説明

加圧式定量吸入器のための安定な薬剤溶液配合物

有効成分として、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩、特に塩酸塩(TA−2005)、ヒドロフルオロアルカンからなる噴射剤、および補助溶媒からなるエーロゾル吸引器中で使用するためのエーロゾル溶液組成物は、特定の少量の高濃度のリン酸の添加および任意に内部金属表面の一部または全部が不活性有機被膜で内張されている適切な缶の使用により安定化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エーロゾル投与に適した加圧式の定量吸入器(MDI)に用いられる安定な薬剤溶液配合物に関する。特に、本発明は、β2作用薬(アゴニスト)である8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩(塩酸塩は、以後、TA−2005と呼ばれる)を含み、かつ薬学的に許容される保存期間の間、室温で安定なエーロゾル投与に適する加圧式の定量吸入器(MDI)に用いられる溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧式定量吸入器は、吸入により気道に薬剤製品を投与するためのよく知られた装置である。
【0003】
吸入によって通常放出される薬物には、気管支拡張薬、例えば、β2作用薬および抗コリン薬、コルチコステロイド、抗ロイコトリエン薬、抗アレルギー薬、および吸入で有効に投与され、これにより治療効能を増進させ、副作用を減少させるその他の物質が含まれる。
【0004】
MDIは、エーロゾルとして薬剤製品を含む小滴を気道に放出するために噴射剤を使用する。MDIを介するエーロゾル投与のための配合物は、溶液または懸濁液である。溶液配合物は、有効成分及び賦形剤が噴射剤溶媒またはエタノールのような適当な補助溶媒とのその混合物中に完全に溶解しているために均質であるという利点を有する。溶液配合物はまた、懸濁液配合物に起因する物理的な安定性の問題の回避を不要とし、より安定した均一な投薬量の投与を保証する。
【0005】
長年の間、薬学的使用のためのエーロゾルに用いられる好ましい噴射剤は、フレオンまたはCFC、例えばCCl3F(フレオン11又はCFC−11)、CCl22(フレオン12又はCFC−12)、およびCClF2−CClF2(フレオン114又はCFC−114)と通常呼ばれる塩化フッ化炭素のグループであった。
【0006】
最近になって、フレオン11やフレオン12などの塩化フッ化炭素(CFC)噴射剤は、オゾン層の破壊に関係があることが示唆され、それらの製造は段階的に廃止されている。
【0007】
ヒドロフルオロアルカン[(HFA)、フッ化炭化水素(HFC)としても知られている]は塩素を含まず、オゾンをそれほど破壊しないと考えられ、よってこれらはCFCの代用物として提案されている。
【0008】
HFA、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)は、非CFC含有噴射剤の最有力候補であると認識され、そしてそのようなHFA噴射剤系を使用する多数の薬用エーロゾル配合物が開示されている。
【0009】
HFA噴射剤、特にHFA134a(比誘電率D≧9.5)がCFC溶媒(D≦2.3)に比べて高い極性を有するため、HFA溶液配合物は、CFC配合物に比べてより大きな程度で化学的安定性の問題に遭遇する可能性がある。
【0010】
フェニルアルキルアミノ誘導体の分類に属する気管支拡張薬β2作用薬が関係している場合には、安定したHFA溶液配合物の調製は重要である。特に、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンは、この種の溶媒中で化学的安定性の問題を受けやすく、そしてそれは化学的分解が非常に起こりやすい。
【0011】
さらに、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンは、高い効能があり、そしてその投薬量−強さレベルは、MDIによって投与される多くの他の薬物よりかなり少ない。このように、エーロゾル配合物中のその濃度が非常に低いと、その化学−物理的な特性と共に、MDIによって投与されるときに、安定であって、かつ優れた投薬量の再現性を提供する配合物を調製することの難しさが増大する。
【0012】
上記に説明した問題を考慮すると、冷却の使用を必要とせず、環境条件の温度での保存の間、化学的および物理的に安定したままであって、かつ充分な有効期間をもつ8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその治療薬用の塩、特に塩酸塩(すなわち、TA−2005)の薬学的用量の提供を目指したMDIによって投与するためのHFA溶液の形態である配合物を提供することは非常に有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の一つの目的は、室温での充分な保存期間をもつ、薬学的用量の8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩類を、肺疾患、例えば、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を患っている患者の下気道に提供するための、MDIによって投与されるHFA溶液の形態である配合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によると、液化されたHFA噴射剤、薬学的に許容できるアルコールから選ばれる補助溶媒、そして特定量の高濃度(すなわち、約10M以上、好ましくは約12M以上、特に約15M)のリン酸の溶液中に、有効成分である8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩類、特に塩酸塩を含む薬剤組成物が提供される。この溶液の見かけのpHは2.5と5.5との間にある。
