は、刺繍模様の配色に用いられるデータを記憶するための領域で、後述するパレット別色番号を含むパレットテーブル等を記憶する。また詳しくは後述するように、リポジトリ記憶領域248は、刺繍模様における色別模様部の中からユーザにより指定された色を記憶する。抽出データ記憶領域249は、前記パレットテーブル等から抽出した色を一次的に記憶する。尚、上記リポジトリ記憶領域248を有するRAM24は、第2記憶手段として構成されている。
【0030】
前記刺繍模様の一例として、図10に示すディスプレイ9の画面103に表示された「花」の刺繍模様40を説明する。刺繍模様40は、例えば複数個(n個)の色別模様部である第1模様部401〜第n模様部40nからなる。具体的には例えば、花びらを構成する第1模様部401は赤の糸色で縫製され、葉を構成する第2模様部402は緑色の糸色で縫製され、茎を構成する第3模様部403は黄緑の糸色で縫製される。このように、模様部401〜40nは、夫々に色が設定される色別模様部であるが、各模様部401〜40nは相互に異なる色でなくてもよい。
【0031】
刺繍データは、刺繍模様をミシンMにより縫製するためのデータであり、複数個の色別模様部データからなる。例えば、図4に示すように、刺繍模様40の刺繍データの場合には、模様部401〜40n毎に設定された複数の針落ち位置データと、当該模様部401〜40nの縫製順序を特定するための縫製順序データ(模様1〜模様n)と、糸色データを含む。糸色データは、色別模様部毎に色を特定するために付されるデータであり、後述の割当手段により各色情報の中から色が割り当てられる。
【0032】
詳細には、図4における一番上の縫製順序データ「模様1」は最初に縫製される順序を特定するもので、これに対応する「赤」は、実際には例えばRGB値で示される糸色データである。また、針落ち位置データ「Xa0、Ya0」…「XaN、YaN」は、紫の糸色に対応する縫針が順次針落ちする座標位置である。これと同様に、縫製順序が2番目以降の刺繍データについても、縫製順序データ「模様2」〜「模様n」と、糸色データ「黄緑」〜「黄色」と、針落ち位置データ「XbN、YbN」〜「XnN、YnN」とが夫々含まれる。また、刺繍データは、ディスプレイ9に表示する画像データ(例えばbmp等の画像データ)(図示略)を含み、刺繍模様の画像は各糸色データに割り当てられた色でディスプレイ9に表示される。
【0033】
EEPROM25は、前記糸色データとして割り当てられる色情報が記憶された第1記憶手段である。色情報は、例えば、ミシンMにおいて使用可能な糸駒10の糸色に関する情報であって、RGB値で予め定義されている。具体的には、64色分のRGB値と当該RGB値に夫々対応付けられた1〜64のパレット別色番号とからなる第1パレットテーブル(図6の第1カラーパレット56a参照)がEEPROM25に記憶されている。また、第1パレットテーブルとは別に、前記色情報の中から予めユーザにより選択された複数の色が、第2パレットテーブル(図7の第2カラーパレット56b参照)としてEEPROM25に記憶されている。第2パレットテーブルは、例えば、最大で300色分のRGB値、及び当該RGB値に夫々対応付けられた1〜300のパレット別色番号の設定入力が可能なカスタムパレットテーブルである。
【0034】
また、本実施形態では、RGB値の他、当該RGB値に対応するHSV空間における色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)により定義されるHSV値が用いられる。HSV値は、制御装置21によってRGB値に基づき公知の算出方法により演算される値で、色相値H、彩度値S、及び明度値Vで表される。この場合、色相とは赤、紫、青等の色の種類で、Hの値は例えば0〜360の範囲にある。彩度は色の鮮やかさで、Sの値は例えば0.0〜1.0の範囲にある。明度は色の明るさで、Vの値は例えば0.0〜1.0の範囲にある。
前記色情報は、複数のカテゴリ別に分類することができる。カテゴリとして例えば「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」(何れも図5参照)の分類基準が用意されている。これらカテゴリには、上記のHSV値で示される閾値が夫々設定され、各色情報は、当該カテゴリ毎に閾値で区分される。
【0035】
即ち、「ビビッド」については、彩度値Sに係る閾値SVが設定されることで分類される色であって(図16のステップD2参照)、各色情報のうち彩度値SがSVよりも高い数値の色で構成されるカテゴリである。「ビビッド」のカテゴリに属する色は、何れもビビッドで鮮明な色調を有し、比較的彩度のレベルが高いものとされる。「ソフト」は、彩度値Sに係る閾値について下限及び上限がSS1及びSS2に設定されることで分類される色であって(同ステップD2参照)、各色情報のうち彩度値SがSS1〜SS2の範囲の色で構成されるカテゴリである。「ソフト」のカテゴリに属する色は、何れも互いの彩度のレベルに大差が無く全体としてソフトな色合いを呈する。「グラデーション」は、各色情報のうちの1つの色の色相レベルを中心値とした所定の色相レベルの閾値HG1〜HG2で画されるカテゴリである(図15のステップC2参照)。このため、「グラデーション」のカテゴリに属する色は、ある1つの色、例えば紫に対して閾値HG1に相応する赤〜閾値HG2に相応する青の範囲内にある、カラーグラデーションを呈する。上記した各閾値SV、SS1、SS2、HG1、HG2は、例えばEEPROM25に記憶されている。
【0036】
