説明

剥離シート付きラベル及びその製造方法

【課題】 剥離シート上にラベルが剥離可能に貼着されてなる剥離シート付きラベルにおいて、剥離シートの縁部に指等が擦れた場合にも、剥離シートの縁部によって指等が傷つくのを防止する。
【解決手段】 剥離シート11上にラベル12が剥離可能に貼着されてなる剥離シート付きラベル10において、上記の剥離シートの少なくとも片側の縁部11aを微細な凹凸状に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、剥離シート上にラベルが剥離可能に貼着されてなる剥離シート付きラベル及びその製造方法に係り、特に、長尺状の剥離シート付きラベルを使用する場合等において、剥離シートの縁部に指等が擦れて傷つくのを防止するようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、剥離シート上にラベルを剥離可能に貼着させた剥離シート付きラベルが様々な用途に使用されている。
【0003】
ここで、このような剥離シート付きラベルにおける剥離シートとしては、ラベルの剥離性を高めるために、ラベルを貼着させる面をシリコーン等の材料でコートしたものが使用されている。
【0004】
そして、このように構成された剥離シートは、一般に薄くてある程度の強度があるため、この剥離シートの縁部が切刃のようになり、特に、ラベルを剥離シートから剥離させやすくするために、この剥離シートの縁部をラベルより突出させた場合に、この剥離シートの縁部に指等が擦れると、切刃のようになった剥離シートの縁部により指の皮膚が切れるなど、指等が傷つくという問題があった。
【0005】
また、近年においては、飛行機の荷物等にラベルを付与する場合に、長尺状の剥離シートの上に複数のラベルを剥離可能に貼着された長尺状の剥離シート付きラベルを巻回させ、このように巻回された剥離シート付きラベルを指で保持しながら順次引き出し、剥離シートの上に貼着されたラベルを順次剥離させて荷物等に付与するようにしており、このように巻回された剥離シート付きラベルを引き出す際に、剥離シートの縁部に指が擦れて傷つくということが多かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、剥離シート上にラベルが剥離可能に貼着されてなる剥離シート付きラベルにおける上記のような問題を解決することを課題とするものであり、特に、巻回された剥離シート付きラベルを引き出す場合等において、剥離シートの縁部に指等が擦れて傷つくのを防止することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明における剥離シート付きラベルにおいては、上記のような課題を解決するため、剥離シート上にラベルが剥離可能に貼着されてなる剥離シート付きラベルにおいて、上記の剥離シートの少なくとも片側の縁部を微細な凹凸状に形成した。
【0008】
また、この発明における剥離シート付きラベルにおいては、上記の剥離シートの両側の縁部を微細な凹凸状に形成することが好ましい。
【0009】
また、この発明における剥離シート付きラベルは、剥離シート付きラベルが長尺状であり、この剥離シート付きラベルを巻回させて引き出す場合や、上記の剥離シートの縁部がラベルより突出している場合に特に有効である。また、上記の剥離シートの縁部における微細な凹凸は波形状になっていることが好ましい。
【0010】
また、この発明における剥離シート付きラベルを製造するにあたっては、周方向に沿って微細な凹凸状になった切刃が設けられたカッティングローラを回転させ、上記の微細な凹凸状になった切刃により、剥離シート基材上にラベル基材が剥離可能に貼着された剥離シート付きラベル用基材における剥離シート基材に切り込みを設けるようにする。また、剥離シートの両側の縁部が微細な凹凸状に形成された剥離シート付きラベルを同時に複数製造するような場合には、周方向に沿って微細な凹凸状になった切刃が複数設けられたカッティングローラを回転させ、上記の微細な凹凸状になった各切刃により、剥離シート基材上にラベル基材が剥離可能に貼着された剥離シート付きラベル用基材における剥離シート基材に切り込みを設けるようにする。
【発明の効果】
【0011】
この発明における剥離シート付きラベルにおいては、上記のようにラベルが剥離可能に貼着された剥離シートの少なくとも片側の縁部を微細な凹凸状に形成したため、このように微細な凹凸状によって剥離シートの縁部がざらついた状態になって切刃の状態ではなくなり、この剥離シートの縁部に指等が擦れても、指等が傷つくのが防止されるようになり、特に、剥離シートの縁部がラベルより突出している場合においても、指等が剥離シートの縁部に擦れて傷つくのが防止される。
【0012】