【0015】
上記の配合物は、好ましくは有効成分が完全に溶解されている溶液である。
【0016】
本発明の配合物は、内部金属表面の一部もしくは全部がステンレス綱、アルマイトから作られているか、あるいは不活性有機被膜で内張されている加圧式MDIの中に収容されていてもよい。
【0017】
実際のところ、HFA溶液配合物中での8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩類の化学的安定性は、缶の種類の適切な選択の上に高濃度のリン酸を特定量にて使用することによって、劇的に向上できることが見出された。
【0018】
なお、リン酸の安定化の効果は配合物中のw/wパーセント量と厳密に相関していない。約15Mのリン酸を使用する場合、それは配合物の全質量に対する量として、0.0004乃至0.040%の濃度範囲、好ましくは0.0008w/w乃至0.0075%w/wの濃度範囲で存在する。
【0019】
相当する見かけのpH範囲は2.5乃至5.5、好ましくは3.0乃至5.5、より好ましくは3.5乃至5.0である。
【0020】
「見かけの」という規定は、pHが、実際には水が主成分(モル分率>0.95)の水性液体の特性であることを考慮して使用されている。本発明者の研究で使用されるHFA−エタノール溶媒のような相対的に非プロトン性の溶媒中では、プロトンは水和されず、それらの活性係数は水性溶液中のそれらとは大きく異なる。EMFに関するネルンストの式を適用して、pH計のガラス電極システムは、プロトン濃度および溶媒の極性に従って可変のミリボルト出力を発生させることができるが、「pH」計の表示は真のpH値ではない。計器の表示は、見かけのpHまたは酸性度関数(pH’)を表している。
【0021】
既に報告したことであるが、濃度4μg/50μLの8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン・HCl[TA−2005]を、本出願人によって開発された方法により、市場で入手可能なモデル溶媒システム(HFA 43−10MEE,Vertrel XF,デュポン)で、無機酸、特に0.08M塩酸を用いて滴定した場合、そのpH’プロフィールは、ほぼpH’=5.0まで浅い負の傾斜を示し、その後、酸性度関数は急激に下がった。
【0022】
そしてまた、低濃度、例えば、1μg/50μL(0.002%w/v)のTA−2005で、0.08MHClの存在下では、pH範囲は2.5〜5.5であり、安定化の程度が酸のパーセント量で決定されることが見出されている。
【0023】
さらに実験を行なった結果、TA−2005が高濃度のリン酸、特に約15Mまたは85%のリン酸によって驚くほどより安定させることができることが判明した。この点については詳細に後述する。
【0024】
実際のところ、HFA噴射剤および補助溶媒の溶液中でのTA−2005の化学分解は溶液の酸性度関数にだけ依存するのではなく、検出限界レベルの金属イオンによる触媒作用によって引き起こされ、しかもTA−2005の安定性は、高濃度のリン酸を特定量で溶液に添加して、厳密に規定された範囲での見かけpHに調整するのみならず、金属イオンを隔離することによって高めることができることが今回判明した。
【0025】
さらに、特に一部または全部が不活性有機被膜で内張されている内部表面を持つ、不活性な容器の使用により、HFA噴射剤溶液中の有効成分の安定性が高められることが観察された。
【0026】
本発明のある実施例によると、噴射剤としてHFA134a、次いで補助溶媒として約8乃至約15%w/wのエタノールを含み、さらに0.0004%w/w乃至0.0075%w/wの85%(15.2M)のリン酸を含む、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン溶液からなる薬剤組成物が充填されている、不活性被膜で内張りされた容器からなる薬剤用量を投与するための加圧式MDIが提供される。
【0027】
上記溶液の見かけのpHは3.0と5.5の間にある。「%w/w」の表示は、組成物の全質量に関する構成成分の質量パーセントを意味する。
【0028】
上記容器に充填される組成物中の有効成分は、室温で優れた化学的安定および保存寿命を示し、そして薬剤の重要な変化は、その初期値から分析評価における5%の変化と定義されている「Stability Testing of new Active Substances(and Medicinal Products)」に言及するICHガイドラインQ1Aの要求を満たす。
【0029】
本発明の製薬用配合物は、吸入器の作動に際してエーロゾル粒子の質量メジアン空気力学的径(MMAD)を増加させるために、さらに賦形剤、特に低揮発成分を含んでもさしつかえない。
【0030】
しかしながら、配合物への他の成分の添加は避けることが好ましい。
【0031】