図5に示す「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の何れかのキー51b〜51dに対応する前記タッチキーを押圧操作(以後、タッチ操作と称す)することで、そのカテゴリ毎に色を抽出する配色モードに設定される。一方、「ランダム」は、そのキー51aのタッチ操作により、カテゴリを問わず複数色の中から色を抽出する配色モードに設定される。また、詳しくは後述するように、各キー51a〜51dに対応する何れの配色モードでも、色別模様部の糸色データ毎にランダムに色を抽出して割り当てる割当処理が実行されるようになっている。
ここで、制御装置21は、前記割当処理において乱数を発生させる乱数発生手段として構成されている。例えば、制御装置21は、パレット別色番号の最大値を引数とする関数を用いて、当該パレット別色番号(第1パレットテーブルでは1〜64)の範囲で乱数を発生させる。制御装置21は、発生した乱数と一致する第1パレットテーブルのパレット別色番号を照合し、当該パレット別色番号に対応するRGB値等を抽出する。これにより、図6に示す64の升目(64色)の第1カラーパレット56aの中からランダムに色が抽出される。
【0037】
次に、刺繍データの作成、特には糸色データの配色に際し、ディスプレイ9に表示される画面について図5〜図12も参照しながら説明する。ここで、図5〜図12は、ディスプレイ9における各表示画面100〜104を説明するための図である。各表示画面100〜104における刺繍模様の画像や第1及び第2カラーパレット56a,56b等は、ディスプレイ9が液晶カラーディスプレイであることから、多数色を表示可能である。
【0038】
図5は、刺繍データの作成時に配色を行う場合の配色モード選択画面100を示している。配色モード選択画面100には、プレビュー画像を表示するプレビュー画像領域50、モード設定部51、糸色データ表示領域52、色数設定部53、複数のパレット選択キー54a,54bが設けられている。プレビュー画像は、ユーザにより選択された刺繍模様について該当する刺繍データにより刺繍を行った場合に、どのような刺繍結果となるのかを示す画像である。
【0039】
モード設定部51には、上記した「ランダム」「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の夫々のキー51a〜51dが設けられている。色数設定部53は、プラスキーやマイナスキーがタッチ操作されることで、刺繍データの糸色データとして用いる色の種類の総数を設定する。例えば図5に示すように色数設定部53が6色に設定されている場合には、刺繍模様は6色だけを使って配色されることとなる。パレット選択キー54a,54bがタッチ操作されると、第1色替画面101A或は第2色替画面101Bに切り換わる。
【0040】
図6に示す第1色替画面101Aには、プレビュー画像領域50及び糸色データ表示領域52の他、シャッフルキー55及び前記第1カラーパレット56aが設けられている。糸色データ表示領域52には、プレビュー画像領域50の刺繍模様の色別模様部毎に対応する色と、その糸駒52aのイラストと、当該色別模様部の縫製時間が示されている。第1カラーパレット56aにおいて、例えば最上段の1列は、左から順に前記第1パレットテーブルのパレット別色番号1〜8のRGB値が夫々割り当てられている。このように、第1カラーパレット56aは、上段から下段にわたって第1パレットテーブルの色情報が段毎に8つずつ対応するように配置された64色のパレットである。
【0041】
図7に示す第2色替画面101Bでは、第1色替画面101Aと同様にプレビュー画像領域50等が設けられると共に、第1カラーパレット56aに代えて第2カラーパレット56bが設けられている。第2カラーパレット56bは、前記色情報のRGB値に基づいて、300の升目のパレットに最大で300色の色の配置が可能で、前記のカスタムパレットテーブルに対応する。図7では300の升目からなる第2カラーパレット56bのうち一部(50の升目)が示されている。一対のパレット選択キー54a,54bがタッチ操作されることで、第1及び第2色替画面101A、101B相互間で切り換わる。シャッフルキー55がタッチ操作されることで配色モード選択画面100に戻る。
【0042】
配色モード選択画面100において、前記キー51a〜51dのタッチ操作により「ランダム」〜「グラデーション」の何れかの配色モードで前記割当処理が実行された後、図8に示すサムネイル表示画面102Aに切り換わる。
サムネイル表示画面102Aでは、複数(例えば6個)の刺繍模様が表示される刺繍模様選択領域61、リターンキー62、リポジトリキー63、リフレッシュキー64等が設けられている。刺繍模様選択領域61は、糸色データに対して割当処理により割り当てた色の組み合わせが異なる複数の刺繍模様について、夫々の画像を縮小したサムネイル画像61aを表示する。また、リフレッシュキー64がタッチ操作されると、糸色データに対して新たに色が割り当てられ、現在表示されている6個の刺繍模様に加えて新たな6個の刺繍模様が表示される。
【0043】
図9は、新たな6個の刺繍模様が表示されたサムネイル表示画面102Bを示している。こうして、リフレッシュキー64のタッチ操作により、複数の表示画面102A,102Bにわたって、多様な配色パターンをサムネイル画像61aで追加的に表示(作成)することができる。複数の表示画面102A,102Bの切り換えは、夫々の画面102A,102B下部に設けられた方向キー60a,60bのタッチ操作で行うことができる。尚、図8及び図9に示す方向キー60a,60b間の数字(1/1及び2/2)は、複数の表示画面102A及び102Bに付されたページ数を示す。
