説明

加圧生成物の生成方法及び生成装置

本発明は、低温精留による加圧生成物の生成方法及び精製装置に関するものである。低温精留に使用される主熱交換器は、酸素の豊富な液体又は窒素の豊富な液体から成る、ポンプ輸送された生成物流を加温し、それにより、加圧生成物流を生成する。主熱交換器の層は、ポンプ輸送された生成物流を加温するために主熱交換器内に設けられた熱伝達面積が、ポンプ輸送された生成物流の温度がそのような流れの臨界温度又は露点温度の何れかを超える位置において減少するように設計される。熱伝達面積の減少によって、低温精留に関連して使用される別の流れを加熱又は冷却できる層の領域が残される。そのような他の流れは、液体生成物の生成を増加させるための付加的な冷却の導入を可能にする冷媒流であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温精留を用いた加圧生成物の生成方法及び生成装置に関するものである。この生成方法及び生成装置においては、生成物流は、酸素の豊富な液体又は窒素の豊富な液体から構成されるポンプ輸送生成物流から形成される。この酸素又は窒素の豊富な液体は、低温精留と接続されて利用される主熱交換器内で加熱される。より詳細には、本発明は、ポンプ輸送された生成物が、主熱交換器の層内で加温される方法及び装置に関するものである。そして、この主熱交換器は、ポンプ輸送された液体生成物の加温と、もう1つの流れの加温又は冷却との両方を行うように設計されている。
【背景技術】
【0002】
酸素は、低温精留によって、酸素を含有する空気等の供給物から分離される。低温精留においては、供給物は圧縮されるが、加圧状態で採取できない場合には、汚染物質を取り除いたうえで、主熱交換器内で精留に適する温度まで冷却される。冷却された供給物は、高圧塔及び低圧塔を有する蒸留塔システムに導入される。蒸留塔システムでは、窒素が酸素から分離されて、酸素と窒素の豊富な生成物流が形成される。生成物流は、流入してくる供給物の冷却を補助できるように主熱交換器内で加熱される。当技術分野でよく知られているように、アルゴンの豊富な流れを低圧塔から受け入れて、アルゴンを酸素から分離してアルゴン含有生成物を生成するアルゴン塔を提供することもできる。
【0003】
供給物から分離された酸素は、低圧塔の中で、酸素の豊富な液体の塔底残留物として生成される液体生成物として採取することができる。液体生成物は、さらに、塔への環流に使用される窒素の豊富な液体の一部から採取することもできる。当技術分野で知られているように、酸素の液体生成物は、ポンプ輸送することもでき、部分的には加圧液体生成物として採取することもできる。また、酸素の液体生成物は、主熱交換器の中で加熱されて、ポンプによって酸素が加圧される程度に応じて、気体又は超臨界流体として酸素生成物を生成する。同様に、液体窒素も、ポンプ輸送することができ、加圧液体生成物、高圧気体又は超臨界流体の何れかとして採取することもできる。主熱交換器内で酸素を含有する流れを加熱するために、供給物の一部をさらに圧縮し、冷却し、膨脹させて、液体にすることもできる。液体は、高圧塔及び低圧塔の何れか又は両方に導入することができる。
【0004】
低温精留プラントを動作させるために、冷却することによって、周囲の熱漏れ、暖端の熱交換器損失が相殺され、液体生成物の生成が可能となる。冷却は、一般的に、空気又は低圧塔からの廃流の一部をターボ膨張機内で膨張させ、冷たい排出流を発生させることによって実施される。冷却された排出流は、蒸留塔又は主熱交換器に導入される。また、主熱交換器に冷媒流を導入することによって外部冷却することもできる。さらに、閉回路の外部冷却サイクルによって冷却することもできる。
【0005】
主熱交換器は、一般的に、ろう付けされたアルミニウムのプレート(平板)フィン構造で形成される。この熱交換器では、分離薄板間に画定されたフィンを含む層によって、蒸留塔の中で生成される流入する流れと帰還する流れとの間で間接的に熱を交換する通路が形成される。例えば、層は、ポンプ輸送された酸素の豊富な液体の流れと、昇圧圧縮機で圧力を高められた供給物流の一部との間で間接的に熱交換するために設けられる。主熱交換器は、幾つかのそのようなユニットから形成することができるが、ポンプ輸送された酸素の豊富な流れを加熱するための高圧熱交換器と、流入する供給物の残部を冷却するための低圧熱交換器とに、さらに分岐してもよい。いずれにしても、そのような熱交換器のコストは、低温精留プラントのコストの大部分を占めており、一般的に、熱交換器の価格は容積に基づいている。
【0006】
冷却のために空気が膨張される場合は、空気の一部が、圧縮され精製された後に、昇圧圧縮機内でさらに圧縮され、主熱交換器内で不完全に冷却され、次いで、昇圧圧縮機に結合されたターボ膨張機の中で膨張される。この配置は、タービンを搭載された昇圧圧縮機として当技術分野で知られている。いずれにしても、空気は、主熱交換器の暖端温度と冷端温度との間の温度まで不完全に加温されるため、層の一部分は使用されずに他の熱交換負荷(duty)における使用の余地を残している。ポンプ輸送される液体酸素のプラントにおいて、これらの使用されない部分は、ポンプ輸送される液体酸素の加温用の空気又は供給物流の一部の冷却に使用することができる。これによって、当然ながら、層のこれらの部分が使用されない場合と比べて、主熱交換器の大きさ及びコストを削減できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下に論じるように、本発明は、低温精留によって酸素生成物を生成する方法、及び、及び高圧酸素の生成を目的とする低温精留のための装置を提供する。この装置によれば、主熱交換器を従来技術と比べて小型にできるし、その代わりに、熱交換器を所定の大きさとすれば、間接熱交換関係に対してより大きい流量を供給することができる。さらに、そのような熱交換器は、液体生成物がプラントによって生成される場合は、液体生成物を増加させるために、外部冷媒流を受け入れるように統合することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、加圧生成物流を生成する方法を提供する。この方法によれば、酸素及び窒素を含む供給物流が、プレートフィン構造の主熱交換器及び主熱交換器と協働するように接続された蒸留塔システムを使用する低温精留工程によって精留される。蒸留塔システムから回収された、酸素の豊富な液体又は窒素の豊富な液体から成る生成物流は、ポンプで汲まれて、ポンプで汲まれた生成物流を生成する。ポンプで汲まれた生成物流の少なくとも一部は、主熱交換器の層内で加温されて加圧生成物流を生成し、他の1つの流れは、この層内で加温又は冷却される。この層は、ポンプで汲まれた生成物流の少なくとも一部を加温するために、主熱交換器内において熱伝達面積を有している。この生成物流は、層内に他の1つの流れを加温又は冷却するための領域を設けることによって少なくとも部分的に減少する。その領域は、主熱交換器の位置において、ポンプで汲まれた生成物流の温度が主熱交換器内で臨界温度又は露点温度を超える温度で、熱伝達面積が減少するように層内で位置決めされる。
【0009】