WO98/34596において、該出願人は、有効成分、ヒドロフルオロアルカン(HFA)を含有する噴射剤、補助溶媒からなり、そしてさらに吸入器の作動に際してエーロゾル粒子の質量メジアン空気力学的径(MMAD)を増加させるための低揮発性成分を含む、エーロゾル吸入器での使用のための溶液組成物を記述している。この出願は、有効成分の化学的安定性の技術的な問題に向けられたものではなく、むしろ肺への薬物の放出に関係している。
【0032】
2000年6月2日にWO00/30608(’608)として公開された、99年11月23日の出願のPCT/EP99/09002号において、該出願人は、前記吸入器の内部表面の一部または全部がステンレス綱、アルマイトから作られている、あるいは不活性有機被膜で内張されていることを特徴とする、ヒドロフルオロカーボン噴射剤、補助溶媒および任意の低揮発成分中の有効成分の溶液を投与するための加圧式MDIを開示している。この’608出願では、組成物中の有効成分の化学的安定性を改善するための、無機酸、特にリン酸の重要な役割についての言及がない。それどころか、酸の有無にかかわらず、臭化イプラトロピウム(可能な有効成分のひとつ)が特定の種類の缶中で安定にあることを述べている。
【0033】
EP673240は、HFAを含むエーロゾル溶液配合物中の有効成分の化学分解を防ぐために、安定剤として酸の使用を提案している。大部分の実施例は抗コリン作用薬である臭化イプラトロピウムに関するものであり、そしてβ2作用薬、すなわちフェノテロールについてはひとつの実施例が提示されている。サルブタモールの記載もあるが、例示的な配合例は記載されていない。安定性のデータは、臭化イプラトロピウムについてのみ報告されており、有機酸と無機酸との使用の間に違いは生じていない。リン酸は、可能な無機酸の一つとして例示されているだけである。さらにまた、臭化イプラトロピウムは別として、EP673240において、缶中の組成物全体の安定性を損なうことなく、薬品を安定にするために添加されるべき酸の量に関する手引きが与えられていない。唯一のヒントは、5頁の15乃至16行に見つけることができ、無機酸の量をpH値が1乃至7のように、非常に幅広くかつ一般的な範囲を得るために添加するべきであると述べている。
【0034】
WO98/34596は、噴射剤および有効成分の溶解と同様に安定性も助けることができる生理学的に許容可能なポリマーを含む溶液配合物に言及している。
【0035】
WO00/06121は、懸濁液および溶液のエーロゾルの調製における、一酸化二窒素およびヒドロフルオロアルカンのエーロゾル用噴射剤混合物に言及している。一酸化二窒素の使用は、酸化に敏感な有効成分の保存に関して安定性を改善するかもしれない。硫酸レボサルブタモール、フマル酸ホルモテロールおよびキシナホ酸サルメテロールのようなβ2作用薬に関しては、懸濁液に関連した例だけが報告されている。
【0036】
本出願人のEP1157689(’689)において、様々な量のHCl0.08M(1.0および1.4μL)により安定させた8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩(TA−2005)3.5μg/50μL用量、12%w/wのエタノール、1%w/wのミリスチン酸イソプロピルを含むHFA134a溶液配合物の安定性データが報告されている(実施例7)。
【0037】
TA−2005が比較的高い濃度(例えば、3.5μg/50μL)で存在するならば、そして直立状態の姿勢で保存された場合には、その配合物は、かなり良い安定性を示すと思われる。しかし、本発明者がTA−2005の低い濃度(例えば、1μg/63μL)で繰り返し試験を行ったところ、配合物中の有効成分の進行的な分解の発生が判明した(比較例1および3を参照のこと)。
【0038】
さらに、’689で例示された配合物は、放出された粒子のMMAD(質量メジアン空気力学的径)を増大させるために、低揮発性化合物としてミリスチン酸イソプロピルを含んでいる。その後、1.1μmと同等またはより小さい直径をもつ微粒子からなる主要成分(少なくとも30%)の作用により、肺の奥深くへの浸透という特質をもつ、非常に効果的なTA−2005配合物を提供することが非常に有利であることが判明した。従って、低揮発性化合物は避けなければならない。
【0039】
その後さらに、1.1μmと同等またはより小さい粒子の部分が30%以上、さらに50%以上またはそれ以上存在するという特徴がある、この種の非常に効果的な配合物において、TA−2005は、組成物の全体積に対して0.0005%w/vから始まる非常に低い濃度にて存在してもよいことが判明した。
【0040】
上記の組成物は、本出願人の別の既出願である特許出願WO03/074025(’025)に記述されおり、そこにはHClによって安定にされた8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩(TA−2005)を含むHFA溶液配合物の安定性データが報告されている。
【0041】
安定性は、直立状態で5℃で保存され、一作動につき4μgの有効化合物を放出する配合物に関して測定されている。そして、その冷蔵された状態において9ヶ月後のTA−2005の分析値は95%を超えている(比較例2を参照)。
【0042】
しかし、その後、本発明者によって、低濃度及び他の保存状態において存在するときは、配合物中の有効成分が速く分解することが判明した。
【0043】
一方では、多くの患者はエーロゾルキャニスターを彼ら自身で運ぶことを要求されるので、冷却は望ましくない。
【0044】