リターンキー62がタッチ操作されると、配色モード選択画面100に戻り、刺繍模様のサムネイル画像がタッチ操作されると図10に示す拡大表示画面103に切り換わる。
【0044】
拡大表示画面103では、拡大画像領域65、クローズキー66、セットキー67、キープカラーキー68等が設けられている。拡大画像領域65には、図8或は図9で選択されたサムネイル画像(例えば図8にて太枠で囲われた画像61a)を拡大した1つの刺繍模様40の画像が表示される。ここで、拡大画像領域65に表示された刺繍模様40に、ユーザの所望する色が用いられている場合、該当する色別模様部(例えば模様部401)をタッチ操作する。これにより、模様部401は、例えば図11に示すように輪郭たる周縁部を当該模様部401の色とは異なる色で縁取ることで強調表示される。ここで、キープカラーキー68をタッチ操作すると、模様部401の色は、図12に示すリポジトリ画面104の優先指定カラーパレット71に登録される。タッチパネル9a及び制御装置21は、拡大表示画面103に表示された各色別模様部の中から、ユーザの所望する糸色データの色を指定する指定手段に相当する。
【0045】
拡大表示画面103のセットキー67がタッチ操作されると、前記プレビュー画像の刺繍模様として拡大画像領域65の刺繍模様40を表示した配色モード選択画面100に戻る。また、拡大表示画面103のクローズキー66がタッチ操作されるとサムネイル表示画面102A,102Bに戻る。
【0046】
前記リポジトリ画面104は、サムネイル表示画面102A,102Bでリポジトリキー63をタッチ操作することにより表示される。図12に例示するリポジトリ画面104には、複数の升目(同図で24の升目)からなる優先指定カラーパレット71、リターンキー72が設けられている。例えば、優先指定カラーパレット71の各升目には、上段の左から順に前記指定手段でユーザが指定した色の色情報が順次登録されるようになっている。このように、優先指定カラーパレット71は、前記指定手段で指定した色の色情報を一目で把握できるように画面にカラー表示するパレットである。リポジトリ画面104のリターンキー72が操作されると、サムネイル表示画面102A,102Bに戻る。尚、優先指定カラーパレット71の最大登録数は24色に限定するものではなく、より多くの色の設定が可能に構成する等、適宜変更してもよい。
【0047】
RAM24のリポジトリ記憶領域248には、例えば、指定手段により指定された、最大で24色分のRGB値と当該RGB値に夫々対応付けられた1〜24のパレット別色番号とからなる優先指定パレットテーブルが記憶される。
そして、制御装置21は、指定手段により指定された色がある場合、第1パレットテーブルや第2パレットテーブルの色よりも、優先指定パレットテーブルの色(リポジトリ記憶領域248に記憶された色)を優先してランダムに抽出する。抽出した色は夫々、色別模様部の糸色データ毎に割り当てられる。これにより、刺繍データについてランダムな配色としながらも、ユーザの好みや感性に応じた色を用いて簡単に作成することができるようになっている。
【0048】
次に、刺繍データ処理プログラムの動作について、前記糸色データに関する配色を中心に図13〜図16を参照しながら説明する。図13〜図16は、刺繍データ処理プログラムに基づいて制御装置21が実行する処理手順を示すフローチャートである。
ユーザは、タッチパネル9aをタッチ操作して、ROM23から刺繍データを読み取り、その刺繍データに従ってディスプレイ9の模様選択画面(図示略)を表示する。模様選択画面における複数の刺繍模様の中から、所望の刺繍模様をタッチ操作により選択すると、当該刺繍模様を表示した図5の配色モード選択画面100に切換る(図13のステップA1)。
【0049】
配色モード選択画面100において、パレット選択キー54a,54bがタッチ操作された場合、パレット判定用フラグをセット又はリセットする。制御装置21は、当該フラグのセット状態に基づいて、後述するステップC1等においてランダム配色に使用するパレット56a,56bの種類を判断する。また、ステップA1では、配色モード選択画面100における色数設定部53のプラスキーやマイナスキーのタッチ操作により、刺繍模様の配色に使用する色の種類の総数(設定配色数x)が設定される。
【0050】
そして、ステップA2では「ランダム」「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の何れかのキー51a〜51dのタッチ操作により配色モードが設定され、ステップA3のランダム配色処理に移行する(図14参照)。
ランダム配色処理では、ステップB1で「ランダム」「ビビッド」及び「ソフト」の何れかの配色モードが設定されたか否かが判断される。これらの配色モード以外(ステップB1にてNO)、つまりグラデーションの配色モードに設定された場合、ステップB2の抽出処理に移行する(図15参照)。
【0051】
グラデーションの配色モードにおいて、制御装置21は、パレット判定用フラグのセット状態に基づいて、例えば、第1カラーパレット56aが選定されていると判断した場合、そのパレットにおける色の数に対応する1〜64までの乱数を発生させる(ステップC1)。次いで、発生した乱数と一致する第1パレットテーブルの1〜64のパレット別色番号を照合し、当該パレット別色番号に対応する色を基準色として選出する。また、制御装置21は、選出した基準色のRGB値に基づいてHSV値を演算し、その色相値Hを中心値とする範囲(閾値HG1、HG2)を設定する(ステップC2)。