特許請求の範囲は、加圧生成物流の生成方法に焦点を当てているが、本発明の生成方法は、窒素の豊富な生成物流若しくは酸素の豊富な生成物流又はその両方を同時に生成するように適用可能であり、単一の加圧生成物流のみが生成される低温精留工程又はその工程を使用するプラントに限定されないことが意図されていることに留意されたい。さらに、本明細書及び特許請求の範囲の中で使用される用語「主熱交換器」は、そのようなユニットの1つ、又は並列に接続されたそのようなユニットの幾つかを含む。本発明が動作する原理は、ポンプで汲まれた液体酸素流を、超臨界流体が意図される場合はその臨界温度まで、又は、蒸気生成物が望まれる場合は露点温度まで加温し、次いで、そのような流れの何れかを、主熱交換器の暖端温度まで後で加温するのに、より多くの熱を必要とする点にあるといえる。しかし、従来技術では、ポンプで汲まれた液体酸素流を加温するために使用される主熱交換器内の層は、液体酸素流の補助流を、ポンプで汲まれた液体酸素流の冷端温度から主熱交換器の暖端温度まで加温するように設計されている。結果として、従来技術の熱交換器における層によってもたらされる熱伝達面積の全てが、効率的に使用されているとはいえない。なぜなら、臨界温度又は露点温度から雰囲気温度までの補助流の加温における熱伝達負荷は、より小さくなるからである。しかしながら、本発明では、臨界温度又は露点温度を超えると、補助流が混合されて、層内に別の流れを加熱又は冷却するのに利用可能な領域を残す。そのような方法によれば、主熱交換器は、従来技術より小型に作製可能であり、結果として、そのような熱交換器の取得コストを大幅に節減する。さらに、以下に論じられるように、液体生成物の生成に関連するそのような配置によれば他にも有利な動作がある。
【0010】
主熱交換器の層は、第1の組の層及び第2の組の層を含んでよく、第1の組の層及び第2の組の層のそれぞれは、第1の区画及び第2の区画を有してよい。ポンプで汲まれた生成物流の少なくとも一部から成る補助流が、第1の組の層及び第2の組の層の第1の区画の中に導入される。補助流は、第1の区画内で加温された後に混合され、混合補助流として、第1の組の層の第2の区画の中に導入される。混合補助流は、第1の組の層の第2の区画内でさらに加温され、加圧生成物流が、第1の組の層の第2の区画内でさらに加温された後の混合補助流から構成さる。低温精留工程に関連する他の1つの流れを加温又は冷却するための領域は、第2の組の層の第2の区画によって形成される。
【0011】
少なくとも1つの液体生成物が、蒸留塔システムによって生成される。また、他の1つの流れは、冷媒流であるが、少なくとも1つの液体生成物の生成を増加させるために主熱交換器内で加温される。そのような実施例では、冷媒流から成る補助冷媒流が、第2の組の層の第2の区画内に導入され、加温される。冷却流は、閉回路冷却サイクルの中で生成できる。そのようなサイクルは、主熱交換器内で加温された後の冷媒流を圧縮し、冷媒流をさらに圧縮し、続いて冷媒流をタービン内で膨張させて、第2の組の層の第2の区画内に導入される排出流を形成するステップを含んでよい。
【0012】
蒸留塔から回収された生成物流は、酸素の豊富な液体から組成することができる。低温精留工程は、供給物流を圧縮し精製して、圧縮され精製された供給物流を生成するステップを含んでよい。圧縮され精製された供給物流は、第1の圧縮流と第2の圧縮流とに分割される。第1の圧縮流はさらに圧縮され、次いで主熱交換器内で完全に冷却されて液体流を形成する。この点、本明細書及び特許請求の範囲の中で使用される用語「完全に冷却された(fully cooled)」は、主熱交換器の冷端の温度まで冷却されたことを意味する。液体流は、膨張され、高圧塔及び低圧塔の少なくとも一方に導入できる。低圧塔の酸素の豊富な液体の塔底残留物の蒸発を防ぐために、高圧塔内の高圧の塔頂留出物(column overhead)として生成された窒素の豊富な蒸気が凝縮され、高圧塔及び低圧塔のための環流を形成するように、低圧塔が高圧塔と協働するように接続される。これにより、低圧塔内の残留液と、低圧塔内でさらに精製される高圧塔内の酸素の豊富な高圧の塔底残留物の液とから、酸素の豊富な液体が形成される。第2の圧縮流は、さらに圧縮されて、主熱交換器内で不完全に冷却され、ターボ膨張機内で膨張されて排出流を形成する。この点、用語「不完全に冷却されて(partially cooled)」は、主熱交換器の暖端温度と冷端温度との間の温度に冷却されることを意味する。排出流は、高圧塔内に導入される。低圧の窒素の豊富な蒸気の塔頂留出物の流れ及び低圧塔から抽出された精製されていない窒素廃棄流が、主熱交換器内を通されることにより、圧縮及び精製された後の供給物流を、その精留に適する温度まで冷却するのを支援する。少なくとも1つの液体生成物が、ポンプで汲まれた液体酸素流の残りの部分から、又は、凝縮されて環流として使用されない窒素の豊富な蒸気の一部から形成された窒素の豊富な液流の少なくとも一方から形成される。
【0013】
本発明の別の態様では、加圧生成物流を生成するための装置を提供する。本発明のこの態様によれば、酸素及び窒素を含む供給物流から酸素を分離するように構成された低温精留プラントが提供される。低温精留プラントは、プレートフィン構造の主熱交換器と、主熱交換器と協働するように接続される蒸留塔システムと、ポンプとを有する。ポンプは、蒸留塔システム内で形成された酸素の豊富な液体又は窒素の豊富な液体がポンプ輸送され、ポンプ輸送された生成物流を生成するように、蒸留塔システムと流体連通する。主熱交換器は、ポンプに接続され、ポンプ輸送された生成物流の少なくとも一部は、主熱交換器の層内で加温されて加圧生成物流を生成し、別の1つの流れは、層内で加温又は冷却されるように構成される。層は、ポンプ輸送された生成物流の少なくとも一部を加温するための主熱交換器内に設けられた熱伝達面積が、層の少なくとも一部の中に他の1つの流れを加温又は冷却するための領域を設けることによって、少なくとも部分的に減少するように構成される。その領域は、ポンプで汲まれた生成物流の臨界温度又は露点温度を超える温度に達する、主熱交換器内の位置で熱伝達面積が減少するように、層内に配置される。
【0014】
層は、それぞれが第1の区画及び第2の区画を有する、第1の組の層及び第2の組の層を含んでよい。そのような層は、ポンプ輸送された生成物の少なくとも一部で構成される補助流が、第1の区画内で温められ、第1の区画間の接続において混合され、混合補助流を形成するように構成される。第1の組の層の第2の区画は、混合補助流が第2の区画内でさらに温められ、加圧生成物流を形成するように、第1の区画と流体連通する。その領域は、第2の組の層の第2の区画である。
【0015】
低温精留プラントは、少なくとも1つの液体生成物及びもう1つの流れを生成するように構成することができる。また、もう1つの流れは冷却流であり、この冷却流は主熱交換器内で温められ、少なくとも1つの液体生成物の生成を増加させる。そのような実施例では、補助冷却流は、第2の組の層の第2の区画内で温められる冷却流から成る。
【0016】
また、本発明の低温精留プラントは、熱交換器に接続され、冷却流を生成するように構成され、冷媒流を第1の組の層の第2の区画を通って循環させる、冷却システムを備えることができる。冷却システムには、閉回路冷却サイクルを組み入れることができる。さらに、低温精留プラントは、供給物流を圧縮する主圧縮機を含んでもよいし、冷却システムは、開位置に設定されるように動作し、圧縮後の供給物流の一部を受けるように配置された弁を含んでよい。そのような実施例では、冷却流は、供給物流の一部から形成され、それにより、冷却流の埋め合わせとして働く。冷却システムは、主熱交換器内で加温された後の冷媒流が再循環圧縮機内で圧縮され、昇圧圧縮機が冷媒流をさらに圧縮するように、主熱交換器に接続され、第1の組の層の第2の区画と流体連通する再循環圧縮機と、排出流が昇圧圧縮機から第1の組の層の第2の区画の中を流れるように、昇圧圧縮機と主熱交換器の位置との間に接続されたタービンとを有してよい。