また、上記の剥離シートの両側の縁部を微細な凹凸状に形成すると、長尺状の剥離シート上に複数のラベルが剥離可能に貼着された長尺状の剥離シート付きラベルを巻回させ、このように巻回させた剥離シート付きラベルを指で保持しながら順次引き出す場合においても、剥離シートの縁部に指が擦れて傷つくのが有効に防止される。
【0013】
また、この発明における剥離シート付きラベルを製造するにあたり、周方向に沿って微細な凹凸状になった切刃が設けられたカッティングローラを回転させて、微細な凹凸状になった切刃により、剥離シート基材上にラベル基材が剥離可能に貼着された剥離シート付きラベル用基材における剥離シート基材に切り込みを設けると、剥離シートの縁部が微細な凹凸状に形成される。
【0014】
また、周方向に沿って微細な凹凸状になった切刃が複数設けられたカッティングローラを回転させて、微細な凹凸状になった各切刃により、剥離シート基材上にラベル基材が剥離可能に貼着された剥離シート付きラベル用基材における剥離シート基材に切り込みを設けると、剥離シートの両側の縁部が微細な凹凸状に形成されるようになり、また上記の微細な凹凸状になった切刃を多数設けることにより、剥離シートの両側の縁部が微細な凹凸状に形成された剥離シート付きラベルを同時に複数製造できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態に係る剥離シート付きラベル及びその製造方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る剥離シート付きラベル及びその製造方法は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0016】
この実施形態における剥離シート付きラベル10においては、図1に示すように、長尺状の剥離シート11の上にラベル12が貼着され、この剥離シート11の両側の縁部11aがラベル12より突出すると共に、この両側の縁部11aが長手方向に沿って連続した微細な波形状に形成されている。
【0017】
また、上記の剥離シート付きラベル10においては、ラベル12の適当な位置において、長手方向と直交する方向に、ラベル12を分割させるための切れ目12aやミシン目12bが形成され、また剥離シート11の適当な位置において、長手方向と直交する方向に、剥離シート付きラベル10を分割させるためのミシン目11bやラベル12を剥離させやすくするための切れ目11cが形成されている。
【0018】
ここで、この剥離シート付きラベル10を使用するにあたっては、図2に示すように、この剥離シート付きラベル10を巻回させ、このように巻回させた剥離シート付きラベル10を順次引き出し、剥離シート11に形成した上記のミシン目11bによって剥離シート付きラベル10を分割させるようにする。そして、このように分割させた剥離シート付きラベル10における剥離シート11上に貼着されたラベル12を、ラベル12に形成された上記の切れ目12aやミシン目12bの部分において分離させると共に剥離シート11から剥離させ、このように剥離させたラベル12を荷物等に付与させる。なお、図3においては、上記のようにミシン目11bにおいて分割させた剥離シート付きラベル10における剥離シート11からラベル12を剥離させた状態を示した。
【0019】
ここで、この実施形態における剥離シート付きラベル10においては、ラベル12より突出した剥離シート11の両側の縁部11aが長手方向に沿って連続した微細な波形状に形成されて、ざらついた状態になっているため、上記のように巻回させた剥離シート付きラベル10を引き出して使用するにあたり、この剥離シート付きラベル10を指で保持しながら引き出すようにした場合においても、ラベル12より突出した剥離シート11の両側の縁部11aに指が擦れて傷つくのが防止されると共に、上記のように剥離シート11をそのミシン目11bにより切断させる場合にも、指が擦れて傷つくのが防止されるようになる。
【0020】
また、上記のような剥離シート付きラベル10を製造するにあたり、この実施形態においては、図4(A),(B)に示すような剥離シート基材110の上にラベル基材120が剥離可能に貼着された長尺状の剥離シート付きラベル用基材100を用いるようにしている。
【0021】
そして、この長尺状の剥離シート付きラベル用基材100におけるラベル基材120を上にして、図5に示すように、上に位置する第1カッティグロール21と下に位置する第1押えロール22との間に導き、上記の第1カッティグロール21により、図6に示すように、上記のラベル基材120に上記のラベル12に対応した切り込み121を形成して、複数列(図に示す例では3列)のラベル12を設けると共に、各列のラベル12の部分に上記の切れ目12aやミシン目12bを設けるようにする。
【0022】
次いで、このようにラベル12に対応した切り込み121が形成された剥離シート付きラベル用基材100を、図5に示すように、上に位置する第2押えロール23と下に位置する第2カッティグロール24との間に導くようにする。