【0052】
ここで、制御装置21は、先ず優先指定パレットテーブルから色を抽出する(ステップC3)。もっとも、この場合、未だ前記指定手段によるユーザの指定が無く、リポジトリ記憶領域248に色が記憶されていない(ステップC4にてNO)。そこで、制御装置21は、第1パレットテーブルにおけるパレット別色番号1の色について、RGB値に基づき色相値Hを演算し、当該色相値Hが閾値HG1〜HG2の範囲内にあるか否かを判断する(ステップC5)。色相値Hが閾値HG1〜HG2の範囲内にある場合、パレット別色番号1の色は、グラデーションのカテゴリに属する色として色情報記憶領域247に記憶される。また、第1パレットテーブルにおけるパレット別色番号2以降の色についても順次、パレット別色番号1の色と同様の処理が行われる。これにより、第1パレットテーブルは、グラデーションのカテゴリに属する色が選定(更新)され、その更新後の内容で色情報記憶領域247に記憶される。
【0053】
前記64色分の全てについての選定を終えると、前記ステップC3で優先指定パレットテーブルから選定した色数(現時点では無し)とステップC5で第1パレットテーブルから選定した色数とを合わせて、設定配色数x以上か否かが判断される(ステップC6)。設定配色数xに満たない場合(NO)、前述のように乱数を発生させて新たに基準色を設定する(ステップC7、C1)。そして、再度ステップC1〜C7が繰り返し実行され、基準色を基に設定配色数x以上の色が選定されると(ステップC6にてYES)、それら複数色の中からx色が抽出される(ステップC8)。
【0054】
当該抽出処理にあっては、選定された色情報記憶領域247における色の総数の範囲内で乱数を発生させる。発生した乱数と一致する選定後のパレット別色番号を照合し、当該パレット別色番号に対応するRGB値を抽出する。こうして乱数を利用して、色情報記憶領域247から相互に重複しないx色をランダムに抽出する。抽出した色は、RAM24の抽出データ記憶領域249に記憶し、図14のステップB4にリターンする。
【0055】
ステップB4では、色別模様部の糸色データ毎に、ランダムに抽出した色が割り当てられる。当該割当処理に際し、色別模様部の総数nと配色設定数xとの差である不足数が算出され、不足数が生じる場合には、追加選択処理が行われる。即ち、配色処理の前提として色別模様部の数nと抽出データ記憶領域249の色の数とを同数にすべく、抽出データ記憶領域249の中から不足分の色を選択する。選択した色は、当該抽出データ記憶領域249に、色別模様部の総数nと同じ数の分、追加的に記憶される。また、割当処理に際し、予め抽出データ記憶領域249に記憶された色のシャッフルを行う。つまり、前記追加選択処理が行われると抽出データ記憶領域249に重複した色が記憶されるため、抽出データ記憶領域249における複数の色が無作為に並ぶように並び替える処理を実行する。これにより、色別模様部の個数n分の色をランダムに割り当て、1つ目の刺繍模様の配色を完了すると、その糸色データの全部をRAM24に記憶する。
【0056】
本実施形態では、例えば、サムネイル表示画面102Aに互いに配色の異なる6個の刺繍模様を表示する。そこで、2つ目以降の刺繍模様の配色についても(ステップB5にてNO)、ステップB1,B2,B4,B5が実行され、既に作成した刺繍模様の配色と異なる場合に、1つ目と同様に糸色データが記憶される(ステップB4)。こうして、サムネイル表示する全数の配色が行われた(ステップB5にてYES)と判断されるまでステップB1,B2,B4,B5が繰り返し実行されることにより、「グラデーション」の配色モードで配色の異なる6個の刺繍模様の組み合わせが作成される。
【0057】
前記ステップB1で「ランダム」「ビビッド」及び「ソフト」の何れかの配色モードが設定されたと判断された場合(YES)、前記ステップB2に代えてステップB3の抽出処理が実行される(図16参照)。
即ち、上記したように、優先指定カラーパレット71に色が登録されていない場合(ステップD1にてYES)、当該優先指定パレットテーブルから色を取得できない(ステップD7にてNO)。尚、同図のステップD7に示す「T」は、後述するステップD2〜D6を経て、優先指定パレットテーブルの色を元に抽出された最終的な色数である。
【0058】
そこで、制御装置21は、パレット判定用フラグのセット状態に基づき、例えば、第1カラーパレット56aが選定されていると判断した場合、そのパレットにおける色の中から配色モードに応じた色が選定される(ステップD8)。
具体的には、ランダムの配色モードに設定されている場合、閾値SV、SS1、SS2、HG1、HG2の何れも設定されないため、パレット別色番号1〜64の全てのRGB値がそのままRAM24の色情報記憶領域247に記憶される。換言すれば、カテゴリが設定されていない場合、第1パレットテーブルの64色分がそのまま色情報記憶領域247に保持される。
【0059】
ビビッド或はソフトの配色モードに設定されている場合、パレット別色番号1のRGB値に基づいて彩度値Sを演算する。そして、彩度値Sが閾値SVより高いか、或は閾値がSS1〜SS2の範囲内か否かを判断する。ここで、パレット別色番号1の色について、彩度値Sが閾値SVより高いか或は閾値がSS1〜SS2の範囲内にある場合、ビビッド或はソフトのカテゴリに属する色として色情報記憶領域247に記憶される。パレット別色番号2以降の色についても、パレット別色番号1と同様に、読み出したRGB値に基づき彩度値Sを演算し、当該彩度値Sと閾値SV或はSS1〜SS2とを比較して、色情報記憶領域247への保存の有無を判断する。こうして、ビビッド或はソフトの配色モードに設定されている場合、第1パレットテーブルの64色分について、ビビッド或はソフトのカテゴリに属する色が選定(更新)され、その更新後の内容で色情報記憶領域247に記憶される。