【0017】
蒸留塔システムから回収された生成物流は、酸素の豊富な液体から構成することができる。低温精留プラントは、低圧塔の酸素の豊富な液体の塔底残留物の蒸発を防ぐために、高圧の塔頂留出物として生成された窒素の豊富な蒸気が凝縮され、高圧塔及び低圧塔のための環流を形成するように、高圧塔と協働するように接続された低圧塔を含む蒸留塔システムを備えてよい。この場合、酸素の豊富な液体は、低圧塔内の残留液から形成され、酸素の豊富な高圧の塔底残留物の液体は、低圧塔内でさらに精製される。
【0018】
供給物流を圧縮して精製して、圧縮され精製された供給物流を生成するために、精製ユニットに主圧縮機が接続される。圧縮され精製された供給物流の別の部分から形成された第1の圧縮流をさらに圧縮するために、昇圧圧縮機が精製ユニットと流体連通する。主熱交換器は、昇圧圧縮機と流体連通し、又、液体流を形成するように構成される。膨脹装置が、液体流を膨脹させるために、主熱交換器に接続される。高圧塔及び低圧塔の少なくとも一方が、液体流を受けるために、膨脹装置と流体連通する。タービン・ユニットを搭載した別の昇圧機が、主熱交換器に接続され、精製ユニットと流体連通する。それにより、圧縮され精製された供給物流の他の部分から形成された第2の圧縮流がさらに圧縮され、主熱交換器内で不完全に冷却され、ターボ膨張機内で膨脹されて、排出流を形成する。ターボ膨張機は、排出流が高圧塔内に導入されるように高圧塔と流体連通する。また、主熱交換器は、低圧塔と流体連通しており、かつ、低圧の塔頂留出物の流れ及び精製されていない窒素廃棄流が、低圧塔から主熱交換器の中に進み、主熱交換器の冷端と暖端との間を流れ、圧縮後の供給物流をその精留に適する温度まで冷却するのを支援するように構成されている。蒸留塔システム内で生成された、ポンプで汲まれた液体酸素流の別の一部分及び窒素の豊富な液体の流れの一部分の少なくとも一方から、少なくとも1つの液体生成物を排出するために、少なくとも1つの出口が設けられる。
【0019】
本発明は、出願人が発明であると考える主題を明確に指摘する特許請求の範囲によって規定されるが、本発明は、添付の図面と関連して解釈することによっていっそう深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】液体生成を増加させるために閉回路冷却サイクルを使用する、本発明の方法を実行するための低温精留プラントの概略的な工程の流れ図である。
【図2】図1に示す低温精留プラント内で使用される熱交換器の側面図である。
【図3】図2に示す熱交換器内に組み入れられる層の1つの型式を示す、図2の断面図である。
【図4】図2に示す熱交換器内に組み入れられる層の別の型式を示す、図2の断面図であり、図3に示される層と協働するように接続される。
【図5】図4に示す層で使用される再分配フィンの拡大された断面図である。
【図6】図3に示す層で使用される再分配フィンの拡大された断面図である。
【図7】ポンプ輸送された液体酸素を加温し、また、冷媒流等の他の1つの流れを加温又は冷却するように働く、図1に示す低温精留プラント内で使用される主熱交換器の層の代替実施例を示す図である。
【図8】プラントに関連する他の1つの流れが、同様に、ポンプ輸送された液体酸素流の加温に使用される主熱交換器の層内で冷却される、図1に示す低温精留プラントの代替実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、液体生成物の生成を増加させるために、以下に本明細書で説明する、閉回路冷却システム2と統合された、低温空気分離プラント1が示される。この統合は、複数の層を有する熱交換器3を使用することによって達成される。複数の層によって、ポンプ輸送された液体酸素の補助流を、ポンプ輸送された液体酸素の露点温度又は臨界温度の何れかを超える温度にまで到達させ、補助流を混合して、閉回路冷却サイクルの中で生成された冷媒流を加温するために使うことができる層の領域を残す層が提供される。しかし、空気分離プラント1と閉回路冷却システム2との統合は、本発明のほんの1つの応用にすぎないことを、理解されたい。
【0022】
空気分離プラント1では、空気流10が、窒素と酸素を分離するために、低温空気分離プラント1内に導入される。空気流10が、第1の圧縮機12内で、約0.4MPa(5バール(絶対圧))と約1.4MPa(15バール(絶対圧))との間の圧力に圧縮される。圧縮機12は、図示されない凝縮液除去器(condensate removal)を有する中間冷却型の統合型歯車圧縮機(intercooled, integral gear compressor)であってよい。ある特定の統合では、空気流10は、圧力がかかった状態で採取することもできるし、酸素及び窒素を含む流れの圧縮機又は何らかの他の供給源からのブリードエア(bleed air)として採取できることにも留意されたい。
【0023】
圧縮後、結果として得られた圧縮された供給物流14は、予備精製ユニット16に導入される。予備精製ユニット16は、当技術分野でよく知られているように、通常、温度スイング及び/又は圧力スイングの吸収サイクルに従って作動し、水分及び他のより高沸点の不純物を吸収するアルミナ床及び/又は分子篩(molecular sieve)を含む。また、当技術分野で知られているように、そのようなより高い沸点の不純物としては、通常、二酸化炭素、水蒸気及び炭化水素がある。1つの床が作動している間に、別の床が再生される。直接接触水冷却、冷凍ベース冷却(refrigeration based chilling)、冷却水との直接接触(direct contact with chilled water)及び層分離 (phase separation)などの他の工程を使用することもできる。
【0024】
結果として得られた圧縮精製された供給物流18は、流れ20と流れ22とに分割される。通常、図示のように、流れ20は、圧縮精製された供給物流18の容積の約25パーセントから約35パーセントとの間であり、残部が流れ22である。
【0025】
流れ20は、中間冷却式の統合型歯車圧縮機を有する圧縮機23内で、さらに圧縮される。第2の圧縮機23によって、流れ20が約2.4MPa(25バール(絶対圧))と約6.9MPa(70バール(絶対圧))との間の圧力に圧縮され、第1の圧縮流24を生成する。その後、第1の圧縮流24は、主熱交換器3に導入され、その中で冷却され、主熱交換器3の冷端において液化されて、液体流25を生成する。
【0026】
流れ22は、タービンを搭載した昇圧圧縮機26でさらに圧縮され、第2の昇圧圧縮機28によって約1.9MPa(20バール(絶対圧))と約5.9MPa(60バール(絶対圧))との間の圧力に再々圧縮されて、第2の圧縮流30を生成する。第2の圧縮流30は主熱交換器3に導入され、主熱交換器3において、第2の圧縮流30は、約−113℃(160ケルビン)から約−53℃(220ケルビン)の間の温度まで不完全に冷却され、不完全に冷却された流れ31を形成してターボ膨張機32に導入され、空気分離ユニット50に導入される排出流34を生成する。当然ながら、流れ22の圧縮は、単一の圧縮機械で発生することができる。図示のように、ターボ膨張機32は、第1の昇圧圧縮機26と、直接に又は適切な歯車装置(gearing)を介して連結される。しかし、ターボ膨張機は、施設内で使用される又は送電網に送られ電気を発生する発電機に接続することもできる。
