説明

前面板欠陥測定装置

【課題】急激に電圧印加時と逆の方向へマイクロカプセル内の粒子が移動することによる障害のない装置の提供を目的とする。
【解決手段】剥離フィルムを剥がして使う前面板において、前面板の剥離フィルムに導電性フィルムを使用し、電極と導電性フィルムの間に前記表示材料を駆動させる駆動電圧パルスを印加して表示欠陥の有無を背面版と貼り合せる前に検査できる、最も欠陥部のコントラストが大きくなる駆動電圧パルスを印加する駆動電圧パルス印加手段と、駆動電圧パルス印加終了に同期してカメラで撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された画像を画像処理して欠陥部の寸法、コントラスト計測を行う計測手段とからなる前面板欠陥測定装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーディスプレイの部品のひとつである前面板の欠陥寸法、コントラストを計測する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
視認性が高く、書き換え可能で低消費電力といった特徴を持つ電子ペーパーディスプレイを実現するための技術として様々な方式の開発が進んでいる。電気泳動現象を利用したディスプレイは溶媒中の電荷を帯びた粒子が電界によって移動する現象を利用している。その中のひとつの技術としてマイクロカプセル型電気泳動方式が実用化されている。これは透明な液体が満たされたマイクロカプセル中に正、負に帯電した白い粒子と黒い粒子を入れ、外部電圧印加によってそれぞれの粒子を表示面に引き上げて画像を形成する。マイクロカプセルサイズはφ数十μm〜数百μmと小さいので、このマイクロカプセルを透明なバインダに分散させるとインクのように、コーティングすることができる。このインクは外部から電圧を印加することで画像を描くことができるので、電子インクと呼ばれる。透明電極層を形成した透明フィルムにこの電子インクをコーティングし、アクティブマトリクス駆動用の電極回路を形成した基板に貼り合わせるとアクティブマトリクスディスプレイパネルができる。ここで、透明フィルムに透明電極を形成したフィルム上に電子インクをコーティングした部品を「前面板」と呼び、アクティブマトリクス駆動用の電極回路を形成した基板を「背面板」と呼んでいる。前面板には様々な欠陥が発生するが、両者を貼り合わせてから欠陥検査を行うと、前面板不良により、高価な背面板の正常品を廃棄するロスが生じる。従って、前面板、背面板それぞれの部品段階での欠陥検査が望まれている。
【0003】
しかし、前面板の欠陥検査を行う場合、マイクロカプセルに電圧を印加しない状態ではマイクロカプセル中の各粒子がばらばらの状態にあるため、表面上はざらついたグレー状態に見え、そのままでは欠陥検出が困難である。そこで、マイクロカプセルに電圧を印加し、全面白や黒状態にして欠陥を見つける必要があるが、背面板と張り合わせる前の前面板単独状態ではマイクロカプセルに電圧を印加するための電極が片側にしか無いという問題がある。そこで、背面版と貼り合わせるために付いている前面板背面側の接着剤層の剥離フィルムを導電性フィルムにして、この導電性剥離フィルムを背面版の代わりに電極とし、表面の透明電極との間に電圧を印加することにより、マイクロカプセル内の粒子を移動させて、前面板を全面白、全面黒、全面グレーの3状態にして、全てのマイクロカプセルが正常に駆動できるかの検査が行われる。
【0004】
ここで前面板が白黒2値の電子ペーパー向けであってもグレー状態での検査は行われる。それは、白状態や黒状態では見つけにくい応答速度の遅いマイクロカプセルを検出するためである。白、黒状態は規定のパルス長だけ電圧をパルス印加するが、グレー状態時はそれよりも短いパルス長印加で実現している。
【0005】
このように前面板に駆動電圧を印加し白、黒、グレーの3状態にて見つけた欠陥で数百μm程度の微小な点状欠陥については、最終製品のディスプレイになったときに表示品位に大きく影響するので、その寸法、コントラスト、面内の許容個数が製品仕様で明確に決められている。そのため、検出した欠陥はその寸法、コントラストを厳密に測定する測定装置が必要となる。
【0006】
これまでそれらを正確に計測するために、前面板に駆動電圧を与えて欠陥が見えやすい状態にしたうえで、駆動装置から前面板を取り外して顕微鏡にCCDカメラを取り付けた
装置にセットして欠陥部の画像をコンピュータに取り込んで画像処理により寸法を計測することが行われている。マイクロカプセル型電気泳動方式の特性上、駆動電圧を切断した後もマイクロカプセル内の粒子が同じ位置に留まることでその状態が保持されるが、前面板状態ではエッジ部にピースカット時の残渣等が存在するためにマイクロカプセルを挟む電極間で電流が流れ、急激に電圧印加時と逆の方向へマイクロカプセル内の粒子が移動する現象が見られる。そのため、欠陥の寸法は正確に計測できても、計測時には前面板の状態が変化してしまい、欠陥部のコントラストは正確に測定が出来ないという問題がある。