【0060】
こうして、ランダム、ビビッド或はソフトの配色モードに応じた色が選定された後、設定配色数xからステップD2〜D6で抽出した色数T(現時点ではT=0)を差し引いた分の色数を、当該選定した色の中から抽出する(ステップD9)。この場合、前述した乱数を利用して、相互に重複しないx色をランダムに抽出してRAM24の抽出データ記憶領域249に記憶した後、図14のステップB4にリターンする。
【0061】
ステップB4では、グラデーションの配色モードと同様の割当処理が行われ、1つ目の刺繍模様の配色を完了すると、その糸色データの全部をRAM24に記憶する。また、2つ目以降の刺繍模様の配色についても、サムネイル表示する全数の配色が行われた(ステップB5にてYES)と判断されるまでステップB1,B3,B4,B5が繰り返し実行される。これにより、ランダム、ビビッド或はソフトの配色モードにおいて、配色の異なる6個の刺繍模様の組み合わせが作成され、図13のステップA4にリターンする。
【0062】
上記のステップA3(或は後述のステップA14)を実行する制御装置21は、優先指定パレットテーブルの未設定状態において、糸色データとして用いる色を、色別模様部毎に第1或は第2パレットテーブルからランダムに抽出して割り当てる第1割当手段に相当する。当該割当手段は、厳密には前記ステップB2、B3を実行する第1抽出手段と、ステップB4を実行する狭義の第1割当手段を含む。
【0063】
ステップA4では、サムネイル表示画面102Aに、上記の配色モードで作成された複数個(図8では6個)の刺繍模様について、夫々の画像を縮小したサムネイル画像を表示する。ここで、何れかの刺繍模様のサムネイル画像61aがタッチ操作されると(ステップA5にてYES)、図10に示す拡大表示画面103へ遷移する(ステップA6)。拡大表示画面103では、選択されたサムネイル画像61aを拡大した刺繍模様が表示される。
【0064】
拡大表示画面103で、拡大画像領域65に表示された刺繍模様40に、ユーザの所望する色が用いられている場合、該当する色別模様部(例えば模様部401)をタッチ操作する(ステップA7にてNO、ステップA8にてYES)。これにより、模様部401は、例えば図11に示すように輪郭たる周縁部を当該模様部401の色とは異なる色で縁取ることで強調表示される(ステップA9)。ここで、キープカラーキー68をタッチ操作すると(ステップA10にてYES)、模様部401の色は、RAM24のリポジトリ記憶領域248に記憶されると共に、優先指定カラーパレット71に登録される(ステップA11)。この後、拡大表示画面103のクローズキー66がタッチ操作されるとサムネイル表示画面102Aに戻る(ステップA12にてYES)。
【0065】
サムネイル表示画面102Aで、リフレッシュキー64をタッチ操作すると(ステップA13にてYES)、前記ステップA4と同様のランダム配色処理が実行される(ステップA14)。これにより、糸色データに対して新たに抽出された色が割り当てられ、サムネイル表示画面102Aとは別の、新たな6個の刺繍模様が表示されたサムネイル表示画面102B(図9参照)が表示される(ステップA4)。こうして、ランダムに配色された刺繍模様を、複数の表示画面102A,102Bにわたって多数、表示することができる。また、ユーザは、その多数の刺繍模様の中から、当該刺繍模様に好適な色があれば、これを拡大表示して該当する色別模様部をタッチ操作することで(ステップA5〜A10)、リポジトリ記憶領域248に新たな色を複数登録することができる(ステップA11)。こうして、リポジトリ記憶領域248の優先指定パレットテーブルは、ユーザにより登録(指定)された複数色分のRGBと、当該RGB値に夫々対応付けられたパレット別色番号とが追加的に記憶される。
【0066】
優先指定パレットテーブルの色は、サムネイル表示画面102A,102Bでリポジトリキー63をタッチ操作することにより確認することができる(ステップA15にてYES、ステップA16)。つまり、リポジトリ画面104では、ユーザにより指定した色が、優先指定カラーパレット71で一覧表示される。尚、図12に例示する優先指定カラーパレット71では、登録された3色分を示しているが、前述のように多数の刺繍模様が表示されることから、ユーザの好みの色等を多数指定し、簡単に登録することができる。この後、リポジトリ画面104のリターンキー72がタッチ操作されるとサムネイル表示画面102A,102Bに戻る(ステップA17にてYES)。
【0067】
サムネイル表示画面102A,102Bでリターンキー62がタッチ操作されると(ステップA18にてYES)、配色モード選択画面100に戻る(ステップA1にリターンする)。このため、配色モード選択画面100において、ランダム配色に使用するパレット56a,56bや設定配色数x、配色モード等を設定し直して、ステップA3のランダム配色処理を行うことができる。この場合のランダム配色処理、或は、再度リフレッシュキー64をタッチ操作した場合のランダム配色処理(ステップA13にてYES、ステップA14)にあっては、優先指定カラーパレット71に登録された色を優先的に使用した配色が行われる。
【0068】