【0027】
主熱交換器3で第1の圧縮流24を冷却して得られた液体流25は、膨脹弁45で部分的に膨脹され、液体流46及び液体流48に分割されて、最終的に空気分離ユニット50に導入される。膨脹弁45は、液体膨張機によって置き換えて、冷却の一部を担うこともできる。
【0028】
前述の供給物流10の成分である酸素及び窒素は、高圧塔52及び低圧塔54から構成される空気分離ユニット50において分離される。アルゴンが必要な生成物であるならば、アルゴン塔を、蒸留塔ユニット50に組み込むこともできると解される。低圧塔54は、通常、約0.0087MPa(1.1バール(絶対圧))から約0.059MPa(1.5バール(絶対圧))の間で動作する。
【0029】
高圧塔52及び低圧塔54は、熱伝達するような関係で連結されており、流れ56として高圧塔52の頂部から抽出された窒素の豊富な蒸気の塔頂留出物が、酸素の豊富な液体である塔底残留物58の沸騰を防ぐために低圧塔54の基底に置かれた凝縮器−再沸器(condenser−reboiler)57で凝縮されるようになっている。酸素の豊富な液体である塔底残留物58が沸騰すると、低圧塔54内に上昇する気相が形成される。凝縮によって、液体窒素を含む流れ60が生成され、流れ60は高圧塔52に環流する流れ62及び低圧塔54に環流する流れ64に分割されて、それぞれの塔内で下降する液相の形成を惹起する。
【0030】
排出流34は、液体流46と共に高圧塔52に導入され、その混合物の上昇する気相を、物質移動接触素子(mass transfer contacting element)66,68内で、環流流62によって惹起された下降する液相と接触させることによって精留するようになっている。これにより、ケトル液(kettle liquid)とも呼ばれる粗液体酸素の塔底残留物70と、前述した窒素の豊富な塔頂留出物とを生成する。粗液体酸素である塔底残留物70の流れ72は、膨張弁74で低圧塔54の圧力まで膨張され、更なる精製のために低圧塔54に導入される。第2の液体流48は、膨張弁76を通して送られ、低圧塔54の圧力まで膨張され、次いで低圧塔54に導入される。
【0031】
低圧塔54は、トレイ、構造充填物、乱雑充填物、又は当技術分野で知られている他の素子である物質移動接触素子78、80、82及び84を備えている。前述の通り、分離によって、酸素の豊富な液体である塔底残留物58と、窒素生成物流86として抽出される窒素の豊富な蒸気の塔頂留出物とが生成される。加えて、窒素生成物流86の純度を制御するために廃棄流88が抽出される。窒素生成物流86及び廃棄流88の両方は、過冷却ユニット(subcooling unit)90を通して送られる。過冷却ユニット90は、環流流64を過冷却する。流れ92としての環流流64の一部は、任意選択で、液体生成物として採取することもできるし、残りの部分93は、膨張弁94を横断して圧力が下げられた後に、低圧塔54に導入することができる。
【0032】
過冷却ユニット90を通過した後、窒素生成物流86及び廃棄流88は、主熱交換器3内で完全に加温されて、加温された窒素生成物流95及び加温された廃棄流96を生成する。加温された廃棄流96は、予備精製ユニット16内で吸着体を再生するために使用することができる。さらに、酸素の豊富な液体の塔底残留物58から成る酸素の豊富な液体流98が、低圧塔54の底から抽出される。酸素の豊富な液体流98は、ポンプ99で輸送することができ、ポンプ輸送された液体酸素流100で図示されるポンプ輸送される生成物流を形成する。ポンプ輸送された液体酸素流100の一部は、任意選択で、液体酸素生成物流102として採取することができる。残部104は、主熱交換器3で完全に加温され、蒸発されて、以下に本明細書で説明する圧力及び方法によって、酸素生成物流106の形の加圧生成物流を生成することができる。
【0033】
第1の空気分離プラント1は、凝縮器−再沸器57を設けることによって熱伝達関係で接続された高圧塔及び低圧塔を有するように図示されるが、他の種類のプラントであってもよいことに留意されたい。例えば、低純度酸素プラントを、本発明に接続することができる。そのようなプラントでは、高圧塔及び低圧塔は、図1に示されるような潜熱伝達関係で接続されることはない。その代わりに、低圧塔の最下部の再沸騰が、通常、後に高圧塔内に供給される圧縮空気流の凝縮又は部分的凝縮によってもたらされる。
【0034】
上述したように、空気分離プラント1は、液体生成物、すなわち、流れ92を経由する窒素の豊富な液体及び液体酸素生成物流102を生成することができる。そのような生成物の生成を増加させるために、冷媒に空気を用いた閉回路冷却システム2として図示される冷却システムによって、付加的な冷却が供給される。この点において、流れ110として、圧縮精製された供給物流18の一部が、弁112を開くことによって閉回路冷却システム2を充填するために使用される。充填された後、弁112は、閉位置に戻される。約0.3MPa(4バール(絶対圧))と約1.0MPa(11バール(絶対圧))との間の圧力で、主熱交換器3で加温された後、リサイクル流114aは、リサイクル圧縮機116内で圧縮され、次いで昇圧圧縮機118、及び好ましくは図示のように昇圧圧縮機118に結合されたターボ膨張機112に供給される。後置冷却器(after cooler)120内で圧縮の熱を除去した後、結果としてもたらされた加圧冷媒流122が、約3.4MPa(35バール(絶対圧))と約7.4MPa(75バール(絶対圧))との間の圧力でターボ膨張機112に供給され、リサイクル流114aよりわずかに高い圧力で主熱交換器3に供給される冷たい冷媒流114bから成る排出流を生成する。
【0035】
当然の事ながら、冷却が主熱交換器3に供給される程度は、一般に、圧縮機116に入力される電力を制御することによって制御可能である。より具体的には、広範囲の動作に亘って圧縮効率を維持するために、入口案内翼を、圧縮機116及び118と共に使用することができる。或いは、より多くの液体生成物が望まれるときに閉回路冷却システム2の電源を入れ、生成増が不要であるときに電源を切ることができる。図1に示していないが、気体酸素の割合を増加(液体酸素生成物の減少)させる必要がある場合は、付加的な弁及び導管を設けることによって、冷たい冷媒流114bの加温用に主熱交換器3で使用される層の領域を、気体酸素の加温に使用し、又は圧縮機内28で圧縮された後の第2の圧縮流22を冷却することができる。
【0036】
閉回路冷媒サイクル2の代わりに、液体寒剤流(liquid cryogen stream)、例えば居住地(enclave)内の貯蔵施設から得られる液体窒素等、他の冷媒流を、主熱交換器3に導入できることに留意されたい。これとは別に、窒素生成物流95の全て又は一部を冷媒として使用することもできる。窒素生成物を加圧することが望ましい場合には、窒素圧縮機をリサイクル圧縮機116の代わりに使用してもよく、冷却サイクルは閉じたサイクルでは無くなるであろう。さらに他にも、リサイクル圧縮機116及び昇圧圧縮機118を、昇圧圧縮機28及び昇圧圧縮機23と統合することもできる。さらに、冷却サイクルによって、酸素と相溶性のある冷媒を使用した、公知の混合ガス冷却サイクル等の低温冷媒を生成することもできる。作動流体として窒素を使用する場合は、アンモニア又はR134aのような市販の低温冷媒を、空気の場合に水を使用する後置冷却器120の代わりに使用することができる。さらに、加圧冷媒流112は、ターボ膨張機112で膨張する前に、主熱交換器3でさらに冷却されてよい。このさらなる予冷は、後置冷却器120に追加することができ、又は後置冷却器120の代わりとすることもできる。或いは、後置冷却器120は、主熱交換器3の中に組み込むこともできる。