【0007】
なお一般的な表示装置用部材の欠陥測定装置において、特許文献1で代表される前記駆動電圧パルス印加に同期してカメラで撮像する撮像手段を持つものが知られているが、対象は液晶表示装置であり、上述の様なマイクロカプセル型電気泳動方式の特性を持つ本願発明の対象の様な表示記憶性のある表示装置にそのまま適用できるものではなかった。
【0008】
特許文献は以下の通り。
【特許文献1】特開平9−318487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであり、その課題とするところは、検査で検出した欠陥の寸法、欠陥部のコントラストを計測するために、前面板に駆動電圧をパルス印加し、最も欠陥部のコントラストが大きくなる駆動電圧パルス終了に同期してカメラで撮像し、画像処理により欠陥部の寸法、コントラスト計測を行うことを特徴とする前面板欠陥測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を克服するために考え出されたものであり、少なくとも基板、電極、表示材料、接着層、剥離フィルムからなる前面板の剥離フィルムを剥がして、少なくとも基板、電極または駆動素子からなる背面板を貼り合せて形成するディスプレイの前面板において、前記前面板の剥離フィルムに導電性フィルムを使用し、電極と導電性フィルムの間に前記表示材料を駆動させる駆動電圧パルスを印加して表示欠陥の有無を背面版と貼り合せる前に検査できることを特徴とするディスプレイの前面板の前面板欠陥測定装置において、
最も欠陥部のコントラストが大きくなる駆動電圧パルスを印加する駆動電圧パルス印加手段と、
前記駆動電圧パルス印加終了に同期してカメラで撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像を画像処理して欠陥部の寸法、コントラスト計測を行う計測手段と、
からなることを特徴とする前面板欠陥測定装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少なくとも基板、電極、表示材料、接着層、剥離フィルムからなる前面板の剥離フィルムを剥がして、少なくとも基板、電極または駆動素子からなる背面板を貼り合せて形成するディスプレイの前面板において、前記前面板の剥離フィルムに導電性フィルムを使用することにより、前記表示材料を駆動させる電気信号を印加して表示欠陥の有無を背面版と貼り合せる前に検査できることを特徴とするディスプレイの前面板の検査において、検査で検出した欠陥の寸法、欠陥部のコントラストを計測するために、前面板に駆動電圧を印加し、最も欠陥部のコントラストが大きくなる駆動電圧パルス終了に同期してカメラで撮像し、画像処理により欠陥部の寸法、コントラスト計測を行うことを特徴とする前面板欠陥測定装置を使用することにより、従来の計測方式では計測できなかっ
た欠陥部のコントラスト計測が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0013】
まず、ディスプレイの構成から説明する。
【0014】
表示に際してはバックライトが無くても十分なコントラストを有するものを好適に使用できる。これは柔軟性を有する薄い基板上に、エレクトロルミネセンス材料、ポリマー分散型液晶(PDLC)、ポリマー安定型液晶、スメクティック液晶、強誘電性液晶、マイクロカプセル型電気泳動方式を用いた表示体等を組合せることで実現できる。特に、マイクロカプセル型電気泳動方式を用いた表示体を用いると、従来の紙に近い画像の表示が可能となる。
【0015】
ディスプレイにフィルム式のマイクロカプセル型電気泳動方式のディスプレイを用いる場合について詳細に説明する。
【0016】
ディスプレイ41の断面図を図3に示す。紙 、プラスチック等の可撓性を有する基材41e上に、電極フィルム41d、画像表示層41c、電極フィルム41b及びこの表示部を保護する表面保護層41aが積層されている。
【0017】
この説明では、基材41eが請求項における記載の基板に相当するものであり、電極フィルム41dが請求項における記載の電極に相当するものであり、画像表示層41cが請求項における記載の表示材料に相当するものであり、基材41e上に、電極フィルム41d、画像表示層41cを設けた状態が請求項における記載の前面板に相当するものである。なお、表面保護層41aは省略することも可能である。
【0018】
電極フィルム41bはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等の寸法安定性の優れた透明なプラスチックフィルムに電極が形成されているものである。電極フィルム41dも同様な基材の電極が形成されてなるものであるが、必ずしも透明性は要求されない。