即ち、前記「グラデーション」の配色モードにおける抽出処理(ステップB2)では、第1及び第2パレットテーブルから色を選定する処理(図15のステップC5)よりも、優先指定パレットテーブルから色を選定する処理(同図のステップC3)を優先して実行する。この場合、前述したように、ステップC1、C2で基準色から閾値HG1、HG2を設定し、ステップC3では、優先指定パレットテーブルの複数色について、夫々算出した色相値Hが閾値HG1〜HG2の範囲内にあるか否かを判断する。これにより、優先指定パレットテーブルの複数色の中から、グラデーションのカテゴリに属する色が選定されて色情報記憶領域247に記憶される。
【0069】
優先指定パレットテーブルの全ての色について選定を終えると、その選定した色数が設定配色数x以上か否かが判断される(ステップC4)。選定した色数が設定配色数xに満たない場合(NO)には、第1或は第2パレットテーブルからも前記閾値HG1〜HG2の範囲内にある色が選定される(ステップC5)。そして、ステップC3で優先指定パレットテーブルから選定した色数とステップC5で第1或は第2パレットテーブルから選定した色数とを合わせて、設定配色数x以上か否かが判断される(ステップC6)。設定配色数xに満たない場合(NO)、基準色を更新する(ステップC7、C1)。こうして、再度ステップC1〜C7が繰り返し実行されることで、基準色を基に設定配色数x以上の色が選定されると(ステップC6にてYES)、それら複数色の中からx色が抽出される(ステップC8)。
【0070】
この場合、色情報記憶領域247には、第1或は第2パレットテーブルと優先指定パレットテーブルとのうち、優先指定パレットテーブルから選定した色が優先的に記憶されている。他方、前記ステップC4でYESと判断される場合、色情報記憶領域247には、優先指定パレットテーブルの色だけが記憶される。このため、何れの場合でも、優先指定パレットテーブルの色を優先的に記憶させて抽出することができる。こうして、グラデーションの配色モードにおいて(図14のステップB2)、優先指定カラーパレット71の色を優先してランダムに抽出し、色別模様部の前記糸色データ毎に、当該抽出した色を割り当てる(ステップB4)。尚、前述したように、本実施形態では6個分の刺繍模様について上記の配色処理が行われ(ステップB1,B2,B4,B5)、サムネイル表示画面102Aにサムネイル画像を表示する(図13のステップA4)。
【0071】
また、「ランダム」「ビビッド」及び「ソフト」の何れかの配色モード(図14のステップB3)でも、優先指定カラーパレット71にユーザによる色の登録がなされている場合、その登録された色を優先的に使用した配色が行われる。
即ち、図16のステップD1において、優先指定パレットテーブルの色数Rが0か否かを判断し、0で無い場合には(NO)、当該優先指定パレットテーブルから色を取得する(ステップD2)。
【0072】
ここで、ランダムの配色モードに設定されている場合、前述したように閾値SV、SS1、SS2、HG1、HG2の何れも設定されないため、優先指定パレットテーブルの全てのRGB値がそのままRAM24の色情報記憶領域247に記憶される。また、ビビッド或はソフトの配色モードに設定されている場合、優先指定パレットテーブルの色について、各RGB値から演算した彩度値Sを基に、閾値SVより高いか、或は閾値がSS1〜SS2の範囲内にあるか否かを判断する。これにより、優先指定パレットテーブル内の色について、ビビッド或はソフトのカテゴリに属する色を選定して色情報記憶領域247に記憶する。
【0073】
そして、優先指定パレットテーブルから選定した色数R´が0か否かを判断し、0で無い場合には(ステップD3にてNO)、選定した色数R´が設定配色数xを超えるか否かを判断する(ステップD4)。ここで、選定した色数R´が設定配色数xを超える場合(ステップD4にてNO)、当該優先指定パレットテーブルからランダムにx色を抽出する(ステップD6)。こうして、ステップD6を経て抽出された最終的な色数Tの分(T=x)が抽出データ記憶領域249に記憶される。一方、選定した色数R´が設定配色数x以下の場合(ステップD4にてYES、つまり0≦R´≦xの場合)、前記ステップD2で選定された色がそのまま抽出データ記憶領域249に記憶される(ステップD5)。
【0074】
ステップD7では、ステップD2〜D6で抽出した色数Tが設定配色数xと一致する場合(YES、つまりT=xの場合)を除いて、その不足分を、第1或は第2パレットテーブルの色の中から配色モードに応じて選定する(ステップD8、D9)。具体的には、ランダムの配色モードに設定されている場合、前述したように第1或は第2パレットテーブルの色をそのまま色情報記憶領域247に記憶する。また、ビビッド或はソフトの配色モードに設定されている場合、第1或は第2パレットテーブル内の色について、前述した閾値SV、SS1、SS2に基づき、ビビッド或はソフトのカテゴリに属する色を選定して色情報記憶領域247に記憶する。こうして、ステップD8でランダム、ビビッド或はソフトの配色モードに応じた色を追加的に選定した後、設定配色数xからステップD2〜D6で抽出した色数Tを差し引いた分の色数を、当該選定した色の中からランダムに抽出する(ステップD9)。抽出した色は、既に優先指定パレットテーブルから選定した色が記憶されている抽出データ記憶領域249に、追加的に記憶される。
【0075】