【0037】
図から明らかなように、ポンプ輸送された液体酸素流100の残部104は、第1の補助流104aと第2の補助流104bとに分割される。ここでは第1の補助流104a及び第2の補助流104bの2つだけを示したが、主熱交換器3の層内に供給される一連の流れが存在するであろう。ポンプ輸送された液体酸素流100は、酸素生成物流106が熱交換器3から排出されたときに超臨界流体となるように、臨界圧力の上又は下まで加圧することができる。或いは、ポンプ輸送された液体酸素流の加圧は、蒸気の状態の酸素生成物流106を生成するためには、より低くてもよい。超臨界流体の場合は、ポンプ輸送された液体酸素流100の残部104が、臨界温度に至る点まで達するであろう。蒸気の場合は、残部104がその露点に至る点まで、熱交換器3内で達するであろう。当業者には明らかなように、ポンプ輸送された液体酸素流100の残部104の温度を、臨界温度又は露点温度の何れかまで引き上げるのに加えられる熱は、そのような流れを主熱交換器3の暖端における雰囲気温度まで、又はその付近の温度までさらに加温するために必要な熱よりも大きい。結果として、第1の補助流104a及び第2の補助流104bが、超臨界加圧の場合における臨界温度、又は、臨界圧力に達しない加圧の場合における露点温度の何れかを超えるときには、補助流は、最初の事例においてそのような温度を得るために必要な熱伝達面積よりも小さな熱伝達面積で、そのような温度から主熱交換器3の暖端温度まで加温することができる。ポンプ輸送された液体酸素の加温のために必要な、層によってもたらされる熱伝達面積の合計が減少するので、他の目的、すなわち冷たい冷媒流114bを加温するために、そのような層の残りの領域内に層の領域が開放されうる。その結果、層内で温められる冷たい冷媒流114bに対して、液体生成物の生成を増加させるために、付加的な冷却が、空気分離プラント1に分け与えられる。しかし、同時に、主熱交換器は、冷たい冷媒流114bを収容するためにより多くの層を有しながら広くされず、広くされる場合であっても、付加的な層があるために、広くされた主熱交換器の作製にかかるコストが引き下げられる。
【0038】
図2を参照すると、熱交換器3は、ろう付けされたアルミニウムのプレートフィン型の構造である。このような熱交換器は、それらの小型化設計、高い熱伝達率、及び複数の流れを処理する能力のために、有利である。このような熱交換器は、完全にろう付け及び溶接された圧力容器として製造される。ろう付け作業は、波形フィンを積み重ね、薄板及び端部の棒(end bar)を分割して、コアマトリックス(core matrix)を形成するステップを含む。マトリックスは、清浄な真空環境の中でろう付け温度に加熱され、その温度を保持する真空ろう付け炉の中に設置される。小さなプラントに対しては、単一コアを備える熱交換器で十分であろう。流量が多い場合には、熱交換器は、並列又は直列に接続される複数のコアによって構築することができる。
【0039】
主熱交換器3は、当技術分野で知られている方法で、隣接する層内を流れる流れの間で間接熱交換が行われるような複数の層に分割される。加熱又は冷却される流れは、一連のヘッダタンク120、122、124、126、128、130、132、134、136、140、142及び144を経由して、主熱交換器3の層内に導入され、かつ、主熱交換器3の層から抽出される。上述のヘッダタンクは、すべて半円筒形の構造である。ヘッダタンク120〜144は、主熱交換器3の全深さに延び、特定の流れを受け、かつ排出する層のみが、その流れと関連するヘッダタンクと入口及び出口を通して流体連通する。他の全ての層は、側部の棒(side bar)を使用して流れから封止される。層は、熱流(hot stream)と冷流(cold stream)との間に安全で効率的な熱伝達をもたらすような、割合、及び順序若しくはパターンで積み重ねられる。
【0040】
図示のように、第1の圧縮流24がヘッダタンク120に入り、ヘッダタンク120から、そのような流れが、主熱交換器3内に置かれた一組の層の中にさらに分配され、主熱交換器3において、流れが液化されて、ヘッダタンク122内に集められる液体流を生成し、それにより、液体流25が、主熱交換器3から排出可能となる。同様に、第2の圧縮流30が、ヘッダタンク124に導入され、主熱交換器3の高さの一部のみに延びる層を通って進んだ後、その流れが集められ、部分的に冷却された流れ31としてヘッダタンク126から排出され、ターボ膨張機32に導入される。窒素生成物流86がヘッダ132に、及び廃棄流88がヘッダ128に導入され、主熱交換器3に置かれ且つそのような流れに関連する層の中に分配されて、生成物の窒素流95として主熱交換器3の頂部に置かれたヘッダタンク134から、及び温かい廃棄流96として主熱交換器3の頂部に置かれたヘッダタンク130から排出される。
【0041】
図3及び図4をさらに参照すると、層150及び層152が、それぞれ示されている。これらの層は、主熱交換器3内で、ポンプ輸送された液体酸素流100の残りの部分104を温めること、及び冷たい冷媒流114bを温めてリサイクル流114aを生成することに関連する層を形成する。これらの層は、両方とも底の部分において、ポンプ輸送された液体酸素流100の残りの部分104を受け入れるヘッダタンク128と流体連通している。ヘッダタンク128は、そのような流れを、補助流104aとして層150に、及び補助流104bとして層152に分配する。当然ながら、複数の層150及び層152が主熱交換器3の中に存在してもよく、その場合は、補助流104a及び補助流104bは、そのような複数の層に導入される補助流を代表するものである。
【0042】
最初に層150を参照すると、層150は、側部の棒154及び棒156と、端部の棒158及び棒160と、分割薄板162との間で画定される。層150の包囲は、主熱交換器3内の次の層の分割薄板によって完全になる。フィン164が、補助流104aの熱伝達を向上させるために、また、層150の構造的完全性を向上させるために、層150内に置かれる。補助流104aは、層150に入り分配フィン168の公知の網状組織によって方向を変えられて、層150の第1の区画の中に入る。流れは、再分配フィン170に向かって上向きに進む。再分配フィン170の反対側にあるフィン164は、最も効率的な熱伝達を得るために、異なる構造であってもよいことに留意されたい。
【0043】