【0023】
ここで、この実施形態においては、上記の第2カッティグロール24として、図7に示すように、その周方向に沿って周方向と交差する方向に微細な波形状になった切刃24aが複数列(図に示す例では4列)設けられると共に、その軸方向にミシン目刃24bと切刃24cとが設けられたものを用いている。
【0024】
そして、上記のように第2押えロール23と第2カッティグロール24との間に導かれた剥離シート付きラベル用基材100における剥離シート基材110に対して、上記の第2カッティグロール24に設けられた微細な波形状になった各切刃24aにより、図8に示すように、この剥離シート基材110の両側部と上記のラベル基材120に設けられたラベル12間の部分に、長手方向に沿って連続した微細な波形状の切り込み111を形成すると共に、剥離シート11の長手方向と直交する方向に形成される上記のミシン目11bに対応するミシン目112と、切れ目11cに対応する切れ目113とを設けるようにし、その後、図5に示すように、剥離シート付きラベル用基材100におけるラベル基材120や剥離シート基材110の不要部分を上記の第2押えロール23側に導いて除去させるようにする。
【0025】
このようにすると、図9に示すように、上記の剥離シート付きラベル10が同時に複数列(図に示す例では3列)形成されるようになる。
【0026】
なお、この実施形態においては、長尺状の剥離シート付きラベル用基材100におけるラベル基材120に切り込み121等を形成した後、剥離シート基材110に対して上記の長手方向に沿って連続した微細な波形状の切り込み111等を形成するようにしたが、逆に剥離シート基材110に対して上記の長手方向に沿って連続した微細な波形状の切り込み111等を形成した後、ラベル基材120に切り込み121等を設けるようにするなどの変更は自由に行える。
【0027】
また、この実施形態における剥離シート付きラベル10においては、この剥離シート11の両側の縁部11aをラベル12より突出させると共に、この剥離シート11の両側の縁部11aを長手方向に沿って連続した微細な波形状に形成するようにしたが、図10に示すように、剥離シート11の両側の縁部11aをラベル12から突出させずに、剥離シート11の両側の縁部11aとラベル12の両側の縁部12cとを同様の微細な波形状に形成したり、また図11に示すように、ラベル12より突出させた剥離シート11の片側の縁部11aだけを長手方向に沿って連続した微細な波形状に形成することも可能である。
【0028】
さらに、この実施形態においては、上記のように長尺状の剥離シート11の上にラベル12が貼着された長尺状の剥離シート付きラベル10を示したが、この剥離シート付きラベル10もこのような長尺状のものに限られず、例えば、図12に示すように、長方形状の剥離シート11の上に剥離可能に貼着させたラベル12に複数の切れ目12aを設けてラベル12を分割可能にした剥離シート付きラベル10についても、上記の実施形態と同様に、この剥離シート11の両側の縁部11aをラベル12より突出させ、この突出した剥離シート11の両側の縁部11aを微細な波形状に形成することも可能であり、この場合においても、ラベル12より突出した剥離シート11の縁部11aに指が擦れて傷つくのが防止されるようになる。
【0029】
なお、上記の実施形態においては、剥離シート付きラベル用基材100におけるラベル基材120や剥離シート基材110に対して、第1カッティグロール21と第2カッティグロール24とを用いて各種の切り込みやミシン目を設けるようにしたが、レーザー加工によってこれらの切り込みやミシン目を設けるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一実施形態に係る剥離シート付きラベルの概略平面図である。
【図2】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルを巻回させて引き出す状態を示した概略側面図である。
【図3】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルにおいて、剥離シートのミシン目において分割させた剥離シート付きラベルの剥離シートからラベルを剥離させた状態を示した概略平面図である。
【図4】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルを製造するのに用いた剥離シート付きラベル用基材を示し、(A)は概略平面図、(B)は概略側面図である。
【図5】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルを製造する状態を示した概略側面図である。
