説明

前方車両感知システム

【課題】
連続した静止物によって先行車両の感知効率が落ちることを防止するための前方車両感知システムを提供する。
【解決手段】
車両の前方道路を監視するセンサー部、及び道路周辺にある連続した静止物を感知して仮想ラインを算出し、前方道路で感知された先行車両横位置の絶対値が仮想ライン横位置の絶対値より大きいと判断されれば、以前に感知された先行車両横位置を現在先行車両横位置として認識する制御部を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は前方車両感知システムに係り、より詳しくは前方車両の感知効率を高めるための前方車両感知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両多様な技術の発展につれて、安全で便利な車両運行のために多様なシステムが開発されている。特に、前方車両との車間距離を感知して前方車両との距離差を用いる縦方向制御システムが開発されている。
【0003】
このような縦方向制御システムにおいて、前方を感知するためのセンサーとしては77GHzの電波レーダーが主に用いられているが、近年には原価節減のために24GHzのレーダーを用いて縦方向制御システムが開発されている。
【0004】
しかし、24GHzのレーダーは77GHzレーダーと全く同等な機能を果たすが、レーダーの限界上、分離性能の問題が発生して先行車両の感知効率が低下する問題が発生する。
【0005】
例えば、図1に示すように、道路端に防音壁、中央分離帯などの連続した静止物40がある場合、レーダー20は連続した静止物40に近接している先行車両30を連続した静止物40と同じ物体として感知することになり、これにより最終の先行車両の位置60が変更されて先行車両の感知効率を落とす問題点が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−278584
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、連続した静止物によって先行車両の感知効率が落ちることを防止するための前方車両感知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明による前方車両感知システムは、車両の前方道路を監視するセンサー部、及び道路周辺にある連続した静止物を感知して仮想ラインを算出し、前方道路で感知された先行車両横位置の絶対値が仮想ライン横位置の絶対値より大きいと判断されれば、以前に感知された先行車両横位置を現在先行車両横位置として認識する制御部、を含むことを特徴とする。
【0009】
前記仮想ラインは、センサー部で感知された静止物を算出してグループに選定し、選定された静止物グループを相対距離値によって整列し、整列された静止物グループ座標を1次線形補間することにより算出される。
【0010】
前記選定された静止物グループの横位置平均値を計算し、静止物グループの横位置と平均値の差の絶対値が第1基準値より大きければ静止物グループは削除される。
【0011】
前記感知された静止物の算出は、相手車速絶対値と自車速絶対値の差が第2基準値より小さい条件で算出される。
【0012】
前記静止物グループの選定は、静止物の相対距離の差の絶対値が第3基準値より小さく、静止物の横位置の差の絶対値が第4基準値より小さい条件で選定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、連続した静止物によって仮想ラインを算出し、算出された仮想ラインと先行車両の横位置を比較することにより、先行車両が誤感知されることを防止できる効果がある。
【0014】
また、本発明は、先行車両が誤感知される場合、以前先行車両の位置を利用することにより、先行車両の感知効率を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の前方車両感知システムを示す図である。
【図2】本発明による前方車両感知システムを示すブロック図である。
【図3】本発明による前方車両感知システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明による前方車両感知システムの詳細動作を示す図である。
【図5】本発明による前方車両感知システムの仮想ラインを設定する動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明による前方車両感知システムの仮想ラインを設定する詳細動作を示す図である。
【図7】本発明による前方車両感知システムの仮想ラインを設定する詳細動作を示す図である。
【図8】本発明による前方車両感知システムの仮想ラインを設定する詳細動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る前方車両感知システムを実施するための形態の具体例を図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、本発明は以下に開示する実施例に限定されるものではなく、さまざまな多様な形態に具現可能なものである。本実施例は本発明の開示を明らかにするために、通常の知識を持った者にとって本発明の範疇が分かるように提供するものである。図面において、同一符号は同じ要素を示すものである。
【0017】
図2は本発明による前方車両感知システムを示すブロック図、図3は本発明による前方車両感知システムの動作を示すフローチャート、図4は本発明による前方車両感知システムの詳細動作を示す図、図5は本発明による前方車両感知システムの仮想ラインを設定する動作を示すフローチャート、図6〜図8は本発明による前方車両感知システムの仮想ラインを設定する詳細動作を示す図である。
【0018】
図2を参照すれば、本発明による前方車両感知システムは、車両の前方道路を監視するセンサー部100と、前記道路周辺にある連続した静止物を感知して仮想ラインを算出し、算出された仮想ラインと先行車両との位置を比較して先行車両の正確な位置を感知する制御部200とを含む。
【0019】
センサー部100は車両の前方道路を感知する役目をし、前方道路の先行車両及び静止物、例えばガードレール、防音壁、中央分離帯などを感知する役目をする。このために、センサー部100は車両の前方を監視するようにルームミラーに装着可能であり、通常24GHzの電波レーダーが使用できる。もちろん、センサー部100の位置はこれに限定されず、車両の前方道路を監視することができるなら車両のどの位置に装着しても構わない。
【0020】
センサー部100で先行車両と静止物が感知されれば、制御部200は、連続した静止物によって先行車両が誤感知されることを防止するために、連続した静止物から仮想ラインを設定し、仮想ラインと先行車両の位置を比較して先行車両を感知する。
【0021】
すなわち、図3及び図4に示すように、まず連続した静止物によって仮想ライン400が算出されれば(S100)、制御部200は先行車両500との相対距離に相当する仮想ライン400の横位置(b)を計算する段階(S200)を実行する。ここで、仮想ライン400を算出する過程は後に図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
ついで、先行車両500の横位置(a)と仮想ライン400の横位置(b)を比較して先行車両500が仮想ライン400を侵犯するかあるいは一定値以上近くなるかを判断して分離性能の問題が発生したか否かを判断する(S300)。ここで、分離性能問題は[数1]によって決定することができる。
【0023】
[数1]
|先行車両の横位置|≧|仮想ラインの横位置|
【0024】
ついで、分離性能の問題が発生したと判断されれば、現在制御対象となる先行車両500の横位置を無視し、以前にバックアップしておいた先行車両500の横位置(a)を現在の先行車両500の横位置(a)として認識するようにする。一方、分離性能の問題が発生しなかったと判断されれば、現在先行車両500の横位置(a)を維持する。
【0025】
一方、図5に示すように、仮想ラインを設定する段階は、まずセンサー部で感知されたターゲットの中で静止物を算出する段階(S110)を実行する。ここで、静止物は、図6に示すように、算出されることができ、静止物の検出は[数2]によって決定することができる。ここで、臨界値は第2基準値として前もって設定された値によって決定することができる。
【0026】
[数2]
|相手車速|−|自車速|<臨界値
【0027】
ついで、センサー部で静止物が感知されれば、感知された静止物をグループに選定する段階(S120)を実行する。ここで、静止物のグループ選定は[数3]によって決定することができる。ここで、臨界値は第3基準値及び第4基準値として前もって設定された値によって決定することができる。
【0028】
[数3]
(|相対距離1−相対距離2|<臨界値)及び(|横位置1−横位置2|<臨界値)
【0029】
ついで、静止物グループ別平均相対距離と横位置を計算する段階(S130)を実行し、自車を基準として左右に区分して静止物グループの横位置の平均値を計算する段階(S140)を実行する。
【0030】
ついで、静止物グループ別横位置と平均値を比較し、図7に示すように、臨界値、例えば第1基準値より大きな静止物グループは削除する段階(S150)を実行する。ここで、静止物グループの削除条件は[数4]によって決定することができる。
【0031】
[数4]
|静止物グループ横位置−平均|>臨界値
【0032】
前記のように、不要な静止物グループが削除されれば、図8に示すように、静止物グループデータを相対距離別に整列し(S160)、整列されたグループ座標を1次線形補間して仮想ラインを算出することになる(S170)。ここで、1次線形補間は[数5]によって決定することができ、x、yは縦方向と横方向の座標をそれぞれ示す。
【0033】
[数5]
y=(y2−y1)*(x−x1)/(x2−x)+y1
【0034】
前記のように、本発明による前方車両感知システムは、連続した静止物によって仮想ラインを算出し、算出された仮想ラインと先行車両の横位置を比較することで、先行車両が誤感知されることを防止することができる効果がある。
【0035】
以上図面及び実施例を参照して本発明を説明したが、該当の技術分野の当業者は特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、本発明は多様に修正及び変更可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、前方車両との車間距離を感知して前方車両との距離差を用いる縦方向制御システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
100 センサー部
200 制御部
400 仮想ライン
500 先行車両