補助流104bは、側部の棒172及び棒174と、端部の棒176及び棒178と、分割薄板180との間で画定される層152に入る。層152の包囲は、主熱交換器3内の次の層の分割薄板によって完全になる。フィン182は、補助流104bの熱伝達を向上させるために、かつ、構造的な目的で、層152内に置かれる。補助流104bは、層152に入り、分配フィン186の公知の網状組織によって方向を変えられて、層152の第1の区画の中に入る。流れは、再分配フィン188に向かって上向きに進む。再分配フィン188の反対側にあるフィン182は、最も効率的な熱伝達を得るために、異なる構造であってもよいことに、留意されたい。図5を参照すると、再分配フィン188は、以下に本明細書でより詳細に説明するような目的で、板194によって分離される再分配フィン190及び再分配フィン192から構成される。補助流104bの流れは、図2に示されるように、再分配フィン190によって再分配ヘッダタンク196に向けて向きを変えられ、層150の第1の区画及び再分配フィン170と流体連通する。図6に示すように、補助流104bは、再分配ヘッダタンク196に流入し、次いで層150の再分配フィン170に流入し、再分配フィン170において、補助流104bは補助流104aと混合して混合補助流104cを形成し、混合補助流104cは層150の第2の区画の中に、次いで層150の再分配フィン198に方向づけられる。再分配フィン198は、混合補助流104cを、図2に示されるように、ヘッダタンク140に向けて向きを変えられて、ヘッダタンク140において、混合補助流104cは、熱交換器3から排出される酸素生成物流106と再混合する。
【0044】
結果として、補助流104aは、再分配フィン168と再分配フィン170との間で画定される層150の第1の区画内で温められ、補助流104bは、再分配フィン186と再分配フィン188との間で画定される層152の第1の区画内で温められ、次いで、補助流104a及び補助流104bは、再分配フィン170と再分配フィン198との間で画定される層150の第2の区画内で完全に温められる。言い換えれば、酸素流は、層150のそのような区画の中で過熱状態になる。再分配フィン188と再分配フィン202との間に画定される層152の第2の区画は、補助流104bを含む熱交換のためには使用されないので、そのような層の領域は、冷媒流114bの熱交換のために存在し、冷媒流114bは、ヘッダ管142、次いで板194の反対側にある再分配フィン192の中に導入され、層152及びフィン182内の流れを再分配フィン202に方向づけ、再分配フィン202において、今しがた温められた補助流114cがヘッダ管144の中に排出されて、リサイクル流114aを形成する。冷媒流114bは、入口温度において、酸素が再分配フィン188によって再分配される温度を超える可能性があることに留意されたい。その場合には、個々の再分配フィンは、補助流104bを再分配ヘッダ196に、そして冷媒流114bの入口に向けて排出するために使用される。このことは、実際には、冷媒を主熱交換器3に供給するために、機械的冷却装置(mechanical chiller)が使用される場合に必要なる可能性がある。いずれにせよ、冷たい冷媒流114bのために設けられる主熱交換器3の断面積の合計は、使用可能面積の合計の約5パーセントと約10パーセントの間であることが好ましい。
【0045】
層152の再分配フィン188、層150の再分配フィン170及び再分配ヘッダ196は、補助流104a及び補助流104bの温度が、臨界圧力の場合には臨界温度を約3ケルビンだけ超え、臨界圧力より低い圧力の場合には露点温度を約5ケルビンだけ超えるような、主熱交換器3の部位に配置される。そのような部位は、当業者によく知られているような模擬実験によって発見できる。混合補助流104cは、層150の第2の区画内でさらに温められるので、そのような温度は、主熱交換器3の暖端温度、言い換えれば、再分配フィン198における温度より低いことに留意されたい。補助流104aと補助流104bとを混合する前に臨界温度又は露点温度を超えるように層を設計する理由は、混合補助流104cをさらに加温する前に、十分な熱交換面積を保証して、超臨界流体を生み出すため、又は酸素を完全に蒸発させるためであることに留意されたい。当然ながら、そのような温度を超える程度が、別の流れの加温又は冷却、例えば冷たい冷媒流114bの加温のために利用可能な層の残りの領域を減少させる。従って、空気供給物における温度及び圧力による変動によって、再分配フィン198位置での主熱交換器3の温度も変化するという事実を踏まえると、上で与えられるような臨界温度又は露点温度を超えるための好ましい温度は、主熱交換器3の設計における安全係数を意味する。流れは、層150と層152との両方の中で温まるので、そのような層は、流れの冷却に使用される層に隣接して置かれ、それらの層は、低温精留プラント1の中で、第1の圧縮流24の冷却に使用される層であることは、当業者に知られている通りである。
【0046】
主熱交換器1では、第1の圧縮流24の冷却に関わる層は、主熱交換器の全高さに延びることが意図されている。しかし、当業者には理解されるように、第1の圧縮流24の冷却において、第2の圧縮流30の冷却に部分的に使用されている層の未使用の領域を使用することができる。
【0047】
層150及び層152は、臨界温度又は露点温度に達した後に、ポンプ輸送された液体酸素流100の一部分104をさらに加温するために設けられた熱伝達面積を減少させ、冷却された冷媒流114bを加熱するために使用できる層の領域を残すように設計される。上述したように、これは、補助流104aと補助流104bを混合させ、次いで混合補助流104cを加温するために層150の第2の区画のみを使用することによって実行される。別の可能性として、図7に示すように、ポンプ輸送された液体酸素流100が部分104に分割されず、したがって、補助流を混合補助流へと混合させないようにすることもできる。この実施例では、側部の棒204及び棒206と、端部の棒208及び棒210と、分割薄板212との間で画定される層153が示されている。ポンプ輸送された液体酸素流100の一部分104は、ヘッダタンク136’に導入され、再分配フィン214によってフィン216を含む層153の第1の区画に方向づけられる補助流を生成する。次いで、補助流は、再分配フィン218を経由してフィン217を含む第2の区画に流入する。この第2の区画は、再分配フィン218と、分割棒220と、別の一組の再分配フィン222との間で画定される。次いで、補助流は、再分配フィン222を有することで、第2の区画から流出し、ヘッダタンク140’内に集結して、酸素生成物流160がヘッダタンク140’から排出されることを可能にする。再分配フィン218は、上述のように、補助流の温度が臨界温度又は露点温度を超える位置に配置される。それにより、分割棒は、臨界温度又は露点温度を超えて、流れ104をさらに加熱するために必要ではない層153によって提供される熱伝達面積を低減する。さらに、分割棒は、別の領域、すなわち、冷媒流114bを加温するための、層153の第3の区画を画定する。冷媒流114bが、ヘッダタンク142’に入り、冷媒流114bの補助冷媒流が、再分配フィン226を経由してフィン224に方向づけられる。次に、この補助流は、そのような層の中で再分配フィン228を経由して、リサイクル流114bの収集及び排出のために、ヘッダタンク144’に方向づけられる。
【0048】