これにより、抽出データ記憶領域249には、第1或は第2パレットテーブルと優先指定パレットテーブルとのうち、優先指定パレットテーブルから選定した色が優先的に記憶されることとなる。他方、前記ステップD6を経てステップD7でYESと判断される場合、抽出データ記憶領域249には、優先指定パレットテーブルの色だけが記憶される。こうして、ランダム、ビビッド及びソフトの何れの配色モードでも(図14のステップB3)、優先指定カラーパレット71の色を優先して抽出し、色別模様部の前記糸色データ毎に、当該抽出した色をランダムに割り当てる(ステップB4)。また、前述したように、本実施形態では6個分の刺繍模様について、上記の配色処理が行われ(ステップB1,B3,B4,B5)、サムネイル表示画面102Aにサムネイル画像61aを表示する(図13のステップA4)。
【0076】
このように、リポジトリ記憶領域248に色が記憶された状態でステップA3或はステップA14を実行する制御装置21は、当該リポジトリ記憶領域248(優先指定パレットテーブル)の色の抽出を優先した割当処理を行う第2割当手段に相当する。当該割当手段は、厳密には前記ステップB2、B3を実行する第2抽出手段と、ステップB4を実行する狭義の第2割当手段を含む。
【0077】
第2割当手段の割当処理は、ユーザの好みの色等が優先的に用いられるため、第1割当手段のみで割当処理を行う場合よりも、ユーザの所望する配色パターン(サムネイル画像61a)を作成する確率を高めることができる。ユーザの所望する配色が在る場合、当該サムネイル画像61aをタッチ操作して拡大表示画面103へ遷移し(ステップA5にてYES、ステップA6)、セットキー67をタッチ操作する(ステップA7にてYES)。これにより、前記プレビュー画像の刺繍模様として拡大画像領域65の刺繍模様を表示した配色モード選択画面100に戻る(ステップA19、エンド)。
【0078】
以上のように本実施形態の刺繍データ作成装置30は、色別模様部の糸色データ毎に、第1記憶手段に記憶されている第1或は第2パレットテーブルの中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行う第1割当手段を備え、前記第1割当手段により各色別模様部に割り当てられた色で刺繍模様を表示画面に表示する。また、指定手段によって、表示画面に表示された刺繍模様における各色別模様部の中からユーザの所望する色を第2記憶手段に記憶させ、第2割当手段によって、第2記憶手段の優先指定パレットテーブルの中から優先的に割当処理を行う。
【0079】
これによれば、第1割当手段による一次的な配色によって、刺繍模様について、偶然性や意外性のある配色が可能となり、規定の配色にとらわれない多様な配色パターンを簡単に得ることができる。また、当該刺繍模様が各色別模様部に割り当てられた色で表示画面に表示されるため、色別模様部の色を視覚的に容易に把握することができる。
更に、表示画面に表示された色別模様部の中から所望の色を指定し、第2割当手段によって、他の色より優先して所望の色を割り当てる二次的な配色を行うことができる。これにより、刺繍模様にユーザの所望する色を採り入れつつ簡単に刺繍データを作成することができる。
【0080】
前記表示手段は、第1割当手段により各色別模様部に割り当てられた色の組み合わせが異なる複数の刺繍模様をサムネイル表示画面102A,102Bに表示し、指定手段は、当該表示画面102A,102Bに表示された複数の刺繍模様における各色別模様部の中から、所望する糸色データの色を指定する。これによれば、ユーザは、表示画面102A,102B表示された複数の刺繍模様を視認しながら、所望の糸色データを容易に指定することができる。
【0081】
制御装置21は、複数の刺繍模様のうち所望する刺繍模様のみを拡大して拡大表示画面103に表示する拡大手段として構成され、前記指定手段は、拡大させて表示した刺繍模様における各色別模様部の中から、所望する糸色データの色を指定するように構成されている。これによれば、刺繍模様が拡大表示されるため、刺繍模様の細部まで明確に視認することができる。よって、色別模様部が小さい場合であっても糸色データを容易に指定することができる。
また、表示画面が小さい小型の液晶ディスプレイが採用されているミシンの場合であっても、刺繍模様が拡大表示されるため、ユーザは、刺繍模様の細部まで明確に視認することができる。
【0082】
前記表示手段は、第1割当手段により色を割り当てた場合と第2割当手段により色を割り当てた場合との双方において、各色別模様部に割り当てられた色で刺繍模様を表示画面に表示する。これによれば、各割当手段で割り当てた夫々の色別模様部の色を、視覚的に容易に把握することができる。
【0083】
前記ステップA13、A14の実行に係る制御装置21とタッチパネル9aは、ユーザの指示に基づいて、第1割当手段による割当処理又は第2割当手段による割当処理を再び実行する再配色指示手段に相当する。再配色指示手段によって、糸色データに係る抽出と割り当てとを繰り返し実行することができる。従って、サムネイル表示画面102A,102Bに表示される刺繍模様について、ユーザが気に入るまで再配色指示手段により新たな配色の刺繍データを作成することができる。
【0084】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。刺繍データ作成装置はミシンMに備えられる構成に限定するものではなく、所謂パーソナルコンピュータである装置本体(専用機でもよい)と、この装置本体に接続されるマウス、キーボード、メモリカードコネクタ、ディスプレイ等から構成してもよい。
本実施形態と異なり、ミシンと刺繍データ作成装置とが別体で構成される場合、ミシンと刺繍データ作成装置とを有線又は無線で接続し、データを送受信するようにしてもよい。
【0085】