【0019】
電極の方式は任意のものを選択可能であるが、下記のようなマイクロカプセル型電気泳動方式を用いる場合は、電極フィルム41bは全面に同一の電位がかかる共通電極とし、電極フィルム41dにはアクティブマトリックス電極、セグメント電極等による電極を採用することができる。
【0020】
画像表示層41cにマイクロカプセル型電気泳動方式に用いた場合の構成について説明する。
【0021】
マイクロカプセル110の一例を図4に示す。マイクロカプセル110は、メタクリル酸樹脂、ユリア樹脂、アラビアゴム等をカプセル殻111とし、内部には酸化チタンからなる白の粒子113とカーボンブラックからなる黒の粒子114が、シリコーンオイル等の粘性の高い分散媒で分散され封入されている。白の粒子である酸化チタンは正電荷を帯びており、一方黒の粒子であるカーボンブラックは負電荷を帯びている。
【0022】
このため、図5(b)に示すように、二つの電極フィルム41b、41dに電界を印加して、電極フィルム41bが負極、電極フィルム41dが正極になった場合、正に帯電した白の粒子113が電極フィルム41b側に引かれ、黒の粒子114が電極フィルム41d側に引かれるので、少なくとも電極フィルム41bを透明電極としておき、電極フィル
ム41b側の上方から観察するとその部分が白く見える。
【0023】
逆に電極フィルム41bが正極、電極フィルム41dが負極になった場合、正に帯電した白の粒子113が電極フィルム41d側に引かれ、黒の粒子114が電極フィルム41b側に引かれるので、電極フィルム41bの上方から観察するとその部分が黒く見える。
【0024】
画像表示層41cは、このようなマイクロカプセル110を多数有しており、電極フィルム41b、41dの各アドレス電極の電界を制御することで、図5(a)で「A」という文字を黒で表示したように、所望の文字や図形を白と黒の画素で表示させることができる。
【0025】
上記の例に於いては、マイクロカプセルは白黒の2種類の粒子を含有させたモノクロ(白黒)の表示であるが、粒子の位置を電位のかけ方で多段階に調整することで中間調の表示を行うこと、異なる色の粒子を含有させてカラー表示させる或いは2種類以上の粒子を含有させることなども可能である。
【0026】
また、上記のマイクロカプセルでは白黒の2種類の粒子を含有させているが、1種類の粒子を用い、分散媒を黒に着色させることでもモノクロ(白黒)表示を実現することができる。
【0027】
すなわち、図6に示すように白の粒子である酸化チタンを正電荷に帯電させ、黒に着色した分散媒115に分散させたマイクロカプセルを用い、二つの電極フィルム41b、41dに電界を印加して、電極フィルム41bが負極、電極フィルム41dが正極になった場合、正に帯電した白の粒子113が電極フィルム41b側に引かれ、黒に着色した分散媒115は必然的に41dの電極フィルム側に押し下げられるので、電極フィルム41b側の上方から観察するとその部分が白く見える。逆に、電極フィルム41bが正極、電極フィルム41dが負極にな
った場合、正に帯電した白の粒子113が電極フィルム41d側に引かれ、黒に着色した分散媒115は必然的に電極フィルム41b側に押し上げられるので、電極フィルム41b側の上方から観察するとその部分が黒に見える。
【0028】
マイクロカプセルをアクティブマトリックス駆動法で駆動する場合は、電極フィルム41dは画素電極として画素毎に独立してパターニングされ、図示しない薄膜トランジスタ、信号電極、および走査電極を併設し、電極フィルム41bは光透過性基材上に一様に形成された透明な共通電極とする。この場合、電極フィルム41bを共通電極にすると全面同一電位になるので、電極フィルム41d側の各アドレス電極の電界を制御することで、上記の原理に基づき電極位置のマイクロカプセル内の粒子を移動させ、所望の画像を表示させることができる。
【0029】
同様に、電極フィルム41dを共通電極とし(電位をゼロとする)、電極フィルム41b側の各アドレス電極の電界を制御する(正または負の電位を与える)ことで、電極位置のマイクロカプセル内の粒子を移動させることで所望の画像を表示させるようにしてもよい。
【0030】
時分割駆動の場合は、電極フィルム41b、41dは互いに直交するライン状のITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ)等の透明導電体からなる透明電極により構成され、両電極の交わる領域にマイクロカプセルを形成する。
【0031】
もちろん、駆動方式は上述したものに限定されず、用途に応じて最適なものを選択すればよい。
【0032】
マイクロカプセルの径は、種々のものを採用することが可能だが、約40μm〜約100μmのものを採用すると十分な解像度と応答性を得ることができる。表示画像の解像度は主として電極フィルム中の電極の配置(解像度)に依存するが、マイクロカプセルの径が小さければ分散媒中のマイクロカプセルの移動速度が速くなり、結果として表示の際の応答性に優れる(応答速度が速い)というメリットがある。