層153の代替例として、層を長手方向に分割するために、分割棒220等の分割棒を使用するのではなく、代わりに、層の深さを板を用いて複数の副層に分割してもよい。一方の副層が、冷媒流114bを加温するために、又は幾つかの他の流れを冷却若しくは加温するために使用される領域を形成し、もう1つの副層が、酸素生成物流106の形成において、酸素を加熱するために使用される。第1の副層は、半分の高さの分割棒によって第2の副層と離隔される。2つの副層のそれぞれには、半分の高さの再分配フィンによって、ポンプ輸送された液体酸素の一部104の補助流が供給され、酸素再分配フィンの上に積み重ねられた半分の高さの分配器(distributor)のフィンを用いて補助冷媒流を副層の中に分配する。分割された層は、隣接する2つの加温層を構成するので、3つの冷たい層が、積み重なった状態で隣接する状況が生じないように、確実に分割された層の両側に冷却流が存在するようにすることが重要である。このことが生じると、明らかに、中央の加温層は別の加温層を通してしか冷却層に熱を伝達することかできなくなるが、これは非効率的であり、過度の温度応力を引き起こす可能性のある温度勾配をもたらす。積み重ねられた再分配フィンは、そのような補助流を、層から個々のヘッダタンクに排出するように設けられる。
【0049】
このように、本発明は、冷媒流114bの加温に対する用途を有するように説明されてきたが、本発明の他の用途に用いることもできる。例えば、図7を参照すると、予備冷却サイクルを持たない空気分離プラント1の代替的一実施例が示されている。この実施例では、第2の圧縮流30を、圧縮流30a及び30bに分割することができる。圧縮流30bは、冷媒流114bの加温に関連して使用されたものと同じ層の導入されてよく、ヘッダ管144に導入されることによってそのような層の中で冷却され、不完全に冷却された後に、ヘッダ管142から回収される。結果としてもたらされた不完全に冷却された圧縮流30cは、不完全に加温された後の圧縮流30aと混合されて、混合流30dとしての流れが、ターボ膨張機32に導入される。主熱交換器3の設計が、層の順序においてわずかに修正されることは、当業者には明らかであろう。すなわち、層152は、少なくとも一方の加温流に隣接して置かれるべきである。
【0050】
本発明に使用される層は、高圧において所望される窒素生成物の加熱においても、同様に使用できることは、当業者には想起されるであろう。そのような目的で設計される低温精留プラントでは、窒素の豊富な液体の流れは所望の圧力までポンプ輸送される。例えば、流れ92単独で、又は上述のようにポンプ輸送された酸素の豊富な液体の流れ98を加えて、所望の圧力までポンプ輸送されて、主熱交換器内で気化する。そのような流れの両方が圧力下で所望されるならば、主熱交換器3は、上述のように、そのような流れの両方のための層を含むように修正できる。
【0051】
本発明について、好ましい実施例を参照して説明してきたが、特許請求の範囲によって説明される本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、多くの変更及び省略が可能であることが当業者には想起されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧生成物流の生成方法であって、
プレートフィン構造の主熱交換器及び前記主熱交換器と協働するように接続された蒸留塔システムを使用する低温精留工程によって酸素及び窒素を含む供給物流を精留するステップと、
酸素を豊富に含む液体又は窒素を豊富に含む液体から構成された、前記蒸留塔システムから回収された生成物流をポンプ輸送するステップであって、ポンプ輸送生成物流を生成するステップと、
前記ポンプ輸送生成物流の少なくとも一部を前記主熱交換器の層内で加温して前記加圧生成物流を生成し、かつ、もう1つの流れを前記層内で加温又は冷却するステップとを含み、
前記層は、前記ポンプで汲まれた生成物流の前記少なくとも一部を加温するために、前記主熱交換器内に熱伝達面積を有し、前記熱伝達面積は、層内に前記もう1つのポンプ輸送生成物流を加温又は冷却するための領域を設けることによって少なくとも部分的には減少し、
前記領域は、前記主熱交換器内の温度が前記ポンプ輸送された生成物流の臨界温度又は露点温度を超える温度まで到達する位置において、前記熱伝達面積が減少するように、前記層内に配置される、生成方法。
【請求項2】
前記主熱交換器の前記層が、第1の組の層及び第2の組の層を含み、前記第1の組の層及び前記第2の組の層のそれぞれが、第1の区画及び第2の区画を有し、
前記ポンプ輸送された生成物流の前記少なくとも一部から成る複数の補助流が、前記第1の組の層及び前記第2の組の層の前記第1の区画に導入され、
複数の前記補助流が、各組の前記第1の区画で加温された後に混合され、混合補助流として前記第1の組の層の前記第2の区画に導入され、
前記混合補助流が、前記第1の組の層の前記第2の区画内でさらに加温され、
前記加圧生成物流が、前記第1の組の層の前記第2の区画内でさらに加温された後の前記混合補助流から構成され、
前記領域が、前記第2の組の層の前記第2の区画によって形成される、請求項1に記載の生成方法。
【請求項3】
少なくとも1つの液体生成物が、前記蒸留塔システムによって生成され、
前記もう1つの流れが、前記主熱交換器内で加温される冷媒流であり、これにより前記少なくとも1つの液体生成物の生成を増加させる、請求項1に記載の生成方法。
【請求項4】
前記主熱交換器の前記層が、第1の組の層及び第2の組の層を含み、前記第1の組の層及び前記第2の組の層のそれぞれが、第1の区画及び第2の区画を有し、
前記ポンプ輸送された生成物流の前記少なくとも一部から成る複数の補助流が、前記第1の組の層及び前記第2の組の層の前記第1の区画に導入され、
複数の前記補助流が、各組の前記第1の区画内で加温された後に混合され、混合補助流として、前記第1の組の層の前記第2の区画に導入され、
前記混合補助流が、前記第1の組の層の前記第2の区画内でさらに加温され、
前記加圧生成物流が、前記第1の組の層の前記第2の区画内でさらに加温された後の前記混合補助流から構成され、
前記領域が、前記第2の組の層の前記第2の区画によって形成され、
前記冷媒流から成る補助冷媒流が、前記第2の組の層の前記第2の区画内に導入され、前記第2の区画内で加温される、請求項3に記載の生成方法。
【請求項5】
前記冷媒流が閉回路冷却サイクルにおいて生成される、請求項4に記載の生成方法。
【請求項6】
前記閉回路冷却サイクルが、前記主熱交換器内で加温された後の前記冷媒流を圧縮し、前記冷媒流をさらに圧縮し、続いてタービン内で前記冷媒流を膨張させて、前記第2の組の層の前記第2の区画内に導入される排出流を形成するステップを含む、請求項5に記載の生成方法。
【請求項7】
前記蒸留塔システムから回収された前記生成物流が前記酸素の豊富な液体から構成され、
前記低温精留工程が、
前記供給物流を圧縮精製するステップであって、圧縮精製された供給物流を生成するステップと、
前記圧縮精製された供給物流を、第1の圧縮流と第2の圧縮流とに分割するステップと、
前記第1の圧縮流をさらに圧縮し、前記第1の圧縮流を前記主熱交換器内で完全に冷却して液体流を形成し、前記液体流を膨脹させ、前記液体流を高圧塔又は低圧塔の少なくとも一方に導入するステップと、
前記低圧塔の酸素の豊富な液体の塔底残留物の気化を防ぐために、前記高圧塔内の高圧の塔頂留出物として生成された窒素の豊富な気体が凝縮され、前記高圧塔及び前記低圧塔のための環流を形成し、それにより、前記低圧塔内の残留液体と、前記低圧塔内でさらに精製される前記高圧塔内の酸素の豊富な高圧の塔底残留物の液体とから、前記酸素の豊富な液体を形成するように、前記高圧塔と協働するように接続された前記低圧塔と、
前記第2の圧縮流をさらに圧縮し、前記第2の圧縮流を前記主熱交換器内で不完全に冷却し、不完全に冷却された後の前記第2の圧縮流をターボ膨張機内で膨脹させて排出流を形成し、前記排出流を前記高圧塔内に導入するステップと、