【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方道路を監視するセンサー部、及び
道路周辺にある連続した静止物を感知して仮想ラインを算出し、前方道路で感知された先行車両横位置の絶対値が仮想ライン横位置の絶対値より大きいと判断されれば、以前に感知された先行車両横位置を現在先行車両横位置として認識する制御部、
を含むことを特徴とする、前方車両感知システム。
【請求項2】
前記仮想ラインは、センサー部で感知された静止物を算出してグループに選定し、選定された静止物グループを相対距離値によって整列し、整列された静止物グループ座標を1次線形補間することにより算出されることを特徴とする、請求項1に記載の前方車両感知システム。
【請求項3】
前記選定された静止物グループの横位置平均値を計算し、静止物グループの横位置と平均値の差の絶対値が第1基準値より大きければ静止物グループは削除されることを特徴とする、請求項2に記載の前方車両感知システム。
【請求項4】
前記感知された静止物の算出は、相手車速絶対値と自車速絶対値の差が第2基準値より小さい条件で算出されることを特徴とする、請求項2に記載の前方車両感知システム。
【請求項5】
前記静止物グループの選定は、静止物の相対距離の差の絶対値が第3基準値より小さく、静止物の横位置の差の絶対値が第4基準値より小さい条件で選定されることを特徴とする、請求項2に記載の前方車両感知システム。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−117927(P2011−117927A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67771(P2010−67771)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】