説明

加圧されたガスを貯蔵するための装置

本発明は、内部シリンダ状圧力容器(1)を備える加圧されたガスを貯蔵するための装置に関し、圧力容器(1)は、パイプ接続部(7)を備える。本願発明によれば、該装置は、内部シリンダ状圧力容器(1)は、外部容器(3)の内側に配置され、それにより実質的に環状空間(2)が、内部圧力容器(1)と外部容器(3)との間で形成され、そこでは内部圧力容器(1)と外部容器(3)との間の環状空間(2)は、流体で満たされ、外部容器(3)はさらに外部容器(3)の最も高い点(4,6)で、又は近接して、通気手段(5)を備える点を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧されたガスを貯蔵するための貯蔵装置/システムに関する。本装置は、特に、圧縮されたガス状水素を貯蔵するのに適しており、水素燃料補充システムに接続されることができる。本発明は、工業目的、車両燃料補給又は暖房目的のために通常貯蔵される炭化水素化合物のような他のガスに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
ガス状水素は典型的には様々な寸法の加圧されたシリンダ状タンク(圧力容器)で貯蔵されている。これらのシリンダは、鋼鉄で作られるか、又は合成材料からなり、ガス気密ライナー(典型的には金属又はプラスチック)及び繊維性ラッパーを備える。貯蔵設備は、典型的には幾つかの個別の容器からなり、その容器はガス管(ガス供給管及びガス排出管)で接続される。容器は典型的には矩形パターンで配置され、互いに対して適所に容器を維持する金属フレームにより支持され、容器全体の束又は積み重ねを支持する。容器の軸は、(1以上の積み重ねで)水平に、又は(1以上の束で)垂直に向いている。
【0003】
貯蔵設備は、典型的には屋外に地上面に又は地上面上に配置され、ときには、軽鉄骨構造又はより強固なコンクリート構造に収容される。代替的に、設備は、地上面より下の地中に埋蔵され、近隣の火事からの放射又は爆発により引き起こされる損傷のような外部的影響から保護されて改善される。タンクを地中に配置することは、特に市街地(すなわち、ガソリンスタンド)では空間の節約になることができる。容器の検査及びパイプの接続が非常に困難であり、腐食を防ぐために高価な手段(例えば、外部タンク表面のコーティング及び/又は陰極防食のための犠牲電極の設置)を必要とすることもあり、先の選択肢は、まれに用いられる。
【0004】
漏れ検出は、特に覆いのない屋外設置との組み合わせにおいては、小さな漏れがすぐに希釈されて、見つけるのが困難であるため、主要な課題である。他の知られている地下設置は、ガス漏れが桝の頂上部を通じて制御されずに通過することを可能にしてしまう固有の危険をもたらし、漏れ検出をより困難にする。
【0005】
安全機能を維持する一方埋蔵された容器の検査に関する困難を克服するために、液体又はガス状の炭化水素化合物の貯蔵のためのシステムが、特許文献1に提案されている。容器は、液体、例えば水、で満たされた桝に沈められる。したがって、容器は、例えば火及び爆発のような外部影響から保護される一方、容器は桝の水面を低くすることにより容易に検査されることができる。桝の頂上部が木、鋼鉄、またはコンクリート部材で覆われることを選択することができる。
【0006】
前記システムは、しかしながら、ガス漏れ検出を困難にする。前記システムは、ガス漏れが桝の頂上部を通じて制御されずに通過することを可能になるため、検出されない爆発性ガス混合物の固有の危険がもたらされる。
【0007】
本願の出願人により出願された特許文献2は、液体が満たされた少なくとも1つの桝を備えるプラントを記載し、前記ガスを貯蔵するための前記桝に配置された1以上の圧力容器は、ガス供給及びガス排出ネットワークへの相互接続パイプ及び接続部、前記容器を支持するための固着システム、排出部に向かって且つ通ずる前記桝で起こるガス漏れに繋がる前記桝を覆うための下面6に傾斜面を備えるカバー、及び前記排出部に配置された少なくとも1つのガス検出装置を含む。
【0008】