本発明の第一の観点によると、先に発表した’025によると好ましい無機酸は塩酸であるのに対して、少量の高濃度のリン酸(すなわち、約10M以上)、好ましくは約15Mのリン酸を、好ましくは配合物中に0.0008%と0.01%w/wの間の範囲の量で含有させることによって、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンおよびその塩の化学的安定性を高められることが判明した。配合物中の有効成分8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンおよびその塩の安定性をよりよく安定させる無機酸は、リン酸、特に高濃度のリン酸である。
【0045】
リン酸を含むエーロゾル配合物は、長い室温での保存期間中、驚くほど安定している。
【0046】
本発明の次の見方によると、エーロゾル吸入器に本発明の組成物を充填する方法が提供され、その方法は:
(a)追加の有効成分または賦形剤あるいは適当量の低揮発成分を任意に含む、一種もしくはそれ以上の補助溶媒中の8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩の溶液を調製する;
(b)装置に上記溶液を充填する;
(c)予め決められた量のリン酸を加える;
(d)ヒドロフルオロアルカン(HFA)を含む噴射剤を加える;
(e)バルブを折曲げ(クリンプして)、ガスを入れる、
ことからなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明のエーロゾル組成物で使用できる有効成分は、長時間作用性のβ2アドレナリン作動性作用薬、および他の有効成分、特にコルチコステロイドまたは抗スカリン薬とそれの組み合わせである。コルチコステロイドの例は:ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブチキソコルト、モメタゾンフロアート、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニド、およびその22R−エピマー、シクレソニド、およびロフレポニドがある。抗ムスカリンの例は、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、および臭化チオトロピウムがある。
【0048】
有効成分は、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩である。好ましい塩は塩酸塩であり、時にはTA−2005と呼ばれる。
【0049】
本発明の好ましい配合物は溶液の形であるけれども、組み合わせの場合は、二つの有効成分のうち一つは懸濁液中に存在していてもよい。
【0050】
TA−2005は、米国特許番号RE33024に記載の方法により製造することができる。
【0051】
配合物は、一または二回の作動において治療的な量の有効成分を放出することに適していることが好まれる。好ましい配合物は、0.5乃至6μg/1回量、より好ましくは1乃至4μg/1回量、特に1乃至2μg/1回量または2乃至3μg/用量の放出することに適していることである。我々が、「1回量」と言っているのは、吸入器の一回の作動によって放出される有効成分の量を意味する。
【0052】
本発明の配合物は、内部表面の一部または全部が不活性有機被膜で内張されている缶に収容されることが好ましい。好ましい被膜の例としては、エポキシ−フェノール樹脂、ペルフルオロアルコキシアルカン、ペルフルオロアルコキシアルキレン、ポリテトラフルオロエチレンのようなペルフルオロアルキレン、フッ素化−エチレン−プロピレン、ポリエーテルスルホン、およびフッ素化−エチレン−プロピレン・ポリエーテルスルホン共重合体がある。その他の好適な被膜としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
最も好ましい被膜は、ペルフルオロアルコキシアルカン、ペルフルオロアルコキシ−アルキレン、ポリテトラフルオロエチレンのようなペルフルオロアルキレン、およびフッ素化−エチレン−プロピレン、およびフッ素化−エチレン−プロピレン・ポリエーテルスルホン共重合体である。
【0054】
さらに安定性を改善するために、巻き込みリム、部分的または完全な巻き返しリムを有する缶を使用することができる。
【0055】
配合物は、50μLと100μLの間の量を放出することができる計量バルブによって供給される。
【0056】
計量バルブには、ブチルゴム、特にWO03/078538に記述されている種類のブロモブチルゴムで作られているガスケットが装備されていることが、配合物中の有効成分の安定性を改善するために好ましい。
【0057】
ヒドロフルオロカーボン噴射剤としては、HFA134a、HFA227およびそれらの混合物の群から好ましく選ばれる。
【0058】
補助溶媒は、通常アルコール、好ましくはエタノールである。
【0059】
見かけのpHの範囲は、有利には2.5と5.5の間、好ましくは3.0と5.5の間、より好ましくは3.5と5.0の間である。かなり濃縮した、すなわち約10M以上、好ましくは約12M以上、そして最も好ましくは約15Mのリン酸が、見かけのpHを調節するのに用いられる。以下の実施例の中では85%、すなわち15.2Mのリン酸を使用している。
【0060】
所望の見かけのpHに達するために添加される酸の量は、以前に報告した溶媒モデルで予め決めることができる。
【0061】