低圧の窒素の豊富な蒸気の塔頂留出物の流れと前記低圧塔から抽出された精製されていない窒素廃棄流とを前記主熱交換器に通し、前記供給物流を圧縮し生成した後の前記供給物流を、精留に適した温度まで冷却することを支援するステップと、
前記少なくとも1つの液体生成物を、前記ポンプ輸送された液体酸素流の残りの部分の少なくとも一部から、又は窒素の豊富な液体の流れを、凝縮され前記環流として使用されない前記窒素の豊富な気体の一部から形成するステップとを含む、請求項6に記載の生成方法。
【請求項8】
加圧生成物流の生成装置であって、
酸素及び窒素を含む供給物流を精留するように構成された低温精留プラントを備え、
前記低温精留プラントが、プレートフィン構造の主熱交換器と、前記主熱交換器と協働するように接続された蒸留塔システムと、ポンプとを有し、
前記ポンプが、前記蒸留塔システム内で形成された酸素の豊富な液体又は窒素の豊富な液体がポンプ輸送されて、ポンプ輸送された生成物流を生成するように、前記蒸留塔システムと流体連通し、
前記主熱交換器が、前記ポンプに接続され、かつ前記ポンプ輸送された生成物流の少なくとも一部が前記主熱交換器の層内で加温されて前記加圧生成物流を生成し、もう1つの流れが前記層内で加温又は冷却されるように構成され、
前記層は、前記ポンプで汲まれた生成物流の前記少なくとも一部を加温するために、前記主熱交換器内に熱伝達面積を有し、前記熱伝達面積は、層内に前記もう1つのポンプ輸送生成物流を加温又は冷却するための領域を設けることによって少なくとも部分的には減少し、
前記領域は、前記主熱交換器内の温度が前記ポンプ輸送された生成物流の臨界温度又は露点温度を超える温度まで到達する位置において、前記熱伝達面積が減少するように、前記層内に配置される、生成装置。
【請求項9】
前記層が、第1の区画及び第2の区画をそれぞれ有する第1の組の層及び第2の組の層を含み、
前記層が、前記ポンプ輸送された生成物流の前記少なくとも一部から成る複数の補助流が、各組の前記第1の区画内で温められ、各組の前記第1の区画間を接続することによって混合されて混合補助流を形成するように構成され、
前記第1の組の層の前記第2の区画が、前記混合補助流が前記第2の区画内でさらに温められ、前記加圧生成物流を形成するように、前記第1の区画と流体連通し、
前記領域が、前記第2の組の層の前記第2の区画である、請求項7に記載の生成装置。
【請求項10】
前記低温精留プラントが、少なくとも1つの液体生成物を生成するように構成され、
前記もう1つの流れが、前記主熱交換器内で温められて、前記少なくとも1つの液体生成物の生成を増加させる冷媒流である、請求項7に記載の生成装置。
【請求項11】
前記層が、第1の区画及び第2の区画をそれぞれ有する第1の組の層及び第2の組の層を含み、
前記層が、前記ポンプ輸送された生成物流の前記少なくとも一部から成る複数の補助流が、各組の前記第1の区画内で温められ、前記第1の区画間の接続において混合され、それにより、混合補助流を形成するように構成され、
前記第1の組の層の前記第2の区画が、前記混合補助流が前記第1の組の層の前記第2の区画内でさらに温められ、前記加圧生成物流を形成するように、前記第1の区画と流体連通し、
前記領域が、前記第2の組の層の前記第2の区画であり、
前記冷媒流から成る補助冷媒流が、前記第2の組の層の前記第2の区画内で温められるようになっている、請求項10に記載の生成装置。
【請求項12】
前記低温精留プラントが、冷却システムを有し、前記冷却システムは、前記主熱交換器に接続されるとともに、前記冷媒流を生成し、かつ前記冷媒流を前記第2の組の層の前記第2の区画を通して循環させるように構成されている、請求項11に記載の生成装置。
【請求項13】
前記冷却システムが閉回路冷却サイクルである、請求項11に記載の生成装置。
【請求項14】
前記低温精留プラントが、前記供給物流を圧縮する主圧縮機を含み、前記冷却システムが、開位置に設定されるように動作可能で、圧縮後の前記供給物流の一部を受けるように置かれた弁を含み、それにより、前記供給物流の前記一部から前記冷媒流を形成して前記冷媒流の埋め合わせるようになっている、請求項13に記載の生成装置。
【請求項15】
前記冷却システムが、前記主熱交換器内で加温された後の前記冷媒流が再循環圧縮機内で圧縮されるように、前記主熱交換器に接続され、前記第1の組の前記層の前記第2の区画と流体連通する再循環圧縮機と、前記冷媒流をさらに圧縮するための昇圧圧縮機と、排出流がタービンから前記第1の組の前記層の前記第2の区画の中を流れるように、前記昇圧圧縮機と前記主熱交換器の前記位置との間に接続されるタービンとを有する、請求項14に記載の生成装置。
【請求項16】
前記蒸留塔システムから回収された前記生成物流が前記酸素の豊富な液体から成り、
前記低温精留プラントが、
前記低圧塔の酸素の豊富な液体の塔底残留物の蒸発を防ぐために、高圧の塔頂留出物として生成された窒素の豊富な蒸気が凝縮され、前記高圧塔及び前記低圧塔のための環流を形成し、それにより、前記低圧塔内の残留液と、前記低圧塔内でさらに精製される酸素の豊富な高圧の塔底残留物の液体とから、前記酸素の豊富な液体を形成するように高圧塔と協働するように接続された低圧塔を含む前記蒸留塔システムと、
圧縮精製された供給物流を生成するために、前記供給物流を圧縮精製するための精製ユニットに接続された主熱交換器と、
前記圧縮精製された供給物流の別の部分から形成された第1の圧縮流をさらに圧縮するために、前記精製ユニットと流体連通する昇圧圧縮機と、
前記昇圧圧縮機と流体連通し、液体流を形成するように構成された前記主熱交換器と、前記液体流を膨脹させるために前記主熱交換器に接続された膨脹装置と、前記液体流を受けるために、前記膨脹装置と流体連通する前記高圧塔及び前記低圧塔の少なくとも一方と、
前記主熱交換器に接続され、前記精製ユニットと流体連通し、それにより、前記圧縮され精製された供給物流のさらに他の部分から形成された第2の圧縮流がさらに圧縮され、前記主熱交換器内で部分的に冷却され、ターボ膨張機内で膨脹されて排出流を形成し、前記排出流が前記高圧塔内に導入されるように前記ターボ膨張機が前記高圧塔と流体連通する、タービンユニットを搭載された別の昇圧機と、
前記低圧塔と流体連通し、且つ、低圧の塔頂留出物の流れ及び精留されていない窒素廃棄流が、前記低圧塔から前記主熱交換器に進み、前記主熱交換器の冷端と暖端との間を流れ、圧縮後の前記供給物流をその精留に適する温度まで冷却するのを支援するように構成された、前記主熱交換器と、
前記蒸留塔システム内で生成された、前記ポンプ輸送された液体酸素流の別の一部分及び窒素の豊富な液体の流れの一部分の少なくとも一方から、前記少なくとも1つの液体生成物を排出するための少なくとも1つの出口とを備える、請求項15に記載の生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−533719(P2012−533719A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516083(P2012−516083)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/030870
【国際公開番号】WO2010/147698
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(392032409)プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】