特許文献2は、非常に小さなガス漏れの早期検出を可能にし、前に記載された地中の貯蔵システムを超えるプラントの安全性を改善し、カバー領域のほとんどを他の用途に使用することができるので通常設置よりも少ない領域で済み、そしてさらにはガスの貯蔵温度になる、加圧されたガスを貯蔵するためのプラントを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】オランダ登録特許第1001796号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/088378号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明の目的は、ガスを貯蔵するためにさらに改善された技術を提供することであり、特に安全性、早期漏れ検出、コスト節約及び簡単化された維持管理に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明によれば、これらの及び他の目的は、独立請求項1の特徴部分によるガス貯蔵装置/システムにより達成される。さらなる有利な実施形態及び特徴が従属請求項で記載される。
【0012】
本願発明によるガス貯蔵システムは、タンク−イン−タンク構成を備え、ここで内部タンクは、ガスを保持するために配置されて、ここで外部タンクは流体充填環部を提供するために配置される。この構成は、特許文献2でもたらされる解決策に対して多くの利点を提供する。
・外部のタンク及び流体充填環部は、追加の安全バリアを提供する。
・必要とされる液体の体積が最小化される(より低いコスト、改善された温度制御、減少された環境リスク)。
・検査及び維持管理のためのアクセスしやすさがさらに改善される。
・より小さなサブモジュールに分けられた全体貯蔵は安全性を改善する。
・モジュラーデザインは、標準化されたデザイン要素を用いる一方より広い適応性を可能にする。
【0013】
本願発明は、ここに、例として以下の添付の図面を参照して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図である。
【図2a】「突出部」を具備した本発明の別の実施例を示す平面図である。
【図2b】角度のある配置がされた本発明の別の実施例を示す平面図である。
【図2c】立っている配置がされた本発明の別の実施例を示す平面図である。
【図3】積み上げ実施例を示す平面図である。
【図4】別の積み上げ実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで図1を参照して、加圧されたタンク1はタンク−イン−タンク構成で包囲タンク3の内側に含まれる。環状又は包囲空間2は、加圧されたタンク1及び包囲タンク3の間に提供されて、この環状又は包囲空間2は、適した流体で満たされている。流体は、水、グリコール、又は例えば不活性、安定性、ガスを吸収する能力等の適当な特性を有する任意の他の適した流体としてよい。流体は、また、ガス漏れを検出する上で、色を変えたり、その導電性又はガス検出手段を助けることができる他の属性を増加又は減少させたりすることを可能にする、適当な化合物又は添加物を備えてよい。
【0016】
本願発明による内部及び外側タンクの間の環部又は空間2のみが流体で満たされているので、脱出する可燃性ガス及び空気又は他のガスの間の接触が、排気パイプ5及びガス検知手段が備えられることができる予め定められた排気領域4で起こりうるのみである。これは、検出されない爆発性ガス混合の危険を大いに減少させ、2以上の個別タンクを備える構成において漏れているコンテナーを見つけることが容易にする。
【0017】
各タンクは、加圧されたタンク1から包囲空間2及び包囲タンク3を通じて延びる接続部品7を備える。この接続部品7は、加圧されたガスでタンクを満たし、その後必要によりガスを取り出すために使用される。
【0018】
このタンク−イン−タンク構成は、例えば近接の火からの放熱、外部爆発からの衝撃、又は車両及び/又は他の移動物体を含む衝突から、各貯蔵容器を効率的に保護する。
【0019】
本願発明の1つの実施形態によれば、1以上の個別のタンク及び/又は積み重ねのタンクは、(各個別のタンクはタンク−イン−タンク構成を備え)、地下設置で配置される。大規模漏出により引き起こされる推進力のためガス含有装置の爆発又は加速の場合、水平衝撃が貯蔵室壁及び周りの地球の質量により抑制されるので、近くにあるビルディング、装置及び人に課せられる損傷の範囲が、地上設置と比較して非常に減少する。ガスの所定の貯蔵体積に必要な面積は、地上設置と比較して非常に減少される。
【0020】