有効成分8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩は、かなり濃縮された、好ましくは約15Mのリン酸によって安定する。特に、リン酸を、混合物の全質量に対して15Mのリン酸で0.0004乃至0.040%w/w、好ましくは混合物の全質量に対して15Mのリン酸で0.0008乃至0.020%w/w、より好ましくは混合物の全質量に対して15Mのリン酸で0.001乃至0.010%w/w、さらに好ましくは混合物の全質量に対して15Mのリン酸で0.002乃至0.0075%w/wの量に相当する量にて添加することが望ましい。本発明の目的のために、15M以外のさらに高く濃縮したリン酸を利用することもできる。この場合、技術に熟練した人は、本出願中の記載を考慮して正しいパーセント量を決定することができる。この具体化において、1.1μmと同等またはより小さい直径をもつ微粒子の成分を少なくとも30%に増やして、肺奥への浸透を実現するために、他の賦形剤または低揮発成分の添加は避けることが好ましいかもしれない。
【0062】
8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンの濃度は、一作動につき0.5乃至6μgを放出するために、組成物の全体積に対して0.0005%と0.024%w/vの間、好ましくは、一作動につき1乃至4μgを放出するために、組成物の全体積に対して0.001%と0.016%w/vの間、より好ましくは一作動につき1乃至2μgを放出するために、組成物の全体積に対して0.001%と0.008%w/vの間で変わる。例えば、1および2μg/一回量のために、63μLの計測容量を使用すると、一作動につき放出する塩酸塩TA−2005の最終濃度は、組成物の全体積に対して、それぞれ0.0016%および0.0032%w/vとなる。組成物中の補助溶媒の量は、組成物の全質量に対して、適切には6乃至30%w/w、好ましくは5乃至25%w/w、より好ましくは5乃至20%w/w、さらに好ましくは8乃至15%w/wである。
【0063】
これらの状態では、TA−2005の安定性は、さらに一作動につき0.5または1μgの非常に低い投薬量にて高められる。
【0064】
見かけのpHの値は、好ましくは3.0と5.0の間にある。
【0065】
リン酸による安定化効果は、同様にHFAエーロゾル溶液配合物中にて調製されたときに化学的安定性の問題に直面する有効成分として、ブデソニド、抗炎症性20−ケトステロイドを含むTA−2005HFA配合物について試験した。
【0066】
本発明の他の特徴は、本発明の例示的な態様として与えられ、そしてそれらを限定することを意図しない、次の具体例の記述の中で明らかになる。
【実施例】
【0067】
次に述べる実施例及び比較例、そして本明細書の全体を通じて、特に記載がない限り、全ての部及びパーセンテージは質量を基準とし、全ての温度は摂氏である。
【0068】
[比較例1](EP1157689の実施例7に相当する)
フルオロカーボンポリマーで被覆された缶中での、酸性化された8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩−HFA134a溶液の安定性
【0069】
8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩(TA−2005)(3.5μg/50μL)の配合物は、0.84mgの有効成分を、12%w/wのエタノールと1.0%w/wのミリスチン酸イソプロピルとを含むHFA134a中に溶解することによって調製した。
1.0および1.4μLの0.08M塩酸が入っている(それぞれおよそ4.8および3.2の見かけpHと一致する)、pMDI被覆缶を、50℃にて直立状態で静置保存し、そしてTA−2005含有量の分析のために適当な間隔でサンプルを採取した。
【0070】
得られた安定性データを表1に示す。
【0071】
各々の値は、パーセント名目薬物濃度として表されている。
【0072】
その結果は、見かけpHが3.0と5.0の間にある、1.0乃至1.4μLの0.08Mの塩酸を含む配合物は、50℃でほぼ3ヶ月の間安定していたことを示す。
【0073】
表1:8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩(TA−2005)配合物の比較例1−50℃での安定性データ
【0074】
───────────────────────────────────────
缶当たり 保存条件
0.08M ───────────────────────────────
HClのμL 50℃;22日 50℃;83日
初期 直立状態 直立状態
───────────────────────────────────────
1.0 100.0 98.3 99.4
───────────────────────────────────────
1.4 100.0 98.2 98.8
───────────────────────────────────────
【0075】
[比較例2](WO 03/074025の実施例1に相当)
一作動につき有効成分1μgの名目用量を放出するための配合物は、表2に示す次の配合物により調製した。
【0076】
表2:
───────────────────────────────────────

──────────────────────────
ユニット当たり
───────────────── 名目用量
成分 mg % μg
───────────────────────────────────────