第1記憶手段及び第2記憶手段は、RAM24やEEPROM25に限定されるものではなく、ミシン或は刺繍データ作成装置に内蔵される他の内部記憶手段や、ミシン或は刺繍データ作成装置に着脱可能に装着される外部記憶手段でもよい。即ち例えば、第2記憶手段を、RAM24に代えて不揮発性の記憶手段(EEPROM25等)で構成する。前記不揮発性の記憶手段によれば、ミシンMの電源を遮断しても前記指定手段により指定した色を保持することができる。
【0086】
上記したように、前記第1抽出手段或は第2抽出手段によって、ステップB2、B3でランダムに色を抽出することができる。更に、抽出した色を、前記第1割当手段或は第2割当手段によりステップB4でシャッフルして割り当てる(ランダムに割り当てる)ことができるため、ランダム性を確保することができる。もっとも、抽出時のステップB2、B3と、割り当て時のステップB4とのうち、少なくとも一方でランダムな処理を実行すればよい。
【0087】
前記複数の表示画面100〜104間の遷移について、図13に示した形態に限定するものではなく、適宜変更して実施することができる。例えば、図13のステップA17にてリターンキー72の操作がなされた場合、ステップA1へ移行することで、リポジトリ画面104から配色モード選択画面100に遷移するように構成してもよい。これによれば、ユーザはリポジトリ画面104で優先指定カラーパレット71を確認した後に、直ぐに配色モード選択画面100で配色モードを設定して、第1或は第2割当手段による配色処理を実行することができる。このように、刺繍模様の配色に際し、複数の表示画面100〜104を遷移させて確認や設定を行うことができ、使い勝手のよいものとすることができる。
【符号の説明】
【0088】
M ミシン
9 ディスプレイ(表示手段)
9a タッチパネル(指定手段、再配色指示手段)
21 制御装置(指定手段、第1割当手段、第2割当手段、拡大手段、再配色指示手段、表示手段)
24 第2記憶手段
25 第1記憶手段
30 刺繍データ作成装置
34 駆動回路(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データであって前記色別模様部の色を特定する糸色データを含む刺繍データを作成する刺繍データ作成装置において、
予め定義されている複数色を記憶する第1記憶手段と、
前記色別模様部の前記糸色データ毎に、前記第1記憶手段に記憶されている複数色の中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出して割り当てる割当処理を行う第1割当手段と、
前記第1割当手段により各色別模様部に割り当てられた色で前記刺繍模様を表示画面に表示する表示手段と、
前記表示画面に表示された前記刺繍模様における各色別模様部の中から、ユーザの所望する糸色データの色を指定する指定手段と、
前記指定手段で指定された色を記憶する第2記憶手段と、
前記色別模様部の前記糸色データ毎に、前記第1記憶手段と前記第2記憶手段とのうち前記第2記憶手段に記憶されている色の抽出を優先した割当処理を行う第2割当手段と、
を備えることを特徴とする刺繍データ作成装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記第1割当手段により各色別模様部に割り当てられた色の組み合わせが異なる複数の前記刺繍模様を前記表示画面に表示し、
前記指定手段は、前記表示画面に表示された複数の前記刺繍模様における各色別模様部の中から、所望する糸色データの色を指定することを特徴とする請求項1記載の刺繍データ作成装置。
【請求項3】
前記表示手段は、複数の前記刺繍模様のうち所望する刺繍模様のみを拡大して前記表示画面に表示する拡大手段を備え、
前記指定手段は、前記拡大手段により拡大させて表示した前記刺繍模様における各色別模様部の中から、所望する糸色データの色を指定することを特徴とする請求項2記載の刺繍データ作成装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記第1割当手段により色を割り当てた場合と前記第2割当手段により色を割り当てた場合との双方において、各色別模様部に割り当てられた色で前記刺繍模様を前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項5】
前記表示画面に前記刺繍模様が表示された後、ユーザの指示に基づいて、前記第1割当手段による割当処理、又は前記第2割当手段による割当処理を再び実行する再配色指示手段を備え、
前記表示手段は、前記再配色指示手段により新たな配色の刺繍模様が作成された場合に、その刺繍模様を前記表示画面に表示することを特徴とする請求項4記載の刺繍データ作成装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段として、刺繍データ作成装置のコンピュータを機能させるための刺繍データ処理プログラム。
【請求項7】
請求項1から5の何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたことを特徴とするミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−34758(P2013−34758A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174907(P2011−174907)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】