【0033】
上記の例では、モノクロ(白黒)の画像表示の例であるが、カラー画像表示の場合には図7に示すように画素単位に分割されたR(赤),G(緑),B(青)の色を有するカラーフィルタ41fを画素単位で電界を印加することができる透明な電極フィルム41b側に設けることで実現できる。
【0034】
すなわち、白い粒子が電極フィルム41b側に引かれている部分の観察光は白粒子で反射されカラーフィルタを通過してくるので、カラーフィルタの色が観察されることになる。
【0035】
図7の例では、カラーフィルタのR画素部及びG画素部は白い粒子が電極フィルム41bの透明電極側に引かれているのでR光及びG光が観察され、カラーフィルタのB画素部は黒い粒子が電極フィルム41bの透明電極側に引かれているので観察光は吸収されB光は観察されない。このように、画素単位で観察されるR,G,B光を制御することでカラー画像表示が可能となる。なお、図7では電極41dを共通電極としているが、電極41b側を共通電極としても良い。
【0036】
ペーパー状電子ディスプレイは可撓性を有する材料で作製され、電極等のパターニングも印刷法、蒸着法でプラスチックフィルムに形成することが可能である。表示画面サイズも、用途、要望に応じて任意のサイズのものを作成することができる。また、フィルムを用いて作製されているため嵩張らず軽い表示媒体であり、本発明の表示媒体として好適に用いることが可能である。
【0037】
画像表示層41cにおいては、マイクロカプセル110の位置配置は多少の変動があっても表示に問題は生じない。従って、折り曲げて使用したり、曲面の箇所に取付けて使用することなども可能である。
【0038】
各粒子は粘性の高い分散媒に分散されており、一度電界を印加した後は電源が切断されても粒子の位置が変化しない。このように、ディスプレイの電源を切っても表示画像が消えない不揮発性(メモリー性)を有するので、初期の表示や書き換え時のみ電界を印加すればよく、通常の表示装置に比べて表示に必要な電力も少なくてすみ、大幅な省電力化が可能である。
【0039】
さらに、ディスプレイ41内においては、マイクロカプセル110の位置配置は多少の変動があっても表示に問題は生じない。したがって電極シート41b、41dを含め、ディスプレイ41全体を薄く可撓性を持たせる材料を用いることで、紙のような柔軟性を持たせることができる。
【0040】
また、黒い粒子114のカーボンブラックは、通常の印刷を行うインクと同じ材料であるので、極めて紙の印刷物に近い自然な表示を行うことが可能となる。
【0041】
図2に、ディスプレイになる前の前面板1の断面図を示す。なお、この図においてはまだ貼り合わせ前であるので、ディスプレイの状態では不要の剥離材層16、剥離フィルム17が余計についている。後工程では剥離材層16と剥離フィルム17を取り去って接着
材層15により背面板と貼り合わせる。本発明ではこの剥離フィルム17に導電性フィルムを使用する。導電性フィルム17としてはポリエチレンテレフタレートを基材としたITO蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルムなどがあるが、コストの点でアルミ蒸着フィルムが好ましい。アルミ蒸着面が内側になるような向きで張り合わせる。またその厚さとしては、50〜300μmが好ましい。図2ではアルミ層を17a、基材のポリエチレンテレフタレートを17bで示した。
【0042】
剥離材層16としては、シリコーンなどを用いる事が可能である。
【0043】
ここで、図2に示すように前面板1の一部で透明電極13、導電性フィルムの導電部17aが外部に露出している部分があり、これら電極部にプローブがコンタクトし、駆動電圧供給装置より電圧を供給することで、電子インク14のマイクロカプセル内の粒子を電気泳動させ、前面板を全面白や全面黒の表示状態にすることができる。
【0044】
以下、この様にディスプレイの前面板を駆動させて検査員による目視検査、あるいは自動検査装置による自動検査で検出した欠陥の寸法とコントラストを正確に計測する手段について説明する。
【0045】
図1は本発明の計測装置の使用方法の概略構成を示している。前面板1は透明電極及び剥離フィルムの導電部を外部に取り出した部分があるので、ここに計測装置のプローブ6をコンタクトさせて計測装置の制御部2の信号生成ユニット4で生成した駆動波形を印加することで駆動電圧パルス印加手段として働く。波形に応じて前面板1のマイクロカプセル内の粒子が表面、裏面に移動して前面板1の全面が白や黒に変化する。駆動波形生成ユニット4で生成した駆動波形に同期してタイミングを合わせてエリアカメラ5で前面板1の表面全面を2〜3μm/ピクセル程度の画像精度の撮像手段にて撮像して画像処理部3に画像をデジタルデータとして取り込んで、計測手段として欠陥計測を行う。