TA−2005 0.15 0.0016w/v 1
エタノール 1650 15w/v −
塩酸0.1M 2.0* 0.018w/w −
HFA134a 9347.85 − −
q.s.乃至9.45mL
───────────────────────────────────────
*2.0μLと同等
【0077】
配合物(120作動/キャニスター、30作動の供給過剰)は、テフロンで被覆された内部表面をもつアルミニウムキャニスターに充填され、そして63μL定量チャンバーを備えた定量バルブを取り付けた。0.22mmの開口部直径をもつアクチュエーターを使用した。
【0078】
一作動につき有効成分2、3または4μgの名目用量を放出できる、同様の配合物を調製した。1回量につき1μgの配合物は、空気力学的な粒子径の測定にのみ用いた。
【0079】
一作動につき4μgを放出できる配合物の安定性の調査は、5℃にて直立状態で缶を保存して開始した。
【0080】
結果は、二つの缶の平均として得た。
【0081】
9ヶ月後、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩の含有率は95%以上であり、従って「Stability Testing of new Active Substances(and Medicinal Products)」に言及するICHガイドラインQ1Aの要求に合致していた。
【0082】
[比較例3]
63μLの定量チャンバーを備えた市販のバルブが取り付けられている、テフロンで被覆された内部表面をもつ、二つのアルミニウムキャニスターに、表3に示した以下の配合物を充填した。
【0083】
表3:
───────────────────────────────────────
ユニット当たりの量
──────────────────────────
成分 mg % mg %
───────────────────────────────────────
TA 2005 0.154 0.0016w/v 0.154 0.0016w/v
(1μg/63μL)
エタノール 1650.0 15w/w 1650.0 15w/w
塩酸0.1M 2.00 0.018w/w 3.00 0.027w/w
HFA134a 9347.85 − 9346.85 −
q.s.〜9.45mL
───────────────────────────────────────
注:TA 2005=8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンの塩酸塩
【0084】
安定性の調査は、40℃、相対湿度75%にて、直立状態の缶の中に配合物を保存することにより行なった。これらの条件の下の3ヶ月保存後、TA−2005のパーセント量は、それぞれ73%と77%であった。
【0085】
比較例1乃至3の結果によれば、TA−2005(8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩)は、TA−2005が比較的高濃度(それぞれ3.5μg/50μL;4μg/63μL)で、そして冷却された状態で溶液配合物中に存在するのであれば、塩酸を用いることによって安定化することは可能である。しかしながら、それがこの種の有効成分として望まれているむしろ低い濃度で存在するならば(例えば、1μgまたは2μg/63μL)、塩酸の使用によってはもはや安定化することはできない。有効成分の8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩は、低濃度で適用されるべき、非常に少ない投薬量−強さで活発な、非常に強力で長い時間作用するβ2作用薬である。さらに、冷蔵庫中での保存は避けるべきである。
【0086】
次の実施例の結果によって証明されたように、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩は、非常に低濃度(例えば、1μg/63μL)であっても、組成物の全質量を基準として15.2Mのリン酸の0.0004乃至0.040%w/w、好ましくは0.0008乃至0.020%w/w、より好ましくは0.001乃至0.010%w/w、さらに好ましくは0.002乃至0.0075%w/wと同量のリン酸を使用することによっても安定化させることができる。
【0087】
[実施例1]
一作動につき名目用量1μgの8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩(TA−2005)を放出するための、同様の配合物(表4を見よ)を、塩酸の代わりに安定剤としてリン酸を利用して、下記の組成物を用いて調製した。
【0088】
表4:
───────────────────────────────────────
ユニットごとの量
成分 mg %
───────────────────────────────────────
TA2005(1μg/63μL) 0.154 0.0016w/v
(0.0014w/w)
エタノール 1650.0 15.00w/w
リン酸15.2M 0.05〜0.6 0.00045〜
0.0054w/w
HFA134a q.s.〜11000 −
q.s.〜9.72mL
───────────────────────────────────────
【0089】
同様にして、一作動につき名目用量0.5、1.5、2、2.5、3、3.5または4μgの有効成分を放出できる配合物は調製できる。
【0090】