【図6】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルを製造する工程において、第1カッティグロールにより、剥離シート付きラベル用基材におけるラベル基材にラベルに対応した切り込みを形成すると共に、各列のラベルの部分に切れ目やミシン目を設けた状態を示した概略平面図である。
【図7】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルを製造するのに使用した第2カッティグロールの概略平面図である。
【図8】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルを製造する工程において、第2カッティグロールにより、剥離シート付きラベル用基材における剥離シート基材の両側部と上記のラベル基材に設けられたラベル間の部分に、長手方向に沿って連続した微細な波形状の切り込みを形成すると共に、剥離シート基材の長手方向と直交する方向にミシン目と切れ目とを設けた状態を示した概略底面図である。
【図9】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルを同時に複数列製造した状態を示した概略平面図である。
【図10】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルの第1の変更例を示した概略平面図である。
【図11】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルの第2の変更例を示した概略平面図である。
【図12】この発明の他の実施形態に係る剥離シート付きラベルの概略平面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 剥離シート付きラベル
11 剥離シート
11a 縁部
11b ミシン目
11c 切れ目
12 ラベル
12a 切れ目
12b ミシン目
12c 縁部
21 第1カッティグロール
22 第1押えロール
23 第2押えロール
24 第2カッティグロール
24a 微細な波形状になった切刃
24b ミシン目刃
24c 切刃
100 剥離シート付きラベル用基材
110 剥離シート基材
111 微細な波形状の切り込み
112 ミシン目
113 切れ目
120 ラベル基材
121 切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離シート上にラベルが剥離可能に貼着されてなる剥離シート付きラベルにおいて、上記の剥離シートの少なくとも片側の縁部が微細な凹凸状に形成されていることを特徴とする剥離シート付きラベル。
【請求項2】
請求項1に記載した剥離シート付きラベルにおいて、上記の剥離シートにおける両側の縁部が微細な凹凸状に形成されていることを特徴とする剥離シート付きラベル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した剥離シート付きラベルが長尺状であり、上記の剥離シートの長辺側の縁部が微細な凹凸状に形成されていることを特徴とするラベル用紙。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載した剥離シート付きラベルにおいて、剥離シートの縁部がラベルより突出しており、この突出した剥離シートの縁部が微細な凹凸状に形成されていることを特徴とするラベル用紙。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載した剥離シート付きラベルにおいて、上記の剥離シートの縁部の微細な凹凸が波形状になっていることを特徴とするラベル用紙。
【請求項6】
周方向に沿って微細な凹凸状になった切刃が設けられたカッティングローラを回転させ、上記の微細な凹凸状になった切刃により、剥離シート基材上にラベル基材が剥離可能に貼着された剥離シート付きラベル用基材における剥離シート基材に切り込みを設けることを特徴とする剥離シート付きラベルの製造方法。
【請求項7】
周方向に沿って微細な凹凸状になった切刃が複数設けられたカッティングローラを回転させ、上記の微細な凹凸状になった各切刃により、剥離シート基材上にラベル基材が剥離可能に貼着された剥離シート付きラベル用基材における剥離シート基材に切り込みを設けることを特徴とする剥離シート付きラベルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−284699(P2006−284699A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101724(P2005−101724)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000205306)大阪シーリング印刷株式会社 (90)
【Fターム(参考)】