【0046】
ここで駆動波形と撮像タイミングについて図8を用いて説明を行う。上側に駆動波形、下側にエリアカメラに入力するトリガ信号のタイミングを示している。エリアカメラはトリガ信号の入った瞬間の画像を撮像することができるタイプを使用する。正電圧パルス25を印加して前面板1を白状態にさせて、そのパルスの終了と同期させてトリガ信号をカメラに出力して、撮像タイミング28で撮像を行う。同様に負電圧パルス26印加後の黒状態を撮像タイミング29で撮像する。グレーも同様である。信号生成ユニット4ではD/A変換ボード等を用いて、予め2チャンネルの波形パターンデータを用意し、2チャンネル同時に出力開始することで、これを実現する。
【0047】
エリアカメラで撮像した画像はデジタル化され、コンピュータのメモリに格納される。画像データを画像処理により、欠陥部と非欠陥部に2値化する。2値化の閾値決定は判別分析法などの手法が使用できる。2値化後は水平方向、垂直方向に画素を足し合わせ、欠陥部と非欠陥部の境界位置を算出し、欠陥部の外接矩形の幅と高さを欠陥寸法とする。
【0048】
そして、先述の2値化した欠陥部の領域の平均階調値、及び非欠陥部の平均階調値をそれぞれ算出する。これに予め作成しておいた階調値から反射率への変換テーブルを用いて反射率に変換する。テーブルは分光光度計などを用いて反射率測定したグレースケールチャートなどの校正板を撮像し、その階調値との関係から多次曲線で近似して値を補完して作成しておく。そして欠陥部と非欠陥部の反射率の大きいほうを小さいほうで割った値をコントラストとする。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、電子ペーパーディスプレイの部品のひとつである前面板の欠陥寸法、コント
ラストを計測する装置に係る技術である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例を示す装置概略図である。
【図2】接着前の前面板の層構造を示す図である。
【図3】本願発明のディスプレイの概略断面図である。
【図4】本願発明の前面板に用いられるマイクロカプセルの概略断面図である。
【図5】本願発明のマイクロカプセルの駆動状態と表示の関連説明斜視図である。
【図6】本願発明の図5のマイクロカプセルとは別のマイクロカプセルを用いた場合の駆動状態の説明斜視図である。
【図7】本願発明のマイクロカプセルの駆動状態によるカラー化表示の説明断面図である。
【図8】駆動信号と撮像用トリガ信号のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 前面板
2 制御部
3 画像処理ユニット
4 信号生成ユニット
5 エリアカメラ
6 プローブ
7 映像信号
8 トリガ信号
12 基材透明フィルム
13 透明電極
14 電子インク
15 接着剤層
16 剥離材層
17a 剥離フィルム(導電性層)
17b 剥離フィルム(ベースフィルム)
25 正電圧パルス
26 負電圧パルス
27 正電圧パルス
28 白画像撮像タイミング
29 黒画像撮像タイミング
30 グレー画像撮像タイミング
41 ディスプレイ
41b 電極フィルム
41d 電極フィルム
41e 基材
41f カラーフィルタ
42 画像表示層
43 基材
44 共通電極
45 外部電極
110 マイクロカプセル
111 カプセル殻
113 白の粒子
114 黒の粒子
115 分散媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基板、電極、表示材料、接着層、剥離フィルムからなる前面板の剥離フィルムを剥がして、少なくとも基板、電極または駆動素子からなる背面板を貼り合せて形成するディスプレイの前面板において、前記前面板の剥離フィルムに導電性フィルムを使用し、電極と導電性フィルムの間に前記表示材料を駆動させる駆動電圧パルスを印加して表示欠陥の有無を背面版と貼り合せる前に検査できることを特徴とするディスプレイの前面板の前面板欠陥測定装置において、
最も欠陥部のコントラストが大きくなる駆動電圧パルスを印加する駆動電圧パルス印加手段と、
前記駆動電圧パルス印加終了に同期してカメラで撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像を画像処理して欠陥部の寸法、コントラスト計測を行う計測手段と、
からなることを特徴とする前面板欠陥測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−23089(P2006−23089A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198942(P2004−198942)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】