表4の配合物(120作動/キャニスター、30作動過剰)は、テフロンで被覆された内部表面をもつアルミニウムキャニスターに充填し、63μL定量チャンバーを備えた市販のバルブを取り付けた。
【0091】
安定性の調査は、配合物を、直立状態および倒立状態の缶中に、40℃、相対湿度75%で保存することにより行なった。これらの状況下での6ヶ月保管後、有効成分の回収率は、リン酸0.001乃至0.0027%w/wの範囲でのTA−2005の総残存率は98%にまで上昇しており、有効成分の回収率は非常に良好である。
【0092】
[実施例2]
TA−2005とブデソニドとを有効成分として含む、リン酸濃度が異なる二つの組成物を試験した。
【0093】
───────────────────────────────────────
成分 mg %w/w
───────────────────────────────────────
ブデソニド 30.8 0.2800
TA−2005(CHF4226) 0.154 0.0014
純エタノール 1650 15.0000
水 16.5 0.1500
リン酸85%(15.2M) 0.35または0.7 0.0032または0.0064
HFA134a 9302.196または9301.846 84.5654または84.5622
合計 11000 100.0000
───────────────────────────────────────
【0094】
バルブの容量:63μL;強さ:TA−2005 1μg+ブデソニド 200μg/一作動;作動回数:120(34の入れすぎの用量)
【0095】
40℃、相対湿度75%で3ヶ月の保管後、少なくとも95%のTA−2005と約100%のブデソニドの総残存率を示しており、組成物中の二つの有効成分は安定であった。
【0096】
従って、リン酸は、ブデソニドの存在および少量の水の存在との組み合わせにおいても同様に、TA−2005を安定させるのに有効である。
【0097】
明らかに、本発明の多数の修正および変更は、上記の考えを考慮して可能である。従って、添付した特許請求の範囲内で、本発明はこの中で特に述べたのとは別の方法により実施してもさしつかえないと理解されるべきである。
【0098】
上で述べた全ての特許と他の参考文献は、それらに記載した全文を参照文献として本明細書の記載内容とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩、特に塩酸塩(TA−2005)、液化されたHFA噴射剤、薬学的に許容されるアルコールから選ばれた補助溶媒、及び高濃度のリン酸を含むエーロゾル配合物であって、該配合物が溶液の状態であり、そして上記リン酸が、配合物の全質量に対して、15Mリン酸の0.0004乃至0.040%w/wの量に相当する量で存在しているエーロゾル配合物。
【請求項2】
液化されたHFA噴射剤が、HFA134a、HFA227およびそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
補助溶媒がエタノールである請求項1または2に記載の配合物。
【請求項4】
リン酸が、配合物の全質量に対して、15Mリン酸の0.0008乃至0.020%w/wの量に相当する量で存在している請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項5】
リン酸が、配合物の全質量に対して、15Mリン酸の0.001乃至0.010%w/wの量に相当する量で存在している請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項6】
見かけのpHが2.5と5.5との間にある請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項7】
見かけのpHが3.0と5.5との間にある請求項1乃至6のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項8】
見かけのpHが3.5と5.0との間にある請求項1乃至6のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項9】
8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩が、0.0005%乃至0.024%w/vの量にて存在している請求項1乃至8のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項10】
8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩が、0.001%乃至0.016%w/vの量にて存在している請求項1乃至8のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項11】
補助溶媒が6%乃至30%w/vの量にて存在している請求項1乃至10のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項12】
補助溶媒が6%乃至25%w/vの量にて存在している請求項1乃至10のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項13】