本願発明のさらなる特徴は、タンク−イン−タンク構成の内側及び外側タンクの間の環状空間の内側の、ガス収集空間/点及び排気システムの設備である。含まれるガスは、タンクの間の環状部に含まれる流体よりも軽く、漏れる場合には、脱出ガスは、環状部の内側の最も高い点4に移動する。水平に位置されるタンクの環状部2の内側のこの最も高い点4の近くのどこかに「隆起部」又は収集チャンバー6を提供すること(図2a)、角度Bでタンクをわずかに傾けること(図2b)、又タンクを直立位置に上げること(図2c)により、漏出ガスが流体を通じて移動し、この最も高い点4で集められる。タンクが水平位置に配置される場合には、包囲タンク3の頂上部付近のどこかに収集チャンバー6が配置されることができる。排気設備5は、このガス収集点4に備えられ、好ましくは排気配置5に沿ったどこかに提供されるガス検出装置と組み合わされる。各個別のタンク又はタンクの集積8、9のためのガス検出装置(示されていない)を備えることにより、漏れは素早く且つ簡単に検出されることができ、それにより防護手段は、貯蔵施設、例えば地下貯蔵施設で貯蔵されるすべてのタンクを運転停止させる必要なしに、その個別のタンク又はタンクの集積のみに関して実施されることができる。
【0021】
本願発明の別の実施形態によれば、内部又は外部熱交換器手段(示されていない)は、環部2の流体の温度を制御するために備えられることができ、ガス温度を効果的に下げるために使用されることができ、それにより短い給油時間等を可能にする。「内部」熱交換器手段は、熱交換器手段が個別のタンクの内側、又はおそらく外側上のどこかに備えられることを意味する一方、「外部」は、個別のタンク又は複数のタンクからより遠く離れて配置された熱交換手段を指す。1つよりも多い個別のタンク又はタンクの集積8、9の使用を含む幾つかの応用においては、各タンク又は集積8,9の温度を個別に制御することができるという明確な利点になる。
【0022】
本願発明の1つの実施形態によれば、加圧されたタンク1及び包囲タンク3の間の環部又は包囲空間2に提供された流体は、ガスからなることができる。このガスは、不活性、例えばNであってもよい。この実施形態は、最も高い点4、「隆起部」及び/又は収集チャンバー6の近くに配置される半透過膜(示されていない)又は同種のものの使用を必要とすることがあり、膜は不活性ガスと、最も高い点4、「隆起部」及び/又は収集チャンバー6との間の境界を構成する。膜は、不活性ガス、例えばNが1つの方向の膜を通過することを防ぎ、そして他の方向ではO及び他の空気ガスを遮る一方、貯蔵された加圧されたガスが膜を通じて漏れ出ることを許す能力により選ばれる。検出手段は、一旦そのガスが膜を突き抜けて、最も高い点4、「隆起部」及び/又は収集チャンバー6に到達すると、漏れ出る貯蔵された加圧されたガスの上げられたレベルを検出する。
【0023】
本願発明によれば、2つ以上の個別のタンクは、グループ分けされて、一緒に接続されることができ、それにより集積8,9を(図3を参照)形成し、個別のタンクは、個別の排気5及び検出システムを保持するか、または代わりに、タンクの集積8,9は、共通の排気5及び検出システムを備えた個別のユニットを形成する(図4を参照)。この場合には、接続部品7は、一緒に集まり、相互接続され、充填及び取り出しが集積8,9のために行われ、全体として、1つの大きなタンクとして作用する。この構成の1つの利点は、多重製造ラインの必要を避けて、製造方法等を変えて、大きな貯蔵容量が、モジュラー類似ユニットにより得られることができることである。これは、十分に大きな貯蔵容量の構造物を可能にする一方、1つの個別のタンク又はタンクの集積8,9の漏れを容易に検出することができることを確実にするものである。この特徴は、漏れの局所化を促進するので、安全及び維持管理の点の両方に重要である。一旦漏れが局所化されると、漏れているタンク又はタンクの集積8,9は切り離されて修理されることができる一方、共通の貯蔵設備の残りのタンクはまだ通常の機能を稼動させることができる。これはダウンタイムを除去するか又は減少させ、維持管理及び修理を容易にする。
【0024】
図3で示されたタンクの集積8は、一緒にグループ分けされてより大きな貯蔵タンクを形成する多くの個別のタンク−イン−タンクユニットを備える。排気5及び検出システムは、各個別タンクに個別的に配置される一方、接続部品7は相互接続される。もし個別のタンクのうちの1つに漏れが検出されると、漏れているタンクは切り離され、残りのタンクの集積の機能性に影響することなしに除去されることができる。そのうち漏れているタンクは、完全に機能するタンクに交換されることができ、それにより完全な貯蔵容量を回復する。
【0025】