配合物を収容している加圧式定量吸入器であって、該配合物が8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩、特に塩酸塩(TA−2005)、液化されたHFA噴射剤、薬学的に許容できるアルコールから選択された補助溶媒、及び高濃度のリン酸を含み、かつ該配合物が溶液の状態であり、そして上記リン酸が、配合物の全質量に対して、15Mリン酸の0.0004乃至0.040%w/wの量に相当する量で存在していることを特徴とする加圧式定量吸入器。
【請求項14】
液化されたHFA噴射剤が、HFA134a、HFA227およびそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項13に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項15】
補助溶媒がエタノールである請求項13または14に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項16】
リン酸が、配合物の全質量に対して、15Mリン酸の0.0008乃至0.020%w/wの量に相当する量で存在している請求項13乃至15のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項17】
上記リン酸が、配合物の全質量に対して、15Mリン酸の0.001乃至0.010%w/wの量に相当する量で存在している請求項13乃至15のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項18】
溶液が見かけのpHが2.5と5.5との間にある請求項13乃至15のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項19】
配合物が見かけのpHが3.0と5.5との間にある請求項13乃至18のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項20】
配合物が見かけのpHが3.0と5.0との間にある請求項13乃至18のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項21】
8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩が、0.0005%乃至0.024%w/vの量にて存在している請求項13乃至18のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項22】
8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩が、0.001%乃至0.016%w/vの量にて存在している請求項13乃至18のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項23】
補助溶媒が6%乃至30%w/wの量にて存在している請求項13乃至22のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項24】
補助溶媒が6%乃至25%w/wの量にて存在している請求項13乃至22のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項25】
内部金属表面の一部または全部が不活性有機被膜で内張されている請求項13乃至24のいずれか一項に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項26】
エポキシ−フェノール樹脂、ペルフルオロアルコキシアルカン、ペルフルオロアルコキシアルキレン、ペルフルオロアルキレン、ポリエーテルスルホン、フッ素化−エチレン−プロピレン・ポリエーテルスルホン共重合体、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる不活性有機被膜で内張されている請求項25に記載の加圧式定量吸入器。
【請求項27】
下記のエーロゾル吸入器の充填方法:
(a)一種もしくはそれ以上の補助溶媒中に一種またはそれ以上の有効成分を含む溶液を調製する;
(b)上記吸入器に上記溶液を充填する;
(c)予め決められた量のリン酸を上記溶液に加える;
(d)ヒドロフルオロアルカン(HFA)を含む噴射剤を上記溶液に加える;
そして
(e)バルブを折り曲げ、そしてガス供給処理する、
ことからなり、
上記有効成分の少なくとも一種が、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその塩、特に塩酸塩(TA−2005)であって、0.0005乃至0.024%w/v、好ましくは0.001乃至0.016%w/vの量にて存在し、そして上記リン酸が、最終溶液(配合物)の全質量に対して、15Mリン酸の0.0004乃至0.040%w/w、好ましくは0.0008乃至0.020%w/w、より好ましくは0.001乃至0.010%w/wの量に相当する量にて存在している。

【公表番号】特表2007−523942(P2007−523942A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500175(P2007−500175)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002042
【国際公開番号】WO2005/084640
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(503332606)
【氏名又は名称原語表記】CHIESI FARMACEUTICI S.P.A.
【Fターム(参考)】