図4で示されたタンクの集積9は、1つの共通の包囲タンク3に含まれる多くの個別の加圧されたタンク1を備える。排気/検出手段及び接続部品7の両方が相互接続される。もし漏れが加圧されたタンク1の1つに起これば、個別の加圧されたタンク1のどれが漏れを生じているのか知る方法がないので、これは集積全体を不能にする。集積全体を切り離した後、共通の包囲タンク3の中の漏れている加圧されたタンクは、集積9が再びオンラインに戻る前に、局所化されて修理されなければならない。
【符号の説明】
【0026】
1 加圧されたタンク
2 環状又は包囲空間
3 包囲タンク
4 排気領域
5 排気パイプ
6 収集チャンバー
7 接続部品
8 集積
9 集積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部シリンダ状圧力容器(1)を備える加圧されたガスを貯蔵するための装置であって、前記圧力容器(1)は、パイプ接続部(7)を備え、前記内部シリンダ状圧力容器(1)は、外部容器(3)の内側に配置され、それにより実質的に環状空間(2)が、内部圧力容器(1)と外部容器(3)との間で形成され、そこでは前記内部圧力容器(1)と前記外部容器(3)との間の環状空間(2)は流体で満たされ、前記外部容器(3)はさらに前記外部容器(3)の最も高い点(4,6)に、又は、に近接する、排気手段(5)を備える点を特徴とする装置。
【請求項2】
前記外側容器(3)は、さらに、前記外側容器(3)の最も高い点(4,6)に、若しくは、に近接して、又は排気手段(5)と接続する検出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、内部又は外部熱交換器手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、外部容器(3)の最も高い点(4,6)に、又は、に近接するガス収集チャンバー(6)を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、水平面に対して角度(B)で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記角度(B)が0〜90°の間であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記角度(B)が1〜25°の間であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が直立位置、すなわち、水平面に対して90°の角度(B)に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
1以上の他の類似の装置と一緒に配置されており、それにより集積(8,9)を形成し、各装置の前記パイプ接続部(7)は、平行に、直列に又はそれらの組み合わせのいずれかで接続される一方、各装置は個別の排気(5)及び/又は検出手段を保持することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
前記流体は、液体を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
前記流体は、気体を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
半透過膜又は同種のものが最も高い点(4)及び/又は収集チャンバー(6)の近くに配置され、前記膜が前記不活性ガスと前記最も高い点(4)及び/又は収集チャンバー(6)との間の境界を構成することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記膜が、前記流体がある一方向の膜を透過するのを遮り、他の方向ではO及び他のガスを遮る一方、漏れ出ている貯蔵された加圧されたガスが膜を通るのを許す能力により選択されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
地面の中又は下の位置で、例えば、地下貯蔵設備に、配置されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−519810(P2012−519810A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552899(P2011−552899)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/NO2010/000076
【国際公開番号】WO2010/107317
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511196711)
【Fターム(参考)】